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永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」
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292 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/20(土) 19:52:41.20 ID:vYXW/NBlo
薬売り「最初から……知っておられたのですね……」
薬売り「自分の中に……”もう一人誰かがいる事”を」
うどんげ「なんとなくは気づいてた……でも、確信はなかったの」
うどんげ「だって、いくら呼びかけても……ずっと、無視され続けてたからね」
薬売り「それは……いけませんなぁ」
レイセン「カ…………ッ!」
人はだれしも、思い出したくない記憶があると言う物よ。
何らかの失態を犯した時。人前で大恥をかいた時。誰かに裏切られた時。身の毛もよだつ恐怖を感じた時――――
それらを自在に忘れる事ができれば、一体どれほど、楽な事であろうなぁ。
だが口惜しい事に、生きとし生ける物は、残念ながらそのようにはできておらぬのだ。
うどんげ「呼びかけても答えてくれない。面と向かっても目を合わせてくれない」
うどんげ「だから、わからなかったのよ……自分の中にいるのが、一体誰なのかを」
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org1254982.jpg
薬売り「しかし今、ようやっと分かり合えた……」
うどんげ「あたしの中にいたのは……”あたし自身”だった」
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org1254983.png
故に生き物は、そうせざるを得なかった。
苦しい過去を糧にするしかなかったのだ。
過去の苦痛を経て、新たな存在に再生せんとする道。
まさに修験が唱えし「疑死再生」の道――――。
その道を選んだが故に、生き物は、今日における多種多様な存在に枝分かれしていった……のかもしれん。
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