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楓「拝啓、忌まわしき過去に告ぐ絶縁の詩」【偶像喰種・外伝後編】
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70 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/02/03(金) 22:23:39.66 ID:N0thDAtS0
生存報告
来週には再開する予定です
71 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/02/04(土) 02:23:07.99 ID:y9h9gZZT0
>>70
乙です
いつまでも待つので焦らずじっくりお願いします
72 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/02/09(木) 23:57:47.44 ID:SrO+PGzG0
〜現在・星輝子〜
ど…どうも。星輝子だ……
甲赫の"喰種"……座右の銘は、「キノコはトモダチ、エサじゃない」……フヒ
こんなのでも、一応アイドルで……
今年の梅雨まではトモダチのシイタケクンと一緒にジメジメしてたはずが……
プロデューサーに見つかって、オーディション会場に引きずり出されて……
気付けば、アイドルに……
どうして、こうなった……
い、いや、楽しいけど……
まゆさんや小梅ちゃんに出会って……
幸子ちゃんって言う、人間だけど、可愛い子とも仲良くなって……
楽しいけど……
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
楓「……うふふっ♪」
ど、どうして、私はここにいるんだ……?
73 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/02/10(金) 00:03:56.18 ID:GIopvlMq0
今日はここまで。とりあえず1レスだけ更新。
凛ちゃんは卯月を失っても未央がいればギリギリ闇堕ちせず踏みとどまれるんじゃないかなーとか、某バトロワssを見て考えてました。
両方失うとやばそう
74 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/02/10(金) 02:00:24.65 ID:aBluw/nV0
乙
75 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/02/24(金) 21:56:17.54 ID:953BNBgz0
……え、ええと……このヒト……
いやヒトじゃないのか……?
いや、半分ヒトか……?
ともかく……このヒトは高垣楓さん。
元々モデルだった人で、今では346プロダクションで一番人気のアイドル……
そ、そりゃ、そうだよな……
背が高くて、目は綺麗なオッドアイで、歌声も、雄々しさと清らかさがあって……
私のようなジメジメグールは、近くにいるだけで干からびそうだ……
……そ、それでだ。
楓さんは……私も、人から話を聞いただけなんだが……
「人と喰種の混血」、らしい。
親のどっちかが人間で、もう片方が"喰種"……
母親が餌と間違えて吸収してしまったり、そもそも栄養が足りなくて、本当は子どもなんかできないらしいが……
それでも、「奇跡」が起こって生まれる場合があるって……
76 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/02/24(金) 21:56:56.46 ID:953BNBgz0
じゃあ、私も「混血」かもしれないのか……って思ったことがある。
私は、親の顔知らないしな。
「モノゴコロ」が付いた時には、傍にはキノコしかいなかった……
い、いや、私の話は今はどうでもいいんだ。
楓さんの話をしよう。もしくはキノコ……シイタケクンの話、するか……? してもいいのか……!?
……な、なわけ無いですよね、ハイ。楓さんの話をします、ハイ……
普通の"喰種"と、「混血」にはちゃんとした見分け方があるんだ。
それは「混血は片目だけが赫くなる」ってこと……
私はしっかり両目が赫眼になるから、普通の"喰種"でした……
蘭子ちゃん……えっと、小梅ちゃんとよく一緒にいる子で、この子も「混血」なんだ……
346には楓さんと蘭子ちゃんで、2人の「混血」がいる。
その子には、片目だけの赫眼を見せてもらったことがある。
蘭子ちゃんは右目だけが赫くなってて……楓さんは左目が赫くなるらしい。
そんな目の特徴から、楓さんや蘭子ちゃん、人と"喰種"の混血として生まれた人は……
―――「隻眼の喰種」って呼ばれる。
77 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/02/24(金) 21:57:33.56 ID:953BNBgz0
隻眼の喰種はすごいらしい。
人と同じご飯を食べることが出来るのに、赫子を出すことも出来る。
しかも、普通の"喰種"とは比べ物にならないくらい強い赫子をだ。
蘭子ちゃんはどうだったか、聞いたことはないが……
楓さんの方は、とんでもない話をよく聞く。
なんでも物凄い数の捜査官を、一度に相手にして勝てるとか……
その数は、山で見つかるキノコをかき集めても足りないくらいだとか……
私達"喰種"は人間を食べるが……楓さんは"喰種"も食べてたとか……
そんな話が346中の喰種に伝わっているから、"喰種"アイドルの大体が、楓さんを怖がってる。
瑞樹さんや、美優さんみたいな、楓さんのことを知ってる"喰種"なのに普通に話しかけてる人たちもいるけど……
…あの人たちはあの人たちで、すごいよな……
78 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/02/24(金) 21:59:56.73 ID:953BNBgz0
そう言う私も……いや、怖いのが全部じゃないんだ。
アイドルとして、ステージで歌ってる姿はすっごくキレイだから……
そう言うところは、すごいって言うか……尊敬してるんだ。
えっと……別に噂通りの怖い人ってわけじゃないんだと思う。
蘭子ちゃんに皆でハンバーグを作ったとき、楓さんも参加してて……
その時、優しそうな顔で笑ってたから。
思ったより怖い人じゃないのかな……とは、思ったんだ。
でも、それでも……
楓さんは何か「特別」な感じがする。
生まれもそうだし、見た目とか、アイドルとしてのオーラ…?とか……
私みたいなのとか……あとは、小梅ちゃんたちみたいな普通の"喰種"とか。
同じ隻眼でも、蘭子ちゃんは親しみやすくて……
楓さんは、周りにいる人達とはいろいろと違ってると思うんだ。
だから、正直ちょっと話しかけづらい。
元々、自分から話しかけるなんて出来っこないが……
楓さんは、とくに。
79 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/02/24(金) 22:01:28.40 ID:953BNBgz0
それは、それとして。
なんで……
……なんで私は…………
楓さんのミニライブに呼ばれているんだろう……
凛「……?」
卯月「あ、あはは……」
未央「アレワタシナニカワルイコトシタノカナナンデコノメンバーナンダロカエネエサマオコッテルカカエデサマナニカキニサワルコトデモアレナニドシテ」ガクガク
蘭子「これが世紀末歌姫の魔力……!?」フルフル
楓「あら? もっと気楽にしてくれていいんですよ? ……きらっ、とね?」
……まあ、呼ばれたのは私だけじゃないんですけど……フヒ
80 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/02/24(金) 22:31:19.94 ID:953BNBgz0
今日はここまで。
やっと全体プロットができてまともに続きを書けるようになりました。
81 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/02/25(土) 22:49:36.36 ID:EuOtddn00
楓「……んー……」
卯月「」カチカチ
未央「」コチコチ
蘭子「」カチコチ
この仕事で、私は2回ほどビックリさせられた……
1回目は、仕事の話が来たとき。
……このゲスト参加のお仕事は、私の親友からいきなり伝えられたものだ。
楓さんの名前が出た時は……気絶しそうになったな……
ゲストが私一人だったら、たぶん枯れていた……
今でさえ枯れそうですけどね……
楽屋では楓さんが椅子に座ってたから、私達5人は床に正座してました……
何もしてないけど、なんかそうしなきゃいけない気がしたんです、ハイ……
ちなみに今、楓さんも合わせて正座されてます……
なんだこれ……
……話を戻そう。
仕事の話のほかに、もう1回ビックリしたのは……
凛「……あの」
82 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/02/25(土) 22:50:05.29 ID:EuOtddn00
楓「! あら、どうしたんですか?」
楓「確か……凛ちゃん、ですね?」
凛「うん」
輝子「!?」
あ……あの凛さんって人……
特にためらわずに、楓さんに話しかけただと……!?
……あとで未央さんに教えてもらったことだけど……
凛さん、"喰種"の噂話については単に興味が無くて疎かったらしい。
だから、楓さんのこともあんまり恐れてないのか……
83 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/02/25(土) 22:51:40.26 ID:EuOtddn00
凛「……会場。ここで本当に合ってるんですよね?」
楓「ええ! 間違いなく……マッチが無くても♪」
凛「それにしては……」
凛「……会場、小さい気がします」
卯月「そ、そうですよね……?」
未央「別に、小さいからどうだって話じゃないとは思うけど……」
蘭子「この場に如何様な魔力が……?」
そう。
もう1回ビックリしたのは、この会場にきたときだ。
場所は、漫画とか、DVDとかを売っているお店の一番上の階……イベント用のスペースらしい。
つまり、ものすごく狭いところだったんだ。
……いや、さすがに机の下よりは広いけどな……
それに私は狭い方がいいし、ちょっとホッとしてるが。
それでも……私がデビューしたときの会場より、ずっと小さくて狭い。
84 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/02/25(土) 22:56:14.86 ID:EuOtddn00
……いや、箱が小さいことに文句を言うつもりはない。
私も最初は、少ないファンの前で歌った。
ボッチだった私が、プロデューサーという親友を初めて持って。
ジメジメしたやつなりに、ステージの圧力に負けないように、必死に歌っていたら。
初めてのステージが終わった後……何人か、私に向かって拍手してくれた。
その中には"喰種"も人間もいた。
本当なら、小さい私なんかエサにしてくるはずの"喰種"に。
私なんか気にも留めないか、汚いものを見る目だけ向けて来るかだけの人間が、だ。
そういうものだと、思っていたのに……
あの人たちは、優しくて、楽しそうな顔で笑ってくれたんだ。
ずっと日陰者でボッチだった私に、何人もの人が笑顔を向けてくれたことを、私は忘れたことはない。
アイドルにも慣れて、ファンというトモダチが増えて、あと、アイドルのトモダチもできて。
あの数は「しょぼい」って言うものだったと知った今でも……
やっぱり、私にとって、あの人たちはすごく眩しかった。
すごく大事にしたいって思ったんだ……
……あの、スミマセン。
自分語りばっかりだな。ほんと……スミマセン。
私が言いたかったのは、けっして会場の小ささが不思議ってわけじゃないってことだったんだ。
問題は、その小さい会場にいる人のことで……
なんで、この人が……
凛「なんで、楓さんがこんなところで……?」
85 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/02/25(土) 22:58:35.38 ID:EuOtddn00
今日はここまで。
大阪両日で応募してたけど両方落ちました。まあ1セットずつしかCD買ってなかったし当然っちゃ当然。
ハイファイ一枚で取れた去年がおかしかったんだ。
86 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/02/26(日) 00:05:46.31 ID:H/b9r0mR0
乙
原作ピエロとかえらいことになってんな
87 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/02/26(日) 00:31:39.66 ID:t3C5XZj40
>>86
そっすねえ
ピエロとかフルタとか和修とか、正直このシリーズを書き始めた頃に鍛えた知識では
原作の理解が追い付かなくなってきてます
88 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/02/27(月) 20:19:18.81 ID:zYet9Dkf0
凛さんが、私の疑問を言ってくれた。
卯月さんたちの方を見ると、みんな同じことを思ってたみたいだ。
自分から言わなかったのは、もしかしたら楓さんを怒らせるかもしれない……と思っていたからなんだが……
楓さんは、くすくすと笑って答えてくれた。
楓「意外かもしれませんけど」
楓「ここ、私のデビューライブの場所なんです♪」
…………
「「「―――――えええええええええ!!?」」」
89 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/02/27(月) 20:19:59.64 ID:zYet9Dkf0
未央「え! は!? 嘘!? 楓さんほどの人が……お方が!? ここで!?」
卯月「私達よりずっと狭い場所ですね!?」
凛「もっと大きな舞台かと思ってた……」
蘭子「歌姫は馬小屋にて産声を上げた……?」
楓「もう! お仕事には大きいも小さいも無いんですーっ」
少しだけむくれる楓さん。
……あの、蘭子ちゃん。馬小屋はひどくないか?
あ、神様の話に出てくるのね。
……神様、か。懐かしい言葉だな……
90 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/02/27(月) 20:21:07.73 ID:zYet9Dkf0
楓「……まあ。私も、後から知ってびっくりしました。ここは、普通346のアイドルがデビューライブを行う場所よりずっと小さいって」
楓「実はここでのお仕事、プロデューサーさんは『あえて』ここを選んだみたいなんです」
楓「かつては『隻眼の王』なんて呼ばれて、誰もが恐れる私を捕まえて……あえて」
『―――あなたは誰ですか? 私の暇つぶし相手ですか?』
『? そうですよ? 少しの力で死んでしまうひと達が、暇つぶし以外の何かになるんですか?』
『だって、つまらない人ばかりですから』
『決まったポーズしか求めないカメラマンさん、睨むか物陰で悪口ばかりの同僚さん』
『大声を上げて、勝てもしないのに私に襲い掛かって来るだけの"喰種"や捜査官』
『悲鳴を上げるだけの、さらに弱い"喰種"や人間』
『そんな人たちしかいないのに』
『??? どうして? どうして、貴方には勝てないんでしょうか』
『……私は、死ぬのでしょうか』
『ああ、そうですか』
『……えっ?』
『……アイドル?』
楓「……」
楓「……でも、この会場はすてきなところです」
楓「だって、ほら」
91 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/02/27(月) 20:21:34.97 ID:zYet9Dkf0
楓さんは目をつぶる。
静かになった楽屋には、私達以外の声が響いていた。
『楓さんまだかなー』
『へえ! 初ライブに参加してた人なんですか!』
『サイリウム、余分に持ってきてるんです。良かったらどうぞ!』
『今日はニュージェネが来ると聞いてチケット買いました!』
『きのこはいいぞ』
『じゃあ蘭子ちゃんの可愛さについて語ってあげましょう!』
とても近い場所から聞こえる声だった。
楓「――こんなにも、ファンの皆さんが近いんですから」
――――――――――――――――――――
92 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/02/27(月) 20:22:01.69 ID:zYet9Dkf0
―――その後、ファンの列が崩れるトラブルがあった。
そこに楓さんが現れて、解決してくれた。
皆と一緒にうちわを手渡してる時も、舞台で歌っている時も。
来てくれた楓さんの……トモダチ一人一人に、楓さんはニッコリ笑いかけていた。
おお、なるほど……
楓さんはこういう人なんだ。
私と同じことを考えていた人。
こう言うのを、親近感って言うのだろうか。フヒ
そう言うことなのかな。
私や、蘭子ちゃん。
凛さん、卯月さん、未央さんが呼ばれた理由って。
みんな、楓さんに親近感を抱いてるんだろうな。
93 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/02/27(月) 20:22:28.43 ID:zYet9Dkf0
――――――――――――――――――――
そして、ミニライブは無事終わった……
蘭子「碧眼の女神!」
楓「あら? 女神って私のこと?」
蘭子「うむ! 是非とも、碧眼の女神が為した業を奏でよ!」
楓「業? そうね……業なら……喰種に自分の赫子を仕込んで、無理矢理動かしたお話とか……」
蘭子「ぴいっ!? い、否! 業とはそのような堕天の印に非ず!」
楓「あら! 続きを話して欲しいのね? そうそうこの方法、死体にも有効でー……」
蘭子「ちがいます〜っ!」
凛「すごいね。蘭子、すっかり楓さんに懐いてる」
卯月「まるで親子みたいですねっ!」
未央「親子とな? ……そう言えばかえ姉さまとらんらんって共通点多いよね。羽赫だし何より……」
凛「未央。そういう話は、今はいいんじゃない?」
未央「……そうだね! かえ姉さまも、私達と同じアイドルだったって分かったし!」
卯月「楓さんがすごく近くなった気がしますね!」
卯月「ね、輝子ちゃん!」
輝子「!」
輝子「……ああ、そうだな……!」
94 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/02/27(月) 20:23:07.14 ID:zYet9Dkf0
卯月「ところで……楓さんにあの会場を充てたプロデューサーって一体どんな人なんでしょう?」
凛「そう言えばそうだね。楓さんのプロデューサー、見たこと無いな…」
未央「すごいよねその人。度胸あるって言うか、怖いもの知らずって言うか」
輝子「……」
神様。女神。
アイドルになる前は、知らなかった言葉だった。
意味を教えてくれたのは、まゆさんだったな。
輝子『――なあ、まゆさん』
まゆ『? どうしました、輝子ちゃん?』
輝子『この間きいた言葉なんだけど……「カミサマ」ってなんだ?』
まゆ『神様、ですか?』
輝子『うん』
95 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/02/27(月) 20:23:37.05 ID:zYet9Dkf0
まゆ『宗教……って言っても、輝子ちゃんは知りませんよね』
まゆ『そうですねえ……』
まゆ『……神様って言うのは、心から信じられるもののことです』
まゆ『人間は、その「神様」のために、なにかを我慢したり、生きる力が湧いたり』
まゆ『…誰かを殺す事だって出来るんです』
輝子『す、すごいな人間……』
まゆ『そう考えたら、まゆにとっての「神様」は……まゆのプロデューサーさんですね♪』
まゆ『輝子ちゃんには「神様」はいますか?』
輝子『え? ……えっと……』
輝子『そ、そうだな。トモダチのシメジクンだったり……』
輝子『親友とか、小梅ちゃんとか、幸子ちゃんとか……』
輝子『ファンの皆や……まゆさんのためになら、ちょっとくらいお腹がすいたり、仕事を減らされても我慢できるかな……』
まゆ『!』
輝子『こ、殺すのは……どうだろう……あ、ブナシメジクン、エリンギクン、あとあと藍子ちゃん、愛梨ちゃんもカミサマだな……』
輝子『ど、どうしよう……一人に決められない』
まゆ『……くすっ。別に神様を一人にする必要なんて、ないんですよ?』
96 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/02/27(月) 20:24:54.70 ID:zYet9Dkf0
輝子「……」
まゆさんが教えてくれた通りなら。
私にとって、ファンの皆はトモダチで、カミサマだ。
みんながいるから、生きていて楽しい。
…こんなにカミサマが多かったら、クラリスさんに怒られるかな……
……楓さんにとっても、そうなのか?
楓さんも、楓さんのファンのおかげで、生きられるのかな。
ファンのためなら、何かを我慢することが出来るのかな。
――――――――――――――――――――
97 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/02/27(月) 20:26:00.54 ID:zYet9Dkf0
――――――――――――――――――――
美城「フフフ……できたぞ! 『プロジェクトクローネ』だ!」
美城「新人や仕事の少ないアイドルにも輝く星はあるじゃないか」
美城「私の権限が足りず4人ほど削る羽目になったが……まあいい。早速メンバーを召集しよう!」
美城「待っていろ……この6人で直ちに成果を出し、私が正しいと言うことを証明してやる」
美城「ゆくゆくは美城の在るべき姿を……っ!」
早苗「楽しそうねあの常務」
セクギルP「結構人材集めに苦労したみたいですしね。達成感でハイになるのも分かります」
早苗「それにしてもキャラ変わりすぎじゃない? もう少し静かな人だと思ってたわ」
P「言わないであげてください……」
98 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/02/27(月) 20:26:42.30 ID:zYet9Dkf0
ヴーッヴーッ
早苗「…来た」
P「? 誰からです?」
早苗「んー…昔の後輩から! ちょっと集まる約束してたのよ」
早苗「と言う訳で今日はあがるわね! お疲れー!」
P「お疲れさんです」
早苗「……」
――――――――――――――――――――
ガチャ
早苗「よっ、久しぶり!」
早苗「どう? 結果出た?」
早苗「…ん? ええ、誰にも教えてないわよ。極秘で頼んだ捜査だもん」
早苗「あたしのプロデューサー君にも雫ちゃんにも黙ってるわ」
早苗「……それで、どうなのよ」
早苗「ユッコちゃん、見つかった?」
99 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/02/27(月) 20:27:16.95 ID:zYet9Dkf0
早苗「…そう。まだ見つかってないのね」
早苗「何よ? 気にしてないから、まだ言いたいことがあるなら言っていいわよ」
早苗「は? スプーン? ユッコちゃんの?」
早苗「帰り道に落ちてて、指紋も付いてる……?」
早苗「何よそれ。……誘拐ってこと?」
早苗「…………」
早苗「―――――"喰種"の、体液?」
早苗「…待って。待ちなさい」
早苗「それってまさかユッコちゃんが食べられたってこと?」
早苗「……落ち着けるわけないでしょ!? 冗談じゃないわよ!」
早苗「客のことなんて今はどうでもいいわよ! そんなことより……」
早苗「……客? 誰よそれ」
早苗「…………え?」
早苗「……喰種捜査官?」
100 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/02/27(月) 20:28:01.89 ID:zYet9Dkf0
――――――――――――――――――――
早苗「……あなた達が?」
?「ええ。この度は、私達にお時間を割いていただき感謝します」
??「ッス」
?「貴女の同僚である堀裕子さんの持ち物と思われるスプーンから採取された"喰種"の体液について」
?「我々CCGが過去に得たデータと照会することで、その身元をある程度特定できました」
??「どーやらあたし達が追ってる組織のやつがユッコちゃんを誘拐したみてーだぜ」
??「ウチでつけた名前は『キャッスル』。ユッコちゃんみたいな新人アイドルや美少女をあちこちで攫ってる奴らだ」
?「私達は、一身上の都合で志願してこの事件の捜査に携わっています」
?「ほんの少しの情報提供で構いません。どうか、早苗さんや貴女の仲間にこれ以上魔の手が伸びないよう」
?「私達に協力していただけませんか」
101 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/02/27(月) 20:30:44.62 ID:zYet9Dkf0
早苗「……あたし、今はもうただのアイドルよ?」
早苗「何が出来るってわけじゃないけど……」
早苗「放っておくと皆が危ないのね。いいわ、協力する」
早苗「それに、あなたたちも他人事じゃないもんね」
早苗「…ただし。その代わり、ちゃんとユッコちゃんのこと探してちょうだい」
早苗「……それで?」
早苗「橘準特等に」
早苗「市原一等捜査官」
早苗「あたしは何をすればいいの?」
102 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/02/27(月) 20:34:24.71 ID:zYet9Dkf0
今日はここまで。ちょっと出だしがコケた感じはしますが、とりあえず15話範囲は終了です。
輝子の中の人の松田颯水さんって声優で双子のお姉さんがいたんですね…。初めて知りました。
次回ウサミン回の予定です。またの名を346版エリーゼ回。
103 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/02/27(月) 20:55:34.18 ID:zYet9Dkf0
…すんません。最初に注意書き入れるの忘れてました。
オリキャラ出ます。出ました。
104 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/02/27(月) 23:42:33.99 ID:hz5fMYjwO
おつん
105 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/02/28(火) 08:49:00.33 ID:oyBYwCEV0
杏「拝啓、忌まわしき過去に告ぐ絶縁の詩」【偶像喰種・外伝小ネタ、短編集】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1486942971/
一応宣伝。
外伝後編で書けないネタが浮かんだら
このスレに投下する感じで行きます
106 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/01(水) 01:29:03.40 ID:Vbu8DVk3O
アニメ準拠なら志希にゃんは出ない感じか
107 :
◆AyvLkOoV8s
[sage]:2017/03/01(水) 17:13:46.09 ID:i/tPTgV60
>>106
とりあえずこのスレじゃ出ないと思いますねー
ちなみに志希にゃんの嗅覚でも人と喰種の判別は出来ない設定です。
108 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/03/03(金) 22:04:38.69 ID:ERLJoYu20
346アイドルの設定いろいろまとめてみました
http://imgur.com/zpYwG3a
http://imgur.com/Oq0rEZN
http://imgur.com/oN1O9Z2
続きの執筆が捗らなかったのでねー…
109 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/03/04(土) 01:54:42.17 ID:Yzgu2mrH0
乙です
少し見ない間に輝子の話が進んでた
楓さんは隻眼の中でもエトのポジションか
110 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/03/05(日) 10:46:55.43 ID:QEuJG5m20
〜過去・前川みく〜
「みくちゃんは人間が嫌いなの?」
シンデレラプロジェクトの皆には、よくこんなことを言われるの。
皆と比べて人間と話したがらないから、そう思われるんだって分かるけど……
みくね。別に、人間が嫌いってわけじゃないの。
ホントだよ?
ただ、「この世界は人間の世界」だってことを受け入れられないだけなの。
"喰種"は人間の天敵。
だから、もし人間に自分が"喰種"ってバレたら…問答無用で殺されちゃう。
そのために"喰種"は自分の正体を必死で隠さなきゃダメ。
吐きそうになる人間のご飯を、笑顔で飲み込まなきゃダメ。
人と関わりすぎちゃダメ。
どれだけ辛くても、"喰種"よりずっと多い、周りの人間たちに合わせてニコニコ笑っていなくちゃダメ。
目立っちゃダメ。
人と違う所は隠さなきゃダメ。
とってもキュートなネコチャンが、小さい頃からの親友だったことも隠さなきゃ。
アイドルなんてもってのほか。
学校ではそうやって、地味でマジメな人間を演じてた。
みくの周りは人間ばっかりで、みくだけが「フツウ」じゃなかった。
みく達"喰種"は、フツウにしてちゃダメなの。
111 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/03/05(日) 10:47:36.86 ID:QEuJG5m20
みくが346プロを知ったのは、適当に友達付き合いしてた人間たちにライブに連れていかれた時だったよ。
その時みくは中学生だったけど、アイドルなんて見たくもなかった。
だってライブに出てるアイドルなんて、人間ばっかりなんだもん。
ここに"喰種"の居場所はないって、言われてる気分になるんだもん。
でも、断る理由がうまく思いつかなくて……ご飯の匂いで満ちてるライブハウスに嫌々ついていくしかなかった。
だから、こんなこと思ってもいなかったの。
まさか、出てるアイドルの半分から"喰種"の匂いがするなんて。
ライブが終わった直後、いてもたってもいられなくて、正体を隠すことも忘れかけて、舞台裏に乗り込んじゃった。
真っ先に目についた"喰種"のプロデューサー……今のPチャンにしがみついて、
みくもアイドルにして。
舞台のみんなみたいに、みくも輝きたいの。
…って涙ぐみながら駄々をこねてた。
Pチャンはみくのこと分かってくれて、あとでシンデレラプロジェクトに入れてくれたけど……
Pチャンもスタッフの皆も、困らせちゃったよね。
あの時はごめんね、Pチャン。
…あと、初めてのお仕事の時も……本当にごめんね。
112 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/03/05(日) 10:48:04.28 ID:QEuJG5m20
卯月チャンが入って来て、未央チャンが入って来て、遅れて凛チャンも加入を決めて。
やっとメンバーが揃ったから、みくもアイドルを始められるんだーって喜んでた。
人間の目に怯えるだけじゃない、みくの好きなことをいっぱいできる生活が始まるんだって思ってた。
初めてのお仕事は先輩アイドルの背景の着ぐるみ役だった。
それも、相手は人間。
憧れの"喰種"アイドルでさえなかった。
それからも、何度も、何度も、何度も、何度も。
みくの下積みの相手は、人間アイドルばっかりだった。
小日向美穂、輿水幸子、日野茜。
十時愛梨に、その他諸々。
美嘉チャンや瑞樹さん、小梅チャンや紗枝チャン、まゆチャンみたいな、
"喰種"なのにちゃんとアイドルとして活躍してるひと達が相手なら。
どれだけ地味な下積みでも、みくは喜んでお仕事したのに。
みくが人間のこと苦手だって知ってるはずなのに。
Pチャンはまるで当てつけをするみたいに、みくに人間の踏み台ばっかりやらせた。
113 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/03/05(日) 10:48:34.23 ID:QEuJG5m20
…何よりも許せなかったのは、みく以外のみんなが「人間相手の下積み」を受け入れていたこと。
あの時もそうだった。
ニュージェネとラブライカのデビューが決まった時も、みくの「踏み台」は続いてた。
だからPチャン相手に怒鳴り込んだことがあったの。
「もう人間の荷物持ちは嫌だ」って。
「なんで人間を立てるお仕事ばっかりやらなきゃいけないの」って。
みんな同じ不満を抱えてるに決まってるって思ってた。
だから、みくが代表して文句を言えば、みんなも後押ししてくれる。
それなら、Pチャンもお仕事を変えてくれるかもって、期待してた。
「ダメだよみくちゃん。私達は"喰種"なんだから」
こんなことを言われるなんて、思いもしなかった。
114 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/03/05(日) 10:49:19.10 ID:QEuJG5m20
悔しかった。
情けなかった。
この時だけは、大声が周りに響いて正体がばれてしまうかもってことも考えられなくて。
人間相手に気後れしてた智絵里チャンやかな子チャン、きらりチャンなんかに、
怒鳴り散らして、泣きわめいて。
言うことがなくなって、涙をぼろぼろこぼしながら、引き止める美波チャンも無視して部屋を出ていっちゃった。
大声で人間たちに"喰種"のことを知られたかもって気付いて青ざめたのは、何もかも嫌になって出てきた中庭でのこと。
泣きながら歩いてるみくを、人間のアイドル達が見てた。
また余計なことをすれば人間たちに正体がバレるかも。
もしかしたら、もうバレてるかも。
下手したら、みくだけじゃなくて……
今考えたら、ただみくを心配してくれてただけって分かるんだけど、
あの時は視線が怖くて怖くて仕方なくって、
何処でもいいから、視線から隠れる場所が欲しかった。
必死で周りを見渡した。
やっと掴みかけた夢なのに、全部崩れてしまうかもしれないって考えたら、恐ろしくて仕方なかった。
ほとんどパニックになりかけて、逃げまわった先で……
みくは346カフェと。
それからナナチャンに出会ったんだよ。
115 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/03/05(日) 10:50:53.92 ID:QEuJG5m20
今日はここまで。
本当なら外伝前編で書いてたはずのエピソードでした。
116 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/03/05(日) 16:48:38.75 ID:QEuJG5m20
〜現在・安部菜々〜
"喰種"に生まれたからには、遅かれ早かれやって来てしまう「出来事」があります。
野良猫みたいに暮らしていても、
普通の人間みたいに街で暮らしていても、
夢なんか無くて毎日をだらだらと過ごしていても、
ひとつの夢を抱いて必死に生きてる最中でも、
やっと夢がかなって、すっごく幸せな気持ちの時でも。
"喰種"が生きるなら、たった今起こってもおかしくないこと。
今日起こっても、何も不自然じゃないこと。
「その時」がいつ来るか……
ナナたち"喰種"は、それに内心ではずっと怯えながら。
それでも、毎日をすこしでも楽しいものにするために生きています。
だから。
今日、ナナに起こったことは、決して不幸なことなんかじゃなくて。
仕方のないことなんです。
どれだけ小さくても弱くても、ナナは"喰種"に生まれちゃいましたから。
117 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/03/05(日) 16:49:45.73 ID:QEuJG5m20
1レスだけ追加。
ウサミンは赫子を出せない"喰種"です。
118 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/14(火) 20:23:18.54 ID:65cRCcJg0
一応乙
119 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/03/18(土) 21:32:50.67 ID:VTG9pU+j0
そろそろ再開できそうです。
飛び飛びの更新ですみません
120 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/19(日) 06:10:09.78 ID:G/GybNNNO
エタらなかったら何でもいいよ
楽しみに待ってる
121 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/26(日) 14:35:44.18 ID:dUo1oEwE0
短編のほう落ちてたな
122 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/25(火) 02:33:39.29 ID:fKBIZUymO
そろそろ
123 :
◆AyvLkOoV8s
[sage]:2017/04/26(水) 22:34:40.70 ID:93meDdzX0
>>122
保守感謝です。生存報告。
やっぱり今月中は書けそうにないです…
124 :
◆AyvLkOoV8s
[sage]:2017/04/26(水) 22:37:12.55 ID:93meDdzX0
>>121
気晴らしぐらいにはなるかと思って立てたけど
意味ありませんでしたね
125 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/28(金) 02:15:56.82 ID:9QTgwKGPO
おう待ってるぞ
126 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/02(火) 22:47:55.99 ID:JIWISpAB0
気晴らしの短編ぐらいならスレ立てせずここに書いてもいいんじゃない?
短編って注記入れたうえでさ
127 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/05/13(土) 23:32:40.01 ID:X5xjQEz7O
5月だぞあくしろ
128 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/13(土) 23:33:22.85 ID:X5xjQEz7O
sage忘れたすまない
129 :
◆AyvLkOoV8s
[sage]:2017/05/20(土) 18:40:20.73 ID:Q+XGLJVG0
生存報告。
このまま書き進めるとどこかでアカン矛盾が生じそうだと思ったので、
今更ながら346プロダクションについて作っていた設定を
改めて文章化してまとめてます。
130 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/20(土) 19:12:53.88 ID:rgvlWi27O
おう待ってたぞ
そしてまた待つぞ
131 :
◆AyvLkOoV8s
[sage]:2017/05/21(日) 00:42:06.16 ID:/ZkmsORB0
せめてもの設定まとめたやつの一部公開
http://imgur.com/a/zMrcd
ネタバレを極力除いたものです
ところどころ頭の悪い書き方してそうな気がするけどゆるして
132 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/21(日) 21:42:32.52 ID:UAsELI49O
今月中は無理そう?
133 :
◆AyvLkOoV8s
[sage]:2017/05/22(月) 19:10:30.80 ID:vFuv4ZRo0
>>132
少なくとも29日まではまともに書けそうにないっす…
レポートと中間テストが団子状態
それが終わったら頑張ってみる
134 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/05/23(火) 03:24:33.47 ID:QsSm+Ab3O
>>133
分かった頑張ってくれ
135 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/23(火) 03:25:14.74 ID:QsSm+Ab3O
sage忘れちゃった
136 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/05/31(水) 22:42:01.68 ID:q13HahN70
こう言うのを、「虫の知らせ」って言うんでしょうか?
…その日はなんだか、色んなところで昔のことを思い出す日だったんです。
≪ミミミン ミミミン ウーサミン! ミミミン ミミミン ウーサミン!≫
朝が来て、ケータイの目覚ましが鳴り響いたとき。
ナナはどうしてか、すごく救われた気分になりました。
まるで、この曲がナナを…深くて苦しい水の底から引き上げてくれたような。
寝起きのぼー…っとした頭が段々冴えてきたことで、その理由が分かりました。
それは、目覚ましの曲が「メルヘンデビュー」で、ナナのプロデューサーさんがナナにくれた曲だったからってことと。
ついさっきまで、去年までの寂しいナナが夢に出てきていたからだったんです。
137 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/05/31(水) 22:42:33.96 ID:q13HahN70
プロデューサーさんに拾ってもらえる前のナナは……そうですね……?
知ってる人のお話だと、みくちゃんと智絵里ちゃんと未央ちゃんを足して3で割ったような人生なんじゃないかと思います。
智絵里ちゃんみたいに、ちっちゃい頃に家族を失って。
未央ちゃんみたいに、周りには人しかいない環境で育っていって。
そしてみくちゃんみたいに、ずっとアイドルになりたいって思い続けながら生きていました。
……い、いや。
3人の方がずっと苦労してると思いますけどね!
ナナの周りの人は……人間ばっかりでしたけど。
それでも、何も知らないナナに優しくしてくれて、色んなことを教えてくれるような良い人たちばっかりでしたから。
……うん。
今のナナ、なんだかワガママになってました。
あの時はあの時で、ナナは恵まれてましたね。
お隣の鈴木さんは、レッスンやご飯さがしで夜遅くに帰っちゃうナナを心配してお野菜たっぷりのご飯を作ってくれますし。
生活費を稼ぐためにアルバイトしてたメイドカフェのオーナーは、とっても美味しそうなクリームパフェを作ってくれますし。
大家さんも、逃げ込むようにお部屋を借りたナナのことを怪しまずに、新鮮なお魚の差し入れなんかしてくれたりして……
……
………
……ごめんなさい。
やっぱりナナ、あの頃は辛かったです。
今がメチャクチャ幸せです……!
138 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/05/31(水) 22:45:53.45 ID:q13HahN70
2レスだけだけどここまで。
ブランク空きすぎて読みづらくなってるけど許してね。
モバでブライダルウサミンが出たことですし、そろそろウサミン回をちゃんと書いていかなきゃなとおもいます。
139 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/06/01(木) 18:02:05.38 ID:xM2QAswW0
――――――――――――――――――――
ずっと使ってる、小さい冷蔵庫を開けると、中にはもらい物の食材がそこそこ。
そろそろ寒くなってきましたし、また早苗さんや心さんをお鍋にでも誘おうかな?
ナナが食べても、吐いちゃうだけで捨てるのと変わりないですし……
そんな事を思いながら、お魚や野菜を少しかき分けて「ナナのご飯」を取り出します。
…これ、早苗さんたちに見つからないようにするの大変なんですよねー。
ある時はあんまり奥深くまで見つからないように、手前におつまみを用意しておくとか。
ある時は「お肉」のタッパーにもんのすごい前の日付を書いて、思わず手を引いちゃうくらいの消費期限切れを演出するとか。
宅飲みのときは出来るだけ瑞樹さんにも来てもらって、先に冷蔵庫を漁って誤魔化してもらったりもして。
まあ、瑞樹さんからしたら宅飲みに付き合っても損しかしないですから…頼りすぎないようにはしてるんですけどね?
140 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/06/01(木) 18:02:42.71 ID:xM2QAswW0
片手でもぐもぐと「ご飯」を食べながら、もう片方の手でお着替え、あと忘れ物のチェック。
左手だけで食べられるようカットするのは、結構時間とコツがかかります。
でも年々寝起きが辛くなりますし、かと言って遅刻なんて絶対できませんし。
こういうところで時間を短縮できれば、それだけ余裕ができますからね。
…うーん。やっぱりご飯は346プロの支給に頼った方がいいんでしょうか?
でも、ナナが頼っちゃえば、その分困ってる子達に行き渡らなくなるかもしれないし……
…うん。まだ自殺死体を見つけることはできるし、もうしばらく頑張ろ。
よし。準備はオッケー!
ちゃんと口も拭いてっと。
「あら? ナナちゃん今日も早いのね」
菜々「はい! 今日はアニメイベントのお仕事があるんです!」
「あらそう! すごいわねえナナちゃん! ついこの間までは苦労してたのに、おばちゃん嬉しいわ〜」
菜々「まだ先は長いですけどねアハハ……それに鈴木さんが応援してくれるおかげですよっ!」
「そーお? うふふっ、帰ったら楽しみにしててね? こないだすっごく大きなお魚届いたんだから、ナナちゃんにもごちそうしてあげるわ!」
菜々「ウッ……あ、ありがとうございます!!」
さ、さて。
帰ったらどうしようか、考えることが一つ増えましたけど!
準備してるうちに、夢の寂しさもだいぶ無くなったし!
ガスの元栓よし!
ゴミ出し(一部カムフラージュ済)よし!
戸締りよし!
菜々「安部菜々、ウサミン星より職場へと向かいます!」
141 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/06/01(木) 18:03:13.74 ID:xM2QAswW0
ここまで。
142 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/02(金) 08:34:15.76 ID:sko8rI/zO
おつん
143 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/06/02(金) 21:19:49.75 ID:JtjSw0NX0
――――――――――――――――――――
〜CCG本局〜
早苗「……なるほどね。その『キャッスル』ってのはあくまで攫い屋、運び屋で」
早苗「誘拐した女の子を『マダム』達に売り渡すことで稼いでる集団……って思われてるのね」
橘「その通りです」
早苗「じゃあ、そのマダムを叩けば攫われた子達も見つかるんじゃないの? 今更運び屋を探したところで、もう……」
橘「いいえ」
橘「これは、奴等の『下請け』を行っている喰種に尋問を行い得た情報ですが」
橘「『キャッスルは手に入れた食材に加工を施して味わい深いものにしている』などと話しており」
橘「また『商品ひとつひとつを運ぶのではなく、定期的に十数人ほどの運送をいっぺんに行う』という供述もあることから」
橘「『キャッスル』は誘拐した少女を保存……あるいは何らかの施術を行うために」
橘「複数存在すると思われる奴等の活動拠点に一時監禁しているのだと推測されています」
早苗「……つまり……ユッコちゃんは今、『キャッスル』が監禁してるってこと?」
橘「誘拐されてからの日数を考えれば、おそらくは」
144 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/06/02(金) 21:20:46.74 ID:JtjSw0NX0
早苗「…ねえ、施術って何? あいつらユッコちゃん達の体に何するつもり?」
橘「現時点では不明です。しかし……」
橘「尋問の結果、被害者が輸送される間『歩行・会話や受け答えに障害がある様子はない』」
橘「また『五体満足だとはっきりわかる』ことから」
橘「誘拐時に与えた負傷の治療施術、また軽度の薬品投与……いわば栄養剤のような、被害者の健康にはほぼ何ら影響のないものだと判断されています」
橘「そして、奴等のターゲットの基準、その意味や需要からして外見・あとは表情に影響のある行為は行わないだろうとされており」
橘「よって、輸送前に『キャッスル』の拠点から被害者少女たちを取り返せば社会復帰は可能……と我々は判断しています」
橘「"喰種"をまたいで判明した情報である以上100%確実とは言えませんが、複数に尋問して得られた共通の情報ですから信憑性は高いかと」
早苗「……ふー。とりあえず、取り返せるかどうかは時間勝負ってことなのね」
早苗「そして早く取り返せれば、ユッコちゃんも……」
早苗「ありがと、準特ちゃん。希望が見えただけ、ちょっと安心したわ」
145 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/06/02(金) 21:21:13.28 ID:JtjSw0NX0
橘「現在のところ、我々から提供できる『キャッスル』の情報は以上です」
橘「片桐さんには―――」
早苗「分かってるわ。346プロ内で信頼できる人間をリストアップしておけ、でしょ?」
橘「ご協力感謝します」
橘「…その、片桐さんを疑っているわけではありませんが、巧妙なやり口で周囲に喰種やその協力者が身を隠していない保証はなく……」
早苗「いいわよそんなの。あたしも『知り合いは全員人間!』って胸張って言えるわけじゃないもの」
早苗「でも、あくまでハッキリさせるのは白だけでいいのよね? グレーゾーンは放置で、わざわざ正体を明かすこともないでしょ?」
橘「はい。必要以上に、民間の方を危険に晒すことはできませんから」
橘「ですから……片桐さんの身の安全を前提とした範囲で構いませんから……」
橘「…どうか娘を、守ってください」
146 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/06/02(金) 21:24:14.15 ID:JtjSw0NX0
早苗「……ぷっ」
早苗「あははっ! 分かってるわよ、任せなさいって!」
早苗「そんな申し訳なさそうな顔してないで、準特ちゃんはあなたの仕事をしなさいよ。ありすちゃんは私がなんとかしたげるから」
橘「……! ありがとうございます。本当に、本当にっ……!」
早苗「……うん。ちゃんと分かってるわよ。大事な一人娘だもんね。忙しいのに、攫われるかもって考えたら、居てもたってもいられないわよね」
早苗「こっちは大丈夫だから。ありすちゃんもお母さんのこと、頑張ってるってちゃんと分かってるから。だから安心してちゃんと捜査に集中しなさいよ」
橘「……。はい」
――――――――――――――――――――
早苗「送ってくれてありがと。ここで降りるわよ? この協力が公になっちゃまずいんでしょ?」
橘「分かりました。ご協力感謝します」
早苗「ユッコちゃんのことも勿論お願いするけど……捜査が落ち着いてからでいいから、たまにはありすちゃんのライブ見に行ってあげなさいよ?」
早苗「当然、それまでに死んだら問答無用でギルティ! お姉さんが逮捕しちゃうわ!」
橘「…市原一等はともかく、私は片桐さんよりずっと年上ですよ?」
早苗「そーいやそうね! 若くてキレイだから忘れてたわあはは!」
早苗「初めて会った時は一等ちゃんと同い年かと思ったくらい……ああ」
早苗「そうよ仁奈ちゃん! あの子もあの子で、すっごく寂しがってるわよ!」
早苗「今日どこ行ってんのか知らないけど、流石にもっと娘に構いなさいって言おうと思ってたのに!」
早苗「いくらなんでも、事務所を託児所代わりにするのは非常識よ! ネグレクト寸前よ!」
橘「……ええ。その通りですね」
橘「ですが、その……あの子とバディを組んでいる私が庇えた義理ではありませんが……」
147 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/06/02(金) 21:32:25.87 ID:JtjSw0NX0
早苗「……どうしたのよ? いきなり口ごもって」
橘「……申し訳ありません、片桐さん。私的で勝手なお願いではありますが、今からお話しすることは他言無用でお願いします」
橘「特に仁奈ちゃんには、出来るだけ伏せてあげて欲しいんです」
早苗「……?」
橘「市原一等は今日……今日に限らず、暇があれば単独喰種の駆逐に積極的に参加しています」
橘「一等には仁奈ちゃんの養育費以外にも、討伐報酬を稼ぎ続けなければいけない理由があり―――――」
――――――――――――――――――――
148 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/06/02(金) 21:33:30.53 ID:JtjSw0NX0
今日はここまで。
149 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/06/03(土) 11:09:50.11 ID:UNFmkHOJ0
――――――――――――――――――――
ナナの目の前にいる、この人は誰なんでしょう
会った覚えなんかない人
どこかで見たようなオレンジ色の髪
そして……
覚えておかなきゃいけないものであるはずの、白いコート。
それを着込んだ人が……
どうして、ナナの仕事先に。
どうして、ナナの目の前に?
「…どーもォ。安部菜々さんでやがりますよねェ?」
150 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/06/03(土) 11:10:19.54 ID:UNFmkHOJ0
市原「喰種捜査官だ」
市原「てめえに"喰種"容疑がかかってやがるんですけど」
市原「大人しく付いて来てくれませんかねェ?」
151 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/06/03(土) 11:10:45.75 ID:UNFmkHOJ0
――――――――――――――――――――
そこから、ナナに何ができたでしょうか。
ナナは弱っちくて、赫子も出せなくて。
だから、走って逃げることしかできなくて。
逃げながら、電話を取り出したけど、プロデューサーにはつながらなくて。
焦って震えた手は、じゃあ、どうしようかって、電話帳をかき分けて。
みくちゃんの番号を見つけて、電話をかけようとしたところで……直前で踏みとどまりました。
思い出したんです。
『喰種に対するあらゆる権利は『人間側に正体を露見させていない』事を最低条件として定められています』
『アイドル、そして私のような職員を問わず、この規定に違反した者への処分は……』
『当人と346プロダクションの間に交わされていた契約の、一切の破棄』
『……即ち、『346プロからの追放』となります』
ナナがアイドルを始める前に、繰り返し言われたこと。
ナナは、とっくに見捨てられてたんだってこと。
152 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/06/03(土) 11:11:20.19 ID:UNFmkHOJ0
どこから、正体がバレちゃったんでしょうか。
「ご飯」を集めてる時?
それとも、"喰種"についてお話してるところを、誰かに聞かれてた?
……いいえ
そんなことは、もうどうでもいいんです。
出口が遠い楽屋の中で、さっきの捜査官の足音が近づいてくるのが分かります。
せめて、みくちゃん達は巻き込まないように、電話帳の入ったケータイごとどこかのゴミ箱に捨てました。
あとはもう、やることなんて……
たくさんありました。
アニメの声優をやりたかった。
みくちゃんたちと一緒に歌いたかった。
もっともっと、色んな子達と踊って、たくさんの人に応援してもらって。
カフェの後輩や、今までお世話になった人たちも、ライブに誘って。
153 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/06/03(土) 11:11:47.53 ID:UNFmkHOJ0
市原「―――見ぃつけたァ」
……ああ。
最後に思い出すのが、なんでこんなことなんでしょうか。
昨日、なんとなく思った言葉。
『ああ…………疲れたぁ〜。よっこらせっと』
『通勤に1時間って、もう引っ越した方がいいよね、絶対……』
『うぅ……でもまぁ、まだ先はわかんないし、頑張ろっと……』
『菜々ちゃん、今日もLIVEとメイドさん、頑張ったね!』
『ありがとう、ウサミン!』
『……なーんちゃって』
154 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/06/03(土) 11:12:17.81 ID:UNFmkHOJ0
『でも……』
『今日も、アイドル楽しかった……へへ……へへへへ……』
『明日も……』
楽しいといいなあ
155 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/06/03(土) 11:14:28.75 ID:UNFmkHOJ0
ここまで。
3か月悩んでこうなりました。3ヶ月かけてこれでした。
後から書き直すことを前提に投稿していますが、もうちょっとウサミン編ボリュームあげたかったなと思います。
次からようやく本題に入ります。
どうかお付き合いよろしくお願いします
156 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/03(土) 21:06:39.68 ID:gzgVbsW7o
おつ
157 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/06/03(土) 22:56:35.18 ID:UNFmkHOJ0
あと、オリキャラ捜査官として橘準特等と市原一等を出したんですが
この2人について今のところどんな印象を抱いたか、よければ教えてください。
ちゃんと狙ったキャラに書けてるか気になるのです
158 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/04(日) 09:29:58.12 ID:CmdOyv7Bo
市原一等は仁奈+真戸(父)
橘準特はありす+亜門
そんなイメージ
159 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/04(日) 13:28:37.90 ID:hR0ScyGBO
待ってたぜ
160 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/06/06(火) 21:06:05.70 ID:nB1i8LTj0
――――――――――――――――――――
ちひろ「――ええ、そうですか。了解しました、お疲れさまです」
「……!!」
ちひろ「はい。後処理はこちらで行いますので、――さんは通常業務に戻っていただいて結構です」
「ッ……ンー! ンムゥー! ンーヌーウー!!」
ちひろ「…いえ。今のは、『いつもの』です。もう慣れたでしょう」
ちひろ「そうです。次はあなたの身かもしれません。どうか、これまで以上に警戒を怠らないよう」
ちひろ「……では」
ピッ
ちひろ「……予定通り、安部菜々さんの駆逐が確認されました」
ちひろ「規定通り、ここの皆さんには『火消し』をお願いします」
ちひろ「――さんはRc検査偽造診断書および偽造履歴書について、菜々さんのものを作成された方に改めて『警告』を行ってください」
ちひろ「――さんは[???]プロダクション所属の喰種から、配布試料を基に『密告対象』の決定を」
ちひろ「――さんは通常通り『キャッスル』としての活動をお願いします」
ちひろ「では今から、一切の抜かりなく、速やかに仕事を遂行してください」
ちひろ「皆さんが導く『シンデレラ』は、貴方たちの仕事に生かされていることをお忘れなく」
ちひろ「……さて」
ちひろ「もう菜々Pさんを解放してくださって構いませんよ」
161 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/06/06(火) 21:06:44.02 ID:nB1i8LTj0
パッ
菜々P「……」フラ
菜々P「……」ペタ
ちひろ「菜々Pさん、先ほどまでの行為を謝罪します。…また、菜々さんの不運を心よりお悔やみします」
ちひろ「今後のプロデュース活動についてですが……菜々Pさん? 大丈夫ですか?」
菜々P「…はい。大丈夫です」
菜々P「謝ってもらわなくて結構です。説明は腐るほど聞いてましたから」
菜々P「……」
菜々P「……すんません、ちひろさん」
菜々P「雇ってもらって何ですけど……俺、もうこの仕事やめます」
菜々P「……辞めさせてください」
162 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/06/06(火) 21:07:28.41 ID:nB1i8LTj0
ちひろ「……そうですか」
ちひろ「分かりました。では本日中に退職の手配をいたします」
ちひろ「しかし改めて申し上げますが、退職されたプロデューサーにも監視がつくことをお忘れなく」
ちひろ「もし、自暴自棄になり346プロダクションごと機密を流出させようと考えるものなら……」
菜々P「大丈夫です。……そんなの、もう、どうだって……」
ちひろ「……お気をつけて」
――――――――――――――――――――
ちひろ「さて。プロデューサーさんもお疲れさまでした」
ちひろ「…その、良かったのですか? 貴方に菜々Pさんの拘束を任せてしまって……」
武内P「構いません。能力から、菜々Pさんの確保、拘束は私が適任の仕事だと判断しました」
ちひろ「でも…プロデューサーさんだって、『あの子達』の時……」
武内P「今は、シンデレラプロジェクトの皆さんを危険から遠ざけるのが私の役目です」
武内P「皆さんが白鳩に目をつけられることも、『最終隠匿プロトコル』によって346プロダクションを失うことも、避けなければいけません」
武内P「そのためには、たとえ安部さんのプロデューサーだろうと、あの場に行かせてはいけなかった」
ちひろ「…ご協力、本当に感謝します。プロデューサーさんは、シンデレラプロジェクトの皆のところに行ってあげてください」
武内P「……失礼します」
パタン
ちひろ「……」
ちひろ「……あの時は、プロデューサーさんを抑え込むの……大変だったなあ」
――――――――――――――――――――
163 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/06/06(火) 21:08:06.27 ID:nB1i8LTj0
今日はここまで。
菜々Pも喰種です。
164 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/06/06(火) 23:23:10.54 ID:nB1i8LTj0
せっかくなのでちょっと修正。
165 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/06/06(火) 23:23:56.54 ID:nB1i8LTj0
せっかくなので
>>160
をちょっと修正。
166 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/06/06(火) 23:30:45.32 ID:nB1i8LTj0
――――――――――――――――――――
ちひろ「――ええ、そうですか。了解しました、お疲れさまです」
「……!!」
ちひろ「はい。後処理はこちらで行いますので、JKTPさんは通常業務に戻っていただいて結構です」
「ッ……ンー! ンムゥー! ンーヌーウー!!」
ちひろ「…いえ。今のは、『いつもの』です。もう慣れたでしょう」
ちひろ「そうです。次はあなたの身かもしれません。どうか、これまで以上に警戒を怠らないよう」
ちひろ「……では」
ピッ
ちひろ「……予定通り、安部菜々さんの駆逐が確認されました」
ちひろ「規定通り、ここに集まって下さった一級P・準一級Pの皆さんには『火消し』をお願いします」
ちひろ「肇Pさん、美玲Pさん、雪美PさんはRc検査偽造診断書および偽造履歴書について、菜々さんのものを作成された方に改めて『警告』を行ってください」
ちひろ「フリルドスクエアPさん、KBYDPさん、ブルーナポレオンPさんは[???]プロダクション所属の喰種から、配布資料を基に『密告対象』の決定を」
ちひろ「NWPさんとガールズ・パワーPさんは通常通り『キャッスル』としての活動をお願いします」
ちひろ「では今から、一切の抜かりなく、速やかに仕事を遂行してください」
ちひろ「皆さんが導く『シンデレラ』は、貴方たちの仕事に生かされていることをお忘れなく」
ちひろ「……さて」
ちひろ「もう菜々Pさんを解放してくださって構いませんよ」
167 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/06/07(水) 21:17:51.21 ID:RVpcWtQd0
〜過去・神崎蘭子〜
今年の夏は、すごく楽しかった。
心の底からそう思えるようになったのは、サマフェスに向けた夏合宿のときでした。
美波さんと、アーニャちゃんが合わせてくれた二人三脚。
透き通る爽やかさが、口や体中に飛び込んでくる水鉄砲。
夕陽を見ながら、みんなで息をそろえて飛んだ大縄。
「変わらない」って、思ったんです。
私は、"喰種"になり切れなくて。
人のご飯を食べる苦痛も、理解できないから。
だから、みんなと私には、大きな壁があるって思ってたけど。
こうやって笑ってるときは、何も変わらないって。
美波さんが、みんなが、教えてくれたから。
だから、私もみんなに教えたかったんです。
人間は怖くないよ、って。
私達となにも変わらないよ、って。
人間でもある私だから、分かることを教えたくって。
もしみんなが人間を知らなくて、苦しんで。
そのまま死んでしまうのが「普通」だって思ってるなら……
私はそれを壊したい。
168 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/06/07(水) 21:20:01.25 ID:RVpcWtQd0
――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――
169 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2017/06/07(水) 21:21:28.62 ID:RVpcWtQd0
〜現在・白坂小梅〜
―――皆には、知っておいてほしいんだけど……
346プロダクションは…とっても大きな会社で、
その分、会社が長く続く方法も、しっかり考えられてて……
たくさん持ってる「コネ」や、お金をたくさんつかって。
たくさんの人間、あと、ちょっとの喰種の犠牲を払いながら。
絶対に倒れないように成長していったんだ…。
「ある目的」のために、ね……。
だから、346プロダクションは……
人間や喰種が、ちょっと反抗しようとしても、どうにもできない会社……。
想像できないくらい、強い喰種……まさに、「化け物」でも現れない限り、ね。
そう、だよ。
これは、何十年…何百年も、倒れなかった会社が、
ある一人の「化け物」に壊されちゃうお話。
そして、会社を壊した「化け物」は……
じつは全部、友達や大切な人のために、自分の力を使っただけなんだけど……
"喰種"になり切れてないから、"喰種"の立場や気持ちが全部は分からなくて。
人間にもなり切れてないから、人間の恐怖も分かってなくて。
だから、助けようとした人は不幸になって。
救おうとした人は死んじゃって。
不幸に巻き込んじゃった人を救おうとしても、余計なことしかできなくて。
だから、どんどん失って。
最後の最後には、『生まれてきたことが間違いだったんだ』って。
『生まれた瞬間に死んでいればよかったんだ』って泣き崩れるくらい、
血でがんじがらめの坂道を、小さな体が傷つきながら転がり落ちていく化け物……
……これは、ある"隻眼の喰種"の、小さな女の子の……
魔法が解けちゃうお話。
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