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永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」
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321 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/22(月) 23:04:21.85 ID:3uu0rWtyo
薬売り「いやぁ…………」
薬売り「にしても…………」
薬売り「なんと言いましょうか…………」
薬売り「存外に…………”良い話だった”と言いますか…………」
兎は、本当に瞬きをする間もなく、闇夜に消えた。
その地には、兎が掘った穴と、兎が蹴った痕しか見えなかったと言う。
そして一人残されし薬売りは……月を見上げながら、ポツリ言葉を呟いた。
傍から見ればまるで、月に語り掛ける、面妖なうさんくさい男が一人である。
しかしそれは――――確かに”会話”であったのだ。
薬売り「”守る為に逃げる”ですか……確かに、少々わかりづらいでしょうな」
薬売り「ですがその理は、確かに繋がっていた……兎の、嘘偽りなき真と」
薬売りは語った。
玉兎の秘めし思い。決意。そしてそこから伴う行動が、やや”分かりにくかった”事を。
しかし幸運にも、兎が話し上手であった為か。
その理は、最後には”理解足り得る物”であった事も。
薬売り「臆病な兎だから……いや、臆病な兎だからこそ、辿り着く事のできた兎の理」
薬売り「だったのかも知れません……ねぇ?」
理解足り得るが故に、結ぶことができたのだ。
兎なき後の永遠亭の、あってはならぬ”怪”を排除する役目。
「モノノ怪を斬り払え」――――薬売りにしか託せぬ、兎の命である。
薬売り「そう、思いませんか…………」
だからこそ、だろうなぁ……
如何に見聞に長けた兎とて、よもや、露も思わなんだろう。
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org1257691.jpg
その薬売りが、まさか――――先に”モノノ怪と手を結んでいようとは”。
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