京太郎「俺はもう逃げない」 赤木「見失うなよ、自分を」

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441 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/06(火) 19:29:23.27 ID:aLb2gEAI0
今更だけどさ>>372で喰い替えしてるけど
咲の大会マージャンルールって喰い替え無しでしょ?
場末の雀荘だからなんとも言えないけど、普通喰い替えは無しの方が多いと思うんだけど…
442 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/07(水) 07:14:45.78 ID:YF5JQ6mSo
喰い変えにも色々有ってな
喰った牌と同じ牌を捨てるのを禁止してるやつ(手牌123で1を喰って1を切る)
晒した牌と同じ牌も捨てるのを禁止してるやつ(手牌223で1を喰って2を切る)
今回のパターンは234が手牌に有って、1を喰って23を晒して4切りだから双方に該当しないかと
寧ろ今回の場合喰い変えになるなら、23334って手牌の時1を喰って4を切るって出来なくなるぜ?
443 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2016/12/07(水) 11:17:29.85 ID:AlCv45lo0
まーアカギでも市川戦で「6m鳴き9m切りはなしだ」って言われていたから
かなりグレーゾーンなのはスレ主もわかってるんですけどね。

さらに言えば今の今まで赤ドラの存在を忘れてました。
444 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/07(水) 21:46:32.40 ID:ey9u07yCo
そういえば咲って赤が1枚多かった記憶が
闘牌はややこしいし、間違ってもしゃあないさ

真面目に京太郎が麻雀してる話好きだから続き待ってる
445 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/08(木) 02:30:57.27 ID:1r8j9eLlo
赤ドラなんてないのが普通だし
つーかなんで咲世界は赤5pだけ2枚なんだよ
バランス考えろよ
446 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/08(木) 10:17:33.19 ID:AT/kPH3IO
>>445
赤5pが2枚ある麻雀牌も売ってる
っていうか俺が買ったのには2枚入ってた
447 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/08(木) 11:23:42.89 ID:S8HuxYJTO
麻雀格闘倶楽部もそうだな
448 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/09(金) 23:49:25.16 ID:x0Ap/9Jg0
>>442
>寧ろ今回の場合喰い変えになるなら、23334って手牌の時1を喰って4を切るって出来なくなるぜ?
23334から1を鳴いて4切りを喰い替えって言って出来ないんだぜ
喰い替えで検索していろいろ調べてみるんだぜ
449 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/10(土) 00:49:15.06 ID:B8h3PlYlO
出来る雀荘もあるよ
鳴いた牌でなければセーフってルールも存在する
450 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/10(土) 11:52:30.07 ID:eXYoZctio
麻雀かじっただけだけど、赤5ピンって2枚が普通だと思ってたわ……
ネトマとかでも赤ありにしたら2枚だし
451 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/10(土) 14:55:45.05 ID:jEKyMdgq0
そうか?
MJ天鳳あたりは基本一色一枚だけど
452 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/10(土) 15:34:00.56 ID:aaWRJpego
赤ドラ無いのが普通は流石に麻雀やったことないんだろーなぁとしか
一般的に売ってる雀牌は赤5ピン2枚入ってるから宅打ちしかしない人はそれで慣れてるんじゃろ
雀荘だと大抵3枚だなご祝儀つくし
453 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/10(土) 17:11:55.71 ID:CiSReh/I0
>>452
地域とか店によるんじゃない?
別に赤ドラ有るのが当たり前ってことはないでしょ
赤ドラ無しルールの雀荘もあるよ
454 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/11(日) 13:06:41.59 ID:TPmU+Mdgo
レート有りフリー雀荘なら大抵はあるよ
絶対とは言わんけど
ああでも最近はなんか低レートの学生向け?かなんかの店もあるとか聞いたけどそういうとこは無いのかな?
455 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/27(火) 01:01:47.01 ID:dRFyvy9po
C
456 :スレ主fromスマホ [sage saga]:2016/12/27(火) 16:00:39.92 ID:w8SvsZPx0
風邪ひいたので年内更新は少し無理かな(´・ω・`)
皆さんよいお年を
457 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/27(火) 20:29:27.24 ID:tBZxmgCdo
お大事に
458 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/01/10(火) 22:54:23.63 ID:32Zf7RM50
あけましておめでとうございます。
今年もこのスレ頑張っていきたいと思います。
明日の小テスト終わったら書き進める予定よ。

といいつつこんなもの作ってしまった。
アカギのアニメ後の展開を描いた動画なので、アニメ好きで興味ある方はどうぞ。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm30408744

すまないけど一次創作の小説も大賞の締め切りが近いので、更新頻度は低めかな……
でも失踪したりはしません。
459 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/01/11(水) 14:19:49.64 ID:oDBzqsr50
小テスト終わったから投稿するよー
結果は聞くな
460 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/01/11(水) 14:22:04.58 ID:oDBzqsr50
「あー……すっげー疲れた………」


 半荘1回目が終わった時点で、俺の脳みそはすでに限界を迎えていた。

 張りつめていた緊張が一気に解け、それまで気づかずにいた疲労がどっと押し寄せてきた。


「京ちゃんお疲れ〜」
 

 後ろから咲が肩もみしてくれる。

 小さくても、麻雀ダコがある手なのが背中で感じてもわかる。 

 俺の手も皮はガチガチだが、これはハンドボールをやっていたからであって、麻雀ダコだけなら先よりまだまだ柔らかいだろう。


「ありがと。なんというか気の抜けるラストではあったけど………」

 
 格好良く決めたと思ったら、いつの間にか試合が終わっていた。

 何だか釈然としない。

 
「仮に7700で収まってたら、トップ二人とはリー棒拾えたから1万点差くらいで、満貫ツモでトップだったのか………。何とも微妙だな」

「何だったら、やっぱり頭ハネありにして続けるかの?」

「いえ、いいですよ。こういう痛い目も見ておいた方がいいと思って諦めます」


 レートやハウスルールを確認しなかったのは完全に俺のミスだ。

 いい経験だったと割り切ることにする。


「ちょっと次の半荘の前に休みたいな」

「構わんぞ。ちょっと待ちぃ、なんぞ摘みになりそうなもの持ってきちゃる」

「ありがとうございます」


 染谷先輩が、灰になってる優希を引きずって厨房に戻る。

 タコスの一つでも食わせれば元に戻るだろう。
461 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/01/11(水) 14:23:05.30 ID:oDBzqsr50
 ズズズ………

 局の始まる前に淹れられたコーヒーは、すっかり冷めきっていた。


「ん」


 後ろを向くと、赤木さんが座席に座って、雑誌に目を落としていた。

 実にうれしそうな表情をしている。

 はやりんのグラビア記事でもあったのだろうかと思って、反対側から雑誌を覗き込んでみる。


『グランドマスター・小鍛冶健夜プロ(28)に熱愛発覚!?
 お相手は10歳年上の井川ひろゆき7段(38)!』

「おお………!」


 アラサーと弄られることで有名な国内最強選手の熱愛報道。

 インターハイでその弄られっぷりを聴いた俺としては、かなり驚くものがあった。

 赤木さんの後ろに回って、記事に目を落とす。


『国内無敗の麻雀プロ、小鍛冶健夜プロと、男子リーグ今季最優秀防御率を持つ『神眼』として名高い井川ひろゆきプロの交際が発覚した。
 お二人は今年夏に行われたインターハイの解説者の、大会後の催しで出会った時から交友が始まり、先日正式なお付き合いがスタートしたとのこと。
 来年には入籍も視野に入れているとのコメントもいただいた。
462 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/01/11(水) 14:23:58.64 ID:oDBzqsr50
 ―――お付き合いに至った経緯は?

 井川プロ『初めてお会いした時は、健夜さんがどんな怪物なんだろうとわくわくしていたんですが、実際会うと「あれっ?」ってなりました。
 非常に声も線も細い可愛らしい方で――――』

(隣で顔を付して恥ずかしがる小鍛冶プロ)

 井川プロ『でもその場の勢いで、一半荘お願いしますと言ったらあっさりOK してもらえて………散々な目に遭いましたね(笑)。
 オーラス時点で、もう役満直撃しか逆転できないっていうところまで追い込まれて………。

 リーチ・中・三暗刻の裏ドラ7のっけて三倍満直撃は出来たんですけど、結局やられてしまいました。

 ただ健夜さんは、三倍満を直撃されるなんて初めてのことらしくって、その時点で一目惚れ状態になってくれたそうです』


(恥ずかしさのあまり逃げ出す小鍛冶プロと、それを捕まえる福与アナ)


 井川プロ『その後もちょくちょく会っては打っていたんですけど、健夜さん私生活がけっこうだらしなくて………(笑)。
 面倒を見ていたら、いつの間にかって感じですね』


 ―――井川プロはプロ4年目にして7段に到達し、来シーズンは防御率首位ですが、今後のご自分の目標などは?

井川プロ『”常に熱い三流でいること”ですね。僕は健夜さんみたいな天才ではないので。

 昔お世話になった人から、三流だからって腐るな、常に前に進んで”熱さ”だけは失うなと言われたので、その言葉通り遮二無二努力してきた結果が今の自分だと思っています。
 正直その人健夜さんより強いので、まずは健夜さん相手に勝ち越せるようになりたいと思います。

 ほぼ毎日二人麻雀打って勝率1割届かないんですけど(笑)』
463 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/01/11(水) 14:25:08.68 ID:oDBzqsr50
(ん?)


 ここまで読んで、俺は少し引っかかった。

 井川プロの、”熱い三流”という言葉に対してだ。


「赤木さん、ひょっとして井川プロと知り合いだったりします?」

「ん? ああ、あいつがガキの頃、少しかわいがってやったな。 プロになっていたとは知らなかったが、元気そうで何よりだ」

「ええ………」


 じゃあ、このインタビューの『昔お世話になった、小鍛冶プロより強い人』というのは赤木さんのことか。

 毎日小鍛冶プロと打ってる人に、小鍛冶プロより強いって言わしめるとかこの人どんな化け物だ。


「須賀君、どうかしましたか?」

「いや、それがさ………」


 和と咲もこっちに来たので、掻い摘んで説明したら、二人とも目を見開いた。


「ええ! そんなオカルト在り得ません!」

「うん、でも多分本当のこと――――

「小鍛冶プロが結婚しそうなの!?」

「あれ、そっち?」


 女子二人にはそっちの方がショックだったのだろうか。
464 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/01/11(水) 14:25:58.94 ID:oDBzqsr50
「冗談はさておき、井川プロですか………うーん」

「あ、冗談か」


 和が考え込むように唸る。


「俺が小学生の頃、ひいじーちゃんの葬式に井川プロも来てたらしいんだけど……実際どういう人なんだ?
 30歳越えてからプロ入りして、しかも3年で7段になったっていう逸話なら聞いたことあるけど」


 俺が本格的に麻雀を始めたのは今年の春からなので、全然特に男子プロのことは知らないのだ。

 どうせなら見事なおもちをお持ちのはやりんとかを見ていたい。


「私も詳しくは知らないんですが………、一言で言えば、対応力が異常、でしょうか?」

「例えば?」

「その………鶴賀の大将さん、加治木ゆみさんをさらに強くした感じと言えばいいんでしょうか?
 長野団体戦決勝で、加治木さんは咲さんの嶺上開花を偶然とは片づけずに、槍槓を狙いに行きましたよね?
 井川プロもあんな感じで、どんな些細なことでも偶然と片づけず、すべてを何らかの原因があると仮定し、それを見抜く『神眼』を持っていると………どこかの雑誌で読んだ覚えがあります」

「つまり、オカルト麻雀肯定派の人ってこと?」

「そんなオカルト在り得ません」


 咲の言った「オカルト麻雀」のワードに反応し、和がツンとした態度をとる。

 おお、ツンツンメイドさんや………。
465 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/01/11(水) 14:26:57.55 ID:oDBzqsr50
「まぁ、要は非常に考えの幅が広い人ってことなんだろ?
 それがオカルトかはさておき……」

「そうですね。ただ、そうでなくても本人のインタビューで、「相手の動作や視線を見ていれば、手牌ぐらいわかります」と言っていて、
 しかも本当にその通りの打牌をしているから防御率もトップなんだそうです。
 たしか、井川プロの振り込んだのは9割が単騎待ちだったという話も聞いたことがあるような………」

「おおぅ………!」

 確かにそれは紛れもない『神眼』だ。

 風越の大将が脳裏に浮かぶ。

 あの母性溢れるオッドアイの綺麗なお姉さんも立派なおもち――――じゃなくて、洞察力を持っていることで有名だが、それをさらに発展させたようなものだろうか。

 (加治木ゆみ + 福路美穂子)×2 = 井川プロ といったところか。

 ×2かどうかはわからないけど。

 プロ7段っていうからには、×10ぐらいだったりするのかもしれない。
466 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/01/11(水) 14:35:23.48 ID:oDBzqsr50
「赤木さんはそんなすごい人の師匠だったのか………」


 俺は今、実はとんでもない人に師事しているのではないかと、空恐ろしくなった。


「よせやい。俺はあいつに何か教えたことはないぜ? ただあいつのやる気を引き起こしてやっただけだ」

「小鍛冶プロより強いって書いてあるんですけど………」

「さぁな。やってみたことないからわからねぇよ」


 赤木さん本人は、どうでもよさそうにしている。

 煙草に手を伸ばして、取り出そうとした瞬間に禁煙なのを思い出して、
 (´・ω・`) ←こんな顔になって手をひっこめただけだ。


「須賀君、流石にそれはないかと思います。
 イカサマを使って私たちをけむに巻くような人ですよ」

「ええ?」

「こないだの牌を伏せたままの役満づくり………あんなことが意図的に出来るわけがありません。何か仕掛けがあるはずです。
 局が終わるごとに、山を確認していたりしましたよね?
 あの時に何か種を仕込んだはずです」

「ん? ああ、あれか………。あれはまぁ別のことを確認していただけなんだが………。京太郎」

「は、はい」

「そこの自動卓、山積みな」

「はぁ………」
467 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/01/11(水) 14:36:34.48 ID:oDBzqsr50
 俺は言われた通り、終局の時のままになっていた牌を片付け、自動卓で掻き混ぜた。

 洗牌が終わると、赤木さんはよっこらせと言いながら立ち上がり、適当に見える動作で牌を選び始めた。


「ほらよ、俺が初めて和了った手牌だ」


 赤木さんは14枚目を表にせずに、俺の方へ指で弾いて渡した。

 こないだと同じように、13枚伏せられた牌を急いで表にして確認する。


 白白白中中中發發發888p西 


「……………」

 四暗刻大三元西単騎待ち。

 これが初めて和了った役っておかしいだろという言葉を飲み込み、恐る恐る渡された手の中の14枚目を見ると………

 西 <やぁ


「そんなオカルト在り得ません………」


 和がその場にズーンという効果音でも付きそうなくらい落ちこんでへたり込む。


「お待たせー! 追加のタコスだじぇ………のどちゃんどうかしたのか?」

「こないだと同じことやったんだけどさ………」

「ああ………」


 お盆にタコスを盛ってきた優希と、コーヒーのお代わりを持ってきた染谷先輩に、卓の上を指さしながら言うと、二人とも理解したようだった。


「のどちゃん全然動かないじぇ」


 ゆっさゆっさと優希が肩をゆすっても、和は反応しない。

 ただその豊満なおもちがゆっさゆっさと振り子のように揺れるだけだ素晴らしいありがとうございます。


「まぁいいじぇ、とりあえずいただきまーす!」


 反対に完全復活した優希の号令で、俺たちは休憩に入るのだった。
468 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/01/11(水) 14:37:15.34 ID:oDBzqsr50
ここまで。

ひろやすこやん好きな人はごめんよ
469 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/11(水) 14:59:20.03 ID:UtQxIYET0
乙!
SSとは言えスコやんに春が来たのはめでたい事だ!
470 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/01/11(水) 15:30:38.06 ID:oDBzqsr50
ひろの「天」のその後を知りたい人は、「HERO〜アカギの遺志を継ぐ男〜」を読もう!
ひろめっちゃ強くなっとるで!
471 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/11(水) 17:54:03.80 ID:+9S3FUctO
ただ最近は福本の牛歩まで引き継いじゃってるんだよなあ
472 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/12(木) 09:00:26.20 ID:pcXwlZKiO
咲ワールドって女子プロの方が強いんだっけ?
473 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/12(木) 10:17:42.71 ID:Ud/iFFBWO
男子が大阪の泉ぐらいとかなんとか
大沼プロとかいるし、今年は男子の育ちが悪いぐらいで考えとけばいいんじゃないかな
474 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/13(金) 15:15:03.54 ID:uc5O8CfGo
プロのレベルは明言されてないが、大沼プロが確か最優秀守備率とか取ってるからリーグ自体が男女分かれてない限りは、
トッププロレベルなら男性プロでも女性プロに対抗は出来るのでは。

男子のインハイ覇者が泉とどっこいとは言われてたから、
「基本的に女子>>男子で男子トップが女子トップに例年なら喰らい付くまでは行けるはずだが現高校男子のレベルが特に低い」とかそんなんじゃないかなぁ。
475 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/14(土) 03:14:14.96 ID:7wL1jPap0
男子はとりわけ優秀な打ち手とその他の差が極端についてて優秀な連中は漏れなく裏プロに行ってる説を支持したい
476 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/14(土) 06:29:41.64 ID:ZZyO+PTM0
それでも随所で立ち塞がる京ちゃんのお友達
477 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/01/14(土) 22:59:42.45 ID:inlcFniu0
おともだちネタ考えた人って相当麻雀漫画が好きなんだろうなって
478 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/03(金) 00:30:55.08 ID:IckF4qlYO
続か待ってます
479 :スレ主(スマホ) [saga]:2017/02/12(日) 21:36:32.14 ID:Y0FQJ8UK0
アカギがあと一年で終わるってマジかよ・・・

続きはもう少し待ってね、来週一杯試験週間なんだ。
それ終わったらまた書くから。
480 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/12(日) 21:39:39.08 ID:i4yZ31mLO
待ってる
481 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/12(日) 21:44:24.75 ID:CxLyxOLSO
ワシズ編が終わるだけだからヘーキヘーキ
482 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/12(日) 22:20:10.95 ID:vtZysLMr0
アカギはあと一年やけど
ワシズ編はあと一回で終わりやぞ
483 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/02/13(月) 19:35:04.57 ID:Kh2odnyp0
赤木しげるが負けて負債を背負う事はあったとしても死ぬ事はないと解り切っているのになぜ負け=死のギャンブルをアカギでやったのか。コレガワカラナイ
484 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/13(月) 23:54:31.47 ID:mMUfQmWhO
ワシズ終わってもまだ書くって昔言ってたけどやめたんだな

>>1待ってるよ〜
485 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/02(木) 18:56:12.77 ID:v2YkXfj3O
アカギが終わるのが先かこのスレが終わるのが先か
486 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/12(日) 14:41:11.55 ID:r+G3QoOTO
もう駄目なのかな?
487 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/13(月) 22:21:07.20 ID:GsRC4Gb+o
アカギが先に終わりそうだな
488 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/03/14(火) 00:48:21.48 ID:YsRTPl/M0
いや一応書いてはいるんだけどね………
実はこの段階にきてオリキャラとか、急展開とかいろいろ出てきちゃって………

竜崎さんとかキャタピラ王子こと矢木さんの孫とか………
これやっちゃって大丈夫なのかなぁって、こんなスレたてといて今更なっちゃって………

カイジで出てきた指切り落とし機とかいろいろ………
489 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/14(火) 00:54:03.97 ID:bs/lCOapO
まあ無理なら無理でギブアップ宣言して依頼を出すといいよ
中途半端にこだわって結局エタってスレが落ちるのが一番よくない。作者にとっても読者にとっても
勇気がいる行動だろうけど、時にはちゃんと逃げることも大事だ
490 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/15(水) 14:19:24.26 ID:xEmXP4Kro
お金取って書いている訳じゃ無いんだし好きに書けば良いんじゃない?
491 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/19(日) 12:22:54.95 ID:ZTXIjHbKo
やりたいようにやったらいいよ
492 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/03/27(月) 13:40:05.71 ID:S6floja50
どうも、お久しぶりです。
かなーり書いてて苦しい展開ですが、失踪だけはしないようにします。
493 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/03/27(月) 13:41:05.02 ID:S6floja50
「いやぁ、それにしても京太郎。おんしホンマに強くなったのぅ」

「え、そうですか?」


 一緒にタコスをかじりながら、染谷先輩が褒めてくれた。


「最後の一局もそうじゃが、それまでもなんとか耐えとったじゃろ。ツモられて削られまくっとったが、振り込みはやっすい変則待ちと、わしの多面張に振り込んだだけじゃし」

「いやその振り込んだのが跳満だったんで全然よくないんすけど………」

「まぁそりゃそうじゃが、よく南2局までは持ちこたえたというべきじゃろ。久ほどうまくはないが、大抵の奴なら東場のうちに変則待ちに調子を崩されて、もっと早く大物手に振り込み始めていたはずじゃ。正直わしの方が焦れたぞ」

「はぁ………」


 みんなの高打点ツモにゴリゴリ削られて、内心で止めてくれと泣き叫び続けていたので実感はない。

 あれだね、炙られ続ける焼き鳥の気分だ。
494 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/03/27(月) 13:41:50.33 ID:S6floja50
「うんうん。後ろで見ていて、そんなに大きな間違いはしてなかったよ。


 和ちゃんほど効率よく打ててはいなかったけど、好みの問題とかで片づけられる程度だったし」


「いやでも最後の2m単騎は絶対大間違いだろ………。あんなの只の運……」

「京太郎」


 赤木さんが雑誌から顔を上げ、俺の方をまっすぐ見据えた。

 特別鋭いというわけではなかったんだけど、その視線を真正面から受けて、俺はひやりとしたものを感じた。


「その大間違いってのは、誰が決めた?」

「え? そりゃ………よくある、麻雀のセオリーとかと比べて………」

「定石通り打てば必ず勝てるほど、博打ってのは簡単なものか?」

「いや、そりゃあ違いますけど………」


 定石というのは大事だ。

 だが、それさえ守っていれば勝てるわけではない。

 そんなことを言ったら、和は今頃インハイ個人戦一位の実績を持っていないとおかしい。
495 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/03/27(月) 13:42:24.97 ID:S6floja50
「そう。そりゃ普段はよくある確率だのなんだのに従っていても、悪かないさ。
 だがそれだけでは、絶対に限度がある。
 定石や基本だけでは勝てない境界線に立った時………その時頼りになるものはもう、自分独自の考えではじき出した答えしかねぇ。
 そんな土壇場に来てまで、他人の提唱した考え方に縋りつくやつに勝機はない。
 普段従っている、「もっともらしい考え方」とどれだけ異なろうが、自分で導いた答えに従えないやつはずっと二流どまりさ。
 そしてお前は運よくか、そうなるべくしてなったのかは知らんが………自分自身の考えを信じ抜いた結果、勝利を手にした。
 その自分を勝利に導いたもの………言うなれば、博感や博才というもんは、絶対に疑うな。
 如何に鋭い感覚、才能があったところで、自分がそれを信じてやれなくちゃ宝の持ち腐れなんだからよ」

「……………はい」


 俺は表情を引き締めて、その言葉を噛み締めた。

 定石ではない、理屈ではない理外の強さ。

 そんなものが俺にあるのかどうかは分からないが、無いと最初から全否定してはあるものもなくなってしまう。
496 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/03/27(月) 13:42:55.36 ID:S6floja50
「うぅーむ、よくわからんじぇ」


 既に3つ目のタコスに手を伸ばそうとしていた優希が頭をひねる。

 食い過ぎると縦より横に伸びるぞ。


「あのな………つまり、多分だけど『自分らしい麻雀』を大事にしろってことじゃないのか?
 普段から理論をガン無視のめちゃくちゃをやれっていうんじゃなく、いざっていうときは自分だけで考えたオリジナリティを持てっていうか」

「それなら大丈夫だな! 東場で稼ぎまくっておけば、そんなピンチは無縁だじぇ!」

「さっき南場に入って倍満と7700に振り込んで飛んだの誰だよ」

「しらんじぇ!」


 こいつぜってー大成しないな。

 南場に入ってからの弱点が完全に克服されれば、本当に無敵だろうに。

497 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/03/27(月) 13:43:42.95 ID:S6floja50
(…………っははははは!)

(ん?)


 店の外からだが、騒がしい笑い声が聞こえてきた。

 俺達と同じくらいの年齢の男子が数名、窓から見えた。

 お世辞にも、品行方正とは言えない風体をしている。
 

(お!? 何々!? 『本日メイドデー』だってよ!)
(え、アレ!? すっげー巨乳のねーちゃんいんぞ!?)
(おっしゃ突撃―!)


 え、こっち来るの? と思った時には、入口のドアに付けられたベルが、外れかねない勢いでやかましくリンリン鳴り響いていた。


「こんちわー! 巨乳メイドさんのミルクティー3つお願いしまーす!」
「ぎゃっはははは! 実物でも可能でーっす!」


 顎が四角い馬面といった感じの、学ランを着崩した馬鹿な高校生が3名入ってきた。

 明らかに下心満載の視線を和に向けており、和が身を縮こまらせるのが分かった。
498 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/03/27(月) 13:44:30.35 ID:S6floja50
「あいつら………」

「知ってるんですか?」


 小声で呻いた染谷先輩と、小声で会話する。


(あの真ん中のたらこ唇の四角顎………このあたりの、確か東京の川田組とかいうヤクザ傘下の組の、組長の馬鹿孫じゃ。
 確か竜崎とか言ったかの………)


 ヤクザの孫、というだけでなんとなく理解できた。

 後ろ盾が怖くて、注意できる人間がなかなかいないといったところか。


「あれ………?」


 その竜崎とやらの隣にいる馬面に、少し見覚えがあった気がした。


(その隣の馬面が、矢木っちゅう正真正銘の馬鹿じゃ。
 今年の長野の男子インターハイ代表じゃが、インハイ本番でイカサマをして失格になったど阿呆じゃ。
 確か京太郎、おんしも確か予選で当たっておらんかったか?)


 そうだ、思い出した。

 インハイの個人戦予選で打った、とびっきりマナーの悪かった奴だ。

 チョンボすれすれの挑発行為も繰り返してきて来たが、何か言っても大負けしている奴の遠吠えになると思って言いだせなかった。

 その後長野代表のイカサマが発覚したと聞いていたが、あいつなら納得だ。
499 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/03/27(月) 13:45:17.17 ID:S6floja50
(残りが確か黒崎いうたかな? 
 帝愛グループっちゅうでっかい金融会社の重役が親戚にいて、ずいぶん羽振りがいいそうじゃ。高校生の分際での)


 なるほど、最後のデカっ鼻は他の二人と同じように学ランを着崩しているが、妙に目立つ金ぴかの腕時計なんかを身に着けている。

 やけに黒い鞄も、高い本革製なのだろう。


(一番ヒョロそうに見えるのはあいつじゃがの、一番やばいうわさがあるのはあいつじゃ……。ガキのくせに金貸しまがいのことをして、払えなくなった奴の指を切り落としたらしい……)

(ま、マジっすか………?)

(ああ。和、おんしは厨房に入っておれ)

(は、はい)


 少しおびえた様子の和は小さくなって厨房に入って、姿が見えなくなった。
 代わりに染谷先輩が3人の方へ向かう。
500 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/03/27(月) 13:46:01.29 ID:S6floja50
「あーお客さん方、いらっしゃいの前に一言言わせてもらうぞい。
 一応ここ、ただの喫茶店じゃから、おさわりは禁止じゃし、周りのお客に迷惑は………

「はぁ? 何このわかめっぽいの? チェンジでー」
「ワカメで眼鏡とかマニアック過ぎんだろー。マジ萎えるわー」
「おーい、おっぱいちゃーん! 君が注文取りに来てよー!」

(の野郎………!)


 注意しようとした矢先に、これ以上なく無礼な返事がよこされた。

 染谷先輩が身体を少し震わせたが、一つ呼吸を置いて落ち着く。

 俺は怒りで頭が沸騰しそうになったが、染谷先輩が堪えているところを見て、なんとか我慢する。

 お店の中でもめ事を起こしても、先輩の迷惑になるだけだ。


「…………ミルクティー3つじゃったな?
 今日はサービスしておいてやるから、飲んだらさっさと………」

「は? だからワカメはいらねっつの。ほら、しっし」

 ブチッ
501 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/03/27(月) 13:47:06.95 ID:S6floja50
(赤木さん)

(ん? 手を貸せってか?)


 興味無さそうにしていた赤木さんに耳打ちする。


(ええ、ちょっとトイレに入ってもらえます?)

(…………なるほど)


 俺がテーブルの下でこっそり、備え付けの調味料の中から塩と胡椒を大量に片手の中に握り込むのを見て、赤木さんがいやーな笑みを浮かべる。

 赤木さんがトイレに入っていくのを見て、俺は席を立った。


「おい、お前ら」

「あん?」


 身長180センチ以上の男が出てきたことに、馬鹿三人組が少し警戒を強める。
 

「心のこもってない謝罪なんかもらっても胸糞悪いだけだからな。
 見逃してやるから、今すぐに店から出ていけ」

「はぁ? つーかお前………あっはっはっは! おま、あん時の糞雑魚かよ!」


 矢木が、俺の顔を見て思い出したのか、いきなり笑い声をあげる。


「あん? 知り合いか?」

「あー、インハイ予選で最初に当たってよ。俺含めて他家に向かって満貫跳満倍満の順番にきれーに振り込んでくれたんだよこいつ」

「ぶっは、だっせぇ!」


 馬鹿どもが俺を指さして腹を抑えるが、そんなことはどうでもいい。

 俺は仕事のしやすいように、矢木を挑発する。
502 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/03/27(月) 13:48:00.08 ID:S6floja50
「そういや俺もアンタのこと見覚えあるな。インハイ本番でヘッタクソなイカサマがばれて、無期限出場停止になったクズだったか」

「あ?」


 矢木の表情が怒りを孕んだものに変わる。


「舐めてんじゃねーぞザコ? なんだったら、今すぐここでもう一度ぶちのめして………!」


 矢木が唾を散らしながら吠える。

 だがちょうどやりやすい。自分より背の高い相手の顔を正面から見据えては、手元への注意が反れる。

 俺は手に握り込んでいた大量の塩と胡椒を、矢木の目許に思い切りぶっかけた。


「でゃっ!?」


 奇妙な悲鳴を上げて、矢木が目を抑えてうずくまる。


「お、おい矢木!?」


 慌てた竜崎が矢木の隣にしゃがみ込む。少し余っていたので、こいつにも一丁。


「うぎゃぁっ!?」


 堪らず竜崎も同じように悲鳴を上げる。
503 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/03/27(月) 13:48:56.32 ID:S6floja50
「み、水! 水ぅ!」

「こ、こっちだ! トイレに………!」


 残った黒崎が二人の尋常ではない痛がり方を見て、俺を放っておいて二人をトイレへと引っ張る。

 しかしすでに対策済みだ。

 ガチャガチャガチャガチャ!

 いくらドアノブを回し、押しても引いてもトイレは矢木たちを通さない。


「おーう、入ってるぜー」

「おい! 今すぐ出ろ! おい、ぶっ殺すぞ!」

「あー? 最近耳が遠くてなー? なんだって? 気にせずごゆっくりどうぞ?」

「ざけんな!開けろ! おい! こら!」


 赤木さんがどんな顔で笑っているか、容易に想像できる。

 頼んだのは俺だが、楽しんでくれて何よりだ。


「ひぃ、ひぃい………!」

「目が、目がぁ〜〜〜〜!!!」

「あー、店の前に川があるからそこで洗えば?」

「くっそ………!」

「な、なんでもいい! 早く、早くぅ!」


 俺が厨房の前に仁王立ちして、「こっちも使わせない」という意思を表すと黒崎は観念したのか、俺の言った通り店を出て、すぐ前の川へとほうぼうの体で二人を引っ張っていった。

 ま、護岸工事しっかりしてるから、川に降りるためにはもう何百メートルか歩かなきゃいけないんだけど。

 橋から飛び降りれば別だけどな。
504 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/03/27(月) 13:49:30.76 ID:S6floja50
「きょ、京太郎…………」

「済みません、染谷先輩。勝手なことをして………」


 呆然としてる染谷先輩に、頭を下げる。

 冷静になってみると、ヤクザ関連の客にこれはまずかったか。


「いや、助かったぞい。というか、おんしこういうことに慣れてたんじゃな。いいガタイじゃから喧嘩は強いかもくらいに思っておったが」

「その、前に一度体格差を考えずに本気で喧嘩したら相手が大変なことになりまして……」


 中学三年の時点ですでに180センチを越していた俺は、体格というものが殴り合いにどう影響するのか全く分かっていなかった。

 それ以来、ストレートな喧嘩はしないようにしている。

 そう考えると柔道とかって、加減次第で無傷で終わらせることもできるし便利だよなぁ。


「今日は念のため、もう店仕舞いしとくわ。帰り道が怖いし、和たちを送って行ってもらえるか?」

「ですね。わかりました」


 お礼参りという言葉が脳裏をちらつく。

 そう考えると、今日は陽の高いうちに帰路に着いた方がいいだろう。

 特に和は、悪い意味で異性のターゲットになりかねない。

 そうしてその日は、出来る限り手早く解散となった。
505 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/27(月) 13:51:08.65 ID:mKfR4z8co
すばら
506 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/03/27(月) 13:51:11.36 ID:S6floja50
ここまでですー。

竜崎さん、キャタピラ王子こと矢木さん、黒崎さんが好きな福本ファンの方はごめんなさい。

でも福本のチンピラ悪役って言ったらこのくらいしか知らないんだよ………
鷲巣様は格が違い過ぎるんだよ………
507 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/27(月) 13:52:45.47 ID:mKfR4z8co
乙です
508 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/27(月) 15:26:10.38 ID:+H982CZvo
すばら
509 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/27(月) 15:35:43.29 ID:0wJffdxnO
待ってた
510 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/27(月) 16:27:23.56 ID:FB5/7u/VO
こういうオリキャラは無問題
今回も楽しく読ませてもらったよ
511 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/27(月) 18:20:03.48 ID:YCMB6VDpo
512 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/27(月) 23:31:45.21 ID:xiPyf+Dyo
オリキャラでは無いんだよなぁ……
513 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/14(日) 00:20:32.79 ID:jNYsIBPPO
まだか
514 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [sage]:2017/05/14(日) 20:10:24.48 ID:gafk8+Q20
ごめんなさい……

5月末が応募する小説大賞の締め切りだったり、英語論文訳して発表するゼミとか、
卒研のための技術身に着けたりとか、5月いっぱいはきついです………

6月に入ると多少余裕が生まれると思うので、そこでまた更新したいと思います………
515 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/14(日) 20:29:39.59 ID:p9Bpnm1+o
待ってます
516 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/16(火) 20:30:37.09 ID:VSseFfCao
ちゃんと計画立てて進めるのは良い事だ
気長に待ってます
517 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/17(水) 18:57:04.58 ID:z5wisr4eo
こういう報告はありがたい
リアル大事に
518 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/20(土) 13:53:45.92 ID:cFOUZ9SUO
失踪はしないで欲しいのですよ〜
519 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/31(水) 12:29:16.11 ID:VM6Ftinm0
気長に待ってます
520 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/04(日) 19:19:41.64 ID:t/gkbuQs0
気長に待ってるぜ
521 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [sage]:2017/06/04(日) 21:09:38.17 ID:4Mrjp4U70
応募する小説締め切りの夜のこと。

23:50 別途用意するあらすじなど含め、すべて提出するものを用意する。

23:54 いざ提出しようとするが、何故か肝心の小説のデータの入ったtxtファイルがアップロードできない不具合発生。

23:58 仕方なく、デスクトップパソコンで試す。こちらは問題なく動作。必要事項を急いで記入する。

00:01 「応募は締め切りました。次回ご応募ください」

 
 実際に起こったことです。
 そんな精神状態で書いたものですがどうぞ
522 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [sage]:2017/06/04(日) 21:11:16.45 ID:4Mrjp4U70
「くっ……!」 打3s
「カン――――」
「し、しまっ――――」
「カン、カン、カン! ツモ、緑一色・四槓子!」
「ぐああああああああああああ!!!」


(5,7,9pは全部切ってる! こいつなら………!)
「リーチ!」 打8p
「御無礼、黒一色・四暗刻単騎です」
「うあああああああああああ!!!?」


「だ、ダブルリーチ!」 打中
「ロン、人和・紅孔雀!」
「ぎゃああああああああああ!!?」


40分後


「つ、ツモ………役牌のみ、で……す……」

「煤けるどころか、全身黒焦げ………だが戦い抜いたか………」
「ふふ。いいものを見せて頂きました、失礼」
「いい闘志だったぜ。実力がついたら、また来な」

「は、はひ………」
523 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/06/04(日) 21:12:59.07 ID:4Mrjp4U70
 俺と半荘を打ってくれたお兄さんたち3人が店から出ていく。
 
 俺はというと、返事をする気力があることに感謝するほどだった。それだけぼっこぼこにされた。


「おう、終わったか」

「あ、あかぎ、しゃ…………」

「なに死にそうな顔してんだ」


 井川プロ特集の雑誌を読んでいた赤木さんは、卓に突っ伏した俺の頭をグシャグシャと撫でた。
 やめて、ホントに脳みそ焼ききれそうなの今。


「な、何点取られてたんすかね………」

「知らん。マイナス20万越した辺りで数えるのが面倒になった」


 お兄さんたちの点棒箱には、真っ黒な箱下用点棒が山盛りになっている。

 途中から店にあるのを全部持ってきても足りなかったので、赤木さんに後ろで数えてもらっていたのだ。


「だーから無茶だって言ったろ? 俺でも死ぬほど苦労するぞあの卓………」

「や、やっぱりやめときゃよかった…………」


 赤木さんとの修行のラスト2日。俺はこの間のお兄さんたちに、無謀にも箱下アリのルールで挑み、今こうして死にかけている。

 あがれたのは最後の役牌のみだったが、途中で投げ出さなかった自分を今だけは褒めてあげたい。

 にしても何なのあの人たち。途中から見せつけてくるかのようにローカル役バンバン出してくるし。別にローカル役はいいんだけど、普通の役満とも可能な限り重複させてくるし。
524 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/06/04(日) 21:13:58.14 ID:4Mrjp4U70
「にしても意外だな。お前は相当気持ちの浮き沈みが激しい奴だと思っていたが、まさかあの連中に真っ向から挑むほどやる気に満ちるとは」

「じ、自分でも無謀だとは思いますけど…………でも、やってみたかったんです」


 昨日、roof-topから皆を家まで送ってから帰路に着いた時、矢木のことを思い出していた。

 あんな奴に負けたくない。きっと俺は予選の時、イカサマを使っていない矢木にすら負けた。

 それだけあの時の俺は弱く、同じ卓を囲んでいた連中は強かった。

 いつまでもあの場所に留まっていたくない。いつだったか咲に言ったように、俺だって清澄高校の選手だと胸を張れるようになりたい。

 かといって、いささか無謀が過ぎたと思うが。

 でもこれでどんな相手にも物怖じしない度胸はつけられたと思う。


「少し休んだら、普通の相手ともやっておけ。感覚が狂ったままじゃ悪影響だ」

「はーい…………」


 最高球速が100キロくらいなのに、メジャーの試合で9回まで投げさせられた野球少年の気分になりながら、俺はゆっくりと休んだ。

 なぜか周囲にはギャラリーが出来ており、半荘打ち切った俺に拍手してくれて、店のつまみやドリンクを奢ってくれるおじさん達がいた。世界って優しいね。
525 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/06/04(日) 21:14:43.37 ID:4Mrjp4U70
「ふぅ………ん?」
 

 店のほとんどの客が俺の周りに集まってる中、一番奥の、それこそ雀卓を無理矢理置いたようなスペースに見覚えのある顔があった。


(矢木に竜崎、黒崎…………?)


 俺とあいつらのどちらが先に店にいたのかは定かではない。俺はお兄さんたちの猛攻をしのぐので精いっぱいだったし、途中であいつらが近くを通っていても気づかなかっただろう。

 それはさておき、その卓の空気は妙だった。

 同じ卓を囲んでいる4人目、眼鏡をかけた大学生くらいのお兄さんが、ここから見て分かるくらいに狼狽しているのだ。

 手も心なしか震えているし、異様に汗をかいている。

 黒崎が指を4本立てて、そのお兄さんの前でひらひらと手を振る。

 するとお兄さんは、目に見えて全身を震わせた。


『一番ヒョロそうに見えるのはあいつじゃがの、一番やばいうわさがあるのはあいつじゃ……。ガキのくせに金貸しまがいのことをして、払えなくなった奴の指を切り落としたらしい……』

(まさか………!)
 

 黒崎と指というキーワードで、染谷先輩の言葉を思い出す。

 嫌な予感がした俺は、急いでその卓の様子を見に行った。
526 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/06/04(日) 21:15:46.40 ID:4Mrjp4U70
「おっ! きたきたリーチ!」

「ううっ………!」


 下家の矢木がリーチをかけ、お兄さんがうめく。


学生さん手牌
 2p 111334457m 西西西  ツモ:7m

矢木 捨て牌
 4m 4p 北 西 6s 5p(赤) 9s 南 1m 6m 8p(リーチ牌)


 聴牌。


(でも、この捨て方は………)
 

 どれが手出しかツモ切りかわからない以上、憶測になるが俺は2pは切れないと感じた。

 しかし赤5pが捨てられていることにとらわれ過ぎたお兄さんは、2pに手をかけてしまう。


(だ、だめだ!)

「リーチ!」

「ロン!」


 矢木が笑みを浮かべて手牌を倒す。


「リーチ・一発・七対子・赤1。んで、裏2.跳満だな」

「ううっ…………」


 やはり七対子だった。
527 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/06/04(日) 21:16:46.36 ID:4Mrjp4U70
(最初の2順で、タンヤオの線は消える。それ以前に、北と西を捨てるのと4m、4pを捨てる順番が普通は逆だ。
 チャンタから純チャンに切り替えるためっていう可能性もあるけど、それも最後から3巡目の1m切りでなくなる。
 4mを切っておいて、その後1mを切るっていうのは 1123m の並びから、123mの順子にする時くらいのものだ。
 でも、お兄さんの手牌に1mの暗刻があるからそれもない。
 それに中盤でやけにスジを増やしそうな牌を捨てまくってる。
 多分、456の数字を多めに捨てておいて、最後にスジで出してきた牌を捕まえる気だったんだ)


 少し冷静になればわかりそうな露骨な捨て牌。

 だが焦っているお兄さんにはそれすら気づけない。典型的な悪い流れ。


「あっはっは、早めに指とお別れしておいた方がいいんじゃないかー?」

「ぃ………あ………」


 お兄さんが右手を抑えてがたがたと震え出す。

 指を切り落とすという噂は本当だったのだ。


(マジかよっ…………)


 その様子を見ても、俺は半ば信じられなかった。

 なぜ、自他問わず人の指を切り落とすなんて言う発想が生まれてくるのか。

 なぜ、それをそんな嬉しそうに、楽しみに出来るのか。 
528 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/06/04(日) 21:17:57.92 ID:4Mrjp4U70
「おい、待てよ……!」

「あ?」


 気付いた時には、俺は矢木の目の前に躍り出ていた。

 今更怖気づきそうになってしまうが、やっぱり何でもないなどとは言えない。


「指を切るって、お前ら本気でそんなこと…………」

「あ? てめぇにゃ関係ねーだろ。つーかてめぇよぉ………」


 俺の顔を見て、矢木たちが怒りの表情を浮かべ立ち上がる。

 当たり前だ。つい昨日、目つぶしをかましてやった相手なのだから。

 ふと矢木の視線が、さっきまで俺のついていた卓に向けられる。


「ぶっは! なんじゃありゃ? 箱下点棒てめぇどんだけ取られてんだよ?」

「さぁな。…………最低でも20万だそうだ」

「にじゅーまっ、ぎゃはははははは!」


 俺の言った数字に、矢木たちが腹を抱えて大笑いする。

 オメーらだって同じ条件なら間違いなく同じくらいの数字になるっつの。


「あー………腹痛ぇー……。つかあれだろ? 昨日帰った後に気付いたが、てめぇ清澄の麻雀部か? 
 一緒に居た連中がそうだったはずだけどよ」

「それがどうした?」

「あのチビどもみてーに、てめぇはサマ使えねぇわけか?」

「え?」
529 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/06/04(日) 21:18:53.70 ID:4Mrjp4U70
 サマ? 一瞬何の事だかわからなかった。


「サマって………イカサマって意味か?」

「たりめーだろ」

「咲たちがイカサマって、どういう意味だよ?」


 そりゃあ前に和に訊いた話で、入部したばかりの咲は小手返しでツモ牌をごまかしたりしていたらしい。

 でも、イカサマなんてしたことはないはずだ。少なくとも、俺達と打ち始めたころからは。


「おいおい、お前それ本気で言ってんのか? 公式戦何見てたんだ?
 あんな連発して、嶺上ツモるわけねーだろ!」

「!」

「嶺上の出る確率知ってるか? 1%ねーんだぞ? んなもん連発できるとしたら、サマ以外ありえねーだろ!」

「っ……!」

「それにもう一匹のクソチビも怪しいもんだ。東場だけ異様に毎回配牌が良すぎる。
 南場で失速すんのも、ひょっとしたら東場でのサマをごまかすためなんじゃねぇのか? 帳尻合わせによ」

「黙れ!」


 気が付いた時には、俺は矢木に殴りかかっていた。

 喧嘩慣れしている矢木は顔面目掛けたその拳を手の平で受け止めるが、痛みに顔を歪める。


「それ以上あいつらを侮辱してみろ…………!
 そこの人の指を切り落とす前に、俺がお前らを一生麻雀の出来ない体にしてやる!」

「おいおい、図星だからってんな怒んなよ。サマ野郎」

「てめぇ………!」
530 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/06/04(日) 21:19:49.98 ID:4Mrjp4U70
 ごめん、ご飯呼ばれたから行ってくる。
 変なところで切ってごめん、
531 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/06/04(日) 21:54:08.72 ID:4Mrjp4U70
 安い挑発だと分かっているのに、どうしてもそれを無視できない。
 

「実際当たらずとも遠からずだろ?
 他の部員のレベルみりゃ分かるってもんだ。ここまで雑魚って言葉がぴったりな奴も珍しいぜお前?
 サマしか能のねぇ卑怯者はすっこんでろよ、クソども!」

「っ!」


 ガシャン!
 
 矢木を掴むや否や、雀卓に頭から叩きつける。
 
その後頭部を殴りつけようと腕を振りかぶった時だった。

 バキッ!


「がっ!?」


 何かで思い切り頭を殴りつけられ、隣の雀卓に突っ込む。

 牌を床中にまき散らしながら痛む頭を押さえて立ち上がると、横から竜崎が椅子を両手で振り抜いた体勢でいた。

 周りの客が慌てて俺たちの側から逃げ出す。


「痛ぅ………!」


 側頭部から、ぬめ付いた血液が流れる。頭を切ったらしい。


「はっ、言葉につまれば逆切れか? いいぜ、やってやろうじゃねぇか」


 叩きつけられた鼻頭を抑えながら、矢木が臨戦態勢をとる。

 他の二人も同じだ。


「オラァ!」
 

 突っ込んできた矢木の拳を腕で受け止める。

 伸ばされた腕を掴んでねじあげようとする間もなく、すぐに竜崎がまた椅子を思い切り振ってくる。


「うわっ………!」
 

 慌てて腕で頭部を守るが、何度も執拗にガードの上から椅子を叩きつけられる。

 極めつけに、脇から黒崎の蹴りがわき腹にめり込む。


 もう一度派手に吹き飛び、雀卓がもう一台倒れる。


「げほっ………」


 椅子を振り抜くのもそうだが、こいつらは一切容赦がない。

 俺だって、誰かを殴りつける時はおっかなびっくりなんだ。だけどこいつらは、他人を傷つけることに一切の躊躇がない。
532 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/06/04(日) 21:55:01.78 ID:4Mrjp4U70
「泣き叫ぼうが許しゃしねー。
 『ごめんなさい、僕たちはイカサマをし続けてきました』って、部員のお前が週刊誌辺りに言えば考えてやるがな」

「…………!」

「そっちの伝手はいくらでもあんでな。きっといい記事になるぜぇ?
 現役の部員が、自分たちの功績を全部イカサマによるものだったって内部から告発したらよぉ?」

「そんなことっ…………!」


 もしそんなことになったら、冗談では済まない。

 赤の他人が周りで囃し立てるのならともかく、身内が自分たちはイカサマをしたと宣言したら、どんな取り返しのつかないことになるかわからない。

 公式戦の映像があれば、咲たちがイカサマをしていないのは明白だ。でも、間違いなくひと悶着は起こる。

 少なくとも、咲たちが今まで通りに麻雀を打つことは難しくなる。

 麻雀部が出場を辞退する羽目になったり、部長はプロへの内定を取り消されるかもしれない。

 現にインハイ本選でイカサマのバレた矢木は、無期限の公式戦出場資格剝奪処分を受けている。


「おらっ!」

「げほっ!?」


 もしそんなことになったらという恐ろしい未来について気を取られ過ぎ、矢木の蹴りを防げない。

 わき腹に爪先がもう一度めり込んだ痛みに悶絶する。


「〜〜〜〜〜〜っ!」

「ほらほら、どうしたぁ!? なんか言ってみろよ、イカサマ野郎!」

「だ、れが、イカサマだ………! てめぇが、その最たるもんだろうが………」


 矢木は舌打ちを一つすると、もう一度拳を振り上げた。
533 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/06/04(日) 21:58:34.88 ID:4Mrjp4U70
 がしっ

「え?」


 その拳が、横から伸びて来た腕につかまれる。そしてそのまま

 バキッ!

「ぐほっ!?」

「矢木ぃ!?」


 矢木の腕をつかんだ赤木さんが、その拳を矢木の顔面に叩き込む。

 矢木が俺に負けず劣らず、派手に吹っ飛んだ。


「ほれ、京太郎。立てるか?」

「は、はい…………」

「て、てめぇ! 俺が誰だかわかってんのか!?」

「知るか、そんなもん」


 左手に持っていた煙草をふかしながら、赤木さんが心底どうでもよさそうに答える。


「だったら教えてやる! 俺ん家は爺さんの代からこの竜崎の親父が組長を務めるヤクザの代打ちでな、要するに俺に手を出せばヤクザのおっさん達が痛い目に遭わせるってこった!
 おっと、そこで警察呼ぼうとしてる奴! 下手な真似はすんなよ? でなきゃグラサン付けたおっさんが毎月みかじめ料をせびりに来ることになるぜ!」

「ひっ………」


 電話に手が伸びていた店員さんを、目ざとく矢木が見つけて脅す。

 しかし一方で、赤木さんは口元を歪めるだけだ。


「ヤクザが俺を痛い目にねぇ…………」


 やっぱりこの人筋モンだよ。カタギじゃないよ。

 ほら、あんまりビビんな過ぎて矢木たちも戸惑ってるもん。
534 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/06/04(日) 21:59:30.09 ID:4Mrjp4U70
「……まあいい。この店は後回しだ。先に昨日てめぇらのいた店からだな」

「なっ!?」


 roof-topをヤクザを使って潰す。この男はそう言っているのだ。


「まてっ! 染谷先輩は、あの店の人は関係ないだろ!?」

「は、知るかそんなもん。イカサマ使うような奴の店は、潰れて当然だよなぁ!?」

「っ………!」

「いいぜ別に? 代わりにお前がイカサマを認めて、マスコミにそう言うなら止めてやるよ。
んなことになれば、どっちにしろ店は潰れるかもしれねぇけどな」

「…………ふざけんな」

「あ?」

「ふざけんな! 自分の弱さ、力の無さを、実力のある連中を貶めることでしか目を逸らせねぇクソ野郎が!
 あいつらを、誰よりも麻雀が好きで、まっすぐに頑張ってきた奴らを馬鹿にすんじゃねぇよ!」

 店中を震わせる俺の叫びに、矢木たちが一瞬面食らう。
535 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/06/04(日) 22:00:46.79 ID:4Mrjp4U70
「…………いいぜ」


 だがこいつらは、他人を傷つけることを厭わないクズたちはこんなことでは変わらないだろう。

 だから、俺も覚悟を決めた。


「人を雑魚だのイカサマだの謗るなら、当然お前らは強いんだろうな?」

「ああ?」

「今から俺と半荘5回の勝負をしろ。お前たち3人と、俺1人だ。そして………」


 俺は震える手を、胸の前まで持ち上げる。


「俺が1位になれなかったら、1回につき俺の指2本を切り落としていい」

「なっ……」

「あいつらがイカサマをやっていたなんて嘘は、口が裂けても言わない。
あいつらの麻雀打ちとしての未来は、誰にも傷つけさせない。
 だから………だから代わりに、俺の麻雀打ちとしての未来を賭ける。
仮に負けても、あいつらの将来を守れるなら1人辺り指2本くらい、安いもんだ」


 みんなは俺とは違う。皆才能に溢れ、輝かしい未来を持っている。
 
大事な皆の未来を守るためなら、命だって賭けていい。
536 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/06/04(日) 22:02:03.52 ID:4Mrjp4U70
「もし俺が5回連続で勝ったら、2度と俺たちの前に現れるな!
 咲たちを侮辱したことも、染谷先輩の店で好き勝手したことも、全部土下座して謝ってもらう!
 それとも怖いか? 麻雀初めてまだ10カ月も満たない奴に、春にはボコボコにしたやつに、3対1の勝負で5連続負けるのが?
 大会でイカサマがばれた以上に恥かしいエピソード作るのが、そんなに怖えぇか?」

「なんだと………!」


 俺の挑発を受けて、矢木がいきり立つ。


「はっ………いい度胸してんじゃねーか! ………おい黒崎」

「何だ?」


 矢木が黒崎に何かを耳打ちすると、黒崎は笑みを浮かべて二言三言返した。

 それを受けて、矢木は俺に向き直った。


「いいぜ………その勝負、受けてやる」

「…………! わかった。じゃあ、ここの卓で………」

「いや、場所は変える。ここじゃ色々と都合が悪いんでな。おい、竜崎。足を呼べ」

「ああ」


 竜崎がスマホを取り出し、車を寄こすように命令口調で話す。きっと、ヤクザの下っ端でも呼んだのだろう。
537 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/06/04(日) 22:03:00.43 ID:4Mrjp4U70
「10分以内には車が来る。それで、俺たちの指定する雀荘で打ってもらう。
 心配すんな、別にうちの組の事務所に連れ込もうってわけじゃない。
 少し離れちゃいるが、一般の雀荘だ。ここより俺たちの顔が利くがな」

「……わかった。それでいい」


 俺は打っていた席に戻り、荷物をまとめ始めた。

 頭を切ったことを心配して、店員さん達が慌てて救急箱を持ってきてくれる。

 俺は雀卓を倒したりしてしまったことに頭を下げて、手当てを受けた。


「京太郎」

「赤木さん…………すみません、勝手なことして……」

「何でおれに謝るんだ? お前が今謝らなきゃいけねえ相手なんざ、どこにもいねぇだろ。
 にしても参ったな。命を懸けた勝負までは、流石に教えるつもりもなかったんだが……」


 赤木さんが頭を掻き、どうしたものかとため息をつく。
538 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/06/04(日) 22:04:05.19 ID:4Mrjp4U70
「………京太郎。まっすぐに行け」

「え?」

「まっすぐ、ひたすらにまっすぐ無謀と勇敢、暴打と攻撃的のぎりぎりのところを攻め続けろ。
 あの手の打ち手は、そうたいしたことはない。所詮、人を騙し嵌めることしか考えてねぇ。
 そんな痩せた考えに基づいた麻雀、勢いに乗った相手を止めるのは容易くねぇ」

「まっすぐ………」

「ああ。一度強い心で勢いに乗りさえすれば、お前に分がある。迷うな」

「わかりました………」

「おい、車が来たぜ」


 竜崎が顎で指した店の外には、黒塗りの車が止まっていた。


「赤木さん。俺一人でいいです」

「………いいのか?」

「ええ、赤木さんを巻き込むわけにはいきません。………下手すると、ヤクザ相手じゃ何があってもおかしくない」

「それはお前にも言えるだろう」

「かもしれないけど………大丈夫ですって。見ての通り、ガタイはいいですし、思い切り暴れれば逃げるくらいできますよ!」


 俺はポージングの恰好をとって、明るく振舞う。

 嘘だ。実は滅茶苦茶怖い。そもそも相手が本当に麻雀の勝負を受けたのかも定かではないのだ。


「じゃあ………行ってきます」


 赤木さんと別れ、先に矢木たちの乗っていた車に乗り込む。

 幸いなことに、乗った瞬間袋叩きにされるということはなかった。

 車はそのまま発進し、俺の知らぬ場所へと赴く。


「さて………どうしたもんかね」
539 :スレ主 ◆EvBfxcIQ32 [saga]:2017/06/04(日) 22:05:22.73 ID:4Mrjp4U70

 ここまでです。

 大体の流れは最初に決めてあるんだけど、実際そのストーリーに向けてキャラ動かすのがスゲー難しい。
 おかげで非常に不自然なシーンになりました。

 次からまた闘牌だよ(´;ω;`)ウッ…
540 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/04(日) 22:16:25.60 ID:IAA8Hb6Jo
…何だかなぁ
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