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【ラブライブ!】スクールアイドルを始めるらしい
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58 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/11/23(水) 23:17:37.44 ID:yqenQ4vR0
おつ!
楽しみにしてる
59 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/11/23(水) 23:24:30.33 ID:U/48NGQO0
ゆりゆりに期待してまってるよ
60 :
◆XxLp/boApQ
[saga]:2016/11/24(木) 01:11:00.71 ID:qHizDJOiO
とりあえずキャラのプロフを再編、調整しましたので、投稿を。書かれている情報量が少ないものは色々追加したりしてるのでご了承を。本編はまた今度に
名前:鷹末 玲奈(たかすえ れいな)
学年:一年生?
誕生日:12月19日
身長:159cm
髪形:ブロンドのロングヘア。さらさらと癖が一切ない綺麗な髪。?
身体的特徴:華奢なスタイルにすらりと高めな身長。品というものを感じさせるオーラ。男女問わず魅力的に感じさせる、作られたかのような美しさを持つ?
好き嫌い:はっきりしないものが嫌いで、好きなものは激辛な料理、お肉。?
性格:規律が好きな生真面目で頑固者、年上にもガンガン意見を言ってくるタイプ。怒ると自覚はないがガラが悪くなる。?
その他:?ドイツ人の母と日本人の父のハーフ。バイオリンが得意で放課後に学校で演奏している。
食が太くいっぱい食べるのだがペースは驚くほど遅く上品に食べる。
名前:周防ちどり(すぼう ちどり)
学年:一年生
誕生日:7月6日?
身長:158cm
髪形:暗い緑色のボブカット?
身体的特徴:伊達眼鏡にバッテンの形にした髪留め。スタイルは平均的。
好き嫌い:好きなのはキーボード、チョコレート。嫌いなのは大勢の前で話すこと臭いの強いもの。?
性格:シャイだが努力が大好きなポジティブな性格。好きなキーボードや音楽についての知識は多いが、興味がわかなかったものに対しては極端に知識量が少ない。
その他:中学時代は軽音楽部でキーボードをしていて、作曲も何度かしている?。
親の仕事の都合で県外の高校に進学することになった今はこっそり動画サイトに作った曲のアップをしているが、高校ではバレないようにおとなしくしている。?
大勢の前で演奏するのは良いが、人前で話すのが苦手。
61 :
◆XxLp/boApQ
[sage saga]:2016/11/24(木) 01:13:08.98 ID:qHizDJOiO
名前:若部 山茶(わかべ さざん)?
学年: 1年
誕生日: 11月3日
身長: 152cm
髪形: 金の短めのポニーテール
身体的特徴: 華奢だが筋肉質
好き:果物全般
嫌い: 勉強
性格:賑やかで前向きなムードメーカー、常にポジティブでうるさいくらい
その他: スポーツなら何でもピカイチな運動神経の塊だが、勉強は超がつくレベルの苦手。 ただ興味の持ったこと何でも覚えられる。
物怖じせず、グングン引っ張っていくタイプ
名前:飛島 深羽(とびしま みう)
学年:二年生
誕生日:4月27日
身長:158cm
髪形:暗めのオレンジ色のショート。片目を隠している。
身体的特徴:顔は整っているのだがパッと見の印象は地味で暗く見えてしまう。出るとこは出てしまるべきところはしまった抜群のスタイル。無気力そうな目も特徴的。
好き嫌い:好きなものはジャンクフードやファストフード。嫌いなものは特になし。
性格:常識的な性格で普段は問題も特徴もこれといってないのだが、客観的に見た感想や考えを率直に告げ問題になることが度々。根は優しいのだが誤解されやすく、長考からの突拍子もない行動でおかしな人と思われることも。
その他:自称生きる意味を探す探求者。主人公。これまで目立つこともなくのんびりと生きてきたが、ひょんなことからスクールアイドルに。容姿以外にこれといってアイドルとしての才能はないが、料理の腕はピカ一。けれど大体作るのはジャンクフード、ファストフード。
62 :
◆XxLp/boApQ
[sage saga]:2016/11/24(木) 01:17:34.90 ID:qHizDJOiO
名前:宗 晴香 (そう はるか)?
誕生日:2月8日
身長 :160cm
学年:2年
好きなもの:和菓子、蕎麦
嫌いなもの:生魚
髪型:ピンク色のロングヘア。前髪は目の上あたりで真っ直ぐに切り揃え、左右に少量の髪で細いツインテールを作っている。
身体的特徴:平均的で健康的なスタイル。大きめなお尻と柔らかそうな脚が特徴的。
性格:引っ込み思案で大人しい。迷惑になるのを嫌がり、助けを求められるまで少し離れた位置でおろおろしたりする。
その他:手先がとても器用で特にミシン等裁縫関連の腕はピカイチ
父子家庭で育った影響で妹のためにアニメの衣装を作ってあげて喜ばせようと特訓した賜物。そのため作る衣装のモチーフが若干オタクっぽい
唯一の難点としてはお金の使い方については厳しく守銭奴な面も
名前: 小枝芽衣(こえだめい)
学年: 2年
誕生日: 8月29日
身長: 153cm?
髪形: 髪色はグレー 穂乃果と逆な方向に結んでるワンサイドアップ
身体的特徴: なでなでしたくなる様なスマートな小柄娘だけど成長過程中?
好き嫌い: 好き ハンバーグ 苦手 巨乳
性格:リーダー気質で普段冷たい態度をとっているが困っている人をみると何故かすぐ謝りだし救いの手を差し伸べるそそっかしい性格に急変する
野外にいくとUMAや怪異な村の話を熱く持ち上げたりする、廃村廃墟洞窟、[立ち入り禁止]を見るとスマフォをもって進入したくなるほど冒険心が強い
その他: 特技 ランダム12個言われた数字が覚えられる PCスマフォの内部をいじるのが好き
野生の茸には詳しい
UFO UMAと交信することができる?
63 :
◆XxLp/boApQ
[sage saga]:2016/11/24(木) 01:18:32.42 ID:qHizDJOiO
名前:陸上つかさ(くがうえ つかさ)
学年:三年生
誕生日:4月2日
身長:175cm
髪形:赤色の髪のショートへア
身体的特徴:高い身長にほどよく引き締まった身体。スレンダーで凛とした顔立ちから女子からも人気が高い
好き嫌い:好きなものは釣り、スポーツ観戦。嫌いなのは女の子らしいファンシーなもの。
性格:男勝りな性格で、さっぱりとした姉御肌。過保護な一面がある……が、男兄弟への対応と変わらず、その対応はアバウトで男らしい。
その他:?5人兄弟で全員男だったので男勝りな性格。男っぽい格好が似合うし好きではあるがフリフリの女物の服が苦手で恥ずかしがる一面もある。
趣味は釣りとスポーツ観戦?。
兄弟の試合などよく撮影していたのでカメラの操作は一通り得意。
名前:榎本 悠(えのもと ゆう)?
学年: 3年
誕生日: 11/13?
身長: 164センチ
髪形: 薄水色のセミロング
身体的特徴: スタイルは良いが、胸はさほど大きくはない
好き:クリームシチュー
嫌い: ステーキの脂身
性格:クールで冷静沈着を装っている。生徒達はそんな姿を「かっこいい」と言うが、内面はとても感情的。何かあるたびに脳内会議を繰り広げて、悠ちゃん1号や、悠ちゃん2号に助けを求めている。
その他: 生徒会副会長。可愛いものが大好きで、収集癖がある。特にパンダに対する愛は本物。パンダ柄のポーチや、ペンを使っていたり、シュシュなどを身につけているパンダ愛の徹底ぶりに、下級生達はギャップ萌えを感じている。
これといって突出した特技はないが、大体のことはこなせるオールラウンダー。
64 :
◆XxLp/boApQ
[sage saga]:2016/11/24(木) 01:19:10.15 ID:qHizDJOiO
名前:影山 真央(かげやま まお)?
学年:3年
誕生日:8月16日
身長:162p
髪形:やや青みがかった白髪のロングヘア、前髪で目を隠している
身体的特徴:普段は前髪で隠れているが割と童顔、おっぱいが大きい
好き:詩を書くこと、読書、噂話の収集
苦手:おばけ、雷
性格:控えめでおしとやか。生き字引レベルの物知り
その他:気配を消して歩くのが上手く、いつの間にか人の背後に回り込んでいることからついたあだ名が「背後霊」。本人は若干気にしている。
中学生の妹が一人いて、最近彼女が中二病を発症した事が悩みの種。
判明している&作成したキャラとキャラの関係
鷹末玲奈 & 宗晴香
服飾の実力も容姿も優れた少女。玲奈やメンバーは素直に彼女を称賛するのだが、決して肯定はせず。
実力才能努力とは裏腹に自信なさげな晴香の態度。玲奈は釈然としない気持ちを抱いている。
そんな玲奈に晴香はびくびく。お互いある意味不器用なのかもしれない。
周防ちどり & 小枝芽衣
幼い頃の友人。中学時代までは近所なのもありよく遊んでいたが芽衣が高校に進学し一人暮らしを決意すると自然と疎遠に。
偶然同じ学校、同じ県にいるのだが――芽衣はまったく覚えていない。
名前を聞いておらず顔も成長して記憶と一致しない。伊達眼鏡を外すとようやく気づくレベル。一年という月日ではなく記憶力に問題があるに違いない。
一方ちどりの方は彼女のことをよく覚えていて、自分のことを引っ張ってくれていた彼女をよく頼りにしている。
65 :
◆XxLp/boApQ
[sage saga]:2016/11/24(木) 01:21:11.11 ID:qHizDJOiO
若部 山茶 & 小枝芽衣
あまり似ていないように思える二人。けれど根っこのそそっかしさはよく似ている。
お互いに同じ学校に通っていることは知らないが、会えばしっかり思い出せるくらいには付き合いも長い。名前も知っている。
阿吽の呼吸と言うべき仲の良さで、考えていることが大抵分かってしまう。自分の思考とよく似ているから。
飛島深羽 & 影山真央
髪型、スタイル、雰囲気。並んでいると姉妹かと思われるほど似た点が多い二人。
深羽はそんな彼女に危機感を覚えているらしい。性格ははるかに自分よりいいし、頭もいいし。
対する真央もまた自分と似た姿の彼女を密かにライバル視しているらしい。どこに意識する要素があるのかは分からないが。
陸上つかさ & 榎本悠
同学年で同クラス。話したことはあまりないがお互いの印象は悪くない。元気で明るくムードメーカーなつかさに、クールそうで可愛らしいグッズを持つ悠。興味はある二人だが接点はなく、これまで話す機会もなかった。
鷹末玲奈 & 陸上つかさ
真面目な玲奈に男っぽい性格なつかさ。その相性は悪く、衝突することもしばしば。決して嫌っているわけでもないが思考回路はほぼ真逆。苦手意識はぬぐえない。
66 :
◆XxLp/boApQ
[saga]:2016/11/24(木) 01:23:22.62 ID:qHizDJOiO
普段使わないスマホだからか文字化けが……半角スペースなるべく消したのですが、残ってますな。
また後でパソコンで直して書き込んどきます。とりあえずキャラはこれで、本編を。では今日はここまで
67 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/11/24(木) 02:30:24.73 ID:nLwqO7Ywo
乙きたい
68 :
以下、名無しのかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/11/24(木) 04:14:59.02 ID:Xfa/Z5EB0
期待して待ってます。
69 :
◆XxLp/boApQ
[saga]:2016/11/26(土) 00:57:28.42 ID:uKyLoVp1O
文房具店といっても、それほど古臭いわけではない。腐っても埼玉県。それなりにお店には気を使わなくては生き残っていけないのだ。
深羽「とはいえ、手広くやればいいって話じゃないけど」
店の奥に位置するカウンター内。変わり映えしない店内を眺め、私は呟いた。
一般的なコンビニより小さめなお店。そこに置かれた棚。人がやっと二人同時に並んで歩けるであろう通路。ところ狭しと商品の置かれた窮屈なそこには、文房具以外のものもいっぱい置かれている。
雑貨、ジュースに駄菓子に缶詰め……弁当でも置いたらもうコンビニである。
深羽「これで生き残ってるんだから分からない……」
携帯ゲームを起動。お客さん今日は何人来るのやら……春休みだからそれなりには来そうだけど。
さて、のんびりお店番。真面目に待つ気はなく、がっつり暇潰しをするつもりで鼻唄など歌いつつゲームをプレイ。
しばらくこうして時間が過ぎていく――と思っていたんだけど。
???「ここここ。いいお店なんだよ」
???「そ、そうなの? お邪魔しますー……」
なんだかお洒落な喫茶店や服屋にでも入ってくるような台詞をやりとりしながら、お客さんが入ってきた。
70 :
◆XxLp/boApQ
[sage saga]:2016/11/26(土) 00:58:12.68 ID:uKyLoVp1O
深羽「いらっしゃいませー」
ゲームはパタンと閉じ店員モードになる私。愛想はないけど。
??「あれ? 店員さんいつもと違う?」
??「そうなの? 知らないけど……」
お母さんが接客したのだろう。ちょっと戸惑った声が、棚で見えない入口付近から聞こえてくる。
少ししてお店に入ってきた二人の姿が見える。
一人目。グレーの色の髪を頭の横で結んだ小さな女の子。一見クールそうで、けれど身長のせいで可愛らしく見えて、なんだか不思議な子だ。
二人目。ピンク色のサラッとしたロングの髪を、ちょこんとちょっとだけ左右で結んで細い紐のようにした女の子。おどおどなんて擬音が付きそうな表情と仕草、一人目の女の子の服の裾を掴んでいて、見た目はあの子より大人っぽいのに子供っぽく見えてしまう。
……なんか見覚え、あるような。
グレーな子「こんにちは」
ピンクな子「こ、こんにちは」
深羽「あ、はい。こんにちは」
ぼんやり考えている最中に声をかけられ、我に帰る。挨拶。それをされるとつい自然と返してしまうのが人間である。
グレーな子「ちょっと聞きたいんだけど、いい?」
深羽「はい。なんですか?」
グレーな子「ポスターとか、ビラとか作ろうと思ってるんだけど、いいペンとかある?」
深羽「ペン、ですね……」
ええと、確かあったような……。セットよりはバラがいいかな。学生にペンのセットは若干高いし。
71 :
◆XxLp/boApQ
[sage saga]:2016/11/26(土) 00:59:14.28 ID:uKyLoVp1O
ピンクな子「……」ジーッ
深羽「よっこいしょ――ん?」
カウンターを開いて通り、閉じる。ペンのあるコーナーを思い出し、案内しようと――した直後、視線を感じ二人目の方へ振り向いた。
……見られている。すごく。
深羽「あの……なにか?」
ピンクな子「あっ、その……飛島さんよね?」
グレーな子「飛島……? 聞いたことがあるような……」
私服だから分からなかったけど、やっぱり知り合いだったみたいだ。グレーな子がカウンターの中から出てきた私を下から上にじっくり見る。
彼女の視線がゆっくり上がっていく。そして、私の身体のちょうど中間上辺りで止まった。
グレーな子「うげっ! 深羽か!」
……すごく泣きたくなってきた。
ピンクな子「もう、芽衣ちゃんダメよ? すごく失礼」
芽衣「ってもなぁ……苦手なカテゴリだし。晴香も分かるでしょ?」
晴香「全然分からないからね?」ニッコリ
……話から予想するに、別に私が皆に嫌われているというわけではないらしい。個人的に芽衣とかいう子に嫌われているだけで。
芽衣「その顔、深羽はまだ気づいてないみたいだね。クラスメイトなのに」
深羽「……すみません。さっぱり……クラスメイト?」
晴香「そう。クラスメイト。……でもあんまり話さなかったわよね」
クラスメイト……通りで見覚えがあるわけだ。納得と同時に申し訳なさが、こう……。始業式まだだし、一年生の時ずっと同じクラスってことで。そんなにみんなと交流しなかったかな、私。
72 :
◆XxLp/boApQ
[sage saga]:2016/11/26(土) 01:00:15.08 ID:uKyLoVp1O
芽衣「ま、お互い様ってことかな。私も覚えてなかったし。あ、あとため口でいいよ。他に客さんがいたら敬語でも」
深羽「う、うん……」
なんだこの子。淡々とした口調だけどぐいくいとくる。表情も決してフレンドリーじゃないのに。
晴香「こら、飛島さん困ってるよ? って、ごめんね。こんなやり取りウザいよね?」
この子はこの子でいやに控え目だし。
深羽「大丈夫、気にしてない。……ペンだよね? それならこっちにあるよ」
色々気になるけどとりあえず案内せねば。彼女らはペンを探しに来たのだ。
芽衣は何故かそわそわしてたけど仕事優先。店のとあるコーナーへ。
晴香「わ、すごい……ペンでもこんなに」
芽衣「おお……目立ちそうなのないかな?」
深羽「目立ちそうなものなら……これとか」
希望の品を一通り。目立つものと言っても太さ、色、とか種類は色々ある。後はお客さんに任せてもいいけど……
深羽「なにを書くの?」
用途を聞くのは大事だよね。もしかしたらペンじゃないものが必要かもしれないし。
芽衣「なにを、かぁ……」
晴香「あはは……」
深羽「……?」
苦笑する二人。言いにくいことなのだろうか。照れ臭そうに目を逸らす二人は、首を傾げる私へポソッと告げる。
晴香「スクールアイドル」
芽衣「始めようって思ったんだ」
73 :
◆XxLp/boApQ
[sage saga]:2016/11/26(土) 01:01:04.72 ID:uKyLoVp1O
……なるほど。スクールアイドルを始めるらしい。
スクールアイドル……って、始めようって始めるものなんだっけ?
深羽「そっか、スクールアイドル……その宣伝ってこと?」
芽衣「うん、部を作るのに五人は必要みたいだからメンバー集めないと」
晴香「今は芽衣ちゃん一人だけだし」
芽衣「え? 晴香、本当に見てるだけなつもりなんだ?」
晴香「約束してないじゃない。私は衣装作るだけ」
深羽「……」
芽衣「あ、ごめんごめん。ってことで、とりあえず華やかで目立って、仲間になりたいって思えるものがいいの」
深羽「なるほど」
そういうことならもっとらしい物があるかな……。どれがいいかな。
深羽「これとかは?」サッ
芽衣「うーん、色が地味?」
深羽「……これ?」
晴香「派手すぎるよね? あ、ごめんなさい」
深羽「……」
あれこれとペンの候補を挙げてみるけど反応はいまいち。ピンとこないようだ。
……となると、これはもうペンの問題ではないような気がする。
74 :
◆XxLp/boApQ
[sage saga]:2016/11/26(土) 01:02:51.38 ID:uKyLoVp1O
深羽「デザイン……の問題のような気がするんだけど」
晴香「……だよね。ゴメンナサイ」
縮こまりながら謝る晴香。
芽衣「デザイン? なるほど、それは思いつかなかった」
それとは対照的にクールそうな顔でコクコクと頷く芽衣。
……多分彼女が晴香をぐいぐい引っ張ってきたのだろう。その光景が目に浮かぶようだ。
芽衣「晴香、どう? デザインできる?」
晴香「私のは……あれだよ? 引かれるというか」
芽衣「あー、そっか。別に気にしないけどなぁ……好きだけど」
晴香「芽衣が好きでも私が恥ずかしいの。やだからね?」
ぶんぶんと首を横に振り晴香が拒絶する。ツインテールがバシバシと芽衣に命中していた。
芽衣「となると……うーん」
顎に手を当て考え込む素振りを見せる彼女。子供っぽい容姿で冷静に考え込む彼女の視線が晴香から棚、そして私へ向く。
うんうん、と何度か頷く芽衣。彼女は目をキリッとさせ、鋭く一言。
芽衣「深羽、君に任せた……!」
深羽「ざけんな」
反射的に台詞が出た。
75 :
◆XxLp/boApQ
[sage saga]:2016/11/26(土) 01:03:57.06 ID:uKyLoVp1O
冒頭の語りからこれは回想なのだと分かるだろう。だとしたらどこに『ざけんな』と口走るスクールアイドルがいるのだという話である。
が、いるのだ。似合わない似合わないと言っておきながらアイドルになった馬鹿が。
深羽「……こんな感じ?」
ざけんなと言いながら、やっと思い出したクラスメイトを家に上げポスターを描きはじめる馬鹿が。
……まぁ、だからこそ色々はじまるわけで。
芽衣「ん、いいね。流石は文房具店の看板娘」
晴香「上手。硬派でかっこいい!」
深羽「そう、かな?」
自室。和風な作りの部屋の床に広々と展開されたポスター。その下書きを終えて、色をつけた。
スクールアイドル部、その2。部員募集。でかでかと書かれた文字に、晴香が描いたデフォルメされたアイドルの絵。中々いい出来だと我ながら思ってしまう。
芽衣「いいって。自信持ちなよ、深羽」
深羽「うん……」
こうもはっきり褒められたことなんて久しぶりだ。大したことでもないのに照れてしまう。
深羽「それにしても……」
赤くなりそうな顔を誤魔化すためにゴホンと咳払い。話題を変えようと気になっていたことを問う。
深羽「その2って何?」
晴香「あぁ……それ。もうアイドルしてる部があるから、一応って」
深羽「……そういえばそうだ」
思い出す。そういえば学校にはもうスクールアイドルがいたんだった。いつだったかな……ライブを見たけど。それほど印象に残らなかったグループの。
76 :
◆XxLp/boApQ
[sage saga]:2016/11/26(土) 01:04:46.74 ID:uKyLoVp1O
深羽「けどそれなら、わざわざ新しく作らなくても……」
芽衣「そうなんだけど、でも折角やるなら新しくの方がいいと思って」
晴香「あはは……無駄に行動的よね、ほんと」
芽衣「分からなくもないでしょ。ね?」
まあ、確かに。中古と言ってはアレだけど、新品を好むのは人間の性と言っても仕方ない。
スクールアイドルもやるなら新しく、自分たちで作った方が楽しいだろうし。
深羽「うん。新しいなら気は楽」
芽衣「だよね。あー楽しみだなぁ、新入生勧誘」
晴香「そんなに人集まらないと思うけど……どうだろう」
芽衣「大丈夫。やることはやったし、結果はついてくるから」
どこからその自信が来るのか。ほぼ真顔で涼しく言い放つ芽衣に、髪をいじる晴香が肩を落とした。
彼女らを知らない私からは彼女の自信の理由はさっぱりだ。けど成功してほしいとは思う。スクールアイドルで学校が盛り上がるなら言うことなしである。
光が大きくなるほど闇もまた大きくなる。つまり学校が盛り上がることで、私の日影もまた大きく、平穏に過ごせるということ。陰ながら応援させてもらおう。
芽衣「……で。ここまで手伝ってもらったついでなんだけど」
一仕事終えた気持ちよさを感じながらペンや定規をしまっていると、なんだか嫌な予感がする言葉が。
77 :
◆XxLp/boApQ
[sage saga]:2016/11/26(土) 01:05:40.24 ID:uKyLoVp1O
深羽「……なに?」
芽衣「勧誘、手伝ってくれない? ご飯は奢るからさ」
深羽「……」
ざけんな、という言葉はなんとかのみ込んだ私である。
まったく無関係な私を何故こうも捲き込むのか。理解に苦しむ。
私は普通というか二人のことを覚えていないし、いい子な晴香もかすかに覚えてるくらいだし、芽衣に至っては私へ嫌悪感がある筈なのに忘れてたレベル。
人前に出るような人間じゃないのだ。うん。絶対。
晴香「ちょ、芽衣ちゃん。飛島さんもう十分手伝ってくれたでしょ」
芽衣「いやでも人手二人じゃ足りないし……三人でも足りないし……」
……単なる人手不足か。そ、そうだよね。
芽衣「……? なんかしょんぼりしてる?」
深羽「してない。私に手伝う理由があると思う?」
芽衣「ある」
尋ねると意外にもきっぱりと答えられた。サイドテールを揺らし、平らな胸を張ると彼女はフッと微笑。
芽衣「深羽ってお人好しそあいたっ!?」
晴香「」スパーンッ!
おどおどした申し訳なさそうな顔の晴香に頭を叩かれる芽衣。シュールだ。
晴香「芽衣ちゃん?」
芽衣「素直に言います……」
不思議な力関係だなぁ……遠い目。
芽衣が正座をし背筋をピンと立てる。そのまま妙にかしこまった姿勢で彼女は言う。
78 :
◆XxLp/boApQ
[sage saga]:2016/11/26(土) 01:06:37.76 ID:uKyLoVp1O
芽衣「深羽ってアイドル向きだと思って。そのスカウトも兼ねてね」
深羽「節穴か」
芽衣「ふしっ!? そ、そんなこと言われると思わなかった!」
晴香「ぷ、ぷふっ……」
芽衣「そこー、笑わない」
晴香のツインテールの片方を引っ張る芽衣。今度は彼女が『ご、ごめんなさい』と謝る。
アイドル……私がアイドル向き。
……ないな。
深羽「私はこんなだけど、どこにアイドル要素が?」
芽衣「あると思うけど。そのスタイルと、もう私たち深羽と違和感なく話せてるし」
『スタイル』のところで胸見ながら苦い顔しなくとも……。彼女の私への嫌悪感の原因が分かってきた。
晴香「そういえば……。なんでだろう」
芽衣「親しみやすいっていうか……人が良さそうなのが分かるっていうか……とにかく」
正座からすっと立ち上がり、芽衣が私を見下ろす。彼女はいそいそと手を服で拭き髪を整えると、私へ手を差し出した。
芽衣「深羽、私と一緒にラブライブを目指さない?」
ラブライブ。スクールアイドルたちの全国大会。とても現実味がある話ではない。
でも私は私へ手を伸ばす彼女の姿に強い動揺を覚えていた。
私がアイドルに。私をアイドルに。
私へ手を差し出してくれる人がいる。
ドキドキと胸が高鳴った。
こんなこと初めてだった。緊張で震える手。目の前の彼女の手をとる。簡単なはずのそれに何秒も時間をかけて私は手を握る。
温かい手。触れているとすごく安心したのを今も覚えている。
優しく頷く彼女へ私はなんとか声を絞り出し、告げた。
深羽「け……見学から」
芽衣と晴香が同時にずっこけた。
79 :
◆XxLp/boApQ
[saga]:2016/11/26(土) 01:08:30.38 ID:uKyLoVp1O
今回はここまでで。また次回
80 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/11/26(土) 01:13:35.08 ID:Gxx+R4Bl0
冒頭から引き込まれたわ
また続き楽しみ
81 :
以下、名無しのかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/11/26(土) 04:56:52.93 ID:LikS4sST0
スクールアイドル部がふたつ。これは波乱の予感
82 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/11/26(土) 11:37:19.42 ID:Hi28+Uz/0
期待!
83 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/11/26(土) 17:21:46.32 ID:zWkTaTSN0
うおー!めっちゃ面白そう!!
頑張ってくだちい
84 :
◆XxLp/boApQ
[saga]:2016/11/28(月) 05:14:10.70 ID:Tsztox8p0
そんなこんなでスクールアイドル部その2を作るべく私は芽衣を手伝うことになった。
見学も部が作られないとできやしない。それにもし私がスクールアイドルをするにしても、リーダーになるだろう芽衣の覚悟や実力は見ておきたかった。
深羽「ってことで、明日も学校行くから」
深羽母「へぇ……アイドルね。あんたが。あんたがアイドル……ぷぷ」
笑うな母よ。
始業式がある日の朝である。一階の居間で父が店の方に向かうのを見送り、いつものように朝食を食べていた私は母へこれまでの経緯を語った。
こたつにテレビ、ソファー。居間といえば、な家具が配置された部屋。ここでスクールアイドルの特番をだらしなく見てた時は、私がアイドルになるなんてことは微塵も思ってなかった。
有り得ない。似合いもしない。それは自分も分かっている。けど……。
深羽母「あははっ、面白いね。いいんじゃない? アイドル」
ここまで楽しそうに笑われるとは。パサパサに焼かれた鮭を一口大に箸で裂いていた私は、向かい側に座る母を呆れた目で睨んだ。
深羽「本当にそう思ってる?」
深羽母「思ってる思ってる。深羽は私似で顔もいいから。愛想は良くないけど。ふふふ」
うわぁ、楽しそう……。心なしか機嫌も良くなったような。
とりあえず反対ではないみたいで安心した。嬉しそうだしなによりだ。
85 :
◆XxLp/boApQ
[sage saga]:2016/11/28(月) 05:15:02.42 ID:Tsztox8p0
深羽母「あんたが有名になったら、このお店も有名になるだろうし……ガンバ!」
……この母、ほんと変わらない。
けどまあこんな言葉でも、本心で応援してくれているのは分かる。真面目な場や重たい空気が苦手な人だから。
苦笑しながら私は頷いた。
深羽「入学式、どうなることやら……」
新入生が三人は入部してくれないと部ができない。他の部にとられちゃうかもしれないし、入学式当日の勧誘が一番重要。
スクールアイドル人気はあるし、おそらく大丈夫だろうとは思うけど……。
やっぱり不安は拭えないものだ。
でも、それ以外の感情もしっかりあって。
深羽母「ふふ。楽しみね、深羽」
深羽「まぁ、ね……」
芽衣の活動がどんな影響をもたらすのか。それがとても楽しみではあった。
不安と期待……相反しているとも言えよう二つの感情。それがもたらす高揚感。青春とはきっとこういうものなのだろうと私は実感した。
86 :
◆XxLp/boApQ
[sage saga]:2016/11/28(月) 05:16:14.72 ID:Tsztox8p0
彩星女子高等学校――私や芽衣、晴香が通っている学校は、街からちょっと外れた位置、山のふもと辺りにある。
故に虫がちょっと多めで、たまに山に近いグラウンドグラウンドからはたぬきやらの目撃情報もある。
幸いスズメバチとかイノシシとか危険そうなものは滅多に見ないのだが……どちらかといえば都会なのに、学校は何故こうも田舎めいているのか不思議でならない。
そんな点が評価されている一つのポイントなのだけれど。
深羽「……」
さて始業式当日。
始業式やら新学期初めてのホームルームやらを一通り終えて、お昼前にようやく解散。
明日に備えて家でぐーたらしてようかと思っていると、見知った顔が私の前に現れた。
芽衣「や、こんにちは」
晴香「今年も同じクラスだね、飛島さん 」
制服姿の二人である。
一学年に3クラス。二年生に進級するにあたり当然クラス換えもあったのだが、見事三人同じクラス。
いつも一人でぼんやりしていた私も、今年は話し相手に困りそうにない。
87 :
◆XxLp/boApQ
[saga]:2016/11/28(月) 05:17:40.71 ID:Tsztox8p0
深羽「……どうしたの? 二人揃って」
晴香「挨拶しようかと思って。その、仲良くなりたいし……」
芽衣「それとスクールアイドルについて語りに。敵情視察も兼ねて」
照れ臭そうに指先で頬をかく晴香に、ふふんと得意気に笑う芽衣。がやがやと騒がしい教室の隅、私の席の周りに二人が立つ。
深羽「敵情視察……?」
芽衣「そう。我が学校のスクールアイドル。そのグループについて知ろうってことで」
そう言って、芽衣が机の上にパソコンを置く。小型のノートパソコンを開き、電源をオンに。
芽衣「あ、そうだ。それで思い出したんだけどさ。深羽、グループ名について何か案はない?」
深羽「なんで私に?」
芽衣「前々から晴香と考えてたけど中々浮かばなくて。スクールアイドル部その2でいつまでもいるわけにはいかないし」
深羽「それは……確かに」
格好もつかないだろうし。
スクールアイドルのグループ名……か。私がつけていいのか分からないけど、案を挙げるくらいならいいかな。
……なにかないだろうか。
↓1〜4 スクールアイドルのグループ名案を一つずつ。良さげなものが採用され、なかったら再安価
88 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/11/28(月) 06:03:51.22 ID:ytfN3YUB0
ユーストマ
89 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/11/28(月) 06:19:49.93 ID:0riuOBTFo
яebirth
90 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/11/28(月) 06:31:29.17 ID:w8dxztiH0
foxey (フォクシー)
91 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/11/28(月) 06:41:09.99 ID:p/u4e87FO
pp(ピアニッシモ)
92 :
以下、名無しのかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/11/28(月) 12:59:28.29 ID:ri0JaJrdO
Stella(ステラ)
ラテン語で星を意味する
93 :
以下、名無しのかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/11/29(火) 20:38:04.65 ID:0cSgdHAo0
最安価するの?
94 :
◆XxLp/boApQ
[saga ]:2016/11/29(火) 21:30:55.58 ID:6p8h+jlE0
【遅れました。яebirth を採用しようと思います
らしいですし、言いやすいですし、ぴんときましたので】
【本編の続きは今から書きます】
95 :
◆XxLp/boApQ
[saga ]:2016/11/29(火) 22:50:46.13 ID:6p8h+jlE0
深羽「……思いつかない」
考えてみたけどピンとくるものがない。
まだどんなメンバーが集まるか分からないし、先が見えなさすぎる。
晴香「だよね。のんびりやっていきましょう」
芽衣「しょうがないか。じゃ、動画再生するよ」
……後々のためにも考えておかないと。
その2じゃ集まってくれた部員にも悪かろう。
私を左右から挟むようにパソコンを眺める二人。窮屈な状態で操作されたパソコンに動画が再生された。
大手動画サイトに投稿された動画らしきそれは、中々の再生数。
ロードからしばらく。画面に映りだされた9人の女子高生が順番に――ライブへの気合い、いや意気込みだろうか。
元気よく語り、そしてライブを始める。
???『夢に手を伸ばし続けていた』
明るい音楽に、明るい声。
まるで青春のように軽やかで前向きな歌声。楽しさを全面に出し、それを観客にも伝えようと歌にダンスに笑顔に、みんなが一体となって一つの物語を紡ぐ。
何も話していないのに、まるで彼女らの心がそのまま伝わるように真っ直ぐで。
???『私たちのそれぞれの夢』
それまでスクールアイドルを内心小馬鹿にしていた私は、知らずの内に動画に見とれてしまっていた。
これが、スクールアイドル。
これが、女子高生。
プロでもなんでもない、ただの素人集団。
なのになんでこんなにも心を打たれてるのだろうか……。
???『――ありがとうございました!』
あっという間に一曲の持ち時間が終わり、アイドルらは頭を勢いよく下げる。
そして上げた顔は誰もが充実感に満ちた笑顔。
楽しそうだと思った。羨ましいと思った。
私が密かに憧れた彼女らは、清々しい表情で最後に告げた。
???『яebirth (リ・バース)! 影山真央の作詩、???の作曲で『夢を追いかけ』、ありがとうございました!』
――яebirth。間違いない。この人達のライブ、私聞いたんだよね……?
でも、何か違うような。私が聞いた時はもっと違って……気のせい、かな?
96 :
◆XxLp/boApQ
[saga]:2016/12/05(月) 07:56:22.84 ID:mq8mLVzgO
芽衣「……どうしよう。思った以上にレベル高い」
晴香「真顔で言うことかしら……」
動画再生後、パソコンをぱたんと閉じて芽衣が弱気な言葉をもらす。яebirth。私達の先輩となるスクールアイドル部その1。私たちがスクールアイドルをするならば彼女らが身近なライバルにもなるわけで。
到底初心者が勝てる領域ではない。一年生から三年生まで、踊りも歌も容姿も曲も突っ込むような粗はなかった。
あのクオリティで世間的には有名じゃないのだから、この国のすさまじいスクールアイドル飽和っぷりが窺える。
深羽「どうでもいいんじゃないかな。あっちがレベル高くても、こっちも頑張ればいい話だし。時間はたっぷりあるよ」
芽衣「……だよね。今はメンバー集めるしかないか」
晴香「そうそう。戦うわけでもないから」
芽衣「うんっ。となると……やっぱり作曲とかコーチできる人が欲しいよね。対抗するには」
いつもの表情、冷静な声で芽衣があれこれと考えはじめる。
彼女の情熱は中々のものだ。あの動画を見ても対抗しようと思うのだから。
しかし、作曲かぁ……。そんなことできる生徒、学校にいる時点でかなりの奇跡なのだろう。スクールアイドルとか流行ってるし、作曲に興味ある人も増えているだろうけど狭き門なのは違いあるまい。
センスに準備を整えるお金に環境、そして楽器、音楽の知識。生徒の身分では途方もない話である。
97 :
◆XxLp/boApQ
[sage saga]:2016/12/05(月) 07:56:54.06 ID:mq8mLVzgO
芽衣「よーし、やる気出てきた。じゃ帰りに何か食べよっか」
晴香「いいよ。飛島さんはどうする?」
深羽「付き合う。お腹が空いた」
芽衣「あ、深羽。ご飯奢るのは明日ね。お昼ご飯をしっかりご馳走してあげるから」
深羽「分かった」
とはいえ考えていても仕方ないことだ。
頷いて、帰りの支度をすぐ整える。荷物は少なく鞄も軽い。寄り道するには絶好の日だ。
三人並んでぞろぞろと話しながら学校を歩く。そういえばこうして誰かと一緒に帰ったり、寄り道したり……初めてだよね。 スクールアイドル……見学決めてよかった。
しみじみ思う私である。
98 :
◆XxLp/boApQ
[sage saga]:2016/12/05(月) 07:57:43.26 ID:mq8mLVzgO
○
女子高生が食事と言えば甘いものが食べられる喫茶店やレストラン、ハンバーガーとかのファストフード店が思い浮かぶだろう。
華やかな女の子たちの食事風景。きゃっきゃうふふと、触れてはならない聖域のように清らかで。
実際そのように優雅な食事をする女子高生もいるのだろう。
けれど私たちは育ち盛り。同性同士で遠慮して華やかさをとるよりも、ボリュームをとる年齢にある。
質より量。量より好み。女子高生は自分に正直であると言えよう。
晴香「けどお昼上がりでラーメン屋に来る女の子ってどうなの……?」
芽衣「え? ここのラーメン美味しいよ」
深羽「ラーメンは好き。日本の立派なファストフード」キラキラ
晴香「そんな目で言われると何も返せない……」
お昼で下校。学校から出て真っ直ぐラーメン店へ。晴香は見た目からして華やかで清らかな女子高生タイプだから若干戸惑い気味だけど、私にはこういうお店が心地いい。
のれんのある入り口、ラーメンの香りが漂う店内。手放しに綺麗とは言えないけれど掃除はしてあるお店。これぞラーメン店って感じ。
長テーブルの椅子に座り、うんうんと頷く私と芽衣。ラーメン。一言にラーメンと言っても種類は色々で、きっと晴香にも合うものがあるはずだ。
彼女みたいな子には……野菜タンメンとか、担々麺とか。野菜とか胡麻は女子好きだから。
99 :
◆XxLp/boApQ
[sage saga]:2016/12/05(月) 07:58:22.60 ID:mq8mLVzgO
晴香「えっと……じゃあ私、とんこつラーメンで」
と思ったけど意外にもボリューミーな選択。晴香も結構乗り気だし気にしなくてよさそうだ。
メニューチラッと見て即決だったし。相変わらず自信なさげな口調だけど。
芽衣「私は味噌にしようかな」
深羽「辛味噌チャーシューで」
晴香「女子高生がこれ……っ!」
自分も今思ってしまった。
芽衣「まあまあ。食べ物くらい好きなもの食べても怒られないよ。注文お願いします」
深羽「食は自由」
晴香「二人とも息ぴったりだよね……私の方がちょっと付き合い長いのに」
私達の分も注文してくれる芽衣を見つつ、晴香が言う。息というか好みのような気がするけど……。
深羽「晴香はなんで芽衣に協力してるの?」
そういえば、と気になったので尋ねてみる。芽衣と晴香。晴香は衣装作りを担当するみたいなことを言っていたけど……どういうきっかけなのか。
晴香「それは……どうしてだったかしら」
芽衣「去年の学園祭で衣装作ってたのを思い出したから。スクールアイドルといったら衣装ってピンときて」
ふむふむ。それで芽衣が晴香に声をかけて……多分、私みたいな展開で協力することになったのだろう。
100 :
◆XxLp/boApQ
[sage saga]:2016/12/05(月) 07:59:07.47 ID:mq8mLVzgO
晴香「思い付きが多いよね……」
芽衣「そんなことないよ。スクールアイドル部だって、ずっと考えてたことだから」
深羽「なんでスクールアイドルなの?」
質問してみて、私は知らないことが多いのだと実感した。そんな状態で見学するとか協力するとか……思い付き多いのは私ではなかろうか。
お冷やを飲み、芽衣をちらっと見る。彼女は何を考えているのかよく分からない涼しい顔でサイドテールに触れた。
芽衣「スクールアイドル……女の子の憧れ。青春の象徴……そう言えない?」
……すごくぺらっぺらな理由に思えるのは私だけだろうか。さる有名なスクールアイドルは廃校から救うべくアイドルを始めたとか、そんなこと聞いたこと後だと普通の理由も軽く思えてしまう。
芽衣「まぁ……理由は他にもあるんだけど。それが主な理由かな」
晴香「楽しくやりたいってことだよね」
深羽「ちょっとチャラい」
芽衣「はは、でも真面目だよ。練習だってやってきたし、明日もメンバー集めるつもりだし」
私の発言に余裕の対応。よっぽど自信があるらしい。練習……歌とかダンスとかかな。芽衣のことはよく知らないけど、ここまですらすらと言葉を返せるのだ。本当に真剣にやってきたのだろう。
そんな彼女が私のことを誘ってくれた。なんだか嬉しい。
晴香「……そうだね。そこは私もそう思う」
深羽「新入生、可愛い子がいっぱい来てくれるといいね」
芽衣「ん。私の夢、ラブライブ……目指せるくらいにはなりたいよね」
まだ見ぬ明日へ想いを馳せ、私達はしんみりと目を細める。
……ラーメン屋じゃなかったらもっと雰囲気出てたんだろうなぁ、なんて思いながら。
101 :
◆XxLp/boApQ
[sage saga]:2016/12/05(月) 07:59:54.98 ID:mq8mLVzgO
赤髪の女の子「お待たせしました。とんこつラーメンの方は――」
早速よさげなシーンがとんこつラーメンの匂いに掻き消されたし。
元気のいい声に、テーブル横へやってきた店員さんの方を振り向く。
すると、ラーメンの器をテーブルに置き微笑む店員さんと目が合った。綺麗な人だ。
スラッとした長身に整った顔立ちは可愛いと言うよりは綺麗で、凛とした印象を受ける。
女性なのにラーメン屋店主みたいな頭のタオルだとか、シャツにショートパンツだとか男っぽい格好がよく似合っている。
晴香「あ、はい。私で――」
芽衣「バイトさんですか?」
手をおずおずと挙げる晴香。その横から割り込むように芽衣が声をかけた。
……ん? 世間話? 芽衣って店員さんとそんなことするタイプなのかな。
赤髪の女の子「――え? あ、はい。バイトですけど……ラーメン、どうぞ」
芽衣「ふんふん、学校は彩星で?」
赤髪の女の子「はい。あ、ラーメン伸びちゃうので、ちょっと取りに……」
きょとんと不思議な顔をしながら答えるバイトの女の子。
彼女は何を訊かれているのかさっぱりな様子だったけど……私は大体分かってしまった。
深羽「……スカウト?」ジトー
芽衣「そうだけど。どうしたの?」
深羽「別に」
綺麗どころなら誰でもいいってことなのか……それともあの子に私と同じく何かを感じたのか。
……なんかジェラシー。
赤髪の女の子「残りの辛味噌と味噌。ご注文は以上ですか?」
芽衣「うん。深羽」ススッ
深羽「ありがと」
目の前に置かれたラーメンを食べるべく、箸へ手を伸ばす。ケースから取り出した割り箸を割り、いただきますと小声で挨拶。
私は見学者。芽衣が誰をスカウトしようと止める権利はないし、手伝う義理もない。ここは傍観させていただこう。
食べていいのかみんなの様子を窺っていた晴香にも箸を渡す。
102 :
◆XxLp/boApQ
[sage saga]:2016/12/05(月) 08:00:42.65 ID:mq8mLVzgO
深羽「食べてよう。お腹空いてるでしょ」
晴香「あ、ありがとう」パア
すると嬉しそうに晴香はラーメンを食べ始めた。ちゅるちゅると輝いた目でラーメンを食べる姿が可愛らしい。おあずけされてた小さな子供みたいだ。
芽衣「……で、なんですけど。スクールアイドル、興味ありませんか?」
赤髪の女の子「急な質問ですね……どういう意味ですか?」
さて。そうして晴香に癒されている間にもスカウトは進行中。
スクールアイドル。その単語を聞いた瞬間、バイトさんの目が鋭くなったような気がしたけど……何かあるのだろうか。
芽衣「明日から新しく作るスクールアイドル部のメンバーを集めようと思って。どうですか? 部員に――」
赤髪の女の子「なりません」
――何かあるらしい。
芽衣が全てを言い切る前にお断り。それで話は終わりだと言うように、彼女はくるっと背を向けて去っていった。びっくりするくらい真顔で。
深羽「盛大にフラれた」ズルズル
芽衣「……なんで」
晴香「急すぎよね……たぶん」ズルズル
落ち込む芽衣にラーメンをすする二人。落胆しつつ芽衣もラーメンを食べはじめる。
芽衣「深羽はついてきたのに……あれが普通の反応なのかな」
晴香「うん」
深羽「即答されると私が普通じゃないことになるよね」
芽衣「うーん……でも、なんかおかしな断り方だよね」
ラーメンをすすり、口の中のものをしっかり食べてから芽衣がぼやく。
確かにあれはおかしかった。アイドルに誘われているのだ。つまり容姿を褒められているのと同じ。
なのに照れた様子もなく真顔で断られる。
さながら魔王から世界の半分を云々と誘われた勇者みたいな。分かりきった問いをバッサリ切り捨てるような感じ。
とても初対面、同じ学校で同じ性別の相手にするリアクションではない。
それまでが好意的な対応だっただけに、おかしく思えてしまう。
103 :
◆XxLp/boApQ
[saga]:2016/12/05(月) 08:01:43.82 ID:mq8mLVzgO
晴香「あの人なら他にも声かけられてそうだし……だからじゃない?」
芽衣「なるほどなぁ……二年生ではないだろうし、そうなると三年生……うんざりってことかぁ」
うんざり。正にその言葉が似合う対応だった。
でもただ単に何かしらの部に勧誘されただけなら、スクールアイドルと聞いた時の反応はどういう理由があるのだろうか。
スクールアイドルというと、この学校にはリ・バースしかないけれど……何か関係が?
深羽「……」
芽衣「深羽、麺伸びちゃうよ?」
深羽「あ。うん、勿体ない」
ラーメンを食べながら、私は頭に浮かんだ疑問について考えていた。
あの子とリ・バースが関係しているとしたら……うんざりするほどの問題ってなんだろう?
ただの推測。バイトの女の子がスクールアイドルに関係しているなんて確証はない。
けれどその疑問は私の中でモヤモヤと渦を巻いて居座り続けた。
多分この時私は思い出しかけていたのだ。
印象に残らなかったリ・バースのライブ。その様子を。
たった二人きりで踊り、歌う彼女達の表情を。
【今回はここまで】
104 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/05(月) 08:25:14.60 ID:h8ir2aeMO
乙です!
105 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/05(月) 09:59:00.27 ID:4gGZwQeT0
乙!
続き来るの待ってる
106 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/05(月) 10:59:16.05 ID:KEkPmozTO
更新来てた、乙
描写から考えると、時間軸的にはラ!アニメ版の後なのかな
107 :
以下、名無しのかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/05(月) 17:17:49.81 ID:cJPvk7rJ0
なるほど、リバースはもうひとつのアイドル部のグループ名か
108 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/06(火) 12:55:12.26 ID:LRKBg/7eO
きてた!乙乙
彩星高の制服はブレザー?セーラー?決まってたら教えて欲しいかも
109 :
◆XxLp/boApQ
[saga ]:2016/12/12(月) 01:16:21.29 ID:RAyQoz8p0
【サンシャインを1話、2話しか観ていないのであれですが、時間軸は大体ラブライブの二期後ですね】
【制服は……あまり考えてなかったですけどセーラー服で。いずれ描写も入れようかと】
前回のラブライブ!
私、飛島深羽。
春から二年生になったいわゆる地味めな女の子。やることもなく、夢もなくただただ日々を過ごしてきた私は、ある日転機を迎える。
芽衣「ラブライブを目指さない?」
私のお店へやってきた同級生が私をスクールアイドルへと誘った。
大それた目的を躊躇うことなく口にし、私へ手を差し出す彼女。
スクールアイドル。
私が内心見下していた、縁がないと思っていた存在。
でも芽衣、晴香、二人に心を惹かれた私はステージへと近づくことを決意した。
そして、入学式の日がやってくる。
芽衣「どうですか? 部員に――」
赤髪の女の子「なりません」
けれど私の頭にはもやもやした不安が。
スクールアイドル。私の学校。何か私たちの知らない問題があるのだとしたら、勧誘は果たしてうまくいくのだろうか。
先の分からない光の中に、私は今足を踏み入れようとしていた。
110 :
◆XxLp/boApQ
[saga ]:2016/12/12(月) 01:27:45.28 ID:RAyQoz8p0
【4月】
輝きに憧れてステージを目指した。
まばゆい光に目を細め、切れる息を気にせずにただひらすら進んだ。
その結果がどうあれ後悔することはない。
……私は、そう思っていた。
律華「……」
夜のお店番はいつも退屈だ。私は深く息を吐いた。
このご時世に銭湯などやっている私の実家は、物珍しさもあってそれなりに盛況している。
けれど夕飯時を過ぎた今お客さんはまばら。レトロチックな、壁も床も家具も木で統一された店内は無人無音。閉店間際なのもあるだろうが……正直暇ではある。
こうして番頭台で本を読んでいても咎めたり声をかけたりする人なんていない。
律華「暇ぁ……」
眠気を感じ、欠伸しながら本を閉じる。口を大きく開けて顔を上げ――
つかさ「や、こんばんは」
知らずの内に立っている見知った顔に咳き込む。
つかさ「おお、珍しく大きめなリアクション」
律華「ちょっとびっくりして……。どーしたの? 牛乳?」
女湯の番頭台の前に立ち、楽しげにしているつかさ。
彼女の後ろ、脱衣場の左右に並ぶ棚には誰の荷物もなくお客さんがいないことがすぐ分かった。
……良かった。こんな無防備なところを知り合いじゃない誰かに観られたら恥ずかしい。
111 :
◆XxLp/boApQ
[saga ]:2016/12/12(月) 01:56:30.09 ID:RAyQoz8p0
つかさ「話がてらバイトの疲れを癒やしに。はい料金」
律華「珍しいねぇ。つかさちゃんがお風呂入りに来るなんて」
つかさ「貸し切り状態みたいだしね。それに明日は入学式であたしは学校行かないから」
律華「……? 急な話?」
どんな話題だろうか。首を傾げて問いかけると、つかさは目をすっと鋭くさせた。
……真剣なお話みたい。
つかさ「多分二年生だろうね。三人の女の子達が新しくスクールアイドル部を作るつもりみたい」
律華「え……!」
驚いた。去年は何事もなかったのにまさか今年になって誰かが動き出すなんて。
律華「そう……いつかくるとは思ってたけどー……」
つかさ「去年何もなかったのが逆に驚きなんだけどな。多分その三人、リ・バースのこと何も知らないと思う」
律華「スクールアイドルをはじめるのは思いつきってことね。ふふ、青春らしい」
くすくすと笑う私に対し、つかさの表情は暗い。これから起こること。それは彼女とまったくの無関係だというのに、相変わらず優しい子だ。
律華「大丈夫。リ・バースの二人にとって、その三人にとってもきっといい刺激になると思うから」
律華「結果がどうあれ、ね」
身体を伸ばしてなんとか彼女の頭を撫でる。
つかさ「心配してないからな? あたしには関係ないし」
律華「うん、わかってるー」
視線を逸らして憎まれ口を叩く彼女はとても子供っぽくて可愛い。手を離して私が適当に答えるとつかさは頬を膨らませた。
112 :
◆XxLp/boApQ
[saga ]:2016/12/12(月) 02:44:15.09 ID:RAyQoz8p0
律華「……ふふ」
本当に心配してないなら元メンバーの私のところへ来るはずがない。……なんてことは言わないでおく。分かりきったことだし。
つかさ「なんで笑うんだ?」
律華「本当なら応援してあげたいけど……そうもいかないね」
つかさ「やっぱりあのルールを撤回する気はないのか」
律華「二年前からの規則だからねー。あれがなければもっとすごいことになってたと思うし」
つかさ「だけど……もう、三年生は……」
暗い顔のまま、彼女は途中まで口にして言い淀んだ。
三年生は。その先は言わずとも分かる。
律華「うん。だけど私達はあの子達から離れたから……見守ることしかできないんだよ」
律華「外野が騒いでどうこうされるなら、今の三年生もリ・バースもいない」
つかさ「……」
静かに私は言う。目の前の彼女に向かって口にした言葉だけど、それがもう一人、私自身に向け言い聞かせた台詞だと分かっていた。
私が三年生にできることはない。かつてリ・バースから抜け、彼女たちの努力を見て見ぬふりをした私には何もできない。
私は後悔していた。走った先には何もなくて、道が大切な人とはっきり分かれてしまって。
前に進んだ結果は……散々だ。
だから期待をしてしまう。
私にできなかったことをその三人がなんとかしてくれるのではないのかと。
そんなこと考えることすらおこがましいのだけど。
でも……それ以上に今のリ・バースは見ていられないほど悲しいから。
律華「生徒会長にできるのは、それぐらい」
つかさ「……」
つかさは何も言わなかった。ただ一度頷いて、脱衣場の中へと歩いていく。
――失望させちゃったかな。
でもね、私はそういう道を選んだんだ。
もう戻ることはできない。別の道を選ぶこともできない。
律華「……うん。しょうがない」
だから私は、何もしない。
もうこれ以上後悔したくないから。
113 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/12(月) 09:14:32.56 ID:hITaFngEO
乙
ラブライブ名物生徒会長がいないと思ったら、こういう形で出てきたか
果たして彼女達に何が…備えよう
114 :
以下、名無しのかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/12/12(月) 11:43:24.35 ID:P2rMOfBJ0
新キャラキター‼︎律華はイッチのオリキャラかな?
果たしてどんな事情を抱えているのか・・・
そしてやっぱりスクールアイドル部は生徒会長に反対される運命
115 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/12(月) 12:07:06.63 ID:Zsc17v54O
>>114
sageろ
116 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/12(月) 20:10:53.77 ID:dxgevPIdO
乙!
わくわくな展開が繰り広げられる予感
117 :
◆XxLp/boApQ
[saga]:2016/12/18(日) 23:46:09.57 ID:kBlbzY1g0
○
本来二年生と三年生は休みのはずの入学式。
けれども私が学校に行くと、意外にも生徒達の人数は多かった。
深羽「それもそうか……」
朝。半笑いの母に見送られて登校し、いつものように教室へ向かう私。たった数日前は縁すらなかった、青春の雰囲気漂う賑やかな校内を歩きながら私はひとりごちる。
入学式。帰宅部の在校生には何の関係もない日だが、部活をやっている人間にとってこのイベントはとても大切だ。
なにしろ勧誘ができる一番早い日なのだ。今年一年部がどうなるかがかかっている日と言っても過言ではない。賑わって当然。
深羽「新しく部を作るなら尚更、だね」
無論、スクールアイドル部その2にとっても重要な日だ。
今日は特に何をするかとか聞いてなかったけど、きっとあの行動的な芽衣なら何か考えていることだろう。期待しておこう。
文化祭のような浮かれた空気をひしひしと感じつつ、ようやく教室の前に。
深羽「……」
今日、この日を逃せばスクールアイドル部その2を作ることは難しくなる。不安と期待。緊張してしまう自分を追い払うように頭を振り、私は勢いよくドアを開いた。
芽衣「お。おはよう」
晴香「おはよう、飛島さん」
教室の中は学校の活気に反して二人しかいなかった。落ち着いて挨拶してくる二人に私は安堵する。ちょっと肩の力が抜けた気がした。
深羽「おはよう。早いね、二人とも」
芽衣「まぁね。色々やることはあるし」
晴香「私は暇で……」
机を二つほどくっつけて、その上に先日のポスターやビラを広げている二人。勧誘の準備はバッチリって感じ。
あとは……ん? なんか衣装みたいなものが……。
118 :
◆XxLp/boApQ
[saga]:2016/12/18(日) 23:47:02.81 ID:kBlbzY1g0
芽衣「気づいた?」
教室のドアを閉じて二人の近くに。服らしきものを見ていると、芽衣がフッと笑った。
芽衣「これこそ今日の秘策。晴香の作成した衣装!」
深羽「これが? ……ふむ」
何故か芽衣が得意気にしているのはともかく、置いてある衣装はかなりの出来だ。畳んであって全貌は分からないけど素人が作ったとは思えない。
晴香「……おかしかったかな?」
深羽「そんなことはないよ。すごい出来だったから」
芽衣「でしょ。私の目に狂いはなかったね」
晴香「そ、そうかな……」
対称的な二人のリアクション。芽衣は自信満々に、晴香はおどおどと。こんなクオリティで作れるなら、晴香も胸を張っていいのに。
芽衣「で、問題は誰がどの衣装を着てどんな勧誘をするかなんだけど……」
深羽「……芽衣じゃないの?」
芽衣「私でもいいよ? でも、アイドルはしいって言ったら……」
チラッと前を見る芽衣。その視線の先には晴香。……確かに、性格の消極的なところは除いて、アイドルらしいって言ったらこの面子だと彼女がトップだ。ふわふわと可愛らしくて、髪型もらしいし、色合いもとてもいい。
芽衣も小さくて可愛くて、人の注目を集めるだろうけど……小さすぎて注目を集めるまでが長そう。
119 :
◆XxLp/boApQ
[saga]:2016/12/18(日) 23:47:34.75 ID:kBlbzY1g0
芽衣「……なんか失礼なこと考えなかった?」
深羽「そんなことは全然……」
危ない危ない……。
芽衣「で、深羽もいいし。ここが男子校なら注目集めるのは間違いなく深羽だし……髪上げて笑顔見せてればらしく見えるんじゃない?」
深羽「褒めてるのか褒めてないのか……」
晴香「片目隠しにスタイル抜群、セーラー服に黒タイツ……アニメのキャラみたいだよね!」
深羽「……それも褒めてるの?」
なにはともあれ、誰でもいいってことだ。私は釈然としないけど……主に自分への評価が。
芽衣「うーん、どうしようかな……」
深羽「……」
ここで何かアドバイスしておくべきだろうか。私はまだポスターやビラに文字をちょろっと書いたくらいしかしてないし……。
1「私がやろうか」
2「芽衣に任せるよ」
3「晴香のアイドル姿見てみたいな」
↓1 一つ選択
120 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/18(日) 23:55:45.23 ID:tQpFMVGVO
3
121 :
◆XxLp/boApQ
[saga ]:2016/12/19(月) 00:24:55.02 ID:8MC08CMn0
選択 3「晴香のアイドル姿見てみたいな」
【ルートが若干分岐します】
深羽「晴香のアイドル姿見てみたいな」
適任と言えば彼女。ここは晴香にやってもらうのが間違いないだろう。
晴香「ひえ!? な、なんで私?」
芽衣「すごいサラッと言った……むしろ不審者」
深羽「そんなことない」
芽衣「そうかな。まぁ――晴香。アイドルらしいのは晴香だと思うんだけど、どう?」
私と芽衣。二人の注目を受け芽衣があたふたと慌てる。
性格的には適任とは言えないけど、可愛くはあるよね。うん。
晴香「あの……私、衣装だけの協力って言ったわよね?」
芽衣「言ったね。でも深羽見たいって言ってるし」
深羽「是非」
芽衣「そこは否定しないのね……」
晴香「ううぅ……でも」
深羽「駄目かな? サポートはするから」ジー
深羽「ね?」ジジー
晴香「ぐぐぐ……分かった。頑張る」プイッ
見つめながら真摯にお願いすると彼女は顔を逸らして頷いてくれた。
よっぽど恥ずかしいのか頬を赤くさせて。
芽衣「うん、オーケー。それなら私達はビラ配り頑張ろうか」
深羽「了解。晴香が身体張ってくれるんだし」コクッ
芽衣「うん。死ぬ気でやろう」グッ
晴香「大袈裟なような……」
握手する私と芽衣。それを呆れた様子で見つめ、晴香が肩を落とした。
さて大事な勧誘、この方針でうまくいくといいけれど……。
122 :
◆XxLp/boApQ
[saga ]:2016/12/19(月) 00:54:54.15 ID:8MC08CMn0
入学式、そしてホームルーム。
それを終えて校舎から出てくる一年生を勧誘する、というのが学校側から定められている大まかなルールらしい。
なので時間まで作戦の確認や雑談しながら教室で待機をし――
戦いのときはやってきた。
校舎から出てくる新入生。
校門前はそれまでのざわつきを塗りつぶすかのようなにぎやかさに包まれ、一変する。
勿論私たちもその中にいた。
深羽「……」
芽衣「……」
活気の中、自分たちの武器を手に機会を待つ。
私たちの視線の先には仕留めるべき的に、ジッと身動き一つせず慎重に周囲に視線を巡らせる大将。
喧騒の中動き出さない戦い。それはさながら達人同士の対峙のようだった。
先に動き出した方が負ける。
ちっとも意味が分からなかった言葉が今は痛いほど理解できる。だって――
晴香「……」ガタガタガタ
動いたら卒倒しそうだから。
他の部活に混ざってほぼ中心位置。中々いいポジションを取れたけど勧誘は順調とは言えなかった。
まぁ……あれだよね。フリフリの可愛い服を着た美少女が、マッチ売りの少女よろしく寒さに震えたみたいにガタガタしながらビラを差し出したまま硬直していたら、誰だって近寄りたくはなくなる。新手のパフォーマーと勘違いしておひねり置こうとする人がいるくらい勧誘という言葉からはかけ離れているのだから。
芽衣「やっぱり無理だったかな」ソワソワ
深羽「もう少し様子を見よう? やってくれるって言ってくれたんだし、私たちはビラ配って」
武器――もといビラを抱え、心配そうな顔をしている芽衣。
新入生の中で緊張と恥ずかしさですごいことになってる晴香は確かに心配だけど、引き受けてくれた彼女を駄目そうだからとすぐ回収することはあんまりしたくない。彼女は彼女なりに頑張っているのだから私たちも頑張るだけだ。
123 :
◆XxLp/boApQ
[saga ]:2016/12/19(月) 01:27:04.32 ID:8MC08CMn0
深羽「スクールアイドル、興味ありませんか? いかがですか?」
晴香だけに頑張らせるわけにもいかない。私もぼちぼちと勧誘をはじめる。
できるだけの元気と愛想を振りまいて、にっこりと笑って。
新入生1「スクールアイドル……?」
すると存外あっさりと立ち止まってくれる子が。
流石スクールアイドル。大流行の看板は伊達ではない。ここがチャンスと私はまだそわそわしている芽衣に声をかけ、立ち止まった新入生の御一行に接近。
深羽「どうですか? 新設のスクールアイドル部その2――名前は未定ですけど」
芽衣「興味あります?」
新入生2「いいじゃん、スクールアイドル。中学の友達もやるって言ってたし――」
新入生1「う、うん。興味はあったけど」
新入生3「でも、あれよね?」
深羽「……?」
『あれ』。一人が口にした途端、三人の様子が変わる。
その表情に私は見覚えがあった。
新入生1「あ、あの……やっぱりいいです」
新入生3「ごめんなさい」
深羽「え? あ、うん」
引き止めるのは無駄。なんとなく察し、私は他の部活のところへ歩いていく彼女達を見送った。
深羽「……なんだろう」
何か、私が知らないことがあるのだろうか。
分からないけど……なにしろあの反応だ。勧誘がすんなりうまくいくとは思えない。
なにかしら改めて作戦を練ったほうが。頷く。私は隣の芽衣へと振り向き――
深羽「芽衣、一旦話を――」
芽衣「やっぱり見てられない! 晴香、大丈夫っ?」ダッ
話しかける間もなく芽衣が走り去った。
芽衣「ほら、ビラは私たちに任せて晴香は笑顔笑顔」
晴香「うぅ……ごめんね、芽衣ちゃん……飛島さん……私、もうダメみたい……」ガクッ
芽衣「あ、晴香!? 晴香ー!」
あ、動かしたから負けた。――って言ってる場合じゃない。
深羽「一旦下がろう。今は不利」
芽衣「そ、そんな……くっ!」
……芽衣、キャラ違う。私も戦闘モノみたいな台詞を言っといてなんだけど。
まともに勧誘できていない内に一度撤退。勧誘している校舎から校門の道の左端へ。
知識も経験もない新参者の未熟さを、私は身に沁みて理解するのだった。
124 :
◆XxLp/boApQ
[saga ]:2016/12/19(月) 02:22:38.81 ID:8MC08CMn0
そんな、バトル漫画みたいなノリで避難して――
深羽「スクールアイドル、この学校でなにかあったの?」
芽衣「『なにか』?」
件の疑問について尋ねてみた。
けどまぁ、返ってくるのはぽかんとした様子の復唱だけ。そりゃそうである。連続してお断りされるような理由があって、それを知っているならば私が誘われた時点で説明がないのがおかしい。
晴香「……様子が、おかしかったことよね」
芽衣「晴香が?」
深羽「むしろそれは全員」
晴香「真面目な話だよね?」
ほんとごめんなさい。
深羽「……ごほん。さっき勧誘した子達、途中で断ってきたんだけど――スクールアイドル部はなんかダメみたいな……」
なんとも言えないけど、でもなんとなく……。
深羽「ラーメン屋のバイトさんみたいな感じだった」
芽衣「……あの人?」
深羽「うん。スクールアイドル部ができなくて当たり前みたいな。自分はもう諦めてる、みたいな」
晴香「……うん。なんとなく分かる」
晴香「みんな興味はあるみたいなのに、声かけてこなかったから」
前にいて彼女はそう感じたらしい。
もうすっかり落ち着いた様子で晴香が静かに語る。
125 :
以下、名無しのかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/24(土) 08:12:30.96 ID:wWSoAVF80
投下乙
遂に新入生勧誘!だが、やはりこの学校では過去に何かあったのか・・・?
126 :
◆XxLp/boApQ
[saga ]:2016/12/26(月) 02:07:07.44 ID:vfqnBiNq0
芽衣「うーん……なんかあるのかな。それより晴香、もう大丈夫?」
晴香「え? あ、うん。平気よ」
……芽衣、過保護すぎる気が。それよりって。
こういう子なのね。勧誘の大事な時間だというのに人がいいというか。
晴香「ちょっと緊張しちゃっただけだから……」
深羽「ちょっとどころじゃなかったような気がするけど」
晴香「うっ……」
図星だったらしい。短く呻いた晴香ががくっと肩を落としてしまう。
彼女の容姿は素晴らしい。アイドルらしい可愛らしさ全開に、ふわふわフリフリな衣装。どことなく制服っぽい半袖のフリルが付いた白いシャツに、首元にピンク色のリボン。下はチェックのミニスカート。
晴香の髪色に合わせたコーディネートで、健康的で眩しい――女の子が憧れるアイドルそのもの。
道のど真ん中で石像になるパフォーマンスをしていなければ、本来人だかりができてもおかしくないレベルなのだ。
その有り余るポテンシャルが彼女の性格面でマイナスされた。きっとそれも事実なのだけれど……それ以上に誰一人として晴香に近づいてこなかったのは不思議としか言い様がない。
何か理由があるはずだ。
深羽「でも、勧誘がうまくいってないのは晴香のせいじゃないと思う。っていうか失敗しても誰のせいでもないし」
芽衣「頼んだのは私たちだからね。それにおかしいのは薄々分かってたんだ」
芽衣もやはりそれは感づいていたらしい。三人が揃って抱く違和感。これはもう偶然とは言えない。
けれどそれが何か分からない以上、どうすることもできないのも事実で……。私達は暗い顔でうつむく。
何もできることはない。けどこのまま勧誘を続けてもメンバーが集まるかどうか……。
困り果てた私は自然と芽衣を見る。晴香もまた彼女を頼るように視線を向け――芽衣はまるでそのタイミングを見計らっていたかのように顔を上げた。
芽衣「……じゃ、奥の手やろうかな」
そして短く告げる。
サイドテールを揺らしフッと不敵に微笑む芽衣。身体を伸ばし、両手でガッツポーズを作る。
127 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/26(月) 02:17:25.16 ID:QlZzsaoj0
お、リアタイで遭遇したの初めてかも
ファイトだよっp(・8・)qグッ
128 :
◆XxLp/boApQ
[saga ]:2016/12/26(月) 02:27:31.73 ID:vfqnBiNq0
晴香「奥の手?」
芽衣「うん。スクールアイドルらしい、入りたいって思うような勧誘」
深羽「……?」
そんな方法が? 首を傾げる私の前、彼女は私へと振り向き自信ありげに笑みを浮かべた。
赤っぽい瞳が私をまっすぐ見据える。何も分からない不安に圧されているであろう彼女。しかしその目は希望に輝いていた。
芽衣「見てて、深羽。私の本気。本当にスクールアイドルをやりたいんだ、って」
私にはない、ひたむきな勇気。楽しむ心。
それが眩しくて、私は目を逸らすようにして頷いた。
深羽「うん。何をするかは分からないけど……見てるよ」
彼女がここまで言うのだ。見届けるとしよう。
成功するか失敗するかはともかく、見守っていたい。そう思ったから。
芽衣「よし。晴香も見ててね。アイドルの魅力、教えちゃうから」
このまますぐ行くつもりらしい。セーラー服を整えると彼女はまっすぐ、私たちが勧誘していた場所へと向かっていく。
静かにしっかりとした足取りで歩いて行く芽衣。小柄な彼女の背中は勧誘している同級生や先輩よりも大きく、頼もしく見えた。
晴香「何をするのかしら……?」
深羽「分からない。けど……大丈夫な気がする」
誰も何もなかったところからここまで来たのだ。
私たちのリーダーと言えば芽衣。私たちを取り巻く話の主役は彼女。
芽衣ならばなんとかできるはずだ。
芽衣「……さ、はじめよう」
喧騒の中力強く、彼女のそんな一言が聞こえた。
129 :
◆XxLp/boApQ
[sage]:2016/12/26(月) 04:11:26.87 ID:vfqnBiNq0
芽衣「……」
すーっと息を吸う。
瞬間、静寂が訪れた――ような気がした。
その場の誰もが同時に黙るなんてこと、あるはずもない。
けれどその瞬間はまるで彼女のステージが始まる直前のように、周りにいる人達が観客になったかのように、無音の世界が訪れたのだ。
芽衣「『ここから、今から、はじめよう』」
芽衣『過去へ未来へ今へ繋がる道を、駆け抜けて』
聞いたことのない曲。その冒頭部分。
伴奏もなしに高らかに歌い上げた彼女。
ちらちらと彼女を見る周囲の人達。けれどまだ注目という域には至らず、賑やかさに変わりはなく。
芽衣『最初は誰でも一人で』
それでも芽衣は歌うことをやめない。
むしろ楽しそうに声を弾ませて、リズムをとっていた身体を大きく動かしはじめ踊りだす。
周りが見えているのか、いないのか。いずれにせよ私には信じられない行為だった。
130 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/07(土) 20:43:01.86 ID:LLOpXe8a0
忙しいのかなかなか更新来ないね
ちゃんと待ってるで〜
131 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/12(木) 19:44:05.90 ID:Sw7SYrClO
まだ、
132 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/23(月) 11:17:35.45 ID:C718olty0
(^8^)
133 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/23(月) 12:51:13.88 ID:EFvZTKhlO
エタった
134 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/25(水) 00:13:21.32 ID:hr2TC8b40
エタったのかなあこれ
待ってるからね…
135 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/26(木) 10:21:16.58 ID:a6cBAl1XO
待ってるぞ
136 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/02/10(金) 20:28:32.98 ID:7ERzjvNxO
無事にエタった
いい安価だったのにな
137 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/02/13(月) 19:55:23.68 ID:yK+1MAoHO
まだ二ヶ月経ってないからエタったとは限らないし(震え声)
138 :
◆XxLp/boApQ
[saga]:2017/03/06(月) 11:00:16.07 ID:LW7Mo8Dn0
芽衣『分かれ道だってある』
ちら、ちらと次第に彼女は注目を集めていく。歌い踊り眩しいほどの笑顔を浮かべ、芽衣は客観的に見ればリ・バースと比較して技術が勝っているとは言えない。けれど彼女の歌はにぎやかさの中で明るく響き、まるで楽しさを体現しているかのようなダンスは見ているだけで気持ちが明るくなってくる。
芽衣『けど、寂しくはない。目指す場所がここにあるから』
それはテレビで見るアイドルからは感じなかったもので、私に希望というものを教えてくれて。
その点では、私が見た筈の生リ・バースより――いや、全アイドルより優れているのだろう。
晴香「……芽衣、こんなに踊れたの?」
深羽「予想外だね……てっきり、思いつきでここまで突っ走ってたのかと」
これまでの芽衣の印象とはまったく違うクオリティ。……否、思ってみれば彼女らしいといえるか。わざわざスクールアイドル部を新たに立てようとしているのだ。その情熱はくすぶっていた私には想像できない。
芽衣『私はここにいる。声を張り上げよう。みんなの声も聞こえる、この空の下で』
歌が盛り上がっていく。彼女の歌声は一層強く響き、確信を得たようなキリッとした彼女の横顔は凛々しく、思わず見とれてしまう。それはこの場にいるほぼ全員がそうだったのだろう。楽しげな声でざわついていた場は静まり、視線が集まりはじめる。
有名スクールアイドルとは違って、うまくもない歌。うまくもない踊り。なのに人を惹きつけてやまない。
緊張もあるはずなのに、芽衣は生徒たちが静まった一瞬の静寂、息を大きく吸い、一歩前へ。空いていたスペースへと跳び、軽やかに踊りだす。
芽衣『一人じゃない。見えないだけさ。だから走っていこう、明日へ』
芽衣『そばにいなくても力になるよ。だって私はそう思うから』
大した技術もない。けど高鳴る胸は止められない。私は初めてアイドルに憧れる人達の気持ちが分かった。
私も彼女みたいに誰かに希望を与えられたら。踊れたら。……楽しく思えたら。
きっと人生は変わるのだろう。
深羽「……」
遠い世界みたいな話だ。
私はその世界の外で、ずっと存在すら知らずに生きてきた。今、見学者っていう立場で、スクールアイドルになろうと思えばなれる位置にいても彼女は遠すぎる。
139 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/06(月) 11:11:04.81 ID:OPWIGytf0
おかえり
140 :
◆XxLp/boApQ
[saga]:2017/03/06(月) 11:15:24.12 ID:LW7Mo8Dn0
芽衣『過去へ未来へ今へ――この声はどこまでも響くんだ』
光輝くステージの中。彼女は生徒達の視線を釘付けにさせるお姫様のように綺麗で可愛くて、とておも同級生のように思えなくて。私と晴香が見ている先で、彼女はあっという間に新入生たちに囲まれた。
晴香「これがアイドル……」
私も同じようなことを呟いていたかもしれない。まさかプロではなく、素人同然の高校生にアイドルのすさまじさを思い知らされるとは。
深羽「……って、私たちも勧誘しないと」
晴香「あっ! そうだねっ」
見事なパフォーマンスを披露した芽衣は新入生に質問攻めにされている。一人では対処しきれないだろうし、私たちも手伝わないと。
急いでビラを手に。芽衣の元へと向かっていく私たち。
深(それにしても……)
さっきまで見向きもされなかったのに、こうも変わるものなのか。
それも見向きされない理由が何かあったはずなのに、だ。興味がないだとか、そういう理由ではなく『係わりたくない』明確な理由がある様子だったのに――まったく、芽衣の情熱には恐れ入る。
これならよく分からない事情も越えて、本当に部を新設できるかも……。
晴香「……? 上級生?」
小走りで人だかりへ向かっていたそんな最中、晴香がふとそんなことを呟いた。
私は後ろを振り向き晴香の視線を辿る。斜め前――ちょうど芽衣らから横に離れた位置を見ると、
深羽「あれ?」
そこには二人の生徒がいた。制服の具合に見た目の年齢。見るからに新入生ではない。視線を真っ直ぐに向けて人だかり、芽衣らの方へと歩いている。
私は彼女らに見覚えがあった。
141 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/06(月) 12:30:45.19 ID:bqAKM/wFO
来てれう〜
待ってたよー!
142 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/06(月) 13:46:49.88 ID:KOSAmQX8O
待ってた。
143 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/06(月) 15:31:16.68 ID:kI4VWUBsO
復活したか!待ってたぜ!
144 :
◆XxLp/boApQ
[saga]:2017/03/06(月) 22:53:09.63 ID:LW7Mo8Dn0
薄水色のセミロングヘアの女の子。
クールそうなきりっとした顔立ち、モデルのようなスタイル、ピンと背筋を立てせて凛々しく、歩く姿にすら華がある。
冷静沈着で冷酷さすら感じさせる彼女の表情だが、私は知っている。仲間に可愛らしいアイテムなどを指摘され照れたり、ライブで楽しそうに笑う彼女の女子高生らしい面を。
彼女の後ろを歩いている人物のことも知っている。
青みがかった白髪のロングヘア。前髪で目を隠していて、暗めな印象を受ける少女だ。
制服を着ていても用意に分かるほど豊かな女性らしいスタイル、低めな身長、目が隠れていても予想できる綺麗な顔立ち――謙虚である必要などないのではと思える容姿で、控えめでおしとやかで、とてもいじらしい女性である。
私の知る彼女はもっと楽しそうな顔をして、雰囲気ももう少し明るかったのだけれど、今はまるで戦いに赴く戦士のような覚悟を感じられた。
並々ならない雰囲気で芽衣へと向かっていく二人。
見覚えがあるのは何故だかすぐ分かった。上級生に興味がなかった私が彼女らを目にする機会が最近あったのだ。
つまりは、彼女らこそ――
晴香「もしかして『яebirth』?」
そう。現在学園に存在する唯一のスクールアイドルグループである。
彼女らが芽衣に何の用があるのか。嫌な予感がするのは言うまでもない。
145 :
◆XxLp/boApQ
[saga]:2017/03/06(月) 23:24:52.02 ID:LW7Mo8Dn0
深羽「……」
これから何が起こるのか。なんとなく察しがついてしまった私は足を止める。
怖いだとか、面倒だとか、そんな感情からではない。ここから先は関係者以外足を踏み入れることは許されない領域だ。
見学するつもりでいた私が、ただ偶然に勧誘を手伝うことになった私が無遠慮に首を突っ込んでいい問題ではない。
晴香「飛島さん?」
深羽「……」
立ち止まった私の後ろから横へ、ひょっこりと顔を覗き込むように並ぶ晴香。彼女はこれからどうなるのか私と予想が違うみたいだけど……。
行くべきかここで見守るべきか。悩んで立ち止まっていると、その直後に声が響いた。
薄水色の女の子「なにをしているのかしら?」
ざわつきの中で透き通る声。声が極端に大きいわけではないのにはっきりと聞き取れて、それでいて全く不快ではない。
彼女の声が発せられると間もなく、辺りは静寂に包まれた。芽衣のパフォーマンスで盛り上がっていたのがまるで嘘みたいに。
芽衣、そして私と晴香。張本人らを除く殆どの人達が彼女の出現にバツが悪そうな気まずそうな顔をしている。まるでこうなることが悪いことだって分かっているかのように。
芽衣「榎本 悠さん……? 影山 真央さんも……」
悠「……」
真央「……」
そして彼女ら二人が芽衣を見る目も『責められて当然』といった感じのもの。
すっかり話の場に立つタイミングを失ってしまった。そこにのこのこと歩いていくだけの勇気は私にはない。
146 :
◆XxLp/boApQ
[saga]:2017/03/07(火) 00:59:52.99 ID:wNYIgYGe0
【訂正 そこに → あそこに】
悠「スクールアイドル部――二つ目を作ろうとしているって聞いたけど」
冷たい視線が芽衣を射抜く。重苦しい空気。芽衣も敵意に身体を向け、真剣ムード。
新入生が怖気づくんじゃないかと場違いな心配をしてしまう私である。
芽衣「はい。名前はまだ決めてないですけど……それが何か?」
真央「――決まり、知らないの?」
芽衣「決まり?」
芽衣が首を傾げる。そのリアクションが意外だったのか、敵意を剥き出しにしていた二人は驚く様子を見せた。
真央「……悠ちゃん、どうする?」
悠「……」
額に手を当て丸々一分ほど思考。
重たい雰囲気のままの短い筈の時間はとても長く感じられた。
芽衣「……えと、その決まりって?」
悠「え? それは……」
真央「スクールアイドルグループの結成禁止」
急に声をかけられてびっくりする悠に代わり、簡潔に答える真央。
スクールアイドルのグループ結成の禁止。……なるほど、確かにそれならみんなのリアクションにも納得ができる。
芽衣「禁止? そんなこと聞かなかったですけど」
悠「コホン。……それはそうね。聞かなかった人も多分いるわ」
悠「校則に載せるようなルールじゃないこともあって、暗黙の決まりみたいなものだけど――」
芽衣「それでも、みんなは守ってたってことですか?」
周囲をちらと見て芽衣が呆れた顔をする。彼女の心境は分からない。けれどスクールアイドルの先輩を前にこの不敵な態度は中々できるものじゃない。物怖じせずに自分を表現する彼女がかっこよく見えた。
147 :
◆XxLp/boApQ
[saga]:2017/03/20(月) 03:51:09.72 ID:pvosI/iw0
悠「ええ。とても大切な決まりごとなの」
わずかに緩んでいた空気が、再び鋭く張り詰める。戸惑い気味だった悠もいつの間にかクールさを取り戻しており、場は再び緊張感に包まれた。
流行りのスクールアイドルを禁止して自分らは続けているのだから、それなりの理由があるのは道理。
わざわざこうして言いに来ているのだ。余程のことなのだろう。でも……。
芽衣「なんで禁止なんてされているんですか?」
納得はできなかった。芽衣も同じだろう。
悠「理由はどうでもいいわ」
まっすぐ向けられる芽衣の眼差し。そして問い。それをあっさりと払うように悠は言い捨てた。
悠「私達は確認しに来たの。ルールはもう一つあってね」
芽衣「もう一つ?」
睨み合う二人。この場にいる私達は揃って彼女らの会話をただ見守っていた。
やがて、悠が口を開き語りはじめる。
悠「私達と勝負をして、勝った方のグループをこの学校のスクールアイドルとして認める」
それは衝撃的で、理不尽な規則だった。
悠「それがもう一つの決まりごと。負けた方はグループを解散してもらうわ」
芽衣「なっ……」
芽衣が息をのむ。私と晴香もまた、予想外なルールに驚愕した。
勝負? 負けた方が解散?
誰もやりたがらないわけだ。
二人は二年ほどスクールアイドルをしてきた。それに比べて、アイドルをしようと挑戦することになる生徒はおそらく未経験。
それで負けたら解散。おそらくは再結成することも許されないのだろう。
148 :
◆XxLp/boApQ
[saga]:2017/03/20(月) 04:18:23.81 ID:pvosI/iw0
ようやく見えてきた学校の事情。けれど私にはまだよく分からない点がいくつかあった。
疑問点はある。けれどこの時点で、部を作るには過酷な条件を乗り越えなければならないことが分かった。
素人が先輩に勝つなんて不可能に近い。だからみんな諦めていたんだ。
暗い顔をする新入生達。見れば周囲で勧誘をしていた在校生らも同じような顔をしていた。
みんな無理だと分かっているのだ。私だって芽衣を応援したいけどよく分かる。
ここで終わりだ。
悔しいけど、ここで退けばまだ新しく他の部を作ることだって――
芽衣「……分かりました」
みんなが諦めたと思っていた。
けれど彼女はちっとも諦めていなくて。
少しだけ目を閉じて大きく頷くと、芽衣は笑みを浮かべてみせた。
芽衣「スクールアイドル、諦めるつもりはないから――やってみせます」
悠「――そう」
真央「自信はあるの? 部員、五人集められる?」
芽衣「自信はありますし、やってみせます」
きっぱりと断言。できると思っている人がこの場で何人いるだろうか。笑みを浮かべている者が何人いるだろうか。
多分、彼女一人だけだ。
一人だけ芽衣は明るく立ち向かおうとしている。自分がそうしたいから。アイドルをしたいから。
やっぱり、彼女は眩しい。
149 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/21(火) 12:06:05.95 ID:QaWIFWo20
芽衣ちゃんの主人公感半端ねぇな
150 :
以下、名無しのかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/03/21(火) 20:20:09.60 ID:rwSlbUqb0
久しぶりに見に来たら
これは・・・まずは部員集めか〜
151 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/22(水) 19:12:07.75 ID:ks4SQgodO
オリキャララブライブ新鮮いいぞ〜
前世のやつは荒らしにつぶされたのがなあ
152 :
以下、名無しのかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/23(木) 19:30:53.17 ID:gYMKo9aY0
乙〜
いきなり対決か〜勝負内容はどうなるんだろ
153 :
◆XxLp/boApQ
[saga sage]:2017/03/29(水) 03:03:47.63 ID:1oiarfCl0
悠「分かったわ。なら――律華」
律華「……本当にやるの?」
悠が目配せをする。視線の先、いつの間にか立っていた女子生徒が不安そうな顔をした。
あの人は確か、生徒会長の律華さん。新入生の誘導や、勧誘のアナウンスをしていたような。
スピーカーやら色々な機材が彼女の周りに置いてあって……二人が何をするつもりか、すぐ察しがついた。
真央「お願い」コクッ
律華「……」
律華は何も答えない。ただ一度首を縦に振ると芽衣を見やり、何かのスイッチを操作した。
悠「さっきの歌とダンス、見せてもらったわ」
真央「だから今度は私たちの番」
音楽が鳴りだす。スピーカーからだろう。話ながら彼女らは身体でリズムをとり、音楽に合わせて踊りはじめる。
クールな印象の曲だ。芽衣達と見たリ・バースの雰囲気とは正反対と言っていい。
154 :
◆XxLp/boApQ
[sage saga]:2017/03/29(水) 03:05:02.86 ID:1oiarfCl0
悠『倒れても歌い続ける』
真央『声を上げて高らかにずっと』
それぞれ順番に一人ずつ歌う。文にすればたった一行にも満たないであろう短いパートで、彼女たちの経験や実力が窺えた。
踊りに視線の動き、表情。歌もスピーカーの音楽に負けない大きさで、やはり通る綺麗な声をしている。
技量は芽衣と比較にならないほど高い。
二人『生まれた時から変わらない そうこれは定められたfighting』
真央『可愛いだけじゃ何も得られない』
悠『綺麗なだけじゃ乗り越えられない』
二人『自分で強く 勝ち取るのよready』
照れ臭い歌詞も彼女らが口にすると不思議とかっこよく思える。私の思うアイドルらしさとはまた違うけど、こういったかっこいい女性も映えるものだ。
まさに圧倒的。技術に演出、歌にダンスに表情に。全てが芽衣を上回っていた。
端から見ていた素人がそう判断できるほどの明確な差。けれども私は何故だろう、二人のライブに心が震えることはなかった。
――テレビでアイドルを見た時と同じだ。スクールアイドルとアイドル。テレビで編集された姿と、ネットの動画。
考えてみればすぐに分かることだった。
悠「……。これが『яebirth』」
曲が止まり、若干息を上げた悠が涼しげな顔をして口を開く。あれほど声を出し、踊っていたのに全然疲れた様子はない。二人きりでもしっかりと練習やトレーニングをしていたのだろう。
真央「遊びでアイドルをするつもりなら……やめた方がいいと思う」
彼女らは真面目にスクールアイドルと向き合っている。
そんな彼女らが発する警告は、事情を知らない私にも重く響く。
155 :
◆XxLp/boApQ
[sage saga]:2017/03/29(水) 03:06:07.30 ID:1oiarfCl0
彼女らの意思に、スクールアイドルとして過ごしてきた時間に真っ正直から対抗する。それはとても難しいこと。
……でも、芽衣ならやれるんじゃないかと思う私もいた。
新しく部を作り、自分のしたいことに真っ直ぐで、一人で歌い踊った彼女なら。眩しさを感じるほど輝く彼女なら。
頑張れ。私は拳を握りしめ、呟いた。彼女ならできる。そう信じて。
みんなの注目の中。二人のパフォーマンスを見ていた芽衣が、言葉をかけられハッとした様子で悠らを睨み直した。
芽衣「……っ、遊びじゃ」
彼女はそう言って、初めて目線を二人から逸らす。
あの芽衣が遊びならばという言葉に言い淀み、目を逸らしてしまう。意外だった。彼女が遊び気分なんかじゃないことは知っていたから。芽衣自身もそう思っているはずなのに、なんで黙ってしまうのだろう……?
悠「否定、しないのね。それもそうね」
律華「――悠ちゃん」
悠「あなたは黙ってなさい」
宥めようとした律華を悠が冷たい声で制する。厳しい、敵に向ける視線を律華から芽衣へと向け、そして周囲へ。
156 :
◆XxLp/boApQ
[sage saga]:2017/03/29(水) 03:07:30.90 ID:1oiarfCl0
悠「あなたの味方をしようだなんて人、周りにいないもの」
シンプルな一言。彼女の視線と言葉に、私は自分が青ざめるのを感じた。
あぁ、そういうことか。芽衣は分かっているのだ。自分以外のみんなが諦めていると。自分の味方などいないのだと。
私もそうだ。諦め、でも彼女ならと、頑張れと観客席で見守るような気持ちでただ眺めてるだけ。
……勇気がないのだ。
二人は正論を口にしている。でもそれは間違っている。分かっているのに、私達にはそれを否定する力がない。自分より強いものに立ち向かう材料がない。
だから、見ているだけしかできない。
そうだ。それしかできない。
だから、正しい――
悠「いくら人が集まったって、物珍しさからの野次馬しか集まらない。そんな実力で、なにができるの? なにもできないでしょう?」
芽衣「……」
――わけがない。
俯いて何も言い返せずにいる芽衣の姿に、私は自分を重ねていた。
157 :
◆XxLp/boApQ
[sage saga]:2017/03/29(水) 03:08:22.34 ID:1oiarfCl0
かわいくて、眩しくて、輝いていて――まさにきらびやかなステージの上が似合う彼女は、ひねくれてステージの上を貶す私へと手を差し伸べてくれた。
なんてことはない。ただの勧誘だ。人数合わせのつもりだったのかもしれない。
でも私は、芽衣に救われていたんだ 。憧れていたんだ。
見ていただけだった私。見学するつもりでいた私。けどそんな私でも、ステージの近くにいて。暗がりにいる私へ手を伸ばしてくれて。
私と彼女の間に障害はない。ちょっと進めば行けるんだ。同じ場所に。
だから今度は私が。
深羽「……よし」
ペンを持ち気合いを入れて記入。一枚の紙を手に、それ以外のビラはポケットに突っ込み一歩踏み出す。
突然歩き出した私に晴香のびっくりした声が聞こえたけど、説明は後回し。早足で芽衣の前、三人の間へと飛び込む。
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