貴方「奴隷たちに救済を」【安価スレ】【2スレ目】

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416 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/28(土) 21:06:00.10 ID:WCsa2yWM0
クレゾンヌの森へと続く渓谷が、眼前に広がる。

同時に、グラウスは違和感を感じた――。

――前来た時はここまで抉れてなかったぞ――。

そこら中の崖に、鎌で抉り取ったような跡が残っている。

グラウスが手で触れると、掌全体に粘液が付く。

「…少し前にここを通ったのか。音とかはしなかったがな」

注意を払って辺りを見回すと、小さな血痕が散見される。

「嬢ちゃん、感覚強化魔法で周りの音を聴いてくれ」

一つの可能性が出てきたので、それが真実かを確かめる。

分かりました、と返事をし、貴女は耳に魔力を集中させる。

数秒後、微かな呻き声が貴女の耳に聞こえてくる。

「誰か怪我してます!」

「待て」

走ろうとした貴女を、グラウスは肩を掴んで制止する。

「どうしてっ…」

「ここにいるってことは間違いなく盗賊どもだ」

「ッ!?」

グラウスの声が、目が、冷えていた。

「まずはその目で確認しろ。それから考えるんだ」

そう言うと、いつもの表情に戻る。

「考えた上で助けるのなら止めないさ。旅の主役は嬢ちゃんだしな」

グラウスの言葉を頭で反芻させ、貴女は前に進む。

50mほど進むと、崖に寄りかかっている集団がいた。

集団の近くには、手足が何本か落ちており、彼らのものだと判断できた。

いずれも大怪我をしており、処置をしなければ危険な状態だ。

「そこの旅人方…。俺たちに慈悲をください…」

「ギュンデームを襲おうとしてる奴らを助ける義理があんのか?」

「なっ…!?」

グラウスの声がまた冷える。

目的が一瞬でバレてしまったからなのか、目を白黒させている。

「やっぱり盗賊か。まぁ、助けをギュンデームまで呼びに行ってない時点で黒だわな」

「嬢ちゃんは助けるのか?このクズどもを」

貴女は、眼前で息絶え絶えの盗賊たちを見やる。

誰もが、救いを求めるような目でこちらを見ている。

貴女が選んだものは――。
417 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/28(土) 21:06:49.13 ID:WCsa2yWM0
直下に、盗賊たちを助けるかどうかをお願いします。
418 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/28(土) 21:09:57.07 ID:Cy8uUuXIo
届け出る義務はないかな
419 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/28(土) 21:19:55.44 ID:FrWYpV1Jo
助ける
420 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/28(土) 22:09:12.10 ID:WCsa2yWM0
貴女は、無言で傷口を修復していく。

昨日の治療で慣れたのか、ものの数分で処置を終える。

呆気に取られている盗賊を無視して、貴女は歩いていく。

「…行きましょう。グラウスさん」

「りょーかい」

「おい!あんたら!」

何事もなかったかのように歩いていく貴女たちを盗賊の一人が呼び止める。

「あの蛇を殺すつもりならやめとけ!人間が勝てる相手じゃねぇんだ!」

その言葉を聞いても、歩くスピードは変わらない。

ギュンデームの人たちのためにも、倒さなければならないから。

今の自分の行いが、ギュンデームにとっていいことではないと、心のどこかで理解していながらも。

「優しいねぇ。嬢ちゃんは。俺なら殺してたよ」

不意に、グラウスが口を開いた。

「…確かに、私のしたことは間違いかもしれません」

「…だけど、命を見捨てることだけはしたくないんです…」

大切な人を喪う辛さは知っている。

彼らにとって、仲間は大切な人のはずだ。

同じような辛さを経験させたくなかったから。

だから、助けた。

「…正しい選択とか、間違ってる選択とか、そんなのは無いんだ」

「自分が正しいと思ったことをすりゃあいい。それが、きっと一番正しい選択のはずだから、さ」

グラウスの言葉が嬉しかった。

自分のやったことが間違いじゃない、と言ってくれたから。

慰めだとしても、その言葉を掛けてくれたことが何よりも嬉しかった。
421 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/28(土) 22:34:17.90 ID:WCsa2yWM0
渓谷を抜け、クレゾンヌの森に到達したが、酷い有様だった。

地面は抉れ、樹はへし折れている。

この地に棲んでいたものだろうか。

無数の魔物が押し潰されて、凄惨な光景を見せていた。

えずきそうになる貴女を背負い、グラウスは素早く駆け抜けていく――。

――ここを越えたら、間違いなく攻撃してくる――。

深く入り込むにつれて増していく瘴気を忌々しく思いながら、グラウスは槍を呼び出す。

グラウスの予想通り、開けた場所に出たと同時に、鋭い牙が地面を喰らう。

「っと。あっぶねぇ」

バックステップで回避し、貴女を下ろす。

そして、優しい声色でアドバイスをする。

「背中に乗るのが一番だが、嬢ちゃんは無理しなくていいよ」

「エウルスは絶対に離さず、『ダイボロス』のブレスはしっかり受け止めるんだ」

グラウスは、槍を手で回転させながら言う。

「そうすりゃあ、あとはおじさんが終わらせるからさ!」

『ダイボロス』が吼える。

それを合図に、グラウスは槍を構えて突進する。

今、戦いの火蓋が切って落とされた。
422 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/28(土) 22:43:01.45 ID:WCsa2yWM0
直下コンマ判定 三回成功で終了です。

1(補正値なし):ファンブル
1〜4:失敗
5〜8:成功
9:クリティカル
0:特殊判定
423 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/28(土) 22:44:08.33 ID:LyE8oOvDO
424 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/28(土) 22:48:11.55 ID:WCsa2yWM0
あ、ごめんなさい…。補正入れるの忘れてました。再判定です。

直下コンマ判定 

1(補正値なし):ファンブル
1〜4:失敗
5〜8:成功
9:クリティカル
0:特殊判定

聖職者:+1 無慈悲なる■■■■:+1
425 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/28(土) 22:49:38.76 ID:LyE8oOvDO
426 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/28(土) 22:50:11.65 ID:RgLPSYXiO
はい
427 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/28(土) 23:34:09.84 ID:WCsa2yWM0
『ダイボロス』は、その大きな尻尾を振り回す。

「そぉらっ」

しかし、それは容易く往なされる。

槍を斜めに持ち、受け流す。

足まで攻撃を逸らしたら、そのまま地面を蹴って回転し、槍を投擲する。

槍は、払い除けようとした尻尾に刺さり、淡い光を纏う。

「戻ってきな」

クルリと一回転し、尻尾を切断して持ち主の元に戻る。

グラウスは槍と杖を取り換え、先端を『ダイボロス』に向け詠唱を始める。

「雷よ、我が杖に集え」

「そして、敵の身を穿ち、骸と変えよ」

詠唱を終えると同時に杖から放たれる、極大の雷槍。

危機を察知した『ダイボロス』は、口からビームの如きブレスを吐く。

しかし、そのブレスでも、軌道を逸らすだけに止まり、『ダイボロス』の側面を抉り取る。

「チッ、魔力の干渉が厄介だな」

グラウスは杖の先端を構え、『ラグナロク』の準備をする。

魔力の増幅に反応し、『ダイボロス』は『ラグナロク』ごとグラウスを捕食しようとする。

「待ってました!」

大地を抉り、『ダイボロス』は『ラグナロク』を飲み込んだ。

そう、『ラグナロク』だけ″を。

グラウスは尻尾の切断面に瞬間移動し、再度呼び出した槍で滅多刺しにする。

「俺は転送魔法は使えなくてな。魔力でマーキングして飛ぶしかねぇんだ」

あの時の淡い光は、遠隔操作に起因したものではなかった。

この時のための、下準備に過ぎなかったのだ。

「俺ばかりを見ちゃいけねぇぞ」

こちらを睨む『ダイボロス』に向けて、一言だけ放つグラウス――。

――嬢ちゃんだって、結構強いんだぜ――?

自分への警戒が無くなったと同時に、貴女は『ダイボロス』の背中を目指して走っていた。
428 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/28(土) 23:35:42.90 ID:WCsa2yWM0
直下コンマ判定 

1(補正値なし):ファンブル
1〜4:失敗
5〜8:成功
9:クリティカル
0:特殊判定

聖職者:+1 無慈悲なる■■■■:+1
429 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/28(土) 23:37:57.68 ID:Cy8uUuXIo
430 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/29(日) 00:06:23.26 ID:n99KJqTh0
「『月切』!」

グラウスが言っていた通りに、念じて『月切』を振るう。

すると、3mはくだらない大きさの魔力刃が、『ダイボロス』の背中付近の鱗を斬り飛ばす。

直感で、『ダイボロス』は振り向いてブレスを吐く。

だが、『エウルス』の魔力反射によってそれは弾かれ、開いたままの口に逆流する。

内臓が焼かれ、巨体が揺らぐ。

無防備になった隙に、貴女は背中に飛び乗り、『月切』を突き刺す。

そして、もう一度念じ、一直線に魔力刃を撃ち出す。

魔力刃で貫かれた衝撃で、『ダイボロス』の首が大きく上を向く。

首の下に潜り込むグラウスは、槍に魔力を纏わせ、大きな刃を形成していた――。

――言ったろ?強いってさ――。

そして、無慈悲に首を斬り落とした。

「流石だ嬢ちゃん。俺が戦う必要は無かったかねぇ」

吹き出す血を浴びながら、グラウスは言う。

グラウスが驚いたのは、貴女が動いたことだ。

自分一人で終わらせると言っていたのに、注意が逸れた瞬間にアクションを起こした。

その判断力の高さが、一番驚くところだった――。

――動くと分かってた風に言ってた俺もアレなんだろうが――。

心の中でそう吐き捨て、武器を戻す。

数拍空けて、慌てて貴女は否定する。

「グ、グラウスさんがいなかったら勝てませんでしたよぉ…!」

実際、貴女一人で勝てる相手ではなかっただろう。

「でも…。私でもちゃんとできるって実感できました。今までの頑張りは…無駄じゃなかった…!」

元々実戦経験は皆無で、今回だって、グラウスが作り出した隙を突いただけだ。

しかし、強敵を相手に、それを成し遂げた時点で弱くはない。

グラウスとの特訓が実を結んだ、と実感できた貴女だった。
431 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/29(日) 00:33:19.08 ID:n99KJqTh0
討伐を終え、『ギュンデーム』へと戻った貴女は、グラウスに疑問を投げかける。

「魔獣、全然いませんでしたね」

その言葉に対し、グラウスは首を傾げる。

「いなかった?御冗談を」

「入口で大勢死んでた奴らだよ。魔獣は」

「え?」

「外来種である『ダイボロス』をやっつけるために、魔獣が増えた」

「だけど、見事返り討ちに遭って全滅した」

そんな感じさ、と笑いながら言うグラウス。

貴女は、困惑するしかなかった。

グラウスは一つの疑問を抱えていた――。

――どうして、盗賊が町の修理を手伝ってるんだ――?

「あ!旅人の方じゃないか!生きてたんだな!」

あの時忠告をしてきた人が近寄ってくる。

「そりゃ殺したからな。で、お前さんたちがなんでいんの?」

殺した、という単語を聞いて驚く盗賊だが、すぐ元の表情に戻り、頭を下げる。

「仇を討ってくれたんだな…。ありがとう…!」

お前さんたちのためじゃねぇよ、とそっぽを向いて頬を掻くグラウス。

それに対して、貴女はまた疑問を投げかける。

「あなたたちはなんでここにいるんですか?」

盗賊が突然黙った。

そして、頭を数回掻いた後、ようやく口を開く。

「…あんたに助けられてさ、皆で考えたんだ」

「悪人である俺たちを助けてくれたのに、俺たちが盗みをしたら、それこそ恩を仇で返すことになっちまう」

「俺らは傭兵くずれと魔術師ばっかりだが、助けられた後に盗みを働けるほどできた人間じゃない」

「償いにはならないとは理解してる。だけど、やるって決めたからにはやり通さないとな」

そう言う盗賊の顔は、清々しかった。

「まぁ、復興が終わったら出頭するよ。盗賊稼業もこれでおさらばだ」

「そう…ですか…」

自分の行いで、他の人が変わった。

それが嬉しくもあり、怖くもあった――。

――こんな簡単に、人って変わっちゃうんだ――。
432 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/29(日) 00:36:51.93 ID:n99KJqTh0
直下に、恩人についての情報を聞くかをお願いします。
433 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/29(日) 00:42:55.23 ID:8zVtPinpo
聞く
相手はアーバンのおじいちゃん?
434 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/29(日) 00:44:31.02 ID:n99KJqTh0
>>433、色々な人に聞きますよ。指定があれば、その人に聞きます。

直下コンマが7以上で、情報を入手できます。
435 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/29(日) 00:48:16.01 ID:8zVtPinpo
436 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/29(日) 01:03:26.02 ID:n99KJqTh0
修繕に戻った盗賊を見送り、屋敷へと向かう。

グラウスは、近くのベンチで昼寝をしている。

怪我人がいなくなったので、診療所は撤去され、食料配給所が拡大されていた。

そこで、一仕事を終えて背伸びをしているメイドに声を掛ける。

「あ…あの…。すいません…」

「どうしました?食料が必要なのでしょうか?」

「い、いえ!ちょっと聞きたいことがあって…」

貴女は、恩人のことを伝えた。

と言っても、翡翠色の眼をして、炎を操ること以外は知らないのだが。

ふむ、とメイドは顎に手を当て思考する。

だが、帰って来た答えは非情だった。

「申し訳ございません。翡翠色の眼をした方が多くて判別できません」

「あっ…そうですよね…。すいません…」

貴女とメイドは深々と頭を下げ、貴女はその場を離れる。

考えてみれば、情報が少なすぎて恩人だと断定することが不可能だ。

もっと人が多いところで聞けば、あるいは。

そう思った貴女は、グラウスの元に戻る。

「んぁ…。ふぁ〜あ…。ダメだったみたいだな」

「あうぅ…」

待っていたかのように起きたグラウスに、失敗を言い当てられる。

「まぁ、こんな辺鄙なところに来るわけないか」

グラウスは地図を呼び出し、目を通す。

「さてさて、次はどこに行きましょうかね」
437 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/29(日) 01:10:47.85 ID:n99KJqTh0
↓2に次の目的地の特徴と名称をお願いします。
438 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/29(日) 01:37:12.08 ID:8zVtPinpo
ステラ家が人材を派遣している事故の多い鉱山
439 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/29(日) 01:53:30.33 ID:n99KJqTh0
時間が遅くなってまいりましたので、本日の更新はこれで終了にします。次回更新は来週の土曜日の予定です。

安価を踏んでいる場合はずらします。皆さん、お疲れ様でした。
440 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/29(日) 08:12:43.13 ID:4KwuQbeUo
交流や物流の拠点となっている港町 ホルム
441 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/29(日) 08:24:20.13 ID:m0RLnyXDO
乙でした
次の更新待ってます
442 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/29(日) 11:46:37.36 ID:8zVtPinpo

>>――こんな簡単に、人って変わっちゃうんだ――。
恩人悪いことしてるフラグ?
443 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/11/04(土) 20:03:19.84 ID:HZRPHbBl0
>>442、恩人が悪いことをしている、と言い切ることはできません。理由は本編内で触れられたらいいのですが…。

異世界スマホを見て精神が摩耗している>>1ですが、今から再開していきます。直下コンマでホルムまでの距離を判定します。
444 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/04(土) 20:06:45.36 ID:8UMsQ72DO
待ってました
445 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/11/04(土) 20:33:42.84 ID:HZRPHbBl0
グラウスは数分地図を眺めるが、地図を置くと同時に頭を抱える。

「ふーむ…。この大陸から出るべきかねぇ…」

そう呟いたグラウスは、地図を人差し指で数回叩く。

「わっ!」

突然、地図に描かれていた大陸に複数の蒼い光が浮き出たのだ。

貴女が驚いたのを気にすることもなく、グラウスは独り言を呟いている。

「こっちは…ダメだな。ロングィ相手は正直しんどい。…仕方ない。ホルムを目指すか」

グラウスは地図を折りたたみ、顔を上げる。

「…どうした嬢ちゃん?そんな顔をして」

「…なんでもないですっ」

プイッ、とそっぽを向く貴女だが、なぜそうなっているかをグラウスは理解できない。

首を傾げながらも、グラウスは立ち上がり先導する。

「次の目的地はホルムだ。かなり距離はあるが、今日中には着く」

グラウスの言葉が引っ掛かる。

距離はあるのに、どうして一日で到着するのか。

その理由が、皆目見当もつかないのだ。

「意味が分からねえって顔だな」

貴女は頷く。

「まぁ、見てからのお楽しみさね」

『ギュンデーム』を出た二人だが、前にここまで来た道を逆走する。

最初は何とも思わなかった貴女だが、少しずつ不安の色が見え隠れしてくる。

対するグラウスは、どこか楽し気だった。
446 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/11/04(土) 20:34:40.45 ID:HZRPHbBl0
直下コンマに、何かイベントがあればお願いします。コンマが1〜3で戦闘発生です。0だと…?
447 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/04(土) 20:42:22.34 ID:AR6svJb2o
迷子らしき子供がいる
448 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/11/04(土) 20:45:52.26 ID:HZRPHbBl0
おや、迷子(?)ですか。簡単に設定をしますね。↓1に性別、↓2に種族、↓3、4に性格をお願いします。
449 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/04(土) 20:48:26.17 ID:6zWt5GwFo
450 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/04(土) 20:54:09.56 ID:AR6svJb2o
竜人
451 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/04(土) 20:54:59.56 ID:jQH6bFO7o
猫かぶり
452 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/04(土) 20:55:54.94 ID:8UMsQ72DO
泣き虫
453 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/11/04(土) 21:13:55.10 ID:HZRPHbBl0
一つ判定を忘れていました。直下コンマが1〜3、0だと…?
454 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/04(土) 21:14:42.64 ID:AAUSRj2EO
455 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/11/04(土) 21:18:15.38 ID:HZRPHbBl0
往路を大きく逸れ、二人は山脈の傍を進んでいた。

道はみるみる険しくなり、徐々に高度を上げていく。

同時に、出没する魔物の種類も変わっていっている。

「ふぃ〜。犬っころが多くて大変だ」

周りには樹が茂っており、間隙を縫って奇襲を行われている状況だ。

危険な種族ではないので、数回叩けば鳴いて逃げ出すのだが。

「…ん?」

不意にグラウスが立ち止まり、耳を澄ませる。

釣られて貴女も、感覚を強化する。

貴女の耳が捉えたものは――。

――ひぐっ…。お兄ちゃんはどこに行ったのぉ…。

――僕だけじゃ…。勝てないよぉ…。

「ッ!」

「おい!?嬢ちゃん!?嬢ちゃーん!」

走り出す貴女を、グラウスが止めることはできなかった。
456 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/11/04(土) 21:35:12.94 ID:HZRPHbBl0
木々に囲まれた小さな岩陰。

そこに、竜人の少年は姿を隠していた。

「お兄ちゃん…。どこなの…」

少年はポーチから小さな結晶を取り出す。

「これを壊したら、助けが来るんだっけ…。…だけど、本当に危ない時以外はダメって言われたし…」

「ひうっ!?」

ガサガサ、と葉が掻き分けられる音が聞こえ、少年は怯える。

「うぅ…」

両肩を抑え、小さく縮こまる。

見つかる可能性を、少しでも減らすために。

「ひぃ!」

眼前を横切った影を恐れるあまり、声を上げてしまう。

「よ、良かったぁ…。やっと見つかった…」

その陰の正体は人間、貴女だった。

「だ、大丈夫…?迷子みたいだけど…」

おずおずと手を差し伸べる貴女だが、その手が握られることはなかった。

「く、来るな!私を捕まえようとするお、愚か者め!」

手を払い除けた少年は、涙を浮かべながらも貴女を睨む。

「わ、私は人攫いじゃないよ…!」

「妄言を…!」

人攫いであることを否定する貴女。

しかし、それを聞こうともしない少年。

千日手になり得ない状況を、あの男はぶち壊す。

「嬢ちゃん…。いきなり走り出すのはちょっと疲れるから…って迷子じゃねぇか」

グラウスは少年を見るや否や、手を上に突き出して光を放つ。

「これで、近くの仲間が気づくはずだろ」

その言葉は正しく、数分後、雄々しい翼を広げて竜人が数人、少年の救助に来た。
457 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/11/04(土) 22:01:20.32 ID:HZRPHbBl0
「弟が迷惑を掛けましたァッ!」

凄まじいスピードで土下座をする竜人。

どうやら迷子だった子の兄らしい。

「旅人のあなた方のお手を煩わせて申し訳ないッ!」

立ち上がった後も、十回二十回と頭を下げる竜人兄。

「いやいや、お前さんも弟さんが無事でよかったじゃないか」

「ええッ!本当に良かったッ!」

弟を抱きしめる竜人兄だが、弟の方は胸に顔をうずめていて様子が分からない。

「しかし、こんな可愛い子を人攫いって判断するとはねぇ」

凛々しい黒髪を伸ばしている女性が、貴女を見て言う。

「ホント、可愛い子だねぇ…」

「…!?」

ペロリ、と指を舐める女性を見て寒気がした貴女は、グラウスの後ろへと隠れる。

「ありゃ、警戒されたか。痛くしないのになぁ」

「その手で言っても説得力が無いじゃろ…。儂でも痛いというのに…」

隣の竜人が諫める間に、竜人兄は弟を前に向ける。

「ほら、お礼を言いなさい。漢として恥ずかしいぞ」

「う、うん…」

申し訳なさそうに、弟は貴女を見る。

貴女は、グラウスの後ろから顔だけを覗かせる。

「た、助けてくれて…ありがとう…ござい…ます…」

その言葉を聞いた貴女は、戸惑いつつも返答する。

「ど、どういたしまして…」

感謝を伝えた弟は、また顔をうずめる。

「うわぁぁぁぁん…!怖かったよぉ…!」

「よしよし。帰ったら美味しいご飯を食べような」

コクリ、と頷いた弟は、静かに寝息を立てる。

「ではッ!私たちも失礼しますッ!僭越ながら、私たちも平穏無事を祈っておりますッ!」

「儂たちの村は来るもの拒まず、じゃ。次があれば、客人として存分にもてなそうぞ」

「可愛い子もよろしくね」

「これ」

「あいたっ!」

そんな言葉を残して、竜人たちは山脈の向こうへと飛び立っていった。

「…行ったか。俺たちも行こうか」

「…あの人たちの村に、行けますかね…」

「たぶん、な」

地図を片手に持ちながら、グラウスは答える。

しかし、その心中は――。

――あいつらと会うなら、死ぬ覚悟をしないといけないな。
458 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/11/04(土) 22:31:30.30 ID:HZRPHbBl0
木々を越え、魔物を退け、ただひたすらに進む。

疲弊している貴女と、飄々としているグラウス。

どうしようもない、経験と地力の差が出ていた。

「もうちょいだ。頑張んな」

「はい…!」

今にも崩れ落ちそうな崖を進むと、そこには小さな空洞が。

「到着だ。よく頑張った」

「え…?何ですかここ…」

空洞には、高さ2mほどの小さな祭壇がある。

そして、祭壇の中心からは蒼い光が漏れ出している。

気になって貴女は覗くが、その時、光が渦巻いているのを理解できた。

「ここは『旅の扉』。遠い場所を繋ぐ、過去の賢人が生み出し、歴史に埋もれてしまった叡智さ」

グラウスは説明を始める。

貴女はよく分からなかったが、何やら凄い物だというのは理解できる。

「あー…。つまり『同じ旅の扉』にワープする装置と思ったらいいよ」

ようやく理解した貴女だが、同時に疑問が一つ生まれる――。

――どうして、ここまで便利なものが利用されてないのか、と――。

「理由は単純。移動手段が増えたからさ」

「態々こんなところまで来なくても、今なら移動手段が意外とある」

「大陸間の移動は船か飛空艇があるからな」

どちらかが栄えればどちらかが廃れる。

そんな簡単な理屈だった。

「そんじゃ、移動するぞ。渦の上に乗るんだ」

言われるがままに、貴女は渦の上に乗る。

そして――。

――アッシェンテ――。

そう呟くと、二人の姿が消えた。
459 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/11/04(土) 22:58:08.39 ID:HZRPHbBl0
視界が白くなり、全身が浮く。

周りを見ると、後ろに向かって世界が動いているのが見える。

前には白い大穴があり、そこに吸い込まれていく。

反射的に目を瞑る貴女。

目を開くと、そこには綺麗な湖が広がっていた。

「いい景色だが、もう少ししたら日が暮れちまうから急ぐぞ」

「ここは夜になると、とんでもない化け物が出てくるんだ」

いつものような声とは違うことから、冗談の類ではないと判断する貴女。

急ぎ足のグラウスを追って走る貴女だが、突然後ろを振り向く。

当然、そこには誰もいない。

「気のせい…かな…?」

首を傾げながらも、自分を呼ぶ声を聞いて走る貴女。

湖の近く、小さな丘からその『何か』は見ていた。

――我を追ってここまで来るとは、大した熱意よな――。

そう呟いた『何か』は、焔となりそこから消えた。

「ッ!」

グラウスはその言葉に反応したかのように、丘を見上げる。

「…まさか、ずっと見てるわけじゃあねえ…よな」

グラウスは口角を上げ、心の中で言う。

――だとしたら、とんだお人好しだぜ。あんたは――。
460 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/11/04(土) 23:25:19.31 ID:HZRPHbBl0
湖を抜け、一時間ほど大通りを進むと、町明かりが見えてくる。

「わあぁ…」

「あれがホルム。レステルみたいに貿易が盛んな町だ」

苦々しい顔で、グラウスは言う。

「どうしたんですか…?」

「ちょっと…。ハニーがここで一回攫われてな」

ハニーは鬼だから、とグラウスは小さく呟く。

だが、貴女には最後の呟きは聞こえなかった。

「えぇっ!そんなの初めて聞きました…」

「言ってなかったしな…」

グラウスは辺りを見回すが、不思議な点を見つけて首を傾げる。

「変だな…。ここまで治安がいい町じゃなかったぞ」

貿易で得た資金を基に整備したのだろう。

それでも、気になる点が消えないのだが。

「…屋敷の数が嫌に多い。住みやすい場所ではあるが、それだけとは思えねぇな…」

地図を見てみると、奴隷市場の範囲も相当なものだった。

レステルほどではないが、それでも充分な大きさを誇っている。

「…いや、まさかな」

一抹の不安を抱えながらも、グラウスと貴方は宿へと入る。
461 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/11/04(土) 23:28:43.34 ID:HZRPHbBl0
直下に、ホルムで行うこと、もしくはイベントをお願いします。
462 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/04(土) 23:37:29.67 ID:8UMsQ72DO
奴隷市場から何人かの奴隷が逃げ出したことで騒ぎになる
463 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/11/04(土) 23:40:10.26 ID:HZRPHbBl0
直下コンマで、何人逃げたか判定します。その後に、逃げた奴隷の設定を軽く行おうと思います。

1〜4:二人
5〜9:三人
0:四人
464 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/04(土) 23:41:53.43 ID:AR6svJb2o
465 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/11/04(土) 23:50:04.25 ID:HZRPHbBl0
一人目の性別を↓1、種族を↓2、性格を↓3、4、名前を↓5、二人目も同じ順番で、↓6〜10でお願いします。
466 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/04(土) 23:54:34.14 ID:AR6svJb2o
467 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/04(土) 23:55:32.12 ID:6zWt5GwFo
人間
468 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/04(土) 23:56:42.68 ID:8UMsQ72DO
男勝り
469 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/05(日) 00:04:45.79 ID:OCEUmhrwo
貧困から盗賊をしていた
470 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/05(日) 00:06:32.82 ID:imeIQb/mo
リーシュ
471 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/05(日) 00:06:46.27 ID:k1mzjR9hO
両性
472 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/05(日) 00:08:00.60 ID:erMPrqgDO
473 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/05(日) 00:10:35.72 ID:erMPrqgDO
種族は天使で
474 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/05(日) 00:14:20.59 ID:OCEUmhrwo
悪魔は絶対に滅ぼす
475 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/05(日) 00:15:35.34 ID:imeIQb/mo
自分以外信じない
476 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/05(日) 00:20:47.69 ID:8D7ugzHn0
セフィ
477 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/11/05(日) 00:23:24.74 ID:CNScj63W0
ちょっと悪魔のボーダーラインを設定しますね。直下コンマが1に近いほど悪魔っぽいのはアウト、9に近いほど悪魔じゃなければセーフです。
478 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/05(日) 00:25:54.97 ID:k1mzjR9hO
はい
479 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/05(日) 00:26:06.44 ID:OCEUmhrwo
480 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/11/05(日) 00:28:26.54 ID:CNScj63W0
結構寛容ですね…。グラウスの嫁はセーフになります。少々お待ちください。
481 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/11/05(日) 00:38:44.26 ID:CNScj63W0
貴女は夕食を少な目で済ませて、シャワーを浴びる。

全身を洗い、余計な脂肪が付いていないか、お腹や二の腕をつまんで確かめる。

「…むぅ。ちょっと筋肉が付いてきたかぁ…」

旅を始めてから、ほぼ毎日戦闘をしていたのだ。

当たり前だとは思うが、やはり悲しい。

お湯を止めて、体を拭き、服を替える。

「そろそろ寝なくちゃ」

そう思って、ベッドに寝転んだ瞬間に、それは起きた。

「ひゃっ!?」

凄まじい爆発音が、耳をつんざく。

慌ててグラウスの部屋に向かうと、既にグラウスは出立の用意を済ませていた。

「嬢ちゃん、奴隷が市場から脱走した」

貴女は驚くが、それを無視してグラウスは続ける。

「俺は奴隷の確認に向かう。嬢ちゃんも荷物を纏めろ」

そう言って、グラウスは姿を消した。
482 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/11/05(日) 00:53:29.06 ID:CNScj63W0
ホルムの郊外、閑散とした町並みを、二人の奴隷が走る。

「はぁっ…はぁっ…」

「遅いですよ。急がないと追手が来ます」

「飛んでる奴が偉そうに…!」

悪態を吐く女性――リーシュ――と、警戒しながらも軽口を叩く天使――セフィ――。

特に、リーシュの顔に余裕は無く、逃げ切りたい、という思いで辛うじて走っている状況だった。

しかし、その希望も呆気なく砕ける。

「脱走者を確認。捕縛します」

「…最悪だ」

じりじりと近寄ってくる警備兵に、二人はただ諦めていた。

だが――。

――清浄なる暁光よ。汝らを守護する障壁となれ――。

二人と警備兵の眼前に、巨大なる光の壁が聳え立つ。

「この光は…聖職者?…いや、ここまでの聖職者がいるはず…」

「間に合ったか」

呆気に取られている二人の前に、グラウスは降り立つ。

そして、二人の間を走る瞬間に囁く。

――生き延びたい、と少しでも思うのなら、俺についてきな――。

「あたしはついていく!捕まるよりは万倍マシだ!」

真っ先に走るのはリーシュ。

「…信用したわけではないですが、一番手堅いですからね」

続いて、セフィも後を追った。
483 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/11/05(日) 01:07:56.02 ID:CNScj63W0
部屋で待っている貴女の元に、グラウスがやって来る。

手招きをするグラウスを追い、裏路地へと到着した。

そこには、汗をかきながら息を切らしているリーシュと、脚を組んでこちらを観察しているセフィがいた。

「えっと…。二人は誰ですか…?」

貴女の問いに答えようと、リーシュは口を開こうとするが、グラウスによって遮られる。

「まぁ待て。…嬢ちゃんには酷だが、今から二人の話を聞いて、二人をどうするかを選んでもらう」

意味が分からない貴女は焦る。

しかし、グラウスは尚も言う。

「元々俺は嬢ちゃんの付き添いだ。最後に決めるのは嬢ちゃんなんだよ」

「だから、嬢ちゃんに助けるべきだと思わせろ。嘘を言ったらこの場で首を落とす」

グラウスの目は冷えていた。

「はぁっ!?何言ってるんだあ…」

リーシュは、剣に手を掛けたグラウスを見て口を閉じる。

「…分かったよもう!あたしはリーシュ!元盗賊!」

「元々あたしは貧乏で、生きるためには盗賊になるしかなかった!」

「人は殺してない!あと、奴隷になってから受けた教育は地獄だった!」

「あたしを生かしてくれるのなら、あたしにできることは何でもする!以上!」

そうハキハキ言い切った後、リーシュはドカン、と地面に座る。

「私はセフィ。天使です。先に言っておきますが、あなたたちを信用することはありません」

「あくまで、生きるための利害一致でしかないことを頭に入れておいてください」

「悪魔は何があろうと滅ぼします。絶対に」

ピクリ、と反応したグラウスは、冷徹な声で問い掛ける。

「鬼もか?」

それに対して、セフィは毅然とした態度で言い返す。

「悪魔ではないのでその必要はありません」

「…言いたいことは言ったようだな」

「嬢ちゃん。決断を」

手が震え、頭が眩む――。

――それでも、答えを出さないといけないのなら、私は――。
484 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/11/05(日) 01:10:05.97 ID:CNScj63W0
↓1〜3に、助けるかどうかをお願いします。両方でも、片方でも問題ありません。

やっと奴隷を出せた…。今回の更新はこれで終了です。次回更新は水曜日予定です。お疲れ様でした。
485 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/05(日) 01:15:12.12 ID:OCEUmhrwo

両方助けておく

主人公もグラウスの人助けの一環だったんだろうな
486 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/05(日) 06:45:30.46 ID:erMPrqgDO
乙です
両方助ける
487 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/05(日) 07:10:43.06 ID:Uxn9Fgico
両方とも助けるで
488 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/11/08(水) 23:44:03.67 ID:kQ+0RsFhO
本日の更新は無理そうです。申し訳ありません。土曜日なら更新できるはずです。

次回の更新に備えて、簡単な判定と安価を出しておきます。

↓1コンマがリーシュの戦闘力、↓2コンマがセフィの戦闘力となります。

また、同時に↓1にリーシュの年齢を、↓2にセフィの年齢をそれぞれお願いします。

最後に、簡単な小ネタ、番外編を一つ次回更新時に投下しようと思いますので、見たいもの、要望がありましたらご自由にお書きください。

書けるものから投下していきます。更新できず、誠に申し訳ありません。
489 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/08(水) 23:46:36.50 ID:Wfh4HvqRo
17
490 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/08(水) 23:48:03.20 ID:oHwzMzu9o
50
491 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/08(水) 23:50:00.84 ID:ZXD2NsuDO
14
492 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/08(水) 23:54:39.15 ID:oHwzMzu9o
両方0か……

番外編は任務失敗の末に捕縛された結果主人公の夢と彼の先祖から受け継いだ財産は破産になった話をアリサ視点で読みたいです
493 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/09(木) 02:22:08.22 ID:SKaMOtYmO

途中からフェードアウトしちゃったレイスちゃんのお話が見たいです…
494 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/11/09(木) 18:57:12.63 ID:MjsSiBbrO
両方0とかウッソだろお前wwww なんで2人とも捕まったんでしょうか(真顔)

とりあえず0ボーナスで特殊能力を一つずつ追加です。↓1にリーシュ、↓2にセフィの特殊能力をお書きください。

小ネタの件、了解しました。書き溜めが完了次第投下していきます。
495 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/09(木) 19:00:15.51 ID:oARFd2Gho
目利き(観察眼)
496 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/09(木) 19:27:42.64 ID:PCBv7F2No
指を指された悪魔は死ぬ
497 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/11/12(日) 03:00:44.65 ID:cqrHpGTW0
番外編を書いていたらこんな時間に…。今回は番外編投下だけにします。申し訳ございません…。

遺跡で流れていそうな、壮大だけど悲しい感じの曲って何か知っていますでしょうか。

エンカウントしても、音楽がそのまま流れそうな曲です。個人的に好きなので…。教えていただけたら幸いです。
498 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/11/12(日) 03:01:52.15 ID:cqrHpGTW0
番外編 泡沫に帰えし理想 Alisa side


指示を受けたアリサは、西中島南方へと転移魔法で移動する。

「当主様が言うには、ここを通るらしいです…が」

「…最悪ですね。先を越されていたとは」

爆発音のする方向へ、アリサは飛翔する。

上空から見渡すと、黒煙が立ち昇る場所があった。

「…そこですか」

アリサは弓を引き、二発の矢を撃つ。

それは、目的地の上空で弾け、雨のように降り注いだ。

「次は…っと」

座標設定を終え、目的地へと転移する。

そこには、数十人は下らない死体の山と、三名の兵士に守られているエルフの女性?と対峙する、たった一人の少女がいた。

「クハハ…。神である私を、敵に回して勝てるものか」

その少女の耳は猫のようで、両手からは鋭い鉤爪が生えている。

「何というか。凄まじいほどの寒気がしますね。心臓を握られているかのような」

「クハハ。それは結構。どれ、遊んでやろうか」

少女がそう言ったのと同時に、姿が消える。

「ッ!皆さんは早く撤退を!ここは私が…」

「引き受ける、と?大した自信よな」

「つぅ…!」

後ろに回り込んだ少女は、鉤爪でひと裂き。

体を曲げて対応するが、背中が切り裂かれる。

「さて、そろそろ仕留めねば…ほう!」

少女が主導者を殺すために振り向く。

しかし、アリサが射撃に転じたことで、それは妨げられた。
499 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/11/12(日) 03:02:49.86 ID:cqrHpGTW0
アリサの頬を、冷や汗が伝う。

たった一撃を喰らっただけ。

ただそれだけなのに、力の差が分かった。

分かってしまった。

そして、アリサは思う――。

――勝てないなら、時間稼ぎだけでもしますか――。

アリサは弓で弾幕を形成し、ナイフを片手に接近する。

しかし、その弾幕を少女は左手だけで全て霧散させる。

「この程度か。昂ぶりもせぬな」

「入った」

アリサの放つ矢は、全てアリサの魔力で構築されている。

即ち、遠隔操作で魔法を発動することや、エンチャントも可能ということだ。

今回アリサが施したものは。

「む…。ちと不味いか」

僅かに、少女の動きが遅くなる。

先ほど、少女が矢を破壊した。

その時に散布された魔力で、空間に干渉、一時的に時間の流れを鈍化させる。

ほんのコンマ数秒遅くしただけだが、それで充分。

一撃を当てる余裕は生じた。

「吹き飛べッ!」

アリサは少女の腹に手を当て、魔力を圧縮、破裂させた。

ダメージはおそらく無いが、かなりの距離を離せた。

目的を果たすのなら、それだけで充分だった。

「さっさと走ってください!数秒もせずに戻ってきますよ!」

「くっ…。了解…!」

アリサの言葉を受け、全速力で駆け抜ける兵隊たち。

それを見届け、アリサは笑う――。

――これで、目的は果たしました――。
500 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/11/12(日) 03:03:39.57 ID:cqrHpGTW0
「クハハ…。油断したな。そうか…私には効かないと判断して、周りの空間に干渉したか」

「いい判断だ。汝はよき魔導士のようだな。だが、所詮ヒトでしかない汝ではそれまでだ」

首を一度鳴らした少女は、木々を足場に跳躍する。

「はや…があっ!」

音速を超えた蹴りが、アリサの腹部を捉える。

メキメキと骨が折れる音が聞こえ、アリサは苦痛に顔を歪める。

「ふむ…。今のは避けるべきだっただろうに」

「ゲボッ…」

内臓もやられたのか、アリサは吐血する。

「はぁ…。どうして…あなたのような方が…あんな人に…従っているんですか…」

愚問を、と少女はアリサの問いを切り捨てる。

「私は土着神でな。遠い昔に、信仰を失ってしまったのさ」

「それはもう辛かった。誰からも見られない、信じてくれない。長きに渡る孤独が、私の心を蝕んだ」

「…しかし、私を獣人と思った愚か者が来てな。奴隷として、この国に辿り着いたのさ」

「そこで逢ったのが、今の主だ。私は心底嬉しかったよ。形はどうであれ、私を信じてくれたのだからな」

「たとえ道具としてでも構わんさ。信じてくれるのなら、報いるまで。それが私たち神の在り方だ」

歪んでいる。

そんな思いがアリサの心を埋め尽くす。

だが、どんなことを思っても、何も変わらない。

「…すまんが、事情が変わった。しばし眠っているのだな」

拳を振り上げる少女の姿を最後に、アリサの意識は途絶えた。
501 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/11/12(日) 03:04:24.61 ID:cqrHpGTW0
カツン、カツン。

静かな部屋に、靴音が響く。

その音で、壁に繋がれたアリサは目を覚ます――。

――やはり、捕まりましたか――。

アリサは冷静に状況を把握していく――。

――腕は…千切られたのでしょうか。根本から無くなってますね――。

手足の欠損には既に慣れている。

それは、治癒魔法を使えばすぐ再生するのが原因だ。

しかし――。

――チッ、封魔の呪印が書かれてますね。これでは魔力が使えません――。

露わになっている上半身には、黒いインクのようなもので印が刻まれている。

そのせいで、アリサは魔力の操作が出来ない。

反対側の壁――ドアが取り付けられている壁だ――には、義足が立て掛けられている。

どうするべきか、思考を回転させていたアリサだが、来訪者によってそれは中断された。

「よぉ。お目覚めのようだな。アリサ」

「うわぁ…。見たくない顔を見せられて死にそうです」

「お前マジでそういう言い方やめろ。傷つくわ」

その言葉とは裏腹に、リゼルの顔は冷徹だ。

「あぁ、貴方の暗殺は失敗したよ。だが、どっちにしろお前たちはここでおしまいだ」

表情を変えぬまま、リゼルは淡々と言い放つ。

「…は?」

対するアリサの表情は、困惑に染まった。
502 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/11/12(日) 03:05:12.58 ID:cqrHpGTW0
「え…?終わりですか?私たちが…?」

リゼルは頷く。

「…冗談じゃありませんよ!どうしてここで終わるんですか!?」

呆れた表情のリゼルは、アリサを指差し言う。

「お前のせいだよ。お前が捕まらなきゃ、あいつだってまだ行動できた」

「これから、お前の命を条件に提案する。仲間想いの貴方のことだ。呑むに違いない」

アリサの思考が止まった。

あの時の約束を、貴方は絶対に守ろうとする――。

――私の存在が…枷になっていたのですか――。

そして、涙が零れる。

「あぁ…。あぁぁぁ…!」

主たる貴方のために、死力を尽くした。

しかし、自分の力不足が原因で、共に見た夢が、理想が、今までに築いたものが全て、消えてしまう未来が見えた。

そして今、その状況を打破しようと行動することができない自分があまりにも惨めで、流れる涙の量が増える。

「ハハハハハハ!そんなに泣くまで大切なことだったか!」

「だが、ここでお前らは終わりだよ。おとなしく諦めろ」

そう言って、リゼルは部屋を後にする。

リゼルがいなくなってなお、アリサは泣き続けた。
503 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/11/12(日) 03:05:46.60 ID:cqrHpGTW0
城での対談を終えたリゼルは、アリサの独房へと戻って来る。

その頃には、アリサは既に泣き止んでいた。

しかし、目尻は赤くなっている。

「ほら、さっさと壁門まで行きな。そこで待つようには言っといたから」

鎖を外し、義足と弓、ナイフを目の前にリゼルは置く。

呪印が消えたのを確認し、アリサは肉体を修復。

綺麗に生えた手で道具を取り、無言で部屋を出る。

そしてもう一度、一分間だけ泣いた。

貴方の前で泣くことがないように。

弱いアリサを見せないために。

心配されることがないように。

色々な思いを込めた涙が、床のカーペットを濡らした。
504 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/11/12(日) 03:06:32.59 ID:cqrHpGTW0
転移魔法の魔法陣を構築し、指定座標へと転移する。

目の前には、目尻が真っ赤になっている貴方がいた。

「…ごめんなさい。命令、果たせませんでした」

深々と頭を下げ、謝罪の意を示す。

決して、涙を流していた過去の自分を悟られてはならない。

「いや…。生きているだけで充分だ…!」

逆に、貴方が涙を流す。

それを見たアリサは、慌ててハンカチで拭う。

そして、今にも泣きだしそうな自分を押し止め、平静を装いながら答える。

「死ぬわけにはいきませんよ…。まだ、貴方と共に進まないといけませんから」

アリサは思う――。

――先ほどいっぱい泣いていて良かったです――。

それが無ければ、間違いなく一緒に泣いていたから。
505 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/11/12(日) 03:07:20.17 ID:cqrHpGTW0
壁外に出ると、最前列に立っているカエデがこちらを見る。

それに反応したアリサは、口を開く。

「…私を待ってたみたいですね。すみません」

「気にするな。私たちは気にしてはいない」

いつもより、声色が少し高い――。

――優しいお姉さんで助かりました。心からのありがとう、です――。

この想いは伝わっているのだろうか。

いや、きっと伝わっている。

そんな根拠のない確信をしていた。

宛てもない旅の中、各々の意志を尊重した結果、貴方とカエデ、アルヴァ、アリサ、レイス以外はメンバーから外れ、自由に生きていった。

バジルスは、そもそも軍の所有だったため、この旅には同行していなかった。

あくまで捕虜としていたのだから、当然のことではあるのだが。

心が壊れたのか、貴方はただ、毎日空を眺めてばかり。

生活費を稼ぐため、アリサとカエデが依頼をこなしたり、ダンジョンの攻略をしたりしている。

アルヴァは掃除を、レイスはストリートライブをそれぞれ行う。
506 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/11/12(日) 03:08:14.16 ID:cqrHpGTW0
そんな生活をしている最中、ある日の夜のこと。

アリサは、貴方と同じ布団にいた。

「…こうなってしまったのは、私の責任です。だから」

アリサは、スカートの裾に手を掛け、外す。

「…いや、選んだのは俺だ。アリサは悪くない」

貴方は距離を取る。

しかし、距離を縮めてアリサは顔を貴方の胸に押し付ける。

「…今からしようとしていること、分かりますよね」

「…分かってはいる。その上での拒絶だ」

気を遣っていると分かっていても、心にくるものがある。

「そうですか。なら、私が勝手にしますのでお気になさらず」

それでも、引き下がれない。

これは贖罪だから。

主の未来を破滅に導いてしまった、愚かな従者ができる唯一の贖罪。

甘い口付けをして、一言。

「どんな貴方でも、私は受け入れますから――」

――だから、今だけは私に夢を見させてください――。


番外編 泡沫に消えし理想 Alisa side 〜Fin〜
507 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/11/12(日) 03:10:05.11 ID:cqrHpGTW0
以上でアリサ編は終わりです。放浪生活の中もちょこっとだけ載せてみました。明日は今度こそ更新をします。

レイス編はもう少し待ってください…。ちょっと難産となっております…。申し訳ない…。
508 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 07:43:12.71 ID:4xTtPSVXo
509 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 18:08:04.12 ID:O4q/2NT10

主人公の決断前に大喜びして逃がすアリサに武器まで返しちゃうリゼル

独房でアリサに自決されてたらリゼルは詰んでたな
510 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/11/12(日) 23:01:43.58 ID:1LspvTdx0
>>509、約束しているから自決は無理ですね…。いつの間にかリゼルが知将に。どうしてこうなった。

今から再開していきます。ダイス機能ってこの板にはないですよね?あったらカジノとかがやりやすいんですが…。
511 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/11/12(日) 23:48:55.03 ID:1LspvTdx0
貴女は、二人の目を見つめる。

どうなっても後悔しない、とでも言いたそうなリーシュと、気にしていない風のセフィ。

かつて、渓谷で貴女が言ったことを思い出す。

「…命を見捨てない…。それが私にできること…」

そして、貴女は二人に向けて言う。

「私は命を見捨てません。だから、あなた達を助けます」

「いいんですか?その結果、あなたが犯罪者になったり殺されたりしても」

「それでも、見捨てることだけはできません――」

――私も、あの人に救われたから――。

真っ直ぐな貴女の目をじっと見つめるセフィ。

やがて、根負けしたように手を挙げる。

「やれやれ。では、おとなしく助けられますかね」

「ありがとう…!一生あんたについて行くよ…!」

「あ…あはは…」

そのやり取りを見たグラウスは微笑み、貴女のエウルスを二人に投げ渡す。

「ほれ、さっさと契約を解除しな。そうすりゃ、お前さんたちも自由に動けるだろ」

「契約…?」

「…あぁ。嬢ちゃんには言ってなかったか。奴隷は皆、魔法で契約をしてるんだよ」

簡単に逃げられないようにな、とグラウスは言う。

二人をよく見れば左の鎖骨付近に刻印のようなものがある。

これが契約の証なのだろうか。

「…恥ですよ。天使たる私がこのような契約をしたなど…」

「まぁいいんじゃない?どうせおさらばだし」

「それでもです…。これでは天界に帰った時にどう茶化されるか…」

二人はエウルスを手に持つ。

すると、刻印は徐々に霧散して、元の柔肌が姿を現す。

「これは…。あの祭壇に祀られていた聖盾エウルス。よくアッティラを始末できましたね」

「冗談じゃねぇよ…。あんな化け物とは二度と戦いたくないわ…」

「残念。この世界が存在する限り、どこかにはいますよ」

「………」

口を開けたままグラウスは硬直するが、すぐに話を戻す。

「っと。早く逃げないと追手が来るぞ」

「どう逃げんの?」

先ほどとは違い、冷静に問うリーシュ。

それに対し、グラウスは指を二本立てる。

「旅の扉を使うか、近くの町に逃げるか。さあお選びください」

「軽くねぇかな。あんた」

「グラウスさんはこういう人だから…」

呆れた顔でグラウスを見るリーシュ。

貴女は胃痛でお腹を押さえる。
512 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/11/12(日) 23:50:43.74 ID:1LspvTdx0
↓2に、どちらのルートを取るかをお願いします。危険な方は旅の扉ルートですが、現在の貴女一行だと過剰戦力なので余裕でしょう。
513 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 23:55:23.65 ID:6jTGA4Fjo
旅の扉ルート
514 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 23:56:05.39 ID:8/NLwr8DO
じゃあ旅の扉の方で
515 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/11/13(月) 00:24:01.33 ID:UQ/nAM3K0
「遠くに逃げるのなら旅の扉を介した方がいいでしょう」

「近くの町に逃げても、情報が行けば駄目ですし」

「へ?」

「じゃあそっちで」

「…マジかよ」

グラウスの表情がどんどん険しくなり、汗が流れてくる。

「…あの道、夜は危険な魔物がいるって…」

「…ああ。ベヒーモスだ」

聞いたことがない魔物の名前を出され、リーシュと貴女は首を傾げる。

「光を嫌う『混沌の獣』。夜の世界を徘徊し、命を食む犬っころですよ」

「犬っころって…。お前なぁ…」

「あんなの雑魚じゃないですか」

「えぇ…」

正反対の反応をする二人がおかしくて、リーシュと貴女は笑ってしまう。

「…早く移動しませんか?」

「あ、ああ。しっかりついてこいよ!」

「っし。体が軽くなったおかげで楽に動ける」

「み、皆速いよぉ…」

この中で最も遅い貴女は距離を離されていく。

それでも、貴女は充分なほど速いのだが。

「大丈夫?あたしがおんぶしてあげようか?」

「え?…あぅ…。お願いします…」

「ん」

軽く返事をしたリーシュは、貴女を片手で背中に乗せる。

そして、リーシュは音を超え、町を駆け抜けた。
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