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ハルヒ「何であんたが幼馴染みなのよ!」キョン「こっちだってお断りだ」
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52 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/08/23(火) 23:44:13.92 ID:eg9pKmg2o
お礼だけ言わせて
53 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/08/24(水) 14:19:49.69 ID:dNDIFcGcO
羨ましすぎるからちょっとキョンくんもげてくれないかな
なにがとは言わないけど
54 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/08/26(金) 00:43:22.51 ID:AqDmZTaDO
うん
もげたついでにキョン子になってみないか?
55 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/08/26(金) 07:57:10.61 ID:TEI1w1uGo
キョン子とかまた懐かしいものを
56 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/08/29(月) 17:56:26.47 ID:/L4kBw0Po
期待
57 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/16(金) 13:57:52.90 ID:jTbS4fjFo
まだー?
58 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/26(月) 11:30:04.60 ID:cjBkXFUYO
はよ
59 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/10/07(金) 15:46:55.73 ID:hc15tk2mO
「しかし、本当によかったのか?」
取り残された俺と朝倉はクラスに戻る際に少しだけ話をすることになった
「ん?何が?」
「部活の事だ。明らかに真っ当な部ではないぞ」
「ふふ。キョン君が新入部員だって突き出したくせに何言ってるのよ」
「それもそうだが……」
「いいのよ。私って優等生みたいに思われてるみたいだけど、本当はそんな事ないのよ?」
「……やれやれ。お前みたいな不良がいてたまるか」
「あぁー。信じてないでしょう?」
「わかったわかった」
「もう!後でびっくりしても知らないからね?」
「ほら、予鈴鳴ったぞ」
「あ!急がなきゃ!ほら、キョン君も!」
「やっぱり真面目じゃないか」
60 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/10/07(金) 16:07:30.86 ID:hc15tk2mO
さてさて、時間は放課後に移り変わる
チャイムと同時に俺を力一杯引っ張るやつがいた
……言うまでもない、ハルヒだ
「行くわよ!朝倉も付いてきなさい!」
教室中から注目を浴びながら俺ごと飛び出す
あ、おい!せめてカバン持たせろ!
「ちょ!キョン君カバン!涼宮さん待って!後廊下は走っちゃダメよー!」
あぁ……朝倉のごく一般的な発言が身に染みるぜ
そんな俺の心境なんてちーっとも考えずにハルヒは超スピードで廊下を駆け抜ける
やがて、ドーンっとある教室の扉を力一杯に開けたのである
「ついたわよ!」
宣言したと同時にハルヒは俺の拘束を急に解く
お陰で頭から床に倒れてしまう
超痛いんですが……
「……ここは?」
「旧棟の文芸部室よ」
「文芸部室って……」
ハルヒに捕まれて気崩れた制服を直しながら立ち上がろうと視線を上に向ける
……そこにはパイプ椅子に座って本を読んでいたのであろう膝に本を抱えている女生徒がこっちを見ていた
何故だろうか、その姿に酷い既視感を覚えたのは
いや、そんな事よりまずはこの状況をどうなってるのか聞かなければならんな
「あーっと……ハルヒよ。お前ここが文芸部室って言ったよな?」
「そうよ?」
「じゃあここは文芸部なんじゃないのか?」
「ええ」
ええって……つまり何か?
こいつは文芸部室を乗っ取ろうとでも言うのか?
いや、流石にそれは……
どうハルヒを説得すればいいのだろうかと頭を悩ませていると
「もう!涼宮さん!キョン君!廊下は走っちゃ駄目だって!……あれ?長門さん?」
俺達の後を追ってきたのであろう朝倉が飛び込んでくる
「遅い!罰金!」
「え?ええ!?」
……本当に、どうしたものだろうか
61 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/10/07(金) 16:34:56.39 ID:hc15tk2mO
状況を整理するとこういうことらしい
ハルヒは部室を求めている
そんな時に偶然見つけたのが文芸部室で一人本を読む長門有希さんだったと
何でも長門さんの所属する文芸部員は一人しかおらず、廃部当然だったそうだ
そしてハルヒが文芸部員に名前を貸すので部室を一緒に使わせて欲しいと言う願いに対し一言いいと答えた
「……そんな都合がいいことがあっていいのか」
「何よ?私だってちゃんと話し合いをするぐらいできるわよ?」
「いや、まぁお前が今回比較的まともに交渉したと言うのも驚きではあるんだがな……」
何でも長門は聞けば一年だと言う
つまり、去年の3年が卒業した段階で部員数は0
普通そんな部活が処理されずにこの時期まで残っているものなんだろうか?
「それにしても朝倉。長門さんと知り合いだったの?」
「ええ。文芸部員に入ってたのは知らなかったけれど」
「ふーん。まぁいいわ!今日からここが私達の部室よ!」
「いやちょっと待て!」
「何よ?」
「ぁー長門さん?」
「……」
反応はない
聞こえている……よな?
「こいつは文芸部室を乗っ取りにきてるんだが……ほんとうにいいのか?」
「いい」
「正体不明の怪しい部活だぞ?下手すると巻き込まれるかもしれんぞ?」
「構わない」
「お、追い出されたりするかもだし」
「別に……」
……本当にいいのか
しかしだなぁ……
「もう!ちゃんと話し合って決めたって言ったじゃない!」
ハルヒが信じてもらえなかったからかプンスカと怒っているがここは自業自得だと思っていただきたい
そこで長門がじっとこっちを見ている事に気がつく
何かを探っているかのような、けれど真っ直ぐとした目だ
「……長門?」
「……」
声をかけると長門は読書に入っていった
……何だったんだろうか
「今日は顔合わせよ!明日には新入部員を連れてくるわ!それじゃあ解散!」
なーんて事をハルヒは言うのであった
新入部員って……まだこのへんてこな部に人を増やそうと言うのかハルヒよ……
62 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/10/07(金) 16:48:42.55 ID:hc15tk2mO
「なぁ、朝倉」
「なーに?」
場所は変わって校門
解散とハルヒが言ったので帰る所である
ちなみに長門はまだ読書をするそうでこちらには見向きもしなかった
「長門とは長い知り合いなのか?」
「んー。別に長いって訳じゃないわよ?なぁに?キョン君って長門さんみたいな子がタイプだったりするの?」
「どうしてそうなるんだ。別にそういうわけではないぞ」
「じゃあキョン君のタイプはー?元気系?クール系?お姉さん系?」
「……俺のタイプは置いておいて、長門の話だ」
「あら、もしかして本当に?」
「だから違う」
「じゃあ一体どうして長門さんをそんなに気にしているの?」
どうして
どうしてなんだろうか
そう、長門と出会ってから妙に落ち着かないのだ
だがこれは朝倉が言うような浮わついたものではない。断言できる
……違和感
そう、違和感を感じているのだ
まるで、在ったものが無くなっているような……
「……長門って眼鏡かけてたりしなかったか?」
だから、ふと自分がそう呟いたのだと理解するのに数秒かかった
どうしてそういった結論に至ったのかはわからない
わからないが、自然と口から漏れた一言はやけに自分を納得させるものだった
「眼鏡?んー。別に目が悪いとかは聞いてないけど……眼鏡をかけてる長門さんを見たこともないかなぁ……何処かで見たの?」
「……いや、それならいいんだ。気を付けて帰れよ」
「うん。キョン君もね」
63 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/10/07(金) 17:12:07.14 ID:hc15tk2mO
「ほーら!妹ちゃん!捕まえたぁ!」
「きゃぁぁぁ!ハルにゃん強いいい」
「ふっふっふー。また出直してきなさい!」
「妹相手に何を本気出してるんだあいつは……」
夜での出来事である
あの後家に帰った俺を出迎えたのは本日遅くなるとの貼り紙であった
つまりは夕御飯を調達しなければならない
……と、そこまで考えてからハルヒが電話をかけてくるまでのタイムラグは殆どなかったと思う
まだ学校で何かしらをしていたハルヒが我が母からのメールに気がつき電話を寄越したそうだ
「今から急いでスーパー寄って帰るから冷蔵庫の中身教えなさい」
とはハルヒの一言である
電話を切った俺はそのまま冷蔵庫の中身をチェックしてそのままメールでハルヒに送る
程なくしてハルヒが到着し、夕御飯をご馳走になり、その後ハルヒと妹が遊んでいる
それが現状である
「……って誰に説明してるんだ俺は」
「何がよ?」
「……おい、妹はどうした」
「これからお風呂よ。あんたのTシャツ貸しなさいよ」
「……自分の家から持ってこい。隣だろ」
「面倒じゃない。勝手に持ってくわよ」
「あ、おいこら!勝手に人様のタンスを開けるんじゃない!」
「……ちゃんと洗ってるんでしょうね」
「匂いを嗅ぐんじゃありません」
「それじゃあ借りるわよ」
「……やれやれ」
「あ、覗くんじゃないわよ?覗いたら死刑だからね!」
「……誰が覗くか」
64 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/10/07(金) 17:45:02.26 ID:hc15tk2mO
「キョン君おふろぉーあいたよぉー」
「ああ……って、ちゃんと髪を乾かしなさい」
「えー。あれ暑くてキライー」
「だめよー。妹ちゃん。女の髪は命なのよ。小さい時から手入れしないとお姉ちゃんみたいになれないわよ」
「んー。ハルにゃんみたいな綺麗な髪になれるなら我慢するぅ」
「偉いわよ!」
「……何よ?」
「いや、お前も昔散々髪の手入れ嫌がってたのになと思ってな」
「んなっ!?」
「えぇー!ハルにゃんもいやがってたのぉ?」
「あ、あんたね!余計なこと言わないの!」
「じゃあ私もー私もしなくていい?」
「だめよー。妹ちゃん。しっかりと手入れしましょうねー」
「んーー。ハルにゃんも昔やってなかったんでしょー」
「そ、そんなことないのよ?お姉ちゃん確かに嫌いだったけど、やってなかった訳じゃないのよ?」
「ほんとぉ?」
半信半疑のようで、渋いかおをしてこっちをむく妹
そこで俺に聞いてくるあたり妹もわかっている
「ん。まぁ、確かに毎日やってたぞ」
俺がだけどな
「ほーら。ね?それじゃあ妹ちゃんのは私がやってあげるからあっちいきましょうね」
「はーい」
渋々といった様子で妹はハルヒと共に部屋から出ていく
俺も風呂に行くか……とも思ったのだがもう少しこの漫画の続きを読みたいので後回しにすることにした
……そして気がつけば最後まで読みきってしまった頃に、カチャリと扉が開く
65 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/10/07(金) 17:45:33.46 ID:hc15tk2mO
「ハルヒか」
「ええ」
「妹は?」
「髪を乾かしたらすぐ寝ちゃったわ。大分はしゃいでたし疲れたのね」
「何時も悪いな」
「別にいいわよ。妹ちゃん可愛いし、いい子だもの」
「……んで、お前は髪も乾かさずにどうしてここに来たわけだ」
「しょうがないじゃない。妹ちゃん寝ちゃったのに横でガンガンドライヤーするわけにもいかないでしょ?」
「……そう言うことにしといてやる」
「……はい」
そう言ってハルヒは俺に背を向けて目の前に座る
「……やれやれ」
机の引き出しを開けてドライヤーと櫛を取り出す
昔ハルヒの髪を乾かしたり手入れするときに使っていた品物だ
「音、あんまり出さないように弱でするから時間かかるぞ」
「いいわよ。ゆっくりで」
カチッと音と同時に小さな音が部屋に木霊していく
ゆっくりと頭に巻かれたタオルをほどく
さらりと湿り気を帯びた綺麗な黒髪が出てくる
その髪を丁寧に持ち上げドライヤーを当てていく
「……髪、伸びたな」
「……そうね」
「昔はあんなに嫌がってたのにな」
「うっさいわね。蹴るわよ」
「口が悪いのは変わらずだな」
「ふんっ!」
「……あんた髪フェチだもんね」
「……そんなこと言ったか?」
「言ったわよ。馬鹿……お陰で大変なんだからね」
「そうかい」
「そうよ」
その後、特に会話らしい会話はなかった
だが、特に気まずい何てこともなく、あくまで自然体として俺はハルヒの髪を乾かしていた
そしてまた、ハルヒも自然体としてそれを受け入れていたのだった
66 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/10/07(金) 17:46:36.15 ID:hc15tk2mO
tosやらp5やらやってた
書き溜めはしてない
許せ
67 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/07(金) 18:07:01.21 ID:lGMu82jvO
乙乙、完結してくれるならゆっくり自分のペースで構わないわ
単純にハルキョンの幼馴染みifとして読んでたけど、キョンが長門に見覚えあるとなると一気にきな臭くなるな
68 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/07(金) 18:25:13.63 ID:5xY/fl/+O
再開してると思ったら一気に面白くなってきた
69 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/07(金) 19:17:31.79 ID:tJaFL11XO
すばらっ
いい感じだ
おつ
70 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/07(金) 21:48:48.80 ID:jRvKH2Hro
いい仕事してますね〜
71 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/08(土) 09:22:58.02 ID:U0SKMQ+8O
このハルヒ可愛いなぁ……可愛くない?
72 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/12(水) 21:07:52.62 ID:5HoxvOcxo
かわいい
73 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/10/15(土) 17:36:47.11 ID:TCXOdW5tO
「待たせたわね!」
放課後、バーンと部室の扉を開けて笑顔満点で入ってくる存在
そう、ハルヒである
「いやー。捕まえるのに苦労したわ!」
「あ、あのぉー……ここは何処ですか?」
そのハルヒはまるで小動物なような生徒を引き連れて……いや、連行してきた
「ほーら、入って入って」
「あ、あ、あのぉ……な、何で鍵かけるんですかぁ!?」
「黙りなさい」
「ひゃい!」
さて、ここで俺は昨日のハルヒの発言を思い出していた
【明日新入部員を連れてくるわ】
……いや、どうみても強制連行だろ、これは
74 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/10/15(土) 17:37:28.37 ID:TCXOdW5tO
「一応聞いておくが……彼女は?一体何処から拉致してきたんだ」
「二年の教室よ。ぼーっとしてたから連れてきたのよ」
先輩じゃないか……!
本当にこいつは怖いもの知らずだ
「えーっと……あのぉ……ここは……」
キョロキョロと先輩は俺達を見ながら控えめに聞いてくる
……まずは状況整理をしてあげるべきだろう
75 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/10/15(土) 17:38:09.66 ID:TCXOdW5tO
「ここは文芸部室よ!けれども文芸部じゃないわ」
「……?文芸部室なのにですか?」
ちょっと待て!ここはまだ文芸部だしなんなら文芸部以外のなにものでもない
「キョンくん」
朝倉が俺の肩に触れて首を振る
……まるで諦めろと言わんばかりだ
いや、しかしだな……
「ここは文芸部室だけど、中にある部活は違うの。それはここに来るまでに説明したわね?」
「ええっと……それは……はい」
「ちょっと待て!その人がどこの誰かは知らんがあまり無関係の人を巻き込むのはやめろ」
「この子は朝比奈みくるちゃん!んで、こっちがキョンと朝倉と長門さん!」
「あ、おい」
と言うか、キョンはあだ名であって本名じゃない!
「みくるちゃん、他に部活やってるっていったわよね?」
ハルヒは俺の発言なんぞなかったと言わんばかりに朝比奈さんに質問を投げ掛けていく
「はい。書道部に」
「やめれる?」
おいこら!?
「えっと……」
朝比奈さんは何かを確かめるように俺達を見渡す
まずはハルヒ、俺……そして長門
その動きに淀みはなかった
最後に朝倉を見て彼女は首を傾げる
「えっと……な、何か?」
「あ、いえ、何でもないんです。ごめんなさい」
……何だ?朝倉に何か付いてたりしたのか?
思わず俺まで朝倉を凝視してしまう
「ちょ、ちょっとキョン君までやめてよ!恥ずかしいんだからね」
……うむ。何時も通りの朝倉である
76 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/10/15(土) 17:38:42.85 ID:TCXOdW5tO
「入部してくれるわよね?」
いやいや、してくれるわけないだろう
「……わかりました。書道部は辞めてこっちに入部します」
何ですと!?
「あ、朝比奈さん?貴女が入部させられそうになってる部活は正体不明のまだ同好会としてすら認められてない部なんですよ?」
「はい。それがこの時間平面上の必然のようですので……大丈夫ですよ」
時間……なんだって?
よくわからん理由で朝比奈さんは入部を決めてしまっていた!
「あの……不束者ですが……よろしくお願いします」
……何てこった
朝比奈さんは入部する気満々じゃないか
だが、この部が朝比奈さんのプラスになるとはどーしても思えない
……となるとハルヒを説得するしかあるまい
77 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/10/15(土) 17:39:24.25 ID:TCXOdW5tO
「おい……ハルヒよ」
「何よ?」
「どうして朝比奈さんなんだ?」
「決まってるじゃない!可愛いからよ!」
「……何だって?」
「萌えよ萌え!いわゆる一つの萌え要素!」
ハルヒはまたもや……謎の理論を唱え始めるのだった
「私萌えって大事だと思うのよ」
「……何故だ?」
「決まってるじゃない!何かおかしな事件とか面白いことが起きるとき大抵一人はこういう萌えキャラがいるものなのよ!」
「ひゃぁ!」
高々に宣言すると同時にハルヒは朝比奈さんに抱きつく
その光景だけなら微笑ましいものなのだが……
「それにこの子胸すっごい大きいのよ!……ちょっと、私より大きいんじゃない?」
「いやぁぁぁぁぁ。や、やめてくださいいいい」
ハルヒは朝比奈さんの胸を豪快に揉み始める
……朝倉が何かを思い出したのか胸を守るように両手で胸を隠す
……そういえば朝倉もやられてたもんな
「むー。なんか腹立ってきた」
「変な八つ当たりをしようとするんじゃありません……それよりハルヒよ」
「何?あんたも揉む?止めないけど警察には付き出すわよ?」
「ひっ!」
「そうじゃない……この集まりの目的とか、そういうのちゃんと説明したんだろうな」
「まだよ?」
「おい」
「……まぁ、そうね。ちゃんと五人集まったんだし、宣言してもいいわね」
ここまで引っ張った我々の部活内容の発表である
「SOS団!」
世界を
大いに盛り上げる
涼宮ハルヒのための団
そこ、笑っていいぞ
「キョン君から聞いてたけれど……そのまま申請しても通らないんじゃないかしら」
まさしくその通りである
流石は朝倉だ
「そこは朝倉とキョン。あんたらの出番よ」
俺達に学校の規則を変えるような権力があるわけがない……
しかし、そんな事をハルヒはこれっぽっちも聞き耳を持たない
こうして、我らがSOS団はベールを脱ぐときが来てしまったらしい
心から思う
ずっと脱がないでいてほしかったものだ
78 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/15(土) 19:31:16.97 ID:VJXBEJmTo
朝比奈さんは原作の時間軸から来たのか?
79 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/15(土) 19:37:41.50 ID:J2K/6JjBO
古泉なんて居なかった
80 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/15(土) 19:51:19.08 ID:z4DviBo9O
ま、まだ転校してないだけだから…
5人しか入っちゃいけないというきまりもないから……
81 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/16(日) 04:00:30.03 ID:loP07ALkO
乙
82 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/17(月) 16:36:27.41 ID:hYKrYGLFO
乙
小泉がキーマンなのか…
83 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/19(水) 17:22:12.45 ID:uhTGCqggO
謎の転校生来たら食いつくだろ…多分…
84 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/11/05(土) 09:38:27.22 ID:kZevey+dO
まだかにゃあ
85 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/11/06(日) 00:53:51.96 ID:IOeCtnABO
時はあれから数日
ハルヒは俺を朝の貴重な眠りから目覚めさせるとこう叫んだ
「謎の転校生が欲しいと思わない!?」
……人様の快適な眠りをどうどうと邪魔しておいて何を電波な事を言い出すのだ。こいつは
もう今さら何でハルヒがここに!?なーんてベタな驚き方はしなくなってしまった自分が少々怖い気もするが、まずは言うべき事を言うべきであろう
「……まだ朝の7時にもなってないじゃないか」
「ああ、うん。あんたに運んでもらいたいものがあるから早めに来たのよ」
「……運んでもらいたいもの?」
「これよ」
ポンポンとハルヒは俺の机にあるパソコンを叩くのだった
「……なんですと?」
「この情報化社会にパソコンがないなんてあり得ないわ!」
「……断る!私物を勝手に使おうとするんじゃありません」
そう、そのパソコンは俺の私物であり、やすやすとハルヒのよくわからん部活に使われては困るのだ
繰り返し言おう、学校などと言う場所で使われては困るのだ
どうしてかって?今ので察してくれ
「そもそも、どうしてパソコンが必要なんだ」
「そんなの決まってるじゃない!ホームページを作るのよ!」
「……はい?」
「ホームページよ!我等がSOS団の活動よ!」
ああ……どうやら昨日こいつはよっぽど悪いものを食ったのだろう
そう結論付けた俺が取る行動は一つだ
「あ、こら!キョン!寝るな!起きなさい!ちょっと!ねぇ!起きて!起きてよぉ……無視するなぁぁぁぁ」
86 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage ]:2016/11/06(日) 00:54:12.63 ID:1SsGS9Z+0
お久
87 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/11/06(日) 00:54:32.32 ID:IOeCtnABO
「おはよう……頬が赤いわよ?」
「おはよう……まぁ、ちょっとな」
あのあと色々と大変だったのだ
……主にハルヒの機嫌取りが
「ふぅん……それよりこれ」
「?」
「部活申請書よ。私の方でギリギリ通りそうな内容にしておいたからチェックしてもらえる?」
「……すまん。朝倉一人にやらせてしまった」
「いいわよ。んー……でもそうね。駅前の喫茶店が美味しいらしいから今度連れていって貰おうかしら?」
「そのぐらいお安いご用さ」
巻き込んでしまった詫びもかねてそれぐらいはしてもバチは当たらんだろう
「やった。じゃあ今週末にでもどうかしら?」
「ああ、構わんさ」
「何でキョンばっかりが……!」
「はいはい。谷口は早く課題終わらせて」
「ちくしょぉー!」
「ちょっとあんたら何騒いでんのよ。邪魔よ」
「おい涼宮!いいのか!」
「はぁ?何がよ?と言うか近寄らないで」
「何がってそりゃお前!」
「谷口はもう黙って宿題やろう?」
「痛い!痛いぞ!」
……何を騒いでるんだあいつらは
88 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/11/06(日) 00:56:29.35 ID:IOeCtnABO
放課後の始まりを告げるチャイムが鳴り響くと共にガタンと大きな音をたてる存在がいる
説明するまでもない……ハルヒだ
「先いってなさい!」
返事をするまでもなく教室から飛び出していくハルヒを誰が止められようか
……一応心の中で突っ込んでおくが、まだ終わりの挨拶はしていないんだぞ……ハルヒよ
これでは先生が可哀想じゃないか……
いや、そういった問題でもない気がするが……
なぁハルヒよ……俺達も高校生になったんだからもう少しでいいから落ち着いてくれないか
……と俺は聞き入れて貰えないであろう願いを唱えながら部室へと向かうのだった
89 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/11/06(日) 00:58:55.41 ID:IOeCtnABO
さて、この部室こと文芸部室には備品と呼ばれるようなものは余りなかった
本棚と机、後はパイプ椅子
俺が最初に来たときはこんなものだったはずだ
それがどうだ
今となってはハルヒのやつが何処から見つけてきたか知らないがポットやホワイトボート、冷蔵庫……バドミントンラケットと次々と物が増えていく
今日に至ってはどこで仕入れたのかパソコンまでもが設置された
……何処かで迷惑を受けたやつがいなければいいんだが……
そしてそのパソコンを入手してきたハルヒは何処へ行ったかというとだ
「甘いわよ!」
「狙い通り……よ!」
「んなっ!?くぅぅぅぅぅ!次!みくるちゃん!」
「わ、私これ苦手ですぅ!」
外で楽しそうに朝倉とバドミントンしておられる
意外なことに朝倉は運動神経が抜群だったのだ
そして、負けず嫌いのハルヒが事あるたびに勝負を挑んでいた
ちなみに朝比奈さんは問答無用で巻き込まれている
90 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/11/06(日) 01:00:19.40 ID:IOeCtnABO
「これじゃ何部なんだか……」
「……」
俺が呟いた言葉を拾ったのかこちらを向いた長門と目が合う
長門とはどうにも距離感が掴めなくて困っている
「……今日は何よんでんだ?」
長門はタイトルが読めるように背表紙を此方に向けてくる
「いつも難しそうな本を読んでいるよな」
「……そうでもない」
「面白い?」
「……割りと」
「本が好きなんだな」
「……ユニーク」
うーん……果たしてこれはコミュニケーションが成立しているのだろうか
そして長門は本を読み始める
どうして俺がここにいるか……説明すると簡単だ
パソコンを持ってきたハルヒの要望……つまるところホームページの作成のためである
ハルヒが気を利かせたかどうかはわからないが無駄にホームページ作成用のツールがインストールしてあったので思いの外簡単である
「しかし……どう書いたものか……」
「……ん?」
何をどう書けばいいのか悩んでいると視線のようなものを感じたので顔をあげる
「どうした?長門?」
「これ」
「……?」
「貸すから……読んで」
「あ、ああ。ありがとう」
恐らく、これが初めてであるだろう長門からの会話に、俺は気の効いたことの一つや二つ言うべきだったのだろうが……そんな余裕なんてまったくなかったのである
「くぅぅぅ!また涼子に勝てなかったわ」
「まだまだ負ける気はしないわね」
「うぅ……お二人とも強すぎですぅ」
タイミング良く三人が部室に帰ってきてその日の部活はそのままお開きになった
91 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/11/06(日) 01:01:14.14 ID:IOeCtnABO
「むー!今日も勝てなかった!」
「お前が運動能力で負けるとはな」
「私もビックリしてるわ……中学じゃ私に歯向かうやつなんていなかったし」
それは単純に関わり合いになるのが嫌なだけだったんじゃないだろうか
こう見えてハルヒは運動部から引っ張りだこになる程度には運動神経がいいはずなんだが……
「今度はバスケで勝負しようかしら」
「やれやれ……どんな部活だ」
「いいのよ。団長は私なんだから」
「そうかい」
「今日カレーのつもりだけどいい?」
「問題ない」
妹も喜ぶしな
「そっか。じゃあスーパーいってさっさと帰るわよ!」
「ん」
その後ハルヒとどうでもいいような話をしながら帰っていく
何だかんだでこういった平凡的日常が俺は好きなのだ
だが、どうやら世の中ってのは厳しいものらしい
そんな平和的日常はこの後、あっさりと崩れ去ることになるのだ
ほんと、どーしてこうなっちまったんだろうなぁ、俺
92 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/11/06(日) 02:49:25.37 ID:DQyLL6pRo
はよ
93 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/11/06(日) 03:41:31.89 ID:IOeCtnABO
「ふぅ……」
風呂上がり、髪を乾かし雑誌をペラペラと捲る
時刻はもうすぐ 20時である
ちなみにハルヒは珍しく伯母さんが家に帰ってきたようで呼び戻された
家に帰ってくるなら一言言って欲しい、とはハルヒの言葉である
口では文句言ってたがあれで結構喜んでいるのを俺は知っている
「……そういえば」
雑誌を捲る手を止めて鞄を漁り、目当てのものを引っ張り出す
それは厚いハードカバーの本であり、長門に渡されたものだ
長門はこれがユニークと言っていたが……
ものの数ページで読むことを諦めてしまいパラパラとページを捲ってしまう
ラノベとは違い挿し絵などもなく、小難しい文章が並んでいる
……いや、ラノベも小難しい文章が多いが
などと、どうでも良いことを考えていた俺の思考を止めるものが本からヒラリと落ちてしまう
それは栞である
「やばい」
慌ててページを捲る手を止めるがもう栞がどこに挟まっていたかなんてわかりやしない
「明日謝るしかないな」
何気無い動作で栞を適当なページに挟もうとして違和感に気がつく
「……おいおい」
【午後七時光陽園駅前公園にて待つ】
その文字を見て俺は飛び出した
「キョンくんどこいくのー?」
「駅前だ!」
自転車に乗り、全力で漕ぐ
もしかしたらもういないかもしれない
むしろこれだけの時間待たせて待ってくれている方がおかしいだろう
……だが、何となく、何となくだが長門は何時までも俺を待ち続けてしまうのではないのかと、そんな自意識過剰ともとれない考えが頭に浮かんでしまったのだ
「くそっ!パンクしてんじゃないだろうなこのタイヤ!」
思ったより加速しない自転車に愚痴りつつもひたすら漕ぎ続ける
94 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/11/06(日) 03:42:15.33 ID:IOeCtnABO
「わる……い……また……せた……」
息も絶え絶えになりながらもどうにか公園にたどり着いた
「…………いい」
「……もしかして……ずっと待つつもりだったのか」
「……」
返事はない
……もし本を読むのを忘れていたらと思うとゾッとする
そうなったら春先とは言え寒い夜の公園寒い夜の公園でこいつはずっと一人待ち続けていたのだから
「こっち」
「?」
「……ついてこいってことか?」
長門が歩いて何処かに行こうとする
俺はその少し後ろを自転車を押しながら歩く
……そこでふと目についたものがあったので長門を引き止める
「悪い長門。少し時間をくれ」
「……」
コクりとうなずく長門を見てから俺は早足で目的のコンビニの中にはいる
そして急いでホットのお茶を二本を掴みレジにいく
前で会計を済ましてる人をじっと見るのもあれなので視線を少し泳がせる
……そうだな。ついでにこれも買ってもいいだろう
95 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/11/06(日) 03:42:54.50 ID:IOeCtnABO
「何度も待たせて悪いな」
「いい」
「ほら、寒いだろ?これ」
「……?」
「お茶だよ。何処に行くかは知らんが寒いだろ?」
「……」
こちらの言っていることが理解できないのか長門は少しだけ首を傾げるような動作をした
「まぁ、待たせちまったお詫びだ……あー、それともお茶嫌いだったか?」
「……問題ない」
「そっか。後これも……時期外れだけど」
袋から肉まんを取りだし長門に渡す
「……」
またどうしたらいいのか分からないといった表情だ
……いや、俺がどうすればいいかわからないだけだな
「ただの肉まんだぞ?」
「理解した」
何をどう理解したのかはわからんがとりあえず受け取ってもらったようだ
長門はじっと渡した肉まんの袋を見ている
……やはり食べ歩きとなると食べ辛いか
女子と男子だとそういったところでズレが生じてしまう
いかんせん近くにいるやつがあれだからなぁ……
こういう時は俺が先に食べてやれば少しは食べやすくなるだろう
自分の分の肉まんを袋から取りだし口に頬張る
「うむ……寒いときはやはりこれに限るな」
俺をじっと見ている長門に向かってそういうと長門も袋から肉まんを取りだして口に……あ!おい!
「まて、長門。肉まんの下についているビニールをとってから食べるんだ」
「……」
コクりとうなずく長門
肉まんを食べたことがなかったのだろうか
……モグモグと肉まんを食べる長門を思わず凝視してしまい、それに気がついてこちらを見た長門とバッチリ目が合う
「……?」
「あー、いや、うまいか?」
「……ユニーク」
「そうか」
どうやら長門の中ではユニークという言葉は万能らしい
肉まんを食べ歩きしてしばらくすると長門の目的地についたようだ
ついたのだが……
「……どうぞ」
「……えーっと……長門さん?」
それは、長門の部屋であり、家でもある見るからに高そうなマンションであった
……どうしてこうなった
96 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/11/06(日) 03:44:50.45 ID:IOeCtnABO
寝る
せめて週一更新
待たせてごめんね
97 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/11/06(日) 09:52:54.70 ID:+0d0kgEM0
許さん
責任を持って最後まで書いてもらう
98 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/11/06(日) 09:57:45.06 ID:JR74DdJdo
このキョン、ちょっといいおとこやん
99 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/11/06(日) 11:57:20.90 ID:HAHdrDVCO
あれ?朝倉が超能力者枠かな(すっとぼけ)
100 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/11/06(日) 17:44:20.17 ID:qhDiEgogO
乙
101 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/11/06(日) 20:39:20.14 ID:IOeCtnABO
「……えーっと」
「……飲んで」
「あ、ああ。頂きます」
「おいしい?」
「ああ」
飲み干すと長門はすぐにお茶をついでくる
……さっきもお茶飲んだばかりなのだが出されたら飲むしかない
「長門……?そろそろどうして俺が呼ばれたか聞いてもいいか?」
長門が出してくれたお茶を5杯ほどいただいた後に俺は切り出した
これ以上は胃袋が水分で大変なことになりそうだしな
「涼宮ハルヒのこと。それと、私のこと」
ハルヒと、長門?
「……うまく言語化できない。情報の伝達に齟齬が生じるかもしれない」
「……げんごか?」
「けど、聞いて」
何だ……?
何が始まろうってんだ?
102 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/11/06(日) 20:40:16.82 ID:RdAK7peRO
「涼宮ハルヒと私は普通の人間じゃない」
……?
「いや、確かにあいつは普通の人間とは言えないかもしれないが……」
長門は普通の子じゃないか?
「そうじゃない」
「性格に普遍的な性質を持っていないという意味ではない」
「文字通り、純粋な意味で彼女と私はあなたのような大多数の人間と同じとは言えない」
意味がわからない
長門は何を語ろうというのだ?
「端的ないうならば宇宙人」
「は、はい?」
「この銀河を銀河を統括する情報統合思念体によって造られた対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェース。それが、わたし」
103 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/11/06(日) 20:41:36.83 ID:RdAK7peRO
「私の仕事は涼宮ハルヒを観察して、入手した情報を統合思念体に報告すること」
「三年前、惑星表面に他では類を見ない異常な情報フレアを観測した。その中心にいたのが涼宮ハルヒ……そして、あなた」
「……はい?」
唐突に俺が現れたのですっとんきょうな返事になってしまう
いや、そもそも長門の話を一ミリも理解できていないのだ
理解できるやつがいるならば今すぐ目の前に出てきて翻訳してくれ
「涼宮ハルヒは自立進化の可能性を秘めている。おそらく彼女には自分の都合のいいように周囲の環境情報を操作する力がある」
「それが、わたしがここにいる理由。あなたがここにいる理由」
話が終わったのか長門はさっき俺が買ってやったお茶を飲む
「正直に言おう。何をいっているのかさっぱりわからない」
「信じて」
「……仮に、仮にその情報なんとかを信じたとして、ハルヒは普通の人間だぞ?」
あいつと長年連れ添ってきた俺にはよくわかる
確かにあいつの言動や行動は常軌を逸していることがある
あるが、そんな宇宙人にマークされるような女の子ではないはずだ
104 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/11/06(日) 20:43:00.48 ID:RdAK7peRO
「三年前、彼女とあなたに何かが起きたはず」
「そんなこと言われてもな……」
三年前と言われてもハッキリしないのだ
そんな決定的な何か、俺には心当たりがないのだ
「……どうして俺にこんな話を?」
「あなたは涼宮ハルヒに選ばれた。涼宮ハルヒは意識的にしろ無意識的にしろ、自分の意思を絶対的な情報として環境に影響を及ぼす」
「あなたが選ばれたのは必ず理由がある」
「ねーよ」
あるとしたら、たまたま家が近かっただけだぞ
そんな事で選ばれたというならばそこに俺の意思もハルヒの意思も関係がない
その家を選んだ親の意思さ
「ある。あなたは涼宮ハルヒにとっての鍵。あなたと涼宮ハルヒが全ての可能性を握っている」
「本気で言ってるのか?」
「もちろん」
105 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/11/06(日) 20:43:30.34 ID:RdAK7peRO
……度を越えて無口なやつがやっと喋りだしたと思ったら、延々と電波なことをいいだした
ハルヒが進化の可能性ねぇ……
アイス片手にソファーでぐったりしたり、プリン勝手に食うようなあいつがぁ?
……ないない
「ハルヒに直接いってみたらどうだ。あいつの事だ。飛び付いてくるぞ?」
「彼女が自分の存在価値と能力を自覚してしまうと予測できない危険を生む可能性がある。今は様子を見るべき」
まぁ、確かにあいつなら世界のありとあらゆる法則を無視しかねんな
「俺があいつにそのまま伝えるかもしれんぞ?」
「あなたが彼女に伝えることで生じるリスクを背負う事になる可能性をあなたはよしとしない」
そうかもしれんが……
「それに、彼女はあなたがもたらした情報を重視したりしない」
確かにハルヒにこんな電波の事を言ってもすぐに反論されそうだしな
「あなたは涼宮ハルヒにとっての鍵。危機が迫るとしたらまず、あなた」
今さらりと怖いことを言われた気がするが……しかしこんな話を信じていいものなのだろうか
……などと考えているとピンポーンとこの部屋のインターホンがなる
「……客か?」
「……」
長門は珍しく驚いた表情をしたのかもしれない
目がはんの少しだけいつもより開いていた気がする
……おいおい、まさかさっきいってた危機ってやつなのか?
映画とかでよくある秘密を知った奴は生かして返さんとかの?
体に緊張が走る
長門はゆっくりと玄関にむかいガチャリと扉をあける
え?そんな簡単に開けていいのか?
「こんばんはー長門さん。晩御飯のお裾分け持ってきたわよー……ってキョンくん!?」
「あ、朝倉?」
鍋をもった朝倉がそこにはいたのだった
「ど、どうしてこんな時間に長門さんの家にキョンくんがいるのよ」
「それはこっちの台詞だぞ。なんだその格好は」
「あ!ちょっと!あんまりジロジロ見ないの!お風呂上がりの女の子を凝視するなんて酷いわよ」
ああ、それでいい匂いがしたのか
「って違う。そういう意味じゃなくてだな……」
「涼宮さんに言ってやろうかしら」
「絶対にやめろ!?後でめんどくさいんだからな!」
ワイワイと朝倉と言い争う
「……イレギュラー」
だから、俺は彼女が呟いた一言に気がつくことができなかったのだ
106 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/11/06(日) 21:07:23.67 ID:rA5EWxcio
イレギュラーって
長門が敵に回ったりするのだろうか……
107 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/11/06(日) 21:14:16.84 ID:dG/T3rUtO
そりゃ長門は七夕の時の長門と同期してるんだし朝比奈さんと一緒で本来の正史しか知らないからイレギュラーって言ってるんじゃない
つまりここに朝倉が来ること事態がイレギュラー
108 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/11/07(月) 00:29:32.90 ID:Lkk+12crO
お願いだから朝倉が敵に回るのだけはやめてくれ…
朝倉を幸せにしてやってくれ…
109 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/11/07(月) 00:53:59.40 ID:n57oMxySO
それよりも僕の出番はまだですか?
110 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/11/07(月) 00:56:45.18 ID:oSzSjv/Jo
僕? 国木田かな?
111 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/11/07(月) 15:25:50.30 ID:n57oMxySO
佐々木さんにきまってるやろ
112 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/11/07(月) 15:26:21.29 ID:n57oMxySO
佐々木さんにきまってるやろ
113 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/11/08(火) 10:36:24.00 ID:dvW5/X9fO
佐々木は丁寧語じゃないぞ
114 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/11/28(月) 15:20:15.89 ID:SE4WtR6No
まつ
115 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/10(土) 10:51:08.41 ID:ydzgORf5o
まだか
116 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/21(水) 15:08:39.60 ID:iDZCQ0g3o
わたし待つわ
117 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/21(水) 15:36:24.37 ID:jvMkNvImO
何時までも待つわ
118 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/22(木) 22:33:17.53 ID:X/1gIENz0
まつぞ
119 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/12/24(土) 02:25:09.56 ID:47aVm5AgO
ヒューマノイドインター……なんだっけ?
宇宙人?
俺は家に帰る途中ついさっき長門に聞かされた話を思い返してみる
ハルヒになんだかよくわからない力がある……ねぇ?
三年前と言われても俺にはさっぱりと思い付かん
あいつが中一の頃に何かが起きた?
そもそもその頃のあいつと俺はろくに会話もしていなかったのだ
わかるわけがない
ふと、その頃のハルヒの姿が脳内にフラッシュバックのように映る
何もかもを退屈そうに見つめている
そんな彼女の姿を……
「あんた、こんな時間に何処行ってたのよ」
「……ハルヒ?お前どうしてこんなとこに」
「それはこっちの台詞よ!あんたんち言ったら妹ちゃんがキョンくんが不良になったとか言うし!コンビニにでも行ったのかと思ったら近くの場所全部探してもいないし!」
走っていたのだろうか、じんわりと汗をかいているハルヒはこちらに向かって言いたい放題いってくる
120 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/12/24(土) 02:25:45.57 ID:47aVm5AgO
「ちょっと!聞いてるの!?」
「ああ、悪いな。心配かけて」
「ばっかじゃないの!別にあんたの心配してたんじゃないわよ!妹ちゃんが心配してたから私が直々に説教しに来たの!」
それだけ言うとぷいっとそっぽを向くハルヒ
……仕方がない
「ハルヒ」
「……なによ?」
「ん」
黙って自転車を指差す
「……帰りにプリン買ってよね。勿論二人ぶんよ?私と妹ちゃんの」
「ああ」
俺が自転車に乗ると後ろからよっと軽い掛け声と共にハルヒが乗る
「寒いからゆっくり漕ぎなさい。団長命令よ」
「何だそれ」
「いいから」
……やれやれ。うちの団長はわがままである
こいつに変な力がある?
そんなわけあるわけがない
……こいつはただの我儘な普通の女の子さ
だから翌日、唐突に訪れた出来事に俺は一つの不安を感じずにはいられなかった
121 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/12/24(土) 02:26:17.82 ID:47aVm5AgO
「ついにきたわよ!」
「何が?というか顔が近い」
「待望の転校生!すごいと思わない!?謎の転校生よ!間違いない!」
「会ってもないのに何を決めつけているんだ。お前は」
「前にもいったじゃない!こんな時期に転校してくるなんて間違いなく謎の転校生よ!」
「……親の転勤とか、そういう一般的理由だったらどうする?あまり深入りするもんじゃないぞ」
この場合親の離婚とかだと最悪である
……一瞬だが長門の話が頭によぎったがこの程度、ただの偶然であるにちがいない
たまたま長門から話を聞いた翌日にたまたまハルヒが望んでいた転校生がきた
そう、ただの偶然だ
「見に行ってくる!」
「あっ!おい!」
何だろうか、この胸につっかえるモヤモヤとしたものは
「元気ねぇ涼宮さん」
「……」
「どうかしたの?怖いかおして」
「あぁ、いや、何でもない」
「ふーん。それより、昨日の件なんだけど?」
「長門の家にいたのはたまたまだ。特に意味があった訳じゃない。何度も言っただろ?」
「怪しいなぁ……長門さんって簡単に人を家にあげたりするようなタイプじゃないと思うんだけどなぁ」
「俺だって驚いたさ」
「……まぁいいわ。それより覚えてる?」
「……何をだ?」
「ひどーい!週末にお茶ごちそうしてくれるって約束。忘れちゃったの?」
「あー。いや、すまん。忘れてた訳じゃないんだ」
昨日の出来事が衝撃的すぎて記憶の端から飛んでいってしまっていたのだ
「もう。楽しみにしてるんだからね?」
そういってパチリとウィンクをしてから朝倉は自分の席に戻っていく
「なんでキョンばっかり!」
谷口の戯れ言は聞かなかったことにしておさっさと席に戻ることにした
122 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/12/24(土) 02:26:50.40 ID:47aVm5AgO
そして放課後
何事もなかったように本を読んでいる長門と、お茶の準備をしてくれている朝比奈さんが部室にいた
……ここまで変化がないといっそ昨日の事が全部夢なんじゃないかと思える
「へいお待ち!一年九組に本日やって来た即戦力の転校生!その名も!」
「古泉一樹です。よろしく」
えらく爽やかなイケメンが、そこにはいた
「ここSOS団!あたしが団長の涼宮ハルヒ!そこにいるのは団員その1と2と3!あと、まだここにはいないけど四人目もいるわ。あなたが五番目。皆、仲良くやりましょう」
バァン!と扉を開けてつらつらとよく噛まないなぁと感心させる勢いでハルヒが言い切った
「入るのは別にいいんですが、何をする部活なんですか?」
至極全うな意見である
その意見に対してハルヒは一呼吸吸い……
「説明するわ。SOS団の目的……それは……宇宙人や未来人、超能力者を探し出して一緒に遊ぶことよ!」
胸を張ってそう言い切った
こんな説明で入ってくれるお人好しなんぞこの世には……
「ああ、なるほど。流石は涼宮さんですね。わかりました。入部します」
なんですと!?
この爽やかイケメン野郎は表情一つ崩さず入部を決めてしまっていた!
「……古泉です。転校してきたばかりで至らぬ点もありましょうが、よろしく御教授願います」
「あ、ああ。俺は」
「そいつはキョン!あっちの可愛いのがみくるちゃんで、そっちの眼鏡っ子が有希」
「なぁに?騒がしいわね?」
「丁度良いところに来たわね!この子が涼子」
「どちら様?」
「新入部員だそうだ」
「古泉一樹です。よろしく」
「随分と美形ね。朝倉涼子よ」
「恐縮です」
「さぁ!新規部員も増えてますます活気づいてきたわね!皆一丸となって頑張っていきましょう!」
いったい、何をどう頑張るって言うんだろうな
123 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/24(土) 02:53:48.82 ID:kDbDqdGK0
ぉっ
124 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/24(土) 03:41:29.81 ID:wT9KWGRHo
乙
とりあえずキョンくんはかわいい幼馴染みとの学園生活を頑張ればいいんじゃないですかね
125 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/24(土) 05:45:39.62 ID:goumTjMwo
乙です
126 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/24(土) 07:13:56.84 ID:FPQyiKup0
そもそも転校してこないという展開にならなくてよかったな古泉
127 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/14(土) 15:56:49.86 ID:vd0Gwis4O
存在消されても平和な世界線ではなんの問題なさそうだからな…
128 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/20(金) 19:26:17.48 ID:1ZeGxszU0
古泉とTS朝倉でホモ展開
は、無いか
129 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/01/23(月) 17:25:35.15 ID:y7ZLf2vtO
「突然だけど第一回SOS団ミーティングを始めます!」
「なんだ藪から棒に」
それは、古泉が突如入部してきた次の日の出来事である
「はーい。お茶です」
「あっ。すいません朝比奈さん」
「いいえー。これぐらい全然平気ですよー。お口に合えばいいんですけど」
「何時も美味しく頂いています」
「うわー、キョン君?顔がちょっとだらしないわよ?」
「うるさい。そんなことは断じてない」
「ふーん?」
「……ちょっと!ミーティングするっていってるでしょ!話を聞けぇー!バカキョン!」
「うぉ!急に揺らすな!こぼれる!」
「あんたがいけないんでしょうがぁ!みくるちゃんも凉子もだからね!」
「す、すみませぇん!」
「ごめんなさい。キョン君からかうのが楽しくて」
「……」
「いや、何故そこで俺を睨むんだ」
「……今週末つまり明日に不思議探索を行うことにしました!」
「不思議……」
「探索?」
130 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/01/23(月) 17:27:06.13 ID:y7ZLf2vtO
「そうよ!果報は寝て待て!昔の人はそう言いました!ですが今の現代社会ではそれだけでは駄目なのよ!もっと自ら行動しないと!」
「はぁ……それで?」
「だから探すのよ!」
「……なにを?」
「不思議な出来事をよ!」
つまり……ハルヒは週末にどっかに集まってそんで不思議な出来事や現象、その他もろもろを探しにいこうと言うのである
……ようは皆で遊びに行くのと何が違うと言うのか
「皆予定空いてるわよね?みくるちゃん大丈夫?」
「あ、はいー。大丈夫ですよ」
「うんうん。古泉くんは?」
「僕は大丈夫ですよ。引っ越してきて間もないので」
「有希!」
「ない」
「凉子は!?」
「ぁー……んっと、ごめんね。今週はちょっと……」
此方をチラリと見た朝倉を俺は見逃さなかった
……心配しなくても忘れてないぞ
「そう……いきなりだからしょうがないわね!来週は頼むわよ!」
「それじゃ日時は……!」
「って!おい!俺にも確認をしろ!?」
「何で?どうせ暇でしょ?」
「勝手に人の予定を決めつけるなこの馬鹿ハルヒ。今週は俺も予定があるからパスだ」
「誰が馬鹿よ!……予定?あんたに?」
「ああ」
「おじ様達が帰ってくる日……じゃないわよね。じゃあ一体……」
何やらブツブツと考え事を始めるハルヒ
「と言うわけで今週はいけん。来週からなら参加してもいい」
「そんなに大事なようなの?」
「先約だ」
「……わかったわよ。今日はもう帰るわ」
多少ふてくされた顔でハルヒは早々に部室から出ていってしまう
その姿に俺は少し、いやかなり驚いていた
ハルヒならば問答無用で俺に食いついて理由やらなんやらを根掘り葉掘り聞いてくると予想していたのだが……
ハルヒも成長しているのだろうか
どうでもいいがハルヒよ……鞄忘れてるぞ
いくら家が隣だからといって俺が持って帰る保証はないんだぞ?
131 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/01/23(月) 17:27:47.51 ID:y7ZLf2vtO
「……やってくれましたね」
「……?」
「失礼、何でもありません。僕もバイトの時間なので失礼しますね……貴方とはまた後日ゆっくりと話をしてみたいものです」
「何だ藪から棒に気色悪い」
「その話しは後日に……では急ぎますので 」
古泉も慌ただしく部室を後にしてしまった
……ん?あいつ引っ越してきたばかりなのにもうバイトなんてしているのか
見かけによらず苦労しているのかもしれないな
「……」
「長門さん?」
いつのまにか立ち上がったのか、長門が朝倉のとなりまで来ていた
「長門?帰るのか?」
長門は此方を一瞬だけ向きコクりと頷き、部室の外へ出てしまう
「あの!キョン君!」
「ど、どうされましたか朝比奈さん」
「どうしても……これませんか?不思議探索」
「すみません。先に約束事がありまして」
「そう……ですか。あの……その……涼宮さんに……あまり冷たくしないであげてね?」
「え?いや、そんなつもりは一切ないですが」
「あと…………ううん、ごめんなさい。何でもないです」
「朝比奈さん?」
「ごめんなさい。私も今日はこれで」
ハルヒに続き、古泉、長門、朝比奈さんと次々に部室から去っていってしまった
「……何なんだ?いったい」
「さぁ……もしかして気をきかせてくれたとか?」
「一体何にたいしてだ?」
「んー……私とキョン君が二人っきりになれるように、とか?」
「またお前はそんなことを」
「ふふ。でも嬉しかった。キョン君、約束覚えててくれたんだ」
「まぁ、約束だしな」
「じゃあ駅前に10時でいい?」
「ああ、任せておけ」
132 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/01/23(月) 17:28:21.29 ID:y7ZLf2vtO
「おーい、ハルヒー。鞄持ってきたぞー」
「……?」
呼び鈴をもう一度押してみるが返事はない
まだ帰ってきていないのか……?
いや、しかしハルヒが帰ってから三時間近くたっているはずだが
「……やれやれ」
扉の前に置いておくのも不用心なので自分の部屋に持っていくことにする
メールで俺の部屋にあることを送っておけば済むだろう
……だが、ハルヒのやつはさーっぱり返事を返してこなかったし、部屋に来ることもなかった
たまに窓からハルヒの部屋の電気を覗いてみても真っ暗なままである
……何だか俺ストーカーみたいになってないか?
……馬鹿馬鹿しい
どうせ明日明後日は休日だ
鞄がなんだ。寝てしまえ
……だが、何故だろうか
その日の夜はなかなか寝付けなかった
133 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/01/23(月) 17:36:57.55 ID:y7ZLf2vtO
翌日、俺は寝坊することもなく起き上がった
そして、なんとなーく、携帯をチェックする
……どうにも不貞腐れ姫のご機嫌は治っていないようだ
「……ったく」
机の上にある俺のではない鞄をじっと見つめてしまう
「……知らん知らん。俺は別に悪くないぞ」
身支度をささっと整え、待ち合わせ場所である駅前に向かおう
「あれ、キョン君おでかけ〜?」
「ああ、そうだ。もしハルヒがうちに来たら鞄は机の上にあるって伝えといてくれないか?」
「うん。わかったー……あれ?ハルニャンとお出掛けするんじゃないの?」
「別件だ。じゃあ頼んだぞ」
「……う〜ん?キョン君うわきぃ?」
「何処でそんな言葉を習った!」
134 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/01/23(月) 17:37:58.78 ID:y7ZLf2vtO
「あれ?キョン君?ご、ごめんなさい。遅れた?」
「あー、いや、来たばかりだ……朝倉こそ早いな」
「朝早く目が覚めちゃって。どうせならキョン君驚かせちゃおっかなぁって思って早く出たんだけどね」
いたずらっ子のいたずらがバレてしまった時のように舌を少しだけ出して笑う彼女は普段と違い凄く子供っぽく見えた
「しかし予定より30分以上早いぞ。店あいているのか?」
「んもー。その前にもうちょっと言うことないの?今日の服装結構気合いいれたんだけどなー」
「……朝倉がワンピース姿なのは予想外だったよ」
「ちょっと!それどういう意味よ!似合わないってこと?」
「いや、似合うぞ。普段とイメージが変わるという意味だ」
「いい意味で?」
「ああ」
「……ふふふ。ありがと。キョン君も何時もより三割増ぐらいでカッコいいよ?」
「からかうのはよしてくれ」
「ふふふ。行こっ。お店はもうあいてるから」
それは、駅前の近くに新しくできた喫茶店である
雰囲気もよく、メニュー価格も昨今にしては良心的であった
ただ、一つの問題以外は
オープンしたてと言うこともあり開店して時間がさほどたっていないのに人が多いのである
それはいい、別に客が多いのはなんら問題はない
……ないが……しかし!
「ったく!キョンのやつ!なにが先約よ!むぅぅぅぅ!」
「す、涼宮さん、お店のなかですし落ち着いてください〜」
これは……流石にヤバイのではないでしょうか……
135 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/01/23(月) 17:38:34.26 ID:y7ZLf2vtO
あけましておめでとうございます
完結まで行きますのでゆっくりお付き合い頂ければ幸いです
それではお疲れ様でした
136 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/23(月) 17:49:38.95 ID:rmYI57dxO
待ってた
面白い
137 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/23(月) 21:49:49.73 ID:DQ8sUTVEo
乙カレー
138 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/23(月) 21:51:35.79 ID:zM2pUEAi0
待ってたぞ
焦らされるのは好きじゃないんだ!まあ待ちますけども
139 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/23(月) 22:17:17.83 ID:T7ZlLSzwO
ハルヒに幼馴染属性が付くだけで無敵に見える
140 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/24(火) 03:52:19.24 ID:xqxShljC0
やはり朝倉は俺の嫁にしたいけど誰かに取られそうだからハルヒはもらっときますね
141 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/25(水) 21:21:19.86 ID:h4wpdJnto
乙
いきなり修羅場とかワクワk……あ、いやハラハラしますねぇ
142 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/02/20(月) 21:40:37.05 ID:oY4BAaTgo
待ってる
143 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/02/23(木) 20:35:41.17 ID:zl8h2MocO
はよおおおおおお
144 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/22(水) 12:46:03.66 ID:ISm6AsHDO
保守
145 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/22(水) 19:22:03.52 ID:XCTWujU/O
はよはよ
146 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/04/06(木) 11:49:09.57 ID:mcoYDe+HO
保守
147 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/04/29(土) 11:54:59.84 ID:Tpx8ud5cO
「どうかしたの?キョン君。変な顔して」
「い、いや、何でもない」
「?」
そ、そうさ、別にここでハルヒと鉢合わせになったとして何が問題になる
ただ朝倉とお茶を飲みに来ていただけだ
……いや、ハルヒの奴にこんな所みられたら絶対にやばい
下手すりゃ暴れる
……いや、俺は別にハルヒと付き合っているわけでもない、普通に朝倉と先に約束をしていてだから優先しただけ……特に深い意味なんてこれっぽちもないんだ
ないが……!ここは団内の関係に悪影響を与えないためにもハルヒにバレないように静かに過ごすべきじゃなかろうか
ああ、もう。誰に言い訳してるんだろうなぁ俺は!
148 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/04/29(土) 11:55:44.43 ID:Tpx8ud5cO
「涼宮さんの事考えてるの?」
「え?いや……何でだ?」
「わかるわよ。眉間にシワ」
「……それがどうしてハルヒに繋がる」
「あら、だってキョン君がそんな顔するのなんて涼宮さんの事ぐらいよ?」
朝倉はそんなことを言いながら注文して届いたケーキを食べている
「まるで保護者みたいな扱いだな」
「あら?違うの?」
「断じて違うぞ」
「ふーん。じゃあキョン君」
「何だ?」
「キョン君にとって涼宮さんってどういう存在なの?」
「……前にも言ったが」
「幼馴染み……そう言うんでしょ?じゃあ言い方を変えるわ」
朝倉は俺が言おうとした言葉を先にいってしまう
わかっているのなら何故聞いてきたと言うのだ
「女の子として、どう思っているの?」
149 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/04/29(土) 11:56:45.57 ID:Tpx8ud5cO
…………はい?
その言葉の意味を理解するのに一瞬、いや、結構な時間を要した
だってそうだろう?
そんな事を聞かれるなんて思ってもいなかった上に考えたことすらなかったのだ
俺にとっての涼宮ハルヒとは何かと問われればそれは幼馴染みであると答える
これは間違いない
だが、女の子としてどう思うかと問われればどう答えればいい?
ハルヒはハルヒであってハルヒでしかない
そこに男女の感情を持ってなどいない……なんて事は恐らくない
……ないのだが俺はこの感情をどう表現したらいいのか、明確な答えを持っていない
友情?親愛?腐れ縁?それとももっと別の何か?
150 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/04/29(土) 11:57:22.31 ID:Tpx8ud5cO
「ほら」
「?」
「また凄いシワが寄ってる」
「……少なくとも今回の原因はお前だ」
朝倉が用意してくれた逃げ道に乗っかってしまう
どうやらこの質問にはすぐには答えられそうにない
しょうがないなぁと朝倉の目が語ってくれている気がするが気がつかなかったことにしよう
間を持たせるために届いたコーヒーに手を伸ばそうとして気がつく
ハルヒが席を立ってこっちに歩いてくるのだ
「……っ!?」
「キョン君?」
朝倉は俺の反対側に座っているので勿論ハルヒの接近は見えていない
その事を説明する間もなくハルヒがどんどん此方の席に近づいてくる
あぁ……これはもう素直に謝るしかないか
そう決意を固めた俺の横をハルヒは素通りしていく
151 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/04/29(土) 11:58:06.32 ID:Tpx8ud5cO
「……あれ?」
思わず通りすぎたハルヒを振り返ってみてしまう
こちらに気がつかなかったのか?
どこに……ああ、トイレがあるのか
見馴れたトイレのマークがついている方向に向かうハルヒを見てから俺は席にどっかりと座って息を吐く
「どうしたのキョン君?今の人知り合い?」
「え?朝倉顔見なかったのか」
「後ろ姿はみたけど……?」
きょとんとした朝倉を見て不思議に思う
後ろ姿からでもハルヒだってくらい分かりそうなものなんだが……
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