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永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」
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以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/20(土) 19:01:09.31 ID:vYXW/NBlo
レイセン「知らない! そんなの知らない! そんな変な名前、あたしが受け入れるはずないじゃない!」
そう、その名を最初に聞いた時は、「変な名前」以上の感想を持てませんでした。
「うどんに毛? 意味わかんな〜い」
当時の兎も、そう言ってました。
レイセン「それに、今更名を変えて何になる! ずっとレイセンだったのに! ずっとずっと、レイセンとして生きてきたのに!」
「ださいから鈴仙のままでいい」
当時の兎は、そう言い捨ててやりました。
薬売り「知らない物にはただの音……しかし知っていれば、その名は何より貴重な”花”となる」
「だから鈴仙だっつってるだろ!」
兎をうどんげ呼ばわりする因幡兎に、何度も声を荒げました。
薬売り「貴方は知らなかったんじゃない。貴方はただ、目を背け続けていただけに過ぎない」
「いい加減にしなさ〜い!」
何度注意しても、因幡兎はうどんげと呼び続けました。
あまりのしつこさに、つい声を荒げましたものです。
が、ですが……兎は決して、それ以上の事はしませんでした。
薬売り「貴方を心の底から怯えさせる……貴方の中だけの”鬼”から、ね」
注意を諦めたわけではありません――――実は、”嬉しかった”のです。
それは、”約束の証”だったからです。
約束の証……それをしつこいくらい連呼される事に、その実、何よりの幸福を感じていたのです。
薬売り「知らないはずが……ないんですよ。それは、貴方がレイセンだった時の決め事だったのだから」
ついつい昔のような憎まれ口を叩いてしまう程に
ついつい無駄に声を荒げてしまう程に
ついつい、一人でに飛び跳ねたくなる程に……
兎の心は、歓喜の波に乱されていたのです。
薬売り「鬼は…………”約束を守った”」
その日から――――兎の中から、鬼がいなくなりました。
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