王「我が娘が騎士になりたいと言ってるのだが……」女騎士「姫様が?」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/28(火) 22:04:11.46 ID:oQACj8i2o
隊長「そもそもあの朝食は早朝に訓練して、午前と午後にきつい訓練を課せられる候補生に食わせるようだぞ」

騎士「一度、お見せしておくのも良いかと考えたのです」

隊長「本気で姫騎士にでもさせるのか」

騎士「いいえ。今日は姫様に騎士の全貌を見せたいのです。候補生は何をしているのか。そして騎士となったら何をするのか」

隊長「そういう作戦かぁ」

騎士「姫様は良くも悪くも『騎士』を童話の世界に出てくる勇者や英雄と同一視している節がありますから」

隊長「ふぅん。ま、だろうな」

姫「すっきりしました」

騎士「お帰りなさい。けれど、その報告は不要です」

姫「そうなの?」

隊長「改めまして。ようこそ姫様。この汗臭い場所へ」

姫「お邪魔してます。せんせー、ここではなにするの?」

騎士「ここは騎士隊に所属する者たちが集う場所。他の兵や候補生憧れの一室とも言えるでしょう。かくいう私も強い憧れがあり、いつかここで働きたいと毎日願っていたものです」

隊長「願いがかなってよかったなぁ」

姫「それなら私も毎日おねがいする!」
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/28(火) 22:58:44.84 ID:oQACj8i2o
騎士「ここでは歴戦の騎士たちが切磋琢磨し、毎日、毎晩のように熱い作戦会議なるものをしていると思っていましたが」

騎士「やることといえば、報告書や始末書の作成が主ですからね」

隊長「作戦会議なんてのは現場でやるもんだ。ここは事後処理をする以外に使い道なんてねえよ」

騎士「任務がない日も提出しなければいけない書類が多いのもかなり面喰いましたが」

隊長「はっはっは。俺たちは王国最強の部隊であると同時に、この国に仕える一兵士でしかない。地味な反復訓練と手が攣りそうになるほど書類整理に追われるのは当然だな」

姫「お仕事なくても何か書くの?」

騎士「休暇は流石に除きますが、日報の提出が義務化されています。『騎士』は国を代表する兵でありことから、日々の行動にも気を付けなければいけません」

騎士「他の者の規範となるように、民にとって理想の兵士であるように。騎士隊一人一人が心がけていなくてはなりません」

隊長「つっても、遠征から帰ってきたあとは、山のように報告書は書かなくちゃいけねえからなぁ。始末書なんかも毎回数人が書いてる」

姫「せんせーも始末書、かくの?」

騎士「無論、書く時もあります。今回は書かなくてもいいですけど」

隊長「一度遠出すりゃあ、物損なんかは必ずと言っていいほどあるからな。無い方が珍しいぐらいだ」

騎士「そうだ。折角ですから報告書の作成を行います。姫様も見学されますか」

姫「しますっ」

隊長(『騎士』としての日常を見せるか。気合入りまくってる候補生どもをがっかりさせるには効果的だろうが、姫様にはどう映るんだろうなぁ)
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/28(火) 23:08:21.10 ID:oQACj8i2o
騎士「……」カキカキ

姫「……」

騎士「よし。これで完成です」

姫「みてもいいの?」

騎士「どうぞ」

姫「わーいっ」

騎士「さて、次だ」

姫「ええと……。うーん……? んー……?」

騎士「……」カキカキ

姫「せんせー、よんでっ」

騎士「今、報告書を書いていますので後ほどでよろしいですか」

姫「何枚書くの?」

騎士「十日分の報告書ですから10枚以上にはなるかと」

姫「そんなに!?」

騎士「はい。騎士の義務ですので」
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/28(火) 23:24:37.90 ID:oQACj8i2o
姫「木の剣は振らないの?」

騎士「それは早朝の訓練時か自主訓練のときだけですね」

姫「自主訓練はいつするの?」

騎士「夕方か夜になります」

姫「それまではずっと報告書、書いてるの?」

騎士「ずっとではありませんが、午前と午後は剣を振る時間よりこうしているほうが多いですね」

姫「悪者やっつけにいかないの」

騎士「悪者はそう簡単に見つかりませんし、見えるところにたくさんいるわけでもありませんから」

姫「そうなんだ……」

騎士「はい」

姫「馬に乗って、剣を振ってるのみたことあるけど、それはいつするの」

騎士「それは騎士隊の定期合同訓練日にすることです。月に一度だけですね」

隊長「乗馬訓練は候補生のときに飽きるほどやらされるんです。『騎士』になるころには一流でなくちゃいけませんからね」

姫「馬に乗るところも、あんまり見れないんだ」

騎士「騎士隊候補生が何をしているのかも、後で見に行きましょう。騎士に成る上では避けては通れない道ですので」
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/29(水) 00:04:28.59 ID:HpKYQc8go
姫「みますっ! そこは剣でキンッキンッってやったり、馬に乗ったりしてるんでしょ!?」

騎士「そうした訓練の時間に立ち会えれば見ることもできますが、必ずしも候補生が剣術や馬術を磨いているとは限りません」

姫「どうして? 騎士になるなら、たくさん剣を振らなきゃいけないんじゃないの?」

騎士「戦闘能力が高いだけで『騎士』になれるのなら、私は恐らくここには入れていないでしょう」

姫「どうして……? よくわからないけど」

隊長「そんな難しいことを言っても理解できるわけないだろ」

騎士「すみません、姫様。ですが、知っておいてほしいのです」

姫「なにを?」

騎士「私はただの兵士。『騎士』という称号を運よく掴むことができただけなんです」

騎士「姫様が思い描くような勇者ではありません」

姫「……」

隊長「それが難しいってんだよ」

騎士「そ、そうですか」

姫「やっぱり、わかんない。ごめんなさい」

騎士「いえ。私もどう説明したらいいのか……。申し訳ありません」
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/29(水) 20:07:50.31 ID:IM5XM2iUO
面白い
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/30(木) 00:11:13.12 ID:0pbUDn0tO
隊長すき
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/06(木) 19:05:59.88 ID:GhX+5VOio
待ってる
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/03(水) 01:59:28.80 ID:4Rm0FB6Xo
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/29(月) 16:53:48.53 ID:X515PZofO
面白かったのに
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/12(水) 17:33:20.02 ID:FO/WkdNt0
あああ
77.64 KB Speed:0   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 新着レスを表示
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)