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許嫁「……聞いていない?」 2
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1 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/02/25(土) 21:23:56.71 ID:DoDNxTqgo
これまでのほとんどだいたいよく分かるあらすじ:許嫁を名乗る高飛車なお嬢様が突然家に来ました
前スレ
許嫁「……聞いていない?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1457874020/
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1488025436
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/02/25(土) 21:41:26.19 ID:DoDNxTqgo
許嫁(メイド服)「……」
男(やけに時間かかってると思ったら、メイド服着てたのか)
男(そりゃ文化祭だから、特別な格好する人も多いが)
許嫁(メイド服)「……」
男(袖余ってるし、ロングスカートみたくなっているし。大きなリボンで締めてはいるものの)
男(サイズぶかぶか……逆に妙な魅力になってるのは否定できないが)
男(というか俺の仕事服だよな? コレ)
許嫁(メイド服)「……」
男(髪型もいつもとちょこっとだけだが違う)
男(そして何だこの表情は。無言でアサッテの方向見よって)
男(……少し頬赤いし)
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/02/25(土) 21:45:52.75 ID:DoDNxTqgo
男(そういえば。メイド服お披露目会のとき、興味があるような素振りを見せていたなコイツ)
男(あのとき何か言ってたような……)
許嫁(メイド服)「……ん」クル
男(あ、無意味に一回転しおった。スカートがふぁさーっとなったぞふぁさーっと)
『例えば。頑張って、いつもと違う格好していたら。誰でも感想を言ってほしいものだと思わないかな?』
男(……委員長。このことを言ってたのか)
許嫁(メイド服)「……何? そんな顔して。その、何か私に言いたいことでも、あるのかしら?」
男(こにゃろう。すっとぼけたことをおっしゃる)
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/02/25(土) 21:49:14.22 ID:U1pklzVA0
待ってたぞ
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/02/25(土) 21:52:43.23 ID:DoDNxTqgo
許嫁(メイド服)「……」
男(言わされた感があってとても癪である)
男(が……)
男(……)
男「……まあ。その格好。悪く……ないんじゃないか?」
許嫁「えっ?」
男「うん。馬子にも衣装ってところだな」
許嫁「……あ」
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/02/25(土) 21:55:18.14 ID:DoDNxTqgo
許嫁「……馬子にも衣装、ですって……? そう言ったの……?」
男「え? あ、ああ」
許嫁「……、馬子にも衣装……」
男「? どうした?」
許嫁「……」
男「決して悪い意味で言ったつもりはないんだが――」
許嫁「……っ」
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/02/25(土) 22:00:01.91 ID:DoDNxTqgo
許嫁「ふっ……ふふふっ」
男「?」
許嫁「ふふっ。ふふ、……ふふふふふ」
男「な、何だよ。急に笑い出して」
許嫁「い、いえ。ごめんなさい。そんなつもりじゃ、なかったんだけど……ふふふ」
男「そこまで、おかしいこと言ったかな、俺?」
許嫁「いいえ? その……そのね? ふふ、あはは!」
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/02/25(土) 22:03:03.50 ID:DoDNxTqgo
許嫁「あのね。私、私ね? ふふ……何て言うかなって、色々たくさん予想してたの」
許嫁「でも、あなただったらね?」
許嫁「そういう言い方すると思ったの……回りくどい褒め方、すると思ってたの!」
男「……なっ」
許嫁「そしたら本当に。あなたそう言ったから。そんな言い方したから。だから……その、おかしくて。ふふふっ」
男「……ぐ」
許嫁「素直じゃないんだから。あなたって。ふふふ」
男「ど、どっちが素直じゃないんだよっ」
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/02/25(土) 22:06:57.85 ID:DoDNxTqgo
男(ぐ。ぐぬぬぬぬ。……恥をかかされた気分だぜ)
男(委員長も協力してるとはな……どっちの企みだ?)
男(にしても……)
許嫁「馬子にも衣装だって! あなた……ふふふ!」ファサー
男(コイツ、今までにないくらい……)
男(……)
男「ま、いいけどさ。それ汚すなよな? まだ俺も最後のシフト残ってるんだから」
許嫁「……あら?」
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/02/25(土) 22:09:35.85 ID:DoDNxTqgo
許嫁「もしかして、このメイド服。あなたのだったの? そうなの。私、知らなかったわ」ブン
男「さきほどから白々しいことをなさいますね、お嬢様。……っと」ペチ
許嫁「文化祭だし、せっかくだから私も何かしようかなって。そうしたら委員長が偶然コレ要らないって」ブンブン
男「要らないってのはちょっとヒドいぞ、委員長……っとと」ペチペチ
許嫁「コレ、あなたのだったなんてね。へー知らなかったわへー」ブンブン
男「……ええい! ぶんぶん腕を回すな! さっきから袖の先がぺちぺち俺に当たってる!」ペチペチ
男(テンションたっかいなあ!!)
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/02/25(土) 22:15:41.48 ID:DoDNxTqgo
男(こ、これがお祭りテンションというものか? そんなに文化祭楽しみだったのか?)
許嫁「フフフ。だけど、そうね。言われてみると確かに、あなたのものね?」
男「?」
許嫁「だって、この服。ほんの少しだけど確かに。あなたの優しい匂いがするもの」
男「え……? え……」
男(な、何言い出したのこのコ?!)
男(なんか、すごく……。いや、ものすごく。恥ずかしいことおっしゃっていません?)
男「い、いや。ち、違うんじゃないか? ハハ、何かの間違いだろ――」
許嫁「? そんなことないわ?」
12 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/02/25(土) 22:19:14.82 ID:DoDNxTqgo
許嫁「掃除が大好きな、あなたの優しい匂い」
許嫁「私たち、どれだけ一緒に暮らしてきたと思ってるのよ?」
許嫁「あなたが否定しても、私はよく覚えてるもの。この――……」
許嫁「この……」
許嫁「……?」
男「あ、ああっと……」
許嫁「……」
許嫁「……ぁ」
男(ようやく気がついたかな……お祭りテンションってこわい)
許嫁「……い、いえ……わ私……その……」
許嫁「今のはべ、別に、ヘンな意味じゃなくて……その……えっと」
13 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/02/25(土) 22:39:17.55 ID:DoDNxTqgo
許嫁「い、今のは……ちょ、ちょっと。その、言い過ぎだった、かしら……」
男「あ、ああ。俺も、そう思うな。言い過ぎだったな」
許嫁「……今のは。無しってことに、しましょう?」
男「……分かった。……そうしよう」
許嫁「……お願い」
男「……その。文化祭が楽しみなのは、分かるが」
許嫁「え?」
男「少し。少しだけ、テンション抑えたほうがいいんじゃないか?」
許嫁「あ……。あ! じ、時間! 時間、もったいないから、もう行くわよ!」ツカツカ
14 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/02/25(土) 22:45:09.39 ID:DoDNxTqgo
許嫁(メイド服)「……」ツカツカ
許嫁「……」
許嫁「浮かれすぎ」
許嫁「……」
許嫁「……でも」
許嫁「抑えられないもの、こんな」
許嫁「……」
許嫁「なのに、文化祭?」
許嫁「……」
許嫁「……もー」ツカツカ
15 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/02/25(土) 22:57:00.84 ID:DoDNxTqgo
……
文化祭
占い屋
『お・も・て・だ・け』
男「なんだ、このしょーもない店の名前は」
許嫁(メイド服)「? ……うらない。占いなんて興味あったの、あなた?」
男「いいや、俺は全くと言っていいほどないな。だからといって否定するほどでもないが」
許嫁「あら? 珍しく意見が合ったわね? 占いなんて、自分の選択に責任が持てない人がするものだわ」
男「そこまでは言わないぞ……ん?」
「おや旦那ァ? 何か、助けることができますかい」
16 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/02/25(土) 23:00:43.21 ID:DoDNxTqgo
「へへへ。旦那。いいコ……揃ってますぜ。この店」
男「いいコって何だ。ここは占い屋じゃないのか」
「もちろん占い師たちのことでさあ」
男「妙な言い方をするな」
「どうです? 世界数々の占いを取りそろえておりますぜ?」
「花占い・星占い・動物占い。手相・人相・二十面相。タロット・カバラ・点取り占い!」
「占星術から朝の情報番組的占いまで! どうです? 旦那ァ。興味、沸いてきましたね?」
男「へー↓」
「……う。な、何なら占いだけでなく、その他相談・カウンセリングまで受け付けておりますぜ!」
男「相談?」
「ええ。健康の悩みから、人間関係の相談。育児や近所づき合いの話! 保険やローン、資産運用の相談まで、なんでもござれ!」
男「文化祭のこんなところでそんなものを相談するヤツがいたら是非見てみたい」
「もちろん恋愛相談も絶賛受付中ですぜ……いひひひひっ」
許嫁「……」
男(にしても妙な喋り方をする女の子だ)
17 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/02/25(土) 23:03:35.69 ID:DoDNxTqgo
男「悪いが他を当たってくれ。興味ない」
「そんなあ。 RPGのクール系主人公みたいなこと言わないでくだせえよ、ゴムタイな」
「どうです、お連れさんは? 占いなんて?」
許嫁「私も興味ないわね。占いに責任を預けて、自分の行動を決めたくはないわ」
「さ、参考までに、って話でさあ……何も責任とかそういう話じゃなくて……」
許嫁「ごめんなさいね」
「ど、どうでしょう、そうだ! 例えば、お二人の相性占いなんて。特に我々が得意とするところでさ」
許嫁「……」
「古今東西異世界仮想世界。あらゆる占いを収集・研究した我々が独自に開発した、オリジナルな占いなんですがね。信頼度が随分高いと評判でして!」
「この学校の多くのカップルが、この占いを受けて泣いたり笑ったりしております。どうです、お二人さんも?」
男「いや、カップルじゃないからな。俺たちは」
許嫁「……」
男「ん?」
「より親密になるためのアドバイスも完備!! お客様満足度豪快ナンバー1! さ! どうです? そんなにお時間はとらせませんから!」
男「ふふ、悪いな。君の言い回しは面白かった。けど、やっぱり占い興味ないからな。……じゃあ、行くか?」
許嫁「……」
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/02/25(土) 23:06:27.99 ID:UlDbsZP2o
スレ立ておつ
19 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/02/25(土) 23:07:26.16 ID:DoDNxTqgo
『お・も・て・だ・け』
「お待たせいたしました。では、準備が整ったようですので、こちらにお通りください」
男「……。ってあれ!? 何で俺たち入店してるの?」
許嫁「何言ってるのよ。相談してそうすることに決めたじゃない」
男「え、そ、そうだっけ? 占いなんて2人とも当てにしない、って言ってたのに?」
許嫁「そうね、けど。そんなにオススメされるなら、少しくらいなら良いか、ってことに決まったじゃない?」
男「え、本当に?」
許嫁「……いいから行くわよ。もう入っちゃったんだから」ツカツカ
男(あれー?)
20 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/02/25(土) 23:08:06.89 ID:DoDNxTqgo
占いルーム
「……ようこそ、いらっしゃいましたね、悩める子羊たち……」
男「……? あ。君、さっきの妙な言葉遣いの客引きだろ?」
「……何をおっしゃる、うさぎさん……私はしがないいち占い師……」
「……客引きなどでは……ございません……では……こちらにどうぞ……」
男「今度はやたらとタメを作って話すな」
21 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/02/25(土) 23:09:02.40 ID:DoDNxTqgo
「……ではまずこちらに、参考のために……。……お名前と誕生日、血液型をご記入ください……」
男「ええと、名前と誕生日、それから……」カリカリ
許嫁「……」カリカリ
男(俺の誕生日は、とうにすぎてるが。そういや、コイツ誕生日いつなんだろう)チラッ
男(ん!? ち、近いな。もうすぐじゃねえか)
「あ、書いた紙ですけど、……決して私に見せないでくださいね……」
男「え?」
「……こちらは係りのものに渡します……。……私は、見てませんよ……?」
「……見ての通り……係りのものと、私に………連絡手段のようなものはありません……」
男「……」
「……では、今から始めますが……、その前に、まずは……」
男「『……力を見せるために……誕生日を当てます……』なんて言ったら今すぐ出て行くからな」
「えっ! な、なんでそれを……っ。へ、へへへ。旦那ァ、そんなことはしませんぜ?」
男「キャラブレてるぞ」
22 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/02/25(土) 23:14:04.47 ID:DoDNxTqgo
「……では、……本日は相性占いということですが……よろしい……ですね……?」
男「え。相性占い?」
「ええ……そういう……お話でしたが……旦那ァ……違うのでェ……?」
男「そうなの?」
許嫁「いえその……。そうよ」
男「なんでそんなのを」
許嫁「それは……そう。例えばだけど、ここで相性が悪いって結果が出るじゃない?」
許嫁「いえ。私とあなたの相性なんて、悪いって出るのもちろん分かってるわ?」
許嫁「そうしたら、その結果を。家に突きつけたら、あなたとの……この関係を。解消できるかもしれないじゃない?」
男「占い結果一つで解消できたら苦労しておまへんがな」
許嫁「確かに、それは難しいかもしれないけれど、交渉の材料の一つとしてね?」
許嫁「私とあなたが、その……ケッコン……相手には向いてない、ってことで」
男(……最近、より無茶苦茶なこと言うようになってない?)
23 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/02/25(土) 23:25:15.58 ID:DoDNxTqgo
「あ、あのー、……そろそろ、お決まりになりました……かね?」
男「まあ、別にそれでいいか。他にあるわけでもないし。相性占いで頼みます」
「……はい。分かりました……」
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