ハルヒ「キョンTUEEEEEEEEEE!!!!!!!!!!」 キョン「憤慨してみたり」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/03(月) 21:16:58.21 ID:ZqSP5bb4O
>>307
馬「俺の横に並ぶなよ」
311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/03(月) 22:11:40.34 ID:3n4C6ELBo
馬いこというな
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/04(火) 01:26:18.74 ID:qBTFrnj4O
>>310
誰が馬いこといえと
313 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/04(火) 04:07:57.80 ID:U6Gbc+uio
なんだこのさっむい流れ
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/07(金) 09:53:19.58 ID:dr/b28qTO
取り敢えず可愛い朝倉さんの為に全裸支援
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/08(土) 10:56:35.69 ID:nfZjf1lZ0
静かに待たれよ
316 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/08(土) 10:59:22.15 ID:hNGd+iAdo
>>315
ageんなks
317 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/08(土) 11:05:14.34 ID:nfZjf1lZ0
すまぬ
318 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 15:12:24.04 ID:eXoHmN0K0
ちょいととうかー
319 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 15:15:33.34 ID:eXoHmN0K0

ハルヒ「ただいまぁー……」

阪中「おかえりなさいなの。今、お母さんがシュークリーム焼いてくれてるから中で―――」

長門「―――お邪魔します」スッ

朝倉「っざ、残像っ!!? 残像が出るほどの速度で!!?!?」ガーン!

ルソー「わんっ!」

キョン「『ふおっ、ふおっ、ふおっ。あの娘、中々やりおるわい』」

朝倉「だからキャラが……ってこの短時間でえらい老け込んだわねルソー」













阪中「……なるほどなの。つまり原因はまだ分からないけど、もう元の散歩コースは安全なのね」

長門「……」モグモグ

古泉「ええ。といってもルソー氏の過去の記憶が元のルートを本能的に忌避している状態ではありますが」

阪中「うーん。ならやっぱりもう少し時間をおいてこのコや他の犬さんたちが平気で散歩できるようになってからにする」

古泉「その方がよろしいかと」ニコッ

朝倉「てことはこれで解決?」

ハルヒ「まだよ! まだ原因が分かってない!! 幽霊の痕跡探しをしなきゃ!!」

朝倉「闇雲に探しても見つからないわよ。実際今回だって何も分からなかったんだし」

ハルヒ「それは……なんとなくキョンが突き止めてくれるわよ!!」

キョン「えっ、オイラが!?」

朝倉「自分のキャラまで見失ってるじゃないの」

ハルヒ「とにかく! あたしは消化不良なのよ!! 一度幽霊の名を出されたら確かめるまでは気になってしょうがないのよ!」

キョン「まぁまぁハルヒ落ち着け。今回ばかりは仕方ないだろ。もうあの場所に異常がないのは分かったし、時間が解決する問題だ」

阪中「す、涼宮さん、ごめんね。安易に幽霊の名前なんて出して……」

ハルヒ「あっ、いや。阪中さんが謝ることじゃ……ぐうぅ、キョン!!」バシバシ!

キョン「そんな理不尽な。痛い、痛いよハルヒ……」
320 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 15:18:43.91 ID:eXoHmN0K0

ハルヒ「かゆ。うま……じゃなくて、すご! うま! お店開けるわよこの味!」

キョン「機嫌戻すの早えぇ」

阪中「お母さんのシュークリームは絶品だよ」

長門「朝倉涼子」ボソッ

朝倉「なに、長門さん? シュークリームのこと? 今度家でも作って―――」

長門「養子縁組の情報操作を行ってもいい?」

朝倉「阪中さん家に!!? シュークリームのためだけに!!?!?」ガーン!

ルソー「すぅ……すぅ……」

朝比奈「ふわぁ……いいなぁ、いいなぁ」

古泉「よろしければ、僕の知り合いの愛犬家の方から一匹いただいてきましょうか?」

朝比奈「えっ!? ほ、本当ですか!? あっ、でも……うぅ! 大丈夫ですぅ……」

古泉「何か飼えない理由でも?」

朝比奈「き、禁則事項ですぅ……」

古泉「それはそれは、残念ですね」

朝倉「紅茶もおいしいこと。絵にかいたようなお金持ちの家ね。それで……」カチャ

朝倉「この後はどうするの、キョンくん」

キョン「どうするとは?」

朝倉「分かってるくせに。まだ終わったわけじゃないでしょ、この幽霊騒ぎ」

朝倉「このままだとルソーも……」

キョン「そうだな……そうなんだが……うん」

キョン「…………分かった」

朝倉「何が分かったのよ?」

キョン「ああ、ルソーには悪いが騒ぎの鎮静化に少し時間がかかるんだ」

朝倉「そうなの? ちゃちゃっと終わらせられるのかと」

キョン「……あぁ。もちろん、俺だけでどうにかするならなんとでもなるが、今回は同じ動物のよしみで奴に協力してもらう」

朝倉「奴って……?」

キョン「……みんな覚えてるか―――」
321 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 15:21:19.86 ID:eXoHmN0K0














シャミセン「なんのようだ人間」

キョン「ウチにもペットがいたことをよ」




















シャミセン「我輩はお主らに飼育されているわけではない」キリッ

キョン「ほれ、飯だぞー」

シャミセン「シャアァーッッ! シャァアーッッ!!」ガジガジ!

キョン「たまに野生解放するよな、お前」

シャミセン「ハッ! くっ、本能を利用するなど……卑怯な!」

キョン「所詮は獣なのさ」フッ

シャミセン「ぐぬぬ……人間風情が……!」

キョン「いがみ合いは程々に。さてと、じゃあ本題に入ろうか」

シャミセン「……本題?」

キョン「お前に協力してほしいことがある」

シャミセン「…………話してみるがいい」
322 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 15:25:18.75 ID:eXoHmN0K0

シャミセン「……なるほど。それで我輩を使うということか」ペロペロ

キョン「使うだなんて人聞き、いや猫聞きの悪い。協力してもらうだけさ」

シャミセン「では我輩が協力する道理はあるのかね?」

キョン「飼ってやってるじゃん」

シャミセン「飼われてるのではない!!! 断じて!!!」

キョン「でもお前ずっとここにいるじゃん」

シャミセン「何度も!!! 何度もこの家から脱走しようと試みた!! だが!!」

シャミセン「あの娘……お主の妹とやらがどこにいても我輩を連れ戻すのじゃ!!!」

キョン「あー……海千山千のシャミセン様でも敵わないんだなぁ……」

シャミセン「上手くない!!! 上手くないぞ!!!! それに我輩には『タマ』という立派な名が―――」シャー!!

キョン「分かった分かった。ともかく、確かに頼んだぞ。了承してくれるな」

シャミセン「…………」

キョン・シャミセン「「よかろう」」ドンッ!

シャミセン「……愚弄しておるのかね?」

キョン「すまん……こればっかりは体質で……」

シャミセン「だがしかし、こちらとしても条件がある。先ほども申した通り我輩は―――」

キョン「あー、出て行かせたいのは山々なんだが、お前も知っての通りウチの妹がだな……」

シャミセン「それをどうにかするのがお主の役目。少なくともお主が協力的な姿勢を見せるならばそれでいい」

キョン「おっ、寛容だねぇ。さすがは『化け猫』様だ。長い間生きてるだけある。よし、それで契約完了だ」

シャミセン「どの口が言うのかね。少なくとも我輩より―――」

キョン妹「シャミーーーー!!!!! キョンくんとお話し終わったぁあ!!?!?」バンッ!

シャミセン「シャァッァアァアアァアアアァアアアアアアアッッッ!!!!!!」ブルルッ!!

キョン「臨戦態勢……っ! お前らいつもこんな感じなの!!?」
323 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 15:27:46.51 ID:eXoHmN0K0

翌日


ハルヒ「ねえ」

キョン「んあ? なんだ?」

ハルヒ「今日阪中さんが来てないの気づいてた?」

キョン「おっ、ついにお前にもクラスメイトを気にかけるということができるようになったのか。いやぁ、感慨深いなぁ」

ハルヒ「そっ、そんなんじゃないから! 昨日は元気そうで、真面目な阪中さんが休むのは何かおかしいって思っただけだから!」

キョン「まぁ昨日の今日で休んでるとなると気にはなる、か」

朝倉「そのことなんだけど」スッ

ハルヒ「朝倉さん! あなた委員長なんだから何か聞いてるんじゃないの!? どうして阪中さん休んでるの!?」

朝倉「ええ。多分予想はついてると思うんだけど……ルソーのことで、ちょっと……みたいよ」

ハルヒ「早退しますっ!!」ガタッ!

朝倉「早い早い!! まだ昼休みにもなってないから!! 心配なのは分かるけども」

ハルヒ「あたしのJ・Jになにかあったってことでしょ!? いてもたってもいられないじゃない!!」

キョン「お前のではないだろ」

朝倉「阪中さんのよね。だからって急に押しかけても迷惑だわ。ちゃんとアポとって放課後にでも伺いましょ」

ハルヒ「メール……っ!」ポチポチポチ!

朝倉「あら涼宮さん。阪中さんの連絡先知ってたの?」

ハルヒ「昨日聞いといたのよ。念のため。また幽霊見かけたら連絡ちょうだいってね!」

朝倉「へー……ちょっと意外」

キョン「じゃ俺もジャンバルジャンにメールを……」

ハルヒ・朝倉「「できないでしょ!!?」」ガーン!
324 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 15:29:29.26 ID:eXoHmN0K0

ハルヒ「あ、返信きた。なになに……やっぱり」

ハルヒ「J・Jが体調崩してて心配で心配で学校に来れなかったらしいわ」

朝倉「あの溺愛っぷりじゃそうなるわよね」

ハルヒ「お見舞いの約束を取り付けたから、放課後全員でまた阪中さん家行くわよ!」

ハルヒ「キョン!! それまでにJ・Jの病気を治してあげる方法調べといて!!」

キョン「実はもうある」ドンッ!

ハルヒ「やるじゃない! じゃ今から行ってすぐ治してあげ―――!」

朝倉「まだ授業があるんだってば」

ハルヒ「J・Jが死んじゃうかもしれないのよ!!?!?」

朝倉「そこまで急患なわけじゃないから大丈夫よ」

ハルヒ「でも……うぅー……分かったわよ。放課後までは待つわ」

ハルヒ「キョン、絶対、ぜーったいに完璧にJ・Jを治したげるのよ。いーい?」

キョン「へいへい。分かってるよ。あ、それとハルヒ。ついでに阪中に伝えといてくれないか?」

ハルヒ「何をよ」

キョン「樋口さんだっけか? その人んとこの犬も体調崩してるって言ってたろ? その犬も治してあげるから連れてきといてくれ」

ハルヒ「樋口さん家の犬も……ねぇ、キョン。J・Jもそうだけど、まだ症状も見てないのに安易に治せるとか言って大丈夫なの?」

キョン「安心しろ、俺だぞ?」

ハルヒ「…………」ジィー

ハルヒ「……分かったわよ。メールして樋口さんもよんどいてもらうわ」

キョン「さんきゅ」

朝倉「信頼されてるのね」フフッ
325 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 15:32:30.56 ID:eXoHmN0K0

放課後


ハルヒ「……というわけなの。だからみんなでJ・Jのトコにお見舞いと治療をしに行くわよ!」

朝比奈「そんな……昨日はあんなに元気だったのに……」シュン

長門「……」

古泉「幽霊騒動はまだ終了していなかったということですか」

キョン「そんなもんは初めから始まっちゃいねぇよ。オカルト的なもんつったろ」

朝倉「とはいえ……もちろんキョンくんを疑ってるわけじゃないけど、解決法は本当に見つかってるの?」

キョン「任せとけ。今回はコイツを使う」

ハルヒ「コイツ?」

キョン「我が家に巣食う魔獣よ、猛る御身を―――!」グググッ!

シャミセン「ニャー」ヌッ

ハルヒ「猫っ!? てか今どっから出てきた!? あんたと融合してなかった今!!?」ガーン!

古泉「おや、シャミセン氏ではございませんか」

朝比奈「あ……冬合宿の時の……?」

ハルヒ「ああ、猫探しの時の子ね。なんだ、キョンが飼ってたんだ」

シャミセン「飼われてるわけで―――!」

ハルヒ「喋っ―――!」クルッ

長門「腹話術」ニャー

シャミセン「……ニャー」

ハルヒ「……そういえば前も有希の腹話術だったわね。もー、わくわくしちゃったじゃないの」

朝倉「……雑すぎる子供だましじゃない?」

キョン「コイツニャーこれぐらいでいい」
326 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 15:33:01.77 ID:eXoHmN0K0
ここまでーぇ
327 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/09(日) 15:37:15.89 ID:oEnOLy+Go
おつ
328 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/09(日) 17:34:39.16 ID:28GOw9j2O
長門の食欲が絶好調な乙乙でございます
329 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/09(日) 22:49:16.20 ID:fAhr3Y1o0
乙ですー
長門…かわいい…
330 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/10(月) 18:03:27.61 ID:fGjFHpyGo
乙!
331 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/10(月) 20:53:41.57 ID:Tvj66rl/O
おつー
332 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/17(月) 02:10:10.02 ID:B9sgxIwxO
続きが早くよみたいニャー
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 22:01:13.35 ID:NExfVcjvO
ええい>>1はまだかね
待ち遠しくて夜も寝れんのじゃ!
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 01:03:04.73 ID:/SefEm8QO
まだまだ、これからだ
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 20:29:32.59 ID:i4f6ibEn0
そろそろパンツ脱いでおくか
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/27(木) 11:18:08.49 ID:toBd8Njk0
お待ちです。本日中には投下しますー
337 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/27(木) 17:53:01.03 ID:toBd8Njk0
とうかーーー
338 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/27(木) 18:01:02.07 ID:toBd8Njk0

ハルヒ「……っ」セカセカ

朝比奈「はひっ、ひぃ! ふぅ!」テクテク

朝倉「いつにも増してハイペースね涼宮さん。競歩の代表選手になれるわよ」

古泉「それほどに、ルソー氏の身を案じているということでしょう。心お優しいことに」

シャミセン「何を生き急いでいる。人の短き人生に焦りは不要だ」

キョン「『化け猫』が何言ってやがる。それと今は喋るなつったろ」

シャミセン「あの娘の腹話術じゃ」

キョン「そーなの長門!!?!?」ガーン!

長門「そうではない」

朝倉「なんで騙されるのよ……ねぇ、キョンくん『化け猫』ってどういう意味?」

キョン「そりゃ喋る猫がいたら『化け猫』というしかなかろう」

朝倉「それはそうだけど、むしろなんでこの猫がそうなったか聞きたいというか……」

古泉「あなたにシャミセン氏を預けた後、僕の方でも色々調べてはみたのですが……これといって何も」

キョン「あー……じゃあこの件が済んだら少し教えてやるよ。こいつのことをな」

シャミセン「……ふん」

古泉「……ところで、シャミセン氏はどうなさるおつもりで? 今のところ僕には解決法が見えてこないのですが……」

朝倉「そうね。まだ古泉くんはルソーや樋口さんとこの犬がなんで体調崩してるのかの原因を説明してなかったわね」

キョン「それはな、古泉。実は人間にも罹る最悪の病だったんだ」

古泉「さ、最悪の病……そ、それは?」ゴクリ

キョン「…………」

キョン「五月病だ!!!」クワッ!

朝倉・古泉「「絶対違う!!!」」ガーン!
339 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/27(木) 18:06:29.40 ID:toBd8Njk0

古泉「情報生命素子……ですか」

キョン「なぁにそれ?」

朝倉「絶対知ってるでしょあなた……まぁいいわ」

長門「所謂、珪素構造生命体共生型情報生命素子」

キョン「むっ! バスガス爆発バスが酢爆発バシュガシュバシュカシュ」

朝倉「早口言葉対決じゃないから! 最後全部噛んでるじゃない、いや噛んだとしてもそうはならないでしょ」

古泉「……要するに、ルソー氏は姿の見えない地球外生命体に憑依されているわけですね」

長門「そう」

朝倉「さすが古泉くん、理解力が高い」

古泉「その情報生命素子とは姿そのものがなく、単なる情報や概念であると理解していいでしょうか?」

長門「かまわない」

古泉「とすると、かのコンピュータ研の部長氏を乗っ取ったカマドウマのような感染型の情報生命体でしょうか?」

長門「存在レベルが異なる。こちらはあまりに原始的」

シャミセン「……主よ」

キョン「なんだ」

シャミセン「お主もそうであるが……この者たちもただものではないな」

キョン「今更だな。説明してなかったことではあるが」

シャミセン「……ふむ」

古泉「であれば、もし情報統合思念体を人に置き換えたとしたら珪素構造生命体共生型情報生命素子は―――」

古泉「ウイルスだと、比定されるでしょう」

キョン「ほら!! やっぱり! 五月病ウイルスだったんだ!」

朝倉「そんなウイルス存在してないから!!」
340 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/27(木) 18:11:24.06 ID:toBd8Njk0

古泉「情報生命素子なる異性体が増殖。ルソー氏に感染し、発症した……」

古泉「ですが、なぜこの情報生命素子地球にいて、なおかつ犬に寄生したのでしょう?」

朝倉「大方、元々の宿主だった珪素構造体が地球の引力に導かれ落ちてきたってトコね」

長門「元々の宿主は大気圏突入時の摩擦熱で消滅したが、情報そのものである情報生命素子は物質にはとらわれない」

古泉「初めから姿が無いわけですしね。その落ちてきた場所があの散歩コース周辺だった、と」

朝倉「犬に寄生したのは珪素生命体の持つネットワーク構造と犬類の脳内神経回路がたまたま類似していたから」

古泉「しかし、元の宿主と同じようにはいかず、犬たちは衰弱してしまった……」

長門「情報生命素子の目的は思索メモリの増大」

古泉「なるほど。一匹の犬では珪素で構成される生命体のネットワーク構造を再現できないということですか。しかし……」

朝倉「ええ。もちろんそれはあと一匹、二匹増やしたところで変わらない。なんなら地球上の犬全部でも足りないわ」

古泉「ならば……やはりオカルトではないですか。とんでもないことですよ、これは」

朝倉「オカルト? どうして?」

古泉「彼は僕にこの件に関してはオカルト要素は全くない、と断定したのですが……」

古泉「朝倉さん。この情報生命素子こそ、我々人間が幽霊であるものの正体なのではありませんか?」

朝倉「これは……違うんじゃない? だってこれは元々存在しない、見えないものなわけだし」

古泉「であるならば、我々有機生命体。知性や意識のあるものの肉体が滅んだあと」

古泉「この珪素構造生命体共生型情報生命素子に該当するであろう、僕たちの魂の存在」

古泉「あなたたちならば、知りえるのではありませんか? この魂の行方を」

朝倉「えっ!? ええーっと……そうねぇ……うーん」

古泉「肉体が滅んでも精神は存在する……これが事実であるならば今まで築き上げた人類の倫理観や宗教観が一変―――」

キョン「チェスト」ビシッ

古泉「あうっ……」クタァ

朝倉「キョ、キョンくん!? 何やって……」

キョン「いいか、朝倉。答えにくい質問が来た時の対処法はこうやって質問者の意識を奪うか」

長門「禁則事項……と答えるか」

キョン「どっちかにしとけ。真面目に答えてたら人類史にとんでもない影響を与えることになるぞ」

朝倉「あ、あはは……以後そうするわ……」
341 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/27(木) 18:16:34.30 ID:toBd8Njk0

古泉「……っ、あれ?」パチ

キョン「おう、目が覚めたか。なら自分で歩けるな」

古泉「僕は……一体何を……」

キョン「“急に俺に意識を奪われる”から驚いたぞ」

古泉「……………………なるほど。急にあなたに意識を奪われたのですね」

朝倉「(……理解力高ぇ)」

古泉「確か……何か重要なことを聞いていたような……少し記憶が」ズキズキ

朝倉「し、シャミセンでどうやってルソーたちの病気を治すのか聞きたかったんじゃない?」アハハ

古泉「え? ああ、そうでしたか。そんな気がします……」

キョン「くっくっく、それは着いてからのお楽し―――」

ハルヒ「阪中さん! 来たわよー!! J・Jの調子はどう!? 大丈夫!!?」ピンポーン!

キョン「み……」

朝倉「……着いたけど?」

キョン「……まぁ、フィーリングで察してくれ!」ドン!

古泉「……無理ですね。まぁ説明は解決してからでも結構ですよ」

古泉「信頼していますからね。あまたが無事ルソー氏を救い出すことをね」

阪中「あ、みんな……わざわざどうもなの」ガチャ

朝比奈「こ、こんにちは」

ハルヒ「J・Jは!? 大丈夫!?」ガシッ

阪中「わっ! と、とりあえず中へ……あ、ちゃんと樋口さんとマイクも呼んであるから」

朝倉「マイク?」

キョン「ッポゥ!!!」

長門「それはマイケル」

阪中「マイクは樋口さんちの飼い犬なの。ルソーと同じく体調崩してる……さあ、入って」
342 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/27(木) 18:22:09.30 ID:toBd8Njk0

ルソー・マイク「「……」」グデー

ハルヒ「J・J!!!」

朝比奈「あ、あんなに元気だったのに……」グス

朝倉「見るからに二匹とも弱り果ててるわね……可哀想だわ」

阪中「みんなが帰った後、ルソーが晩御飯を食べてないからおかしいと思ったの」

阪中「それで、今日起きたら……ルソーが……」

ハルヒ「J・J…………いや! 大丈夫よ!! J・J! それにマイクも!!」

ハルヒ「ウチの団員のキョンが!! あんたたちを治す方法を知ってるから!! すぐに治したげるからね!」

阪中「涼宮さん……」

ハルヒ「さあキョン!! 取り掛かりなさい!! それと、あたしたちにできることがあるなら言いなさい!」

キョン「ああ、心遣いは受け取っておく。だが、任せておけ。俺と」

シャミセン「我輩にな」ニャー

阪中「しゃ、喋っ、た……!?」

ルソー「今のは腹話術」グデェ

ハルヒ・阪中・朝比奈「「「!!?!?!?!?!?!!?!!?」」」ビックゥ!!!

長門「という腹話術」

ハルヒ「凝り過ぎよ!!!! めちゃくちゃビックリしたじゃない!!!!!!」

阪中「ルソー……あなたやっぱり喋れたのね……」グス

朝比奈「い、今のは長門さんの腹話術で……」アセアセ

キョン「(お前が喋ると場が混乱しちまうから黙ってろって言ってるだろが)」

シャミセン「ニャー」フイ

キョン「……マジモンの三味線にしてやろうかコイツ」ゴゴゴ
343 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/27(木) 18:27:54.30 ID:toBd8Njk0

キョン「ほいほいほいっと」セッセッセ

ハルヒ「……ねぇキョン。これ、何の準備?」

キョン「何って……治療に決まってんだろ」

ハルヒ「あ、そう。あんたがちゃんと分かってるならいいけどこれ……」

朝比奈「ひ、ひえぇ……真っ暗……」

朝倉「完全に黒魔術の準備に見えるんだけど? ルソーとマイク生贄に見えるんだけど」 

キョン「…………………………そんなわけないだろー」ハハハ

ハルヒ・朝倉「「その間は何よ!!!!!!」」ビシッ!

古泉「……日光を遮断しているのでしょうか?」

キョン「そうだ。部屋は暗くする方が好ましいからな。この儀式は」

朝倉「儀式って言っちゃってるわよ。治療でしょ治療」

キョン「……っし、準備完了。カモン、ルソー、マイク」パチン

長門「……」スッ

朝比奈「はい」スッ

キョン「よっと」ボッ!

ハルヒ「ん……なんかいい匂いするわね」

朝倉「アロマキャンドルだわ、あのロウソク……あとで貰おうかしら」

キョン「それでは……ただ今よりルソー、マイク両名のオペをとりおこなう」

阪中「お、オペなの!? 手術なの!!? 切るの!? 開くの!!? 大丈夫なのー!!?!?」アワワ!!

朝倉「お、落ち着いて阪中さん! 言葉のあやだから! 大丈夫だから!!」

キョン「執刀医はシャミセン先生だ!」

シャミセン「シャァッァアァアアァアアアァアアアアアアアッッッ!!!!!!」ギラッ!

阪中「執刀医!!?? やっぱり切るの!!? あの鋭いメスで切り開かれちゃうの!!?!?」ガタガタ!

ハルヒ「お、落ち着きなさい阪中さん! あれメスじゃないくてツメだから! 執刀医も雰囲気に合わせただけだから!!
344 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/27(木) 18:32:29.58 ID:toBd8Njk0

キョン「では……」

阪中「ううぅ……ルソーぉ……」

シャミセン「…………」ジィ

ルソー「……」

マイク「……」

長門「……三者面談」ボソッ

朝倉「ふぐぅ……! な、長門さん……笑わせないで……っ!」

長門「そんなつもりはない。どこが面白かった?」

朝倉「る、ルソーとマイク……に、似てない親子だなぁって……!」プルプル

ハルヒ「朝倉さん……ツボおかしいわよあなた……」

シャミセン「……汗」

キョン「あん?」ピクッ

ハルヒ「汗!? どういう……あ、オペ中だから汗拭けってことね有希!」

長門「……そう」

朝倉「猫は汗かかないでしょうに……」

キョン「(皮はがれたいのかお前、おい)」

シャミセン「……メス」

阪中「!!!! やめてえぇっぇえええ!!! せめて麻酔を打ってあげてぇええええ!!!!」

朝倉「なり切り!!! なり切ってるだけだからぁ!!!! な、長門さんそうよねえぇぇええ!!?」

長門「…………そう?」

キョン「(なるほど、そのメスで皮を剥げと……よかろう)」ゴゴゴ

シャミセン「(ふん。協力してやってるのだからこれぐらいよいだろう)」

シャミセン「(ただでさえ、普段はストレスが溜まることが多いというのに……たまの悪ふざけくらい……)」

シャミセン「……」シュン

朝比奈「ね、猫さんもなんかシュンとして……」

ハルヒ「び、病気がうつっちゃったのかも!!! く、空気感染!!? 換気してー!!!」

古泉「……騒がしい手術室ですね」クスッ
345 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/27(木) 18:36:11.55 ID:toBd8Njk0

シャミセン「……ニャー」フイッ

ルソー「……」ピクッ

マイク「……」ググッ

キョン「む……これは……」

阪中「ど、どうなったの!? ル、ルソーとマイクは―――!」

ルソー・マイク「「わんっ!!」」ピョン!

阪中「!!! ルソー!!!」ダキッ!

樋口「マイク!」ギュッ

朝比奈「ううぅ……よかったですぅ!!」グスッ!

ハルヒ「よくやったわルソーにマイク! ちゃんと病に打ち勝って偉いわよ! それにシャミセンもありがとね!」

ハルヒ「……キョン!! 褒めて遣わすわ!!」

キョン「そりゃどうも。シャミセン大先生の活躍ってことだな」

シャミセン「(これは貸しだ。お主の妹から逃れるための手助けをすることを忘れぬようにな)」

キョン「(善処してやるよ。先に言っておくが無理だとしても文句はなしだぞ)」

シャミセン「分かっておる」

キョン「だから喋るなって……ったく、まぁルソーとマイクに夢中で聞いてないからいいか」

ルソー「わんっ! わんっ!」ピョンピョン!

阪中「よかったぁ……ほんとうに……」

マイク「わんわん!」

長門「…………」ナデ

朝倉「これで、一件落着ってトコかしら?」

キョン「まぁな」

古泉「であるならば……次は解決法の説明と、シャミセン氏の説明。その二つを行っていただきましょうかね」

キョン「……やれやれだ」フッ
346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/27(木) 18:38:11.72 ID:toBd8Njk0
ここまでー
347 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 19:02:27.21 ID:tHDX66SD0
乙乙ー
今回も楽しませてもらったぜ
最近ハルヒ成分をこれで補ってるなぁ…
シャミセンの謎がそろそろ解明されるかな…
348 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 19:08:27.99 ID:0EZQt1TOo
あまた…
349 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 22:29:27.12 ID:SkKQdhAJo
乙ー
350 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/28(金) 07:01:15.67 ID:Pqt4K8cFO
まーたいいタイミングで切るんだからーもう
351 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/28(金) 13:07:42.86 ID:J9AOsrQGo
乙です
理解力高けぇw
352 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/29(土) 15:29:46.77 ID:JhO/PFy20
本日中にとーか
353 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 17:24:35.40 ID:3QyOsXLYO
舞ってる
354 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 18:44:49.90 ID:R0XnJ/9fo
よっしゃー
355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/29(土) 20:18:39.57 ID:JhO/PFy20
とうかー
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/29(土) 20:22:26.92 ID:JhO/PFy20

ハルヒ・阪中「「アニマルセラピー?」」

キョン「聞いたことはあるだろう? 動物を使った治療法のことだ」

古泉「今回行ったのは、動物が動物に治療を行う最先端の治療法だったようですね」

朝比奈「はぇー……」

キョン「犬の嗅覚が鋭いことは知ってるだろ? だからアロマを使用してよりリラックスできる―――」

ハルヒ「まっ! ルソーとマイクが元気になれば例え黒魔術だったとしても問題ないわ!」バッサリ!

朝倉「それはなにか代償がありそうで怖いわよ」

阪中「ルソーとマイクの快気祝いにお母さ―――」

長門「シュークリームを焼いているので食べた方が良い。リョウカイシタ」

朝倉「1人で何言ってんの長門さん!!? 悪い魔法使いユキが出てきてるわよ!!?」

朝比奈「あ、いい匂い……」

ハルヒ「安心したら甘いもの食べたくなっちゃったわ!! せっかく焼いてくれたことだし、じゃんじゃん食べましょ!!」

朝倉「ちょ、ちょっとは遠慮するのよ……ってもう」

古泉「細かいことは気にしない。実に涼宮さんらしいですね。理由付けに困らなくて済みそうです」

キョン「じゃ俺もシュークリームでもいただくとす―――」ガシッ

朝倉・古泉「「待って(ください)」」

朝倉「あたしたちへの説明は」

古泉「きちんとおこなっていただきますよ」

キョン「はぁ……猫又野郎、こっちゃ来い」

シャミセン「……ニャー」
357 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/29(土) 20:26:58.53 ID:JhO/PFy20

ハルヒ「いやーアニマルセラピーとかホントに効果あるのね!! あたし迷信だと思ってたわ!」

阪中「こんなに即効性のあるものとは思わなかったの。SOS団って……すごいかも!」

長門「おかわり」

朝比奈「しゅ、シュークリームが速攻で……」

ルソー「わんっ!」

ハルヒ「ふふん! まっ! 元気になってよかったわ! 犬は元気でいることが仕事だしね!」

ルソー「ご迷惑をお掛けしたね。おかげ様でこの通り、万全だよ」

ハルヒ・朝比奈・阪中「「「!!!」」」バッ!

長門「……わん」















キョン「……長門が気を引いてくれてるみたいだし、今なら喋ってもいいぞ」

シャミセン「……ふむ」

キョン「というわけでコイツになにか聞きたいなら直接聞けばいい」ヘラッ

シャミセン「我輩がなんの利にもならぬことを話すと?」ツーン

古泉「というわけで、シャミセン氏のことはあなたに聞くべきでしょうね」

キョン「喋っていい時には喋らねえのかよ……ホント猫ってやつは……」

朝倉「じゃあ、まずは情報生命素子をどう処理したか古泉くんに話しましょうか」

シャミセン「よかろう」ドンッ!

キョン「お前が話すんかい!!! ってか話すのかよ!!」ビシッ!!
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/29(土) 20:31:13.84 ID:JhO/PFy20

古泉「おこなったのは情報生命素子の凍結だけ……ですか」

朝倉「ええ、一番簡単な方法だけど、凍結するだけなら後々問題になるのよ」

キョン「ルソーとマイクがその生命活動を停止した際、なにかの拍子に凍結した情報生命素子が動き出すかもしれん」

シャミセン「その際に、素早く対処できると考えたため、情報生命素子とやらの依代になるよう我輩に頼み込んできたのだ」

古泉「仮に情報生命素子が活動を再開したとしても、猫であるシャミセン氏がルソー氏のように罹患したようになることはない、と」

朝倉「犬と猫の脳内神経回路はまた違うからね。そのままルソーやマイクに置いておくよりか遥かに安全という訳よ」

古泉「理にかなっていますね。ただそれも、シャミセン氏が彼に『化け猫』だと呼ばれる理由に関係がありそうですね」

シャミセン「『化け猫』か……まったく、どの口が言うことか」

朝倉「まぁ確かに、宇宙人に超能力者に…………キョンくんだしね」

シャミセン「……カテゴリそのものなのか、お主は」

キョン「まぁな」

古泉「では、我々機関の暗躍ですら辿り着けなかったシャミセン氏の秘密について、お話願えますか?」

シャミセン「……あれは、我輩がまだ子猫の頃だった……もしくはそうでない頃」

朝倉「(結局自分で話すのね!!?!? それで情報大分あやふやだし!!!)」ガーン!

シャミセン「野良猫として生きていた我輩だが、何日も食料にありつけず限界が近づいていた」

シャミセン「当てもなくフラフラと彷徨っている時、ふと一軒の家屋があった」

シャミセン「普段なら人と関わりたくもないが、生死がかかっていたその時ばかりは、藁をもすがる気持ちで家屋に立ち入った」

キョン「…………」

シャミセン「その時……その時だ。縁側に佇む一人のおなごがいた」

古泉「…………それは」

朝倉「……それって」

シャミセン「いかにも……君たちが『佐々木』と呼んでいる、お主のような力を持った人間に出会ったのだ」

キョン「…………」
359 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/29(土) 20:36:36.88 ID:JhO/PFy20

シャミセン「そして我輩は施しによって窮地を脱した、という訳だ」

キョン「つまり、こいつは俺より前に『佐々木』に会ったことがあるらしい」

朝倉「お、俺より前って……それ何時代になるの……?」

キョン「平安以前だな。下手したら文明以前とか……その頃に猫っていたんだっけ? まぁともかくだ」

キョン「こいつはそれぐらい前からずーーーっと生きてる『化け猫』なんだと」

シャミセン「いかにも」

古泉「じ、実在していたのですね。所謂、妖怪の類……ですよね」

シャミセン「君たちが言うのもおかしかろう。君たちとて一般にその存在は認知されていない」

朝倉「確かにね。そりゃ宇宙人、未来人、超能力者がいて化け猫がいないってのも納得できないし」

古泉「……………………」

朝倉「あ、じゃあキョンくんよりも前に『佐々木』さんに会ったことがあるってことは……」

朝比奈「キョンくんより『佐々木』さんのことを知ってるってことですか!!?」シュバババ!

朝倉「あ、朝比奈先輩!!? しゅ、シュークリーム食べてたんじゃ……」ビクッ!

朝比奈「ラヴの香りがしたので!」

朝倉「えぇ……猫なのに……」

シャミセン「我輩が『彼女』といたのはそれほど長い時ではない。よってそこまで『彼女』のことを知るわけではない」

朝比奈「あ……そうなんですね」

シャミセン「遥か昔の記憶故、鮮明に覚えているわけでもない。だが……」

シャミセン「初めて出会った時に感じた、その宇宙のような存在感は今でも忘れはしない」
360 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/29(土) 20:40:31.72 ID:JhO/PFy20

朝比奈「な、なんで『佐々木』さんの元を離れてしまったんですか?」

シャミセン「我輩は根無し草。例え尊大であると感じた相手でさえ固執することはない」

朝倉「野良気質が染みついてるのね。その割には随分長い事キョンくんのトコにいるけど」

シャミセン「監禁されておるだけだ!!!!」シャー!

キョン「はいはい、だから妹に相談してやるから。それで、お前らも」

キョン「これ以上シャミセンについて知りたいことはないだろ?『化け猫』は確かに珍しいがそれ以上でもそれ以下でもない」

古泉「………………」

朝倉「うーん、そうねぇ……」

シャミセン「終わったのか? ならばこのまま我輩をどこへなりとも離し―――!」ゾクッ!

キョン妹「――アハハ」シュン!

キョン「……離す前に話し合いが必要だろ? やれやれ」

古泉「……」

古泉「(『化け猫』……僕たちが存在するならば、その存在はあってもおかしくはない)」

古泉「(ですが、僕たちは涼宮さんによって望まれ、その姿を現した存在)」

古泉「(……既存の常識外の存在である宇宙人や超能力者、未来人。そして『化け猫』であるシャミセン氏)」

古泉「(自然発生する可能性がない、とは言い切れませんが……それが限りなく低い確率である場合)」

古泉「(シャミセン氏が『化け猫』になった原因は……)」チラッ

キョン「おいハルヒ! 俺の分のシュークリームはあるんだろうな!」

ハルヒ「むっ! きたわねキョン!! あんたに食わせるシュークリームはないわよ!」モグモグ!

古泉「(……僕程度に推測が可能なことに、あなたが気づいていないはずはありませんね)」
361 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/29(土) 20:46:24.43 ID:JhO/PFy20

ハルヒ「んぐっ! ぬぐぅ!」ドンドン!

朝比奈「す、涼宮さん! 落ち着いて!! み、水を!」

阪中「ろ、ロイヤルミルクティーならあるの!」ワタワタ

朝比奈「そ、そんなところも豪奢!!」ガーン!

キョン「モガモガ……俺にシュークリームバトルを選んだ末路だ」ゴクン

朝倉「聞いたことないわよ、そんな競技……ねぇ、どうして今回はキョンくん自分で解決しなかったの?」

古泉「確かに。詮索はしませんでしたが、シャミセン氏の協力がなくとも、あなたならどうとでもできたでしょう」

長門「……」

キョン「言ったろ。あくまで情報生命素子は凍結中。何かの拍子に解凍されりゃ後々やっかいだ」

キョン「その点、ウチの『半分ジ○ニャン』は安心だ。死ぬこたねぇだろうからほぼ限りなく永久的に情報生命素子を監視下に置ける」

シャミセン「いつまでも監視される気はないぞ!!」シャー!

朝倉「『半分ジ○ニャン』て……いえ、そうじゃなくって。結局それがキョンくんじゃなくてシャミセンでなければならない理由にはなってないわよ?」

キョン「……そうか?」

朝倉「そうよ。情報生命素子を破壊せず凍結するのは、宇宙にとっては有益な存在であるからにしても……」

朝倉「どっちかというならシャミセンよりキョンくんの方が遥かに長生きしてるだろうし」

キョン「……それもそうだな」

古泉「…………」

朝倉「……?」

長門「……あなたは」

キョン「…………」

長門「…………あなたには、既に何かが見えているの?」

朝倉「……長門さん? 何言って……」

キョン「……遠くない未来、俺は――――――」
362 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/29(土) 20:47:49.43 ID:JhO/PFy20




















キョン「俺は、この世界から姿を消す」


















363 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/29(土) 20:51:56.60 ID:JhO/PFy20

帰り道


ハルヒ「ふんふーん! おみやげのシュークリームいっっっぱいもらっちゃったわね!」

朝比奈「はい、すごくおいしいからうれしいです」

キョン「お前あんだけ食っててまだ食うのかよ。喉までつまらしてたくせによ」

ハルヒ「喉は別腹だからセーフ!」ドンッ!

キョン「説明も理由も意味わからん」

ハルヒ「あ! あのシュークリームによく合ってた紅茶ももらえばよかったわ!」

キョン「強欲が過ぎるだろ」

ハルヒ「……なんであんたがツッコんでんのよ」ジッ

キョン「……えっ? いやらしい話?」

朝比奈「えっ!?」ビクッ

ハルヒ「そっ、んなわけあるか!!! ツッコミは朝倉さんの仕事でしょうが!」バシッ!

キョン「フボアッッッ!!!」ズザザー!

朝倉「……」

ハルヒ「……あれ、これだけやっても無関心? おーい朝倉さん?」フリフリ

古泉「…………」

ハルヒ「古泉くんまで……有希みたく黙っちゃって……モノマネ対決中?」

朝倉「……えっ? あっ、涼宮さん何か言った? ごめん、ちょっと考え事してて……」

ハルヒ「そう」

朝倉「長門さんのモノマネ? なら声は1オクターブ高いし、目線はもっと下、背筋はちょうど地面と垂直よ」

ハルヒ「えっ」

長門「…………」
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/29(土) 20:56:05.19 ID:JhO/PFy20

ハルヒ「そう……どう? 似てた!? みくるちゃん!」

朝比奈「そ、そうですねぇ……似てると言えば似て……」

長門(偽)「そう」

朝比奈「……こ、こっちの長門さんの方が似てます」

ハルヒ「擬態は卑怯よキョン!!!」

長門(偽)「そう?」

朝倉「……古泉くん、どう考えてる?」

古泉「…………もちろん、彼の発言について……ですよね?」

朝倉「キョンくんはあの後気にするな、ただの妄言だ……なんて言ってたけど」

古泉「機関は大慌てですよ。彼の発言一つで右へ左へ……大忙しです」

朝倉「近々……まず間違いなく、あたしたちの敵対組織との直接的ななにかが起きる」

古泉「それによる影響で彼が…………」

朝倉「……ええ、考えにくいわよね。『あの』キョンくんが、やられちゃうことなんて……」

古泉「……もしか―――」

長門(偽)・ハルヒ・朝比奈「「「そう」」」

古泉「うあっ!? なんですか、急に」

ハルヒ「急じゃないわよ、古泉くんに朝倉さん! 二人でボソボソ言ってて『誰が一番有希に似てるでしょう選手権』のこと聞いてなかったでしょ!」

朝倉「き、聞こえてないし!! 誰も似てないわよ!!!」

ハルヒ「じゃあ問題!! どっちが本物の有希でしょう!!」バッ!

長門・長門(偽)「「……」」

朝倉「はいこっち!! もう遺伝子から違うわよ!!」ビシッ!

キョン「えぇ……もはや怖いわ」ポンッ!

ハルヒ「キョンもまだまだってことね!!」


ギャーギャー!!








古泉「…………彼の視る未来がどうか平和なものであってほしいですね」フッ



                                                       ワンダリング・シャドウ 完
365 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/29(土) 20:59:19.26 ID:JhO/PFy20
以上! このスレは終わりです。4ヶ月かかって過去最少レスで終わりました! すんません
次はいよいよ分裂です! スレたてした際には誘導します
レスどうもでした。もう少しお付き合いの程をお願いいたします!
366 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 21:04:46.19 ID:UG8jn1MLO
乙乙
朝倉さんすげぇや…
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 21:17:04.91 ID:OnRU3U2mo
乙です
368 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 21:33:34.32 ID:RqR3rBwvO
乙です!
シャミセンはキョン妹から逃れ…られないな
とりあえず合掌(ナムナム
369 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 22:24:47.62 ID:qqStFBoFO
きょんが消えるってことは佐々木が現れるとしか考えられないな…
だが佐々木がそんなことをするとは思えないしわからん…とりま乙でした
このシリーズこの一週間で前のまで読んだばかりだ
この世界にもキョンの知ってるあの佐々木じゃない佐々木はいるぽいしそれが関係するのか?
370 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/30(日) 17:30:13.99 ID:p7EE6/Sd0
ウーム…乙ですー
次のスレ楽しみに待ってます
このレベルの人が現役でいてくれると本当に助かる
371 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/30(日) 23:31:58.38 ID:eFak09V80
乙です!
372 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/01(月) 21:46:28.72 ID:0Sjj/vZh0
ハルヒもまだまだ大丈夫だな
373 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/03(水) 18:16:46.46 ID:qvNL5v5J0
オワコンとは言わせねーぜ
まだまだ現役で行ける行ける
374 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/03(水) 18:26:27.98 ID:yeJUvPm+o
>>373
うるせぇageんなks
375 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/12(金) 00:25:22.71 ID:tddIwN5B0
こんばんわ。次スレ分裂の件なんですが、5月中に立てるのは難しいと思われます
6月以降に立てるつもりなので、できればどうか気長にお待ち願います
376 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/12(金) 02:59:48.25 ID:qzzBdK59O
よかろうドンッ
377 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/12(金) 13:07:17.61 ID:5Jg5Vn1/o
待ってます
378 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/12(金) 18:07:56.66 ID:nNmFzTcn0
よかろう(楽しみだなぁ)
379 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/13(土) 16:52:24.59 ID:fTENODZ1O
乙乙
380 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 02:59:01.59 ID:iowm75OD0
こんばんわ。恐らく今週中にはスレたてします
また誘導しにきますので、よろしくお願いします
いよいよ分裂まできましたー!
381 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/05(月) 03:04:33.33 ID:Nb8a3WpfO
期待待機
382 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/05(月) 08:14:07.65 ID:Cggk88Rh0
期待待待
383 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/05(月) 20:49:12.81 ID:Uq8r/EV8o
うおおお
384 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/06(火) 12:26:17.20 ID:kIWnK7E50
きたか!
385 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/06(火) 15:04:58.93 ID:10MDNQqu0

新スレ
ハルヒ「キョンTUEEEEEEEEEEE!!!!!!!!!!!」 キョン「分裂するぞ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1496727295/

誘導です。9スレ目です。よろしくお願いします
386 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/06/22(木) 02:20:14.69 ID:FQZJTdqe0
あげ
387 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/22(木) 09:46:39.25 ID:Yh+iXaeA0
>>386
終わってるのをわざわざあげるなアホ
388 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/26(月) 17:44:13.76 ID:G5iOEjhPO
続編はあるのですかえ?
389 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/26(月) 18:14:17.20 ID:9NO1V6QKO
>>388
わざと上げんな9ズ
390 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/26(月) 21:45:06.63 ID:qj/rVKOc0
イライラする
391 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/28(水) 19:17:16.33 ID:cEQJ++8W0
牛乳を飲め!!
218.60 KB Speed:0.1   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 新着レスを表示
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)