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瑞鶴「提督と翔鶴ねぇ、時々わたし」
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20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/08/18(木) 18:54:47.20 ID:6bTgiMQDO
>>19
良いこと言った!
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/08/18(木) 23:55:00.33 ID:o06H/AqSO
一人しか愛さないのが悪いみたいな言い方やめーや
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/08/18(木) 23:58:21.74 ID:T0seuSDRo
開き直って義兄と呼んで甘えるほうがいいんじゃね
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/08/18(木) 23:59:52.99 ID:64hJAYvbo
義理の妹って良いよな
イケナイ感じがして
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/09/09(金) 18:18:32.41 ID:j/fSXIVnO
捕手
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/22(木) 21:55:13.52 ID:jDWYazZ80
保守
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/09/25(日) 13:03:09.98 ID:9Q90e43Oo
*
お風呂は、あまり好きじゃない。
…断っておくが、勿論私が不潔愛好者というわけではない。
「……………」
「……………」
「……………」
まず一つ、私がお風呂に入るとそれまで賑わっていたお風呂場が静かになるから。
次に、皆が私を避けるような浴槽の位置取りをとるから。
そして最後。
「酷い嫌われようね、相変わらず」
「……そーですねー」
大嫌いな先輩が、周りがぽっかりと空いた私の周りにいつも寄ってくるから。
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/09/25(日) 13:03:39.86 ID:9Q90e43Oo
先輩―加賀さんは、半笑いでさも呆れたように続ける。
「聞いたわよ、新造艦連れての北方海域任務」
「……………」
ぶくぶくぶく。
無言の抗議。
それを加賀さんは少しも気にした様子もない。
「あれほど気をつけろって言ったじゃない」
「……わざとじゃないですよ」
「それが天然だから、たちが悪いんでしょうに」
「別に、仕事を楽しんでるだけですから」
「…仕事を楽しむ、ね」
そこで初めて、加賀さんは呆れや笑いとは違う色を表した。
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/09/25(日) 13:04:17.81 ID:9Q90e43Oo
「……何か?」
「いえ、立派だと…本当に立派だと思うわ」
突然の褒め言葉に、僅かな戸惑いを覚える。
この人が私を褒めるなんて、皮肉以外では本当に珍しい。
「……どういう風の吹き回しですか」
「…褒めたわけじゃないわ、貴女のそれは、立派だけれど私達の領分を超えていると思うの」
「領分?」
「そう、艦娘の領分を」
「…私達の領分は戦うことでは?」
「だから私は正しいとでも言いたげね」
「…はい、そう言っています」
「……瑞鶴」
彼女はそこで言葉を切り、息を吐いた。
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/09/25(日) 13:04:46.75 ID:9Q90e43Oo
「戦いを楽しむ感情なんて、艦娘には余計な物」
「…………」
その言葉に、私は目を逸らした。
少しずらした視界は、湯気で真っ白に染まっていた。
「瑞鶴」
「…加賀さん、私は、別に」
子供の駄々みたいだとわかっていても、何か言わずにはいられなかった。
というよりも、私は、次に彼女から告げられる言葉を、聞きたくなかったのだ。
「戦場は、貴方が憂さ晴らしするためにあるのではないわ」
「…そんな」
「提督の事、気付かれてないとでも?」
「…………」
なにか反論しようとして、けれど、どうしてもなんて言えばいいのかわからなくて。
結局、肯定を沈黙で表した。
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/09/25(日) 13:05:14.61 ID:9Q90e43Oo
「…あの人は、艦娘に情を持ちすぎる」
「だから、貴女のような感情を抱いてしまう娘も多いわ」
「けれど――」
「……わかってます」
なんとか絞り出したのは、それだけ。
その先、何を言われるか本当にわかっていたのが半分。
それでも、言われる言葉を聞きたくなかったのが半分。
この人は、嫌いだ。
私がわかってて、なのにわかっていないふりをしていることを知っているから。
そして、それをわからせようとしてくるから。
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/09/25(日) 13:05:53.02 ID:9Q90e43Oo
「…翔鶴は、あの人にとって特別なの」
「…わかってます」
一度も戦闘をしたことがない『練度1』であり秘書艦の、翔鶴姉。
あの人の、誰も立ち入ることの出来ない特別。
わかっているけれど。わかっているから想いを消せるというのなら、誰だって苦労はしない。
どうして、私には感情なんてものがあるのだろう。
半端に人みたいな自分が、嫌だった。
あの人に「人」として扱われている翔鶴姉を見る度に、自分が兵器でしかないことを自覚する。
あの人に優しくされて、感情が刺激される度に、自分に人の部分が残っているのだと自覚する。
その繰り返しは、私の中の何かを摩耗させていく。
「……翔鶴姉のことは、好きです」
「…急に何」
「言葉にしたかっただけですよ」
自分にそう言い聞かせなければならないような気がしたから。
それだけだ。本当に、それだけ。
「ああ、そういえば」
「…今度はなんですか」
突然何かを思い出したように手を叩く加賀さん。
また私の粗探しが良い成果を産み出したのかと思わず顔を顰めるが、どうやら違ったようだ。
「工廠で、聞いたのだけれど――――」
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/09/25(日) 13:07:57.44 ID:9Q90e43Oo
つづく
気付いたら1ヶ月経ってた、こえー
次の目標は1週間、と宣言することで作業効率が上がるかもしれない
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/25(日) 14:08:07.32 ID:XPJDVz1/o
おつ!
更新あって嬉しい
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/25(日) 17:55:02.75 ID:2eJjG4eAO
乙
やったぜ
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/25(日) 17:57:34.86 ID:VLLL5bfpO
エタらなくてよかったぜ
36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/25(日) 18:41:02.13 ID:sKAqE32K0
まってた
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/26(月) 12:47:47.03 ID:h8WKgjXVO
乙乙
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/10/01(土) 19:12:33.48 ID:KNa4XLmCo
*
お風呂を終えて、一人の居室。
先程の話を思い出しながら、呟く。
「ケッコンカッコカリ…ってねー」
この名前を考えた人は、どうしようもない大馬鹿だと思う。
いざ口に出せば、その思いは更に強くなった。
それは、加賀さんが工廠で聞いたという新しい兵器だか装備だかの名前であった。
なんでも艦娘との強い絆の思いが百倍パワーで更に二乗でドン。らしい。
すごくどうでもいいので聞き流してしまったがだいたいそんな感じである。
ただ、加賀さんはどうでも良さそうに話を聞く私を、意外そうに見ていた。
どうにも私がその話に食いつくだろうと思っていたようだ。
多少なりとも無表情が崩れるのを見れて、ほんの少し満足した。
39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/10/01(土) 19:13:12.31 ID:KNa4XLmCo
「…どうせ、選ばれないし」
装備は試作品として各鎮守府に一つずつしか配られていないそうで。
であれば―まあ、ここでそれを渡される相手など、自ずと知れるというもの。
「というわけで、未練なーし!」
どこかにいる誰かへ向けて宣言。びしっ。
………とても虚しい。
「うーん、甘い物でも食べに行こうかなー」
こういう時、甘い物は良い。
何かの解決になるというわけではないけれど、とりあえず幸せになる。
しばらく問題から目を逸らすにはもってこいだ。
そう決心して、身体を起こした瞬間であった。
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/10/01(土) 19:14:05.28 ID:KNa4XLmCo
「最悪のタイミング、ってやつだこれ」
こんこん。
今の私には不快な音を響かせて、ドアが数度叩かれる。
居留守でも使ってやろうと思ったが、流石にそれは後々面倒を引き起こすだろう。
「…はーい」
つまらない連絡だったら嫌味の一つくらいは言ってやろうと、低い声で応じる。
しかし、その一瞬後には、全ての嫌な気持ちが吹っ飛んでいた。
41 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/10/01(土) 19:14:59.01 ID:KNa4XLmCo
『ああ、瑞鶴か?』
「て、提督さん!?」
『すまない、休んでいたところを』
「だ、大丈夫!大丈夫だから!」
『そうか?だったら良いんだが…』
「え、えっと…それで、どうしたの?あ、ごめんなさい!今開けるから……」
『いや、気にしなくていい、ここには瑞鶴を呼びに来ただけだから』
「え?」
『後で時間が出来たら、執務室まで来てくれないか?』
「えっと…よくわかんないけど、ここで用件を伝えていけばいいんじゃないの?」
『…ちょっと、長くなりそうな話でな』
「……?」
なんだろう。
長くなりそうならいつまでもこの部屋にいてくれて構わないというのに。大歓迎なのに。
もしかして私の部屋に入りたくない理由があったりするのだろうか。汗臭いのだろうか。だったら女の子的にやばいのではないだろうか。
そんな思考を頭の中で高速回転させる私に構わず、提督さんがそそくさと扉から離れていく気配を感じる。
『…と、とにかく、あとで来て欲しい』
『詳しいことはそこで話すが、新装備の話なんだ』
「え…………」
ケッコンカッコカリ。
先程馬鹿にしたその言葉が浮かんで、私は完全に動きを止めた。
「わ、わかった!行くね!今すぐ行くから!」
『あ、ああ…いや、別にそこまで急がなくても…』
42 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/10/01(土) 19:16:16.09 ID:KNa4XLmCo
*
「………………」
結論から言えば、やはりというかなんというか、聞かされた物は私の望んでいた話とは全くかけ離れていた。
ケッコンカッコカリに必要な指輪は、練度99という上限を取り払うことの出来る装備である。
ケッコンカッコカリを行うには練度が99必要である。
未だに戦場に行ったことがない翔鶴姉の練度を上げるのに適任なのは、慣れている私である。
だから明日からの北方海域任務に、翔鶴姉を加えて欲しい、と。
そして、守ってあげて欲しいと。
そんな話だった。
「すまない、また瑞鶴の負担が増えるような任務を」
「ごめんね、瑞鶴…」
執務室に入るまで浮かれて熱されていた頭が、その反動のように心底冷えている。
これではまるで、出来の悪い道化のようだ。
勿論、勘違いしたのが私である以上、誰かを責めることなどできない。
それでも――私は。
43 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/10/01(土) 19:16:42.53 ID:KNa4XLmCo
「……うん、大丈夫、翔鶴姉は私が守るからね!」
「瑞鶴…!」
貼り付けたような笑顔で言う。
それを微塵も疑う様子も無く、翔鶴姉もまた嬉しそうに笑った。
ありがとう、と。
羨ましい。
私は、あんな風に笑えない――いや。
戦場だ。戦場でだけ、あんな風に笑えていたのに。
……私は。
「…それじゃあ、話も聞いたのでこれで失礼します、提督さん、翔鶴姉」
これ以上、ここに居たくはなかった。
返事も聞かずに執務室を出て、扉を閉める。
無礼なことではあったが、別にそれを気にするような人達でもないし、いいだろう。
それよりも、早く部屋に帰りたかった。
これから行われるであろう薄ら寒い茶番の事を、一秒たりとも考えていたくなかった。
44 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/10/01(土) 19:17:17.27 ID:KNa4XLmCo
*
なぜ、翔鶴姉が好きなのか。
そんなことはわからない。わからないけれど、好きだ。
我ながら馬鹿げた話だと思う。
でも、仕方ないじゃないか。
私は、艦娘である『瑞鶴』は、そういうふうに作られているのだから。
『翔鶴の事が好きである』と、規定されて生まれたのだから。
嫌いになどなれるはずがない。
嫌いになどなってはいけない。
私が『瑞鶴』である限り、それは絶対の事。
45 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/10/01(土) 19:18:21.11 ID:KNa4XLmCo
人ならば、永遠に続く感情など存在しない。
愛情も、親愛も、嫌悪でさえ、いつしか変質してゆく。
なのに、人でない私にはそれが許されない。
翔鶴姉が好きだという感情は、生きている限り不変のものだ。
例え、今の私が、翔鶴姉の事を全く好意的に捉えていなくても変わらない。
これ以上も無く、歪である。
その歪さは、私の心を蝕んでゆく。
妬ましい。祝福したい。疎ましい。大好き。いなくなればいい。ずっと側にいて欲しい。
ああ、わからない。自分の心がわからない。
私の心を、『瑞鶴』が否定する。
浮かんだ言葉が、次々に上書きされていく。
46 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/10/01(土) 19:18:54.94 ID:KNa4XLmCo
私が、削られていくような感覚。
何かが磨り減り続けている様に感じるのは、決して錯覚ではないだろう。
それが、どうしようもなく怖かった。
だから、戦いを好きになった。
一瞬とはいえ、全てを忘れさせてくれるから。
一時とはいえ、彼が私を見てくれるから。
『瑞鶴』ではなく、私が笑うことが出来るのは、きっともう、あの場所しかないから。
なのに。
今度は、私からそれすら奪うと言うのだろうか。
唯一、私に残された場所すら、翔鶴姉は許さないというのだろうか。
ああ――――
また、心がぐちゃぐちゃになっていく。
なにも、かんがえたくない。
なにも――――
47 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/10/01(土) 19:19:29.99 ID:KNa4XLmCo
ここまで、つづく
一週間後と宣言することでうんたら
48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/01(土) 21:12:20.49 ID:ZtYugI540
ずいずいちゃん……
49 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/02(日) 18:48:11.00 ID:sxRjnHRQo
乙
50 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/11/01(火) 20:40:09.05 ID:vU0HHcDQ0
保守
51 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/01(木) 05:01:31.01 ID:7SvWj7NZ0
保守
52 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/01/01(日) 19:41:54.03 ID:OI8oNxIb0
保守
53 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/02/02(木) 19:04:26.23 ID:Pi+PFTrNO
保守
54 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/01(水) 06:56:32.67 ID:0IQV9QGWO
保守
>>1
が最新来ないので保守はこれ最後にします
保守したい人がいれば後はよろしくお願いします
55 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/25(木) 05:43:09.53 ID:1QHpzB3Jo
惜しいな
56 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/15(木) 06:08:40.08 ID:5vhk071Go
★
57 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/22(土) 21:09:15.46 ID:TRoaHgkf0
はよ
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