フレンズは繁栄しました【人退×けもフレ】

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69 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/03/16(木) 19:11:33.46 ID:mBfbfeoZ0
「詳しく教えて下さい! その、セロリ何とかや珊瑚スターの事を!」

 わたしはカバさんに頼み込みました。

 そして悟るのです。カバさんからの説明を受け、わたしは自分の予感が正しかったことを。

 ジャパリパーク。どうやら国連調停理事会始まって以来の、超広域大規模童話災害の現場に間違いありません。わたしは頭を抱えました。
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:11:49.63 ID:18v6C6ooO
>>69
>「詳しく教えて下さい! その、セロリ何とかや珊瑚スターの事を!」

> わたしはカバさんに頼み込みました。

> そして悟るのです。カバさんからの説明を受け、わたしは自分の予感が正しかったことを。

> ジャパリパーク。どうやら国連調停理事会始まって以来の、超広域大規模童話災害の現場に間違いありません。わたしは頭を抱えました。
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:11:56.68 ID:SZvPzP0EO
 わたしは助手さんを連れて件の無人島に最寄りの里まで赴きました。まずはそこで情報収集です。事前情報のない冒険など死にに行くことと同義ですから。

「姐さん、集まった情報なんですが……」

 月に行ってから妙に饒舌になった助手さんが、メモ片手に報告してくれます。

「どうも昔、あの島は『サファリパーク』と呼ばれる観光施設だったそうです」

「ああ、あの動物園の進化版みたいなやつですか?」

 人類が繁栄を享受していたころ、世界中に生息する珍しい動植物を集め、鑑賞目的に展示するという施設が人気を博していたと歴史書は記しています。衰退するにしたがってそういった娯楽施設は真っ先に閉鎖されており、現在地球上のどこにも存在していません。

 サファリパークというのは動物園よりもより野生に近い状態で動物たちを飼育する施設だったといわれています。
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:12:04.78 ID:Us2hQG+FO
 Yによると、仕事熱心なその調停官さんは未確認集落へ出かけたっきり音信不通となり、すでに1か月が経過したというのです。ここに至って国連はその調停官が不測の事故により遭難したと認定、救助隊を派遣することを決定したのだそう。

「……で、なんでそれがうちに?」

「あんた、1人で月行ったり何やかんやしたりしてるだろ? 例の無人島ってのがなんかいわくつきらしくて冒険になれたあんたを先遣隊として派遣しようってなったってさ」

「わたしの仕事は冒険家でも救助隊でもないんですけど!」

「悪目立ちしたあんたが悪い」

 Yが無情にも突き放します。ああ、なぜでしょう。安全な後方任務……、ではなく今日日珍しいホワイトカラーの閑職に就いたというのにこの仕打ちは……。

「ほら、人命かかってるんだから早く行きなよ」

「うう……」

 Yのあんまりにもっともな言葉に、わたしは素直に要請を承諾せざるを得なかったのでした。
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:12:12.30 ID:0iWzKKQPO
―――


 対峙する私たち三人を残して、絵里は一足先に廃工場内へと進んでゆきました。
 凛と花陽も進行を妨げることはなく、素直に絵里を通しました。


凛「……これで準備は整ったかな」

海未「ええ。絵里を通して貰い感謝します」

花陽「戦う相手は海未ちゃんだから。こっち、ついてきて」


 二人に従い、私もまた一足遅れて廃工場内へと踏み入りました。

 案内されたのは、ことりと絵里が上がった階段の先ではなく、一階フロアの奥でした。
 居並ぶのは、鉄製のクレーンやコンベア、人が何人も入りそうな大型タンクの列、それらを繋ぐ配管の数々。
 もう稼働することのない大型機器類や使用されぬまま放置された廃材が埃を被った状態で残されている、薄暗く湿った旧作業場でした。
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:12:20.17 ID:lYsqF6xWO
「人間?」

「……住民でない、という意味です」

「あら、さばんなちほーの外からいらしたの?」

「いえ、そのジャパリパークの外です」

 そういうと、カバさんの目が点になりました。

「……パークの外?」

 まるで今までの自分を見ているかのようです。つまり、『相手が何を言っているのか全く分からない』といった顔。

「……やってしまいました」

 わたしは思わずつぶやきます。とんでもないところに来てしまった予感がしました。

「大丈夫かしら、あなた」

「ええはい、大丈夫です」

「ううん……、あなた、私と同じカバではありませんわよね? 尻尾もない、羽もない・・・・・・。以前お会いしたかばんさんのような方ですわねぇ」

「……私と同じような方がいらしたんですか?」

 カバさんの言葉が引っ掛かりました。

 彼女の発言から察するに、私と同じ、つまり、動物の格好をしていない人がいたという事でしょう。

「ええ。あなたのように特に特徴もない方でしたわ。自分の縄張りも何のフレンズかもわからないという事だったのでサーバルが図書館に連れていったのですの」

「……その、かばんさん? は他になにかおっしゃってましたか?」

「うーん。セルリアンやサンドスターのこともよく知らない子でしたし、あなたと同じで今年生まれた子かもしれないわねぇ」
75 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/03/16(木) 19:13:29.24 ID:mBfbfeoZ0
ひとまず今日は以上です。

ヤバい……、思ってたより長くなりそう……。
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:13:53.34 ID:Q6mx5aXtO
>>75
Aqoursの好感度スレまとめ

善子 →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1482032895/

曜 →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487678425/

ルビィ →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487668185/

千歌 →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487693644/
>>2
ダイヤ →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487770928/

花丸 → http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1487777497/

梨子→ http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1488373777/

果南→ http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1488454481/

鞠莉→ http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1488464531/
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:14:00.63 ID:bsgL/vS6O
>>75
スレ汚し失礼します

★★★自治スレより重要なお知らせ★★★
>>2
ラブライブ!板で違反スレの乱立、スクリプトによる保守を目的とした板荒らしに対策するため板設定の変更に関する投票を行います
賛成/反対の投票ですので投票お願いします。


投票日:2017年3月12日


詳しくは
自治スレ、荒らし報告相談 Part.5
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1489154599/
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:14:08.88 ID:YTyx5MifO
>>75
9 名前:名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@無断転載は禁止 [sage] :2017/03/11(土) 00:32:29.95 ID:DV9Bek1G
曜「梨子ちゃん♪行こ?」
>>2
梨子「え、ええ…」

曜「どう?学校には慣れた?」

梨子「うーん…まだ、かな…
曜ちゃん以外に喋る子あんまりいないし…」

曜「そうなの?そっかぁ…」

梨子「うん…」

曜「さ、着替えよっか」

梨子「そ、そうね」
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:14:16.82 ID:U1bvcPpnO
>>75
1 名前:名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@無断転載は禁止 [sage] :2017/03/11(土) 00:24:27.16 ID:DV9Bek1G
アニメ本編とは別時空です
>>2
梨子「はぁ…転校して来た途端変な人に絡まれるし付いてないな…私…」

曜「ん?あっ、転校生の子だ♪」

梨子「あ、どうも」ペコリ

曜「千歌ちゃんに追いかけられてばっかりで大変そうだね」アハハ

梨子「千歌ちゃん…あぁ、うん…そうですね…」

曜「んーと…同い年だからタメ口でいいよ?」

梨子「そっか、じゃあそうするね
えーっと…」

曜「あっ、私?私は渡辺曜!曜でも曜ちゃんでも好きに呼んでね♪」

梨子「ふふっ、じゃあ曜ちゃんて呼ぼうかしら」

曜「了解♪じゃあ私は梨子ちゃんって呼ぶね!」
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:14:24.71 ID:EMoIfSoHO
>>75
 わたしは助手さんを連れて件の無人島に最寄りの里まで赴きました。まずはそこで情報収集です。事前情報のない冒険など死にに行くことと同義ですから。

「姐さん、集まった情報なんですが……」

 月に行ってから妙に饒舌になった助手さんが、メモ片手に報告してくれます。

「どうも昔、あの島は『サファリパーク』と呼ばれる観光施設だったそうです」

「ああ、あの動物園の進化版みたいなやつですか?」

 人類が繁栄を享受していたころ、世界中に生息する珍しい動植物を集め、鑑賞目的に展示するという施設が人気を博していたと歴史書は記しています。衰退するにしたがってそういった娯楽施設は真っ先に閉鎖されており、現在地球上のどこにも存在していません。

 サファリパークというのは動物園よりもより野生に近い状態で動物たちを飼育する施設だったといわれています。
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:14:32.17 ID:fYwKrXWrO
 Yによると、仕事熱心なその調停官さんは未確認集落へ出かけたっきり音信不通となり、すでに1か月が経過したというのです。ここに至って国連はその調停官が不測の事故により遭難したと認定、救助隊を派遣することを決定したのだそう。

「……で、なんでそれがうちに?」

「あんた、1人で月行ったり何やかんやしたりしてるだろ? 例の無人島ってのがなんかいわくつきらしくて冒険になれたあんたを先遣隊として派遣しようってなったってさ」

「わたしの仕事は冒険家でも救助隊でもないんですけど!」

「悪目立ちしたあんたが悪い」

 Yが無情にも突き放します。ああ、なぜでしょう。安全な後方任務……、ではなく今日日珍しいホワイトカラーの閑職に就いたというのにこの仕打ちは……。

「ほら、人命かかってるんだから早く行きなよ」

「うう……」

 Yのあんまりにもっともな言葉に、わたしは素直に要請を承諾せざるを得なかったのでした。
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:14:39.94 ID:OX3WJGy4O
―――


 対峙する私たち三人を残して、絵里は一足先に廃工場内へと進んでゆきました。
 凛と花陽も進行を妨げることはなく、素直に絵里を通しました。


凛「……これで準備は整ったかな」

海未「ええ。絵里を通して貰い感謝します」

花陽「戦う相手は海未ちゃんだから。こっち、ついてきて」


 二人に従い、私もまた一足遅れて廃工場内へと踏み入りました。

 案内されたのは、ことりと絵里が上がった階段の先ではなく、一階フロアの奥でした。
 居並ぶのは、鉄製のクレーンやコンベア、人が何人も入りそうな大型タンクの列、それらを繋ぐ配管の数々。
 もう稼働することのない大型機器類や使用されぬまま放置された廃材が埃を被った状態で残されている、薄暗く湿った旧作業場でした。
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:14:47.67 ID:Jg0BRqrYO
「人間?」

「……住民でない、という意味です」

「あら、さばんなちほーの外からいらしたの?」

「いえ、そのジャパリパークの外です」

 そういうと、カバさんの目が点になりました。

「……パークの外?」

 まるで今までの自分を見ているかのようです。つまり、『相手が何を言っているのか全く分からない』といった顔。

「……やってしまいました」

 わたしは思わずつぶやきます。とんでもないところに来てしまった予感がしました。

「大丈夫かしら、あなた」

「ええはい、大丈夫です」

「ううん……、あなた、私と同じカバではありませんわよね? 尻尾もない、羽もない・・・・・・。以前お会いしたかばんさんのような方ですわねぇ」

「……私と同じような方がいらしたんですか?」

 カバさんの言葉が引っ掛かりました。

 彼女の発言から察するに、私と同じ、つまり、動物の格好をしていない人がいたという事でしょう。

「ええ。あなたのように特に特徴もない方でしたわ。自分の縄張りも何のフレンズかもわからないという事だったのでサーバルが図書館に連れていったのですの」

「……その、かばんさん? は他になにかおっしゃってましたか?」

「うーん。セルリアンやサンドスターのこともよく知らない子でしたし、あなたと同じで今年生まれた子かもしれないわねぇ」
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:17:13.61 ID:2wOuC+bo0
ラブライバーはラブライブ以外のSSも荒らすのか
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:19:52.84 ID:B5R/j3Ow0
乙!
これは"たのしさ"が乗算されそうなSSですね!
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:26:01.61 ID:UPSDpx56O
乙乙
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:30:02.72 ID:FSkBXnAGO
>>85
スレ汚し失礼します

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>>2
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88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:30:12.18 ID:sOgvkVF4O
>>85
 わたしは助手さんを連れて件の無人島に最寄りの里まで赴きました。まずはそこで情報収集です。事前情報のない冒険など死にに行くことと同義ですから。

「姐さん、集まった情報なんですが……」

 月に行ってから妙に饒舌になった助手さんが、メモ片手に報告してくれます。

「どうも昔、あの島は『サファリパーク』と呼ばれる観光施設だったそうです」

「ああ、あの動物園の進化版みたいなやつですか?」

 人類が繁栄を享受していたころ、世界中に生息する珍しい動植物を集め、鑑賞目的に展示するという施設が人気を博していたと歴史書は記しています。衰退するにしたがってそういった娯楽施設は真っ先に閉鎖されており、現在地球上のどこにも存在していません。

 サファリパークというのは動物園よりもより野生に近い状態で動物たちを飼育する施設だったといわれています。
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:30:21.35 ID:Y1e7pcEeO
>>85
 Yによると、仕事熱心なその調停官さんは未確認集落へ出かけたっきり音信不通となり、すでに1か月が経過したというのです。ここに至って国連はその調停官が不測の事故により遭難したと認定、救助隊を派遣することを決定したのだそう。

「……で、なんでそれがうちに?」

「あんた、1人で月行ったり何やかんやしたりしてるだろ? 例の無人島ってのがなんかいわくつきらしくて冒険になれたあんたを先遣隊として派遣しようってなったってさ」

「わたしの仕事は冒険家でも救助隊でもないんですけど!」

「悪目立ちしたあんたが悪い」

 Yが無情にも突き放します。ああ、なぜでしょう。安全な後方任務……、ではなく今日日珍しいホワイトカラーの閑職に就いたというのにこの仕打ちは……。

「ほら、人命かかってるんだから早く行きなよ」

「うう……」

 Yのあんまりにもっともな言葉に、わたしは素直に要請を承諾せざるを得なかったのでした。
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:30:29.12 ID:szyuCAM6O
>>85
「人間?」

「……住民でない、という意味です」

「あら、さばんなちほーの外からいらしたの?」

「いえ、そのジャパリパークの外です」

 そういうと、カバさんの目が点になりました。

「……パークの外?」

 まるで今までの自分を見ているかのようです。つまり、『相手が何を言っているのか全く分からない』といった顔。

「……やってしまいました」

 わたしは思わずつぶやきます。とんでもないところに来てしまった予感がしました。

「大丈夫かしら、あなた」

「ええはい、大丈夫です」

「ううん……、あなた、私と同じカバではありませんわよね? 尻尾もない、羽もない・・・・・・。以前お会いしたかばんさんのような方ですわねぇ」

「……私と同じような方がいらしたんですか?」

 カバさんの言葉が引っ掛かりました。

 彼女の発言から察するに、私と同じ、つまり、動物の格好をしていない人がいたという事でしょう。

「ええ。あなたのように特に特徴もない方でしたわ。自分の縄張りも何のフレンズかもわからないという事だったのでサーバルが図書館に連れていったのですの」

「……その、かばんさん? は他になにかおっしゃってましたか?」

「うーん。セルリアンやサンドスターのこともよく知らない子でしたし、あなたと同じで今年生まれた子かもしれないわねぇ」
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:30:37.54 ID:vDHV/FpiO
>>85
Aqoursの好感度スレまとめ

善子 →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1482032895/

曜 →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487678425/

ルビィ →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487668185/

千歌 →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487693644/
>>2
ダイヤ →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487770928/

花丸 → http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1487777497/

梨子→ http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1488373777/

果南→ http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1488454481/

鞠莉→ http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1488464531/
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:30:47.82 ID:FvyTXKyOO
>>85
スレ汚し失礼します

★★★自治スレより重要なお知らせ★★★
>>2
ラブライブ!板で違反スレの乱立、スクリプトによる保守を目的とした板荒らしに対策するため板設定の変更に関する投票を行います
賛成/反対の投票ですので投票お願いします。


投票日:2017年3月12日


詳しくは
自治スレ、荒らし報告相談 Part.5
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1489154599/
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:30:55.50 ID:4/YaLD5gO
>>85
―――


 対峙する私たち三人を残して、絵里は一足先に廃工場内へと進んでゆきました。
 凛と花陽も進行を妨げることはなく、素直に絵里を通しました。


凛「……これで準備は整ったかな」

海未「ええ。絵里を通して貰い感謝します」

花陽「戦う相手は海未ちゃんだから。こっち、ついてきて」


 二人に従い、私もまた一足遅れて廃工場内へと踏み入りました。

 案内されたのは、ことりと絵里が上がった階段の先ではなく、一階フロアの奥でした。
 居並ぶのは、鉄製のクレーンやコンベア、人が何人も入りそうな大型タンクの列、それらを繋ぐ配管の数々。
 もう稼働することのない大型機器類や使用されぬまま放置された廃材が埃を被った状態で残されている、薄暗く湿った旧作業場でした。
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:31:04.64 ID:J5psguFqO
>>85
 わたしは助手さんを連れて件の無人島に最寄りの里まで赴きました。まずはそこで情報収集です。事前情報のない冒険など死にに行くことと同義ですから。

「姐さん、集まった情報なんですが……」

 月に行ってから妙に饒舌になった助手さんが、メモ片手に報告してくれます。

「どうも昔、あの島は『サファリパーク』と呼ばれる観光施設だったそうです」

「ああ、あの動物園の進化版みたいなやつですか?」

 人類が繁栄を享受していたころ、世界中に生息する珍しい動植物を集め、鑑賞目的に展示するという施設が人気を博していたと歴史書は記しています。衰退するにしたがってそういった娯楽施設は真っ先に閉鎖されており、現在地球上のどこにも存在していません。

 サファリパークというのは動物園よりもより野生に近い状態で動物たちを飼育する施設だったといわれています。
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:31:11.92 ID:xxv6440GO
>>85
 Yによると、仕事熱心なその調停官さんは未確認集落へ出かけたっきり音信不通となり、すでに1か月が経過したというのです。ここに至って国連はその調停官が不測の事故により遭難したと認定、救助隊を派遣することを決定したのだそう。

「……で、なんでそれがうちに?」

「あんた、1人で月行ったり何やかんやしたりしてるだろ? 例の無人島ってのがなんかいわくつきらしくて冒険になれたあんたを先遣隊として派遣しようってなったってさ」

「わたしの仕事は冒険家でも救助隊でもないんですけど!」

「悪目立ちしたあんたが悪い」

 Yが無情にも突き放します。ああ、なぜでしょう。安全な後方任務……、ではなく今日日珍しいホワイトカラーの閑職に就いたというのにこの仕打ちは……。

「ほら、人命かかってるんだから早く行きなよ」

「うう……」

 Yのあんまりにもっともな言葉に、わたしは素直に要請を承諾せざるを得なかったのでした。
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:31:20.30 ID:NerpGtJZO
>>85
「人間?」

「……住民でない、という意味です」

「あら、さばんなちほーの外からいらしたの?」

「いえ、そのジャパリパークの外です」

 そういうと、カバさんの目が点になりました。

「……パークの外?」

 まるで今までの自分を見ているかのようです。つまり、『相手が何を言っているのか全く分からない』といった顔。

「……やってしまいました」

 わたしは思わずつぶやきます。とんでもないところに来てしまった予感がしました。

「大丈夫かしら、あなた」

「ええはい、大丈夫です」

「ううん……、あなた、私と同じカバではありませんわよね? 尻尾もない、羽もない・・・・・・。以前お会いしたかばんさんのような方ですわねぇ」

「……私と同じような方がいらしたんですか?」

 カバさんの言葉が引っ掛かりました。

 彼女の発言から察するに、私と同じ、つまり、動物の格好をしていない人がいたという事でしょう。

「ええ。あなたのように特に特徴もない方でしたわ。自分の縄張りも何のフレンズかもわからないという事だったのでサーバルが図書館に連れていったのですの」

「……その、かばんさん? は他になにかおっしゃってましたか?」

「うーん。セルリアンやサンドスターのこともよく知らない子でしたし、あなたと同じで今年生まれた子かもしれないわねぇ」
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:32:01.54 ID:vDTyE8pPo
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:39:32.87 ID:4EAcGfZy0
ゴミ作品信者がけもフレにすり寄ってくんな
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:45:35.97 ID:ZEqK7UE+0
>>98
けもフレとかいうぽっと出
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:50:12.40 ID:sII7Qh6M0
ラブライバーはけもフレSSを潰したくて必死なんだな
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:52:07.92 ID:Jx6120ulO
けもフレ単体のssは潰されてないじゃん
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 20:42:18.28 ID:NuVh1VUW0
けもフレ人気に便乗しようとしたゴミ作品
ゴミと混ぜたらゴミになるに決まってる
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 21:04:41.72 ID:W++n1NVwo
>>75
おつ
専ブラなら1のレスだけ抜粋して読めるからね
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/03/16(木) 22:09:02.59 ID:yUR+NsNV0
>>75
乙。取り敢えず屑ライバーと自治荒らしを誹謗中傷し尽くして運営にアク禁指定させてから改めて立てた方がよさそうな気がする。ハッピーたそ〜()やネトウヨあのさぁの事もあるからここでは徹底した方がいい
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 22:28:01.53 ID:TzzW/JbMO
わたしちゃん()
ゴミ作品とクロスすんのやめてね
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2017/03/16(木) 22:47:41.61 ID:l2M6VKvFo
>>75
乙ー次回を楽しみにしてる
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 22:54:40.95 ID:yQ1iuJxq0
けものフレンズは案外好かれてないのね
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 00:53:10.52 ID:t+bpqYqxo
>>1
けもフレアンチ乙
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 01:43:00.40 ID:PbQhsF720
ラブライバーがついにラブライブ以外のを潰しにかかったか
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 01:46:48.86 ID:rHsCdvw6O
>>1最低だな
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 01:49:08.50 ID:PtIyJb0Fo
他作品に寛容でない奴はフレンズではない
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 02:00:24.17 ID:Cm9RFdq4o
O$でNGIDすれば一発なのか
また一つ賢くなった

人退好きだからSS嬉しい乙
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 02:03:19.90 ID:XY2JPhnA0
けものフレンズ好きだけどけもフレの良いところがほとんど残ってないからこのssは嫌い
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 04:14:23.65 ID:AMCqsKn4O
ラブライバーならそうだと分かるような荒らし方しないだろ
ラブライバーに見せかけた対立煽り厨の犯行
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 04:15:27.16 ID:vG+oNPzZO
面白い
人退の雰囲気しっかり出てるわ
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 05:15:34.26 ID:ATbRwTNb0
感想を見て人退厨がけものフレンズを出汁にしてるって事はわかった
117 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/03/17(金) 12:30:34.50 ID:/oYud+ya0
 どうもこのジャパリパークは、動物が変化した存在、『フレンズ』たちが暮らしている場所だというのです。『フレンズ』はサンドスターという物質によって生み出され、またセルリアン、という天敵もいるとか。

 カバさんいわく、セルリアンを見た時はすぐに逃げることが一番良いそう。まあこっちは大した武器もありませんのでそうせざるを得ませんが。

「とりあえず、新入りの子に言うべきことはこれくらいかしらねぇ」

「ありがとうございます、何から何まで」

 カバさんはわたしのことを新しく生まれたフレンズだと思っているようです。

「いいのよ。あ、そうだ。あなたは自分が何のフレンズがわかっているのよねぇ?」

「え? まあ、はい」

「もしよかったら、かばんにそれを教えてあげてくれないかしら?」

 かばんさん。わたしと同じ特徴を持つ、つまりはわたしと同種の方。どうやら記憶喪失となり、自分の正体を探るべく図書館とやらに向かっているとか。

「はい。途中でお会いすれば」

「よろしくね。サーバルが道案内しているんだけれど、サーバルだものねぇ。私、不安で不安で」
118 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/03/17(金) 12:31:48.41 ID:/oYud+ya0
 よっぽど心配されるような方なんでしょうか、サーバルさん。

 しかし、ひとまず今後の方針が決まりました。かばんさんという人を回収しつつ外部に救助を求める。むちゃくちゃな気がしますが、一度月面や都市遺跡で遭難しますと、地球上だというだけで何とかなる気がしてしまいます。

「いーい? セルリアンにあったらかならず逃げるのよぉー」

「はーい」

 カバさんに別れを告げ、

「あなた弱そうだから、寝るときは木の上でねぇー」

「はーい……」

 えー、カバさんに別れを告げ、

「こまめに休憩するのよぉー」

「……はーいっ!!」

 里の世話焼きご婦人のような方でした。とても助かりましたが。

 わたしの姿が見えなくなるまでいろいろとおっしゃってくれたカバさんとお別れし、わたしは図書館への道を歩き始めました。

「……そういえば、妖精さんの姿を見ませんね」

 ふと気になりました。これだけ大規模な童話災害ともなれば、妖精さんはそれこそ溢れるほど存在しているはずなのに……。

 わたしはポシェットを漁ります。クッキーやビスケットの類は水を通さない保存紙で包んでいたおかげで無事です。金平糖やキャラメルの類も大丈夫。
119 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/03/17(金) 12:32:39.76 ID:/oYud+ya0
 わたしは金平糖の瓶をふたを開けて地面に置きました。

「妖精さーん」

 しかし、彼らは現れません。

「……ここの妖精さんは、シャイな方たちなんでしょうか」

 初心に戻って物陰に隠れこっそり瓶の様子を見守ります。しかし、妖精さんは一人として姿を見せませんでした。

「……妖精さんが、いない?」

 そんなはずはありません。彼らなしでは『フレンズ』という存在の説明がつかないからです。

 しかし待てど暮らせど、妖精さんは現れなかったのでした。

120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 12:35:18.22 ID:8Bkozjrpo
乙次回楽しみにしてるよ
普通に楽しいわこの雰囲気いいぞ


あと間抜けは無視してどうぞ
121 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/03/17(金) 12:36:37.24 ID:/oYud+ya0
 翌朝。

「……野宿の準備をしてくるべきでした」

 普段ベットを使っているわたしは、硬い地面のせいで痛む節々をほぐしながら起き上がりました。

 カバさんには申し訳ありませんが、木の上で眠るなどという芸当はできません。大人しく火を焚いて地面で一晩を明かしたのです。

 朝食代わりにクッキーを食べ、カバさんからいただいた水を飲みます。

 食事を終えしばらく歩きますと、

「……人工物ですよねぇ、これ」

 金属製のゲートがありました。テーマパークなんかによくありそうな門です。
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 12:37:57.94 ID:8Bkozjrpo
投下始まってたの気がつかなかった俺が間抜けだった
すみません
123 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/03/17(金) 12:38:27.67 ID:/oYud+ya0
 そばによってみますと、それほど腐食も進んでいません。

「比較的最近の施設なんでしょうか?」

 少し歩いた森の中には、この施設の地図と紙のパンフレットが残されていました。

 それらも原形をよくとどめています。パンフレットの劣化もほとんどありませんでした。

 都市遺跡などはほとんど植物に覆われてしまっていて、今ではその原型をとどめていません。

 たまにごく一部が妖精さんたちによって元の状態をとどめていることがありますが、彼らがいないここではそんなことは起こりえないはずなのです。

「あるとすれば、今でも誰かが保守管理を行っている、という事でしょうけど……」

 ジャングルの中の小道を進みながらぶつぶつとつぶやきます。この際、サバンナの隣に熱帯雨林があることは気にしません。

 ここにもフレンズたちが大勢いらっしゃりましたが、彼女たちを見ていると、一つのことがわかりました。

 わたしは最初、『動物の格好をした人間』だと思っていたんです。しかし実際の彼女たちは、『人間の格好をした動物』といった方がいいでしょう。

 この差は大きいです。『サンドスターによって動物がフレンズになった』というカバさんのお話を強く裏付けることになりますし。

 しかし、いかんせんヒントが少なすぎます。思考はすぐに袋小路に陥ってしまいました。

「……ま、考えても仕方ないですね」

 謎が謎を呼んでいる気がしますが、今大事なのはかばんさんの救出と里への帰還。ひとまずその辺もろもろの不思議は置いておきましょう。

124 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/03/17(金) 12:39:27.89 ID:/oYud+ya0
 と、気を取り直した矢先、

「……川」

 茶色く濁った急流がわたしの行く手を阻んでいたのでした。
125 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/03/17(金) 12:40:58.01 ID:/oYud+ya0
閲覧頂きありがとうございます!
ひとまず本日はここまでです。
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 13:31:23.65 ID:+b4OK8ut0
乙!
フレンズ達との微笑ましいやりとりが楽しみだぜ
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 15:52:07.10 ID:lp5x3SIy0

どっちも好きだからたのしみ
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 16:04:00.29 ID:EQ4306mGo
このSSは妖精さんはあまり出てきそうにないな
妖精さんにかしずかれていないわたしちゃんなんて、足の無いジオングみたいなもんじゃん
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 16:33:34.68 ID:cucKRg4so
それ割と動けるじゃねーか!
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 17:23:10.52 ID:n0efW+gDO
 わたしは助手さんを連れて件の無人島に最寄りの里まで赴きました。まずはそこで情報収集です。事前情報のない冒険など死にに行くことと同義ですから。

「姐さん、集まった情報なんですが……」

 月に行ってから妙に饒舌になった助手さんが、メモ片手に報告してくれます。

「どうも昔、あの島は『サファリパーク』と呼ばれる観光施設だったそうです」

「ああ、あの動物園の進化版みたいなやつですか?」

 人類が繁栄を享受していたころ、世界中に生息する珍しい動植物を集め、鑑賞目的に展示するという施設が人気を博していたと歴史書は記しています。衰退するにしたがってそういった娯楽施設は真っ先に閉鎖されており、現在地球上のどこにも存在していません。

 サファリパークというのは動物園よりもより野生に近い状態で動物たちを飼育する施設だったといわれています。
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 17:23:18.27 ID:647ovHzhO
 Yによると、仕事熱心なその調停官さんは未確認集落へ出かけたっきり音信不通となり、すでに1か月が経過したというのです。ここに至って国連はその調停官が不測の事故により遭難したと認定、救助隊を派遣することを決定したのだそう。

「……で、なんでそれがうちに?」

「あんた、1人で月行ったり何やかんやしたりしてるだろ? 例の無人島ってのがなんかいわくつきらしくて冒険になれたあんたを先遣隊として派遣しようってなったってさ」

「わたしの仕事は冒険家でも救助隊でもないんですけど!」

「悪目立ちしたあんたが悪い」

 Yが無情にも突き放します。ああ、なぜでしょう。安全な後方任務……、ではなく今日日珍しいホワイトカラーの閑職に就いたというのにこの仕打ちは……。

「ほら、人命かかってるんだから早く行きなよ」

「うう……」

 Yのあんまりにもっともな言葉に、わたしは素直に要請を承諾せざるを得なかったのでした。
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 17:23:25.45 ID:7cq2QtMaO
「人間?」

「……住民でない、という意味です」

「あら、さばんなちほーの外からいらしたの?」

「いえ、そのジャパリパークの外です」

 そういうと、カバさんの目が点になりました。

「……パークの外?」

 まるで今までの自分を見ているかのようです。つまり、『相手が何を言っているのか全く分からない』といった顔。

「……やってしまいました」

 わたしは思わずつぶやきます。とんでもないところに来てしまった予感がしました。

「大丈夫かしら、あなた」

「ええはい、大丈夫です」

「ううん……、あなた、私と同じカバではありませんわよね? 尻尾もない、羽もない・・・・・・。以前お会いしたかばんさんのような方ですわねぇ」

「……私と同じような方がいらしたんですか?」

 カバさんの言葉が引っ掛かりました。

 彼女の発言から察するに、私と同じ、つまり、動物の格好をしていない人がいたという事でしょう。

「ええ。あなたのように特に特徴もない方でしたわ。自分の縄張りも何のフレンズかもわからないという事だったのでサーバルが図書館に連れていったのですの」

「……その、かばんさん? は他になにかおっしゃってましたか?」

「うーん。セルリアンやサンドスターのこともよく知らない子でしたし、あなたと同じで今年生まれた子かもしれないわねぇ」
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 17:23:32.81 ID:dIKqJwnRO
 どうもこのジャパリパークは、動物が変化した存在、『フレンズ』たちが暮らしている場所だというのです。『フレンズ』はサンドスターという物質によって生み出され、またセルリアン、という天敵もいるとか。

 カバさんいわく、セルリアンを見た時はすぐに逃げることが一番良いそう。まあこっちは大した武器もありませんのでそうせざるを得ませんが。

「とりあえず、新入りの子に言うべきことはこれくらいかしらねぇ」

「ありがとうございます、何から何まで」

 カバさんはわたしのことを新しく生まれたフレンズだと思っているようです。

「いいのよ。あ、そうだ。あなたは自分が何のフレンズがわかっているのよねぇ?」

「え? まあ、はい」

「もしよかったら、かばんにそれを教えてあげてくれないかしら?」

 かばんさん。わたしと同じ特徴を持つ、つまりはわたしと同種の方。どうやら記憶喪失となり、自分の正体を探るべく図書館とやらに向かっているとか。

「はい。途中でお会いすれば」

「よろしくね。サーバルが道案内しているんだけれど、サーバルだものねぇ。私、不安で不安で」
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 17:23:40.13 ID:HC/6qjuWO
 よっぽど心配されるような方なんでしょうか、サーバルさん。

 しかし、ひとまず今後の方針が決まりました。かばんさんという人を回収しつつ外部に救助を求める。むちゃくちゃな気がしますが、一度月面や都市遺跡で遭難しますと、地球上だというだけで何とかなる気がしてしまいます。

「いーい? セルリアンにあったらかならず逃げるのよぉー」

「はーい」

 カバさんに別れを告げ、

「あなた弱そうだから、寝るときは木の上でねぇー」

「はーい……」

 えー、カバさんに別れを告げ、

「こまめに休憩するのよぉー」

「……はーいっ!!」

 里の世話焼きご婦人のような方でした。とても助かりましたが。

 わたしの姿が見えなくなるまでいろいろとおっしゃってくれたカバさんとお別れし、わたしは図書館への道を歩き始めました。

「……そういえば、妖精さんの姿を見ませんね」

 ふと気になりました。これだけ大規模な童話災害ともなれば、妖精さんはそれこそ溢れるほど存在しているはずなのに……。

 わたしはポシェットを漁ります。クッキーやビスケットの類は水を通さない保存紙で包んでいたおかげで無事です。金平糖やキャラメルの類も大丈夫。
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 17:23:49.08 ID:72dZEXxYO
 わたしは助手さんを連れて件の無人島に最寄りの里まで赴きました。まずはそこで情報収集です。事前情報のない冒険など死にに行くことと同義ですから。

「姐さん、集まった情報なんですが……」

 月に行ってから妙に饒舌になった助手さんが、メモ片手に報告してくれます。

「どうも昔、あの島は『サファリパーク』と呼ばれる観光施設だったそうです」

「ああ、あの動物園の進化版みたいなやつですか?」

 人類が繁栄を享受していたころ、世界中に生息する珍しい動植物を集め、鑑賞目的に展示するという施設が人気を博していたと歴史書は記しています。衰退するにしたがってそういった娯楽施設は真っ先に閉鎖されており、現在地球上のどこにも存在していません。

 サファリパークというのは動物園よりもより野生に近い状態で動物たちを飼育する施設だったといわれています。
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 17:23:55.74 ID:RU0pxp0HO
 Yによると、仕事熱心なその調停官さんは未確認集落へ出かけたっきり音信不通となり、すでに1か月が経過したというのです。ここに至って国連はその調停官が不測の事故により遭難したと認定、救助隊を派遣することを決定したのだそう。

「……で、なんでそれがうちに?」

「あんた、1人で月行ったり何やかんやしたりしてるだろ? 例の無人島ってのがなんかいわくつきらしくて冒険になれたあんたを先遣隊として派遣しようってなったってさ」

「わたしの仕事は冒険家でも救助隊でもないんですけど!」

「悪目立ちしたあんたが悪い」

 Yが無情にも突き放します。ああ、なぜでしょう。安全な後方任務……、ではなく今日日珍しいホワイトカラーの閑職に就いたというのにこの仕打ちは……。

「ほら、人命かかってるんだから早く行きなよ」

「うう……」

 Yのあんまりにもっともな言葉に、わたしは素直に要請を承諾せざるを得なかったのでした。
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 17:24:02.54 ID:L27/3gAFO
「人間?」

「……住民でない、という意味です」

「あら、さばんなちほーの外からいらしたの?」

「いえ、そのジャパリパークの外です」

 そういうと、カバさんの目が点になりました。

「……パークの外?」

 まるで今までの自分を見ているかのようです。つまり、『相手が何を言っているのか全く分からない』といった顔。

「……やってしまいました」

 わたしは思わずつぶやきます。とんでもないところに来てしまった予感がしました。

「大丈夫かしら、あなた」

「ええはい、大丈夫です」

「ううん……、あなた、私と同じカバではありませんわよね? 尻尾もない、羽もない・・・・・・。以前お会いしたかばんさんのような方ですわねぇ」

「……私と同じような方がいらしたんですか?」

 カバさんの言葉が引っ掛かりました。

 彼女の発言から察するに、私と同じ、つまり、動物の格好をしていない人がいたという事でしょう。

「ええ。あなたのように特に特徴もない方でしたわ。自分の縄張りも何のフレンズかもわからないという事だったのでサーバルが図書館に連れていったのですの」

「……その、かばんさん? は他になにかおっしゃってましたか?」

「うーん。セルリアンやサンドスターのこともよく知らない子でしたし、あなたと同じで今年生まれた子かもしれないわねぇ」
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 17:24:10.21 ID:tsq1XJGBO
 どうもこのジャパリパークは、動物が変化した存在、『フレンズ』たちが暮らしている場所だというのです。『フレンズ』はサンドスターという物質によって生み出され、またセルリアン、という天敵もいるとか。

 カバさんいわく、セルリアンを見た時はすぐに逃げることが一番良いそう。まあこっちは大した武器もありませんのでそうせざるを得ませんが。

「とりあえず、新入りの子に言うべきことはこれくらいかしらねぇ」

「ありがとうございます、何から何まで」

 カバさんはわたしのことを新しく生まれたフレンズだと思っているようです。

「いいのよ。あ、そうだ。あなたは自分が何のフレンズがわかっているのよねぇ?」

「え? まあ、はい」

「もしよかったら、かばんにそれを教えてあげてくれないかしら?」

 かばんさん。わたしと同じ特徴を持つ、つまりはわたしと同種の方。どうやら記憶喪失となり、自分の正体を探るべく図書館とやらに向かっているとか。

「はい。途中でお会いすれば」

「よろしくね。サーバルが道案内しているんだけれど、サーバルだものねぇ。私、不安で不安で」
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 17:24:18.01 ID:gju/6JZcO
 よっぽど心配されるような方なんでしょうか、サーバルさん。

 しかし、ひとまず今後の方針が決まりました。かばんさんという人を回収しつつ外部に救助を求める。むちゃくちゃな気がしますが、一度月面や都市遺跡で遭難しますと、地球上だというだけで何とかなる気がしてしまいます。

「いーい? セルリアンにあったらかならず逃げるのよぉー」

「はーい」

 カバさんに別れを告げ、

「あなた弱そうだから、寝るときは木の上でねぇー」

「はーい……」

 えー、カバさんに別れを告げ、

「こまめに休憩するのよぉー」

「……はーいっ!!」

 里の世話焼きご婦人のような方でした。とても助かりましたが。

 わたしの姿が見えなくなるまでいろいろとおっしゃってくれたカバさんとお別れし、わたしは図書館への道を歩き始めました。

「……そういえば、妖精さんの姿を見ませんね」

 ふと気になりました。これだけ大規模な童話災害ともなれば、妖精さんはそれこそ溢れるほど存在しているはずなのに……。

 わたしはポシェットを漁ります。クッキーやビスケットの類は水を通さない保存紙で包んでいたおかげで無事です。金平糖やキャラメルの類も大丈夫。
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 17:24:26.54 ID:eL+Z8jf5O
 わたしは助手さんを連れて件の無人島に最寄りの里まで赴きました。まずはそこで情報収集です。事前情報のない冒険など死にに行くことと同義ですから。

「姐さん、集まった情報なんですが……」

 月に行ってから妙に饒舌になった助手さんが、メモ片手に報告してくれます。

「どうも昔、あの島は『サファリパーク』と呼ばれる観光施設だったそうです」

「ああ、あの動物園の進化版みたいなやつですか?」

 人類が繁栄を享受していたころ、世界中に生息する珍しい動植物を集め、鑑賞目的に展示するという施設が人気を博していたと歴史書は記しています。衰退するにしたがってそういった娯楽施設は真っ先に閉鎖されており、現在地球上のどこにも存在していません。

 サファリパークというのは動物園よりもより野生に近い状態で動物たちを飼育する施設だったといわれています。
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 17:24:33.25 ID:NvVCUEZqO
 Yによると、仕事熱心なその調停官さんは未確認集落へ出かけたっきり音信不通となり、すでに1か月が経過したというのです。ここに至って国連はその調停官が不測の事故により遭難したと認定、救助隊を派遣することを決定したのだそう。

「……で、なんでそれがうちに?」

「あんた、1人で月行ったり何やかんやしたりしてるだろ? 例の無人島ってのがなんかいわくつきらしくて冒険になれたあんたを先遣隊として派遣しようってなったってさ」

「わたしの仕事は冒険家でも救助隊でもないんですけど!」

「悪目立ちしたあんたが悪い」

 Yが無情にも突き放します。ああ、なぜでしょう。安全な後方任務……、ではなく今日日珍しいホワイトカラーの閑職に就いたというのにこの仕打ちは……。

「ほら、人命かかってるんだから早く行きなよ」

「うう……」

 Yのあんまりにもっともな言葉に、わたしは素直に要請を承諾せざるを得なかったのでした。
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 17:24:40.14 ID:vTS3sWmXO
「人間?」

「……住民でない、という意味です」

「あら、さばんなちほーの外からいらしたの?」

「いえ、そのジャパリパークの外です」

 そういうと、カバさんの目が点になりました。

「……パークの外?」

 まるで今までの自分を見ているかのようです。つまり、『相手が何を言っているのか全く分からない』といった顔。

「……やってしまいました」

 わたしは思わずつぶやきます。とんでもないところに来てしまった予感がしました。

「大丈夫かしら、あなた」

「ええはい、大丈夫です」

「ううん……、あなた、私と同じカバではありませんわよね? 尻尾もない、羽もない・・・・・・。以前お会いしたかばんさんのような方ですわねぇ」

「……私と同じような方がいらしたんですか?」

 カバさんの言葉が引っ掛かりました。

 彼女の発言から察するに、私と同じ、つまり、動物の格好をしていない人がいたという事でしょう。

「ええ。あなたのように特に特徴もない方でしたわ。自分の縄張りも何のフレンズかもわからないという事だったのでサーバルが図書館に連れていったのですの」

「……その、かばんさん? は他になにかおっしゃってましたか?」

「うーん。セルリアンやサンドスターのこともよく知らない子でしたし、あなたと同じで今年生まれた子かもしれないわねぇ」
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 17:24:47.66 ID:x9Z2h1MdO
 どうもこのジャパリパークは、動物が変化した存在、『フレンズ』たちが暮らしている場所だというのです。『フレンズ』はサンドスターという物質によって生み出され、またセルリアン、という天敵もいるとか。

 カバさんいわく、セルリアンを見た時はすぐに逃げることが一番良いそう。まあこっちは大した武器もありませんのでそうせざるを得ませんが。

「とりあえず、新入りの子に言うべきことはこれくらいかしらねぇ」

「ありがとうございます、何から何まで」

 カバさんはわたしのことを新しく生まれたフレンズだと思っているようです。

「いいのよ。あ、そうだ。あなたは自分が何のフレンズがわかっているのよねぇ?」

「え? まあ、はい」

「もしよかったら、かばんにそれを教えてあげてくれないかしら?」

 かばんさん。わたしと同じ特徴を持つ、つまりはわたしと同種の方。どうやら記憶喪失となり、自分の正体を探るべく図書館とやらに向かっているとか。

「はい。途中でお会いすれば」

「よろしくね。サーバルが道案内しているんだけれど、サーバルだものねぇ。私、不安で不安で」
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 17:24:54.91 ID:D3kR3CXmO
 よっぽど心配されるような方なんでしょうか、サーバルさん。

 しかし、ひとまず今後の方針が決まりました。かばんさんという人を回収しつつ外部に救助を求める。むちゃくちゃな気がしますが、一度月面や都市遺跡で遭難しますと、地球上だというだけで何とかなる気がしてしまいます。

「いーい? セルリアンにあったらかならず逃げるのよぉー」

「はーい」

 カバさんに別れを告げ、

「あなた弱そうだから、寝るときは木の上でねぇー」

「はーい……」

 えー、カバさんに別れを告げ、

「こまめに休憩するのよぉー」

「……はーいっ!!」

 里の世話焼きご婦人のような方でした。とても助かりましたが。

 わたしの姿が見えなくなるまでいろいろとおっしゃってくれたカバさんとお別れし、わたしは図書館への道を歩き始めました。

「……そういえば、妖精さんの姿を見ませんね」

 ふと気になりました。これだけ大規模な童話災害ともなれば、妖精さんはそれこそ溢れるほど存在しているはずなのに……。

 わたしはポシェットを漁ります。クッキーやビスケットの類は水を通さない保存紙で包んでいたおかげで無事です。金平糖やキャラメルの類も大丈夫。
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 17:25:01.38 ID:cAtbp0hEO
 わたしは助手さんを連れて件の無人島に最寄りの里まで赴きました。まずはそこで情報収集です。事前情報のない冒険など死にに行くことと同義ですから。

「姐さん、集まった情報なんですが……」

 月に行ってから妙に饒舌になった助手さんが、メモ片手に報告してくれます。

「どうも昔、あの島は『サファリパーク』と呼ばれる観光施設だったそうです」

「ああ、あの動物園の進化版みたいなやつですか?」

 人類が繁栄を享受していたころ、世界中に生息する珍しい動植物を集め、鑑賞目的に展示するという施設が人気を博していたと歴史書は記しています。衰退するにしたがってそういった娯楽施設は真っ先に閉鎖されており、現在地球上のどこにも存在していません。

 サファリパークというのは動物園よりもより野生に近い状態で動物たちを飼育する施設だったといわれています。
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 17:25:08.96 ID:z7C6RxI1O
 Yによると、仕事熱心なその調停官さんは未確認集落へ出かけたっきり音信不通となり、すでに1か月が経過したというのです。ここに至って国連はその調停官が不測の事故により遭難したと認定、救助隊を派遣することを決定したのだそう。

「……で、なんでそれがうちに?」

「あんた、1人で月行ったり何やかんやしたりしてるだろ? 例の無人島ってのがなんかいわくつきらしくて冒険になれたあんたを先遣隊として派遣しようってなったってさ」

「わたしの仕事は冒険家でも救助隊でもないんですけど!」

「悪目立ちしたあんたが悪い」

 Yが無情にも突き放します。ああ、なぜでしょう。安全な後方任務……、ではなく今日日珍しいホワイトカラーの閑職に就いたというのにこの仕打ちは……。

「ほら、人命かかってるんだから早く行きなよ」

「うう……」

 Yのあんまりにもっともな言葉に、わたしは素直に要請を承諾せざるを得なかったのでした。
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 17:25:16.96 ID:Uf1IbVlWO
「人間?」

「……住民でない、という意味です」

「あら、さばんなちほーの外からいらしたの?」

「いえ、そのジャパリパークの外です」

 そういうと、カバさんの目が点になりました。

「……パークの外?」

 まるで今までの自分を見ているかのようです。つまり、『相手が何を言っているのか全く分からない』といった顔。

「……やってしまいました」

 わたしは思わずつぶやきます。とんでもないところに来てしまった予感がしました。

「大丈夫かしら、あなた」

「ええはい、大丈夫です」

「ううん……、あなた、私と同じカバではありませんわよね? 尻尾もない、羽もない・・・・・・。以前お会いしたかばんさんのような方ですわねぇ」

「……私と同じような方がいらしたんですか?」

 カバさんの言葉が引っ掛かりました。

 彼女の発言から察するに、私と同じ、つまり、動物の格好をしていない人がいたという事でしょう。

「ええ。あなたのように特に特徴もない方でしたわ。自分の縄張りも何のフレンズかもわからないという事だったのでサーバルが図書館に連れていったのですの」

「……その、かばんさん? は他になにかおっしゃってましたか?」

「うーん。セルリアンやサンドスターのこともよく知らない子でしたし、あなたと同じで今年生まれた子かもしれないわねぇ」
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 17:25:23.95 ID:9ZUuukjGO
 どうもこのジャパリパークは、動物が変化した存在、『フレンズ』たちが暮らしている場所だというのです。『フレンズ』はサンドスターという物質によって生み出され、またセルリアン、という天敵もいるとか。

 カバさんいわく、セルリアンを見た時はすぐに逃げることが一番良いそう。まあこっちは大した武器もありませんのでそうせざるを得ませんが。

「とりあえず、新入りの子に言うべきことはこれくらいかしらねぇ」

「ありがとうございます、何から何まで」

 カバさんはわたしのことを新しく生まれたフレンズだと思っているようです。

「いいのよ。あ、そうだ。あなたは自分が何のフレンズがわかっているのよねぇ?」

「え? まあ、はい」

「もしよかったら、かばんにそれを教えてあげてくれないかしら?」

 かばんさん。わたしと同じ特徴を持つ、つまりはわたしと同種の方。どうやら記憶喪失となり、自分の正体を探るべく図書館とやらに向かっているとか。

「はい。途中でお会いすれば」

「よろしくね。サーバルが道案内しているんだけれど、サーバルだものねぇ。私、不安で不安で」
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 17:25:32.00 ID:ZJUhD0L6O
 よっぽど心配されるような方なんでしょうか、サーバルさん。

 しかし、ひとまず今後の方針が決まりました。かばんさんという人を回収しつつ外部に救助を求める。むちゃくちゃな気がしますが、一度月面や都市遺跡で遭難しますと、地球上だというだけで何とかなる気がしてしまいます。

「いーい? セルリアンにあったらかならず逃げるのよぉー」

「はーい」

 カバさんに別れを告げ、

「あなた弱そうだから、寝るときは木の上でねぇー」

「はーい……」

 えー、カバさんに別れを告げ、

「こまめに休憩するのよぉー」

「……はーいっ!!」

 里の世話焼きご婦人のような方でした。とても助かりましたが。

 わたしの姿が見えなくなるまでいろいろとおっしゃってくれたカバさんとお別れし、わたしは図書館への道を歩き始めました。

「……そういえば、妖精さんの姿を見ませんね」

 ふと気になりました。これだけ大規模な童話災害ともなれば、妖精さんはそれこそ溢れるほど存在しているはずなのに……。

 わたしはポシェットを漁ります。クッキーやビスケットの類は水を通さない保存紙で包んでいたおかげで無事です。金平糖やキャラメルの類も大丈夫。
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 17:25:39.22 ID:o0T05ygCO
 Yによると、仕事熱心なその調停官さんは未確認集落へ出かけたっきり音信不通となり、すでに1か月が経過したというのです。ここに至って国連はその調停官が不測の事故により遭難したと認定、救助隊を派遣することを決定したのだそう。

「……で、なんでそれがうちに?」

「あんた、1人で月行ったり何やかんやしたりしてるだろ? 例の無人島ってのがなんかいわくつきらしくて冒険になれたあんたを先遣隊として派遣しようってなったってさ」

「わたしの仕事は冒険家でも救助隊でもないんですけど!」

「悪目立ちしたあんたが悪い」

 Yが無情にも突き放します。ああ、なぜでしょう。安全な後方任務……、ではなく今日日珍しいホワイトカラーの閑職に就いたというのにこの仕打ちは……。

「ほら、人命かかってるんだから早く行きなよ」

「うう……」

 Yのあんまりにもっともな言葉に、わたしは素直に要請を承諾せざるを得なかったのでした。
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 17:25:46.84 ID:Kfaz/mIwO
「人間?」

「……住民でない、という意味です」

「あら、さばんなちほーの外からいらしたの?」

「いえ、そのジャパリパークの外です」

 そういうと、カバさんの目が点になりました。

「……パークの外?」

 まるで今までの自分を見ているかのようです。つまり、『相手が何を言っているのか全く分からない』といった顔。

「……やってしまいました」

 わたしは思わずつぶやきます。とんでもないところに来てしまった予感がしました。

「大丈夫かしら、あなた」

「ええはい、大丈夫です」

「ううん……、あなた、私と同じカバではありませんわよね? 尻尾もない、羽もない・・・・・・。以前お会いしたかばんさんのような方ですわねぇ」

「……私と同じような方がいらしたんですか?」

 カバさんの言葉が引っ掛かりました。

 彼女の発言から察するに、私と同じ、つまり、動物の格好をしていない人がいたという事でしょう。

「ええ。あなたのように特に特徴もない方でしたわ。自分の縄張りも何のフレンズかもわからないという事だったのでサーバルが図書館に連れていったのですの」

「……その、かばんさん? は他になにかおっしゃってましたか?」

「うーん。セルリアンやサンドスターのこともよく知らない子でしたし、あなたと同じで今年生まれた子かもしれないわねぇ」
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 17:25:59.63 ID:59E5+5QrO
 どうもこのジャパリパークは、動物が変化した存在、『フレンズ』たちが暮らしている場所だというのです。『フレンズ』はサンドスターという物質によって生み出され、またセルリアン、という天敵もいるとか。

 カバさんいわく、セルリアンを見た時はすぐに逃げることが一番良いそう。まあこっちは大した武器もありませんのでそうせざるを得ませんが。

「とりあえず、新入りの子に言うべきことはこれくらいかしらねぇ」

「ありがとうございます、何から何まで」

 カバさんはわたしのことを新しく生まれたフレンズだと思っているようです。

「いいのよ。あ、そうだ。あなたは自分が何のフレンズがわかっているのよねぇ?」

「え? まあ、はい」

「もしよかったら、かばんにそれを教えてあげてくれないかしら?」

 かばんさん。わたしと同じ特徴を持つ、つまりはわたしと同種の方。どうやら記憶喪失となり、自分の正体を探るべく図書館とやらに向かっているとか。

「はい。途中でお会いすれば」

「よろしくね。サーバルが道案内しているんだけれど、サーバルだものねぇ。私、不安で不安で」
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 17:26:09.06 ID:VDAPfwq1O
 わたしは助手さんを連れて件の無人島に最寄りの里まで赴きました。まずはそこで情報収集です。事前情報のない冒険など死にに行くことと同義ですから。

「姐さん、集まった情報なんですが……」

 月に行ってから妙に饒舌になった助手さんが、メモ片手に報告してくれます。

「どうも昔、あの島は『サファリパーク』と呼ばれる観光施設だったそうです」

「ああ、あの動物園の進化版みたいなやつですか?」

 人類が繁栄を享受していたころ、世界中に生息する珍しい動植物を集め、鑑賞目的に展示するという施設が人気を博していたと歴史書は記しています。衰退するにしたがってそういった娯楽施設は真っ先に閉鎖されており、現在地球上のどこにも存在していません。

 サファリパークというのは動物園よりもより野生に近い状態で動物たちを飼育する施設だったといわれています。
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 18:55:18.62 ID:Crx9kwiNO
このしょーもない荒らしキッズどうにかならんのかね
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 23:34:07.92 ID:8Bkozjrpo
こういうときはスルー検定
根っこはただのかまってチャンなので
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/18(土) 00:42:39.46 ID:hh1ZwHKB0
>>155
構ってちゃんが悪い事みたいに言うのは止めよう
>>1に失礼だろ
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/18(土) 01:08:40.77 ID:4zinvB9No
せやね
けものフレンズを利用してまで頑張ってるんだから
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/18(土) 03:17:52.20 ID:imUeT7S40
何言ってんだこいつ
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/18(土) 13:50:27.05 ID:UBJD6eXsO
けもフレ厨しねよ
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/19(日) 01:05:53.16 ID:KVMXY+I1o

雰囲気がいいな
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/19(日) 01:13:54.79 ID:b8qxMOBHO
けもフレ要素は?
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/19(日) 11:25:48.83 ID:qyd20djvo
なくても成立するから構わん
規模で言うなら人退世界がけもフレ世界を内包しているし

終末世界モノの組み合わせイイぞ〜
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/19(日) 13:00:21.09 ID:i5VJnn+1O
>>162
なにいってんだこいつ 馬鹿にしてるのか
164 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/03/21(火) 14:01:16.74 ID:3m83T0D/0
「……うわぁ」

 木々やなんやらがすごい勢いで流れていきます。橋? そんなもんどこにも見当たりません。

 妖精さんなしで渡ろうものなら、たちまちわたしも木々のように下流へと流されていくことでしょう。こういう場合、う回路を探すのがセオリーですが……。

「地図で見た限り……見た、限り……」

 地図で見た限り、ここに川はありませんでした。地形を現していない地図など存在価値があるのでしょうか、いや、ない。

「あんた、川を渡りたいのかい?」

「え?」
 
 突然声をかけられました。振り返りますと、

「おや? あんた、もしかしてかばんの同類?」

「あなたは……?」

「私はジャガー。普段はここで川渡しをしてんだけどね。こないだからの雨で水かさが増しちゃってさ」

 ジャガーさんは肩をすくめました。
165 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/03/21(火) 14:02:27.06 ID:3m83T0D/0
「申し訳ないけど、今はお休みさせてもらってるよ」

「そうですか……」

「悪いねぇ」

 落胆する私に、ジャガーさんは申し訳なさそうに言いました。

「あー、今もあるかはわかんないけど、この上にこの間かばんがかけた橋があるんだ。よかったら案内するよ。ついてきな」

 そういって、ジャガーさんは歩き出しました。

「あの、あなたはかばんさんと面識がおありで?」

 わたしが尋ねますと、ジャガーさんは大きくうなずいて笑いました。

「ああ。あいつはすごい奴だよ。橋をかけたり、ばす? っていうのを動かしたり」

「バス……」

 ということは、かばんと呼ばれる人物は現在バスに乗って移動中という事でしょうか。これは大変です。先を急がなくては……。

「ああ。もしかして、あんたもかばんを探してるのかい?」

「はい。えっと……、同種の方のようだったので……」

「ああ、あいつ、自分が何のフレンズかわからないっていってたもんなぁ。にしても人気だな、あいつも」

「……もしかして、わたし以外にもかばんさんを追っている方がいらっしゃるので?」

「アライグマとフェネックも探してたよ」
166 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/03/21(火) 14:03:13.55 ID:3m83T0D/0
 わたし以外にもかばんさんの行方を追っている方々がいらっしゃるようです。名前を聞くにフレンズの方なのでしょう。彼女たちに一体どのような目的があるのか、とても気になります。

 そんなことを話しているうちに、橋とやらに到着したのですが。

「やっぱ流されてたかー」

 もはや見る影もありませんでした。代わりに、

「わーい! たーのっしー!!」

 橋の残骸と思しきロープをぐるぐるぐるぐる回して遊んでいらっしゃる一人のフレンズさんがいらしたのです。

「おーい、カワウソー」

 ジャガーさんが彼女に声をかけますと、彼女も我々に気付きます。

「あ! ジャガー! やっほー!」

 どこまでも陽気そうな方です。カワウソさんはこちらまでスイスイと泳いできます。

「あれ、その子……」

「ああ、かばんの同類らしい。こいつもかばんのこと探してるってさ」

 するといきなり、カワウソさんが抱き着いてきます。

「すっごーい! ってことはあなたもかばんとおんなじこと出来るの!?」

「ああ! そうだな。あんた、この橋直せるんじゃないのか?」

「ええっ!?」

 なんだかとんでもない方向に話が進んでますよ?
167 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/03/21(火) 14:04:32.29 ID:3m83T0D/0
「かばんみたいにすっごくてたのしーこと出来るんでしょ! 見せて見せて!」

「あ……、ええー」

 この急流に、橋を、かけ直す? わたしが?

 川幅は少なく見積もっても50メートルはあります。妖精さんがいればロンドン橋でもアカシ海峡大橋(かつて存在した世界最大だった橋だそうです。詳細不明)でもどんとこいですが、今のわたしは魔法の力も使えない裸のサル。それも一人。

「えーっとですね……」

 どうにか断りの文句を考えますが

「楽しみー!!」

「今度はどんなことやってくれるんだい?」

 期待の眼差し、全開。人間、寄せられた期待を裏切るのが一番難しいもんなんですね……。

「ちょ、ちょっと待っててください」

 わたしは学舎で培ってきた知識と経験をフル活用させます。そう、かつての人類は魔法なしでも様々なことをやってのけたのです。人類史が蓄積してきた知恵と技術を使って、この危機を脱するには……。

 ふと、助手さんが読んでいた書物が思い返されました。そう、あれはたしか、中世の戦国時代の本で……。

「あの、みなさん?」

 キラキラした目でこちらを見つめるお二人に言いました。

168 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/03/21(火) 14:05:30.99 ID:3m83T0D/0
 川に小舟を並べ、その上に板を敷くことで簡易的な橋を設置するという方法が、中世において編み出されました。人類ってすごい。

 わたしは先人の知恵を拝借することにしたのです。

「おーい、イカダってこんなもんでいいのかい?」

「はい、十分です」

「かばんがやったのに似てるなぁ」

「まあ、少人数で橋をかける方法なんてそんなにありませんし」

 流れ着いていた流木を使用し、イカダを何枚も作成。それを川に浮かべてつないでいくことで橋を作っちゃおうというナイスでイカす素敵なアイデアです。

「少し休憩にしましょうか」

 イカダづくりに奔走して頂いたジャガーさんにクッキーを一枚差し出します。ジャガーさんはそれをいぶかしげに眺めていました。

「……なんだ、この板」

「クッキーというお菓子……、食べ物です。甘くておいしいですよ?」

「食べ物……、ジャパリまんみたいなもんか?」

 一通りにおいをかいだり観察したりしてから、恐る恐るといった風にそれをかじりました。

「…………」

「ジャガーさん?」

「こ、ここ、これ……」
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