志希「それじゃあ、アタシがギフテッドじゃなくなった話でもしよっか」

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30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/12(土) 17:37:29.68 ID:LI2CmSiP0

プロデューサーから「朝にモーニングコールする」という申し出があったのは、三度目の遅刻を迎えた日のことだった。

それは渋々だったかもしれないし、はたまた単に愛想つかされたからかもしれないけど、何も言わないでアタシはうなずいた。きっと、「イヤだ」と言っても彼は電話をかけてくるってなんとなく分かっていたから。

彼がアタシの変化に気付いていたかどうかは、今になっても分からないけど。それでも、アタシ達の関係が変わり始めたのは、まさしくその一言からだったと思う。



次の日の早朝のこと。枕元に置いておいたスマホが鳴り響いて、寒さに体を震わせながらも、もぞもぞと布団から顔を出してアタシはそれを耳に当てた。

「おはよう。今日の寝起きはどうだ?」なんて向こう側からコーヒーを淹れる音が電話越しに届いて、茶化す元気もないアタシはあくびを一つかいて「あんまり」とだけ答えた。

仕事がある日の朝は、いつも二人でそんな会話をしていた。そんな取り留めもない会話を。

だけど、これまでのアタシたちは、プライベートで電話をかけるなんてことはしなかったし、それが二人にとっての当たり前だった。だからこそ、そんな当たり前が崩れたことにアタシは少なからずビックリしてたんだよね。

ときどき「おはよう」だけじゃなくて「朝食は何を食べるんだ?」なんてことをも話してさ。アタシがコーンフレークって答えたら、仕事前にフレッシュなサンドイッチを渡してきたっけ。

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