【スペース・コブラ】古い王の地、ロードラン

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219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/05(木) 12:13:02.21 ID:sCrONZX4O
あけおめ保守
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/12(木) 15:54:47.50 ID:55hxxrqYO
忙しいのか…支援
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/17(火) 21:33:18.55 ID:TySI6MQy0



コブラが恐るべき真実の一端を掴んだ頃…





騎士「うーむ…」


鍛冶屋アンドレイが仕事場としている小教会の、裏口から伸びる石橋。
その石橋の先にある、重々しい城門に閉ざされた要塞の正面で、丸い騎士が唸っていた。
だが腕組みをしてあぐらをかいている騎士は、決して太っている訳ではない。
彼の着るフルプレートアーマーこそが、他と比べて明らかに特異であり、丸いのである。


ビアトリス「おい、そこの」

騎士「ん?お、おお!」


その丸い騎士に背後から声を掛けたのは、月光の蝶を倒し、あらかた森を探索し終わったビアトリスだった。
もっとも、森の最奥へと至る『鍵』を、彼女は得てはいなかったが。


騎士「貴公もこの門に難儀しているのか?」

ビアトリス「別にこの先には用はないが……貴公はなんなんだ?タマネギ?」

タマネギ「たっ……ちっがーう!このカタリナの騎士に向かって、しかも初対面というのになんたる無礼な!」

ビアトリス「す、すまない。悪気はなかったんだ。カタリナの騎士とやらには疎くてね。許してくれ」

カタリナの騎士「ふふん、分かればいいのだ」

ビアトリス「ところで、貴公はなぜこの門の前で唸っている?この先に不死の使命に関わる地があるのか?」

カタリナの騎士「私は不死の使命に興味は無い。だが不死になったからには、命ある限り見聞を深めようとは思っていてな。こうして旅に出ているのだ」

カタリナの騎士「戦っても死なないとあれば、冒険者冥利に尽きるだろう?ガハハハ!」


ビアトリス(酷い酔狂だな。使命も志も無く、ただの趣味に命を賭けるとは……)


カタリナの騎士「まぁ、その冒険も、この門が開かなければ終わってしまうかもなぁ」

ビアトリス「それならそれでいいんじゃないか?さして目指す物も無いのだろう?」

カタリナの騎士「うーん……でもなぁ…気になるし…」


ガコン!


ビアトリス「あっ」

カタリナの騎士「おっ!」



ゴゴゴゴゴゴ…ゴリゴリ…



222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/17(火) 22:57:50.20 ID:890YvTioo
キター
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/18(水) 01:20:14.74 ID:EcaQ8O7lO
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/17(金) 03:01:28.19 ID:Vob1EhVso
待ってるの
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/18(土) 23:14:05.61 ID:5VyRjDny0
俺も待ってるの
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/19(日) 00:59:02.70 ID:Cm3zmTyY0
まるで二人のやり取りに応じるかのように、要塞は城門を退けた。しかし、要塞は二人を歓迎している訳ではない。
二人のあずかり知らぬ場所で、あずかり知らぬ力が起こり、城門をこじ開けたに過ぎない。


カタリナの騎士「………」ジャリッ

ビアトリス「………」


その都合の良すぎる機に、悠々とかぶりつく二人では無い。
騎士は身の丈ほどもある長い鉄剣を構え、ビアトリスは杖の先に魔力を溜める。
そして案の定、城門の暗い口から、二匹の異形が飛び出してきた。



蛇人達「ギシェエエエエ!」



蛇の頭を持つ大男達は、手に持つ大鉈を振り上げて、二人に飛びかかる。

カタリナの騎士「むん!!」グシャア!!

一匹は巨剣に頭から叩き潰され…

ズバッ!

もう一匹はソウルの太矢に貫かれ、撃ち落とされた。



カタリナの騎士「むおっほっほ!他愛も無い!」

ビアトリス「いや待て!まだ死んでいない!」


頭骨を割られた方は、片目を眼窩からこぼしつつも起き上がる。


カタリナの騎士「おっ!?」


撃ち抜かれた方は、腹の風穴には見向きもせずに跳ね起きて、騎士の胴体に大口を突き立てていた。
鎧の分厚いプレートと、広く取られた内部の空洞のおかげで、騎士の身体自体は無傷だったが、それでも牙は深く食い込んでいた。


ビュン!!

カタリナ騎士「おおおおおおおおお!?」ビュンビュン!

ドカッ!

ビアトリス「はうっ!?」


蛇人の怪力によって振り回された騎士は、ビアトリスを跳ね飛ばし、諸共に城門へと放り投げられた。
要塞に入るという目的は達したが、今は喜ぶべき時ではない。


ビアトリス「ごほっ!ガハッ!」

カタリナの騎士「ええい!ここで死んではカタリナ騎士の名折れよ!貴公はこれでも飲んでてくれ!」

ズボッ

ビアトリス「むぐっ!?」


騎士は血を吐くビアトリスの口に、自前のエスト瓶を突っ込むと、彼女を脇に抱えて飛び起き、走り出した。
行先である要塞の中は暗く、何があるかも分からないが、引き返そうにも手負いの二匹が向かってくる。迷っている暇は無かった。

ガチャッガチャッガチャッガチャッ…

騎士の鎧が、一歩地面を蹴るたびに擦れて音を鳴らす。その音の合間に、蛇の気管支から漏れる威嚇音が混ざる。
無論、重い鎧を着込んでいる騎士は、威嚇音が段々と近づいている事に気付いている。しかし鎧の重さと手負いの魔女が、彼の脚を鈍らせていた。
もっとも、何も着ておらずとも、彼の鈍足に大した違いは無かったが。

カタリナの騎士「おおっ!?」

蛇に追いつかれる寸前、騎士は不思議な物を見た。石の足場に一本だけ掛けられた、長く細い石橋の上を、時折、巨大な鉄の塊が複数纏まって通過する光景。
騎士は、逃げ切れようが逃げ切れまいが、どちらにしろ詰みに追いやられていた事を悟りながら…

ドン!

蛇人の一人に突き飛ばされ、石の足場から落ちた。
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/19(日) 08:30:24.07 ID:KmpP89Nfo
タマネギ騎士たち死んでしまったん?
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/19(日) 14:22:53.79 ID:UrPfk96To
まぁ篝火近いし…(震え声)
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/19(日) 19:01:01.52 ID:Cm3zmTyY0
ザボーン!

カタリナの騎士「ぶほっ!はぁ、はぁ、た、助かったか…」


落下した先には、廃された貯水槽のような空間が広がっていた。
腐った水はタール状に濁っており、落ちた二人にそこそこの軽傷を負わせただけだった。


ビアトリス「すまんな。貴公のエストを使ってしまった…」

カタリナの騎士「ん?構わんよ。騎士として当然の事をしたまでだ。ガハハハ!」

ドパーン!

カタリナの騎士「!?」



蛇人「………」ピクッ…ピクッ…



二人の不死を追う異形の一匹は、迷いも無く足場から飛び降りた。
しかしその異形は片目の視力と脳の一部を失っていたせいで、着地の姿勢が取れず、頭からタールに突っ込んでしまった。
ぬかるんでいるとは言え、タールの下には硬い石畳がある。砕けた頭骨を更に砕けさせ、異形は事切れていた。

ビアトリス「………」

カタリナの騎士「あ、閃いたぞ」カチャッ

事の一部始終を見た騎士は手を叩くと、大の字に事切れた蛇人の上に乗っかり、剣を高く掲げた。
その直後に…


ズン!!

蛇人「オァッ!?」


降ってきた蛇人の尻穴に、騎士の特大剣が深々と刺さった。
当然、刃は内臓は尽く切り裂いており、蛇人は即死した。


ビアトリス「なんとえげつない」

カタリナの騎士「成敗!ふん!」ブン!!

どちゃっ

カタリナの騎士「ふー……さて、これからどうするべきか。貴公、何か策はあるか?」

ビアトリス「まずはこの泥濘から出る道を探そう。策を講じるのはその後で…」


ゴリゴリッ…


ビアトリス「? 待て、今の音はなんだ?」

カタリナの騎士「む、また来たか!」


石臼を擦るような音が、空間の何処かからビアトリスの耳に届いた。
二人は再び体勢を整えるが、音の主は二人の体勢を容易に崩すほど力を備えていた。


ドバッ!!


闇の中から飛び出した怪物の身の丈は蛇人の比ではなく、黒い金属の皮膚と長い尾、背中に備えた刺又状の大彫刻以外は、概ね人の形をしていたが、その人型の巨躯からは頭部と片脚が欠けていた。


ズガアァーーッ!!


怪物の得物は、自身の背中に備えられた彫刻と同じ形をした、黒く長い刺又であり、刺又は尋常ならざる膂力によって振るわれた。
一振りだけで騎士の特大剣は討ち払われ、ビアトリスの杖は叩き折られた。
そしてふた振り目が二人を襲った瞬間、二人の意識は途絶えた。


楔のデーモン「………」


刺又の窪みに二人の不死を嵌めたまま、怪物は廃された貯水槽の闇へと再び姿を消した。
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/02(木) 02:47:54.70 ID:S2RZQfLv0
ピンチやん
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 21:16:00.84 ID:rzQ7wWNBO
期待支援保守
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 03:34:10.61 ID:Q9eYSUEro
一気に読んだよすげえ面白い
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/19(日) 03:14:04.11 ID:FCEDN2IQ0
保守ー
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/19(日) 03:53:02.63 ID:nEYjaJThO
いいねえおもしろいわ
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/19(日) 20:06:39.84 ID:dJLY/tP3O
最高
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/02(日) 02:17:16.30 ID:ao9UHekK0
老人「わーーーっ!!」


ビアトリス「!?」ガバッ

カタリナの騎士「おおう!?」ガバッ



そして、二人が次に目覚めた場所は、各々の牢の中だった。
彼らを収監している牢は鳥籠状で、それらは一本の石橋を左右から挟み、間隔を開けて幾つかが吊り下げられている。
囚われている不死は四人であるが、うち1人は朽ち果てて動かず、うち1人は大袈裟に巨大な帽子を被った老人であり、残りの2人はついさっき、老人の怒声で目を覚ました。


老人「貴公らが騒がしくするものだから、思考に浸れんじゃないか」

老人「特にそこのカタリナの騎士殿!」

カタリナ騎士「!!」

老人「貴公のいびきには、甚だ閃きを妨げられたぞ。不死立つ前に、我欲に耽って腹を肥やしたのではないかね?」

カタリナ騎士「ぬ、ぬぅ……面目ない…」


老人「………」


ビアトリス「あっ!貴方は、まさか…」

老人「 今度は何かね?」

ビアトリス「いえ、間違いようもありません!貴方はかの大魔法使い『ビッグハット・ローガン』では!?」

カタリナの騎士「?」



老人「…………」



ローガン「大魔法使い、か……極めに至らぬ者にその名は合わんよ」



ローガン「ビッグハットくらいが程よいのだ。この未熟にはな」


ビアトリス「未熟だなどと…それでは私の立つ瀬がございません…」

ローガン「蓄えた知識に差があるにすぎん、はらからよ。所詮我らは探求者の身なのだよ」

ローガン「しても妙だな。貴公の帽子から見るに、どうせ私を師と崇めておるのだろうが、その探求者がなぜ魔法の心得無き者と共にいるのだ?数十年と誰も来なかった場所に、一度に二人も閉じ込められるというのはそういう事であろう?」

ビアトリス「それには訳が…」


カタリナの騎士「むむむむむ失礼な!魔法は使えんが奇跡は使えるぞ!この牢など屁でも無いわ!」


ローガン「待ちなさい。奇跡と魔法は力の形こそ似通っているが質は全く異なるものだ。それに貴公の『放つフォース』ではこの牢は開けられん」

カタリナの騎士「!? なぜ私が放つフォースを使えると!?」

ローガン「その者が何を使うかというのは、見ればおおよそ分かるもの。魔法防護という奇跡がある以上、我ら魔術師も神の業を知らねばならんのだ。ま、使えるかと言われれば、それは別の話だがね」


ビアトリス(奇跡もお知りになっているとは……それで未熟ならば私はなんなんだ…?)


カタリナの騎士「ぬぅー…」

ローガン「まぁこうして会ったのも縁だ。貴公、名はなんと言う?」



カタリナの騎士「むっ、そう言えば名乗りがまだであったな。私はカタリナのジークマイヤー。不死となったからには見聞を深めようと思ってな。こうして旅に出ているのだ」


ジークマイヤー「ん?……はて、どこかで同じような事を言った気がするなぁ」

ローガン「うむ、宜しく」ペコリ
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/02(日) 04:37:41.84 ID:ljWHQ9zQ0
待ってた
DLC2も来たことだしめでたい
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/03(月) 04:21:56.45 ID:dcSosHf10



三人の不死を捕らえた古城から遠く離れた、深い谷底。
そこには遥か太古を生きた竜達の骸と、それをついばむ青い飛竜共だけがあった。
陽の光は僅かしか差し込まず、何が飛竜で、何が飛竜の影かも、そこでは分からない。

ゴゴゴゴ…

飛竜「!」ピクッ

暗いゆえに、どこから揺れが近づいているのか飛竜共には分からない。
何が揺れているのかも分からない。
だが勘のいい幾つかの者共は、翼をはばたかせて谷底から陽光のもとへ飛び立つ。
敵意を感じ、戦闘体制に移行した仲間達を残して。


ドゴオォーーーッ!!!



貪食ドラゴン「ワギャアアアアアアアアアアアアアアアア!!」ガラガラガラ…

コブラ「ドラゴンライダーコブラ!ただい…わっぷ!口に泥がっ!」ペッペッ



飛竜共「ギャッ!?」



ズシイィーーーン……



臆病だった者達は幸いだった。
敵を迎え討つ事を選んだ者達は、谷の岩壁を喰い進んできた巨大な地竜にひき潰され、岩の地面に埋まってしまった。
谷底にはやはり、古い竜の骸と、それを喰う竜が残された。


レディ「ソウルを纏った髑髏に、大ビルと木の枝を巻きつけて釣り餌にするなんて、貴方の作戦の立て方も大分ここに染まってきたわね」

コブラ「こんな汚ったないモノにも舌なめずりするドラゴンがあっての事だ」ポイッ

大ビル「……」ドテッ ウネウネ…

コブラ「にしても危なかったぜ。黒づくめの魔女がドラゴンを消し炭にしてたら、今頃はまだ泥沼の中だろうな」



戦士「………」

ソラール「………」

コブラ「なんだ?いやに元気が無いじゃねえか?ありがとうの一言くらいあったっていいんじゃないのぉ?」

戦士「あんた……本当になんなんだ?どういう頭をしてたらこんな事思いつく?」

コブラ「楽しい事が好きなだけなんだ。今のはただのゲームさ」

戦士「ゲ……」

ソラール「……だめだ、理解できん」

レディ「ゲームって言葉が?」

ソラール「いやそうじゃなくて…」


グリッグス「な、なぁ、それよりいいかな?地上に出られたのは良いんだが、どうやって登るんだ?」

ラレンティウス「あ、ああそうだ!ここらにハシゴでもあるのか?」

コブラ「いや無いね。だがコイツを使えばなんとかなる」サッ


コブラ「ワイヤーフックだ」ピシュン


カーーン!


コブラ「よし。さ、俺に掴まってくれ」

戦士「なんだよそれ…」
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/03(月) 08:00:37.17 ID:P6GakXnWo
よくこんなのに乗る気になったな……
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/12(水) 09:49:21.29 ID:eXT9OF6OO
Tバック支援
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/13(木) 03:18:29.18 ID:fMt0zt8E0
一本の細い鋼線は谷底から伸び、コブラとレディが病み村への入り口として使った横穴の崖っぷちに刺さった。
ワイヤーのウインチは力強く駆動し、コブラ達を引き上げていく。
コブラの右足にはソラールが、左足には戦士が、左脇にはグリッグスが、背中にはラレンティウスが、掲げられた右手にはレディが、それぞれしがみついている。
しかし、不死達をまたしても驚愕させていたのは、黒騎士の大剣を保持するコブラの咬合力だった。


スタッ


コブラ「っかー!アゴが外れるかと思ったぜ!アウチチ…」

ソラール「ハハ…もうどこから突っ込めばいいのやら…」

グリッグス「君は……そんな物があるかは分からないが、胆力を高める魔法を習得しているのか?」

ラレンティウス「いや、コレは噂に聞く呪術『内なる大力』なのかも…」

コブラ「? なんの話かサッパリだな」

戦士「そんな事どうでもいいだろ?なんで強いかなんて関係ない。大事なのはコイツが強いってことだ」

戦士「さっさと行こうぜ。グズグズしてると下の大食い野郎が登って来かねないぞ」

ソラール「うむ。ひとまずは祭祀場に行こう。ここから行ける篝火の中で、あそこの物が一番近い」

242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/13(木) 08:18:28.91 ID:X12HY6hiO
待ってた
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/13(木) 08:26:43.03 ID:tjAOnzRFo
一番凄いのはウインチとワイヤーの気がするw
五人+ロボットと大剣て相当な重さ
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/13(木) 10:51:47.38 ID:hkBN//u/O
コブラだからで済んじゃうのがコブラ
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/13(木) 11:09:30.64 ID:tgJN50/A0
東京MXで再放送始まった
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/14(金) 00:59:08.68 ID:ZtOv7Aan0
ソラールの提案に従い、一行は祭祀場へ戻る。
祭祀場は一見すると何も変わっていないように見えたが、それも遠目に見た限りのものである。
少なくとも二つ、決定的な違いがあった。


レディ「!? なんなのこの臭い!?」

戦士「うわ臭えっ!なんだこりゃ!」

コブラ「俺たちが留守してる間にトイレでウンコしてそのまま流さなかったヤツがいるな」


一つは、祭祀場に漂う悪臭。
それも瑞々しい生腐りのものではない、埃を被り、年季の入った古い腐臭。
それは空気の流れに乗り、祭祀場の遺跡の奥から漂っていた。


ラレンティウス「俺が見てこよう。大沼より少し臭い程度だ。死にゃあしないさ」


呪術師ラレンティウスにとって、その悪臭は故郷に通じるところがあった。
臭いの出どころを確かめるという理由はあったが、孤独を好む彼も、永い旅の中に郷愁を見出していたのだった。


ソラール「おい見ろ!篝火が!」

グリッグス「なっ…まさか…」



二つ目の異変は、篝火の鎮火だった。



戦士「おいちょっと待てよ…こりゃねえよ…」

ソラール「火が消えている。誰がこんな事を…」

コブラ「水を掛けたヤツがいるってことか」

グリッグス「水を掛けたぐらいでは消えないが、それらしい事をやった者はいるだろう」

コブラ「それらしいこと?」


グリッグス「ああ。一つの篝火には一人の火守女がつく。その火守女を殺すか、それとも力を奪うかすれば、篝火は消えるんだ」


コブラ「なるほどねー……しかしおかしいぜ。篝火に用があるヤツは不死人だけなのに、その篝火を誰が消すってんだ?この地にいるのは俺とレディを除いてみんな不死人ばかりのはずだ。そんな中で火守女を殺したとあっちゃあ、殺したヤツ本人も面倒をおっかぶる事になるはずだぜ?」

グリッグス「そこなんだ……火守女を殺したとしても、得られる人間性は高が知れているし、エストの補給も出来なくなる。ソウルにも期待は出来ないはずなんだ……一体なぜ…」

戦士「クソッ!篝火下の牢を見て来たが、やっぱり火守女が殺されてやがる。ここはもう終わりだ……」

コブラ「下の牢に人がいたのか?そりゃあ気づかなかった」

ソラール「気づかんのも無理はない。宗教者達が主に火守女をロードランに送り、彼女ら全てが目を埋められた生娘達ではあるが、教義によっては、火守女は動くことも話すことさえも禁じられると聞く。少なくとも『白教』という宗派はそうだったらしい。遥か昔の、忘れられて半ばおとぎ話となっている物語によればな」

コブラ「酷い事をするもんだ。そんなんだからおとぎ話になるのさ」



ラレンティウス「ウオオオオオーーーーッ!!」ダダダダダ…



コブラ達が消えた篝火を囲んでいると、悪臭の正体を突き止めたラレンティウスが、必死の形相で走ってきた。
全身から漂う悪臭は、彼が止まった拍子にあたりにばら撒かれ、コブラ達は顔をしかめた。


コブラ「本当にひどい臭いだな。肥溜めでも近くにできたのか?」

ラレンティウス「そんな事言ってる場合じゃない!ここから逃げるぞ!」

ソラール「逃げる?なぜだ?」

ラレンティウス「口のでかい巨大な竜が奥にいるんだよ!臭いの元はそいつだった!」


悪臭に、でかい口に、巨大な竜。ラレンティウスの言葉に嘘は無かった。
しかし、彼に不死の使命に対する熱意がなかったからだろうか。焦りが言葉を飛ばしてしまったのか。それともその両方か。
言葉の真意は歪められて皆に伝わり、旅の一行は口に出さずとも理解した気になってしまった。
谷底にいる貪食な巨竜が飛竜共を食い尽くし、祭祀場にまで登り詰めつつある、と…
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/14(金) 04:18:01.95 ID:ZtOv7Aan0
その巨大な竜にとっては、思わぬことだった。
竜は人語を解し、話すことも出来る。
偉大な力に恵まれており、滅びぬ体と永い寿命を有し、王の時代すら見てきた。
そしてなにより、竜は竜ではなく、巨大な蛇だった。

ラレンティウス「ウオオオオオーーーーッ!!」ダダダダダ…




王の探索者フラムト「ま、待てい不死者よ。怯えるのは分かる。だがまずわしの話を…」





フラムト「………」


フラムト「やれやれ、行ってしまったわい。二つの鐘が鳴り、1000年の眠りから覚めてみれば、わしを起こした者があのような小心者とは…」

フラムト「望むべき不死の英雄なども、なかなか現れんということか」




「また竜か。しょうがない。さっさと移動するぞ」

「そうねコブラ。でもここから近い篝火って言ったら、あそこしかないわよね?」

「そうだな。たんまり殺したから霊も俺に纏わり付いている。武器の修理のついでにミソギといくか」

「そうか、教会近くのアンドレイがいる篝火か。あそこまでは確かに竜も来れんだろう」


石畳に開いた穴から首を出すだけの身であるため、蛇は去りゆく不死達を制止することができなかった。

声の様子からして、ここには不死の一団があり、彼らはコブラという男を中心に結束しているようだった。
それは探索者たる蛇に、この世界についての決定的な激変を再び思い起こさせる。
世界の大合一が起こる前、不死達はほとんど互いに触れ合うことなく、霊体として並行世界を行き来しつつ、儚く足掻くだけの者達だった。
例え眠りについていても、蛇は知っている。それが役割だったからだ。
そして今や、使命を帯びし者達は孤独ではない。闇に潜む霊達すらも。


フラムト「いや、やはりこの目覚めは、来るべき英雄の為なのかもしれぬな…」

フラムト「コブラ……今は声しか分からぬ者よ。わしはここで待っておるぞ」




コブラと呼ばれた男と、その仲間達の声は、足音と共に消えていった。
蛇は首を穴からもたげたまま、一時の眠りに就こうとした。
だが再び複数の足音が近づいてきた事に気付き、眼をまた開いた。






ソルロンドのペトルス「おお!素晴らしい!貴方が聞きしに伝わる『世界の蛇』であらせられるか!ささ、お嬢様。どうぞ謁見なされ。このような機会、幾度もあるものではございますまい」


聖女レア「…………」


ソルロンドのニコ「むーん…」


ソルロンドのヴィンス「うえっ…ひどい臭いだな…」


レア「こっ、こらヴィンス!控えなさい!失敬ですよ!」あわわ…



だが、蛇の前にはコブラと呼ばれそうな者など一人もおらず、声も聞こえなかった。
代わりに、なんとも間の抜けた、頼り甲斐のなさそうな一団がざわついており、蛇はため息をついた。

ヴィンス「うわくっさ!ごほごほっ!」

レア「もう、貴方という人は…」

そのため息に露骨な嫌悪を示した近衛の僧兵に、気品はあるが人への教養に欠けていそうな聖女が再び叱咤した。
しかしその声は小さく、叱咤というよりは、独り言に近い愚痴りであった。
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 20:50:33.82 ID:Mn0q2sEYO
待ってた
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 05:39:34.34 ID:1mfTIWGG0

レア「ご無礼をお許しください…私の護衛がとんだご粗相を…」

フラムト「わしは気にはせんぞ。礼節などという物は力の優劣を決めるための物だ。わしらは争わんのだから、礼節も要らぬだろう」

レア「か……寛大な御言葉、有り難く頂戴致します」

レア「あの、それでひとつ、お尋ねしたい事があるのですが、宜しいでしょうか…」

フラムト「うむ、よいぞ。何が聞きたいのだ?」

レア「その……注火の秘術についてなのですが、何処に向かえば…」


フラムト「なんと?」


レア「えっ」


フラムト「不死の使命を遂げるために来たのではないのか?」



レア「あっ、そ、その使命を遂げる者のために、篝火の火を強めエストを高める術を捜しているのです!それが白教のたまわる使命であり、我らに課された責務なのです!ですので、我らが不死の使命を軽んじているというわけでは、決して…!」

フラムト「ああ、分かった分かった。責めているわけではない。ただ思った答えと少々違ったのでな」

レア「………」ホッ…

フラムト「あの術ならば、神の敵対者たる邪神へと仕えた、太古の屍術師が編み出したと聞く。もっともその者はすでに滅び、名ばかりを継ぐまがい者が術を簒奪したがのう」

レア「詳しい場所は御教えになられないのでしょうか…」


フラムト「それはお主らが見出さねばならぬ」


レア「……そう、ですか…」

ペトルス「屍術師……お嬢様、もしや秘術は地下墓地にあるのでは?屍を操る者は、屍を求めるでしょう」

レア「そうですね……では、そちらに行くことにしましょう」


フラムト「行先は決まったかな?不死の旅人よ」


レア「はい、探索者たる貴方様の御言葉のお陰です。早速向かうことに致します」ペコリ


フラムト「うむ。お主に炎の導きのあらんことを」



先行きの不安な者達を送り出し、蛇はまたため息をついた。
ある一団は求めるも見えず、ある一団は望まぬも目見えた。
行先に暗雲立ち込めるのは、何も不死達だけではない。
あらゆる物がままならならず、決して定まらないのなら、世界の蛇といえど肩をすかされるのだ。


フラムト「鴉よ。お主も辛かろうて」ふふ…


蛇の含み笑いに、大鴉はカァとひと鳴きし、またも飛び去った。
死臭香り雪積もる、北の不死院へ向かって。


250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/18(火) 01:20:40.76 ID:VOoFu+FYO
世界が同じになったならリロイやタルカスもいるのかな?
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/28(金) 07:53:56.56 ID:sOoFyV980
カーン! カーン!

カイーン!



寂れた不死教会の階下から、鉄を叩く音が響く。
コブラから受け取った宝石の如く輝く石を用いて、鍛治職人のアンドレイが剣を打っている。
その手に握られた分厚い大剣が仕上がるまで、一行は鍛治部屋の真上に位置する篝火の間で、小さな炎を囲んでいた。


コブラ「この火にも火守女が付いているのか?」

ソラール「そのはずだ。ここが教会というのもある。多分、今はこの建物の地下にでも……」

コブラ「なるほどね。つまりコイツも殉教の炎ってわけか。宗教ってのはやたらと女の子を殺すから好きになれないね」

ソラール「…白教の信徒の前では、そういうことはあまり言うんじゃないぞ」

コブラ「会わないさ。ロードランは信じる者の足元を掬いにかかってる」ボボボ…


ズボンのポケットから出したキノコを篝火で焼き、程よく色味が変わったところで、コブラはキノコをかじる。
つられてソラールもエストを飲むが、その味は焼きキノコとは程遠く、人としての習慣をソラールに思い出させただけだった。
グリッグスとラレンティウスは炎を光源として、術書に目を通している。
そんな中、戦士は手持ち無沙汰になり、懐から取り出した黒い丸石を掌で転がし始める。

丸石には、教会近くの古城を見つめる、人の目玉が開いていた。
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/28(金) 09:25:57.43 ID:sOoFyV980

コブラ「で、その石っころはなんなんだ?剣に化けでもしたら森深くの岩に刺しに行ってやるぜ」

戦士「分からねえ。火守女の死体から転がってきたんだが、なんかの生き物みたいだ。気味悪いぜこれ」

レディ「ちょっと見せてくれないかしら?」


レディの提案に戦士は従い、石をレディに投げ渡した。
石の視線は変わらず、古城を指している。




レディ「うーん………見たところ目玉以外に異常はなさそうね。感触は滑らかだわ」


コブラ「……いや、確かにこいつはかなり気味の悪い代物だ」


レディ「えっ?」

戦士「もう何か分かったのか?」

コブラ「ソラール」

ソラール「なんだ?」

コブラ「火守女から視力を奪う方法、知ってるかい?」

ソラール「すまないが俺は詳しいやり方は知らない。白教には深く関わらんようにしているんでな」

ラレンティウス「待て、俺は聞いた覚えがある」

グリッグス「君がか?篝火は白教の範疇では…」

ラレンティウス「篝火は炎の中でも特別だ。炎を探求する俺たちにとっても篝火は神聖であり、探求すべき神秘のひとつなんだ」

ラレンティウス「聞いた話では、火守女の目を潰すには『蝋』を使うらしい。火守女の身体に宿る無数の人間性を、蝋を通して燃やし、守り、また取り込む為と言われている」

ラレンティウス「だが呪術王のザラマンが言うには、火守女に良くないもの見せないためとも……」


ラレンティウス「………」


ラレンティウス「………まさか…」


コブラ「そのまさかさ。この石は石なんかじゃなく、蝋で出来ている。この中に埋まっている目玉は火守女のものだろう」

コブラ「そして、これでどうやって目を潰したかも分かったな」


ソラール「…目に溶けた蝋を流し込み、眼球を包んだところで冷やし、固める…」

戦士「やめろよ…胸糞が悪くなる…」

ラレンティウス「………」


コブラ「だが問題はここからだ。こいつの視線から考えても、目玉に関わる『何か』は向こうの古城にある」

コブラ「そして、二つの鐘が鳴らされた後に、火守女が何者かに殺される事によって、コイツは現れた」

コブラ「そうすると、この目ん玉についてちょっとした疑問が生まれる」


コブラ「不死の使命に関わるものか」


コブラ「それとも罠か、だ」


253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/28(金) 14:29:29.73 ID:4W8CWas5o
目の潰し方エグいな……かぼたんカワイソス
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/20(土) 13:55:38.88 ID:ecAw2HtH0
待ってる
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/27(土) 07:41:45.88 ID:UFJ0a1hq0
ソラール「罠?」

グリッグス「この俗世と離れた地で我々を陥れて、誰が得をすると言うんだ?せいぜいいくらかの人間性とソウルを得られるだけじゃないか」

戦士「馬鹿だな。目的と手段が食い違ってるヤツもいる。ソウルも人間性も関係ない奴らだっているぜ」

グリッグス「…まさか闇霊どもか?例え罠だとして、彼らがこんな回りくどい事をするだろうか?」

戦士「回りくどさは関係ないんだよ。人に煮え湯を飲ませて喜ぶ連中なのさ、あいつらは」

コブラ「なぁその闇霊ってヤツ、赤黒い煙だか光だかに包まれていたりするかい?」

グリッグス「ああ、そうだ。でもどうしてそれを?彼らに会ったことがあるのか?」

コブラ「それっぽいのを何度か叩きのめした事があってな。もしかしてと思ってね」


コブラ「それに、そいつらが俺たちを……いや、俺をハメるっていうのなら、いくらか納得できるのさ」


グリッグス「…それは、どういう…?」

コブラ「教会の鐘を鳴らしに行った時、金色の鎧を着た男に一杯食わされてね。そいつが言うには、俺の命を狙う奴がロードランには居て、その鎧の男自身、俺を殺すために何やら暗躍するつもりでいるらしいんだ」

コブラ「つまりそいつの雇い主なり、懸賞金の出資元にとっては、俺は道を塞ぐどデカい岩ってわけだ。この場合は懸賞ソウルになるんだろうな」フフッ

コブラ「まぁ何にしてもだ。そいつらの狙いは大雑把に見積もっても、俺とレディだけってことさ」


グリッグス「………」


ソラール「…コブラ。まさか別行動を取ろうって考えてるわけでは無いだろうな」

コブラ「そのまさかさ。罠だった場合のことを考えれば、そっちの方が都合がいい」

戦士「な……なんだよそりゃ!?ここまで来て解散か!?俺はあんたの実力を当て込んで今まで付いて来たんだぞ!?」

コブラ「残念だが俺はおたくらが思うほど強くはない。大富豪で切り札を切ったところで、革命を起こされちゃひとたまりもないからな」

ソラール「大富豪?」

戦士「らしくねえよ…今まであんだけ強気でいたくせしやがって、そりゃないだろ…」

レディ「彼にも色々あるのよ。とっても長い話になるから詳しくは言えないけれどね」



ガチャーン!



ソラール「ぬっ?」

アンドレイ「出来たぞコブラ!あんな量の光る楔石を一度に使うなんざ久々だったからなぁ。時間食っちまったぜ!ガハハ!」

コブラ「ようやくお披露目か、待ちわびたぜ」フッ…

アンドレイ「こいつの斬れ味は今までとは段違いだ。そこらの亡者だったら押しつけるだけで斬れるだろうぜ。しかしあれだけの光る楔石をどこで手に入れたんだ?」

コブラ「病み村の沼底を洗いざらい掻っ攫ったのさ。宝石じゃないって知ってたらあそこまで熱心にはやらなかっただろうなぁ」


ソラール「コブラ」

コブラ「んー?」

ソラール「本当に一人で行く気なのか?」

コブラ「そのつもりだ。罠じゃなかったのなら一人の男がヘタを掴むだけで済むが、そうじゃないなら下手すると揃って地獄行きだ」

コブラ「それに二つの鐘を鳴らした結果何が起きたのか、俺たちはまだ何も分かっちゃいない。現状を把握するためにもここは別れるべきなのさ」

戦士「………」

コブラ「クラーグがちょいと口を滑らせてくれれば、俺たちも楽ができたんだがなぁ」


ソラール「……そうか。分かった。それならば貴公に太陽の導きがあることを願うだけだ」


コブラ「ああ、願っててくれ。行くぞレディ!」

レディ「OKコブラ!」
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/27(土) 09:13:58.91 ID:pbIjQEu8O
キター!支援
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/27(土) 10:56:13.11 ID:FjQagzF4o
別れるのか、そうか……がんばれ戦士
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/28(日) 00:36:38.21 ID:gZWls8TY0
篝火から離れたコブラとレディは、開かれた門の奥に影を落とした古城へ向かう。
その道程にはいくつかの血が擦られており、茶色く変色している。


コブラ「早速不穏だな。吸血鬼でも出てきそうだ」

レディ「冗談にしても笑えないわね」


門をくぐり、影を進んだコブラに、古城は第一の資格を送り込んだ。


ゴリリッ

コブラ「!」

ビュビュビュン!


コブラが踏んだ石畳は沈み込み、その動力を仕掛けに伝えた。
仕掛けはコブラの目の前に見える、階段の半ば程から三本のボルトを連射する。


コブラ「………」パパパッ


しかし、それらはいずれも蛇の手に捕獲されたのだった。


コブラ「舐めてもらっちゃ困るぜ、こちとら光速で飛んでくるプラズマを100ダースは躱してるんだ」

レディ「ナイスキャッチね、コブラ!」

コブラ「へへッ、このダーツで景品を当てに行くとするか」


ボウガンの三点バーストをいなしたコブラは、三本のボルトを握りしめ、歩を進める。
そして階段を登った先の、広く薄暗い空間に行き着いた。


コブラ「こりゃまた古典的だぁ」ハハ…


空間の手前側と奥側にのみ足場が設けられ、それを繋ぐのは一本の石橋。
その石橋の床面上をスレスレで通り過ぎるのは、複数本の巨大なペンデュラムの刃。
更に石橋の3メートルほど上にもまたしても石橋があり、どちらの石橋にも、蛇の頭を持つ者が陣取っていた。


コブラ「決まりだな。こりゃ確実に罠だ。だがこうまで露骨だとまるでアトラクションだぜ」

レディ「景品は出そうに無いわね」

コブラ「いーやぁ、まだ分からんさ」チャラッ…


コブラは手に持ったボルトを掌で転がすと、眼つきを変え、振りかぶった。


コブラ「ワンストライク!」ビッ!

蛇男「!?」

」スコーン!!


力強い投球フォームから放たれた一本目のボルトは、ペンデュラムをすり抜けて奥の蛇人の額を射抜いた。

蛇女「ゲッ!」

上の石橋に立つ蛇人は、予想外の攻撃にも反応し、掌から何かをうち出そうとするが…


コブラ「ツーストライク!」バッ!

蛇女「ギョエッ!?」スコーン!!


先の蛇人と同じく額を撃ち抜かれ、瞬時に絶命した。


コブラ「ツーストライクでバッターアウトか。メンバー不足で俺の打席に立つから悪いんだ」ニッ

レディ「コブラ、見て分かったのだけれど、この石橋を渡った先が上の石橋のようよ?振り子の刃の反動で登れないかしら?」

コブラ「そいつは名案だ。パパっと登っちゃいましょ」
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/28(日) 01:41:46.01 ID:IEvOSkjqo
>まるでアトラクション
ちょっとメタな視点でいくとプレイヤーにとっては本当にアトラクションなんだよなぁと思ってしまった
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/28(日) 09:17:17.52 ID:DzEJNhKxO
フレンドパークでしょ(誤差)
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/28(日) 16:35:57.29 ID:gZWls8TY0
ペンデュラムに跳びつき、生み出される推力を利用して上の石橋に跳び乗った二人。
石橋の上で早速始めたのは、死体漁りだった。


コブラ「蛇の頭に四本の腕に三本の波打ち刃か。古代宗教芸術史にこんな奴がいた気がするぜ」

レディ「この剣…」チャキッ…

ヒュン ヒュン


レディは蛇女の握っていたフランベルジュを手に取ると、その場で二、三度軽く振った。
炎とも例えられる大剣は、片手で振るには幾分重すぎる得物だったが、アーマロイドの腕力に掛かればまるで羽毛のように舞った。


コブラ「いけそうかい?」

レディ「この程度なら左手だけでも充分ね」

コブラ「そりゃ良かった」

レディ「あら?」

コブラ「ん?」

レディ「見てコブラ、あれってかなりいかにもじゃない?」


レディが指差した先には小部屋があり、宝箱と、そのすぐ後ろにある石積みの壁と、詰まれた石の隙間に紛れさせようと工夫された、小さい穴があった。
そして、小さい穴は宝箱を開けようとする者の額を、丁度射抜ける高さに穿たれていた。


コブラ「あーあ…一度破れた手を二度も打つかね普通」

レディ「どうする?私が先に行く?ボウガンぐらいなら私の体で弾き返せるわよ?」

コブラ「キミの体に当たったらボルトが粉々になる。ダーツの残弾は多い方がいい」


見え透いた罠にコブラは近づく。
宝箱を開けた瞬間に飛んでくるであろうボルトを入手するために。
だが思ったよりもボルトは早く飛んできた。


ガコン

コブラ「!」

ビュビュビュン!


仕掛けの起動スイッチは宝箱ではなく、コブラの足元の石板だった。
射出装置が発動するタイミングを計ったからこそ、そのタイミングを乱されたコブラはボルトを躱さざるをえなかった。
単純に反射を頼っていれば、こうはならなかっただろう。
ボルトはコブラの後ろに立っていたレディの体に当たり、弾かれて空間の闇へと飛んで行った。


レディ「フフフッ…してやられたってところかしら」


コブラはバツが悪そうに頭を掻くと、ため息をつきながら宝箱を開けた。
宝箱の中身は楔石の大欠片が二つだけだった。


コブラ「わざわざ宝箱にしまう程の物かねーこれは」

レディ「一応貰っときましょう?」
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/28(日) 18:55:03.85 ID:nnaxxMs7O
罠の餌にそんな上等なものを使う必要はないということか……汚いさすがフロム汚い
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/27(火) 03:07:29.26 ID:HcZEJIGs0


ジークマイヤー「うーむ…うーむ…」

ローガン「いつまで唸っておる。貴公の微力で開けられるなら、とっくに私が牢を破っているだろうに」

ローガン「もっとも、飽きてはいるがここに居るのも悪くはないのだがね。死ぬことは無く、人間性も留めていられるのだからな」

ビアトリス「……先生」

ローガン「…ふむ、すまないが私は君の師ではない。そう呼ばれるとむず痒く思うぞ」

ビアトリス「すみません…ですが、先生と呼ばせてください」


ビアトリス「先生は何故、門下の者達を置いて不死の旅に出られたのですか?皆がいれば心強いでしょうに…」


ローガン「門下の者達、か……あの者らは勝手に私についてきたに過ぎん。君のように私を真似て大帽子を被りはするが、君のように真摯ではなかった」

ローガン「彼奴らがソウルの矢と魔法の剣を修得し、何を想う?使命のためではなく、探究のためでもなく、それら魔法はもっぱら他者を下す為にのみ振るわれているわ」

ローガン「もはや真にヴィンハイムの徒と言えるのは、未熟なるグリッグス。それとは別にヴィンハイムから去り、自立した異端の者らのみだ」

ローガン「そしてグリッグスも、真摯ではあるが黒の正装を纏うには能わん。あの装束は血塗られている。彼奴は私に憧れ、己に実績を重ねる為に修練し、結果としてあの衣装を与えられただけの者だ。戦いには向かずその力も無い」


ビアトリス「…………」




ガコーン…




ジークマイヤー「ん? むむむ?」


ゴロゴロゴロゴロ…




ビアトリス「……先生、それでは私では…」

ローガン「君?キミは……ふむ…」

ジークマイヤー「こ、これは!この音は!」ゴロゴロゴロゴロ…!

ビアトリス「先生!」

ローガン「キミは…うむ……なかなか…」

ジークマイヤー「おおおおおおお!?この音はぁ!?」ゴロゴロゴロゴロゴロ…!!

ローガン「さっきから騒がしいぞ!少しは静かにしてられんの…」


ドドドドガッ!グワシャアアァーーーーッ!!


ローガン「か?」




ビッグハットが荒げた声は、石壁が爆発的に飛び散る轟音に掻き消された。
振動でそれぞれの吊り牢は僅かに揺れたが、不死達の視界は鮮明だった。


ゴロゴロゴロゴロ!!!

コブラ「のわーーっ!!?」

蛇人「」

ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ!!!


広大な密室を、大岩が破った。
大岩は砲丸の様に丸いが、その大きさは古屋ほどもあり、転がるそれには蛇人の礫死体と叫ぶコブラが貼り付いる。
その様子を、開いた大穴の奥からレディは心配そうに見つめていた。
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/27(火) 09:08:37.61 ID:ItGwOxuaO
なにやってんのコブラさん!?
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/26(水) 02:44:40.48 ID:gvkSOEYi0
コブラ再開おめ
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/28(金) 01:08:30.45 ID:XzXNhDAw0
ジークマイヤー「勝機!!」ガバッ


何事かを閃いたカタリナの騎士は勢いよく立ち上がった。
同時に、背中からツヴァイヘンダーを抜いてもいた。


ジークマイヤー「はぁーーッ!!」ギャリリィン!


ツヴァイヘンダーは、騎士を囲う吊り牢の隙間から火花を散らして突き出され、転がる大岩の進路上にその刃先を晒す。
特大剣を握る騎士の手甲に力が入り、その手には予想以上の衝撃が伝わった。


ガッキィィン!!


酒瓶が飲み口を強打されて回転しながら宙を舞うように、ジークマイヤーの入った牢は吊るす鎖をたわませて、勢いよく錐揉みに回転しながら不規則に大きく揺れた。
牢は強固に作られ、魔翌力さえ込められてはいるが、それをろくに手入れもされないまま何百年と吊り下げた鎖に、同様の耐久力は残されていなかった。
蛇人は石壁すらも磨かない。牢の戸が一度でも開閉できた事すら奇跡だった。

べキン! ガッシャーーン!

捻れた鎖の一つの輪が千切れ、騎士の牢は大岩が通った後の石橋に墜落する。
一方、コブラをめり込ませた大岩は勢いを僅かにすら崩さずに転がり続け…

レディ「あっ!?」

ビアトリス「あっ!?」

ローガン「おや?」


そのまま、石橋の端に開いた、城の外へと続く横穴から落ちていった。


レディ「コブラーッ!」


一方、カタリナの騎士はというと、牢の隙間から手足を出して石橋の上に立つところだった。
だが、彼に気を配る者はいない。


ガッ!


皆の目線は、横穴の縁に掛かった掌に集まっていた。
そして縁から這い上がるだけの力を残せた、赤い男の恐るべき胆力にも。



コブラ「全く薄情な奴らだぜ。同じ蛇だからって味方ごと潰すのは無しだろ」グググ…

レディ「コブラ!」

コブラ「よぉレディ。流石の俺もさっきのでメシを戻しちまったらしいぜ。出来れば助けてくれると嬉しいんだけど…」ハハ…

レディ「お馬鹿さんね!もちろん助けるわよ!」ググッ


ローガン「なんと…こりゃたまげた…」

ローガン「い…生きているというのか?……あれだけの衝撃を受けて…」


コブラ「ジェット推進機が付いた鋼鉄の義手でぶん殴られるのと比べれば、あんな大玉はカワイイものさ」

レディ「グズグズしてると次のが来るわ!はやくこの橋から出ましょう!」

コブラ「おっとそうだった。でもその前にやる事があるかもな」

267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/28(金) 06:40:10.49 ID:WvBu1wjDo
あれで戻ってこれるとかコブラさんすげぇ……
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/03(木) 22:53:44.44 ID:Cm4Psuiw0
石橋の左右に吊るされている牢には、現時点で三人の不死が囚われている。
そのうちの一人にはもはや意思はなく、身体を動かすための筋肉も思考も無い。
その者はソウルを溜め込んでいるだけの屍に過ぎず、だからこそコブラはその屍に目をつけた。

ダッ!

コブラは屍を捕らえている牢へ駆け出し、格子越しに屍に触れてソウルを抜き取ると…


ジャキィン!


ジークマイヤー「な、なんとぉーっ!?」

ローガン「これは…!?」


サイコガンを抜き…




ズオオォーーッ!!!




その強力無比なサイコエネルギーを銃身から迸らせた。




バゴォーン!! ズババーッ!!

放たれた威力はローガンとビアトリスを縛る牢の錠前を粉々に粉砕し、ジークマイヤーに絡まる牢をも破ると…

ドグワアァーーーッ!!

大岩が転がり込んできた横穴にぶち当たり、崩落によって大岩の侵入口を塞いだ。



ビアトリス(こんなことまで出来るのか…)

レディ「やるじゃないコブラ。ソウルのコントロールにも慣れてきたんじゃない?」

コブラ「まだまださぁ。じゃじゃ馬が過ぎて振り落とされそうだぜ。今のだけでもどっしり疲れた」


ジークマイヤー「き…貴公…その手はなんだ?…何をしたんだ?」

コブラ「なあにちょっとした演し物さ。コレで喰ってる大道芸人とでも思ってくれ」

ジークマイヤー「大道芸…」

ローガン「そんな言葉で惑わせられはせんぞ。見たところ義手に触媒を仕込んでいるようだが、そのような触媒も、先ほどのような魔法にも私は見えた事がない」

コブラ(鋭いじいさんだな。俺の左手を義手だと見抜くとはね…)

ローガン「貴公は一体何者であるのかな?」

コブラ「そうだなぁ……海賊、って言ったら信じるかい?」


ローガン「海賊?……そうか海賊か。ははは」

ローガン「確かに、それほどの術はおいそれとは教えられぬだろう。私がキミでもやはりはぐらかすか」

ビアトリス「いえ、彼の言葉に嘘はありません」

ローガン「ほう?」

ビアトリス「コブラ、貴公について知りうる限りを師に伝えたいのだが、構わないか?」

コブラ「OKだ」


269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/04(金) 10:11:21.65 ID:RAuQIgWQO
ビアトリスいてよかった
コブラだけだと話がこじれたかもしれん
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/11(金) 18:16:46.79 ID:kybEzBqc0
数分後




ローガン「」ガクガク…


ビアトリス「…という事でして、つまり、信じがたいことですが、このロードランの外には人の地の他に空間的、時間的、あるいはそのどちらにおいても無限の広がりがあり、その広がりに散らばる無数の次元から、このコブラはやって来たというのです」

ローガン「」ガクガク…

コブラ「それで本当に伝わってるのか?難しい言い回しをするから爺さんが混乱してるぜ」

ビアトリス「仕方ないだろう。私の口からでは惑星という概念すら上手く言えないんだ。大地が実を伴う巨大な球形で、それが重力だのを持ちながら互いに支えあい、空中に存在しているなど……自分で言ってても訳が分からない」

コブラ「でもこの爺さん、かなりの賢人ぶりで有名なんだろう?キミが言ってたんだぜ?」

ビアトリス「そうは言ったが…このお方なら分かると思ったんだ…」

ローガン「………」ブツブツ…

ジークマイヤー「何か呟いているぞ」

レディ「どうするコブラ?岩が転がってくる事も当分ないだろうし、放っておいても大丈夫なんじゃない?」

コブラ「だとは思うが、こっちとしても色々知りたいことがあってね。俺としては…」


ローガン「ふふ……ふほほほほほほ…」


コブラ「?」

ビアトリス「せ、先生…?」

ローガン「素晴らしい…! 礼を言うぞ…! ありがとう…! 本当にありがとう!」

コブラ「礼だと?」

ローガン「永らく考えていたのだ!ソウルの根源とその行方、生誕の由来を!無より生まれたのではない!持ち込まれたのだ!」

ビアトリス「先生なにを…」

ローガン「そうでなければ、神でさえ有限なこの世界で、普遍的なソウルと人間性の流れは生じない!双方にも力の根源が必要なはずだ!」

ローガン「そして恐らくその根源に際限はない!無限だ!我ら魔導の士は無限を探らねばならん!無限を探るのだ!それが宇宙だ!」

ローガン「コブラ!貴公は宙を行く船で宇宙を泳いだと言ったな!それゆえ己を海賊と!」

ローガン「その宇宙は深く、多くの惑星を収める深海であるのだろう!だが海がそれらを収めるなどあり得ない!海などくだらん魚しかおらんではないか!」

コブラ「そんなこと言われても困るぜ。俺は…」

ローガン「はっ!!?」

コブラ「!?」


ローガン「………」プルプルプル…


コブラ「………」


ローガン「そらだ!!!」


コブラ「………」



ローガン「宇宙は空にあ…!!」



ジークマイヤー「ふん!」ボグゥ!

ローガン「」ドサッ

ビアトリス「おい貴様!何をする!」

ジークマイヤー「ここは敵地!こんなに騒がれちゃたまらん!」

ビアトリス「………」
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/11(金) 21:39:57.66 ID:+j5uG0YFo
宇宙…悪夢…赤い月…青ざめた血…うっ、頭が
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/12(土) 06:57:01.83 ID:Bl7UmF/ro
ローガンさん頭よすぎひん?
まさか宇宙と書いてそらと読むとこまでちゃんと理解できるなんて
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/12(土) 07:01:03.46 ID:7LqCpRD0O
ジークマイヤーさんに殴られたらローガンさん死んじゃうと思うんですけど
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 16:12:30.43 ID:ijCzIJbbO
ローガンさん啓蒙高すぎィ!(だからすぐ発狂する)
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/13(日) 23:14:52.49 ID:dcY0oEoX0
コブラ「あらら…」

レディ「大丈夫なの?」

ジークマイヤー「峰打ちだ。私はカタリナの騎士だぞ?騒いだからと言って叩き斬る東国の騎士達とは違う」

ローガン「」

ジークマイヤー「…も、もしかしたら死んでいるかもしれんが、心配ない!死なんから不死なのだ!」

ビアトリス「先生が亡者にでもなれば、貴公、分かっていような」

ローガン「」ピクピク

ジークマイヤー「よ、よし!ほれ見たことか!」

コブラ「こりゃ痙攣だぜ。プレートで固めた拳で殴ったりするからだ」

レディ「もうめんどくさいわ。貴方がやったんだから貴方が担いでね」ポイッ

ジークマイヤー「ちょっ、お、おい」ドサッ

レディ「ついてくるんでしょ?文句言わないの。それに他に行くところもないのではなくて?」

ジークマイヤー「………う、うむ」



コブラ「あーあ、こりゃまた前途が暗いねー…」



負傷者を一人抱え、四人はコブラのワイヤーフックを頼みに、壁を進む事にした。
その様をコブラは「ターザン」と言い、レディは「スパイダーマン」を例に出したが、三人の不死には何も分からなかった。
一人は意識が無く、残りの二人には余裕が無かったのだから。


ゴオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

ジークマイヤー「だああああああああああああああ!!!」

ビアトリス「とっ、とめろ!!何やってる!!」

コブラ「ヒャッホーイ!」

ゴオオオオオオオオオオオオオオオ!!!




スタッ



コブラ「到着だ。シートベルトは外していいぜ。ところでここはどこだ?」

ビアトリス「訳もわからず飛んでいたのか!!?」はぁはぁ

コブラ「だってワイヤーフックだもぉん。地形をてっとり早く把握するには地形の最頂部に行く必要があるが、それをワイヤーでやるには壁を蹴って遠心力を生まなきゃならない。そのGに怪我人を背負った重装備のこいつは耐えられないぜ?」

ジークマイヤー「………」ぜーぜー

ビアトリス「何を言っているのか全然分からん!説明してくれ!」

レディ「タマネギは皮剥いて食べましょうって事よ」



ゴロゴロゴロゴロ!!



レディ「また大岩よ!」

コブラ「全くやんなっちゃうね!走れーッ!」ダッ!

ビアトリス「あーもうっ!」ダッ!

ジークマイヤー「ちょっ…ちょっと待って…」ダッ!

蛇人「ギ、ギャギャ!」ダッ!

ビアトリス「なんだコイツ!」

ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ!!
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/14(月) 13:56:44.39 ID:UNx4aqV2O
ジークマイヤーさんあの装備で身軽なアクションは無理があるな……
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/14(月) 13:59:34.16 ID:pNqhZZFmO
ジークマイヤーさんは玉ねぎ装備に隠れてるけど実は想像よりめっちゃマッチョかも知れない
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/15(火) 07:51:10.33 ID:ORM0W59C0
コブラ(マズったぜ、ここは下り坂だ!俺たちより岩の方が速い!)


一本の坂道を大岩が転がる。
坂道の右手側は石壁、左手側は崖であり、とても足場があるとは思えない。
コブラはカードを切るしかなかった。

ダン!

走り幅跳びの要領で跳躍後、空中で身を翻したコブラは…

ジャッ!

滞空中に0.5秒でブーツからマグナムを抜き…

スチャッ

0.5秒で構えを終えた。
大岩がジークマイヤーにおぶさるローガンの帽子を削り始める。
そしてマグナムは放たれた。


ガウーーン!!


ビアトリス「!?」


ドグォーーッ!!!


衝撃波に触れただけでも、対象に小型ミサイルの爆風と同等のショックを与える弾丸は、大岩を砕き、石壁に穴を穿った。


コブラ「くっそー、一発撃っちまったぜ」

ジークマイヤー「?…?…なんだ?天の助けか?」

ビアトリス「貴公、今度は何を…」

コブラ「おっと!そいつは後まわしだ!」

蛇人「シャーッ!」ババッ!


命を助けられたとも知らず、また多勢に無勢とも分からずに、蛇は一行に斬りかかる。
体躯は大きく、首が長いため、その蛇が男だという事をコブラは見抜き、さらにその無闇な攻撃性を行動から推察した。
そして頭の悪い怪力馬鹿を一瞬で黙らせる方法を選択し、タイミングを見計らうこともせず振り回した。

ゴォッ!!

ガギィーーッ!!

金属塊をも貫通するコブラの鉄拳は、巨剣を振るい、蛇男の大鉈を叩き折って突き進み…

グシャアアッ!!!

大岩に潰されようが潰されまいが、どの道そうなっていたであろう形を、蛇男の頭に与えた。
カウンターだった。


レディ「横穴があったわ!さぁみんな急いで!」

ジークマイヤー「あ、穴があったら入りたい…」

ビアトリス「そんな事言っている場合か!早く来い!」



道行く者を轢き潰す坂を抜け、五人は横穴に転がり込む。
通る瞬間に、一瞬だけ霧の抵抗を受けたが、手で掻くと抵抗はすんなりと彼らを受け入れた。
だがその感覚は、コブラにとっては不吉そのものだった。


コブラ「こりゃアスレチックなんてもんじゃねえな。健康ランドだ」

ジークマイヤー「はぁ、はぁ、こんなに走ったのは久しぶりだ…」

ビアトリス「その鎧脱いだらどう?この調子じゃ鎧は役に立たなそうだ」

ジークマイヤー「何を言う!この鎧は我が魂!脱いだらそれこそボンクラになるぞ!」

ローガン「………」ぐったり
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/15(火) 09:00:15.79 ID:5VfxndQ3O
脱いだらそれこそボンクラになるってそりゃまあそうかもしれないけど自分で言っちゃいますかジークマイヤーさん……
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/16(水) 00:34:23.47 ID:uUDFYGclo
このあと爆弾エリアだっけ
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/16(水) 09:43:45.25 ID:nFHYD3ER0
一行が入った小部屋には、侵入口の他にもう一本、石積みの壁と天井に囲まれた小道があり…

コブラ「!」ササッ

その先には蛇男が仁王立ちしている。
コブラは一度壁に隠れた後、侵入口付近に転がる、大岩のかけらを引っ掴む。
そして小道の正面を避けて蛇男に見つからないような角度から、力一杯小道の床に、大岩のかけらを投げた。

バガッ!

かけらは床の石畳にぶつかると、砕けて飛散し、即席の対人地雷のように小道にいくつもの鋲を打ち込む。

ドスドスドス!

蛇男「ゲッ!」ドサーッ

だが蛇男を倒したのは、石壁の隙間から飛んだ三発のボルトだった。


コブラ「おっと、何か仕掛けてあったようだな」

レディ「発動し終わったみたいだけど、どうするの?」

コブラ「再装填するほどの技術が無いことを祈ろう」



コブラを先頭に、一行は小道の片側の壁に背を着けつつ、先に進む。
だが人を一人背負っているうえ、背中と腹の他に色々突出した構造を持つ鎧を着込んだ男は、壁に寄ることが出来ない。
コブラとレディが抜け、ビアトリスも抜けると、彼らだけが小道に取り残される形となった。

ジークマイヤー「………」ずりずりずり…

だがジークマイヤーは、ローガンを背負ったまま匍匐前進をする事によって、トラップを最低限回避できる形で進んだ。

ビュンビュンビュン!

ジークマイヤー「………」ずりずりずり…

二人のすぐ上をボルトが三発飛んだが、被害は無いようだった。



コブラ「再装填ありか。壁の中に人がいても驚かないぜ」

ジークマイヤー「ふー、死ぬかと思ったわ」

ローガン「マジェスティック…」ボソリ…

ジークマイヤー「ん?」



小道を抜けた先はまたも小部屋だったが、粗末な机と椅子の他、出口もあった。
しかし出口の先が問題だった。

ドドーッ!

ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ!!!

ドドーッ!

ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ!!!


コブラ「………」

ビアトリス「………」

ジークマイヤー「………」

レディ「あらー…」



小道の先は棚田のように曲がりくねった坂道と、そこを絶え間なく転がる大岩と…

蛇女「………」

その棚田を見下ろす蛇女がいた。
大岩を一定の間隔で供給する機構は、精密に、そして果てしなく動いた。
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/16(水) 10:30:10.49 ID:Y1m/OA0Po
罠ありすぎぃ!
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/16(水) 10:33:20.17 ID:oQZI4T+Q0
どんどんミコラーシュ化しつつあるな
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/16(水) 13:32:18.07 ID:eoBnAwutO
鎧着て探検って大変なんだなと思わざるをえない
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/16(水) 14:19:24.59 ID:C1pOLhABo
代わりにダンボーを着せてあげたい
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/16(水) 16:18:58.35 ID:q1sr5L/1O
鎧着ても死ぬときは死ぬんだからダクソ世界は怖いな
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/16(水) 18:03:47.71 ID:t6Cz48rzo
>レディ「あらー…」

このレディかわいいなww
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/17(木) 00:41:58.45 ID:AFni3WQs0
コブラ「……はぁーあ、やれやれまたコレか」

レディ「芸がないなら無いなりに、打つ手はあったみたいね」

コブラ「しょうがない、ちょっくら走ってくか」

ビアトリス「えっ?」

コブラ「………」ダッ!

ビアトリス「なっ!?おい待てどこに行く!?」

レディ「止めなくても大丈夫よ。まぁ見てなさい」


仲間をおいて一人駆け出したコブラは、棚田状の上り坂を駆け上がる。
それを察知した蛇女は腕に力を込めると…

シュビッ!

掌から雷を放った。
だが雷がコブラのこめかみに刺さる瞬間、コブラは瞬時に身を屈めた。
さらに、その姿勢は跳躍に必要な『溜め』の動作にも繋がっていた。

ターン!

コブラが跳躍すると、今度は大岩がコブラの進路を殺しにくる。
しかしコブラの跳んだ方向は、垂直ではなく斜め上。
踏むべきものは壁だった。

ガッ!

石畳を蹴り、壁を蹴り、天井に両手の指と両足のブーツを減り込ませたコブラの『頭上』を…

ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ…

大岩は通過していった。
コブラは天井から離れて着地すると、また走りだし、大岩の供給源を突き止めた。


コブラ「ほーらやっぱり。どんなアトラクションにもスタッフはいるもんだ」


岩を坂に流すための広間には、中心に岩の受け皿と方向機が据えられ、壁の上部四辺からは、岩に推力を加えるための鐘つきが備わっていた。
そして何よりコブラをニヤつかせたのは、広間の天井に空いた穴から、巨大な影が大岩を降ろそうとしている光景だった。


コブラ「だが、この遊具は使用禁止だ。危ないからな」シャリン


タン!


コブラ「そりゃーっ!」ガキーッ!!!


ガラガラガラ…ガシャーン


コブラ「機械は故障。これにて閉園だ。あんたも休んだらどうだ?どうせ給料安いんだろう?」


影「………」




影「………」スッ

コブラ「そうそう、そうやって引っ込んでてくれ。たまには休まなきゃ」



黒騎士の大剣に仕掛けを破壊された広間は、静かになった。
レディが不死達を連れてコブラと合流する。


ビアトリス「この物騒な大仕掛けの数々……やはりこの城全体が一つの罠のようだな。拠点としての働きなど考えられていない」

コブラ「ああ。嫌な方の予想が当たっちまったぜ」

ビアトリス「予想?」

レディ「みんな、こっちに通路があるわ。先に進めそうよ」
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/17(木) 04:42:32.11 ID:M9QjU/uv0
ホントクオリティ高いな
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/17(木) 09:03:33.06 ID:RhBewvG2O
仕掛け壊されたら素直に引っ込むのか怪しい影ww
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/03(日) 13:40:05.41 ID:GP6D5wdf0
罠。ビアトリスの言葉は、まさしくこの城の全てを簡潔に表していた。
古城は食堂や倉庫、鍛冶場や練丹場、浴場などを欠き、それどころか住居として最低限持つべき食料そのものや、寝床と厠すら無かった。
中の造りは侵入者の迎撃一辺倒であり、打ち倒すべき対象には番兵たる蛇人達をも含まれているようだった。
一行はその蛇の巣窟ですらない死地を進んだ。
通路を歩けばボルトの嵐が襲い、落ちれば即死であろう細道の上はペンデュラムが守っていた。
それらを越えると蛇人達が押し寄せ、蛇人達を斬り伏せるとまた罠があった。
細道とペンデュラムと蛇女の雷の組み合わせは、ビアトリスの魔法のありがたみを、一層コブラに感じさせたほどだった。

身体能力に優れるコブラとレディはともかく、不死達はいくらか負傷し、その治癒にいくらかのエストを消費し、かくして一行は古城を抜けた。
正確には、古城の下層構造から。



コブラ「まだあるのかよ、いい加減飽きたぜ…」はぁー



暗所を抜けたコブラの見上げた先には、灰色の雲が積み上がった青空と、その下に広がる古城の上半分がそびえていた。
石積みの構造物はまたも複雑に絡み合い、各所に不穏な空気を漂わせている。


レディ「登るしかないわ。ここまで来たんですもの」

コブラ「憂鬱だなー。遊具に飽きたんだしおうち帰ってもいいだろ?ダメ?」

レディ「フフッ、だめね」


ジークマイヤー「うーむ…うーむ…」

ビアトリス「どうした、また唸って」

ジークマイヤー「エストを使い切ってしまったのだ…」

ビアトリス「人を背負って鎧まで着ているからだ。その鎧、本当に脱がなくていいのか?」

ジークマイヤー「そ、それは無理だ」

ビアトリス「人を二人担いでいるようなものだぞ」

ジークマイヤー「我慢すればいいだろう」

ビアトリス「………」


コブラ「なぁ、ちょっとばかしエストとやらを分けてもらえやしないか?」

ビアトリス「!? お、おい!これは限られた治癒の術だぞ!次の篝火までは補充も出来ないんだよ!」

コブラ「それは分かってんだよぉ。でも俺は不死人じゃないしここに来てからまともに水も飲んでないんだぜ?喉がカラカラだ。なぁ頼むよ」

ビアトリス「…まぁ、ろくに食べ物も無いのは確かだな…」

ビアトリス「仕方ない……一口だけだぞ」サッ

コブラ「ひゃー助かるぜぇ!」クイッ


コブラ「………」


ビアトリス「どうだ?」

コブラ「なんの味もしないな。飲んだ感触も無い。なんだこりゃ?」

ビアトリス「飲んどいて失礼な奴だな。不死人の味覚では結構な馳走だぞ」

コブラ「これがご馳走ねぇ…どういう味覚してるんだ?」

ビアトリス「食べたもの全てが口の中で灰になるようなものだ。故郷の味も忘れたよ」

ビアトリス「で、どうだ?喉は潤ったか?」

コブラ「それが全然」

ビアトリス「あぁ…貴重なエストを…」

コブラ「俺も残念だよ。あー腹減った…」


292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/03(日) 17:01:28.63 ID:9jnnFhwio
ビアトリスさんカワイソス
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/11(月) 03:44:25.52 ID:KiJ0g45S0
古城の上層階層は主に四つの要素で構成されていた。
広場と、通路と、階段と、石橋。
どの広場も焦げ臭く、全ての通路には血の跡。
あらゆる階段には炭化した何かが撒かれており、石橋という石橋には尽く手すりが無い。

そしてそれらに対してイレギュラーをもたらす存在がひとつ。



巨人「………」



ジークマイヤー「おお、あれは巨人か!」

コブラ「へへっ、ありゃあスタッフと言うより用心棒ってところかな?」

ビアトリス「古き神々の盟友か……しかし、なぜこんな所に…」


古城の最上部に建つ物見の塔から、巨人は一行を見下ろしている。縄を用いて鉄板を粗雑に組んだだけの面で顔は隠されていた。
だがコブラには巨人の視線がこちらに向いているのが分かった。7メートル程もあるであろう巨体を使って、何をしてくるのかも。
少なくとも仕掛けが壊れるまでは、別の巨人が別の場所で、大岩を仕掛けに供給していた。


コブラ「神の盟友ね…そんな大層な御仁がこんな所に詰めてるって事は、ここは『罠』ではなく『試練』だったって訳か」

レディ「金の鎧の彼は関係なかったみたいね。でもそしたら…」

コブラ「ああ。やはりこの旅は神々とやらにお膳立てされている。だがその試練の目的がまだ分からない。不死の使命を遂行できる英雄を選別するためなのか、それとも、この試練こそが不死の使命なのか…」


ザッ!


ジークマイヤー「!」


バルデルの騎士「………」シュッ!


コブラが思慮に耽っていると、一行が立つ踊り場の影、下へと続く階段から、赤いマントを羽織った亡者化した騎士が細い刃を振るった。
刃は、刃を持つ騎士から最も近い不死の首元へと向かって、空気を裂いて進む。

ビアトリス「!?」

コブラ「ムッ!」



ジークマイヤー「ふん!!」ババッ!

ガシィン!!ドシャアアーッ!


その突進は、総重量が160キロを超える塊の体当たりを受け、登ってきた階段の一番下まで弾き飛ばされた。
騎士が持っていた剣は、ジークマイヤーとの接触時に放り投げられ、空中で弧を描いて騎士の頭に突き刺さった。
この瞬間に騎士は事切れたが、不死の耐久性にどのような限りがあるか知らないレディは、念押しとして既に飛び後ろ回し蹴りを放っていた。

ドガァッ!!シャリシャリシャリゴォン!!ガラガラ…

レディの蹴りは騎士の肋骨を背中に触れるほど押し込み、騎士は鎧の破片を撒き散らしながら石畳をコマのように滑って、石壁に激突した騎士の死体は積まれた石を打ち砕いた。


ジークマイヤー「不意打ち卑怯なり!……というか、凄い力だな…」

レディ「それほどでもないわよ。どう?怪我は無い?」

ビアトリス「あ、ああ、大丈夫だ。すまない、手間を掛けて…」

ジークマイヤー「なあに、両手が塞がっていても戦えるのがカタリナの騎士。重い鎧も使いようだ」

レディ「コブラ、ここも安全じゃないみたいよ。先に進みましょう」

コブラ「………」

294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/12(火) 00:26:44.38 ID:lvpSzzBr0
>>266
「魔力」が「魔翌力」に化けてた
295 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/12(火) 09:56:14.49 ID:6nGPvzXTO
たまねぎさんカッコいい!
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/11(水) 00:38:52.44 ID:/C8M2c490
難産
297 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/11(水) 03:15:05.66 ID:a6gWW5h40
どれだけ時間かかっても大丈夫よ
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/15(日) 15:53:46.08 ID:p05zDUDs0
安全な場所はどこにもない。だが、その場にこそ求めるものはある。
果ての無い試練であれば、尚のことそうであって欲しいという願望は強まり、願望は足を進ませる。
敵が姿を現した、階段の先にさえ。


コブラ「それっ!」ブーン!

バルデルの騎士「グエッ!」ドカーッ!!


階段の先は袋小路だったが、そこにはもう一人騎士が潜んでいた。
しかし敵と相対した時の反射神経でコブラに適うはずも無く、騎士は咄嗟に構えた盾ごと特大剣で叩き斬られ、地に伏した。
そして自身の後ろにあった宝箱を一行の前に晒し、コブラは箱を開けた。


コブラ「そうだよ!これだよこれ!やっぱり宝箱にはこういうのが入ってなくちゃあなッ!」


ようやく求めたもの『らしさ』を備えた一品を拝めたコブラは、小躍りした。
その指輪は炎のように紅い宝石を讃え、石は鋭い輝きを綺麗にカットされた一辺一辺から発していた。


ビアトリス「炎宝石の指輪か……良いものを見つけたな」

コブラ「炎宝石?」

ジークマイヤー「炎宝石は炎を弾く石だ。騎士達の宝石とも呼ばれている」

コブラ「へえー…あんた意外と石に詳しいんだな。ここに来る前はヤンチャしてたクチかい?」

ジークマイヤー「はっはっは!宝石と聞いてヤンチャが浮かぶとはな」

ジークマイヤー「だが、あいにくそういう訳では無い。魔法の戦指輪を知ることは騎士たる者の嗜み。いや、義務なのだ。鎧も剣も盾も騎士の友であり、指輪も同じなのだ」

コブラ「ふーん…騎士の戦指輪ね。炎を弾くって事は、コイツを着けてりゃ火の海も歩けるのか?」

ジークマイヤー「流石にそこまでの力は無い。燈台の火を握っても軽い火傷で済むぐらいにするだけだ。溶岩なんて渡れば死体が残るだけだろうなぁ」

コブラ「よく分かった。死体が残るだけマシって思う事にするよ」



指輪を右手人差し指に嵌め、コブラは仲間と共に上を目指した。
皆鈍足なカタリナ騎士を気遣いつつも、階段を駆け、踊り場を駆け、石畳の上を駆ける。
行く手を阻む亡者はおらず、蛇人達も姿を見せない。だが表に出ないには、出ないだけの理由があった。


巨人「………」グオッ…


ただの大岩にしてはやけに丸い、砲丸と言って差し支えない大玉が、巨人によって掲げられた時、一行は脚を止め…

コブラ「戻れ!」

引き返した。そして一拍子遅れて…



ドオオオーーーン!!!



不死達が元いた場所は火の海に包まれた。
落とされ砕けた大玉は、炎と黒煙をあたりにぶち撒けた。
確かに指輪一つで凌げるようには見えないと、コブラは思った。


コブラ「無茶しやがるぜ。あいつこの城を壊す気だぞ」フフッ

ビアトリス「あの距離では私の魔法も届かない…打つ手無し、か…」

レディ「いいえ、あるにはあるわ。でも代償が要る」

コブラ「そこなんだよなー…誰か魂貸してくんない?弾丸でもいいけど」

ビアトリス「弾丸…?」

ジークマイヤー「いや、なんとかなるだろう」

ビアトリス「へ?」


ジークマイヤー「このカタリナ騎士、ジークマイヤーに秘策あり」フッ

299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/15(日) 18:12:53.06 ID:+TqjdNaAO
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/16(月) 06:31:02.49 ID:xwCzCUK20
依然として眠り続けるローガンを壁際に寄りかからせ、ジークマイヤーは威風堂々に歩き出した。
石畳を焼いた炎はすで沈静し、所々に燻りを残している。
その燻りの一つを踏み退けて、ジークマイヤーは大玉の着弾地点に立った。

ビアトリス「!? おい!気でも触れたのか!?」

ビアトリスは焦った様子で声を荒げたが、カタリナの騎士は巨人を見上げたまま動かない。
コブラとレディは静観しているが、事が起きればレディはジークマイヤーを引き戻し、コブラは無けなしのサイコエネルギーを放つだろう。
巨人は逃げも隠れもしない侵入者を訝しく思いつつも、やはり仰せつかった使命に忠実に従った。


ゴオオオッ!!


火薬を満載した大玉が、ジークマイヤー目掛けて飛んでくる。
レディは駆け出し、コブラはサイコガンを抜いた。


ジークマイヤー「フン!」バッ!


カタリナの騎士はタリスマンを握りしめ、大きく胸を張った。
彼のとった行動はそれだけだった。


ドオオオォォーーーン!!


レディ「!?」

コブラ「なにっ!?」


だが、それだけを行なった不死の全身から、爆発とも呼べる強烈な衝撃波が発せられた。燻る炎は掻き消され、レディは元いた場所まで押し戻された。空気中の埃や塵も巻き上げられ、ジークマイヤーを中心に大きな球状の無風地帯が形成された。
更に、衝撃波が撥ね除けたのはそれらだけではなかった。


巨人「むぉっ!?」


巨人は驚嘆した。
侵入者へ向け投げつけた火薬玉が、小男に投げ返されたのである。しかも、巨人には選択肢が無かった。
大玉の殻は薄く、受け止めれば割れて爆発し、撃ち返しても爆発する。避ければ作り置きされた残りの大玉に、眼前の大玉が直撃して爆発する。そして如何なる爆発も、全ての大玉を連鎖的に吹き飛ばすだろう。

巨人「オオオオオーーッ!!」

ゆえに、巨人は塔から飛び降りるしか無かった。


ドグワアアアアアァァァ!!!


物見の塔は粉々に吹き飛んだが、巨人は九死に一生を得た。
キノコ雲さえ立ちのぼらせる程の炎に包まれれば、巨人といえど跡形も残らなかっただろう。
巨人の判断は正しかったが、使命の完遂にはあまりにも不都合だった。

ズドドドオォン!!

巨人「むおお!?ふおおおお!?」ガラガラガラ…

城は遥か昔からあり、長年風雨に晒されてきた。
蛇人達に整備をするほどの知能は無く、巨人達は大きすぎて、重すぎたのだ。
城は誰からも顧みられる事無く、手入れはされなかった。
そんな古城に、飛び降りた巨人を受け止めるほどの頑強さなどは無かったが、泥の山のように崩れて、衝撃を吸収するくらいの耐久力は残していた。

巨人「おおおおおおおお!?」ガラガラガラ…

巨人はゆっくりと古城を削りながら滑り、鬱蒼とした森へと落ちていった。
不死達の体にソウルが流れ込まないのだから生きてはいるが、もう古城へは戻れないだろう。
登ろうにも、登れば崩れるのだ。



ジークマイヤー「見たか!これが騎士の奇跡!フォースの力だ!」えっへん

コブラ「スターウォーズかな?」

ビアトリス「まさか跳ね返せるとは…」

レディ「なんだかすごい事になったけれど、これ登れるのかしら?」

ビアトリス「わからん…」
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/17(火) 03:46:34.98 ID:NTTj+9fB0
崩れた塔は大量の瓦礫を吐き出し、瓦礫は城の各部を連鎖的に破壊した。
物見の塔から別の塔へと延びる石橋は断たれ、石畳は埋まり、または落ち窪む。
噴煙は収まり、跡には静かな積み石の山だけが残ったが、破壊されたのはあくまで物見の塔とその周辺のみ。
古城の大部分は健在であり、旅の行く先はまだ消えてはいなかった。


コブラ「なんとまあ随分と殺風景になっちまったなぁ」ガラガラ…

ビアトリス「正直言って、ここまでの事になるとは想像していなかっただろう?」ガラガラ…

ジークマイヤー「うむ」ガラガラ…

コブラ「奇跡って言ったか?神々の威光は少々ありがた過ぎたみたいだな。危うくこっちも立ち往生するところだ。よいしょっ」ガシャーン…

レディ「神に崩された塔って、まるでバベルの神話ね。でも敵もいなくなった事だし、生きてるだけで丸儲けと考えましょう」ガラガラ…

ジークマイヤー「バベル?ハベル神話ではないのか?」

レディ「?」

コブラ「この中に宝でも埋まってないかねー…これだけ歩いて指輪が一個だけって割に合わないぜ」ガラガラ…


不死達とレディがただ瓦礫を踏み越えるなか、コブラは未練がましく積み石をひっくり返しつつ、歩みを遅くしている。
元々明確な道筋や達すべき目標が示されない旅である以上、空腹である事も相まって、コブラは美女や宝といった褒美が無ければ戦意を維持できない状態にあった。



コブラ「ふぅー…」



そんないわゆる『元気のない』状態で、コブラ達は呆気なく古城の最終目的地と思われる部屋に着いてしまった。
その一室の上には本来物見の塔があったが、塔の崩壊により天井は消失している。
本来、別の塔へと続く石橋、物見の塔への階段、扉の無い霧のかかった門、狙撃兵に守られた横穴の、計四つの出入り口がその部屋にはあったが、石橋と階段は崩落し、狙撃兵は死んで埋もれ、霧を形作っていた門は崩落によって力を失ったのか、門の積み石から弱々しく白煙を漏らすだけだった。
そして、力を失った門の向こうには、壁の無い石造りの広場と、その奥地に建つ鉄の巨人像が見える。

何故コブラはため息を吐いたのか。
霧の先にあったものから、散々な目に遭ってきたからだ。


コブラ「今度の相手はアイツか……まったく分かりやすいぜ」

レディ「ジーク、ローガンは門の陰に寝かせておいた方が良さそうよ」

ジークマイヤー「うむ、そのようだな」スッ…

ローガン「………」グッタリ

ビアトリス「痛ましい……で、作戦はどうする?私の魔法もそろそろ使用限界が近い」

コブラ「作戦と言っても、敵の手の内が分からないからな。下手な考え休むに似たり。愚直に行くさ」

ビアトリス「愚直ね。分かったよ」


コブラ「………」スッ…



コブラの歩みが門を潜る。不死達もコブラの後に続く。
だが、些細なそれだけの動きも、攻撃の対象だった。




アイアンゴーレムは起動し、大斧を構え直すと、歩き始める。




像の起こしたアクションはコブラの予想の範疇にあったが、その歩みがすぐに止まったのを見て、怪訝に思った。
そして、侵入者を遠くに見据えたまま、何故大斧を振り上げるのかも。


コブラ「おっと、こりゃヤバい」


飛んでくるのは大斧だと思った。
しかし、アイアンゴーレムは更に予想を上回った。

302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/13(月) 17:11:43.06 ID:Cnwxt8h4O
待ってます
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/14(火) 03:33:42.47 ID:eW3zdmjH0
ブオーーン!!!

大斧が風を斬る。


コブラ「避け…ありゃ?」


しかし、大斧は飛ばない。
巨像は握った得物をただ振るっただけであった。
少なくとも、誰しもにそう見えた。


ユラッ…


コブラの眼前の空気が揺らめく。
声を上げるには既に遅すぎて、避けるにしても、その揺らめきは大きかった。


ゴワッ!!!!


レディ「えっ!?」

ジークマイヤー「おおっ!?」


コブラは大剣を用いて辛うじて直撃だけは防いだものの、その両脚は宙に浮き…


コブラ「ぐふっ!」ドドォーッ!!



石壁を破る勢いで、背中をしたたか打ちつけた。



ジークマイヤー「なんだ今のは!?放つフォースか!?」

ビアトリス「い、いや、そんな気配は何も…」

レディ「大丈夫コブラ!?立てる!?」

コブラ「お、俺の事はいい…それより気をつけろ…次が来るぞ」


レディがコブラを介抱する瞬間を隙と感知し、アイアンゴーレムはまたも大斧を振り上げる。
刃の欠けた斧は太陽の光を反射して異様にぎらつき。その鋭い輝きは、コブラの眼には剥き出しの殺意に映った。



ボッ!!! ボッ!!! ボッ!!!



大斧は今度は三度振るわれ、空気を破る音も三度鳴る。
不死達の前にまたしても揺らぎが現れたが、揺らぎは大きく分厚く、そして鋭かった。


バチュン!!


身軽なレディは、コブラを肩に担いで揺らぎを飛び越す。


ジークマイヤー「ふんおおお!!!」ドゴォン!!!


カタリナの騎士はフォースによって揺らぎを大きく削ったが、残る風に鎧を撫でられ、大きく体勢を崩した。


ボゴオォーーーッ!!!


最も大きい被害を被ることは、硬い鎧も身軽な体捌きも持たないビアトリスにとっては必然だった。
幸いにして良い眼を持ってはいたが、それも辛うじて命を繋いだだけにすぎない。


ビアトリス「ぐ……あっ…」


眼前が揺らいだ瞬間に飛び退いたことにより即死こそは免れはしたが、ビアトリスは深手を負った。
右足首から先を削ぎ飛ばされた彼女の戦術からは、回避という選択肢が消えてしまった。
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/25(土) 21:51:09.15 ID:JH2xK5bP0
ビアトリス「………」ハァハァ…

ジークマイヤー「貴公、脚を…!」

ビアトリス「これぐらい平気さ…エストを飲めばなんとかなるよ…」


ビアトリスは息も絶え絶えに強がって見せたが、それは嘘だとジークマイヤーでさえ気付くことが出来た。
彼女がエストを飲むと切り飛ばされた足先は灰となり、再び彼女の右足首に纏わりついて形を成したが、接合は不完全であり、傷口からはすぐさま血が滲み始めた。
辛うじて立ち上がる事は出来る。しかし回避だけでなく、ビアトリスは回復という選択肢をも失った。


ビアトリス「貴公はあの像をとにかく斬りつけろ…私はここから魔法を放ち続ける…」

ビアトリス「…他に手は無い。行け」

ジークマイヤー「しかし…」

レディ「ヤケを起こすのは早いんじゃなくって?」ササッ


そんな覚悟を決めかけた彼女をレディは小脇に抱えて、ジークマイヤーの前に立った。
レディのそばに、負傷したであろうコブラの姿は無い。


レディ「なっ、おい、離せ!足手まといはごめんだぞ!」

レディ「わがまま言わないの。しょうがないでしょ?」

ジークマイヤー「き…貴公、コブラはどうしたのだ!?」

レディ「コブラ? ああ、彼ならあそこにいるわ」



レディの視線を二人の不死は追い、そしてアイアンゴーレムのすぐ足元に眼にした。
脇腹を抑えながらも、しかし力強さを感じさせるその立ち姿を。
特大剣を握る右手には力が溢れ、剣の切っ先は石畳から離れていた。


ジークマイヤー「む、まさか…!」

レディ「ビアトリス、私が貴女の脚になるわ。彼を支援するのよ」

ビアトリス「そういう事か。分かった」



グン!!!


眼前の侵入者を叩き潰すべく巨像が斧を振り上げる。上体を反り返すその渾身の一撃を、コブラは待っていた。
必殺の間合いに獲物が寄れば、間合いを持つものは必ず必殺を狙う。
そんな悪党どもの足元を文字通り掬うのだ。


ブーン!!!

巨大な鉄塊は…

コブラ「………」ササーッ!

地を滑る蛇の頭上を抜け…


ゴオッ!!


蛇の大牙は…


ガァーーン!!


巨像の足首を捉え、股の間を抜けた。
手応えはあった。だがあり過ぎた。


コブラ(腕にジーンとくるぜ。戦艦ぶっ叩いたみたいだ…)


黒騎士から奪いし特大剣の威力は、しかし鉄の像に全て受け切られた。
巨像は股下を潜った小虫を踏みにじるため、今度は脚を上げ、降ろした。
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/25(土) 22:10:46.48 ID:IWnP1aAhO
剣でどうにかなんのかこんな化け物……
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/27(月) 05:17:20.05 ID:vx9J4ulM0
先の衝撃に内臓を痛めたコブラだが、鈍重な踏みつけを貰う程には弱っていない。

コブラ「!」

しかし、やはり援護射撃は有り難かった。
少なくとも少しの間、疲れた身体に鞭打つ必要が無くなるのだから。


シュドン! バスッ!


ソウルの太矢の狙いは精確で、巨像の体格に比しても小さいその頭にも、ビアトリスは連続した小爆発を次々と与えた。
レディに小脇に抱えられているため見た目は少しあれだが、その隙にコブラは巨像の背後に回り込む事に成功する。


タッタッタッタッ…


ジークマイヤー「ふーん!!」ブオン!


ガギィッ!


ビアトリスの魔法に続いて、ジークマイヤーも助走をつけて巨剣を振るい、巨像の脛に渾身の一撃を叩き込む。
金属同士の鋭い衝突音が響き、その音はジークマイヤーの脳裏に微かな勝利の予感をもたらした程だった。
だが、その一撃は巨像からの攻撃の呼び水にしかならず、そしてその矛先は…


ブオッ!


ジークマイヤー「おっ…」

ビアトリス「逃げろ!掴まれる!」


ジークマイヤーに掌として向かい…


ジークマイヤー「おろっ?」チッ!

ビアトリス(えっ?)


ジークマイヤーの頭上を掠め…



コブラ「!?」ガシィッ!



巨像自身の股下を通り抜け、巨像の背後にいたコブラに終着した。
その様子は滑稽とも言え、コブラに極めて古い地球の民俗学的知識を想起させた。
烏に睨まれた者には災いが降りかかる。それを逸らすため、睨まれた者は自身の股下から烏を睨む。
その姿勢で烏に向かって石を投げれば、災いから逃れられるという。


コブラ「ちょ、ちょっと待ってくれ!毒蛇投げるなんてカラスが可哀…」


ブオオオーーッ!!


突如突風の中に晒されたコブラは、ジークマイヤーに向かって一直線に飛んで行き…

ジークマイヤー「うげぇ!」ドガーーッ!!

彼を巻き込み…

レディ「コブラ!」サッ!

ビアトリス「痛っ!」ドテッ


バスーーン!


レディに受け止められ、ようやく止まった。
急に石畳に落とされたビアトリスは腹を痛め、コブラとジークマイヤーは全身を痛めた。
旅の一行は元いた場所に戻され、全員が負傷した。
四人の元へ巨像が近づく。
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/29(水) 19:05:57.35 ID:Rmrhqz4a0
ビアトリス「大丈夫か!?」

コブラ「大丈夫じゃないよまったく…あんたはどうだ?」

ジークマイヤー「む、無理だ…もう動けん…エストも空だ…」

ジークマイヤー「貴公は…?」

コブラ「そうだな、ほうれん草があればすぐにでもアイツを倒せるんだがね。掴まれ」サッ

ジークマイヤー「ハハ…またわけの分からんことを…」ヨロッ


力無く笑ったジークマイヤーは、コブラに肩を貸されてよろめきながらも立ち上がる。
レディはビアトリスを再び担ぐ。


レディ「コブラ、彼をお願い。私は彼女と一緒に巨人を食い止めるわ」

コブラ「分かった。なんならそのまま倒してもらっても構わないぜ」

レディ「それは貴方に譲るわ。来たわよ」



ズーーン!



石畳に足を減り込ませ、巨像は一行の前に立った。
コブラはジークマイヤーを壁際に休ませるため、巨像から離れる。
それを追撃しようと巨像が身構えると…


ボボン!


巨像の頭部に魔力の爆発が生じた。巨像は破壊目標をレディとビアトリスに切り替え、即座に反撃する。


ブオォン!!


レディ「………」サッ


バフォーッ!!


レディ「………」バッ!


矢継ぎ早に繰り出される鉄塊の連撃を、レディは大きく余裕を持って回避する。
振り下ろしにはバックステップ。横降りには跳躍で対応した。
だが巨像には近付かず、一定の距離を保った。


レディ「だんだん慣れてきたわ。そっちはどう?」

ビアトリス「良い感じだよ。おかげさまで」シュイーン!


ボン! バシィーン! ボォン!


攻撃の役割はビアトリスが担っているため、レディが攻勢に回る必要は無い。
ビアトリスは回避をせずして好きなだけ魔法を巨像に叩き込めるため、彼女の攻撃は全て巨像の頭部に集中する。
二人は確かな手応えを感じていた。巨像の頭部からはカケラの一つも落ちてはこないが。


レディ「良い感じだけれど。効いてるのかしらね」ササッ

ビアトリス「そのはずだ。そうでなくては困る」シュイーン!


ボボン!


ビアトリス「あっ…」

レディ「?」

ビアトリス「ここまでだね…魔法を使い切った」

レディ「あら…」
308 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/29(水) 19:23:05.98 ID:Rmrhqz4a0
コブラ「様子が変だ。なんで魔法を撃たないんだ?」

ジークマイヤー「回数が来たんだろう。奇跡も魔法も無限に振るえるわけでは無いからな」

コブラ「世知辛い話だなぁ」フフッ

ジークマイヤー「随分余裕そうだが、貴公は分かっているのか?窮地なんだぞ?」

コブラ「分かってるって。だからこそ笑うのさ」

ジークマイヤー「わら…なに?」

コブラ「まぁ見てな。ちょいとばかし命を懸けてくる」ザッ…



ザッザッザッザッ…



309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/29(水) 19:43:17.76 ID:ZGp/e3EA0
遂に抜くのか
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/29(水) 20:19:25.37 ID:Rmrhqz4a0
レディ「膠着状態ね…そろそろコブラと合流したいところだけど…」


レディ「!」サッ


ガゴーーン!!!


レディ「そうもいかないみたいね」

ビアトリス「ちょっと酔ってきたよ…あんまり身体を振り回さないでくれ…」

レディ「片手で持つには脇に抱えるしか無いのよ。両手が使えたら貴女を背負えるのだけれど」


二人は攻めあぐね、逃げあぐね、徐々に詰まりつつあった。
アイアンゴーレムは戦法を切り替え、斧の振り回しではなく、素手による素早い突き下ろしを攻撃の要としている。
レディが一歩でも歩けば、巨像はそこへ向け即座に鉄塊を打ち降ろす。巨像の動きは単純だが、それゆえレディは身動きが取れなくなって来ていた。


ゴッ


そんな緊張した場を破ったのは、アイアンゴーレムの頭に当たった一個のブロックだった。
もはや脅威ではなくなった二人を放置して、巨像は振り向き、石を投げたであろう男に向かって歩を進め始める。
コブラは、石橋を失った塔を指差しながら、得意の軽口を口から出るに任せた。


コブラ「よぉ、へへへ、怒らせちまったかな?」


ズーーン!


コブラ「まぁ来てくれよ。ここからの眺めは最高だぜ」


ズーーン!


コブラ「もっとも、おたくはもう見飽きたかな?」


ブォン!!

ドガァーーン!!!


コブラに数歩近づき、巨像は斧から風を放った。
コブラのいた石畳は粉々に粉砕され、辺りに岩塊が散らばる。


コブラ「ヒューあぶねえ。それはYESってことか?」


しかし、コブラは斧が振られた瞬間にその場で跳躍し、直撃を避けていた。
いくらか破片を喰らいはしたが、それもかすり傷の範疇だった。


ブーーン!!

ガキーーン!!!


巨像は更に数歩近づき、今度は斧をコブラの脳天めがけ振り下ろす。
コブラは大きく横に跳んで回避し、飛んできた破片を背中で防ぐ。


コブラ「いやNOか?なんか喋ってくれよ。おたくのジェスチャーは派手すぎてわか…」


ガシィッ!!


十分に接近した巨像は、コブラを掴んだ。


ブン!!!


そしてコブラは凄まじい速さで振り上げられ、コブラの手首から伸びたワイヤーは鞭のようにしなった。
311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/29(水) 21:22:05.49 ID:eLjImqMXo
サイコガンじゃないのか……?一体何をする気だ
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/30(木) 00:17:06.80 ID:xz1EoYSY0
黒い鉄の塊が飛翔した。

その塊は永きに渡って塔に立ち、選ばれた不死の英雄の到来を待っていた。

鉄の巨像を打ち倒す為に、力を貸してくれるであろう不死の到来を。

そして時は合一し、機会は訪れた。

塔に向かって伸びた一本の鋼線を、彼は自身に巻きつけた。
奇抜な衣装を身にまとう男の、常軌を逸した行動の意図を読み取ったのだ。
時間という狂気に半ば蝕まれ、故に育った狂気的行動への共感力が、鉄塊にそうさせたのだった。


ブオオオーーッ!!!


巨像に向かって飛翔する鉄塊は、身の丈ほどもある大鉄剣を空中で振り上げ…



「ウオオオオオオォーーーーッ!!!!」



飛翔の速度に己の剣勢を乗せ、アイアンゴーレムの頭に激突した。



ドゴオオォーーーン!!!



大鉄剣は巨像の頭部に深々と減り込み、剣の先端は巨像の後頭部から貫通した。
アイアンゴーレムは上半身を大きく仰け反らせ、バランスを崩し…


ズドオォーーン!!


転倒して、灰色の砂埃を巻き上げた。



ビアトリス「今度はなんだ!?今のは!?」

レディ「人に見えたわ……アレは一体…」

ジークマイヤー「おーい!今のはなんだーっ!?何か見たかーっ!?」

レディ「彼も見たって事は、少なくとも幻じゃ無いわね。魔法?」

ビアトリス「こんな破壊力のある魔法、私は知らないよ…」



困惑する不死達が見守る中、濛々と立ち上る砂埃から出てきたコブラは、服をポンポンと叩いた。



コブラ「ふー助かったー…イチかバチかだったが、なんとかなったみたいだな」

レディ「コブラ、これはどういう事?貴方は大丈夫なの?」

コブラ「外れた肩はさっき嵌めた。で、アイツについては、一度掴み上げられた時に見かけてね…」


巻き上げられた砂埃は風に流され、薄まり、巨像の全体像を一行の前に晒す。
巨像は頭部に穿たれた穴からソウルを立ち上らせ、巨像の上に立つ鉄塊を撫でた。


コブラ「助太刀してもらう事にした」





黒鉄のタルカス「オオオーーーッ!!」ドグォーーーッ!!!





巨大な盾と巨大な剣を持ち、漆黒の大鎧に身を固めた騎士はまさに鉄塊の如くであり、振るった特大剣がアイアンゴーレムを叩くと、巨像の脚は跳ね、衝撃は巨像の背中を伝わってジークマイヤーの足までも震わせた。
そんな芸当はコブラにさえも不可能なものであり、賭けにコブラは勝利したのだった。
313 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/30(木) 01:18:47.56 ID:xz1EoYSY0
ガゴオォーーーン!!

ドガァーーッ!!!



ビアトリス「す、凄まじいな…」

コブラ「ああ、釣ってきた甲斐があったぜ。予想以上だ」


タルカス「フン!!!」ゴオッ!!!


バキィン!!!


レディ「危ない!」サッ

コブラ「!」サッ

ビアトリス「!?」サッ



ドガァン! ゴロンゴロン…



レディ「すごいわ彼、腕を斬り飛ばしたわ…」

コブラ「俺たちの出番は無さそうだなぁ。なんでコイツはあそこに突っ立ってたんだ?」フフッ

ビアトリス「あそこって何処だ?なんだか分からん。話が見えない」

コブラ「コイツは俺たちが今いる広場の近くに建つ塔から釣り上げて来たんだ。風も斧も避けられたら巨像は必ず掴みに来ると俺は踏んで、コイツに向かってワイヤーを飛ばしておいたのさ。そうすると巨像が俺を振り回したらコイツも飛んでくるだろ?」

コブラ「あんなデカイ剣を猛スピードで顔に突っ込まれたら、誰だってタダじゃあすまない。その目論見は見事に的中したわけだ」

コブラ「流石にここまで強いとは思わなかったがね」



タルカス「ウオオオーーッ!!!」バオッ!!


ガッコォーーン!!!



破城槌の如き特大剣を何度も打ち下ろされ、巨像の胴体部の装甲は遂に崩壊し、騎士はアイアンゴーレムの胴体に落下して渦巻くソウルに漬かった。
渦巻くソウルは巨像の動力として機能していたが、高まった力の開放点を求めて、巨像の胴体に開いた大穴に殺到する。
一方、怒れるタルカスは構わずに巨像内部で縦横に大鉄剣を振り回す。その振り回された大鉄剣にソウルが巻き込まれ、まとわり着こうとも、剣を振るう手を止めようとしない。
必然として、タルカスの振るうグレートソードと呼ばれる大鉄剣は、一時的に強大な魔力を帯び、巨像の内部で破壊の嵐を巻き起こした。
巨像自体を斬り裂き、撃ち砕く程の嵐を。


ズガアアァーーーン!!!


コブラ「うおおーっ!?」



広場の中心で生じたソウルと鉄の爆発は、ジークマイヤーとローガンを巻き込まなかったものの、コブラとその近くにいたレディとビアトリスを飲み込み、弾き飛ばす。
コブラは瞬時にワイヤーフックを再び伸ばすと、空中に投げ出されたレディとビアトリスを捕らえ、残った手で足場の淵に掴まり、ぶら下がった。
しかし、引き上げることが出来ない。痛めた脇腹がコブラから力を奪っている。


コブラ「無茶をするヤツだ。花火は空に撃ってくれ。イテテ…」

タルカス「………」ヌオッ

コブラ「よお。あんた亡者じゃないよな?見ての通りだ。釣り上げてくれ」

タルカス「………」ガシッ


手首を掴まれたコブラは、一瞬そのまま握り潰されやしないかと冷や汗をかいた。
三人の人間を、鎧を着たまま片手で引き上げるのだから、それだけの力が込められる事は分かっていた。

コブラ「!?」コキッ

しかしついさっき嵌め直した肩を、もう一度外されかける事は予想していなかった。
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/30(木) 02:36:24.35 ID:xz1EoYSY0

コブラ「ふぇーっ、助けてくれた恩人に文句を言うのもなんだが、次からはもう少し手心を加えてくれると助かるね」

ビアトリス「死ぬかと思ったぞ…」


タルカス「………」


コブラ「お、オイオイさっきまであんなにはしゃいでたろう?返事がないと心細いぜ」

タルカス「はしゃいでいたように見えるのか?」

コブラ「そりゃ見えたさぁ。贔屓にしてるチームが勝った時の俺みたいだったぜ」

タルカス「なんの話か知らん。俺は貴公を利用しただけの事だ」

コブラ「ああそうだ。ならもっと利用すべきだろ?」


タルカス「………」ザッ


コブラ「? おい、何処行くんだ?」

レディ「待ってコブラ。彼、何か…」



騎士はコブラを無視して広場の中央に立ち、その場に屈み込む。
すると、騎士の足元に白金色に輝く小さな輪が数秒現れ、消えた。
騎士は輪の消失を見届けると、立ち上がって空を見上げる。


コブラ「瞑想でもしてるのかい?」


タルカス「俺は神の国に行く。絵画が俺を呼ぶ」


レディ「絵画?」

コブラ「神の国だって?そんなものがこの先にあるのか?」


その問いにも騎士は答えない。ただ空だけを見つめている。
コブラは言い知れぬ不安を騎士に覚えたが、恩人である彼に対して強い態度を取りきれないところもあり、問いただす事に引け目を感じた。






バサーーッ!!





突然、コブラ達の目の前、タルカスの周囲に、翼を生やした色白の怪物が降り立った。
怪物の翼はコウモリの翼膜を持ち、身体は痩せこけてはいるが大柄であり、人型の四肢の末端は紅く染まっている。
手に持つ槍は骨の様な棘を持ち、雷を纏っている。
そして複数匹降り立ったうちの一匹が、目が無く、脳を剥き出しにした顔をコブラに向け、皮膚に覆われていない人間の口から、無臭の息を吐いた。


コブラ「なんだコイツらは…!」

ビアトリス「こっ…彼らはレッサーデーモンだ…神の御使にして、悪魔の子供たち…」

ビアトリス「気をつけろ…彼らを記した文献はほぼ存在しない。何をしてくるか分からないぞ」


全力を尽くした末での、未知の存在との戦いになるが、コブラ達は構えるしか無かった。
ジークマイヤーとローガンは戦えず、ビアトリスは魔法を使えず、レディはビアトリスを守るために戦いに加わることが出来ない。
頼れるのは、負傷し、サイコガンも多くて二度しか打てないコブラだけ。
そのコブラの構える黒騎士の大剣も、翼を持つ三匹の悪魔を相手にどこまで通用するか分からない。
三方向から同時に飛びかかられた場合、全滅は免れないという、絶望的な状況が形成されてしまった。
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/30(木) 02:48:05.37 ID:UDC29sH60
タルカス先生じゃないか!
316 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/30(木) 06:58:24.43 ID:PaovCwRco
一体何者なんだこのタフガイ……
317 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/30(木) 08:29:20.37 ID:xz1EoYSY0
>>316
周回がカンストする頃には強くなりすぎてて
主人公が必死こいてボス相手に820ダメージ出してる隣で
同じボス相手に3400ダメージとか平気で出してくるキ○ガイ

プレイヤー操作の闇霊とかにも一撃必[ピーーー]るものだから
一時期「タルカス道場」なんてのも生まれて闇霊に嫌われてた
弱点は動きが鈍いこと
あと大抵クソ硬い
318 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/30(木) 08:32:08.88 ID:b1nCHoD6o
しかしこの世界ハードだなぁ
回復少ないのに敵がいちいち強いからキツイ
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