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桐生一馬「Re:ゼロから始める異世界生活」
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1 :
◆637SXWkvW2
:2017/01/28(土) 08:36:20.46 ID:hAQa7uWG0
注意
・リゼロと龍が如くのクロスSS
・時系列は『龍が如く6終了後』のため、重要なネタバレあり
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1485560180
2 :
◆637SXWkvW2
:2017/01/28(土) 08:37:10.16 ID:hAQa7uWG0
桐生「遥や遥勇…それと俺の周りにいた多くの仲間たち。アイツらを守れるなら…喜んで死んでやるさ」
伊達「桐生…お前…」
世間的に『死亡』したことになった桐生一馬
沖縄で幸せそうに暮らすアサガオの皆を見守った後、桐生は何処かへ消えてしまう
それからしばらく経った後、桐生はある街へ流れ着く
【現在・とある町のコンビニ】
店員「いらっしゃいませー」
桐生「……」
桐生「ん?この週刊誌に東城会の事が書かれているな」ペラッ
桐生「東城会と陽銘連合会が五分の杯を交わす…か。大吾は俺の遺言通りに動いたんだな」
桐生「戦争にならなくて良かった…」
桐生「……」
桐生(俺はこれからどうしようか…)
桐生(伊達さんから温情としてもらった生活費も無限にある訳じゃない)
桐生(今日まで行く宛てもなくフラフラしてしまったが…)
桐生(またゆるキャラの役でもやってみるか。いや、広島ではだいぶ顔が割れている。それならまた長洲タクシーで雇ってもらうか?)
桐生「……」
桐生「……ひとまず弁当を買うか」
桐生「ん?」
ふとコンビニのガラス越しに、ある家族が楽しそうに道を歩いて行くのを目撃する
桐生「……」
3 :
◆637SXWkvW2
:2017/01/28(土) 08:38:02.10 ID:hAQa7uWG0
店員「ありがとうございました」
桐生「……」
不良1「おいテメェ、金出せよゴラァ!」ドゴォ
桐生(ん?あそこで誰か絡まれてるな)
スバル「い、痛ぇ…!」
不良2「素直に差し出せば痛い目に合わずにすむぞ…聞いてんのかおい!」バキ
スバル「もうすでに痛い目に合ってるんですけど、言葉の順番間違ってませんか?」
不良3「良いから黙って出せよ!!」ボゴォ
スバル「ギャッ!ちょ、やめ」
桐生「その辺にしておけ」
不良達「あぁ?」
スバル「…??」
桐生「これ以上そいつに手を出すんなら…この俺が許さねぇ」
不良1「なんだおっさん。ヒーロー気取りってか?」
不良2「おい、このおっさんもやっちまうぞ!」
桐生「ふん…全くどこの町にもバカってのはいるもんだな」
スバル「ま、待て…その人は関係ない…」フラフラ
桐生「ん?」
スバル「おらぁぁ!」ボゴォ
不良1「ぐっ!!」ガクッ
桐生「ほう、意外とやるじゃないか」
桐生「よし…覚悟しろチンピラァ!」
4 :
◆637SXWkvW2
:2017/01/28(土) 08:39:16.10 ID:hAQa7uWG0
桐生「口ほどにもねぇな」
不良達「」
桐生「それにしてもお前…結構戦えるじゃないか。俺が出る幕でもなかったか?」
スバル「へへ、まあ筋トレだけは無駄にやってましたから」
桐生「そうか。だがあまり夜遅く出かけるなよ。変なのに絡まれるからな」
桐生「それに家族も心配するだろ…人との別れってのはいつ訪れるか分からない。家族を大事にしろ」
スバル「…?はい」
桐生「それじゃあな」
スバル「あ、お名前は」
桐生「桐生だ」
スバル「桐生さん…俺はナツキスバルです。今回は助けてくれてありがとうございます!」
桐生「ああ、気をつけろよ」
桐生「……」
桐生(あ、つい弾みで本名を名乗っちまった…偽名で答えるべきだったな)
桐生(まあ大事にはなるまい)
スバル「桐生さん、かっこよかったなぁ…」
スバル「俺もあんな風になりたいぜ!もっと筋トレ頑張るしかない!…いやその前に引きこもり辞めないと」
5 :
◆637SXWkvW2
:2017/01/28(土) 08:39:57.98 ID:hAQa7uWG0
桐生「家族…か」
桐生「あのガキに偉そうに言っちまったが…俺にはもう家族すらいない」
桐生「…………」
桐生「俺のあの決断に後悔は一切ない。最善の策が取れたと思っている」
桐生「……だが寂しさが無いかと問われれば嘘になる」
桐生「心にポッカリ穴が開いたままフラフラしてきちまった…情けねぇぜ…」
桐生「俺を支えてくれる物は…もう何もない」
桐生「……」
桐生「俺はもう」
桐生「いっそ、本当に消えてしまいたい」
ブゥゥゥン…
桐生「うっ……」クラッ
6 :
◆637SXWkvW2
:2017/01/28(土) 08:41:05.32 ID:hAQa7uWG0
桐生「……」
桐生「……」
桐生「ん!?」
突如、視界がぼやけ目をこすると、そこにはあきらかに日本とは思えない街の風景が広がっていた
桐生「な、なんだ…ここは」
桐生「町並みからして…海外か?それもヨーロッパとか」
桐生「二足歩行する人モドキもいるな…どうなってやがるんだこの街は」
桐生「俺は夢でも見てるのか…?」
桐生「ん、なにか突進してくるぞ…」
┣¨┣¨┣¨┣¨ドドド!
大きなトカゲが暴走をしていた。商人らしき人物がのっていたがトカゲをコントロールできずにいた
桐生「ガキが道路で腰を抜かしてやがる…危ないじゃないか。間に合え!」ダッ
ドゴォォ!!
桐生「ぐっ!」
道路で倒れている子供を両手で抱えると同時に、巨大なトカゲに轢かれてしまう
桐生の体は勢いよく吹き飛ばされる
住民達「!?」
桐生「……」
住民1「おい!あんた大丈夫か!」
住民2「こりゃ長期入院は免れないな…」
住民3「いや、そもそも生きてるのか?」
桐生「あぁぁ…今のは結構利いたぜ…」ムクッ
住民全員「!?」
桐生は多少のダメージを背負いながらも、何事も無かったように立ち上がる
桐生「おい、大丈夫かお前」
子供「う…うん!ありがとうおじさん!」
住民1「な、なんだあの変な格好したおっさん…メチャクチャ頑丈じゃないか」
7 :
◆637SXWkvW2
:2017/01/28(土) 08:42:55.42 ID:hAQa7uWG0
桐生「しかし参ったな。何なんだここは。本当に悪い夢でも見てるのか」
桐生「リンゴを買おうとしたら追い出されてしまうし…ここでは日本の金が通用しないって事だよな」
桐生「金以外の持ち物は…スマホとコンビニ弁当。それとアサガオでの写真一枚」
桐生「……武器は懐に仕舞ってあるドスくらいか」
カン「おいオッサン!なーに独り言ブツブツ言ってんだよ!」
桐生「ん?」
チン「痛ぇ思いしたくなかったら出すもん出しな!」ガシッ
桐生の目の前に、見た目がバラバラの三人組の不良が現れる
そしてやせ細った男が、桐生の胸ぐらを掴む
桐生「……お前達に出す金などない。諦めて帰るんだな」
チン「あぁ!?舐めたこと言ってんじゃねぇぞ!」
そういうと、やせ細った不良は懐から二つのナイフを取り出す
チン「ヒャーッ!!覚悟しろオッサン!」
桐生「仕方ねぇな」
桐生「終わらせてやるよ!」ドォォン
桐生は片手で地面を思いっきり叩く
三人組「っ!?」
トン(な、なんだあのオッサン…全身から青白いオーラが…!?)
桐生「ふん、ふん、ふん!オラァァ!!」
チン「ぐあぁぁ…!」
右に左にと力強く、桐生のデンプシーロールが不良の顔面を叩きのめしていく
ドサッ
チン「」
桐生「口ほどにもねぇな…次はそこのデカイのだ」
トン「いっ!?」
桐生「まだまだいくぞ!!ポールダンスの極みだ!!」
フェルト「」
フェルト(うわぁぁ…何かやばそうなオッサンが暴れてるよ)
フェルト(私は関わらないように違うルートから行こっと)
8 :
◆637SXWkvW2
:2017/01/28(土) 08:43:44.73 ID:hAQa7uWG0
トン「グハァ!」ドサッ
桐生「さて、残るはそこのチビだけか」
カン「ひぃぃ!?や、やめてー!見逃してくれ!!」ジョワァァ
桐生「ふん…びびってションベン漏らすほど肝っ玉小せぇなら、初めからカツアゲなんてやるな」
エミリア「そこまでよ!」
桐生「ん?」
エミリア「弱い物イジメとは最低ね」
桐生「弱い物…いじめ…俺が?」
エミリア「あなた以外だれがいるの!」
トン・チン「」
カン「お、お、お助けぇぇ」ジョワァァ
桐生「……」
エミリア「可愛そうに…そこの小さな子なんか漏らしてるじゃない」
桐生「いやおれは」
エミリア「それはそうとアナタ、わたしの徽章を返して!」
桐生「え?」
エミリア「とぼけても無駄よ。さあ早く!」
9 :
◆637SXWkvW2
:2017/01/28(土) 08:44:55.96 ID:hAQa7uWG0
桐生「生憎、おれは誰かの徽章なんか盗んだ覚えは無い」
桐生「それにこの状況も、元を正せばコイツらが喧嘩を売ってきたのが原因だ」
エミリア「……」ジーッ
桐生「……」
パック「エミリア、その人は嘘をついてないと思うよ。彼からは邪悪な感情を感じられない」
エミリア「……そう。疑って悪かったわ」
桐生「ああ。それより何だ?その喋る生き物は」
エミリア「見てわからないの?精霊よ」
桐生「精霊だと?」
エミリア「私急いでるの。情報ありがとう、じゃあね」
桐生(俺は何も教えてないが…)
桐生「……」
桐生「おいそこのチビ」
カン「ひぃ!?」
桐生「あの娘の徽章とやらの行方に心当たりはあるか?」
カン「あ、あるわけないだろ!」
桐生「そうか…」コツコツ
桐生(ここは情報集めがてら、物探しに手伝ってやるか)
カン「助かった…何だったんだよあのオッサン…」
〜〜
桐生「おいお前」
エミリア「なに?」
桐生「徽章を探してるんだろ?おれも手伝ってやる」
エミリア「結構よ。それにさっき何も知らないって言ってたじゃない」
桐生「……ならこれから俺といっしょに探していけば良いだけだ」
エミリア「うーん…変な人、言って置くけど何のお礼もできないからね」
桐生「ああ構わない。ただその代わりだな」
エミリア「その代わり…なに?」
桐生「この国の事を教えてくれ」
10 :
◆637SXWkvW2
:2017/01/28(土) 08:46:21.96 ID:hAQa7uWG0
エミリア「え?」
桐生「何も分からないんだ。この国のことも、いま自分が置かれている状況も…何もかもだ」
エミリア「はぁぁ!?」
桐生「一辺に全部教えろとは言わない。歩きながら少しずつで良い」
パック「良いんじゃない?少なくとも彼から悪意は感じないし」
パック「暴漢相手の弾除けは多い方が良いしね」ボソッ
エミリア「ちょっとパックまで…」
桐生「安心しろ。喧嘩は慣れている」
エミリア「はぁ…それじゃ徽章を探しながら、アナタにこの国の事を教えればいいのね?」
桐生「ああそうだ」
〜〜
それから桐生はエミリアと徽章を探しながら、この国の事を教えてもらった
桐生「しかしこのルグニカ王国ってのは本当に広いな」
エミリア「ここはルグニカ王国の王都だものね」
桐生「王都…いまさらだがここは王政なのか」
エミリア「えーと…そういえば名前をまだ聞いてなかったけど…」
桐生「ああ、俺の名は」
桐生「き…」
桐生「……」
桐生「鈴木太一だ」フイッ
パック(ん?いま目をそらした…)
エミリア「スズキタイチ?変わった名前ね…それに服装も変わってるし…」
桐生「ああ、おれは東の国、日本から来たからな」
エミリア「ニホン?ルグニカより東の国って無い気がしたんだけど…」
桐生「なに?」
エミリア「えっとタイチって…いまいる場所もわからなくて、お金もなくて、文字も読めなくて…ひょっとして私よりも危ない立場なんじゃ」
桐生「……」
桐生(どういう事だ。つまりここは、俺がしってる世界じゃないって事なのか)
11 :
◆637SXWkvW2
:2017/01/28(土) 08:47:43.37 ID:hAQa7uWG0
桐生「そういえばそこの精霊とやらは…えーと」
パック「パックだよ!よろしく〜」
桐生「おう、よろしく」ギュッ
エミリア「精霊と気軽に接する人なんて珍しい…」
桐生「む?そうか」
パック「しかしこうやって見ると、タイチはかなりマッチョだね」
桐生「ああ。元々筋肉質な方なんだが、少し前にライザップで鍛えてた事もあったからな…」
パック「ライザップ?」
桐生「簡単に言うと筋トレをする場所だな」
エミリア「そのライザップっていうのは良く分からないけど…」
エミリア「タイチってかなり良い家柄の出でしょう?」スッ
そういうとエミリアは桐生の手にそっと触れる
桐生「……」
エミリア「指もキレイだし…あ、でも所々妙に硬い」
桐生「ああ…さっきも話したが喧嘩はそれなりにしてきたからな」
桐生「それよりお前の名前は?」
エミリア「…………サテラ」
パック「っ!!」
桐生「サテラ…そうか。改めてヨロシクな」
エミリア「えっ…」
パック「はぁ…趣味が悪いよ…」
桐生「さあ、徽章さがしの続きを再開しよう」
〜〜
その後、迷子の女の子を見つけて、母親を一緒に探したりもして時間を費やした
桐生「あのガキの母親が見つかって良かった…」
エミリア「タイチって本当に親切な人なのね」
桐生「面倒事を頼まれるのは慣れてるからな」
エミリア「……もしかしてタイチって、すごく損する性格なのかな?」
桐生「さあ、どうだろうな」
エミリア「悪い子じゃ…ないのよね?」
桐生「子って…俺は明らかにお前より年上だろう」
12 :
◆637SXWkvW2
:2017/01/28(土) 08:50:40.97 ID:hAQa7uWG0
エミリア「その予想は当てにならないと思う。私ハーフエルフだから」
桐生「ハーフエルフだと?」
エミリア「……」
桐生(まるで映画のような世界だな)
桐生「そうか、それにしてもこの世界には色んな人種がいるな」
エミリア「え?」
桐生(この世界なら、ゆるキャラの着ぐるみを着て歩いても本物として見られるかもな)
エミリア「ねぇ…あなた、何も感じないの?」
桐生「え?」
エミリア「ほらわたし…ハーフエルフ…」
桐生「ああ、それはさっき聞いたが」
エミリア「……」
パック「んん〜〜てい、パーンチ!」ポン
桐生「なんだ急に」
パック「何となくムズムズ感を現したくて!別に怒ってる訳じゃないし、むしろ逆なんだけどぉ〜」
その後、聞き込みを繰り返しながら、ようやく確信らしき情報を得る
【貧民街】
桐生「貧民街…か。ここに噂のフェルトって奴がいるんだな」
エミリア「聞けば教えてくれるかしら?」
パック「誰も仲間を売ったりはしないと思うけど…」
パック「ふぁぁ〜」
桐生「ふっ、どうした。眠いのか?」
パック「僕には動ける時間に制限があるんだ」
パック「まだもう少し頑張れるけど…出来るだけ僕が起きてる時に犯人を見つけたいね」
桐生「1日どれくらいの時間起きていられるんだ?」
パック「大体、9時から5時かな」
桐生「そうか」
桐生(精霊ってのは本当に不思議な生き物だな)
エミリア「初めてタイチと会った時に、決闘にならなくて良かったわ」
桐生「え?」
エミリア「だってあそこで闘いをはじめてたら、徽章の探索だってもっと時間かかってたし」
エミリア「ココに辿り着く頃には、きっとパックも寝ちゃってただろうし…」
桐生「ふっ、それもそうだな」
13 :
◆637SXWkvW2
:2017/01/28(土) 08:53:42.42 ID:hAQa7uWG0
桐生「ここがフェルトって奴が出入りしている盗品蔵か」
エミリア「たしか入るのに、合図と合言葉が必要だって言ってたわね」
桐生「ああ。だがそんな物は必要ない」
エミリア「え、ちょ待っ」
ガチャッ
桐生「失礼するぜ」
フェルト「!?」
ロム爺「なんじゃお主は!?合言葉も合図も無しに勝手に入るでない!!」
エルザ「……」
桐生「話は聞いてるぜ。ここは盗品蔵なんだろ?」
桐生「……この中にフェルトって奴がいるはずだ。どこにいる?」
フェルト「」
フェルト(うげ…あれは昼間に路地裏で不良狩りしてた気狂い親父じゃねぇか…)
フェルト(関わりたくなかったのに何でこんな所まで!?)
ロム爺「フェルトに何のようじゃ?」
桐生「フェルトはそこにいる奴の徽章を盗んだ。だから返して欲しい」
ロム爺「ここが盗品蔵だと知った上でのその発言とは…もう少し考えて交渉したらどうじゃ」
桐生「……俺は何度も年寄りと喧嘩をしたく無い。素直にフェルトがどいつなのか教えろ」
ロム爺「まるで前にも老人を殴ったような台詞じゃな」
桐生「ああ、止む終えずな」グッ
ロム爺「……」グッ
桐生は拳を構えると、巨大な体尽きの老人もまた棍棒を取り出す
14 :
◆637SXWkvW2
:2017/01/28(土) 08:55:57.83 ID:hAQa7uWG0
フェルト「待てロム爺!このオッサンは普通じゃねぇ!」
ロム爺「……」
桐生「お前がフェルトって奴か?」
フェルト「ああそうだ!あんた昼間、路地裏で兄ちゃん達を虐めてただろ!」
桐生「誤解だ。おれは虐められてたんだ」
フェルト「どうみても被害者と加害者が逆転してたぞあの状況!」
桐生「御託はいい。とにかく徽章を返してやれ」
そう言うと桐生はゆっくりと前を歩き出す
桐生「……」コツコツ
フェルト「な、なんだよ…やんのか!!」
桐生「女を殴る趣味はねぇ」コツコツ
フェルト「なに今さら紳士ぶってんだ!あたしはな、闘えるんだぜ!」
シャキンッ
短刀を取り出して、剣先を桐生に向ける
フェルト「スピードには自信あるんだ!オッサンなんかイチコロだぜ!」
桐生「……」コツコツ
だが桐生の歩みを止めない
そしてジリジリとフェルトを壁際に追い詰める
フェルト「な、なんだよ!本当にやっちまうぞ!」
桐生「やって見ろ」
桐生「フン!!」
ズドンッ
フェルト「」
桐生の腕がフェルトの頬を掠め、手の平が壁を強く叩く
そしてズイッとフェルトに顔を近づける
桐生「いいから黙って徽章を差し出せ」
フェルト「」
ロム爺「な、なんじゃあの男…全身から青白いオーラが!?」
15 :
◆637SXWkvW2
:2017/01/28(土) 08:57:52.24 ID:hAQa7uWG0
フェルト「あ…ぁぁ…」ガクガク
フェルト(お、落ち着け!こんなおっさん…私が本気をだせば…!)ガクガク
コトッ…
フェルト「あ…」
全身を震わせていたフェルトは思わず、手のひらから徽章を落としてしまう
それを桐生が拾う
桐生「たしかに返してもらうぞ」
フェルト「あ、ちょっ…待てよ!」
桐生「ほら」ポイッ
エミリア「あ…ありがとう…」
パック「いや〜すごいねぇ。いまのオーラは何だったの?」
桐生「オーラ?なんの話だ」
エミリア「気付いてないの?無意識に発動してたのね…でもタイチはマナを使いこなせて無さそうだし…いまのは一体」
フェルト「おい待てコラァ!無視すんな!!」
桐生「言っただろ。俺は女には手を出したくない」ギロッ
フェルト「……」グッ
ロム爺「フェルト、手を貸すぞ」
桐生「チッ…ガキと年寄りを相手じゃ俺は本気を出せないぞ」
エミリア「それならここからは私に任せて」
桐生「サテラ…いや、お前が闘う必要はない」
フェルト「サテラ?そういえばアンタのその見た目…」
エミリア「……っ。名前はともかく別に私は悪者じゃ、無い」
16 :
◆637SXWkvW2
:2017/01/28(土) 09:00:25.26 ID:hAQa7uWG0
エルザ「あらあら…置いてきぼりなんて酷い」
ザシュッ
ロム爺「ぐああぁぁ!!」
突如、巨体の老人が胸元を切られる
鮮血が部屋中に飛び散る
全員「!?」
フェルト「ロム爺!!」
エルザ「持ち主が来てしまっては予定が狂ってしまうじゃない」
エルザ「いまこの場にいる関係者は全員…皆殺しよ」
桐生「なっ…」
エミリア「そうはさせないわ!行くわよパック!」
パック「うん!」
桐生「……」
フェルト(ど、どうすりゃ良いんだ…あんな強そうなの…)
フェルト(いや迷ってる暇な無い!ロム爺の仇を討たないと!)
桐生「お前たち全員ここから出て避難しろ」
エミリア「え?」
フェルト「オッサンなにを言って…」
桐生「そこのロム爺ってのは生きてるか?」
ロム爺「ぜぇぜぇ…」
エミリア「衰弱はしてるようだけど息はあるわ」
桐生「お前たしか魔法が使えるんだよな。回復魔法とかも使えるのか?」
エミリア「え、ええ」
桐生「それなら今すぐフェルトって奴と一緒に、そこの爺さんを連れて逃げるんだ。出来るだけ遠くまでな」
桐生「俺はコイツを始末する」
17 :
◆637SXWkvW2
:2017/01/28(土) 09:02:01.08 ID:hAQa7uWG0
フェルト「あんた何言ってんだ!いくらちょっと喧嘩が強いアンタでも危ないぞ!」
エミリア「そうよ!あなただけじゃ危険よ」
パック「僕にも分かる。この彼女は只者じゃない。むしろここはキミが逃げるべきだ」
桐生「行け!!!!!」
全員「」ビクッ
桐生の気迫のこもった声が部屋中に響く
桐生「俺には秘策がある。だから安心しろ」
桐生「こんな奴すぐに始末してやる」
エミリア「タイチ…この恩はいつか必ず返すわ!」
桐生「ああ」
フェルト「えっと…その、頼んだぞオッサン!ヤバイと思ったらすぐに逃げろよ!」
フェルト「いくぞロム爺」ガシッ
エミリア「お、重い…」ガシッ
ロム爺「ぅぅ…すまん…二人とも…そして謎の男よ」
桐生「……」
エルザ「おっと…行かせると思う?」ヒュンッ
エルザは短剣を構えながら、素早い動きで三人へと突進していく
フェルト「やばっ…」
エミリア「パック!」
エミリアがパックに頼みバリアを張ってもらおうとした
しかしエルザの短剣はバリアに届く事なく、変わりに身を呈して守りに来た桐生の腹部に突き刺さった
桐生「……」
桐生は口を閉じ無言のまま唇から血を垂らす
エミリア「タイチ!!」
フェルト「オッサン!」
エルザ「あら、本当紳士ね」
18 :
◆637SXWkvW2
:2017/01/28(土) 09:02:59.96 ID:hAQa7uWG0
エミリア「やっぱり私も闘わないと…」
桐生「いいから行け!!!!!!」
桐生は先ほどよりも更に気迫を込めて叫ぶ
桐生「行っただろ?秘策があると…だから心配するな」
エミリア「……で、でも」
桐生「何度も言わせるな!!!!」
パック「……もう行こう。ここは彼を信じて」
エミリア「タイチ…」
フェルト「ほら行くぞ姉ちゃん!」
バタンッ
三人は足早に盗品蔵から脱出する
それと同時に桐生は口内からドバッと血を吐き出す
桐生「ぐふっ…」ボタボタ
尚も彼女の短剣は、桐生の腹部を突き刺したままである
エルザ「惜しかったわ…あとほんの少しずれてたら心臓に届いたのに」
エルザ「それでもいまの一撃はかなり致命傷のハズよ」
エルザ「頑丈なのね」
桐生「ぜぇぜぇ…ぐふっ」ボタタ
エルゼ「それで?あなたの言う『秘策』とは一体、何なのかしら」
桐生「……」
桐生「そんな物はない」
19 :
◆637SXWkvW2
:2017/01/28(土) 09:05:09.83 ID:hAQa7uWG0
エルザ「くっ…ふふふ…」
エルザ「だと思ったわ」
桐生「……」
エルザ「あの子たちをとにかく無事に帰したかった。だからとっさに思いついた嘘」
桐生「ああそうだ」
エルザ「よくもまあ、あの状況であんな嘘がとっさに思いつくものね」
エルザ「過去に似たような経験でもあったのかしら?」
桐生「別に」
エルザ「嘘おっしゃいなさい。前にもこうやって自己犠牲して、誰かを逃がした経験とか合ったんでしょ?」
桐生「……」フイッ
エルザ「目が泳いでるわよ」ニタァ
桐生「ひとつ言える事は…俺はお前を少しでも長い時間足止めする事だ」
ガシッ
桐生はエルザの腕を掴む
桐生「これでお前はその短刀を引き抜く事ができない」
エルザ「ふふふ、でもあなたはお腹に短剣が刺さったままよ?」
桐生「俺がこの程度で死ぬと思ってるのか?」
エルザ「大層な自信ね。でも私の腕力を舐めない方が良いわよ?尋常じゃなく強いんだから」ググッ
エルザ「……」ググッ
エルザ「あ、あれ?」ググッ
エルザが短剣を引き抜こうとするがビクともしない
桐生「言った筈だ。俺は少しでも長い時間足止めをすると」
桐生「俺は女に手を出したくない。だから誓って欲しい」
桐生「もう二度と悪さをしないとな」
20 :
◆637SXWkvW2
:2017/01/28(土) 09:07:45.84 ID:hAQa7uWG0
エルザ「……私がいまこの状況で『二度と悪さをしません!』って言えば、あなたはそれを本気で信じるの?」
桐生「……」
エルザ「そんなの信じられないでしょ?だって私は…『腸狩り』の異名を持ってるもの」
桐生「……そうか。どうやらお前には何を言っても無駄なようだな」
桐生「全く…広島で年寄りと喧嘩して…次は異世界で女と喧嘩か…イヤになるぜ」
ボゴォン!!
エルザ「ぐぅぅ!」
桐生はエルザの腕を一層強く掴み、同時に反対の拳で、彼女の腹部にめがけて鉄拳をお見舞いする
エルザ「良いパンチ…感じたわぁ…」ニタァ
桐生「フンッ!!」ボゴォ
エルザ「ぐっ!良いわ…もっともっと」ニヤニヤ
ボゴォン!!ボゴォン!!ボゴォン!!
エルザ「フフフ、こんな良いパンチ貰うの初めて…」
桐生「ふざけてないでいい加減降参しろ」
エルザ「そうね〜私がわるかったですぇ〜ごめんなさ〜いゆるしてぇ〜」
桐生「……」
エルザ「どう?私の事信じた?」
桐生「おらぁぁ!!!」
ドゴォォ!!
エルザ「ああぁん!良いわ…かんじちゃう…」
桐生「……」
エルザ「ねぇ…あなた、まだ本気出してないでしょ?」
21 :
◆637SXWkvW2
:2017/01/28(土) 09:09:13.29 ID:hAQa7uWG0
エルザ「私には分かるわよ?本当はもっと凄い力がある…でも私が女だからどこか本気が出せない。見せ掛けの力しか出してない」
エルザ「私を殺していいのか、否か。悩んでるんでしょ?」
桐生「……」
エルザ「言って置くけどね。私、とっても強いのよ?」
エルザ「本気ださないと…私に勝つどころか、逃げきる事すらできないわよ?」
桐生「おれは逃げない」
エルザ「そんな事をいってると、足元すくわれるわよ?」
ザシュッ
桐生「ぐぅ!?」
エルザは掴まれている反対側の腕から、隠してた短剣を取り出し、桐生の胸部に貫く
エルザ「そろそろチェックメイトの時間よ」
そのまま弾丸を乱射するが如く、エルザの短剣は目にも止まらぬ勢いで串刺しにしていく
桐生「ぐぅぅ…!」
耐え切れず、桐生は掴んでいたエルザの腕を離してしまう
エルザ「腸を見せてもらうわよ…きっと極上な腸なのでしょうね〜」
ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!
今度は水平に何度も、桐生の腹部を切り付ける
エルザ「さあ、あなたの腸をみせて!」
22 :
◆637SXWkvW2
:2017/01/28(土) 09:12:08.30 ID:hAQa7uWG0
【1分後】
エルザ「おっかしいわね〜」
エルザ「もうかれこれ、数十回分は命を落としてるハズなのに」
桐生「ぜぇぜぇ…」
エルザ「なぜまだ生きてるの?どうして腸が出てこないの?」
桐生「潜り抜けてきた修羅場の数が違うんだよ…俺とお前とじゃ」
桐生「ぐぅ…ごはぁ!」
威風堂々と立ち尽くす桐生だが最早限界だった
勢いよく吐血して、床が真っ赤に染まる
エルザ「聞いておきたいのだけれど…どうしてあなたは彼女達を守りたかったの?」
桐生「ぜぇぜぇ、さあな…単なる気まぐれみたいな物だ」
エルザ「フーン。きまぐれねぇ」
エルザ「確かにあなた自身、正義感はとても強そうだけど」
エルザ「別な理由もあるんじゃないの?例えば…」
エルザ「もういっその事死んでしまいたい…とか」
桐生「俺が死にたいだと?ふん、バカな…」
エルザ「貴方の目…いや体から悲しみの匂いがするわ」
エルザ「どうしようもなく寂しくて、いっその事消えてなくなってしまいたい…そんな風に思ってない?」
桐生「……」
桐生「今の俺に死なんて怖くも無い」
エルザ「そう、それならお望み通り」
ザシュッ…シュパァァァ
桐生「……ッ!!!」
エルザ「わぁぁ、綺麗な血の雨…素敵…」ゾクゾク
桐生の咽元を水平に切り付ける
エルザは桐生の咽元から溢れる鮮血で真っ赤に染まる
エルザ「フフフ…最期に最高の赤いシャワーが浴びれたわ」
ガシッ
エルザ「!?」
しかし桐生は息絶える事無く、再びエルザの片腕を掴む
23 :
◆637SXWkvW2
:2017/01/28(土) 09:13:06.76 ID:hAQa7uWG0
桐生(声がでない…声帯をやられた…)
桐生(だがコイツを生かしておくわけにはいかない)
チャキッ…カラン
桐生は片腕で懐から、ドスを取り出す
鞘を口で嚙みながら引抜き、ペッと鞘を床に吐き捨てる
桐生「……」
エルザ「フフ。あなたって本当に面白い男ね」
エルザ「この期に及んでまだ私を倒せると思ってるの?」
ザシュッ
エルザ「ぐっ!」
桐生「……」
桐生「」ドサッ
桐生は最後の力を振り絞ってドスを、エルザの腹部に突き刺す
深く刃を押し込むと、桐生は力なく倒れ付す
桐生「……」
エルザ「本当…最後の最後まで甘い男ね」
エルザ「心臓じゃなくて腹部を狙うだなんて…せっかく私に致命傷を与えるチャンスが台無しじゃない」
エルザ「久々に楽しい決闘が出来たわ」
エルザ「さあ、極上の腸を見せて…」
桐生「……」
24 :
◆637SXWkvW2
:2017/01/28(土) 09:15:46.13 ID:hAQa7uWG0
桐生(今度こそ…俺の最期だ)
桐生(まさかこの俺が女に負けるとは…それも異世界のサイコパス女に)
桐生(東城会の連中が聞いたら、一体どんな反応をするんだろうか…)
桐生(なんにせよ時間稼ぎ位は出来ただろう)
桐生(あんなキチガイを生かしたままなのは心残りだが)
桐生(どうか無事に生きてくれ…サテラ…)
桐生(……)ゴソゴソ
桐生は最後の力を振り絞って、ポケットからアサガオの皆が写っている写真を取り出す
しかしその写真を落としてしまう
ザクザク…ザクザク…
エルザは短剣で桐生の腹部をゆっくりと切り開いていく
その片手間、エルザは写真を拾う
桐生「……」
エルザ「これは…絵なのかしら?ずいぶんとリアルに描かれた絵ね」
エルザ「これが貴方の言う家族なのね…でも私に同情なんてきかないわよ?」
桐生「遥…遥勇…勇太…アサガオのみんな…」ツー
桐生の瞳から涙が溢れ出す
桐生「真島の兄さん…冴島…大吾…秋山…伊達さん…」
桐生「みんな…」
エルザ「もう〜、やっと腸がハッキリと見えてきたのに。なんでまだ生きてるのかしら?」
桐生「……」ボロボロ
エルザ「もっと沢山切り刻まないとダメなの?」
25 :
◆637SXWkvW2
:2017/01/28(土) 09:17:24.22 ID:hAQa7uWG0
―――――
―――
―
桐生「俺は後悔などしてない…だが死ぬ前にもう一度だけ会いたかった…」ツー
桐生「……」ボロボロ
カドモン「お、おい。大丈夫かアンタ」
桐生「……」ボロボロ
カドモン「なあアンタ…何が会ったか知らねぇけど、辛い事あったんだろ?」
カドモン「ほらリンガと水!タダでやるから!金はいらないからさっさと帰んな!」
桐生「……」
桐生「ん?」
カドモン「なんだよ…これ以上店の前で泣かれても困るんだよ」
桐生「……」
桐生「!?」
桐生「全部…夢…?」
カドモン「ああもう!ほらさっさとどっかに行ってくれ!商売の邪魔だ!」
26 :
◆637SXWkvW2
:2017/01/28(土) 09:18:46.73 ID:hAQa7uWG0
桐生「……」コツコツ
桐生は放心状態のまま町を歩く
桐生(なにがどうなってるのかサッパリだぜ)
桐生「……ひとまず、あの店主からもらったリンゴと水を頂こう。心を落ち着かせるんだ」
カン「おいオッサン!なーに独り言ブツブツ言ってんだよ!」
桐生「え?」
チン「痛ぇ思いしたくなかったら出すもん出しな!」ガシッ
桐生の目の前に、以前にも見た三人組の不良が現れる
桐生「……」
桐生「お前ら、本当に懲りないな」
チン「あ!?」
カン「何言ってんだテメェ?初めて会ったばかりだろ」
桐生「初めて…?何言ってんだ、前にも会ったじゃねぇか」
カン「オッサン頭おかしいんじゃねぇの?」
トン「さっさとやっちまおうぜ」
桐生(話が嚙み合わねぇ…どうなってやがる)
桐生(これじゃまるで…)
チン「おい!早く出すもん出さないとぶっ飛ばすぞゴラァァ!!」
桐生「……」
桐生(一先ずはいまはコイツらをぶちのめすか)
27 :
◆637SXWkvW2
:2017/01/28(土) 09:20:44.17 ID:hAQa7uWG0
桐生「オラァァ!虎落としだ!!」
ズドォォン!!
トン「ゴハァァ!!?」ドサッ
桐生「さあ、残るはお前だけだ」
カン「ひぃ…!?」
トン・チン「」
カン「ま、待ってくれ…」ジョワァァ
桐生「またお漏らしか…肝っ玉小さいなら初めっから喧嘩なんか吹っかけるな」
「そこまでだ」
桐生「え?」
「僕は今日非番だけど…こんな路地裏で弱い物イジメとは見逃せない」
桐生「弱い物…イジメ…俺が?」
カン「赤髪に…竜爪の刻まれた騎士剣」
カン「まさかあの剣聖ラインハルト!?お…お助けぇぇ!!」
ラインハルト「自己紹介の必要はなさそうだ……最もその二つ名は僕にはまだ重すぎる」
ラインハルト「今なら見逃してあげても良い。だがもし強硬手段に出るというのなら相手になる」
桐生「……」
桐生(なぜ毎回俺が悪役になるんだ)
28 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/01/28(土) 09:21:32.76 ID:hAQa7uWG0
今日はここまで
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/01/28(土) 09:31:12.25 ID:wlJ3E0/g0
おもしれぇ...おもしれぇよぉ...
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/28(土) 09:34:37.67 ID:mhxmmWJVO
桐生ちゃんは本職だからそこらのチンピラとは悪役としての格が違うので仕方ないね
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/28(土) 09:45:44.48 ID:PLj7InrKo
真島の兄さんが異世界でもお構いなしにどこでも来そう
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/28(土) 10:16:06.04 ID:W65EuM120
レベル上げと探索も兼ねてチンピラ狩り(500人くらい)して町中の備品や店壊しまくって
ヒートアクション使いまくって100kmくらい走り回って国中の料理喰い尽くさなきゃ…
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/28(土) 10:41:53.81 ID:UIzDkF96O
レンジないから窯で温めお願いするのか
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/28(土) 11:14:08.94 ID:X6ialMOH0
これならもうムービー銃も怖くないな(白目)
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/28(土) 11:41:33.54 ID:yU7j/kTso
乙!
36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/28(土) 17:42:00.41 ID:wE6HjtUjO
これはマジで期待できるぞ
37 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/01/29(日) 23:06:40.98 ID:KB5OEi7r0
ごめん、ちょっと意見をお聞きしたい
今後の展開はどっちが良いでしょうか?
@ラインハルトと盗品蔵にカチコミ
A桐生さん単機で問題解決
締め切りは明日の9時で
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/29(日) 23:08:42.42 ID:EzpDAByko
自分で決めろ
39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/29(日) 23:18:58.54 ID:jyEKQMt7O
スレタイに安価が云々言ってくる輩が来ちゃうぞ
自分で決めなさい
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/29(日) 23:34:30.35 ID:TPI5ydau0
男なら自分で決めるもんですよ…1の兄貴
41 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/01/30(月) 00:11:17.32 ID:D+UOKZjT0
>>38-40
意見ありがと
意見の多い方を選ぶつもりだったけど、腹が決まりました
>>37
は取り消して、今から自分で考えます
これもある意味多数決の結果なので
さてどうすっか…
42 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/30(月) 00:52:02.57 ID:FGnSSqLro
それでええんや
小説もスレもあんたのもんやで
43 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/02/01(水) 00:38:01.32 ID:t2a8zNeHo
男気溢れるスレやなぁ
44 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/02/05(日) 02:20:57.64 ID:yXowHRrC0
桐生「まて誤解だ。虐めれていたのはこの俺だ」
ラインハルト「え?でもそこの彼は、恐怖のあまり失禁してるじゃないか」
カン「……」ガクガク
桐生「そいつらは度胸もねぇのにカツアゲしかけてきたんだ」
桐生「まあいい。俺はこれ以上手出しするつもりはない」
ラインハルト「…それなら安心だ。問題解決だね」
ラインハルト「君たちもほどほどにね。タイミングが違えばキミたちを取り締まる事だってあった」
カン「は、はひ…」
桐生「ところで」
ラインハルト「ん、なんだい?」
桐生「このあたりで白いローブ着た銀髪の女の子って見てないか?」
ラインハルト「白いローブに、銀髪…」
桐生「ああ」
ラインハルト「ちょっと心当たりはないな。もしよければ探すのを手伝うけど」
桐生「……」
桐生「いやいい。その代わりもし見つけたら伝言を伝えてくれ」
桐生「貧民街の盗品蔵には絶対に立ち寄るなとな」
ラインハルト「……ああ。わかったよ」
45 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/02/05(日) 02:22:14.38 ID:yXowHRrC0
【貧民街】
桐生「さて、なんのプランも立てずにまたここに来ちまった」
桐生「俺の予想が外れてなければだが…時間が巻戻っているように見える」
桐生「それも記憶を保有してるのは俺だけだ」
桐生「……」
桐生「自分では知らなかっただけで、実は超能力でも使えたのか?」
桐生「まだ確信は持てないが…俺のやるべき事はとりあえず、徽章を返してもらうことだ」
桐生「……」
桐生(なぜ俺はこの期に及んでお節介を焼くんだ…前回はともかく、今回はサテラと関ってすらいないのに)
桐生(頼みごとをされるのは良くあることだが…なぜ俺がここまでする必要が。俺は自分の状況すらよく分かっていないのに)
桐生「……だが危ない目に合うと分かってる奴を黙って見過ごせない」
桐生「何のことはない。今までだって俺は…そうやって生きてきたからな」
46 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/02/05(日) 02:23:38.82 ID:yXowHRrC0
【貧民街・盗品蔵】
コンコン
桐生「…………」
桐生(返事がないな。さては居留守か?)
コンコン
桐生「いるのは分かっている。返事をしろ」
「合言葉を」
ガチャッ
桐生「そんな物は知らねぇな。失礼する」
ロム爺「おい!合言葉を言わんかい!!」
桐生「すまない。もう時間がないんだ」
ロム爺「誰じゃお主は」
桐生「きり…鈴木太一だ」
桐生「あんた、昨日の事は覚えてないか?」
ロム爺「昨日の事?はて、なにかあったかのう」
桐生「……」
桐生(見た感じ傷跡も無いし部屋も荒れていない、そして昨日の記憶も無い)
桐生「やはり時間が巻き戻っている…?」
ロム爺「なに独り言をブツブツと…何のようじゃ!」
桐生「あんたフェルトってガキを知っているな?」
ロム爺「なんじゃフェルトに用があるのか」
桐生「ここが盗品蔵という事は、あいつがいま何をしてるのか大方わかっているはずだ。そうだよな?爺さん」
ロム爺「ああフェルトなら今日は依頼されたある物を、回収している所じゃ」
桐生「……依頼?だれかに頼まれていたのか」
ロム爺「ああ、たしかエルザという若い女からな」
桐生(エルザ…あのイカれ女の名前か)
桐生「悪いことは言わない。あんたは今すぐこの盗品蔵から逃げるんだ」
ロム爺「ああぁ?いきなり何を言い抜かすんじゃ」
桐生「直にフェルトもココに来るハズだ。一緒に逃げるといい。悪いが説明している暇は無い」
ロム爺「合言葉も知らない男に、いきなりココを出て行けと言われても困るんじゃが」
ロム爺「そもそもお主の用件はなんじゃ」
桐生「俺の目的は二つ。一つはアンタらを保護する…二つ目は」
桐生「フェルトが盗んだ徽章を返してもらうことだ」
47 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/02/05(日) 02:26:16.35 ID:yXowHRrC0
ロム爺「盗んだ徽章を返してもらうじゃと?」
桐生「ああそうだ」
ロム爺「そんなの返して欲しい言っても簡単に戻ってくるほど、容易い話ではないぞ?」
ロム爺「それにお前さんが買い取れるか…徽章となればそれなりの値打ちはするはずじゃ」
桐生「……あんた何を勘違いしているんだ」
ロム爺「あぁん?」
桐生「ハナっから交渉なんかするつもりはねぇ」
桐生「俺はな、その徽章を持ち主に返したいんだよ」
桐生「盗まれたモンを取り返す為に金を払うなんてよ…筋が通らねぇにも程があるだろ」
ロム爺「ではどうするんじゃ」
桐生「手荒なマネはしたくはないんだが…」
桐生「痛い目に合ってもらうしかないな」
ロム爺「…………」
桐生の意思を聞くや、巨人の老人は後ろを振り向き、なにやらカウンターの奥でゴソゴソと探し物をし始める
桐生「……」ゴクゴク
老人から殺気を感じ取る桐生だが、お構い無しに無防備に、老人から出されていた酒を飲んでいる
ロム爺「……」ギロッ
やがて老人は桐生の方を振り向く
その目は先ほどとは打って変わって、鋭く怒りに満ちていた
そして手には巨大なこん棒を持っていた
ロム爺「うおぉぉぉああ!!」
ボゴォォォン!!!
桐生「……っ」
老人はカウンター越しに、桐生に目掛けて巨大なこん棒を振り下ろし、酒を飲んでいる桐生の頭部を叩く
その勢いで、カウンターと桐生の座っていたイスは無残に破壊される
ロム爺「……フェルトはな、わしにとって孫みたいな存在じゃ」
ロム爺「フェルトに手を出すなら客人だろうが容赦せんぞ!!」
48 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/02/05(日) 02:28:21.56 ID:yXowHRrC0
桐生「すげぇ力だ…驚いたぜ」ボタボタ
桐生は額に、大量の血を流しながら何事も無く立ち上がり拳を構える
桐生「だが残念だが、20年以上前にムショの監視員に殴られた警棒の方がよっぽど痛かったぜ…あの時は気絶したからな」
ロム爺「よほど打ち所が悪かったんじゃな」
ロム爺「……それにしても巨人族の力で殴られ平気でいられるとは」
ロム爺「只者ではないな?」
桐生「喧嘩は慣れてるんでな」バッ
桐生はそう言って上着を脱ぎ、上半身を露わにする
ロム爺「よし…こい若造が!」
桐生「いくぞ!ジジイ!!」
VS盗品蔵の主・ロム
桐生「うおぉぉぉ!!」
桐生はダッシュして老人の懐まで辿り着く
それに合わせる様にして老人は、こん棒を高々と振りかぶり振り下ろす
ロム爺「フン!!!」
桐生「ぐっ…」ガシッ
ロム爺「なっ!?両手で掴んで防ぎおった…!」ググッ
桐生「……」ググッ
ロム爺「じゃが巨人族の力にはかなうまい」
両手でこん棒を抑えるも徐々に押されていく
そのまま地面に叩き落す勢いで桐生を追い詰める
49 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/02/05(日) 02:29:55.61 ID:yXowHRrC0
桐生「昔、あんた程じゃないが、でかいバケモノと戦ったことがある」
ロム爺「なんじゃと?」
桐生「名前は…たしか総称でカツアゲ君なんてよばれてた連中だ」
桐生「アイツらも相当なバケモノだったが…何とか勝利した」
桐生「もう一つ教えてやる。おれは二十代の頃よりもずっと強いぜ?」グイッ
ロム爺「ぬっ!?」
桐生は老人の持っていたこん棒を強引に奪う
そして大きく振りかぶる
桐生「オラァァァ!!」
ボゴォォ!!
ロム爺「ぬぅぅ!」
老人の頭部に目掛けて、巨大なこん棒をブチ当てていく
桐生「まだまだいくぞ!!」
ボゴォォ!!ボゴォォ!!ボゴォォ!!ボゴォォ!!
右に左に反復させながら、巨大こん棒の攻撃は続く
50 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/02/05(日) 02:31:16.62 ID:yXowHRrC0
桐生「そろそろ終わりにしようか」
桐生はそういって巨大こん棒を捨てる。そして両腕を腰にひきつけて、低く声を張り上げる
桐生「おおおおぉぉぉ…!!」ゴゴゴ
ロム爺(なんじゃあの男…青白いオーラが…!?)
桐生「せいや!!」ボゴォ
ロム爺「ぐっ!?」
桐生は勢いよく老人の腹部をアッパーで殴ると、老人の体は一瞬だが宙に浮く
その宙に浮いた瞬間を桐生は見逃さない
桐生「オラオラオラオラオラ!!」
桐生は目にも止まらぬ勢いで、老人の腹部にパンチを繰り出す
パンチの重みで老人は宙に浮いた状態が続く
コンコン、コンコン
桐生「オラオラオラオラオラ!!」
ドアからノックの音がする。しかし桐生の猛攻は尚も続く
「お〜い!あたしだよ!フェルト!合図を言うからいつもの質問してくれ!」
桐生「オラオラオラオラオラ!!」
ガチャッ
フェルト「あ〜もう!入るぞロム爺!」
フェルト「って、なんじゃこりゃ!?」
桐生「オラオラオラ!!オラァァァ!!!」
ドサッ
ロム爺「」
桐生「おう、やっと来たかフェルト。待ちくたびれたぜ」
フェルト「お、おっさん確か…昼間に路地裏で不良狩りしてた…」
フェルト「よくもロム爺をこんな酷い目に!あんた何しにきたんだ!」
桐生「お前ら二人を保護しに来た」
51 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/02/05(日) 02:33:09.38 ID:yXowHRrC0
フェルト「……意味がわからねぇ。あたし達を保護しに来ただと?」
フェルト「嘘つくならもっとマシな嘘をつけってんだ!」
フェルト「言ってる事とやってる事が逆だぜおい!!」
ロム爺「ぐ…ぬぅぅ…フェルト…に、逃げるんじゃ…」
フェルト「よくもロム爺を!!」
桐生「おれは爺さんに襲われてたんだ。それはさっきの路地裏の時も一緒だ」
フェルト「どっちにしたってやりすぎだ!」シャキッ
フェルトは腰から短剣を取り出す
桐生「俺は女やガキを殴りたくない」
フェルト「うっせ!!覚悟しろ!!」
VSフェルト
フェルトは物凄いスピードで桐生へ突進していく
桐生(……速い!!なんだあのスピードは!?)
そして一瞬で懐までたどりつく
桐生(だがそのスピードは、場合によっては命取りになる事もある)スッ
桐生「虎落し」
ズドォォン!!!
フェルト「ゴハァァ!?」
桐生は間一髪のところでスウェーして避けつつカウンターを決める
ロム爺「フェルト…!!貴様よくも!!」
桐生「安心しろ、本気で殴った訳じゃない。あんなにスピードを出した状態で、本気でカウンターを決めてたら死んでしまう」
ボタボタ…
桐生「ん?腹にキズが…どうやら完全には避け切れてなかった様だ」
桐生のサラシは血で赤くにじんでいく
桐生(そこまで深い傷ではないが…この俺を相手にやるじゃねぇかあの嬢ちゃん)
52 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/02/05(日) 02:34:31.19 ID:yXowHRrC0
桐生「さて、これでひと段落したな」
桐生「素直に俺の言う通りにしてくれれば、これ以上痛い目に合わせやしない」
フェルト「ぐ…痛てて…何なんだよアンタ。いきなり保護するってどういう意味だよ」
桐生「説明してる暇は無い」
フェルト「っざけんな!ちゃんと説明しろ!」
桐生「……俺の用件は二つだ。一つはお前らの保護。もう一つはお前が盗んだ徽章を返してもらうことだ」
フェルト「はぁ!?」
桐生「間も無くここに徽章の持ち主がくる。ちゃんと返してやるんだ」
フェルト「な…なんで私が徽章盗んだ事知ってんだよ!」
桐生「いいから持ち主に返せ!!!」
フェルト「」ビクッ
桐生「もう時間が無いんだ早く逃げるぞ。うまく行けば持ち主とも合流できるハズだ」
フェルト「アンタは一体、誰から私たちを守ろうとしてんだよ?」
桐生「お前の依頼者…エルザからだ」
フェルト「な…」
桐生「あいつは『腸狩り』とか言う異名を持っている」
桐生「あいつは人のいう事なんて聞かない残酷な奴だ」
フェルト「そりゃアンタ自身のことじゃなくて?」
桐生「冗談で言ってるんじゃない。お前も徽章を渡した瞬間、報酬なんて渡さずに殺されるぞ」
桐生「早くエルザから逃げるぞ。もう本当に時間が無い」
53 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/02/05(日) 02:36:54.32 ID:yXowHRrC0
エルザ「一体、誰から逃げようとしてるですって?」
桐生「……!!遅かったか…」
エルザ「ええ。タイムオーバーよ」
フェルト「あ、エルザ!ちゃんと徽章は手に入れてきてやったぜ!」
エルザ「ふふ、流石だわ」
桐生「まて!そいつは渡さんぞ!」
エルザ「じゃあ交渉でもする?」
桐生「盗まれたモンに金払って取り返すとかふざけた事をするつもりはない。筋が通らねぇしな」
桐生「大体お前は、金を払わずにコイツらをぶっ殺して奪うんだろ?」
ロム爺「おいおいお前さんや…いくらなんでもそんな言い方…」
エルザ「ええ、勿論そのつもりよ」
ロム爺「なに?」
フェルト「は?」
桐生「お前ら!!いますぐ逃げろ!!」
エルザ「じゃあまずは…目の前にいるお嬢さんから」
桐生「おおぉぉぉ!!」スッ
ザシュッ!!
桐生「ぐぅぅ!!」
フェルト「おっさん!!?」
ロム爺「なっ…!?」
桐生は身を呈してフェルトを守る
そしてエルザから繰り出される短刀は、桐生の心臓を貫く
桐生「ぐ…ぅぅ…」ガクッ
エルザ「フフフ。あなた頑丈そうだから、早々に退場させてもらうわ」
桐生「……」
フェルト「おいオッサン!しっかりしろ!」
桐生「……」ググッ
54 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/02/05(日) 02:39:57.23 ID:yXowHRrC0
フェルト「おっさん…」
ロム爺「フェルト!早く逃げるんじゃ!!」
老人はエルザにこん棒で殴りかかる
ロム爺「こんな小娘などワシの敵ではないわ!!」
ザシュッザシュッ!
ロム爺「ぐぅぅ…!!」
エルザ「さようなら」
ドサッ
ロム爺「」
方腕とノドを切られ、出血多量で倒れる
見るも無残な姿になった老人はそのまま息を引き取る
フェルト「ロム爺!!この…よくもぉぉ!!」
フェルトは目にも止まらぬスピードで、エルザへと突進していく
エルザ「風の加護…素敵、世界に愛されてるのね」
エルザ「妬ましい」
ザシュッ…ブシュゥゥゥ
フェルト「ぐっ…!」
フェルト「」ドサッ
フェルトの血が部屋中に飛び散る
エルザ「終わったわね…さて、あとは徽章を回収して…」
エルザ「その後はじっくりと三人の腸を見させて貰おうかしら///」
桐生「……」ムクッ
桐生「ウオォォォォォォォォ!!!!!」
エルザ「!!?」
咆哮の如く叫ぶ桐生の声が部屋に響く
桐生「ぐふ…げほげほ…」
55 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/02/05(日) 02:40:59.65 ID:yXowHRrC0
エルザ「驚いたわ。確実に心臓を貫いたのに」
桐生「……」コツコツ
桐生はフラフラとした足取りで、胸部にエルザの短刀が刺さったまま近づいていく
桐生「お、お前…だけは…もう…女だろうが…関係ない…」
桐生「終わらせてやるよ」チャキッ
桐生は懐からドスを取り出し鞘を捨て、両手で持ち腰に引き付ける
桐生「ゼェゼェ…」
エルザ「……あなたの腸はきっと極上なのでしょうね〜///」ニヤニヤ
フラフラと近づいてくる桐生に対し、エルザは頬を染めながら桐生を見つめる
桐生「ぐっ…がはぁ…」ガクッ
そしてようやくエルザの懐まで辿り着いたところで、桐生は強い意志を持ちながらも、無常にも膝を落とす
エルザ「無駄よ。私がこれ以上手を下すまでも無いわ」
エルザ「あなたは直に死ぬ」
桐生「ま、まだ…まだだ」ドサッ
カララッ…
起き上がろうと必死に決意するも、体がいう事を聞いてくれない
両手に持たれたドスを床に落し、桐生はうつ伏せに倒れ、血だまりが広がっていく
エルザ「いま仰向けにしてあげるわね〜その極上の腸、見せて頂戴///」
歪んだ笑みを浮かべながら、エルザは桐生の体を仰向けにする
桐生「……」
桐生「俺には…秘策がある」
エルザ「秘策ですって?もう間も無く息を引き取るのに?」
エルザ(でも不思議ね。嘘を言っている風には見えないわ)
桐生「俺は…必ず…」
桐生「必ず…お前を…」
56 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/02/05(日) 02:42:28.48 ID:yXowHRrC0
―――――
―――
―
桐生「俺は必ず、お前を殺しに行く…!!」
桐生「絶対だ…覚えてろ」ギロッ
カドモン「」ドサッ
桐生「……」
桐生「ん!?」
カドモン「」ガクガク
桐生「そうか…おれは…また死んだのか」
カドモン「ひぃ…!や、やめてくれ!俺には妻も子供もいるんだ!」
八百屋の店主は一般的に見て、立派な体つきと度胸を備えていた
しかし桐生の眼力と殺害予告に驚いてしまい、腰を抜かしてしまう
桐生「あ…すまん。いまのはアンタに言った訳じゃないんだ…忘れてくれ」
カドモン「もういいから出て行ってくれ!ほら!リンガならタダでやるから!」
桐生「いや、大丈夫だ…」
カドモン「いいから持ってけ!」
桐生「……」
桐生はタダでリンゴをもらった
57 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/02/05(日) 02:44:39.08 ID:yXowHRrC0
【路地裏】
桐生「またここに来ち待ったな…たしかこの後、あの三人が来るはずだ」
桐生「このままじゃアイツらはきっとカツアゲをし続けるんだろな…ここは予定通り、痛い目に合ってもらおう」
桐生「お灸を据えていく必要がある」
桐生「そしてあのタイミングで、ラインハルトかサテラに会えるはずだ」
桐生「そういえば何故か毎回フェルトが俺の事を知っている。少し離れた場所からフェルトがその様子を見てるのだろうな」
カン「おいオッサン!なーに独り言ブツブツ言ってんだよ!」
桐生「来たな…」
チン「痛ぇ思いしたくなかったら出すもん出しな!」
桐生「予定通り終わらせてやるよ!」ドォォン
三人組「っ!?」
桐生は片手で地面を思いっきり叩き、全身から青白いオーラを放つ
58 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/02/05(日) 02:45:58.11 ID:yXowHRrC0
桐生「よし。倒したぞ」
トン・チン「」
カン「ひぃぃ!?や、やめてー!見逃してくれ!!」ジョワァァ
桐生「またお漏らしか…もう悪さしないと誓うか?」
カン「誓う誓う!」
桐生「よし…なら見逃してやる」
カン「ほっ…」
桐生「……その代わり、お前に頼みがある」
カン「た、頼み?」
桐生「少し芝居がしたい。上手く演技してくれ」
カン「え、演技?芝居?」
桐生「悪いようにはしない…いくぞ」
カン「え?は、はい」
桐生「スーッ…はぁぁ…」
桐生「フェルト、そこにいるのは分かっている」
フェルト「!?」
フェルト(なんだあのオッサン…どうして物影に隠れて様子を見てるのが分かった!?)
桐生「お前、徽章を盗んだな?」
フェルト(っ!?何でそんな事まで知ってんだよ!?)
フェルト(って言うか何で私の名前を…!)
桐生「いますぐ盗んだ徽章を俺に差し出せ。元の持ち主に返したい」
フェルト(返すだぁ!?何言ってんだ…そんな事して何を得するんだあのオッサン)
桐生(……)
59 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/02/05(日) 02:47:25.75 ID:yXowHRrC0
桐生(ココから先は不本意だが…時間も無いし止む終えん。芝居開始だ)
桐生「もし…返さないと」スッ
桐生は懐からドスを取り出し、鞘を引き抜く
そして小さな不良少年カンの体を後ろからつかみ刃を向ける
桐生「今すぐに徽章を差し出さないと…このガキの命がねぇぞ!!!」
カン「」
フェルト(何やってんだあのオッサン!?脅しかよ!!)
桐生「オラァァ!!このガキがどうなっても良いのか!!」
カン「ひ、ひぃぃ…!!」ジョワァァ
カン(こ、これ演技だよな!芝居なんだよな!?本気じゃないよな!?)ガクガク
桐生「早く徽章を差し出せゴラァァ!!」
桐生「すまんな。これは演技なんだ。本気じゃない」ボソッ
桐生「あと頼むからションベン漏らさないでくれ」ヒソヒソ
カン(演技でも怖すぎるっつーの…!!)ジョワァァ
フェルト(ええい!もう知るか!あんなガキがどうなった所で私は関係ない!)
カン「た、助けてぇ〜!!」ボロボロ
フェルト(でもちょっと可哀そう…うーん…)
フェルト(お、丁度あそこに騎士らしき奴が!あいつに頼んでおくか!)
60 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/02/05(日) 02:49:06.69 ID:yXowHRrC0
桐生「フェルト!!早く出て来い!!このガキを本気で殺すぞ!!」
カン「ヒィィ…!!」ガクガク
桐生(おかしい…フェルトは泥棒をやっているが、根は良い奴そうに見えるんだがな…)
桐生(ここであいつが助けに来てもおかしくない…早く出て来いフェルト。時間が無い)
「そこまでだ」
桐生「ん?その声は…」
「僕は今日非番だけど…こんな路地裏で恫喝とは許せない」
桐生「……」
カン「赤髪に…竜爪の刻まれた騎士剣」
カン「まさかあの剣聖ラインハルト!?お…お助けぇぇ!!」
ラインハルト「自己紹介の必要はなさそうだ……最もその二つ名は僕にはまだ重すぎる」
ラインハルト「今なら見逃してあげても良い。だがもし強硬手段に出るというのなら相手になる」
桐生(なるほど、フェルトはラインハルトに助けを求めたか。まあ、ある意味正しい判断だ)
桐生「そうか…剣聖ラインハルトが出てきたんじゃ仕方が無い」
桐生「すまなかったな。もう悪さはしない」
ラインハルト「んん?あ、ああ…」
ラインハルトはどこか釈然としない様子で桐生を見る
桐生「それじゃあ、俺は急いでるんで」
ラインハルト「待つんだ。ついさっきまで脅し行為をやってたキミが急ぎの用事…?」
桐生「……」
ラインハルト「さてはまた違う人々に危害を加える気だね?」
桐生(今回はやけに絡んでくるな…まあこの状況なら無理もないか)
ラインハルト「手荒な真似はしたくないんだけどね…キミが危なそうな人物である以上、僕はキミを許しはしない」
桐生「俺もお前と戦う理由が無い」
桐生「もう一度言う、俺は急いでるんだ。いますぐ貧民街の盗品蔵に行かないといけない」
ラインハルト「貧民街の…盗品蔵?」
桐生「じゃあな」ダダッ
ラインハルト「あっ…ちょっと、待つんだ!!」
ラインハルトの言葉を無視して、桐生は走って路地裏を後にする
カン「何だったんだよ…あのオッサン…」グスッ
61 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/02/05(日) 02:50:31.18 ID:yXowHRrC0
桐生「ぜぇぜぇ…」ダダッ
桐生は街中をダッシュして盗品蔵に向かう
桐生(……)
桐生(俺はかつて、本気で人を殺そう決意した事が二回ある)
桐生(一回目はまだ二十歳だった時に渋澤と闘った時。あの時は錦が止めてくれ無かったら俺は一線を越えていた)
桐生(そして二回目は…つい最近の話だ。会長代理の菅井と、巌見造船の巌見恒雄…奴らと共に刺し違える覚悟だった)
桐生「今度は三度目だ…しかも相手は女…」
桐生(俺は果たしてあの女を殺せるのか…?)
桐生(実力的な意味だけではない。どんなに腐ってもあいつは女だ)
桐生(……)
桐生(迷ってるヒマは無い。あのイカれ女、話が通じるとも思えない…もうやるしかねぇ)
ドンッ
エミリア「キャッ!」
桐生「っ!!すまない、大丈夫か…」
62 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/02/05(日) 02:53:45.56 ID:yXowHRrC0
エミリア「もう!ちゃんと前を見てよね!危ないじゃない!」
桐生「ん?お前は…サテr」
桐生(おっといけない。まだ今回は初対面だな)
エミリア「……?ちょっとアナタ、いま何か変な事言いかけなかった?」
桐生「何でもない。間違えただけだ」
エミリア「もう…気をつけてよね?間違え方によっては私、すごく怒ってたんだから!」
桐生「……?ああ」
桐生(すでに少し怒ってるように見えるが…?)
桐生「俺はいま急いでる、それじゃあ」
エミリア「そう。私も急いでるからこの辺で」
桐生「そうだ。貧民街の盗品蔵には近づくなよ!」
エミリア「え?」
桐生「お前の徽章は必ず取り返す。明日の昼、徽章を取られた場所の近くにある八百屋で会おう」
桐生「じゃあな」
エミリア「え…ちょっと!なんで私が徽章盗まれた事知ってるの!?」
桐生(時間がない!急がないと…)
桐生(そして今度こそあの女を殺す)
エミリア「……」
エミリア「ねえパック」
パック「ん、さっきの男の事?」
エミリア「うん。なんで私が盗まれたこと知ってるんだろ」
パック「どこかで見てたんじゃない?」
パック「僕的に見た目に反して、悪い人には見えなかった…むしろ逆だね」
エミリア「良い人なの?ふーん…」
エミリア「盗品蔵ねぇ…」
パック「行くの?」
エミリア「……」
63 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/02/05(日) 02:54:28.73 ID:yXowHRrC0
今日はここまで
64 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/02/05(日) 02:58:26.83 ID:Df8CFBFn0
おっつおっつー。
これから先の展開にワクワクしてきた。
65 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/02/05(日) 04:58:45.39 ID:/GfrPAJNo
乙
桐生ちゃんの外見のせいで話がこじれまくっている気がするのは気のせいだと信じたい
66 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/02/05(日) 15:04:39.36 ID:3SA9YDWt0
正直言えば桐生さんなら死なずにいけるんじゃね?
と思ったけど流石にコンセプトを完全否定してしまうよな
67 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/02/05(日) 18:11:57.48 ID:l2Yn/8Zyo
乙!
68 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/02/05(日) 21:59:18.20 ID:LEMkRFkO0
いわゆる今の桐生ちゃんは最高難易度を前作の鍛錬&周回プレイ引き継ぎ一切
無しの初期レベルなのだろう。…と、思ったら虎落とし使えてるじゃないですかヤダー!
69 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/02/06(月) 08:07:23.07 ID:8aYutnTQ0
やっぱエルザをどうにかするにはラインハルト連れてくしかないんだろうか
でも桐生さんは何でもかんでも一人で全部背負い込んじゃうタイプの人間だしなぁ
70 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/02/06(月) 09:17:18.61 ID:9LCUEB/c0
投下します
最初の2レスは訂正文を
71 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/02/06(月) 09:18:30.78 ID:9LCUEB/c0
>>52
(訂正)
桐生「さて、これでひと段落したな」
桐生「素直に俺の言う通りにしてくれれば、これ以上痛い目に合わせやしない」
フェルト「ぐ…痛てて…何なんだよアンタ。いきなり保護するってどういう意味だよ」
桐生「説明してる暇は無い」
フェルト「っざけんな!ちゃんと説明しろ!」
桐生「……俺の用件は二つだ。一つはお前らの保護。もう一つはお前が盗んだ徽章を返してもらうことだ」
フェルト「はぁ!?」
フェルト「な…なんで私が徽章盗んだ事知ってんだよ!」
桐生「いいから徽章を返せ!!!」
フェルト「」ビクッ
桐生「もう時間が無いんだ早く逃げるぞ。運が良ければ持ち主とも合流できるかも知れない」
フェルト「アンタは一体、誰から私たちを守ろうとしてんだよ?」
桐生「お前の依頼者…エルザからだ」
フェルト「な…」
桐生「あいつは『腸狩り』とか言う異名を持っている」
桐生「あいつは人のいう事なんて聞かない残酷な奴だ」
フェルト「そりゃアンタ自身のことじゃなくて?」
桐生「冗談で言ってるんじゃない。お前も徽章を渡した瞬間、報酬なんて渡さずに殺されるぞ」
桐生「早くエルザから逃げるぞ。もう本当に時間が無い」
72 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/02/06(月) 09:19:21.02 ID:9LCUEB/c0
>>55
(訂正)
エルザ「驚いたわ。確実に心臓を貫いたのに」
桐生「……」コツコツ
桐生はフラフラとした足取りで、胸部にエルザの短刀が刺さったまま近づいていく
桐生「お、お前…だけは…もう…女だろうが…関係ない…」
桐生「終わらせてやるよ」チャキッ
桐生はポケットからドスを取り出し鞘を捨て、両手で持ち腰に引き付ける
桐生「ゼェゼェ…」
エルザ「……あなたの腸はきっと極上なのでしょうね〜///」ニヤニヤ
フラフラと近づいてくる桐生に対し、エルザは頬を染めながら桐生を見つめる
桐生「ぐっ…がはぁ…」ガクッ
そしてようやくエルザの懐まで辿り着いたところで、桐生は強い意志を持ちながらも、無常にも膝を落とす
エルザ「無駄よ。私がこれ以上手を下すまでも無いわ」
エルザ「あなたは直に死ぬ」
桐生「ま、まだ…まだだ」ドサッ
カララッ…
起き上がろうと必死に決意するも、体がいう事を聞いてくれない
両手に持たれたドスを床に落し、桐生はうつ伏せに倒れ、血だまりが広がっていく
エルザ「いま仰向けにしてあげるわね〜その極上の腸、見せて頂戴///」
歪んだ笑みを浮かべながら、エルザは桐生の体を仰向けにする
桐生「……」
桐生「俺には…秘策がある」
エルザ「秘策ですって?もう間も無く息を引き取るのに?」
エルザ(でも不思議ね。嘘を言っている風には見えないわ)
桐生「俺は…必ず…」
桐生「必ず…お前を…」
73 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/02/06(月) 09:19:48.14 ID:9LCUEB/c0
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