桐生一馬「Re:ゼロから始める異世界生活」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/14(火) 12:26:58.44 ID:q/VBY6jjo
>>132
尾田「昼間から酒の臭いを漂わせているような奴は信用されない。」
134 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/18(土) 19:14:39.28 ID:m/vMHFKm0
【次の日】

桐生はメイド二人、エミリアとともに仕事着を選んでいた

桐生(仕事の服を着たのは良いが…)ググッ

桐生「きつ過ぎる…!」ミチミチ

エミリア「他にないのかしら?」

ラム「それが一番大きめのサイズです」

レム「おかしいですね…身長180越えのサイズなのに」

ラム「肩幅と胸板が無駄に広いからじゃないかしら?」

桐生「う、動き辛いぜ」

ブチン、ブチン

桐生「……」

仕事着のボタンが幾つか弾けて、薄っすらと上半身が露わになる

ラム「あなたって本当に脱ぎたがりなのね。そんなに筋肉自慢したいの?」

桐生「いや、そういう訳じゃ…」

レム「仕方ありませんね。少々、見苦しいかもしれませんが」

レム「カズマさんの私服は幸いにも背広です。そのままの格好で仕事をしてもらいましょう」

レム「もっとも、背広が灰色にシャツが赤色と珍奇な色合いですが」

桐生「俺の背広にケチをつけないでほしい。気に入っているんだ」

桐生「大体、俺の地元じゃ似たような格好した奴らがゴロゴロいる」

ラム「ブツブツ言っていないで、ついてきなさい。館内の案内をするわ」
135 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/18(土) 19:16:24.85 ID:m/vMHFKm0
館の案内を終え、掃除や選択、料理といった仕事に取り掛かる

【調理室】

桐生「……」シャリシャリ

包丁でジャガイモの皮を剥いていく

ラム「あら、意外と器用なのね」

桐生「料理は毎日やってたからな」

ラム「ふーん。見かけによらず」

桐生「……」

レム「……」ギロッ

桐生(ん?)

レム「……」プイッ

桐生「……」

〜〜〜

ラム「さあ次は庭の手入れよ」

桐生「くっ…なかなか難しい」

桐生(冴島ならこういうの得意なんだろうな…)

ラム「流石に庭の手入れには苦戦しているようね」

桐生「……なあ、余計な事を言うかも知れないが。お前、適当にやってないか?」

ラム「適当じゃないわ。私は精一杯、一生懸命にやっているわ」

桐生(いや嘘だな。コイツ、意図的に手を抜いている)

ラム「それにレムという優秀な妹がいるおかげで、手入れは問題ないわ」

桐生「もう少し頑張ったらどうだ」

ラム「先輩に文句言ってる暇があるなら、少しでも技術を磨きなさい」

桐生「はぁぁ…まあ立場上、先輩ではあるが」

レム「……」ジッ

桐生「ん?」

レム「……」ギロッ
136 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/18(土) 19:16:56.61 ID:m/vMHFKm0
桐生「おい、さっきからジロジロと何だ?」

レム「」ビクッ

桐生はさり気に聞いたつもりだが、その身長差からか、レムには妙に威圧的に伝わってしまう

ラム「こらバルス。レムは別に貴方に喧嘩を売っている訳では無いわ…ね?レム」

レム「え、ええ…その、ちょっと」

レム「えと…」

桐生「……」

ラム「……レムは貴方の髪型が気になったのよ。少し髪の量が多くて、ね?」

レム「はい。少々もっさりした感じがしました」

桐生「……そう言われてみれば、最近髪を切っていなかったな」

ラム「今度、切ってあげたら?レムがその気であればの話だけど」

桐生「いや、そういうわけには」

レム「良いですよ。今度カズマさんの髪を切ってあげます」

桐生「そうか。すまないな」

レム「……」ギロッ
137 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/18(土) 19:18:31.71 ID:m/vMHFKm0
ラム「次はこの部屋を掃除しなさい」

桐生「わかった」

桐生「……」フキフキ

桐生は丁寧に雑巾で窓やら机を拭いていく

ラム「……」

ラム「つまらないわ」

桐生「え?」

ラム「料理も洗濯も掃除も…全てにおいて、新人とは思えない位、そつなくこなし過ぎているわ」

桐生「そんな事はない。備品の場所や、館内の部屋を完全に把握していない。庭の手入れも全然だ」

ラム「バルスは何を聞いていたの?つまらないと言ったのよ…あまりに仕事が出来すぎて」

ラム「これじゃいじりがい無いじゃない」

桐生「フン、仕事に慣れない新人をいびろうとでも思ってたのか?」

ラム「……何か面白いことをしなさい」

桐生「え?」

ラム「なにか面白いことよ…そうね、一発芸でも良いわ」

桐生「おいおい、いきなりそんな事言われてもな」

レム「姉さま、いまは掃除中なので」

レム「ロズワール様の夕食時に余興として、やってもらうのはどうでしょう?」

ラム「それは良い提案ねレム。バルスは今日の夕食時に、ロズワール様に一発芸を披露しなさい」

桐生「…………」

ラム「バルス、返事は?」

桐生「はぁぁ…分かった」
138 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/18(土) 19:19:45.85 ID:m/vMHFKm0
【大浴場】

桐生「ふぅぅ…いい湯だ」

ロズワール「一緒に入ってもい〜かなぁ〜あ?」

桐生「ロズワール…ここはアンタの館だ。俺がどうこう言う資格は無い」

ロズワール「では失礼」

桐生「……」

ロズワール「しっかぁ〜しキミは、本当に寡黙だね」

桐生「そうか」

ロズワール「ラムやレムとは上手くやっているか〜なぁ?」

桐生「二人からは色んなことを教わっている。感謝もしている」

桐生「ラムとは気兼ねなく話せるが…レムがどうも、まだ俺を妙な目線で見ている気がする」

ロズワール「まあキミは、ここに来たばかりだ〜し?仕方ないね」

桐生「……姉のラムはどこか仕事に手を抜いている。上手く立ち回ってはいるが」

ロズワール「なぁ〜に、足りない部分はレムが補う。姉妹なんだから助け合わなくちゃ。そういう意味ではあの二人は実によくやっている」

桐生「……」

ロズワール「それよりも、キミの傷跡はキレイに消えたようだね〜え」

桐生「ああ、エミリアが癒してくれたようだ」

ロズワール「いんやぁ?その傷跡を消してくれたのはベアトリスだと思うけどねぇ〜え?」

桐生「え?」

ロズワール「応急処置はエミリア様がしてくれて、最後の仕上げはベアトリスが癒してくれたんだと思うよ」

ロズワール「かなりひど〜い傷だと聞いていたしねぇ〜え。傷跡を根本的に消すなんて、ベアトリスかあの精霊くらいしかいないと思うんだぁ〜よ」

桐生「そうか。後で礼を言わないとな…ウザがられそうだが」

ロズワール「まあ何にせよ、元気が出てきたようで何よりだ〜よぉ」

ロズワール「眼に光りも出てきたしねぇ」


139 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/18(土) 19:20:45.20 ID:m/vMHFKm0
ロズワール「それにしてもぉ〜?凄い筋肉だねぇ」

桐生「あんたも痩せてる印象が強かったが、割と筋肉質なんだな」

ロズワール「ところで、その背中の彫り物は?」

桐生「ああ、これは俺の故郷では入れ墨という。見てのとおり龍だ」

ロズワール「……龍?」

桐生「ああ」

ロズワール「これがぁ?」

桐生「そういえばこの世界…いやこの国の龍は西洋系のイメージが強いんだったな」

桐生「俺の故郷ではこういう形の龍が、伝説上として伝えられている」

ロズワール「ふーん。不思議なもんだ〜ねぇ」

ロズワール「で、キミは龍が好きなのかい?」

桐生「ああ。好きだな」

ロズワール「…………………」

桐生「どうした?」

ロズワール「いや、なんでも」
140 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/18(土) 19:22:11.89 ID:m/vMHFKm0
【夕食の時間にて】

ロズワールとエミリアが食卓の前に座ると、二人に食事を差し出す
メイドの姉妹と桐生は、ロズワールの横に立つ

ロズワール「ベアトリスがいないのは残念だ〜ねぇ、でも今日も実にいい味だね」

ラム「ありがとうございますロズワール様」

レム「恐悦至極に存じますロズワール様」

桐生(……ほとんどの仕事はレムが頑張っていた気がするが)

桐生(さて、この後はラムに言われたとおり一発芸を披露しないとな)

ラム「ロズワール様、実はこのあと新入りが一発芸を披露してくれます」

ロズワール「ほう、そぉ〜れ実に楽しみだぁ〜ね」

ラム「さあバルス。この場にいる全員を楽しませなさい」

桐生(何をすれば良いんだ。ゆるキャラのモノマネなんてこの世界でやっても通用しないしな。困った)

桐生「……」

ラム「ちょっとバルス。まさか何も考えてこなかったんじゃ」ボソッ

桐生「いや、その…考えてはいたんだが」フイッ

エミリア「……」

エミリア「あ、そういえば!カズマって歌すごく上手だったよね!」

桐生「え?」

ラム「それは初耳ねレム」

レム「それは興味深いです姉さま」

ロズワール「ではカズマくん。さっそく得意の歌をワ〜タシに聞かせておくれ」

エミリアは桐生にウインクを送ると、桐生は黙って頷く

桐生(やれやれ、エミリアに救われたぜ。一発芸とは少し違うが結果オーライだ)
141 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/18(土) 19:23:36.88 ID:m/vMHFKm0
桐生「よし…じゃあそうだな。俺の故郷の歌を」

桐生「これは俺が二十歳の頃に幼馴染とさんざん歌った曲だ」

桐生「曲名は『JUDGEMENT』」

そういうと桐生はスマホを取りだす

桐生(予備バッテリーに差し込めば…まだいけるよな)ガチャッ

そしてスマホから音楽が流れる

ラム・レム「!?」

ロズワール「これは…」

エミリア「なにこれ!?音楽が流れてる不思議…」

エミリア「もしかしてこれってミーティアかしら」

桐生「ミーティア?」

エミリア「魔法が扱えない人でも、魔法を起こす事ができる道具の事よ…しらないの?」

桐生「しらなかったが…まあある意味、これは魔法の道具みたいなもんだ」

桐生「さあいくぜ。合いの手を頼む」

〜〜〜

パチパチパチ!

エミリア「やっぱりカズマは上手いわ!」

ロズワール「すぅ〜ばらしいじゃぁないか!もう一曲お願いしてもいいかなぁ?」

桐生「仕方ねぇな。今度は控えめな曲でいこう」

桐生「聞いてくれ。『神室雪月花』だ」

その後もアンコールは続き、桐生はあらゆる曲を30分ほど歌わされた
142 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/18(土) 19:25:22.32 ID:m/vMHFKm0
【夜・寝室】

一日の仕事を終えた後、ラムの勧めで桐生は読み書きの勉強をしていた

桐生「すまないな、夜遅くまで付き合ってもらって」

ラム「いいえ。貴方が読み書きできないのは見ていて分かったから」

ラム「むしろ、早く読み書きが出来て貰わないと、レムの苦労が増えて、さらに私がラクできないじゃない」

桐生「フン。お前はビックリするほど正直なんだな」

ラム「それも私の美点よ」

桐生「……」カキカキ

桐生「ん?」

ラムから渡された、教材代わりの童話を読んでいて桐生はあることに気付く

桐生「この国はやたらと龍との接点が多いんだな」

ラム「まあ、国が親竜ルグニカ王国なんて呼ばれてる位だし」

桐生「俺の人生にはつくづく龍との接点が多い」

ラム「そういえばバルスが服脱いだときに、背中に彫り物があったけど…あれ何なの?」

桐生「あれは俺の故郷に伝わる龍の一種だ」

ラム「そうなの?変わった龍ね」

桐生「お前らからすればな…それよりもなぜ俺のあだ名がバルスなんだ?」

桐生(昔、錦と見たアニメの映画にそんな単語があったような気もするが…この国には映画なんてないしな)

ラム「なんとなくよ、気にしないで」

桐生「……」

ラム「それとも呼んで欲しいあだ名とかあるの?」

桐生「特にない」

ラム「なにかあだ名があれば考えるけど。昔はどんな風に呼ばれてたの?」

桐生「うーん…堂島の龍、四代目、桐生チャン、カズマくん、アニキ、おじさん…他に何があったかな」

ラム「ドージマノリューと四代目って言うのが色々気になるけど」

桐生「まあ、好きに呼んでくれ」

ラム「じゃあバルスで」

桐生「そのバルスってのにはこだわるんだな」
143 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/18(土) 19:26:37.73 ID:m/vMHFKm0
【数時間後】

ラム「zzz…」

ラム「ん?」

桐生「……」

寝ていたラムが眼を覚ますと、視界に桐生がうつる

ラム「……私をお姫様だっこなんかして、なんのつもり?」

桐生「お前が人のベットで寝てたから寝室へ送っていたところだ」

ラム「そう」

桐生「さあついたぞ」

そういって桐生はゆっくりとラムを下ろす
そして、ポンッとラムの頭に手を置く

ラム「!?」

桐生「今日はありがとう。おやすみ」

ラム「」

桐生「ん、どうした」

ラム「あ、えと…」フイッ

桐生「すまない。馴れ馴れしかったか?」

ラム「……いえ。すこし懐かしい気持ちになったわ」

ラム(ロズワール様とは違う意味で安心する感覚。亡き両親を思い出すわ)

桐生「懐かしい…そうか」

ラム「おやすみ。バルス」

桐生「ああ」

レム「……」

桐生「お、いたのかレム」

レム「……はい。おやすみなさいカズマさん」

桐生「ああ、おやすみ」ポンッ

レム「」ビクッ

レム(私にまで頭を…)

桐生「また明日な」

レム「はい」
144 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/18(土) 19:27:52.40 ID:m/vMHFKm0
【次の日・アーラム村】

子供達「キャッキャ!」

桐生「はははは」

ペトラ「えへへ。キリュウのおじさん、また遊びに来てね」ダキッ

桐生「ああ。また来るさ」

レム「……」

レム(とても優しい顔をしている。口調もいつもより穏やか)

桐生「じゃあなお前ら」

そういって桐生は、青い髪の女の子が抱きかかえている、子犬の頭をそっと撫でようとする

子犬「ウゥ〜…ガウッ!!」

ガブッ

桐生「……」

子供「あははは、嚙まれてやんの」

桐生「こらこら笑うな」

レム「大丈夫ですかカズマさん」

桐生「問題ない。放っておけば治るさ」

レム「……買い物も終わりましたので帰りましょう」

〜〜

レム「子供達に大人気でしたね」

桐生「ああ。とても懐かしい気持ちになった」

レム「懐かしい?」

桐生「家族の事を思い出してな」

レム「家族って…ああ、もしかしてあの絵に描かれた子供達?」

桐生「そうだ。前は孤児院で働いててな」

レム「孤児院…いまは辞めてしまったのですか?」

桐生「ああ。訳あってな…もう二度と戻れない」

レム「なにか悪いことでもしたんですか?」

桐生「……いや、そういう訳ではない」

桐生「とにかく俺がいなくならないと、仲間と家族に、被害が及ぶ可能性があった」

桐生「会いたいのは山々なんだがな」

レム「……」
145 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/18(土) 19:28:45.87 ID:m/vMHFKm0
【その晩・寝室】

エミリア「今日は私がカズマの勉強を見てあげるね」

桐生「忙しいのに悪いな」

エミリア「ううん。カズマは家族であり兄弟。これくらい当然なんだから」

桐生「……」カキカキ

エミリア「ふふふ」

桐生「どうした?」

エミリア「カズマ、すっかり元気になったわね」

桐生「そうみえるか?」

エミリア「ええ。やっと眼に光が戻った」

桐生「お前のおかげだエミリア。感謝している」

〜〜〜

エミリア「今日はこれ位にしておきましょう」

桐生「ああ、さすがに眠くなってきた」

桐生「うっ」クラッ

エミリア「どうしたの?」

桐生「いや何でもない」

〜〜〜

エミリアが退室したあと、桐生は就寝しようとベットに横になるが、息が徐々に荒くなっていった

桐生「ぜぇぜぇ…な、なんだ…熱か?」

桐生「日中は問題なかったはずだが…何なんだこれは…」

発汗と吐き気、そして全身の寒気が桐生を襲う
146 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/18(土) 19:29:20.66 ID:m/vMHFKm0
コンコン

桐生「……?」

ラム「入るわよ」ガチャッ

ラム「寝る前に挨拶に来たわ」

桐生「そうか…悪いな…」

ラム「ん?バルス…体調悪いのかしら」

桐生「あ、ああ…ついさっき、いきなり来てな」

ラム「……」

レム「姉さま?カズマさんの部屋で何を」

ラム「レム大変よ。バルスが体調悪そうなのよ」

レム「え、夕食の時まではあんなに元気だったのに」

桐生「ああ…何故かしらないが、急にな」

レム「ひとまず濡れたタオルをお持ちします」

桐生「あ、ああ…頼む…」

レムは小走りで廊下へと向かう。そして残ったラムは桐生を心配そうに見つめる

ラム「……」

ラム「本当はまた頭を撫でてもらおうと思ってきたの」

桐生「そうか…悪いなこんな状況で」
147 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/18(土) 19:30:29.44 ID:m/vMHFKm0
ラム「……」ギュッ

ラムはそっと桐生の、熱で汗ばんだ大きな手を握る

桐生「……」

ラム「気休めだけど、ちゃんと見守ってるから」

桐生「ありがとう」

レム「」

ラム「あらレム、もうタオルをもってきたのね」

レム「え?はい」

固まった表情をして立ち尽くしていたレムは、ラムに呼ばれ我に返る
そして桐生の側へ小走りして、そっと濡れたタオルを額に置く

桐生「ありがとう…ぐっ!ぅぅ…あぁ…」ガクガク

ラム「体調がどんどん悪化してるわね」

レム「……」

レム「気休めかもしれませんが、私も…」ギュッ

ラムとは反対側の位置に立ち、桐生のもう片方の手を握るレム

ラム「これは明日の仕事は休みね」

桐生「大丈夫だ…この程度で俺が…」ガクガク

ラム「そんなに体調が悪い状態で、館を歩き回られてもかえって迷惑よ」

桐生「……」

ラム「無事に寝ることが出来るまで一緒にいてあげるわ。バルス」

桐生「すまない」

〜〜

それから暫くして、桐生は苦しみながらも、二人に見守られながら眠りについた

桐生「zzz…ぅ…ぅぅ…」

ラム「まだ苦しそうだけど、眠りについたようねレム」

レム「はい姉さま」

ラム「私達も戻りましょう」

レム「はい」
148 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/18(土) 19:31:28.88 ID:m/vMHFKm0
【深夜・館の廊下にて】

レム「……」

レムは部屋に戻った振りをしていて、いまだにメイド服を着たまま館内を歩いていた

レム「……」

ただ先ほどと一つだけ違う点は、その手にモーニングスターという凶器を所持している事であった

ジャララ…ジャララ…

鎖の音が不気味に廊下に響く

レム(エミリア様だけでなく…あの姉様まで、カズマさんに気を許しかけている…)

レム(姉さまが…姉さまが…)プルプル

レムは全身を震わせている
そしてモーニングスターの取っ手をギリッと力強く握り締める

レム(姉様への問題だけじゃない。このままだとロズワール様やエミリア様にも被害が…)

レム「……」

レム(でも彼が。キリュウカズマが悪い男には見えない)

レム(見た目はともかく、彼は本当に真面目だし…優しさもある)

レム「……」ブンブン

レムは目を瞑りつつ頭を左右に振る

レム「情に流されてはダメ。あの男からは『魔女の残り香』がする。魔女教関係者なのは間違いない」
149 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/18(土) 19:32:07.50 ID:m/vMHFKm0
【桐生の寝室】

ガチャッ

レム「……」

桐生「うぅぅ…zzz…ぐっ…」ガクガク

レム「寝苦しそうですねカズマさん」

レム「でもご安心を。いまラクにしてあげますから」

ジャララ…ゴロッ

鎖とトゲのついた鉄球が転がる音が部屋に響く

レム「これ以上、あなたと関っていると情が移ってしまいます。だから悪く思わないで」

レム「噂だとずいぶん頑丈なようなので、一思いに、一気につぶして上げます…その頭を」

桐生「zzz…ぅぅ…」

レム「でやぁぁぁ!!!」ブンッ

ゴォォォン!!!

レムは力を込めて投げつける
そしてトゲのついた大きな鉄球は、桐生の顔面に直撃する

それと同時に桐生のベットも粉々になる

レム「……」
150 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/18(土) 19:33:49.92 ID:m/vMHFKm0
レム「さて、ミンチになったカズマさんの遺体はどうしましょう」

レム「燃やして山に埋めるのが一番でしょうか」

桐生「……」ムクッ

レム「!?」

レムが後処理について考えていると、血だらけとなった桐生が黙って立ち上がる

桐生「この館には随分と、過激なモーニングコールがあるんだな」

レム「ばかな…」

桐生「誰だ?この俺に闇討ちをしかけた輩は」

レム「……」ギリッ

桐生「な…おまえは…」

レム「この死に損ないが!!」ブンッ

桐生「……」ブンッ

ゴォン…ボォォォン!!!

飛んできたトゲのついた鉄球を、手の甲で力強く薙ぎ払う
その勢いで鉄球は壁にめり込む

レム「なっ!?」

桐生「レム、何故だ。何故俺を襲う」

レム「疑わしきは罰せよ。メイドとしての心得です」

桐生「ラムは闇討ちの件、知ってるのか?」

レム「姉さまに見られる前に終わらせます」

桐生「俺がそんなに怪しいか?」

レム「そんなに魔女の臭いを漂わせてよく言いますね」
151 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/18(土) 19:34:54.57 ID:m/vMHFKm0
桐生「……何を言っている。意味が分からない」

レム「姉さまがお前と親しげに話す姿を見ていた時…私は不安と怒りでどうにかなりそうでした」

レム「姉さまの振る舞いが『演技』とはいえ、姉さまが情に流されつつあるのは目に見えてわかった」

桐生「……」

レム「これ以上、この館では好きにさせない」

桐生「俺はお前を傷付けたくない」

桐生(あのエルザの時とは違う。コイツが気狂いには見えない)

レム「そうやって優しいフリして、エミリア様や姉さまを騙し続けてきたのですよね?これも作戦なんですよね!?」

桐生「レム…もう一度言う。俺はお前を傷つけたくない」

レム「一生言ってなさい!!」

ビュンッ…ズバッ!ズバッ!

桐生「ぐぅ!!」

レムは風の魔法を使う
鋭い刃物のような切れ味で、かまいたちは桐生の体を切り裂いていき、部屋中を血に染めていく

桐生「痛ぇ…」

レム「おかしい…おかしいおかしい」

レムは信じられないといった様子で、首を横に左右に振る

レム「手足が吹き飛ぶように攻撃したのに…!」

桐生「この俺をミンチにでもする気だったのか?だったら諦めるんだな」

桐生「うっ…」ガクッ

レム「でも、傷は深刻なようですね」

レム「そうじゃなくても熱で体が上手く動かないのに」

レム「諦めて死んだ方が身のためかと」
152 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/18(土) 19:35:56.88 ID:m/vMHFKm0
桐生「ぜぇぜぇ…」

桐生はダメージと熱で、全身がボロボロだった
しかし尚も倒れず、しっかりとレムを見つめる

桐生「俺は…死ぬ訳にはいかない」

桐生「例え保険が残ってたとしてもな」

レム「保険?」

桐生「エミリアと兄弟の盃を交わしたんだ…その約束を無にしたくない」

レム「何が兄弟…!」ギリッ

桐生「本当は殴りたくないが…悪く思うなよ」グッ

桐生は拳を構える

レム「死ね、魔女教の使者!!」

壁にめり込んでいた鉄球が引き戻され、再び桐生にめがけて飛んでくる

桐生「ぜぇぜぇ…悪く思うなよ」

 VSロズワール家使用人・レム
153 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/18(土) 19:36:38.19 ID:m/vMHFKm0
今日はここまで
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/18(土) 19:56:00.51 ID:qJHTW+hZo
え〜……見てるぞ。例のバラード歌ってる描写には笑った
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/18(土) 19:58:48.04 ID:jlfWsqXLo

いつも楽しみに待ってる
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/18(土) 20:21:07.97 ID:+JkPeLleO

これどうなってしまうの……
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/18(土) 20:36:19.22 ID:LcgeKSha0

呪いをかけられて衰弱してる上でのレム戦は辛いな
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/18(土) 22:38:33.01 ID:YwSnTLMIo
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/18(土) 23:32:33.20 ID:sJ62IPRT0
ふ、普通鉄球で頭潰れてるはずじゃないんですか(震え声)
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/19(日) 08:17:36.62 ID:aqr3syN20
毒仕込まれた刃物で腹刺されても大阪城の武装兵士皆殺しにして虎2匹倒したりしてるからへーきへーき(感覚麻痺)
161 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/25(土) 06:08:00.74 ID:ct/PtNbp0
投下します

今回投下分はバトルが8割
そして残り2割が、一足早い衝撃シーンの場面(リゼロ読んでる人は分かると思う)
162 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/25(土) 06:10:46.93 ID:ct/PtNbp0
桐生は飛んできた鉄球を、斜め後方にスウェーしながら避けきる

桐生「……」スッ

壁に激突した鉄球で、室内に広がる轟音
その音が鳴り止まないウチに、桐生は一気にレムの懐まで向かう

レム「っ!」

桐生「……」ガシッ

レム「くっ…」ズズッ

レムの肩を右手で掴み、そのまま壁まで強引に押していく
壁に張り付けられると、ドンッと低い音が響く

桐生「オンラァァ!!!」

ズドォォン!!
ミシミシ…ボォォン…!

桐生の左拳が、レムの右頬にかする
背後の壁は轟音とともに崩れ、大きな穴を開けていく

レム(人間がただの腕力だけで、こんな大きな穴を…!)ビクッ

チラッと背後を確認するレムは、思わず背筋に寒気がした

桐生「レム、分かってくれ。俺は間者ではない」

桐生「それに俺のどこが魔女なんだ。意味のわからない事を言わないで欲しい」

レム「とぼけるな!レムにはわかる…お前から漂う魔女の臭いが…!!」

ズドォォン!

桐生「ぐっ…!!」

小さな体から繰り出される一発のキックで、桐生は一気に部屋の反対側の壁まで吹き飛ばされる
再び粉々になったベッドの上で、起き上がるハメになる

桐生「な…なんだコレは…とても年頃の女の力とは思えないぜ…ゴハッ!」

ドバッと吐血し、足をガクガクさせながらも、どうにか膝をつかずにいる

レム「メイドから冥土への土産として教えておきます…レムは鬼です」
163 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/25(土) 06:11:25.47 ID:ct/PtNbp0
レム「でやぁぁ!!」

ゴォォン!

桐生「微妙にスキがあるぜ、その攻撃手段は」

鉄球を投げつけるが、桐生はサッと避け切る
そしてモーニングスターの鎖をグイッと、自分の方へと引っ張る

桐生「オラァ、コッチ来い!」グイッ

レム「うっ…!」

レムは武器の取っ手に、体ごと桐生のほうへと持っていかれる

桐生「フン!!」

ズドォン!

レム「ぐっ!」

桐生の拳がレムの腹部にめり込む
それと同時にガクッと膝を崩すレム

レム(な、なんて力を…!)

桐生「……っ」

苦悶の表情を浮かべながらも、ギロッと桐生をにらみつけるレム
だがレムの目に映った桐生は、非情に申し訳なさそうにコチラを見ていた

桐生「レム、やはりこんな闘いは止めにすべきだ。何も良い事なんてない」

桐生「俺は患者ではない。本当だ」
164 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/25(土) 06:12:58.08 ID:ct/PtNbp0
レム「だから…そんな演技は!」

ボゴォォン!!

レムのキックが桐生の腹部に炸裂する

桐生「ぐっ…」

レム「レムには!!通用しない!!!」

背後の壁が崩壊し、そのまま隣の部屋に飛ばされる

桐生「やめるんだレム。この闘いには何の意味も」

レム「黙れぇぇぇ!!!」

追撃をやめないレム
倒れている桐生の頭部をわしづかみし、そのまま床に叩きつける

桐生「ぐぅぅ…!」

更に馬乗りになり

レム「死ね!死ね!死ね!」

ズドォン!ズドォン!ズドォン!ズドォン!

桐生の顔面を左右の拳で何度も打ちのめす

レム「故郷の家族が恋しいだと…?馬鹿にするな」

レム「レムと姉さまへの当て付けか!?両親を返せ!!!」

ズドォン!ズドォン!ズドォン!ズドォン!
ミシミシ…ボォォン!!

床に大きなひび割れが生じ、やがてぶ厚い床を粉々に砕く
そのまま二人は下の階の部屋へと落ちていく
165 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/25(土) 06:14:11.56 ID:ct/PtNbp0
レム「ふぅふぅ…!」シュタッ

桐生「ぐぅぅ…」ドガッ

二人はバラけるように距離を置いて着地する

無事に着地したレムはしかさず追撃していく

桐生「この…いい加減、頭を冷やせ!」ガシッ

着地し損ねた桐生はすかさず、背後にあったダブルベッドを強引に持ち上げ

桐生「オンラァァ!!」

ボゴォォン!!!

レム「っ!?」

ダブルベッドをブレーンバスターし、そのままレムに叩きつける

桐生「……っ」ビクッ

良心が痛み体が震える
割れたベッドへと近寄り、腰を下ろし様子を見る

桐生(大丈夫か…?)

ビュン!ビュン!

桐生「うおぉぉ!?」

突如、破壊されたベッドの中から、かまいたちが飛んでくる
それに直撃した桐生は、体に切り傷を負いながら、後方へ吹き飛ばされる

レム「この魔法で何故、体がバラバラにならないのか…理解できませんが」

レム「体力は限界を超えているはずです。ましてそれだけ高熱だしていて、今も生きていられるのがおかしいくらいです」
166 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/25(土) 06:15:25.29 ID:ct/PtNbp0
桐生「ぜぇぜぇ…」

レム「……」ダダッ

棒立ちの桐生に、レムは全力疾走で立ち向かう
そして飛び跳ねたレムは、足をしっかり伸ばし

桐生「ぐぅぅ!!」

とび蹴りを仕掛ける

バリィィン!!

吹き飛んだ桐生の体は窓ガラスに直撃する
桐生の体は、粉々になった窓ガラスと共に、外の庭へと落下していく

だがレムの追撃は終わらない

レム「お前が異常なまでに頑丈なのは、この闘いを通して改めて理解した」

レム「ミンチになるまでレムは、追撃を止めない」ダダッ

落下してゆく桐生を追うように、レムも外へ飛び出していく

空中の状態でレムは、モーニングスターの鉄球を、桐生にめがけて投げ飛ばす

レム「死ねぇぇ!!!」
167 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/25(土) 06:17:14.59 ID:ct/PtNbp0
桐生「……いい加減しつこいぜ、お前」ガシッ

飛んできた鉄球を、片手で掴み、腹部で抑え込む
腹部と手の平がトゲで出血を起こすが、桐生にはこの程度では致命傷にはならない

桐生「悪く思うなよ」

空いてるもう片方の手で、ガシッと鎖を掴み引っ張る

レム「なっ!?」

桐生「オラァァ!!」ブンッ

ボゴォォン!

鎖を動かしてレムごと、地上へ叩きつける

レム「ぐっはぁぁ…!!」

レムが地上へ激しく叩きつけられた、ほんの数秒後に、桐生も無事に着地する

〜〜〜

桐生「ぜぇぜぇ、喧嘩は終わりだレム」

レム「終わり…ですって?」ムクッ

レム「生憎、打たれ強いのはレムも一緒なので」

桐生「ああ…驚きだ。凄すぎるぜ、お前」

桐生「このままだと、俺は本気で死んでしまう」

桐生「だから」

ミシミシ…ビキビキ…

突如、モーニングスターの鉄球が、鈍い音を立てる

ボゴォォン

その鉄球は、桐生の手の平の中で粉々に破壊されていく

桐生「こんな無粋な物を使うのは、もう止めろ」

レム「な…!?」

桐生「お前はさっき、自らを鬼と例えたな?」

桐生「なら俺は……龍だ。魔女なんかじゃねぇ」バッ

ボロボロになった血濡れの寝巻きを脱ぎ、その背中の龍を露わにする
血濡れの上着は無造作に地に落ちる
168 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/25(土) 06:18:45.39 ID:ct/PtNbp0
レム「お前と違って例えじゃない。レムは鬼だ…!」

ゴゴゴゴ…

桐生「なに!?」

突如、レムの頭部から光を帯びた一本の角が生える

桐生「角だと…」

そのままレムは桐生の方へと走っていく

桐生「本当に鬼だったのか…!」

レム「うあぁぁぁ!!!!」

猛ダッシュして、桐生の顔面に目掛けて、勢いよくパンチを仕掛ける

桐生「フン!!」

ズドォォン!!!

桐生の右拳と、レムの左拳が、交差するように激突する
その瞬間、小さな衝撃波が庭に、波紋の様に広がる

レム「うあぁぁ…うあぁぁぁぁぁ!!!!」

猛攻は止まらない
レムは目にも留まらぬ勢いで左右交互に、拳を桐生の全身に叩き込んでいく

桐生「ぐふ…!!」

桐生(さっきよりも段違いでパワーアップしてやがる…!)
169 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/25(土) 06:20:03.83 ID:ct/PtNbp0
桐生「なら…俺も力をあげないと。力負けしてしまう」

桐生「うおぉぉああ!!」ゴゴゴッ

桐生の全身が青白いオーラで包まれる
しかし熱で衰弱しているゆえか、いつもよりその光は弱々しい物だった

桐生「いまいち上手く調子がでないぜ…だが、負けられない」

レム「ああああ!!うあぁぁぁぁぁ!!!!」

桐生「いくぞ!オラオラオラ!オンラァァァァァ!!!」

ズドォン!!ズドォン!!ズドォン!!

レムと桐生のパンチは、腕が互いに交差するように、拳がぶつかり合う
何度も何度も、轟音を立てながら

ズドォン!!ズドォン!!ズドォン!!

あまりに激しい拳のぶつかり合いは、両者の拳から出血を起こすほどに至る
170 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/25(土) 06:21:44.01 ID:ct/PtNbp0
桐生(まずい…このままだと、俺の拳が破壊されてしまう)

レム「うああああああ!!!!」

桐生(レムの拳もまた壊れてしまう)

桐生「フン!!」ガシッ

レム「……!!」

桐生はギリギリのところで、自らの両手で、レムの両方の拳を抑える

桐生「このままだと互いに壊れてしまう。俺はともかく…お前にはまだ先がある」

桐生「もう充分だろ?俺はもうボロボロだ」

レム「離せぇぇ!!!」

桐生「ぐあ…!!」

両手を抑えられたレムは、桐生の腹部にキックをお見舞いする
そのまま後方へと飛ばされる

レム「はぁはぁ…!!」ギロッ

桐生「うっ…ぐぅぅ…」ガクッ

桐生(まずい…本当に死んでしまう…)スッ

防衛本能が動いたのか、寝巻きのズボンに差していた、ドスを取り出す

桐生「……っ」

だが桐生はドスの鞘を引き抜くのに戸惑ってしまう

桐生「……」
171 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/25(土) 06:23:08.69 ID:ct/PtNbp0
レム「うああああ!!!!」

桐生(力は人外そのものだが…こうやってみると本当に小さいし、顔つきもまだ幼い)

桐生(遥にもあんな小さな時代があった。いや遥だけじゃない…他の奴らだって)

桐生(俺にはやはり…あんな小さなガキを、年頃の女を…)

ラム「死ねぇぇぇ!!!」

桐生「……」カラン

桐生はその場でドスを落とす
そして観念したように目をつぶり、その怒りの攻撃を受ける覚悟を決める

エミリア「止めてぇぇぇ!!」

桐生「……?」

目の前にエミリアが立ち、桐生の守るように、氷のバリアを張る

レム「……!?どいて下さいエミリア様!!」

一瞬、情が動くもやはり暴走状態の鬼化レムは止まらない
せめてエミリアには当たらないよう、動きの軌道を変えようとする

ラム「止めなさいレム」

レム「……!!」

レムの動きは完全に止まる
172 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/25(土) 06:25:00.96 ID:ct/PtNbp0
レム「姉さま…これは、その」

ラム「もういい。分かったから」ギュッ

ラムはそっと妹を抱きしめる
すると、光を帯びた角は消えていく

ラム「止めなさい。こんな闘い…意味がないわ」

レム「……」

ラム「分かってくれたのね?さすが私の妹、良い子ね」ナデナデ

レム「姉さま…」

桐生「ぜぇぜぇ…」ガクッ

エミリア「大丈夫カズマ!?酷いキズ…全身が血まみれのボロボロじゃない…」

眼に涙を浮かべつつ、心配するエミリア

桐生「さすがに…こんなにボロボロになったのは随分、久しぶりだぜ」

桐生(ラウカーロンに拷問されたとき以来か?それとも広島や大阪でのカチコミか…真島の兄さんと闘った時か…いや、どう考えてもそれ以上だな)

桐生「悪いなエミリア…こんな真夜中に」
173 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/25(土) 06:27:20.02 ID:ct/PtNbp0
ロズワール「夜中に物凄い〜音が聞こえてきたから。なんだと思ったら…大喧嘩とはねぇ〜」

桐生「ロズ…ワール…」

ロズワール「い〜くら部屋がたぁ〜くさんあるからって〜?ちょっと暴れすぎじゃない二人とも?」

レム「申し訳ございません、ロズワール様…」

ロズワール「まあレムは悪気があって、こ〜んなに暴れた訳じゃないのはわかって〜いるからご安心を」

ロズワール「色々と聞いておきたいのは事実だけどぉ」

ロズワール「い〜まは一先ず、二人ともキズを癒しなさい」

桐生「……」

レム「……」

ベアトリス「まったく、館の一角がメチャクチャじゃない…キチガイかしら?」

桐生「ベアトリスも来てくれたのか、悪いな」

ベアトリス「フン!」

ベアトリス「……」

桐生「どうした?」

ベアトリス「はぁぁ。お前、呪いにかかってるわ」

桐生「なに?」

ベアトリス「本当はこんなこと教えたくもないけど。ここで死なれてもそれはそれで面倒だし」
174 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/25(土) 06:28:02.88 ID:ct/PtNbp0
エミリア「呪い…?」

桐生「まさか、この熱が呪いだと言うのか」

エミリア「え、カズマ体調悪いの!?」

桐生「ああ…勉強が終わった直後にな」

ベアトリス「まったく、ろくな人生送ってないわね」

エミリア「お願いベアトリス。パックは寝ちゃってるし、呪いを解いて!」

ベアトリス「はぁ〜本当に面倒な男」

桐生「すま…ない…」フラッ

桐生「」バタッ

エミリア「カズマ!?しっかりして!」

ベアトリス「退いてなさい。呪いを解くから。介抱はそれからよ」
175 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/25(土) 06:28:47.01 ID:ct/PtNbp0
【明け方にて】

桐生「……ん」パチッ

エミリア「zzz…」

桐生「……体に倦怠感がない。ベアトリスが呪いを解いてくれたんだな」

桐生「体中の痛みとキズもない。これはエミリアとベアトリスのおかげか」

エミリア「zzz」

桐生(まだ寝ているな)

桐生はベッドから起き上がり、イスの上で寝ているエミリアの横で、メモを書き始める

桐生「……」カキカキ

〜〜〜

桐生「俺のスーツは…あったあった」

桐生「あとは…ドスと…スマホと…」

桐生「この思い出の写真だな」

桐生「……」

ガチャ、バタンッ
176 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/25(土) 06:30:50.92 ID:ct/PtNbp0
パック「リア!大変だよ!」

エミリア「ん?」パチッ

エミリア「おはようパック…ちょっと寝すぎちゃったかな」

エミリア「あれ?カズマがいない…」

パック「コレ見て!」

エミリア「何コレ…置き手紙?」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

エミリアとパックへ

この国の文字を覚えたてで読みづらいかもしれないが、どうか読んでほしい

俺はこの館を出て行く
理由は言うまでもない。昨晩の事だ

この屋敷に来た時点でお前ら以外の全員が俺を疑っていた
状況が状況だけに仕方のない事だ。それでも匿ってくれたロズワールには感謝している

レムはなぜか俺を魔女同等の扱いしていた。まるで意味がわからない
だが彼女の尋常じゃなく殺気立った目には、過去に何かあったのだけは察する事ができた

この館にいる限り、彼女は何度でも俺に立ち向かうだろう

俺には昔、レムと同じ年頃の家族がいた。今では大きくなっている
そんな彼女を俺は、やはり本気で殴る気に慣れない

そしてこれ以上、お前らに迷惑をかける訳にはいかない
故にお前らと決別する。全てはお前達の為だ

最後に。レムの事は絶対に責めないでほしい。これからも温かく見守るんだ
ベアトリスには感謝していると伝えてくれ

たのんだぜ兄弟、そして親分
勝手な事をして申し訳なく思っている

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

エミリア「……」

エミリア「カズマ…そんな…」ツーッ

エミリアの頬に涙が伝う
177 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/25(土) 06:32:00.84 ID:ct/PtNbp0
【それから、月日がたち】

桐生「うぅぅ…寒い…」

桐生は森の中をひたすら歩いていた
木々は雪で白く覆われていた

桐生「なんだこの寒さは…いったいマイナス何℃なんだ」

桐生「背広だけでは寒すぎる…せめてダウンがあれば…」

桐生「……」

桐生(エミリア…今頃、なにをしているだろうか)

桐生「勝手に出て行ってしまって悪いことをした…だが…あのままあの館で殺し合いの日々を送っても…」

桐生「あいつらに…迷惑…かかる…」

ビュォォォォォ…!

猛吹雪は勢いを増していく

桐生「……」

桐生「どこかに小屋は…いや洞窟でも良い…」
178 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/25(土) 06:32:44.73 ID:ct/PtNbp0
桐生「やっと見つけたぜ…小屋…」

ガシッ

桐生は凍える手でそっとドアノブに手をかける

桐生「……?なんだ、凍り付いてて動かない」

桐生「チッ、参ったぜ」ググッ

桐生「ん?何だ」

桐生「手まで張り付いちまったじゃねえか」

桐生「くそ…離れろ…」ググッ

バリッ

妙な音がしたが、どうにかドアノブに張り付いた手を離す

ドアノブは血で染まっていた

桐生「これは…血…」

桐生「ん?」

ふと何か違和感を覚えた桐生は、血だらけになった手の平を見つめる

桐生「小指が…ない…」

桐生の小指は凍傷で切り落とされ、真下に落ちていた
179 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/25(土) 06:34:03.53 ID:ct/PtNbp0
桐生「嘘だろ…」

桐生「……」

桐生「手でドアを開けるのは危険だ」

桐生「本当はやりたくないが…蹴り破るしかない…」

桐生「オンラァァ!!」

ガシャァァン!

桐生「ぜぇぜぇ…中に…ベッドがある…温かそうな毛布も…」

桐生「早く…横に…なりたい…」

「こんな寒い状況で寝たら、死ぬんじゃないかな?」

桐生「……?」

桐生(なんだ…いま一瞬、声が?)

ズシン…ズシン…

桐生「え?」クルッ

何かが近づいてくる音が聞こえた
ふと振り返ると、すぐ目の前にとてつもなくデカイ怪物が立っていた

桐生「な、なんだ…これは…」

「それにして、この状況で小指の切断程度で済んでいるとは」

「やはりキミはバケモノだね。キリュウカズマ」

桐生「誰だお前は」

「……」

「もう忘れたのかい?僕のこと」
180 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/25(土) 06:35:28.16 ID:ct/PtNbp0
今日はここまで
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/25(土) 09:46:25.07 ID:5B4r3gTvO

熊ではないのか……一体何者なんだコイツは
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/25(土) 10:03:09.83 ID:o5bf5OsGo
乙。
え、この状況になってるって、
もうそれだけ月日が経ったということか?
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/25(土) 10:25:36.75 ID:YFMFex15o

いつも楽しみにしてるぜ
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/25(土) 11:27:32.49 ID:06oIUPKN0
乙 問題は何処へ戻るか
続き待ってます
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/25(土) 11:34:06.80 ID:hf8SXPnwo
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/25(土) 15:56:27.60 ID:02iX+Mxgo

3章入ってるじゃないですかヤダー!
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/25(土) 20:06:46.18 ID:HlFKNhfr0

こいつが出てきたってことはエミリアはもう…
188 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/02/27(月) 02:46:35.71 ID:yjeqhQ1w0
※報告を

リゼロ見直しててある事に気がついた

おかしな所があったので、そこを止む無く修正します
(一度発動した呪術は、解呪できないらしいです。読み直して思わず発狂した)

物語自体は月日が経った>>179に繋がるようにします
(ゆえに修正版を見なくても、さほど問題はないです)

根本的に、展開を書く直すことも考えたけど、>>179に繋がるのが一番しっくりくるので
かなり強引な展開になるけど、桐生さんなら耐えられるだろってことでご勘弁を(震え声)

そういう訳で次回更新時はまず修正分を投下

本当に申し訳ないです
できるだけ矛盾が起きないように執筆します
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/27(月) 06:51:36.80 ID:LQuf1chxO
1の兄貴…お待ちしておりますぜ。
190 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/03/05(日) 09:35:31.67 ID:6mtsbr/10
投下します

まず>>188のとおり設定矛盾の修正の為に、5レスほど修正分を投下します
191 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/03/05(日) 09:36:24.11 ID:6mtsbr/10
>>173(修正)

ロズワール「夜中に物凄い〜音が聞こえてきたから。なんだと思ったら…大喧嘩とはねぇ〜」

桐生「ロズ…ワール…」

ロズワール「い〜くら部屋がたぁ〜くさんあるからって〜?ちょっと暴れすぎじゃない二人とも?」

レム「申し訳ございません、ロズワール様」

ロズワール「まあレムは悪気があって、こ〜んなに暴れた訳じゃないのはわかって〜いるからご安心を」

ロズワール「色々と聞いておきたいのは事実だけどぉ」

ロズワール「い〜まは一先ず、二人ともキズを癒しなさい」

桐生「……」

レム「……」

ベアトリス「まったく、館の一角がメチャクチャじゃない…キチガイかしら?」

桐生「ベアトリスも来てくれたのか、悪いな」
192 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/03/05(日) 09:42:03.82 ID:6mtsbr/10
>>174(修正)

桐生「熱が上がっちまったぜ…早く寝ないと…」フラッ

エミリア「え、カズマ体調悪いの!?」

桐生「ああ…勉強が終わった直後にな」

ベアトリス「……っ!」

ベアトリス(この男、まさか)

桐生「すま…ない…」フラッ

桐生「」バタッ

エミリア「カズマ!?しっかりして!」

ベアトリス「……」

ベアトリス(ベティには、関係のない事なのよ…)

エミリア「いま治癒魔法するからね!」
193 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/03/05(日) 09:42:39.37 ID:6mtsbr/10
>>175(修正)

【明け方にて】

桐生「……ん」パチッ

エミリア「zzz…」

桐生「……倦怠感はある。だがキズは癒えているな。エミリアが癒してくれたんだな」

エミリア「zzz」

桐生(まだ寝ているな)

桐生はベッドから起き上がり、イスに座って寝ているエミリアの横で、メモを書き始める

桐生「……」カキカキ

〜〜〜

桐生「俺のスーツは…あったあった」

桐生「あとは…ドスと…スマホと…」

桐生「この思い出の写真だな」

桐生「……」

ガチャ、バタンッ
194 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/03/05(日) 09:44:33.36 ID:6mtsbr/10
>>176(修正)

パック「リア!大変だよ!」

エミリア「ん?」パチッ

エミリア「おはようパック…ちょっと寝すぎちゃったかな」

エミリア「あれ?カズマがいない…」

パック「コレ見て!」

エミリア「何コレ…置き手紙?」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

エミリアとパックへ

この国の文字を覚えたてで読みづらいかもしれないが、どうか読んでほしい

俺はこの館を出て行く
理由は言うまでもない。昨晩の事だ

この屋敷に来た時点でお前ら以外の全員が俺を疑っていた
状況が状況だけに仕方のない事だ。それでも匿ってくれたロズワールには感謝している

レムはなぜか俺を魔女同等の扱いしていた。まるで意味がわからない
だが尋常じゃなく殺気立ったあの目には、過去に何かあったのだけは察する事ができた

この館にいる限り彼女は何度でも俺に立ち向かうだろう

昔、レムと同じ年頃の家族がいた。今では大きくなっている
そんな彼女を俺は、やはり本気で殴る気に慣れない

これ以上、お前らに迷惑をかける訳にはいかない
故にお前らと決別する。全てはお前達の為だ

最後に。レムの事は絶対に責めないでほしい。これからも温かく見守るんだ

たのんだぜ兄弟、そして親分
勝手な事をして申し訳なく思っている

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

エミリア「……」

エミリア「カズマ…そんな…」ツーッ

エミリアの頬に涙が伝う
195 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/03/05(日) 09:46:42.01 ID:6mtsbr/10
>>177(修正)

館を出て行ってから桐生は、各地を転々とした
その後、街の親切な病院で世話になっている

それから更に月日がたち

少し体調がよくなった桐生は外に出て、世話になっている人のために、狩りで得物と、火を起こすための木の枝を拾いにきた

桐生「うぅぅ…寒い…」

猛吹雪の最中、森でひたすら歩いていた

桐生「なんだこの寒さは。いったいマイナス何℃なんだ」

桐生「背広だけでは寒すぎる…せめてダウンがあれば…」

桐生「……」

桐生(エミリア…今頃、なにをしているだろうか)

桐生「勝手に出て行ってしまって悪いことをした…だが…あのままあの館で殺し合いの日々を送っても…」

桐生「あいつらに…迷惑…かかる…」

ビュォォォォォ…!

猛吹雪は勢いを増していく

桐生「……」

桐生「どこかに休める小屋は…いや洞窟でも良い…」
196 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/03/05(日) 09:47:07.66 ID:6mtsbr/10
では続き投下します
197 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/03/05(日) 09:49:26.05 ID:6mtsbr/10
桐生「なに?俺とお前が知り合いだと」

「一緒にお酒だって飲んだじゃないか」

桐生「そんな記憶はない」

「……」

桐生「もう一度聞く。お前は誰だ」

「エミリアの父親だよ」

桐生「なんだと…お前、まさか」

「やっと思い出してくれたようだね」

桐生「パックなのか!?」

パック「ああ、そうだ」

桐生「……」

パック「信じられないって表情だね。まあ、無理もないか」

桐生「パック…何があった」

桐生「この異常気象はなんだ。そして、なぜお前はそんな姿に」

パック「エミリアは死んだ」

桐生「っ!?なんだと…!!」
198 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/03/05(日) 09:51:05.91 ID:6mtsbr/10
桐生「誰だ。誰がそんな事を…!!」

ピシッ…!

拳をギュッと強く握る
その力が災いして、既に凍傷しかけている手に、ひび割れが起こる

だが寒さで感覚が無くなっていて、気がついていない

パック「もう遅いよ。何もかも。だから君に教えても意味がない」

桐生「……」

パック「僕にとって、リアがいない世界なんて意味の無いものだ」

パック「契約に従い、僕はこれから世界を滅ぼす」

桐生「意味が分からねぇ」

パック「キミはさっき、なぜ異常気象が起きたのか知りたがっていたよね?だから答えてあげたんだよ」

桐生「だから、なぜ世界を滅ぼす必要がある」

パック「精霊にとって契約という物は、それだけ重要な物なんだよ」

桐生「お前の言っている意味がサッパリ分からない。なぜそうなるんだ」

パック「価値観の相違だよ。人間同士にだってあるだろ?」

桐生「…………」

桐生「ウオアアァァァァ!!!!」

バリィィン!

激昂し雄叫びをあげる桐生
ひび割れた拳が、怪物と化したパックの足に激突する

しかし体の芯まで凍りかけていた体
桐生の右腕は木っ端微塵に砕け散る
199 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/03/05(日) 09:55:20.03 ID:6mtsbr/10
桐生「ぜぇぜぇ…」

パック「あーあ。小指だけじゃなくて、とうとう片腕まで」

桐生「テメェ……なに考えてんだゴラァ!!!!」

パック「……」

桐生「エミリアがこんな事を望んでいるとでも思っているのか…!!」

パック「ま、望んでないだろうね」

パック「でもそのエミリアがもういないじゃないか」

桐生「アイツが嫌だと思うことを…なんで平気な面してやりやがる…!」

パック「平気なんかじゃないよ。リアがいなくなって僕は胸が痛くて仕方ない」

桐生「この世界にはな、あらゆる家族が大勢いる」

桐生「そいつらは全員、大切な存在を失う事になる」

パック「そうだね。そして自分自身の命さえも」

桐生「それが分かってんならなぜこんな事を…価値観が違うで済む問題じゃねえだろ」

桐生「まるで筋が通らねぇ」

パック「……」

桐生「どうなんだパック……答えろぉ!!!!」

パック「筋が通らない…か。それは君自身の事じゃないのか?」

桐生「なに?」

パック「君と盃を交わしたとき…君は言ったよね?」

パック「家族を守りきる事が出来なかったら、ちゃんとケジメをつけるって」

桐生「……!」

パック「それと僕は、娘にもしもの事があったら、怒って世界を滅ぼすとも言った」

パック「あれは冗談なんかじゃないよ」

桐生「…………」
200 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/03/05(日) 09:58:15.05 ID:6mtsbr/10
パック「まあ、君も曲がりなりにも息子な訳だ」

桐生「……」

パック「君が望むのなら、君だけは殺さずにしてあげてもいい」

パック「もっとも、この状況で生き残れるのか怪しいけどね」

パック「世界の氷河期…片腕の欠損…そして」

パック「君の体にかけられた呪い」

桐生「呪いだと…!?」

パック「その様子だと。知らなかったようだね」

パック「普通はどんなに頑丈でも、一度呪いが発動すれば…すぐに命を落とすハメになる」

パック「だがキミはどういう訳だか、今日まで生き延びていた。いままでドコにいたんだ?」

桐生「親切な診療所で世話になっていた。いま外にいる理由は、体調が少しマシになって、狩猟とまき拾いをしていた」

パック「普通は恩返しをやっている余裕なんて無いんだけどね」

桐生「今日まで幾度となく生死をさ迷いはしたがな」

桐生はチラッと欠損した右腕を見つめる

桐生「どうやら、ここまでのようだ」

パック「どうやら息子の死に目に間に合ったようだね」

桐生「わざわざ俺の死に目を見届けるために来たのか」

パック「一応、親だからね」

桐生「……」

桐生「俺も…ケジメはちゃんとつける。約束だからな」
201 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/03/05(日) 10:01:12.88 ID:6mtsbr/10
桐生「小指と片腕だけじゃ圧倒的に足りないな」

パック「そうだね。エミリアの死は、それだけ重い」

桐生「……」スッ

左腕で懐からドスを取り出す
そして歯で嚙みつつ引き抜こうとするが、全く開かない

桐生「ぐっ…」

ギチギチ…ガキィィン

凍ったドスは無残にへし折れ、白い雪の地へ落ちる

桐生「………」

桐生「パック」

パック「なんだい、わが息子よ」

桐生「介錯を頼む」

パック「承知した」

パックはスッと、大きな足を上げる
大きな影が桐生を覆う

パック「何か遺言は?」
202 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/03/05(日) 10:03:01.28 ID:6mtsbr/10
桐生「必ず救ってみせる」

パック「?」

桐生「エミリアも…あの館の連中も…」

桐生「そしてお前もだ。お前がこんな汚れ役を背負わず済むように」

パック「なにを言っているんだキミは」

桐生「俺は…死に戻r…ぐっ…!!」

視界に映る、薄暗いビジョン
真っ黒な手が心臓をわしづかみする

パック「……?」

桐生「とにかく…俺には秘策がある」

桐生「それでお前らを救う」

パック「もっと潔く死ぬのかと思えば妄言とはね」

パック「実に哀れだよ」

桐生「」

パック「さよなら、カズマ」

怪物と化したパックは、その大きな足で氷結した桐生を踏み潰す
203 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/03/05(日) 10:05:22.11 ID:6mtsbr/10
桐生「ん?ここは…」

桐生の目に映ったのは、摩天楼の数々。都会の夜景だった

桐生「ミレニアムタワーの屋上?」

桐生「元の世界に戻ってきたのか…」

そっと手すりに、手を置いて夜景を眺める桐生
すると後ろから足音が聞こえてくる

真島「ちゃう。これは夢や」

桐生「兄さん…!?」

真島「なんや桐生ちゃん。しばらく見ないうちに」

真島「目が死んでるで」

桐生「……」

真島「おっと、今日は喧嘩せえへんで」

桐生「珍しいな」

真島「ついさっき、兄弟とタイマンしてきた所や」

桐生「冴島と!?なにがあった!」

真島「安心せい。兄弟が俺に喝をいれてきただけや」

真島「『いつまでふぬけとるんや!』って怒鳴られのう」

真島「あ〜おしかったわぁ!あと少しで勝てたっちゅうのに」

桐生「……」

真島「桐生チャン、寂しいのはおどれだけやない。俺も一緒や」

桐生「フ、変わらないなアンタも」

真島「で、どないするんや?これから」

桐生「え?」

真島「またやり直すんやろ?」
204 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/03/05(日) 10:06:40.03 ID:6mtsbr/10
桐生「……あんた、ドコまで知っているんだ」

真島「全部や。桐生チャンがあの世界にいってからの全て」

桐生「……」

真島「俺はある時からな、妙な能力に目覚めよった」

真島「桐生チャンの異世界生活、映画を見るみたいに眺める事や」

真島「勿論、寝ている時だけやけどな」

桐生「」

真島「それと、たまにこうやって…夢の中で桐生チャンと直接会話することも出来る」

桐生「あんた、分身の術だけじゃなくて、とうとうそんな訳のわからない能力に目覚めたのか」

真島「ヒャーッハハハ!俺に不可能はあらへん」

桐生「……」

桐生(でもこれは夢。俺の願望なのだろうな)

桐生(誰かに自分の置かれた状況を知ってもらいたい。そんな願望から生まれた、俺の弱い心が生み出した…ただの夢)

真島「なんや桐生チャン。どうせこれは自分の妄想だと思っとらんか?」

桐生「……」

真島「ちゃうで、これは俺の桐生チャンに会いたいという願望から生み出された…超能力や」

桐生「……まあ、どちらでも良い。アンタに会えて少し元気がでた」

桐生「たとえコレが夢でもな」
205 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/03/05(日) 10:11:03.63 ID:6mtsbr/10
真島「俺の使命…それは、多分こうやって桐生チャンにあうことやろな」

桐生「会う事?」

真島「桐生チャン、目の色が変わったで。さっきよりも光っとるわ」

桐生「……」

真島「元の世界じゃ死亡扱い、家族と永遠の別れ、慣れない異世界での生活、その後も続く困難…どんな屈強な男でもホームシックになるわ」

真島「だから辛い時は会いに来たる。おどれとの接触はランダムやから次はいつになるか分からんがな」

桐生「兄さん…」

桐生と共に夜景を眺めていた真島は、そっと後ろをふり向き歩み始める

真島「相談に乗ったろうか思うたけど、目に光が戻ったおどれなら、俺が口出しする必要もあらへん」

桐生「……」

桐生は振り返らず夜景を見ながら今後の事を思索する

桐生「ありがとう、兄さん」

真島「俺は仕事に戻るわ。いつまでも気絶してられへん」

真島「ほな、またな」

桐生「ああ、俺も目覚めるとする」

桐生「やるべき事を成し遂げてくる」
206 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/03/05(日) 10:12:19.81 ID:6mtsbr/10
【ロズワール邸・客室】

桐生「……」パチッ

桐生「ん、ここは…」

レム「姉さま姉さま、ずっと寝言を言っていたお客様が目覚めました」

ラム「レムレム、頭のおかしそうなお客様が目覚めたわ」

桐生「……」

桐生「そうか。初めて館に訪れた、次の日の朝か」

桐生「という事は…ま、まさか」

桐生「……なんて事だ」

レム「お客様どうかされましたか?何かお悩みごとでも?」

ラム「お客様どうかしたの?妄想癖がばれて心が痛いの?」

ポンッ

ラム・レム「!?」

桐生はそっと、二人の頭に手を置く

桐生「おはよう。俺は桐生だ」

桐生「俺の様子を見に来てくれたんだな?ありがとう」

ラム「お、お客様…やめなさい」

ラム(あれ?なぜかしら…悪い気がしない…)

レム「お客様、止めてください」
207 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/03/05(日) 10:13:12.91 ID:6mtsbr/10
エミリア「あ!カズマ起きたのね!」

桐生「エミリア…おはよう」

エミリア「フフフ、さっそく二人と打ち解けてるのね」

ラム「エミリア様、これはお客様が勝手に」

レム「エミリア様。おはようございます」

桐生「エミリア、確認したいことがある」

エミリア「ん、なに?」

桐生「最近、俺とパックとエミリアの三人で酒を飲んだ記憶は無いか?」

エミリア「え?なにを言ってるにカズマ。私たち昨日初めて会ったばかりじゃない」

桐生「………………」

エミリア「カズマ?」

桐生「すまない。ちょっと顔を洗ってくる」

エミリア「フフフ、まだ寝ぼけてるのね。いってらっしゃい」
208 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/03/05(日) 10:15:21.31 ID:6mtsbr/10
【禁書庫】

ベアトリス「こんな朝早くから、部屋に入ってきていきなり自己紹介して…」

ベアトリス「勝手に感傷に浸るのは止めてくれないかしら?うっとおしいのだけれど」

桐生「……」

桐生(いつまでもショックを引きずってる暇は無い。俺のすべきこと…まずは)

桐生「ひとつ聞いておきたい」

ベアトリス「なにかしら?」

桐生「呪いを防ぐ方法、教えてくれ」

ベアトリス「なによ藪から棒に」

桐生「頼む、教えてくれ」

ベアトリス「……ないのよ。そんなもの」

ベアトリス「一度発動した呪いは、対象への呪いを果たし切るまで消えることはないかしら」

桐生「……」

ベアトリス「ただし、発動した呪術に限定した話なのよ」

ベアトリス「発動前ならば妨害はできるのよ。発動前は呪術ではなく単なる術式でしかないから」

桐生(なるほど。ようは解除不能の時限爆弾みたいなものか。起動寸前までが勝負って訳か)

ベアトリス「この屋敷ならベティー。にーちゃ。あとはロズワールが解呪が可能かしら」

桐生「お前とパック、ロズワールか…あと、呪いが発動する前に術式に気づく方法はあるのか?」

ベアトリス「見つけることは可能よ。絶対的なルールがあるわ。呪術を行う対象との接触…それが必須条件なのよ」

桐生「そうか。ありがとう」

桐生(これで1つの疑問が解けた)
209 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/03/05(日) 10:17:46.56 ID:6mtsbr/10
その後、前回と一通り同じ様な流れで、ロズワールと挨拶を交わす
そして、報酬の件を聞かれる

【大食堂】

ロズワール「褒美は想いのまま!さぁ〜なんでも望みを言いたまえ!」

桐生「……もし良ければ俺をこの館で雇って欲しい」

ロズワール「……」

ラム「くしゅん」

レム「」

エミリア「っ!じゃあこれからも一緒ね、カズマ!」

桐生「ああ。あとそれと…」

エミリア「?」

ロズワール「ん?まだ何かお望みな〜のかなぁ?」

桐生はチラッとエミリアの方を見つめる

桐生「……」

――――

私ちゃんと考えてきたの…カズマへの恩返し

どんな理由か知らないけど、もう二度と家族に会えないんだよね?
だから私でよければ…家族にならない?

――――

桐生「……」

エミリア「カズマ、私に出来ることなら何でも言って」

桐生(あの時とは状況がまるで違う。主に俺の記憶と感情に)

桐生(昨日あったばかりの仲で…少なくとも俺から、兄弟の盃を頼むのはあまりにおこがましい)

桐生「ぐっ…」

エミリア「カズマ?苦しそうだけど大丈夫?」

桐生「……」

桐生「何でもない」

桐生「俺の望みは1つだけだ。ここで雇って欲しい。それだけだ」

桐生(俺がこの屋敷にいないと、エミリアの安否の確認が出来ない)

桐生(盃の件は…ひとまず置いておくとしよう。ほかにやるべき事がある)
210 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/03/05(日) 10:18:58.46 ID:6mtsbr/10
食事を終えるとさっそく、館の案内をされる
そして仕事がはじまる

ラム「ではこれから、掃除と洗濯をしてもらうわ」

レム「しっかりと頼みます、カズマさん」

桐生「……その前に。お前達に言っておきたい事がある」

ラム「なにバルス?」

レム「何ですかカズマさん」

桐生「さっき食事を終えたあと、ロズワールにも密かに話しておいた事なんだがな」

桐生「お前たち、俺にどういう感情を抱いている?」

ラム「何がいいたいの?」

桐生「正直な話、俺を疑っているはずだ」

ラム「……」

レム「……」

桐生「どうなんだ?」

ラム「そんなこと聞いてどうするの」

桐生「お前たちは、王選が近いこの状況で現れた俺に違和感を覚えてるはずだ」

桐生「……そうじゃなくても、俺の体には魔女の残り香もするしな」

ラム「っ!」

レム「……カズマさん。この状況で何故、わざわざそれを打ち明けるのですか」

桐生「……」

桐生「なぜ自分の体に魔女の臭いがするのか、俺にも分からない」

桐生「だがこれだけは言える。俺はお前たちの敵じゃない」

ラム「口ならいくらでも言えるわよ」

レム「……」コクコク

ラム「言いたい事はそれだけ?」

桐生「いや、まだある」
211 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/03/05(日) 10:21:06.07 ID:6mtsbr/10
桐生「……」ゴソッ

懐からドスを取り出し、鞘を引き抜く

ラム「バルス、なにをする気?」

レム「カズマさん、いきなりそんな物とりだして…怒りますよ?」

桐生「一週間、時間がほしい」

ラム・レム「一週間?」

桐生「一週間、俺はお前たちから信頼を得るために努力する」

桐生「だが一週間たって、もしもお前ら二人が信頼できないと告げるのなら…」

桐生「その時は、自らこのドスで腹を切ってやる」

ラム「!?」

桐生「そうすればお前たちが手を汚す事もない」

レム「カ、カズマさん。何をいっているんですか」

桐生「これはお前達に対する誓いだ」

桐生「そのかわり、俺は身の潔白を証明するために努力する。以上だ」

ラム「あなた、死ぬのが怖くないの?」

桐生「……俺は本来、もうとっくに死んでるハズの男だ」

桐生「紆余曲折して、結局今日まで生き延びる事が出来た…だが俺はもう二度と故郷に帰ることが許されない」

桐生「死に恐れは無い。だが、まだ死ぬワケにもいかない」

ラム「……」

レム「……」

桐生「俺は人外で例えるなら魔女ではない…龍だ」

桐生「それをこの一週間で証明してやる。以上だ」

ラム「……」

レム「……」

桐生「さあ、仕事を教えてくれ」
212 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/03/05(日) 10:22:38.99 ID:6mtsbr/10
今日はここまで
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/05(日) 11:27:13.61 ID:hrExL6QWo
たのしかった。もっとよみたい。です
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/05(日) 12:13:13.60 ID:68RvVcMbo

これからが山場ですな
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/07(火) 16:41:14.67 ID:pIYlukD70

セーブ地点が別れた後じゃなくて良かった
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 19:11:56.78 ID:4g+H2dsUo
217 : ◆637SXWkvW2 [saga]:2017/03/11(土) 03:10:37.17 ID:nQ0E1Zw+0
報告を

次回の投下分で第二章の終わりまで一気にやるから、執筆に苦戦中…
申し訳ないですが、もう少しお待ちください

予定では『次回投下分(第二章終了)→その次(オマケ回)』になるかと


218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/11(土) 04:13:36.57 ID:L3dThdmto
了解ー
結構書き溜めしてるのか、期待
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/11(土) 10:44:57.56 ID:DMJDOMwQO
期待して待ってます
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/11(土) 23:18:51.48 ID:QqH3knZAo
期待して待ってますぜ、>>1の兄貴。
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/12(日) 00:06:14.16 ID:EpiYRY8co
スバルからバルスって来てるのに
このスレはどっから出てきたの
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/30(日) 02:02:36.04 ID:P+1B3YjTo
待ってます
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/13(土) 20:59:42.46 ID:jQX9qSsIo
桐生ちゃん帰ってきてくれ
224 : ◆637SXWkvW2 [sage saga]:2017/06/08(木) 00:52:49.63 ID:ocoH3BvG0
保守しにきました
もう駄目かなって思ったけど、なぜかまだHTML化してなかった

とりあえずモチベ回復に努めるべく、原作もこのSSも色々見直したりします
もう少しで終わりになのに申し訳ない
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/10(土) 17:12:10.06 ID:ocJzwvUao
生きてたんかい!
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/12(月) 19:05:21.74 ID:Sna+nG3Bo
期待!
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/19(月) 21:21:24.03 ID:Mdw0htHzo
桐生ちゃん・・・
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/25(日) 13:56:06.21 ID:SF1Qp6J80
期待
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/12(水) 15:50:00.97 ID:HNGv1WSy0
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/19(土) 23:49:09.57 ID:VJoHkS51o
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/20(水) 22:56:46.46 ID:czeECjnZ0
保守
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/19(木) 01:08:06.45 ID:Et5py52d0
桐生の兄貴・・・どこいっちまったんですかい
180.81 KB Speed:0   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)