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響「まだ空っぽな明日は、限りなく黒に近いグレイ」【偶像喰種2章 後編2】
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112 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/01(日) 23:20:23.45 ID:aLWBGAqK0
内々定おめ
113 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2018/07/02(月) 20:39:52.53 ID:C/GtyltN0
涼「…ほら、夢子ちゃん。ちゃんとベッドで寝てようよ」
涼「響さん。夢子ちゃんを寝かせてから、ちょっと話したいことがあるんだ」
涼「響さんも入ってくれないかな」
響「? 話したい事?」
――――――――――――――――――――
涼「お待たせ。ごめんね、待たせちゃって」
涼「それと……さっき疑ったことも本当にごめんなさい。夢子ちゃんを助けて、ここまで連れてきてくれたんだよね」
響「…まー、助けたって言えばそうなのかな……」
響(正直複雑だぞ…)
涼「……それと。間違ってたらごめん……なんだけど」
涼「ケガしてる夢子ちゃんに慌てなかったり、絵理ちゃんと仲良く話してたり」
涼「もしかして響さんって、"喰種"なの?」
響「……!!」
響(またバレた!)
響(なんでこうも自分は喰種ってバレるんだ!?)
響「え、えっと……」
涼「あ、大丈夫だよ! 通報なんてしないから!」
涼「…って言うか、それをやっちゃったらボクも危ないしね」
涼「喰種を匿ってる僕は、人間の犯罪者を匿うよりずっと重い罪を課せられる……らしいし」
響「……やっぱり、匿ってるのか。夢子を」
涼「うん」
響「"喰種"って知ってて?」
涼「うん」
114 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2018/07/02(月) 20:40:43.36 ID:C/GtyltN0
響「……あんまり言いたくないけど、そいつを匿ってもいいことないよ」
響「そいつは自分や、人間の友達も平気で……!」
涼「ッ……知ってる!」
涼「夢子ちゃんから全部聞いたんだ。レストランのこと」
涼「トップアイドルに登り詰めるために、レストランに他のアイドルを売ってたってこと」
涼「レストランに捜査が入って…その時に攻撃を喰らったから、こんな傷を負ってること」
響「じゃあ何で……」
涼「……あんまり褒められた行動じゃないってのは分かってる」
涼「でも、見捨てることはできなかったんだ」
涼「夢子ちゃんは、普段猫を被ってることも知ってた」
涼「ボクも意地悪をされたことがある」
涼「ただ……夢子ちゃんがレッスンに取り組む姿は、すごく一生懸命だったんだ」
涼「本気で夢を目指してたんだ」
涼「その姿が、絵理ちゃんと重なったんだよ」
響「!!!」
響「エリー、ゼ……」
涼「…夢子ちゃんや、もしかしたら絵理ちゃんも」
涼「たくさんの命を奪ってきたことは分かってる」
涼「でも……"喰種"として生まれてしまったなら、そう生きるしかなかったんじゃないかって」
涼「ボクはたまたま人間に生まれたから、綺麗に生きることが許されてるだけじゃないのかって…」
響「……怖く、ないの?」
涼「分からない」
涼「もしかしたら、怖いのかもしれない」
涼「でも……このまま"喰種"だからって決めつけて、見捨てるのは」
涼「あの日の絵理ちゃんみたいに泣かせたまま死なれるのは、嫌なんだ」
涼「あんな死に方、やっぱり間違ってる」
115 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2018/07/02(月) 20:41:15.23 ID:C/GtyltN0
涼「だからお願いします」
涼「夢子ちゃんのこと、許さなくてもいいから……」
涼「あと一回だけ、見逃してあげてくれませんか」
――――――――――――――――――――
響「……」
響(――今日は、二人も)
響(――"喰種"を怖がらない人間に出会った)
響(――ひとりは、"喰種"を友達だと言い切って)
響(――もうひとりは『そうするしかない』って割り切ってた)
響(――怖がる人間ばかりじゃなかったんだ)
―――だから、響ちゃん
―――絵理ちゃんが死んじゃったこと、悲しんでもいいよね……?
響(――エリーゼにとっての春香達も、受け入れてくれた人間だ)
響(――自分たちのことも、怖がらないでくれるだろうか)
響(――伊織たちのことも……)
響(――もしそうなら、自分たちもあんな風に受け入れてくれる人がいれば)
響(――どれだけ救われることだろうか)
116 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2018/07/02(月) 20:41:59.36 ID:C/GtyltN0
今日はここまで。
>>112
ありがとう
すごく安心して気が楽になった
117 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2018/07/03(火) 20:21:36.96 ID:Dr+pU7pS0
――――――――――――――――――――
「ん?」
「どうした草場」
草場「いや、今すれ違った子誰かに似てるようなって思って……」
中島「そうか? …あ、よく見たら『ELLIE』の時の子じゃねえか」
草場「え? 『ELLIE』?」
中島「たしか、黒井上等が奴を駆逐するとこ見ちまった子だよ」
中島「765プロのアイドルだ…っつってたっけな」
草場「アイドルですか!? うわ、サインもらっときゃ良かったかなー」
中島「お前この状況でよく浮かれてられるよな」
草場「……言わないでくださいよ」
草場「自分よりずっと年下の子供に叱られるって、かなり堪えるんですから……」
中島「いやー……あのキレっぷりは凄まじかったわ。すげえ怒ってたよな」
中島「天ヶ瀬一等捜査官」
――――――――――――――――――――
〜6時間前〜
冬馬「……」
冬馬「……おい」
冬馬「喰種捜査官を何だと思ってんだ、てめえら」
118 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2018/07/03(火) 20:23:57.37 ID:Dr+pU7pS0
1レスだけだけど今日はここまで。
次からやっと冬馬の出番です
119 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2018/07/05(木) 02:08:26.11 ID:xMX5Q9KH0
最近アイマスssを書き始めた者で、グールとのクロスを考えていた時に偶々このssを見つけてついつい最初から一気見させてもらいました!
そこで作者さんに聞きたいです。ところどころで原作の話をなぞって書いているという旨の文が見受けられますが、構成だけを原作から輸入して響(金木役)やそれ以外のキャラは結構自由に動かしている感じなんですかね・・・?
自分が765勢と961、346の何人かしか知らないため中盤、特に2章中編から原作を読んでいてもついていけない部分(原作準拠だと思っていたため)が増えたと個人的に感じましたので・・・
自分が765だけしか知らない点が一番大きいと思いますが、一番最初のスレでの765、876で書かれていた『人間とグールの共存社会(765プロ)を目指し頑張っている765グール勢と響、社長』がグールの世界観で調和されていたアイマスのみんなが自分の中で、これを超えるものを書くのは至難だなと思わされるくらいの作品だったので思わず感想を書いてしまいました。もちろん2章のssも拝見しましたし、原作も最終話間近とされる中で作者さんはどのような考えで書かれているのかとても興味があります。
作者さんも大変だと思いますが応援しています。お目汚し失礼しました。
120 :
◆AyvLkOoV8s
[sage]:2018/07/05(木) 22:56:41.54 ID:aAipD9fG0
原作終わっちまったな…カネキが幸せなのでひとまず良しと言いたい。単行本のオマケが楽しみです。
>>119
一気見までしてくれて本当にありがとうございます!
話の流れについては、基本的には所々言及している通り原作の1~5巻をなぞる形で響たちの話を書いています。
やっぱりアオギリ編に入る前の甘ちゃんなカネキが甘ちゃんなりに大切な人(喰種)を守ろうとするところは本当に大好きなので
響たちにもその好きなシーンを表現してほしくてほぼ原作まんまの流れを貫こうと考えてお話を書いています。
ただし響はカネキではなく我那覇響という人間なので、ただカネキの役を背負ってるだけでは終わらせたくない、響自体の魅力も出していきたい、
アイマスのアイドル達もも本当に好きなので「彼女たちらしく」喰種の世界に関わって欲しいと考えてもいるので
「原作ではこうなったけど彼女たちならこうはならないだろう」と思ったシーンなどは変更や改変を加えることにしています。
例をあげるなら月山のように紳士的な悪者として振る舞えなかった夢子は小物なりに頑張ってる小悪党としてレストラン編に登場させたり
親子というだけで日高親子を笛口親子の代わりにせず、新しい世界に踏み出そうとした絵理を宛てたり、などが当てはまると思います。
あとは765でも876でもCGでも出来るだけ多くのアイドルを活躍させたいと考えているので
その活躍の場を増やすためにオリジナルシーンを加えることもあります。
CGの大槻唯なんかは彼女の人懐っこさを生かせるシーンを後々書きたいがために二章にゲスト出演してもらっています。
まだ二章を終わらせるために動いている身分ですが、アオギリ編以降はかなり話が変わってくるかなあと思います。
あそこでカネキはある意味「折れて」しまいそれまであった東京喰種のテーマをひとつ失ってしまった感じがしたので、
響たちならどうするだろうと考えて、また違った結末を迎えるお話を書くことになると思います。
長々と続いていくことになるでしょうが、お付き合いいただけると嬉しいです!
121 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2018/07/06(金) 15:14:12.81 ID:PIEbB0D50
ご返答ありがとうございます。119です。
なるほど、シナリオは大まかになぞっていきながらも自由度は上げているということですね。
読んでいてどれが原作のキャラなんだろうとか、どの関係性なんだろうなど考えていて自分自身が複雑に考えて読んでしまいましたが小鳥さんが○○、舞が有馬、黒井がクレオなど当てはめずに作者さんの作品として読めばよかったんですね。失礼しました。
であればこれからはよりグールの世界観でアイマスの子たちの人間性やドラマが見られそうで楽しみになりました。
長々と恐縮なのですがもう一点聞きたいことがあります。
今回だけのssに限らずクロスを書くときに書き方などはどういう感じで作っているのか軽くでもいいので教えてくれないでしょうか、特に聞きたいのは原作を何回も見直しながら書いたりするのかある程度もうストーリーは頭に入っている状態から書いているのか、台詞回しなどはどれくらい程度まで真似ようか考えているのかなどです。
原作はハッピーエンドで終わったということで、どのように作者さんがこの世界を作っていくか分かりませんが、僕個人としては原作がなおざりにしてしまった感じがある数箇所をこのssで読めたらいいなぁと思っています。またこれは完全に自分個人の勝手な意見なので書くときには一切気にしないようにお願いします。
自分は訳あってreの中盤程からグール自体の単行本は買うのを止め大まかな話の流れだけを追っていた元読者ですが、たくさんの売り上げを出しているようにグールの話、設定自体が読者の心をつかむようないい基盤設定だと思います。
それに加えもともとの作風、ストーリー、アイマスキャラとの世界観のすり合わせ、人間模様など、自分も数回クロスssを書こうとしたことがあるので難しさは浅いながらも分かるつもりです。頑張ってください、応援してします。
122 :
◆AyvLkOoV8s
[sage]:2018/07/19(木) 05:59:43.43 ID:WWvXU96Y0
>>121
返事が遅れてすみません。書き方や台詞回しについてですが、基本何度も読み返しつつ
真似できる限りは「ー」の長さや三点リーダーの数まで真似るようにしていますね。
自分でうまいセリフを考えるのが苦手なので、原作の助けを借りながらなんとか書いていってる状況でした。
いずれは原作の台詞に頼りすぎず自分の台詞を使いながら喰種の世界観、雰囲気を壊さず生かしていけるような話にしたいです。
喰種の世界観は「喰種は人以外食べられない」というほぼ絶対的なルールの存在がすごく大きいと思います。
そのルールをどう乗り越えるかを含め、東京喰種の世界で話を作ることはすごく楽しいです。
飛び飛びの更新ですが楽しむことを忘れずに偶像喰種を書いていきたいです。
最終巻買いました。
四コマや後日談など新規描きおろし漫画は一切なく、新しく追加された要素は作者の挨拶とカネキ・トーカの娘のプロフィールだけでした。
そのプロフィールから天然の半喰種は人間の食事をとれるということが確定しました。
追加ページがあるかどうかはまだ確認していません。
本誌で内容を知っていてなおかつ金銭に余裕のない方は無理して今すぐ購入する必要はないと思います。
123 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2018/07/19(木) 07:19:57.32 ID:WWvXU96Y0
〜CCG 支部〜
局員捜査官「え…えっと」
冬馬「えっとじゃねえよ。『レストラン』の事だよ」
局員捜査官「はあ……」
冬馬「何だよその腑抜けた返事は」
冬馬「てめえらの配備が遅れたせいでな、こっちは突撃許可がなかなか下りなかったんだぞ」
冬馬「その結果なんだ? 死人が出たんだぞ?」
冬馬「それも二人だ。残った二人のうち一人は誘拐された」
冬馬「もう一人に聞いても『知らない子』…身元すら分かってねえ」
冬馬「てめえらの怠慢でどんな結果になったのか分かってんのか? あ?」
草場「ま、まあまあ。組織って色々ありますし」
冬馬「は? 死人が出てんだぞ? …つーか」
冬馬「アンタ等も人の事言えねえよ! 『ELLIE』の捜査の時!」
冬馬「てめえらが『ELLIE』の周辺人物を調べなかったせいで二人!」
冬馬「いらねえ調査に割かれたんだぞ!」
冬馬「その結果どうだ? 『ナオの妹』の捜査も進んでねえ」
冬馬「今の『誘拐事件』の捜査も存分に出来ねえ」
冬馬「人手不足でこっちは相手が山積みなんだよ。余計な仕事増やしてんじゃねえよ!!」
草場「う……」
中島「……」
翔太「冬馬君、その辺にしときなよ」
北斗「うちの冬馬がすみません。そちらも複雑な事情があるのに」
黒井「我々が君たちの尻拭いをしたのは事実ですがね」
黒井「次は我々の足を引っ張らないように」
北斗「……」フゥ
北斗「そろそろ次の議題に入りましょうか。こちらの資料を見ていただきたいのですが―――」
――――――――――――――――――――
124 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2018/07/19(木) 07:20:25.81 ID:WWvXU96Y0
――――――――――――――――――――
冬馬「――ここの捜査官の怠慢ぶりには呆れる」
冬馬「惰性で仕事をしていて…ツメが甘いしやる気もねえ」
冬馬「そんなんだから"喰種"どもにいいようにやられてるんじゃねえか……!」
翔太「…ま、しばらくはボク達がフォローしてあげるしかないよね〜」
北斗「それで、これからどうするんです? 黒井上等」
黒井「私は個人的に調査することがある。お前たちがどうするかは自分で決めろ」
黒井「捜査を続けるか休憩を取るか……好きにすると良い。ただし明日以降に響くような無茶はするなよ」
北斗「お疲れ様です」
翔太「黒ちゃんお疲れ〜」
冬馬「…じゃあな、オッサン」
北斗「…それで、今日はどうする? 冬馬」
冬馬「……ああ。『ELLIE』の仲間についてなんだけどよ……」
冬馬「……?」
翔太「? どしたの冬馬君、何見て……あー……」
北斗「あれは……」
局員「――では、手続きをしますのでこちらに」
「はい。…あの、息子は……」
局員「あー……一緒に来てもらってもいいんですが、息子さんには少々刺激が強いものをお見せすることになるかと……」
「でもここで一人にするわけには……」
北斗「……」
北斗「お母様。よかったら僕達がこの子の遊び相手を務めますよ」
「! いいんですか…?」
翔太「しょーがないなあ。ちょーどヒマしてたし、いいよ!」
「すみません。ありがとうございます……!」
125 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2018/07/19(木) 07:21:45.71 ID:WWvXU96Y0
北斗「…さて。こんにちは」
北斗「良かったら、ぼくの名前を教えてくれないかな?」
「……りく」
北斗「りく君か。お母さんは忙しいみたいだし、僕たちと遊ばないかい?」
翔太「鬼ごっこなら負けないよ〜?」
陸「……」
冬馬「……」
北斗「(冬馬。子供の前だぞブスッとするな)」
冬馬「(ちげえよ。つーか笑いかけるところじゃねえだろ)」
冬馬「(こいつどう考えても……)」
陸「…おにいちゃん達、「そうさかん」のひと?」
冬馬「おう。何か言いたいことがあるなら言ってみろ」
陸「……おねがい! おねえちゃんをさがして!」
冬馬「…取り返す?」
陸「おねえちゃん、どこにもいないの……」
陸「おかあさん、すっごくこまってて」
陸「おねえちゃん、おとうさんがいなくなってからずっとがんばってたのに」
陸「いきなりいなくなっちゃったの!」
陸「おねえちゃんが…おねえちゃんが……」
陸「グスッ……ううう〜〜〜〜…!!」
冬馬「……」
冬馬「大丈夫だ、陸」
冬馬「お前の姉ちゃんは必ず取り戻すぜ。約束だ」
陸「…ほんとう?」
冬馬「おう。俺たちに任せろ」
冬馬「約束だ」
――――――――――――――――――――
126 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2018/07/19(木) 07:22:21.57 ID:WWvXU96Y0
――――――――――――――――――――
局員「質問は以上になります。捜査のご協力に感謝します」
「…よろしくお願いします……」
「…陸?」
冬馬「ほら、お前の母ちゃんが戻ってきたぞ。男ならピシッとしてろ」
陸「!」
陸「おかあさんおかあさん! あのね、あのおにいちゃんたちがおねえちゃんをさがしてくれるって!」
「!」
北斗「任せてください。僕達は本局から派遣された喰種捜査官です」
翔太「だからお母さんも気楽に構えてていいよ〜」
冬馬「だから陸。その間はお前が母ちゃんを守るんだ。出来るな?」
陸「うんっ!」
「……! あ、ありがとうございます!」
「どうか娘を、見つけてください……よろしくお願いします!」
翔太「お母さんも無理はしないでね〜」ヒラヒラ
陸「ばいばーい!」
翔太「…陸君のお姉さん…多分アレだよね」
北斗「おそらく、少女連続誘拐事件の被害者の一人だな。"喰種"の体液が現場に残されていた」
北斗「…まるで『キャッスル』みたいだな」
冬馬「……今すぐ止めなきゃいけねえ」
翔太「…で? 冬馬君はこれからどうすんの?」
冬馬「休んでなんかいられねえ」
冬馬「お前ら、濡れてもいい服に着替えてこい」
冬馬「集合場所は―――――」
――――――――――――――――――――
127 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2018/07/19(木) 07:27:09.82 ID:WWvXU96Y0
とりあえずここまで。
128 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/21(土) 23:18:04.75 ID:3Z9wAWASO
おつ
129 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2018/07/29(日) 19:47:12.50 ID:334t9ZsA0
――――――――――――――――――――
中島「……ん?」
中島「あれ、伊集院上等?」
北斗「おや。こんばんは中島三等」
北斗「今から食事ですか?」
中島「え、ええ。…それより」
中島「なんですか? その網」
北斗「ちょっと居残りで仕事を。…そうだ」
北斗「さっきは冬馬のやつがが失礼しました。あいつはすぐ熱くなるところがありまして」
北斗「これから冬馬と翔太と行くところがあるんですが、良かったら中島さんに草場さんも来てくれませんか?」
中島・草場「「?」」
――――――――――――――――――――
130 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2018/07/29(日) 19:47:47.58 ID:334t9ZsA0
〜河川敷〜
草場「……え……」
冬馬「ダメだ! こっちは何もねえ! 翔太そっちは見つかったか?」
翔太「あー…ゴメン。このドロの中に何かあるから洗ってみたけど、ただのゴミだったよ」
冬馬「分かった! あとそいつはカゴの中に入れとけ、元に戻すな」
翔太「はーい……あー、しんど」
中島「あ…あの子たち、何してるんです?」
草場「この時期滅茶苦茶寒いですよね!? なんで川を漁ってなんか……!!」
北斗「『ELLIE』のケータイを探してるんですよ」
草場「…携帯?」
北斗「ええ」
北斗「回収した『ELLIE』の所持品や自宅からは通信機器が一切発見されませんでした」
北斗「しかし876プロへの聞き取りによると、彼女はちゃんと携帯電話を所持しています」
北斗「あの日は雨でした。それなら『ELLIE』は携帯電話ごと内部のデータを雨水に流したと…」
北斗「そう考え、『ELLIE』の移動経路から携帯電話の破棄したポイントを探り」
北斗「そのポイントから流れた雨水が合流するこの川にアタリをつけました」
北斗「俺たちは今からこの川を漁って、『ELLIE』のデータを探す」
北斗「彼女はマスクを作る仕事をしていたみたいですし、もしデータが見つかれば一気に捜査が進むかもしれないと」
北斗「冬馬がそう言って聞かなかったんですよ」
131 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2018/07/29(日) 19:48:21.95 ID:334t9ZsA0
草場「! 天ヶ瀬一等が……」
北斗「付き合わせてすみません。でも、アイツが捜査に本気だってことだけは分かってほしかったんです」
北斗「それでは」
北斗「……おーい冬馬ー! 追加で道具買ってきたぞー」
冬馬「遅いんだよ北斗! お前も手伝え!」
翔太「寒い! 北斗君変わって! もう無理!」
冬馬「ほら早く交代してやれって!」
北斗「分かった分かった。…うわあ泥だらけだな二人とも」
翔太「北斗君も今からなるんだよ」
北斗「うへー……」
中島「……」
中島「こんな……茶色い川で、まだ3月に入ったばっかだっていうのに……・」
草場「…………」
草場「……ッ!!」ダッ
中島「!? おい草場!!」
草場「すみませーん! 天ヶ瀬一等! 御手洗二等!!」
草場「僕も手伝いますから二人は休憩してて下さい!!」
翔太「あれ? さっきの眼鏡の人?」
冬馬「おい北斗、お前が連れてきたのか?」
北斗「……プッ」
北斗「すみません草場さん。よろしくお願いします」
草場「はいっ!」
中島「……」ボーゼン
中島「……あーもー!!」ダッ
――――――――――――――――――――
132 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2018/07/29(日) 19:49:01.53 ID:334t9ZsA0
〜2時間後〜
草場「じゃあ俺、次はここ探します」
草場「……ひー。そろそろ手が動かなくなってきた……つめてー!」ジャブジャブ
草場「勢い余ってスーツのまま川に入っちゃったし……洗濯めんどいなあもう」ジャブジャブ
草場「やっぱ海まで流されちゃってるかなあ……無駄に終わるかもしれない……」
草場「…まあ、だからと言って……」カサ
草場「……ん?」
草場「……!!!」
草場「あった! ありました!! ケータイ! これじゃないですか!?」
冬馬「!! マジか! ちょっと見せてくれ!!」ガバッ
中島「おお! それっぽいぞよくやった草場!」
翔太「終わったー! やっと見つかった寒いー!!」
北斗「早く捜査局に持っていきましょう。中身を確認しないと!」
〜CCG支部〜
草場「…ふー。これでよし、っと。あとは検査結果待ちですね」
中島「天ヶ瀬一等たちはこれからどうするんですか?」
冬馬「俺達か? 流石にもう帰るよ」
翔太「頑張って耐えてたけど、これもう無理だよヒエッヒエだもん」
北斗「協力してくれてありがとうございました。また明日、よろしくお願いします」
中島「そう、ですか……」
中島「……あの」
「「「?」」」
中島「良かったら一緒にメシ行きませんか? 行きつけの店があって」
中島「俺、奢ります。奢らせてください」
――――――――――――――――――――
133 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2018/07/29(日) 19:49:52.48 ID:334t9ZsA0
〜定食屋〜
中島「エビ天セット、かしわ握りにしてくれ」
草場「またですか中島さん」
中島「うるせー」
冬馬「かき揚げ大盛」
店員「あいよ兄ちゃん!」
中島「……すみません、こんな地味な店で」
草場「御手洗二等と伊集院上等、気に入らなかったみたいですね……?」
冬馬「別に店が気に入らなかったとかじゃねえよ」
中島「そ、そうっすか……」
冬馬(くそっ……俺が『行く』って言ったら)
翔太『ボクうどんの気分じゃないからパス』シレッ
北斗『この際だから社会人の付き合い方を学んで来い冬馬』シレッ
冬馬(…ってさっさと帰りやがった!)
冬馬(余計なお世話だっての……面倒くせーな)
草場「で、でもまさか捜査のためにあんな冷たい川でゴミ漁りなんて」
草場「正直…そんな泥臭いことをやる人には見えませんでしたよ」
冬馬「……」
店員「お待ちどう!」
冬馬「手段選んでられる余裕がねえからな」パキッ
冬馬「いただきます」
134 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2018/07/29(日) 19:51:19.69 ID:334t9ZsA0
中島「…天ヶ瀬一等って確か『採用制度』でCCGに入局したんですよね」
草場「…『採用制度』?」
中島「お前知らねえの? 『捜査官未成年採用制度』だよ」
中島「普通は喰種捜査官養成学校(アカデミー)に二年間通うなり、最低でもジュニアを卒業するなりしてから喰種捜査官になるもんだけどよ」
中島「『隻眼の喰種』の襲撃で一気に人手不足になったから、本局の意向で採用の幅を広げたんだよ」
中島「未成年の子供だろうと適性試験さえクリアすれば、あとは現場研修を経るだけで捜査官になれる」
中島「年齢に関わらず『能力があって』『職務遂行の意思があれば』捜査官になれるようになった」
草場「へー……そんな制度があったんすね」
冬馬「違うな。俺と北斗、翔太は『採用制度』が確立する前から捜査官やってるぜ」
冬馬「黒井のオッサンにスカウトされて、オッサンが責任取る形で捜査やってたよ」
冬馬「言っちまえば『特例』だな」
冬馬「"喰種"に関する法と知識、体づくり……なんてのは、捜査の合間にやってた」
冬馬「悪いが規則で詳しく話すことはできねえぞ」
草場「えー……なんかそれ」
草場「少年兵みたいっすね」
冬馬「……」
中島「…! おい馬鹿!」
草場「! す、すみませんそういうつもりじゃ」
冬馬「別に、無理矢理やらされてるわけじゃねーよ。この採用制度はマスコミにも滅茶苦茶叩かれてるしな」
冬馬「『子供を死地へ放り込むのか』ってな。局内での反対も多いから、この制度の運用はかなり慎重にやってる」
冬馬「だから未成年採用制度はあくまで志願制で、本局から強制的にスカウトされるわけじゃねえし」
冬馬「本来の捜査官とは違って希望すればすぐ辞職できるようになってる」
冬馬「俺は好きで捜査官をやってる。辞めたきゃとっくに辞めてるから安心しろ」
草場「…そ、そうなんですか……」
135 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2018/07/29(日) 19:54:12.39 ID:334t9ZsA0
草場「……え、えっと!」
草場「喰種捜査官って女性もいるんですよね? どういう人が…」
中島「草場…やめろ、もう黙っとけ!」
冬馬「…俺と同い年くらいの奴なら4人…今は16〜19くらいだったか。こいつらは『採用制度』を通過してるやつだ」
冬馬「あと12だか13だかのガキが一人……翔太とは違ってある施術の被験者で、それで身体を強化して体力検査を無理矢理パスしたって聞いてる」
冬馬「ほかにもU課採用のやつが一人いるらしいな」
草場「…あの、採用制度の方じゃなくて、大人の女性はー……」
冬馬「……悪い。俺の知ってる奴なら、黒井のオッサンが忙しい時に俺らの面倒見てた上等がいた」
冬馬「自分も忙しい癖にいちいち構って子ども扱いしてきてよ。…まあ、優秀な女だったぜ」
草場「へえー、今はどうされてるんですか?」
冬馬「……殉職したよ」
草場「ああ、殉しょ……」
草場「……へ?」
中島「……草場!!」
草場「す、すすすすみません! 俺また……!」
冬馬「別にいいっての。ひたむきな奴ほど命を落とすだけだ」
冬馬「…ご馳走様。時間外で手伝わせた上に奢らせて悪かったな」
冬馬「助かったし美味かった。……ありがとよ」
――――――――――――――――――――
中島「…草場。お前なあ、もうちょっと考えて喋れよ」
草場「すみません。…なんか、思ってたより彼らの境遇がハードで」
草場「なんかもっと…強いのをいいことに、ラノベの主人公みたく好き勝手に遊んでるもんだと思ってて……」
中島「……」
草場「…中島さん。僕、ずーっと楽なデスクに行きたかったんですけど」
草場「なんか、そう思ってた自分が恥ずかしくなってきました」
草場「あんな子供が必死で頑張ってるのに、いい大人の自分が何やってんだろって……」
草場「もっと出来ることがあるんじゃないかって……」
136 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2018/07/29(日) 19:55:15.83 ID:334t9ZsA0
草場「中島さん、俺……」
草場「もっと現場で頑張ってみ
ズパッ
よかな
って」
草場「……え゛れ?」
バタリ
中島「……草場?」
137 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2018/07/29(日) 19:58:40.56 ID:334t9ZsA0
今日はここまで。
無印6巻とか読み返しながら書いてるけど
ジュニア卒業の年齢とアカデミー卒業の年齢がよくわからんです。
アカデミーの教育期間は2年らしいですしそれぞれ18、20でいいんでしょうか?
138 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/30(月) 20:28:50.65 ID:FoKiWOsqO
乙
139 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/08/05(日) 21:34:21.92 ID:jGCUnJAN0
おつん
140 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2018/08/12(日) 22:56:08.53 ID:6o5rdHIw0
草場「―――――」
??「……」ギロ
中島(――?)
中島(――お面と……メイド服?)
ゴスロリ「……!」ビュオ
中島(――やべ)
中島(――殺され……)
冬馬「―――――中島さんッ!!」ドッ
ゴスロリ「!」スカッ
中島「あまがっ……!」
冬馬「間に合った……下がってろ中島さん!」
ゴスロリ「……」バッ
冬馬(この身のこなし……一撃の重さ)ド
冬馬(―――間違いなく"喰種"ッ!)バキッ
冬馬「……痛……!」グラ
ゴスロリ「……」ビキキ
冬馬(――あの赫子……!)
冬馬(――『羽赫』…瞬発型の"喰種"か!)
冬馬(――最悪のミスだ…さっさと替えのクインケを貰っときゃ……!)
冬馬(――生身で受ければ必死ッ!!)
ゴスロリ「……」ズズズ
ヒュッ
ゴスロリ「!!!!!」ギリュ
冬馬「!」
「…冬馬」
「全くお前らしくない凡ミスだな」
「川漁りに夢中で"クインケ"の替えを申請していないとはなあ?」ジャコン
冬馬「オッサン……!」
黒井「全く…外見を損なうなよ冬馬」
黒井「市民の皆様へのアピールには、その面構えも欠かせないのだぞ」
黒井「熱意は買うが冷静さを欠くんじゃあない」
黒井「手本だ」
黒井「見 て ろ !」ヒュッ
141 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2018/08/12(日) 22:56:55.55 ID:6o5rdHIw0
ゴスロリ「……ッ!」ヒュッ
ゴシャ
黒井「…ほう! これをかわす奴は久々に見たな。お見事お見事……」
黒井「そのゴシックロリータ……」
黒井「報告書に似た特徴の奴を見たことがあるなあ?」
黒井「確か、2年前まで『ELLIE』とコンビを組んで人間を狩っていた"喰種"……」
冬馬「……!!」
ゴスロリ「……」
黒井「……ククク…丁度いいタイミングで現れてくれた」
黒井「つい先ほど新しい『クインケ』が完成したんだ」スッ
黒井「お披露目の相手は君にこそ相応しい」カチッ
ズルリ
ゴスロリ「……!!!」
黒井「…どうだ? 愛しさを覚えるフォルムだろう?」
ゴスロリ「……オマエ……っ!!!」
ゴスロリ「―――――ウアアアアアアアアアアアッ!!!」ダッ
黒井「……ふん」スッ
黒井「お前のような『羽赫』の"喰種"はスピードに頼りきった単調な攻撃が特徴だ」
黒井「基本的に自給不足。短期決戦を逃せば戦闘能力はグンと下がる……」
オモチャ
黒井「赫子はどうした? さっきので仕舞か?」ニヤ
ゴスロリ「……っさい」
ゴスロリ「―――死ねッ!!!」ビュッ
黒井「クク…」
黒井「馬鹿が」
ゴスロリ「……ッあ!!」ズプ
142 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2018/08/12(日) 22:58:09.80 ID:6o5rdHIw0
黒井「…お前の存在など取るに足らんのだよ、私にとっては……」
ゴミ
黒井「…私がどれだけ多くの"喰種"を葬ってきたと思っている?」
黒井「お前もその一匹に過ぎん」ヒュ
ゴスロリ「……ッ!」タンッ
トンッ
トッ
黒井「…フン。力量をはかる頭はあったか」
黒井「せめて愛する相棒の手で幕を引いてやりたかったと言うのに……」
黒井「……なあ?」
黒井「―――『サイネリア』」
――――――――――――――――――――
「……フー……フー……」
「痛い……チクショウ……あの野郎……!」
「……ブチ殺す……」
サイネリア「全員……ブチ殺してやる……!!」
143 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2018/08/12(日) 23:01:13.26 ID:6o5rdHIw0
今日はここまで。
次から876プロの出番が多くなります。
144 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2018/08/25(土) 14:44:49.46 ID:6NtGgsk10
〜翌日〜
『捜査官一人死亡』
『喰種捜査官二人が喰種に襲撃され』
『草場一平さんが重傷を負い死亡する事件が発生した』
響「……」
「響ってシンブンとか読むんだね。意外なの」
響「…美希」
美希「何の記事?」
響「…喰種捜査官の訃報だぞ。ゴスロリを着た喰種に殺されたって……」
美希「ふーん。いい気味なの」
響「いい気味って、お前なあ……!」
美希「むしろ何で響はカワイソウって思うの? ミキ達を殺そうとしてるヒト達でしょ?」ボソ
美希「このゴスロリさんが誰かは知らないけど、このままどんどん殺してって欲しいって思うな」ボソボソ
響「……はあ」
響(社長の取ってた新聞で、気になった記事があったから読んでみたけど)
響(それを見つけた美希のせいで、ちょっと嫌な気分になった)
響(美希の言ったことだったから、余計に)
美希「雪歩ー、膝貸してほしいの」
雪歩「ええっ!? い、今から寝ちゃダメだよ美希ちゃん……!」
美希「いま765の皆の寝心地をチェックしてる所なの。昨日は春香だったから今日は雪歩……」
美希「……すやあ」
雪歩「う、うごけないよお美希ちゃん〜……」
響(あのリハーサルを見てから、美希はレッスンに真面目に取り組むようになって)
響(そして前より、人間の皆にも声をかけるようになった)
響(まあ、大体が『膝枕させて』って言うだけなんだけど……)
響(それでも、美希なりに自分から歩み寄っているのかもしれない)
響(相変わらず春香のクッキーを食べようとはしないから、せめてスキンシップで)
亜美「真美隊長、これはチャーンスなのでわ?」
真美「今こそ身勝手の限りを尽くすミキミキに正義の鉄槌を……!」キュポッ
亜美「ペンは剣よりも強しっていうもんね〜♪」スッ
145 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2018/08/25(土) 14:45:17.49 ID:6NtGgsk10
ガシッ
美希「…まだ寝てないの」ジロー
亜美真美「「ヒエッ!?」」
響(…自分も似たようなことされたなー)
響(こうやって、美希もだんだん765プロの一員になっていくのかな)
響(さっきみたいに、捜査官の命を軽く見たまんまで)
響(…ほかの皆も、そんな感じなのかな)
響(……いいのかな、それで)
146 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2018/08/25(土) 14:46:01.31 ID:6NtGgsk10
響(ふと、そんなことを考えてる時)
響(気付いたらエリーゼのことを考えていた)
響(エリーゼは捜査官の命のことを、どう考えていたんだろうって)
響(後から考えたら)
響(これは『虫の知らせ』ってことだったんだろうか)
響(それは、レッスンを終えた後の晩のことだった)
プルルルルルルル
響(! 電話だ)
響(ぴよ子も律子も外出中……自分が出てもいいかな?)ガチャ
響「はいさい! 765プロだぞ!」
響「…え? 石川さん? えーと……」
響「あ、876プロの! どうしたんだ……どうしたんですか?」
響「……」
響「―――涼が行方不明?」
147 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2018/08/25(土) 14:46:38.11 ID:6NtGgsk10
響(今日一日、涼は876プロにも学校にも姿が無かった)
響(電話しても繋がらなくて、家にもいなかった)
響(真っ先にアイツの姿が浮かんだ)
響(あの日も、涼はアイツの家に行ってたんだ)
響(―――――あの野郎!!!)
バンッ
響「夢子おッ!!!」
響「どこだ夢子!!! お前またやったのか!!!」
響「信じてくれた涼まで手にかけてッ……」
響「お前はどこまで腐ってるんだッッッッッ!!!!!」
響「涼が信じてっていうから……後一度だけ信じてみたのにッ……!!」
夢子「……っさいわね……!!」ムク
夢子「何なのアンタ……いきなり人の家に乗り込んでっ……やかましいのよ……」
夢子「涼が……なん……て……?」
響「……夢子ぉ……」
響「とぼけるなよ。お前涼を喰ったんだろ?」
響「876プロから電話が来たんだぞ! 涼がどこにもいないって!」
響「お前が涼を裏切って食べたんだろ!? 死体はどこだ! 出せ!! 吐け!!!」ベシベシベシ
夢子「ちょ……やめ……なにそれ、しらない……」
夢子「涼なら今日は来てないわよ……」
夢子「やめ……やめ…………」
夢子「……」
響「……ハッ!」
響「死んでる……」
夢子「……かってにころすんじゃないわよ……」
148 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2018/08/25(土) 14:47:10.38 ID:6NtGgsk10
響「……え? 涼は来てない?」
夢子「そう、よ……あたしは一日中ひとりで寝てた……」
夢子「どういうことよ……涼がいないって……!」
響(…夢子じゃない?)
響(じゃあ、誰が……?)
響(涼はどこだ?)
響(どうやって探せばいい?)
響(……そうだ)
響「な、なあ夢子! 涼の私物とかない?」
響「出来るだけ匂いのついてるもの!」
夢子「……は? 何アンタ、この状況で……」
響「匂いで涼を追うんだぞ! 自分、鼻いいし!」
夢子「ああそういうこと……それなら……」
響(夢子が指さしたのは、椅子にかけられたままのタオルだった)
響(一度、涼がレッスン帰りに急いでお見舞いに来たことがあったらしい)
響(夢子は弱弱しく『あいつが勝手に忘れた』と言い張っていた)
響(…なんか、思いっきり夢子の匂いが混じってるんだけど……)
響「…うん。でも涼のにおいは分かるぞ!」
響「これで探してみる! 夢子は待ってて! 疑ってゴメン!」
夢子「……待ちなさいよ」
夢子「あたしも行く……!」
響「…は!? そんな状態で何言ってるんだ! 無茶だぞ!」
夢子「アンタの言える台詞じゃないわよ……それに」
夢子「涼が行方不明って聞いて……家で寝てられないわよ……」
夢子「いいから早く連れてって……!!」
響「……?」
響(どうして夢子は、こんなに涼に執着してるんだろう)
響(あの、平気で友達を罠にかけた夢子が)
響「……わかった。行こう」
149 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2018/08/25(土) 14:47:57.89 ID:6NtGgsk10
響(嗅覚の強くなった自分ならもしかして……と思った)
響(でも、こんな真似をしたことはなかったから、不安はあった)
響(それでも、自分の鼻は優秀で)
響(涼がどこに連れていかれたのか、その行先を辿ることができた)
響(場所は、876プロからそう離れていない教会)
響(そこからは、涼と、もう一人……知らない喰種の匂いがした)
響(……扉を空けて姿を見ると、縛られて壇上に放置された涼と)
響(やっぱり、知らない姿のゴスロリ女がいた)
響(……いや待て)
響(……ゴスロリ?)
サイネリア「……アンタ誰?」
150 :
◆AyvLkOoV8s
[saga]:2018/08/25(土) 14:49:07.57 ID:6NtGgsk10
今日はここまで。
原作通り進めるか少しオリジナル展開を入れるか悩み中。
151 :
◆AyvLkOoV8s
[sage saga]:2018/10/15(月) 13:11:12.90 ID:HYGlUqrQ0
ss速報vip復活したみたいなので書き込みテスト
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