にこ「大丈夫、大丈夫だから。にこ達はみんな、生きて帰れるから」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/12(日) 17:21:43.30 ID:oxUq2F6Po
 
平和っていうものが、いまいちよく分からなかった。


普通に家族と生活をして、普通に学校に行って、普通な日々を過ごしていく。


そんな日常は、私にとって当たり前で、それ以上でもそれ以下でもなかった。



たまに、テレビの画面に写っているニュースを観ても、よく分からない。


災害の多い国、犯罪の多い国、内戦が続いている国……。


どれもこれも、私達には関係の無いもののように思っていた。



――でも、それはもしかすると、他の国の人達も、同じように思っているのかもしれない。


「自分には関係ない事」「どうせ他の国の事だから」……多分、真剣に考えてる人なんて一割くらししかいない。


どれだけ大袈裟に伝えられてても、自分達の事じゃないから、次第に危機感は薄れていく。









でも、それは当たり前の事だった。

人は見ず知らずの他人の不幸を、共有する事なんて出来ない。



――もし、それが出来るとしたら

それは、自分にも等しく、不幸が訪れた時だけ。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1489306903
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/12(日) 17:25:52.41 ID:oxUq2F6Po

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・

・・・・・





「」

「…・・・」

「うっ……げほっ……げほっ」

「何……一体、何が起こって……」





にこ「……っ!?」

にこ「え……なに、これ……?」

にこ「玄関が……ない」

にこ「壁が壊れて……キッチンも、居間も……崩れて」





にこ「っ!?こころっ!ここあっ!虎太郎っ!」

にこ「どこっ!?どこにいるの!?返事してっ!」

3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/12(日) 17:36:11.92 ID:oxUq2F6Po
にこ「と……通れ……ない?」

にこ「何で……何で上の階のコンクリートが崩れてるの……?」

にこ「このパイプ何よ……何で鉄筋みたいなのが刺さってるのよ……っ!」

にこ「どうして……一体何が起こってっ……」 ガラッ…





「……ぇ……ま」





にこ「……っ!?こころ!?こころなのねっ!?」

にこ「どこにいるの!?ここからじゃ何も見えないっ……」



「お……お姉さま……っ」

「けほっ……お姉さま……どこっ……?」



にこ「ここにいるっ!にこにーはここに居るからっ!」

にこ「くっ……このっ……こんな瓦礫……っ!どきなさいよっ……!」


バラッ ガララッ…




にこ「……!」

にこ「こころっ……!」

こころ「げほっ……ぅ……お、お姉さま……」

にこ「良かった……無事で本当にっ……」








こころ「こ……ここあがっ」

にこ「えっ?」

こころ「ここあが……あのコンクリーの下敷きにっ……!」

4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/12(日) 17:47:24.66 ID:oxUq2F6Po

――



ここあ「……」

虎太郎「…ぅ……ぁ……」 

ここあ「痛い……痛いよ……虎太郎……」

ここあ「こころ……姉ちゃん……ママ……」





バラッ ガラガラッ……!




にこ「はぁっ、はぁっ……!」

にこ「ここあっ!?あ、アンタ……それっ……!」




ここあ「ぁ……ねぇ……ちゃん」

虎太郎「……に、……にこにー……」

にこ「待ってて!今、今すぐ!助けてあげるからっ!」




にこ「ふっ……ぐっ……っづぅ……っ!」 

ここあ「むり……だよ……もう……ずっと……あし……動かない……もん」

にこ「バカっ!何諦めてるのよっ!アンタそんなに諦めの良い子じゃなかったでしょうっ!?」

にこ「待っててっ……にこにーが絶対……絶対っ……!」





こころ「……お、おねえ、さま……」

こころ「ここあの、足が……足がっ……!」 





にこ「……っ!?ひっ!?」

にこ「こ、ここあ……右足が……反対にっ……!」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/12(日) 18:01:59.87 ID:oxUq2F6Po
ここあ「……ねぇ、ちゃん……」

にこ「ここあ、しっかりして、大丈夫、大丈夫だからっ」

にこ「にこにーがね、すぐに助けを呼んできてあげるからねっ……」

ここあ「やだ……ねえちゃん……行か……ないで」

にこ「どこにも行かない、どこにも行かないよ……うん、大丈夫、大丈夫よ……」



ここあ「お姉さま……っ」 ポロポロ

虎太郎「……にこにー」



にこ「大丈夫、安心して……みんな、大丈夫だから」

にこ「だって、にこにーは宇宙一bPアイドルなんだから」

にこ「家族だって、全部、全部守ってあげれるんだから」




にこ「ほら、二人とも、こっちおいで……」

こころ「……」 ギュッ

虎太郎「……」 ギュッ

にこ「ほら、ここあも……手を」

ここあ「……」 ギュッ




こころ「お姉さま……」

ここあ「ねえちゃん…」

虎太郎「にこにー……」





にこ「大丈夫、大丈夫だから」

にこ「こころも、ここあも、虎太郎も」

にこ「みんな、みんな……」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/12(日) 18:03:28.71 ID:oxUq2F6Po













「にこが、絶対に、絶対に助けてあげるからね……」













.
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/12(日) 18:18:22.04 ID:oxUq2F6Po

?同刻?



「下がって下さいっ!ここは危険です!離れて下さいっ!」


「建物が崩れ二次災害が起こる可能性があります!危険ですので絶対に近づかないで下さいっ!」





「ちょっと何をしているのですか!ここから先は危険です!離れて下さいっ!」

にこ母「行かせてくださいっ!娘が、娘達があの中にいるんですっ!」

にこ母「お願いしますっ!どうか、どうかあの子達を助けて下さいっ!」

「現在救助可能かどうか調査中です!安全が確認出来次第救助に入りますっ!」

にこ母「安全な訳ないでしょう!?今にも崩れそうなのに!あの子達が押しつぶされそうになってるのにっ!!」

にこ母「通してっ!あの子達を助けてっ!にこっ!こころっ!ここあっ!虎太郎っ!」

「危険です!離れて下さいっ!これ以上は進めませんっ!離れて下さい!離れて……」









穂乃果「……にこちゃん」

海未「こんな、こんな事って」

ことり「本当に……嘘じゃないの……?」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/12(日) 18:42:45.17 ID:oxUq2F6Po
絵里「はぁっ、はぁっ……!」

凛「絵里ちゃん!希ちゃん!」

花陽「ど、どうだった……?」

絵里「……駄目、崩れたマンションの状況も、救助開始の時間も、にこ達の安否も分からなかった」

絵里「救助隊の人達でさえ分かってなかった……全く状況が分かんない」

海未「そ、そんな……」

真姫「……どうして、どうしてこんな事になっちゃったのよ」

真姫「何でいきなり、にこちゃんのマンションが崩れたりするのよ」

真姫「他の、ほかのどこも崩れてないのに、何でここだけっ……!」

花陽「真姫ちゃん……」





希「……さっき、群がってた人達が、こんな事言ってたよ」

希「このマンション、前々から建物自体が老朽化してて、近いうちに増強される予定だったって」

凛「……」

希「根も葉もない噂話だったけど……何も情報がない以上、この話を信じるしかないやん」




穂乃果「……私達に、出来ることって」

絵里「無いわ。例え上手く侵入したとしても、私達がにこ達を安全に救出するなんて絶対無理」

絵里「それどころか、私達まで瓦礫の山に押しつぶされちゃうかもしれない」

穂乃果「……」



海未「……祈りましょう」

海未「にこは、とても強い子です。この程度のことで、絶対に倒れたりしません」

凛「……うん、凛もそう思う。にこちゃん、妹ちゃん達と一緒なら逞しいもん」

花陽「そ、そうだよね……にこちゃんが負けるはず、ないもん……」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/12(日) 18:45:47.24 ID:oxUq2F6Po
絵里「戻りましょう。新しい情報が入ってきたかもしれない」

絵里「凛、花陽。にこのお母さんを、こっちに連れてきてあげて」

凛「うん」

花陽「分かりました」




真姫「……」

ことり「真姫ちゃん……大丈夫だよ」

ことり「にこちゃんは絶対戻って来てくれるよ……だから、一緒に待ってあげよう?」

真姫「……うん」

海未「穂乃果、行きますよ」

穂乃果「あ、うん」




















穂乃果「……」

穂乃果「にこちゃん、信じてるよ。絶対に、生きて帰って来るって」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/12(日) 18:49:15.39 ID:oxUq2F6Po







          【第1日目】







.
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/12(日) 18:54:34.18 ID:2BbrOAQ8o
これは中国人が建てたマンションですわ
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/12(日) 18:58:00.37 ID:oxUq2F6Po
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・




「……」

「……ぁ」

「ママ……パパ……」

「ぅ……」









にこ「……っ」 ガバッ

にこ「……ぇ、あ」

にこ「あ、あれ……にこ、生きてる……」

にこ「み、みんなは……っ!」






こころ「……すぅ……すぅ」

ここあ「……かー……すぅ」

虎太郎「……」 Zzz...






にこ「……良かった、みんな無事で……」

にこ「……え、無事?」

にこ「あれ、ここあ、足が戻って、え、あれ……」











にこ「ていうか……ここ……どこなのよ?」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/12(日) 19:04:31.97 ID:oxUq2F6Po
にこ「えっと、確かにこ達は……」

にこ「いきなりマンションが崩れて、コンクリートの下敷きになったここあを助けようとして、それで……」

こころ「んぁ……おねえ、さま……?」

にこ「!」

にこ「こころ!起きたのね……」

こころ「ふぁぁ……ここ、どこですか?」

にこ「……」

こころ「お姉さま?」

にこ「ううん、大丈夫よ。ちゃんと説明してあげるから」

にこ「こころ、ここあと虎太郎も起こしてくれる?」

こころ「あ、はい、分かりました!」 タッタッタ…










にこ「……妹達に変な心配させないようにしないと」

にこ「にしても本当に何処なのよここ……にこ達が住んでたマンションとはまるで別物じゃない」

にこ「壁に大きな穴は空いてるし、家具はぐちゃぐちゃだし……」

にこ「……」







にこ「……夢、なんて事じゃないわよね?」

こころ「お姉さま、二人を起こしてきました!」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/12(日) 19:23:00.62 ID:oxUq2F6Po
ここあ「ふぁ〜ぁ……姉ちゃんおはよー」

虎太郎「……ねむい」

にこ「おはよう……って、アンタ大丈夫なの?」

ここあ「え、大丈夫って何が……」

ここあ「っ!」

こころ「こ、ここあ?」

ここあ「あいたたた……あれ?わたし、足なんて怪我したっけ……」

にこ「!?だ、大丈夫!?骨とか折れてない!?」

ここあ「そ、そんな大袈裟な……うん、痛むけど歩けない訳じゃないよ」

にこ「良かった……良かった?」

にこ(あんな足の曲がり方して、なんで軽傷で済んでるのよ?)

虎太郎「……ママ、いない」

こころ「お姉さま、ここは一体何処なんですか?こころ達はさっき、マンションが崩れて生き埋めに……」

ここあ「え、生き埋め?」

こころ「ここあ、覚えてないの!?」

ここあ「いや……何か物凄く痛い夢はみたなぁって……それだけ」

こころ「あ、あんな恐ろしい足の曲がり方してたのに覚えてないなんて……!」

ここあ「ちょ、ちょっと何変な曲がり方って!?凄く怖いから思い出したくないんだけど!」





にこ(……ここあはともかく、にことこころはマンションが壊れた事を覚えてるわね)

にこ(だとしたら、さっきの出来事が昨日の出来事で、今ここに居る事は夢?)

にこ(……でも、感覚あるし、物に触った感触あるし……にこ、こんな夢、見た事ない)





にこ「……ああもうっ」

虎太郎「にこにー……?」

にこ「あ、何でもないわ。大丈夫よ」

こころ「お姉さま、こころ達は助かったのですか?」

にこ「え、うん。そう……だと思う」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/12(日) 19:27:42.73 ID:oxUq2F6Po
ここあ「ていうか、ここ何でこんなに穴だらけなの?」

ここあ「なんか色々ボロボロだし、1階と2階が半分崩れてるし」

にこ「え?……あ、本当だ」

こころ「お姉さま!このお家、地下に行く階段もあります!行ってみてもいいですか?」

にこ「だ、だめ!何があるか分からないから!じっとしてて!」

こころ「は、はい……」

にこ「……ちょっと、この家がどうなってるか見てくる」

にこ「こころ、ここあ、二人は虎太郎の事をお願いね」

ここあ「うん」

こころ「わかりました」

にこ「良い子ね。虎太郎、お姉ちゃん達を困らせちゃダメよ」 ナデナデ

虎太郎「うー?」

にこ「じゃあ、行って来るわ。何かあったら大きな声で叫んでね」

ここあ「姉ちゃん、気を付けてね」

にこ「うん、分かってる」














にこ「……ここが何処か、全くわからないけど」

にこ「じっとしていても、何も変わらないのは確かよね」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/12(日) 19:35:20.67 ID:oxUq2F6Po

・・・・・・・・・・・・・・・



にこ「……う、何よこれ」

にこ「階段じゃなくて、梯子……?なんで梯子なのよ」

にこ「下をみない、みない……」 ギッ ギッ





にこ「……ふぅ」

にこ「うわ、瓦礫の山がある」

にこ「……もう、瓦礫は見たくないわ」





にこ「扉が2つ、ひとつは板で塞がれてる……」

にこ「明らかに怪しいわね……こっちにしましょう」 ガチャ




にこ「!」

にこ「な、何よこれ……」

にこ「さっきとは比べ物にならないくらい、瓦礫で埋もれてるじゃないの……!」

にこ「これじゃ進めない……」




にこ「……退かすにしても、凄く時間がかかりそう」

にこ「そう言えば、ここあの所に行くときもこの位の瓦礫が積んであったっけ……」

にこ「……何か関係、あるの?」
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/12(日) 19:40:31.19 ID:oxUq2F6Po

・・・・・・・・・・・・・


ガチャ


にこ「はぁ……ここは後回しね」

にこ「とするとこの塞がれた扉を……これ、剥がせるの?」





にこ「………」 ギュッ

にこ「んっ、んっ!んんっ!」 ギッ ギギッ ギギギッ……



にこ「……少しずつだけど、開いてきてる」

にこ「ふんっ!っせ!のっ!」 ギギギッ ギギギッ



バランッ!バラバラ……


にこ「はぁ、はぁ……剥がれた」

にこ「何でわざわざ塞いだのかしら……そんな事する意味が」 ガチャ



にこ「!?」

にこ「な、何よこれ!?また瓦礫の山じゃない!」

にこ「ああもうっ!これじゃ無理して開けた意味がないじゃないのぉ!もー!」
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/12(日) 19:51:51.15 ID:oxUq2F6Po

・・・・・・・・・・・・・・・・・

こころ「……お姉さま、遅いね」

ここあ「うん、でもさっき姉ちゃんの苛立った声聞こえたから、大丈夫なんじゃない?」

こころ「ならいいんだけど……」





虎太郎「……」 ガチャガチャ

こころ「虎太郎、何してるの?危ないからじっとしてなさい」

虎太郎「……」

ここあ「……虎太郎?」





虎太郎「……お水、あった」

こころ「え?」

虎太郎「……砂糖」

ここあ「お、そう言えばずっとのどか湧いたなって思ってたんだよね。ちょうだい」

こころ「だ、ダメよ!拾った物を口にしたらいけないってママが言ってたでしょ!?」

ここあ「えー……でも、この家の蛇口壊れてるじゃん」

こころ「とにかくだめ!お姉さまが帰って来るまで待つの!」

ここあ「ちぇー……」









虎太郎「……」 ガチャガチャ

虎太郎「機械のネジ……かっこいい」

こころ「虎太郎もいい加減にして、こっちでいい子にしてなさい」

虎太郎「うん」 テクテク
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/12(日) 20:01:04.28 ID:oxUq2F6Po

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


バラララッ!ガラッ……



にこ「はぁー……はぁー……や、やっと終わった」

にこ「にこ一人でこれを退かせた事がキセキね……」

にこ「えっと……この先は」





にこ「……大きい戸棚が一つあるだけ」

にこ「こ、ここまで頑張って……何もないなんて……」

にこ「どうしよう……もう随分と妹達を待たせちゃってるし」





にこ「……」 ガラッ

にこ「何か、何か為になるものでも……」 ガサゴソ





にこ「!」

にこ「包帯と缶詰……!缶詰はともかく、包帯は大収穫ね」

にこ「これでここあの怪我も少しはマシになる筈……急いで戻らないと」











にこ「……随分時間が経った気がする。身体も疲れてる」

にこ「やっぱり、これって夢じゃない……のよね?」
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/12(日) 20:20:59.49 ID:oxUq2F6Po

・・・・・・・・・・・・・・・


にこ「……ふぅ」

こころ「あ、お姉さま!」

にこ「ごめんね、凄く遅くなっちゃった……」

虎太郎「……にこにー。無事」

ここあ「もーずっと地べたに座ってたからお尻痛いよ……いてて」

にこ「ごめんね……あ、ここあ、さっき包帯見つけたから手当してあげるわ。こっちに来て」

ここあ「あ、うん……ありがとう姉ちゃん」

にこ「いいのよ、はい、足出して」

ここあ「うん……」






にこ「……」 シュル シュルッ ギュッ

にこ(もう日が沈みかけてる……夜もここで過ごさないといけないの?)

こころ「お姉さま、こころ達はいつまでここにいないといけないの?」

にこ「えっと……そうね。明日には戻れるはずだから、今日は我慢してね」

こころ「はい……」

ここあ「あ、姉ちゃん、虎太郎がそこで水とか色々見つけたんだけど、これ、飲んでいい?」

にこ「え?水?」



こころ「……そう言えば、今日一日何も食べたり飲んだりしていません」

虎太郎「……お腹、空いた」

ここあ「喉もカラカラだし……ね、いいでしょう?」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/12(日) 20:25:33.57 ID:oxUq2F6Po
にこ(……見た感じ、綺麗なペットボトルに入っている水ね)

にこ(でも、水って確か賞味期限あったわよね……これ、ラベルも何もついてないし、安全に飲める保証は……)

にこ「……」 チラッ




ここあ「……姉ちゃん」

にこ「……ちょっと、にこが一口飲んでみるわ」 プシュ

にこ「……」 ゴクッ 





にこ「……うん、普通の水ね」

ここあ「本当!?じゃあ飲んでいいの!?」

にこ「う、うん……でも沢山飲んじゃダメよ。お腹壊すから」

ここあ「やったー!」

こころ「お、お姉さま……こころも、飲みたいです」

にこ「いいわよ。あ、そうだ……」 ゴソゴソ

にこ「ほら、さっき地下でちょっと大きめの缶詰を見つけたの。みんなで分けて食べましょう」

こころ「わーい!ご飯です!お腹ペコペコでしたー!」

虎太郎「ごはん……」

にこ「ほら、焦らないの。今開けてあげるから……」



カシュ



にこ「……これは、お肉、よね?」

ここあ「何でもいいよ、いただきまーす」

にこ「あっ!ちょっと!まだにこが毒見してっ……!」
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/12(日) 20:29:11.89 ID:oxUq2F6Po



パクッ



ここあ「……」

にこ「……ここあ」

ここあ「……このお肉、肉の味しかしない」

にこ「え?」

ここあ「ぶにょぶにょしてるし……あんまり美味しくないや」

にこ「大丈夫?まさか腐ってないわよね……?」 パクッ




にこ「……うぇ、確かに肉の味しかしないわね……そもそも何の肉なのよ」

にこ(でも、腐乱臭はしないし、腐ってる訳ではなさそう……)

こころ「お姉さま……?食べても大丈夫なのですか?」

にこ「う、うん……あんまり美味しくないけど」

ここあ「でも、何も食べてなかったからないよりはマシかな」

にこ「そうね……」

虎太郎「……まずい」

こころ「こら、虎太郎。我慢して食べるの」




にこ「……4人で分けたから、全然足らないわ」

こころ「お姉さま、もう缶詰はおしまいですか?」

にこ「うん……ごめんね」

ここあ「はぁ……もう帰りたい」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/12(日) 20:40:44.45 ID:oxUq2F6Po

?夜?



にこ「……あっという間に夜になったわ」

ここあ「姉ちゃん、ここ寒いよ……」

こころ「……大きな穴が開いてるから、風がどんどん中に入ってきてます」

虎太郎「……くしゅんっ」 ズズッ




にこ「……風邪でも引いて、体調崩したらまずいわ」

にこ「3人とも、今日は下の階で寝ましょう」

ここあ「下って地下のこと?」

にこ「うん、さっき綺麗にしてきたから、少なくともここよりは居心地がいい筈よ」

にこ「幸い、大きめの布とかも見つけたから、寒さは凌げると思うわ」

こころ「ベットはないのですね……」

虎太郎「……」








こころ「あ、でも布団っぽいのはいっぱいありますね」

にこ「ほら、今日一日だけの事だから、早く寝て明日に供るわよ」

ここあ「はーい……ふぁぁ……うっ……布越しの床が冷たい……」

にこ「今日だけ我慢してね……おやすみなさい」

こころ「お姉さま、おやすみなさい……」

虎太郎「おやすみ……」



24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/12(日) 20:47:28.90 ID:oxUq2F6Po
こころ「……すぅ……すぅ」

ここあ「……かー……すぅ」

虎太郎「……」 Zzz...




にこ「……みんな、寝たわね」

にこ「……」





にこ「どうしよう……今日一日使って、何も出来なかった」

にこ「明日元に戻れる保証なんてどこにもないのに……どうすればいいのよ……」

にこ「水は僅かしかない、食料はさっき食べちゃったし……」

にこ「……」






にこ「……3人が寝てる間に、少しでもいいから食べ物を見つけないと」

にこ「ここ、二階と三階もあったはずよね……さっきの戸棚みたいに、まだ食料があるかも」








にこ「……大丈夫、大丈夫。にこなら絶対、こころ達を守れる」

にこ「しっかりするのよにこにー!姉が頑張らないと、妹達はついてこないわ!」
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/12(日) 20:48:52.47 ID:oxUq2F6Po








          【第2日目】







.
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/12(日) 20:57:43.01 ID:oxUq2F6Po

・・・・・・・・・・・・・・・・・




こころ「……ん、ふぁぁあ」



ガチャガチャ…



こころ「……あれ……お姉さま」

にこ「…!あ、こころ……起きてたのね」

こころ「はい……お姉さま、早起きですね」

にこ「う、うん……早く目が覚めちゃったの」

こころ「そうですか……ふあぁ……」




にこ「……よく、眠れた?」

こころ「……床が冷たくて、時々上の階から入って来る風で、夜中何度も起きてしまいました」

にこ「……そう、よね」

こころ「ねぇお姉さま、今日本当にお家に帰る事が出来るのですか?」

にこ「……」 

こころ「お姉さま?」

にこ「大丈夫よ、心配しないで。ちゃんと帰れるから」

にこ「もう少ししたら、ここあ達を起こしてきて。にこにーが良い物持ってきてあげるから」

こころ「本当ですか!?はい!分かりました!」









にこ「……」

にこ「うん……一日寝てなくても、人間は大丈夫よね」

にこ「頑張らないと……ひとまず、夜中に集めた物を整理して……」
54.18 KB Speed:0   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)