松田亜利沙「I Say快Show感☆アイドルch@ng!」

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1 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/23(日) 11:42:34.49 ID:qwMKHXRE0
私、松田亜利沙は深夜の街を一人で歩いていた。

さっきまでゲームセンターにいたけれど、営業時間終了となれば外に出ないわけにもいかない。

不登校とはいえ高校生の私は本来もっと早くに出なければいけないのだけど、今日だけは店員さんも見逃してくれた。

常連の私にとって今日が特別なのを、店員さんもわかっているから。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1477190554
2 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/23(日) 11:44:06.54 ID:qwMKHXRE0
『THE IDOLM@STER』略してアイマス。

新米プロデューサーとなりアイドルをプロデュースするアーケードゲームだ。

一時期はアニメ化もされ話題にもなったが、多くの作品と同様にその後は次第に忘れ去られ、いまや少数の人間しか覚えていない。

その少数の一人である、二次元三次元を問わない重度のアイドルオタクな私が、格別に愛したアイドル達が登場するゲームでもある。

そんなアイマスもついに今日、稼働を終了した。

それはアイマスというコンテンツが完全に終了したことを意味する。

もう私がゲームセンターでアイマスを遊ぶことはない。
3 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/23(日) 11:45:40.43 ID:qwMKHXRE0
「本当に終わっちゃったんだ……」

声に出したものの、まだ実感がわかない。

明日もいつも通り、ゲームセンターに足を運んでしまいそうだ。

前から終わると言われていたので、心の準備はしていたけれど、喪失感がなくなるわけではない。

わかってる。

こんな風に思ってる人間は少数で、だからこそアイマスは終わるのだと。

でも、それでも私にとっては一番大好きなゲームだった。
4 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/23(日) 11:46:43.42 ID:qwMKHXRE0
『もっとアイマスが人気だったら、何か変わったのかな』

稼働終了が告知されてから、ネットの掲示板で誰かが書き込んだ言葉。

深夜の冷たい風に身震いしながら、私は思いをはせる。

続編ゲーム、映画化、コミカライズ、そしてさらなる続続編ゲーム。

「……はぁ。やめよ」

考えれば考えるほど、虚しさが増していく。
5 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/23(日) 11:50:20.01 ID:qwMKHXRE0
今日はこれからどうしようかと思っていたら、スマートフォンが鳴った。

(誰だろう?親なわけないし、オタク仲間かな。お互い今日は連絡しないはずなのに)

それとも悲しみをもて余していて、誰かに伝えずにはいられないのだろうか。

無視してもよかったけど、時間を見るついでにスマホを覗く。

しかし、そこに表示されていたのは差出人不明のメールだった。

「何、これ……?」

タイトルは『THE IDOLM@STER MILLIONLIVE!』。

「ミリオン、ライブ!?え、新作!?そんな情報聞いたことない!」

予想外すぎるタイトルに、慌ててそのメールの内容を確認する。

その内容は。

「『私たちと、この劇場で夢を叶えてください!』……?」

それだけだった。
6 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/23(日) 11:51:41.79 ID:qwMKHXRE0
普通に考えたら、悪戯だろう。

アイマスが終了して、悲しみに明け暮れている私に最も効果的な性質の悪すぎる悪戯。

当然、私は激怒し、こんなテロをしかけてきた相手への報復を考え始める。

私が普通の状態だったら、の話だけれど。

今の私は、どう考えても普通じゃなかった。

こんな藁のような悪戯にも、縋りたくなるほどに。

私の胸はドキドキと音を立てて、視線はメールに釘付けになっていた。
7 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/23(日) 11:55:19.00 ID:qwMKHXRE0
夢。

私の夢。

そんなもの、もう忘れてしまった。

ただ、もし今自由な夢を見ることができるというのなら、どうしても見たい夢がある。

「今日まで見ていた夢の、続きを……」

もう一度メールの文面をじっと見る。

『THE IDOLM@STER MILLIONLIVE!』

『私たちと、この劇場で夢を叶えてください!』

胸の鼓動はさらに強くなる。

何かが大きく変わる、そんな予感がするほどに。

震える手でスマホを持ちながら、私は願いを口にしていた。

「夢の続き、見せてよ……!」

その瞬間、私の視界は暗転した。
8 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/23(日) 12:09:39.32 ID:qwMKHXRE0
真上にある太陽の光が、ビルを反射しながら照り付ける。

ざわざわと人の波が私のすぐ隣を通りすぎていく。

私、松田亜利沙は昼の街に立ち尽くしていた。

「…………え」

(え、えええええ!?何が起きたの!?)

さっきまで、私は夜の街を歩いていたはず。

なのにいつの間にか昼になってるし、知らない場所だし、人もいっぱいいる。

(どどどどういうこと!?今の今まで無意識に歩き続けてたの!?)

あまりの異常事態に、口をパクパクさせることしかできない。
9 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/23(日) 12:13:07.63 ID:qwMKHXRE0
落ち着いて考えよう。

私は、アイマスの最後を看取るために店が閉まるまでゲームセンターにいた。

で、喪に服す気持ちで歩き続けていた。

そしたら謎のメールが……そう、メールだ!

私は慌ててスマホに来た謎のメールを確認しようとする。

しかし、メールはおろかスマホさえ見つけることができなかった。

どこかで落としてしまったのだろうか。
10 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/23(日) 12:15:10.59 ID:qwMKHXRE0
(そんなあ!?あの中には、私が長年集め続けたアイドルちゃん達のデータが詰まってるのに!!)

気付いたら夜から昼間になってたことが、どうでもよくなるほどショックだった。

うわー、どうしよう。警察に頼めば見つけてもらえるかな。

その場合、見つけた人には画像動画データの1割をあげればいいのかな。

いえ、1割なんて言わず12割(今ある分と、今後手に入れる分)をコピーしてプレゼントしますから、どうか誰か見つけて!
11 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/23(日) 12:16:54.38 ID:qwMKHXRE0
私が苦悩していると、頭上から声がかかった。

「あー、そこで立っている君」

え、上?

声の向く方に顔を向けると、そこにはガムテープで窓に『765』と書かれた建物と、窓を開けてこっちを見ている男性の姿が見えた。

「そう、君だよ、君!」

その人は、私の目に間違いがなければ。

「し、社長!?」

頭がおかしくなったと、切り捨てずに聞いてほしい。

そこにいたのは『アイマス』のキャラクター、高木社長だった。

いや、高木社長の立ち絵は黒い影で、アニメでも顔は隠れていたので顔で判断したわけじゃないけど、でも声とか服装とかが完全にアイマスの舞台、765プロの高木社長だった。

というかちょうど光の向きで顔が陰になってて、今も顔はわからない。

え、本当に暗くてよく見えないんだけど、どうなってんのこれ?
12 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/23(日) 12:17:50.97 ID:qwMKHXRE0
「む?確かに私は765プロという事務所で社長をしているが……」

高木社長は怪訝な顔(見えない)をする。

そりゃそうだ。

アイドルならともかく、ただの通行人が社長を見て判断できるとは思うまい。

慌てて私は即席の言い訳を考える。

「あの、765プロのホームページを見て、それで顔を知っててですね!」

通用するだろうか。

この人の顔写真が、顔が見える状態で載ってるとは思えないけど。
13 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/23(日) 12:19:48.78 ID:qwMKHXRE0
私の不安をよそに、どうやら言い訳は通用したようで、社長は嬉しそうにしている。

「ほう、うちのホームページをチャックしてくれているのかね。まあ、こっちに来なさい」

と言って事務所に私を招き入れてくれた。

社長は私と二人で話をしたいらしい。

事務所に向かう階段を上りながら、私は大変なことを理解していた。

馬鹿げた話で、信じられない話だ。
14 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/23(日) 12:20:21.43 ID:qwMKHXRE0
私は、今ゲームの世界にいる。

そしてゲームのタイトルは『THE IDOLM@STER』。

荒唐無稽な話だけれど、私は確信を得ている。
15 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/23(日) 12:21:42.76 ID:qwMKHXRE0
別に高木社長がいたから、というだけではない。

夜から昼に、一瞬の変化を体験したからだけでもない。

今、私のおかれているシチュエーションが、『THE IDOLM@STER』のプレイヤーキャラクターであるところのプロデューサーそっくりなのだ。

ゲームの中でプロデューサーは、急に高木社長に声をかけられ事務所の中に招かれる。

そして「ピーンと来た!」という社長に、プロデューサーを募集中であることと、所属するアイドルの紹介を説明され、入社を勧められる。

そこで話を受ければ、ゲームが始まるのだ。

そして今、私は突然高木社長に声をかけられて、事務所に呼ばれたわけだ。
16 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/23(日) 12:22:51.71 ID:qwMKHXRE0
(つまり、このままいけば、私は、765プロの、プ、プロデューサーに……)

(…………な、ななな)

(なっちゃうんですか!?いいんですか!?)

階段を上がる勢いが強くなる。

(やったーーーー!!)

大声で叫びたい衝動を必死で抑えながら、私は事務所のドアの前にまでたどり着いた。
17 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/23(日) 12:23:58.15 ID:qwMKHXRE0
「生憎今は私以外出払っていてね。まあ、座ってくれ」

765のアイドルちゃんたちの不在を残念がりつつも、社長に促されるままに席に座る。

「さて」

と社長は私の顔を見ながら話を始める。

ちなみにこっちからは、社長の顔は暗くて見えない。

部屋の中でも見えないなんて、本当にどうなっているんだろう。
18 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/23(日) 12:24:52.59 ID:qwMKHXRE0
「君は、アイドルに興味があるのかね?」

「あります!大好きです!」

しまった、思わず食い気味に答えてしまった。

いや、でも高木社長にアイドルが好きかと聞かれたら、嬉し過ぎて誰でも(アイマス好きに限る。なお少数派)こうなる。

大丈夫だろうか、引かれてないだろうか。

しかし杞憂だったようで、社長はさらに嬉しそうな顔(見えない)をした。
19 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/23(日) 12:25:42.46 ID:qwMKHXRE0
「素晴らしい!それに、なんといい面構えだ!」

私に負けないぐらい社長もテンションが高い。

ああ、こうしてリアル(ゲームだけど)で私と同じテンションでアイドル好きを話せる人がいるなんて!

それだけで胸がいっぱいになる。

「ピーンと来た!」

来ました!ピーンと来た、来ました!!

「君のような人材を求めていたんだ!」

現実でも言われたことのない言葉に、涙が零れそうになる。

はやく、はやく続きを言って!泣いちゃうから!
20 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/23(日) 12:26:33.74 ID:qwMKHXRE0
「君、わが社の」

なります!プロデューサーになります!

「アイドルにならないかね?」

「はい!!…………え?」

アイド……プロデュ……え?
21 : ◆8ozqV8dCI2 [sage saga]:2016/10/23(日) 12:27:27.47 ID:qwMKHXRE0
一旦ここまでです。
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/23(日) 13:18:48.42 ID:a+wXFIHFo
なかなか面白い
期待
23 : ◆Jnlik0MEGA [sage]:2016/10/23(日) 13:48:09.57 ID:sIltU/0J0
最期のやつが撤去されたの6年前だっけ?ここでは細々と長くやってたのかな.......
あと別の世界線にいた亜利沙とは珍しい

>>1
松田亜利沙(16)
http://i.imgur.com/N7EyoGm.jpg
http://i.imgur.com/JFmrGLD.jpg
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/23(日) 13:55:48.13 ID:gH0S7xNkO
きたいたいき
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/23(日) 20:19:35.62 ID:Sq6CNArxo
ところによってはまだ置いてない?
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/23(日) 21:08:08.84 ID:b6vppNY60
2010年に終わったのはオンラインモードだな
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/23(日) 21:58:31.66 ID:CBahgZCrO
ミリPにはハゲしかなれないからちかたないね
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/24(月) 04:27:59.06 ID:L3RpruFyO
どこにも繋がらなくなっててもいいからスマホのデータだけでもなんとかしてあげてください
29 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/24(月) 21:13:11.45 ID:7NFc6aPl0
落ち着こう。

もしかしたら聞き間違いかもしれない。

「アイドル、ですか?」

「うむ」

社長は頷く。

聞き間違いではなかった。

「プロデューサーではなく?」

「うむ?君は、プロデューサーになりたいのかね?」

いや、なりたいというか、なりたいのは確かですけど。

むしろ、ならないの?って感じというか。
30 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/24(月) 21:15:01.06 ID:7NFc6aPl0
「ふむ、プロデューサー志望のアイドルか。秋月君も喜ぶだろう」

いやいやいや、そうじゃなくて!

「律子さんと一緒にしないでください!私なんかが同列なんて烏滸がましいにも程がありますよ!」

あ、言いたいのはこれじゃなかった。

「アイドルなんて、私には無理です!!私可愛くないし、オタクですし、アイドルちゃんたちと同じス
テージに立つなんてとてもとても!」

「しかしアイドルは好きなんだろう?」

「好きです!とっても好きです!だからプロデューサーになりたいです!お願いします、私をここのプロデューサーにしてください!」

半ば自棄になって、必死にお願いをする。

いや、本当に社長が765プロのアイドルに誘ってくれたのは嬉しいけども、世の中には出来ることと出来ないことがある。

え、ここはゲームの世界?

ゲームの世界の方がわかりやすく出来ないことは出来ないでしょう!
31 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/24(月) 21:16:54.67 ID:7NFc6aPl0
私の必死すぎる懇願に、社長は「うーむ」と悩み始めていた。

困らせておいてアレだけど、ここで嫌な顔しない社長はいい人すぎると思う。

「プロデューサーは今足りているとはいえ、これから始めるプロジェクトに備えて追加してもいいかもしれない」

希望の光が見えてきた。

「だったら」

「ただ、なあ……」

光を見せておいて、社長はまだ躊躇している。

あとはGOサインを出すだけなのに、何が問題だというのか。

「君、まだ高校生ぐらいではないかね?」

……デスヨネー。
32 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/24(月) 21:22:13.63 ID:7NFc6aPl0
秋月君こと秋月律子さんは、学生と事務員とアイドルを両立(三立?)していたこともあるので、学生でも事務員になることは可能なのだろう。

でも果たしてプロデューサーは学生でもなれるのだろうか。

午前午後を問わず、アイドルを連れて地方を飛び回るプロデューサーと、午前中は基本拘束される学生。

両立は難しいと思われる。

まあ、私は不登校だから関係ないんだけど、それを言ったら怒られるからやめておこう。
33 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/24(月) 21:23:09.71 ID:7NFc6aPl0
でも、と疑問が私の中に生じる。

ここが『THE IDOLM@STER』の世界なら、私がプロデューサーになれないのはおかしい。

私がプロデューサーになれなければ、そもそも話が始まらないじゃない。

最悪、この世界に飛ばされた瞬間、アニメに出てくるプロデューサーのような成人男性に変身していてもおかしくないのに。

……プロデューサーになるためとはいえ、性別が変わる覚悟があるかはちょっと悩むけども。
34 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/24(月) 21:27:56.65 ID:7NFc6aPl0
これはいったいどういうことだろう、と考え込む私に、社長は話を続けている。

「実は、今765プロは新たなメンバーを加えて大幅な戦力アップを図っていてだね」

ここが異世界なのは間違いないはず。

目の前の社長や事務所が、私のためのドッキリとは思えない。

「メンバーを最大で50人に増やす予定なのだよ。本当は切りよく100人にしたかったが、音無君に止められてしまったよ」

世界観が『THE IDOLM@STER』というのも間違いない。

でもゲーム『THE IDOLM@STER』そのものとも、少し違うような。

「ともかく、新しいメンバーとともに、いずれは100万の観客を呼ぶライブをするというのが、今の目標だ。ゆえにプロジェクト名を」

まるで『THE IDOLM@STER』の新作が始まったような。

ん、新作?何か引っかかる……。

「『ミリオンライブ・プロジェクト』とした」

……ユリイカ!!
35 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/24(月) 21:55:41.77 ID:7NFc6aPl0
ミリオンライブ・プロジェクト。

社長の言葉で、私の悩みが一気に解決した。

そういうこと!そういうことだったのか!

今にも飛び上がりそうな私に、社長は社長で夢を語る熱い口調で聞いてくる。

「プロデューサーに関しては後々考えるとして、どうだね?アイドルになってはくれないか?」

さっきは全力で遠慮した質問。

しかし今の私に、それを拒否する理由はなかった。

「なります!私、いえ……ありさを765プロのアイドルちゃんにしてください!!」

その瞬間、私、松田亜利沙のアイドル道が始まったのだった!
36 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/24(月) 21:56:44.94 ID:7NFc6aPl0
「ムフ、ムフフ」

アイドル宣言の後、また後日他の人がいるときに事務所に訪れる約束をして、今日は一度解散となった。

年甲斐もなく往来をスキップをしながら、これからやることを考える。

まずはネットカフェで情報収集だろうか。

この世界のアイドルちゃんの情報を集めなくてはならない。

時間がかかるので、今晩はそこで過ごすことになるカモ。

どこにあるかはわからないけど、道を覚えながらネットカフェを探そう。
37 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/24(月) 21:58:47.33 ID:7NFc6aPl0
「あ、でもその前に」

私は目についたアパレルショップに入り、鏡を見ないように気を付けて、適当に服を持って試着室に入る。

鏡の前で目を閉じながら深呼吸。

今までの私なら、オシャレな服屋さんになんて入れなかったけど、今は違う。

今の私に恐れるものはない。

私は気付いたのだから。
38 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/24(月) 22:00:15.42 ID:7NFc6aPl0
結論を言おう。

私は勘違いをしていた。

ここは『THE IDOLM@STER』の世界ではない。

ここは、まだ見ぬ新作『THE IDOLM@STER MILLIONLIVE!』の世界!

ミリオンライブ、それは私が前の世界で受け取った運命のメールに書いてあった言葉。

私はあのメールの誘いにのったから、今ここにいる。

そして社長がこれから始めるというプロジェクトの名前。

両者に関係がないはずがない。
39 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/24(月) 22:01:23.61 ID:7NFc6aPl0
そして私の予想が正しければ『THE IDOLM@STER MILLIONLIVE!』のプレイヤーキャラクターはプロデューサーではなく、アイドル。

もともと『THE IDOLM@STER』の系列で、アイドルがプレイヤーキャラクターのゲームは存在したので、驚くことではない。

『THE IDOLM@STER MILLIONLIVE!』

それはある日突然高木社長に声をかけられた普通の女の子が、アイドルとなって社長の言う『ミリオンライブ・プロジェクト』に参加して活躍するゲーム。

初代である『THE IDOLM@STER』に似せつつも、主人公を変えることで新たな趣を見せる待望の最新作。

のはず。
40 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/24(月) 22:03:02.95 ID:7NFc6aPl0
そして私はその最新作をプレイしている、という状況に違いない。

突飛に思えるかもしれないけど、この予想が正しければ大きな問題が解消される。

それは『地味でオタクな私が、アイドルちゃんに勧誘されるわけがない』ということ。

さっきは『THE IDOLM@STER』のプレイヤーになったのなら、成人男性になっていてもおかしくないと考えたけれど、アイドルが主人公の『THE IDOLM@STER MILLIONLIVE!』ならむしろ逆。

今の私は、偶然見かけたアイドル事務所の社長さんが、その場でアイドルにスカウトするほどのキラキラした美少女になっているはずだ。

なっていない方がむしろ不自然!
41 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/24(月) 22:05:51.36 ID:7NFc6aPl0
その事実に気づいてから、私は可能な限り鏡を見ないでここまできた。

新しい世界での、生まれ変わったアイドルちゃんな自分との対面。

わくわくしちゃってしょうがない。

そして今、試着室で目を閉じている私が、期待に胸を膨らませてゆっくりと目を開ければ。

大きな鏡に写っているのは。

赤い瞳。

高いところで結んだ、赤みがかったツインテール。

気を抜くと緩んでしまう口元。

それは、まさに絶世の美少女。

ではなく、いつも通りの私の姿だった。

なんで!?と心の中で叫びつつ、私は急いで店から逃げ出した。

あれええ!?
42 : ◆8ozqV8dCI2 [sage saga]:2016/10/24(月) 22:06:33.97 ID:7NFc6aPl0
今日はここまでです。
画像ありがとうございます。
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/24(月) 22:25:33.15 ID:Zozkfs3Y0
ここまで読んでやっとタイトルが読めたwww
I sayを「アイ セイ」と読んではいけなかったんだな。

しかし、亜利沙が元いた世界線は死んでも見たくないな……
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/24(月) 22:34:45.88 ID:IPByRCJDo
ネイティブっぽい
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/24(月) 22:41:41.00 ID:sXEOOt2K0
異世界召還だったのか
一旦乙です
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/24(月) 23:07:32.92 ID:GXGt57uIo

俺もタイトル読めてなかったわ
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 00:14:32.85 ID:WW2/EuU20
快感しか目がいかなくてスレ開けるまでR的なやつかと
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/25(火) 06:52:07.38 ID:m+wNI9Cto
いつも通りの亜利沙の姿も可愛いぞ!
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/25(火) 07:47:40.40 ID:NHW1zRmGO
俺もタイトルなんのこっちゃいと思ってたけどやっとわかったわ
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/25(火) 10:14:23.60 ID:56VlxoA/o
>>47
えっちな亜利沙ちゃんのお話だと思ってたのは内緒な
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/25(火) 10:57:48.85 ID:2Zx80+xR0
>>48
いつも通りじゃない亜利沙も可愛いと思うぞhttp://i.imgur.com/4KBlwqC.jpg
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/25(火) 19:01:52.75 ID:u576sifu0
アニマスまでいけたとこ見るとそこまで分岐した世界ではなかったのかな?
あと、アイマス世界の美少女基準は高過ぎな気がする(普通の子ですらレベル高いし)
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/25(火) 19:10:08.18 ID:2U7NBl7bO
>>51
誰だこの美少女!?
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/25(火) 21:37:31.80 ID:i+IfJiJoO
>>43のおかげでやっとタイトル読めたwwwwwwww
自分頭固いなあ……

とにかく面白い
おつ
55 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/27(木) 12:14:06.30 ID:SkxNrdSaO
「こっちのアイドルちゃんも素敵ですねえ」

ゲームの世界にきて初めての夜、私はネットカフェでこの世界について調べていた。

私のいた世界と、どの程度違うを知るためだ。

私がアイドルになれた理由については、主人公補正みたいなものだと、今のところは思うことにした。

それにしても、インターネットがある世界でよかった、と心から思う。

さて、調査結果をここにまとめよう。
56 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/27(木) 12:17:06.78 ID:SkxNrdSaO
この世界には765プロのアイドルちゃんたちが実在する。

Jupiterや876プロといった、アイマス作品に登場したアイドルもいる。

さらに、アイマス作品にも他の作品にも登場しない、つまり私がまったく知らないアイドルちゃんも存在する。

ついでに、この世界にもアイドルアニメはあったので、この世界から見た二次元アイドルちゃんもいる。どれも知らないアイドルちゃんたちだった。

逆に、私がいた世界の三次元アイドルちゃんは存在しない。

あとアイマス作品以外の二次元アイドルちゃんも同じくいない。
57 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/27(木) 12:20:21.44 ID:SkxNrdSaO
つまり、さようならアイマス以外のアイドルちゃんたち、はじめまして新世界のまだ見ぬアイドルちゃんたち。

この出会いと別れを、等価交換なんて言葉で片付けることはできないけど、新たな出会いへ前向きに頑張っていこう。

うう、せめてスマホがあったら動画とともにお別れ会ができたのに……。

さて注目してほしいのが、アイマス作品にいなかったアイドルちゃんが存在すること。

最悪、ゲームにないデータについては真っ暗、あの山を越えたら見えない壁があって先に行けない、みたいなことも予想していた。

けど、ここはゲームの世界だけど、ソフトの中に収まる狭い世界ではないらしい。

前にいた世界と同じように無限の広がりのある世界のようだ。

あとは新しいアイドルちゃんや新曲が登場するかだけど、それはおいおいわかっていくことだろう。
58 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/27(木) 12:23:39.63 ID:SkxNrdSaO
「こんなとこ、かな」

この世界について調べておかなきゃいけないことにざっと目を通したので、ジュース片手に一息つく。

この後も、今流行りのアイドルちゃんや人気曲、昔流行ったおさえておくべき有名アイドル、765プロのライブ映像の確認など、まだまだ調べることはたくさんある。

今夜だけでは時間が絶対足りない。

徹夜は覚悟するしかなさそうだ。

「現地調査も大変だね」

私は大きく伸びをして、もう一度パソコンに向かった。

こうして私の異世界一日目は、昼に夢を見たぶん、夜に夢を見ることなく過ぎていった。
59 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/27(木) 12:27:00.86 ID:SkxNrdSaO
二日目。

「ムフフ、この世界のアイドルちゃんたちも可愛いなあ。知らないアイドルちゃんたちに会えて幸せぇ」

三日目。

「346プロで新プロジェクトがスタート。ふむ、これはチェックしとかなきゃ」

四日目。

「新幹少女のつばめちゃんに移籍のウワサ!?って、この記事を書いた記者、前にも似たようなデマを書いてた人だ。掲示板で注意喚起しとかなきゃ」
60 : ◆8ozqV8dCI2 [saga]:2016/10/27(木) 12:29:07.31 ID:SkxNrdSaO
五日目。

「あんまりいいのないし、自分でアイドルちゃんの情報サイト作ろうかな」

「あ、でも今の私はアイドルだから、事務所の許可とらないとダメなんだっけ?」

「……事務所?」

何か忘れているような。

私はパソコンに表示された時計を見る。

時間を、日付を、そしてもう一度時間。

「今日、事務所行く日だ!?」

私は慌てて準備をして、事務所に向かって駆け出した。

四徹、前の世界の分を考えると五徹をきめた状態の朝のことであった。
61 : ◆8ozqV8dCI2 [sage]:2016/10/27(木) 12:31:24.10 ID:SkxNrdSaO
今日はここまでです。
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/27(木) 12:50:42.61 ID:fDztLu+Uo
そんなんしぬわ
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