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【スペース・コブラ】古い王の地、ロードラン
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以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[ saga]:2020/01/15(水) 05:37:47.56 ID:wifFd3Lt0
ベルカ「よせ!」
ヴオォーン!
コブラ!」
かの女神の腹めがけ、オーンスタインが雷の大槍を振り上げた瞬間、ベルカの手元から、紫色に輝く光線で形作られた円陣が放たれた。
回転しながら空中を直進した紫光の円陣は分かたれて、ベルカを除く全ての神々に巻きつく。
その拘束は神々から体の自由こそ奪いはしなかったものの…
バリバリッ…
オーンスタインからは、僅かな火花を残して雷の大槍を奪った。
コブラ「今のはなんだ?」
グウィンドリン「ベルカの禁則。人の世では沈黙の禁則と伝えられている、ソウル封じの術だ」
ソウル封じの術と聞き、コブラは自身に打ち込まれた王の封印に意識を一瞬そらしたが、すぐに見るべき修羅場へ視線を戻した。
術を封じられたオーンスタインには太陽の雷も癒しも生じない。右腕も治せず、手甲の隙間からは白いソウルが漂っている。
ベルカ「そこでじっとしていろオーンスタイン!そなたは既に囚われの身!」
ベルカ「月の君よ!貴女には禁則と共に因果応報も掛けさせていただいた!竜狩りが貴女を害するならば、竜狩りが深傷を負うでしょう!」
ベルカ「己の生命を蔑ろには出来ましょうが、忠義者を弑するなど貴女には出来ぬはず!」
月と太陽の女神「下がりなさい」
ベルカ「!?」
月と太陽の女神「ここに立つ者みなに命じます。下がりなさい」
ベルカ「……?…」
かの女神からは十全に距離を取っているベルカは、かの女神の真意をまたも取り損なっていた。
暗銀の残滅を持つキアランもかの女神からは離れて伏しており、得物も命に逆らって、手放していない。
オーンスタインには既に武器が無く、唯一の武器となるであろう拳では、因果応報に守られたかの女神の命を害することはできない。
例えキアランの脚から槍を引き抜き、それを用いるとしても、やはり因果応報を破ることはできない。
急行してきた銀騎士達が脱走者をみな捕らえ、再び繋ぎ止めるだろう。
考えを巡らせたところでベルカにはそれ以外の答えを見出せず、それは王家の子らも同じだった。
皆一様に静まると、かの女神は子を説く母のように柔らかく、しかし瞳に何も映さず、誰へともせず語りかけはじめた。
月と太陽の女神「ベルカ、貴女は何を恐れているのです」
ベルカ「…恐れ?」
月と太陽の女神「竜ですか?それとも私達?」
月と太陽の女神「外の世の有様ですか?地位の失墜ですか?」
ベルカ「…何を、話しているのですか?」
月と太陽の女神「それとも人が…闇が恐ろしいのですか?」
ベルカ「!」
月と太陽の女神「このアノール・ロンドは私の夫無きあと、私の末娘を捨て、私の息子を追放し、私の子供たちを封じてきました」
月と太陽の女神「それには私の夫の行いも含まれているでしょう。多くの英雄の犠牲と、罪無き者の罪を以って、行われたのでしょう」
月と太陽の女神「神の国は闇への恐れと共に生まれ、闇への恐れと共に生きてきたのでしょう。それは私も同じです。私達皆が闇を恐れているのです」
月と太陽の女神「何故なら闇とは我々だから。我々はみな闇を食み、闇を友としてきたのです」
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