貴方「奴隷たちに救済を」【安価スレ】【2スレ目】

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287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/20(金) 19:51:42.79 ID:VybKmjSlo
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/20(金) 19:52:26.88 ID:uzn5dHLBo
喧嘩っ早くて許されるコンマじゃねぇ
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/20(金) 19:52:56.28 ID:uzn5dHLBo
ごめんなさい名前はアンデルセン
290 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/20(金) 19:55:34.52 ID:+LRRVtDp0
>>289、今から決める予定なので大丈夫ですよ。しかし…この神父がキレたら町が消し飛びますよ…。

次に名前です。↓2でお願いします。
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/20(金) 19:56:58.08 ID:uzn5dHLBo
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/20(金) 20:04:32.49 ID:VybKmjSlo
グラウス
293 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/20(金) 20:09:54.07 ID:+LRRVtDp0
次に、舞台の設定です。場所の特徴を↓2にお願いします。名前を付けても大丈夫ですよ。あと少しで終わる予定です。
294 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/20(金) 20:11:55.10 ID:+LRRVtDp0
いなさそうなのでkskしておきます。
295 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/20(金) 20:12:10.15 ID:dSHs4Z2HO
かつてのハイランディア
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/20(金) 20:12:21.32 ID:SrXr2vaDO
海沿いにある交通や流通で栄えた町
297 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/20(金) 20:14:56.87 ID:+LRRVtDp0
昔のハイランディアですか…。度合を簡単に判定します。直下コンマが1に近いほど建国当時、9に近いほど貴方が生きていた時代となります。

場所はレステル…貴方と同じ場所にしますか?それとも、別の場所を新たに出しますか?↓2に意見をお書きください。
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/20(金) 20:15:53.57 ID:SrXr2vaDO
299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/20(金) 20:16:28.10 ID:uzn5dHLBo
同じ場所

実権を持とうとしたリゼルが国を滅ぼしたのか
実権を持ったリゼルを討とうとしたアーバンが国を滅ぼしたのか
他国が攻めてきたのか
300 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/20(金) 20:27:49.36 ID:+LRRVtDp0
>299、貴方たちが姿を消して腐敗が進み、優秀だった兵士が流出してレジスタンスを形成、他国と共に内乱を起こして滅亡…という形です。

それに従い、リゼルの一族とリゼル傘下の上級貴族は処刑、アイリスは統治権を再度授与されて、再建に奮起しました。

ですが、ハイランディアは滅亡してしまったので、アイリスの影響はレステル内に止まっています。

レステルですね。了解しました。最後に、恩人の特徴を↓1、2にお願いします。
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/20(金) 20:30:47.29 ID:9soeUey3O
口調は厳しいが実は物凄いお人好し(要はツンデレ)
302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/20(金) 20:33:14.38 ID:VybKmjSlo
男性とも女性ともとれる中性的な外見
303 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/20(金) 20:34:20.34 ID:+LRRVtDp0
あ、一つ忘れていたことがありました…。貴女、グラウス、恩人の年齢を安価で取ります。恩人は無くても大丈夫です。

↓1〜3で募集します。順番は上記の通りです。それでは、プロローグの作成へと入っていきます。
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/20(金) 20:35:07.26 ID:uzn5dHLBo
15
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/20(金) 20:36:31.57 ID:SrXr2vaDO
40
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/20(金) 20:37:05.07 ID:9soeUey3O
20代に見える
307 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/20(金) 20:55:27.06 ID:+LRRVtDp0
一人の少女が、産声を上げた。

スラム故か、父親が誰だかは不明だ。

しかし、母親は貴女を愛し、精一杯育てた。

貧しいため、満足な食事もできなかったが、楽しい毎日が続いていた――。

――それは、雨降る夜に終わりを迎えた。

「抵抗するんじゃねぇよ。あの女みたいに殺しちまうじゃねぇか」

「ひぃ…」

男――人攫い――の右後ろには、全身を槍で貫かれた母親が。

雷の鳴る夜、恐怖に泣く貴女を抱きしめ、眠りにつこうとする母親。

寝床に入る直前に、開きっぱなしの玄関から突然入ってきた男。

愛する娘を護るために、包丁を構え突進をする母親。

しかし、簡単にそれを往なされ、床から突き出た無数の槍によって、命を絶たれた。

母親が殺され、悲鳴を上げることすらできずに、俵のように抱きかかえられる貴女――。

――刹那、閃光が見えた。

放り出され、壁に当たる直前に『何か』が貴女を受け止める。

『何か』の中から見えるのは、翡翠に輝く宝石。

それが瞳だと気付くのに、時間は掛からなかった。

「邪魔するのか?なら、お前もここで死ね」

男の手に小さな魔法陣が展開される。

それに対して、『何か』は冷淡に吐き捨てる。

「戯言を。ゴミ一つ、我が焔で消し去ってやろう」

空間が引き裂かれ、炎が裂け目から漏れ出す。
308 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/20(金) 21:16:13.30 ID:+LRRVtDp0
凄まじい爆発が貴女の家を消し飛ばす。

「ちぃっ!ノーモーションで爆破かよ!」

爆風に身を任せ、ダメージを抑えた男を見据え、『何か』は両手を合わせて、念じる。

しかし、攻撃させまいと黒い槍が、鳥のように舞い『何か』を襲う。

「万物は燃え、塵芥と化す」

『何か』の1m前で槍は燃え尽き、塵となって地面へと落ちる。

「世界は燃え、虚無と解ける」

世界が隔絶され、炎で包まれる。

――では、汝は燃え尽きた果てに何へと変容する?

その一言と同時に、炎の中から『何か』の眼と同じ翡翠色の輝きが瞬く。

凄い、と『何か』に抱き着いている貴女は思う。

「少女、貴様は目を閉じろ」

『何か』は優しく語り掛ける。

「ここからは少々醜いからな」

言葉に従い、貴女は目を閉じる。

「っんだよコレ…。異空間か…?」

男は滝のように流れる汗を拭い、槍を手に構える。

「答えは無し、か。では、試してみようか」

『何か』は男へ手を翳し、握りしめる。

――天照らすは救済の焔――。

――汝の魂にも今、救済を与えてやろう――。

槍を構えていた男の皮膚が裂け、炎が噴き出す。

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!やめ゛ろッ!やめでぐれぇ゛ッ!」

悲鳴ともいえない声を上げ、男は懇願する。

しかし、『何か』は無慈悲にそれを拒み、もう一つ念じた。

――神よ、この愚者に那由他を超える時の裁きを与え給え――。

そして、男の形をした何かが消えた。
309 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/20(金) 21:31:45.94 ID:+LRRVtDp0
周りを包む炎は消え、元の風景が映される。

それと同時に、雨がまた降りだした。

貴女が目を開けようとする。

だが、それを察知した『何か』は首に手刀を当て、意識を奪う。

すまんな、と一言だけ呟きながら。

ぐったりと倒れる貴女を抱え、近くの教会を目指し、走った。

教会の扉を開こうとすると、体が硬直した。

「泥棒はイケないんだぜ。お嬢さん」

貴様は教会の主か。

『何か』が問いかけると、『おうよ』と軽い返事が返ってくる。

「では、一つ頼み事がある」

『何か』は貴女を教会の主へと手渡し、顔を露出させる。

「あれ、この嬢ちゃんは…」

教会の主は驚いたような表情をし、『何か』を睨む。

「人攫いか?お前さんは。なら、ここで神罰をくれてやらぁ」

「待て、我はそんな輩ではない」

彼女を救ったまでだ、と吐き捨て、『何か』は炎に包まれる。

そして、炎が消えた場所には何も残ってはいなかった。

「なんだったんだ?いったい…。ありゃ」

貴女の手に握られている紙切れを取り出し、読む。

すると、教会の主は大笑いする。

「ハッハハハハハ!いいぜ!神父グラウスの名に懸けて引き受けようじゃねぇか!」

そこに記されていたのは――。

――この少女はもう孤独だ。傍にいてやるがいい――。
310 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/20(金) 21:46:18.07 ID:+LRRVtDp0
家族を喪い、グラウスの手助けを受けながら十年、生きてきた。

毎日、大通りで物乞いをし、僅かな金で食材を買い、腹を満たす。

偶に暴漢に襲われかけたが、どこからかやってきたグラウスに助けられる。

そんな毎日を過ごしてきた貴女は、あの日のことを思い出す――。

――あの人は今、どこにいるのかな――。

――私を救ってくれた恩返しをしたいのに――。

コンコン。

存在しない扉をノックする音が聞こえる。

貴女は笑顔を浮かべ、玄関の前へと移動する。

「よっ」

そこには、大量のおつまみを両手に抱えたグラウスがいた。

「あっグ、グラウスさん…。いらっしゃいませ…」

グラウスはふくれっ面をして、貴女へと言う。

「おいおい、そんなビビられちゃ、おじさん悲しいぜ」

「ご、ごめんなさい」

グラウスは貴女の頭を撫で、一言喋る。

「まっ、いつものことだから別に気にしてないさ」

「今日は面白いもんがあってな、『イカノシオカラ』ってのがあったんだぜ!」

デンッ、と机に小さな容器を置き、笑顔を見せるグラウス。

そんなグラウスを見て、貴女は思う。

――この人は変わらないなぁ。だけど、そこがいい、のかな――。

そして、何度も貴女の頭をワシワシと撫でては笑うグラウスだった。
311 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/20(金) 21:46:58.78 ID:+LRRVtDp0
直下に、今回の行動をお願いします。
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/20(金) 21:51:01.97 ID:uzn5dHLBo
ジョブチェンジ
物理戦闘力を生かせる仕事を探す
313 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/20(金) 22:05:07.76 ID:+LRRVtDp0
「しかしよぉ」

グラウスが話を切り出す。

「な、なんですか?」

「嬢ちゃん、俺の特訓受けてるだろ?」

貴女は頷いて肯定する。

「嬢ちゃんは筋がいい。物乞いとかするよりもよっぽど稼げる仕事があるぜ」

「仕事って他にあるんですか?」

首を傾げる貴女に、グラウスはケラケラ笑いながら応答する。

「いっぱいあるぜ。俺のハニーは元冒険者だし、友達にはハンターとか、キャラバンやギルドを経営してるやつもいる」

「で、でも…。スラム住みの私なんかが…」

「関係ねぇよ。身分とかは飾りの世界だ。強いやつが出世して、弱いやつは下っ端のまんま」

強く言い切るグラウスに、貴女は少し怯える。

「嬢ちゃんなら、充分イケるよ」

ポンポン、と頭を叩かれる――。

――私でも、イケるのかな――。

「それに、世界の果てとかまで行ったりするから、恩人さんの情報も入るかもしれねぇぜ?」

その言葉を聞いた瞬間、貴女は立ち上がる。

「やります!」

返事を聞いたグラウスはニッ、と笑う。

――その言葉を聞きたかった――。

腰に下げていた鞄から色々なチラシを取り出し、二人で見る。
314 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/20(金) 22:10:37.25 ID:+LRRVtDp0
↓2に、転職する職業をお願いします。参考までに一部の職業の概要を書いておきます。

ハンター…ギルドに所属する人たちの総称。依頼を受けて行動するのがメインになる。

キャラバン…荷物や人を輸送する組織の総称。遺跡やダンジョンの探索なども行っている。

冒険者…その名の通り、世界を自由に冒険する自由人。依頼を受けて行動することもある。
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/20(金) 22:11:32.84 ID:VybKmjSlo
キャラバン
316 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/20(金) 22:12:41.81 ID:SrXr2vaDO
冒険者
317 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/20(金) 22:21:55.69 ID:+LRRVtDp0
チラシを読んでいく貴女だが、目に留まるようなものは見当たらない。

申し訳なさそうに、貴女は口を開く。

「ごめんなさい…。グラウスさん…」

ふむ、と口に手を当てて思考するグラウス。

何かひらめいたのか、突然手を叩く。

「きゃっ!」

「おお、すまんすまん。なら冒険者とかいいと思うぜ」

「え?」

「自分の好きなようにできるんだ。嬢ちゃんにピッタリのもんだと思うがな」

貴女は困惑するが、確かに合っているのかも、と同時に思う。

だが、一人が心細くもある。

他人と関わるのが苦手な貴女だが、独りぼっちになるのを何よりも恐れているのもまた、貴女だった。

その気持ちを汲み取ったグラウスは、貴女の頭に手を置き、言う。

「別に俺は同行しても構わないしな。恩人さんがどういう人なのかも気になる」

ハニーとしばらくお別れなのは寂しいがね、と頬を掻くグラウス。

彼の気遣いがとても有難かった。
318 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/20(金) 22:22:44.85 ID:+LRRVtDp0
グラウスにも同行してもらうかを直下にお願いします。
319 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/20(金) 22:23:14.06 ID:9soeUey3O
大丈夫なら是非
引率者は必要
320 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/20(金) 22:34:07.48 ID:+LRRVtDp0
「お願いします」

即決だった。

今まで、何度も助けてもらっているのに烏滸がましいかもしれない。

だが、貴女にとってグラウスは父親そのものだったのだ。

だから、つい頼ってしまう。

「了解だ。ちょっと待っててな」

グラウスは頭に手を当てて目を瞑る。

「あー。ハニー?そう、嬢ちゃんが冒険者になりたいらしいから俺もついて行くんだが…」

「わっ!?ちょ、そんな怒んないでくれよぉ!俺はハニー一筋だぜ!?」

「…ん。そっか、ありがとな。愛してるぜ、世界の中で誰よりも、な」

「許可は貰ったから大丈夫だぜ」

一連のやり取りを見て、貴女は笑う。

いい夫婦だなぁ、と。

「んじゃ、善は急げ、だ。どこをまずは目指す?」

貴女は思考するが、この街以外のことは何も知らない。

グラウスの判断に委ねるしかないのだ。

「ふむ、知らないものは仕方ないな。じゃあどーすっかなぁ」

軽く伸びをして、立ち上がるグラウス。

指を鳴らすと、その手の上には大きな紙が浮かんでいた。

「…よし、ここがいいか」

グラウスは魔力で紙にメモをして、貴女に見せる。

グラウスが選んだ場所は――。
321 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/20(金) 22:35:07.84 ID:+LRRVtDp0
↓2に、目的地の特徴と名前をお願いします。新しい場所の場合は、直下コンマで距離を設定します。
322 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/20(金) 22:38:48.77 ID:uzn5dHLBo
盗賊の出る森
323 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/20(金) 22:40:22.09 ID:VybKmjSlo
最近野獣がよく出没する森林
324 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/20(金) 22:45:20.60 ID:+LRRVtDp0
直下に、目的の森林の名前をお願いします。おまかせだと、自分で適当に探してきます。
325 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/20(金) 22:46:42.14 ID:9soeUey3O
クレゾンヌの森
326 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/20(金) 22:57:17.96 ID:+LRRVtDp0
クレゾンヌの森。

最近、魔獣の出没数が多くなった場所だ。

距離はかなり遠く、地球の四分の一以上の距離を進む必要がある。

「遠くない…かな…?」

貴女の困惑も当然だ。

今までレステルから出たこともないのに、想像もできないほど離れた場所に進むこととなった。

「まぁ遠いけどなぁ。気になるんだよ」

「昔、ハニーと潜った森なんだが、そこまで危険ではなかった」

「ところがどっこい。最近になって死者がポンポコ出やがってるんだ」

なるほど、それは気になっても仕方ない。

貴女は気を引き締める。

「んじゃ、準備するかね。俺は家に戻ってからまたこっちに来るよ」

手を振り、グラウスは帰っていく。

置いて帰った『イカノシオカラ』を、恐る恐る食べてみる。

口にした途端、自己主張してくる塩味とイカの風味。

その強烈な味は、貴女にとっての美味なのか、それとも――。
327 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/20(金) 22:58:50.89 ID:+LRRVtDp0
直下コンマで、貴女の珍味(おつまみ)に対する味覚を判定します。もう少し進んだら、武器の判定と設定を行います。
328 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/20(金) 23:00:52.27 ID:SrXr2vaDO
329 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/20(金) 23:20:28.07 ID:+LRRVtDp0
口にする手が止まらない。

無我夢中で食べ続け、自我が戻った頃には、残り三割ほどしか残っていなかった。

「あぅ…。許してくれるかな…」

「ふぃ〜。準備完了…ってあーっ!」

「俺の『シオカラ』ちゃんがー!」

「ごめんなさい!ごめんなさい!」

何度も頭を下げる貴女に、壁に体を張り付けているグラウス。

気を取り直して、グラウスは咳払いをする。

「美味かった?」

「え…?」

叱責されるとばかり思っていた貴女は呆気にとられる。

そして、慌てて答える。

「お、美味しかったです!」

その答えを聞いたグラウスはニッ、と笑う。

「そりゃあ良かった!」

「あれ…?」

「まさか怒るとでも思った?しないしない」

「この程度で怒るわけねぇさ」

彼の優しさが眩しい。

だが、その優しさに触れられているのが、何よりも嬉しかった。

「ほら、さっさと行くぞ」

歩いていくグラウスを追いかけ、家を出る。

ふと教会を見ると、手を振っている女性の姿が見えた。

グラウスも、振り向いて手を振る。

私には眩しい光景だな、と呟く貴女。

その言葉は、スラムの中に消えていく。
330 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/20(金) 23:30:22.80 ID:+LRRVtDp0
グラウスが、壁門への道中で語り掛けてくる。

「嬢ちゃん、どの武器を使うつもりなんだ?」

武器。

貴女はそう呟き、黙考する。

自分を守るための大切なもの。

だが、グラウスが使っているところは一度も見ていない。

気になった貴女は、グラウスへと問い掛ける。

「グラウスさんは何を使ってるんですか?」

「俺ぇ?」

グラウスは、首に手を当てて空を見上げる。

そして、指を一度だけ鳴らした。

「何でも、かな」

刹那、空に展開された無数の武器。

そのどれもが、途轍もない力を持っていると直感で理解できた。

「凄い…」

心の底から思ったことが、無意識のうちに口から漏れ出ていた。

それに対し、グラウスは淡々と言う。

「これくらい大したことないさ。加減してるからな」

一本の剣を手元に移動させ、左手で掴む。

「これは…。何だっけな。エクスカリバーだった気がする」

「んで、こっちがグングニル。それがハルペー…だったと思う」

右手で指差し、説明をしていくグラウスだが、貴女は何も理解できない。

「まぁ、どうでもいいことだ。どの種類の武器を使いたいか教えてくれ」
331 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/20(金) 23:31:22.19 ID:+LRRVtDp0
貴女が使う武器の種類を直下にお願いします。同時に直下コンマでランクを設定します。7以上でグラウスから譲渡されます。
332 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/20(金) 23:32:51.20 ID:uzn5dHLBo
剣と盾
333 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/20(金) 23:38:44.78 ID:+LRRVtDp0
あ、ヤバい。とんでもない武器が譲渡されます。

↓1に与えられる剣の名称と特徴や性質、能力を、↓2に盾の名称と特徴や性質、能力をお願いします。

名前が無い場合は後ほど設定します。
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/20(金) 23:49:13.15 ID:9soeUey3O
魔神剣(この部分が思い付かなかったので、>>1さんにお任せじす、すみません)
とにかく固く、【壊れない&刃溢れしない】。念じながら振ることで魔翌力の刃を飛ばすことができる
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/20(金) 23:56:08.20 ID:SrXr2vaDO
聖盾エウルス

持っている限りその持ち主は決して死なないという伝承を持つ

現時点でわかっている効果としては持ち主の傷を癒す効果や魔翌力の反射など
336 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/21(土) 00:06:00.22 ID:8c60qd9r0
では、剣の名称を直下にお願いします。おまかせの場合は、私個人で適当にそれっぽい単語を合わせます。
337 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/21(土) 00:11:18.72 ID:bDtEcUcGo
月切
338 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/21(土) 00:26:06.35 ID:8c60qd9r0
貴女は今まで、戦い方を教えてもらってきたが、武器の使い方は教えてもらっていない。

そんな自分が、どういう武器を使えるか、必死に考える。

考えた結果、浮かんできたのは剣と盾のセットだった。

「剣と盾でお願いします」

「片手剣か。了解」

空に展開した武器を仕舞い、もう一度手元に武器を呼び出す。

その手には細身の美しい剣と、荘厳な装飾が施された盾があった。

「こっちは『月切』。アホみたいに硬くてな。壊れないし刃毀れしないんだ」

「ついでに、念じたら魔力刃を放てる。シンプルで使いやすい、いい武器だよ」

「で、これは『聖盾エウルス』。旅の途中で聞いた伝承では、『持ってる限り、持ち主は絶対に死なない』んだと」

「これを持ってる間は、リジェネ…再生だな、が常時発動。それと魔力反射ができるとんでもない代物だ」

どうして、そんなものを持っているのか。

疑問に思った貴女は素直に聞く。

「そりゃ、旅してきたからな」

「月切は簡単に取れたが、エウルスはヤバかった。流石に死ぬかと思ったよ」

ケラケラと笑うグラウスだが、目が全く笑っていない。

「何はともあれ、これから嬢ちゃんが使う武器なんだ。大切にしてあげてな」

「はい!」

ギュっと両手で抱きしめる貴女。

その光景を見て、グラウスは小さく漏らす――。

――俺にも子供がいたら、こんな会話をしてたのかな――と。
339 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/21(土) 00:45:44.77 ID:8c60qd9r0
警備の人と簡単な手続きを済ませ、壁外に出る。

話には聞いていたが、広大な岩肌が広がっていて、気圧される。

「昔からこんな土地だからなぁ。だから貿易も盛んなんだろうが」

グラウスは、地図を呼び出し、周りを確認する。

「さてさてどう移動しましょうかね」

貴女も地図を見ようとするが、身長の差で届かない。

ピョンピョコ跳ねる貴女を、グラウスは魔法で浮かせ、一緒に見る。

そして、グラウスは一つ一つ丁寧に、近辺のことについて教える。

「まず、ここがレステルだ」

海沿いの壁に囲まれた都市。

ここが、私の故郷。

貴女は心の中でそう思った。

「んで、クレゾンヌの森はここだ」

縮尺を変え、大陸全体が見えるようにしてグラウスは指差す。

レステルとは正反対の、山に囲まれた森。

「ルートは…こんな感じかなぁ」

先ほどと同じように、魔力で記録をしていくグラウス。

その挙動から、慣れていることが感じられる。

「ほいできた」

見せられた地図には、三つのルートが示されていた。

一つ目は、複数の都市を経由する最も安全なルート。

しかし、当然だが時間が掛かってしまう。

二つ目は、山脈を真っ直ぐ進むルート。

このルートは、危険で強力な魔物も跋扈している上に、危険地帯もところどころ存在するらしい。

だが、その危険度に見合う速さで到達し、道中のダンジョンで宝探しもできるのだとか。

三つ目は、道に沿って、森付近の小さな町まで移動する。

そして、山の中にある渓谷を伝って森へと侵入するルートだ。

このルートは、渓谷に盗賊団のアジトが存在するらしく、鉢合わせたら戦うしかない、とのこと。

「選ぶのは嬢ちゃんに任せるぜ。俺は付き添いだからな」

あ、俺のオススメは都市ルートだ、と付け加えられる。

貴女が選んだルートは――。
340 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/21(土) 00:50:46.35 ID:8c60qd9r0
どのルートを選ぶのか、↓2でお願いします。

1:都市ルート
2:山脈ルート
3:盗賊ルート
4:自由にルートを作成する

本日の更新はこれで終了です。次回は月曜日の昼、若しくは土曜日の夜の予定です。新しい貴女のパートナーがチート過ぎる…。

質問等がありましたら、次回更新までに空いてる時間で返答、開始時に纏めて返答していきます。

都合上返答できないものはスルーさせていただきます。申し訳ありません。皆さん、お疲れ様でした。
341 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/21(土) 00:51:35.30 ID:3MJsEYvPo
342 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/21(土) 00:53:31.43 ID:bDtEcUcGo



前回から何年後の話?
343 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/21(土) 19:11:03.61 ID:OBkPzH5fO
>>342、前回から約50年ほど遡っています。なので、ギムレットやユウ、主導者と出会う可能性があります。

今日は夜10時頃からの更新になりそうですが、それでもよければ更新します…。
344 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/21(土) 19:19:59.71 ID:Ym0Rc6ri0
よくないです

とか言われたらどうするんだ
345 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/21(土) 19:26:40.16 ID:EdcMucrro
待ってます
346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/21(土) 19:34:57.17 ID:bDtEcUcGo
待ってます

かつてハイランディアがあった場所ではなくかつてのハイランディアだった……
347 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/21(土) 20:51:08.82 ID:bDtEcUcGo
50年も前なら今作には関係なく聞けるけど
前作主人公達が奴隷制度を撤廃しようとしていたのはなぜでしょう?
リゼルが亜人たちをハイランディアに攻め込ませた目的はなんだったのでしょう?
348 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/21(土) 23:09:01.30 ID:H1HTe0SI0
>>344、あー…。確かにそうですね。これからはもう少し表現に気を付けないと…。


>>347、奴隷制度撤廃の理由としては、昔の貴方は奴隷制度に対して「罪人等の愚者に与えられる罰」だと思っていました。

ですが、父親の視察に同行した時に向かったアリサの故郷で地震に被災、二次災害の火災によって瀕死のアリサを救助しました。

その時に、貴方は背中に大火傷を、アリサは右脇腹に火傷を負い、左足を切除しました。

診療所に運ばれて、アリサの過去を知ったことで「闇しか生まない愚かな制度」と貴方は意識を改め、改革を目指しました。


リゼルが攻め込ませたと言うより、リゼルがそう誘導した、と言った方が正しいです。

わざと大事になるように亜人の誘拐を行い、亜人の怒りを買って「向こうが勝手に攻めてきたので、仕方なく対応して禍根を絶った」という形に持ち込むつもりでした。

そうすれば、亜人をもっと簡単に、安定して得ることができる、とリゼルが判断したからです。

敵軍にキメラが交じっていた理由は、リゼルが他国の人間に密輸したのですが、その人間こそが、変身魔法で姿を変えた主導者でした。


かなり遅れてしまいましたが、今から再開していきます。
349 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/21(土) 23:32:51.18 ID:H1HTe0SI0
貴女は何度もルートを見直して、決意を固める。

そして、グラウスにその決意を伝えた。

「ここ、行きたいです」

貴女が選んだのは、盗賊と相対する可能性がある渓谷ルートだ。

一番選ばないであろうものが選ばれたので、グラウスは慌てる。

「お、おいおい…。いいのか嬢ちゃん…?最悪、人殺しをする羽目になるんだぜ?」

「確かに、人と戦うのは怖いです…。だけど」

震える手を抑え、真っ直ぐにグラウスを見つめ、はっきりと言い切る。

「悪いことをする人を放っておくことはできません」

弱々しくだが、はっきりと言い切った貴女を見て、グラウスは笑う。

「ハッハハハハハ!あのか弱い嬢ちゃんがここまで言い切るたぁな!」

そして、グラウスを拳を合わせて答える。

「了解だ嬢ちゃん。んじゃ、悪い盗賊さんたちを成敗しに行こうじゃねぇか」

意気揚々と言うグラウスだが、その心は冷徹だった――。

――もしもの時は、俺が殺せばいいか――。

歩みを再び始めた貴女の後ろで、グラウスは胸から提げた十字架を握り、呟く――。

――嬢ちゃんが穢れることが無いよう、ここに祈りを捧げよう――。

その手からは、聖なる光が漏れ出ていた。
350 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/21(土) 23:36:57.18 ID:H1HTe0SI0
直下に、貴女とグラウスの間に起きたイベントをお願いします。無くても問題ありません。

また、直下コンマが3以下で魔物や盗賊との戦闘になります。
351 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/21(土) 23:46:32.31 ID:bDtEcUcGo
盗賊√進行中?

グラウスの冒険者経験について聞いてみる
352 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/21(土) 23:50:10.15 ID:H1HTe0SI0
どうやら戦闘が発生してしまったようですね。直下コンマの十の位が奇数で魔物、偶数で盗賊、一の位で規模を判定します。
353 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/21(土) 23:50:26.39 ID:tG3b28FDO
354 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/21(土) 23:52:49.20 ID:H1HTe0SI0
大☆惨☆事になっちゃうヤバいヤバい…。魔物の特徴とか名称を↓1〜3で募集します。無ければ、こちらで引っ張ってきます。
355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/21(土) 23:53:29.44 ID:bDtEcUcGo
意思のある植物
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/21(土) 23:56:18.09 ID:Iysnj9zdo
巨大な蜂
357 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/21(土) 23:57:19.04 ID:tG3b28FDO
毒コウモリ
358 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/22(日) 00:01:32.98 ID:efWgCuRa0
↓1〜3に、それぞれの魔物の名前をお願いします。おまかせの場合は、自分で軽く調べてきます。
359 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/22(日) 00:15:27.75 ID:tB8OU1kco
ビオランテ
360 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/22(日) 00:19:36.32 ID:qgVsEYsmo
おまかせ
361 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/22(日) 00:20:37.14 ID:PXpSiDyl0
ISIS
362 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/22(日) 00:26:04.96 ID:efWgCuRa0
大きな道を歩いていく中で、貴女はふと気になったことを問う。

「グラウスさんって、昔は旅人だったんですか?」

「んぉ?ちょっち違うかな。放浪してただけのただの神父だよ」

いや、ハニーと逢ってからは冒険者同然だな、と一人で考え込むグラウス。

「あー。元々、俺は神の教えを説くってのは苦手でな。カウンセリングを中心にして旅してたんだよ」

「その中で、ハニーに探索の同行者に、と誘われてさ。そこからもうゾッコンだよ」

楽しそうに喋るグラウスを見ていると、こちらも楽しくなってくる。

談笑をしながら歩き続け、夜になったらテントを建てて休憩。

また朝になったら、移動を再開する。

この流れを三日ほど続け、分岐路へと辿り着いた。

「この大通りを真っ直ぐ進めば都市に到着だ」

「だが、今回はこっち」

グラウスが指差すのは、小さな獣道。

気のせいか、嫌な気配がする。

「瘴気が濃ゆいな…。大穴に何かが棲み着いてんのか」

グラウスは首を鳴らし、貴女に忠告する。

「嬢ちゃん、武器を構えておきな」

歩いていくほどに、足取りがどんどん重くなっていく。

呼吸も安定せず、視界が歪む。

「流石に俺も、今回は嬢ちゃんのカバーには回れなさそうだ」

大穴の入り口に足を入れた瞬間、世界が砕ける。

グラウスは忌々しげな表情を浮かべ、武器を呼び出す。

「瘴気の密度が尋常じゃねえ…!ここだけは『世界そのもの』から切り離されてやがるな…!」

黒い霧の中から、無数の光がこちらを睨む。

貴女は息が詰まり、何回か咳き込む。

「嬢ちゃんは後ろに下がってろ!ここは…『魔界』の『それ』と然程変わんねえ!」

グラウスは右手で十字を切り、左手を上に掲げる。

「テメェら魔物にはちと勿体ねぇが…!くれてやるよ!神罰と終焉をな!」

切られた十字は肥大して、聖なる光が溢れ出す。

掲げた左手には、巨大な火球が生み出されていた。
363 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/22(日) 00:33:59.97 ID:efWgCuRa0
直下コンマ判定です。グラウスがいるので、二回成功かクリティカル、特殊判定で終了します。

1(補正値なしのみ適応):ファンブル
1〜4:失敗
5〜7:成功
8、9:クリティカル
0:特殊判定

聖職者:+1 無慈悲なる■■■■:+1
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/22(日) 00:34:32.93 ID:qgVsEYsmo
365 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/22(日) 01:02:27.81 ID:efWgCuRa0
襲い掛かってくる、無数の魔物。

しかし、魔物は接近を果たせず、神の裁きを、慈悲を受ける。

神罰魔法『グランドクロス』。

魔導に長けた、信心深い聖職者のみが行使することを許される、『神の慈悲』と称された魔法の境地の一つ。

その魔法は、罪を清める浄化の光で、身を、魂を焼き尽くし、『無』という慈悲を与える。

邪悪なる、魔界に棲む魔物がそれを受けきれるはずもない。

骨すら残さず消え去る魔物。

しかし、それでも軍勢が止まることはない。

続けて放ったのは、数多の魔力の弾丸。

回避行動を取る大蜂を、蝙蝠を、どこまでも追いかけてその身を穿つ。

終焉魔法『ラグナロク』。

限界まで圧縮された魔力弾を解き放つ、『世界を喰らう禁忌』と称された魔法の境地の一つだ。

魔力弾の色は術者の魔力に大きく影響され、グラウスの場合は、炎の如き紅と、神罰の光の如き淡黄色の二つがある。

その魔法は、標的全てを食い尽くすまで、どこまでも貪欲に追い続ける獣の群れ。

標的に、『死』という終焉を与えるが故に名付けられた。

全身を抉られ、命を喪った肉塊が地へと墜ちる。

常人が相対すれば、瞬く間に逃げ出すような化け物を前にしても、知性無き化け物は逃げ出さない。

寧ろ、生存本能が刺激されたのか、進軍速度を上げてくる。

「逃げない、か。それもまたいいのかもな」

「なら、もう一度裁き与えるまでだ」

剣を一本手に持ち、地面に突き刺す。

瞬時に構築された魔法陣からは、白い光が牙を剝く――。

――異なる世界に棲む魔物に、聖職者が与える裁きは――。
366 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/22(日) 01:04:04.39 ID:efWgCuRa0
直下コンマ判定

1(補正値なしのみ適応):ファンブル
1〜4:失敗
5〜7:成功
8、9:クリティカル
0:特殊判定

聖職者:+1 無慈悲なる■■■■:+1 状況有利:+1
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/22(日) 01:06:07.04 ID:kylY1N7DO
368 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/22(日) 01:34:03.99 ID:efWgCuRa0
「消し飛びな」

小さく吐き捨てると、足元の魔法陣が消失する。

が、刹那の間に全ての魔物を内包する範囲に、場所に展開される。

そして、蒼白い光が全てを焼き尽くし、隔絶された世界すらも壊した。

究極魔法『アルテマ』。

先ほどの魔法と同じく、『魔導の果てに顕現せしもの』と称された魔法の境地の一つ。

魔術を極めた者にしか到達できない世界。

それを見た者に合わせて姿を変える、『生きた魔法』。

究極たる所以は、最大限の力を発揮できる、魔法に必要ないはずの順応性にある。

生命全てを消し去り、グラウスは大きなため息を吐く。

貴女は、ただ見ていることしかできなかった。

グラウスは、手に光を纏って空間を掴み、継ぎ合わせる。

「これで、ここはもう大丈夫だろ」

くるり、と踵を変え、グラウスは笑顔を見せる。

「それじゃ、先に進もうか。足止めを食っちまったしな」

あれほどのことをして、何事もなかったかのように振舞うグラウスに、貴女は若干恐怖を覚える。

どれほどの努力をしたら、この領域に辿り着けるのか。

どうして、そこまで辿り着いたのか。

十年も仲良く過ごしていたのに、何も分からないことが少し、怖かった。
369 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/22(日) 01:35:50.84 ID:efWgCuRa0
直下に、貴女とグラウスの間に起きたイベントをお願いします。無くても問題ありません。

今回の戦闘の余波で、戦闘に入ることは町に到着するまでありません。
370 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/22(日) 01:41:31.63 ID:kylY1N7DO
初歩魔法の練習
371 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/22(日) 01:59:18.81 ID:efWgCuRa0
魔物との戦闘があってから数日。

偶に近寄ってくる犬型の魔物とじゃれ合う程度で、特に問題は起きなかった。

大きな山の麓に、グラウスは小さな洞窟を作る。

寝床を準備した後、貴女を連れて外に出る。

グラウスは地面に幾何学模様を描き、その上に貴女を呼ぶ。

「えっと…。これって何ですか?」

「魔王召喚のための魔法陣」

「すまん嘘!魔力増幅用の術式だから気にすんな嬢ちゃん!」

ひっ、と怯える貴女を見て、慌てて訂正するグラウス。

戦闘の時の、圧倒的な力を見た貴女には、彼の言っていることは冗談に聞こえなかった。

「やっぱ、魔法は使えても損はないものだからさ。初歩のものでも教えておこうと思ってな」

指を振って、小さな火の玉、氷弾、つむじ風、光弾を作り出すグラウス。

地面に手を付くと、土人形が作られ、ブレイクダンスをする。

「キモい…」

正直な感想を言った貴女に、涙目で文句を言うグラウス。

「そりゃねぇぜ…。おじさんは芸術とかはてんでダメなんだ」

「…ならコレは?」

もう一度土人形を作るグラウス。

今度は、可愛らしい服に包まれた貴女がそこにあった。

「自信作だ。これなら凄いんじゃないか?」

「綺麗…」

見惚れる貴女を見て微笑みながら、グラウスは立ち上がる。

「とにかく、物は試し、だ。やってみたら何かが見えてくるよ」

貴女は頷き、魔力を認識させるところから始める。
372 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/22(日) 02:00:34.91 ID:efWgCuRa0
↓1〜3に、練習する魔法の種類をお願いします。コンマで習熟度の判定をします。
373 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/22(日) 02:03:17.66 ID:eYxpQgnA0
374 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/22(日) 02:06:22.07 ID:tB8OU1kco
感覚強化
375 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/22(日) 02:18:40.59 ID:efWgCuRa0
今回の更新はこれで終了です。次回は月曜日の予定ですが、夕方から夜に再開できなければ、土曜日になると思います。

遅くまでお付き合いいただきありがとうございました。お疲れ様でした。安価を踏んでいる場合は下にずらします。


ビオランテ:魔界の全域に生息する『意思持つ植物』。人語を解す知性を持つが、恐怖を持たない欠陥品。

腕のように複数の触手が生え、先端は強靭な顎となっている。単体でも充分強いが、他の個体と意思疎通を行うので集団だと特に危険。


魂喰蜂:魔物の魂を喰らい続けることで変異した『闇の媒介』。これが多い場所は瘴気が濃くなり、瘴気が一定量を超えると魔界の環境となる。

毒で体を動けなくさせ、顎で魂を喰い千切る。この状態になると、魔物の魂を喰うことはなくなり、人間の魂を好むようになる。


ISIS:光学迷彩魔法を覚えた『不可視の暗殺者』。音も無く忍び寄り、その命を毒で融かし尽くす。

瘴気の中で生まれ、瘴気の外ではすぐ息絶える可哀想な蝙蝠。しかもうたれ弱い。
376 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/22(日) 02:58:16.52 ID:tB8OU1kco

武器を散々見せておきながら魔法で戦うグラウス
377 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/22(日) 07:48:35.50 ID:GQeTCe6Lo
治療
378 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/23(月) 20:40:33.74 ID:kt2bqzem0
お待たせしました。今から再開していきます。
379 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/23(月) 20:42:30.12 ID:LKXlOUxOo
了解
380 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/23(月) 21:02:16.85 ID:kt2bqzem0
「全身の力を掌に集めるように…。…そうだ。やっぱり筋がいいよ」

「あ、ありがとうございます…」

魔力の認識に掛かった時間は約十分。

増幅の術式による能力強化(エンハンス)があるとはいえ、素質がある、と言えるほどの飲み込みの速さだ。

「んじゃ、実践練習といきますか。俺に火炎魔法を当ててみろ」

「えっ!?」

「ハハ、嬢ちゃんの魔法で怪我なんてしねぇから気にしなさんな」

やり方は自分が教えてくれる、と言い残し、距離を取るグラウス。

その目は真剣で、こちらも気を引き締めるしかなかった。

「あ、おじさんも適当に攻撃するから回避とか頑張れ」

刹那、眼前を埋め尽くす光弾。

速くはない、が遅くもない微妙な速度で、貴女に襲い掛かる。

「ひゃー!」

左に、右に駆け、光弾を回避し、集中する。

両手を重ね、前に突き出す。

自分が教えてくれるなら、というグラウスの言葉を信じ、魔力を込める。

そして、小さな火炎弾が数発、グラウス目掛けて飛び立つ。

「っ!へぇ…!」

ニヤリ、と獰猛な笑みを浮かべ、呼び出した槍で弾き飛ばすグラウス。

次に呼び出したのは、二匹の小さなスライム。

「実践練習その二、だ。コイツらを探して見つけ出しな」

グラウスの声を引き金に、姿を消すスライムたち。

貴女は再度集中して、全身に魔力を巡らせる。

スライムが帯びていた、僅かな匂いが強くなる。

どちらも動いてはいない。

しかし、それは実感できるほどに増大していく。

「…見つけた!」

木陰に、鼠の巣穴にそれぞれ隠れていたスライムを捕獲する。

手に持つと同時に、溶けて無へと還るスライム。

「おめでとさん、これで、初歩とはいえ二つの魔法をマスターしたぜ」

ありがとうございます、と言おうとしたその時、貴女に向けて振るわれる槍。

何事か、と慌てた顔でグラウスを見る貴女とは違い、冷徹な表情をするグラウス。

「…最後の練習だ。気を引き締めろ。でないと…」

死ぬぞ、と言い急速接近をするグラウスに対し、怯えながら盾を構える貴女。
381 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/23(月) 21:33:38.34 ID:kt2bqzem0
「くぅ…。あぁっ!?」

何度も振るわれる槍の衝撃に耐えられず、盾を離してしまう貴女。

貴女が盾の行く末を見ると同時に、グラウスの槍が右太腿を刺す。

「何があっても、気を緩めるな。その一瞬が嬢ちゃんを殺す」

槍を引き抜き、グラウスは貴女の横を一瞬で走り抜ける。

グラウスが槍を収めた瞬間、貴女の全身から血が噴き出す。

「あ…。え…?」

涙を浮かべながらグラウスを見る貴女。

対するグラウスは、真顔で告げる。

「傷はそこまで深くないさ。そら、魔法で治してみな」

言われるがままに、魔力を傷口に流すと、たちまち傷が治っていく。

それを見届けるグラウスは、突然自分の腕を斬り落とす。

「…次はこっちだ」

「な…何をしてるんですか!?」

激昂した貴女は、グラウスへと近寄り、治癒魔法を唱える。

欠損したグラウスの腕からは、ニョキニョキと、まるで竹のように新しい腕が生えてくる。

「よし、合格だ」

笑顔を見せるグラウスに対して、貴女は怒りをぶつける。

「何で腕を斬り落としたんですか!?」

「そっちかい」

嬢ちゃんの怒りはもっともだが、もっと他に怒るべき部分があるだろう、とグラウスは諭す。

「私が怪我したのはちょっと困惑しましたけど大丈夫です!治癒魔法の練習なのは最後で察しましたから!」

「でも!グラウスさんがそんな怪我をする必要は無いでしょう!?」

怒りを露わにする貴女に対し、尚も冷静にグラウスは言う。

「怪我させたのは悪かった。だが、これが一番手っ取り早いんだよ」

「多少は危機感を持ってた方が、何でも身に付き易いんだ」

「そういうことを言ってるわけじゃ…」

未だに食って掛かる貴女だが、気にしていない様子のグラウスを見て、追及を諦める。

「…もういいです。これ以上は話してくれなさそうですし…」

すまんな、と頭を撫でるグラウス。

それが少し気持ち良かったのが、何故かちょっぴり悔しくて、ぶっきらぼうに言う。

「…ちょっとだけ、グラウスさんが嫌いになりましたっ」

「ヤバい泣きそう」

露骨に落ち込むグラウスを尻目に、寝床の洞窟へと向かう。

その心には、一つの疑問が残っていた――。

――どうして、躊躇いもなく自分の腕を斬り落とせるのかな――。

その答えを、貴女が知る日は来るのだろうか――。
382 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/23(月) 22:02:55.37 ID:kt2bqzem0
再度、移動を開始してから、貴女とグラウスの会話は少なくなっていた。

大穴での戦闘から、僅かに貴女の心を燻っていた恐怖が、少しずつ大きくなっていたからだ。

それを知ってるからなのか、グラウスも少し距離を置く。

移動を始めてから数時間が経過して、目的地を囲む山がとうとう姿を現した。

「あと二時間ほど歩けば、町に着くよ」

そうですか、と無難な返事を返す貴女。

心の中では何度も謝っているが、普段通り接することができない自分に嫌悪感を抱いていた。

何があろうと、グラウスはグラウスだ。

頭では理解しているはずなのに、心のどこかでは恐怖を覚えている。

目を背けようとしても、見ないようにしても、片隅に存在する。

恐怖、という感情が鬱陶しく感じるが、消えることがない。

「…まぁ、あんなことをした後じゃ嫌って当然だよな…。もっと別の方法があったはずなのによぉ…」

頭を抱えるグラウスに、どんな言葉を掛ければいいのかが分からない貴女。

何を言っても、慰めにしか、いや、慰めにすらならない気がして。

言葉では言えなくても、行動では示せる。

そう考えた貴女は、グラウスの傍に近寄り、手を握った――。

――気にしてないって伝わってるかな――。

「…ありがとな。嬢ちゃん」

その想いが通じたのか、グラウスの声色が明るくなる。

気が軽くなった貴女も、微笑みながらそれに返すように答える。

「いえ、私も正直に言えばよかったのに、言えませんでしたから」

いつしか、グラウスに対する恐怖は消え去っていた。
383 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/23(月) 22:04:59.14 ID:kt2bqzem0
直下コンマで、町の状況を判定します。

1:???
2〜4:魔獣や盗賊に襲われてボロボロ
5〜9:異常なし
0:なんか未来都市になってる
384 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/23(月) 22:06:28.43 ID:LKXlOUxOo
385 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/23(月) 22:09:14.20 ID:kt2bqzem0
この町の本来の特徴を↓1、2に、名称を↓3にお願いします。おまかせだと、こちらで設定していきます。
386 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/23(月) 22:15:05.32 ID:bSX7Jctlo
人材派遣を主な生業とする特急貴族の屋敷がある
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