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貴方「奴隷たちに救済を」【安価スレ】【2スレ目】
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443 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/04(土) 20:03:19.84 ID:HZRPHbBl0
>>442
、恩人が悪いことをしている、と言い切ることはできません。理由は本編内で触れられたらいいのですが…。
異世界スマホを見て精神が摩耗している
>>1
ですが、今から再開していきます。直下コンマでホルムまでの距離を判定します。
444 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/04(土) 20:06:45.36 ID:8UMsQ72DO
待ってました
445 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/04(土) 20:33:42.84 ID:HZRPHbBl0
グラウスは数分地図を眺めるが、地図を置くと同時に頭を抱える。
「ふーむ…。この大陸から出るべきかねぇ…」
そう呟いたグラウスは、地図を人差し指で数回叩く。
「わっ!」
突然、地図に描かれていた大陸に複数の蒼い光が浮き出たのだ。
貴女が驚いたのを気にすることもなく、グラウスは独り言を呟いている。
「こっちは…ダメだな。ロングィ相手は正直しんどい。…仕方ない。ホルムを目指すか」
グラウスは地図を折りたたみ、顔を上げる。
「…どうした嬢ちゃん?そんな顔をして」
「…なんでもないですっ」
プイッ、とそっぽを向く貴女だが、なぜそうなっているかをグラウスは理解できない。
首を傾げながらも、グラウスは立ち上がり先導する。
「次の目的地はホルムだ。かなり距離はあるが、今日中には着く」
グラウスの言葉が引っ掛かる。
距離はあるのに、どうして一日で到着するのか。
その理由が、皆目見当もつかないのだ。
「意味が分からねえって顔だな」
貴女は頷く。
「まぁ、見てからのお楽しみさね」
『ギュンデーム』を出た二人だが、前にここまで来た道を逆走する。
最初は何とも思わなかった貴女だが、少しずつ不安の色が見え隠れしてくる。
対するグラウスは、どこか楽し気だった。
446 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/04(土) 20:34:40.45 ID:HZRPHbBl0
直下コンマに、何かイベントがあればお願いします。コンマが1〜3で戦闘発生です。0だと…?
447 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/04(土) 20:42:22.34 ID:AR6svJb2o
迷子らしき子供がいる
448 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/04(土) 20:45:52.26 ID:HZRPHbBl0
おや、迷子(?)ですか。簡単に設定をしますね。↓1に性別、↓2に種族、↓3、4に性格をお願いします。
449 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/04(土) 20:48:26.17 ID:6zWt5GwFo
男
450 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/04(土) 20:54:09.56 ID:AR6svJb2o
竜人
451 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/04(土) 20:54:59.56 ID:jQH6bFO7o
猫かぶり
452 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/04(土) 20:55:54.94 ID:8UMsQ72DO
泣き虫
453 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/04(土) 21:13:55.10 ID:HZRPHbBl0
一つ判定を忘れていました。直下コンマが1〜3、0だと…?
454 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/04(土) 21:14:42.64 ID:AAUSRj2EO
あ
455 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/04(土) 21:18:15.38 ID:HZRPHbBl0
往路を大きく逸れ、二人は山脈の傍を進んでいた。
道はみるみる険しくなり、徐々に高度を上げていく。
同時に、出没する魔物の種類も変わっていっている。
「ふぃ〜。犬っころが多くて大変だ」
周りには樹が茂っており、間隙を縫って奇襲を行われている状況だ。
危険な種族ではないので、数回叩けば鳴いて逃げ出すのだが。
「…ん?」
不意にグラウスが立ち止まり、耳を澄ませる。
釣られて貴女も、感覚を強化する。
貴女の耳が捉えたものは――。
――ひぐっ…。お兄ちゃんはどこに行ったのぉ…。
――僕だけじゃ…。勝てないよぉ…。
「ッ!」
「おい!?嬢ちゃん!?嬢ちゃーん!」
走り出す貴女を、グラウスが止めることはできなかった。
456 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/04(土) 21:35:12.94 ID:HZRPHbBl0
木々に囲まれた小さな岩陰。
そこに、竜人の少年は姿を隠していた。
「お兄ちゃん…。どこなの…」
少年はポーチから小さな結晶を取り出す。
「これを壊したら、助けが来るんだっけ…。…だけど、本当に危ない時以外はダメって言われたし…」
「ひうっ!?」
ガサガサ、と葉が掻き分けられる音が聞こえ、少年は怯える。
「うぅ…」
両肩を抑え、小さく縮こまる。
見つかる可能性を、少しでも減らすために。
「ひぃ!」
眼前を横切った影を恐れるあまり、声を上げてしまう。
「よ、良かったぁ…。やっと見つかった…」
その陰の正体は人間、貴女だった。
「だ、大丈夫…?迷子みたいだけど…」
おずおずと手を差し伸べる貴女だが、その手が握られることはなかった。
「く、来るな!私を捕まえようとするお、愚か者め!」
手を払い除けた少年は、涙を浮かべながらも貴女を睨む。
「わ、私は人攫いじゃないよ…!」
「妄言を…!」
人攫いであることを否定する貴女。
しかし、それを聞こうともしない少年。
千日手になり得ない状況を、あの男はぶち壊す。
「嬢ちゃん…。いきなり走り出すのはちょっと疲れるから…って迷子じゃねぇか」
グラウスは少年を見るや否や、手を上に突き出して光を放つ。
「これで、近くの仲間が気づくはずだろ」
その言葉は正しく、数分後、雄々しい翼を広げて竜人が数人、少年の救助に来た。
457 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/04(土) 22:01:20.32 ID:HZRPHbBl0
「弟が迷惑を掛けましたァッ!」
凄まじいスピードで土下座をする竜人。
どうやら迷子だった子の兄らしい。
「旅人のあなた方のお手を煩わせて申し訳ないッ!」
立ち上がった後も、十回二十回と頭を下げる竜人兄。
「いやいや、お前さんも弟さんが無事でよかったじゃないか」
「ええッ!本当に良かったッ!」
弟を抱きしめる竜人兄だが、弟の方は胸に顔をうずめていて様子が分からない。
「しかし、こんな可愛い子を人攫いって判断するとはねぇ」
凛々しい黒髪を伸ばしている女性が、貴女を見て言う。
「ホント、可愛い子だねぇ…」
「…!?」
ペロリ、と指を舐める女性を見て寒気がした貴女は、グラウスの後ろへと隠れる。
「ありゃ、警戒されたか。痛くしないのになぁ」
「その手で言っても説得力が無いじゃろ…。儂でも痛いというのに…」
隣の竜人が諫める間に、竜人兄は弟を前に向ける。
「ほら、お礼を言いなさい。漢として恥ずかしいぞ」
「う、うん…」
申し訳なさそうに、弟は貴女を見る。
貴女は、グラウスの後ろから顔だけを覗かせる。
「た、助けてくれて…ありがとう…ござい…ます…」
その言葉を聞いた貴女は、戸惑いつつも返答する。
「ど、どういたしまして…」
感謝を伝えた弟は、また顔をうずめる。
「うわぁぁぁぁん…!怖かったよぉ…!」
「よしよし。帰ったら美味しいご飯を食べような」
コクリ、と頷いた弟は、静かに寝息を立てる。
「ではッ!私たちも失礼しますッ!僭越ながら、私たちも平穏無事を祈っておりますッ!」
「儂たちの村は来るもの拒まず、じゃ。次があれば、客人として存分にもてなそうぞ」
「可愛い子もよろしくね」
「これ」
「あいたっ!」
そんな言葉を残して、竜人たちは山脈の向こうへと飛び立っていった。
「…行ったか。俺たちも行こうか」
「…あの人たちの村に、行けますかね…」
「たぶん、な」
地図を片手に持ちながら、グラウスは答える。
しかし、その心中は――。
――あいつらと会うなら、死ぬ覚悟をしないといけないな。
458 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/04(土) 22:31:30.30 ID:HZRPHbBl0
木々を越え、魔物を退け、ただひたすらに進む。
疲弊している貴女と、飄々としているグラウス。
どうしようもない、経験と地力の差が出ていた。
「もうちょいだ。頑張んな」
「はい…!」
今にも崩れ落ちそうな崖を進むと、そこには小さな空洞が。
「到着だ。よく頑張った」
「え…?何ですかここ…」
空洞には、高さ2mほどの小さな祭壇がある。
そして、祭壇の中心からは蒼い光が漏れ出している。
気になって貴女は覗くが、その時、光が渦巻いているのを理解できた。
「ここは『旅の扉』。遠い場所を繋ぐ、過去の賢人が生み出し、歴史に埋もれてしまった叡智さ」
グラウスは説明を始める。
貴女はよく分からなかったが、何やら凄い物だというのは理解できる。
「あー…。つまり『同じ旅の扉』にワープする装置と思ったらいいよ」
ようやく理解した貴女だが、同時に疑問が一つ生まれる――。
――どうして、ここまで便利なものが利用されてないのか、と――。
「理由は単純。移動手段が増えたからさ」
「態々こんなところまで来なくても、今なら移動手段が意外とある」
「大陸間の移動は船か飛空艇があるからな」
どちらかが栄えればどちらかが廃れる。
そんな簡単な理屈だった。
「そんじゃ、移動するぞ。渦の上に乗るんだ」
言われるがままに、貴女は渦の上に乗る。
そして――。
――アッシェンテ――。
そう呟くと、二人の姿が消えた。
459 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/04(土) 22:58:08.39 ID:HZRPHbBl0
視界が白くなり、全身が浮く。
周りを見ると、後ろに向かって世界が動いているのが見える。
前には白い大穴があり、そこに吸い込まれていく。
反射的に目を瞑る貴女。
目を開くと、そこには綺麗な湖が広がっていた。
「いい景色だが、もう少ししたら日が暮れちまうから急ぐぞ」
「ここは夜になると、とんでもない化け物が出てくるんだ」
いつものような声とは違うことから、冗談の類ではないと判断する貴女。
急ぎ足のグラウスを追って走る貴女だが、突然後ろを振り向く。
当然、そこには誰もいない。
「気のせい…かな…?」
首を傾げながらも、自分を呼ぶ声を聞いて走る貴女。
湖の近く、小さな丘からその『何か』は見ていた。
――我を追ってここまで来るとは、大した熱意よな――。
そう呟いた『何か』は、焔となりそこから消えた。
「ッ!」
グラウスはその言葉に反応したかのように、丘を見上げる。
「…まさか、ずっと見てるわけじゃあねえ…よな」
グラウスは口角を上げ、心の中で言う。
――だとしたら、とんだお人好しだぜ。あんたは――。
460 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/04(土) 23:25:19.31 ID:HZRPHbBl0
湖を抜け、一時間ほど大通りを進むと、町明かりが見えてくる。
「わあぁ…」
「あれがホルム。レステルみたいに貿易が盛んな町だ」
苦々しい顔で、グラウスは言う。
「どうしたんですか…?」
「ちょっと…。ハニーがここで一回攫われてな」
ハニーは鬼だから、とグラウスは小さく呟く。
だが、貴女には最後の呟きは聞こえなかった。
「えぇっ!そんなの初めて聞きました…」
「言ってなかったしな…」
グラウスは辺りを見回すが、不思議な点を見つけて首を傾げる。
「変だな…。ここまで治安がいい町じゃなかったぞ」
貿易で得た資金を基に整備したのだろう。
それでも、気になる点が消えないのだが。
「…屋敷の数が嫌に多い。住みやすい場所ではあるが、それだけとは思えねぇな…」
地図を見てみると、奴隷市場の範囲も相当なものだった。
レステルほどではないが、それでも充分な大きさを誇っている。
「…いや、まさかな」
一抹の不安を抱えながらも、グラウスと貴方は宿へと入る。
461 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/04(土) 23:28:43.34 ID:HZRPHbBl0
直下に、ホルムで行うこと、もしくはイベントをお願いします。
462 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/04(土) 23:37:29.67 ID:8UMsQ72DO
奴隷市場から何人かの奴隷が逃げ出したことで騒ぎになる
463 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/04(土) 23:40:10.26 ID:HZRPHbBl0
直下コンマで、何人逃げたか判定します。その後に、逃げた奴隷の設定を軽く行おうと思います。
1〜4:二人
5〜9:三人
0:四人
464 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/04(土) 23:41:53.43 ID:AR6svJb2o
あ
465 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/04(土) 23:50:04.25 ID:HZRPHbBl0
一人目の性別を↓1、種族を↓2、性格を↓3、4、名前を↓5、二人目も同じ順番で、↓6〜10でお願いします。
466 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/04(土) 23:54:34.14 ID:AR6svJb2o
女
467 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/04(土) 23:55:32.12 ID:6zWt5GwFo
人間
468 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/04(土) 23:56:42.68 ID:8UMsQ72DO
男勝り
469 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/05(日) 00:04:45.79 ID:OCEUmhrwo
貧困から盗賊をしていた
470 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/05(日) 00:06:32.82 ID:imeIQb/mo
リーシュ
471 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/05(日) 00:06:46.27 ID:k1mzjR9hO
両性
472 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/05(日) 00:08:00.60 ID:erMPrqgDO
男
473 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/05(日) 00:10:35.72 ID:erMPrqgDO
種族は天使で
474 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/05(日) 00:14:20.59 ID:OCEUmhrwo
悪魔は絶対に滅ぼす
475 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/05(日) 00:15:35.34 ID:imeIQb/mo
自分以外信じない
476 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/05(日) 00:20:47.69 ID:8D7ugzHn0
セフィ
477 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/05(日) 00:23:24.74 ID:CNScj63W0
ちょっと悪魔のボーダーラインを設定しますね。直下コンマが1に近いほど悪魔っぽいのはアウト、9に近いほど悪魔じゃなければセーフです。
478 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/05(日) 00:25:54.97 ID:k1mzjR9hO
はい
479 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/05(日) 00:26:06.44 ID:OCEUmhrwo
0
480 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/05(日) 00:28:26.54 ID:CNScj63W0
結構寛容ですね…。グラウスの嫁はセーフになります。少々お待ちください。
481 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/05(日) 00:38:44.26 ID:CNScj63W0
貴女は夕食を少な目で済ませて、シャワーを浴びる。
全身を洗い、余計な脂肪が付いていないか、お腹や二の腕をつまんで確かめる。
「…むぅ。ちょっと筋肉が付いてきたかぁ…」
旅を始めてから、ほぼ毎日戦闘をしていたのだ。
当たり前だとは思うが、やはり悲しい。
お湯を止めて、体を拭き、服を替える。
「そろそろ寝なくちゃ」
そう思って、ベッドに寝転んだ瞬間に、それは起きた。
「ひゃっ!?」
凄まじい爆発音が、耳をつんざく。
慌ててグラウスの部屋に向かうと、既にグラウスは出立の用意を済ませていた。
「嬢ちゃん、奴隷が市場から脱走した」
貴女は驚くが、それを無視してグラウスは続ける。
「俺は奴隷の確認に向かう。嬢ちゃんも荷物を纏めろ」
そう言って、グラウスは姿を消した。
482 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/05(日) 00:53:29.06 ID:CNScj63W0
ホルムの郊外、閑散とした町並みを、二人の奴隷が走る。
「はぁっ…はぁっ…」
「遅いですよ。急がないと追手が来ます」
「飛んでる奴が偉そうに…!」
悪態を吐く女性――リーシュ――と、警戒しながらも軽口を叩く天使――セフィ――。
特に、リーシュの顔に余裕は無く、逃げ切りたい、という思いで辛うじて走っている状況だった。
しかし、その希望も呆気なく砕ける。
「脱走者を確認。捕縛します」
「…最悪だ」
じりじりと近寄ってくる警備兵に、二人はただ諦めていた。
だが――。
――清浄なる暁光よ。汝らを守護する障壁となれ――。
二人と警備兵の眼前に、巨大なる光の壁が聳え立つ。
「この光は…聖職者?…いや、ここまでの聖職者がいるはず…」
「間に合ったか」
呆気に取られている二人の前に、グラウスは降り立つ。
そして、二人の間を走る瞬間に囁く。
――生き延びたい、と少しでも思うのなら、俺についてきな――。
「あたしはついていく!捕まるよりは万倍マシだ!」
真っ先に走るのはリーシュ。
「…信用したわけではないですが、一番手堅いですからね」
続いて、セフィも後を追った。
483 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/05(日) 01:07:56.02 ID:CNScj63W0
部屋で待っている貴女の元に、グラウスがやって来る。
手招きをするグラウスを追い、裏路地へと到着した。
そこには、汗をかきながら息を切らしているリーシュと、脚を組んでこちらを観察しているセフィがいた。
「えっと…。二人は誰ですか…?」
貴女の問いに答えようと、リーシュは口を開こうとするが、グラウスによって遮られる。
「まぁ待て。…嬢ちゃんには酷だが、今から二人の話を聞いて、二人をどうするかを選んでもらう」
意味が分からない貴女は焦る。
しかし、グラウスは尚も言う。
「元々俺は嬢ちゃんの付き添いだ。最後に決めるのは嬢ちゃんなんだよ」
「だから、嬢ちゃんに助けるべきだと思わせろ。嘘を言ったらこの場で首を落とす」
グラウスの目は冷えていた。
「はぁっ!?何言ってるんだあ…」
リーシュは、剣に手を掛けたグラウスを見て口を閉じる。
「…分かったよもう!あたしはリーシュ!元盗賊!」
「元々あたしは貧乏で、生きるためには盗賊になるしかなかった!」
「人は殺してない!あと、奴隷になってから受けた教育は地獄だった!」
「あたしを生かしてくれるのなら、あたしにできることは何でもする!以上!」
そうハキハキ言い切った後、リーシュはドカン、と地面に座る。
「私はセフィ。天使です。先に言っておきますが、あなたたちを信用することはありません」
「あくまで、生きるための利害一致でしかないことを頭に入れておいてください」
「悪魔は何があろうと滅ぼします。絶対に」
ピクリ、と反応したグラウスは、冷徹な声で問い掛ける。
「鬼もか?」
それに対して、セフィは毅然とした態度で言い返す。
「悪魔ではないのでその必要はありません」
「…言いたいことは言ったようだな」
「嬢ちゃん。決断を」
手が震え、頭が眩む――。
――それでも、答えを出さないといけないのなら、私は――。
484 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/05(日) 01:10:05.97 ID:CNScj63W0
↓1〜3に、助けるかどうかをお願いします。両方でも、片方でも問題ありません。
やっと奴隷を出せた…。今回の更新はこれで終了です。次回更新は水曜日予定です。お疲れ様でした。
485 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/05(日) 01:15:12.12 ID:OCEUmhrwo
乙
両方助けておく
主人公もグラウスの人助けの一環だったんだろうな
486 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/05(日) 06:45:30.46 ID:erMPrqgDO
乙です
両方助ける
487 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/05(日) 07:10:43.06 ID:Uxn9Fgico
両方とも助けるで
乙
488 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/08(水) 23:44:03.67 ID:kQ+0RsFhO
本日の更新は無理そうです。申し訳ありません。土曜日なら更新できるはずです。
次回の更新に備えて、簡単な判定と安価を出しておきます。
↓1コンマがリーシュの戦闘力、↓2コンマがセフィの戦闘力となります。
また、同時に↓1にリーシュの年齢を、↓2にセフィの年齢をそれぞれお願いします。
最後に、簡単な小ネタ、番外編を一つ次回更新時に投下しようと思いますので、見たいもの、要望がありましたらご自由にお書きください。
書けるものから投下していきます。更新できず、誠に申し訳ありません。
489 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/08(水) 23:46:36.50 ID:Wfh4HvqRo
17
490 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/08(水) 23:48:03.20 ID:oHwzMzu9o
50
491 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/08(水) 23:50:00.84 ID:ZXD2NsuDO
14
492 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/08(水) 23:54:39.15 ID:oHwzMzu9o
両方0か……
番外編は任務失敗の末に捕縛された結果主人公の夢と彼の先祖から受け継いだ財産は破産になった話をアリサ視点で読みたいです
493 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/09(木) 02:22:08.22 ID:SKaMOtYmO
乙
途中からフェードアウトしちゃったレイスちゃんのお話が見たいです…
494 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/09(木) 18:57:12.63 ID:MjsSiBbrO
両方0とかウッソだろお前wwww なんで2人とも捕まったんでしょうか(真顔)
とりあえず0ボーナスで特殊能力を一つずつ追加です。↓1にリーシュ、↓2にセフィの特殊能力をお書きください。
小ネタの件、了解しました。書き溜めが完了次第投下していきます。
495 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/09(木) 19:00:15.51 ID:oARFd2Gho
目利き(観察眼)
496 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/09(木) 19:27:42.64 ID:PCBv7F2No
指を指された悪魔は死ぬ
497 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/12(日) 03:00:44.65 ID:cqrHpGTW0
番外編を書いていたらこんな時間に…。今回は番外編投下だけにします。申し訳ございません…。
遺跡で流れていそうな、壮大だけど悲しい感じの曲って何か知っていますでしょうか。
エンカウントしても、音楽がそのまま流れそうな曲です。個人的に好きなので…。教えていただけたら幸いです。
498 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/12(日) 03:01:52.15 ID:cqrHpGTW0
番外編 泡沫に帰えし理想 Alisa side
指示を受けたアリサは、西中島南方へと転移魔法で移動する。
「当主様が言うには、ここを通るらしいです…が」
「…最悪ですね。先を越されていたとは」
爆発音のする方向へ、アリサは飛翔する。
上空から見渡すと、黒煙が立ち昇る場所があった。
「…そこですか」
アリサは弓を引き、二発の矢を撃つ。
それは、目的地の上空で弾け、雨のように降り注いだ。
「次は…っと」
座標設定を終え、目的地へと転移する。
そこには、数十人は下らない死体の山と、三名の兵士に守られているエルフの女性?と対峙する、たった一人の少女がいた。
「クハハ…。神である私を、敵に回して勝てるものか」
その少女の耳は猫のようで、両手からは鋭い鉤爪が生えている。
「何というか。凄まじいほどの寒気がしますね。心臓を握られているかのような」
「クハハ。それは結構。どれ、遊んでやろうか」
少女がそう言ったのと同時に、姿が消える。
「ッ!皆さんは早く撤退を!ここは私が…」
「引き受ける、と?大した自信よな」
「つぅ…!」
後ろに回り込んだ少女は、鉤爪でひと裂き。
体を曲げて対応するが、背中が切り裂かれる。
「さて、そろそろ仕留めねば…ほう!」
少女が主導者を殺すために振り向く。
しかし、アリサが射撃に転じたことで、それは妨げられた。
499 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/12(日) 03:02:49.86 ID:cqrHpGTW0
アリサの頬を、冷や汗が伝う。
たった一撃を喰らっただけ。
ただそれだけなのに、力の差が分かった。
分かってしまった。
そして、アリサは思う――。
――勝てないなら、時間稼ぎだけでもしますか――。
アリサは弓で弾幕を形成し、ナイフを片手に接近する。
しかし、その弾幕を少女は左手だけで全て霧散させる。
「この程度か。昂ぶりもせぬな」
「入った」
アリサの放つ矢は、全てアリサの魔力で構築されている。
即ち、遠隔操作で魔法を発動することや、エンチャントも可能ということだ。
今回アリサが施したものは。
「む…。ちと不味いか」
僅かに、少女の動きが遅くなる。
先ほど、少女が矢を破壊した。
その時に散布された魔力で、空間に干渉、一時的に時間の流れを鈍化させる。
ほんのコンマ数秒遅くしただけだが、それで充分。
一撃を当てる余裕は生じた。
「吹き飛べッ!」
アリサは少女の腹に手を当て、魔力を圧縮、破裂させた。
ダメージはおそらく無いが、かなりの距離を離せた。
目的を果たすのなら、それだけで充分だった。
「さっさと走ってください!数秒もせずに戻ってきますよ!」
「くっ…。了解…!」
アリサの言葉を受け、全速力で駆け抜ける兵隊たち。
それを見届け、アリサは笑う――。
――これで、目的は果たしました――。
500 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/12(日) 03:03:39.57 ID:cqrHpGTW0
「クハハ…。油断したな。そうか…私には効かないと判断して、周りの空間に干渉したか」
「いい判断だ。汝はよき魔導士のようだな。だが、所詮ヒトでしかない汝ではそれまでだ」
首を一度鳴らした少女は、木々を足場に跳躍する。
「はや…があっ!」
音速を超えた蹴りが、アリサの腹部を捉える。
メキメキと骨が折れる音が聞こえ、アリサは苦痛に顔を歪める。
「ふむ…。今のは避けるべきだっただろうに」
「ゲボッ…」
内臓もやられたのか、アリサは吐血する。
「はぁ…。どうして…あなたのような方が…あんな人に…従っているんですか…」
愚問を、と少女はアリサの問いを切り捨てる。
「私は土着神でな。遠い昔に、信仰を失ってしまったのさ」
「それはもう辛かった。誰からも見られない、信じてくれない。長きに渡る孤独が、私の心を蝕んだ」
「…しかし、私を獣人と思った愚か者が来てな。奴隷として、この国に辿り着いたのさ」
「そこで逢ったのが、今の主だ。私は心底嬉しかったよ。形はどうであれ、私を信じてくれたのだからな」
「たとえ道具としてでも構わんさ。信じてくれるのなら、報いるまで。それが私たち神の在り方だ」
歪んでいる。
そんな思いがアリサの心を埋め尽くす。
だが、どんなことを思っても、何も変わらない。
「…すまんが、事情が変わった。しばし眠っているのだな」
拳を振り上げる少女の姿を最後に、アリサの意識は途絶えた。
501 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/12(日) 03:04:24.61 ID:cqrHpGTW0
カツン、カツン。
静かな部屋に、靴音が響く。
その音で、壁に繋がれたアリサは目を覚ます――。
――やはり、捕まりましたか――。
アリサは冷静に状況を把握していく――。
――腕は…千切られたのでしょうか。根本から無くなってますね――。
手足の欠損には既に慣れている。
それは、治癒魔法を使えばすぐ再生するのが原因だ。
しかし――。
――チッ、封魔の呪印が書かれてますね。これでは魔力が使えません――。
露わになっている上半身には、黒いインクのようなもので印が刻まれている。
そのせいで、アリサは魔力の操作が出来ない。
反対側の壁――ドアが取り付けられている壁だ――には、義足が立て掛けられている。
どうするべきか、思考を回転させていたアリサだが、来訪者によってそれは中断された。
「よぉ。お目覚めのようだな。アリサ」
「うわぁ…。見たくない顔を見せられて死にそうです」
「お前マジでそういう言い方やめろ。傷つくわ」
その言葉とは裏腹に、リゼルの顔は冷徹だ。
「あぁ、貴方の暗殺は失敗したよ。だが、どっちにしろお前たちはここでおしまいだ」
表情を変えぬまま、リゼルは淡々と言い放つ。
「…は?」
対するアリサの表情は、困惑に染まった。
502 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/12(日) 03:05:12.58 ID:cqrHpGTW0
「え…?終わりですか?私たちが…?」
リゼルは頷く。
「…冗談じゃありませんよ!どうしてここで終わるんですか!?」
呆れた表情のリゼルは、アリサを指差し言う。
「お前のせいだよ。お前が捕まらなきゃ、あいつだってまだ行動できた」
「これから、お前の命を条件に提案する。仲間想いの貴方のことだ。呑むに違いない」
アリサの思考が止まった。
あの時の約束を、貴方は絶対に守ろうとする――。
――私の存在が…枷になっていたのですか――。
そして、涙が零れる。
「あぁ…。あぁぁぁ…!」
主たる貴方のために、死力を尽くした。
しかし、自分の力不足が原因で、共に見た夢が、理想が、今までに築いたものが全て、消えてしまう未来が見えた。
そして今、その状況を打破しようと行動することができない自分があまりにも惨めで、流れる涙の量が増える。
「ハハハハハハ!そんなに泣くまで大切なことだったか!」
「だが、ここでお前らは終わりだよ。おとなしく諦めろ」
そう言って、リゼルは部屋を後にする。
リゼルがいなくなってなお、アリサは泣き続けた。
503 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/12(日) 03:05:46.60 ID:cqrHpGTW0
城での対談を終えたリゼルは、アリサの独房へと戻って来る。
その頃には、アリサは既に泣き止んでいた。
しかし、目尻は赤くなっている。
「ほら、さっさと壁門まで行きな。そこで待つようには言っといたから」
鎖を外し、義足と弓、ナイフを目の前にリゼルは置く。
呪印が消えたのを確認し、アリサは肉体を修復。
綺麗に生えた手で道具を取り、無言で部屋を出る。
そしてもう一度、一分間だけ泣いた。
貴方の前で泣くことがないように。
弱いアリサを見せないために。
心配されることがないように。
色々な思いを込めた涙が、床のカーペットを濡らした。
504 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/12(日) 03:06:32.59 ID:cqrHpGTW0
転移魔法の魔法陣を構築し、指定座標へと転移する。
目の前には、目尻が真っ赤になっている貴方がいた。
「…ごめんなさい。命令、果たせませんでした」
深々と頭を下げ、謝罪の意を示す。
決して、涙を流していた過去の自分を悟られてはならない。
「いや…。生きているだけで充分だ…!」
逆に、貴方が涙を流す。
それを見たアリサは、慌ててハンカチで拭う。
そして、今にも泣きだしそうな自分を押し止め、平静を装いながら答える。
「死ぬわけにはいきませんよ…。まだ、貴方と共に進まないといけませんから」
アリサは思う――。
――先ほどいっぱい泣いていて良かったです――。
それが無ければ、間違いなく一緒に泣いていたから。
505 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/12(日) 03:07:20.17 ID:cqrHpGTW0
壁外に出ると、最前列に立っているカエデがこちらを見る。
それに反応したアリサは、口を開く。
「…私を待ってたみたいですね。すみません」
「気にするな。私たちは気にしてはいない」
いつもより、声色が少し高い――。
――優しいお姉さんで助かりました。心からのありがとう、です――。
この想いは伝わっているのだろうか。
いや、きっと伝わっている。
そんな根拠のない確信をしていた。
宛てもない旅の中、各々の意志を尊重した結果、貴方とカエデ、アルヴァ、アリサ、レイス以外はメンバーから外れ、自由に生きていった。
バジルスは、そもそも軍の所有だったため、この旅には同行していなかった。
あくまで捕虜としていたのだから、当然のことではあるのだが。
心が壊れたのか、貴方はただ、毎日空を眺めてばかり。
生活費を稼ぐため、アリサとカエデが依頼をこなしたり、ダンジョンの攻略をしたりしている。
アルヴァは掃除を、レイスはストリートライブをそれぞれ行う。
506 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/12(日) 03:08:14.16 ID:cqrHpGTW0
そんな生活をしている最中、ある日の夜のこと。
アリサは、貴方と同じ布団にいた。
「…こうなってしまったのは、私の責任です。だから」
アリサは、スカートの裾に手を掛け、外す。
「…いや、選んだのは俺だ。アリサは悪くない」
貴方は距離を取る。
しかし、距離を縮めてアリサは顔を貴方の胸に押し付ける。
「…今からしようとしていること、分かりますよね」
「…分かってはいる。その上での拒絶だ」
気を遣っていると分かっていても、心にくるものがある。
「そうですか。なら、私が勝手にしますのでお気になさらず」
それでも、引き下がれない。
これは贖罪だから。
主の未来を破滅に導いてしまった、愚かな従者ができる唯一の贖罪。
甘い口付けをして、一言。
「どんな貴方でも、私は受け入れますから――」
――だから、今だけは私に夢を見させてください――。
番外編 泡沫に消えし理想 Alisa side 〜Fin〜
507 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/12(日) 03:10:05.11 ID:cqrHpGTW0
以上でアリサ編は終わりです。放浪生活の中もちょこっとだけ載せてみました。明日は今度こそ更新をします。
レイス編はもう少し待ってください…。ちょっと難産となっております…。申し訳ない…。
508 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/12(日) 07:43:12.71 ID:4xTtPSVXo
乙
509 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/12(日) 18:08:04.12 ID:O4q/2NT10
乙
主人公の決断前に大喜びして逃がすアリサに武器まで返しちゃうリゼル
独房でアリサに自決されてたらリゼルは詰んでたな
510 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/12(日) 23:01:43.58 ID:1LspvTdx0
>>509
、約束しているから自決は無理ですね…。いつの間にかリゼルが知将に。どうしてこうなった。
今から再開していきます。ダイス機能ってこの板にはないですよね?あったらカジノとかがやりやすいんですが…。
511 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/12(日) 23:48:55.03 ID:1LspvTdx0
貴女は、二人の目を見つめる。
どうなっても後悔しない、とでも言いたそうなリーシュと、気にしていない風のセフィ。
かつて、渓谷で貴女が言ったことを思い出す。
「…命を見捨てない…。それが私にできること…」
そして、貴女は二人に向けて言う。
「私は命を見捨てません。だから、あなた達を助けます」
「いいんですか?その結果、あなたが犯罪者になったり殺されたりしても」
「それでも、見捨てることだけはできません――」
――私も、あの人に救われたから――。
真っ直ぐな貴女の目をじっと見つめるセフィ。
やがて、根負けしたように手を挙げる。
「やれやれ。では、おとなしく助けられますかね」
「ありがとう…!一生あんたについて行くよ…!」
「あ…あはは…」
そのやり取りを見たグラウスは微笑み、貴女のエウルスを二人に投げ渡す。
「ほれ、さっさと契約を解除しな。そうすりゃ、お前さんたちも自由に動けるだろ」
「契約…?」
「…あぁ。嬢ちゃんには言ってなかったか。奴隷は皆、魔法で契約をしてるんだよ」
簡単に逃げられないようにな、とグラウスは言う。
二人をよく見れば左の鎖骨付近に刻印のようなものがある。
これが契約の証なのだろうか。
「…恥ですよ。天使たる私がこのような契約をしたなど…」
「まぁいいんじゃない?どうせおさらばだし」
「それでもです…。これでは天界に帰った時にどう茶化されるか…」
二人はエウルスを手に持つ。
すると、刻印は徐々に霧散して、元の柔肌が姿を現す。
「これは…。あの祭壇に祀られていた聖盾エウルス。よくアッティラを始末できましたね」
「冗談じゃねぇよ…。あんな化け物とは二度と戦いたくないわ…」
「残念。この世界が存在する限り、どこかにはいますよ」
「………」
口を開けたままグラウスは硬直するが、すぐに話を戻す。
「っと。早く逃げないと追手が来るぞ」
「どう逃げんの?」
先ほどとは違い、冷静に問うリーシュ。
それに対し、グラウスは指を二本立てる。
「旅の扉を使うか、近くの町に逃げるか。さあお選びください」
「軽くねぇかな。あんた」
「グラウスさんはこういう人だから…」
呆れた顔でグラウスを見るリーシュ。
貴女は胃痛でお腹を押さえる。
512 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/12(日) 23:50:43.74 ID:1LspvTdx0
↓2に、どちらのルートを取るかをお願いします。危険な方は旅の扉ルートですが、現在の貴女一行だと過剰戦力なので余裕でしょう。
513 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/12(日) 23:55:23.65 ID:6jTGA4Fjo
旅の扉ルート
514 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/12(日) 23:56:05.39 ID:8/NLwr8DO
じゃあ旅の扉の方で
515 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/13(月) 00:24:01.33 ID:UQ/nAM3K0
「遠くに逃げるのなら旅の扉を介した方がいいでしょう」
「近くの町に逃げても、情報が行けば駄目ですし」
「へ?」
「じゃあそっちで」
「…マジかよ」
グラウスの表情がどんどん険しくなり、汗が流れてくる。
「…あの道、夜は危険な魔物がいるって…」
「…ああ。ベヒーモスだ」
聞いたことがない魔物の名前を出され、リーシュと貴女は首を傾げる。
「光を嫌う『混沌の獣』。夜の世界を徘徊し、命を食む犬っころですよ」
「犬っころって…。お前なぁ…」
「あんなの雑魚じゃないですか」
「えぇ…」
正反対の反応をする二人がおかしくて、リーシュと貴女は笑ってしまう。
「…早く移動しませんか?」
「あ、ああ。しっかりついてこいよ!」
「っし。体が軽くなったおかげで楽に動ける」
「み、皆速いよぉ…」
この中で最も遅い貴女は距離を離されていく。
それでも、貴女は充分なほど速いのだが。
「大丈夫?あたしがおんぶしてあげようか?」
「え?…あぅ…。お願いします…」
「ん」
軽く返事をしたリーシュは、貴女を片手で背中に乗せる。
そして、リーシュは音を超え、町を駆け抜けた。
516 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/13(月) 00:43:54.49 ID:UQ/nAM3K0
「ふぅ…。ここからが正念場だ…」
旅の扉の設置場所、湖の近くに逃げてきた貴女たち。
予め双剣を手に持つグラウスと、光を片手に集めるセフィ。
貴女は月切とエウルスを構え、リーシュは何もせず、後ろを歩く。
「おや、リーシュは素手ですか」
「武器を買う金なんか無かったからさ。あたしとしてはこれが一番しっくりくる」
拳を握りしめるリーシュは、周りの様子を確認する。
「ん…。なんか大きな奴がいるな」
「じゃあそれがベヒーモスだな」
「さて、どうでしょう」
各々の発言が噛み合っていない。
いったいどれが正しいのか。
貴女では判別がつかない。
「あ、気付いた」
湖の畔に辿り着いた時に、リーシュが呟く。
すかさず、全員が同じ方向を向いた。
迫りくる地響き。
薙ぎ倒される木々の音。
その正体は。
「ガォォォォォォアァ!」
全身が白い、猛々しい獣。
「ね。言ったでしょう」
「…ナラシンハかよォォォォ!?」
白目を剥くグラウスと、優雅に浮かぶセフィ。
「あーもう!ふざけてないでとっとと仕留めるぞ!」
「お…大きい…」
巨大なる獣の剛腕が、一行に迫る。
517 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/13(月) 00:47:19.55 ID:UQ/nAM3K0
直下コンマ判定 0が二人いるため判定強化&勝利条件緩和 二回成功で勝利
1(補正値なし):ファンブル
2、3:失敗
4〜6:成功
7、8:クリティカル
9、0:特殊判定
518 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/13(月) 00:48:05.56 ID:8hVqiSRDO
は
519 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/13(月) 00:58:34.65 ID:Gn7qPqIN0
りーシュが素手なのは「耐えられる武器を」買う金が無かったからなのではなかろうか
520 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/13(月) 01:07:52.58 ID:UQ/nAM3K0
「おらァ!」
ナラシンハの剛腕を、右足一つでリーシュは蹴り返す。
「天使の力、その身に刻みなさい」
よろけたナラシンハに、セフィは光の柱を大量に突き刺す。
そして、セフィは一振りの剣を掌に作り出す。
「救済の光よ。形となりて魔を裂け」
振り下ろした剣から、大きな衝撃波が放たれる。
大きい、というレベルではない。
その衝撃波は、海を割ったのだ。
「おや、避けましたか」
柱を折り、横に跳ぶことで回避するナラシンハ。
危機を感じたのか、後ろ足で立ち、前足で角を抜く。
角は剣と化し、肉体は修復される。
更に、その肉体は肥大して力を増す。
「仕切り直し、というわけではありませんか」
「どうでもいいさ。潰せば終わるんだから」
「同感です」
二人の出す気迫に気圧されるナラシンハ。
「…なぁ嬢ちゃん」
「はい…」
「なんで二人は捕まってたんだろうな…」
「酔っぱらってたんじゃないですか」
「かなぁ…」
格の違いを見せつけられた二人の心は、ポッキリと折れていた。
521 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/13(月) 01:09:01.78 ID:UQ/nAM3K0
直下コンマ判定
1(補正値なし):ファンブル
2、3:失敗
4〜6:成功
7、8:クリティカル
9、0:特殊判定
522 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/13(月) 01:18:48.07 ID:Gn7qPqIN0
?
523 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/13(月) 01:39:43.69 ID:UQ/nAM3K0
「フッ」
ナラシンハの横薙ぎを、上から叩き付けることでリーシュはやり過ごす。
その一撃で、ナラシンハの剣は折れてしまう。
「そんな武器じゃ無理だよ」
リーシュは空中でクルリ、と一回転し、剣の破片を足場にナラシンハの腹部に突撃する。
「ゴガァァァ…!」
空に弾かれたナラシンハ。
その上から、翼を煌かせるセフィが無数の光弾を放つ。
「全身穴だらけにしてあげますよ」
光弾は吸い込まれるようにナラシンハに降り注ぎ、全身を穿つ。
そして、塵すらも残すことなく、ナラシンハはこの世を去った。
「おいセフィ。消えてるじゃんか」
「うーん。半分くらいで良かったですかね」
大穴が空いた地面を見ながら、セフィは呟く。
「確信したわ。コイツラが喧嘩したら世界がヤバい」
おそらく、今の戦闘でも全く本気を出していない。
本気を出した時、この世界がマトモな形を保っていられるか。
真面目に心配になったグラウスだった。
「おーい。旅の扉とかいうのを使うんでしょ?」
「…今の戦闘の余波で潰れたんじゃね?」
「いいえ。未だ健在ですよ。天使の私が言うのだから間違いない」
「それに先ほどのあなたの言っていたことは間違っていましたし」
「それをほじくんなチクショウ!」
「………」
貴女は、先ほどの戦闘を見て気絶していた。
なお、旅の扉は機能していたので、一行は普通に戻って来た。
524 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/13(月) 01:43:24.09 ID:UQ/nAM3K0
>>519
、リーシュゴリラ説が浮上してきましたね…。
直下に、これからの行動、若しくは、目的地をお願いします。
本日の更新はこれで終了となります。次回は木曜日を予定しております。間に合えばレイス編も同時投下予定です。お疲れ様でした。
525 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/13(月) 01:50:08.63 ID:Gn7qPqIN0
乙乙
クレゾンヌの森の方角途中にある町
食料の補給
リゼルは知将と呼べる配下が多数居ないと不自然な設定ではあった
526 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/13(月) 06:52:22.62 ID:8hVqiSRDO
乙
527 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/13(月) 07:01:51.33 ID:+6uoFwsAo
乙です
528 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/17(金) 00:42:46.21 ID:m0MDDdui0
すみません。今日の本編更新は無理そうです…。レイス編は完成しましたので、そちらを投下します。
来週の木曜日なら再開できるかと思います。申し訳ございません…。
529 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/17(金) 00:44:28.69 ID:m0MDDdui0
番外編 すれ違う二人
ハイランディアを後にして2年。
アーバンとの約束は、ハイランディアが滅んだことでお釈迦になり、今もなお、各地を転々としている。
これから綴られるのは、その中で立ち寄った港町『ホルム』での出来事。
「んぅ…。もう朝かぁ…」
12歳を迎え成長したレイス。
その海のように蒼い髪は腰まで届き、下半身のヒレの鱗も鮮やかに色づいている。
リビングに向かうと、温められたミルクが机の上に置いてある。
既に探索に向かったカエデが用意したものだ。
少しずつ、喉を温めるように口にしていく。
歌は喉が命、素晴らしい歌は、完璧に管理された喉から出るもの。
「…かいぬしはまだ寝てるのか。堕落しすぎだよ」
閉められたドアを見ながら呟くレイス。
その目には、憐憫の色が表れていた。
「はぁ…。ご飯だけでも作ってあげておくかな」
アリサ謹製の椅子に上り、野菜を切り刻む。
次に、それをフライパンに放り込み、油を投入して炒めていく。
サッと炒めた野菜に、塩を軽くまぶして皿に乗せる。
今のレイスにはこれが限界だが、本人は満足気だ。
「…ふん。別にかいぬしの為じゃないし。お姉ちゃんたちが悲しむのが嫌なだけだし」
そう自分に言い聞かせながら、レイスは机に皿を置いて家を出た。
530 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/17(金) 00:48:33.53 ID:m0MDDdui0
「〜〜〜♪」
レイスが一言紡げば、歓声が上がる。
二言紡げば、涙を流す。
三言紡げば――。
――ああ、もう俺死んでもいいや――。
――ワイの命と金はレイスたんのためにあったんや――。
――Leithhhhhhhh!saikoooooooooo!――。
――レイスちゃん可愛い…可愛くない…――?
――人々が崇める。
彼女の歌の魔力は、人の心を魅了した。
「ありがとうございましたっ!」
アリサ直伝のお辞儀で、ストリートライブは締めくくられる。
途中から見ていたカエデに抱きかかえられ、帰路につく。
その間に、レイスは不安を零していた。
「…かいぬし、いつまで落ち込んでるんだろ…」
曲がりなりにも貴方が主人であることを、レイスは理解している。
それが未だに塞ぎ込んでいるのが、レイスにとっても気掛かりだった。
「分からんな。だが、原因は私にあるだろう」
「スジャータ嬢を守り切れなかった私にな」
そう言ってカエデは拳を握りしめる。
「………」
レイスは何も言えなかった。
家族を喪う痛みを、レイスは理解している。
だから、貴方がそれに苛まれているのも理解できる。
だからこそ、何も言えなかった。
今更、何度も蔑んできた自分が、どのような顔をすればいいのか。
それが分からなかったから。
「…レイス、お前は私のようになるなよ」
「…お姉ちゃんは悪くない」
レイスは思ったことを言う――。
――悪いのは、この世界なんだから――。
531 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/17(金) 00:49:57.24 ID:m0MDDdui0
家に戻ると、アリサとアルヴァが洗濯、貴方が調理を行っていた。
「ん…。ああ、カエデとレイスか。お疲れ様…」
貴方の目の周りには、濃ゆい隈が。
本人は語っていないが、その原因は嘗ての悪夢。
守るべきものを目の前で喪った、あの瞬間。
「かいぬしはもう寝て。いても寧ろ邪魔だから」
フライパンから手を離し、水を取りに行った隙に、貴方の背中を押す。
しかし、貴方は頑なに動かなかった。
「これくらいはどうってことはないさ…」
「寝てって!」
珍しく大声を出したレイスに驚き、貴方は硬直する。
「お姉ちゃん、お願い」
「任されました」
その間に、アリサが手刀を当てて気絶させた。
532 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/17(金) 00:52:00.08 ID:m0MDDdui0
その日の夜、レイスは一人、リビングに佇んでいた。
「かいぬしが悪い人じゃないってのは、分かってるはずなのに…」
嘗て母を殺めた男の顔がフラッシュバックする。
男を見るだけ、ただそれだけで。
「…いや、きっと私がそう思ってるんだ。どこかで悪い人だって。男は皆そうなんだって…」
「ひゃっ!?」
唐突に開かれたドアの音に驚く。
「…あれ、レイスちゃん」
「アルヴァお姉ちゃん…」
「わわっ!どうしたの?」
アルヴァを見たレイスは、堪らず抱き着く。
そして、その思いをアルヴァに向けて吐き出した。
「なるほどねぇ…。ご主人様が悪者に見えちゃう…か」
こくん、と頷くレイス。
その目は、答えが分からなくて揺れていた。
「…まずは、ご主人様のことを知るべきだと思うな」
「ご主人様も辛い思いをしてるから。それを知れば、変わるはずだよ」
いつになく、はっきりと断言するアルヴァ。
貴方が絡むといつもこうなっている気がする。
「…うん。そうしてみる」
昔、レステルにいた時に聞こうと思って聞けなかったこと。
それを、今度こそ――。
533 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/17(金) 00:52:41.49 ID:m0MDDdui0
目が覚めた貴方は、頭を抱える。
「…また、あの時の記憶か」
嫌気が指すほど見せられた光景。
スジャータに庇われ、スジャータの胸が穿たれるあの光景。
それは、今もなお心を蝕んでいた。
コンコンコン、と響く丁寧なノックの音。
「鍵は開いてる…。入っていいぞ…」
開かれた扉から見えるのは、蒼い長髪。
そう、レイスだった。
「…かいぬし、少しだけいい?」
「ああ。レイスこそ、ライブはいいのか?」
「今日は夕方からだから」
レイスはそう言って、貴方の膝に座り込む。
「…大丈夫か?熱でも出てるんじゃ…」
「何それ。偶にはいいでしょ」
「それより、かいぬしのことを知りたいの。聞かせて」
遠慮がちに頷いた貴方は、ぽつり、ぽつり、と口を開く。
534 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/17(金) 00:53:56.29 ID:m0MDDdui0
「…そっか…。お父さんの望みだったんだ…。奴隷解放は」
「もう叶わないがな…」
貴方は目を伏せる。
その目はどこか虚ろだ。
「…だけど、無駄じゃなかったでしょ」
「かいぬしがその望みを叶えようとして、お姉ちゃんたちも、わ…私も救われたんだから…」
「か…感謝だってちょっとだけしてなくもないんだからね…!」
素直にありがとう、と言えない自分を恨めしく思いながらも、思いを伝えるレイス。
それを見た貴方は、少しだけ柔らかい表情になった。
「感謝…か。寧ろ、こっちがする方だよ」
「こんな俺に付いてきてくれて、一緒にいてくれて、本当にありがとう」
「これでも、一応奴隷なんだから当然じゃない!ふん」
そっぽを向くレイスの頭を、貴方は撫でる。
いつもと態度は変わらないかもしれない。
しかし、その心は確かに、貴方と、皆と共に。
番外編 すれ違う二人 〜Fin〜
535 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/17(金) 01:06:02.91 ID:m0MDDdui0
これでレイス編は終了となります。気になるレスがあったら、文章に起こして投下するかもしれません。
>>525
、現在位置はギュンデームから復路を少し進んで、それから山沿いの旅の扉に向けて移動した感じです。
従って、目的地は自動的にギュンデームとなりますが、それ以外でも比較的近い位置に街があります(ギュンデームよりも奥)。
直下に、ギュンデームを目指すならその旨を、別の街を目指すなら街の特徴と名前をお願いします。お疲れ様でした。
536 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/17(金) 07:31:33.58 ID:TIjpKQ3co
乙
ギュンデームを目指す
537 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/24(金) 01:25:24.58 ID:onvVYn/a0
遅くなってしまいましたが、今から少しだけ再開します。安価を出すところまでは書き溜めていますので、少々お待ちください。
また、ちょこちょこ出ている魔物の名前は、FF13-2に出てくる魔物と同一のものとなっております。(ロングィやナラシンハ、アッティラなど)
538 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/24(金) 01:26:42.55 ID:onvVYn/a0
旅の扉を利用して、ギュンデーム付近に戻ってきた貴女一行は、食料補給のためにギュンデームへと戻る。
既に瓦礫は撤去され、修理に勤しむ人たちでいっぱいになっている。
「そっちの木材は宿屋の天井用だぞ!何?トタンをもう張った?このバカ野郎!」
そう言って飛び膝蹴りをかますデコが光る青年。
触れてはいけないものと判断した一行は、それを無視して広場に荷物を置く。
「んーと。リーシュは嬢ちゃんを見ておいて、セフィは俺と買い物だ」
「分かった」
「天使にそんなのさせるんですか?」
グラウスは笑顔でエウルスを手に持つ。
「…仕方ないですね」
セフィは渋々グラウスに同行する。
「ん…。…あれ?ギュンデーム?」
「おっ。目が覚めたかい」
膝枕をされていた貴女は、目をパチクリさせている。
「あのバカ二人は買い物に行ったからさ。あんたもゆっくりしてな」
「あ、はい」
不思議と、彼女の言うことを聞いてしまう貴女。
その理由が何なのか思案するが、正体は分からない――。
――でも、リーシュさんの膝枕。あったかいなぁ――。
貴女はその暖かさに身を委ね、目を閉じた。
539 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/24(金) 01:27:16.93 ID:onvVYn/a0
「重い…。これ持ってくださいよ」
「無理だ。俺だって重いんだから」
そう言う二人の手には何もなく、その周りに食料が浮いている。
「一々浮かすのも面倒なんですよ」
「………」
「あの、本当にやめてください。ちょっと心折れそうなんです」
エウルスを見せるたびに、セフィの表情が固まる。
余程屈辱的なものだったのだろう。
「あなた…。悪魔よりも悪魔してますよ」
「バカ言え。人も天使も、そして悪魔も、皆性格は違う」
「天使みたいに優しい悪魔もいれば、悪魔みたいな天使もいる」
否定はしません、とセフィは返す。
「ですが、悪魔は悪魔。それは変わらない事実です」
「だから、私は全ての悪魔を滅します」
強い意志を持った目で、グラウスを見つめるセフィ。
「…滅する…ね。嫌な記憶だよ。マジで」
――昔の俺みたいだな。セフィは――。
生き写しのようなセフィを見て、グラウスの表情は少しだけ暗くなる。
「…ん。なんで伝書鳩が俺の肩に」
突然肩に停まった伝書鳩。
その足には、一枚の紙が。
540 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/24(金) 01:27:51.41 ID:onvVYn/a0
「どれどれ…」
開かれた紙には、こう記されている。
―――――――――――――――
親愛なる我が夫へ
旅は順調に進んでいるのなら、俺も喜ばしい。
進む場所を見失った時は、一度空を眺めるのもいいと思うぞ。
結構、そうしたら次にすることが見つかるものだ。
適当に進む、というのもいいかもしれないがな。
誰よりもお前を愛す妻より
―――――――――――――――
紙の端には、血判が一つ押されている。
「ハハ…。ハニーからの手紙だったわけか」
「アツアツですね。文の意味が少々おかしいですが」
「ぶっ飛ばすぞオラ」
そう言いながら、血判に指を当てるグラウス。
血が淡い光を帯びると同時に、グラウスの表情が険しくなる。
「…悪い。用事ができちまった。お前さんたちは好きに行動してくれ」
「…はい?」
「加速帯形成完了。方向修正良し。目標地点への最短到達ルート確認」
――跳べ。音を、世界すらも置き去りにして――。
そして、グラウスは雷を纏って空を駆けた。
「…荷物、増えたじゃないですか」
くすねておいた紙を折り畳みながら、セフィは呟く。
「視たところ、目的地は奴隷大国の首都みたいですね」
――はてさて、そこに何があるのやら――。
セフィは、心底愉しそうな笑みを浮かべると同時に、地面に落ちている荷物とエウルスを浮遊させて、貴女たちのところへ戻る。
広場には、気持ちよさそうに眠る貴女と、貴女の頭を優しくなでるリーシュの姿があった。
541 :
◆rOVqyGu.Qw
[saga]:2017/11/24(金) 01:29:37.66 ID:onvVYn/a0
直下に、これからどうするかをお書きください。グラウスが離脱したこと以外は、変化は生じておりません。
短いですが、今回はこれで終了となります。次回予定している日は金曜日…今日です。お疲れ様でした。
542 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/24(金) 02:20:28.00 ID:6jOAPd8q0
乙
ギュンデームの復興支援のために魔物の残党狩り
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