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永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」
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196 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/04(木) 21:18:07.92 ID:jSwuJJZ7o
うどんげ「だってあんた、気づいてる? 今まで攫われた人達……」
うどんげ「よく考えたら、みんな”蓬莱の薬の服用者”なのよ。永遠を手にした、本物の不死者達よ」
うどんげ「そんな不死の存在が”殺された”なんてのは、まず絶対にありえない」
うどんげ「モノノ怪だかなんだかしんないけど、薬が齎す”永遠”すら侵すとは、到底思えない」
蓬莱の薬――――かつて時の権力者が命を賭して欲した、不老不死の秘薬。
その効能は、語り継がれし伝承よりも、よりすざましき物であった。
曰く、仮に御身が細切れになろうとも、髪の一本程度もあれば瞬く間に再生する事が可能との事である。
納得に足る、推察である。
確かにその効果を持ってすれば、まず亡き者になる事はないであろう。
それが仮に、人の道理から外れたモノノ怪の所業であろうとも。
うどんげ「だからさ……もしかしたら」
うどんげ「”匿ってる”んじゃないか……って。そう思えなくも、なくってさ」
薬売り「匿う……? モノノ怪が……?」
「モノノ怪が人を匿っている」。
不可思議極まりない結論ではあるが、それでもあくまで個人の感想なのだから、そこは何も言うまい。
ではモノノ怪は、永遠亭の連中を「何から匿っている」と言うのか。
その答えは至極単純である。
月の者しか存ぜぬ、月の者にしか訪れぬ、月の者にとって、モノノ怪よりも恐ろしき存在と言えば……
それは、ただの一つしかないのである。
うどんげ「月の使者――――あいつらは未だ、私達を探している」
薬売り「……」
逃亡者の末路はいつだって二択しかない。
逃げ切るか、捕まるか――――。
玉兎はすでに立っていたのだ。命運分かつ二つの岐路の、その瀬戸際に。
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