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永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」
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以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/16(火) 22:12:29.15 ID:fw8gKZ+Qo
レイセン「人の話を聞かない奴だとは思ってたけど……まさかこの期に及んでまだ、そんな態度かましてくるとはね!」
薬売り「何をおっしゃいますか。ちゃんと聞いたじゃないですか……」
薬売り「貴方の、真と、理とを」
レイセン「だからそれは剣を……ああっ! い、イラつく!」
レイセン「ほら、あんたも黙ってないでなんとか言いなさいよ! 今あたしら二人、まとめてコケにされてんのよ!」
わざわざ内から這い出てまで、二羽共々コケにされるとは……この内なる玉兎も、よもや露も思わなかったであろうて。
確かに、聞いてくれと頼んだのは玉兎の方である。
だがその経緯は、薬売りが「退魔の剣を抜く条件」を、あらかじめこうこうこうと伝えておいたが故であろうに……
やれやれ、どこまでも厚顔無恥な奴よ。
そうでもなければ、誰がこんな面妖な薬売りに”過去”を語るものか。
薬売り「それに……先ほどから話を聞けだのとおっしゃりますが」
薬売り「その言葉……そっくりそのまま、お返ししますよ」
レイセン「は……?」
薬売り「だって……ねえ? つい先ほど、申し上げたばかりじゃないですか……」
薬売り「斬るのは――――”幕が閉じてから”だと」
クシャリ――――まるで薬売りの言葉に合わせるように、微かな擦音が過った。
音の感じからしてそれは、何か薄い物同士が擦れ合う音である。
してこの場における薄き物とは、現状ただの一つしかない。
薬売り「芝居の準備はできましたか……”姉弟子様”」
レイセン「ウソ…………!」
そう――――紙である。
この内なる玉兎が、薬売りから借りた札を折り紙に変えたのと同じく、外なる玉兎もまた、同じ事をしていたのだ。
「さっきまで呼吸に苦しんでいたとは思えない」と、薬売りは密やかにそう零した。
夜分深くにも関わらず、見る者を思わず感嘆させる程に――――
それはそれは見事な”紙の兎”が、玉兎の手元に出来上がっていたそうな。
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