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永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」
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234 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/07(日) 12:13:26.32 ID:qbKvk9zbo
レイセン「――――その後の月はもう、前代未聞の大パニック」
レイセン「お偉いさんから下っ端まで、連日てんやわんやの阿鼻叫喚よ」
薬売り「そう……でしょうな」
レイセン「やれ誰かが降格になっただの、やれ責任問題がどうこうのだの……ま、その辺は言われなくても想像つくわよね」
嘘から出た真とはまさにこの事か……
レイセンが永琳を陥れる為に吹聴して回った「嘘」が、よもや現実の物となろうとは。
それもただの事実ではない。
永琳が起こした現実は、レイセンの好き勝手な嘘よりも、より一層奇怪千万であったのだ。
レイセン「もちろん番兎達も死ぬほど探し回ったわよ。みんなで休みなく、目を真っ赤にしてさぁ」
薬売り「それは……元からじゃないですか」
レイセン「アホ、そっちじゃなくて瞼の方よ。人間だって、疲れてると瞼が腫れたりするでしょ?」
まぁ、だろうな。
お江戸なら関わった者共がまとめて切腹に処される事態じゃ。
まさに織田信長公を討ち取った明智光秀が如く。
いや、この場合……女子供までもを手に掛けた、信長公の比叡山焼討ちが如くだな。
レイセン「でも……そうやって瞼を閉じる暇もなかった兎達の中で、一羽だけ瞼を”開く方が少なかった”兎がいた」
レイセン「目を閉じ、耳を閉じ、今もこうして口まで閉ざしている兎が一羽……」
信長公の過剰極まる”攻め”を知る者は、後に公をこのように揶揄したと言う。
「鬼」――――近しい者にとって、公は、人ならざる何かにして見えなかったのだろう。
そんな信長を同じく焼き討ちの目に合わせたのが、かの有名な明智光秀なのだが……
ひょっとすると光秀は、公を本気で”妖の類”と思っていたのかもしれんな。
レイセン「――――それが」
うどんげ「…………」
この黙す兎と、同じように。
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