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永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」
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以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/05(金) 11:06:36.30 ID:/9MplgHao
(はい出た現実逃避。もういいから、そーゆーの)
(いい事? こいつはね……こうやって事実を捻じ曲げて、自分に都合の悪い事はなかったことにする悪癖があるの)
(だから、騙されちゃダメよ……今のこいつは、あんたから”言い逃れる”事しか頭にないんだから)
薬売り「見ざる聞かざる言わざる……っと失敬。あれは猿でしたな」
(まぁ似たよーなもんよ。むしろ学ばない分、そこらのエテ公よりタチが悪いわ)
(現実と絶対に目を合わせようとしない……目を逸らしたまま、事が過ぎ去るのを、ただ待つだけ)
(そーやって知らぬ存ぜぬってやってるから、何度も落ちるのよ)
(次から次へと……どっかの穴にね)
薬売り「ならば声よりも、直接見せた方が速いのでは……」
(同感ねちんどん屋。気が合うついでに”形”貸して下さらない?)
(無駄に大量所持してるあの札でいいわ。キモいデザインだけど、今のコイツにはむしろ効果的だし)
薬売り「よろしいので……? また、封じられますよ」
(だって、あんたの札……まるで”目”みたいなんだもん)
(あたしと同じ、赤い目……全てを狂わす狂気の瞳)
薬売り「そこまで言うなら……では」
そしてわけのわからぬままに、その誰かの指示に応えたらしき薬売りは、形と称して札をバラまき始めた。
薬売りの持つあの、赤い目玉のような模様の札である。
その札の束が、薬売りの荷の中から一人でに飛び出て行く。
ブワリ・バラバラ。ハラリヒラリ……まるでその場にだけ突風が吹いているように。
薬売り「姉弟子様の、おおせのままに……」
うどんげ「バッ―――― や め ろ ! 」
そしてヒラヒラと舞い散る札が、今度は一枚一枚、緩やかに集まり始めた。
ペタリ、ペタリ、またペタリ――――
重なりに重なりを重ね、いつしか、確かなる形が出来上がっていくではないか。
(栄えすぎて、皆が皆腐り堕ちていく哀れな都…………ねえ)
(ホント、どの口が言ってんだか……出まかせにしたって、よくぞそこまで言えたもんよね)
(文明に胡坐をかいて、怠惰を貪っていたのは……月には”たった一羽しかいなかった”のに)
【形】
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