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永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/03/25(土) 19:44:30.63 ID:kgVuRa44o
永琳「ただの薬売りさんが、こんな辺鄙な場所に何の御用かしら?」
薬売り「言えね……あっし、最近ここらで商いを始めまして」
薬売り「こちらに越してはや三月、四六時中足を棒にして薬を売りに渡っているのですが……が」
薬売り「どういうわけか、ここの人たちはみな、とんと薬を欲しがりませんで……」
永琳「はぁ……」
薬売り「不思議に思い人々に訪ねてみたんですよ。”皆々様、薬もなしにどうやって病気を治しているので?” と」
薬売り「するとどうでしょう。皆、口を揃えて言うではありませんか」
うどんげ「ははーんなるほど、つまり……」
薬売り「”永遠亭の人から薬を買ってるから必要ない”、と……」
うどんげ「商売敵なわけね!」
永琳「あらあら、それは……」
【永遠亭】――――序の幕
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1490438670
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/25(土) 19:51:43.49 ID:kgVuRa44o
薬売り「このままじゃあっしの薬が売れませんで……」
うどんげ「お師匠様、これはきっとあれよ! 競合事業のショバ争いって奴だわ!」
うどんげ「見てよこのいかにも怪しい格好。どうせ前の場所でインチキな薬でも売りつけて逃げてきたんだわ」
永琳「もう、よしなさいな」
うどんげ「残念だったわね、薬売り。あんたには悪いけど〜……」
うどんげ「この幻想郷には、お師匠様以上の薬師はいないわ! 最初っから、あんたの出る幕なんてないのよ!」
薬売り「はて、一体どういうわけで……」
うどんげ「聞いて驚きなさい……今あんたがショバ争い吹っかけてるこの御方は――――その名も”八意永琳”」
うどんげ「この名、同じ薬売りが知らないとは言わせないわよ!」ビシ
薬売り「ほう……! あなた様があの……」
チーン
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/03/25(土) 19:58:45.52 ID:kgVuRa44o
うどんげ「ここらの薬はお師匠様が一手を担ってるわ。もちろん、顧客全員からも大好評よ」
うどんげ「この辺の人間は本物の薬を知ってる。と言うわけで、師匠様の薬以外買う奴なんていやしない」
薬売り「本物の薬……ですか」
うどんげ「あんたのようなインチキ薬師に引っかかる奴なんていないわよ? だから……」
うどんげ「勝ち目のない争いは諦めて……観念して立ち去るといいわ!」ビシィ
永琳「もう……申し訳ありません、無礼な弟子で」
うどんげ「ふん!」
薬売り「いやはやしかし、かの高名な八意の賢者様が、よもやこのような場所におられたとは……」
薬売り「どーりで、一つも売れないと思いましたよ」ハァ
うどんげ「次からは商う前にもっとリサーチを行うべきね」
うどんげ「顧客の情報収集は商売の基本よ、薬売りさん」
薬売り「いやはや、ごもっとも。ご高説痛み入ります……」
薬売り「うっかり・うっかり」ポン
うどんげ「ふふん」ドヤ
永琳「……」
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/25(土) 20:09:51.06 ID:kgVuRa44o
薬売り「では、しょうがない……またどこか、新天地を探しに旅立ちますかな」
薬売り「風の向くまま、気の向くまま。浮世の風向き幾然う然う……」
うどんげ「あんた、薬売りよりちんドン屋の方が向いてると思うわ」
薬売り「ふふ、よく言われます……」
薬売り「では……これにて失敬……」
シャーン
永琳「待ちなさい」
うどんげ「え」
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/03/25(土) 20:20:28.33 ID:kgVuRa44o
薬売り「……何か?」
永琳「あなた、ここに来る前はどこで商いをしていたの?」
薬売り「……さぁねえ。あっしは流浪の薬売り。定住を持たず、この足で渡り歩くしか知りませんで」
薬売り「最後に薬を売ったのは……はて、あれは一体どこだったか……」
永琳「では……こちらなら覚えておいでですよね?」
永琳「薬師なら無論……”最後に売った薬”は覚えておいでなはず」
薬売り「ああっ、もちろん、それなら覚えてますとも」
うどんげ「お師匠様、なんでそんな事を……?」
永琳「してそれは」
薬売り「あの時求められたのは……霞やボヤけを取り、視界の鮮明さを取り戻す薬……」
薬売り「所謂……”目薬”って奴でさぁ」ニヤ
永琳(…………!)
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/25(土) 20:29:54.90 ID:6MR2ywnDO
あらお懐かしい
姿と真と理を得なければ斬れないんですよね、モノノケは
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/25(土) 20:32:44.85 ID:kgVuRa44o
薬売り「では、これにて……」
うどんげ「帰れ帰れー!」
永琳「……お待ちなさい」
うどんげ「え」
永琳「……許可します」
薬売り「ほぉ……?」
永琳「――――この地で薬の商いを行う事、私が責任を持って許可します」
うどんげ「……えぇぇぇぇ〜〜〜〜!?」
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/03/25(土) 20:40:37.86 ID:kgVuRa44o
永琳「これからは”永遠亭の薬師”と名乗りなさい。さすればきっと人々は、あなたの薬を買い求めるでしょう」
薬売り「これはこれは、願ってもない申し出で……」
うどんげ「ちょっとちょっとお師匠様、一体どういうおつもりで!?」
うどんげ「そんな事したら、私とこいつは……!」
薬売り「姉弟子……という事になりますな」
うどんげ「や〜〜〜よそんなの! こんなうさんくさいちんどん屋みたいなのと同じ一門だなんて!」
永琳「イヤですか?」
うどんげ「と〜ぜんじゃない! そんな事するくらいなら(ry
永琳「だったら出て行きなさい」
うどんげ「 」
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/03/25(土) 20:47:51.62 ID:kgVuRa44o
永琳「私が門下を増やす事。嫌だと言うならどうぞ出ておいきなさい」
永琳「これは私が八意の名において下す判断。異を唱えるなら、八意の名の届かぬどこへでも……」
うどんげ「そ、そんなぁ〜……」
永琳「出ていきたくなければ、辛抱なさい」
永琳「いくら異を唱えても、私の決定は覆りません」
うどんげ「……でもでも、そんな事言ったって、そもそもこいつが断れば!」
うどんげ「ほら、あんたも言い返しなさいよ! あんただってあるでしょ!? イチ薬師のプライドとか(ry
薬売り「――――不束者でございますが、何卒よしなに、願い申し上げ候(正座」
うどんげ「チョロすぎんのよ!」ガーン
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