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フレンズは繁栄しました【人退×けもフレ】
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163 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/19(日) 13:00:21.09 ID:i5VJnn+1O
>>162
なにいってんだこいつ 馬鹿にしてるのか
164 :
◆Wv.nqe0Jy.
[saga]:2017/03/21(火) 14:01:16.74 ID:3m83T0D/0
「……うわぁ」
木々やなんやらがすごい勢いで流れていきます。橋? そんなもんどこにも見当たりません。
妖精さんなしで渡ろうものなら、たちまちわたしも木々のように下流へと流されていくことでしょう。こういう場合、う回路を探すのがセオリーですが……。
「地図で見た限り……見た、限り……」
地図で見た限り、ここに川はありませんでした。地形を現していない地図など存在価値があるのでしょうか、いや、ない。
「あんた、川を渡りたいのかい?」
「え?」
突然声をかけられました。振り返りますと、
「おや? あんた、もしかしてかばんの同類?」
「あなたは……?」
「私はジャガー。普段はここで川渡しをしてんだけどね。こないだからの雨で水かさが増しちゃってさ」
ジャガーさんは肩をすくめました。
165 :
◆Wv.nqe0Jy.
[saga]:2017/03/21(火) 14:02:27.06 ID:3m83T0D/0
「申し訳ないけど、今はお休みさせてもらってるよ」
「そうですか……」
「悪いねぇ」
落胆する私に、ジャガーさんは申し訳なさそうに言いました。
「あー、今もあるかはわかんないけど、この上にこの間かばんがかけた橋があるんだ。よかったら案内するよ。ついてきな」
そういって、ジャガーさんは歩き出しました。
「あの、あなたはかばんさんと面識がおありで?」
わたしが尋ねますと、ジャガーさんは大きくうなずいて笑いました。
「ああ。あいつはすごい奴だよ。橋をかけたり、ばす? っていうのを動かしたり」
「バス……」
ということは、かばんと呼ばれる人物は現在バスに乗って移動中という事でしょうか。これは大変です。先を急がなくては……。
「ああ。もしかして、あんたもかばんを探してるのかい?」
「はい。えっと……、同種の方のようだったので……」
「ああ、あいつ、自分が何のフレンズかわからないっていってたもんなぁ。にしても人気だな、あいつも」
「……もしかして、わたし以外にもかばんさんを追っている方がいらっしゃるので?」
「アライグマとフェネックも探してたよ」
166 :
◆Wv.nqe0Jy.
[saga]:2017/03/21(火) 14:03:13.55 ID:3m83T0D/0
わたし以外にもかばんさんの行方を追っている方々がいらっしゃるようです。名前を聞くにフレンズの方なのでしょう。彼女たちに一体どのような目的があるのか、とても気になります。
そんなことを話しているうちに、橋とやらに到着したのですが。
「やっぱ流されてたかー」
もはや見る影もありませんでした。代わりに、
「わーい! たーのっしー!!」
橋の残骸と思しきロープをぐるぐるぐるぐる回して遊んでいらっしゃる一人のフレンズさんがいらしたのです。
「おーい、カワウソー」
ジャガーさんが彼女に声をかけますと、彼女も我々に気付きます。
「あ! ジャガー! やっほー!」
どこまでも陽気そうな方です。カワウソさんはこちらまでスイスイと泳いできます。
「あれ、その子……」
「ああ、かばんの同類らしい。こいつもかばんのこと探してるってさ」
するといきなり、カワウソさんが抱き着いてきます。
「すっごーい! ってことはあなたもかばんとおんなじこと出来るの!?」
「ああ! そうだな。あんた、この橋直せるんじゃないのか?」
「ええっ!?」
なんだかとんでもない方向に話が進んでますよ?
167 :
◆Wv.nqe0Jy.
[saga]:2017/03/21(火) 14:04:32.29 ID:3m83T0D/0
「かばんみたいにすっごくてたのしーこと出来るんでしょ! 見せて見せて!」
「あ……、ええー」
この急流に、橋を、かけ直す? わたしが?
川幅は少なく見積もっても50メートルはあります。妖精さんがいればロンドン橋でもアカシ海峡大橋(かつて存在した世界最大だった橋だそうです。詳細不明)でもどんとこいですが、今のわたしは魔法の力も使えない裸のサル。それも一人。
「えーっとですね……」
どうにか断りの文句を考えますが
「楽しみー!!」
「今度はどんなことやってくれるんだい?」
期待の眼差し、全開。人間、寄せられた期待を裏切るのが一番難しいもんなんですね……。
「ちょ、ちょっと待っててください」
わたしは学舎で培ってきた知識と経験をフル活用させます。そう、かつての人類は魔法なしでも様々なことをやってのけたのです。人類史が蓄積してきた知恵と技術を使って、この危機を脱するには……。
ふと、助手さんが読んでいた書物が思い返されました。そう、あれはたしか、中世の戦国時代の本で……。
「あの、みなさん?」
キラキラした目でこちらを見つめるお二人に言いました。
168 :
◆Wv.nqe0Jy.
[saga]:2017/03/21(火) 14:05:30.99 ID:3m83T0D/0
川に小舟を並べ、その上に板を敷くことで簡易的な橋を設置するという方法が、中世において編み出されました。人類ってすごい。
わたしは先人の知恵を拝借することにしたのです。
「おーい、イカダってこんなもんでいいのかい?」
「はい、十分です」
「かばんがやったのに似てるなぁ」
「まあ、少人数で橋をかける方法なんてそんなにありませんし」
流れ着いていた流木を使用し、イカダを何枚も作成。それを川に浮かべてつないでいくことで橋を作っちゃおうというナイスでイカす素敵なアイデアです。
「少し休憩にしましょうか」
イカダづくりに奔走して頂いたジャガーさんにクッキーを一枚差し出します。ジャガーさんはそれをいぶかしげに眺めていました。
「……なんだ、この板」
「クッキーというお菓子……、食べ物です。甘くておいしいですよ?」
「食べ物……、ジャパリまんみたいなもんか?」
一通りにおいをかいだり観察したりしてから、恐る恐るといった風にそれをかじりました。
「…………」
「ジャガーさん?」
「こ、ここ、これ……」
169 :
◆Wv.nqe0Jy.
[saga]:2017/03/21(火) 14:06:54.37 ID:3m83T0D/0
やっぱり人間向きのお菓子はまずかったのでしょうか……。と思った瞬間、
「うまぁぁぁぁぁぁいいいいいいい!!」
文字通り、比喩でもなんでもなく飛び上がりました。
「なんだこれ! なんだこれ! 初めて食べたぞこんなもの!!」
「そ、それはよかったです……」
「甘い! 果物なんかとは別の甘さだ! おいしいっ!!」
「もう一枚、いかがですか?」
「いいのかいっ!?」
ジャガーさんがもう一枚のクッキーに飛びつきます。
「甘い……。美味しい……。これがクッキー、お菓子ってやつなんだねぇ……」
ここまで美味しそうに食べていただけるのは、調理人冥利に尽きるというものです。
「そうだ! カワウソの奴にも食べさせてやらなきゃ……」
「そういえば、遅いですね、カワウソさん」
イカダを縛る紐を探してもらうため、カワウソさんにはジャングルの中に入っていただいています。そろそろ帰ってきてよい頃何ですが……。
「ふったりともー」
「あら、カワウソさん、おかえりなさい」
茂みの奥からカワウソさんが姿を現します。手にはツタを持って。そして、
170 :
◆Wv.nqe0Jy.
[saga]:2017/03/21(火) 14:07:21.28 ID:3m83T0D/0
「ごめんねー。ついてきちゃったー」
後ろにセルリアンを連れて。
171 :
◆Wv.nqe0Jy.
[saga]:2017/03/21(火) 14:08:20.98 ID:3m83T0D/0
「みゃああああああああっ!?」」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
青い大型のセルリアンが、もはや数えるのも面倒というほど大量に。
わたしとジャガーさんはとっさに逃げ出します。カワウソさんはジャガーさんの小脇に抱えられて。
「おとなしくしときなよ、カワウソ!」
「わー、はやーい!」
「まって……下さい……」
こちとらか弱い乙女です。ジャガーさんの健脚についていけません。
「ほら、あんたも!」
「うわっ!?」
ジャガーさんはわたしも抱えました。二人を抱えてもなお、ジャガーさんの速度はそれほど衰えません。
おもわず感嘆の声が漏れます。
「すごい……」
「フレンズの能力さ。それよりどうしたらいい? このままじゃ追いつかれるぞ!」
こちらとセルリアンの距離はどんどん縮まっていきます。捕まってしまうも時間の問題です。
172 :
◆Wv.nqe0Jy.
[saga]:2017/03/21(火) 14:09:52.67 ID:3m83T0D/0
「どこか……、隠れられるところを……」
なにか都合よく洞穴か何かがあれば……、
「ねー、あそこに穴あるよー」
なんてグットタイミング!
「あそこ! あそこに逃げましょう!」
「よしきた!」
ジャガーさんがその中へ滑り込みます。
そこは洞窟、というよりは、崖にできた岩の割れ目といった方がいい場所でした。ちょうど人ひとりが通れるぐらいの細さで、セルリアンは入ってこれません。上を向くと青い空が見えました。
やつらはしばらく入口の前にたむろしていましたが、やがてどこかへ消えてしまいました。
「ふぅ……、危なかった……」
「すごかったねー」
「今度こそやばいかと思ったよ……」
危機をやり過ごし、安堵する我々。しかしジャガーさんは少し深刻そうな顔でつぶやきました。
「ここのところセルリアンが多いな……。ちょっとここから離れた方がいいかもしれない」
「昔はこんなにいなかったんですか?」
「まあね。見かけても小さい奴がちらほら、って具合だったし。こうやって何の前触れもなく表れるなんて珍しいのさ」
173 :
◆Wv.nqe0Jy.
[saga]:2017/03/21(火) 14:12:53.75 ID:3m83T0D/0
「あなた髪の毛長ーい! おもしろーい!」
カワウソさんがわたしの髪の毛で遊んでいるのはほっておいて、この後の対処法を考えます。
セルリアンはこのあたりをうろついているようなので、迂闊に移動することはできません。一方、ここは安全ですが、いつまでもいるわけにはいきません。
「ジャガーさん、ひとまず夜までここで待機しませんか? まだセルリアンも周囲にいそうですし」
「そうだね。それがいい。あたしは夜目が利くからね」
姉御肌のジャガーさん。なんと頼りになるのでしょう。
「わー! この髪の毛動くよ! すっごーい! たーのっしー!」
「こらそこ、勝手に髪の毛を動かさないでください」
いつか妖精さんの道具を使った際の副作用がいまだ残っているようです。わたしは自らの意に反してうねうね動く髪を気合でまとめます。
その時、ふと影が差しました。
ところでみなさん、マーフィーの法則ってご存知ですか? ざっくり言っちゃうと、起きてほしくないことに限って起きる、みたいな感じの法則です。
この場合起きてほしくないこと、というのはセルリアンに見つかること。ここまで書けばお判りでしょう。
上から我々を覗いていたのはセルリアンの大群でした。
174 :
◆Wv.nqe0Jy.
[saga]:2017/03/21(火) 14:14:21.09 ID:3m83T0D/0
「うみゃあああああああああああ!?」
「わぁぁぁああああああああああ!?」
「きゃあああああああああああ!?」
ぎょろりとした単眼がいくつもわたし達を見下ろしていました。
「い、いえ! ここならあいつらは手出しできません!」
「そ、そうだよねぇ。ここにいればセルリアンも」
と言った矢先、出してきました、手。
「うわぁぁぁぁあああああ!」
手、というより先端に口がついている凶悪なフォルムの触手です。
「うわっ! くそ! えい!」
「よっと、ほいっ。とうっ!」
「きゃっ! もうっ! うわぁっ!」
伸びてくる触手を器用に避けます。以前ツイスターゲームという古典芸能に親しんだ甲斐があったというものです。
しかしこんなこといつまでも続けていられません。
「ジャガーさん! カワウソさん! ここは逃げましょう!」
「わかった!」
「えー、これ結構たのしーのに」
何事も楽しむその姿勢、嫌いじゃありませんよ、カワウソさん。
175 :
◆Wv.nqe0Jy.
[saga]:2017/03/21(火) 14:15:19.41 ID:3m83T0D/0
「でもどうすんの? いま飛びだしたら……」
「セルリアンにパクリといかれるでしょうね……」
まあここにいてもまもなくパクリといかれるでしょうけど。
ですが座して死を待つつもりは毛頭ありません。ポシェットの中身を探ります。出てきたのは金平糖の詰まった瓶。
「……セルリアンに我々と同じ味覚があることを信じましょう」
わたしは数粒を手の平に出すと、それらをできるだけ連中の目に入れるようにしての口に向かって投げました。間髪を入れず金平糖を瓶ごと放り投げます。
効果は思いのほか大きなものでした。よっぽど味が気に入ったのか、セルリアンたちは瓶に向かって一直線に殺到します。
「今のうちに!!」
わたしはお二人の手を取ってそっと逃げ出しました。
176 :
◆Wv.nqe0Jy.
[saga]:2017/03/21(火) 14:17:17.59 ID:3m83T0D/0
「すごいねぇ! あんた、サンドスターを出せるなんて」
ジャガーさんが感心したように私を見ました。
「はあ?」
「うん! 私サンドスターでセルリアンを攻撃するフレンズなんて初めて見たよ〜」
カワウソさんも同じようにわたしの顔を覗きこみます。
サンドスター? ああ、金平糖のことでしょうか。
「あれは金平糖というお菓子です。サンドスターではありませんよ」
「え、お菓子!?」
ジャガーさんが飛びつきます。
「もったいない! あんなに美味しいものをセルリアンにやっちゃうなんて!」
「おかしってなーにー?」
「ふ、二人とも!? 近い! 近いですからっ!」
迫りくる二人を押しのけます。
「このピンチを抜け出せたら差し上げます! ひとまず早く遠くに行かなければ……」
ぐずぐずしていればセルリアンがやってきかねません。ですから、このあたりからなるべく離れなければなりません。
「早く、遠く……」
ジャガーさんが考え込みました。そして、
「なんかそれっぽいの知ってるけど」
177 :
◆Wv.nqe0Jy.
[saga]:2017/03/21(火) 14:18:40.33 ID:3m83T0D/0
「こ、これは……」
「なにこれー! すっごい!」
ジャガーさんが教えてくれたのは、手漕ぎトロッコでした。車体中央にハンドルがついていて、上下に動かすことで前進するものです。
あちこちさび付いてはいましたが、試しにハンドルを動かすと車体はゆっくり動きだしました。
「ジャガーさん! この線路はどこまでいっているんですか?」
「せんろ? ああ、この棒みたいな奴ならさばくちほーの入口まで通じてるよ」
「よしっ!」
思わずガッツポーズします。
「カワウソさん、ジャガーさん。この棒みたいなのをぎっこんばっこんしてください。こういう風に」
「ああー、そうやって使うのか。いっつも手で押してたよ。こう、ガーッて押すと結構スピードが出るんだ」
「何これふっしぎー! 楽しー!」
お二人はノリノリでハンドルを動かします。トロッコも快調に加速。この調子なら、すぐにでもこのセルリアン多発地帯を抜けることができるでしょう。
「ここから助かったら、お二人にお菓子を差し上げます! だから頑張ってください!」
「おお! またくれるんだな!」
「やった! 楽しみー!!」
これで助かりそう、そう安堵した矢先、
「……、あれ?」
178 :
◆Wv.nqe0Jy.
[saga]:2017/03/21(火) 14:20:04.65 ID:3m83T0D/0
森の中に、あの青ダルマの姿が見えました。
「…………」
「おーい、どうしたの?」
「じゃ、ジャガーさん、あれ」
森の中で集団移動の真っ最中のセルリアンを指さすと、ジャガーさんも固まります。
「さ、幸い、まだ気づかれていないようですが……」
「なになにー?? あ、セルリアンだ……」
カワウソさんもビクリと体を震わせました。
「できる限り音を立てないようにしましょう」
わたしは声を潜めます。距離があるので、トロッコの通行音は聞こえていないようです。このままうまくやり過ごして……、
その時、とんでもない音とともにトロッコが脱輪しました。
「きゃぁ!?」
我々は地面に投げ出されます。
「な、なにごとっ!?」
「ああ、線路に小石が……。これのせいでしょう」
「トロッコさん怒っちゃったのかな?」
わたしは小石を取り除き、トロッコを線路に戻そうと立ち上がって、セルリアンと目が合いました。
「…………」
ジャングルの湿気を含んだ風が我々の間を駆け抜けます。永遠に続くかのような沈黙でした。木々のざわめきだけが耳に入ります。
この場にいる誰もが金縛りにあったかのように固まっていました。
それを破ったのは、やはりというか当然というか、セルリアンです。連中はあの口の付いた触手をこちらに向け大挙して押し寄せてきます。
「ととととトロッコ! トロッコを! お二人とも早く!」
179 :
◆Wv.nqe0Jy.
[saga]:2017/03/21(火) 14:21:47.36 ID:3m83T0D/0
急いでレールにトロッコを乗せると、我々は飛び乗りました。
「全速力で逃げましょう!!」
「はいよっ!」
「うん!」
お二人の全力のおかげか、トロッコはどんどん速度を増していきます。しかしセルリアンとの距離は開きません。それどころか縮まっています。
「もっとスピード出ませんか!」
「これが限界!」
このままじゃジリ貧です。見たところ、ジャガーさんもカワウソさんも体力的な限界が近づいているように見えます。
どうにか、どうにかこの危機を脱する方法を考えなければ……。妖精さんさえいればどうにでもなるのに……。
わたしはふと前方を見ました。線路はまっすぐ伸びており、奥の方でぷっつり途切れていました。
「え?」
よく目を凝らすと、そこは谷でした。どうやらそこにかかっていたらしい橋が落ちているようなのでした。
今度こそ血の気が下りました。このままでは谷底へ真っ逆さまなのは確定です。
ばっと後ろ振り向くと、セルリアンの触手がもうすぐそこまで迫ってきています。前門の谷、後門のセルリアン。
180 :
◆Wv.nqe0Jy.
[saga]:2017/03/21(火) 14:24:12.68 ID:3m83T0D/0
「……悪い、もう、限界」
ジャガーさんがはぁはぁと荒い息を吐きながらハンドルを手放しました。
「私もー」
カワウソさんもへたれこみます。漕ぐ者がいなくなったので、トロッコはがくんとスピードを落としていきました。
「あわわ!! みなさん!?」
あわててハンドルを動かしますが、わたしはただのか弱い乙女です。先ほどまでのようなスピードは出ず、セルリアンとの距離はどんどん詰められて行きます。
「頑張りましょう! ここでへばってはセルリアンのエサですよ!」
まあ頑張って進んでも谷底に向かいそうですが。わたしも含め、あきらめムードが漂っています。
「ああ、最後にお菓子が食べたかったな……」
「私も食べたかったー」
わたしは、セルリアンとジャガーさん、カワウソさん。そして迫りくる谷をそれぞれ見比べました。谷の向こう岸までは数十メートルといったところでしょうか。
もはや賭けに近いですが、ある考えが浮かびました。妖精さんがいれば何でもないでしょう。ですが0Fの今、この作戦が成功する確率は0に等しいです。
しかしやらずに死んでしまうよりよっぽどましです。わたしは意を決して、ポシェットからキャラメルを取り出しました。
「お二人とも、これをどうぞ」
「お菓子かいっ!?」
「なにこれー?」
「キャラメルです。おいしいですよ」
181 :
◆Wv.nqe0Jy.
[saga]:2017/03/21(火) 14:25:07.78 ID:3m83T0D/0
包装を破いて、お二人の口に突っ込みます。
「んん〜! 甘い! うまい!」
「なにこれ! あまーいっ! すごーいっ!!!!」
二人の顔がほころぶのをみると、こちらも差し上げた甲斐があるというものです。
「だいぶ回復されましたね? ではもう一度トロッコを漕いでください」
「え?」
二人の顔が固まります。
「で、でもこの先って……」
「谷だよねー?」
「ええ、谷です。安心してください、飛びますから」
「はぁ!?」
「え!」
ジャガーさんは驚愕、カワウソさんは期待の表情を浮かべました。
「と、飛ぶって!? あんた鳥のフレンズなの!?」
「いいえ、違います」
「じゃあ無理だよ!」
「大丈夫です。ここからスピードをつけてれば、谷を飛び越せるかもしれません」
「飛び越せなかったら?」
182 :
◆Wv.nqe0Jy.
[saga]:2017/03/21(火) 14:26:24.03 ID:3m83T0D/0
「落ちるだけです」
「…………」
顔面蒼白のジャガーさんと対照的に、カワウソさんの顔はキラキラと輝いています。
「あなた飛べるんだね! すっごーいっ! 私も飛んでみたかったんだー!」
そういって一人ハンドルを動かし始めます。
「あ、カワウソ!?」
「大丈夫ですよ、ジャガーさん」
わたしはジャガーさんに微笑みかけました。
「わたし、これでも里では……、他のちほーでは魔法使いっていわれているんです」
「まほー、つかい?」
「いろいろ不思議なことが起こせるんですよ。任せて下さい」
「……。わかった」
ジャガーさんは覚悟を決めたようで、カワウソさんの反対側に立ってハンドルを動かし始めました。
わたしは前をじっと見つめます。妖精さんがいない、つまりは魔法が使えないのです。神様がわたしの日頃の善行を見ていてくれていることを祈るしかありません。
若干下り坂になっているせいもあり、速度は順調に上がっていきます。
「頼みますよ、妖精さん」
今はいない彼らへのお願いも済ませます。
183 :
◆Wv.nqe0Jy.
[saga]:2017/03/21(火) 14:27:16.57 ID:3m83T0D/0
そして、
トロッコは空中に飛び出しました。
184 :
◆Wv.nqe0Jy.
[saga]:2017/03/21(火) 14:28:33.06 ID:3m83T0D/0
閲覧ありがとうございます。
今日は以上です。
185 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/21(火) 16:22:31.03 ID:7uBQxzEco
乙
次回も期待
186 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/21(火) 16:30:22.67 ID:LeqVtklCO
どうもこのジャパリパークは、動物が変化した存在、『フレンズ』たちが暮らしている場所だというのです。『フレンズ』はサンドスターという物質によって生み出され、またセルリアン、という天敵もいるとか。
カバさんいわく、セルリアンを見た時はすぐに逃げることが一番良いそう。まあこっちは大した武器もありませんのでそうせざるを得ませんが。
「とりあえず、新入りの子に言うべきことはこれくらいかしらねぇ」
「ありがとうございます、何から何まで」
カバさんはわたしのことを新しく生まれたフレンズだと思っているようです。
「いいのよ。あ、そうだ。あなたは自分が何のフレンズがわかっているのよねぇ?」
「え? まあ、はい」
「もしよかったら、かばんにそれを教えてあげてくれないかしら?」
かばんさん。わたしと同じ特徴を持つ、つまりはわたしと同種の方。どうやら記憶喪失となり、自分の正体を探るべく図書館とやらに向かっているとか。
「はい。途中でお会いすれば」
「よろしくね。サーバルが道案内しているんだけれど、サーバルだものねぇ。私、不安で不安で」
187 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/21(火) 16:30:30.49 ID:bVI7wVGMO
わたしは助手さんを連れて件の無人島に最寄りの里まで赴きました。まずはそこで情報収集です。事前情報のない冒険など死にに行くことと同義ですから。
「姐さん、集まった情報なんですが……」
月に行ってから妙に饒舌になった助手さんが、メモ片手に報告してくれます。
「どうも昔、あの島は『サファリパーク』と呼ばれる観光施設だったそうです」
「ああ、あの動物園の進化版みたいなやつですか?」
人類が繁栄を享受していたころ、世界中に生息する珍しい動植物を集め、鑑賞目的に展示するという施設が人気を博していたと歴史書は記しています。衰退するにしたがってそういった娯楽施設は真っ先に閉鎖されており、現在地球上のどこにも存在していません。
サファリパークというのは動物園よりもより野生に近い状態で動物たちを飼育する施設だったといわれています。
188 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/21(火) 16:30:37.51 ID:yli6GfZTO
―――
対峙する私たち三人を残して、絵里は一足先に廃工場内へと進んでゆきました。
凛と花陽も進行を妨げることはなく、素直に絵里を通しました。
凛「……これで準備は整ったかな」
海未「ええ。絵里を通して貰い感謝します」
花陽「戦う相手は海未ちゃんだから。こっち、ついてきて」
二人に従い、私もまた一足遅れて廃工場内へと踏み入りました。
案内されたのは、ことりと絵里が上がった階段の先ではなく、一階フロアの奥でした。
居並ぶのは、鉄製のクレーンやコンベア、人が何人も入りそうな大型タンクの列、それらを繋ぐ配管の数々。
もう稼働することのない大型機器類や使用されぬまま放置された廃材が埃を被った状態で残されている、薄暗く湿った旧作業場でした。
189 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/21(火) 16:30:44.33 ID:KVZs2BurO
1 名前:名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@無断転載は禁止 [sage] :2017/03/11(土) 00:24:27.16 ID:DV9Bek1G
アニメ本編とは別時空です
>>2
梨子「はぁ…転校して来た途端変な人に絡まれるし付いてないな…私…」
曜「ん?あっ、転校生の子だ♪」
梨子「あ、どうも」ペコリ
曜「千歌ちゃんに追いかけられてばっかりで大変そうだね」アハハ
梨子「千歌ちゃん…あぁ、うん…そうですね…」
曜「んーと…同い年だからタメ口でいいよ?」
梨子「そっか、じゃあそうするね
えーっと…」
曜「あっ、私?私は渡辺曜!曜でも曜ちゃんでも好きに呼んでね♪」
梨子「ふふっ、じゃあ曜ちゃんて呼ぼうかしら」
曜「了解♪じゃあ私は梨子ちゃんって呼ぶね!」
190 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/21(火) 16:31:00.27 ID:2UNgcIfYO
「落ちるだけです」
「…………」
顔面蒼白のジャガーさんと対照的に、カワウソさんの顔はキラキラと輝いています。
「あなた飛べるんだね! すっごーいっ! 私も飛んでみたかったんだー!」
そういって一人ハンドルを動かし始めます。
「あ、カワウソ!?」
「大丈夫ですよ、ジャガーさん」
わたしはジャガーさんに微笑みかけました。
「わたし、これでも里では……、他のちほーでは魔法使いっていわれているんです」
「まほー、つかい?」
「いろいろ不思議なことが起こせるんですよ。任せて下さい」
「……。わかった」
ジャガーさんは覚悟を決めたようで、カワウソさんの反対側に立ってハンドルを動かし始めました。
わたしは前をじっと見つめます。妖精さんがいない、つまりは魔法が使えないのです。神様がわたしの日頃の善行を見ていてくれていることを祈るしかありません。
若干下り坂になっているせいもあり、速度は順調に上がっていきます。
「頼みますよ、妖精さん」
今はいない彼らへのお願いも済ませます。
191 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/21(火) 16:31:06.96 ID:FvYvWQrMO
包装を破いて、お二人の口に突っ込みます。
「んん〜! 甘い! うまい!」
「なにこれ! あまーいっ! すごーいっ!!!!」
二人の顔がほころぶのをみると、こちらも差し上げた甲斐があるというものです。
「だいぶ回復されましたね? ではもう一度トロッコを漕いでください」
「え?」
二人の顔が固まります。
「で、でもこの先って……」
「谷だよねー?」
「ええ、谷です。安心してください、飛びますから」
「はぁ!?」
「え!」
ジャガーさんは驚愕、カワウソさんは期待の表情を浮かべました。
「と、飛ぶって!? あんた鳥のフレンズなの!?」
「いいえ、違います」
「じゃあ無理だよ!」
「大丈夫です。ここからスピードをつけてれば、谷を飛び越せるかもしれません」
「飛び越せなかったら?」
192 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/21(火) 16:31:14.16 ID:1uJZgcEUO
急いでレールにトロッコを乗せると、我々は飛び乗りました。
「全速力で逃げましょう!!」
「はいよっ!」
「うん!」
お二人の全力のおかげか、トロッコはどんどん速度を増していきます。しかしセルリアンとの距離は開きません。それどころか縮まっています。
「もっとスピード出ませんか!」
「これが限界!」
このままじゃジリ貧です。見たところ、ジャガーさんもカワウソさんも体力的な限界が近づいているように見えます。
どうにか、どうにかこの危機を脱する方法を考えなければ……。妖精さんさえいればどうにでもなるのに……。
わたしはふと前方を見ました。線路はまっすぐ伸びており、奥の方でぷっつり途切れていました。
「え?」
よく目を凝らすと、そこは谷でした。どうやらそこにかかっていたらしい橋が落ちているようなのでした。
今度こそ血の気が下りました。このままでは谷底へ真っ逆さまなのは確定です。
ばっと後ろ振り向くと、セルリアンの触手がもうすぐそこまで迫ってきています。前門の谷、後門のセルリアン。
193 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/21(火) 16:31:22.69 ID:pUlbl0KqO
「落ちるだけです」
「…………」
顔面蒼白のジャガーさんと対照的に、カワウソさんの顔はキラキラと輝いています。
「あなた飛べるんだね! すっごーいっ! 私も飛んでみたかったんだー!」
そういって一人ハンドルを動かし始めます。
「あ、カワウソ!?」
「大丈夫ですよ、ジャガーさん」
わたしはジャガーさんに微笑みかけました。
「わたし、これでも里では……、他のちほーでは魔法使いっていわれているんです」
「まほー、つかい?」
「いろいろ不思議なことが起こせるんですよ。任せて下さい」
「……。わかった」
ジャガーさんは覚悟を決めたようで、カワウソさんの反対側に立ってハンドルを動かし始めました。
わたしは前をじっと見つめます。妖精さんがいない、つまりは魔法が使えないのです。神様がわたしの日頃の善行を見ていてくれていることを祈るしかありません。
若干下り坂になっているせいもあり、速度は順調に上がっていきます。
「頼みますよ、妖精さん」
今はいない彼らへのお願いも済ませます。
194 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/21(火) 16:54:55.23 ID:L/PguUeZo
乙
195 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/21(火) 18:55:53.87 ID:SW3OcXlH0
乙!
かばんちゃんより厳しい道程だな……既に絶体絶命の危機向かえてるし……
196 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/21(火) 22:05:36.35 ID:bWRLucGyo
もしもしにまけるな
197 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage ]:2017/03/22(水) 01:48:50.72 ID:s5PJ7Xiro
乙
次も楽しみに待ってる
198 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/22(水) 02:14:35.56 ID:ghv3ASqD0
やっぱけもフレおもしろいな
それに比べてこのスレのつまらなさ
好奇心もわかない
良作品を自分の好きな作品の為に下げるのやめてほしい
199 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/22(水) 03:15:37.80 ID:Rg6x+8Wc0
けものフレンズの世界が他の作品に汚されてる
200 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/22(水) 05:48:55.04 ID:F84JyD9ZO
面白い
201 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/22(水) 17:22:54.33 ID:dYmxNHm1O
面白い面白い言ってたけどやっぱり面白くなかったわ
202 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/22(水) 17:52:33.48 ID:fNY235QyO
フレンズキチは他所を荒らす
て風潮を作ってあちこちと対立させたいやつがいるみたいだな
ジャパリパークを見習えよ
203 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/22(水) 19:01:10.03 ID:2XLaMXT6O
>>202
じゃパリパークにのけものはいないもんな
だってじゃパリパークからのけものにされた奴らがここに居るから
204 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/22(水) 20:31:43.10 ID:1n1qcHOY0
11話……先が気になるね
205 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/22(水) 21:05:51.49 ID:iKz1x2b/0
けものフレンズのキャラだけで完結してるのに他の余計な作品のキャラに役割を無理やり持たせてるからけもフレキャラがワリを食ってる
206 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/22(水) 22:37:51.11 ID:s5itqHsJo
わたしちゃん何年たってもかわいい
207 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/22(水) 23:05:07.79 ID:kEBhLRY5o
作品自体を余計と思ってるならこのスレ開くはずないんだが……
208 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/23(木) 00:44:06.40 ID:JocI+i7Ao
人退信者キモいな
209 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/23(木) 02:28:20.19 ID:Xn/C+PIZ0
人退信者ばっかだな
けもフレ信者はこの板にはそんなにいないのか
210 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/23(木) 05:01:41.75 ID:MGsd0++To
もしもし発狂ww
211 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/23(木) 14:03:40.80 ID:JjWogKFlo
完全な対立厨ですね
おっとSSには関係なかった失礼
212 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/23(木) 17:52:24.73 ID:jkx6MSm4O
もしもしって末尾なに?
213 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/23(木) 20:00:31.40 ID:vFKOL+mno
大文字O
214 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/24(金) 01:11:00.21 ID:MLnEAm+PO
発狂してるか?
215 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/24(金) 12:29:44.24 ID:9uYhhSzl0
コンペイトウって成分は単純だし、買うにもそれ程しないのに、作るとなるとあり得ないほどの手間がかかるんだよなぁ
216 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/24(金) 14:27:46.55 ID:xUwYDiE8o
昔は献上品だったけどな金平糖
217 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/24(金) 16:51:14.60 ID:2o7gLdPao
技術は偉大ですな
218 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/25(土) 00:55:28.80 ID:2i6A5gUno
>>1
もせめてもうちょっと両方を上手く立てる技術を磨いてから書いてほしいな
219 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/03/25(土) 04:51:37.58 ID:BSg2OHha0
何様w
220 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/25(土) 18:17:31.45 ID:uTi1yLHZO
二次創作する以上最低限必要なことだよな
221 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/25(土) 20:15:02.24 ID:/N9ZWnshO
十分面白いが
222 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/26(日) 00:20:47.53 ID:w1zYuszBo
面白い面白くないの話じゃないんだが
223 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/26(日) 00:24:44.78 ID:zNzLJlDFo
続きが読みたいんだが
224 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/26(日) 01:14:19.01 ID:WXCqLwAaO
もう二度と見たくないんだが
225 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/26(日) 10:18:29.20 ID:NI3F4Lvko
とりあえず続き書いてほら
226 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/27(月) 00:43:31.19 ID:mfwrvdtWo
やっぱいらないや
227 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/27(月) 01:04:15.09 ID:2Drs5bbPo
けもフレはゴミだな
228 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/27(月) 01:10:42.73 ID:1cqbdO8uo
けもフレも所詮ミームに引っ張られた一過性のものだった
来年の今頃にはキノの旅辺りがまた持て囃されている頃だろう
229 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/27(月) 02:44:00.25 ID:d5ZLTTI+O
一方大した話題にもなってない作品
230 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/27(月) 12:36:23.10 ID:konu7mIB0
嫌よ嫌よも好きの内。みんなツンデレね
231 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/28(火) 13:27:06.94 ID:S96Sf1fIo
素直に好きといえないなんてこのはずかしがり屋さんめ
232 :
◆Wv.nqe0Jy.
[saga]:2017/03/30(木) 15:17:02.12 ID:Yskfq0Py0
線路が消え、猛スピードのトロッコが谷を飛びます。遥か下方に川が流れているのが見えました。脳の処理速度が上がったのか、流れる風景がスローモーションのように見えます。
このまま、対岸へ……。
しかし、谷幅はわたしが考えていたよりも広かったようでした。トロッコは谷の真ん中に達するより前に下降を始めます。
ああ、ダメだ。
そう思った時、わたしの体は動きだしていました。
両手でカワウソさんとジャガーさんの首根っこをつまむと、トロッコからジャンプしたのです。足の筋肉を最大限駆使し空中に躍り出たわたしは、空中でじたばたと足を動かしつつ、両手に持ったお二人を振り子のように前方に振り上げました。
そこからはよく思い出せません。
気が付いたとき、わたしたち三人は固い地面の上に投げ出されていました。
ばっと顔を起こすと、対岸でセルリアンたちがぼとぼと谷底で落ちていました。
「助かった……」
わたしの体から力が抜けます。どうやらやっとこさ危機は去ったようです。その時、わたしにお二人がのしかかりました。
「ふぐっ!?」
233 :
◆Wv.nqe0Jy.
[saga]:2017/03/30(木) 15:18:07.98 ID:Yskfq0Py0
「すごいねぇあんた! サーバルでもないのにあんなジャンプしちゃうなんてさ!」
「すっごく楽しかった! もう一回やろー!!」
「もう二度としませんっ!」
それだけはきっちり言っておきます。そしてお二人をどかして起き上がりました。
「……。とりあえず、セルリアンはもうここにはいないんですよね?」
「うーん。匂いや気配はしないねぇ」
「だいじょーぶだよー」
「それは……、よかったです」
お二人の野生の勘を信じましょう。……若干一名不安ですが。
その時、わたしのおなかがぐぅ、と鳴りました。
「あれ? お腹すいてんの?」
「……ええ、恥ずかしながら」
よく考えたら、朝にクッキーをかじった以外何も口にしていません。緊張が解けたせいか、急に空腹が襲ってきます。
「わたし、ジャパリまん持ってるよ! はい、どーぞ」
カワウソさんがどこからか『ジャパリまん』とやらを取り出し、わたしにくれました。
「これは?」
「ジャパリまん。私たちの大好物なんだー!」
234 :
◆Wv.nqe0Jy.
[saga]:2017/03/30(木) 15:19:36.72 ID:Yskfq0Py0
包装を破くと、中には東洋の饅頭のような食べ物が入っていました。黄色で着色された、子供の頭ぐらいのものです。
ぱくりとかじりますと、中には味付けのされた餡が詰まっています。味は、その……、なんというか、形容しにくいです。わたしの語彙で表せるとすればうま味がある、としか言いようがありません。
まずいわけでは決してなく、むしろ美味なのですが。こんな感じのもの、どこかで食べたことがある気がします。人工物っぽいというか、なんというか……。
わたしが微妙な顔をしていたので、カワウソさんが心配そうに尋ねます。
「おいしくなかった?」
「いえいえ! おいしいですよ。ありがとうございます、カワウソさん」
「そっかー。よかった! これを嫌いなフレンズなんていないもんねー!」
「……皆さんこれを食べられているんですか?」
「うん! そーだよ! ボスがいっつも配ってるんだ!」
道理で、このパーク内では食物連鎖の跡が見られないんですねぇ。定期的に『ボス』とやらから供給されるジャパリまんのおかげで捕食者と被食者の関係性が崩壊しているのでしょう。おかげでジャガーさんにパクリと食べられることがないわけです。
ジャパリまんを食べ終えると、わたしの胃袋も満たされたようです。
一時的欲求が満たされますと、次の欲求が生まれてきました。
「紅茶が飲みたい……」
思い返せば、月に行った時も都市遺跡に行った時も、紅茶は欠かさず持参していました。
紅茶はわたしの生活の一部なのです。紅茶とともに目覚め紅茶とともに一日を過ごし、紅茶とともに眠る。これがわたしの模範的習慣でした。わたしの祖先は戦場で紅茶を飲んだとか言い伝えられていますし。
235 :
◆Wv.nqe0Jy.
[saga]:2017/03/30(木) 15:20:38.74 ID:Yskfq0Py0
ですがここは国連未発見地域。紅茶なんてとても手に入ら
「あるよ、こーちゃ」
「ええっ!?」
気が付けば、わたしはジャガーさんの肩をぶんぶん揺らしていました。
「飲み物の紅茶ですよ!? いったいそんなもんどこに!?」
「や、山の、山の上の……。ちょ、ちょっとやめて……」
「あ、すみません」
興奮のあまり取り乱してしまいました。
「ゴホッゴホ……。あんたこーちゃ好きなんだねぇ」
「はい。で、山の上の?」
「ああ、山の上にアルパカがやってるかふぇ? っていうのがあるんだって。最近鳥のフレンズの間でだいぶ流行ってるらしいよ」
「山の上ってもしかしてあれですか?」
わたしが遠方に見える成層火山を指さしますと、ジャガーさんは首を横に振りました。
「あっち」
ジャガーさんの言う山は、わたしが思ったよりずいぶんと近くにありました。ただ、山、と呼称するには、険しすぎました。
「ええ……」
236 :
◆Wv.nqe0Jy.
[saga]:2017/03/30(木) 15:21:39.67 ID:Yskfq0Py0
全周ほぼ崖です。そのうえ山頂付近には雲もかかっています。人が立ち入ることを拒みまくっているかのようでした。
「…………」
紅茶を飲みたいがためにあの山を登る……。もはや生命の危機すらありそうな道程です。でも紅茶……。
「フェネックたちが行った時はろーぷうぇー? ってやつを使ったっていってたなぁ」
「ちょっと行ってきます」
文明の利器万歳!
「え? あんたかばんのこと探してたんじゃないの?」
「たまにはほどほどに休む。昔から言い伝えられている家訓です」
「はあ……」
ジャガーさんが感心しているのか呆れているのかわからない顔で相槌を打ちます。きっと感心してくれているんでしょう、そうでしょう。
「じゃあ気をつけなよ!」
「ばいばーい!」
ジャガーさんとカワウソさんに別れを告げます。
ロープウェイは簡単に見つけることができました。そして人力のゴンドラも。
「……紅茶のためです」
美味しいものを飲んでこその人生なんですよ、たぶん。
ペダルを延々漕ぎ続け、涼しい気候にもかかわらず汗だくになったころ、ようやく山頂にたどり着きました。
237 :
◆Wv.nqe0Jy.
[saga]:2017/03/30(木) 15:22:42.02 ID:Yskfq0Py0
山頂はよく整備された広場になっています。ここに人がいた時代は展望台か何かがあったのでしょう。その隅に、木造の小屋がぽつんと立っていました。
「ここ、でしょうか……」
『ジャパリカフェ』
古ぼけた看板にはそう書かれています。営業しているとは到底思えません。
「すみませ〜ん」
ガラガラという鈴の音が響くと同時に、
「いらっしゃぁい! よぉこそぉジャパリカフェへー」
田舎のおばあちゃんみたいな訛りで迎え入れてくれたのは、噂に聞いたアルパカ・スリさん。
「あのー、ここで紅茶が飲めるって聞いたんですけど……」
するとアルパカさんは悲しそうに顔を伏せました。
「ごぉめんねぇ。いまこーちゃ切らしてんだぁ」
「え」
「トキにお願いしてぇ、はかせに分けてもらおーとしたんだけぉ、はかせももう持ってないってぇ言われちゃってねぇ」
「え……」
「ごめんねぇ」
「そんな……」
238 :
◆Wv.nqe0Jy.
[saga]:2017/03/30(木) 15:28:16.01 ID:Yskfq0Py0
今日は以上です。次回はもうちょっと更新できるようにします。
239 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/30(木) 16:07:39.25 ID:Q+Nv4oxpo
おつ
240 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/30(木) 17:51:05.11 ID:7RFJtm4x0
お菓子の希望を打ち砕かれた妖精さんに匹敵し得るだろう心情
241 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage ]:2017/03/31(金) 01:12:19.75 ID:qbf7yxHVo
おつ
242 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/31(金) 01:50:21.23 ID:PkjQi+slo
けものフレンズを汚すな
243 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/31(金) 02:38:03.99 ID:OFK0HXmRO
包装を破いて、お二人の口に突っ込みます。
「んん〜! 甘い! うまい!」
「なにこれ! あまーいっ! すごーいっ!!!!」
二人の顔がほころぶのをみると、こちらも差し上げた甲斐があるというものです。
「だいぶ回復されましたね? ではもう一度トロッコを漕いでください」
「え?」
二人の顔が固まります。
「で、でもこの先って……」
「谷だよねー?」
「ええ、谷です。安心してください、飛びますから」
「はぁ!?」
「え!」
ジャガーさんは驚愕、カワウソさんは期待の表情を浮かべました。
「と、飛ぶって!? あんた鳥のフレンズなの!?」
「いいえ、違います」
「じゃあ無理だよ!」
「大丈夫です。ここからスピードをつけてれば、谷を飛び越せるかもしれません」
「飛び越せなかったら?」
244 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/31(金) 02:38:12.83 ID:ZAuk5d+UO
「落ちるだけです」
「…………」
顔面蒼白のジャガーさんと対照的に、カワウソさんの顔はキラキラと輝いています。
「あなた飛べるんだね! すっごーいっ! 私も飛んでみたかったんだー!」
そういって一人ハンドルを動かし始めます。
「あ、カワウソ!?」
「大丈夫ですよ、ジャガーさん」
わたしはジャガーさんに微笑みかけました。
「わたし、これでも里では……、他のちほーでは魔法使いっていわれているんです」
「まほー、つかい?」
「いろいろ不思議なことが起こせるんですよ。任せて下さい」
「……。わかった」
ジャガーさんは覚悟を決めたようで、カワウソさんの反対側に立ってハンドルを動かし始めました。
わたしは前をじっと見つめます。妖精さんがいない、つまりは魔法が使えないのです。神様がわたしの日頃の善行を見ていてくれていることを祈るしかありません。
若干下り坂になっているせいもあり、速度は順調に上がっていきます。
「頼みますよ、妖精さん」
今はいない彼らへのお願いも済ませます。
245 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/31(金) 02:38:23.15 ID:u4ogQ6mCO
包装を破いて、お二人の口に突っ込みます。
「んん〜! 甘い! うまい!」
「なにこれ! あまーいっ! すごーいっ!!!!」
二人の顔がほころぶのをみると、こちらも差し上げた甲斐があるというものです。
「だいぶ回復されましたね? ではもう一度トロッコを漕いでください」
「え?」
二人の顔が固まります。
「で、でもこの先って……」
「谷だよねー?」
「ええ、谷です。安心してください、飛びますから」
「はぁ!?」
「え!」
ジャガーさんは驚愕、カワウソさんは期待の表情を浮かべました。
「と、飛ぶって!? あんた鳥のフレンズなの!?」
「いいえ、違います」
「じゃあ無理だよ!」
「大丈夫です。ここからスピードをつけてれば、谷を飛び越せるかもしれません」
「飛び越せなかったら?」
246 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/31(金) 02:38:32.45 ID:A7CmGOdeO
急いでレールにトロッコを乗せると、我々は飛び乗りました。
「全速力で逃げましょう!!」
「はいよっ!」
「うん!」
お二人の全力のおかげか、トロッコはどんどん速度を増していきます。しかしセルリアンとの距離は開きません。それどころか縮まっています。
「もっとスピード出ませんか!」
「これが限界!」
このままじゃジリ貧です。見たところ、ジャガーさんもカワウソさんも体力的な限界が近づいているように見えます。
どうにか、どうにかこの危機を脱する方法を考えなければ……。妖精さんさえいればどうにでもなるのに……。
わたしはふと前方を見ました。線路はまっすぐ伸びており、奥の方でぷっつり途切れていました。
「え?」
よく目を凝らすと、そこは谷でした。どうやらそこにかかっていたらしい橋が落ちているようなのでした。
今度こそ血の気が下りました。このままでは谷底へ真っ逆さまなのは確定です。
ばっと後ろ振り向くと、セルリアンの触手がもうすぐそこまで迫ってきています。前門の谷、後門のセルリアン。
247 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/31(金) 02:38:41.67 ID:XA9MWG6JO
「落ちるだけです」
「…………」
顔面蒼白のジャガーさんと対照的に、カワウソさんの顔はキラキラと輝いています。
「あなた飛べるんだね! すっごーいっ! 私も飛んでみたかったんだー!」
そういって一人ハンドルを動かし始めます。
「あ、カワウソ!?」
「大丈夫ですよ、ジャガーさん」
わたしはジャガーさんに微笑みかけました。
「わたし、これでも里では……、他のちほーでは魔法使いっていわれているんです」
「まほー、つかい?」
「いろいろ不思議なことが起こせるんですよ。任せて下さい」
「……。わかった」
ジャガーさんは覚悟を決めたようで、カワウソさんの反対側に立ってハンドルを動かし始めました。
わたしは前をじっと見つめます。妖精さんがいない、つまりは魔法が使えないのです。神様がわたしの日頃の善行を見ていてくれていることを祈るしかありません。
若干下り坂になっているせいもあり、速度は順調に上がっていきます。
「頼みますよ、妖精さん」
今はいない彼らへのお願いも済ませます。
248 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/31(金) 02:38:50.65 ID:AG1v5NMBO
包装を破いて、お二人の口に突っ込みます。
「んん〜! 甘い! うまい!」
「なにこれ! あまーいっ! すごーいっ!!!!」
二人の顔がほころぶのをみると、こちらも差し上げた甲斐があるというものです。
「だいぶ回復されましたね? ではもう一度トロッコを漕いでください」
「え?」
二人の顔が固まります。
「で、でもこの先って……」
「谷だよねー?」
「ええ、谷です。安心してください、飛びますから」
「はぁ!?」
「え!」
ジャガーさんは驚愕、カワウソさんは期待の表情を浮かべました。
「と、飛ぶって!? あんた鳥のフレンズなの!?」
「いいえ、違います」
「じゃあ無理だよ!」
「大丈夫です。ここからスピードをつけてれば、谷を飛び越せるかもしれません」
「飛び越せなかったら?」
249 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/31(金) 02:39:03.11 ID:A90+svACO
急いでレールにトロッコを乗せると、我々は飛び乗りました。
「全速力で逃げましょう!!」
「はいよっ!」
「うん!」
お二人の全力のおかげか、トロッコはどんどん速度を増していきます。しかしセルリアンとの距離は開きません。それどころか縮まっています。
「もっとスピード出ませんか!」
「これが限界!」
このままじゃジリ貧です。見たところ、ジャガーさんもカワウソさんも体力的な限界が近づいているように見えます。
どうにか、どうにかこの危機を脱する方法を考えなければ……。妖精さんさえいればどうにでもなるのに……。
わたしはふと前方を見ました。線路はまっすぐ伸びており、奥の方でぷっつり途切れていました。
「え?」
よく目を凝らすと、そこは谷でした。どうやらそこにかかっていたらしい橋が落ちているようなのでした。
今度こそ血の気が下りました。このままでは谷底へ真っ逆さまなのは確定です。
ばっと後ろ振り向くと、セルリアンの触手がもうすぐそこまで迫ってきています。前門の谷、後門のセルリアン。
250 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/31(金) 02:39:10.90 ID:vdRFpVPIO
「落ちるだけです」
「…………」
顔面蒼白のジャガーさんと対照的に、カワウソさんの顔はキラキラと輝いています。
「あなた飛べるんだね! すっごーいっ! 私も飛んでみたかったんだー!」
そういって一人ハンドルを動かし始めます。
「あ、カワウソ!?」
「大丈夫ですよ、ジャガーさん」
わたしはジャガーさんに微笑みかけました。
「わたし、これでも里では……、他のちほーでは魔法使いっていわれているんです」
「まほー、つかい?」
「いろいろ不思議なことが起こせるんですよ。任せて下さい」
「……。わかった」
ジャガーさんは覚悟を決めたようで、カワウソさんの反対側に立ってハンドルを動かし始めました。
わたしは前をじっと見つめます。妖精さんがいない、つまりは魔法が使えないのです。神様がわたしの日頃の善行を見ていてくれていることを祈るしかありません。
若干下り坂になっているせいもあり、速度は順調に上がっていきます。
「頼みますよ、妖精さん」
今はいない彼らへのお願いも済ませます。
251 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/31(金) 02:39:20.56 ID:dGcXMxwRO
包装を破いて、お二人の口に突っ込みます。
「んん〜! 甘い! うまい!」
「なにこれ! あまーいっ! すごーいっ!!!!」
二人の顔がほころぶのをみると、こちらも差し上げた甲斐があるというものです。
「だいぶ回復されましたね? ではもう一度トロッコを漕いでください」
「え?」
二人の顔が固まります。
「で、でもこの先って……」
「谷だよねー?」
「ええ、谷です。安心してください、飛びますから」
「はぁ!?」
「え!」
ジャガーさんは驚愕、カワウソさんは期待の表情を浮かべました。
「と、飛ぶって!? あんた鳥のフレンズなの!?」
「いいえ、違います」
「じゃあ無理だよ!」
「大丈夫です。ここからスピードをつけてれば、谷を飛び越せるかもしれません」
「飛び越せなかったら?」
252 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/31(金) 02:39:30.33 ID:INtrD9KzO
急いでレールにトロッコを乗せると、我々は飛び乗りました。
「全速力で逃げましょう!!」
「はいよっ!」
「うん!」
お二人の全力のおかげか、トロッコはどんどん速度を増していきます。しかしセルリアンとの距離は開きません。それどころか縮まっています。
「もっとスピード出ませんか!」
「これが限界!」
このままじゃジリ貧です。見たところ、ジャガーさんもカワウソさんも体力的な限界が近づいているように見えます。
どうにか、どうにかこの危機を脱する方法を考えなければ……。妖精さんさえいればどうにでもなるのに……。
わたしはふと前方を見ました。線路はまっすぐ伸びており、奥の方でぷっつり途切れていました。
「え?」
よく目を凝らすと、そこは谷でした。どうやらそこにかかっていたらしい橋が落ちているようなのでした。
今度こそ血の気が下りました。このままでは谷底へ真っ逆さまなのは確定です。
ばっと後ろ振り向くと、セルリアンの触手がもうすぐそこまで迫ってきています。前門の谷、後門のセルリアン。
253 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/31(金) 02:39:39.68 ID:p4GVFCp2O
急いでレールにトロッコを乗せると、我々は飛び乗りました。
「全速力で逃げましょう!!」
「はいよっ!」
「うん!」
お二人の全力のおかげか、トロッコはどんどん速度を増していきます。しかしセルリアンとの距離は開きません。それどころか縮まっています。
「もっとスピード出ませんか!」
「これが限界!」
このままじゃジリ貧です。見たところ、ジャガーさんもカワウソさんも体力的な限界が近づいているように見えます。
どうにか、どうにかこの危機を脱する方法を考えなければ……。妖精さんさえいればどうにでもなるのに……。
わたしはふと前方を見ました。線路はまっすぐ伸びており、奥の方でぷっつり途切れていました。
「え?」
よく目を凝らすと、そこは谷でした。どうやらそこにかかっていたらしい橋が落ちているようなのでした。
今度こそ血の気が下りました。このままでは谷底へ真っ逆さまなのは確定です。
ばっと後ろ振り向くと、セルリアンの触手がもうすぐそこまで迫ってきています。前門の谷、後門のセルリアン。
254 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/31(金) 02:39:48.69 ID:xhssyBUYO
「落ちるだけです」
「…………」
顔面蒼白のジャガーさんと対照的に、カワウソさんの顔はキラキラと輝いています。
「あなた飛べるんだね! すっごーいっ! 私も飛んでみたかったんだー!」
そういって一人ハンドルを動かし始めます。
「あ、カワウソ!?」
「大丈夫ですよ、ジャガーさん」
わたしはジャガーさんに微笑みかけました。
「わたし、これでも里では……、他のちほーでは魔法使いっていわれているんです」
「まほー、つかい?」
「いろいろ不思議なことが起こせるんですよ。任せて下さい」
「……。わかった」
ジャガーさんは覚悟を決めたようで、カワウソさんの反対側に立ってハンドルを動かし始めました。
わたしは前をじっと見つめます。妖精さんがいない、つまりは魔法が使えないのです。神様がわたしの日頃の善行を見ていてくれていることを祈るしかありません。
若干下り坂になっているせいもあり、速度は順調に上がっていきます。
「頼みますよ、妖精さん」
今はいない彼らへのお願いも済ませます。
255 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/31(金) 02:39:56.70 ID:ot7DUqNoO
包装を破いて、お二人の口に突っ込みます。
「んん〜! 甘い! うまい!」
「なにこれ! あまーいっ! すごーいっ!!!!」
二人の顔がほころぶのをみると、こちらも差し上げた甲斐があるというものです。
「だいぶ回復されましたね? ではもう一度トロッコを漕いでください」
「え?」
二人の顔が固まります。
「で、でもこの先って……」
「谷だよねー?」
「ええ、谷です。安心してください、飛びますから」
「はぁ!?」
「え!」
ジャガーさんは驚愕、カワウソさんは期待の表情を浮かべました。
「と、飛ぶって!? あんた鳥のフレンズなの!?」
「いいえ、違います」
「じゃあ無理だよ!」
「大丈夫です。ここからスピードをつけてれば、谷を飛び越せるかもしれません」
「飛び越せなかったら?」
256 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/31(金) 02:40:05.46 ID:wzMoJjwJO
急いでレールにトロッコを乗せると、我々は飛び乗りました。
「全速力で逃げましょう!!」
「はいよっ!」
「うん!」
お二人の全力のおかげか、トロッコはどんどん速度を増していきます。しかしセルリアンとの距離は開きません。それどころか縮まっています。
「もっとスピード出ませんか!」
「これが限界!」
このままじゃジリ貧です。見たところ、ジャガーさんもカワウソさんも体力的な限界が近づいているように見えます。
どうにか、どうにかこの危機を脱する方法を考えなければ……。妖精さんさえいればどうにでもなるのに……。
わたしはふと前方を見ました。線路はまっすぐ伸びており、奥の方でぷっつり途切れていました。
「え?」
よく目を凝らすと、そこは谷でした。どうやらそこにかかっていたらしい橋が落ちているようなのでした。
今度こそ血の気が下りました。このままでは谷底へ真っ逆さまなのは確定です。
ばっと後ろ振り向くと、セルリアンの触手がもうすぐそこまで迫ってきています。前門の谷、後門のセルリアン。
257 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/01(土) 02:00:20.63 ID:fDKe4L59O
つまんね
258 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/01(土) 05:51:14.65 ID:cJIFpyp50
まずは生きてて良かったな!おめでとう
259 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/01(土) 19:48:20.28 ID:x4y0tz0WO
なにいってだこいつ
260 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/03(月) 20:32:36.52 ID:k6wkww04o
期待
261 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/03(月) 20:34:14.60 ID:9x4SqmZ7o
>>260
消えろアンチ
262 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/04(火) 01:19:04.03 ID:BNVXtI6go
>>261
見苦しいぞ対立煽り型荒らし
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[ Aramaki★
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