フレンズは繁栄しました【人退×けもフレ】

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222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/26(日) 00:20:47.53 ID:w1zYuszBo
面白い面白くないの話じゃないんだが
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/26(日) 00:24:44.78 ID:zNzLJlDFo
続きが読みたいんだが
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/26(日) 01:14:19.01 ID:WXCqLwAaO
もう二度と見たくないんだが
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/26(日) 10:18:29.20 ID:NI3F4Lvko
とりあえず続き書いてほら
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/27(月) 00:43:31.19 ID:mfwrvdtWo
やっぱいらないや
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/27(月) 01:04:15.09 ID:2Drs5bbPo
けもフレはゴミだな
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/27(月) 01:10:42.73 ID:1cqbdO8uo
けもフレも所詮ミームに引っ張られた一過性のものだった
来年の今頃にはキノの旅辺りがまた持て囃されている頃だろう
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/27(月) 02:44:00.25 ID:d5ZLTTI+O
一方大した話題にもなってない作品
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/27(月) 12:36:23.10 ID:konu7mIB0
嫌よ嫌よも好きの内。みんなツンデレね
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/28(火) 13:27:06.94 ID:S96Sf1fIo
素直に好きといえないなんてこのはずかしがり屋さんめ
232 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/03/30(木) 15:17:02.12 ID:Yskfq0Py0
 線路が消え、猛スピードのトロッコが谷を飛びます。遥か下方に川が流れているのが見えました。脳の処理速度が上がったのか、流れる風景がスローモーションのように見えます。

 このまま、対岸へ……。

 しかし、谷幅はわたしが考えていたよりも広かったようでした。トロッコは谷の真ん中に達するより前に下降を始めます。

 ああ、ダメだ。

 そう思った時、わたしの体は動きだしていました。

 両手でカワウソさんとジャガーさんの首根っこをつまむと、トロッコからジャンプしたのです。足の筋肉を最大限駆使し空中に躍り出たわたしは、空中でじたばたと足を動かしつつ、両手に持ったお二人を振り子のように前方に振り上げました。

 そこからはよく思い出せません。

 気が付いたとき、わたしたち三人は固い地面の上に投げ出されていました。

 ばっと顔を起こすと、対岸でセルリアンたちがぼとぼと谷底で落ちていました。

「助かった……」

 わたしの体から力が抜けます。どうやらやっとこさ危機は去ったようです。その時、わたしにお二人がのしかかりました。

「ふぐっ!?」
233 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/03/30(木) 15:18:07.98 ID:Yskfq0Py0
「すごいねぇあんた! サーバルでもないのにあんなジャンプしちゃうなんてさ!」

「すっごく楽しかった! もう一回やろー!!」

「もう二度としませんっ!」

 それだけはきっちり言っておきます。そしてお二人をどかして起き上がりました。

「……。とりあえず、セルリアンはもうここにはいないんですよね?」

「うーん。匂いや気配はしないねぇ」

「だいじょーぶだよー」

「それは……、よかったです」

 お二人の野生の勘を信じましょう。……若干一名不安ですが。

 その時、わたしのおなかがぐぅ、と鳴りました。

「あれ? お腹すいてんの?」

「……ええ、恥ずかしながら」

 よく考えたら、朝にクッキーをかじった以外何も口にしていません。緊張が解けたせいか、急に空腹が襲ってきます。

「わたし、ジャパリまん持ってるよ! はい、どーぞ」

 カワウソさんがどこからか『ジャパリまん』とやらを取り出し、わたしにくれました。

「これは?」

「ジャパリまん。私たちの大好物なんだー!」

234 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/03/30(木) 15:19:36.72 ID:Yskfq0Py0
 包装を破くと、中には東洋の饅頭のような食べ物が入っていました。黄色で着色された、子供の頭ぐらいのものです。

 ぱくりとかじりますと、中には味付けのされた餡が詰まっています。味は、その……、なんというか、形容しにくいです。わたしの語彙で表せるとすればうま味がある、としか言いようがありません。

 まずいわけでは決してなく、むしろ美味なのですが。こんな感じのもの、どこかで食べたことがある気がします。人工物っぽいというか、なんというか……。

 わたしが微妙な顔をしていたので、カワウソさんが心配そうに尋ねます。

「おいしくなかった?」

「いえいえ! おいしいですよ。ありがとうございます、カワウソさん」

「そっかー。よかった! これを嫌いなフレンズなんていないもんねー!」

「……皆さんこれを食べられているんですか?」

「うん! そーだよ! ボスがいっつも配ってるんだ!」

 道理で、このパーク内では食物連鎖の跡が見られないんですねぇ。定期的に『ボス』とやらから供給されるジャパリまんのおかげで捕食者と被食者の関係性が崩壊しているのでしょう。おかげでジャガーさんにパクリと食べられることがないわけです。

 ジャパリまんを食べ終えると、わたしの胃袋も満たされたようです。

一時的欲求が満たされますと、次の欲求が生まれてきました。

「紅茶が飲みたい……」

 思い返せば、月に行った時も都市遺跡に行った時も、紅茶は欠かさず持参していました。

 紅茶はわたしの生活の一部なのです。紅茶とともに目覚め紅茶とともに一日を過ごし、紅茶とともに眠る。これがわたしの模範的習慣でした。わたしの祖先は戦場で紅茶を飲んだとか言い伝えられていますし。
235 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/03/30(木) 15:20:38.74 ID:Yskfq0Py0
 ですがここは国連未発見地域。紅茶なんてとても手に入ら

「あるよ、こーちゃ」

「ええっ!?」

 気が付けば、わたしはジャガーさんの肩をぶんぶん揺らしていました。

「飲み物の紅茶ですよ!? いったいそんなもんどこに!?」

「や、山の、山の上の……。ちょ、ちょっとやめて……」

「あ、すみません」

 興奮のあまり取り乱してしまいました。

「ゴホッゴホ……。あんたこーちゃ好きなんだねぇ」

「はい。で、山の上の?」

「ああ、山の上にアルパカがやってるかふぇ? っていうのがあるんだって。最近鳥のフレンズの間でだいぶ流行ってるらしいよ」

「山の上ってもしかしてあれですか?」

 わたしが遠方に見える成層火山を指さしますと、ジャガーさんは首を横に振りました。

「あっち」

 ジャガーさんの言う山は、わたしが思ったよりずいぶんと近くにありました。ただ、山、と呼称するには、険しすぎました。

「ええ……」

236 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/03/30(木) 15:21:39.67 ID:Yskfq0Py0
 全周ほぼ崖です。そのうえ山頂付近には雲もかかっています。人が立ち入ることを拒みまくっているかのようでした。

「…………」

 紅茶を飲みたいがためにあの山を登る……。もはや生命の危機すらありそうな道程です。でも紅茶……。

「フェネックたちが行った時はろーぷうぇー? ってやつを使ったっていってたなぁ」

「ちょっと行ってきます」

 文明の利器万歳!

「え? あんたかばんのこと探してたんじゃないの?」

「たまにはほどほどに休む。昔から言い伝えられている家訓です」

「はあ……」

 ジャガーさんが感心しているのか呆れているのかわからない顔で相槌を打ちます。きっと感心してくれているんでしょう、そうでしょう。

「じゃあ気をつけなよ!」

「ばいばーい!」

 ジャガーさんとカワウソさんに別れを告げます。

 ロープウェイは簡単に見つけることができました。そして人力のゴンドラも。

「……紅茶のためです」

 美味しいものを飲んでこその人生なんですよ、たぶん。

 ペダルを延々漕ぎ続け、涼しい気候にもかかわらず汗だくになったころ、ようやく山頂にたどり着きました。
237 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/03/30(木) 15:22:42.02 ID:Yskfq0Py0
 山頂はよく整備された広場になっています。ここに人がいた時代は展望台か何かがあったのでしょう。その隅に、木造の小屋がぽつんと立っていました。

「ここ、でしょうか……」

『ジャパリカフェ』

 古ぼけた看板にはそう書かれています。営業しているとは到底思えません。

「すみませ〜ん」

 ガラガラという鈴の音が響くと同時に、

「いらっしゃぁい! よぉこそぉジャパリカフェへー」

 田舎のおばあちゃんみたいな訛りで迎え入れてくれたのは、噂に聞いたアルパカ・スリさん。

「あのー、ここで紅茶が飲めるって聞いたんですけど……」

 するとアルパカさんは悲しそうに顔を伏せました。

「ごぉめんねぇ。いまこーちゃ切らしてんだぁ」

「え」

「トキにお願いしてぇ、はかせに分けてもらおーとしたんだけぉ、はかせももう持ってないってぇ言われちゃってねぇ」

「え……」

「ごめんねぇ」

「そんな……」
238 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/03/30(木) 15:28:16.01 ID:Yskfq0Py0
今日は以上です。次回はもうちょっと更新できるようにします。
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/30(木) 16:07:39.25 ID:Q+Nv4oxpo
おつ
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/30(木) 17:51:05.11 ID:7RFJtm4x0
お菓子の希望を打ち砕かれた妖精さんに匹敵し得るだろう心情
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2017/03/31(金) 01:12:19.75 ID:qbf7yxHVo
おつ
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/31(金) 01:50:21.23 ID:PkjQi+slo
けものフレンズを汚すな
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/31(金) 02:38:03.99 ID:OFK0HXmRO
 包装を破いて、お二人の口に突っ込みます。

「んん〜! 甘い! うまい!」

「なにこれ! あまーいっ! すごーいっ!!!!」

 二人の顔がほころぶのをみると、こちらも差し上げた甲斐があるというものです。

「だいぶ回復されましたね? ではもう一度トロッコを漕いでください」

「え?」

 二人の顔が固まります。

「で、でもこの先って……」

「谷だよねー?」

「ええ、谷です。安心してください、飛びますから」

「はぁ!?」

「え!」

 ジャガーさんは驚愕、カワウソさんは期待の表情を浮かべました。

「と、飛ぶって!? あんた鳥のフレンズなの!?」

「いいえ、違います」

「じゃあ無理だよ!」

「大丈夫です。ここからスピードをつけてれば、谷を飛び越せるかもしれません」

「飛び越せなかったら?」
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/31(金) 02:38:12.83 ID:ZAuk5d+UO
「落ちるだけです」

「…………」 

 顔面蒼白のジャガーさんと対照的に、カワウソさんの顔はキラキラと輝いています。

「あなた飛べるんだね! すっごーいっ! 私も飛んでみたかったんだー!」

 そういって一人ハンドルを動かし始めます。

「あ、カワウソ!?」

「大丈夫ですよ、ジャガーさん」

 わたしはジャガーさんに微笑みかけました。

「わたし、これでも里では……、他のちほーでは魔法使いっていわれているんです」

「まほー、つかい?」

「いろいろ不思議なことが起こせるんですよ。任せて下さい」

「……。わかった」

 ジャガーさんは覚悟を決めたようで、カワウソさんの反対側に立ってハンドルを動かし始めました。

 わたしは前をじっと見つめます。妖精さんがいない、つまりは魔法が使えないのです。神様がわたしの日頃の善行を見ていてくれていることを祈るしかありません。

 若干下り坂になっているせいもあり、速度は順調に上がっていきます。

「頼みますよ、妖精さん」

 今はいない彼らへのお願いも済ませます。
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/31(金) 02:38:23.15 ID:u4ogQ6mCO
 包装を破いて、お二人の口に突っ込みます。

「んん〜! 甘い! うまい!」

「なにこれ! あまーいっ! すごーいっ!!!!」

 二人の顔がほころぶのをみると、こちらも差し上げた甲斐があるというものです。

「だいぶ回復されましたね? ではもう一度トロッコを漕いでください」

「え?」

 二人の顔が固まります。

「で、でもこの先って……」

「谷だよねー?」

「ええ、谷です。安心してください、飛びますから」

「はぁ!?」

「え!」

 ジャガーさんは驚愕、カワウソさんは期待の表情を浮かべました。

「と、飛ぶって!? あんた鳥のフレンズなの!?」

「いいえ、違います」

「じゃあ無理だよ!」

「大丈夫です。ここからスピードをつけてれば、谷を飛び越せるかもしれません」

「飛び越せなかったら?」
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/31(金) 02:38:32.45 ID:A7CmGOdeO
 急いでレールにトロッコを乗せると、我々は飛び乗りました。

「全速力で逃げましょう!!」

「はいよっ!」

「うん!」

 お二人の全力のおかげか、トロッコはどんどん速度を増していきます。しかしセルリアンとの距離は開きません。それどころか縮まっています。

「もっとスピード出ませんか!」

「これが限界!」

 このままじゃジリ貧です。見たところ、ジャガーさんもカワウソさんも体力的な限界が近づいているように見えます。

 どうにか、どうにかこの危機を脱する方法を考えなければ……。妖精さんさえいればどうにでもなるのに……。

 わたしはふと前方を見ました。線路はまっすぐ伸びており、奥の方でぷっつり途切れていました。

「え?」

 よく目を凝らすと、そこは谷でした。どうやらそこにかかっていたらしい橋が落ちているようなのでした。

 今度こそ血の気が下りました。このままでは谷底へ真っ逆さまなのは確定です。

 ばっと後ろ振り向くと、セルリアンの触手がもうすぐそこまで迫ってきています。前門の谷、後門のセルリアン。
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/31(金) 02:38:41.67 ID:XA9MWG6JO
「落ちるだけです」

「…………」 

 顔面蒼白のジャガーさんと対照的に、カワウソさんの顔はキラキラと輝いています。

「あなた飛べるんだね! すっごーいっ! 私も飛んでみたかったんだー!」

 そういって一人ハンドルを動かし始めます。

「あ、カワウソ!?」

「大丈夫ですよ、ジャガーさん」

 わたしはジャガーさんに微笑みかけました。

「わたし、これでも里では……、他のちほーでは魔法使いっていわれているんです」

「まほー、つかい?」

「いろいろ不思議なことが起こせるんですよ。任せて下さい」

「……。わかった」

 ジャガーさんは覚悟を決めたようで、カワウソさんの反対側に立ってハンドルを動かし始めました。

 わたしは前をじっと見つめます。妖精さんがいない、つまりは魔法が使えないのです。神様がわたしの日頃の善行を見ていてくれていることを祈るしかありません。

 若干下り坂になっているせいもあり、速度は順調に上がっていきます。

「頼みますよ、妖精さん」

 今はいない彼らへのお願いも済ませます。
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/31(金) 02:38:50.65 ID:AG1v5NMBO
 包装を破いて、お二人の口に突っ込みます。

「んん〜! 甘い! うまい!」

「なにこれ! あまーいっ! すごーいっ!!!!」

 二人の顔がほころぶのをみると、こちらも差し上げた甲斐があるというものです。

「だいぶ回復されましたね? ではもう一度トロッコを漕いでください」

「え?」

 二人の顔が固まります。

「で、でもこの先って……」

「谷だよねー?」

「ええ、谷です。安心してください、飛びますから」

「はぁ!?」

「え!」

 ジャガーさんは驚愕、カワウソさんは期待の表情を浮かべました。

「と、飛ぶって!? あんた鳥のフレンズなの!?」

「いいえ、違います」

「じゃあ無理だよ!」

「大丈夫です。ここからスピードをつけてれば、谷を飛び越せるかもしれません」

「飛び越せなかったら?」
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/31(金) 02:39:03.11 ID:A90+svACO
 急いでレールにトロッコを乗せると、我々は飛び乗りました。

「全速力で逃げましょう!!」

「はいよっ!」

「うん!」

 お二人の全力のおかげか、トロッコはどんどん速度を増していきます。しかしセルリアンとの距離は開きません。それどころか縮まっています。

「もっとスピード出ませんか!」

「これが限界!」

 このままじゃジリ貧です。見たところ、ジャガーさんもカワウソさんも体力的な限界が近づいているように見えます。

 どうにか、どうにかこの危機を脱する方法を考えなければ……。妖精さんさえいればどうにでもなるのに……。

 わたしはふと前方を見ました。線路はまっすぐ伸びており、奥の方でぷっつり途切れていました。

「え?」

 よく目を凝らすと、そこは谷でした。どうやらそこにかかっていたらしい橋が落ちているようなのでした。

 今度こそ血の気が下りました。このままでは谷底へ真っ逆さまなのは確定です。

 ばっと後ろ振り向くと、セルリアンの触手がもうすぐそこまで迫ってきています。前門の谷、後門のセルリアン。
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/31(金) 02:39:10.90 ID:vdRFpVPIO
「落ちるだけです」

「…………」 

 顔面蒼白のジャガーさんと対照的に、カワウソさんの顔はキラキラと輝いています。

「あなた飛べるんだね! すっごーいっ! 私も飛んでみたかったんだー!」

 そういって一人ハンドルを動かし始めます。

「あ、カワウソ!?」

「大丈夫ですよ、ジャガーさん」

 わたしはジャガーさんに微笑みかけました。

「わたし、これでも里では……、他のちほーでは魔法使いっていわれているんです」

「まほー、つかい?」

「いろいろ不思議なことが起こせるんですよ。任せて下さい」

「……。わかった」

 ジャガーさんは覚悟を決めたようで、カワウソさんの反対側に立ってハンドルを動かし始めました。

 わたしは前をじっと見つめます。妖精さんがいない、つまりは魔法が使えないのです。神様がわたしの日頃の善行を見ていてくれていることを祈るしかありません。

 若干下り坂になっているせいもあり、速度は順調に上がっていきます。

「頼みますよ、妖精さん」

 今はいない彼らへのお願いも済ませます。
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/31(金) 02:39:20.56 ID:dGcXMxwRO
 包装を破いて、お二人の口に突っ込みます。

「んん〜! 甘い! うまい!」

「なにこれ! あまーいっ! すごーいっ!!!!」

 二人の顔がほころぶのをみると、こちらも差し上げた甲斐があるというものです。

「だいぶ回復されましたね? ではもう一度トロッコを漕いでください」

「え?」

 二人の顔が固まります。

「で、でもこの先って……」

「谷だよねー?」

「ええ、谷です。安心してください、飛びますから」

「はぁ!?」

「え!」

 ジャガーさんは驚愕、カワウソさんは期待の表情を浮かべました。

「と、飛ぶって!? あんた鳥のフレンズなの!?」

「いいえ、違います」

「じゃあ無理だよ!」

「大丈夫です。ここからスピードをつけてれば、谷を飛び越せるかもしれません」

「飛び越せなかったら?」
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/31(金) 02:39:30.33 ID:INtrD9KzO
 急いでレールにトロッコを乗せると、我々は飛び乗りました。

「全速力で逃げましょう!!」

「はいよっ!」

「うん!」

 お二人の全力のおかげか、トロッコはどんどん速度を増していきます。しかしセルリアンとの距離は開きません。それどころか縮まっています。

「もっとスピード出ませんか!」

「これが限界!」

 このままじゃジリ貧です。見たところ、ジャガーさんもカワウソさんも体力的な限界が近づいているように見えます。

 どうにか、どうにかこの危機を脱する方法を考えなければ……。妖精さんさえいればどうにでもなるのに……。

 わたしはふと前方を見ました。線路はまっすぐ伸びており、奥の方でぷっつり途切れていました。

「え?」

 よく目を凝らすと、そこは谷でした。どうやらそこにかかっていたらしい橋が落ちているようなのでした。

 今度こそ血の気が下りました。このままでは谷底へ真っ逆さまなのは確定です。

 ばっと後ろ振り向くと、セルリアンの触手がもうすぐそこまで迫ってきています。前門の谷、後門のセルリアン。
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/31(金) 02:39:39.68 ID:p4GVFCp2O
 急いでレールにトロッコを乗せると、我々は飛び乗りました。

「全速力で逃げましょう!!」

「はいよっ!」

「うん!」

 お二人の全力のおかげか、トロッコはどんどん速度を増していきます。しかしセルリアンとの距離は開きません。それどころか縮まっています。

「もっとスピード出ませんか!」

「これが限界!」

 このままじゃジリ貧です。見たところ、ジャガーさんもカワウソさんも体力的な限界が近づいているように見えます。

 どうにか、どうにかこの危機を脱する方法を考えなければ……。妖精さんさえいればどうにでもなるのに……。

 わたしはふと前方を見ました。線路はまっすぐ伸びており、奥の方でぷっつり途切れていました。

「え?」

 よく目を凝らすと、そこは谷でした。どうやらそこにかかっていたらしい橋が落ちているようなのでした。

 今度こそ血の気が下りました。このままでは谷底へ真っ逆さまなのは確定です。

 ばっと後ろ振り向くと、セルリアンの触手がもうすぐそこまで迫ってきています。前門の谷、後門のセルリアン。
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/31(金) 02:39:48.69 ID:xhssyBUYO
「落ちるだけです」

「…………」 

 顔面蒼白のジャガーさんと対照的に、カワウソさんの顔はキラキラと輝いています。

「あなた飛べるんだね! すっごーいっ! 私も飛んでみたかったんだー!」

 そういって一人ハンドルを動かし始めます。

「あ、カワウソ!?」

「大丈夫ですよ、ジャガーさん」

 わたしはジャガーさんに微笑みかけました。

「わたし、これでも里では……、他のちほーでは魔法使いっていわれているんです」

「まほー、つかい?」

「いろいろ不思議なことが起こせるんですよ。任せて下さい」

「……。わかった」

 ジャガーさんは覚悟を決めたようで、カワウソさんの反対側に立ってハンドルを動かし始めました。

 わたしは前をじっと見つめます。妖精さんがいない、つまりは魔法が使えないのです。神様がわたしの日頃の善行を見ていてくれていることを祈るしかありません。

 若干下り坂になっているせいもあり、速度は順調に上がっていきます。

「頼みますよ、妖精さん」

 今はいない彼らへのお願いも済ませます。
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/31(金) 02:39:56.70 ID:ot7DUqNoO
 包装を破いて、お二人の口に突っ込みます。

「んん〜! 甘い! うまい!」

「なにこれ! あまーいっ! すごーいっ!!!!」

 二人の顔がほころぶのをみると、こちらも差し上げた甲斐があるというものです。

「だいぶ回復されましたね? ではもう一度トロッコを漕いでください」

「え?」

 二人の顔が固まります。

「で、でもこの先って……」

「谷だよねー?」

「ええ、谷です。安心してください、飛びますから」

「はぁ!?」

「え!」

 ジャガーさんは驚愕、カワウソさんは期待の表情を浮かべました。

「と、飛ぶって!? あんた鳥のフレンズなの!?」

「いいえ、違います」

「じゃあ無理だよ!」

「大丈夫です。ここからスピードをつけてれば、谷を飛び越せるかもしれません」

「飛び越せなかったら?」
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/31(金) 02:40:05.46 ID:wzMoJjwJO
 急いでレールにトロッコを乗せると、我々は飛び乗りました。

「全速力で逃げましょう!!」

「はいよっ!」

「うん!」

 お二人の全力のおかげか、トロッコはどんどん速度を増していきます。しかしセルリアンとの距離は開きません。それどころか縮まっています。

「もっとスピード出ませんか!」

「これが限界!」

 このままじゃジリ貧です。見たところ、ジャガーさんもカワウソさんも体力的な限界が近づいているように見えます。

 どうにか、どうにかこの危機を脱する方法を考えなければ……。妖精さんさえいればどうにでもなるのに……。

 わたしはふと前方を見ました。線路はまっすぐ伸びており、奥の方でぷっつり途切れていました。

「え?」

 よく目を凝らすと、そこは谷でした。どうやらそこにかかっていたらしい橋が落ちているようなのでした。

 今度こそ血の気が下りました。このままでは谷底へ真っ逆さまなのは確定です。

 ばっと後ろ振り向くと、セルリアンの触手がもうすぐそこまで迫ってきています。前門の谷、後門のセルリアン。
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/01(土) 02:00:20.63 ID:fDKe4L59O
つまんね
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/01(土) 05:51:14.65 ID:cJIFpyp50
まずは生きてて良かったな!おめでとう
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/01(土) 19:48:20.28 ID:x4y0tz0WO
なにいってだこいつ
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/03(月) 20:32:36.52 ID:k6wkww04o
期待
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/03(月) 20:34:14.60 ID:9x4SqmZ7o
>>260
消えろアンチ
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/04(火) 01:19:04.03 ID:BNVXtI6go
>>261
見苦しいぞ対立煽り型荒らし
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/04(火) 01:27:34.11 ID:zq1V148Do
対立煽りって>>1だろ
作品の扱いが露骨
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/04(火) 10:26:35.49 ID:HkEEdBS+o

妖精さん無双にならないようにだとは思うがここからの巻き返しは期待しているよ
次回もたのしみにしてる

>>262
SSの楽しかったぶぶんやいいところを語ればいい後はスルーそれでいいんだよ
語彙とこらえ性の乏しい奴に付き合ってやる必要は無い
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/04(火) 18:29:12.34 ID:G078m9RPO
長文乙です
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/04(火) 19:05:47.52 ID:IKsGkzkN0
茶葉も作るの大変だからなぁ
267 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/04/07(金) 11:41:28.00 ID:zwNQlmJl0
 紅茶がない。ああ、なんということでしょう(リフォームを終えた後驚くような感じで)。

 い、いえ……、元々、元々ないと思っていたんです。私が聞いたあの話は幻聴のようなものだったのです。そうです、本当はないんです、紅茶。ああ、どこにあるの、わたしの紅茶……。

「大丈夫ぅ?」

「……はい」

「あ、そうだぁ。これどーぞぉ」

 アルパカさんはわたしの前にカップを一つ置きました。

「これは?」

「こーちゃはないけどぉ代わりにこれ飲んでぇ」

 カップの中身には、透き通った緑色の液体が注がれていました。

「……緑茶、でしょうか」

 疑問を抱きつつも、そっと口をつけます。確認? もうそんなことしていられませんよ、ええ。それほどまでに、体がお茶を欲していました。
268 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/04/07(金) 11:43:49.19 ID:zwNQlmJl0
 その瞬間、大地の香りが脳天を突き抜けました。

「ぐはぁっ!?」

 青々とした草原の息吹が喉の奥で反乱を起こし、かつて草を食んでいた遠い祖先の記憶が遺伝子から揺り起こされます。

 すべての植物を育む土壌の味が舌の上を駆けずり回り、何とも言えぬ苦みによって脳の味覚野が支配されました。

 はっきり申し上げてゲロまずでした。
269 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/04/07(金) 11:44:30.31 ID:zwNQlmJl0
「あー、やっぱり駄目だったぁ?」

「こ、これは……?」

「そこの広場に生えてる草でいれてみたんだぁ。ヤギ系のフレンズには人気なんだよぉ?」

「で、でしょう……、ね……」

 疲労しきったわたしは、いまだ舌上で叛逆を起こしている雑草ティーの衝撃を受け止めきれませんでした。そのまま意識はブラックアウトしてしまったのです。

270 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/04/07(金) 11:45:20.70 ID:zwNQlmJl0
 目が覚めると、わたしは横に寝かされていました。

「あ、起きたぁ?」

 アルパカさんがコップに汲んだ水を差し出します。

「ごめんねぇ。せっかく来てくれたのに」

 彼女は頭と耳としっぽをしょんぼりとさせています。

「いいえ、気にしないでください。お気遣いいただきありがとうございます。えーっと、ここ、評判だったみたいですね?」

 これ以上は堂々巡りになりかねないので話題を変えますと、彼女は嬉しそうに顔をほころばせました。

「かばんちゃんがぁ目印作ってくれたおかげでいーっぱいお客さんが来てくれたんだぁ」

「かばんさん……」

「そぉそぉ。こーちゃもひょーばんになってぇ、みんなたくさん飲んでくれたんだけどぉ」

「そのおかげで茶葉が無くなった、という事ですか……」

「そぉなんだぁ」

 アルパカさんがため息をつきます。

「せっかくお客さん増えたのになぁ」
271 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/04/07(金) 11:45:50.06 ID:zwNQlmJl0
「……何か、他の方法を考えましょうか」

 なんとなく放っておけませんでした。里でいろいろ世話焼きをしていたからでしょうか。

「他の方法?」

「ええ。紅茶を出すだけがカフェじゃありませんからね」

 幸い、キッチンは整備されているようですし。
272 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/04/07(金) 11:47:38.28 ID:zwNQlmJl0
… … …

「わぁああー!! すんごいなぁ!」

 クッキー、マフィンにシフォンケーキ。ここで用意できた材料と器具、そしてアルパカさんが作れるレベルのお菓子です。

 アルパカさんはクッキーを一枚口に運びます。

「おいしーなぁ」

「それはよかったです。……よかったですけど」

 ほころぶ彼女の顔に、こちらも思わずうれしくなります。ですが、こっちは割とそれどころでない事態が発生していました。

「この小麦粉……。製造年月日が先週になってるんですよね」

 使い切った小麦粉の袋に印字されている文字は、間違いなく先週の日付。それだけではありません。

「これは牛乳風豆乳。こっちの乾燥卵は植物性……。しかもまだ新しいなんて……」

 これらはキッチンの戸棚に置かれていたものです。カントリー風の雰囲気を壊さないように偽装されていた冷蔵庫には、新鮮な果物も入っていました。生ものはさすがに怖くて使えませんでしたが。逆にここまでそろっているのに、紅茶がないというのが不思議なぐらいです。

 考えられることは一つ。この島のどこかにこれら食品の製造工場が存在し、今でも完璧に作動しているという事。

 しかし、人間の作った施設というものは案外もろいものです。特殊な環境下にあるここでは、百年と持たないはず……。
273 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/04/07(金) 11:49:16.29 ID:zwNQlmJl0
「考えられるとすれば、誰かが定期的に整備をしているか、妖精さんのおかげか」

「どぉかした?」

「アルパカさん、この小麦粉やお砂糖はあなたが?」

「いんやぁ。こんなのがあるなんて初めて知ったよー」

「ここにはいつから?」

「けっこー前だねぇ」

「じゃあ誰が……」

 製造方法も輸送方法も不明。考えれば考えるほど謎が増えます。

「妖精さんのせい、と言えるなら楽なんですけどねー」

 しかし、ここに妖精さんはいません。こんなにたくさんのお菓子を作ったにもかかわらず。

「よーせーさん?」

 わたしのつぶやきを拾ったアルパカさんが首を傾げます。

「はい。手のひらサイズの……、生き物……、の範疇を超えた存在で、不思議な力をいっぱい使うんですよ」

「へぇ、すごいフレンズなんだねぇ」

「フレンズ……、とはちょっと違いますけどね」

274 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/04/07(金) 11:51:16.88 ID:zwNQlmJl0
 彼らの正体は、自分はヒトだと思いこんだ我々妖精が追い出した魔法の力が可視化されたものです。普通自在に使役するなんてことはできないのですが、ある程度事情を知っているわたしは例外。おかげで魔法遣い扱いをされたりしていますが。

「……痕跡は見られるんですけど」

 柵一本で激変する植生や気候。そして何よりフレンズという存在。妖精さん抜きで説明する術を、わたしは持ちません。

「まあ、考えてるにしても材料が少ないですね」

 こればかりはお菓子のようにはいかないものです。

 その時、アルパカさんがぽつりと言いました。

「どっちかっていうとぉ、サンドスターみたいだねぇ」
 
275 : ◆Wv.nqe0Jy. :2017/04/07(金) 11:53:06.00 ID:zwNQlmJl0
「プチモニ。あの島に関する情報は?」

『ほとんど皆無ですね。今本体のデータを全力で漁ってるんですけど』

「まったく、あいつったら遭難者探しに言って自分も遭難するなんて、何回同じことすれば気が済むんだよ、バカ……」

『あ、なんかそれっぽい情報が一件ヒットしました』

「どんなの?」

『えっと、だいぶ古いデータですね。どうも「人類最後の動物園」だとかなんとか』

「あそこが動物園だったってのはわかってるんだよ。それ以外!」

『でもこれ、調停理事会のデータですよ』

「どういうことさ」

『あの動物園『ジャパリパーク』は国連調停理事会の管理下に置かれていたみたいですね。……ん? あれ?』

「Yさーん! MI6の方で船の調達ができそうですー」

「了解! すぐ行く!!」

『あのー、安保理の記録にもここの名前が……。ってもう行っちゃいましたか』

――国連調停理事会。ヒト人類と妖精人類との間を取り持ち、軋轢を避けるべく設置された。設立初期の状況や当時の詳しい活動記録は大断絶により消失。なお、現在その役割はほぼ終了している。
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/07(金) 13:56:02.53 ID:kKUkk4gHO
「落ちるだけです」

「…………」 

 顔面蒼白のジャガーさんと対照的に、カワウソさんの顔はキラキラと輝いています。

「あなた飛べるんだね! すっごーいっ! 私も飛んでみたかったんだー!」

 そういって一人ハンドルを動かし始めます。

「あ、カワウソ!?」

「大丈夫ですよ、ジャガーさん」

 わたしはジャガーさんに微笑みかけました。

「わたし、これでも里では……、他のちほーでは魔法使いっていわれているんです」

「まほー、つかい?」

「いろいろ不思議なことが起こせるんですよ。任せて下さい」

「……。わかった」

 ジャガーさんは覚悟を決めたようで、カワウソさんの反対側に立ってハンドルを動かし始めました。

 わたしは前をじっと見つめます。妖精さんがいない、つまりは魔法が使えないのです。神様がわたしの日頃の善行を見ていてくれていることを祈るしかありません。

 若干下り坂になっているせいもあり、速度は順調に上がっていきます。

「頼みますよ、妖精さん」

 今はいない彼らへのお願いも済ませます。
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/07(金) 13:56:11.33 ID:Bgcn9PwGO
 包装を破いて、お二人の口に突っ込みます。

「んん〜! 甘い! うまい!」

「なにこれ! あまーいっ! すごーいっ!!!!」

 二人の顔がほころぶのをみると、こちらも差し上げた甲斐があるというものです。

「だいぶ回復されましたね? ではもう一度トロッコを漕いでください」

「え?」

 二人の顔が固まります。

「で、でもこの先って……」

「谷だよねー?」

「ええ、谷です。安心してください、飛びますから」

「はぁ!?」

「え!」

 ジャガーさんは驚愕、カワウソさんは期待の表情を浮かべました。

「と、飛ぶって!? あんた鳥のフレンズなの!?」

「いいえ、違います」

「じゃあ無理だよ!」

「大丈夫です。ここからスピードをつけてれば、谷を飛び越せるかもしれません」

「飛び越せなかったら?」
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/07(金) 13:56:17.99 ID:fW5TkcEpO
 急いでレールにトロッコを乗せると、我々は飛び乗りました。

「全速力で逃げましょう!!」

「はいよっ!」

「うん!」

 お二人の全力のおかげか、トロッコはどんどん速度を増していきます。しかしセルリアンとの距離は開きません。それどころか縮まっています。

「もっとスピード出ませんか!」

「これが限界!」

 このままじゃジリ貧です。見たところ、ジャガーさんもカワウソさんも体力的な限界が近づいているように見えます。

 どうにか、どうにかこの危機を脱する方法を考えなければ……。妖精さんさえいればどうにでもなるのに……。

 わたしはふと前方を見ました。線路はまっすぐ伸びており、奥の方でぷっつり途切れていました。

「え?」

 よく目を凝らすと、そこは谷でした。どうやらそこにかかっていたらしい橋が落ちているようなのでした。

 今度こそ血の気が下りました。このままでは谷底へ真っ逆さまなのは確定です。

 ばっと後ろ振り向くと、セルリアンの触手がもうすぐそこまで迫ってきています。前門の谷、後門のセルリアン。
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/07(金) 13:56:26.50 ID:sMMLShR5O
スレ汚し失礼します

★★★自治スレより重要なお知らせ★★★
>>2
ラブライブ!板で違反スレの乱立、スクリプトによる保守を目的とした板荒らしに対策するため板設定の変更に関する投票を行います
賛成/反対の投票ですので投票お願いします。


投票日:2017年3月12日


詳しくは
自治スレ、荒らし報告相談 Part.5
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1489154599/
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/07(金) 13:56:34.77 ID:rUgt5UrxO
9 名前:名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@無断転載は禁止 [sage] :2017/03/11(土) 00:32:29.95 ID:DV9Bek1G
曜「梨子ちゃん♪行こ?」
>>2
梨子「え、ええ…」

曜「どう?学校には慣れた?」

梨子「うーん…まだ、かな…
曜ちゃん以外に喋る子あんまりいないし…」

曜「そうなの?そっかぁ…」

梨子「うん…」

曜「さ、着替えよっか」

梨子「そ、そうね」
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/07(金) 13:56:41.83 ID:WTCLguEaO
1 名前:名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@無断転載は禁止 [sage] :2017/03/11(土) 00:24:27.16 ID:DV9Bek1G
アニメ本編とは別時空です
>>2
梨子「はぁ…転校して来た途端変な人に絡まれるし付いてないな…私…」

曜「ん?あっ、転校生の子だ♪」

梨子「あ、どうも」ペコリ

曜「千歌ちゃんに追いかけられてばっかりで大変そうだね」アハハ

梨子「千歌ちゃん…あぁ、うん…そうですね…」

曜「んーと…同い年だからタメ口でいいよ?」

梨子「そっか、じゃあそうするね
えーっと…」

曜「あっ、私?私は渡辺曜!曜でも曜ちゃんでも好きに呼んでね♪」

梨子「ふふっ、じゃあ曜ちゃんて呼ぼうかしら」

曜「了解♪じゃあ私は梨子ちゃんって呼ぶね!」
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/07(金) 13:56:51.43 ID:UTaFw6oQO
1 名前:名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@無断転載は禁止 [sage] :2017/03/11(土) 00:24:27.16 ID:DV9Bek1G
アニメ本編とは別時空です
>>2
梨子「はぁ…転校して来た途端変な人に絡まれるし付いてないな…私…」

曜「ん?あっ、転校生の子だ♪」

梨子「あ、どうも」ペコリ

曜「千歌ちゃんに追いかけられてばっかりで大変そうだね」アハハ

梨子「千歌ちゃん…あぁ、うん…そうですね…」

曜「んーと…同い年だからタメ口でいいよ?」

梨子「そっか、じゃあそうするね
えーっと…」

曜「あっ、私?私は渡辺曜!曜でも曜ちゃんでも好きに呼んでね♪」

梨子「ふふっ、じゃあ曜ちゃんて呼ぼうかしら」

曜「了解♪じゃあ私は梨子ちゃんって呼ぶね!」
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/07(金) 13:56:59.39 ID:AcyoqR6IO
Aqoursの好感度スレまとめ

善子 →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1482032895/

曜 →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487678425/

ルビィ →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487668185/

千歌 →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487693644/
>>2
ダイヤ →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487770928/

花丸 → http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1487777497/

梨子→ http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1488373777/

果南→ http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1488454481/

鞠莉→ http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1488464531/
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/07(金) 13:57:07.04 ID:x41XI1+zO
「落ちるだけです」

「…………」 

 顔面蒼白のジャガーさんと対照的に、カワウソさんの顔はキラキラと輝いています。

「あなた飛べるんだね! すっごーいっ! 私も飛んでみたかったんだー!」

 そういって一人ハンドルを動かし始めます。

「あ、カワウソ!?」

「大丈夫ですよ、ジャガーさん」

 わたしはジャガーさんに微笑みかけました。

「わたし、これでも里では……、他のちほーでは魔法使いっていわれているんです」

「まほー、つかい?」

「いろいろ不思議なことが起こせるんですよ。任せて下さい」

「……。わかった」

 ジャガーさんは覚悟を決めたようで、カワウソさんの反対側に立ってハンドルを動かし始めました。

 わたしは前をじっと見つめます。妖精さんがいない、つまりは魔法が使えないのです。神様がわたしの日頃の善行を見ていてくれていることを祈るしかありません。

 若干下り坂になっているせいもあり、速度は順調に上がっていきます。

「頼みますよ、妖精さん」

 今はいない彼らへのお願いも済ませます。
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/07(金) 13:57:13.67 ID:sX6COtNQO
―――


 対峙する私たち三人を残して、絵里は一足先に廃工場内へと進んでゆきました。
 凛と花陽も進行を妨げることはなく、素直に絵里を通しました。


凛「……これで準備は整ったかな」

海未「ええ。絵里を通して貰い感謝します」

花陽「戦う相手は海未ちゃんだから。こっち、ついてきて」


 二人に従い、私もまた一足遅れて廃工場内へと踏み入りました。

 案内されたのは、ことりと絵里が上がった階段の先ではなく、一階フロアの奥でした。
 居並ぶのは、鉄製のクレーンやコンベア、人が何人も入りそうな大型タンクの列、それらを繋ぐ配管の数々。
 もう稼働することのない大型機器類や使用されぬまま放置された廃材が埃を被った状態で残されている、薄暗く湿った旧作業場でした。
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/07(金) 13:57:21.31 ID:appKkebTO
 包装を破いて、お二人の口に突っ込みます。

「んん〜! 甘い! うまい!」

「なにこれ! あまーいっ! すごーいっ!!!!」

 二人の顔がほころぶのをみると、こちらも差し上げた甲斐があるというものです。

「だいぶ回復されましたね? ではもう一度トロッコを漕いでください」

「え?」

 二人の顔が固まります。

「で、でもこの先って……」

「谷だよねー?」

「ええ、谷です。安心してください、飛びますから」

「はぁ!?」

「え!」

 ジャガーさんは驚愕、カワウソさんは期待の表情を浮かべました。

「と、飛ぶって!? あんた鳥のフレンズなの!?」

「いいえ、違います」

「じゃあ無理だよ!」

「大丈夫です。ここからスピードをつけてれば、谷を飛び越せるかもしれません」

「飛び越せなかったら?」
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/07(金) 13:57:28.99 ID:gyT+eYdaO
 急いでレールにトロッコを乗せると、我々は飛び乗りました。

「全速力で逃げましょう!!」

「はいよっ!」

「うん!」

 お二人の全力のおかげか、トロッコはどんどん速度を増していきます。しかしセルリアンとの距離は開きません。それどころか縮まっています。

「もっとスピード出ませんか!」

「これが限界!」

 このままじゃジリ貧です。見たところ、ジャガーさんもカワウソさんも体力的な限界が近づいているように見えます。

 どうにか、どうにかこの危機を脱する方法を考えなければ……。妖精さんさえいればどうにでもなるのに……。

 わたしはふと前方を見ました。線路はまっすぐ伸びており、奥の方でぷっつり途切れていました。

「え?」

 よく目を凝らすと、そこは谷でした。どうやらそこにかかっていたらしい橋が落ちているようなのでした。

 今度こそ血の気が下りました。このままでは谷底へ真っ逆さまなのは確定です。

 ばっと後ろ振り向くと、セルリアンの触手がもうすぐそこまで迫ってきています。前門の谷、後門のセルリアン。
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/07(金) 13:57:37.07 ID:sZOOiCZ5O
スレ汚し失礼します

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>>2
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賛成/反対の投票ですので投票お願いします。


投票日:2017年3月12日


詳しくは
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http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1489154599/
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/07(金) 13:57:43.79 ID:F3aEcdI8O
9 名前:名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@無断転載は禁止 [sage] :2017/03/11(土) 00:32:29.95 ID:DV9Bek1G
曜「梨子ちゃん♪行こ?」
>>2
梨子「え、ええ…」

曜「どう?学校には慣れた?」

梨子「うーん…まだ、かな…
曜ちゃん以外に喋る子あんまりいないし…」

曜「そうなの?そっかぁ…」

梨子「うん…」

曜「さ、着替えよっか」

梨子「そ、そうね」
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/07(金) 13:57:51.23 ID:TFE00pBsO
1 名前:名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@無断転載は禁止 [sage] :2017/03/11(土) 00:24:27.16 ID:DV9Bek1G
アニメ本編とは別時空です
>>2
梨子「はぁ…転校して来た途端変な人に絡まれるし付いてないな…私…」

曜「ん?あっ、転校生の子だ♪」

梨子「あ、どうも」ペコリ

曜「千歌ちゃんに追いかけられてばっかりで大変そうだね」アハハ

梨子「千歌ちゃん…あぁ、うん…そうですね…」

曜「んーと…同い年だからタメ口でいいよ?」

梨子「そっか、じゃあそうするね
えーっと…」

曜「あっ、私?私は渡辺曜!曜でも曜ちゃんでも好きに呼んでね♪」

梨子「ふふっ、じゃあ曜ちゃんて呼ぼうかしら」

曜「了解♪じゃあ私は梨子ちゃんって呼ぶね!」
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/07(金) 13:57:58.28 ID:JequK4h2O
Aqoursの好感度スレまとめ

善子 →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1482032895/

曜 →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487678425/

ルビィ →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487668185/

千歌 →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487693644/
>>2
ダイヤ →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487770928/

花丸 → http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1487777497/

梨子→ http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1488373777/

果南→ http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1488454481/

鞠莉→ http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1488464531/
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/07(金) 13:58:06.93 ID:46BTllZ7O
「落ちるだけです」

「…………」 

 顔面蒼白のジャガーさんと対照的に、カワウソさんの顔はキラキラと輝いています。

「あなた飛べるんだね! すっごーいっ! 私も飛んでみたかったんだー!」

 そういって一人ハンドルを動かし始めます。

「あ、カワウソ!?」

「大丈夫ですよ、ジャガーさん」

 わたしはジャガーさんに微笑みかけました。

「わたし、これでも里では……、他のちほーでは魔法使いっていわれているんです」

「まほー、つかい?」

「いろいろ不思議なことが起こせるんですよ。任せて下さい」

「……。わかった」

 ジャガーさんは覚悟を決めたようで、カワウソさんの反対側に立ってハンドルを動かし始めました。

 わたしは前をじっと見つめます。妖精さんがいない、つまりは魔法が使えないのです。神様がわたしの日頃の善行を見ていてくれていることを祈るしかありません。

 若干下り坂になっているせいもあり、速度は順調に上がっていきます。

「頼みますよ、妖精さん」

 今はいない彼らへのお願いも済ませます。
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/07(金) 13:58:14.19 ID:LadXg8d5O
―――


 対峙する私たち三人を残して、絵里は一足先に廃工場内へと進んでゆきました。
 凛と花陽も進行を妨げることはなく、素直に絵里を通しました。


凛「……これで準備は整ったかな」

海未「ええ。絵里を通して貰い感謝します」

花陽「戦う相手は海未ちゃんだから。こっち、ついてきて」


 二人に従い、私もまた一足遅れて廃工場内へと踏み入りました。

 案内されたのは、ことりと絵里が上がった階段の先ではなく、一階フロアの奥でした。
 居並ぶのは、鉄製のクレーンやコンベア、人が何人も入りそうな大型タンクの列、それらを繋ぐ配管の数々。
 もう稼働することのない大型機器類や使用されぬまま放置された廃材が埃を被った状態で残されている、薄暗く湿った旧作業場でした。
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/07(金) 13:58:21.54 ID:UZdjprXzO
 包装を破いて、お二人の口に突っ込みます。

「んん〜! 甘い! うまい!」

「なにこれ! あまーいっ! すごーいっ!!!!」

 二人の顔がほころぶのをみると、こちらも差し上げた甲斐があるというものです。

「だいぶ回復されましたね? ではもう一度トロッコを漕いでください」

「え?」

 二人の顔が固まります。

「で、でもこの先って……」

「谷だよねー?」

「ええ、谷です。安心してください、飛びますから」

「はぁ!?」

「え!」

 ジャガーさんは驚愕、カワウソさんは期待の表情を浮かべました。

「と、飛ぶって!? あんた鳥のフレンズなの!?」

「いいえ、違います」

「じゃあ無理だよ!」

「大丈夫です。ここからスピードをつけてれば、谷を飛び越せるかもしれません」

「飛び越せなかったら?」
295 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/07(金) 13:58:30.42 ID:Id65AWc6O
 急いでレールにトロッコを乗せると、我々は飛び乗りました。

「全速力で逃げましょう!!」

「はいよっ!」

「うん!」

 お二人の全力のおかげか、トロッコはどんどん速度を増していきます。しかしセルリアンとの距離は開きません。それどころか縮まっています。

「もっとスピード出ませんか!」

「これが限界!」

 このままじゃジリ貧です。見たところ、ジャガーさんもカワウソさんも体力的な限界が近づいているように見えます。

 どうにか、どうにかこの危機を脱する方法を考えなければ……。妖精さんさえいればどうにでもなるのに……。

 わたしはふと前方を見ました。線路はまっすぐ伸びており、奥の方でぷっつり途切れていました。

「え?」

 よく目を凝らすと、そこは谷でした。どうやらそこにかかっていたらしい橋が落ちているようなのでした。

 今度こそ血の気が下りました。このままでは谷底へ真っ逆さまなのは確定です。

 ばっと後ろ振り向くと、セルリアンの触手がもうすぐそこまで迫ってきています。前門の谷、後門のセルリアン。
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/07(金) 16:06:20.11 ID:eJCQIl/hO
けもフレはそういう作品じゃないから
297 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/07(金) 17:25:55.81 ID:lEv6hQIC0
乙!
けもフレのアニメでも、橋を掛ける時に「魔法みたいだね」って言ってたけど、殆どが人を忘れて久しいフレンズ達が魔法という概念を知っているのは謎に思えたなぁ
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/07(金) 19:20:05.45 ID:Mrdh36n6O
魔法というか結界を張るのはいたな
アプリ版にだけど
299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/04/07(金) 21:18:09.93 ID:caROm9Q10
それにしても雑草茶とは、ヒドイものを飲まされたなwww
300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/07(金) 21:26:26.93 ID:fHmtkd5oo
人退信者気持ち悪いなぁ
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/07(金) 21:56:44.39 ID:dDLQbJBIo
人類からしたら妖精さんの製造品も魔法のようなもんだからな
302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/07(金) 21:59:28.37 ID:0zB/t3o8o
みたいなもんっていうか
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/07(金) 22:15:40.99 ID:Y9xxywfFO
人類ってキモい
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/08(土) 19:15:23.31 ID:ZzktPMUS0
はやくしろ
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/08(土) 19:27:41.70 ID:yvMdrLtW0
ライバーがイライラしてけもフレSS荒らしてんのか
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/08(土) 20:10:43.72 ID:jyTyKBK7O
けもフレアンチ多過ぎ
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/12(水) 22:36:54.80 ID:5227BwyW0
はやくしろ
308 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/12(水) 22:42:43.94 ID:k+9JhI/vO
>>307
消えろアンチ
309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 16:17:07.39 ID:lMD6bxvZo
何か妙な消化不良感があると思ったら、ようせいさん、かばんちゃん、サーバルが出てこないのが消化不良だったんだ。
なんかこう……肉のないチャーシュー麺を食べてる感じ。
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/21(金) 03:40:30.97 ID:y8oCmXsYO
肉は絶滅したのです
311 : ◆Wv.nqe0Jy. [sage]:2017/04/22(土) 19:22:46.92 ID:N4f4DzpF0
お久しぶりです。更新遅れてしまい申し訳ありませんでした。再開します。
312 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/04/22(土) 19:25:05.68 ID:N4f4DzpF0
「どれもおいしいねぇ」

「ありがとうございます」

 お菓子作りを終えたわたしたちは、クッキーやマフィンを手に一息ついていました。しかし、ここでわたしは大きな間違いを犯していることに気が付いたのです。

「…………」

「…………」

 アルパカさんも気づいてしまったようです。ええ、初歩的なミスでした。わたしが紅茶の代わりにならないかと提案したお菓子の数々、これらを食べていると、

「……紅茶がほしいですね」

「そうだねぇ」

 元々お茶菓子ですものね!(半ギレ)

「こーちゃと一緒に出したらおいしいんだろうねぇ〜」

「……そういえば、アルパカさんはどこで紅茶を入手していたんですか?」

「え? ああ、それねぇ、そこの箱の中に入ってたんだぁ。初めてここに来たときぃ、すんごくいいにおいがしたからはかせに教えてもらったんだよぉ〜」

 アルパカさんの言った箱は、食器棚の横にちょこんと置かれていました。蓋を開けてみますと、中には何も入っていませんが紅茶の良い香りが漂ってきます。

「前はどんだけ使っても無くならなかったのにー、この間から急に減っちゃったんだぁ」

「なるほど……」

 だいたいタネが見えてきました。

 かつて、自動供給装置と呼ばれるものが都市に張り巡らされていたといいます。情報通信デバイスを利用した物資の供給システムです。生産工場から家庭まで、全自動で物を運んでくれたとか。

 おそらくパークにも同種の装置が存在しているのではないでしょう。生産から流通までのシステムが生きているなど聞いたことがありませんが、この事態を説明するのにはこう言うしかありません。

「なんでまた紅茶だけ機能停止に……」

「こーちゃ、飲みたいねぇ」
313 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/04/22(土) 19:26:06.00 ID:N4f4DzpF0
「飲みたいですねー、紅茶」

 わたしとアルパカさんが二人してため息を吐いたときでした。

 ピシっ、というラップ音が屋内に響き渡ったのです。割と場数を踏んでいるわたしには、その音が何なのかがわかってしまいました。わたしの耳が確かなら、これは木造建築の断末魔。

「……アルパカさん、つかぬ事お尋ねしますが、このカフェは……、その……、建てられて何年ぐらいですかね?

「さぁ? ずーっと昔からあったよ〜」

「……いいですか? そっと、そーっとこの建物から出ましょう」

「へぇ? なんでぇ?」

「このままだとここは……」

 そういいかけたその時、バキバキっという破砕音が鳴り響くと、

「ふぁっ!?」

「ええっ!?」

 床が抜け落ちました。

 下を見ますと、まるで地底のそこまで続いてそうな深く暗い大穴が広がっています。わたしとアルパカさんは、重力に則ってその穴底へと真っ逆さまに落ちていきました。



 ああ、願わくば痛みなく一瞬でつぶれてしまいたいものですね……。
314 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/04/22(土) 19:26:46.89 ID:N4f4DzpF0
 わたしはヤメタさんとお話していました。覚えていますか? いつか知り合った、ジャガリアンハムスターの彼です。

 イタチたちとの凄まじい生存競争を繰り広げていた彼らとの日々。なんでいまこんなことを思い出すのでしょう。わたしにとってはひどい思い出なはずなのに。あの忌々しい……、忌々しい、妖精さんが作ったあの道具のせいで、わたしは……。
315 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/04/22(土) 19:27:51.53 ID:N4f4DzpF0
 気が付くと、砂山に埋もれているようでした。おかげで何も見えません。

「んんん!?」

 もぞもぞと動きますと、上に突き出た手が空を切ります。それを頼りに、私は砂山から脱出できました。

「ぱぁっ!?」

 息を胸いっぱいに吸い込むと、強い紅茶の香りが鼻を突きます。あたりを見回すと、そこはなんと、

「これ全部……、茶葉?」

 茶葉の山でした。里の人が総出で飲んでも何十年もかかりそうなほど大量の茶葉です。それが、学舎の体育館ほどのスペースに山のように敷き詰められていました。照明が機能しているため、あたりがはっきりと見渡せます。

わたしはこの茶葉山の上に落ちたおかげで、九死に一生を得たようです。

「あ! 大丈夫だったぁ?」

「ええ、なんとか」

 茶葉をかき分けるようにしてアルパカさんが姿を現します。彼女もどうやら無事なよう。

「ここ、どこだろうねぇ。かふぇの下にこんなところがあるなんてぇ、ぜんぜん知らなかったよ〜。こーちゃがいっぱい!」

「貯蔵庫、ですかねぇ。」

316 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/04/22(土) 19:31:48.53 ID:N4f4DzpF0
 上を見上げると、ちょうど私たちが振ってきたのだろう四角い穴がぽっかり空いていました。天井は高く、穴からここまでも10メートルはありそう。我ながらよく助かったものです。

 天井にはクレーンが設置されており、壁にもいくつか大きな穴が開いています。おそらく製造された茶葉をここに運び込み、あのカフェをはじめとした各施設に分配、配送を行っていたのでしょう。

「さて……、どうやってここから出ましょうか」

「う〜ん、ドアもないみたいだからねぇ〜」

 アルパカさんも困ったようにあたりを見回します。壁の穴は天井付近にあり、到底届きません。ハシゴや階段の類もなく、脱出は難しそうでした。

 その時、暖色だった照明が突如エマージェンシーなサイレンとともに赤く変わりました。

『禁止地区にフレンズの立ち入りを確認シマシタ。タダチに保護シマス』

「あ、ボスの声だぁ〜」

 危険漂う雰囲気の中、アルパカさんののん気な声が逆に際立ちます。

「ぼ、ボスってジャパリまんを配ってるとかいう? 機械音声なんですか、彼女!?」

「う〜ん、ボスがしゃべってるの、私もこの間初めて聞いたんだよぉ〜。かばんちゃんとはおしゃべりしてくれるんだけどねぇ〜」

「なんだか剣呑な感じなんですが大丈夫なんですか!? なんかまずい感じになりませんか!?」

「だぁいじょーぶだいじょーぶ。ボスは悪い子じゃないからぁ。ちょっと無口なだけだよぉ?」

 サイレンの中に、わたしの耳は何か別の音を感じとりました。

「……何か、聞こえませんか?」
317 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/04/22(土) 19:33:10.39 ID:N4f4DzpF0
 ザク、ザク、という音がどこからか聞こえてきました。その一定のリズムには、なんだか聞き覚えがあります。そう、これは大群が行進しているときにそっくりです。

 アルパカさんも気が付いたようです。

「う〜ん、足音?」

 やがて壁に空いた穴から、

「あれぇ、ボス、いっぱい来たね〜」

 大量の『ボス』が姿を現したのです。

『『『『保護スルヨ。保護スルヨ』』』』

 蛇口から水があふれるかの如く、次々湧き出るボス。その光景には、思わず恐怖せずにはいられません。わたしはアルパカさんの袖を引っ張り自然と後ずさりします。

「ほほ、本当に大丈夫なんですよねっ!?」

「だいじょーぶだってぇ。しんぱいしょうーだねぇ」

『『『『保護……ほほ、保護ごごごごごご』』』』

「なんだかエラー起きてませんか!?」

「調子悪いのぉ、ボス?」

 リズミカルに更新をしていたボスたちは、私たちを取り囲むと突如としてその動きを止め、バグが起きたように音声不良を起こし始めました。何か他にも不調があるのか、皆細かく震えています。
318 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/04/22(土) 19:34:26.15 ID:N4f4DzpF0
『……ガガガ、セ』

「せ?」

『セルリアンを確認。排除シマス。排除シマス』

「は?」

 疑問に首を傾げたのは一瞬でした。ボスからけたたましい警報音が響き始めたのです。

「こ、これ、不味くないですか?」

「セルリアン? どこにでたんだろうねぇ」

 そうです。セルリアンが出たということは我々大ピンチ。万が一この部屋の中に出現しようものなら、逃げ場はありません。

 どうしようもないので、ひとまずボスとやらに尋ねます。

「えっと、ボスさん? 我々も逃げたいので、どこか避難所のようなところはありませんか?」

『セルリアンを確認。セルリアンを確認』

「ボスさん?」

『セルリアンを確認、セルリアンを確認』

 ボスはわたしたちを取り囲んだまま動きません。警報音を鳴り響かせながらじっとこちらを見つめるだけです。

 なんとなく、頭の中にいや〜な予感がしました。いえ、余りにも突飛な考えです。考えるだけばかばかしいものです。

 ですがこの状況から導き出される仮説の一つとして、

『私がセルリアンと勘違いされている』

 といえなくもないのではないか、とも思えてしまうのです。

 いえ、考えすぎです。たぶん故障か、ほんとにセルリアンが出たかどっちかでしょう。後者だったら困りますが。

319 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/04/22(土) 19:35:18.37 ID:N4f4DzpF0
「う〜ん、セルリアンの気配はしないけどねぇ」

「たぶん故障かなにかですかね?」

「こしょー?」

「今ちょっと調子が悪いんですよ、ボスは」

「やっぱりねぇ〜。……ん?」

 アルパカさんが突如上を向きました。

「どうかしましたか?」

 つられて私も上を向きます。そこにあるのは、私たちが落ちてきた穴。そして、

「ア〜ル〜パ〜カ〜」

「助けに来たぞぉ〜!」

「ちょっと心配してるんですけど〜」

「こんなところがあるなんてねぇ」

「ぎゃぁぁぁぁ!! 落ちるぅぅぅぅ」

「…………」

 ぞくぞく落下してくるフレンズたちの姿がありました。

320 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/04/22(土) 19:37:03.00 ID:N4f4DzpF0
「トキぃ!」

「大丈夫? アルパカ」

 トキさんは地面すれすれで大きく羽ばたき、抱えていたもう一人のフレンズ――姿を見るにヘラジカでしょうか?――を下ろします。

「まにあってよかったんですけど!」

「しょーじょートキも!」

 もう一人、真っ赤な体のショウジョウトキさんはライオンさんを抱えて舞い降ります。

 そして、

「うぎゃぁぁぁふぎゃっ!? やべぇよ! まじやべえよハシビロコウっ!」

「……ごめんなさい、オーロックス。私、トキみたいに飛ぶのが得意じゃなくて……」

 ほとんど紅茶の山に突っ込むようにして着陸したのは、ハシビロコウさんとオーロックスさん。

「どーしたのぉ、こんなとこまでぇ」

「ボスがアルパカがセルリアンに襲われてるって教えてくれたの」

 トキさんがそう説明し、ヘラジカさんたちを紹介します。

「ちょうど近くにいたから、一緒に来てもらったわ」

「やぁやぁ! 私はヘラジカ! この私が来たからにはもう安心だぞ!」

「遅れてごめんねぇ」

ヘラジカさんとライオンさんはさっそくあたりを見回します。

「ボスがいっぱいいるが……、セルリアンの気配はないな」

「匂いもしないねぇ。オーロックス、そっちは?」

「ありません! ところで……」

321 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/04/22(土) 19:37:55.80 ID:N4f4DzpF0
 オーロックスさんがわたしを指さしました。

「こいつ、誰ですか?」

「ああ! その子ねぇ、かばんさんとおんなじフレンズなんだってぇ〜!」

「なに!? カバンと同じフレンズなのか!?」

「へぇ〜、私とホワイトライオンみたいな感じかな?」

 一同の視線がじっと私に集まります。もともと人見知りのわたしは居心地の悪さを感じながらも、調停官の仕事で身につけた一握りの社交性を発揮します。

「ど、どうも……」

 無理でした。

 相手が妖精さんならいざ知らず、見た目だけは普通の人間の少女と寸分変わらないのです。妖精さん相手のようにはいきません!

「じゃああんたもヒト? っていう奴なんだな! かばんみたいに不思議な事をいっぱい考えるのか?」

 ヘラジカさんが目を輝かせます。

「ええと、まあ、そんなところです」

わたしはその視線から若干目をそらしつつ、曖昧に肯定しました。そもそもヒトじゃありませんし。発想も凡庸ですし……。不思議な力、取り上げられちゃってますし……。
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