穂乃果「私が音ノ木坂のテッペンを取るよ!」

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202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 21:35:43.28 ID:0orPKaYs0

穂乃果「……」ポタ…ポタ…

真姫「……っ」ジリッ

花陽「ほ、穂乃果ちゃ、鼻血がっ……」



穂乃果「……」ザッ

真姫「……へぇ」

真姫「あれだけ私が叩き込んでも倒れないなんて」

真姫「アナタってとんでもなく丈夫なのね?」

穂乃果「……」ザッ

真姫「……いいわ」ザッ

真姫「それなら」スッ

穂乃果「……」

真姫「倒れるまで……叩き込むだけよっ!!」グワッ

203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 21:36:45.96 ID:0orPKaYs0



バキィッッッ!!



真姫「ぶっ!?」グルンッ

ドサッ

穂乃果「……ふーっ」

真姫「ぁ、え……?」

花陽「……え!?」

真姫「地面……? なん、で私……」

穂乃果「んん……べっ」ベシャッ

花陽「に、西木野さんが倒れて、穂乃果ちゃんが立ってる……?」

穂乃果「うぇ……口ん中血だらけで気持ち悪い……」

真姫「はっ!?」ガバッ

穂乃果「……ふぅ」ザッ

真姫「くっ」ジリッ



穂乃果「……どうしたの?」

真姫「は?」

穂乃果「全力、受け止めてほしいんでしょ?」ニコッ

穂乃果「それなら」フッ



穂乃果「かかって、来なよ」チョイチョイ

真姫「……こんのっ!!」ダッ

204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 21:39:20.10 ID:0orPKaYs0

<しばらくして、とある空き地>



ピーポーピーポー

「怪我人は?」

「はぁ、また音ノ木坂の子達ね……」

「はは、もう慣れましたよ……さて、運びましょうか」



「あ、ぐ……」

「が……」

「ぐ、お……」

「くそっ……なんなんだよアイツは……」

「聞いてないわよ……あんな化け物がいるなんて……」

「く、あ……」

「ちくしょぅ……」

「いってぇ……」

「おい、ノビてるヤツらどうすんだ?」

「知るかボケッ」

「仕切ってたヤツら皆ノビちまってるからなぁ……」

「ははっ……こんなに人数集めたのにね……」

「あの女一体何者なんだ……」

「そういやよ、あの双子はどうしたんだ?」

「あ? あー、刃物使いのヤツらか」

「さぁ? アイツらはこの件にノらなかったみてぇだし知らねーわ」

「そんなのどうでもいいわよ……どうすんのアタシらこのザマで」

「はぁ……まあ、こうなったら結果を待つしかないっしょ」

「なんの?」

「決まってんだろ」

「一年生最強が誰になるか、だよ」

205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 21:40:14.93 ID:0orPKaYs0

<とある空き地からとある河川敷への道>



「んー、毎度毎度ありがとうな」

「いやー、ホンマにヒフミちゃん達には頭が上がらんわー」

凛「……ん」パチ

「ほな、また明日なー」ピッ

「お、目ぇ覚めた?」

凛「あぇ……?」

「ふふ、寝ぼけとるん?」

凛「……にゃっ!?」

「おはよー、凛ちゃん」

凛「な、なんで凛はおんぶされてるのっ!?」

「あはは、凛ちゃん喧嘩終わったら倒れてもーたからね」

凛「なっ、えっ」

「あんなとこに倒れてる女の子放っとくわけにもいかんしね」

「だからウチが背負ってくって話になったわけやん?」

206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 21:41:09.26 ID:0orPKaYs0

凛「いやいや、降ろしてよ! 凛、自分で歩けるし!」ジタバタ

「こらこら、怪我人は無茶したらアカンでー」

凛「なっ、それを言うならあなただって……」

「ん?」

凛「怪我して、る、はず……あれ?」

「んー? ウチは全然平気やで?」

凛「え、だっ、だって凛よりもたくさん相手いたのに」

「まーさすがに無傷ってわけやないけど、全然大したことあらへんで?」

凛「そ、そんな」

「結局骨のある子もおらんかったしなー」

凛「……」ジー

「?」

凛「……本当に大したことなさそうだね」

「はは、せやからそう言うとるやん?」

207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 21:42:05.87 ID:0orPKaYs0

凛「それで」

「んー?」

凛「今はどこに向かって歩いてるの?」

「凛ちゃんのお友達のとこやで」

凛「え? それって」

「結果」

凛「?」

「気になるやろ、どっちが勝つのか」

凛「もちろんっ!」

「ははっ、ええ返事や」

凛「もし穂乃果ちゃんが負けてたら凛と交代だからね!」

「えっ、そうなん?」

凛「だってもしものときは凛に任せるって穂乃果ちゃん言ってたもん!」

「へー、ならますます現場に駆けつけんといかんわけやね」

「よっしゃ、ちょーっとスピード上げたるでー!」ダッ

凛「わっ、ちょっ、揺れるにゃー!」

「ははっ、しっかり掴まっとき!」タッタッタッ

208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 21:43:18.55 ID:0orPKaYs0

<同じ頃、とある河川敷>



穂乃果「ふぅ……ふぅ……」ポタ…ポタ…

真姫「はぁっ、はぁっ」ポタ…ポタ…



花陽「ふ、二人とも……血だらけだよぉ……」

花陽「さ、さすがにこれ以上は……!」ザッ



真姫「入ってこないでっ!!」

花陽「!?」ビクッ



真姫「まだ……まだ、決着ついてないんだから……」ズル…ズル…

真姫「ここで止められたら、たまんないわよっ……!」ザッ

穂乃果「ふぅ……西、木野、さん……!」ザッ

真姫「行く、わよ……!」ダッ

穂乃果「……!」ダッ

209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 21:44:21.36 ID:0orPKaYs0

真姫「ふっ!!」ブンッ

バキッ

穂乃果「っ、のっ!!」ブンッ

ガンッ

真姫「ぐっ、っらあ!」ブンッ

ドカッ

穂乃果「いっ、たいな!」ブンッ

ゴンッ

真姫「っっ、くぅっ!」ズザァッ

穂乃果「はぁ……はぁ……」

真姫「こ、の……」ザッ

穂乃果「い、いよ……」ザッ

真姫「あ?」

穂乃果「とこ、とん……やろうよ」ニィッ

真姫「……上等よっ!」ニイッ

ドカッバキッズドッ……



花陽「あ、あわわ……二人とももうノーガードで殴り合ってるよぉ……」

花陽「私じゃ止められないし……誰か助けてぇ!!」

210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 21:45:30.83 ID:0orPKaYs0

真姫「はぁっ!!」ブンッ

ドゴッ

穂乃果「っっう!」ズザァッ

真姫「ちっ……!」

穂乃果「くっ!」ブンッ

バキィッ

真姫「ぶっ、がっ」グラッ



花陽「あ、西木野さんが……」



ズダンッ!



真姫「はぁっ、はぁっ」グググ

穂乃果「ふぅっ……ふぅっ……」

真姫「負けるわけには……負けるわけにはいかないのよ!」グググ

真姫「私は……音ノ木坂の、テッペン、を……」グググ

真姫「絢瀬、絵里を……」グググ

穂乃果「……」

真姫「倒さなきゃいけないのよっっっ!!」グワッ

211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 21:46:30.15 ID:0orPKaYs0

真姫「ぁぁぁああああっ!!!」ダッ

穂乃果「……」スッ



花陽「え、穂乃果ちゃ、なんで構えを解いて……」



バギィッッッ!!



穂乃果「っっ!!」ズザァァッ

穂乃果「っ、っ……」グググ

穂乃果「ふんっ!!」グワッ

真姫「はぁっ、はぁっ、なん、で」

穂乃果「……ぺっ」ベシャ

真姫「なんで、倒れない、のよ」





穂乃果「……ねぇ」

真姫「……なに、よ」





穂乃果「全力、出せた?」

212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 21:47:48.21 ID:0orPKaYs0

真姫「!!」

真姫「……えぇ」

穂乃果「そ、っか……じゃあ」グッ

穂乃果「次は、穂乃果の番、だね」

穂乃果「行くよっ……!」ダッ





真姫(あぁ……もう、最悪)

真姫(口の中切れてるし、鼻血ダラダラ出てるし、体中が痛くて)

真姫(こんなの、めちゃくちゃで、最悪よ)

真姫(私の全力、ぶつけたのに)



真姫(だけど)

真姫(私の全力を、受け止めてくれて)

真姫(私に全力でぶつかってくれる人)





ダンッ!!





真姫(ようやく、見つけられたわ)





バギィッッッ!!





213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 21:48:57.70 ID:0orPKaYs0





ドサッ……





真姫「……」

穂乃果「はぁっ……はぁっ……」



花陽「えっ……あっ……」

花陽「に、西木野さん……?」



真姫「……」

穂乃果「はぁっ……はぁっ……?」クルッ



花陽「あっ……こ、この勝負っ」

花陽「穂乃果ちゃんの勝ちですっ!!」



穂乃果「はぁっ……やっ、た」フッ

穂乃果「勝った……私、勝ったよ」ズル…ズル…



花陽「穂乃果ちゃんっ!」ダッ



穂乃果「……っ」グラッ

花陽「わっ、と!」ガシッ

穂乃果「あ、りがと……は、なよちゃん」

花陽「お疲れさま、穂乃果ちゃ、ん」グスッ

214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 21:50:01.74 ID:0orPKaYs0

穂乃果「え、花陽ちゃ……泣い、てる……?」

花陽「だって……こんなにっ、ボロボロになっ、て……血、だらけで……」グスッ

花陽「心配、したんだから……」ポロポロ

穂乃果「あ……」

穂乃果「え、へへ……ありがと」



花陽「あ、そうだ! 血! 血を止めなきゃ!」ゴシゴシ

穂乃果「あ、ごめ……せ、ふくに、私の血、ついちゃ……」

花陽「ううん! 気にしないで!」

花陽「え、と、座れる?」

穂乃果「うん、だいじょぶ」

花陽「よしっ、ちょっと待っててね? 鞄から救急セット取り出してくるから!」スクッ

穂乃果「え、持ち歩いてた、の?」

花陽「もしもの為に今日は準備してたんです!」タッタッタッ

穂乃果「そっかぁ……はは、花陽ちゃんは凄いや……」

215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 21:51:31.38 ID:0orPKaYs0

真姫「……」スッ



真姫(……負けた)

真姫(私の、全力をぶつけた……今の全力を)

真姫(それでも負けた)

真姫(それに……最後の私からの一撃)

真姫(あの子は、私のパンチをわざと喰らったように見えた)

真姫(私の、全力の一撃を、ね)

真姫(それでも倒せないなんて)

真姫(完敗、ね)



真姫「……」パチッ

真姫(こんな風に大の字になって空を見上げるのなんて、久しぶりじゃないかしら)

真姫(……このまま眠れたら気持ち良さそうね)

真姫(あいにく、体中痛くてできそうにないけれど)

真姫「……ふっ」



花陽「……あの」

真姫「!?」

216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 21:52:24.60 ID:0orPKaYs0

花陽「あ、ご、ごめんなさい……!」

真姫「あ……?」

真姫(この子……立会人をしてた……小泉さん、だっけ)

真姫(私に何の用……?)

花陽「あ、あの、に、西木野さんも、ボロボロっだからっ」

真姫「?」

花陽「え、っと、私、手当てするのが、その、得意っでして……あっ、いや、そんな大したことは、ないんです、けど……」

真姫「……」ジッ

花陽「その、穂乃果ちゃんの、応急処置ができたので、あの……」

真姫「……?」

花陽「西木野さんも、ね? 傷だらけ、だから……あの、手当てを……」

真姫(何が言いたいのかしら?)

花陽「に、西木野さんのっ、手当てを、してもいい、ですか……?」

真姫「……え?」

217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 21:53:24.63 ID:0orPKaYs0

花陽「あ、いや、迷惑でなければ、なんですけど……」

真姫「何、言ってるの……?」

花陽「あっ、ご、ごめんなさい……」

真姫「いや、だっ、て……」

真姫「私は、アナタ達の敵、なのよ?」

花陽「えっ、と……」

真姫「どうして、敵を助けるようなことを……」

花陽「……っ」

花陽「わ、私っ!」

真姫「?」

花陽「にっ西木野さんは、悪い人ではないと思うんですっ!」

真姫「……は?」

218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 21:54:33.51 ID:0orPKaYs0

花陽「西木野さんは、喧嘩が強くて、その、怖い感じの人だとは思うんですけどっ……」

真姫「……」

花陽「でもっ、私に絡んでくる人みたいな、そんな悪い人達とは違うと思うんですっ!」

真姫「……」

花陽「だって、あのっこの前も、私が悪い人に捕まったときに、助けてくれましたし……!」

真姫「あれは……私が、気に食わないヤツを、ぶっ飛ばしただけよ……」

花陽「で、でも、あれがなかったら、私も凛ちゃんも穂乃果ちゃんも! 皆、あそこでやられてたと思うんですっ!」

真姫「……それは」

花陽「ほ、本当に、敵だったら……私達がやられてしまう方が、都合がいいはずですよね?」

真姫「……そんな勝ち方、私のプライドが許さないわよ」

真姫「私は、勝負は正面からヤり合って、それで勝つものだと、思ってるもの」

真姫(今回は、それで負けちゃったけど)

花陽「えっ、と……たぶん、そういうところが、悪い人だと思えないところ、なんです」

真姫「……」

真姫「……はぁ、いいわよ」

花陽「……」

真姫「手当てでも、なんでも……好きにしたら?」

花陽「あ……は、はい!」ニコッ

219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 21:55:29.81 ID:0orPKaYs0

花陽「えっ、と、まずは血を拭いて……」ガサゴソ

真姫「……」

真姫(この子……さっきまで自分の仲間と喧嘩してた相手の手当てするなんて、一体何を考えてるのかしら?)

花陽「あ、の……ちょっと、動かないでください、ね?」スッ

真姫「……ええ」

真姫(こんな、ビクビク怯えながら私に接するくらいだったら、放っといて帰ればいいのに)

真姫(恩でも売るつもりなのかしら)

真姫(よくわかんない人……)

花陽「よし、次は……」

真姫「……」ジッ





「にっしっきっのちゃぁぁぁん!!」



真姫・花陽「!?」

220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 21:56:44.92 ID:0orPKaYs0

「おーおーおー、あらまぁ無様な格好ですこと」ニヤニヤ

「あらららぁ? この様子じゃ負けちゃったんですかな?」ニタニタ



花陽「あ、こ、この人達、は、この前の双子の……」

真姫「アナタ達……何しに、来たの?」




「あっはは〜、何しに来た、だってぇ?」ニヤニヤ

「決まってんじゃん、そんなの」ニタニタ





「お前を」チャキッ

「殺しに来たんだよ」チャキッ





花陽「ひっ!? な、ナイフっ!?」ビクッ

真姫「……っ」グッ



「おっとっとっ?」ニヤニヤ

「その体で動けるんですかぁ〜?」ニタニタ



真姫「くっ……」グググ

真姫(さっきのタイマンでのダメージが……っ)

221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 21:57:45.32 ID:0orPKaYs0

花陽「あ、う……」ブルブル



「おろろ〜ん? 隣にいるのは誰かと思えば!」ニヤニヤ

「この前の弱虫泣き虫ちゃんじゃな〜い!」ニタニタ

「キミもついでに刺されとくぅ?」ニヤニヤ

「なんつってー、ぎゃははは!」ニタニタ



花陽「ひっ」ブルブル

真姫「っ」バッ

真姫(この子は、関係ない)

真姫(これは、私がケリをつけないと)



「お? なーに、西木野ちゃん?」ニヤニヤ

「いつの間にかその子と仲良くなっちゃった感じ?」ニタニタ



真姫「別に、そんなんじゃないわ」

花陽「っ」ブルブル

真姫「……ただ」スクッ



真姫「この子には、私の手当て、してもらうから」

真姫「だから、手は出させないわ」バッ

222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 21:58:43.99 ID:0orPKaYs0

花陽「に、西木野さん……」ブルブル

真姫「……」



「あーあーあー! そうそう、それだよその目っ!」チャキッ

「その目がムカつくんだよっ!! 目ん玉えぐり出してやろうか、あぁ!?」チャキッ



真姫(コイツら、冷静じゃないわね)

真姫(頭のネジが飛んでるのか知らないけど、本気で刺しに来る、そういう目をしてる)

真姫「……」グッ



「行くぞオラァっ!!」ダッ

「殺してやるよ西木野ォっ!!」ダッ






穂乃果「ぐっ……」

穂乃果(まずい……まさか、今のこの状況に乱入者が現れるなんて考えてなかった……!)

穂乃果(凛ちゃんが食い止めてくれてるヤツら以外にまだいたなんて……!)

穂乃果(私も、行かなきゃっ)

穂乃果「ふんっ!」スクッ

穂乃果「今行くよ、花陽ちゃん!」ダッ

223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 21:59:53.00 ID:0orPKaYs0

「オラァっ!!」ブンッ

真姫「っ」サッ

「死ねっ!!」シュッ

真姫「くっ」サッ

真姫(体が、重い……反撃にまで手が回らないっ!)

花陽「に、西木野さん!」

「オラオラどうしたァっ!?」ブンッ

「いつまで避けられるかなァっ!?」ブンッ

真姫「このっ」

ガッ

真姫「あっ」グラッ

真姫(しまっ、バランスが……!)



「はい、もらったァ!!」シュッ

真姫「!!」サッ

花陽「っっ!!」ダッ



ドスッ



穂乃果「っ、花陽ちゃん!!!」

224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 22:00:59.36 ID:0orPKaYs0

真姫「……っ!?」

花陽「ふーっ、ふーっ」ブルブル

「あ?」

「おいおいおいおいおいおーい、え? 何割って入ってくれちゃってんのキミ?」

真姫「あ、アナタ……!」

「ちっ、鞄なんか盾にして防ぎやがって、このっ」

花陽「っ」グッ

「あっ? てめ、ナイフ抜けねーじゃねーか!」ググッ

花陽「っっ」グググ

「もういいっ、俺がソイツを刺す!!」バッ

真姫「!? あぶなっ





凛「やあああぁぁぁっっ!!」ギューン

ドゴォッッッ

「ぐはっ!?」ドサッ

凛「ぐっ!?」ドサッ

「なっ、星空ァ!?」

真姫「っ」ダッ

バキィッッ

「ぐふっ!?」

225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 22:02:22.79 ID:0orPKaYs0

「こ、このっ、に、しきのォ!」

穂乃果「せいやぁっ!」バッ

ドガッッ

「あぐっ!?」ドサッ

穂乃果「っとぉ」スタッ

穂乃果「花陽ちゃん!!」クルッ

花陽「は、ほ、穂乃果ちゃ」

凛「うぉぉぉおおっ!!」ガバッ

花陽「り、凛ちゃんっ!?」

凛「テメェっかよちんに何向けてんだっ!!」ブンッ

ドゴォッ

「ぁぐっ!?」ゴロゴロッ

穂乃果「はい、この二つ危ないから没収ね!」バッ

「っ……くそっ!!」ダッ

「ちっ、くしょ!!」ダッ

226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 22:03:20.98 ID:0orPKaYs0

凛「あっ、こら、待てっ……ぐっ!」ガクッ

花陽「り、凛ちゃん!」サッ

凛「う、ぐ……ごめん、かよちん……アイツら、逃がしちゃった」

花陽「そんな、そんなのいいよっ! 助けてくれてありがとうっ!」

穂乃果「花陽ちゃん! 大丈夫!?」サッ

花陽「あ、穂乃果ちゃん! う、うん、怪我はないよ」

穂乃果「……はぁ〜、よかったぁぁ」ガクッ

穂乃果「花陽ちゃんにもしものことがあったら、私、凛ちゃんに顔向けできなくなるとこだったもん……」

穂乃果「ていうか凛ちゃんっ! 来てくれて本当にありがとうっ!」バッ

凛「穂乃果ちゃん! うん、かよちんを守るためなら凛はいつでもどこでも駆けつけるからね!」

真姫「……小泉さん」ザッ

花陽「あ、西木野、さん……」

真姫「アナタ、どうして私を庇ったの?」

花陽「え?」

227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 22:04:21.96 ID:0orPKaYs0

真姫「だって、アナタ、刃物を見たとき物凄く怯えていたじゃない」

花陽「……」

真姫「なのに、どうして仲間でもない私なんかのことを……」

花陽「……だって」

真姫「?」

花陽「だって、刃物で刺されたら、死んじゃうかもしれないんですよ……?」

真姫「それは、そうだけど……」

花陽「私、それは、絶対に怖くて、だから……刃物は、怖いけど……」

凛「……」

花陽「それ以上に、目の前で誰かが刃物で傷つけられちゃうことの方が怖い、から……」

凛「かよちん……」

花陽「だから、私……」

真姫「……もういいわ」

花陽「……」

真姫「……ありがとう」ボソッ

花陽「え?」

真姫「……助けてくれて、ありがとう」

花陽「……うんっ」

228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 22:05:06.67 ID:0orPKaYs0

花陽「あ、そういえば……凛ちゃんはどうしてここに?」

凛「……え?」

花陽「英語の追試は終わったの?」

凛「え、ああ、えーと」

花陽「……それにしては、やけに傷が多い気がするんだけどな?」

凛「うーんと、うーんと」

花陽「……何かあるなら、正直に話してほしいな?」ニコッ

凛「うぅ……穂乃果ちゃーん」

穂乃果「仕方ないよ、正直に話そう? 私も一緒に謝るから」

花陽「え、穂乃果ちゃんも知ってるの?」

穂乃果「ご、ごめんね、花陽ちゃん」

凛「しょうがないかにゃ……実はね」

229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 22:06:16.25 ID:0orPKaYs0

花陽「えぇっ、西木野さんの仲間達がタイマンの邪魔をしないように、そんな大人数と一人で喧嘩してたのぉっ!?」

真姫(……本当に私についてきてたヤツらが迷惑かけっぱなしなのね)

凛「ひ、一人じゃないよ! なんか、知らないけど、協力してくれた人達がいて……」

穂乃果「えっ、そんな人達がいたの?」

凛「うん! お恥ずかしいことにその内の一人にここまでおんぶしてきてもらっちゃったにゃ……」

花陽「えぇっ!?」

凛「ほら、あそこに……あれ?」

穂乃果「どうしたの?」

凛「おかしいな、そこで降ろしてもらったんだけど」

花陽「どこにもそれらしき人は見当たらないね……」

穂乃果「帰っちゃったのかな?」

凛「ええっ、結局まだ名前も聞いてないのに……」

真姫「……」

凛「どこに行ったんだろ……」

230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 22:07:18.43 ID:0orPKaYs0

<とある路地裏>



「はぁっ……はぁっ……」

「こ、ここまで来れば平気だろっ」

「くそっ……タイマンが終わった頃に襲撃かけりゃ間違いないと思ったのによ!」

「まさかあんな弱虫泣き虫ちゃんに邪魔されるとはな……ちっ!」

「あの四人……ぜってぇぶっ殺してやる!!」

「あぁ!! どんな風に痛めつけてやろうか」ニヤニヤ

「そうだなぁ、考えとかないとなぁ」ニタニタ





「ちょいと、そこの双子さん?」ヌッ





「あ?」

「なんだテメーは」



「いやぁ、ウチな、喧嘩は正々堂々ヤるのが好きなんや」スタスタ

「は?」

「それも素手の殴り合いが一番好きなんよ、わかるかな?」スタスタ

「なんだそりゃ、喧嘩は勝てばなんでもいいだろうが」

「……はぁー、わからんかー、まぁわからんやろなぁ」スタスタ

「キミらみたいな卑怯モンには、な」ザッ

231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 22:08:03.56 ID:0orPKaYs0

「あぁん?」

「なんだテメー、喧嘩売ってんのか」

「いいや? これは喧嘩売ってるのとちゃうよ」

「じゃあっなんだっつーんだよ!!」

「アタシら、マジで今気ィ立ってっからよ! ぶっ殺されたくなかったらさっさと消えろやっ!!」

「……“殺す”?」

「そうだよ、マジで殺すぞ!!」チャキッ

「アタシら、ネンショーとか別に怖くねーからよ!!」チャキッ

「……アカンなぁ、ホンマにアカンで、キミら」



「そんな物騒な言葉は覚悟ナシに使ったらアカンのやで?」



「るせェえええ!!」ダッ

「死ねごらァあああ!!」ダッ



「やれ、“死ね”だの“殺す”だの、ホンマ物騒やなぁ」ピキッ

「キミらさぁ」パキッ



「……自分が“そうなる”覚悟ができてて、使っとるんか?」スッ

232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 22:08:56.35 ID:0orPKaYs0





ドッゴォォォオオオ!!!!



バッギィィィイイイ!!!!





233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 22:10:05.84 ID:0orPKaYs0

「……あー、楽しないわ、ホンマ」

「やっぱ喧嘩は強い子と正々堂々ヤるのが一番やで」

「はーっ……」スッスッ

「……あーもしもし、ヒデコちゃん?」

「すまんけど、また救急車呼んでくれへん?」

「……あー、うん、そう……すまんなぁ」

「……うん、わかるところに出しとくから」

「はい、はい……わーってるって、はいはい」

「じゃ、頼むでー」



「はーっ、今日は夜ごはん何にしようかなーっと」スタスタ







「あ、が……」ピクピク

「っ、ぁ……」ピクピク

234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 22:12:19.06 ID:0orPKaYs0
投下終わりです
書き貯めが出来次第また投下します



月刊連載になっちゃってるんでペース上げられるように頑張ります
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/17(月) 23:36:32.20 ID:ftCLmy5Yo
おつおつん
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/18(火) 22:16:16.55 ID:oRoJBPIu0
このss楽しみにしてるからまた待ってる
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/19(水) 23:53:23.24 ID:NlkqIsfn0
関西弁の子強すぎぃ!
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/21(金) 01:08:29.85 ID:fTrjPSk30
絵里と仲間じゃない希って珍しいな
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/21(金) 23:32:27.99 ID:ZdRcyz820
この絵里はロシア仕込みの筋肉ムキムキな気がする
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/25(火) 02:32:04.01 ID:fKBIZUymO
グラップラー矢澤の活躍はまだかな
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/09(火) 16:59:45.42 ID:uqRoDJ7z0
そろそろかな
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/16(火) 17:46:03.46 ID:Gf4FaH2fO
一ヶ月毎だから明日くるな(確信)
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/17(水) 22:36:28.46 ID:xIx2/kP1O
あくあく
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/22(月) 22:32:04.98 ID:dj5c846y0
投下始めます
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/22(月) 22:33:00.04 ID:dj5c846y0

<とある河川敷>



凛「どこに行ったのかなぁ、あの人……」

穂乃果「どんな人だったの?」

花陽「確かに、気になります!」

凛「ん、えっとね……」

凛「……関西人?」

穂乃果「え?」

花陽「か、関西の人だったの?」

真姫「……」

凛「だって関西弁っぽいしゃべり方してたし……あとね」

凛「おっきかったにゃ」

穂乃果「何が?」

凛「おっぱいが」

花陽「!?」

246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/22(月) 22:34:24.21 ID:dj5c846y0

花陽「凛ちゃんっ!!」ガシッ

凛「えっ、どしたのかよちん」

花陽「その人に何もされなかった!?」

凛「えっ、と? 別に何もされてないよ?」

花陽「ほ、本当に?」

凛「あっ、でも凛、喧嘩終わったあと寝ちゃったみたいで……目が覚めたらあの人におんぶされてたんだ!」

花陽「えっ」

凛「だから凛が寝てる間に何があったかはわからないにゃ〜」

花陽「……」

凛「かよちん?」

花陽「……凛ちゃん」ギュッ

花陽「傷の手当て、しよっか」ニコッ



穂乃果(何……? 花陽ちゃんの雰囲気が……)

真姫(本当によくわかんない人ね)

247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/22(月) 22:35:18.93 ID:dj5c846y0

花陽「……あっ」

穂乃果(変わった、と思ったら元に戻っちゃった)

花陽「ご、ごめんなさい、西木野さんの手当てを……」

真姫「……いいわよ、私は後で」

真姫「血は拭いてもらったし、別にこのまま帰っても」

花陽「そっそれはだめです!」

真姫「……じゃあ待ってるから」

花陽「は、はい! あ、ごめんなさい……大きな声出しちゃって」

真姫「いいわよ別に」

花陽「は、はい……」



凛「……」

凛「ねぇ」

花陽「あっ凛ちゃん、ちょっと待っててね、今救急セットを……」



凛「どうしてかよちんと西木野が仲良さそうに話してるの?」

248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/22(月) 22:36:19.10 ID:dj5c846y0

花陽「えっ」

真姫「……」

凛「だって、西木野は敵なんだよ?」

花陽「え、えっと」

凛「そうだっ、ねぇっ! タイマンの結果はどうなったの!? ちゃんと決着着いたの!?」

穂乃果「……それは

真姫「負けたわ」

穂乃果「えっ」

凛「!!」



真姫「私が、負けたわよ」

凛「……ほっ」

穂乃果「ほ?」

凛「穂乃果ちゃんすっごいにゃあ!!」ガバッ

穂乃果「うわぁ!?」グラッ

249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/22(月) 22:37:31.71 ID:dj5c846y0

凛「本当に勝っちゃったんだ! 凄い凄い!」ピョンッピョンッ

穂乃果「あ、はは……いやぁそれほどでも」ポリポリ

真姫「何よ、私に勝ったことは大したことないってわけ?」

穂乃果「あ、いや、そういうわけじゃあ……」

凛「ふっふーん、これで一年生ナンバーワンは穂乃果ちゃんになったんだね!」

凛「西木野は『ナンバーツー』に降格だにゃ!」

真姫「……ふっ、私がナンバーツーになるなら、アナタは『ナンバースリー』に降格かしら?」

凛「なっ!」

真姫「だってそうでしょ? 一つずつズレるんだし」

凛「……穂乃果ちゃんがナンバーワンになるのはいいけど、凛が降格するのはなんか気に喰わないにゃ」

穂乃果「あー、えっと」

凛「西木野! 今ここでナンバーツーの座をかけて勝負にゃ!」

穂乃果「えっ! ちょ、ちょっと凛ちゃん」

真姫「上等よ、白黒はっきりさせようじゃない」

穂乃果「えぇっ! に、西木野さんまで!?」

250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/22(月) 22:38:46.26 ID:dj5c846y0

凛「へぇ……珍しいね、凛の挑発に乗るなんて」

真姫「アナタ、私に喧嘩売るときいっつもボロボロだったじゃない」

真姫「私は、自分よりボロボロの相手と喧嘩しようだなんて思わないわ」

凛「ふーん」

真姫「アナタこそいいの?」

凛「なにが?」

真姫「ナンバーワンとタイマンした後でボロボロのナンバーツーに挑んで負けるなんて、せっかくのナンバースリーの座に傷がつくんじゃないかしら」

凛「ななっ! どうして凛が負ける前提で話してるの!」

真姫「今ならまだ、かつてボロボロの状態で元ナンバーワンに挑んだ『元ナンバーツー』っていう肩書きでいられるわよ?」

凛「むむむ……! こ、この」

真姫「何よ」

凛「え、と……穂乃果ちゃんに負けた癖に!」

真姫「……それは事実だけど、別にアナタより弱いというわけじゃないわ」

凛「むむむむ……! 仲間に裏切られた癖に!」

真姫「……そもそも、アイツらのことをちゃんとした仲間だと思ったことは一度もないわ」

凛「むむむむむ……!」

251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/22(月) 22:39:40.40 ID:dj5c846y0

真姫「ほらどうしたのよ、何も言い返せないのかしら?」

穂乃果「お、おーい、二人ともそこらへんで……」



凛「こ、このつり目っ!」

真姫「は?」

凛「赤毛っ!」

真姫「あのね、私の身体的特徴と今の話に何の関係が……」

凛「ぼっちっ!」

真姫「っ」

凛「なーにが

『アイツらのことを仲間だと思ったことは一度もないわ』キリッ

だにゃ!」

凛「凛知ってるよ、西木野には友達がいないってこと!」

真姫「べっ別に友達なんて」

凛「あーあーあー、可哀想だにゃー友達がいることの素晴らしさがわからないなんてー」

凛「生まれてこの方ぼっちの西木野にはわからないんだにゃー」

真姫「だっ誰が生まれてこの方ぼっちよ!!」

252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/22(月) 22:41:06.79 ID:dj5c846y0

凛「お? 何かにゃ? 友達いたことあるのかにゃ?」

真姫「そ、そんなの当たり前じゃない」

凛「へー、じゃあ最後に友達と遊んだのはいつなのかにゃ?」

真姫「……」

真姫「……中二の夏」ボソッ

凛「え? よく聞こえなかったなぁ、もう一回大きな声ではっきり言ってくれるかにゃ?」

真姫「……」

凛「ん〜?」

真姫「っ! 中二のっ、夏よっ!!」グワッ

凛「うるさいにゃ」

真姫「ええ、そうよ! 友達なんてまともにいたことないわよ! その子もそれを最後に音信不通だし! 同じ学校でもなかったし、同級生でもなかったし! そもそも向こうは私のこと友達と思ってくれてたかもわからないし!」

凛「そんなことまで聞いてないにゃ」

253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/22(月) 22:42:05.80 ID:dj5c846y0

真姫「……はーっ、はーっ、ったく大声出させるんじゃないわよ」

凛「勝手に語り出したのはそっちだにゃ」

真姫「はぁ……ほんっとにムカつくわね、アナタ」

凛「……それはこっちのセリフだよ」

真姫「いいわよ、決着つけてあげる」スッ

凛「凛は最初からそのつもりだよ」スッ



穂乃果(あ、これヤバイやつだ)

穂乃果(私が止めなきゃ……!)

穂乃果「ふ、二人ともいい加減に





花陽「いい加減にしてくださいっ!!!」



穂乃果・凛・真姫「!?」ビクッ

254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/22(月) 22:43:27.93 ID:dj5c846y0

花陽「凛ちゃんっ!!」

凛「にゃっ!?」

花陽「前にも言ったよね? ボロボロなときに無茶しないでって!」

凛「う、うん」

花陽「なのになんですぐ自分から喧嘩売ろうとするの! もっと怪我しちゃうからだめって言ったよね?」

凛「ご、ごめんかよちん」

花陽「あと体の特徴を悪口に使うのはだめだよ! 言われた人の気持ちを考えて!」

凛「う……ごめんなさい」

花陽「私にじゃなくて、謝るなら西木野さんに、だよ?」

凛「ぐ……そ、それは」

花陽「凛ちゃん」

凛「ぐ、ぐぐぐ……ご……わ、悪かった、ね」

花陽「……」ジッ

凛「うぅ……ごめんなさいっ!」バッ

花陽「うん、ちゃんと言えたね」ニコッ

凛「……」

真姫(凄い顔してるわね……ていうか別にその点に関しては謝られなくてもいいんだけど)



花陽「西木野さん」クルッ

真姫「なっ、なに?」

花陽「西木野さんも怪我してボロボロなんだから無茶しないでくださいっ!」

真姫「……え?」

255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/22(月) 22:44:35.13 ID:dj5c846y0

花陽「さっきも危なかったのに……これ以上怪我するようなことしないでくださいっ」

真姫「……」

真姫「……悪かったわね」

花陽「あと凛ちゃんのこと煽りすぎです! 西木野さんが煽らなければ、凛ちゃんだってあそこまで煽ったりしなかったはずですっ」

穂乃果(それはどうなんだろう……)

真姫「……はぁ」

真姫「ごめんなさい」ペコッ

凛「ありゃ? 随分簡単に頭下げたね」

真姫「私は大人だから」

凛「ん? それは凛が子どもだって言いたいのかにゃ?」

真姫「あら、そんなつもりはなかったけど?」

凛「言い方が紛らわしいんだにゃ」

真姫「勘違いするってことは、アナタ自身に子どもだっていう自覚があるんじゃないかしら?」

凛「なんか言った?」

真姫「何も」

凛・真姫「……」



花陽「二人とも、さっき言ったこと聞いてなかったのかなぁ?」

凛・真姫「っ」ビクッ

256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/22(月) 22:45:45.98 ID:dj5c846y0

凛「な、なんでもないにゃー」

真姫「……」

花陽「そっかぁ、じゃあ凛ちゃんから手当て始めよっか?」ニコッ

凛「う、うん」

穂乃果(花陽ちゃん、怒ると凄いなぁ)





真姫「……ふぅ」ドサッ

真姫(疲れたわね)

真姫(小泉さん、あんな表情もできるのね)

真姫(さっきまではビクビクしてたのに)

真姫(変な人)



穂乃果「西木野さん」ザッ

穂乃果「隣、いい?」

257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/22(月) 22:46:41.33 ID:dj5c846y0

真姫「……駄目って言ったら?」

穂乃果「駄目なの?」

真姫「……」

穂乃果「聞きたいことがあるんだ、西木野さんに」

穂乃果「……本当に嫌なら諦めるけど」

真姫「……はぁ、別にいいわよ」

穂乃果「やった! それじゃ座るね!」ドサッ

真姫「……一応聞くけど」

穂乃果「なになに?」

真姫「普通、喧嘩の直後にこんな風に隣り合って座ったりはしないんじゃないかしら」

穂乃果「えー、そうかな?」

真姫「少なくとも、私はほとんど経験がないわ」

穂乃果「そっかー……あ、でも確かに私も喧嘩相手としたことはあんまりないかも」

真姫「それじゃどうして?」

穂乃果「えっとね、気になったことがあって……」



穂乃果「西木野さん」

穂乃果「どうしてあなたは音ノ木坂のテッペンを目指すの?」

258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/22(月) 22:47:44.38 ID:dj5c846y0

真姫「……不良の集まる高校でトップを目指すなんて、私達みたいな人間にとっては普通のことじゃないかしら」

穂乃果「かもしれないね」

穂乃果「……でも」

真姫「?」

穂乃果「西木野さんからは、他の人からは感じないような、なにかこう……強いものを感じたんだよね」

真姫「……」

穂乃果「なんだろう……意地、みたいな……えっと、かっこよく言えば覚悟!みたいな感じ?かな」

穂乃果「だからかな、西木野さんからもらう一撃一撃が本当に重たく感じて、凄いなーって思ってたの」

真姫「……アナタは倒せなかったけどね」

穂乃果「あー、それは私が頑丈だから、あはは……」

真姫「……」



真姫「いいわ」

穂乃果「ん?」

真姫「アナタには、話してあげる」

真姫「どうして私が、音ノ木坂の頂点(テッペン)を目指すのかを」

259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/22(月) 22:48:34.74 ID:dj5c846y0



真姫「……中学生の頃にね、ある人と出会ったの」

穂乃果「ある人?」

真姫「……私に、喧嘩のやり方を教えてくれた人」

穂乃果「へぇ! それじゃ西木野さんの師匠みたいな人なんだ!」

真姫「別に、そんなんじゃなかったわ」

真姫「ただ」

穂乃果「ただ?」



真姫「とても、強い人だった」



穂乃果「……西木野さんがそう言うってことは、よっぽど強いんだね、その人」

真姫「……ええ」

真姫「それに、あの人は喧嘩はもちろん……人間的にも強い人だったわ」

260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/22(月) 22:49:40.19 ID:dj5c846y0

真姫「いつも一人でたくさんの人達を相手にして……自分より背も大きくて強そうな相手もたくさんいる中で、それでも怯まずに戦っていたわ」

穂乃果「ほへぇ……一人で、なんだ」

真姫「そう、一人で、よ」

真姫「弱い癖に、群れて行動することで強くなった気になってる連中とは全く違う……」

穂乃果「……そっか」

穂乃果「それで西木野さんも一人で行動してるんだね!」

真姫「……どういうこと?」

穂乃果「だって、西木野さんが誰ともつるまずにいたのってさ」

穂乃果「その人に憧れてるからでしょ?」ニコッ

真姫「……」



真姫「なっ!?」

真姫「そっ、そんなんじゃないわよ! 憧れとかじゃなくて、ただ、私も群れて生きるようなカッコ悪い真似したくないって……そう思ったのよ!」

穂乃果「じゃあその人の生き方はカッコいいと思ったんだよね?」

真姫「っ、それは」

穂乃果「そういうのを憧れって言うと思うんだけどなぁ、西木野さんにとっては違うのかな?」

真姫「……」

261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/22(月) 22:50:38.33 ID:dj5c846y0

真姫「……はぁ」

穂乃果「えへへ」

真姫「アナタって、本当に変な人よね」

穂乃果「えぇっ!?」

真姫「……話が逸れたわね」

真姫「それで、その人と私は……まぁ時々会ったりしてたんだけど……」

穂乃果「だけど?」



真姫「二年前のある日を境に、突然あの人は変わってしまったの」

穂乃果「それって、どういう……」

真姫「詳しいことはわからないわ」

穂乃果「そう、なんだ」

真姫「……ただ、一つだけわかっていることがあるわ」





真姫「絢瀬絵里」

真姫「彼女が、関係してるということよ」

262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/22(月) 22:51:45.51 ID:dj5c846y0

穂乃果「絢瀬、絵里……」

真姫「そう」

穂乃果「……誰だっけ?」

真姫「えっ……まさか、嘘でしょ?」

穂乃果「うーん……どこかで聞いたことがあるような気はするんだけどね、忘れちゃった」

真姫「はぁ……絢瀬絵里はね、現在の音ノ木坂で最も頂点(テッペン)に近いとされている三年生よ」

穂乃果「テッペン……三年生……」

穂乃果「……あっ、思い出した! 前に花陽ちゃんから聞いた人だ!」

真姫「小泉さんから?」

穂乃果「そう! 凄く強いって!」

真姫「……そうね、彼女は強いわ」

真姫「そして、私が音ノ木坂に入った目的は……」



真姫「その絢瀬絵里を倒すことよ」

穂乃果「!」

263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/22(月) 22:53:04.57 ID:dj5c846y0

真姫「だけど、音ノ木坂で三年生が一年生を相手にするなんてことは、まずないわ」

真姫「ましてや、絢瀬絵里のような『最大派閥のトップ』がわざわざ『無名の一年生』からの挑戦を受ける、なんてことはね」

穂乃果「じゃあどうするの?」

真姫「『無名の一年生』じゃなくなればいいのよ」

穂乃果「……どういうこと?」

真姫「つまり、相手にとって勝負する価値のある相手になればいいのよ」

真姫「私にとって、アナタがそうなったようにね」

穂乃果「……あっ!」

真姫「理解したようね」

真姫「頂点(テッペン)を目指す者にとって無視できない存在……それは自分と同じように頂点を目指す者……さらに自分の立場を脅かすであろう実力を持つ者よ」

真姫「だから私は、音ノ木坂の頂点(テッペン)を目指した」

真姫「そして、学年トップの座を手にした」

真姫「全ては、絢瀬絵里とタイマンをして、倒す為に」

264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/22(月) 22:54:12.67 ID:dj5c846y0

穂乃果「そうだったんだ……」

真姫「えぇ」

真姫(……まあ、アナタに負けたことでその計画は狂ってしまったけれど)

穂乃果「……うーん」

真姫「どうしたのよ?」

穂乃果「えっとね……なんかちょっとしっくり来ないなぁって」

真姫「……どうして?」

穂乃果「んーとね、西木野さんがその……絢瀬先輩?を倒す為にテッペンを目指そうとしてたことはわかったよ」

穂乃果「けどね、なんで絢瀬先輩を倒したいのかがわかんないなぁって」

真姫「……」

穂乃果「西木野さんは、どうして絢瀬先輩を倒したいの?」

真姫「……」

真姫「……それは」



ザッ

穂乃果・真姫「!」バッ

265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/22(月) 22:55:23.68 ID:dj5c846y0

花陽「わっ」ビクッ

穂乃果「あっ、花陽ちゃんかぁ」

穂乃果(また誰か襲ってきたのかと思っちゃった)

真姫「……ふぅ」

花陽「ご、ごめんなさい、驚かせちゃいましたか……?」

穂乃果「ううん、大丈夫だよ! ちょっと西木野さんとお話してただけだから!」

花陽「そうだったんだ……あ、あのね、凛ちゃんの手当てが終わったから、次は西木野さんの手当てを始めようと思って……」

真姫「……なら行くわ」スクッ

花陽「あ、えと……お話は、大丈夫ですか?」

真姫「ええ、話すべきことは話したから」

穂乃果「えっ、まだ聞きたいことが」

真姫「小泉さん、向こうでお願いするわね」スタスタ

花陽「あっ、ちょっちょっと待ってくださいっ」タッタッタッ



穂乃果「……えぇ?」ポツーン

266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/22(月) 22:56:32.10 ID:dj5c846y0

<同時刻、河川敷より離れた場所>



海未「……」スッ

プルル…プルル…ガチャッ

海未「園田海未です」

海未「……はい、決着が着きました」

海未「勝ったのは、高坂穂乃果です」

海未「……ええ、例の転校生です」

海未「……はい」

海未「それと、西木野真姫についてはいかが致しますか?」

海未「……承知しました」

海未「では」ピッ



海未「……ふぅ」

海未「……」

海未「これで、ようやく……」

海未「……」

海未「……ことり」

267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/22(月) 22:57:43.48 ID:dj5c846y0

<しばらくして、河川敷>



花陽「……これで、よしと」キュッ

花陽「えっと……一応これで終わりなんです、けど……」

真姫「……本当に得意なのね」

花陽「えっ?」

真姫「手当ての話よ、正直ここまでのレベルだとは思っていなかったわ」

花陽「あっ、と、ごっごめんなさい」

真姫「……褒めてるのにどうして謝るのよ」

花陽「えっ? あっ……ありがとう、ございます」

花陽「……えへへ」

真姫(本当に、よくわかんない人ね)



真姫「さて、と」スクッ

花陽「どうしたんですか?」

真姫「小泉さん……手当てしてくれたこと、感謝するわ」

花陽「どっどういたしまして!」

真姫「……それじゃ」クルッ

花陽「えっ、どっどこに行くんですか?」

真姫「? 家に帰るに決まってるじゃない」

花陽「じゃっじゃあ凛ちゃんと穂乃果ちゃんを呼んで

真姫「待って」

268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/22(月) 22:58:56.94 ID:dj5c846y0

花陽「にっ西木野さん?」

真姫「一人で帰るから、呼ばなくていいわ」

花陽「えっ、でも」

真姫「……私、これでもプライドを賭けて全力の勝負した後なのよ」

真姫「その全力の勝負をして負けた相手と、仲良く一緒に帰るなんてできると思う?」

花陽「あっ……」

真姫「……さよなら」ザッ

花陽「……」





凛「かよちーん!」タッタッタッ

花陽「あ、凛ちゃん……」

穂乃果「あれ、花陽ちゃん一人?」

花陽「穂乃果ちゃん……うん、西木野さんは先に帰るって」

穂乃果「そっかぁ、まだ聞きたいことがあったんだけど……」

花陽「西木野さんに?」

穂乃果「うん! さっき西木野さんと話してたんだけどね……」

269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/22(月) 23:00:17.33 ID:dj5c846y0

<少しして、河川敷からの帰り道>



花陽「……なるほど、西木野さんが絢瀬先輩を倒したい理由……それは確かに気になりますね」

凛「単純に自分より上がいるのが気に喰わないタイプなんじゃないかにゃ? プライド高そうだし」

穂乃果「うーん……なんかそういうのとは違う気がするんだよねぇ」

花陽「西木野さんと絢瀬先輩……私もあの二人に何か因縁があるって話は聞いたことがないし……」

穂乃果「むむ……謎は深まるばかりだね」

花陽「それと、西木野さんのお師匠さんがどんな人なのかも気になります!」

凛「あの西木野に喧嘩を教えたっていうくらいだから、きっとゴリラみたいにムキムキな感じだよ!」

花陽「ご、ゴリラはさすがにないんじゃないかなぁ……?」

穂乃果「でも西木野さんが強いって言うくらいだからきっと凄いんだろうね!」

穂乃果「……名前だけでも聞いておけばよかったかなぁ?」

花陽「そうだね、さすがにどこの誰かもわからないとなると調べることもできないし……」

穂乃果・花陽「うーん……」

凛「……」

270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/22(月) 23:01:24.13 ID:dj5c846y0

穂乃果「っと、もう別れるところまで来ちゃったね!」

花陽「本当だ……色々話しながら考えてたらあっという間だったね?」

穂乃果「そうだね……よしっ」グッ

穂乃果「花陽ちゃん! 凛ちゃん!」

花陽「穂乃果ちゃん?」

凛「どうしたの?」

穂乃果「二人とも、今日はありがとう!」

穂乃果「花陽ちゃんは立会人と喧嘩後の手当てしてくれたよね!」

花陽「そんな、私は大したことは……」

凛「かよちん!」ガシッ

花陽「りっ凛ちゃん?」

凛「こういうときはケンソン?せずに素直にどういたしましてって言えばいいんだよ!」

花陽「すっ素直に……」

凛「うん!」

花陽「どっどういたしましてっ、穂乃果ちゃん!」

穂乃果「うんっ、ありがとう!」ニコッ

271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/22(月) 23:02:33.89 ID:dj5c846y0

穂乃果「凛ちゃん!」

凛「にゃ?」

穂乃果「凛ちゃんはタイマンに邪魔が入らないようにしてくれたし、花陽ちゃんが危ないときに助けに来てくれたよね!」

凛「穂乃果ちゃんにもしものときは任せるって言われてたからね!」ニコッ

穂乃果「うんっ、本当に助かったよ! ありがとう!」ニコッ

凛「えへへ、どーいたしまして!」

穂乃果「それじゃまた、学校でねー!」タッタッタッ

凛・花陽「またねー!」





花陽「……穂乃果ちゃん、凄いなぁ」

花陽「西木野さんに勝っちゃうくらい強いのに、あんなに明るくて元気で」

凛「そうだね! 凛も負けてられないにゃ!」

花陽「それからね、今日思ったんだけど」

凛「?」

花陽「西木野さんもね、悪い人じゃないんじゃないかなぁって」

凛「え……」

272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/22(月) 23:03:57.79 ID:dj5c846y0

花陽「今までの感じとか喧嘩してる姿を見て怖い人だなって思ってたけど、実際に話してみたら少し違っててね?」

花陽「私が手当てすることも許してくれて……それに、前に私を襲ってきた危ない人達からも守ってくれたんだよ?」

花陽「それと、手当てするときにちょっと聞いてみたんだけどね」

花陽「凛ちゃんや穂乃果ちゃんと喧嘩してたのも、嫌いだからとかじゃなくて、純粋に強い人と勝負をして勝ちたいっていう理由からだったみたいで」

凛「……」

花陽「あっ、ごっごめんね? 花陽だけ喋り続けちゃって……」

凛「……ううん」

花陽「えっと、だからね……もし、もし上手くいったら」



花陽「西木野さんとも、仲良くなれるんじゃないかなぁ……って、そう思ったの」



凛「っ!」

花陽「凛ちゃん……?」

凛「……凛は」

凛「凛は、そう簡単に……敵だった相手のことを、そんな風には思えないよ」

花陽「……そっか」

凛「ごめんね、かよちん」

花陽「ううん……」

花陽「……とりあえず、今日は帰ろう?」

凛「……うん」

273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/22(月) 23:05:40.89 ID:dj5c846y0

<しばらくして、夜、穂むらへの帰路>



穂乃果「はぁーっ、疲れたーっ!」

穂乃果(西木野さん、か……久々にあんなに強い相手と喧嘩したなぁ)

穂乃果(あれで一個下なんだよね……学年は一緒だけど)

穂乃果(そうなると三年生はきっともっと強いんだろうなぁ)

穂乃果(特に絢瀬?先輩はテッペンに近いって言われてるくらいだし、凄いんだろうな)

穂乃果(……まぁ、穂乃果がそんな凄い先輩と勝負することはないだろうけど)

穂乃果(音ノ木坂のテッペンを獲ろうなんて考えてないしね!)

穂乃果「留年回避できればそれでいいのだ〜」

穂乃果「……ん?」

穂乃果「……あれは」タッタッタッ





穂乃果「海未ちゃん!」

海未「穂乃果……お待ちしておりました」

274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/22(月) 23:06:59.34 ID:dj5c846y0

穂乃果「どうしたの? こんな時間にお饅頭買いに来たの?」

海未「いえ、そうではありません」

穂乃果「そうなの? あ、じゃあ穂乃果の部屋上がってく? それか一緒に穂乃果の家で夜ご飯食べちゃおっか!」

海未「いえ、そこまでには及びません」

穂乃果「えぇー? 久々に一緒に食べようよぉ」

海未「穂乃果」

穂乃果「っ」

穂乃果(海未ちゃんのこの目は、何か大事な話があるときの……)

穂乃果「……何か、あった?」

海未「単刀直入に言わせていただきます」

穂乃果「うん」

海未「穂乃果」

275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/22(月) 23:07:55.94 ID:dj5c846y0





海未「私達の仲間に……絢瀬派に、入ってください」





276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/22(月) 23:08:55.53 ID:dj5c846y0

<同時刻、とある公園>



ザッザッザッ

真姫「……」ピタッ

真姫「……」

真姫「……まぁ、いるわけないわよね」

真姫(つい、来てしまった)

真姫(あの人に会えるかもしれない、って)

真姫(ほんの少しだけ……そう思ってしまった自分がいて)

真姫「……」

真姫「……バカね」

真姫「……」



真姫(やっと、見つけられたのよ)

真姫(私の全力を受け止めてくれて)

真姫(私に全力でぶつかってくれる人)

277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/22(月) 23:10:21.42 ID:dj5c846y0





真姫(……にこちゃん、アナタ以外の人でね)





278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/22(月) 23:12:25.93 ID:dj5c846y0
投下終わりです
書き貯めが出来次第また投下します
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/22(月) 23:13:03.60 ID:DWN6Qeubo
ヒュー乙やんね
次も期待やんね
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/23(火) 01:00:48.42 ID:M81rlNeOO
にこまきいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいい



が早く見たい
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/23(火) 03:33:28.40 ID:QsSm+Ab3O
おつおつ
矢澤は音ノ木にて最強
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/24(水) 23:12:28.22 ID:v8X5NcWb0
乙です!

パイセンはどれだけ強いのか期待
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/11(日) 00:38:15.52 ID:FwN52YJ00
面白かった
続きに期待
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/20(火) 20:14:17.33 ID:gnysdMoEO
そろそろかな!
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/01(土) 02:11:48.70 ID:vxEcDqxwO
待ってるぞ
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/01(土) 12:55:26.46 ID:U1BQpNkKO
あくあく
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/09(日) 00:13:28.98 ID:R73L825QO
だめそうですね
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/09(日) 00:49:33.02 ID:mzQ5WApn0
隔月連載になったのか
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/11(火) 15:43:16.68 ID:TyUNPxNMO
まだ待てる
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/13(木) 17:15:28.13 ID:cSyVEyXe0
やはりエタったな
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/14(金) 18:55:04.63 ID:GqEJnCCUO
ヤンキー系で完結したやつ見たことない
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/17(月) 13:44:55.02 ID:vhteHq6bO
>>291
うるせーババアがあったろ
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/21(金) 09:33:22.08 ID:9NBLEZVE0
早く戻ってきてくれ
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 13:54:20.94 ID:Y4x0hH9p0
投下始めます
295 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 13:55:42.55 ID:Y4x0hH9p0

<同じ頃、穂むら前>



穂乃果「……絢瀬派?」

海未「ええ」

穂乃果「えーと……ちょっと待って、確か絢瀬派って一番おっきな派閥のことだよね?」

海未「そうですね、音ノ木坂内では最大派閥と呼ばれています」

穂乃果「じゃあ絢瀬先輩がトップをやってるところ?」

海未「はい」

穂乃果「……」



穂乃果「えっ、海未ちゃん絢瀬派に入ってるのっ!?」

海未「……ええ」

穂乃果「ちょっ、ちょっと待って! えーとえーと、うーん……」

海未「……」

穂乃果「……まず、海未ちゃんがそういう派閥に入ってることが驚きなんだけど」

海未「……事情がありまして」

穂乃果「てっきりことりちゃんと二人でいると思ってたんだけどな……あ、じゃあことりちゃんも一緒に絢瀬派に入ってるんだよね?」

海未「……」



海未「……今は、ことりとは一緒にいません」

296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 13:56:40.27 ID:Y4x0hH9p0

穂乃果「えっ」

海未「……」

穂乃果「ことりちゃんは一緒にいないの?」

海未「……ええ」

穂乃果「喧嘩でもしたの?」

海未「……そう、ですね……喧嘩、と言えるのかもしれません」

穂乃果「ええっ!? 海未ちゃんとことりちゃんが!?」

海未「……」

穂乃果「二人が一緒にいないなんて……何があったの?」

海未「……それは」





ガララ

穂乃果・海未「!」

雪穂「やっぱりお姉ちゃんいた……あっ、海未ちゃんもいたんだ!」

穂乃果「雪穂! ただいま〜!」

雪穂「おかえり……って、やっぱりボロボロになって帰ってきたね」

穂乃果「あはは……」

雪穂「まあでも応急処置は済んでるみたいだし、後で湿布とか取り替える感じでいいかな」

穂乃果「うん、お願いね!」

297 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 13:58:13.72 ID:Y4x0hH9p0

海未「こんばんは、雪穂」

雪穂「こんばんは、海未ちゃんまたお饅頭買いに来てくれたの?」

海未「いえ、今日は穂乃果に話がありまして……」

穂乃果「ちょっとここで話してたんだよ」

雪穂「へぇ、そうなんだ……あ、じゃあせっかくだし上がってく?」

海未「いえ、本日はこれで失礼させていただきます」

穂乃果「えっ、まだ話途中……」

海未「穂乃果」

穂乃果「?」



海未「詳しい話は、またの機会に」ボソッ

穂乃果「……そっか、それならまた今度ね!」

海未「ええ」

雪穂「また今度遊びに来てね?」

海未「……是非」ニコッ

海未「それでは、また」スタスタ

298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 13:59:10.19 ID:Y4x0hH9p0

<高坂家、穂乃果の部屋>



穂乃果「そっとだよ? そっとお願いね?」

雪穂「はいはい、わかってるよ」チョンッ

穂乃果「……ったぁっ!?」ビクッ

雪穂「もー、さっきから暴れないでよお姉ちゃん」

穂乃果「うぅ……だって染みるんだもん」

雪穂「はぁ……喧嘩のときはいくら殴られても絶対に倒れない癖に」

穂乃果「殴られるのと消毒液じゃ痛さが違うもん! 消毒液はなんかこう、バチっとしたというかビリっとしたというか……とにかく違うの!」

雪穂「はぁ」

穂乃果「うぅ、口の中切れてたから夜ご飯も食べづらかったし……やっぱり強い子とヤった後は大変だよ……」

雪穂「……お姉ちゃんをここまでボロボロにするってことは、かなり強かったんだねその人?」

穂乃果「そうだね、久々にあんなに強い相手と喧嘩したかなぁ」

雪穂「やっぱり音ノ木坂のレベルは高そうだね……その人だって実際はお姉ちゃんの一つ下な訳だし」

299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 14:00:13.78 ID:Y4x0hH9p0

雪穂「……ま、それでもちゃんと勝つのはさすがお姉ちゃんだね」

穂乃果「売られた喧嘩には絶対に勝ちたいからね!」グッ

雪穂「それで本当に勝てるのが羨ましいよ……」

穂乃果「えへへ」

雪穂「……」



雪穂「えい」チョンッ

穂乃果「ったぁっ!?」

雪穂「あはは、さっきからお姉ちゃん大袈裟すぎだよ」

穂乃果「も〜、怪我人で遊ばないのっ」

雪穂「ごめんごめん、お姉ちゃんの反応が良かったから……つい、ね?」

穂乃果「……もぅ、昔は穂乃果が怪我して帰ってきたら心配してくれてたのに」

穂乃果「 『お姉ちゃんどうしたのその怪我っ!?』って玄関に救急箱持って駆け寄ってきてくれてたっけなぁ〜」

雪穂「ちょっ、いつの話してんのさっ!」

穂乃果「あの頃の雪穂は素直で可愛かったなぁ」

雪穂「もー、お姉ちゃんっ!」

穂乃果「えへへ、照れ屋な雪穂も可愛いよ」ニコッ

雪穂「ぐっ……も、もうっ!」チョンチョンッ

穂乃果「あぃたぁっ!?」

300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 14:01:15.63 ID:Y4x0hH9p0

雪穂「っていうかお姉ちゃん! トップ興味ないとか言って結局学年ナンバーワン獲ってるじゃん!」

穂乃果「あはは、そうだね……別にトップを取るつもりはないんだけど、ね」ポリポリ

穂乃果「だって」

雪穂「売られた喧嘩を買ってたら勝手にそうなっちゃうんだもん、でしょ?」

穂乃果「おぉ、よくわかったね! さすが雪穂!」

雪穂「昔から散々同じ台詞聞いてるからね……さすがにもう覚えたよ」

穂乃果「えっ、そんなに?」

雪穂「そんなに、だよ」

雪穂「それに、海未ちゃんとことりちゃんもお姉ちゃんと同じこと言ってたし」

穂乃果「……そうだねぇ、あの二人も自分から喧嘩を売るタイプじゃなかったからなぁ」

穂乃果「それに、派閥とかに入るようなタイプでもなかったし!」

雪穂「どういうこと?」

穂乃果「あっ、えっとね、さっき海未ちゃんに言われたんだけど……」

301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 14:02:20.24 ID:Y4x0hH9p0

雪穂「……へぇ、海未ちゃんが音ノ木坂の最大派閥にいるんだ」

穂乃果「そうなんだよ、何があったのかはまだ聞けてないんだけどさ……」

雪穂「アヤセ……ね」

穂乃果「?」

雪穂「あ、ううん、続けて」

穂乃果「そう? あ、それでね、なんで海未ちゃんがそういうのに入ってるんだろうなって気になっちゃってさ」

雪穂「……その派閥の人と仲が良かったとか?」

穂乃果「う〜ん、仲が良い子に呼ばれて喧嘩の助っ人に行くことはあると思うけど、そのグループ自体に所属する海未ちゃんは想像できないなぁ」

雪穂「確かに……あ、じゃあその派閥の人との勝負に敗北して傘下につくことになったとか」

穂乃果「それこそないよ! 海未ちゃんはすっごく強いんだから!」

雪穂「まぁ、それは私も知ってるけど……でも、音ノ木坂ならあり得ない話じゃないと思うよ」

穂乃果「そうかなぁ、でもあの海未ちゃんがなぁ……」

雪穂「……お姉ちゃんは、海未ちゃんとヤったことあるんだっけ?」

穂乃果「え?」

雪穂「どうなの?」

穂乃果「……そうだね、海未ちゃんとは口喧嘩はよくしてたけど……殴り合いの喧嘩をヤったことはないかな」

302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 14:03:18.00 ID:Y4x0hH9p0

穂乃果「……でも」

雪穂「?」

穂乃果「海未ちゃんとはずっと肩を並べて一緒に喧嘩してたし、お互いに助け合ってきた仲だから……やっぱり海未ちゃんが負けるところなんて穂乃果には想像できないよ」

雪穂「そっか……あ、じゃあさ」



雪穂「お姉ちゃんと海未ちゃんが本気で勝負したらさ、どっちが勝つのかな?」

穂乃果「……穂乃果と、海未ちゃんが?」

雪穂「あっ、ごめんね、変なこと言っちゃった」

穂乃果「ううん、大丈夫だよ!」

雪穂「ま、お姉ちゃんと海未ちゃんが本気で喧嘩なんてするわけないもんね」

穂乃果「……そうだね」

雪穂「あはは……」

穂乃果「……」

穂乃果「けど」

雪穂「?」

穂乃果「もし、本気で穂乃果達がヤり合ったら」





穂乃果「きっと、お互いタダじゃ済まないと思うよ」

303 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 14:04:10.35 ID:Y4x0hH9p0

雪穂「……っ」ゴクリ



穂乃果「まっ、そんなことはないと思うけどね!」

雪穂「だ、だよね」

穂乃果「それに、穂乃果と海未ちゃんが喧嘩したとしてもさ」

穂乃果「きっと、ことりちゃんが止めてくれるよ」ニコッ

雪穂「ふふっ、そうだね」

穂乃果「あー、なんだか二人に会いたくなってきちゃった!」

雪穂「もう、同じ学校なんだから明日会いに行けばいいじゃん」

穂乃果「なるほど! よーし、明日は海未ちゃんとことりちゃんに会いにいくぞー!」

雪穂「あはは、また張り切って行って、喧嘩に巻き込まれでもして怪我しないでよ?」

穂乃果「もう、それくらいわかってるよっ」

雪穂「どうだかねぇ」チョンッ

穂乃果「ぃたぁっ!?」

304 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 14:05:11.03 ID:Y4x0hH9p0

<翌日、朝、音ノ木坂学院高校>



「おい、お前聞いたかよ?」

「は? 何をだよ」

「今の話題っつったらアレしかねーだろ」

「西木野と転校生のタイマンだよ!」

「ああ、まあどうせ西木野が勝ったんだろ?」

「転校生も中々強いみたいだけどねー」

「あ、賭けの話忘れんなよ?」

「転校生に賭けたヤツらはおごれよなー」

「ふっふっふっ……」

「あ? 何笑ってんだお前」

「どうやらまだ聞いてないみたいだな……」





「昨日のタイマン、勝ったのは転校生の方なんだよ」






「……は?」



「つーわけで今日の昼飯おごるのはお前らだよバーカ」

「何にしてもらおっかなー?」



「お、おいおいちょっと待てどういうことだ!?」

「転校生が西木野に勝った、って……マジかよ!!」

「アイツやるじゃねーか!」

305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 14:06:04.16 ID:Y4x0hH9p0

<凛・花陽のクラス、教室内>



「聞いたか! 西木野が転校生に負けたってよ!」

「聞いた聞いた!」

「こいつぁ本当にとんでもねーヤツが現れたな!」



ザワザワザワザワ





凛「いやー、どこも穂乃果ちゃんの話で持ちきりだね、かよちん!」

花陽「皆、西木野さんが勝つだろうって予想してたからね」

凛「やっぱり穂乃果ちゃんはスゴいにゃ!」

花陽「うん!」

キーンコーンカーンコーン

凛「あっ、もうホームルームの時間だ」

花陽「穂乃果ちゃんにはまたあとで会いに行こっか」

凛「うん!」

306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 14:07:58.90 ID:Y4x0hH9p0

<同じ頃、高坂家、穂乃果の部屋>



穂乃果「……すー……すー」



穂乃果「……すー…………」



穂乃果「ん……」ゴロン



穂乃果「……」



穂乃果「……ん?」パチッ



穂乃果「……」ゴロン



穂乃果「……めざまし」ガシッ



穂乃果(今何時……?)



穂乃果「ん……ふぁ〜ぁ…………ん〜」ジー



穂乃果(……はちじ、よんじゅっぷん……?)



穂乃果「……」ゴロン



穂乃果「……」





穂乃果「遅刻だーーーー!!!!」ガバッッッ

307 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 14:08:57.11 ID:Y4x0hH9p0

<しばらくして、通学路>



穂乃果(お母さんに聞いたら、「雪穂が『お姉ちゃん傷だらけの状態だし、気持ち良さそうに寝てるから今日は起こさなくてもいいんじゃない?』って言ってたから無理に起こさなかったの」って言われたけど……)



穂乃果「その気持ちは嬉しいけど、留年回避したい穂乃果にはありがたくない気づかいだよー!!」タッタッタッ



穂乃果(せめて近道して少しでも早く学校に着かないとだね!)

穂乃果「だからここで裏路地突入!」ダッ





シーン……




穂乃果「あれ? 今日は誰もいないのかな?」

穂乃果(前に通ったときは、ここでたむろってる人達と喧嘩になっちゃってちょっと大変だったんだけど……)

穂乃果「まぁいいや、今日はツイてるね!」タッタッタッ





「……う、ぐ」ガサッ

「まさか全員ゴミ袋の山に向けてぶっ飛ばされるとは……」ゴソッ

「あ……が……」ピクピク

「なん、だったんだあのチビ……」ガクガク

「油断、した……ぜ…… 」ガクッ

308 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 14:09:57.64 ID:Y4x0hH9p0

ガサガサ

穂乃果(よーし、裏路地は無事に抜けたし、後はここの林を突っ切って)

穂乃果(最後にここから飛び降りれば……)



穂乃果「思ったより早く着く……ねっ!」ダンッ





「……」スタスタ

穂乃果(って……着地点に人が!?)

穂乃果「どっ、どいてどいてー!!」

「!?」バッ





穂乃果「ぁいてっ!」ドテッ

「……ふぅ」

穂乃果(うぅ、着地失敗しちゃった……)

穂乃果「……って、それよりも!」バッ

「っ」バッ

穂乃果「いきなり飛び出してすみませんでしたー!」ガバッ

「……は?」

309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 14:12:02.59 ID:Y4x0hH9p0

穂乃果「私、今日寝坊してっ、だから急いで学校行かなきゃって慌てて、近道しててっ」

「……」

穂乃果「あっ、今飛び出してきたところが近道に使える場所なんだよ!」

「……あっそ」

穂乃果「……じゃなくて! だから、着地点も見ずに飛び出しちゃったりして……ごめんなさい!」

穂乃果「あの、怪我とかしませんでしたか……?」チラ

「……別に、避けたから平気よ」

穂乃果「えっ……わっ、ホントだ! よくあの一瞬で……凄い!」

「……」

穂乃果「あっ、でも避けたからいいってわけじゃないもんね……ごめんなさい!」

「……だから謝んなくていいわよ」



「とうとう空から奇襲しに来るヤツが現れたのかと思ったわ」ボソッ

穂乃果「え?」

「なんでもないわよ」

310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 14:12:50.29 ID:Y4x0hH9p0

「じゃ、私行くから」クルッ

穂乃果「あ、はい」

「……」スタスタ

穂乃果「……あれ?」

「……」スタスタ

穂乃果(あの後ろ姿……どこかで見たような……?)

穂乃果「……」





穂乃果「あーっ!!」ビシッ

「っ!?」

穂乃果「思い出したよっ!」タッタッタッ

「……はぁ」クルッ





穂乃果「一週間ぶりだねっ、にこちゃん!」

311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 14:13:51.00 ID:Y4x0hH9p0

にこ「ったく、朝からうるさいヤツね……」

穂乃果「えへへ、また会えて嬉しいよ!」



にこ「……私のこと、覚えてたのね」

穂乃果「もちろん覚えてるよっ! さっきは慌ててたから気づかなかったけどさっ」

穂乃果「ていうかにこちゃんこそ私のこと覚えてくれてたの?」

にこ「……アンタみたいはヤツは珍しいからね、嫌でも覚えるわよ」

穂乃果「? それってどういう意味?」

にこ「……別に」

穂乃果「えぇ〜、気になるよ〜」

にこ「……」



にこ「ていうかアンタ、急いでたんじゃないの?」

穂乃果「え?」

にこ「……学校、遅刻なんでしょ」

穂乃果「あっ」

312 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 14:15:04.33 ID:Y4x0hH9p0

にこ「私なんかに構ってないでさっさと行った方がいいんじゃないの?」

穂乃果「う〜ん……」

にこ「? 何悩んでるのよ」

穂乃果「よしっ……決めたっ!」



穂乃果「今日は途中までにこちゃんと一緒に登校するよ!」

にこ「……は?」

穂乃果「だってにこちゃんと会える機会って中々なさそうだし!」

にこ「……」

穂乃果「あと今から頑張って走っても中途半端になるかなぁ、って」

穂乃果「だから今はにこちゃんと一緒にいるのを優先するよ!」

にこ「……あっそ」



穂乃果「じゃあ行こっか!」

穂乃果「あっ、そうだ、にこちゃんはこれからどこに行くの?」

にこ「……」

にこ「とりあえず、アンタの学校に向かいましょ」

313 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 14:16:35.64 ID:Y4x0hH9p0

<同じ頃、通学路>



真姫「……」スタスタ



「よー、西木野ォ!」

真姫「……」スタスタ

「聞いたぜ! お前、昨日のタイマンで転校生に負けちまったんだってなぁ!」

「傷だらけのそのお顔は転校生ちゃんにタコ殴りにでもされちゃったのかなぁ?」

真姫「……」スタスタ

「……おい、シカトこいてんじゃねーぞ!」

「こっち向けやオラァ!」ブンッ

パシッ

「!?」

「なっ」

真姫「……うるさいわよ」



ドガッバギッズドッ



「あ……が……」ピクピク

「ぐ……お……」ピクピク

「う……げ……」ピクピク



真姫「……」

真姫「……」クルッ



「ちょい待ち、そこのお嬢さん」

真姫「……」スタスタ

「あ、ちょっ、無視せんといてや!」

真姫「……!」ピタッ

「まったく……人から声かけられたらとりあえず立ち止まるくらいしてもええやん……」

真姫(この関西弁らしき口調は……)

真姫「まさか……」クルッ





希「おはよーさん、昨日は随分ええ喧嘩ヤれたみたいやんな? 西木野真姫ちゃん?」ニコッ

真姫「東條……希っ……!!」

314 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 14:17:42.57 ID:Y4x0hH9p0

真姫「……昨日のタイマン、アナタも見てたのね」

希「いやぁ、ウチが着いたときにはもう終わってたかなぁ?」

希「ウチが見たのは、なんやようわからん二人とヤり合ってるのやったね」

真姫「……なるほどね」

真姫「昨日、星空凛をあそこまで連れて来たのは……アナタね」

希「おっ? なんでわかったん?」

真姫「……」ジッ

希「? どこ見てるん?」

真姫「……別に、関西弁っぽいしゃべり方をする人間が他に思い浮かばなかっただけよ」

希「あ、もしかして凛ちゃんがウチのこと話したんかな?」

真姫(もう一つの特徴は……別に言わなくていいわね)

315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 14:18:38.18 ID:Y4x0hH9p0

希「それにしても、こうして話すんは久々やんね?」

真姫「……一体、何しに来たのよ」

希「やだなぁ、そんな怖い顔せんでもええやん……ちょいとお話しに来ただけやのに」

真姫「……知らないようなら言っておいてあげるけど、私にとってはアナタもターゲットの一人なのよ」

希「あれ、そういやそうやったっけ?」

真姫「……そうよ」

希「そっかぁ、まあそう思ってくれるのは別に構わんけど」





希「今のその状態で、ウチとヤれるつもりなん?」

真姫「……」



真姫「どんなときでも、私は逃げるつもりはないわ」



希「……ふぅん」

希「面白いやん」ニィッ

316 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 14:19:47.33 ID:Y4x0hH9p0

希「……」スッ

真姫「……っ」バッ





希「なんて、今ヤるわけないやん!」

真姫「……は?」

希「だって真姫ちゃんボロボロやし! そないな状態の子とヤっても楽しめないやん!」

真姫「……」

希「ヤるなら、今度また元気なときに……真姫ちゃんが全力を出せるときに、な?」ニコッ

真姫「……そのときは全力で叩き潰すわよ」

希「おー、楽しみに待っとるでー」ニコニコ

真姫「……」

希「あっ、アカン忘れとった、こういう話をしに来たわけやないんよ」



希「なぁ、真姫ちゃん」

希「ウチも昨日の……高坂穂乃果ちゃんとのタイマンの結果は聞いたよ」

希「二人とも真正面からガチンコ勝負して、お互い全力をぶつけた結果やったって」

真姫「……ええ」

希「全力をぶつけられる相手、見つけられたんやろ」

真姫「……」

希「今はどうなんよ」





希「それでも、にこっちの為に……またエリちに挑戦するつもりなん?」

317 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 14:20:59.91 ID:Y4x0hH9p0

真姫「当然よ、絢瀬絵里は必ず倒す」

真姫「それに、それはもうにこちゃんの為だけじゃない」

希「……そっか」

真姫「というか」



真姫「にこちゃんを裏切った側の人間の癖に、気安くにこちゃんの名前を出すんじゃないわよ」

希「……」



真姫「……それじゃ」スタスタ

希「……なぁ、真姫ちゃん、あと一個だけ話があるんや」

真姫「……何よ」ピタッ

希「この先、音ノ木坂の校門前に、昨日のタイマンの結果を聞いた連中が真姫ちゃんを潰そうと待ち構えてるんよ」

真姫「……へぇ」

希「結構な人数おるし、手伝ったろか?」

真姫「必要ないわ」

希「そう言うと思ってたわ」

真姫「その程度、私一人で蹴散らすわ」

希「……ほぉ」





希「なら、サクッとヤってきや」

真姫「言われなくとも」

318 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 14:22:04.48 ID:Y4x0hH9p0

<同じ頃、穂乃果・にこの通学路>



穂乃果「いやぁ、まさかこんな早くまたにこちゃんと会えるとは思わなかったよ〜」

にこ「……そうね」

穂乃果「あ、そうだ! この前にこちゃんがいつの間にかいなくなっちゃったときにね、にこちゃんと入れ替わるようにして、同じ場所にねこちゃんがいたんだよ!」

穂乃果「だから私、一瞬にこちゃんがねこちゃんになっちゃったのかと思って驚いちゃってさ〜」

にこ「……あるわけないでしょ、そんなこと」

穂乃果「あはは、だよねぇ」

にこ「……」

穂乃果「? どうしたの?」

にこ「……アンタさ」



にこ「やけに傷だらけだけど、何かあったの?」

穂乃果「えっ?」

319 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 14:23:17.24 ID:Y4x0hH9p0

にこ「一週間前は頭に包帯巻いてたけど、今日は湿布やら絆創膏やらで顔中覆われてるじゃない」

穂乃果「あー……」ポリポリ

にこ「……虐められでもしてんの?」

穂乃果「まさかっ、それは違うよ!」

にこ「……そう」

穂乃果「……喧嘩、したんだよ」

にこ「……」ピタッ

穂乃果「?」



にこ「……アンタみたいな能天気そうなヤツでも、喧嘩はするのね」

穂乃果「ちょっ、ノーテンキってなにさ! 穂乃果、勉強はできないけど頭カラッポじゃないよー!」

にこ「はいはい」

穂乃果「も〜、じゃあにこちゃんは勉強できるのっ?」

にこ「……」

穂乃果「できるの?」ジー



にこ「ノーコメントよ」

穂乃果「あっ、それずるい!」

320 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 14:24:28.30 ID:Y4x0hH9p0

にこ「……で、相手にボコボコにされてそのツラ構えになったってことね」

穂乃果「うー……それは否定できないかなぁ」

にこ「……喧嘩の理由は?」

穂乃果「相手に売られたからだね」

にこ「なんで売られたのよ」

穂乃果「うーん……私が目立ってたから、かな……?」

にこ「……ああ、アンタ転校生って言ってたものね」

穂乃果「それだけが原因じゃないけど、まあそんなとこかなぁ」

にこ「……ていうかアンタ、よくそんなさらっと話せるわね」

穂乃果「え?」

にこ「普通のヤツだったら、そんなボコボコにされたことについての話はしないんじゃないかしら」

穂乃果「まぁ、喧嘩で怪我するのは慣れてるからね」

にこ「……そ」

穂乃果「いやぁ、昨日の喧嘩は大変だったんだよ! 相手がスゴく強い子でさー」

にこ「昨日?」

穂乃果「うん、久々に正々堂々一対一の勝負だったよ〜」

にこ「……まるで普段はそうじゃないみたいな言い方ね」

穂乃果「え? あ、うん、いつもは一人で何人かを相手にすることが多いからね」

にこ「……そう」

321 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 14:25:31.65 ID:Y4x0hH9p0

穂乃果「いやぁ、一年生であんなに強い子がいるなんて驚きだよホントに!」

にこ「……アンタも一年生でしょ?」

穂乃果「……あっ、うん! そうだよ! いやぁ〜、同い年であんなに強い子がいるなんて驚いたよ、あはは〜」

にこ「……」

穂乃果「あはは……」

穂乃果(……危ない危ない、うっかりボロが出るところだったよ……!)



にこ「……なんか、アンタ変なヤツね」

穂乃果「えっ」

にこ「ボコボコにされてる割りにへらへらしてるし、まるで落ち込んじゃいないし」

穂乃果「へっ、へらへらはしてないよ!」

にこ「……変にプライドとか持ってないタイプ? だとしたら、音ノ木坂じゃ結構珍しい類の人間ね」

穂乃果「プライド? んー、確かにそういうのは気にしたことないかも……」

にこ「……ま、喧嘩に負けたのにそんな風に明るくしていられるのもある意味才能ね」

穂乃果「えっ、穂乃果才能あるの!? ……って、あれ?」

にこ「……何よ?」



穂乃果「私、負けてないよ?」

にこ「……は?」

322 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 14:26:37.61 ID:Y4x0hH9p0

にこ「だってアンタ、ボコボコにされたのは否定しないって……」

穂乃果「んー、確かに昨日の喧嘩はスゴく強い子が相手でボコボコにされたーって話はしたけど」



穂乃果「負けたなんて、一言も言ってないよ?」

にこ「……!」



にこ「……そう」

穂乃果「?」



にこ「やっぱり、アンタも音ノ木坂の人間ね」ボソッ

穂乃果「え?」

にこ「なんでもないわよ……それより」

穂乃果「?」

にこ「学校、もう着くわよ」

穂乃果「あっ、ホントだ!」

穂乃果「……ん?」





ザワザワザワザワ



穂乃果(校門前に、やけに人が集まってる?)

にこ「……喧嘩、ね」

穂乃果「えっ、あっホントだ!」

穂乃果「どんな人がヤってるんだろ……」ジー

にこ「……あれは」





真姫「はぁっ……はぁっ……」



穂乃果「西木野、さん?」

にこ「……」

323 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 14:27:59.64 ID:Y4x0hH9p0

「おらぁっ!」ブンッ

真姫「ふっ!」サッ

バキィッ

「ぐっ!」グラッ

真姫「まだよ」ガシッ

「……ぇ?」

ズドンッ

「ぉっ!?」

ズドンッ

「ごっ」

ズドンッ

「ぎっ」

ズドンッ

「あ、が……」

真姫「……」パッ



ガンッッッ

「げぶぅっ!!」ズザァァァ

「ひぃっ!」サッ

「こ、こいつ、ゲロまみれになって気絶してやがる……」

「そりゃあんな連続で腹にパンチされたらな……」

「や、やっぱ西木野のヤツ容赦ないわね……」ゴクッ



真姫「……はぁっ……はぁっ」

真姫(……思ったより、昨日のダメージが残ってるわね)

真姫(結構キツい、かも……)

324 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 14:28:56.11 ID:Y4x0hH9p0

穂乃果「やっぱり西木野さんだ! なんであそこであんな人数と喧嘩してるの!?」

にこ「……あの子、アンタの知り合いなの?」

穂乃果「うん! だって昨日喧嘩した相手だもん!」

にこ「……は?」

穂乃果(西木野さん、昨日の喧嘩で今はボロボロなはずなのに……)

穂乃果「ちょっとこのままじゃマズイかも……」

にこ「ねぇ、それってアンタがあの子に……」

穂乃果「ごめんね、にこちゃん! 私ちょっと行ってくる!」ダッ

にこ「えっ……ちょっ、待ちなさいよ!」

穂乃果「また今度話そうねー!」タッタッタッ

にこ「あー……っ、もう……」







にこ「……」

にこ「まさか、あの能天気そうなヤツが……」



にこ「……アイツが、あの子に勝った相手だっての……?」

325 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 14:29:53.85 ID:Y4x0hH9p0



真姫「はぁ……はぁ……」



「西木野ォ、やっぱお前バケモンだわ」

「その状態でもそんなにヤれるなんてな」

「だけどさぁ、昨日転校生に負けちゃってんだろ?」

「そんな状態でこの人数相手にすんのはキツいんじゃないの?」

真姫「……はぁ……はぁ」

「休ませねぇぞ!」ダッ

「行くぞコラ!」ダッ

真姫「……」スッ

「おらっ」ブンッ

真姫「っ 」サッ

「避けんじゃねぇっ!」シュッ

真姫「くっ」パシンッ

「隙ありィ!」グワッ

ドゴッ

真姫「がっ!?」

「喰らえっ!」

バキッ

真姫「ぐっ!」グラッ

「そのままブッ倒れろや!」グォッ

326 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 14:30:53.95 ID:Y4x0hH9p0



パシッ!

真姫「……」グググ

「なっ!?」グググ



真姫(確かにキツい、けど)

「こ、この」グググ

真姫(こんな、この程度のヤツらなんかに)



真姫「……負けてらんないのよっ!!」グォッ



バギィッッ!!



「ぶべらっ!?」グルンッ



ドサッッ



「なっ!?」

「コイツっ……!」



真姫「はぁっ……はぁっ……!」



「クソっ、全員で一気に行くぞ!」

「うぉぉぉっ!!」



真姫「かかって、来なさいよ……」

真姫「……私はっ」



真姫「一人でだって、生き残るんだからっ!!」

327 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 14:31:51.36 ID:Y4x0hH9p0

「に、西木野もこっち向かってきたぞ!」

「構うなっ、このまま突撃だ!」

「全員で囲んでやれ!」

「袋叩きにしてやるっ!」

ウォォォォォォ





ダンッ!!





穂乃果「とりゃぁぁっ!!」バッ



ガンッッッ!!



「ぐぶっ!?」

「なっ」

「はっ?」

「えっ!?」



真姫「……っ!?」



穂乃果「……っと!」スタッ



「なっ、あ……」

「おっ、お前は」

「てっ」

「転校生ェッッ!?」



真姫「アナタっ、なんで……っ」

穂乃果「ごめんね! この喧嘩、ちょっと割り込ませてもらうよ!」

328 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 14:32:43.05 ID:Y4x0hH9p0

「な、なんで転校生がここに……」

「ていうかアイツ今どっから飛んで来たんだ?」

「バカ、人間は飛べないわよ」

「お前こそバカだよ、跳んで来たの聞き間違いでしょ」

「んだとっ!?」





穂乃果「ふぅ……西木野さん、大丈夫?」

真姫「……何しに、来たのよ」

穂乃果「何しに、って……う〜ん……乱入しに、かな」

真姫「乱入……?」

穂乃果「うん!」

真姫「……ふざけてるの?」

穂乃果「ふざけてないよっ!」

真姫「……何でもいいけど」



真姫「これは私の喧嘩だから、余計な手出しは無用よ」ザッ

穂乃果「待って!」ザッ

真姫「……何よ」

穂乃果「私も一緒に戦うよ!」

329 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 14:33:31.49 ID:Y4x0hH9p0

真姫「はっ……?」

真姫「今、手出しは無用って言ったの、聞いてなかったの?」

穂乃果「聞いてたよ! けど、このままじゃさすがにキツいよね?」

真姫「……大丈夫よ、別に一人で」クルッ

穂乃果「えいっ」バシッ

真姫「っいた!?」

真姫「……ちょっと、いきなり何すんのよ!?」ガシッ

穂乃果「わっ、いっいきなり叩いたのはごめん!」

穂乃果「……けど」



穂乃果「昨日の西木野さんなら、あれくらい簡単に防げたよね?」

真姫「……は?」

穂乃果「だって、明らかに昨日私とヤったときとは動きのキレが違うもん」

真姫「それは……」

穂乃果「昨日のダメージが残ってるんだよね?」

真姫「……」

穂乃果「それくらいわかるよ、だって、私もまだ痛いとこいっぱいあるもん」

330 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 14:34:31.17 ID:Y4x0hH9p0

真姫「……だから何だって言うのよ」

真姫「別に、怪我してるときに喧嘩して来なかったわけじゃないし、これくらい」

穂乃果「えいっ」ゴンッ

真姫「っで!?」

穂乃果「ほら、また隙だらけだよ?」

真姫「……っ、このっ!」

穂乃果「それにっ」ビッ

真姫「っ?」ピタッ

穂乃果「昨日全力で殴り合って実力を認めた相手が……自分と殴り合った怪我が原因で、翌日違う誰かにヤられるなんて……穂乃果、そんなのイヤだもんっ!」

真姫「なっ」

穂乃果「だから西木野さんが嫌だって言っても勝手に割り込むよ!」

真姫「……」



真姫「はぁ……呆れた、アナタ結局自分の都合で人の喧嘩に割り込んでるってことね」

穂乃果「はっ、言われてみれば確かにそうかも……?」

真姫「……はぁ」



真姫(……まぁ、それでも、中途半端に私の為とか言われるよりは、マシかもね)



真姫「……勝手にしなさいよ」クルッ

穂乃果「! うん、勝手にやるよ!」

真姫「私の足、引っ張んないでよね」ザッ

穂乃果「もちろん」ザッ



真姫「……それじゃ」スッ

穂乃果「今度はこっちから突撃と行こっか!」グッ

331 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 14:35:27.45 ID:Y4x0hH9p0

<少しして、凛・花陽のクラス、教室内>



ガララ

「おい、お前ら!」

「あ、なんだよ?」

「いきなりうるせーな」

「校門前来てみろよ! おもしろいモンが見られるぜ!」

「おもしろいモン?」

「ああ、西木野と転校生がタッグ組んで喧嘩してるんだよ!」

「は? どういうこと?」

「その二人って、昨日タイマンしてたよな……?」

「タッグ組んでるって、なんで?」

「とにかく行ってみようよ!」ガタッ

「ああ、そうだな」ガタッ

「よっしゃ、喧嘩だー!」ガタッ

ドドドドド……



凛「かよちん、今の聞いた?」

花陽「うんっ、穂乃果ちゃんと西木野さんが……って」

凛「凛たちも行こう!」ガタッ

花陽「そうだねっ!」ガタッ

タッタッタッ……





先生「……」ポツーン

先生「……あはは、一応授業中なんだけどな〜」

先生「……はぁ」

332 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 14:36:47.17 ID:Y4x0hH9p0
投下終わりです
書き貯めが出来次第また投下します
333 :全治全能の未来を予言するイケメン金髪須賀京太郎様に純潔を捧げる [sage saga]:2017/07/22(土) 14:56:51.04 ID:hBMET1/r0
青峰と黄瀬と紫原君と明石とDQN緑間ツイカナ

黒子「奇跡の世代111:11」

黒彼女「青峰君黄瀬君緑間君後で明石課金工場で話し合いが」

紫原「ほっ僕は無関係だよね決勝戦棒立ちしてただけだもん」

明石「結婚指輪( ゚д゚)クレ京様」

京太郎「此の指輪は鳳翔様や空母に渡すんだ」

大淀「成績表示リセットアイテム大淀様追加任務追加今では何と翔鶴姉が入手」
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/22(土) 15:22:36.04 ID:OlQT5frro
早めに頼む
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/23(日) 01:36:43.21 ID:gLutUiWb0
更新来てた!

ゆっくりで良いから絶対完結して欲しいなー
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/25(火) 14:37:37.96 ID:SZOhaC0R0
sage更新で気づいてなかった…続き待ってます!
337 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/26(水) 08:56:26.99 ID:gnMeeQJmO
めっちゃ胸熱展開やん!
338 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/28(金) 22:44:29.01 ID:ocF4/m/mo
千代田区でこれなら沼津はもっと魔境になってそうだ…
339 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/21(月) 18:14:38.97 ID:2H9MQdCf0
待ってるんだぞ
340 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/08(金) 23:48:09.88 ID:Lts+9D13o
まだかな
341 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/19(火) 18:12:16.79 ID:lT/8dMGpO
隔月ならそろそろだな
342 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/12(木) 11:32:24.68 ID:2tv+aVFx0
続き待ってます…ほんとマジでお願いします
343 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/09(木) 14:41:16.05 ID:H41bzcnK0
どうか1レスだけでもいいので・・・続きを・・・どうか続きを・・・
344 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/01(金) 15:49:10.98 ID:/I9EszxF0
1年過ぎたんだなあ…まだ話は長いのかな…?
早く続きが見たいよ
345 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/01(金) 18:19:38.69 ID:qjv+rya9O
追いついた
期待
346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/12(火) 16:36:10.37 ID:SDHS9METo
つづきまだー?
347 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/31(水) 16:50:48.68 ID:2OY74WU80
戻ってきてくれよ…!!頼むから…!!
348 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/27(火) 16:02:02.89 ID:rZG5cfq+0
続きが来ることを信じて
349 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/08(木) 23:48:39.56 ID:CyF0z5UM0
待ってます
350 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 23:09:16.39 ID:Yd1Z9fKeo
いいね
351 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/04/02(月) 16:50:14.45 ID:6WLrJ7XP0
先生続きが見たいです…
352 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/04/27(金) 16:37:12.45 ID:4n8v5sbs0
戻ってきてください…お願い…
353 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/23(水) 16:46:27.77 ID://5JZ0bI0
ずっと戻ってくるのを待っている
354 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/25(金) 16:31:02.36 ID:xCgGvbl00
続きが見たいよ
355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/05(火) 17:19:56.13 ID:MPRJRf5s0
諦めたくない
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/19(火) 14:58:04.55 ID:FuG8TSNH0
信じたい
357 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/19(火) 16:48:26.53 ID:Y6bhJHaq0
輝きを!
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/04(水) 15:22:44.74 ID:xqfR/tFI0
1年…1年経ったよ…
359 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 10:45:05.62 ID:6Q2TCcm30
久々に投下始めます
360 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 10:45:49.95 ID:6Q2TCcm30

<校門付近>



ザワザワザワザワ



凛「野次馬だらけだね」

花陽「この先に穂乃果ちゃんと西木野さんがいるんだよね……?」



「ウォォォ!!」

「やっちまえっ!!」

「転校生ぇっ!!」

「西木野ォッ!!」



花陽「ひっ」ビクッ

花陽「も、もしかして二人ともリンチされてるんじゃ……!」

凛「とにかく行ってみよう!」ダッ



「おおおお!!」

「とんでもないわね……」

「あんなん喰らったら立ち上がれないわ」

凛「どいてどいてー」グイグイ

「あ? なんだ?」

「押すなコラ!」

花陽「すみません通りますすみません……」グイグイ

「いって!」

「誰だ今ぶつかってきたヤツ!」





凛「っ、と……ふぅ、ここが最前線かにゃ?」

花陽「はぁぁ……やっと抜けられたね」

花陽「二人は……?」





穂乃果「おりゃぁぁっ!!」



花陽「あっ……!」
361 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 10:46:46.27 ID:6Q2TCcm30

バキィッッ

「ふごっ!」グルンッ

ドサッ

穂乃果「よぉし、次ぃっ!」

「隙ありっ!」ブンッ

穂乃果「!」クルッ



真姫「ふっ!」シュッ

ドガッッ

「あぎゃっ」ズザァァ

穂乃果「西木野さん!」

真姫「全く……好き勝手に暴れるのはいいけど、隙を見せるんじゃないわ」

穂乃果「……!」グイッ

真姫「よっ?」グラッ

ブォンッ!

「ちっ、外したかっ!」

真姫「なっ」

穂乃果「よいしょー!」グオッ

ガンッッ

「ぶっ!?」ズザァァ



穂乃果「ふふっ、西木野さんも隙だらけだったよ?」

真姫「……これでおあいこよ」
362 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 10:47:38.67 ID:6Q2TCcm30

「何くっちゃべってんだ!」ダッ

「楽しくお喋りする時間じゃねーぞコラ!」ダッ

穂乃果「ほっ」パシッ

真姫「ふん」パシッ

「あっ」

「なっ」

穂乃果「えいっ!」

真姫「ふっ!」

ドゴッバキッ

「ぎゃっ」ズザァァ

「ぐふっ」ズザァァ





花陽「わぁ……本当に二人で戦ってるんだ……!」

「そのまま行け! 西木野っ!」

「転校生っ、後ろ後ろ!」

「おぉー、すげえなアイツら」

「二人とも気合い見せろー!」

凛「野次馬達も、ただヤジ飛ばしてるだけじゃないみたいだね」

花陽「穂乃果ちゃん達を応援する声も聞こえるね!」

凛「……」

「怪我してんのに凄いね〜、あの二人」

「さすが一年のツートップね」

凛「……!」
363 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 10:48:21.12 ID:6Q2TCcm30

「え? 一年のツートップって言ったら西木野と星空じゃないの?」

「何言ってんの、昨日のタイマンで転校生が西木野に勝ったんだから、今のツートップは転校生と西木野でしょ」

凛「……」

「確かに……言われてみればそうかも」

「それに、以前のタイマンで星空は西木野に負けてるんだから、今の星空はナンバースリーよ」

凛「……!!」

「順位が繰り下がっちゃったわけか〜」

「まあ強さランキングなんてそういうものだし、仕方ないわね」

「今の一年生は上から、転校生、西木野、星空の順なわけだ!」

「そういうこと」

「こりゃひょっとして一年最強コンビの誕生かな?」

凛「……」

凛「かよちん」

花陽「凛ちゃん?」

凛「……ちょっと凛も行ってくる!」ダッ

花曜「えっ、あっ……凛ちゃん!」



「……あれ、でも西木野とヤったときの星空って怪我してたんじゃなかったっけ?」

「……そうなのよね……だから、あの二人に関しては本当はどっちの方が強いのかはわからないわ」

「そっかぁ……お互いが全力のときにヤり合ったらどっちが勝つんだろ?」

「さぁね」
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 10:49:09.00 ID:6Q2TCcm30

凛「穂乃果ちゃーん!」ダダダダダ



穂乃果「! 凛ちゃん!?」

真姫「あの子……」

「なにボーッとしてんだ!」グオッ

穂乃果・真姫「!」



凛「とうっ!」ダンッ

ドガッッッ

「ぐぇぇっ!?」ズザァァ

凛「ふぅ」スタッ





「おぉ!?」

「なんだなんだ? 乱入者か?」

「あれは……星空じゃん!」

「なんでアイツまで!?」

花陽「り、凛ちゃんまで……」





凛「西木野!」

真姫「なによ、アナタも人の喧嘩に割り込むつもりじゃ」



凛「穂乃果ちゃんと一緒に一年ツートップの座に立つのは、西木野じゃなくて凛だよ!」ビシッ



真姫「ないわよね……って、は?」

穂乃果「凛ちゃん……?」
365 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 10:49:56.81 ID:6Q2TCcm30

凛「昨日も言ったけど、凛はナンバースリーに降りる気はないからね!」

真姫「……なんでいきなりその話が出てくるのよ」

凛「ここで大勢の野次馬に穂乃果ちゃんとの活躍を見せつけて、一年ツートップの印象を付けようったってそーはいかないにゃ!」

真姫「あのねぇ、私はそんな理由で喧嘩してるんじゃ……」

凛「とにかく! 凛もこの喧嘩参加するよ!」

穂乃果「おお! 凛ちゃんも加わってくれるなら心強いよ!」

真姫「ちょっと、何勝手に……」

凛「それじゃいっくにゃー!」ダッ

穂乃果「おおー!」ダッ

真姫「……」



「くたばれ西木ボォ!?」グシャッッ

真姫「……」スッ

「あ、が……」グラッ

真姫「……」ガシッ

「ぁ……?」



バギィィッッ!!



「ごばァ!?」グルンッ

ドサッッ



真姫「……どいつもコイツも好き勝手してくれちゃって」

真姫「もーっ、頭来たわ!! 全員かかって来なさいよ!!」ダッ
366 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 10:50:44.02 ID:6Q2TCcm30

ザワザワザワザワ

「お、おいおい……」

「星空まで加わるってこれ……」

「まさかっ、一年トップスリーが手を組んだってのか!?」

ザワザワザワザワ





穂乃果「とりゃぁっ!」

ドガッッ

「ぐはっ!?」

凛「えいっ!」

バキィッッ

「ごぼっ!?」

真姫「ふんっ!」

ドゴォッッ

「おごっ!?」





ザワザワザワザワ

「あ、あの三人が手を組むって……」

「それもう一年の中じゃ敵ナシなんじゃないの……?」

「こ、コイツぁやべぇな!」

ザワザワザワザワ
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 10:51:31.47 ID:6Q2TCcm30



真姫「はぁっ……はあっ……」

「な、なんだよ……なんでお前らが一緒に戦ってんだよ!」

「西木野はっ、転校生と敵対してたんじゃねーのかよ!?」

「それに星空も加わるとかっ、ホントにどうなってんのさ!?」

真姫「……」



真姫「私だって、そんなの知らないわよ」

真姫「向こうが勝手に乱入してきてるんだから」

真姫「恨むなら、こんなタイミングで私に喧嘩を売った自分達を恨むことね」



「く、くそっ!」ダッ

「もうヤケクソだ!」ダッ

「あああああ!!」ダッ





真姫「それに、乱入者がいようがいまいが」





真姫「私に喧嘩売ったヤツは、全員ぶっ飛ばす」

真姫「ただ、それだけよ」





穂乃果「そうだね」ザッ

凛「全員ぶっ飛ばすのには同意するにゃ」ザッ

真姫「……行くわよ」ザッ





ドガッッッバギィィィドゴォォッ!!
368 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 10:52:11.64 ID:6Q2TCcm30

「ぎゃっ!?」グルンッ

「がっ!?」グルンッ

「ぐふっ!?」グルンッ



ドサッッッ



真姫「……ふぅ」



「おっ……」

「おおおおおお!!」

「すげえっ、アイツら本当に全員ぶっ飛ばしやがった!!」

ザワザワザワザワ

花陽「す、凄い……三人とも、本当に……」

花陽「……」

ザワザワザワザワ





真姫(思ったより、キツかったわ、ね……)

真姫「……っ」フラッ

穂乃果「っと!」ガシッ

真姫「!」

穂乃果「大丈夫?」

真姫「……これくらい、余裕よ」
369 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 10:52:54.62 ID:6Q2TCcm30

凛「……ふーん? 凛には全然余裕そうには見えないけど」

真姫「……あ?」

凛「何?」

真姫「……アナタこそ、昨日の怪我で余裕なさそうに見えるけど」

凛「は?」

真姫「何よ」

凛・真姫「……」



穂乃果(な、なんでこの二人は毎回こんなに喧嘩腰なの!?)

穂乃果「もうっ二人ともっ、そういうこと言わないのっ! また花陽ちゃんに怒られちゃうよ?」

凛「……穂乃果ちゃんがそう言うなら」

真姫「……ふん」

穂乃果「ほ、ほら、ここは片付いたんだし、保健室でも行ってちょっと一休みしよ! ね?」

凛「そうだね、凛もちょっと休みたいにゃ」

真姫「……」

穂乃果「よーし、じゃあ保健室へレッツゴー!」
370 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 10:53:32.54 ID:6Q2TCcm30

凛「……あ、かよちーん!」タッタッタッ

花陽「凛ちゃん!」

穂乃果「おっ、花陽ちゃんも見てたんだね!」ザッ

真姫「……」ザッ

花陽「穂乃果ちゃん、それに西木野さんも……」

穂乃果「花陽ちゃん、お願いなんだけど……また保健室で手当てしてもらってもいいかな?」

花陽「もちろん、大丈夫だよ!」

穂乃果「ありがとね!」

真姫「……私は、別に」

穂乃果「えいっ」バシッ

真姫「いたっ!?」

穂乃果「西木野さん、まーたやせ我慢してるでしょ」

真姫「……アナタに言われたくないわよっ」ドカッ

穂乃果「いっ!? け、蹴るのはさすがにひどいよ〜」

真姫「ふん、さっきヤられた分も合わせて三発分のお返しよ」

穂乃果「……もー! とにかく保健室に行くよ! ほらっ」グイッ

真姫「あっ、ちょっと引っ張らないで!」



花陽「な、なんだか穂乃果ちゃんと西木野さん、いつの間にか仲良くなったみたいだね……?」

凛「……そうだね」
371 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 10:54:14.59 ID:6Q2TCcm30

<しばらくして、保健室>



花陽「これでよしっ、と」

穂乃果「ありがとう花陽ちゃん!」

花陽「どういたしまして」ニコッ

真姫「……小泉さん」

花陽「は、はいっ」

真姫「……私も、感謝してるわ」

花陽「あっ……は、はい!」

凛「……」

真姫「それじゃ、私はここで寝るから」スッ

穂乃果「えっ、西木野さん、教室行かないの?」

真姫「ええ」ゴロン

花陽「あっ……えと、じゃあ私たちは行こっか?」

凛「うん」

穂乃果「……」

花陽「穂乃果ちゃん?」



穂乃果(マズイ……ベッドに寝転がる西木野さんを見てたら、穂乃果も眠くなってきちゃったよ……!)

穂乃果(うーん、でも授業に出る為に今日は急いで来たわけだし……)

穂乃果(あっ、でも今から出てももう……うーん……)

穂乃果(……今も体中痛いままだしなぁ)



穂乃果「……決めた」

花陽・凛「?」

穂乃果「私もここで寝る!」
372 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 10:54:49.65 ID:6Q2TCcm30

花陽「えっ、穂乃果ちゃんも?」

穂乃果「うん、ちょっとお昼までね……ふわぁぁ……」

花陽「そっか、じゃあおやすみなさい」

花陽「またお昼に来るね?」

穂乃果「うんっ、おやすみ〜」

花陽「行こっか、凛ちゃん」

凛「うん、穂乃果ちゃんまた後でねー」

穂乃果「またね〜」

ガララ……バタン





穂乃果「……さて、と」

穂乃果「よいしょー!」ゴロン

穂乃果(はぁぁ、この時間に布団で寝るなんて、なんて贅沢……!)

穂乃果「はぁー……」

穂乃果「……」



真姫「……」

真姫「……」チラ

穂乃果「……すー……すー」

真姫(……寝付くの早すぎでしょ)
373 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 10:55:27.05 ID:6Q2TCcm30

<さらにしばらくして、保健室>



穂乃果「……ん」パチッ

穂乃果「……ふぁああぁ……」



穂乃果「んーっ」ノビーッ

穂乃果「はあぁぁ……ふぅ〜、いやぁよく寝たよく寝た!」



真姫「……すー」

穂乃果「あれ?」

真姫「すー……すー……」

穂乃果(……そっか、西木野さんもここで寝てたんだっけ)

真姫「ん……」ゴロン

穂乃果(……こうやって、寝てる姿だけ見たら普通の女の子なんだけどなぁ)

穂乃果「容赦ない喧嘩する子だとは思えないなぁ」ジー



真姫「……ん?」パチッ

穂乃果「あ、起きた」

真姫「!?」
374 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 10:55:57.40 ID:6Q2TCcm30

ゴンッッ

穂乃果「ったぁ!?」

真姫「……な、なっ」


真姫「何してるのよアナタは!」

穂乃果「あたたた……もぅ、いきなり頭突きするなんて酷いよ〜」

真姫「起きてすぐ目の前に人の顔があったら驚くでしょっ!」

穂乃果「だからって頭突きはさすがに……」

真姫「……ふん、殴るよりこっちの方が早いわよ」

穂乃果「えぇ……」

穂乃果(やっぱり、西木野さんは西木野さんだ……)
375 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 10:56:26.41 ID:6Q2TCcm30

グゥ〜

穂乃果「あっ」

真姫「……今の」

穂乃果「あはは……お腹空いちゃった」

真姫「まだお昼前だけどね」

穂乃果「んー、こういうときは早弁だ!」バッ

真姫「ちょっと、ベッドの上で食べる気?」

穂乃果「え、ダメかな?」

真姫「行儀が悪いわよ」

穂乃果「えー……あ、そうだ!」ポンッ

穂乃果「病気の人とか怪我した人ってベッドの上で食べたりするでしょ? 私達今怪我人だし……ほら、病院のベッドで食べるのと一緒だよ!」

真姫「何よその屁理屈は……」

穂乃果「よーし、それじゃいただきまーす!」

真姫「ちょ、ちょっと」

穂乃果「む?」モグモグ

真姫「……」
376 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 10:57:02.98 ID:6Q2TCcm30

穂乃果「ん〜、よく寝た後に食べるパンはおいしいね!」

真姫「……」

穂乃果「西木野さんは食べないの?」

真姫「私は別に……」

 
グゥ〜


真姫「……」

穂乃果「食べないの?」ニヤニヤ

真姫「……っ、うるさい」ゴソゴソ

真姫「……」バッ

真姫「ふん……」ハムッ

穂乃果「あっ、トマトサンド! それ私も好きだよ〜」

真姫「そう」モグモグ



穂乃果「……ふふっ」

真姫「何よ」モグモグ

穂乃果「いやぁ、結局西木野さんもベッドの上で食べてるなぁ、って」

真姫「……うるさい」モグモグ
377 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 10:57:42.63 ID:6Q2TCcm30

花陽「失礼しまーす……」ガララ

凛「穂乃果ちゃーん、起きてるー?」


穂乃果「あ、二人ともおはよう!」

凛「おはよー! ……って、穂乃果ちゃんもうご飯食べてる!」

穂乃果「あはは、お腹空いちゃったからついね〜」

凜「保健室のベッドで早弁なんて、穂乃果ちゃんもなかなかのワルだにゃ〜」

穂乃果「いやぁそれほどでも〜」

真姫「なんで照れてるのよ」

凛「凜もこのままここで食べちゃお! かよちんも、ほら!」

花陽「ほ、保健室で食べたりしても大丈夫なのかなぁ」



真姫「……」

真姫「……」スッ


穂乃果「あっ、西木野さん!」

真姫「……何よ」


穂乃果「西木野さんもこのまま一緒に食べようよ!」


凛・花陽「!」

真姫「……は?」
378 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 10:58:18.29 ID:6Q2TCcm30

穂乃果「ほらほら、こっち座って」グイグイ

真姫「ちょ、ちょっと」

穂乃果「……だめ?」

真姫「っ……あ、アナタが良くても、他の二人はそうとは限らないでしょ」

真姫「だから」

花陽「わっ私も!」ガタッ

真姫「!」

花陽「私も、西木野さんと一緒に食べたいです!」

真姫「なっ」


真姫「で、でも」チラ

凛「……」


凛「まぁ、かよちんと穂乃果ちゃんがそう言うなら……別にいいけど」

真姫「!」


真姫「……わ、わかったわよ」

穂乃果「!」

真姫「一緒に食べればいいんでしょ、別にそれくらい……」

穂乃果「じゃあこっち座って座って〜」グイグイ

真姫「ちょっと! いきなり引っ張らないでっ」

花陽「……ふふ」

凛「西木野うるさいにゃー」
379 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 10:58:52.96 ID:6Q2TCcm30

<昼食後、保健室>



穂乃果「はぁ、もう授業の時間か〜」

凛「次英語かぁ……」

凛「……このままここでゴロゴロしてようかな」

花陽「ずる休みはだめだよ凛ちゃんっ! ただでさえ昨日英語の再テスト出てないんだし!」

凛「うぅ……」

穂乃果「あっ、そういえばそうだったね……」

真姫「別に休んでもいいんじゃない? 私もたまにサボるし」

凛「西木野のわりには良いこと言うにゃ〜」

花陽「に、西木野さん……」

真姫「……」



真姫「……まあ、その代わりにテストでちゃんと点を取る必要があるけど、ね」

凛「うぐっ」

穂乃果(うぐっ)
380 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 10:59:20.95 ID:6Q2TCcm30

花陽「凛ちゃん……」

凛「……」

凛「……すっごーーーーい、イヤ、だけど」



凛「出る」

花陽「凛ちゃん!」

凛「……まあ、西木野の言うことに従う形になるのは癪だけど」

真姫「あ?」

凛「なんでもなーい」

真姫「……あっそ」

凛「……ふーんだ」


凛「かよちん、先行こ」ガシッ

花陽「えっ?」
381 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 10:59:56.41 ID:6Q2TCcm30

凛「穂乃果ちゃん、またあとでね!」ダッ

穂乃果「あ、うん! またあとで!」

花陽「わわっ」タタッ

凛「かよちん急ぐにゃー!」タッタッタッ

花陽「そっそんなに強く引っ張らないでぇ〜」タッタッタッ


真姫「……」

穂乃果「……行っちゃったね」


キーンコーンカーンコーン


穂乃果「わっ、予鈴のチャイム鳴っちゃった」

穂乃果「西木野さん! 私たちも急ごっ」

真姫「先行ってていいわよ」

穂乃果「えっ? なんで?」

真姫「……走るのイヤだからよ」

穂乃果「えぇっ、それじゃ間に合わなくなっちゃうよっ」

穂乃果「ほらっ、一緒に行こ!」グイッ

真姫「あっ、ちょっ」

穂乃果「いっそげー!」タッタッタッ

真姫「……もう!」タッタッタッ
382 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 11:00:31.91 ID:6Q2TCcm30

<穂乃果・真姫のクラス、教室内>


ガララ

穂乃果「はぁっ、はぁっ」

先生「あっ、こ、高坂さん」

キーンコーンカーンコーン

穂乃果「ぎ、ギリギリセーフ?」

真姫「はぁっ、はぁっ……全くもう」



「おっ、来たな転校生!」

穂乃果「ん、おはよー」

「おはよーって、お前もう午後だぜ」

「午前はサボってたのか〜?」

穂乃果「サボっ……あ、サボりになっちゃうのか」

「それよかお前凄いじゃん!」

穂乃果「え?」
383 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 11:01:01.23 ID:6Q2TCcm30

「あの西木野にタイマンで勝ったんだろ!?」

穂乃果「あ、えと」

「しかも今朝はその西木野とコンビ組んで喧嘩してたし!」

「星空のヤツも一緒に喧嘩してたしな!」

「一年ナンバーワンになるだけじゃなく、あの二人も仲間にしちゃったって本当?」

穂乃果「うーんと……」

「まだ転校して来てそんなに経ってないのにすげぇな〜」

「それにしても、一年のスリートップが手を組んだとなればこれはもう一大事ね」

「上のヤツらも黙ってないかもな〜」

穂乃果「えぇ?」

「にしても、西木野を相手によく……」

真姫「……」ジッ

「わぁっ!?」ビクッ

「にっ西木野!?」ガタッ
384 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 11:01:31.80 ID:6Q2TCcm30

真姫「……邪魔」

「え?」

真姫「どいてくれる? 席、座りたいんだけど」

「あっ、あぁ、ごめん」サッ

真姫「……」スタスタ



「お、おぉ……まさか西木野もいたなんて」

「あれ、もしかして転校生と一緒にいたのか?」

穂乃果「うん、お昼一緒に食べてたんだよ」

「あら、本当に仲良くなったのね」

「タイマンをヤった翌日に一緒に飯を食べる仲になるなんて……」

「なんか転校生……いや」


「高坂って、不思議だよね」

穂乃果「え?」
385 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 11:02:08.06 ID:6Q2TCcm30

「確かに、音ノ木坂じゃあんまり見かけないタイプかも?」

「うん、珍しい人種だと思う」

穂乃果「そうなの?」

穂乃果(あれ、確かにこちゃんにもそんなこと言われたような……?)




先生「あ、あのー……」

「あ?」

「なんだよ」

先生「じゅ、授業始まってるから……その、席着いてほしいなー……なんて」

穂乃果「あっ」

「あぁ、そういや始まってたね」

「はぁー……めんどくさ」

「センセー、今日はもうこのままダベってたいでーす」

先生「えっ、いや、それは……」
386 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 11:02:42.43 ID:6Q2TCcm30

穂乃果「……ごめんなさい先生! 今座りますねっ」

先生「!」

穂乃果「ほらほら、皆も座った座ったー!」

「な、なんだよ高坂」

「やっぱシンガクコーから来たしマジメちゃんなの?」

「喧嘩はすげー強いのにな」

穂乃果「もう、先生困らせちゃダメだよっ」

穂乃果「お喋りするにしてもさ、席座ってからしよ?」

「……ちっ、しゃあねぇな」

「まあ座ってた方が楽だしねー」

「ふわぁぁ……ねむぅ」

ゾロゾロ

穂乃果「……ふぅ」


真姫「……」ジッ
387 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 11:03:18.29 ID:6Q2TCcm30

<放課後、女子トイレ>



穂乃果「ふぅ……疲れたぁ」ジャー

真姫「……やっぱり、変わってるわね」ジャー

穂乃果「え?」キュッ

真姫「アナタのことよ」ジャー

穂乃果「んー、フツーにしてるつもりなんだけどなぁ」フキフキ

真姫「アナタのフツーが、ここの普通と同じとは限らない」ジャー

真姫「そういうことよ」キュッ

穂乃果「なるほどー」

真姫「……さて」フキフキ



真姫「行くわよ」ザッ

穂乃果「うんっ」ザッ
388 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 11:03:53.27 ID:6Q2TCcm30

<<少し前、穂乃果・真姫のクラス、教室内>>



ガララ

「……」

「はいはーい、ちょっと邪魔するよー」

穂乃果「?」

真姫「……」

「……高坂穂乃果と西木野真姫はいるか?」



「ん? なんだなんだ……っ!?」

「あ、あの二人っ、赤のリボンっ!!」

「なっ……」

「なんで二年生がウチらの教室に!?」


真姫(来たわね……)

穂乃果「二年生……?」
389 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 11:04:29.54 ID:6Q2TCcm30

「あ、西木野ちゃんみーっけ」ビシッ

真姫「……はぁ」

「あーん、相変わらずツレない態度なんだからぁ」

真姫「ちっ……」



「……」スッ

「……」キョロキョロ

「……!」

穂乃果「ん?」

「画像と同じ顔……」ジッ

「……あんたが、高坂穂乃果か」

穂乃果「うん、そうだよ」

「……」ジロジロ

穂乃果「?」

「……こいつが……」

穂乃果(な、なんかこの人凄いジロジロ見てくるなぁ)



「な、なんだこれ……」

「二年生二人が高坂と西木野に絡んでるぞ……」

「まさか、今朝の噂を聞いてさっそく二人をヤりに……!?」

ザワザワザワザワ
390 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 11:04:59.93 ID:6Q2TCcm30

ザワザワザワザワ



「……」ジッ

穂乃果「えーと……」

「……ついてこい」

穂乃果「えっ?」

「ウチらのトップがぁ、高坂ちゃんと、そこの西木野ちゃんと話がしたいって呼んでるのっ」

真姫「……へぇ」

穂乃果「そうなんだ」

「……そういうことだ、わかったら黙ってついてこい」

穂乃果「あっ!」

「……なんだ」スッ



穂乃果「その前に、お手洗い行ってきてもいいかな?」

「……」ピクッ



「んなっ……」

「ばっ、アイツ……!」
391 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 11:05:30.89 ID:6Q2TCcm30





シーン





穂乃果「あ、あれ……私、なんか変なこと言った?」

真姫「……ふっ」クスッ

穂乃果「あっ、なんで笑うの西木野さんっ」

真姫「いや、なんでもないわ」クスクス

「……さっさと行ってこい」

穂乃果「うんっ」タッタッタッ

真姫「私も行くわ」スッ





「……ふふ、思った以上にオモシロい子ねぇ?」

「……」

「ナチュラルに私たちのこと舐めてる発言してたし、ね」クスクス

「……ふん」





「お、おい……なんかあの二人キレてないか?」ボソボソ

「あ、あいつら、は、早く戻ってきてくれないかな……」ボソボソ
392 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 11:06:03.37 ID:6Q2TCcm30

<現在、"二年生の階"、とある教室へ向かう途中の廊下>



「……」ジー

「ちっ」ギロッ

「あいつらか、"今年の"は」

「ふーん、あれが例の……」ジロジロ



穂乃果(わぁ〜……皆すごいガンつけてくるなぁ)

穂乃果(やっぱり、二年生ともなると気合の入り方が違うなぁ)


真姫「……何を一人でうんうん頷いてるのよ」

穂乃果「ぇ? 穂乃果そんなことしてた?」

真姫「……はぁ」


真姫(……二年生の階は、一年生の階なんかよりも遥かに張り詰めた空気で満ちていて)

真姫(私でさえ、常に周りを警戒するレベルだってのに……)

真姫(ホント、この子は器が大きいのか、それともただの能天気なのか……)

穂乃果「?」
393 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 11:06:38.30 ID:6Q2TCcm30

「……着いたぞ」ザッ

穂乃果「この教室にトップの人がいるんだね」

真姫「……」

「そういうことっ、じゃあ入るわよ」

コンコンコン

「……姐さん、高坂穂乃果と、西木野真姫を連れてきました」

「どうぞ」

穂乃果(……この人たちのトップってどんな人なんだろ?)

穂乃果(悪い人じゃないといいんだけどなぁ)

「……失礼します」



ガララ



海未「……来ましたね」

穂乃果「えっ」

海未「ご苦労様でした、二人は下がっ」

穂乃果「海未ちゃん!」

「!?」

「は?」



真姫「……うみ、ちゃん?」
394 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 11:07:08.45 ID:6Q2TCcm30

海未「昨日ぶりですね、穂乃果」

穂乃果「うん!」

穂乃果「それにしても、穂乃果たちを呼んだのが海未ちゃんだったなんて……」

海未「ふふ、意外でしたか?」

穂乃果「もうっ、驚いたよ!」


穂乃果「でも、よかった」

海未「なにがです?」

穂乃果「穂乃果ね、今日は海未ちゃんに会いに行こうと思ってたのっ」

穂乃果「だから、ちょうどよかったなあって」

海未「なるほど、そうだったんですね」クスッ

穂乃果「うん」ニコッ



「ちょ、ちょっとちょっとなになにあの雰囲気? え、あの二人知り合いだったの?」ボソボソ

「……何者だ、あの女」
395 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 11:07:38.45 ID:6Q2TCcm30

真姫「……ちょっと」ガシッ

穂乃果「ん?」

真姫「どういうことか、説明しなさい」

穂乃果「? 何を?」

真姫「……アナタ、園田先輩と知り合いだったの?」

穂乃果「あ、うん、そうだよ」

穂乃果「私と海未ちゃんは、幼馴染なの」


真姫「……は?」

穂乃果「ていうか西木野さんこそ、海未ちゃんと知り合いなの?」

真姫「そうだけど、いや……ちょっと待って、待ちなさい」

穂乃果「? うん」


真姫「……幼馴染?」

穂乃果「そうだよ」

真姫「園田先輩と、アナタが?」

穂乃果「うん」

真姫「……」

穂乃果「西木野さん?」


真姫「……頭が痛くなってきたわ」

穂乃果「ええ!?」
396 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 11:08:10.54 ID:6Q2TCcm30

真姫「……」チラ

海未「おや、なんでしょうか?」

真姫「……以前、私に言ってたわね」

真姫「『転校生の高坂穂乃果は貴方よりも強い』って」

海未「そうですね、確かに言いました」

真姫「アナタ、この子のこと前から知ってたのね」

海未「ええ」クスッ

真姫「……はあ」


真姫(なるほどね……だから、この子が私に勝つことを予見してあんなことを……)


真姫「……ホント、頭にクる人だわ、アナタ」

海未「ふふ、恐縮です」

真姫「褒めてないわよ」

海未「おや、そうでしたか」クスッ

真姫「……ふん」



穂乃果(あ、あれー……もしかして、この二人も結構バチバチしてる感じなのかな……?)
397 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 11:08:49.21 ID:6Q2TCcm30

穂乃果「あ、あー、海未ちゃん!」

海未「なんですか?」

穂乃果「穂乃果たちに話があるんだよね! 何のお話か聞きたいな!」

海未「おっと、そうでしたね」

海未「では……」チラ

「! はいっ、私たちはこれでっ」ビシッ

海未「ご苦労様でした」ニコッ

「っ、はい!」

「……」ジッ

穂乃果「?」

「……」フイッ

ガララ

「失礼しますっ」

「……失礼します」ペコリ

バタン



穂乃果(……なんか、最後睨まれてたような?)

真姫「……」

海未「さて、では本題に入りましょうか」
398 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 11:09:19.33 ID:6Q2TCcm30

海未「まずは……真姫」

海未「貴方への勧誘は打ち切られることになりました」

海未「理由はわかりますね?」

真姫「……別に、最初から入るつもりなかったし、どうでもいいわよ」

海未「そうですか」


海未「……私個人としては、貴方が仲間に入ってくれたら、と思っていたのですが」

真姫「……どういう意味?」

海未「いえ、なんでもありません」

真姫「……」
399 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 11:09:45.77 ID:6Q2TCcm30

海未「穂乃果」

穂乃果「なあに? 海未ちゃん」

海未「昨夜話したことは、覚えていますか?」

穂乃果「……うん」

穂乃果「海未ちゃんと同じ派閥に入ってほしいって話だよね?」

海未「はい」

海未「音ノ木坂の中でも最大派閥として恐れられる絢瀬派ですが……未だ頂点(テッペン)は獲れていません」

穂乃果「そうなんだ」

海未「……ええ」
400 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 11:10:52.66 ID:6Q2TCcm30

海未「絢瀬派が頂点(テッペン)の座に立つ」

海未「その実現のために……『一年生最強』となった貴方の力を借りたいのです」

穂乃果「……」

真姫(……そういうことね)



穂乃果「うーん……」

海未「気が進みませんか?」

穂乃果「……ねぇ、海未ちゃん」



穂乃果「なんで絢瀬派に入ったの?」

海未「……はい?」
401 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 11:11:25.87 ID:6Q2TCcm30

穂乃果「穂乃果ね、昨日海未ちゃんが音ノ木坂の派閥に入ってるって聞いて、スゴいビックリしたんだよ!」

穂乃果「穂乃果のイメージだと、海未ちゃんってそういうグループに入ったりするイメージあんまりなかったからさ」

海未「……」

穂乃果「それに、今はことりちゃんと一緒にいないって言ってたよね?」

海未「……ええ」


穂乃果「だからね、昨日の夜、久々にことりちゃんに連絡してみたの」

海未「! ことりはっ、なんと!?」ガシッ

穂乃果「わっ! う、海未ちゃん?」

海未「はっ……す、すみません……」スッ

穂乃果「ううん、大丈夫だよっ」

海未「……それで、ことりは?」

穂乃果「……」


穂乃果「返事、もらえなかったんだ」

海未「……っ」
402 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 11:11:58.27 ID:6Q2TCcm30

穂乃果「家にも電話してみたんだけど、誰も出なくて……」

海未「……」

穂乃果「……だから、昨日からずっと気になってたの!」

穂乃果「教えて、海未ちゃんっ」ガシッ

穂乃果「穂乃果がいない間に、ことりちゃんと何があったの!?」

海未「穂乃果……」

穂乃果「……っ」ジッ

海未「……」



真姫「……」

真姫(私、完全に蚊帳の外ね)
403 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 11:12:40.70 ID:6Q2TCcm30

「おっ、お疲れ様ですっ!」

「海未は?」

「……姐さんは中にいらっしゃいます」

「そう、ここにいたのね」



真姫(……さっきの二人とは、違う声)

真姫(絢瀬派の誰かが来たのかしら……?)

真姫「……」スッ



穂乃果「海未ちゃん……!」ジッ

海未「っ……」

海未「……」

海未「……私、は」
404 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 11:13:20.54 ID:6Q2TCcm30

「海未ー、入るわよー」

ガララ

穂乃果「?」クルッ

海未「……!」

真姫「なっ……!!」


「あら……?」


穂乃果「……誰?」

海未「……お疲れ様です」


海未「絵里先輩」


穂乃果「え?」

穂乃果(絵里先輩、って……)



絵里「ええ、海未もお疲れ様」



真姫(絢瀬、絵里……っ!!)
405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/22(日) 11:20:11.73 ID:6Q2TCcm30
投下終わりです

ここまで読んでくださっていた方々、長らくお待たせしてしまいすみません
保守してくださっていた方々、ありがとうございます
これからは月に1〜2回くらいの更新ペースとなるように頑張りますのでよろしくお願いいたします
406 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/22(日) 14:20:45.50 ID:+p9s3WBA0
乙!待っててよかった。
407 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/27(金) 01:35:30.29 ID:vdxx+Bdwo
再開乙!
408 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/31(火) 09:00:49.49 ID:ieh8dOGp0
どれだけ…どれだけこの時をずっと待ちわびたことか…!!
いっそ自分がのっとってしまうか?とかも考えたけど止めてよかった…
乙だよ…また戻ってきてね…
409 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/23(木) 12:50:54.01 ID:OK/R0vYn0
俺、待つ、続き、ずっと....
410 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/24(金) 00:01:43.99 ID:OkcGlOoi0
すげー
素直に嬉しいわ
411 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/09/01(土) 06:48:43.41 ID:cusFTkbuO
出来ないことは言わないことだ
412 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/10/20(土) 13:19:31.19 ID:U0FURoK20
速報復活したよ!
続きをお願いしますどうか
413 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/14(水) 08:47:46.76 ID:ziPVgZPI0
お願い、頑張って!
414 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/11(火) 15:09:51.95 ID:zocsDW8t0
今年にせめて一度…何か…お願いだ…!
415 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/22(土) 10:58:54.24 ID:LhYIWM+d0
ずっとずっと待ってる早く...早く...
416 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/30(日) 06:04:04.73 ID:CPwlptRQO
あのままエタっていれば誰も期待せず>>1も嘘つきにならずに済んだのに
417 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/01/17(木) 14:55:21.85 ID:fFIM4WWw0
戻ってきて...お願い...
418 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/05/06(月) 01:41:22.11 ID:xiJ12Dtc0
貴方を嘘つきとか言いたくない
続きが見たい、お願いします…
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