廃墟と化した鎮守府の夜明け

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277 : ◆Paxl0Q5Mlk :2017/04/18(火) 19:59:36.75 ID:oJBgC9rG0
時雨「この人の正体を考える上で鍵になるのは、『提督の私室』で見つけた『提督の手記』だ」

阿武隈「私室の手記?」

時雨「そういえば、直接あの部屋に入って手記を読んだのは僕と不知火だけだったね」

時雨「不知火。本庁舎で見た『提督の手記』のことを覚えてるかい?」

不知火「ええ、覚えています。確か、失踪した中将司令に代わり着任した少将が書いたと思われる手記でしたね」

時雨「うん。不知火の言う通り、あの手記の内容から書き手は後任者――つまり少将提督だ」

時雨「あの手記からは、少将は大本営からの命令で失踪した中将に代わって着任し、中将の生死を確かめるよう命じられていたこと」

時雨「そして中将の捜索とは別に、この鎮守府で何かを調べていたことが伺える。ここが重要だ」

時雨「少将と大本営がこの鎮守府でいったい何を調べていたのか?」

時雨「それはおそらく……この地下施設のこと。ここを探し出そうとしていたんだ」
278 : ◆Paxl0Q5Mlk :2017/04/18(火) 20:11:04.14 ID:oJBgC9rG0
吹雪「えっ?」

阿武隈「ちょっと待って……さっき時雨ちゃんは、鎮守府の前身施設の設立には大本営が関わってた可能性が高いって推理してたよね?」

阿武隈「なのに大本営が地下施設を探していたって……おかしくない?」

時雨「確かに、大本営が施設の設立に関わっているのにその場所を知らない。これだとさっきの推理と矛盾があるのは承知の上さ」

時雨「正直この辺りに関しては確たる情報が無いから完全に僕の推測になってしまうけど……」

時雨「あくまで大本営は施設の設立に助力しただけ。パトロンのような立場に過ぎず、現場の詳細までは把握していなかったとしたら、どうだろう?」

時雨「存在ごと隠蔽するほど徹底した機密保持が行われていたのなら、関係者も最小限に止めていて、ここを知る人の絶対数自体が少ない可能性もあるし」

時雨「ここの関係者がどれくらい居たのかはわからないけど、既にその多くが死んでいるか話を聞けない状況にあったとしたら……」

不知火「だから大本営と少将提督は、手探りで探索せざるを得なかった。ということですか?」

時雨「まあ、推測である以上真相ははっきりしないけど……少なくとも大本営が地下施設の詳細を知らなかったのは間違いないはずだ」

時雨「着任した少将の手記の中に地下施設に関することは書かれてなかったし」

時雨「この地下施設の各所で見つけた資料にも、大本営との直接の連絡や関連を匂わせるものは一切出てこなかったからね」
279 : ◆Paxl0Q5Mlk :2017/04/18(火) 20:29:32.08 ID:oJBgC9rG0
時雨「ここで少し話を戻すけど、この地下施設は何らかの理由で閉鎖し封印されたものじゃないか。って話したよね?」

時雨「だけど僕たちが見てきたように、ここでは鎮守府の艦娘を使った実験が行われていた。一度は封じたこの施設を再び開いた人が居たんだ」

吹雪「それって……やっぱり少将司令官……?」

不知火「艦娘を物同然に扱っていた少将なら……地下施設を発見し、そこで何かの野心に駆られて狂気の実験に手を出したとも十分に考えられますね」

時雨「いや、少将提督は最後までこの地下施設を発見することは出来なかったみたいなんだ」

時雨「それに少将は優秀な人だったらしいけど、いくら優秀でも一朝一夕であんな研究を行えるはずがない」

時雨「少なくとも医学薬学や生物学などにかなり深い造詣があり、艦娘のことにも詳しくないとあれだけの研究や実験は出来ないと思う」

阿武隈「それじゃあ……この人は……」

時雨「そう……。研究に関して造詣がある可能性があり、大本営すら知らないこの地下施設への入り口を知っている人物はただ1人」

時雨「前身施設の関係者で秘密の守り人だった前任の提督――いや、中将司令官だ」


中将「……」

280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/18(火) 22:56:55.31 ID:Y+i0fad0o
きたか
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/19(水) 01:56:24.08 ID:STNFA3DWo
さあラスボスだ
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/19(水) 22:30:00.03 ID:Pzd2BQ8z0
中将答える義理が全くないんだよなw
適当にあしらいつつ始末する算段進めてると見るべきか
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/19(水) 23:00:22.51 ID:XOV8rgDfo
バイオ1のレベッカみたいに撃たれそう
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 09:19:22.42 ID:rSCHBX90o
時雨の胸部装甲なら何とかなりそうだな… 不知火や吹雪なら危ないかも?

ん?こんな時間にだれだr……
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 10:17:02.31 ID:LAlTuMvS0
おいおい。その二人より致命傷になりそうな軽巡を忘れるなよ
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 10:46:59.36 ID:7bQsIhYnO
艦娘なら銃弾の1発くらいかすり傷にもならなさそう
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:11:21.23 ID:0O8lRTA4O
まぁ、妖精が対艦娘様に作った拳銃だったらワンチャンだろうけどね。
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 22:44:55.27 ID:fhY+slrT0
面白い(´・ω・`)
289 : ◆Paxl0Q5Mlk [saga]:2017/04/22(土) 23:25:31.83 ID:mZnl+BEX0
吹雪「ちゅ、中将司令官って」

阿武隈「この鎮守府にいた前任の提督……。でもここが廃墟になる前に突然失踪したって……」

時雨「失踪した。だけど死んではいなかったんだ。むしろ何らかの事件に巻き込まれて自分が死んだように見せかけていた」

初霜「まさか、そんな……」

時雨「前任――つまり中将提督は失踪扱いのまま、大本営側もはっきりとした生死は確認出来ていない。と聞いた時から疑ってはいたよ」

時雨「もし中将の失踪に大本営が関与しているのなら、わざわざ後任の少将に生死の確認を命じる必要はないはず」

時雨「そうなると、中将の失踪は何らかの事件や事故に巻き込まれたか……もしくは意図的に自ら姿を消したって可能性に絞られてくるからね」

吹雪「意図的に姿を……」

時雨「中将提督が生きていたとすれば、この鎮守府で起きていた数々の異変の真相も見えてくる」

時雨「すべてのきっかけは中将提督の失踪――その直前の解任騒動辺りから端を発しているんだ」
290 : ◆Paxl0Q5Mlk [saga]:2017/04/22(土) 23:41:28.97 ID:mZnl+BEX0
時雨「青葉さんの新聞によれば、中将の解任決議という話が出てきたのは2013年の7月頃のことだ」

時雨「新聞でも解任の詳しい理由は不明とされていたけど、大本営からの命令無視や作戦行動に消極的な姿勢等が原因と推測されてもいた」

時雨「それ以前の新聞記事では、この鎮守府は開戦初期から戦っていて、解任騒動の数か月前に発令された大規模作戦でも大きな功績を挙げたと書かれていた」

阿武隈「その時期に行われた大規模作戦って……確か、深海棲艦に対して初めての反攻になったっていう奇襲反攻作戦だったはずだわ」

不知火「今こそ数ある鎮守府の中でも最古参の部隊が参加したという、今となっては伝説的な戦いの1つですね」

時雨「そんな最前線で活躍していた艦隊が、この数か月の間に突如方針を転換し作戦行動に消極的になった。新聞からはそう読み取ることが出来る」

時雨「大本営からの命令無視というのも、おそらく消極的な姿勢というのに関係すること。察するに発令される作戦の拒否とかだったんじゃないかな?」

時雨「まあ、その辺りは想像するしかないんだけどね……」

時雨「問題は、この数か月の間に何があったのか? ってことだけど」

時雨「その理由は、地下施設にあった一室。あの『オフィス』でみつけた日記の内容から窺い知ることが出来た」


中将「……」ピクッ

291 : ◆Paxl0Q5Mlk [saga]:2017/04/23(日) 00:19:27.53 ID:iTAwioqh0
不知火「日記?」

時雨「あのとき一緒にいた皆には言わなかったけど、あそこで僕は幾つかの資料を見つけていたんだ」

時雨「その中の1冊に日記のような物があったんだけど、あれは多分この人が書いたものだ」

阿武隈「じゃあ、あそこは……この人が使っていた部屋だったのね」


中将「……」


時雨「あの日記に日付のようなものは一切記載されてなかったけど、内容から考えて深海棲艦との戦いが始まった頃からの記述だってことがわかった」

時雨「さらに内容からは、深海棲艦との戦争やその戦況を不安視していたことも窺えた」

時雨「興味深いのはその後の記述。日記の主が怒りを露にして何かを糾弾……あるいは絶望するかのように、激しい文体で記されている部分があったんだ」

時雨「その記述こそが、数か月の間に中将に起こった変化を示していたとしたら、どうだろう?」

初霜「怒り……糾弾……」

吹雪「いったい何が書かれていたの?」

時雨「残念ながら、その箇所は殆ど読み取れなかったから詳しい内容までは解らない……」

時雨「だけど日記にはまだ続きがあった……。そこに書かれていたことが重要なんだ」
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 03:35:30.53 ID:U3Bx7r+to
おつん
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 01:53:14.91 ID:LzoN0n340
追い付いてしまった…
すごい続き気になる
294 : ◆Paxl0Q5Mlk [saga]:2017/04/25(火) 20:35:25.82 ID:c3mBQxpB0
時雨「日記の最後は、その前の激しい怒りが一転して吹っ切れたような、そして何かを決意したような記述を残して途絶えていた」

時雨「ここも文字の判別が難しい所が多かったけど……『深海棲艦を根絶やしにする』、『その為には研究を進める必要がある』って読める部分があったんだ」

吹雪「深海棲艦を……根絶やし!?」

初霜「それじゃあ、ここで行われていた研究っていうのは……」

時雨「そう。ここで中将提督が行っていたのは『深海棲艦を絶滅させる為の研究』」

時雨「おそらく中将は深海棲艦との戦いの中で何かを知ってしまったんだ。あるいは中将が突然作戦行動に消極的になった理由もその辺りにあるのかもしれない」

時雨「その結果、深海棲艦を絶滅させることを考えるようになり、そのための研究を開始した」

時雨「一度は封鎖されたのであろうこの地下施設を再び開いたのも、深海棲艦を絶滅させる為の研究を進めるため」

時雨「これは地下施設の各所で見てきた物から考えてほぼ間違いないはずだ」

吹雪「じゃあ……深海棲艦の細胞を使った実験や、艦娘への人体実験っていうのも」

不知火「すべては、深海棲艦を絶滅させるための研究の一環だった……」
295 : ◆Paxl0Q5Mlk [saga]:2017/04/25(火) 20:39:13.01 ID:c3mBQxpB0
時雨「しかし、直後に大本営が中将提督の解任を議論し始める。おそらく中将の異変を察知したんだろう」

時雨「深海棲艦を根絶やしに。という中将の考えを知り危険と判断したのか……それとも何か別の理由があったのかは分からない」

時雨「でも、明確な理由も無くいきなり艦隊司令の解任という話が出ている辺り、この解任騒動と中将の異変が関連しているのは明白だ」

時雨「同時にこのことから、中将が行っていた事と大本営の意思は異なる……つまり僕たちが見つけた研究や実験に関して、大本営は関係していないことが窺える」

阿武隈「深海棲艦の細胞や艦娘を使った実験は、中将の独断だったってこと?」

時雨「うん。中将は大本営に対しても秘密の内に研究に着手し始めたんだろう。何故独断だったのかは、確たる情報が無いから詳しくは解らないけど……」

時雨「もしかすると、前の記述で怒りを露にしていた理由もその辺りにあるのかもしれないね。大本営への反抗……もしくは不信感か……」


中将「……」


時雨「しかし実際には中将が解任されることはなかった。解任決議の最中に中将が失踪してしまったからだ」

時雨「そしてこの失踪も……中将が仕組んだ工作だったんだ」
296 : ◆Paxl0Q5Mlk [saga]:2017/04/25(火) 20:43:46.69 ID:c3mBQxpB0
時雨「おそらく中将は、大本営が自分の行動に気付いて司令職を解任しようとしていることを察して、先手を打ったのさ」

時雨「中将に変化が起こり始めた時期と解任決議のスパンから見て、まだ研究はほとんど進んでいなかったはず」

時雨「もし解任が決まり強制的に提督の任を解かれれば、当然この鎮守府からも離されてしまう。そうなる前に何としてでも手を打つ必要があったんだ」

時雨「その結果、中将が打ち出したのが……自身の失踪を装うという手段だった」

夕立「全部中将さんの自作自演だったってこと?」

時雨「そうさ。この地には、身を隠し更には人知れず研究を続けることも出来る場所も存在しているからね」

初霜「! この地下施設ですね!」

時雨「その通り。施設の存在こそ認知していても、出入りする為の方法までは知らなかった大本営の目を晦ますことができ」

時雨「尚且つ研究設備も整っているこの地下施設は、まさに絶好の隠れ家だ」

時雨「こうして中将は自らが突然失踪したように見せかけ、実際は秘密の地下施設へと潜って秘かに研究を継続していた」

時雨「これが中将の失踪騒動の真相だ」
297 : ◆Paxl0Q5Mlk [saga]:2017/04/25(火) 20:47:26.85 ID:c3mBQxpB0
時雨「中将が失踪し、次に起こったのは後任の提督――少将の着任だ」

時雨「少将に関しては『少将の手記』の内容や今までの流れからも分かるだろうけど、間違いなく大本営の息が掛かった存在だ」

時雨「彼がこの鎮守府に派遣された目的は、失踪した中将の捜索と、中将が行っていた研究に関する調査と抹消。地下施設の捜索」

時雨「そして、中将に代わる秘密の守り人の継承も極秘任務として命じられていたんだろう」

阿武隈「じゃあまさか、少将が着任早々から艦隊の規則とか行動を異常なほど厳しく制限したのは……」

吹雪「艦娘たちに気付かれずに、それらの任務を実行するため……!」

時雨「そう。ここの鎮守府では夜間の出撃などは一切行われず、既定時間以降は全ての艦娘たちが寮の部屋から出ることも禁じられていたみたいだからね」

時雨「たぶん艦娘たちを寮へ追いやり無人になった深夜の時間帯を使って、少将はそれらの任務にあたっていたんだ」

時雨「これら一連の流れや少将の手記の記述からみて、大本営は余程この施設の存在を隠したいらしい」

時雨「更に中将が行っていた深海棲艦に関する研究も、抹消したいほど危険視して少将に捜索を命じていた……」

不知火「……」ゴクリ
298 : ◆Paxl0Q5Mlk [saga]:2017/04/26(水) 02:35:20.47 ID:ADjjgfaL0
時雨「ところが、ここで少将の行動に異変が起こったんだ」

初霜「異変?」

時雨「不知火。僕と一緒に『少将の手記』を読み、執務室や提督の私室の様子を詳しく見ているのは、君だけだったよね?」

不知火「はい。そのはずですが」

時雨「不知火は、この手記の内容と着任後に少将が生活していた2つの部屋の様子を見て、何か感じたりしなかった?」

不知火「え……?」

不知火「…………いえ、特に気になることはなかったと思いますが」

時雨「僕はあの手記を読んだ後、執務室に入って……妙な違和感を感じたんだ」

阿武隈「妙な違和感?」

時雨「僕も最初はその違和感の正体が分からなかった……。だけど、後になって少将提督のことを思い出していた時に気付いたんだ」

吹雪「いったい何が気が付いたの?」

時雨「矛盾だよ。手記の内容と執務室の様子のね」
299 : ◆Paxl0Q5Mlk [saga]:2017/04/26(水) 02:39:07.47 ID:ADjjgfaL0
阿武隈「矛盾?」

時雨「そう。少将の手記の内容を読み解くと、少将は鎮守府内の捜索を行う為に艦娘たちに対して厳格な規則を課していたようだけど」

時雨「実はそれを除いても……少将個人としての性格や思想といった面においても、かなり神経質なところがあったみたいなんだ」

時雨「手記の中で少将は、仕事環境の整理整頓がどうとか、艦娘の公私混同がどうとか……そういう細かなことをかなり気にしていた」

不知火「そういえば……確かにそのような記述がありましたね」

時雨「おそらく少将が厳しい規則を課して風紀を徹底したのも、大本営命じられた任務の為の環境づくりという理由以外に、少将個人としての考え方に基づくところもあったんだろう」

時雨「少将は艦娘を兵器と割り切っていたような記述もあったし……入渠ドックの娯楽施設などの状態を見ても、彼は僕たち艦娘を人として見てはいなかったのかもしれない」

初霜「……」

時雨「それを踏まえた上で、執務室や提督の私室の様子を思い出してみると……何か引っかからない? 不知火」

不知火「私室や……執務室……」

不知火「どちらの部屋も荒れた形跡も少なく、比較的綺麗なままでしたが……」

不知火「…………あれ……ちょっと待ってください。そういえば、執務室の机……」

時雨「そう。僕と不知火が執務室に足を踏み入れたとき、執務室の中は綺麗なままだった」

時雨「だけど室内を探索した時にみた提督の執務机。その上は、本や書類がごちゃ混ぜになってて、かなり散らかった状態だった」

時雨「わざわざ愚痴を書き記すくらい神経質な性格が読み取れる手記の内容と、それとは裏腹に散らかったままの執務机……」

時雨「この2つの奇妙な矛盾が、僕はずっと引っかかっていたんだ」
300 : ◆Paxl0Q5Mlk [saga]:2017/04/26(水) 02:44:11.10 ID:ADjjgfaL0
時雨「もっと言えば、手記に関しても奇妙な点はある」

時雨「少将の手記は着任直後から毎日こまめに記されていたのに、9月12日を最後にぱったりとそれが途絶えていたんだ」

時雨「これも、窺い知れる少将の性格から考えてかなり不自然なことだ」

阿武隈「それが少将の異変?」

初霜「確かに妙な点は多いですけど……でも、それがいったい何を意味していると……?」

時雨「初霜。僕がさっき、少将提督は最後までこの地下施設を発見することは出来なかった。って言ったのを覚えてる?」

初霜「えっ?」

時雨「僕が……今、目の前にいるこの人が中将提督である。とする根拠の1つが、この少将の異変なんだ」

夕立「うーん……。時雨の言ってることの意味、よくわかんないっぽいぃ」

時雨「そうだね。なら単刀直入に言おう」

時雨「中将提督の後任として着任した少将提督。彼は途中からあなた――中将提督によって操られていたんじゃないかな?」
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 06:52:49.79 ID:hNrEpic5o
なんかワクワク感が足りない。
302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 07:48:47.55 ID:YQjgU0zb0
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 08:22:40.26 ID:+gFbZqtxO
本人の前で滅茶苦茶喋ってると思うとちょっとシュールだな
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 09:23:56.68 ID:v6FVFUcYo
そういえば怪物Aはなんで放置されてたんだろ
怪物BCにも襲いかかってくるほど危険なのに
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 09:46:18.28 ID:q1LDMnDdo
間違ってないんだけど
なんか犯人の前で長々喋ってる姿は微妙ww
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 11:38:03.88 ID:1dduJ2E0o
おつおつ
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 12:08:20.51 ID:cyoDP5HEO
>>304
Aが多分ていと……
308 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 12:28:15.26 ID:rEr44CI2O
サスペンスものとかでありがちだけど、これ敵さんの目の前で長々とくっちゃべってるのよね
その間に襲い掛かかってきたりしないのかしら
309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 22:30:14.74 ID:xER4avVD0
暇過ぎてスマホゲーでもポチポチやってるんじゃないか?
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 00:16:30.18 ID:dpJvB7wA0
多分、艦これプレーしているんじゃない?
311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 09:50:38.71 ID:avZI7iu1o
敵対者の目の前でも任務消化する提督の鑑だったか
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 09:51:28.76 ID:iYkk49Tuo
途中にもう少し犯人?の行動を入れれば違うんじゃねぇかなぁー
スマホポチするとか、椅子に座りなおす表現とか…
313 : ◆Paxl0Q5Mlk [saga]:2017/04/27(木) 11:48:50.49 ID:9nf+rHuS0
やり直したほうがいい感じ?
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 11:59:26.77 ID:OKVwJ8030
真犯人とかの前で長々と真相を話すのは割と定番なので気にする必要はないかと
ただ小出しで次の日に持ち越ししているため一気に読みたい人が焦れてくるんじゃないかな
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 12:46:18.01 ID:UhsEfck2o
わいはそんまんまいってもええと思うけどん
316 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 12:52:45.33 ID:ilthLtgaO
気にくわないならスルーすればいいだけ
わざわざ文句言う奴のためにやり直す必要なし
317 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 13:15:06.35 ID:p4kcn0BW0
いいから続きを
318 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 17:33:54.01 ID:avZI7iu1o
お約束はお約束でいいんだよ
やり直すくらいならはよ続きをよこせください
319 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 19:13:14.25 ID:Lpi74An70
やり直さなくていいです。そのままやっちゃってください
320 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 20:06:31.60 ID:bFsbit5HO
そんなことより続きをくれ
321 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 20:12:56.22 ID:PxnMxN2p0
道中で情報を与える難易度を高く設定し獲得する内容を薄くした当然の結果がこの時雨オンステージだしな
次回作があるなら活かしてもらうとして今回はこのまま行くしかないでしょ
陳腐だろうがここで全部喋らせないと作者も読者も消化不良で終わる
322 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 20:46:08.43 ID:0UK1NnQe0
答え合わせしてるんだからこれで問題ない
これ否定したら崖の上で真相を話す探偵達が恥ずかしい事になるんですが
323 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 21:08:20.22 ID:HhqMKdhJ0
別に答え合わせパートなんだからなんでもいいだろ。カプコン製のヘリコプターに乗せるぞ
324 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 21:51:49.19 ID:bv/0d343O
うっせぇみんな家族にするぞ
325 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 23:30:32.76 ID:Ms1ABZtDO
読者様湧いてんな
326 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 22:16:17.93 ID:ysMoEHW40
4月中に完結するんかなぁ
327 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/30(日) 04:51:46.30 ID:scWrCn/Go
うん、明らかに今日中に終わりそうにはないね
328 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/01(月) 22:39:25.15 ID:jKvXIFBlo
>>326
無理だった。
329 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/04(木) 20:34:25.75 ID:PKVuYnfNO
ここまで来たんだ
完結させてくれ
330 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/04(木) 21:46:13.88 ID:nwPm6rpoo
最初の最初辺り読んでた頃は吹雪が主人公かと思ったのにな
331 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/08(月) 08:24:29.17 ID:WfBLYRu0o
結局エタったか
332 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/08(月) 15:34:22.37 ID:RR2oE1FJ0
やっぱり今回も駄目だったよ
そうだな、次はこれを見ている奴にも付き合ってもらうよ
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/08(月) 15:51:27.76 ID:OyLEObzpo
仕事とイベントとかち合ってるんだろ
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/08(月) 18:01:03.56 ID:fgLmXac3O
正直、書いてる本人が白けきってるとこに寒い事言い出したらこうなるよな
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/08(月) 18:56:40.19 ID:hyP7s43Po
もう見る気すら起きんわ
どんな話かも忘れた
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/08(月) 19:06:12.36 ID:Ftug4Zovo
舞ってる
337 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/08(月) 19:34:24.94 ID:NuQLpVEso
豆腐メンタルかよ
338 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/09(火) 09:53:48.44 ID:As4uXS+Co
なんだ、もうちょっと最後はさっくりで良かったのではないかと…
時雨の一人語りが長すぎて、よくある探偵ものの何でお前だけこんな詳しいの状態に…
339 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/09(火) 10:06:15.75 ID:AUYdZFiD0
忙しいんだよきっと
340 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/09(火) 10:36:25.63 ID:pficCjBSO
本当の解答編はこれからやろ
まだ時雨探偵の推理情報の共有をしてる段階
おっさんが語りだしてからが本番や
341 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/09(火) 11:38:13.75 ID:08OjXv7N0
またE2で沼ってるかもしれん
342 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/09(火) 12:47:06.27 ID:csRpqJhMO
GW期間に1回も来ないのは流石になあ
343 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/09(火) 15:04:19.42 ID:RKraUTgVO
GW返上なんてブラック企業勤めのサラリマンにとってはチャメシ・インシデントよ
344 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/10(水) 16:23:05.58 ID:9ToPipDY0
ガッカリ
345 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/13(土) 02:56:53.06 ID:cx6M9xbOO
早漏ガイジ共に草
いつか更新されるから大人しく待ってろ
346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/18(木) 10:15:45.30 ID:QIwMODv50
現実を見ろ
347 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/24(水) 23:36:04.47 ID:sk7OeJBHo
エタったかのう…
348 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/25(木) 10:24:18.87 ID:Ypv44vek0
エタったと言うか外野が潰したと言うか…
また気が向いた時に書いてくれることを祈るしかない
349 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/25(木) 13:00:16.37 ID:+S/SmVifo
潰したというか、まあ読んだ側としてはなぁ
ただ時雨が一人で説明しているだけなのを
時々投下されてもなぁ
350 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/25(木) 13:40:13.76 ID:zAYjVFqDo
時雨の説明は一気に書いてくれた方が良かったな
地味なシーンを小出しにするもんだから読み手としてはどうしても退屈になったんだと思う
351 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/25(木) 18:27:30.66 ID:xgVgI52Q0
お、スレ潰した読者様の言い訳か?見苦しいぞ
352 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/25(木) 20:01:56.73 ID:5YlNYMDFo
つまんらんから批判されただけやで。

メンタル弱すぎ。自分の文体貫けばええだけやのに。気に入らん奴は無視すればええだけやのに。
353 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/25(木) 21:05:15.28 ID:YIBJy/FNo
何これコピペ?
354 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/27(土) 13:17:20.46 ID:2kgkbJxX0
ほぼ死んだスレになお死体蹴りする無自覚な読者様に目を付けられたのが運の尽き…
完結がより絶望的になったのが残念だけど作者の気まぐれが起こる事を願うばかり
355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/01(木) 21:41:37.51 ID:5AWuRc0N0
もう、6月やしなぁ…
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/06/23(金) 00:05:14.11 ID:R3195qQyO
おしまーい
357 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/23(金) 00:19:30.17 ID:mLwn3py0o
まだおわらんよ
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/23(金) 01:20:32.75 ID:SocHhnIxo
舞ってる
359 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/24(土) 00:41:19.80 ID:RYVs0lLMo
まだだ、まだ終わってない!
360 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/24(土) 01:47:17.80 ID:aaa4tT6yo
また最後の書き込みから2ヵ月が経とうとしてますね…
361 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/25(日) 02:38:50.02 ID:wgjORUddo
書かないなら落とせばいいのに
362 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/25(日) 09:44:34.39 ID:j9X7N0yb0
お前らが>>1を休ませないからだろ……クソめんどくさいだけの読者様なんか気にせずに書かないなら書かないで落として良いんだぞ>>1
363 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/26(月) 09:53:44.23 ID:eTKHVC11o
また引き続き時雨の話だけで終わるだけなのかなって
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/04(火) 20:18:17.18 ID:DytTWSaI0
皿仕上げ
365 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/10(月) 01:29:31.05 ID:lAcWiDrDO
だいたいのことは解ったが、まだ電の日記のこととかは解ってないまま
せめてそれだけでも明かしてくれんかね・・・
366 : ◆Paxl0Q5Mlk [sage saga]:2017/07/15(土) 00:08:49.94 ID:CXFmgjhU0
吹雪「ええっ!?」

阿武隈「操られて……でも、いったいどうやって?」

時雨「『薬品保管庫』で見つけたメモに、自我を奪う効能を持つ試薬のような物を使っていたって記述があったのを覚えてる?」

時雨「おそらくその薬を使って実験に使っていた艦娘たちの自由を奪っていたんだろうけど、それを少将にも使っていたとしたら……」

不知火「待ってください。仮に少将がその薬とやらを使われていたとしても、疑問が残ります」

不知火「自我を喪失などして正常な行動なんて出来るとは思えません。仮に少将が薬で自我を奪われていたとしても、他の艦娘たちが異変に気付くはずでは?」

時雨「確かに。メモの中でも投与した対象は廃人化してしまうような事が書いてあった」

時雨「しかしメモの最後の方には問題点を改善した試薬の改良型に関する記述もあったから、もしかすると廃人化という点は改善されていたのかもしれない」

不知火「少々強引ではないですか?」

時雨「まあ……実際にその薬の現物も見つけられなかったし、正直確証があるかと問われると微妙な所であることは否めない」

時雨「あるいは少将を取り巻く環境も要因の1つって可能性も考えられるよ。ここの艦娘たちの少将への心証はかなり悪かったみたいだからね」

時雨「艦娘たちと少将の接触が少ない……いや、少なくなるように仕組んでいたのかもしれない」
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/15(土) 00:18:01.40 ID:13rlb6bb0
待ってたー!
368 : ◆Paxl0Q5Mlk [saga]:2017/07/15(土) 00:18:30.55 ID:CXFmgjhU0
初霜「だとしても、どうやって少将提督に薬を盛ったんです?」

初霜「時雨さんの仰る通りだとして……中将提督は少将提督の目を逃れる為に地下に潜った」

初霜「そんな状況で地上に出るのはリスクが高過ぎると思います。仮に人目を避けて地上に出たとしても、提督に薬を盛るなんて芸当……とても実行できるとは思えません」

時雨「そうだね。せっかく潜伏したのに頻繁に出入りしていたら露見するリスクは高くなる。中将もそんな愚は犯さないだろう」

不知火「では、どうやって?」

時雨「中将が地下から動けない以上、地上にいる少将に接触を図る方法はただ1つ……。地上に協力者がいたんだ」

吹雪「協力者?」

時雨「うん。中将には、自分が地下に潜伏した後も鎮守府の状況を窺い、時にはコンタクトを取るための協力者が存在したんだ」

時雨「その人物を少将に接触させ、彼に最も近い位置である秘書艦の座に就かせて……薬を盛るチャンスを窺わせた」

阿武隈「じ、じゃあ……その協力者って」

時雨「そう。中将と最も付き合いが長い存在といわれ、さらに中将失踪後すぐに少将の秘書艦に抜擢された艦娘」

時雨「今もそこで眠っている電。彼女が中将の協力者だったんだ」


中将「……!」


電「――――」ゴポポッ

369 : ◆Paxl0Q5Mlk [saga]:2017/07/15(土) 00:26:59.53 ID:CXFmgjhU0
吹雪「電ちゃんが……」

初霜「中将提督の、協力者……」

時雨「少将の手記によれば、少将は着任後の秘書艦選びに難航していたらしいけど、前任の代でも秘書艦を務めていた電の手腕に着目し高評価していた」

時雨「対する電も、少将への不満などは口にせず彼に従っていた。長門さんら他の艦娘達が不審がるほど忠実にね……」

時雨「おそらく電は少将に接近する為に、彼に気にいられるよう演技していたんだ。秘書艦の日誌や他の資料等でも、この頃から電の様子が変わったことが示唆されていたしね」

時雨「そうやって電は見事に少将の信頼を得て彼の秘書艦に任命された。秘書艦になれば少将に薬を盛るチャンスはいくらでもあったはずだ」

時雨「少将が中将たちの手に落ちたのは、あの手記が途絶えた頃……9月の中旬頃には、既に操られていたんだろう」

不知火「しかし、どうしてそんなことを……?」

時雨「理由は大本営の捜索から逃れるため」

時雨「地上で自分の生死と地下施設を探っている少将は、中将にとって目下の脅威であり邪魔な存在だったんだろうけど、だからといって下手に手出しも出来ない」

不知火「強引に排除なんてすれば、それこそ大本営に怪しまれてしまいますね」

時雨「そこで薬を使って少将を操ることで、少将という存在は排除せず脅威だけを取り除くことを思いついた」

阿武隈「なるほどね。少将を操っていたのなら、少将を装って大本営に偽の報告を上げるなんて事も出来るだろうし……。始末するより利用価値があったって訳ね」

時雨「うん。そうやって目下の脅威を除き、さらには地上に便利な代理人を置くことまで成功した中将は、地下での研究に専念できる環境を手に入れた」

時雨「細部まで合ってるとは思ってないけど、だいたいの流れとしてはこんな感じのはずだ」

370 : ◆Paxl0Q5Mlk [saga]:2017/07/15(土) 00:40:52.85 ID:CXFmgjhU0

ピピーッ ピピーッ ピピーッ


時雨「!」

阿武隈「なに……?」


中将「……」カタカタ...ピタッ


時雨(機械の操作を止めた……?)


中将「…………」

中将「……お前は駆逐艦時雨か?」

時雨「! ああ……そうだよ」

中将「大したものだ。まるで見てきたかのようだ」

阿武隈「じゃあ、やっぱり……!」

時雨「僕の推理は正解だった。ってことでいいのかな?」

中将「ああ。まさか時雨がここまで頭が切れるとは……」

中将「私の元にいた時雨はすぐに使ってしまったが……惜しいことをした。いや、個体ごとの差かもしれんがな……」

時雨「!」

不知火「こいつ……っ!」

時雨「なるほどね……。この艦隊の僕は、既にあなたの実験に使われていたから居なかったのか」

夕立「……!」

中将「そこまで分かっているのなら、その先のことも突き止めているのか?」

時雨「……ああ。だいたいのことは、ね」
371 : ◆Paxl0Q5Mlk [saga]:2017/07/15(土) 00:51:50.37 ID:CXFmgjhU0
時雨「少将を支配下に置き、大本営の目をかわせるようになったあなたは、本格的に研究を進め始めた」

時雨「その研究とはさっきも言った『深海棲艦を絶滅させる』為の研究」

時雨「たぶん最初は深海棲艦を倒す糸口を探る為に、深海棲艦に関する研究から始めたんだろう」

不知火「『検体保管室』にあった深海棲艦の標本や資料は、やはり深海棲艦のことを調べていた痕跡だったのですね」

時雨「少将を介して艦隊にも指示を出せるようになったことを利用して、艦娘たちに深海棲艦の残骸等の実験に使う素材を集めさせていたんだろう」

時雨「実際、執務室に残されていた『極秘命令書』にも、それを匂わせる記述があったからね」

時雨「だけど深海棲艦の残骸程度の素材で研究が捗っていたとも思えない……。おそらく研究は直ぐに暗礁に乗り上げたはずだ」

時雨「そこであなたが目をつけたのが……」

吹雪「鎮守府の艦娘、だね?」
372 : ◆Paxl0Q5Mlk [saga]:2017/07/15(土) 00:56:06.71 ID:CXFmgjhU0
時雨「そう。生物の生死に関わる研究なら当然生きた素材が必要になるはずだ。あなたはその素材に艦娘を利用することを思いついた」

時雨「少将を操っていたなら、地上の艦娘たちを秘密裏に攫うことくらいそう難しくはないはず」

時雨「しかも鎮守府では、少将が敷いた厳格な行動規定が設けられていたんだから尚更さ」

吹雪「そうか。任務以外の鎮守府内での行動が制限されてて、人が居ない状況を作り易い環境だったなら」

不知火「他の艦娘たちに知られることなく、特定の艦娘を攫うことも可能……」

初霜「少将提督が敷いた体制を逆に利用したんですね」

時雨「うん。僕の予想通りなら、少将は比較的早い段階で操られ始めたはず」

時雨「しかしその後も鎮守府の自由は制限されていった……これは少将に成り替わった中将の思惑で、実験に使う艦娘を攫い易くする環境を作ることが目的だったんだ」

阿武隈「つまり地上で起きていた『神隠し事件』の真相は、中将によって艦娘たちが次々と拉致され……地下で実験に使われていたってことね」


中将「……ふん」

373 : ◆Paxl0Q5Mlk [saga]:2017/07/15(土) 01:10:21.59 ID:CXFmgjhU0
夕立「でも深海棲艦を絶滅させることと、艦娘への実験っていうのにどういう関係があるの?」

時雨「それに関しては、検体保管室にあった記録から考えることが出来るけど……夕立と初霜は実際に見てはいないね」

夕立「ぽい」

時雨「検体保管室には『深海棲艦細胞に関する記録』が残されていたんだけど、その内容を見ると中将は深海棲艦の細胞に注目していたようなんだ」

時雨「同時にその記録の中には、深海細胞を素に何かを生成したという記述も残っていた」

初霜「何かを生成……?」

時雨「その記録から分かる限りでは『γ17』って名称の物質が実際に深海細胞から生成されたらしい」

吹雪「γ……あれ、これってどこかで……」

時雨「気付いたかい? そう……僕たちが見つけてきた資料の中にもう1つ。同じγという記号の入った物について書かれている資料があるんだ」

時雨「それは……ここにある『真新しい手記』。ここに書かれているγ-13号弾という物にも同じγの記号が使われているんだよ」

時雨「この手記に書かれているγ-13号弾という物は、おそらく『開発室』で研究されていた深海棲艦に対する新型の特殊弾。それの完成品だ」

時雨「そしてこの特殊弾の名称に使われているγという記号が、深海細胞から生成したというγという物質を示すものだとしたら……」

阿武隈「まさか……中将提督が作っていたのって」

時雨「深海細胞を使った対深海棲艦用の生物兵器。これが中将が目論んでいた『深海棲艦の根絶やし』の鍵。その正体だよ」

時雨「地下に連れてこられた艦娘たちは、この兵器を作るための人体実験に使われたんだ」
374 : ◆Paxl0Q5Mlk [saga]:2017/07/15(土) 01:15:39.78 ID:CXFmgjhU0
吹雪「生物、兵器……」

初霜「そんな物を作っていたなんて……しかも実験の為に艦娘たちを……失踪する以前には一緒に戦ってきたはずの艦娘を使うなんて……」

不知火「この男も少将と同類……我々艦娘のことなど、消耗品程度にしか思っていなかったのでしょう」


中将「……」ピクッ


時雨「……だけど、その兵器が完成するまでの間にもう1つ。事件が起きていたんだ」

阿武隈「もう1つの事件?」

時雨「この手記にも書かれている通り、この生物兵器はまだ最終実験というものも済んでいない。完成に至ったのは本当にごく最近のことなんだろう」

時雨「つまり、生物兵器の開発にはかなりの時間が掛かっていた。その間に起きたのさ……この鎮守府を廃墟に変える出来事が」
375 : ◆Paxl0Q5Mlk [saga]:2017/07/15(土) 01:24:53.96 ID:CXFmgjhU0
時雨「操った少将を使って大本営に偽の報告を送り追及をかわし続けていたんだろうけど、やがてそれにも限界が来てしまったんだ」

時雨「不知火、執務室のゴミ箱に捨てられていた命令書を覚えてる?」

不知火「ええ。あのクシャクシャにされた……何かの催促状のような書類ですね」

時雨「そう。不知火の言った通りあの命令書は、大本営から送られてきた少将への報告の催促だったのさ」

時雨「命令書の日付は2014年の1月。この頃にはもう少将を使った時間稼ぎは限界を迎えていたんだろうね」

時雨「一向に調査に進展を見せない少将を不審に思い始めた大本営は、たぶん少将に代わる新たな人間の派遣か、もしくは本格的な調査の手を入れるくらいの検討に入っていたんだろう」

時雨「もしそうなれば、せっかく作り出した研究環境は台無し。それどころか生物兵器が完成する前に全てが露呈してしまう危険すらあった」

阿武隈「進退窮まった、ってことね……」

時雨「追い詰められたあなたは、遂に最悪の手段に打って出た……それが『終末計画』だ」
376 : ◆Paxl0Q5Mlk [saga]:2017/07/15(土) 01:39:28.81 ID:CXFmgjhU0
初霜「終末計画?」

時雨「『オフィス』に残されていた書類の中に、そういう名称の作戦書があったんだ」

時雨「おそらく終末計画とは、大本営に中将の企みを察知された場合を想定した最終手段」

時雨「全てが露見する前に、全てを巻き添えに自爆する計画ってところだろう」

吹雪「じ、自爆!?」

時雨「正確には、自爆した風を装うのが目的。って言うべきか」

時雨「この頃にはまだ生物兵器自体は完成してはいなかったのだろうけど、試作品くらいは出来上がっていたんだろう」

時雨「開発室にあった報告書によると、特殊弾の実験自体は既に何度か行われていたみたいだしね」

阿武隈「じゃあ……それを使って」

時雨「試作段階の生物化学兵器を使い、大本営の手がこの施設に及ぶ前に鎮守府ごと崩壊させたんだ」

時雨「もちろん単なる事故――生物兵器が誤って使用されてしまった可能性も考えられるけど」

時雨「この計画の存在を考えれば、事故ではなく意図的なものだったとみてほぼ間違いないはずだ」

時雨「全ては大本営の目を今度こそ完全に逸らせる為……その為に地上で未知の生物化学兵器が使用されたんだ」

不知火「では、地上に残っていた艦娘たちは……」

時雨「開発室の報告書では、試作の段階でも艦娘と深海棲艦に対して何らかの強力な破壊作用が認められていたみたいだからね」

時雨「詳しい作用は分からないけど地上の惨状を見るに……鎮守府に残っていた艦娘たちは為す術もなく全滅したんだろう」

初霜「なんてことを……」

時雨「結果として計画は成功し、大本営も鎮守府は完全に崩壊したものと判断したんだろう」

時雨「後に大本営が調査の手を入れたかどうかは分からないけど、今日までこの地下施設が閉ざされていたことから、遂に発見されることはなかったんだろう」

時雨「あるいは、ここが崩壊した時点で下手に手出しせず、存在自体を本当に無かった事にしようとしたのかもしれない」

時雨「この地の存在そのものが、大本営にとってかなり都合の悪いものだったみたいだからね」


中将「……」


時雨「これが僕の考えるこの鎮守府で起きた異変の真相。そして鎮守府が廃墟と化した理由だ」
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