会長「音が紡ぐ笑顔の魔法」

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2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/17(金) 04:08:42.69 ID:hk7qJqRRo
めっちゃまってたぞ!

3 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/02/18(土) 00:36:57.08 ID:yQwaZbLWO
ワアアアアアアァァァ

ソニア「ありがとうー!」キャピキャピ

ツンデレ「ありがとうー!」

パチパチパチパチ

ソニア「皆大好き〜!」ニコニコ

ウオオオオオオ

――ふぅ、ユニットでの活動がようやく終わりを迎えたか。
一時はどうなる事かと思っていたけど……綺羅星ソニア、俺はこれによってNo.1のアイドルになる事が出来た。

幸い、ツンデレが俺の正体に気付くことは無かったが――

「おめでとう」パチパチパチパチ

男「え――」

会長「おめでとう」パチパチパチパチ

男「………………」
4 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/02/18(土) 01:20:59.83 ID:yQwaZbLWO
男「ん???」

時系列がおかしな事になっているぞ??

会長「おめでとう、男」パチパチパチパチ

つい先程まではとても輝いて見えた煌びやかなステージが、目を背けたくなる程の陰気な死刑台になった。

しかし、俺は目を背けたくても背けることが出来ない。
ステージに立っているのだから。

男「あ、ちょっ、まっ……」

終わった。人生が終わった。

ロリ「おめでとう」パチパチパチ

副会長「おめでとうございます」パチパチパチ

副部長「おめでとう」パチパチ

部長「おめでとう」パチパチパチ

不良「おめでとう」パチパチパチ
5 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/02/18(土) 13:32:25.39 ID:OMWF/vczO
http://ex14.vip2ch.com/i/responce.html?bbs=news4ssnip&dat=1449244496

こちらが前作になります

これからは毎日1レスは更新できるように頑張ります
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/18(土) 16:41:16.60 ID:14tkuXrMo
おつおつ
今回も楽しみだ
7 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/02/18(土) 18:52:33.08 ID:aXj5LOz1O
男「」パクパク

ど、どうして皆がその事を……

これでは学校にも居られないじゃないか……

副部長「捕縛してから命を断ち、なるべく鮮度が落ちない方法で遺体を保存して……」ブツブツ

とても危ない事を考えていらっしゃいますよ、副部長様、犯罪ですからねそれ。

男「会長!どうして!」

会長「すまない、みんなが喜ぶと思って」

男「そんな……!」

会長「綺羅星ソニアは男でーす!!!」

男「アホか!!!」

ポンッ

後ろから肩がぽんと、優しく叩かれる。

男「……」ダラダラダラ

男「あはは……」クルッ

ツンデレ「去勢、だね」ニコッ

男「やめてえええええええ!!!!」

ツンデレ「ソニアは男じゃないと駄目なのよ!!!」

男「いやだあああああああああああああああああ!!!!!!」







チュンチュン

男「タイッ!!!!」ガバッ

男「……」

男「夢か……」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/20(月) 00:49:43.56 ID:ZIZ3Ty1oo
ツンデレって前にはいなかったやつか
おつ
9 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/02/21(火) 12:04:08.65 ID:xsZa4LHFO
男「もう朝か……」

小鳥のさえずりと窓から差し込む柔らかな日差しがやけに鬱陶しい。

出来ることなら目覚ましの音で目覚めたかったが、そうはさせてもらえないで。

会長「服は鏡の前にある」

不良「ギターも一緒に置いといたからな」

ロリ「今日は目玉焼きとトーストだにょ」

男「あ〜」

今となっては勝手に家へ上がってくる程の関係……な訳が無い。
正直言って俺は彼女達にレコーディングルームを与えるというギブしか与えていない、テイクが一つも無いのは流石にどうかと思うのだ。

許可を貰うならまだしも、この人達は祖父と祖母に取り入っては勝手に家へ上がる。

男「せめて俺の許可ぐらいは貰いませんか?」

会長「祖父母の許可だけでは不服か?」

10 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/02/21(火) 14:24:20.23 ID:Y/gFNrGeO
男「分かって言ってますよね?」

ロリ「早く食べないと冷めちゃうにょ」

男「人の部屋でトースト食うな!カスが落ちる……って、また人の家のご飯を頂いているんですか!」

ロリ先輩の口元にはジャムがほんの少しだけついている、そのジャムがとても腹立たしい。

ロリ「男のおばあちゃんは料理が上手だにょ〜」

男「食費払えよ!絶対に払ってくれよ」

男「不良は……」

不良「」ビクッ

男「まぁいっか」

会長「それは差別だな、男」

ロリ「どうしてにょ!?」

男「あんたらと違って何もしてないからだよ!不良は俺の部屋を綺麗にしてくますからね!」

会長は時折、人の部屋を散策する癖がある。嫌だろ。

不良「……」

不良(そう、それは男の家の掃除をしている時の事だった)

不良(今考えると入ってはいけない部屋だったと思う……)

不良(なんで女物の服が沢山入っているんだよおおおお!!!!)グオオオ
11 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/02/21(火) 20:49:19.16 ID:mLcHyP0XO
会長「掃除をするという事は、不良もこの部屋を探索しているという事になる」

男「無闇矢鱈に部屋を探索する人よりはマシだと思いますけどぉ!?」

会長「癖なんだ、許して欲しい。ただ、どんな服を持っているか気になったんだ」

不良(――ん?)

男「ベッドの下に服なんか置くと思いますか!?」

不良(会長は服について触れている。そしてこの男の慌てよう、会長は何かを知っている……?)

男「先輩達も不良の女子力を参考にしたら良いと思いますよ」

不良(女子力?)ピクッ

会長「この中では男が一番女らしいな」

不良(!!!!!)

男「な゛っ!」

ロリ「間違いないにょ!」

不良(違いねぇ……男は女装癖かつ精神的にメスだ)

不良(なんてこった。でも……)

不良(暖かく見守ってやるとするか)

※いい子です
12 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/02/22(水) 00:33:36.93 ID:iYOEJ8DFO
男「で、これからスタジオに行くんですよね?」

会長の危ない話を躱す為、咄嗟に話題を切り替える。

ロリ「スタジオはこの家の地下にあるにょ〜」

男「人の家をスタジオ扱いですか、そうですか、ええ、分かってましたよ」

ロリ「それは冗談だにょ、今日は隣駅のスタジオに行くにょ〜それなりに安いのが学生に優しいにょ」

不良「男の家ってそこらのスタジオなんかより設備整ってるし、わざわざ金払ってまで外のスタジオに行く必要無くね?」

会長「それに関しては私も同意だが、ロリ先輩はスタジオの雰囲気を知るのも練習と言っていた」

不良「あ〜なるほどね、意外としっかり考えてんだな」

ロリ「一言余計だにょ」

不良「たまに他のバンドとの交流もあったりして面白いぜ」

ロリ「と言っても環境は男の家が一番良いにょ」

そりゃあ、お金かけましたからね、はした金ではあるけど。

会長「時間が無い、行きましょう」

会長は楽しみで夜眠れ無かったのだろう、目に隈が出来ている。

不良は休みの日になると結構めかし込んでいる、意外と。

ロリ先輩はなんか大人っぽいな、ロリロリしてるのに。

男「よし、行きますか……」

不良「……」

会長「……」

ロリ「……」

男「着替えるから出てけ」
13 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/02/22(水) 01:13:51.02 ID:iYOEJ8DFO
隣駅はそれなりに発展しているが、人通りもまばらで住みやすそうなのが特徴だ。

俺達が住む町はほぼほぼ住宅街な為、この辺りの学生は娯楽を求めてこの町に集まるだろう。

俺も子供の時は自転車でこの街へよく遊びに行っていた。

ロリ「こっちだにょ〜」

太陽の日差しがアスファルトの黒を綺麗に強調する。いつもより綺麗に見える……そうか、俺もスタジオに行くのが楽しみなのか。

ロリ「着いたにょ」

早い、3分程度しか歩いていないのにも関わらずもう着いてしまった。 

不良「まて」

不良の雰囲気が苛立ちを帯びた物に変わった。

不良「チューニングはしたか?」

ロリ「私が全部やっておいてあげたにょ」

不良「ケースをいつでも開けられるようにしろ!上着は脱げ!!」

会長・男「はっはい!」

ロリ「入るにょ〜」

カラランカララン

ドアに付いたベルが小気味よく音を鳴らす。
何人かが駄弁っていたり、静かに楽器を見ている等している。
更に付け足すと、バンドマンで本当に派手な格好をした人間を俺は今日、初めて見た。

受付「いらっしゃい」

なんとも愛想の悪い痩せたおばさんだ、目つきなんかかなり鋭い。

ロリ「学割2時間だにょ!」

受付「学割……?」

ロリ「学生証だにょ」スッ

受付「あー分かったよ、4000円ね」

ロリ先輩は皆から手際良く1000円ずつ徴収する。

受付「5分後に空くよ」

会長「き、き、き、緊張するな……」

不良「早く準備するぞ!」
14 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/02/22(水) 01:30:48.39 ID:iYOEJ8DFO
10分後

ロリ「まずは一人一人出来ない所を私と練習だにょ」

会長「私は?」

ロリ「私が言ったメニューはこなしてるにょ?」

会長「はい、勿論」

ロリ「じゃあ、この前渡したCDの4曲を歌っていて欲しいにょ」

会長「分かった」

不良「私は?」

ロリ「うーん、男が弾くギターに合わせて叩いて欲しいにょ」

不良「苦手なんだよな、変なリズムに合わせんの」

俺のリズムは変ですか、まぁまだまだ下手糞だから何言われても仕方ない。

ロリ「その合わせが大事にょ」

男「先輩、お願いします」

準備も気合いも万全、全力で練習してやる。
初めて来たスタジオの雰囲気に俺は昂っていた、いつもの練習よりも身が入りそうだ。
15 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/02/22(水) 01:56:46.15 ID:iYOEJ8DFO
ロリ「色々な楽器をやっていただけあって、飲み込みがすっごい早いにょ」

ロリ「有望な部員が3人も入って、自由天文部も安泰だにょ」

男「それは先輩達がライジングロックでしっかりとした成績を残してからですよ」

ロリ「言ってくれるにょ」

不良「大分やれるようなってんな」

ロリ「延期していたライブも出来そうだにょ……」ボソッ

ロリ「ストップ!!」パンパンッ

ロリ「皆で練習してきた曲を演奏するにょ!」

男「おお……!」

あれから1ヶ月……ついにこの時がやって来た。
練習を重ねに重ねた結果がいま、やっと……!

会長「分かりました」

男「よし……!」

不良「へへっ、バンドらしくなってきたな」

俺達は今までの鬱憤を晴らすかのように何度も演奏した。
会長も手元でベースを弄りながら歌っている、まぁ、会長の事はどうでもいいけどな。
16 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/02/22(水) 02:10:28.56 ID:iYOEJ8DFO
不良「あー楽しかった!!」

会長「私はまだまだ歌える」

男「喉壊しますよ」

あっという間の2時間だった。
俺は少なからずとも楽しかった。
皆そう思っていると良いが、実際の所はどうなんだろうか、不良とロリ先輩は下手糞と演奏して楽しかったのか?

と、物思いに耽っていたら――

受付「あんた、いい声してるね」

会長「私、ですか?」

受付「少しだけ聞こえたけど、才能があるよ」

受付「下手糞だけど」

不良「は?」

会長「……」

このおばさん、俺は苦手だ。
人の全てを見ているかのような目、憎たらしい言葉使い。
相手にしなくたっていい。

男「会長、行きましょ――」

会長「どこが下手糞でしたか?」

受付「全部」

会長「そう、ですか……」

受付「あんたは残りなさい、私が教えてあげるから」

会長「え――」

ロリ「会長は私が――」
不良「てめぇ、いい加減に――」

受付「あんたらは黙ってな!」

ロリ・不良「……」

黙るんかい。

受付「私は、この子に聞いているんだよ」

受付「自慢じゃないけどね、私が教えた子は皆上手になるよ。まぁ、私の教えを受けるかどうかはあんたしだ――」

会長「はい、是非」

即答だった。

不良「良いのかよ!?」

会長「問題ない、駄目だと思ったら帰る」

ロリ「まぁ、決めるのは会長だにょ……」

男「はぁ……」

会長にはいつも驚かされるな。

受付「……」ニィッ
17 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/02/22(水) 02:11:30.42 ID:iYOEJ8DFO
今日の分はここまでです。

何か質問があったら答えられる範囲で答えます。
18 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/02/22(水) 02:17:30.30 ID:iYOEJ8DFO
丁度いい区切りなのでもう1度


このSSは↓の続きになります。前作を見た方も、見ていない方も是非よろしくお願い致します。

男「音楽の魔法」
http://ex14.vip2ch.com/i/responce.html?bbs=news4ssnip&dat=1449244496
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/22(水) 02:53:37.56 ID:M2RYaKujo
男が生き生きしてて何よりだ
おつ
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/23(木) 02:45:29.63 ID:cfs7XVNeo
過去に書いたやつがあったら読みたい
速報以外でも
おつおつ
21 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/02/23(木) 15:07:00.73 ID:Mcktwd3bO
受付「じゃあ始めるよ」

会長「はい、先生」

先生「やめな、恥ずかしい」

男「待ってください」

会長「?」

受付「ん?」

ただただ、納得がいかなかった。

男「簡単についていって良いんですか?」

会長「駄目だと思ったら帰ると言っただろう」

会長「でも、分かるんだ」

会長「この人なら大丈夫だって」

受付「私が凄い悪人だとしてもかい?」

会長「悪い人には見えません」

受付「冷静だね、歌にも必要な要素」

受付「ぼうや、よく聞きな」

男「……」

慈しみ?哀れみ?軽蔑?愛情?分からない。受付の人は、様々な感情が入り混じった優しい顔で俺を見て言った。

受付「これが才能だよ」

受付「分かる奴は感覚で分かってしまうのさ」

男「……」

心の奥から湧き上がるドス黒い物が、俺の全てを覆っていく。

心底悔しかった。
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/24(金) 11:57:23.89 ID:5/YsmrKZo
これはキツイな
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/26(日) 23:56:46.58 ID:eAjIYBbzo
更新なくてさびしい
24 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/02/28(火) 03:06:37.49 ID:jZrUqaQtO
男「……」

ロリ「やめー!やめー!」

受付「うるさいよ、ほかの客だって居るのに」

ロリ「さっさと帰るにょ〜会長をよろしくお願いしますだにょ」

流れを遮るかのようにロリ先輩は切り出した。

癪ではあるが、ほんの僅か、ほんのほんの僅かだけ庇ってもらった気がする。

不良「才能ってなんだよ……」ハァ

受付「この先も音楽を続けていくのなら分かるよ、きっとね」

不良「ふんっ」

不良(続けるかも分からないな、そんなもんだろ、趣味なんて)

ロリ「帰ってからさっき駄目だった所の復習にょ」

男「何自分の家みたいに言ってるんですか」
25 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/02/28(火) 05:22:09.89 ID:jZrUqaQtO
会長「……」

受付「行っちまったね」

会長「はい……」

受付「寂しいのかい?」

会長「そんな事は……」

受付「解散するかもね」

会長「そんなっ!」

受付「でも、あんたは歌が上手くなりたくて私を信用した」

会長「……」

受付「私のレッスンが終わる頃に、あの子達があんたを忘れたって良いじゃないか」

会長「それでは……」

受付「その時にはあんたの歌を聞かせてやればいい。それだけで、元通りさ」

会長「……」

受付「それが歌……って奴さ」

会長「うかうかしていられませんね」

受付「全力だよ、今を全力で生きるのさ」
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/28(火) 07:32:31.38 ID:PYQP6soCO
ロリ先輩尊い
おつ
27 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/02/28(火) 12:02:48.29 ID:t0LJPqPhO
あれから家に戻った俺達は今まで以上、練習に取り組んでいた。

男「……」ブツブツ

ジャ-ンジャシャッ

不良「うぜぇうぜぇ……うぜぇ……」ボソボソ   

ダンッダンッダンッ

ロリ「凄い集中力だにょ、もっと早くこれが欲しかったにょ」

不良(正直、男とロリが音楽を続けるかは分からない……でも)

不良(なにがあっても音楽を続けるつもりだ)

男「……」

男(本気でやっている。だからこそ)

不良・男((趣味でやっている2人に足は引っ張られたくない))

不良・男((とか、思われてんのかな……))

ロリ「私も弾くとするかにょ〜」
28 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/02/28(火) 12:24:18.94 ID:t0LJPqPhO
ロリ「そろそろ24時になっちゃうから解散だにょ」

男「……」

正直、この人の指導はとても分かりやすい。
勝手に家へと上がってくる事を除けば、教え子が満足するまで付き合ってくれる理想的な指導者だ。

不良「でさぁ、会長はどうすんの?」

ロリ「ひとまずは放置だにょ」

男「あのおばさんに教えられて変な歌を歌うようになっても困りますよ」

ロリ「それに関しては心配無いにょ」

男「どうして」

ロリ「なんとなく」

不良「はぁ……」
29 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/03/01(水) 15:45:43.76 ID:WUlIo6fDO
ロリ(あの目、あの目は信じても良い目だって分かるんだ…)

不良「早速1人減ったな」

男「それは早いだろ」

不良「はいはい」

男「……」

実際の所、俺にも分からない。
このまま会長が練習に顔を出さなくなる可能性だって大いにあるのだから。

ロリ「今日は帰るにょ」

不良「私も〜」

ロリ「あ、明日部室に集合だにょ」

男「?」

不良「?」
30 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/03/01(水) 17:41:46.06 ID:WUlIo6fDO
ロリ先輩と部長を見送った後にリビングへ顔を出すと、父と母と姉が椅子に腰掛けていた。

男「あはは、うるさかったね」

男「うん、皆いい人だよ」

男「お姉ちゃん、からかわないでよ……誰が好きかだなんて」

男「それでね、今日から会長が歌の稽古をつけて貰うことになったんだ」

男「とても真っ直ぐな人に教えて貰うことになったんだ」

男「僕はどうしたら良いのかな?ただ練習しているだけじゃ上手くなった気がしないや」

男「それでも練習?分かってるよ、うん、僕には才能が無いって分かってるよ」

男「うん、頑張るね、頑張るよ」
31 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/03/03(金) 15:37:29.99 ID:mVHHKK7BO
翌日の放課後、部室には全員揃っていた。

部長「どうだ?上手くなったか?」

不良「私は元から1番上手いっつーの」

副会長「そもそもですが、“上手い”の基準とは?」

不良「それは――」

ロリ「オーディエンスが決める事だにょ」

部長「あ、保護者だ」

副部長「ロリ先輩ってずっと思ってたけど、とてもいいお母さんになれるよね!!」

ロリ「まるで私が老けているかのような言い方はやめるにょ」

部長「いや、ふけて……ゴバァッ!?」

お見事な金的蹴り。部長は悶絶して動けそうにもない。

会長「暴力はご法度ですよ」

ロリ「では、本題に入るにょ」
32 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/03/03(金) 17:31:04.49 ID:UB2zERl0O
会長のご指摘は見事にスルー、ロリ先輩にはそういう所がある。

会長「またスルーされた……」ガ-ン

部長「明日の放課後にライブやってもらうわ」

ロリ「という訳でよろしくにょ」

会長「一つ」

部長「はい、会長」

会長「とても恥ずかしいです」

ロリ「という訳で解散だにょ」

副部長「今日も練習頑張るよ〜!」

副会長「今のままの練習もマンネリですね」

不良「早く行くぞ〜」

男「ワクワクしてきた」

会長「まてー!」
33 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/03/04(土) 00:21:16.38 ID:28Q3JMCsO
会長「二度も無視したな、私を!」

副会長「バンドをやっている以上、目立つのは仕方がありません」

そもそも会長は人前でアイドルとして歌って踊っていたではないか、化粧によって別人ではあったが。

会長「せめて覆面を……」

副会長「いけません!この学校の会長でもある貴女が……」

部長「OK」
ロリ「面白いからアリだにょ」

副会長「ああ!もう!」

会長「よしっ」フンス

面白い程に輝いている、顔を隠せるのがそこまで嬉しいか。
部室に差し込む光が会長の白磁のような肌を、明明と照らす。

肌、白いんだな。

男「ソニアよりも……」ボソッ

ロリ「さぁ、各自で練習だにょ!」
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/04(土) 00:22:09.30 ID:ZYGCd+e3o
なんかちびキャラみたいな掛け合いだ
おつ
35 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/03/05(日) 19:00:34.12 ID:DdecGSjyO
>>20



勇者「俺と魔王の101日決戦」 

医術士「東奔西走!!皆を癒しちゃうよ!!」 

弓使い「勇者……私が?」 

勇者「2024年……標的は魔王」 

勇者「お前は俺が面倒を見る」魔王娘「……」 



等を作ってました。 
36 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/03/06(月) 12:11:49.55 ID:HkWLyB+OO



全てを照らす陽の光、窓から受付のデスクに差し込むそれは大気に舞う埃さえも輝かせてしまうのだった。

受付である中年の女性は、自身をも照らす光が嫌いだ。

光によって全てが明るみに出るのを、見透かされのを恐れていた。

受付「さて、そろそろあの子が来る頃だね」

昔の教え子の一人であるアルバイトに店を暫くの間任せる事にした。
才能に溢れた子供を見るといつもこうだ、悪い癖だ、と心の中で自嘲する

カラァンカラァン

受付「――っ!」

「母さん」

受付「なんだ、帰ってたのかい」

「聞いてよ!今度さ、大きな舞台で歌う事になったんだよ!」

受付「へぇ……」

「1人で!」 

受付「凄いじゃないか!!」

「えへへっ」

受付「なぁ、またね、聞かせておくれよ、私の可愛い娘の歌を……」
37 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/03/09(木) 01:07:30.45 ID:SHjKTIrMO
「――♪」

受付の顔はみるみるうちに険しい物へと変わって行く。

受付「なんだいこの歌は?」

「え?」

受付「カラオケが上手くなりたいなら出ていっておくれよ」

「でも、母さんがこう歌えって!」

受付「違う!感情を込めるんだ!技術なんて後からいくらでも付けてやる!!」

教え子の腹部に触れると、力強く撫でる、揺らす。

受付「下手くそが気取るんじゃないよ!」

受付「私が聞きたいのは“あんたの声”なんだよ!」

「っ!」

「どうやって感情を込めたら……」

受付「簡単だよ、そんなのすぐさ」

受付「――大声で歌うんだよ、子供のようにね、叫ぶんだよ」
38 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/03/10(金) 14:52:43.61 ID:U+dD3G6EO
受付が気が付く頃には日も落ちていた、それだけ練習に集中していたのか、受付の記憶は曖昧だ。

会長「今日もありがとうございます」

受付「金を取っても良いのかい?」

会長「お金で済むのなら……」

受付「馬鹿だね、いらないよ」

子供に歌を教えていたと思い出す。
才能がある子だから、ついつい熱を込めてしまったのだろう。

会長「ありがとうございます」

会長「……」

受付「どうしたのさ、黙り込んじゃって」

会長「明日、ライブがあるんです」

受付「へぇ、早いね」

会長「私の歌は通用するのか……それだけが心配で……」

受付「心配いらないよ」

天才だから、と、言おうとした所で言葉を飲み込んだ。






39 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/03/11(土) 18:26:44.33 ID:H2jYKvDtO
男「はぁ……」

ロリ「お泊まり会はワクワクするにょ」

不良「全員家近いのに泊まる意味あんの?」

男「寝袋を持ってきてる奴が何言ってんの?」

夜の11時、今からレコーディングルームで寝ずの練習をすると言うのだ、ロリ先輩の熱量には相変わらず敵わない。

ガチャッ

トントントン

誰かが玄関のドアが開けて階段を降りている。おばあちゃんはもう寝ている筈……

不良「ん?」

ロリ「???」

足音は明らかにレコーディングルームへ向かっている。

男「おじいちゃん……?」

ガチヤッ

会長「私だ」

男「え?なんで?鍵は?え?」
40 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/03/11(土) 21:11:26.21 ID:NFkfB9McO
男「不法侵入でしょ!鍵が開いていたとしても!」

会長「鍵……?」

会長「……」フッ

フサァッ

会長が髪をかきあげると、一瞬で放射線のように散り、肩に流れる。

会長「合鍵をもらった」ドヤァッ

ロリ「私も」

不良「ああ、そういえばもらってたな」ハハッ

男「あんのクソババア!!」
41 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/03/11(土) 22:02:00.50 ID:NFkfB9McO
ロリ「合鍵の話は置いといて」

何一つ置いておくべき所は無い、置くな、鍵返せ。

ロリ「歌のレッスンはどうかにょ?」

それは正直に言うと、聞きたくもない話題だ。

会長「とても素晴らしい先生だった」

会長「技術から信念まで、とても参考になります」

ロリ「やっぱり凄い人だったにょ」ドヤァ

会長に続いてロリ先輩もドヤ顔を披露、両手を腰に当ててこれでもかと言わんばかりに威張り散らしている。

不良「なんとなくじゃん」

ロリ「なんとなく、あの人に似ていたから……」ボソッ

男「……?」

この人はいつまで経っても不思議な存在だ。
何を考えているのか、感じているのか、思い出しているのか、第三者の俺には何も分からない。
ただ、一つ言えるのは、その表情に一番近い言葉は物憂げと言う事である。

ロリ「――それじゃあ、会長の練習の成果を見てみるにょ!」

会長「まだ2回しか教えて貰っていないが」
42 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/03/14(火) 03:24:25.63 ID:KRWOIGHSO
ロリ「みんな……まだ下手くそ……」ムニャムニャ

不良「お母さん……」ムニャムニャ

本番に今の全てを出し切れる、とても良い練習だった。現時点では演奏に問題が無い、曲はまだ簡単。
と言う事は、次への課題と今のレベルが見えた事になる。

男「もうこんな時間か……」

会長「朝の5時、私の起きる時間だな」

男「会長」

会長「寝ないのか?」

男「本番の前って眠れないんですよ」

会長「ふむ……君のことだから緊張の類は無いのかと思っていたよ」

男「舞台の大小は関係無いですよ、ただ……」

会長「ただ……?」

男「どちらにせよ、次の夜は良く眠れるんですよね」

会長「ふふっ……当り前じゃないか」
43 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/03/14(火) 03:24:52.91 ID:KRWOIGHSO
こんな感じでボチボチと進めています。何か気になることがあったらお答えします
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/14(火) 23:02:30.43 ID:1X9TEuC3o
綺羅星ソニアでぐぐって見つけたぜ
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/18(土) 11:38:34.09 ID:Ful/mcj6o
おつおつ追い付いた
盛り上がってきた
過去作読んでたら遅くなった
>>35
の勇者「2024年……標的は魔王」って未完なのかしら
続きが気になる
46 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/03/18(土) 23:09:00.47 ID:v6tlhwdrO
>>44
綺羅星ソニアで見つかるとは…!

>>45
未完です。プロットが消えた為


更新はもう少しお待ちください
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/19(日) 01:50:02.06 ID:uhnge4uro
消えてしまったのか残念だ気が向いたらお願いします
更新も楽しみに待ってる
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/26(日) 02:45:36.27 ID:gZY7b9pho
会長のアイドル名?ってなんで変更したんだ
49 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/03/27(月) 00:26:05.29 ID:VJO5l2BJO
男「よしっと……」

HRが無事終了した所で部室に向かう前の事だった。
何となくなのか、冷やかしなのか、友が俺の事を呼び止める。

友「男」

男「ん?」

友「これから軽音部でライブやるんだってな」

男「あっ、あぁ……」

突然の出来事に動揺してしまったが……そうか、自由天文部は周りの人間からは軽音部として認識されているのか、最初から軽音楽部として売り出せば良いのにも関わらず。

友「俺も行くよ」

男「ありがと」

友「……友達が応援してやるってのにも関わらず、反応薄いな」

男「それどころじゃないからな、俺も必死なの」

友「……頑張れよ」

男「おうっ」

タッタッタ

友「あいつ、かわいいのにカッコイイな……」ボソッ

友「あれ?俺ってホモ?レズ?」
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/27(月) 23:40:57.10 ID:qFpkvVeqo
素でもかわいいのか男
おつ
51 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/03/29(水) 00:42:34.48 ID:JPXu+AQkO
男「あれ?」

遅れた筈なのに部室にはまだ誰も居ない。

不良「準備、出来てるってさ」

背後からかけられる不良の言葉、それは俺をどうしようもなく興奮させた。

男「リハは?」

不良「ロリ先輩は部長のバンドでとっくに弾いてるよ」

男「会長は?」

不良「自分の世界に入ってるから何言っても駄目だな、あれは」

男「心配だ……」

不良「じゃあ二人でやるか、セッション」ダンダンダン

不良は隅に置いてある古びたドラムを前にして、軽快なリズムを刻み出した。

男「頼む」

俺はすがるように、弦を弾く。

まだ、何も目覚めていない、
52 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/03/29(水) 20:19:13.70 ID:GesQH15pO
体育館はそれなりの盛り上がりを見せていた。

ロリ「……」

部長「あんがとなー!」

「「ひっこめノッポー!!」」

部長「うっせー!!」

ギャハハ

ロリ「……」

この子も“あの人”の器では無かった。

求めるのが酷な話と言う物だろう、“あの人”は常人の物差しでは測れない世界に生きていたのだから。

部長「じゃあさ、次は俺達の後輩が演奏するから!!」

ロリ「……」

まさか、こんな短い間でまた会えるとは思ってもいなかった。

部長「バンド名はまだ決まってない!!聞いてくれ!!じゃっ!」

「「おおーー!!」」

部長や副部長の友達が居て良かった、安心して歌ってもらう事が出来る。

会長「人人人人人人人人人人人人」ガタガタ

部長、副部長、副会長と入れ替わるように新入部員が入場した。

「「覆面だー!!」」アハハ

ロリ「さぁ、落ち着くにょ」ギュ

慌てふためいた覆面会長の手を握ってあげる。
緊張が解けるのなら何だってしてあげよう。

男「ここがスタートライン……」

不良「よっと」

ダダンッダダッ

ロリ「!」

不良のドラムが場を支配する。
この子は本当にいい音を持っている。

会長「――歌います」

ロリ「うんっ」ニコッ

ロリ「みんな、始めるにょ!」
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/30(木) 00:36:26.54 ID:6x4mVzyBo
アイドルやってたのに緊張する会長かわいい
おつ
54 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/03/31(金) 01:04:19.79 ID:C/8qz1JWO
シイィィィンッ

曲が始まるまでの静寂を感じたのは何年ぶりだろう、随分と長かった気がする。

ロリ「……」

あの時を思い出す。

あの人を思い出す。

あの一瞬を――








先輩「準備はいいかー!?」

観客は“そこそこ”集まっている。

初めての緊張、初めての胸騒ぎ、初めてのライブ、全部が初めてだった。

あの時、私は誰よりも緊張していた。

ロリ「……下手くそがよくもまぁ偉そうに」

先輩「皆に笑われるかな?」

ドラム「笑ったらぶっ飛ばしてやる!」

キーボード「ちゃかちゃかちゃーん、ぽんぽんぽーん」

先輩「自由天文部の門出だー!!」
55 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/03/31(金) 04:26:55.43 ID:y2Ys6JWAO
ホームプラネタリウムが置いてあるのなんて誰も気にしていないだろう、そもそも光が弱すぎて置いても意味がない。

先輩「いえええええい!!!!」

ロリ「本当に派手好き……」

「「早く歌えーー!!!」」

先輩「皆、署名ありがとう」ピシッ

集まってくれた生徒達の前で先輩は深々と礼をする、私を含む三人も続くように礼をした。

天文部として功績を挙げた私達がこうして演奏できるのも、周りの人間が協力してくれたからこそだ。

先輩「Ahaaaaaaaaaaaaa!!!!」

耳を劈くような絶叫が教室全体に響き渡る。

それでも心地が良い先輩の声、聴く者全てと自分の世界を共有する先輩の声、胸に訴えかける声は誰にも負けない。

ドラムが小気味の良い律動を刻む、簡単だがセンスもある。

私以外は初心者であるにも関わらず、良くもここまで演奏できるようになった物だ、先輩がギターもやると言い出した時はどうなるかと思ったが、結果としては成功だ。

キーボードは先輩のギターと私のベースにぶつかっていく、そうだ、そうやって強く出していこう。

私が繋ぎ止めればもっといい曲になる。

私が繋ぎ止めれば――









「「アンコール!!」」「「アンコール!!」」

会長「あんこーる?」
56 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/03/31(金) 16:31:45.87 ID:zdtqK85+O
男「――っ!」

まさか、ここまで、ここまでなんて。

不良「この短期間でここまで歌えんのかよ……!」ハハッ

「てか、あの覆面すごくない?」「凄く良い声してるよね〜」

ロリ「あの人以上……」

会長「あんこーる、だそうだ」キョントン

会長「正直に言うと、初めての事で驚いている」

男「……」

アンコール貰った事無いのか、まぁ、アレじゃあな。

ロリ「作った曲で歌ってみるにょ?」

男「そう言えば、あの曲作ったのって誰ですか?」

ロリ「内緒だにょ〜」

男「えぇ……」

ロリ「きっといつか会えるにょ〜」

ダダンッダダッ

不良がドラムをかき鳴らして急き立てる、せわしない奴め。

俺も続くように弦を弾いた。

会長「アンコールありがとう」

会長「――」スウゥ

ロリ「困った奴等だにょ〜」

57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/31(金) 17:07:53.70 ID:q49Xo9sHo
ロリというお母さん
58 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/03/31(金) 20:42:09.81 ID:zdtqK85+O
パチパチパチ

「良かったよー!」「覆面すごーい!」

暖かい声援を受けて、体育館を後にする。

男「……」

手ごたえはある、でも、会長だけが一つ飛び抜けている。あれが初心者の歌なんて言っても誰だって信じてくれないだろう。






部長「……」

副部長「始めたばかりなのに凄いね!」

副会長「不良さん……とても上手です」

部長「なにあれ?」

副部長「え?どうしたの?」

部長「あれ、初心者だろ?」

副部長「会長も良かったよね!初心者には思えないや!」

部長「どうなってんだよアレ……」

副会長「……」

副部長「?」

部長「別次元だ……ハハッ、やる気なくしちゃうね」
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/01(土) 08:59:12.60 ID:xtXWBux0o
男は複雑ね
おつ
60 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/04/01(土) 21:36:03.95 ID:oQZew76TO
〜〜〜

あれから五年の月日が経った。

会長「ソニア、早く行こう」

「うん!」

どうやら“私”は今まで自分の性別に嘘を吐いていたようだ。

去年に男と偽っていた自分とおさらばして、新たな自分に生まれ変わった。

そう、女に。

タイは偉大である。

会長「ふふっ……」ギュッ

女「会長……」ジッ

会長と付き合う事になったのは四年前だった。

可愛ければ性別など関係無いと豪語する会長は、私が女になっても受け入れてくれた。

綺羅星ソニアとしての活動を再開する事になった私のマネージャーもやってくれる事になった。

会長「思い出すな、自由天文部の日々を」

難病によって命を失ったロリ先輩、無限極焉流との戦いで命を失った副部長、眼鏡になってしまった副会長、タンバリンに頭を叩かれ寝たきりになってしまった不良、チェスボクシング日本代表になった部長、本当に幽霊だった幽霊部員、皆が掛け替えのない思い出だ。

ソニア「目指せトップアイドル!」




            お わ り
61 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/04/01(土) 22:05:52.57 ID:oQZew76TO
飽きたのでこのシリーズは終わりです。

次回作は地獄少女四期を記念したSSです。



天国少女「四月馬鹿」


よろしくお願いします。













勿論エイプリルフールです。
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/02(日) 00:47:30.25 ID:RqqPBtIFo
ブッ飛びすぎて笑った
確かに可愛いのならば性別は関係ないな
タイは偉大だ
63 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/04/05(水) 18:26:04.84 ID:tNCK4cqsO
ロリ「お疲れ様だにょ!」

体育館裏、ロリ先輩はライブの成功が余程嬉しいのか、何度も飛び回っている。

会長「生徒からの反響も上々でした」

ロリ「もぉう!そんなお堅い事言ってちゃつまらないにょ!」ピョンピョン

不良「……」

不良も違和感を感じているのか、ライブが終わってから一言も発していない。

男「足引っ張ったな……」

不良「……だな」

そう、もう少し、俺に実力さえあればこのライブが会長の歌に押し負ける事は無かった。

ロリ「……」
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/05(水) 20:49:19.61 ID:xJ8a2QdAo
受付がすごいのか会長がすごいのか
男がアイドルに全降りしたのか
おつおつ
65 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/04/07(金) 07:47:21.06 ID:LQicMOeIO
男「そういえばロリ先輩、ライジングロックの開催は6月の何日ですか?」

ロリ「1日だにょ」

不良「もうすぐだな」

ロリ「本当は男達が入部してからすぐにライブでもさせようかと思っていたんだにょ」

とんでもない事を聞いた。

練習に時間をかけた甲斐があって恥をかかずに済んだが、すぐにライブをしていたらと思うとゾッとする。

部長「お前らが入部してからだいぶ経ったな」
66 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/04/07(金) 07:49:44.17 ID:LQicMOeIO
部長達のおでましだ。

男「随分と余裕ですね」

部長「やめろよ、俺達も必死なんだ」

男「ふーん……」

副会長「ええ、特に私は必死です」

副部長「頑張ってるよねー」

男「副会長は間違いないですね」

副部長「私は!?」

男「いや、なんか胡散臭くて」

部長「ひっでー後輩」

「なんだかんだで今は5月28日っすね」

馴染みのない顔が部長の後ろからひょっこりと顔を出す。この人が話には聞いていた部長バンド最後のメンバー、幽霊部員……なのか?

67 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/04/07(金) 07:50:43.69 ID:LQicMOeIO
副会長「幽霊部員、今日のライブには出てほしいと何度も……」

幽霊部員「ごめんね、副会長ちゃん、幼馴染みのよしみで許して欲しいっす」

副会長「私は良くても……!」

どうやら、副会長と幽霊部員は幼馴染みらしい、副会長の敬語が崩れている所を見るとかなり仲が良いことも伺える。

部長「良いから良いから」

幽霊部員「それでも!沢山ゴロゴロしたおかげでインスピレーション湧いてきたっすよー!ちゃかちゃかちゃーん!ぽぽぽぽん!」

副部長「ゴロゴロしてたんだ……」アハハ

「…………………」

「素晴らしい歌声だったね、私の歌詞はどうだったかな?」

「あんた、ギターなんてやってたのね」

これまたキャラの濃い3人組が現れる、残りの部員だろう。
68 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/04/07(金) 07:51:33.37 ID:LQicMOeIO
1人顔見知りが居た気がするが気のせいだろう、きっと俺の勘違いだ。

それにしても、相変わらず子供みたいな体型をしているな、こいつ。

「ちょっと、無視する訳?」

男「はぁ……なんで幼馴染みがこんな所に居るんだよ」

認めたくはないが、黒髪ツインテールの貧相な身体をした強気な女はまさしく俺の幼馴染みだ。

幼馴染み「元々部員だからよ、あんた、私の後輩だったのね」

副部長「2人は知り合いなのー?」

幼馴染み「幼馴染みよ」

不良「マジで?」

男「幼馴染みと言うよりは親の友達の娘ですね」

会長「その場合は、大体が幼馴染みだな」

ロリ「幼馴染みが男と昔馴染みの仲だとは意外だにょ〜」

「ははは、うんうん、とても面白い関係性じゃないか、それでね、まだ紹介をしていない人間が2人も居るんだよ?良いのかい?大事な部員の1人を無視しても」

「……」
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/08(土) 23:59:56.77 ID:RDwiTPe/o
波乱の予感
70 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/04/11(火) 19:38:58.78 ID:/RVd8vklO
男「そうそう、俺は幼馴染みよりも2人が気になりますね」

幼馴染み「最低っ!」

「良かった、話の解る子だ」

「……」

作詞「私は作詞、3年生、歌詞は私が担当しているよ」

部長「楽器はギターな」

作詞「分からないことがあったら聞いておくれよ、男君」

この人、俺の事を知っているのか?

作詞「副部長とロリから話は聞いているよ、とても面白い子が入ってきた、と」

副部長「作詞先輩はとっても変な人だけど、とっても優しい人だよ!」

作詞「うん?優しい人には概ね同意だけど、変な人には同意しかねるね」

特徴的な言葉回し、そしてろくろ回しなるほど変な人だ。

作詞「今、変な人だと思っただろう?全てお見通しだからね?」

不良「変な奴」

作詞「今私の事を変な奴と言ったパンクちゃん、そこまで言う事はないだろう、多少のズレは認めるが根本的に私達は同じ人間であり、ましてや……」

作曲「私は作曲……3年生、楽器は演奏しない」

ぶった切ったーー!!

作詞「同じ部活動に所属する仲間を変な人間と罵るのは人間性に大きな疑問を抱かざるを得ない、外見で人を判断するのは好まないが咄嗟にあのような」

続けるのかよ!
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/12(水) 13:46:14.50 ID:BVoDyko7o
集中力が高いのはいいことだ
おつ
72 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/04/16(日) 01:15:56.78 ID:gfj1ho7bO
ロリ「作曲ちゃんはパソコンを使って作曲するにょ」

副会長「作曲先輩が作る曲には驚きばかりです」

作詞「言葉を吐いてしまうのは、君自身の人間形成がよろしく無かったという証拠であり、こうして君の外見にも現れてしまっているのではないか」

俺達が最後に演奏した曲、あれは作曲先輩と作詞先輩が作った物だったのか。

作曲「皆の個性が強いから……作りやすい」

不良「分かったから、私が悪かったって」

不良もこれにはたまらず謝罪をする。
敵に回してはいけない人を敵に回してしまった感覚だろう、凄い嫌な顔をしている。

作詞「うん、良いだろう、君の謝罪を受け取ろう。言葉の使い方、目上に対する礼儀、まだまだ君には課題が山積みではある、でもどうしてだろうか、君は自由天文部の中で一番の常識を兼ね備えた人間な気が……」

先輩、大正解です。
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 02:53:15.00 ID:pxffE0Jto
常識を疑え!
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 19:31:54.63 ID:Jny7LVyTo
続々と新キャラがでますな
おつおつ
75 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/04/23(日) 00:41:52.58 ID:G7iCqc3hO
不良「私が常識人?んな訳……」

ございます。ただ服装と言動が派手なだけ。

作詞「いや、いい。私の勘違いだったらそれでいいんだ」フッ

作詞先輩は緩やかな笑顔を不良に向けるが、同情の色が強い。

幽霊部員「ちゃんちゃかちゃかちゃか、きゅるりきゅらきゅら、たかたんたかたん♪」

幽霊部員先輩は独り言のような歌を歌い始めてから止まる様子が無い、ずっとあんな感じなのだろうか。

幼馴染み「相変わらずね、あんた達とは、ほんっとに!馬が合わないわ」

男「なに?お前友達いないの?」

幼馴染み「そんな訳無いでしょ!バカッ!」

幼馴染みは声を大にして否定する。
何もそこまでムキにならなくたって良いだろう。

ロリ「男も失礼な……私は幼馴染みちゃんとは凄い仲がいいにょ!」

幼馴染み「そうよそうよ!」

作曲「私も……」

幼馴染み「少しは見直したかしら!?」

作詞「ははっ、男君、失礼な事を言ってはいけないよ。幼馴染みはとても話のわかる子さ」

幼馴染み「そっ、そうよっ!」

幽霊部員「僕と幼馴染みは親友っすよ〜ぽぽんぽんぽん〜♪」

幼馴染み「あんたは黙りなさい!」

男「極めつけのサイコさん達しか居ねぇ!!!」
76 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/04/26(水) 18:35:06.38 ID:aPb2PHVKO
ロリ「サイコじゃないにょ!」

部長「い――ぶべらっ!」

「い」だけは聞き取れた、それだけで部長は殴り飛ばされてしまった。

どうせ碌でもない事を言おうとしたのだろうと、予想が出来た。

作曲「……サイコ?」

作詞「ははは、男君は酷い事を言う。私達を一体全体何だと思っているのかな?」

幽霊部員「私は否定しないっすよ」

幼馴染み「否定しなさいよ!!」

幼馴染みは昔から変な奴、もとい、普通の人とは少し違う人間に好かれやすい。

変人は嫌だ嫌だと言いつつも相手にしてしまう辺り、お人好しなのだろう。
77 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/04/26(水) 22:59:04.38 ID:aPb2PHVKO
副部長「じゃあ今日はもう解散だねー!」

幽霊部員「え?もうっすか?せっかく僕が来たのに?」

副会長「流石にこれからはしっかりと練習しましょう」

部長「ん〜〜〜そうだな」

男「……」

副部長と部長からは全くやる気が感じられない、相変わらず適当な事をやっているのか。

ロリ「じゃあ私も行くにょ〜」

不良「なんだこいつら……」

不良も呆れている。

作詞「あれでも予選には参加できるなんて驚くよ」

作詞先輩も割って入る。
この部活に4人も幽霊部員が居る理由がわかった気がする。

会長「私は先生の所に」

幼馴染み「あっ!良い事を思いついたわ!」

男「やだ」
78 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/04/27(木) 18:08:38.70 ID:Sd4LrEHjO
ロリ「……」チラッ

幼馴染み「最後まで聞きなさいよ!!」

男「絶対にやだね!」

ロリ(幼馴染み達が居たら会長のバンドは安泰……)





先輩『良い感じじゃん』

ロリ「うん……でも……先輩の夢は叶えられないかも」

先輩「あはは、難しいか〜」

ロリ「会長が居るから大丈夫……だと思う」

先輩「男って奴も良いじゃん」

ロリ「かな?」

先輩「一番良いよ」

ロリ「???」

先輩「カタログスペックじゃあ決められないっての」




部長「おーい!置いてくぞー!」

ロリ「っ!」ハッ

ロリ「今行くにょー!」
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/28(金) 04:55:05.47 ID:F6wfeGIao
見事に変人しかいねぇ!
おつ
80 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/04/29(土) 01:56:08.73 ID:XfifjcXhO
男「それなりに大規模なんだな」

ワアアアアァァ

6月1日、ライジングロック予選。
地域の選考に選ばれた高校生バンドがこの場に集まっている。

幼馴染み「近い内に男達も出れるわよ」

幼馴染み「あんな部屋持ってたら、ね?」ニヤニヤ

男「頼むからもう来ないでくれ……」

前回のライブ以来、幽霊部員4人まで俺の家に上がり込むようになってしまった。

作曲「今日も……機材……使って……良い?」

常に自由天文部員が入り浸る状況になってしまい、休まる時が無い俺は、家で横になっていたくて仕方がなかった。
早く帰してくれ。
81 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/04/29(土) 01:57:58.62 ID:XfifjcXhO


不良「あいつら、大丈夫なのか?」

会長「心配が最初に来てしまうな」

作詞「ほら、そんな事を言ったって意味が無いだろう?部長達の出番だ」

まばらな歓声と共に部長のバンドがステージに登場するする。

ワアアァ

不良「頑張れー!」

男「しっかり応援すんのな」

不良「しっかり……」

不良「こっちがやれる事をやらないでいたら後味悪いだろ?」

邪険にされたとしても、か。
こいつ、こういう所は本当に素直だな。

会長「その通りだな……がんばれ!」

男「会長まで……」

男「はぁ……」

男「がんっ……☆」
82 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/04/29(土) 01:59:22.26 ID:XfifjcXhO
会長「……」

不良「あれ?すごい可愛い声が聞こえたような」

男「がんばれー!!」

やべ、素で間違えた。

作曲「がっ……がんばれー!!!!」

幼馴染み「普段大声を出さない作曲まで……」

幼馴染み「……」

幼馴染み「落ちたら承知しないわよーー!!」

作詞「ふふっ……皆して必死になってるね……」

作詞「全力だ!!!全力で走り抜け!!!」

男「……」

なんだかんだで全員が応援をするハメになってしまった。
こんな応援の仕方で良いのかな、俺には分からないや。

俺としてはロリ先輩達に声さえ届けば良いと思っているが、果たして届いているのかどうか。



83 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/04/29(土) 02:00:57.38 ID:XfifjcXhO







ロリ「……」

本当に良い部員……後輩を持った。

本当は諦めてたけど、これじゃあ……

ロリ「諦め切れないよ……」ボソッ

副部長「わぁ」

副部長「すごいねー!人がたっくさん!!」ドキドキドキドキドキ

副会長「落ち着いてください、副部長」ドキドキドキドキドキドキ

部長「いつ来ても慣れない通らない」

部長「けど、歌うしかねーよな」
 
副部長「……」コクリッ

ロリ「皆、今日は通過点に過ぎねーにょ」

ロリ「絶対に本選へ選ばれる演奏をするにょ!!」

副部長・副会長・部長・幽霊部員「うん!」「はい!」「おうっ!」「おっす!」

部長「皆、こんな俺に着いて来てくれてありがとな、持てる限りを発揮しよう」

ロリ「がんばるにょ!」

副部長「負けられないよ!」

副会長「これで、廃部かどうか……決まる」

幽霊部員「なんとかならないもんすかね……」

ロリ「……」

ここまで奮い立たせてどうなるか……部長も役目を果たしてくれたけど……

「自由天文部さーん!!お願いしまーす!」

部長の独唱から始まると、後から合わせるようにドラム、キーボード、ギター……“私”の音が重なって行く。



――最後の足掻きが始まった。
84 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/04/29(土) 02:20:04.59 ID:XfifjcXhO






うちの学校の地区から今年のライジングロック本選に選ばれたバンドは10組。

今年の予選は様々な会場を使い、300組を1日で演奏させる。

その様子は動画投稿サイトにも配信され、視聴者にも投票権が与えられていた。

さらに凄いのは本選。

今年の本選は全部の地区を合わせて50組らしい。

その盛り上がりは予選の比では無く、投票も来場者限定と聞いた。

50組中の30組にはレコード会社がスカウトに来る程の待遇まで付いている。

そして、結論。

結論を言うと。

自由天文部の廃部は、ほぼ確実な物になった。

自由天文部は本選に勝ち進む10組の中にすら選ばれなかった。

どうにかしない限りは廃部だ。
85 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/04/29(土) 02:21:27.10 ID:XfifjcXhO
今回の分はここまでです。
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/02(火) 07:55:13.86 ID:+rfEtIxdo
やる気の無い奴を立てなきゃいけないのは納得いかないよなぁ
もうこの部は潰して別で活動しよう
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/07(日) 07:13:39.33 ID:lgZa6Xzwo
現実は非常やね
おつおつ
88 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/05/12(金) 00:48:06.63 ID:n0De40w5O
男「……」

自由天文部室には明らかに活気が無かった。部長と副部長も意外と気は使ったいたのか、盛り上げてくれていたのか……今となっては分からないな。

幽霊部員「部長と副部長とロリちゃんは部活に来なくなったっすね〜」

作詞「怠け者の末路としては妥当だね」

作曲「……」

幼馴染「当然よ、あんな奴等居なくなっても」

男「あのさ、あんたらがそこまで言う必要は無いだろ」

幼馴染み「あんたに何が……!」

男「今を変える努力をせずに、幽霊部員になって不貞腐れてた奴等には言われたくないんだよ!!」

会長「男、話を聞く所によると前からおかしかったんだ。そこまで言うな」

不良「はぁ……」

男「……」

そう、聞く所によると自由天文部は数年前から目立ちたいだけの人間が集まっていたらしい。

練習を重ねずに、まともに活動をしない人間ばかりだった。

そして、会長から聞いた新事実もある。

ロリ先輩は“去年も3年生”だった。
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/17(水) 20:41:11.25 ID:qFRkhTWoo
17年位3年生として君臨してそう
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/21(日) 01:32:33.55 ID:eJdTWWHho
つまり合法ロリか
おつおつ
91 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/05/30(火) 00:26:38.25 ID:jh3CXQcQO
ガララ

ピシャッ

副会長「……」

何とも言い難いタイミングで副会長のお出ましだ。

話を聞いていたのかも知れないが、彼女の表情を読み取る事は出来なかった。

何を考えているのか、どうしたいのか。

そもそもの話、どこにでもある軽音楽部が規模の大きなフェスで入賞するなんて最初から無理だったんだ。

そうだろう?副会長。

副会長「部長は引退するそうです。副部長は……っ」

副会長「……私が連れ戻します」

言い淀んだ、と言う事は副部長はもう辞めるんだろうな。
部長も副部長もロリ先輩もそこまで気負わなくたって良いだろう、ただの部活なんだから、プロじゃあるまいし。
92 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/05/31(水) 23:24:13.06 ID:KQ0NYUVFO
幽霊部員「戻ってきてくれると嬉しいっすね」

副会長「……うん」

副会長「幽霊部員や先輩方はどうしてまたこの部活に……?」

うん、これは俺も一部員として気になっていた事だ。

彼女質がこの部活に来なくなった理由もはっきりと分かる気がするからだ。

また、一度離れた人間が二度離れないとは限らないからだ。音楽性の違いも有り得る、どちらにせよ理由さえ分かれば接し方も変わってくる。

一緒にいる時間が増えたとしたも、幼馴染み以外はどうにも知り得る事が出来ないでいた。鈍感?違う、個性が強いあの人達が悪いのさ。

幽霊部員「僕は単純に面白いバンドが作れそうだと思ったからっす」

幼馴染み「私は会長達がしっかりと活動していたからよ」

作詞「右に同じく、だね。それと会長だ」

作曲「すごい曲が………作れそうだから……」

幽霊部員、作詞、作曲の先輩方は会長の才能に魅せられたのか、自分本位だった。

幼馴染みは……昔から責任感の高い奴だ、そうだろうとは思っていた。

副会長「そう……ですか」

会長「副会長、その質問は余計だ」

副会長「……」

すっかりと会長がまとめ役になってしまったな、収まるべき所に収まったと言うべきか。

会長「三学期が終わるまでは軽音楽部として活動することが出来る」

会長「新たにバンドを作るのはどうだろう?」
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/03(土) 06:40:32.20 ID:+MzlTUsso
青春は短いんだ部長たちの事は折り合いつけて先に進んだ方がいい
(ストーリー的にも)
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/12(月) 02:11:15.38 ID:RJ1+1C1ao
主人公たちだけ笑顔になる魔法
部長たちに笑顔は訪れない
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/14(水) 01:44:18.34 ID:aJM8HkkXo
また笑顔になればいい
おつおつ
96 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/06/21(水) 04:31:16.54 ID:wLMlW9QXO
会長「バンドを組みたい者同士で集まってくれ」

男「ん?」

どこかがおかしい。

作詞「ふふっ」クスクス

作詞先輩も微妙な違和感に気付いているかのように見える。

男「あ」

肝心な事に気付いていなかった、言った本人が気付かなければ仕方の無い問題だ。
97 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/06/21(水) 04:31:57.40 ID:wLMlW9QXO
男「会長、それだと……」
幽霊部員「ピルピルピル〜テテテンッ!!」トテトテ

会長「む?どうした?どうして全員が私の周りに」

幽霊部員「そりゃあそうっすよ!今この部活に居るボーカルって会長だけっすからっ!!」ギュッ

会長「抱きつくな、重い」

幽霊部員「私、重いっすか?」

作詞「ははは、幽霊部員は胸に無駄な脂肪が多いからね?」

副会長「作詞先輩、男君が居る中でその発言は不適切かと」

作詞「少し毒づいたって良いだろう?私と幽霊部員ちゃんはとても仲良しなんだ、それに……」

幽霊部員「天才ボーカルは渡さないっすよ〜」ギュッ

作詞「あの子には何を言っても無駄さ」

副会長「……ですね」ハァ
98 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/06/21(水) 04:33:34.38 ID:wLMlW9QXO
会長「離れてくれると助かる、嘘ではない」

幽霊部員の豊かな胸がこれでもかと会長に押し付けられる。

それにしてもあそこまで不機嫌な会長は珍しい、胸か?胸なのか?いや、胸だな。

会長と作詞先輩の恵まれない身体について今更言及するのもおかしな話だろう、とにかくあの二人は……

副会長「それでは全員でバンドを組むのは如何でしょうか?私はサポートに回ります」

副会長は人差し指を立てながら提案をする。それなら上手くまとまりそうだな。

作詞「私も久しぶりに弾いて良いかな?」

男「ん?」

作詞「同じギターの後輩が1人増えたからね、最上級生として後輩には何かしてあげたいと思うのが普通だろう」

会長「男、良かったな」

男「その気持ちは嬉しいけど……作詞先輩って今までサボってたんですよね?」

作詞「私は今でもこの部活で1番ギターが上手い、大船に乗ったつもりでいておくれよ」

男「1番……」

作詞「ふふふっ、信頼出来なくとも無理は無い。ぽっと出のサボり魔が偉そうに垂れる講釈を……」
幼馴染み「それじゃあバンドの構成はそれなりに大所帯になるわね」

作詞「……」

ナイス幼馴染み。
99 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/06/21(水) 04:34:13.52 ID:wLMlW9QXO
幼馴染み「ボーカルは会長、ベースが私、ギターが男と作詞、キーボードが幽霊部員、ドラムが不良……ちゃん」

幼馴染み「あとは作詞と作曲の二人が曲の制作、サポートに副会長。どうかしら?」

不良「まとまりゃいいーな」

不良が悪態をつく、楽器だけでも6人でバンドを組もうとしている、俺だって不良の気持ちは分かる。

会長「あくまでも臨時だ、自分から望んでいるとは言え、副会長にサポートばかりやらせるのも悪い」

副会長「気にしないでください、私が望んでいる事です」

会長「しかし……」 

副会長「私が望んだ事です」

作詞「副会長本人もそう言ってるじゃないか、まずは次に進むべきだね」

会長「……」

幽霊部員「流石は3年生っすね〜」

作詞「ははは、まともな3年生が私ぐらいしか居ない今、誰がまとめるというのさ?」ドヤァ

作曲「会長……」

幼馴染み「同じ3年生が言うのなら間違いないわね」

作詞「……」
100 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/06/21(水) 04:34:47.84 ID:wLMlW9QXO
男「じゃあ、とりあえずは練習しませんか?」

作詞先輩のリズムに付き合っていたらいつまで経っても練習は始まらない、丁度俺も作詞先輩の1番宣言は本気かどうかも気になっていたからな。

不良「あ、私も言おうと思ってた」

会長「うん、始めよう」

作詞「真面目だね、いい事だ」

幼馴染み「しっかりと練習するのね」

幽霊部員「このメンバーだとどんな音になるんすかね〜」

作詞「それじゃあ私は彼と一緒に弾こうかな」ルンルン

男「お手柔らかにお願いします」

作詞「ギターにね、お手柔らかなんて無いんだよ、まぁ……こればかりは口で言っても仕方ない」

作詞「弾いてごらん」

男「……」

まさかここに来て真面目な発言が飛び出てくるとは夢にも思わなかった。
101 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2017/06/21(水) 04:35:30.05 ID:wLMlW9QXO
ギュィ-ン

いつものように一番慣れ親しんだ曲を弾いてみる。初心者の下手糞と罵られても構わない、全力だ。

作詞「……」

他の部員も練習に励んでいるな、幼馴染みがどれ程演奏出来るかも気になるなぁ。

作詞「ふーん」

ジャジャンッ

これが俺の全力だ、全力かつ最善。

男「どう……ですか?」

作詞「そうだね、君のギターは棒読みの大根役者だ」

作詞「全てが楽譜通りなのは決して悪い事では無い、アドリブを効かせろとは言わない……けどね、無いんだよね、君が弾くギターの音色が、リズムが、トーンが」

男「っ……」

棒読み……アイドル時代、ドラマに出た時は何度もそれで叩かれた事を思い出すな。

あぁ……ロリ先輩に歌を聞いてもらった時にも近いな、俺にはセンスが無いのか?
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