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永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」
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249 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/12(金) 21:10:45.06 ID:scudlLjvo
(かッ…………かッ…………か…………)
病状の果てに、ついに外出禁止令まで出されたレイセン。
与えられた病室にあった物は、頑丈な壁。窓には鉄格子。外側だけしか鍵がかけられない扉……
どう見ても、牢屋でした。
しかし別にレイセンは悪い事をしたわけではありません。
その部屋の真相は、またしても、レイセンだけに与えられた特別扱いだったのです。
(か…………か…………)
それは、レイセンの【狂気を操る程度の能力】を危惧した月側の、苦肉の策でした。
生半可な部屋では簡単に抜けだされてしまう。
かと言って、見張りをつければ乱されてしまう。
そして何よりも、狂気を操る”レイセン自身が狂ってしまっていた”とあれば、月も迂闊に手を出せなかったのです。
(………………)
自らの持つ力のせいでまともな治療も受けられないまま、お酒の猛烈な依存症状に苦しめられ続けるレイセン。
日々奇声を挙げ、爪が割れるまで壁をひっかき、落ち着いたかと思えばビクビクと痙攣を繰り返す。
そんな姿にかつての栄華の影もなく、もはや一匹の獣同然でした。
医者は飼い主に言いました。
「大丈夫。これは一時的な離脱症状。山場を越えればまた、回復に向かいます」と
飼い主は医者に言いました。
「自分が甘かった。永琳様の置き土産だからと甘やかしていた。これからは兎達を厳しく躾けるとしようと」と。
確かに、お酒の病気を治すには断酒しかありません。
しかしレイセンの心に巣食う”鬼”から逃れるには、お酒しかない事を、二人は知りませんでした。
故に、「時間を掛ければ治るだろう」と言う二人の目論見は、後に最悪の結果を招きます。
時間を掛ければかけるほど、レイセンの心は押しつぶされていくのですから。
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