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【艦これ】禍福は絡み合う触手の如し 〜鎮守府水着の乱〜
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38 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/03/12(日) 22:25:45.73 ID:NQ3gDayh0
「ホ〜ラ、司令〜どっちが良いんですか〜?」
「そら、どっちの水着がいいんだ?」
「ほらほら早く答えるデース」
「…………そうだな、俺はどっちも――」
「"どっちも良いと思うぞ?"は無しでお願いしますね、提督?」
読まれた……!? クソ、流石大淀。
というか、お前はこういう時は俺を助けてくれる側だと思ってたんだけど。
「あ、あの、みなさん。それ以上は……」
「提督も困ってますし……」
「はーいお二人は少し下がっててくださいねー」
助け舟ならぬ助け艦・大和と榛名が霧島に阻まれる。
そこはもっと強気で助けに来てほしかった。
孤立無援。いつから執務室はアウェーになってしまったのか。
こいつらこういう話題で妙なノリになるところが本当に手が付けられん。女子かよ。
39 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/03/12(日) 22:27:28.11 ID:NQ3gDayh0
「………………」
仕方ないので、突き出された二人のフィギュアを改めて見比べることにした。
正直、どっちが良いかと聞かれても……本当にどっちも良いとしか言えないのだ。
このフィギュアの再現度が文句なしという前提があるのなら、実際の二人の水着姿もさぞかし素晴らしいものなのだろう。
健康的な肌。スラリと長い脚。引き締まった腰回り。出るところはちゃんと出て――ああ、駄目だ。これ以上はいろいろマズい気がする。
「ん"〜〜〜〜〜…………」
「あ、あの司令。そんなに怖い顔で唸らなくても……」
「うるさい。お前達がどっちか決めろと言ったんだろうが」
「そこまで悩むことですか」
「まあ、提督の気持ちも分からんでもないがな」
と、そこで武蔵がまるでこちらを思いやるかのようなことを言い出した。
40 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/03/12(日) 22:28:55.89 ID:NQ3gDayh0
「何かを選ぶということは何かを選ばないということだからな。言動が慎重になるのも仕方ないというものだ」
「そうネー。Fair mindなテイトクのことだから、二人に気を遣って答えに困るのも無理ないネ」
「私達の自慢の姉妹だからな。どちらも甲乙つけ難いというのもあるだろう」
うんうんと頷き合う金剛と武蔵。
言い出しっぺの金剛にそれを言われるのは何か違う気もするが。
ともかく、どうやらこれでひとまずの平穏を得た――
「まーそれでも、榛名の方がCuteに決まってマスけどネ?」「だがまぁ、うちの大和には勝てないだろうがな」
「「…………ん?」」
――と、少しでも思った俺が馬鹿だった。
41 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/03/12(日) 22:39:39.41 ID:NQ3gDayh0
今日はここまで
Availコラボのデザインが良さげでびっくり。でもピンクは勘弁な
42 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/14(火) 11:56:38.09 ID:rQYY7qpPo
乙
もう霧島に丸投げにしよう
43 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/22(水) 12:54:27.78 ID:C+aY/mvCo
おつー
44 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/11(火) 17:51:53.02 ID:CN+Y4hdC0
待つよ
45 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/04/14(金) 19:04:00.92 ID:CXrbfRx/0
はい、お久しぶりです。
投下しますです。
46 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/04/14(金) 19:05:22.51 ID:CXrbfRx/0
「ン〜〜武蔵? 今とーっても気になること言いませんでシタ?」
「奇遇だな。私も今同じことを聞きたかったところだ、金剛」
「「………………」」
「……いやいや。確かに大和のSwimwearもPrettyでLovelyだケド、やっぱり榛名の方がBetterだと思いマスヨ?」
「妹思いなのはいいことだがな、より魅力的なのはと聞かれれば大和の水着の方に軍配が上がると私は思うぞ?」
「「………………」」
「「………………フ、フフフフ。ハハハハハ。ハーッハッハッハッ!」」
素敵な三段笑いを披露してくれる金剛と武蔵のやりとりが怖くてたまらない。
俺だけじゃない、この場に居る誰もが今にも爆発しそうな二人の様子に戦々恐々としていた。
そして――
47 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/04/14(金) 19:07:59.78 ID:CXrbfRx/0
「Don't be silly! うちの榛名の方が可愛いに決まってマース!」
「そちらも可愛いのは認めよう。だがその上で、やはり大和の方が一歩抜きんでているというのが何故わからん!?」
「それなら聞くケドっ、この純白のSwimwearと榛名のCombinationが生み出す清楚さと可愛らしさ、"守ってあげたくなる女の子"感、大和に出せますカ!?」
「それは違うぞ金剛。そういった雰囲気を醸し出すのも大切だが、結局のところ女の水着姿の魅力というのはいかに色気をふりまけるか、だ。見てみろ大和の胸と尻を。榛名にあれは真似できまい!」
「Styleなら榛名だって悪くないデース! それに榛名は努力もちゃんとしてマース。陰でBust up exerciseだって頑張ってるんだからネ! 追いつくのも時間の問題デース!」「お姉さま!? どうしてそれを!?」
金剛の暴露に比叡と霧島がうんうんと頷く。知らぬは本人ばかりなり、ということなのだろう。
……そうか、そんなことをしているのか、榛名。
48 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/04/14(金) 19:10:12.81 ID:CXrbfRx/0
「第一、大和のBustだっていつもあのけしからん徹甲弾ブラで盛ってるの、ワタシ知ってるんだからネ! どーせ水着のときだって盛ってるんでショ?」
「愚問だな。確かにお前の言う通り、少しばかり見栄を張るため、あとついでに申し訳程度の胸部防御力を得るために大和はあのブラを着用している。だが流石に水着のときまで着けはしないさ。どうやったって隠しようがないからな。そもそも、あれが無くても大和の胸は十分デカい」「ちょっと武蔵っ!? 何を言ってるの!?」
武蔵の反論に比叡と霧島と大淀がうんうんと頷く。確かにあれを差し引いても大和の胸部は驚異的なサイズを誇っている、と思う。
……そうか、それでも見栄を張りたかったのか、大和。
「ぐぬぬぬぬ……」
「もう止めよう金剛。どうやらお前と私とじゃ平行線のようだ」
「……そのようデスネ」
ようやくその結論に至ったらしい。
だがそこに至るまでに榛名と大和は洒落にならない損傷を心に負ったようだった。主に羞恥で。
部屋の隅を見れば、壁に向かって塞ぎ込む榛名と大和の姿が。
そしてそれを慰める比叡と霧島と大淀。
49 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/04/14(金) 19:11:39.72 ID:CXrbfRx/0
金剛と武蔵はお互い自慢の姉妹のためを思っての議論だったのだろうが、結果この始末だ。どう収拾をつけるつもりなのか。
もうすでに嫌な予感はしているのだが。
「やはりここは第三者からの意見が必要デース」
「ああ、同感だ。そういうわけで――」
「テイトク、どっちがいいデース?」「提督よ、どっちがいいんだ?」
「結局俺に戻って来る流れなんだよなぁ。知ってた」
無言の圧力をかけてくる二人の視線が突き刺さる。
あと視界の端で比叡達もこちらを見つめてくるのが見える。
何かしら言わないとこの場は収まらないのだろう。
俺としても早く終わらせて朝食に行きたい。さっきから腹が減って仕方ないのだ。
かと言って、適当なことや迂闊なことを言えばもっと面倒なことになるかもしれない。発言には気を付けたいところ。
ああ、なんて面倒くさい。
50 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/04/14(金) 19:13:03.30 ID:CXrbfRx/0
まったく、たかがフィギュアの一つや二つごときで何故朝からこんな目に遭わねばならんのだ…………ん? フィギュア?
――そうだ。閃いた。
「なぁ二人とも。俺からも一応確認しておきたいんだが。お前達の言う"どっちがいい?"というのは、そのフィギュアのどっちの出来がいいかという意味か? それとも、榛名と大和の水着姿のどっちがいいかという意味か? そこらへんはっきりさせておきたい」
「モチロン後者デース!」
「無論後者だ。まぁ最初は前者だった気がするが、今となっては些細なことだろう」
「そうか……それなら悪いが、お前たちの問いには答えられそうにないな」
「Why!? この期に及んでまだ渋りマスカ!」
「日和見は良くないな。男らしく決断してもらおうか」
「そうは言うがな、そもそも前提がおかしいのだから答えようがないわけで」
「何だと?」
「どういう意味ネ?」
51 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/04/14(金) 19:15:51.09 ID:CXrbfRx/0
……フッ、かかった。
「いいか? お前達が判断材料として提示しているそれはフィギュアだ。どんなに再現度が高い出来映えだろうとあくまでフィギュア、人形――どうしたって本物のそれよりは劣る代物だ。それだけを見て本人達の水着姿に優劣をつけろというのは些か無理がある」
「そ、それは……」
「む……」
「し・か・も、モデルになっているのは他所の鎮守府の榛名と大和。うちの鎮守府自慢の榛名・大和本人ですらない。なのにそれを参考にしろと? さらに加えて、俺は二人の本物の水着姿など一度たりとも目にしたこともない。それでどうやって甲乙つけろと? 言っておくが、想像力とやらで補うのも限度があるからな?」
どうだこの完璧な理論は。ぐうの音も出まい。
この状況ならば紅茶馬鹿と脳筋眼鏡を相手に、たとえT字有利を取られようと負ける気がしない。思わず高笑いしてしまいそうだ。
さあ、さっさと諦めて朝食にしようじゃないかEveryone。俺は、腹が、減っている。
「確かに、テイトクの言う通りデース。失念してマシタ……」
「ああ。私としたことが、そんなことにも気付かずに言い合っていたとは……恥ずかしい限りだ」
反省してくれたのなら重畳だ。これからも今日の事を教訓として、俺になるべく面倒をかけないようにしてくれると助かる。
さぁ、早く食堂へ行こう――
52 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/04/14(金) 19:17:27.59 ID:CXrbfRx/0
「うん? だったら、実際に水着を着て見てもらったらいいんじゃないですか?」
――と、そこで比叡の言葉。
おや、デジャヴかな?
「「「え?」」」
俺と榛名と大和の声が重なった。
「そうデース! Figureじゃ判断できナイ。本物も見たことがナイ。だったら本物の榛名達のSwimwearをテイトクに見せて決めてもらえばいいのデース!」
「それなら確かに何の問題もない。でかしたぞ比叡!」
「流石はワタシの自慢の妹ネ!」
「え、そんなぁ。エヘヘヘ……」
しまった、そっちは想定していなかった!
ていうか比叡貴様ぁ! 一度ならず二度までも余計なことを……ッ!
53 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/04/14(金) 19:19:29.91 ID:CXrbfRx/0
いやだが待て。逸るな。そもそもそんなこと榛名と大和が許容できるわけがない。
「あ、あのお姉さまっ。榛名、提督の前で水着になるのは――」
「No problemネ榛名! ワタシが、いやワタシ達が、どこに出しても恥ずかしくないようCoordinateしてあげるヨ!」
「榛名の水着で司令をギャフンと言わせてみせるんだから!」
「ええぇぇぇぇ……!?」
「武蔵? あのね? そんなに気を遣わなくても大丈夫よ? それに、ほら、そんなの恥ずかしいし――」
「大和。女は度胸、何でも試してみるものさ。なーに心配するな。持っている武器はこちらの方が上なのだからな。それらを前面に出して一点突破。これだ!」
「お願いだから話を聞いてぇぇ……!」
そうだよなー押し切られるに決まってるよなー奥ゆかしいにも程がある二人だからなー。
「そうと決まったら善は急げネ! 早速着替えに行くヨ、榛名! テイトク、Just a moment!」
「ええっ!? 今からですか!?」
「こちらも行くぞ大和! 出遅れるなよ! 提督、ちゃんと待ってるんだぞ?」
「ちょ、そんな、待って武蔵ぃぃ!?」
「だぁぁぁっ、いい加減にしろっ! 俺は腹が減って――」
54 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/04/14(金) 19:21:25.99 ID:CXrbfRx/0
「お二方、お待ちください!」
今にも姉妹を引きずって走り出そうとしていた金剛と武蔵に、突然の待ったがかかる。
入り口に仁王立ちしていたその声の主は、霧島だった。
今度は何だ。俺はもうついていけないよ。
「この勝負、私に預からせていただけないでしょうか?」
「霧島? 一体どういうことネ?」
「お姉さま。そして武蔵さん。私思うのです。せっかくあの榛名と大和さんが司令の前で水着になるのです。今からパッと着替えてパッと司令に見せて『ハイ、どっちがイイでしょー?』では……あまりに味気ないと思いませんか?」
おいおい何を言い出すつもりだねこの脳筋眼鏡2ndは。
「どうせやるのならもっとしっかりと、多角的に二人の水着の魅力を競い合う正式な決闘の場を設ける、というのはいかがでしょうか? 勿論、公平を期すために私はあくまで中立――そうですね、司会進行あたりなどに身を置くつもりです」
「ホホゥ、それで徹底的にやり合おうというわけデスカ」
「なるほどな……面白い、その勝負のった」
「ワタシ達も望むところデース」
「フフッ、お二人ならそう言うと思っていました」
55 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/04/14(金) 19:23:44.75 ID:CXrbfRx/0
何故競う当人じゃないのに盛り上がってんだこいつら。
そして霧島。お前ただイベント事でマイクが握りたいだけだろ。
「そういうわけなので、今はどうか矛をお納め下さい。後日改めて勝負の場を設けますので。司令もそれでよろしいですか?」
「へ? あ、ああ」
まさか俺に確認を取ってくるとは思ってなかったので少し驚いた。
ん? 後日? 今じゃなくていいのか。ならもうなんでもいいさ。
「そうだな、時間があるときなら俺は構わんぞ。まあ、ほどほどにな」
「ご許可いただき、ありがとうございます。それでは榛名、大和さん。早速詳細を詰めていきたいのでご同行お願いしますね。とりあえず食堂に行きましょうか」
「あの、霧島? 本当にやらないとダメ?」
「私としても、できればもっと穏便に……」
「二人とも……覚悟を決めてください」
「Yeah! Let's Goネ! テイトク、See you later!」
「あ、待ってくださいお姉さまっ。司令、失礼しますね」
「ああまで言ったんだ。今度はしっかり白黒つけてもらうぞ? じゃあな提督」
「それでは、私もお先に失礼しますね。また後程」
56 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/04/14(金) 19:26:12.25 ID:CXrbfRx/0
両脇に榛名と大和をホールドした霧島を先頭に、騒がしい金剛型と武蔵、大淀がぞろぞろと去っていった。
あとに残ったのは俺だけ。一分前の喧騒がまるで嘘のよう。
どうやら俺と朝食に行くのは無しになったようだ。
……少し、すこーしばかり寂しい。
などと思っていると、開け放たれた扉の影からヒョコっと鳥海が顔を覗かせてきた。
「あ、おはようございます、司令官さん。本日の秘書艦、鳥海参りました――けど、何かありましたか? 結構な人数が執務室から出てきたみたいでしたが」
「あーそうだな…………俺にもよくわからん」
「はあ……」
一応、場を収めてくれた霧島に感謝をするべきなのだろう。まーた何か面倒なことになったような気もするが。
だがよくよく考えてみれば、悪いことではないのかもしれない。
霧島のことだから、まさか執務の邪魔になるようなことはしないだろうし。
水着見て"どっちがいいでSHOW"するだけなら大事にもならないだろうし。
何より、あの榛名と大和が水着を披露してくれるというのだから…………ん、悪くない。あの二人には悪いが、少しばかり楽しみにさせてもらおう。
57 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/04/14(金) 19:29:11.65 ID:CXrbfRx/0
しかしまあ、とりあえず。今やるべきことは――
「腹が減った。いい加減食堂に行こう……いや、今行くとあいつらにまた出くわすかもしれん。鳳翔に頼んで何か作ってもらうか。お前も一緒にどうだ?」
「はいっ、ご一緒します」
笑顔で頷いた鳥海を見て、俺は鳳翔に二人分の朝食を依頼するべく内線の受話器を取るのだった。
しかし、俺は失念していた。
あいつらが何かを企んで、それが俺の想定内で終わるわけがないのだということを。
そしてそんな時、あいつらは俺に対して一切容赦をしないのだということを。
58 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/04/14(金) 19:30:06.82 ID:CXrbfRx/0
「ところで鳥海。昨日宝くじの三等が当たったと言ったらどうする?」
「わぁっ、すごいですね! おめでとうございますっ。あ、でも、そういう幸運はできれば大規模作戦の時に発揮していただけると……あ、す、すいませんっ、差し出がましいことを……」
やっぱりお前もそう言うのな。
59 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/04/14(金) 19:32:13.52 ID:CXrbfRx/0
今回はここまで。
もう一方のやつもなるべく近日中に更新するので許してつかぁさい。なんでもしまかぜ。
60 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/14(金) 20:23:38.70 ID:ekEv5sO0o
おつおつ♪
61 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/15(土) 01:30:36.20 ID:M3jhtR6KO
ん?
62 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/15(土) 01:31:32.13 ID:6oIqokyCo
今
63 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/15(土) 02:04:29.80 ID:sKchSoPA0
おつです
美女に囲まれるのは羨ましいけど大変だなw
64 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/05/14(日) 23:18:41.99 ID:PL/w6Xgq0
さぁさ。いくザマス。
65 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/05/14(日) 23:20:15.15 ID:PL/w6Xgq0
「やっぱりSwimwearで競い合うと言ったらBeach Flagsがイイネー」
「それでは身軽な榛名に有利になってしまうだろう。オイルレスリングなんてどうだ? くんずほぐれつ、色気もあって提督も喜ぶだろう」
「んー……それだと今度は体格に差がある大和さんが有利になっちゃいますよ。公平な勝負にするのは難しいんじゃないですか?」
「ではクイズ勝負というのはどうでしょうか? これなら公平だと思いますが」
「水着でクイズ大会というのは少しばかり地味かと……ああでも、野球拳式にすれば盛り上がるかもしれませんね」
「それじゃパレオ込みでも三回しか脱げないヨ。それならアレとかどうネ。間違える度にslopeが上がって池にドボーンするノ」
「それは面白そうだ。そういうのは明石のやつに頼んだら作ってくれるかもしれんな」
「「………………」」
66 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/14(日) 23:20:35.27 ID:N/Avaj9A0
フンガー?
67 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/05/14(日) 23:21:51.90 ID:PL/w6Xgq0
ガヤガヤと賑わいを見せる朝の食堂の外。いくつかのテーブルが並ぶテラスの一角。
戦艦四人と軽巡一人が額をつき合わせるようにして何事かを話し合っていた。
言うまでもなく、榛名と大和の水着対決についての会議である。
矢継ぎ早に繰り出されるのは勝負の種目案についての諸々。
最早対決する本人達のことなどまるで慮ることのないそんな意見の数々に、榛名と大和は暗い顔を俯かせて絶句していた。傍から見れば死刑を待つ囚人と錯覚してしまいそうなほどである。
「しかし、これだけのことをするとなると大分大がかりになってしまいますね。会場の手配とかも必要ですし。時間もかなりかかりそうですし……少し難しいかもしれません」
「ムムム……やっぱり審査だけで勝負するしかナイのカナ〜?」
「「…………ホッ」」
68 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/05/14(日) 23:23:48.45 ID:PL/w6Xgq0
検討の結果、無難な水着審査だけで事が済みそうであることにそっと胸を撫で下ろす当事者二人。
だがそれでも最低限水着姿を晒すことになっていることに気づき、すぐに消沈した。
そんな無難な平穏に向かって停滞しつつあった場に乱入する者があった。
「Hi! ヤマト! そんなDownerな顔してどうしたの?」
「わぁっと……って、アイオワさん? もう、びっくりするからいきなり抱きつかないでください」
「Sorry Sorry. みんなもGood morning!」
「アイオワさんいきなり走っていかないで――あら、皆さん。Buon giorno」
「まったく忙しないんだから……これだからアメリカは――ん? ああ、Buon giorno. 今日も賑やかそうね」
突然後ろから大和に抱きついてきたアイオワに続いて、イタリアとローマが金剛達のテーブルにやって来た。
どうやらこの三人で一緒に朝食をとっていたところらしい。
69 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/05/14(日) 23:26:17.88 ID:PL/w6Xgq0
「それで、何話してたの? Funnyなコト?」
それぞれ挨拶を返した面々にアイオワが尋ねた。
彼女と肩を組んだままの大和はその瞬間遠い目をした。
「実はですね――」
かくかくしかじかと大淀が事の顛末を話すと、アイオワ達は三者三様の反応を見せた。
「Wow! ヤマトとハルナのSwimwear Contest!? Fantastic!」
「あら〜、それは何というか……大変そうですね」
「また相も変わらず馬鹿なことを考えたものね。やれやれ……」
「でも時間とかセットとかの問題で企画が難航してまして。このままだと今一盛り上がりに欠けるというか……」
「I see. Hum……」
霧島の話を聞いて、アイオワは何やら考え込むような素振りを見せる。
すると突然、頭上に電球を浮かべたような表情になった。
70 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/05/14(日) 23:28:11.65 ID:PL/w6Xgq0
「ねぇ。そのContest、Meも出ていいかしら?」
「はい?」
「競うRivalが多い方がContestは盛り上がるモノよ? それにMeだってAdmiralにSwimwearを見てほしいわ」
「Hey! ちょっと待つデース! これはうちの榛名と大和の女のPrideをかけた一騎打ちデース! 空気を読むネ、アイオワ!」
「チッチッチッ……コンゴウ。ニッポンのことに疎いMeでも流石にわかるわよ? Airは読むものではなく、吸うものよ」
「全然わかってねーデスこのAmeri艦! ほら武蔵も何か言ってやるデース!」
「私は別に構わんが? 相手が一人増えたところでうちの大和の勝利は揺るがないからな」
「あら、言ってくれるじゃないムサシ。このBiggest Battle ship class のBody……ヤマトにだって負けてないわ。もちろんハルナにもね」
「フッ、面白い」
「"面白い"じゃないデースこのBattle junky共ガー!!」
「これは、困りましたね……」
71 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/05/14(日) 23:29:47.56 ID:PL/w6Xgq0
急な展開に頭を抱える金剛と眉をひそめる霧島。
しかし事態はここで止まることはなかった。
「あの〜でしたら私も参加したいのですけど〜……」
恐る恐る、しかしはっきりと。イタリアまでもが参加表明を出したのだ。
「え!? ちょっと姉さんっ、何言ってるの1?」
「あの、ほら。今年の夏は提督に水着をお見せする機会がなかったから……」
「わざわざ見せる必要だってないわよ。それに百歩譲って見せることにしたとしても、なにもこんな馬鹿騒ぎに混ざらなくたって――」
「ローマ、私だって戦艦よ? 名誉は戦って勝ち取るわ」
「訳が分からないわ姉さん!?」
「Yeah! 話が分かるわねイタリア。Meと一緒にヤマトとハルナに目にもの見せてあげようじゃない!」
「ええ。もちろん、あなたにも負けないわよアイオワさん」
「望むところよ!」
「姉さんお願いだから戻ってきて!?」
72 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/05/14(日) 23:31:09.79 ID:PL/w6Xgq0
手を取り合って意気投合するアイオワとイタリアに、慌てふためくローマ。
そして更に、そんな騒ぎを目ざとく見つけてやって来る者たちがいた。
「何? 朝から騒がしいわね、あなた達は」
「あ、みんな。Guten Morgen!」
「Guten Morgen. それで、これは一体何の騒ぎだ? アイオワがまた何かしでかしたのか?」
喧騒に誘われやって来たのはドイツ勢のトップ3。ビスマルク、プリンツ・オイゲン、グラーフ・ツェッペリンの三人だった。
「またとは何よグラーフ。今日はまだ何もしてないわよ。実はね――」
かくかくしかじかと、今度はアイオワの口から事の顛末が語られる。
彼女は当事者ではなかったので、大淀から聞いた話に若干の尾ひれがついたり背びれがなかったりしたが、概ね聞いた通りをドイツの三人に話して聞かせた。
73 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/05/14(日) 23:33:21.09 ID:PL/w6Xgq0
「へぇ……面白そうじゃない。そういうことなら当然、この私も参戦しないわけにはいかないわね。まぁ? 競うまでもなく私が一番なのはわかりきっていることだけど」
「ハイハイッ、ビスマルク姉さまっ。私も出たいです!」
「勿論構わないわ。私とあなたとグラーフで一位から三位までの表彰台を独占してやるわよ」
「待てビスマルク。何故私も参加することになっている? 御免被るぞ。こういう催しは私には向いていない」
「何を言っているの。そんな大層な胸ぶら下げといて水着コンテスト出ないとかあり得ないわよ。勝てる勝負をみすみす逃すつもり?」
「なっ……!? い、いやしかしだな――」
「ヒエ〜〜なんだか大事になっちゃう気が……」
「ああ……これ本当にどうしましょう。って、あれ? そういえば金剛お姉さまは……?」
「………………」
やけに静かだと思い、比叡と霧島が目を向けると、金剛は俯いたまま口をつぐんでいた。
しかし、その肩は小刻みに震えている。
74 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/05/14(日) 23:35:52.02 ID:PL/w6Xgq0
((あ、これそろそろ"来る"かな))
二人がそう思った時だった。
「みんないい加減にするネー!!」
一喝。その場にいる誰もがピタリと話を止め、金剛を見た。
「これは榛名と大和の決闘ダッテ言ってるのに勝手にメチャクチャにして、もう怒ったんだからネ! みんなしてそんな勝手なこと言うナラ――」
(流石お姉さま! 頼りになります!)
(さあビシッと言ってやって下さい。お姉さま)
((できればこのまま中止の方向でどうか……!))
だがそんな比叡達の期待や榛名と大和の祈りも虚しく――
「そんな勝手言うんだったら――ワタシだって出てやるんダカラ!」
((((ええぇぇぇ!? そっちぃ!?))))
75 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/05/14(日) 23:37:30.37 ID:PL/w6Xgq0
「榛名に悪いと思って遠慮してたケド、ワタシだってテイトクにもっとApealしたいデース!」
「お姉さまはすでに先々週、水着で司令に迫ってたじゃないですか!」
「あんなんじゃ全然ダメヨ! あの朴念仁にはチクリとも刺さらなかったネ! だから今度は確実に悩殺してやるデース!」
「ああ……金剛お姉さま…………」
これもう止められないやつだ、と霧島が諦めかけた時。
「まったく、やれやれだな金剛。呆れ果てたぞ」
「武蔵さん……」
そう、まだ彼女がいた。
大和型二番艦・武蔵。冷静かつ堅実に艦隊を率いるその姿は、誰もが頼り憧れる大戦艦。
彼女ならばひょっとすると、この場をうまいこと収めてくれるかもしれない――
「お前までそう言うのなら――私も出ねばならんだろうが」
――そう期待した自分が愚かだったと霧島は思い知った。
やはりあれは脳筋だったのだ。
76 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/05/14(日) 23:40:01.73 ID:PL/w6Xgq0
「そういう訳だ大和よ。お前とも敵対してしまう形になるが、すまないな」
「え、いや、あの……」
「自分勝手な姉でSorryネ、榛名。でもやっぱりこれは譲れないのデース」
「えっと、そもそも榛名は……」
「だが、決戦の場でお前と競えるのを楽しみにしているぞ大和」「正々堂々、ワタシとも勝負デース! 榛名!」
((ああー……これやっぱり逃げられないやつですね……))
そうして金剛達がワイワイと騒いでいると、一体何事かと艦娘達がぞろぞろと集まって来た。
「お、なになに〜どしたの?」
「北上さん、近づかない方が……」
「あれ? みんなどうしたんだろう?」
「ぽい〜?」
「何か騒がしいなオイ」
「あら本当〜。何かしら〜?」
77 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/05/14(日) 23:41:32.35 ID:PL/w6Xgq0
その他大勢。
鎮守府でもトップクラスに目立つ面子がこうも騒いでいれば、気になってしまうのも仕方ない話であった。
そして結果――
「ほぉーう、面白そうじゃーん。私も出たいなー」
「もう鈴谷? 淑女がそうみだりに肌を見せるのはあまりよろしくありませんわよ?」
「山城、腕が鳴るわね……!」
「まさか出る気ですか姉さま!?」
「何!? 夜戦!? 夜戦なの!?」
「違います姉さん」
「いっひひ〜。水着でもあたしがいっちばーん!」
「うふふ。私のちょっといい水着、みせちゃおっかなー」
「水着、だと……ッ!?」
「長門? 何で鼻血出してるの?」
「そうか、やはり瑞雲か」
「あーはいはい瑞雲ね。瑞雲瑞雲」
――こう話が広まっていくことになるのは当然の帰結であると言えた。
78 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/05/14(日) 23:42:57.58 ID:PL/w6Xgq0
「あの……霧島さん、これは……」
「………………」
恐る恐る声をかける大淀に対して、霧島は無言だった。
しかし彼女にはこの場において言うべきこと――やるべきことが、もうわかっていた。
「分かり申した皆の衆! この霧島、分かり申したでございますぅっ!」
突然勢いよく立ち上がり、良く通る大声で彼女はそう言った。語調がおかしくなるのは毎度のことである。
「皆さんの意気込みよく分かりました! その上で申し上げましょう」
毅然とした態度で彼女は告げる。
そう、彼女は決意したのだ。
「この霧島――ここに"鎮守府水着コンテスト"の開催予告を宣言いたします!」
この流れに乗らないでどうする――と。彼女の中のお祭り好きな司会者魂がそう告げたのだった。
79 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/05/14(日) 23:47:03.57 ID:PL/w6Xgq0
本日はここまで
大会開始までもう少しかかるんじゃよ
80 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/15(月) 02:15:31.60 ID:MWaiCYvr0
ちょうど夏に差し掛かるし、丁度いいんじゃない?
乙
81 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/15(月) 14:28:04.29 ID:CRqj0fjDO
誰が優勝するのかわかっちゃった気がする
…のです
82 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/19(金) 17:22:09.59 ID:Jv0eJq9Mo
さすが金剛さんやでぇ
83 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/08(木) 22:43:24.71 ID:Bs4YppHto
片っぽ落ちたで
84 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/08(木) 23:59:49.72 ID:IWLIg6UBo
ああ、一ヶ月ルールの方か
85 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/09(金) 11:46:55.76 ID:8SW/37EDO
待っとるでぇ〜
86 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/06/21(水) 00:43:19.66 ID:WeYLuC320
さぁさ、いきましょう
提督の苦難編その一
87 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/06/21(水) 00:43:49.97 ID:WeYLuC320
五日後
「――さて、と。今月の海域の制圧度は……」
昼下がりの廊下を歩きながら手元の報告書に軽く目を通す。
毎月月末頃に提出される各海域の制圧率をまとめた報告書で、これを見て必要であれば追加の作戦を立案するのだ。
しかしながら、どうやら今月はその必要はないようだ。
「ま、今月は休府日のある月だったからな」
休府日というのは、この鎮守府に制定された二ヶ月に一度の完全休日のことだ。
完全の名の通り、全艦娘と提督である俺はもちろんのこと、妖精から物資の搬入業者に至るまで鎮守府関係者全員がもれなく休める唯一の日である。
この日に仕事をしているとすれば食堂にいる間宮と伊良湖と調理補助当番の艦娘数名くらいなものだ。しかもそれも朝食時のみ。
88 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/06/21(水) 00:44:27.06 ID:WeYLuC320
ただし、付近の海域に深海棲艦が現れれば当然完全休日だろうと緊急出撃もあり得る。
そうならないために、この日がある月の艦娘達は普段よりも気合いを入れて海域攻略に乗り出す。"確実に休みが欲しいなら徹底的に"というわけだ。
その甲斐あって、今まで一度も休府日が妨げられたことはない。
今回の休府日は三日後。無事に迎えられそうだ。
俺としても非常に有り難い。この日は溜まっている本や戦艦模型やらにいい加減手をつけたいと思っていたところだからな。
鎮守府の自室にいると構ってちゃんな駆逐艦やら軽巡やら戦艦やらが邪魔しにくるだろうから町まで出て、そこで久しぶりにのんびりと趣味に没頭できる休暇を楽しむのだ。
良い。実に良いぞ。
89 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/06/21(水) 00:45:20.23 ID:WeYLuC320
「……しかし。それにしても今回はやけに念入りだな」
休府日のことを加味しても、今月後半の戦闘における追撃回数や敵艦の撃破数が著しい増加を見せている。それも五日前ぐらいから。
何かあっただろうか?
「あ、司令。ここにいましたか」
「お、ホントだ。おーい、しれーかーん!」
考えながら歩いていると、正面から誰かの声が聞こえてきた。
「ん? ……ああ、霧島と青葉か」
手元の書類から目を上げると、廊下の向こうから霧島と青葉が早足にやってくるのが見えた。
青葉は相変わらず首からカメラを提げており、霧島は片手に書類らしきものと小さなクーラーボックスのようなものを肩から提げていた。
クーラーボックス? 何故に?
90 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/06/21(水) 00:47:06.49 ID:WeYLuC320
「どもです司令っ」
「見つかってよかった。探しましたよ司令」
「探したって、どうかしたのか?」
「はい。実は三日後の休府日に第一訓練場を使用する許可を頂きたくて」
「訓練場? なんでまたそんな日に?」
「詳しくはこちらの方を」
そう言って霧島は手にしていた書類を丁寧に差し出してきた。
どうやら申請書らしいそれを受け取り、俺は目を向けた。
「えーと……使用申請場所と、使用申請日。使用目的は、イベント…………"第一回 ドキッ!? 艦娘まみれの鎮守府水着大会! ズドンもあるよ"?……何だこの頭の悪そうなタイトルは」
91 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/06/21(水) 00:48:19.06 ID:WeYLuC320
「ひどーい! せっかく青葉が頭を捻って考えたのに!」
「お前が? ……そうか、なるほど。納得だ」
「一体何に納得したんですかぁ!?」
「いや別に。で、何だこれは?」
「端的に言いますと、水着コンテストですね」
「水着…………ん? そういや霧島、榛名と大和の水着対決はどうなったんだ?」
あれからまるで音沙汰がなかったからすっかり忘れていた。
あいつらのことだからお流れになることはないだろうと思っていたのだが。
「ですから、これがそうです」
「は? いやこれがって、一対一の対決にしてはやけに規模が大きいようだが?」
「ええ。実は――」
92 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/06/21(水) 00:49:08.13 ID:WeYLuC320
それからかくかくしかじかと、霧島があれからの事の顛末を聞かせてくれた。
要約するとつまり――
・あの二人の対決で公平かつ盛り上がれる競技の選別が難しい。しかも規模と時間と手間もすごいことになりそう。
・それなら対決内容をあえて水着審査のみにし、参加人数を少し増やせばそこそこ盛り上がるのでは?
・そんな話をしてたら参加希望がぞろぞろと。ならば乗るしかない。このビッグウェーブに。
・今に至る。
――といったところ。
……ちょっと待てや。
93 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/06/21(水) 00:50:21.94 ID:WeYLuC320
「いやいやおかしいだろ? 規模が大きくなるのを最初避けてたのに結局こうなったら本末転倒もいいとこじゃないか」
「司令、そこは発想の逆転というやつです。規模が大きくなる? それならいっそ大きくなっちゃってもいいさ、と。幸い今月は休府日のある日でしたから、開催をその日にすれば問題ありませんでしたし」
「ええぇぇ……いや待て、これそもそも榛名と大和の一騎打ちが元だったんだろ? こんな大事にしたらあまり意味が――」
「そこは大丈夫ですぅ! 榛名さんと大和さんには審査のトリを飾っていただくので、対決の意味合いも薄れません!」
「当然他の方の水着も素晴らしい仕上がりが予想されるでしょうが……まあ、あの二人ならそれに喰われない良い勝負ができるでしょうと判断いたしました」
「それに規模を大きくしても他の娘が協力してくれますし!」
「普通に二人の水着見て勝敗決めるだけじゃ駄目だったのか?」
「「それだけじゃつまらないじゃないですか」」
94 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/06/21(水) 00:51:20.56 ID:WeYLuC320
ああ……まーたこれだよ。お祭り好きここに極まれり、だ。
そしてようやく理解した。連中、このためにいつも以上に海域攻略に精を出してたってわけか。
まったくこいつらは…………まあ、楽しそうにしているようだし。別にいいか。
「分かった、許可する。申請書にはあとで判を押しておこう。ああ、あと言うまでもないとは思うが、くれぐれも仕事に支障のないようにな」
「心得ております司令。ありがとうございます」
「司令官、ありがとうございますぅ! よーし、これで心置きなく準備が進められます!」
「ええ、そうね」
ワイワイキャッキャッとはしゃぐ二人。年頃の見た目に似つかわしい様子が微笑ましい。
惜しむらくは、俺はそんな彼女らが当日楽しんでいる様を見ることできないことだ。
95 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/06/21(水) 00:52:21.79 ID:WeYLuC320
そう、俺はその日町でのんびり過ごすともう決めているのである。
こんなあからさまに色々激しそうな催しなんて見てたら心が休まる気がまるでしない。
しかも規模が規模なだけに丸一日つぶれてしまうだろう。せっかくの休日なのに。
榛名と大和の水着姿を見損ねるのは些か残念ではあるが、致し方ない。またいつか機会があったら見せてもらおう。
「俺は当日見に行けないから無茶はあまりしてくれるなよ? 問題が起きてもすぐに対応できないからな」
そう言い残して、俺は「それじゃ」と声をかけてその場を後にしようとした。
「「はい?」」
すると、霧島と青葉は間の抜けたような声を漏らした。
96 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/06/21(水) 00:53:53.75 ID:WeYLuC320
「え? 司令官今何て言いました?」
「ん? 問題が起きてもすぐに対応できない――」
「いえ、その前です前」
「当日見に行けないから無茶するな?」
「「は?」」
「は?」
「「え?」」
「え?」
「あの、司令官? まさか来ないつもりですか?」
「ああ。その日はちょっと別件があってな。残念だとは思うが」
「ちょっと司令、榛名達の水着を見て下さるのではなかったのですか? 困ります。司令はいらっしゃるものと思って審査員をやってもらうつもりでしたのに」
「そんなこと言われても俺だって困るわ。確かに構わんとは言ったが、それは榛名と大和の二人だけの場合だ。まさか休府日まで使って参加者何十人もの規模になるとは微塵も思ってなかったよ。ほどほどにしろと言ったはずだろうが」
97 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/06/21(水) 00:55:58.42 ID:WeYLuC320
「で、でも司令官っ、水着ですよ? あの娘やあの娘の可愛い水着やエロい水着が見たくないんですかぁ!?」
「正直休みを使ってまで見たいとは」
「それでも男ですかぁ!?」
だって、可愛らしいのは割と普段から変わらんだろうし。中大破したら水着よりもっと扇情的な格好になってたし。今更な感が。
「そもそも別件とは一体何なのですか? 外出されるのですか?」
「あー…………」
外で本読んだりしてのんびり過ごすんだよと正直に告げようとして、思い留まる。
そんなこと言おうものなら、こいつらときたら「そんなのいつでもできるでしょう?」とか「そんなことよりこっち来てくださいよ!」とか言い出しかねない。いや絶対言う。
98 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/06/21(水) 00:57:09.15 ID:WeYLuC320
「……実は、久しぶりに実家に帰ろうかと思ってな」
嘘だ。
面倒くさいのであまり帰りたいとは思っていない。
「ご実家、ですか?」
「そう。去年の年末は帰れなかったからな。この機にちょっと、と思ったわけだ。親も寂しがっているかもしれんしな」
勿論嘘だ。
あの両親は俺が帰省しても「あら来たの」と淡白な反応しかしてこない。
挙句これ幸いと家の大掃除を手伝わせるまである。人類の守護者たる鎮守府の提督も実家ではただの労働力なのだ。
「へーそうですかー……」
「………………」
「そういうわけだ。すまんが審査員は他を当たってくれ」
そして俺は今度こそ「それじゃ」とその場を後に――
「まったく、駄目ですよ司令? 嘘をついては」
――しようとしたら、霧島にそんなことを言われてしまった。
99 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/06/21(水) 00:58:48.91 ID:WeYLuC320
今回はこれで
今年もそろそろ水着の季節が……来る
100 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/21(水) 01:18:54.18 ID:xJACWctwo
乙乙
101 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/21(水) 08:21:21.91 ID:JC47hsjSO
勝手な案で休みを潰す艦娘の屑
102 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/22(木) 06:57:32.07 ID:IZOxSWl60
女社会において男に人権はないのだ。
103 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/25(日) 01:48:13.06 ID:QwDlxB8Qo
おつかーレ
104 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/07/10(月) 21:14:15.18 ID:YXJSUbuJ0
ではいきます
提督の苦難編その二
105 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/07/10(月) 21:16:10.74 ID:YXJSUbuJ0
「…………嘘、だと?」
「はい。司令は次の休府日、実家に帰るつもりなどないのでしょう?」
「おいおい何を根拠に――」
「カワカド書店の二階……」
「……!?」
ぼそりと青葉が聞き流せない単語を呟いた。
「司令官、あそこの店主さんと仲がよろしいみたいですねぇ…………そこで休日を過ごされるんですか?」
バレている。俺が行きつけの書店の個室を借りて休日を過ごそうとしていることが完全にバレている。
俺の憩いのシークレットプレイスが割れていることには今更驚かないが、どうしてその日に俺がそこへ向かうと知っている? 誰にも話していないはずなのに――
106 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/07/10(月) 21:17:43.07 ID:YXJSUbuJ0
「とぼけても無駄ですからね? 大淀さんから話は伺っておりますので」
――って、そうだったー大淀には少し前に話してあったんだったー。
まさかそこから漏れるとは。クソぅ、あいつなら大丈夫だと思って話したのに。
「それで……どうされます?」
どこか勝ち誇ったような顔の霧島。
この問いはつまり、俺に予定通りの休日を過ごすのか、それとも考えなおして水着コンテストに審査員として参加するのかを聞いているのだろう。
それと同時に、"前者を選べばどうなるかわかってんだろな?"と暗に言っている――ような気がする。
具体的には、休みを満喫中の俺のもとに刺客を差し向けて妨害してくるといったところか。
何それ怖い。ヤクザだよこいつら。
107 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/07/10(月) 21:20:25.44 ID:YXJSUbuJ0
――と、まあ。そんな扱いを度々受けている身としては"ああ、またか"という心境になるわけで。
そして、この後の流れも概ね決まってくる。大体俺が折れて事が進むのだ。
だが――
「ハァ……まったく。仕方ない奴らだな、お前たちは」
「それでは……」
「ああ。お前たちの希望通り、俺も参加してやるよ――――とでも言うと思ったか馬鹿共が!!」
「「ええぇぇぇ!?」」
驚きを隠せない二人。
そうそう、その顔が見たかった。
108 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/07/10(月) 21:21:57.17 ID:YXJSUbuJ0
「あまり俺をナメないでもらおうか! 毎度毎度お前らに流されるままだと思うなよ? 阻めるものならやってみろチクショーめが!」
「うわっ、何かやけっぱちですよこの人! もーいいじゃないですか。休日ゆっくり過ごすなんていつでもできますよ?」
「それがいつもできてねーから言ってんだろうがよぉ青葉ぁ! 毎回毎回非番の日にまで誰かしらが絡みに来るせいで自分の事ができやしない。それに俺知ってんだからな! その内の三割くらいにお前が関わってることを!」
「ギク……! い、いやいやでも、それは司令官がみんなに愛されてる証拠で――」
「俺のことを愛しているなら、たまには気ぃ遣って平穏な休みを寄越せと言わせてもらおうか!」
「分かりました。そういうことでしたら、司令の休府日の次の非番の日には誰も司令の邪魔をさせないようにいたします、というのはいかがですか?」
「残念ながら霧島よ、それはそれであてにならん。"そんなこと知ったこっちゃねーぜヒャッハー!"と俺のところに来る奴がこの鎮守府に何人いると思っている?」
お前のところの長女とかな。
109 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/07/10(月) 21:23:23.28 ID:YXJSUbuJ0
「それにさっきも言っただろう。毎度毎度お前らに流されるままだと思うなよ、と。ここらで一度抗っておかないと、お前たちは際限なく調子に乗るからな」
「えーそんなぁ!? 行きましょうよーしれいかーん」
「嫌でい。今度という今度は折れんぞ」
わーわー煩い青葉を前に腕組みしてふんぞり返ってみせる。
俺の心はテコでも動かんという鋼の意思表示である。徹甲弾でも貫けぬと知るがいい。
「なるほど。それではどうしてもコンテストには来ていただけないと?」
「まあ、そうなるな」
「……そうですか。残念です」
そう言って霧島は溜め息を一つ。気落ちしたように肩を落とした。どうやら引き下がってくれるようだ。
おやおや、今日はやけに素直じゃないか――
110 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/07/10(月) 21:24:45.70 ID:YXJSUbuJ0
「本当に残念です…………できればこれは使いたくなかったのですが……」
――と思っていたら、霧島が肩にかけていたクーラーボックスに手を伸ばしているのが見えた。
何だ? 秘密兵器でも出すか?
悪いが比叡のクッキーとかでもなければ俺の決意は揺るがない――
「実はこんなこともあろうかと、比叡お姉さまにクッキーを――」
瞬間、俺は駆けだした。
霧島に背を向け、脇目も振らず、初速から最速を絞り出す。火事場の馬鹿力とはまさにこれと言わんばかりの全力だ。
今の俺は島風すらも凌駕する――
「残念! ここは通しませんよー」
――しかしまわりこまれてしまった!
111 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/07/10(月) 21:26:06.49 ID:YXJSUbuJ0
「青葉そこどけぇ! 俺の命に関わる!」
「んー気持ちは痛いほど分かるんですがねぇ……」
「駄目ですよ青葉さん。しっかり足止めしてください」
「おま、ふざけろ霧島ぁ! それは流石に洒落にならんぞ!?」
「当然です。洒落ではなく本気ですから。私には実行委員長としてコンテストを絶対に成功にさせるという責任と義務があります。そのためには司令の参加が必要不可欠なのです。手段は選んでいられません」
「でもそれ俺が死んだら元も子もないやつぅ!」
「ええ、ですから…………分かっていただけますね?」
112 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/07/10(月) 21:26:58.83 ID:YXJSUbuJ0
満面の笑みであった。龍田のそれと近しいものを感じる。
"これを口に捻じ込まれたくなければ……分かってんな?"という、この上なく容赦のない脅迫っぷり。テロリストかよこいつら。秘密兵器どころか決戦兵器まで持ち出してきやがって。
……ああ、まったく。本当にこればかりはどうしようもない。命は惜しい。要求を飲むしかない。
――なーんて、こいつらは考えるているのだろうな。
113 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/07/10(月) 21:28:24.65 ID:YXJSUbuJ0
「…………ク、ククククク、フフフフフ。フハハハハハッ!!」
「えっと、司令……?」
「何て見事な三段笑い……恐怖のあまり気でも違ったんでしょうか?」
「いやいや違うよ。つくづく俺もナメられたもんだなぁと……あまりにも滑稽で可笑しくてなぁ。つい」
「? それはどういう意味でしょうか?」
やれやれ、やはり分かっていないようだ。
俺はおもむろに廊下の窓際へと歩み寄り、手近にあった窓を一つ開け放った。
「ま、まさか飛び降りるつもりですかぁ!?」
「おやめください司令っ! ここ三階ですよ!?」
的外れも甚だしい。誰がそんなことをするものか。
114 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/07/10(月) 21:29:19.32 ID:YXJSUbuJ0
「まったくお前らは――――詰めが甘いんだよぉっ!」
そう高らかに言い放ち、俺は勢いよく振り返りながら懐から"それ"を取り出した。
それは、ボタンが二つ付いているだけの、手の平サイズの小さな何の変哲もないただのリモコンである。
「そ、それはっ!?」
「まさか……っ!?」
しかし、俺の手に握られたそれの意味するところを知り、霧島と青葉の目が見開かれる。
「そのまさかだ――見るがいい、これが俺の力だ! 来いっ、護衛特務艦・神通ぅ!!」
雄叫びと共に、俺は頭上に高々と突き上げたリモコンのボタンの一つを押した。
115 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/07/10(月) 21:31:44.16 ID:YXJSUbuJ0
突然だがここで説明しよう!
"護衛特務艦"とは、この鎮守府の最高指揮官である提督を護衛する、いわばセキュリティポリスの任を担う艦娘のことである!
提督は自分の身に危険が迫っていると判断した時、または執務を妨害する障害が目の前に現れたと判断した時に、任意でこれを呼び出すことができるのだ!
通常、出撃前・演習・訓練等以外で艦娘の地上での艤装の装着は禁止されており、艤装を装備していない艦娘の基礎体力は見た目相応の一般人と変わらぬレベルにまで抑えられる。
しかし、護衛特務艦に指定されている艦娘は例外として艤装の一部の常時着用が許可されているのだ!
一部着用のため、出力は通常着用時の三分の一程度だが、それでも護衛としては十二分な能力を地上でも発揮できるのだ!
現在、護衛特務艦に指定されているのは機動力に優れた川内型軽巡の三人。
朝05:00から夕方17:00までの担当は神通、それ以降から翌日の05:00までの担当は川内、二人とも鎮守府にいない場合は那珂が補欠として担当している。(なおこの三人がいない時は秘書艦が臨時でこの任を帯びる)
そして彼女達は鎮守府のどこにいようが、どんな状況であろうが、提督のコールがかかってから三十秒以内に提督の元へと全速で駆けつけ、正義と力の執行者となるのである!
116 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/07/10(月) 21:33:40.79 ID:YXJSUbuJ0
「恐れ慄け! たとえ戦艦と重巡だろうが、艤装のないお前達に神通は止められんぞ! 覚悟するがいい!」
「"これが俺の力だ!"とか言って、結局他力本願じゃないですかぁ!」
「知った事か! さあ、あいつにみっちり絞られるがいい! フハハハハハ――!」
何だか自分でもキャラがおかしくなっているような気がするが、まあいい。これで俺だってやるときはやるのだぞという意思を示せただろう。
初めて神通を呼んだとき、執務室の窓ガラスをぶち破って来たことを踏まえて、念のため窓から突っ込んできても大丈夫なように窓も開けておいた。
急いで来るのはわかるが、毎回ガラスを破られるのは勘弁してほしいからな。
……川内みたいに天井裏突き破って来られたらどうしようもないが。
さてさてさーて、そろそろ来る頃だろう。
――と、思っていたのだが。
117 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/07/10(月) 21:34:49.42 ID:YXJSUbuJ0
「………………」
「………………」
「………………」
「………………あれ?」
来ない。それどころか近づいてくる気配すらない。
おかしい。神通ならもう姿を見せてもいい頃合いなはずなのに。
どうした、何故来ない? さっき食堂で見かけたからいないことはないだろうし、出撃も今日はなかったはず。トイレか?
まさか、このコールスイッチが壊れていたりとか? もう一回試すか――
「残念ながら司令、神通さんなら来ませんよ」
さらっと、とんでもないことを言われた。
118 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/07/10(月) 21:39:27.56 ID:YXJSUbuJ0
今回はここまで
ちなみに、コール一回につき、川内は夜戦三回権、神通は一日秘書艦権、那珂はライブ開催一回権が与えられるそうな
119 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/10(月) 22:05:46.58 ID:YmUBosoQo
乙
買収されちゃったか
120 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/11(火) 09:13:46.54 ID:ksIMYnsDO
川内型はもう三人とも新しい水着買っちゃったんだよ
121 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/11(火) 18:55:24.03 ID:Srvq3E/Go
乙なの
122 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/08/05(土) 12:55:39.70 ID:Xt6djFGV0
こっちもいくデース
123 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/08/05(土) 12:57:10.27 ID:Xt6djFGV0
「…………何、だと……?」
「私達が彼女達のことを失念するわけがないじゃないですか。既に対処済みですよ」
「対処済みって……まさかお前ら、神通にそれを……!」
あいつにそのバイオ兵器を食わせたというのか……!? 目的のためなら同僚すら犠牲にするとはなんて非道な――
「あ、いえ。取引きを持ちかけたら協力を承諾してくれました」
「はあぁぁぁ!?」
「青葉さんが激写した秘蔵写真数枚を差し上げることを条件に、この時間帯の司令からのコールを無視してくれるようお願いいたしました」
「あ、神通さんを責めちゃダメですよ? 最後までとっても悩んでましたし、青葉たちが若干ゴリ押したところもありましたから。まあでも、あの娘も女の子だった、ってことで!」
124 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/08/05(土) 12:58:21.52 ID:Xt6djFGV0
「馬鹿な、あの神通が悪に屈しただと……!? 一体どんな写真を条件にすればそんなことが罷り通るんだ……」
「そりゃモチロン司令官の――ゲフンゲフン。いえ何でもないです」
「待ておい今何つった――」
「そういうわけで司令、そろそろ観念してください」
「――ってクソっ、それどころじゃないか……!」
神通があてにならないと分かった以上いつまでもここには居られない。自力でなんとか突破しなくては。
しかし突破した後は? こいつらが簡単に諦めるとは思えないし、仮に逃げ切ったとしてどこに逃げ込めばいい? 大淀や神通のこともあるから他にも協力者がいるかもしれない。逃げた先がそれでは完全に詰んでしまう。あ、お腹すいた。いやそうじゃなくて、そもそも……って、ああもう面倒だ。こうなったら窓から飛び降りてやる。3階? 知るか。最悪足が逝くだけだ。命に比べれば軽い――
125 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/08/05(土) 12:59:13.40 ID:Xt6djFGV0
「とりゃあ! 隙ありです!」
「ぬおっ!? しまった……! ええい離せぃ!」
「わわっと! ちょっと、じっとしてて下さいっ!」
ぐだぐだと考えているうちに背後から青葉に羽交い絞めにされてしまった。
迂闊ッ、考えるより前に動くべきだった……!
しかもこいつ意外と力が強い。艤装はなくとも流石は重巡というべきか。
あと俺の背中に決して小さくない膨らみが当たっている。お前いいのかそれ?
「ナイスです青葉さん。そのまましっかり捕まえていてください」
「りょーかいです!」
「りょーかいですじゃねぇこの馬鹿!」
126 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/08/05(土) 13:00:57.05 ID:Xt6djFGV0
ジタバタする俺と青葉に向かって、霧島がゆらりと動く。
霧島はしゃがんで小脇に抱えていたクーラーボックスを静かに床に置き、留め金を外し、フタを開け放つ。
するとボックスの中からは白いもやが溢れ出した。
湯気?――いや違う、あれは冷気だ。
「いやいや待て待て、なんでクッキー入れてるボックスから冷気が漏れてくるんだ。おかしいだろ」
「お気づきになられましたか。実はこのクッキー、常温だと急激に昇華してしまうので、致し方なくこのように保存してあるのですよ」
「それ生物が口にしていいモノの最低条件すら満たしてねぇじゃねーか!」
昇華ってあれだろ? 固体が液体の過程すっ飛ばして気体になることだろ? そんなのドライアイスぐらいでしか見たことないぞ。絶対クッキーがやっちゃいけない状態変化だぞ?
127 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/08/05(土) 13:01:52.73 ID:Xt6djFGV0
「まあまあ、とりあえずご覧になってください」
そう言って霧島は氷か何かが敷き詰められているボックスの中から取っ手のついた円筒形の金属製ケースを取り出した。
次いで取り出したケースのフタを取り外し、備え付けのピンセットの先をその中に突っ込んだ。
そして霧島がピンセットで挟んだそれを取り出すと――――空間に穴が開いた。
…………いやいやいやいやおかしいおかしい。
あまりの光景に自分の頭か目がおかしくなったのかと疑ったが、よーくよーく目を凝らすと、その正体がわかった。
128 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/08/05(土) 13:03:37.53 ID:Xt6djFGV0
それはただの黒い物体なのだ。それもただ普通に黒いだけではなく、一切の光沢がなく物体表面の凹凸すらも判別できないほどの真っ黒さ。
あまりに黒すぎるため、ピンセットで摘まれたそれが存在する空間だけぽっかりと穴が開いたように錯覚してしまったのだ。
そう、それはさながらブラックホールのように。
しかも霧島の言った通り、どんどん気化していくせいか空間を侵食するように闇色のもやがそれから立ち昇っている。
そういえば聞いたことがある。
ベンタブラックとかいう、ほぼ全ての光を吸収するという超黒物質なるものが存在するという話を……。
「司令。これが比叡お姉さまがお作りになられた……チョコクッキーです」
129 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/08/05(土) 13:05:34.22 ID:Xt6djFGV0
なるほど、チョコクッキーならぬ超黒ッキーというわけか。
こやつめ、なかなかうまいことを言いおる。ハハハハハ………………笑えない。
そうだな。もう正直、改めて言うまでもないとは思うが――これ食べ物じゃないよ。
嗚呼、比叡。お前はどこにいても俺の平穏を妨げるというのか――――
「さ、司令。どうされますか?」
「こんなの食べたら、司令官消滅しちゃいますよ?」
前方には笑顔でダークマターを突き出す霧島。
背後には自分の胸を押し潰さんばかりに抱きついてまで俺を拘束する青葉。
そして、逃げ場も逃げる手段も最早思いつかない俺。
眼前に迫る死の瘴気に、俺は――――
130 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/08/05(土) 13:07:20.54 ID:Xt6djFGV0
「今回の説得は少し手こずりましたねぇ。まさかあんなに抵抗するとは……根回しはしておくものですねぇ」
「悪い気はいたしますが、仕方ありません。今回のイベントは司令がいなくては成り立ちませんから」
「んーでも口約束で大丈夫ですかね? 一応参加表明を一筆書かせておいた方が良くありませんか?」
「そこは大丈夫でしょう。司令はたとえ口約束でも、それを違えたりはしませんから。それはあなたも知ってるでしょう?」
「……そうでしたね。司令官ってば、あんな風に無理矢理何か頼んだ時は嫌そうな顔を隠しもしないし、隙あらば愚痴を垂れ流したりしますけど、一度引き受けたことをすっぽかしたり、途中で投げ出したりしないでなんだかんだで最後までちゃんと付き合ってくれますもんね」
「ええ。そして私達はそれに甘えてしまっている、と。フフフ、司令からすればたまったものではないでしょうね」
「アハハ、そうですねぇ」
131 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/08/05(土) 13:08:21.52 ID:Xt6djFGV0
「………………」
「………………」
「…………あてにならない、と司令はおっしゃっていましたが。司令が次の非番の日をゆっくり過ごせるよう、みんなにきちんと言い含めておきましょうか」
「あ、青葉も手伝いますよ。禁を破った人は恥ずかしい秘密を号外で暴露しちゃいます!」
「フフ、ありがとう………………ところで話は変わるのだけど、例の写真……私にもいただけないかしら?」
「えーあれですかぁ? かーなーりのレアものですよぉ?」
「そこをなんとか――」
「そうですねぇ――」
132 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/08/05(土) 13:09:57.01 ID:Xt6djFGV0
今回はここまで
やべぇよ今年の夏があと一月くらいで終わりそう
133 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/05(土) 16:02:50.17 ID:EjDKi1rAo
ヒエーwww
134 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/06(日) 00:26:43.98 ID:RODqBAbk0
ワロタwwwwwwww
135 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/08/31(木) 22:16:47.45 ID:SUBhEGNs0
こちらも生存報告を
夏が終わりそうですが、知ったこっちゃねーと水着大会を書くつもりです
懲りずに待っていただければ幸いです
136 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/31(木) 22:43:18.15 ID:ISBoW353o
ほいな
137 :
◆KFFL7SRdLI
[saga]:2017/09/29(金) 22:29:47.76 ID:UaRkS2rS0
あい、すんません。こちらはまだかかります。
首を長くしてお待ちください。
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