貴方「奴隷たちに救済を」【安価スレ】【2スレ目】

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786 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2018/02/03(土) 22:08:30.20 ID:vPZFeAK50
アーバンとは結構歳が離れているようです。次は奴隷の設定です。戦闘には参加出来ないので、種族のみを直下で決めます。
787 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/03(土) 22:13:24.00 ID:yQ7d7alVo
堕天使
788 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2018/02/03(土) 22:15:38.74 ID:vPZFeAK50
子供の堕天使…。コンマからしてヤバみしかないんですよね(取ってないけど)。性別を直下にお願いします。
789 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/03(土) 22:16:57.57 ID:oSrqCWKDO
女性
790 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2018/02/03(土) 22:18:27.09 ID:vPZFeAK50
次は概要です。↓3まで募集します。あと何個か決めたら終わるはず。
791 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/03(土) 22:25:26.82 ID:yQ7d7alVo
常に何かに怯えてビクビクしてる
792 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/03(土) 22:28:09.55 ID:ZPCK2Ota0
父親が天界の重役だったが悪魔に殺されている
793 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/03(土) 22:30:52.46 ID:oSrqCWKDO
体に火傷跡
794 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2018/02/03(土) 22:34:51.01 ID:vPZFeAK50
うーん闇深案件。堕天使ちゃんの名前を直下で募集します。子供なので、年齢は十四歳以下となります。
795 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/03(土) 22:38:33.88 ID:ZPCK2Ota0
アンジェ
796 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2018/02/03(土) 23:05:48.75 ID:vPZFeAK50
最後に場所の設定です。ギュンデームを舞台として使うことが出来ますが、その場合はギュンデーム周辺の状況が大きく変わります。

↓2までに、場所の特徴をお願いします。ギュンデームを使うなら、ギュンデームとだけ書いていただけたら大丈夫です。

ステラ家血縁者のため、場所はハイランディア領内に固定されます。
797 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/03(土) 23:12:18.78 ID:ZPCK2Ota0
ギュンデーム
798 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/03(土) 23:13:45.59 ID:+Xkpvayfo
ギュンデーム
799 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2018/02/03(土) 23:18:52.05 ID:vPZFeAK50
これで設定は終了しました。少々お待ちください。ソラ一家の家はギュンデーム郊外に建っております。
800 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2018/02/03(土) 23:34:31.06 ID:vPZFeAK50
チャポン。

何かが水に落ちる音が聞こえた。

いや、落ちたのは自分自身だ。

自分が落ちたのだと気付けた。

「ここ…は…」

目を開けるが、その目には何も映されない。

水が触れている感覚はあるのに、水中にいる実感が湧かない。

――助けて…ください…――。

「…ッ!?」

声が聞こえた気がした。

聞こえた方向に振り返ると、小さな光が遠くで漂っている。

「届く…か…?」

手を伸ばしてみるが、届く気配は無く。

身体を折り曲げ、ドルフィンキックを行い、光に向かう。

徐々に光は大きくなり、あと少しで届くところまで。

手を翳した刹那、光は闇に染まった。

――貴方は今、禁忌に触れた――。

――堕天使を殺せ。さもなくば、貴方の未来は暗黒に染まる――。

感情を含まない冷淡な声が、頭に響いた。

そして、意識も闇に溶けていった。
801 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2018/02/03(土) 23:45:37.94 ID:vPZFeAK50
「…ハッ!?」

目を開くと、そこにはいつもの天井が。

隣の窓から入って来た小鳥は、皿の穀物を啄んでいる。

チチッと一回鳴いて、空に飛んでいく小鳥を見送り、手を見つめる。

寝汗によるものなのか、少しべたついている以外は普段と変わらない。

「…夢?だとしたら、あの声はいったい…」

脳内でリフレインされる言葉。

頭を押さえながら時計を覗くと、針は十時を指していた。

「…いけない。今日はイレーナ様が帰ってくる日だ」

シャツに袖を通し、パンを一切れだけ腹に入れる。

「行ってきます」

そして、誰もいない家に声を掛け、町に向かって駆け出した。
802 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2018/02/04(日) 00:01:22.91 ID:0EFmsa0a0
もうすぐ昼になるからか、猟師たちは町唯一の食堂にたむろしている。

「おはよう、今日は安い果物を仕入れてきたよ」

「いえ、まだ買いに来たわけではないので。自分は早く屋敷に行かないと…」

「ハハハ。その様子じゃ何も食べてないみたいだな。ほら、剥きたてのリンゴ。お得意様へのサービスだ」

「…では、一つだけ。…うん、美味しいですよ。チャーリーさん」

「そいつぁどうも〜。それじゃ、イレーナさんに口聞いといてよ」

「無理です。何をされるか分からないので」

「ハハハ」

商人、チャーリーの猫耳がピコピコと跳ねる。

さっさと行けとジェスチャーしているようだ。

ペコリと一礼し、貴方は屋敷に向けて歩を進める。

「…また、あの商人と話をしたのか」

銀色の鎧に身を包んだ騎士、ゼルディがぼそりと呟く。

「悪人ではないので」

貴方は短く返し、門を開ける。

ゼルディの過去は知っている。

なので、獣人を見て不快感を抱く気持ちも分かる。

だからと言って、こちらも態度を変える気は無いが。

「…まあ、私が勝手に身構えているだけだ。気を悪くしたなら謝ろう」

「いえ。もし謝るのであれば、彼に」

「…ああ」

淡々とした会話。

しかし、ゼルディの目はどこか虚ろだった。
803 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2018/02/04(日) 00:23:12.67 ID:0EFmsa0a0
「…よし。埃はこれで全て除去出来た」

埃取りを本棚から引き抜き、掃除用具入れのフックに掛ける。

換気のために窓を開けると、蹄の音が響いてくる。

「帰って来たか。…ん、見かけない子がいる。養子縁組でもしたのか?」

疑問を胸に、貴方は主人を迎えに出る。

「おかえりなさいませ。荷物は自分がお受け取りいたします」

「頼むわ。貴方、いつもお勤めご苦労様」

「滅相もございません」

深々としたお辞儀で、遠慮の意を示す。

「………」

怯えた目でこちらを覗く、黒髪の少女。

服で隠れているが、頬や鎖骨の皮膚から、全身に火傷痕があるのが見受けられる。

「イレーナ様。中にお入りください」

扉を開け、中に入るように促す。

「ええ。それと貴方、新しい命令を出します」

「はい。何なりとお申し付けください」

扉の前で止まったイレーナは、顔をこちらに向ける。

姿勢を正し、貴方は身体をイレーナの正面に向ける。

「この娘は、私が買ってきた奴隷です。彼女の世話を任せました」

それだけ言って、イレーナは屋敷内に入っていく。

「かしこまりました」

一礼をして見送った後、貴方は少女に身体を向ける。

「これより、あなたの世話をさせていただく貴方と申します。以後、お見知りおきを」

「ひぅ…」

お辞儀をしただけなのに、少女は涙を浮かべて身体を震わせる。

――警戒されてるか。だが、イレーナ様からの命令だ。やるしかないな――。

目と目が合ったその瞬間。

貴方の脳内に声が響く。

――殺せ。その少女を。堕天使を殺すのだ――。

「づぅ…!」

頭が割れたような痛みに、貴方は膝をつく。

滲む視界に映る少女は、儚くも美しかった。
804 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2018/02/04(日) 00:28:25.75 ID:0EFmsa0a0
今回はこれで終了です。次回開始時は、もう少し進めた後に行動安価を出す予定となります。

次回はいつになるかは分かりません。分かり次第連絡します。皆さん、お疲れ様でした。


☆こそこそ小話

この世界はパワーバランスはちゃんと釣り合っているので、滅ぶことはありません。人類はゴキブリのようにしぶといのだ。

アンジェちゃんのコンマは取っていませんが、種族決定時に00を引いちゃっているところから察してください。

世界を取るか、幼女を取るか。心に従え。
805 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/04(日) 00:36:45.66 ID:dQwLr7pW0

この世界観だと堕天使と悪魔と魔族は親戚だろうか?
806 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/04(日) 00:53:21.21 ID:KHdw9gwpo
807 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2018/02/07(水) 18:44:07.56 ID:Mv/OJlZK0
更新は来週に出来ると思います。それと、1周目貴方と2周目貴女のお名前を決めたいと思います。

そろそろ付けないと、出てきた時に混同しかねないので…。1周目は↓1、2周目は↓2でお願いします。
808 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/07(水) 18:55:25.30 ID:iEt1EICHo
ルディエル
809 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/07(水) 19:03:38.80 ID:R5i7cAxDO
フィーネ
810 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2018/02/13(火) 19:16:46.71 ID:arMy835ZO
明日の昼から再開する予定です。間に合えば、番外編を2つ投下したいと思います。

内容はアレです。アレ。世間が浮かれてるアレでございます。
811 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2018/02/14(水) 23:31:53.78 ID:WyrqQR7S0
急に仕事が入ったので、本日の更新は無理そうです。報告が遅れて申し訳ありませんでした。
812 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/15(木) 00:10:56.41 ID:TWbQqhbDO
報告乙です
813 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/06(火) 18:51:49.74 ID:E1kq9pII0
更新待ってます
814 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2018/03/12(月) 00:17:16.20 ID:zD0lL5Yk0
上手く予定が取れたので、本日の昼頃から更新を開始します。

それに伴い今まで安価で設定、若しくはこちらで設定していた所謂モブキャラを、募集したいと思います。

絶対に出せる、と言い切ることは出来ませんが、気軽に案を出していただけたらありがたいです。

下に書いてあるものを使っても構いません。戦闘力はそのレスのコンマで決まります。


【Name(名前)】

【Gender(性別)】

【Race(種族)】

【Age(年齢)】

【Job(職業)】

【Career(来歴)】…そのキャラクターがどういうものか、どんな経験をしてきたのか、等々自由にどうぞ。
815 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 03:40:18.48 ID:vVk7HgBe0
【Name(名前)】 シンスゴ

【Gender(性別)】 女

【Race(種族)】 朝鮮人

【Age(年齢)】 59

【Job(職業)】 左翼活動家

【Career(来歴)】気違い言動多し
816 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/12(月) 10:37:23.92 ID:+X2Azk6k0
【Name(名前)】 ラム

【Gender(性別)】 女

【Race(種族)】 兎人

【Age(年齢)】 25

【Job(職業)】 傭兵

【Career(来歴)】 元々強い聴覚を武器にした狩人だったが、弓術の腕を買われて傭兵に雇われる
817 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/12(月) 16:02:15.07 ID:fRhvSv4KO
【Name(名前)】ミレイナ

【Gender(性別)】女

【Race(種族)】エルフ

【Age(年齢)】500(人間換算20)

【Job(職業)】狩人

【Career(来歴)】とあるエルフの集落が存在する森を外敵・侵入者から守る自警団の一員
自然を不必要に破壊するものには敵対的だが、そうでない者には基本的に友好的
ちょろい
818 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2018/03/12(月) 21:46:33.74 ID:9uNVhgLi0
気が付いたらこんな時間になっていました…。布団に入って寝てからの記憶が無い…。

とにかく、更新を再開します。時間通りに始められなくて大変申し訳ございません。
819 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2018/03/12(月) 21:47:43.17 ID:9uNVhgLi0
天界の片隅、談話室に天使たちが集う。

「で、セフィ。急に呼び出して何があった?」

「ラフィール、それを今から話すのだから。黙りなさい」

「チッ、私だって暇人じゃない。エクシアとは違うんだ」

「ハァ。僕だって忙しいのに。それよりセフィ、身体は大丈夫?」

青い翼を生やすラフィールと、機械のような翼を持つエクシアが一人の天使を見る。

「まさか。内臓を殆ど損失したんです。修復している最中ですよ」

管を背中から数本差し込んでいるセフィは、瞼を閉じたまま答える。

「しかし、あなたがそんな怪我をするなんて。悪魔相手じゃあないでしょう?流石に」

「ええ。悪魔よりも質が悪いですね。何せ、堕天使にやられましたから」

「…堕天使?報告じゃあ『断罪の焔』で焼き払ったって言ってたが…」

「…私はそれを確認していました。ですが、姿が消えたと同時に、聖罰塔と監視塔が破壊されました」

「…?それが原因でお前は負傷したのか」

セフィは首を振って肯定の意を示す。

「おそらくは。危険な存在なので急いで殺さねば、世界すらも破壊されかねません」

「分かったよ。私がそいつを仕留める。場所は…不明だろ、どうせ」

「そうみたい。僕たちも本気で取り掛からないと、セフィの二の舞になりそう」

「…今の彼女がどういう姿をしているのか分かりません。気を付けて」

「「ああ(分かった)」」

人間界へ飛び立った天使を確認し、セフィは病室に戻る。

――パンドラの箱を開けてしまったのかもしれませんね。私たちは――。

見上げた空は、非情なまでに煌いて。

二対の翼は焼け焦げ、惨たらしく千切られていた。
820 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2018/03/12(月) 21:48:39.46 ID:9uNVhgLi0
魔界の北部に聳える巨大な城。

その玉座に座しているのは、北の魔王。

「へぇ…。堕天使はレステルからギュンデームに渡ったようですね」

クイッ、と血のように紅いワインに口を付ける。

彼女の髪も炎のように紅く、また、闇のように淀んでいる。

「さてさて、どうやって摘み取りましょう。我々は人間界に出られませんからね」

異界の門を開くが、手で触れると弾かれてしまう。

「…我々は鳥のようなもの。魔界という籠に閉じ込められた、哀れな存在」

「そんな我々が籠から飛び出そうとするのが、どうしていけないのでしょうか。分かりませんね」

湛えた微笑は邪悪に染まり、瞳は妖しく光る。

「イラトゥスがテレパシーを試みたようですが、おそらくそれも失敗。となると…」

玉座に立て掛けた槍を手に、翼を広げる。

「侵略あるのみ、です。ヒトが守る扉を開き、世界を魔族の手中に収めましょう」

「…全ては、魔族の求めた自由のために」

世界の中で思惑は蠢く。

その先にあるのは希望か、絶望か。
821 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2018/03/12(月) 21:49:23.31 ID:9uNVhgLi0
突然の頭痛で意識を失った貴方は、程なくして目を覚ます。

玄関前で倒れたはずだが、今自分がいるのは個室のベッド。

不思議に思い辺りを見回す。

そこには、騎士ゼルディと少女が佇んでいた。

「ご…ごめん…なさい…。わ、私のせいで…」

「…頭痛の原因が、お嬢様にあるのですか?」

彼女の正体は分かっているが、それを知られることを本人は望んでいない。

であるならば、普通の人間という体で進めていく方がいいだろう。

「実は最近、少々忙しかったので疲れが溜まっていたのです」

「おそらく、それが原因で気絶したのでしょう。お嬢様は何かしたわけではありませんよ」

「あ…。そう…ですよね…。私は貴方様に触れてませんから…」

隠す気があるのか疑問に思うが、敢えてそこはスルーする。

「…さて、お前も起きたことだし、私は警備に戻るとしよう」

「アンジェ様のことはお前に任せる。ではな」

そんな言葉を残して、騎士は去っていった。

静かになった部屋には、少女と青年の二人きり。

「あ…その…私の名前は…」

「アンジェ様、で合っていますよね?」

「は、はい…」

少女は頷きながらも、何かに怯えた様子で周囲を見回す。

そこで、腹の虫がくぅと鳴いた。

自分は先ほど朝食を取ったのであり得ない。

とすると、音の出所は。

「うぅ…」

少女は恥ずかしそうに袖で顔を隠す。

年齢的に食べ盛りのはずだ。

何か食事を提供した方がいいだろう。
822 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2018/03/12(月) 21:52:06.11 ID:9uNVhgLi0
選択安価です。直下でお願いします。

1:給仕係に頼んで作ってもらう。

2:自分で作る。

3:町の食堂で食事を行う。

4:ひとまず町の案内をする。
823 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/12(月) 21:53:19.32 ID:qEgBymjG0
824 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2018/03/12(月) 22:09:48.87 ID:9uNVhgLi0
ここは専門の人に頼るのが無難だろう。

「今から昼食を持ってきます。アンジェ様はこちらでお待ちください」

「はい…」

彼女は何に怯えているのか。

そこまで理解することは出来ないが、不安を和らげることは出来るはずだ。

今出来ることを一つ一つしていこう。

決意を胸に調理室に向かう貴方を、何かが引き止める。

振り向いた先には、部屋で待っているように言った少女が。

「あの…一人は嫌…なので…。ついて行ってもいい…ですか…?」

服を掴んでいる指が震えている。

自分以外の全てに恐怖を持っているのだろう。

そんな彼女が、勇気を出して声を掛けたということ。

それは、孤独がそれ以上に辛いことを示していた。

「よろしいのですか?調理の風景を見ても、面白くないと思うのですが」

「だ、大丈夫です…」

そう言った少女の目は、真っ直ぐこちらを見据えていた。

「では、ご案内致します」

優しく手を取り、先を歩く。

敵意は無いと、危害を加えはしないと、伝わっていればよいのだが。
825 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2018/03/12(月) 22:32:54.39 ID:9uNVhgLi0
「こちらが調理室です。ここで食事を作り、イレーナ様に自分が食事を提供します」

連れてきた調理室は、よく言えば機能美に溢れ、悪く言えば殺風景な所だ。

そんな場所を、アンジェは興味深そうに見つめる。

少々お待ちくださいとアンジェに一言伝え、給仕係のメイドに声を掛ける。

「あ、まだ昼食時間じゃないよぉ〜。もうちょっと待ってねぇ〜」

「いえ、自分ではなくアンジェ様の食事を用意してもらいたく」

「ほほぉ。どんなのがいいかなぁ〜」

間の抜けた口調のメイドだが、腕は確かだ。

仕事以外ではのんびりとしすぎているので、心配が尽きないのだが。

「…アンジェ様は元奴隷なので、満足な食事が出来なかった可能性が高いです」

「ん〜。オートミールとかといった消化しやすい物がいいねぇ〜」

「はい。お願いします」

「オッケ〜。任せといてよ〜」

こちらまで気の抜けるような声とは裏腹に、テキパキと作業を進めていく。

そこまで大変な物を作っているわけではないが、手際の良さは見ただけで分かる。

あっという間に下準備を終え、後は煮込むだけとなった。

「もうちょい待っててねぇ〜」

準備を終えているというのに、メイドは他の料理を作っている。

アンジェの食べられる物ではないと分かった貴方は、首を傾げるのであった。
826 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2018/03/12(月) 23:06:04.12 ID:9uNVhgLi0
「お待たせぇ〜。こっちはアンジェ様ね〜」

アンジェの前に置かれた少し大きめの皿には、純白のオートミールが入っている。

「味付けはそこまで濃ゆくないから、大丈夫なはずなんだけどね〜。少しずつ食べてくださいな〜」

「あ、ありがとうございます」

目の前の皿をじーっと見つめたと思うと、今度は匂いを嗅いでビクッと体を震わせた。

「い、いただきます」

そう言っておそるおそる口に含むアンジェ。

目が輝いて見えるのだが気のせいだろうか。

「あぁ。これは貴方の分だよ〜。しっかり食べて大きくなろうね〜」

メイドが持っている皿にはパスタが、もっと言えばカルボナーラが盛り付けられている。

それも大量に。

「…自分はもう成長しませんよ。大人ですから」

「それに、それほどの量は食べきれません」

貴方の言葉を聞いたメイドは、ニヘラと笑う。

「分かってるよぉ〜。これは私の分もあるからねぇ〜」

「アンジェ様、皆で食べるご飯は美味しいんですよ〜。試してみましょうか〜」

笑顔を浮かべるメイドの心情は、貴方には測れなかった。

しかし、その言葉に噓偽りがないこと。

それだけは理解することができた。

そして、満足そうに食べていたアンジェの目から突然、涙が溢れ出す。
827 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2018/03/12(月) 23:25:59.10 ID:9uNVhgLi0
「え、ちょ、何!?わ、私、悪いことしちゃったかなぁ〜…?」

オロオロと慌てるメイドをよそに、貴方はハンカチを差し出す。

「ごめん、なさい。でも…初めてで…。他の人と…ご飯を食べるのが…こんなにもいいことなんだって…」

「分から…ないんです…。何で私も泣いてるのか…。少しも嫌じゃないのに…何で…?」

涙を拭いながら、アンジェの言葉を聞き取る。

彼女の言葉をそのまま受け止めるなら、その涙の理由は驚いたことになるのだろうか。

彼女が生きてきた状況は分からない。

だが少なくとも、醜悪な環境にいたことだけは分かる。

他人と食卓を囲むことが無かったなど、普通ではあり得ないからだ。

「…いいんです、アンジェ様。泣きたい時は泣いても」

「あなたは自由だから。あなたの心に従って動いても、自分たちは止めませんから」

「…はい…。ありがとう…ございます…」

涙は尚も流れ続ける。

心を巣食った悲しみを洗い流すように。

涙が止まる頃には、既に食事は冷めきっていた。
828 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2018/03/12(月) 23:28:48.03 ID:9uNVhgLi0
今回の更新はこれで終了です。すみません、全然量が無くてすみません…。

次回更新も今のところ目途が立っておりませんので、追々連絡します。ありがとうございました。


☆こそこそ小話

天使と悪魔は敵対関係にあり、天使(と神々)は天界に、悪魔(を含めた多くの魔族)は魔界に駐留しています。

魔族が悪魔とか吸血鬼とかを一纏めにした呼び方です。幾らかの魔族は人間界にもいます。

鬼も厳密には魔族ですが、セフィジャッジでは悪魔以外の魔族はセーフとなっております。

そして、魔界に行く方法は特殊な旅の扉を使う以外にはありません。天使だけが、自由に世界移動を行えます。

魔界にも小さな集落があり、そこで人間が暮らしていますが、軒並み化け物です。

堕天使は天使が堕ちた状態ですが、生まれつきで堕天使の場合もあったり。魔族、天使、堕天使はそれぞれ敵対しています。

堕天使は基本、自由気ままに世界のどこかにいます。アンジェちゃんは秘密。

アンジェちゃんの戦闘力は現在1ですが、条件を満たすことで指数レベルで上昇していきます。

魔物の中で人間のように文明を持ったのが魔族です。仲良く出来る可能性はあるかもしれない。

ちなみに、前貴女時に話の中で出てきた冥界は死者の魂が集う場所です。その後、転生して別の存在に変わります。
829 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/12(月) 23:59:26.53 ID:qEgBymjG0

悪魔も魔物と同じように人間を食べるのかどうか
830 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/13(火) 00:05:26.65 ID:/tSW60g70
乙でした
更新待ってた
831 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2018/03/26(月) 00:51:45.59 ID:XmkjdIaFO
>>829、人型に近いほど嗜好も人間に近づいていきますが、普通に人間も食べられます。
28日が休日ですので、その日に再開予定です。
832 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/26(月) 18:33:30.01 ID:3zyPO2jx0
待ってます
833 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2018/03/28(水) 22:11:28.97 ID:voP1DvtT0
お待たせしました。今から更新を開始します。
834 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2018/03/28(水) 22:12:59.42 ID:voP1DvtT0
「あ…えと…ごめんなさい…。ご飯、冷めちゃいました…」

冷えたオートミールを温め直しているメイドを見て、アンジェは申し訳なさそうに頭を下げる。

「気にしないでいいですよ〜」

メイドの言葉を聞いて安心したのか、アンジェはホッとしたように顔を上げる。

主から面倒を見るように頼まれた貴方は一時的に、メイドにアンジェを預けた。

別に職務放棄をしたわけではなく、その間に色々と用意を済ませておきたいことがあるのだ。

お召し物や、本人が孤独に怯えていることから、何かそれを和らげることが出来るもの。

必要なものは様々だ。

屋敷から出ると、喧騒が耳に入る。

「確か今日は、猟師が集まって大規模な龍狩りを行う予定…だったか」

ある人は弓を担ぎ、ある人は槍を背負う。

またある人は太刀を背負い、ある人はレイピアを腰に差している。
835 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2018/03/28(水) 22:16:19.03 ID:voP1DvtT0
選択安価です。直下でお願いします。

1:気になるので猟師の方に向かう(???)。

2:商店に向かって必要な物を買い揃える(チャーリーとコミュニケーション)。

3:家に戻って動物たちに餌やり(動物とコミュニケーション)。
836 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/28(水) 22:21:22.57 ID:06dGiYkI0
3
837 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2018/03/28(水) 22:52:55.38 ID:voP1DvtT0
商店に足を運ぼうとした時にふと、今朝のことを思い出した。

「…しまったな。あの子たちのご飯を忘れていた」

貴方の言うあの子たちは、人間のことではない。

野良犬や野良猫、原生している動物たちのことである。

貴方の動物好き具合は半端なものではなく、それを動物たちも理解しているのか、貴方が危険な目に遭った時はどこからともなく、助けにやって来るほどだ。

走って家に戻ると、気配を察知したのか沢山の動物が貴方の元に駆け寄ってくる。

「朝はごめんね。急いでたから、用意する時間が無かったんだ」

そんなことは気にしていないと言わんばかりに、頭をすり寄せ、頬を舐めてくる。

「…うん。悪いことがあったわけじゃないから、大丈夫。ご飯、作ってくるね」

手で待つよう伝え、キッチンに向かう。

肉を解してミンチにし、小刻みにした野菜を混ぜていく。

それを大皿二十枚程度用意したら、庭に出て横に並べていく。

食事が用意されたのを見た動物たちは喧嘩をすることなく、順番を譲りながら全員で平等に食べる。

適切な躾を行った、貴方の努力の賜物だ。

彼がいなければ、ギュンデームの問題はまた一つ増えていただろう。
838 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2018/03/28(水) 22:54:18.15 ID:voP1DvtT0
直下コンマ、↓2コンマである判定をします。デメリットはありません。直下は7以上、↓2は8以上だと…?
839 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/28(水) 22:55:59.78 ID:96hKVz0Q0
840 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/28(水) 22:56:25.60 ID:HhTwX8xDO
841 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2018/03/28(水) 23:00:56.92 ID:voP1DvtT0
なんということでしょう(某番組ナレーション風)。先ほどの判定は直下は『魔物も手懐けているか』、↓2は『動物たちが何かをしてきたか』でした。

直下は成功なので、直下に魔物の特徴と名称を(既存の物や本スレで出た物、おまかせ可)お願いします。

↓2は特殊判定なので、↓2、3にどんなイベントがあるかをお願いします(おまかせ可)。
842 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/28(水) 23:08:24.67 ID:PiwmWhxm0
魔物の名前 山村 貞子
特徴 ホラー映画の貞子そのもの白いワンピースに前のめりした長い髪
貞子の目を見ると呪殺される
843 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/28(水) 23:09:00.64 ID:VSb+SoF40
ビオランテのキッド
定期的に伐採しないと巨大になりすぎる
844 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/28(水) 23:09:17.03 ID:96hKVz0Q0
ユニコーン
845 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/28(水) 23:10:46.90 ID:HhTwX8xDO
貞子が元の世界に帰る
846 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/28(水) 23:17:42.26 ID:96hKVz0Q0
知らない動物が紛れ込んでる
847 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2018/03/29(木) 00:53:31.07 ID:w5ZcmU5f0
動物が食事に勤しんでいる中、ただ一匹?一人?だけは、ふわりふわりと宙に浮いている。

動物というよりは亡霊である彼女の名前は、貞子というらしい。

意思疎通を試した結果、筆談のみが可能だったので、名前を教えてもらった。

この付近、もっと言うならば、この大陸で用いられている名前ではないので、別の大陸の人だと判断した。

だが、本人が言うにはこの世界に存在することはあり得ない、らしい。

彼女は決まって、動物たちの食事に合わせてここに来る。

来るからといって何かしてくるわけでもないのだが、こちらから何かをしても反応しない。

本当にただ、そこにいるだけ。

何を考えているのか表情を窺おうとしても、長い髪がそれを妨げる。

何も分からない、知りようがない。

どう接すればいいのか決めかねていたのだが突然、別れが訪れた。

「…?どうした?」

いつもならこちらを眺めているはずの彼女が、顔を空に向けていた。

気になって声を掛けると、こちらに顔を一瞬向けた後にまた、同じ方向を向く。

「え…?」

そして、翳した手の先に黒い穴を作り出し、潜り込んだ。

それは有無を言わせない別れだった。

しかし、最後に見せた隠れているはずの彼女の顔は、笑っていたように見えた。
848 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2018/03/29(木) 00:56:00.48 ID:w5ZcmU5f0
直下に、紛れ込んでいた動物の特徴、名称をお願いします(条件は前回のに加え、変化した亜人、魔物、魔族も可(0ボーナス))。
849 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/29(木) 01:07:41.70 ID:XfkCUZF/0
額に不思議な紋様があるリスっぽい生物(カーバンクル)
850 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2018/03/29(木) 01:54:53.59 ID:w5ZcmU5f0
謎の存在が還っても、動物たちはそれを気にすることなく、食事を続ける。

空になった皿を新しい物に取り替え、鳥用の穀物を箱詰めして、離れた場所に置く。

一箇所に食事場所を纏めてしまうと、怪我をする子が出てくる可能性がある。

そのような光景を見たくないための配慮だ。

貴方の家の食料の中で動物用が占める割合は非常に多く、殆どがそれだ。

当然食費も嵩んでいるのだが、然したる問題ではない。

そして、動物の好む物も種族によって変わる。

そのため、一般的な動物全ての面倒を見ることが出来る。

のだが。

「キュゥ」

茂みから顔を出すリスは、一向に手を付けようとはしなかった。

気が付いたのはたった今だしそもそも、提供している食事にリスの好む物は無い。

「ちょっと待ってね。すぐ持ってくるから」

仲間外れは良くないと急いで木の実を用意する。

食べやすいように中身を取り出し皿に乗せると、ぴょんぴょんと動物の背中を飛び乗って目の前までやって来た。

――リス…じゃない…な――。

リスだと思っていた小動物は、よく見ると違う生き物だった。

リスよりも犬らしい大きな耳に、額に浮かんだ謎の紋様。

そして、その身体は紅い体毛に覆われている。

口いっぱいに木の実を含んでいる姿はリスそっくりだが、違う生き物なのだ。

だが可愛い。

全ての皿が空になると、満足したのか動物たちは各々の住処に帰っていった。
851 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2018/03/29(木) 01:57:52.02 ID:w5ZcmU5f0
次の行動安価です。今回も直下です。また、今回の行動が終わると強制的に屋敷に帰還します。

1:猟師のところを訪ねる(???)

2:商店で買い物(前回と同じ)
852 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2018/03/29(木) 03:27:27.26 ID:w5ZcmU5f0
夜も更けてきましたので、短いですが今回はこれで終了です。安価は下にずらします。

礼の如く次回はいつになるのか目途が立ってませんので、分かり次第連絡します。

どうすればもっと早く書けるのだろう…。お疲れ様でした。
853 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/29(木) 06:53:44.77 ID:SmHJkl+DO
1
854 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/09(水) 04:37:14.45 ID:XunEJv6Z0
大丈夫かな?
855 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/26(火) 11:59:56.76 ID:cj+IBjA10
保守
856 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/27(水) 14:26:24.13 ID:gnD3UV6k0
857 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/17(金) 13:25:06.94 ID:ClQ1//Q40
保守
858 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/04(木) 03:00:08.15 ID:7H2TFGKK0
もう帰ってこないのかな
859 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/16(月) 22:50:32.86 ID:ulbUrRJr0
あえ
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