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貴方「安価で喰種の世界を生き延びる」【東京喰種】【喰種編】【TAKE3】
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525 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/07/31(月) 02:33:05.86 ID:JJyBy4NE0
面倒な案件が片付いたので、仕事をする手が軽く感じる。
いつもよりも美味しいコーヒーを淹れているとさえ思えるほどだ。
兄貴に頼られたってのは、とんでもない進歩だよな。
「エスプレッソ二つです。どうぞ」
「ありがとう。…いい匂いだね。ニコ」
「ホントねぇ。しかも店員さんもイイカラダしてるし…。じゅるり」
うっ、何か嫌な感じがしたぞ。
具体的には、股間とかケツとかが酷い目に遭う感じだ。
「えっと…。アサヤさん…」
謎の恐怖に悩まされていた時に、二階から降りてきたヒナミが呼んできた。
こりゃちょうどいいな。
「おう。今行くわ」
しっかし…。このおっさんずいぶんガタイがいいが、匂いからして喰種だよな…。
それも、血の匂いがプンプンしやがる。
まぁ、何かあったらぶっ殺せばいいか。
526 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/31(月) 02:38:15.39 ID:OwZCUZUDO
見てるぜー
527 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/07/31(月) 02:46:14.04 ID:JJyBy4NE0
二階に上がると、ヒナミとリョーコさん、カネキとトーカがいた。
「どうした?」
「あの…。コーヒーをお願いします…」
「ん。深煎りの方がいいか?」
「私は普通ので…」
「私のは深煎りでお願いね」
「僕はエスプレッソ」
「カプチーノのミルク抜き」
それただのエスプレッソじゃねぇか。
と、心の中でツッコミを入れる。
「あ、お兄ちゃん。イツキさんっていつ来れるのかな?」
「え?うーん…。イツキさんも今年で卒業だし忙しいんじゃないかな…」
「そっか…」
弟の俺がいるのに、わざわざカネキに聞くのか…。
やっぱり距離を置かれてるな。分かっちゃいたけどちょっと堪えるわ…。
…整形してみるか?
「いちおうメールを送ってはみたけど期待しない方がいいと思うよ」
「ありがと、お兄ちゃん」
「…チッ」
「痛ッ!蹴らないでよトーカちゃん!」
…こんなもんかな。
「ほい、できたぞ」
「サンキュ」
「ありがとう」
「いいってことよ…。ん…?」
客が三人か。にしては、なんかおかしいな。
「ちょっと下に行ってくる」
「何かあったら呼べよー」
528 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/07/31(月) 03:00:41.00 ID:JJyBy4NE0
下に降りると、そこにはガスマスク三人組と、マッチョな男が一人いた。
「あれ…。俺の感覚も鈍ったか…?」
「悪いんだが、店長と話せないか?」
さすがに急じゃねぇかな。これは。
…見たところ、この四人組も喰種か。
敵意はなさそうだし、上げてもいいかな。
「…ついてきてください」
「おう」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「どうぞ」
「ありがとな」
「…美味いなコレ!」
「ど、どうも」
「あ、いちおう赫眼は見せてもらうぜ。万一の場合があるからな」
「…これでいいか?」
その両目は、しっかりと紅く光っていた。
「オッケーだ。で、何の用だ?」
「…唐突だが、リゼさんって知ってるか」
「ホアッ!?」
「カネキ、落ち着け」
「…そこの眼帯から匂ってるのってもしかして…」
「たぶんリゼさんのだろ?」
「なんだとぉぉぉ!?」
「あ、その、これには深〜い事情がありまして…」
「深い事情って何だ!?そんなディープなところまで進んでるのか!?」
「「ちげぇよ」」
「問答無用じゃぁぁ!」
いきなり殴り掛かってきたなら、仕方なく対応するしかないよな。
後ろに回りこんで、脚を払って相手を転ばせる。
「カネキ、任せた」
「う、うん」
転んでいる男の上に乗っかったカネキは、キャメルクラッチを極める。
「いででででで!ギブギブ!」
「あっ、すみません!」
「…ちったぁ頭は冷えたか?なら、こっちの話をちゃんと聞け」
「…はい」
529 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/07/31(月) 03:17:34.68 ID:JJyBy4NE0
大の男が正座して俯いているのを見ると、なんか自分たちが悪人みたく感じるな。
「端折って説明すると、コイツはリゼさんとデートしてなんやかんやあって、リゼさんは死んだ」
「で、瀕死だったカネキはリゼさんの内臓を移植してもらって、喰種と人間の間の存在になったってわけだ」
「なるほどな。道理でリゼさんの匂いがするわけだ…」
「早とちりして、大変申し訳ございませんでした」
「土下座はやめろ」
「うごぉっ!?」
「まぁ…なんだ。悪意があったわけじゃないから気にしてねぇよ。俺は」
「ここに来た理由はそれだけか?」
「…いや、俺たちは警告しに来たんだ」
さっきまでの空気が一変する。
これは真面目ムードだな。
「『アオギリの樹』って知ってるか?」
「まぁ、多少はな」
「今、アオギリは何かとんでもないことをするつもりらしいんだ」
「なんでも、『白鳩』をみんな潰すとかそんなことらしいんだが…」
「絶対無理だろ」
あの『死神』がいるのに、勝てるとは思えない。
「悪いことは言わねぇ。もし、アオギリのやつらが来ても、逆らわない方がいい」
「バンジョーさん、さっき下にヤモリとかいましたよ?」
「…しまったぁぁぁぁ!」
あいつらもアオギリだったのか。
潰しても全然問題は無かったわけだ。
「…静かにしろ」
この建物の屋上に、数人がいる気配を感じる。
(来る…!)
刹那、窓ガラスを破って青年が蹴り込んできた。
「キャー!」
その足を、両手でしっかりと固定する。
「チィ…。邪魔すんなクソ野郎が!」
「ハハハッ!ずっと見ねぇから野垂れ死んだと思ってたぜ!」
「テメェの兄貴のせいで少し前までマジで死に掛けだったっつの!」
「プッ。よく生きてたな」
「ホントマジでそう思うって笑うなクソがぁ!」
「…アヤトォ!」
「ゲッ!?姉貴ィ!?」
「…兄ィ、どうすりゃいいんだ?」
「…様子見しとくか」
「あら、賑やかねぇ」
「僕たちも混ぜてよ」
「もうわけが分からねぇ」
530 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/07/31(月) 03:35:29.38 ID:JJyBy4NE0
「ちょっと状況を整理するぞ?」
バンジョーとかいう男は、俺たちの安全のためにも逆らわない方がいいと言っていた。
名前を聞いただけではあるが、ニコとかいうホモとヤモリとかいう鼻デカ野郎はペア。
で、トーカの弟と双子の弱そうなやつらは、窓から特殊部隊みたいに突入してきた。
たぶん、こいつらの目的はカネキだ。
隻眼だから珍しそうだし。
こいつらに対して、こっちはカネキとトーカとヒナミとリョーコさんと俺。
「こんな感じか?」
「That's right」
無理だろ。
俺一人とかならまだマシだった気がしないでもないが、ヒナミとリョーコさんが一番困る。
こんなところにいたら間違いなく巻き添え食らって乙るし。
今取れる俺たちの手は二つ。
一つ目は、ダメージ覚悟で戦うこと。
まぁ、これはオススメできねぇわ。
何人か死にそうだし、正体がバレるのが早くなりそうだ。
二つ目は、一時的に従って、アジトから逃げることか。
連れていかれるのはカネキだけな気がするが、戦力も求めてるなら俺が付け入る隙もある。
最悪、頑張って尾行するしかないな。
4、500mならほぼ状況は認識できるから、見逃すことはそうそう無いし。
さて、どうするべきか…。
531 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/07/31(月) 03:38:08.09 ID:JJyBy4NE0
↓1〜3で、戦うか一時的に従うかをお願いします。
時間もそろそろヤバいので、今日はここまでにします。アサヤ視点は次回までの予定です。
次回更新は、まだいつになるかは分かりませんので、また日時が判明したら報告に来ます。皆さん、遅くまでお疲れ様でした!
532 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/31(月) 03:48:28.16 ID:OwZCUZUDO
乙
従っときましょう
さすがにリョーコさんとヒナミちゃんがな……真っ先に狙われそうだしさ
もしイツキが居たら戦う方選んでたな
533 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/31(月) 03:51:20.71 ID:AsT5ey9a0
乙です
ここのカネキは弱くないし一時的に従って尾行の方が良いと思う
リョーコさん達には応援を頼めば良いんじゃないかな?
あれれー?天奈津兄弟妹三人が大暴れしたらアオギリ倒せる気がして来たぞ(白目)
534 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/31(月) 11:08:40.35 ID:+yJflR/No
上2つ混ぜてかんじで
おつ
535 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/07/31(月) 15:05:30.69 ID:6+Vk4eSMO
いつになるか分からないと言いましたが、今日の夜(22:00頃)再開可能となりました。
カネキくんは綺麗なままでいられるのでしょうかねぇ…(ゲス顔)
536 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/31(月) 16:17:40.46 ID:R2Pv2BivO
思わずこけそうになったw
嬉しいお知らせサンクス
アサヤマジがんばれ
そういえばマシロはしばらく戦線には戻ってこないのかな?
537 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/31(月) 16:46:47.59 ID:lmA0rKDxO
やったぜ(ガッツポ
アマナツきょうだいがコンマ神の寵愛を受けすぎてるから
カネキが覚醒したら戦闘力のバランスがいい感じになるのでは
だからカネキはヤモリの兄貴とキャッキャウフフ(マイルドな表現)するとよい、と思ってしまうわ
でもその辺はコンマで判定するのかな
538 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/31(月) 18:40:33.48 ID:AtjZf067o
遅れながら乙
久しぶりの原作側進行ですね
539 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/07/31(月) 22:50:42.14 ID:JJyBy4NE0
>>536
、マシロ自体は、戦闘を行うことは可能です。イツキくんがそれを許すとは思えませんが…(暴走の件があったため)
>>537
、だいたいの流れは原作と同じです。今回カネキとヤモリの兄貴がイチャイチャするのを阻止する条件は、アレです(無責任)
原作の方でも、あることがきっかけになって、あんなことやこんなことをすることになったのでわかるかな、と。
>>538
、リョーコさん生存と、亜門さん昇天くらいしか大きな違いはありませんからね。そろそろ進めないとヤバいですし…。
カネキくんはかなり強いですが、メンタル面は迷ってばかりの黒カネキのままですよ(亜門との対話を行っていないので)
いちおう、今までに起きたことは全て反映しているので、実際のシーンとは結構異なったりします。
特に、攻略編が(あったら)分かりやすいのかな、とは思っています。
今から再開していきますね。
540 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/07/31(月) 23:10:01.19 ID:JJyBy4NE0
後ろを見ると、怯えた表情のヒナミとリョーコさん、青筋を立てて弟…アヤトを見るトーカがいる。
また、隣には諦めたような感じで本を読んでいるカネキがいる。
「…お前たちの目的はカネキだろ?だったら、とっとと連れていってくれ」
「アサヤくぅん!?」
「いや、ここで抵抗したらヒナミとかが絶対死ぬし」
「あ、そっかぁ…」
(後で尾行するから、今は我慢してくれ…。コーヒーも淹れてやるから…)
「それじゃ遠慮なく」
「オカヒラッ」
ヤモリの赫子が、カネキの腹を貫く。
痛みに耐えきれなかったようで、カネキは意識を失い、倒れた。
「テメェ!」
「動くなクソ姉貴!」
「やめろって!」
ヤモリに向かって走るトーカを左腕で静止させ、アヤトが撃ち出した赫子を、鱗赫で防ぐ。
甲赫は、この小さな密室だと使いづらいから仕方ない。
「アサヤ!カネキが連れていかれるんだよ!?」
「かと言って、ここで手を出したらもれなくヒナミたちがお陀仏だ」
「こいつらがカネキを殺すことはありえないからな」
「なら、俺は一番被害が小さくなるように動くぜ」
「くっ…」
「…今は堪えてくれ」
「クソォ…」
「ねぇ君」
「あ?」
「君のそれって鱗赫だよね?」
「まぁ、そうだな」
「どれくらいのダメージなら再生できる?」
なんでニヤニヤしながら聞くんだコイツは。
気色悪い。
「んーっと…。胴体から真っ二つにされても、いちおう再生はできたぞ」
「つっても、数年前のことだから詳しいことは憶えてねぇけどな」
直下コンマが、ヤモリ→アサヤの好感度です。合計が70以上だと…?
凄い再生能力:+30
541 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/31(月) 23:17:59.89 ID:v+/Koeuz0
アッー!
542 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/07/31(月) 23:47:27.96 ID:JJyBy4NE0
コンマ判定:119 カネキ?そんな人もいましたね(すっとぼけ)
俺の答えを聞いた瞬間、ヤモリの顔がヤバいことになる。
「それだけ凄い再生能力か…。ヤベェ…。絶対楽しい…!」
「ヒヒ…ヒヒヒヒ…!」
頭壊れたか?
「決めた。アサヤくんも一緒に来てよ」
「は?」
「君が僕の部下になってくれるなら、ここには二度と手は出さないよ」
「おいヤモリ、勝手な行動は慎め」
「あァン?今回はアレを回収しろって言われただけだろうが」
「別に俺が部下を増やしても問題ねぇだろ?」
「どうせアレをするために部下にしたんだろ…」
「ごちゃごちゃウルセェよ。死にてえのか?ン?」
「チッ…」
今の態度で確信した。
コイツ頭はおかしいけど、それなりにはやるやつだ。
「…本当に手を出さないんだな?」
「もちろん。つまらないことはしない主義だからね」
「…分かった」
「…ッ!おいアサヤ!」
「アサヤくん…」
「なぁに、やることをやったらすぐ戻ってくるさ」
「じゃあな」
窓から飛び出し、ヤモリたちについていく。
服が『あんていく』の制服のままだが、別にいいだろ。
上手いこと中には潜り込めたし、何とかカネキを救出しないとな。
アレが何なのかは気になるが、ろくでもないことなのは分かる。
再生能力がどうとか言われたし、指を詰めたりするのか?
543 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/01(火) 00:41:09.05 ID:HOUMzTXrO
アサヤェ……
544 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/01(火) 00:43:48.85 ID:lia+4lpXO
マシロは家族依存だからイツキ程じゃ無いだろうけどアサヤに手を出したら黒い箱の天使が降臨するっていう
545 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/08/01(火) 00:55:43.60 ID:eVKRwJUo0
ヤモリたちの後を追い、数時間ほど移動すると、大きな廃墟が見えた。
ざっと百人以上の喰種がいるな。
『アオギリの樹』のアジトってとこか。
アジトの集会所にあたる場所に入ったと同時に、カネキが目を覚ました。
「あれ…僕は…」
「よっ、カネキ」
「アサヤくん!?どうして君が一緒に…」
「色々あって同行してる」
「ほらシャキッとしろ。みんなが見てるぞ」
集会所には無数の喰種がおり、全員がカネキを見ている。
「えっ?状況が飲み込めないんだけど」
「俺もよく分からねえから安心しな」
カネキと話をしていると、ステージに上がってくる二人の喰種が見えた。
他の喰種が敬礼しているところを見ると、リーダー格なのは間違いない。
「君の眼は?」
「え?」
『君の名は』のパクリだろうか。
「赫眼。さっさと答えろ」
「左ですけど…」
「…ダメだ、使えない。リゼは本当に消されたのか…?」
「…リゼさんのことを知ってるんですか?」
「それを答える義理はない」
「…そうですよね…」
「…唐突だけど、『長槍』って知ってる?」
「『長槍』…?あ、イツキさんですか?」
「…少しだけヒントだ。君に移植された臓器が、腎臓だけならそうはなっていない」
「そして、嘉納も、赫子が出せるようになっているのだから、何らかの数値が変わっているのも知っているはず」
「…ということは、移植されたのは赫包…かな…」
「俺もう出ていいですか?」
「君誰?」
「アサヤでーす」
「…イツキの弟か…。これは幸運だ」
「何がです?」
「いや、なんでもない。ゆっくりしていくといい」
なんだか、はぐらかされたような気がする。
「はあ」
「…カネキはこっちだ。ついてこい」
「アサヤくんはこっちねー」
「うぃーっす」
546 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/08/01(火) 00:59:12.83 ID:eVKRwJUo0
突然ですが、ここで運命のコンマです。直下コンマが3以下だと何かが起きます。
547 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/01(火) 01:12:53.34 ID:WLoSogCw0
あ
548 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/08/01(火) 01:27:36.77 ID:eVKRwJUo0
コンマ判定:4 何も起きませんでした
ヤモリに連れてこられた場所からは、かなりキツい血の匂いがした。
「君には、ここで人間の解体をしてもらうね」
「解体っすか」
「うん。僕たちは外で人を狩ってくるから、それを食べやすいようにするんだ」
「了解っす」
「今日は特に予定はないから、もう休んでいいよ」
「分かりましたー」
他の喰種に指示された場所には、粗末なシーツが敷かれているだけだった。
「うわー…。これなら家の毛布を持ってくりゃ良かったな…」
エアコンを効かせながら毛布に包って寝る。コレ最高。
(カネキたちは最下層の牢屋か…。昼間のやつらもいるな)
思ったよりも疲れていたみたいで、横になった直後に眠りについた。
549 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/08/01(火) 01:45:10.48 ID:eVKRwJUo0
アオギリで生活をし始めて2日が経過した。
もともと死体を見るのには慣れていたので、手際よく解体を進めていた。
カネキは全く慣れておらず、リバースしてばっかりだったので代わりに処理しておいた。
まぁ、元人間には辛いわな。
仕事を終え、寝床に戻ろうとしたら、カネキが俺の耳に小さな声で呟いた。
「今日の深夜2時に、ここを逃げる」
どうやら、今日脱走するようだ。
わざわざこのタイミングで言ったということは、今日が一番守りが薄い日なんだろう。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「アンタ、凄く強いんだってな」
「バンジョーだっけ。まぁ、弱くはないぜ」
「ヤモリとかより強かったりするのかなぁ」
「それは分からねえな」
「っと、前の草むらから一人出てくるぞ」
俺がそう言った直後、ゾンビのようなアホ面をした喰種が出てきた。
「そらよっと」
その顔面を、一気に手刀で割る。
喰種はあっけなく地面に倒れ伏した。
「今の喰種にバレてたら瓶兄弟にもバレてましたよ…」
「どこに誰がいるかは分かるからなぁ」
「…前方100mの林にヤモリがいるな」
「なんでですか!?今日は街で遊ぶ日のはずじゃあ…」
「たぶん、お前たちの会話が聞かれてたんだろ」
「終わった…。俺たち全員ここで死ぬんだ…」
「どうするの?アサヤくん…」
「どーすっかなぁ」
550 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/08/01(火) 01:47:28.38 ID:eVKRwJUo0
↓1〜3に、どうするかをお願いします。
選択候補
1:カネキとコンビでヤモリ討伐すっぞオラー!
2:一人でヤモリを抑えるor潰して、その間に別ルートから逃がす。
3:諦めて戻る。
その他の意見でも構いません。
551 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/01(火) 01:50:45.29 ID:HOUMzTXrO
んー迷うけど……3で
552 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/08/01(火) 02:25:56.83 ID:eVKRwJUo0
時間もかなり遅くなりましたので、今回はこれで終了です。
次回はいつになるのか分かりませんので、分かった時に報告しますね。
なお、現在のカネキかアサヤ一人でも、ヤモリの駆除は充分可能です。コンマ次第ではありますが…。
このレスが安価を踏んでいる場合は安価下でお願いします。遅くまで、お疲れ様でした!
553 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/01(火) 02:42:05.96 ID:HOUMzTXrO
乙
どうなるか全く予想がつかんわ
安価下
554 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/01(火) 03:55:45.52 ID:baonN+ITO
2日経ってるって事はそろそろ応援とかは来ないのかな?
アサヤが連れ去られてるならイツキが黙ってないと思うんだけど
家族が絡んでるなら非合理的な判断を躊躇いなくするイツキならそろそろ応援に来るはず
それ込みでヤモリに脱走話聞かれてたなら戻った所で拷問されそうだしそれならハデに暴れてやってSSレートのサンドロックに手を出した事を後悔させよう(マジキチスマイル)
ってな訳で安価は1
555 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/02(水) 04:06:43.40 ID:DFqpoEaxO
1
他のグールにバレてないならさっさと突破した方がいい
556 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/02(水) 12:37:36.29 ID:Ts31+xPK0
そろそろアサヤとリョーコさんの未亡人√開拓してえなぁ
557 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/08(火) 19:07:17.47 ID:mF8PvVfKO
安価は1で決まりか
アマナツきょうだい達が苦戦する未来が見えないぜ
558 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/14(木) 13:13:51.23 ID:+MOxY2jP0
わたし待つわ
559 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/14(木) 15:27:34.99 ID:U7JbCPUCO
いつまでもまーつーわ
560 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/10/09(月) 13:26:08.12 ID:YveClUxfO
仕事が辛くてアーイキソ 再開は今週の土日ですかね…。
スレ見直したら、イツキ兄貴アオギリ本部の場所ほぼ突き止めてましたね…。これは情報が入ったら壊滅待った無し。
というわけで直下コンマが5以上で芳村さんから伝達済みとなります。つまり大惨事アオギリ大戦が始まります。
再開まで待て、しかして希望せよ(巌窟王並感)。なかなか再開できなくてすみません!許してください!なんでもしますから!いやホントすみません…。
561 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/09(月) 13:47:15.53 ID:cXceeKu/o
報告おつおつ
562 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/09(月) 14:14:58.90 ID:GaX7D5Eto
おっつおっつ
563 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/10/13(金) 13:15:28.40 ID:Ujbd6sUCO
更新は今日の深夜と明日に変更させてくだしあ…。シフトが急遽変更になりましたので…。
564 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/13(金) 17:28:59.37 ID:SpjrzDR80
了解 リアル重点な
565 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/13(金) 18:52:02.67 ID:me96x/P+o
忙しい中報告サンキューやで
566 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/10/13(金) 21:55:54.56 ID:J0CCH/ry0
お ま た せ 今から再開ですぞー!こんなに空いてたのに待ってくれて感謝感激ブレイクピラーです!
567 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/13(金) 22:09:52.74 ID:EsFuX+WZO
いやっほおおおお!!!
568 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/10/13(金) 22:26:04.65 ID:J0CCH/ry0
まず、今の状況を確認する。
現在、アオギリのアジトからは200mほど離れていて、屋上には瓶兄弟がいる。
先ほど見回りの喰種を始末したが、100mほど進めばヤモリと鉢合わせする。
先回りしているということは、脱走することが既にバレていると見て間違いない。
確実に、殺しにくる。
「はぁ…」
この時点で戦闘は避けられないのだから、仕方がない。
面倒だがやるしかない、とアサヤは落ち込むようにため息をつく。
「…ヤモリはここで潰す。どうせどっちかが死ぬんだからな」
この中で最も喰種の世界を知っているのは、おそらくアサヤだ。
幼い頃から、兄の戦いを生き方を見てきた。
そして、家族の中で最も要領が悪かったアサヤは、人の世界には入れない、と悟った。
――アサヤ自身は要領が悪い方ではない。他の二人が異常なだけである。
事実、アサヤは『あんていく』の中で上手くやっていけている。
喰種の世界を知っている、ということは即ち、手を汚してきた、というのと同義である。
アサヤがSSレートに指定されているのが、それを如実に表している――。
――手を汚すのは、俺だけでいい。
二番目に強いであろうカネキは元人間。
殺人への耐性はそこまで無いだろう。
たとえ喰種を何人も殺していても、彼の本質にある弱さは変わらない。
きっと、今も心のどこかで――。
――俺も昔はそうだったしな、と自嘲気味に吐き捨てる。
しかし、その呟きは誰にも聞こえなかった。
否、皆が恐怖する者の登場で搔き消された。
「ハハハハ、どうしてここにいるのかなぁ?」
大きな白スーツの上からでも分かる筋肉をしたヤモリと、クネクネと体を動かすオカマ野郎。
二人を横目で見ながら、アサヤはカネキの耳元で囁く――。
――カネキ、お前は俺のサポートと追撃してくるやつの牽制を任せる――。
――アサヤくんは――!?
――コイツらを殺す。
「何コソコソくっちゃべってんだゴラァ!」
無視されたことに怒りを覚えるヤモリに、ハッキリと言い放つ。
「テメェには関係ねぇよ」
――どうせここで死ぬんだからよ。
Rc細胞の影響で紅く光る眼は、鋭い眼光を放ち目の前のデカブツを見据えていた。
569 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/10/13(金) 22:32:59.46 ID:J0CCH/ry0
何となくで選んだ参考BGM https://www.youtube.com/watch?v=W-xjb-AWEFQ
直下コンマ判定 ルールの詳細は
>>251-252
を確認してネ!
1:ファンブル
2〜4:失敗
5〜7:成功
8、9:クリティカル
ゾロ目、0:特殊判定
00:特殊判定(SP)
戦闘力差(100:80):+1 人数差:+1 赫子の相性:-1
570 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/13(金) 22:42:18.81 ID:1lERmofho
あ
571 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/10/13(金) 22:43:47.59 ID:J0CCH/ry0
すみません、勝利条件は3ポイント入手です…。
572 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/10/13(金) 22:59:33.86 ID:J0CCH/ry0
コンマ判定:1 失敗回数:2/4
大振りの右ストレートをスレスレまで引き付け、上体を逸らして回避。
続けて撃ち出された鱗赫を、地面を蹴り体を浮かせて避ける。
「そぉ…らっ!」
空中で回転のベクトルを無理矢理変え、左の回し蹴りを当てる。
が、それは鱗赫によって防がれた。
「…っと。結構硬いな」
興奮しているのか、呼吸が荒いヤモリを尻目に、まるで確認しているかのように呟くアサヤ。
「ガアアッ!」
「フッ!」
ヤモリの鱗赫を、両腕で受け止めるアサヤ。
しかし、赫子を纏っているわけでもない腕では、流石に防御しきれない。
力を受け止め損ねたアサヤは腕が半分千切れ、吹き飛ばされた。
「〜ってぇなぁ〜!」
腕をプラプラ振り、傷口を赫子で修復する。
この間、僅か1秒足らずである。
「フヒヒひヒ…。いイなぁその再生力!」
「もっと楽シマせろぉ!」
涎を垂らし、ダッシュをするヤモリを見て、アサヤは顔を歪める。
「それが気持ち悪いんだよ!死にさらせやクソが!」
直下コンマ判定
1:ファンブル
2〜4:失敗
5〜7:成功
8、9:クリティカル
ゾロ目、0:特殊判定
00:特殊判定(SP)
戦闘力差(100:80):+1 人数差:+1 赫子の相性:-1
573 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/13(金) 23:02:20.22 ID:Am+A9gxX0
ふん
574 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/13(金) 23:02:40.85 ID:me96x/P+o
よっ
575 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/13(金) 23:03:21.31 ID:me96x/P+o
コンマ神www
576 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/13(金) 23:04:19.14 ID:52/qOzkGO
早速ゾロ目じゃねーか!
577 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/13(金) 23:12:28.06 ID:1lERmofho
コンマ神「わりぃ遅れた」
578 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/10/13(金) 23:25:33.30 ID:J0CCH/ry0
コンマ判定:2(ゾロ目) さよなら兄貴(鼻ホジ)
こちらへと疾走するヤモリ。その動きは、あまりにも単調になっていた。
単調な動きの隙は大きい、いや、大きすぎる。
普通であればまず食らわないはずの膝蹴りをあっさりと顔面に受けてしまった。
「グガァ」
歯が数本へし折れ、口から零れ落ちる。
続けて、アサヤは足を体操座りの要領で抱きかかえ、背中を向ける。
「大サービスだ。有難く受け取んな」
そして、4本もの巨大な鱗赫が、ヤモリの肉を、赫子をすり潰す。
貫いた鱗赫をヤモリの後ろで絡ませ、固定する。
着地を済ませたアサヤは、マトモに動けないヤモリに、赫子を纏った拳でラッシュを叩き込む。
「オラオラオラオラオラァ!」
まるで肉塊をハンマーで叩き潰すかのような、お世辞にも聞き心地の良いとは言えない音だけが響く。
Sレートに指定されるヤモリ、しかし、SSレートのアサヤはそれを歯牙にも掛けなかった。
「…そこまで強くなかったか。じゃあな、ヤモリ」
鱗赫を解き、顔の前に向ける。
「ア…アァ…」
既に虫の息のヤモリの眼に、嘗ての情景が映る。
ああ――。これは俺が――。僕が昔されたことだ――。
ひたすら、CCGの職員に拷問をされる自分。
それは、チャンスを掴んだことで成し遂げた報復によって乗り越えた。
二度と同じ目に遭わないように強くなった――。
家族を理不尽で奪われないために。
また同じ目に遭うのが怖かったから。
そんな自分が惨めだったから。
だけど――。僕はそれでも弱いままだった――。
地獄を見た自分よりも一回り、いや二回り若い少年を見て思う。
――僕にも、君ほどの力があったなら。
おかあさんを護れたのかな――。
「おか…あさん…。ごめん…ね――」
それが、ヤモリの最後の言葉だった。
579 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/10/13(金) 23:30:05.90 ID:J0CCH/ry0
直下コンマで瓶兄弟の判定をします。3以上で追撃されます。
580 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/13(金) 23:30:48.74 ID:me96x/P+o
はい
581 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/10/13(金) 23:30:48.77 ID:J0CCH/ry0
逆だ!3以下です!判定は下にずらしてください!
582 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/13(金) 23:32:43.19 ID:52/qOzkGO
どうなるか
583 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/10/13(金) 23:46:26.31 ID:J0CCH/ry0
コンマ判定:9 完 全 勝 利
「チッ…」
ヤモリの顔を貫いた鱗赫の血を拭い、体へと仕舞う。
「…なんでそんな悲しい顔をすんだよ…。クソが」
これじゃ俺たちが悪者じゃねぇか、とアサヤは呟く。
近くにいたはずのオカマ野郎は既に姿を消していた。
「えっと…。僕、すること無かったね」
「寧ろ無くて良かったよ」
カネキにはサポートを任せてはいたが、自分一人で終わらせられるのなら、それが一番良かった。
「さっさと行くぞ。追われてない今がチャンスだ」
「う、うん」
脅威が取り除かれたことに、後続の脱アオギリ組は心から喜んでいた。
その中でただ一人、アサヤだけは心に暗雲が立ち込めていた。
――なぁヤモリ、お前は奪われた側だったのかよ。
だとしたら、お前の怒りはたぶん見当違いだ。
いくら恨んだって、喪った物は帰ってこねぇんだぜ。
だから、割り切って生きてくしかねぇんだ。
過去を変えることなんか出来やしないんだからな――。
それが、アサヤが今までの人生で得た答え。
ヤモリの死が、彼らに与えた影響は――。
因みに、この脱走劇がアオギリ側に判明したのは次の日の早朝だった。
584 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/10/14(土) 00:12:20.75 ID:lm7MInEM0
場所は変わって『あんていく』。
店長を務める芳村と、裏方を務める四方、そして『あんていく』の庇護下にいる笛口リョーコが、準備をしていた。
『――本当にいいのですか?』
『はい。いざとなったら切り捨てて構いません』
『それだとヒナミが…』
『――ヒナミには、頼もしい子が付いていますから。トーカちゃんやカネキくん、アサヤくんが』
『だから、きっと私がいなくなっても大丈夫です』
『それに、私たちを救ってくれたアサヤくんに、死ぬ前に何かしてあげたいの』
『――できる限りのカバーはします』
『そこまで言われたら断れませんね』
『…!ありがとうございます…!』
――もしかしたら死ぬかもしれない。
死への恐怖、そして、アサヤの死の危険を想像したことにより呼吸が乱れるリョーコ。
豊かな胸に両手を当てて蹲り、念仏のように同じ言葉を繰り返す。
「大丈夫…。きっと大丈夫…」
あの人なら、きっと――。
呼吸を整え、二階で待つ二人の元に進もうとする。
だが、それはドアのノック音により中断された。
閉店しているのに、わざわざノックをする客がいるのだろうか。
無くはない、が、現実的ではない。
もしや捜査官が――。
と思ったが、この考えが一番あり得ないものだった。
まさか――。
そう思った瞬間、胸の鼓動が高鳴った。
恐る恐るドアに手を掛け、鍵を開ける。
開かれたドアの向こうにいたのは――。
「あー。ただいま戻りました。スタッフのアサヤと」
「スタッフのカネキ…です」
「オマケもいるぞー!」
「あ…あぁ…!」
涙が止まらなかった。
何故なら、ドアの向こうにいたのは。
彼女が夫と同じくらい、いやそれ以上に愛した、愛してしまった男がいたから。
――恋した時点で、女は等しく乙女になる。
恋した乙女はもう、止まらない。
「良かった…!」
涙を流しながら、リョーコはアサヤへと抱き着く。
女性からの抱擁など、産まれてこの方一度も無かったアサヤはひどく狼狽える。
「かっ、カネキっ、どうすればいいっ!?」
「さあ…?」
その後、二階から降りてきた二人からめでたく誤解されましたとさ。
585 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/14(土) 00:13:42.86 ID:CwlrVy2no
改めて考えると罪な男ってレベルじゃないwwww
586 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/14(土) 00:36:17.24 ID:mK96rDTG0
人妻って時点でな……いや、本人にも不幸な話ではあるんだが……
587 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/10/14(土) 00:39:49.91 ID:lm7MInEM0
「それで、どうやって戻ってきたんだい?」
普段の視線から察しが付いていた芳村は、すぐに誤解を解いていた。
――その上で、乗ってくるくらいには興味があるみたいだが。
「とりあえず見張りとヤモリを殺して、そのまま流れで」
「流石…としか言えないね…」
アサヤの実力は、SSレートの時点で分かっていた。
本局から派遣された捜査官すらも軽くあしらっていたのだから猶更だ。
しかし、あのアオギリからこうも簡単に抜け出してくるとは。
オマケの人たちも連れて。
流石に、これには芳村も苦笑するしかなかった。
「…うん、元アオギリの方たちはコンテナに移住してもらおうかな」
「…あの」
「なぁに、ちょっと食料が厳しくなるけど、そこは四方くんがどうにかしてくれるさ」
「…もういいです」
ニコニコ顔を絶やさない芳村と、諦めたような顔の四方が対照的だ。
「え…。つまり俺たちはこれで安全なのか…?」
歓声が辺りから出てくるが、深夜に騒がれるのはマズい。
アサヤは冷静に注意をする。
「人様の迷惑になるから…やめような!」
「アッハイ」
「それじゃ四方くん、彼らの誘導は任せたよ」
「…はい」
仕事が増えたからなのか、肩を落としながら歩いていく四方。
これで全て終わった。はずだ。
「んじゃ、俺も帰って毛布のお世話になりますかね」
窓を開けて飛ぼうとしたら、裾が引っ張られた。
「ん?」
そこには、赤面したリョーコの姿が。
眼を潤わせながら、リョーコは言う。
「…今からだとトーカちゃんたちに迷惑だから、アサヤくんの家に泊めてもらえないかしら…?」
「へ?」
アサヤの頭の中は、疑問符で埋め尽くされた。
588 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/14(土) 00:40:18.11 ID:sZvLqGiZo
こうかんど104の ちからって すげー!
589 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/10/14(土) 00:42:26.84 ID:lm7MInEM0
さあ、ドキがムネムネな判定の時間ですぞー!直下コンマが5以上で成功やで!
相手は未亡人:-1 突然のお願いで困惑なう:+1 女性耐性/Zero:+1
590 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/14(土) 00:42:59.15 ID:4CsshcDaO
うおおおお
591 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/14(土) 00:46:15.79 ID:sZvLqGiZo
ざわ…ざわ…
592 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/10/14(土) 00:55:17.10 ID:lm7MInEM0
コンマ判定:6 イッツターイムナーウ
「あ…えーっと…」
アサヤは芳村へと、視線で助け舟を出す。
しかし、芳村はニッコリと笑ってこう返した。
You、ヤっちゃいなYo。
アサヤは心の中で叫ぶ。某何とか太夫のように。
そもそも、止めるべき立場であるはずの人が煽ってくるのはどうなのか。
そんな考えが浮かんでくる。
だが、今の時刻は深夜2:00を過ぎている。
たしかに、彼女だけでは危険だろう。
いや、それでも彼女は未亡人だろう。ダメだ、ダメダメ。
と、理性が何とか抑えようとする。
しかし、それは最後の一撃によって無慈悲に葬られた。
「私、アサヤくんと一緒なら安心するんです」
「もう、一人になるのは嫌なんです…」
抱きしめられて、正常な判断ができなくなっているアサヤは白目を剝きながら肯く。
「…ハイ」
それが、(社会的な)死への片道切符だとも知らずに。
593 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/10/14(土) 01:12:23.41 ID:lm7MInEM0
家に戻り、敷布団を二つ用意する。
――因みに、敷布団の片方は来客用(カネキとか兄妹とかの)である。
その間、浴室からはずっとシャワーの音が聞こえてくる。
――落ち着かねぇぇぇぇぇぇぇ!
それがアサヤの胸中だった。
流石にアウトだとは分かっているので、決して一線は越えないし越えさせない。
だが、先ほど一回天に召したクソザコナメクジな理性が保つとは到底思えない。
それに、彼女が精神的なダメージを負っているのも分かっている。
冷やしていたコーヒーを一杯飲み干し、思案する。
どうすれば、このピンチを乗り越えられるのか。
兄貴に頼りたい気持ちでいっぱいだが、絶対に拒否される。
兄貴が解決策をホイホイ出すところを想像したくない、というのもあるのだが。
「ヘブライッ!?」
シャワーの音が止まった。
それから数分が経って、脱衣所の扉が開かれる。
そこには、着替えが無いので仕方なく貸した、ダボダボのパジャマを着たリョーコが立っていた。
マズい。アサヤは確信する。
そう一瞬で確信できるほど、目の前のそれは破壊力が高かった。
湯気が立ち上り、湿って色気を増した肌。
サイズが合わないが故に、大きく開いて少し見えている双丘。
これは俺には刺激が強すぎる、と半ば反射的にアサヤはそっぽを向く。
こういう時こそ、兄貴の精神力が心から羨ましくなる。
あの人なら真顔で、興味が無いので、とか言い出しかねない。
クスリ、と微笑みながら、リョーコはゆっくりと近づいてくる。
ああ、どうか生き延びてくれ。俺の貧弱なる理性くんよ。
その祈りは、届くのか――。
594 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/10/14(土) 01:18:53.31 ID:lm7MInEM0
これが(たぶんお泊り編)最後の判定となります。直下コンマ7以上で、その欲望は加速して、遂には危険な領域に突入します。
もうゴールしちゃってもいいよね…?:+2 クソザコナメクジ鋼の理性くん:-1 風呂上りの色気ぱぅわー:+1
595 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/14(土) 01:21:06.30 ID:ZmQdjO2w0
あ
596 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/14(土) 01:22:22.20 ID:+qz47qdRo
ホラホラホラホラ
597 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/10/14(土) 01:28:19.15 ID:lm7MInEM0
コンマ判定:7 そして、アサヤの未来は終焉へと至った…。
今日はこれで終了です。次回は土曜日(つまり今日)の夜10辺りを予定しています。もし無理だったとしても許し亭許して。
さぁ、盛り上がってまいりました。R-18な描写は流石にキンクリさせてもらいますね…。こ↑こ↓は全年齢板なので…。
遅くまでありがとうございました!お付き合いいただける皆様に只々感謝です!
598 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/10/14(土) 01:29:32.37 ID:lm7MInEM0
あ、コンマ判定は0ですね…。展開どないしましょ…。それでは皆さん、おやすみなさいです。
599 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/14(土) 01:37:34.12 ID:+qz47qdRo
おつー相変わらずのコンマ神に愛されたスレ
600 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/14(土) 01:40:39.02 ID:Ktj7w5/qO
おつおつ
601 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/14(土) 01:41:43.12 ID:sZvLqGiZo
乙
ヤモリの兄貴があっさりゾロ目退場してしまっただけでも衝撃的なのに、重ねてリョーコさんも攻略しちゃうとか…
まったくファンタスティックなスレだぜ!!
602 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/14(土) 01:46:22.59 ID:81CBg25KO
おつ
相変わらずコンマが荒ぶりまくりで安心したw
R版はみんなの心の中にあるからへーきへーき(暴論)
603 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/14(土) 04:29:55.30 ID:mK96rDTG0
乙
604 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/10/14(土) 22:37:23.40 ID:DPcvGbpz0
お待たせしました!今から再開です!正直展開が全く思いつかない(真顔)
605 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/14(土) 22:42:19.79 ID:mK96rDTG0
ノ
事後の妙に疲れた顔のアサヤをみて全員あっ(察し)となるかもしれん
606 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/10/15(日) 00:17:43.85 ID:aSWHpVb+0
毛布を頭から被り、姿を隠すアサヤ。
隣に座ったリョーコはそれをゆっくりと引き剝がす。
アサヤは戦慄する。
今までの彼女が出していた力ではない。
いや、実際には彼女の力はそこまで変化していない。
アサヤの心が気圧されて、力が出なくなっているのだ。
若しくは、心のどこかで期待しているのかもしれない――。
――なんだかんだで他人のことを気にするアサヤがするなどあり得ないのだが。
「…俺はそんなことしませんからね…」
辛うじて残っている理性が拒む。
だが、それは一瞬の抵抗だった。
「ん…」
「んぐぅっ!?」
脳が痺れるような、濃厚なディープキス。
超が付くほどのチェリーボーイのアサヤには、些か刺激が強すぎた。
そして、その時アサヤの中で何かが切れた。
「やんっ!」
「…あなたが誘ってきたからいけないんですよ」
リョーコは蠱惑的な笑みを浮かべ、答える。
「気にしなくていいわ。悪いのは私」
「愛する夫がいながら、娘とさほど変わらない男の子に迫ってしまった私なのよ」
それは、ある種の懺悔。
禁断の行為を為そうとしている、愚かな自分への罰。
だけど、一度火が付いたら止まらないのが乙女なのだ。
「…でも、ここまで来たからにはもう止まれないの」
「あなたは悪くない。だから、ね?」
まるで、子供をあやすような優しい抱擁。
もう、アサヤは拒むことができなかった。
――ごめんな、ヒナミ、兄貴、マシロ。
どうしようもない男だよ、俺は。
ここから、アサヤの記憶は途絶えた。
607 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/10/15(日) 00:43:27.88 ID:aSWHpVb+0
沈んだ日は、また昇る。
いつものように朝が来た。
だが、年季の入ったアパートの朝はいつものものではなかった。
「死にたい…」
上半身裸で体操座りをするアサヤ。
その隣には、ニコニコと微笑んでいるリョーコが。
そして周りには、10個を超えるほどの丸まったティッシュが。
死にたい、と言っていたアサヤだが、既に瀕死の状態だ。
――股間と心が痛い。
如何なる理由があろうとも、未亡人と寝た事実は変わらない。
どうしようもないクズ喰種として、周囲に認知されるであろう。
一番不憫なのはヒナミだ。
大好きな母親が、嫌っている男と肉体関係を持っているなど、地獄でしかない。
どう対応すればいいのかも分からないだろう。
――もういっそ殺せ。
そんな気持ちでいっぱいになる。
「…だけど、いつもはあんなに強気なアサヤくんがあそこまで甘えてくるなんて…」
「やめろぉぉぉぉぉ!」
無意識に押し込めていた醜態を思い出して絶叫する。
――今までアサヤは甘えてこなかった。
いや、甘えられる相手がいなかった。
兄はいつも忙しそうにしていて、両親は幼い頃に他界。
そんなアサヤが、未亡人の醸し出す母性に抗えるわけがなかった。
――とどのつまり、バブみには勝てなかったよ。
「うぉ〜いアサヤ〜。リョーコさんはいるのか〜?」
「オイオイオイ死んだわ俺」
死の宣告にも聞こえる同僚の声。
対抗策なんてあるはずがない。
グッバイクソッタレワールド。グッバイマイブラザーアンドシスター。
「あら、トーカちゃんじゃない」
いつの間にか、リョーコはドアを開けていた。
乱れたパジャマ姿で。
「…オイアサヤ」
「…ハイ」
「いっぺん死ね」
ああ、この世界は無情なり。
608 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/10/15(日) 00:48:32.70 ID:aSWHpVb+0
うーん…。何も思い付かねぇ!(ちほー)すみません、朝が早いのでこれで終了です。全然書けてない愚かな私に罰を…(プリン)
次回更新は来週の金曜でしょうか…。状況が変わったら報告に参ります。お疲れ様でした!(土下座)
609 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/15(日) 01:10:22.74 ID:EDw0XWxgo
おつおつ
R送りにならないギリギリまで書いてくれるなんて……
取り敢えずアサヤ爆発
610 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/15(日) 01:15:27.40 ID:/cql9O6/o
アアアアアアア!!! 乙
そういえばヒナミはアサヤのこと嫌いだったなw
えらいことになってきやがった…!
611 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/15(日) 02:37:05.81 ID:g1XoQRe30
乙
612 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/15(日) 03:43:44.38 ID:AulMxIanO
乙
アサヤだけが序盤に引っ越したのはこの日のためだった…?
613 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/15(日) 03:47:55.88 ID:x1xKmyIbO
イツキに比べれば9割殺しで済むからセーフでしょ(エトとマシロを横目で見ながら)
614 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/10/24(火) 13:54:51.11 ID:oeVhVgRDO
>>609
、無い頭で考えたから大変でした(ゲッソリ)
>>610
、ちゃんヒナにとっての地獄が始まるゾイ…。カネキチとイツキくんへの依存がマッハ(好感度的に)
>>612
、アサヤ超能力者説が浮上してきましたね…(してない)
>>613
、イツキくんもほぼ恋愛関係は詰んでる感じが…。エトはまだしもマシロが一番ヤバいですよ。
今週の金曜更新と言ったな、アレは嘘だ。今日の夜に更新できそうなので更新します!
ところで、今回の更新はイツキくんかアサヤァ!のどちらがいいでしょうか?
意見がありましたら、お書きください。予定としては、アサヤを少し進めてからイツキくんにジャンプします。
615 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/24(火) 14:32:19.73 ID:1934Rcgmo
予定通りでおけー
616 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/24(火) 16:06:08.75 ID:bUtBr2W8o
やったー!
予定通りでよいと思いますぞ
617 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/10/24(火) 17:43:15.27 ID:w4FzuvIW0
予定通りでどうぞ
618 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/10/24(火) 20:31:43.17 ID:PSB4EsaD0
お待たせしました!今から再開します!また、アオギリ対CCGが発生する確率が低くなっております(きっかけになるヤモリ昇天のため)
619 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/10/24(火) 20:47:40.87 ID:PSB4EsaD0
言葉の割に、そこまで手痛い攻撃は食らわなかった。
せいぜい、腕が一回吹っ飛んだ程度だ。
「だいぶ手加減したな」
「そりゃ…。そんなやつれた顔見たら躊躇するでしょ…」
トーカの言葉が気になって、鏡を見る。
「…誰これ」
「ほら、自分ですら分からなくなってるくらいだから相当だよ」
やつれたというよりは、もはやミイラである。
「…うふ」
死に掛けのアサヤに対して、つやつや卵肌のリョーコ
「対比が凄くて、アサヤが死人にしか見えない」
「…俺も正直生きてる実感がない」
未だに、アサヤの体には力が入らない。
アレによる股間の痛みと、精神的なストレスによる腹痛、その他諸々でアサヤの体はボロボロだからだ。
――リョーコさんヤバい、ヤバすぎる。
戦ったわけでもないのに、ここまで疲弊させたリョーコは、ある意味最強の喰種であった。
「…そういえばさ」
不意に、トーカが口を開いた。
「ヒナミのこと、どーすんの?」
アサヤの胃痛が加速する。
620 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/10/24(火) 21:21:32.84 ID:PSB4EsaD0
「そこなんだよなぁ…」
コーヒーを淹れて、二人に振舞う。
今の三人の関係はドロドロすぎて、ヘドロすら腐ってしまう。
愛する母親は、苦手意識を持つ従業員と不倫関係になっている。
今は気付いていないだろうが、このまま関係が続けばやがて気付かれるだろう。
アサヤとしては、それは避けたい事象だ。
だが、これで関係を終わらせるのも、それはそれでクズでしかない。
『あんていく』でリョーコが言っていた『一人は嫌』という言葉に、嘘は入っていない。
彼女も心細かったのだ。
突然、心の支えだった夫を喪い、娘と二人きりになった。
そして、自らの命の危機を救ったアサヤは、リョーコにとって眩しすぎた。
眩しすぎたが故に、その光に縋ってしまった。
アサヤ自身、リョーコが自分という存在に縋っているのは、一夜の中で理解した。
その上で、リョーコとの関係を終わらせられるほど、アサヤは出来た人間ではない。
――だから、俺は。
「…過ぎたことは、どう悔やんだって変わりはしない」
「なら、俺は受け入れる。どんなにクズと罵られようが構わない」
「今の俺にできることは、リョーコさんを、ヒナミを、皆を守ることだ」
「…それさえできなかったら、俺はクズ以下の何かになっちまうからな」
アサヤの顔を見て、トーカは険しい顔つきになる。
「ヒナミから嫌われても?」
「ああ。どんなに俺が嫌われようが、それが守らない理由にはならないだろ」
力強く言い切るアサヤに、トーカはこれ以上問い詰める気は無かった。
「…じゃあ、守ってあげな」
「…一番辛いのは、きっとヒナミだから」
トーカは、空になったコーヒーカップを流しに置き、外に出る。
「…分かってる」
アサヤの犯した罪は、許されるようなものではないだろう。
それでも、背負っていくしかない。
責任から逃げることは、最低な男がすることだから。
既に人としては最低だとアサヤは思っているが、そこだけは譲れない。
譲ってしまったら、今までの全ても無駄になりそうで。
「あなた…。ヒナミ…。アサヤくん…。ごめん…なさい…」
自分のしたことを思い出し、愚かさに涙を流すリョーコ。
アサヤは、座り込むリョーコの傍に近寄り、抱きしめる。
「リョーコさん一人で背負う必要もないでしょう」
「これからは、俺にも背負わせてもらいますよ」
「ごめん…なさい…!」
リョーコの涙が枯れるまで、アサヤは抱きしめ続けた。
621 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/24(火) 21:36:20.26 ID:uVtwCfu+O
ヒナミに好かれれば万事解決!
622 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/10/24(火) 21:44:23.58 ID:PSB4EsaD0
『天使』失踪から四週間が経過した。
警備が薄くなったと思ったら、今度は『13区のジェイソン』が死亡した可能性が浮上し、近場のここの警備が再強化された。
行動し難くなったことに、若干の苛立ちを覚えながら、車を出す。
今日の目的は、イトリさんの所への顔出しと、エトの仕事のアシスタントだ。
最近顔を出していなかったので、久し振りに顔を出して情報を入手しよう、という目的だ。
その思惑すら見透かされていそうで、気になるのだが。
今回はマシロには留守番をしてもらっている。
本人も、あまり迷惑は掛けたくないようで、素直に了承してくれた。
相手が女性だと知ったら、特攻をかましてくる可能性が否定できないことに恐怖を覚える。
――もう少し、依存性が和らげばいいんだけどね。
そんな思いが片隅にあるが、マシロが望むことなら受け入れるまでだ。
――俺の存在理由など、それ以外にないのだから。
車を駐車場に停め、いつものようにノックをする。
そしてドアを開けると、ワイン――血酒――が既に開けられていた。
「いらっしゃい、イツキン」
「…今日はもう少し熟成したもので」
「オッケー。まっ、勿体ないからこれも飲んどいて。サービスよん」
言われるがままに、グラスに注がれていたそれを口にする。
「…美味しい」
「それは嬉しい言葉だねぇ」
ニヒヒ、と笑うイトリをよそに思考する。
さて、どんな情報を貰うべきか。
623 :
◆BOjnShBY1I
[saga]:2017/10/24(火) 21:48:18.27 ID:PSB4EsaD0
>>621
、そうだよ(便乗)
直下コンマで、情報の量を判定しまっす。
1〜3:残念ながら…(目を伏せる)
4〜6:まあまあの情報
7〜9:あったよ!いい情報が!
0、ぞろ目:ヤバい(確信)情報が
00:???
624 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/24(火) 21:55:11.06 ID:uVtwCfu+O
ほい
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