モバP「火事から始まる同棲生活」

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174 : ◆TDuorh6/aM [saga]:2017/10/10(火) 19:04:24.15 ID:1qgbEtXiO



ガチャ

P「ただいまー」

P「……寝てるかな?」

ちひろ「……あ……」

P「お、起きてたか。体調は……うわっ!」

ちひろ「……おかえり、なさい……」ギュゥ

P(……な、なんで俺はいきなり抱きつかれてるんだ?!)

ちひろ「1日中1人で……そんなの、慣れてた筈なのに……ちょっと、しんどかったです……」

P「……ただいま、ちひろ。タマゴ粥作るから座って待ってろ」

175 : ◆TDuorh6/aM [saga]:2017/10/10(火) 19:06:03.48 ID:1qgbEtXiO


P「……よーし、もうすぐ出来るぞ」

ちひろ「消えたいです」

P「安心しろ、代わりに火を消しとくから」

ちひろ「……あぁぁぁぁぁぁぁぁ……!!」

P「思い出すな暴れるな足バタつかせるな!熱上がるだろ!」

ちひろ「いえ、全然気にしてませんから?熱も多少下がってはいますし?」

P「ぶり返すぞー」

ちひろ「いえ、そのですね……こう、熱のせいと言いますか……そう、プロデューサーさんのせいです!」

P「はいはいタマゴ粥出来たぞ。熱いから気をつけろよ」

ちひろ「ありがとうございます……勿体無いですね……」

P「何が?」

ちひろ「せっかく一緒にいるのに、一緒に料理出来ないなんて……」

P「……成る程な」

ちひろ「独り言ですから。気にしないで下さい」

P「一人暮らし長いと、誰かと一緒に料理するなんて超レアだもんな」

ちひろ「張り倒しますよ」

P「独り言だよ、気にするな。俺も……」

ちひろ「俺も……?」

P「あ、昨日鞄も濡れちゃってたけど中身大丈夫だったか?」

ちひろ「あ、はい。少し濡れちゃってますが、また同じものを……」
176 : ◆TDuorh6/aM [saga]:2017/10/10(火) 19:06:46.85 ID:1qgbEtXiO


P「同じもの……?」

ちひろ「……バレてしまっては仕方ありませんね……」

P「俺まだ何も言ってない」

ちひろ「じゃん!物件情報です!」

P「……まさか、俺の為に……」

ちひろ「いえ、そろそろ契約して2年経つので私も事務所の近くに引っ越そうかと」

P「期待と喜びを返せ!!」

P(このままこのマンションに折半で同棲、なんて都合が良すぎるよな)

ちひろ「半分冗談です。あなた向きのアパートも探しておきましたから」

P「あ、ありがとな……うわ安っ?!この広さとこの立地条件で?!」

ちひろ「ふふんっ、出来る女は違うんです」

P「とは言え一人暮らしするには部屋多くて掃除大変そうだな……」

ちひろ「お掃除ロボット買ってみたらどうですか?」

P「割と前向きに検討するよ」


177 : ◆TDuorh6/aM [saga]:2017/10/10(火) 19:07:50.53 ID:1qgbEtXiO


P「……なぁ、ちひろ。本当に色々ありがとな」

ちひろ「困った時はお互い様……と言うことに今はしておきましょう」

P「今は?」

ちひろ「今言って、熱のせいにされたらたまったものじゃありませんから」

P「……熱のせい、な……あ、風邪薬も一応買ってきたから飲んどけよ」

ちひろ「ですから……これからの私の発言は、全部熱のせいです」

P「そう言えば下がってきたんじゃなかったっけ?」

ちひろ「雰囲気って言葉知ってます?」

P「ごめん」

ちひろ「始めは、まぁ本当に見ていられなかったから、って思いが強かったです」

P「多分そうとう上の空だったんだろうな、俺」

ちひろ「貸しを作っておこうなんて思っていませんでしたよ?」

P「なんで今言ったのそれ」

ちひろ「でも、ずっと一人暮らししてたからかもしれませんけど……誰かと部屋で食卓を囲んだり、一緒に料理を作ったり、朝送ってもらったり、夜出迎えて貰ったり……そんな事が嬉しくて」

P「うん、俺もだ」

ちひろ「ふと思ったんです。このままなぁなぁにして、ずっと一緒に過ごす時間が続けば良いのに、と……」

P「うん、俺もだ」

ちひろ「でも、ここは貴方の家ではありませんから。今でもたまに、心の何処かで寂しいと感じた事もあるはずです」

P「……」

ちひろ「そんな貴方に自分は何も言わず、ただ居心地が良いだけの暮らしをする私が許せなくて……なのに、貴方がアパートを探しに行くと行った日、とても悲しくて……」

P「……」

178 : ◆TDuorh6/aM [saga]:2017/10/10(火) 19:08:23.75 ID:1qgbEtXiO


ちひろ「貴方は、やっぱりきちんと自分の居場所を作るべきなんです。じゃないと、いつまで経っても前の家の事が胸の中に残るままで……そして、それはきっとこの家じゃありません」

P「……ありがとう、ちひろ」

ちひろ「恩返し、期待してます。出来る限り早めにお願いしますね」

P「あぁ」

ちひろ「と言うわけで、明日貴方にはアパート見学に行ってきてもらいます」

P「はやっ?!」

ちひろ「善は急げ、ですよ。午後は空いてますよね?」

P「了解。んじゃ、そっちは早く寝て体調治せよ」


179 : ◆TDuorh6/aM [saga]:2017/10/10(火) 19:09:08.00 ID:1qgbEtXiO



P(それから、事はトントン拍子に進んだ)

P(ちひろが勧めてくれたアパートはかなりの新築で)

P(事務所まで電車と徒歩併せて30分とかなり近く、近くにスーパーもコンビニもある)

P(日当たり良し、部屋数は一人暮らしには多過ぎるくらいで、なんか契約すると家具まで付いてくるらしい)

P(……それでこのお値段?どっから見つけてきたんだろう)

P(曰く付きではないと思うが、だとすると尚更怖いので聞かない事にする。ちひろを信じろ)

P(契約をして、四日後にはもう住居可能になった)

P(そして……)

180 : ◆TDuorh6/aM [saga]:2017/10/10(火) 19:10:00.94 ID:1qgbEtXiO


P「改めて、本当に色々ありがとな」

ちひろ「もっと感謝してくれていいんですよ?」

P「ビール飲む?」

ちひろ「せっかくの引越し祝いなんですし、もう少し豪勢にいきませんか?」

P「ビール美味しいだろ、発泡酒だけど。あとまだ明日だから」

ちひろ「それにしても……私の家で良かったんですか?」

P「最後……にはしたくないけど、まぁプチ同棲生活のラストは此処がいいかなって」

ちひろ「どうですか?新しい住居が決まった気持ちは」

P「まぁ、悪くないかな。なんと言うか……心の突っ掛かりが取れた気分です」

ちひろ「私はそうなった事がありませんから分かりませんけど……きっと、自分で思ってる以上に辛かったと思いますよ」

P「そんな悩みを解決してくれるのがビール!」

ちひろ「知ってますか?アルコールって燃えるんですよ」

P「えぐい角度のブラックジョークだな!」

181 : ◆TDuorh6/aM [saga]:2017/10/10(火) 19:11:25.65 ID:1qgbEtXiO



P「……これから、行ってらっしゃいもお帰りなさいも聞けないんだな」

ちひろ「どうでしょう?貴方次第かもしれませんよ」

P「なにそのほん怖みたいなセリフ」

ちひろ「ところで、本当にあの家でいいんですよね?後悔してませんか?」

P「あぁ、条件はこれ以上ない程良かったよ。明日の夜には家具も届くらしい」

ちひろ「そう言えば……私からも、ひとつ」

P「なんだ?」

ちひろ「こちらこそ、ありがとうございました。これまでと、これからに」

P「なんかいいな、そういうの」

ちひろ「ささ、ビール無くなってますよ」

P「っと、ありがとう」

182 : ◆TDuorh6/aM [saga]:2017/10/10(火) 19:12:05.86 ID:1qgbEtXiO




ーーチュン、チュン

P「……朝か」

ちひろ「おはようございます」

P「さて、朝ごはん食べたら新しい家向かうかな」

ちひろ「それじゃ、一緒に作りませんか?」

P「そうだな。それが良い」
183 : ◆TDuorh6/aM [saga]:2017/10/10(火) 19:13:15.34 ID:1qgbEtXiO


P「さて、そろそろ出るか」

ちひろ「挨拶はどれにしますか?」

P「うーん、そうだな……」

ちひろ「あ、あと鍵返して貰います」

P「あ、そうだった。完全に忘れてたわ」

ちひろ「危なかったです……困りますよ」

P「よし、それじゃ……長い間、お邪魔しました」

ちひろ「二度と来ることはないと思いますよ!」

P「酷っ!」

P(こうして、俺とちひろの同棲生活は幕を下ろした)


184 : ◆TDuorh6/aM [saga]:2017/10/10(火) 19:14:10.21 ID:1qgbEtXiO




P(……筈だったのだが)

P「……え、なんでだ?」

P(業者の人達が家具を俺の部屋に運んでくれている。それはおかしくないが……)

P(……なんで、引越し業者なんだ?)

P(そして……)

P(……なんで、ちひろの家の家具が俺のアパートに運び込まれているんだ?)

ちひろ「こんばんは、プロデューサーさん。朝ぶりですね」

P「こんばんは、いい天気だな」

ちひろ「月が綺麗ですね」

P「曇ってるけどな」

185 : ◆TDuorh6/aM [saga]:2017/10/10(火) 19:15:06.35 ID:1qgbEtXiO



P「……なぁ、このアパートが家具付きだった理由って……」

ちひろ「私の家のから運んでくるからです」

P「やたら安いのは?」

ちひろ「私と折半だからです」

P「不動産屋の人はそんな事……」

ちひろ「契約書には必ずきちんと目を通しましょう。どんな小さな文字で書いてあるか、はたまた縦読みになっているか分かりませんよ」

P「こう、法律や決まり的には……」

ちひろ「私と貴方はそれぞれですが合意の元契約してますし、最悪……ほら、ね?」

P「怖……前の家は?」

ちひろ「もうすぐ引き払います。言いませんでしたっけ?私も引越しを考えている、と」

P「……マジか」

ちひろ「まぁまぁ、掃除ロボット購入代が浮いたと思えば」

P「そんなふうに考えちゃっていいのかよ」

ちひろ「契約、取り消しますか?……と、この状況で尋ねるのも卑怯ですから、貴方をきちんと納得させます」

186 : ◆TDuorh6/aM [saga]:2017/10/10(火) 19:16:23.71 ID:1qgbEtXiO






ちひろ「……これからも、私と一緒に暮らしてくれませんか?」

P「こちらこそ、喜んで」





187 : ◆TDuorh6/aM [saga]:2017/10/10(火) 19:18:12.69 ID:1qgbEtXiO


〜事務所〜

凛「へー、プロデューサー引っ越したんだ」

奈緒「それもかなり広いって噂だぞ」

P「噂って……誰だ流したの。俺言ってないのに……怖」

奏「秘密っていうのは、いつか解き明かされるものよ……」

文香「引越し……パーティ……プロデューサーさん、空いてる日はありますか?」

フレデリカ「いいねー、レッツホームパーティ!フレちゃんがアメリカで暮らしてた頃は毎日開いてたよー。アメリカ住んだ事無いけど!」

188 : ◆TDuorh6/aM [saga]:2017/10/10(火) 19:18:56.46 ID:1qgbEtXiO


アナスタシア「スパスィーバ!アーニャ、パーティ大好きです!」

ありす「腕によりを掛けて、たくさん作らないといけませんね」

周子「あたし蕎麦おねがーい」

唯「唯はチョコフォンデュとかしたいなぁ〜プロデューサーちゃん!」

P「まぁ空いてる日はあるし、パーティ出来るくらいの部屋数も……って、ダメだダメだ!アイドル家に呼ぶとかバカ過ぎるだろ!」

P(そもそもちひろと同棲してるの秘密だから)

ちひろ「……ふふっ、良いですね。私も参加希望出していいですか?」

P「えっ、あ、あの」

P(そんなこんなで再開された同棲生活は、まぁなかなか楽しくなりそうで)

189 : ◆TDuorh6/aM [saga]:2017/10/10(火) 19:19:29.54 ID:1qgbEtXiO


P「そ、それじゃ、ちょっと出掛けてきます!」

ちひろ「行ってらっしゃい、プロデューサーさん!」

P「行ってきます!」

P(このやり取りを今まで以上に増やしていけると思うと、とても嬉しかった)


190 : ◆TDuorh6/aM [saga]:2017/10/10(火) 19:20:00.46 ID:1qgbEtXiO

以上です
時間がかかって申し訳ありませんでした
お付き合い、ありがとうございました
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/10(火) 19:27:20.63 ID:19k6mWnBO
乙!
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/10(火) 19:29:38.46 ID:fWQZONKM0
よかった
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/10(火) 19:33:28.62 ID:p8/q+2qk0
おつ
ちひろかわいい
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/10(火) 19:46:56.81 ID:xJRXYT4g0
やっぱりちひろさんは鬼や悪魔なんかじゃないんだなって
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/10(火) 21:08:20.38 ID:p3k+tBV7o
ちっひかわいい!
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/10(火) 21:12:27.20 ID:gt8+I+81o
ちひろ可愛いな
Pの火事シリーズでまともに完結してるな
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/10(火) 21:51:55.76 ID:cDAQ0mTR0
オトナ同士だからこそのもどかしさってたまんねえな
しかもお互い、まだ好きとも付き合おうとも言ってないとか
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/10(火) 22:40:10.75 ID:u6KHnZnfo
やち天
オツカーレ
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/10(火) 23:47:25.14 ID:9loaZxECo
乙!
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/12(木) 00:52:18.96 ID:o9FRJVNSO
P(まだ寝てるちひろを思い出して……抜いていいだろう)
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/13(金) 16:41:36.44 ID:S6zM2WV+o
ちひ天
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/22(日) 15:48:13.25 ID:UOW3xK4A0
1生きてたんか…よくぞ……
乙乙!

SSによくある得体のしれないちひろさんじゃなく、
生活描写を通して普通に年相応女子を感じさせるちっひ良いな
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/20(月) 07:57:19.44 ID:jQDeLQfKo
やち天
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