【艦これ】女提督「それはね」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

161 : ◆mZYQsYPte. [sage saga]:2016/11/29(火) 20:07:02.94 ID:6UrSFTGKo

強い感情が篭っているのであろう八雲の目に一瞬たじろく。


比屋定「今までは手加減してたけど私が本気で殴ったら痛いわよ」

八雲「構わない」

比屋定「ほんとに痛いんだからね!」

八雲「いいよ。全力で来な。座ってちゃやりにくいだろうし、寝室へ行こうか」


私は寝室で同居人の女と棒立ちになって、何をしているんだろう。


比屋定「アンタなんて大っ嫌い。年上に敬意は払わないし、生意気だし、キモいのよ」

八雲「それだけか」

比屋定「もっとあるわよ! 黙ってて!」

八雲「なら気持ちを全部乗せて私を殴れ。絶対気持ちいいから」

比屋定「頭おかしいんじゃないの!?」

八雲「嫌いな奴はぶっ飛ばしてきた。気に食わない奴もぶっ飛ばしてた。この私が言うんだ、間違いない」

比屋定「ええ、良いじゃないの。殴るわよ」

八雲「ああ」

比屋定「澄ましたツラしてるんじゃないわよ!」
162 : ◆mZYQsYPte. [sage saga]:2016/11/29(火) 20:08:47.32 ID:6UrSFTGKo

八雲「してないよ」

比屋定「してるわよ」

八雲「そっか。分かった」

比屋定「……?」

八雲「っラァ!」ボッコォ

比屋定「なっ」


八雲は自分の右手で自分の右頬を殴った。


八雲「イッテェ!!!! 初めて自分で自分殴ったけど私、筋力ありすぎだろ!! ゴリラかよ!」

比屋定「何してるのよ、本当に頭おかしいんじゃないの……」

八雲「信じてくれ。私はアンタの前で澄ましてなんかない」

比屋定「証明するためだけに殴ったの……?」

八雲「ああ。それ以外の方法、私は馬鹿だから分からないよ」

比屋定「ば、馬鹿じゃないの」

八雲「私が嫌いなら殴れ」

比屋定「……分かった。分かったわよ。思いっきり殴ってやるわよ」

八雲「顔に届かないだろうから、膝折るよ」

比屋定「ええ、良いわよ。さっさとしなさい」

八雲「はい、どうぞ」
163 : ◆mZYQsYPte. [sage saga]:2016/11/29(火) 20:09:29.76 ID:6UrSFTGKo

彼女は本当に膝を折る。私が顔を殴りやすいように『配慮』までしてくれる。

自分で殴った右頬が腫れて痛そうだ。


比屋定「生意気なのよ」

八雲「好きなところを殴ってくれ」

比屋定「……」

八雲「……」


八雲は覚悟を決めたかのような表情でこちらを見つめる。

自分は何でも受け入れるみたいな顔をして……気に食わない!

爪の先が掌に食い込むほど力を込め握りこぶしを作り、振り上げる。


比屋定「……」プルプル

八雲「……」

比屋定「……えいやぁ!!!」ボコッ

八雲「ぶっ」
164 : ◆mZYQsYPte. [sage saga]:2016/11/29(火) 20:10:23.20 ID:6UrSFTGKo
左頬に良いのが入った。八雲が少し仰け反る。

比屋定「このっ! このぉっ!!」ガッ ポコ

八雲「………っ」

比屋定「えいっ! っ!」ポコポコ

八雲「……」

比屋定「……! ……っ!」

八雲「海月さん」

比屋定「最初っから……」

八雲「スッキリしたかい?」

比屋定「私の気持ちなんて分かってるんでしょ……馬鹿ゴリラ」ポロポロ

八雲「知ってることしか分からないよ」

比屋定「……うぅ」

八雲「卑下なんてしなくていい。アンタは立派な女だ」

比屋定「なんで怒らないのよ」

八雲「……」


彼女は多分私のことを分かっている。

私がいきなり感情を爆発させた意味不明な行動の意味も。

私の言葉は八雲でなく、大嫌いな私自身に向けられていた。

自分が自分をどう認識しているかを吐き出したに過ぎない。

八雲はずっと、私を優しく抱きしめるでもなく、呆れるでもなくひたすら見つめ続けている。


比屋定「全部全部、分かってるんでしょう」

八雲「……」
165 : ◆mZYQsYPte. [sage saga]:2016/11/29(火) 20:11:14.14 ID:6UrSFTGKo

比屋定「私はこんなに……ちっぽけで」

八雲「誰かと比較しちまえば、背も器もちっちゃい魅力の無い女だと思うよ。皮肉屋でズボラで化粧もしない髪もボサボサ」

比屋定「うぅ」

八雲「良いじゃないか。比屋定海月なんてそんなモンだろ」

比屋定「良い?」

八雲「良いよ。てっぺんから足の先まで、私の知ってる比屋定さんだ」

比屋定「良くないじゃない!」

八雲「アンタが自分をどう思ってるか知らないよ? 私はそういうの良いと思うけどな」

比屋定「……」

八雲「まー三十路に入ると今までとは勝手が違うから、今更無理〜なことも増えるから色々早めにした方が良いぜ」アハハ


比屋定「会って一ヶ月くらいしか過ごしてないじゃない」

八雲「なのになんでこんな風に言うのかって?」

比屋定「……」コクコク

八雲「私は私を助けてくれた人たちと同じように自分以外と向き合う」

比屋定「理解出来ない」

八雲「助けられた分だけ恩返しさ。まぁそういうことにしといてくれ」

比屋定「誰にでも同じように?」

八雲「ああ、可能な限り。命が尽きるまで同じようにするつもりだよ」

比屋定「だからお金が貯まらないのよ」

八雲「そうかもしれないね。でも、信じて裏切られる方がずっと気が楽さね」
166 : ◆mZYQsYPte. [sage saga]:2016/11/29(火) 20:12:33.42 ID:6UrSFTGKo

比屋定「私が大切だからこんな風にしてくれるんじゃ無いの」

八雲「みんな大切だよ」

比屋定「気持ち悪い答えね」

八雲「私は今アンタを大切に出来てないかい。気持ち悪いって思わせちまうかな」

比屋定「……」

八雲「私自身はそうは思わないんだ」




自分のために、他人の気持ちなど関係なく主観で全肯定して受け入れる。

文字で読んでみれば独善極まりない。

そして私をどこまでも一人の比屋定海月として扱ってくれているのか。

頭の悪い彼女には、自分の感情と自分を取り巻く現実を擦り合わせ共生させるには、この方法しか無かったのだろう。


彼女は私を抱きしめない。安っぽい言葉とお世辞で慰めもしない。

ただ自分が知り感じた事実だけを述べる。

彼女が私に与えようとしているのは何だろう。救済? 友情?

……違う。彼女にとっての大切にするとは与えるのではなく自らを曝け出し一緒に居ようとすることなのだろう。

押し付けがましく与えるのではなく、堂々と叩き付ける。



余りに残酷じゃないか。



比屋定「分かってるんでしょう」

八雲「さっきからソレばっかだな」

比屋定「……」


客観視してワガママなのは私だろう。思い通りにならないからキレるロリ三十代。

八雲は向き合わせてくれ、とだけ言う。

残酷だ。


だって私は弱いのに。

167 : ◆mZYQsYPte. [sage saga]:2016/11/29(火) 20:13:10.88 ID:6UrSFTGKo

八雲「本当に欲しいなら言葉にしろ。私は逃げない」

比屋定「……あはは」


清々しくて笑いすら出て来た。

何もかも分かっているからこそ、私が本当に言って欲しい言葉は出さない。


その日は久しぶりにベッドとソファで別れて寝た。
168 : ◆mZYQsYPte. [sage saga]:2016/11/29(火) 20:14:01.38 ID:6UrSFTGKo

八雲「うー」

少将「八雲君、今日は顔が腫れている気がするのだが」

八雲「ちょっと殴り合いしたので」

少将「……比屋定くんと?」

八雲「はぁ、まぁ」

少将「大丈夫なのか?」

八雲「男同士で腹を割って話さなきゃいけない時もありますから」

少将「私は突っ込まないぞ。明日から臨床実験だが、本当に良いんだね?」

八雲「はい。死んでも構いません。まー理論的に死ぬことは無いそうですし」

少将「理論の穴を埋めるための実験だ。仮に成功しようとも、先に待っているのは」「分かってます」

少将「……すまない。私も少し動揺しているのかもしれない」

八雲「世界の海を守ろうって計画なんですから」

少将「世の男どもが君くらい肝が据わっていたらな」

八雲「私と同じのばっかりの世界なんて嫌ですよ」ケラケラ
169 : ◆mZYQsYPte. [sage saga]:2016/11/29(火) 20:14:50.33 ID:6UrSFTGKo

比屋定「……ただいま」

八雲「おかえり」

比屋定「……ご飯は」

八雲「おかずにハムエッグ作っといた。私は食ったから大丈夫」

比屋定「ありがとう。もう、寝るの?」

八雲「おう明日も早いし寝ようぜ」

比屋定「明日なんだよ」

八雲「そうだな」

比屋定「怖くないの」

八雲「アンタの理論なら多分死なないんだろ。なら大丈夫だろ」

比屋定「私が不安なのよこの馬鹿!!」

八雲「なら最初っからそう言えや。慰めてやろうか?」ニヤニヤ

比屋定「私がご飯食べる間一緒に居てよ」



比屋定「……」モグモグ

八雲「美味いか」

比屋定「ええ」

八雲「そっか」

比屋定「昨日はごめんなさい」

八雲「いや、謝ること無い。見たところ昨日よりスッキリしてるし」

比屋定「気のせいよ」



比屋定「ごちそうさま」

八雲「明日も早いし寝ようぜ」

比屋定「待って」

八雲「?」

比屋定「今日で最後かもしれないんだから、お礼をさせて」
170 : ◆mZYQsYPte. [sage saga]:2016/11/29(火) 20:15:36.06 ID:6UrSFTGKo

比屋定「上手でしょ」

八雲「……別に」

比屋定「身体は正直なものね」

八雲「ちっ」

比屋定「ふふっ」


お礼とは、八雲への耳掻きだった。


八雲「よりにもよって耳掻きたぁ、何だかなぁ」

比屋定「何か因縁でもあった?」

八雲「命を吸い取る手をしてる爺さんのことをちょっとな」

比屋定「?」



八雲「なぁ」

比屋定「ん? どうかした?」

八雲「なんでアンタは、ここまで霊装魂に拘るんだ」

比屋定「さぁ。どうしてかしらね」

八雲「ナノマシンを使った自律機動戦闘艦の方が面倒は少ないし、実現可能だ」

比屋定「何故そう思うの」

八雲「私だってある程度はお勉強も出来る」

比屋定「そうね。実は助手にも同じことを言われてるわ」

八雲「自分の言い出したことだから意地になってるのか」

比屋定「あら、私がそんな女に見える?」

八雲「……」

比屋定「ま、まぁ見えるわよね……」
171 : ◆mZYQsYPte. [sage saga]:2016/11/29(火) 20:17:14.81 ID:6UrSFTGKo

比屋定「自律戦闘艦を作ることは、人間が深海棲艦を作ることと同義なのよ」

八雲「敵の戦車を潰すために自前で戦車を作るのは合理的な判断だ」

比屋定「そして同数以下しか作れないなら、より質の勝る戦車が必要になる。ここが気に食わないの」

比屋定「自律戦闘艦は人の外の存在。女の肉体を模した器と敵に無い知性と感性が与えられるそうよ」

八雲「知ってるよ。自我を持つ擬似生命を創りだすのが嫌ってか」

比屋定「ちょっと違うわ。私は兵器とはあくまで道具でなければならないと思う。人の手によって動かされる人のためのもの」

八雲「セーフティだって整備する。根本が人のためのもの、って部分で変わりない」

比屋定「アテにならないわ。自我を持つ兵器はいずれ私たちの支配から外れ……人そのものに影響力を与えようとするでしょう」

八雲「根拠は」

比屋定「イブよ。創造主の言いつけを破って果実を食べてしまうのだから。女型の自律戦闘艦だって、きっとそうなる」

八雲「宗教を引き合いに出すなよ」

比屋定「女がいかに邪悪な生き物か、この星のベストセラー本に書いてるのよ」

八雲「へいへい」


比屋定「そもそもがこの戦争は誰の戦争?」

八雲「人間と深海棲艦だろ」

比屋定「深海棲艦と自律戦闘艦はナノマシンによって妖精が生み出したもの。海でそれらが戦うとすれば、人間はどこに居るの?」

八雲「……確かにそうだけど。なんていうか、アンタの言うことは承服しかねるよ」

比屋定「そう?」

八雲「霊装魂にすれば人の血が流れる」

比屋定「自律戦闘艦なら誰も傷つかない?」

八雲「……そうだよ」

比屋定「……」クスクス

八雲「あー! もう! 私にらしくないことを言わせるな!」

比屋定「貴女らしいわよ」

八雲「自分の誇りを守るために誰かの血を求めるのは、軍人以前の邪道だ」

比屋定「なら貴女は邪道を行こうとする私をどうする? 殺す?」

八雲「……なんでそうなるんだよ」

比屋定「自律戦闘艦は希望になるのかもしれない。戦争を終わらせ、全ての人と妖精を繋ぐ架け橋にも」

八雲「……」

比屋定「でもそれは、色んな奇跡が起きなければ実現しない。そもそも、彼女たちの自我が、人の幸福を願わなければ叶わない未来」

比屋定「セーフティとして誇りと愛情を植え付けられた彼女たちが学び、その偽りの自分と向き合った時にどんな悲しみを背負うのか」

比屋定「全てを知って尚、人でない彼女たちは人と共に生きる道を選ぶかしら?」

八雲「それは……」

比屋定「私だったら人間を憎んで全部壊しちゃうかもしれない」
172 : ◆mZYQsYPte. [sage saga]:2016/11/29(火) 20:18:47.67 ID:6UrSFTGKo

比屋定「今まで私は自分が築き上げてきたものを守りたいと思ってた。今は違う気持ちで守りたいと思う」

八雲「……」

比屋定「誰かを想う気持ちって皆が持っているんでしょう?」

八雲「私もそう信じてるよ」

比屋定「論理的じゃ無いし科学者失格かもしれないけど、感覚だとしても自分が知ってることはやっぱり無視できない」

八雲「おぉ!」

比屋定「こんな日が来るとは思わなかったわ」


比屋定「一人の人間が持つ可能性と未来、それを尊重出来る社会。今は色んな物に邪魔されて難しいけど。いつか、きっと理想の場所へ辿り着くために」

比屋定「私は人間の誇りと皆の気持ちを守りたい」

比屋定「人の可能性と言いながら……自分以外の血を流す道を行くことが他の誰かから矛盾に見えるとしても」

比屋定「私は自分の信じる道を進み続けるよ。自律戦闘艦の可能性でも、妖精の可能性でもなく、人間の可能性を信じるのなら霊装魂しか無いと思うから」

比屋定「私たちは他のものに頼らなくたって、自分で平和への道を切り開ける」

比屋定「奇跡は私たち人の手でこそ起こすべきよ……貴女はどう思う?」


八雲「アンタが人間の可能性って言葉に酔ってるようにしか見えないね」


比屋定「ふふっ。かもね。だってとっても眩しいんですもの」

八雲「いんや、私も同じさ。私も多分そいつを信じ続けてここに居る」

比屋定「自問自答したって壊れない、納得できる強度を持ったモノを科学者は事実と呼ぶ」

比屋定「私にとって自分の気持ちは確かな事実よ」

八雲「……」


比屋定「祈りなんて軍人には必要ない。一緒に動きましょう」

比屋定「救済を与える神の居ない国に生まれた人間として、自分の信じるように」

比屋定「自分自身と未来に生まれてくる私たちと同じ気持ちを抱く存在のために」

八雲「吹っ切れたみたいで良かったよ」

比屋定「八雲」

八雲「おう」

比屋定「……」

八雲「最後まで聞きたい」

比屋定「好きよ、八雲。だから私とずっと一緒に居て欲しい」

八雲「良いよ」

比屋定「……馬鹿。こんなの女から言わせるんじゃ無いわよ」

八雲「ウホウホ」

比屋定「あはは!!」
173 : ◆mZYQsYPte. [sage saga]:2016/11/29(火) 20:20:07.71 ID:6UrSFTGKo

実験室は悲鳴で満ちていた。


比屋定「……」

研究助手「主任、被験者が耐えられるかどうか」

八雲「まだだぁ!! 私はまだ耐えられる!」

比屋定「……霊装の同調率と出力を理論計算値の限界まで上げなさい。実験第三段階を達成します」

研究助手「しかし」

比屋定「上げろと言っている」

研究助手「……了解しました」

八雲「がぁぁぁぁぁぁ!!!!」


研究助手「……理論計算値限界に到達。これ以上は被験体が霊装と融合を始めます」

比屋定「それはまだ仮説よ。第三段階クリア、実験を第四段階へ移行します」

研究助手「本気ですか!? 被験体が人間としての生活を捨てることになりますよ!!」

比屋定「何故冗談を言う必要があるの。分かっていたことでしょう。同調率と出力を十秒ごとにコンマ1ずつ上げていって」

研究助手「で、ですが」

比屋定「分かりました。私がコンソール操作をします。どきなさい」

研究助手「………」

比屋定「被験体、聞こえてたわね。覚悟を決めなさい」

八雲「望む……ところ……」

比屋定「……」

八雲「迷うんじゃあない!! ここは立ち止まる所じゃ無いだろうが!!!」

比屋定「……ええ」


比屋定「その通りよ」
174 : ◆mZYQsYPte. [sage saga]:2016/11/29(火) 20:21:06.14 ID:6UrSFTGKo

〜〜〜〜〜〜


八雲「……」


研究助手「被験体が意識を失いました。全身の細胞核霊素汚染率……83%。加えてコアの形成を確認」

比屋定「よろしい。第九段階をもって実験を終了。推移データを全て私の自室デスクへ」

研究助手「……霊装同調率と霊装出力増強に伴うフィードバック臨床実験を終了します」

比屋定「被験体を医務室へ。私は自室で報告書をまとめます。お疲れさま、後はよろしく」

研究助手「……」
175 : ◆mZYQsYPte. [sage saga]:2016/11/29(火) 20:22:16.48 ID:6UrSFTGKo

八雲「……よう」

比屋定「……! 八雲! 良かった、もう目を覚まさないのかと」

八雲「まだ逝けるもんかよ」

比屋定「……だって、三日も!!」

八雲「アンタが泣くなよ。私一人の身体くらい、人間全体に比べりゃ安いもんさ」

比屋定「霊素汚染で貴女の染色体は……心臓の横にはコアまで……」

八雲「分かっている」

比屋定「……」

八雲「で、いつまで生きられるんだ。三日か? 一週間か?」

比屋定「貴女は死なない。既にコアが生きていくのに必要な霊素を、体内で生成し始めている」

八雲「人間としての話だよ」

比屋定「……現在の汚染率は89%、このまま行くと三週間後には全身にまわる」


八雲「人間に戦わせるためのシステムが、非人間を生み出しちまうわけかい。なんとも」

比屋定「……」

八雲「そうだ。謝らなくていい。私もお前も、好きなようにやったんだ」

比屋定「違うよ……何て言えばいいのか、全然分からないの」

八雲「謝ったら怒るよ」

比屋定「謝らせてくれないの」

八雲「ああ。それはしちゃ駄目だ。これから流れる血に対しても笑顔でありがとうと言え」

比屋定「私、そんなに風には――――「駄目に決まってんだろ」

八雲「もう折れる気か? アンタの人間への想いはそんなもんなのか?」

比屋定「……」

八雲「私は進んで被験体になったんだ。これで良いんだ。私たちは強くならなきゃ駄目なんだよ」

比屋定「良くないよ。八雲が納得出来たって、私は出来ない」

八雲「納得しろ」
176 : ◆mZYQsYPte. [sage saga]:2016/11/29(火) 20:23:14.89 ID:6UrSFTGKo

比屋定「自分の大切な存在が傷ついても動じない人を強いなんて言わない」

八雲「………」

比屋定「そんなの! ただ壊れてるだけよ……」

八雲「今更自分だけは正気でいようなんて、都合良すぎないか」

比屋定「……」ビクッ

八雲「泣くな。私だけは味方だ」


比屋定「……お姉ちゃん、ギュッてして」


八雲「……………は?」


今思えば、そいつは後に数多く繰り返される、彼女の幼児退行の始まりだった。


比屋定「くらげちゃんはねー。お姉ちゃんのこと大好きなのー」

八雲「お、おう」







退行した彼女は自らを「くらげちゃん」と名乗った。


比屋定「キャッキャッ」


彼女はその内にはしゃぎ疲れて寝てしまう。朝起きると元通り。
177 : ◆mZYQsYPte. [sage saga]:2016/11/29(火) 20:24:18.94 ID:6UrSFTGKo

研究助手「被験体028が……死亡しました」

比屋定「随分と脆いのね。健康な八雲を基準に考える計算式は誤りだったのかも」

研究助手「も、脆い? 人が死んでるのに」

比屋定「だから何かしら」

八雲「……」




退行の揺り戻しであるかのように、研究室で彼女は苛烈になっていった。

私は霊素体になってしまったため、以後の実験は海軍内外で新たな被験者を募り行った。


そして次々に人間として死んでいった。




比屋定「045は完全な霊素体に変化しました。次のを用意して。時間が無いの。急いで」

比屋定「お姉ちゃんだっこー」




時折、生物としても死んだ。




比屋定「次。もっと丈夫な奴を連れて来なさい。実験にならないじゃない!」

比屋定「お姉ちゃん、遊んでー遊んで−」




女として、死んだ。




比屋定「幹事長殿、党からのご支援に感謝します。必ずや日本の海を海軍が守り抜いてご覧に入れましょう」

比屋定「あー、うんちでちゃったー」




比屋定「接続に関する実験は完遂。次は運用面での同調差異解決を目的とした外洋での――

比屋定「ばぶばぶ」
178 : ◆mZYQsYPte. [sage saga]:2016/11/29(火) 20:25:53.15 ID:6UrSFTGKo

八雲「……よしよーし」ナデナデ

比屋定「キャッキャ」

八雲「おっぱい飲みまちゅかー?」

比屋定「うにゅー!」

シャツを捲り上げると彼女は夢中で吸い付いた。

私に耳かきをしてくれた頃の彼女はもうここには居ない。



比屋定「ん……」ブルブル

八雲「あ、こらー。ベッドの上でシーしちゃ駄目って言ってるだろー。はい脱ごうね〜」

比屋定「やー! やー!!」ジタバタ

八雲「ほら、暴れないの」


今の彼女を見ていると、私の目からは涙がとめどなく溢れ続ける。何故だろう。


八雲「なー、クラゲちゃん」

比屋定「……?」

八雲「二人で死んじゃおうか」


そう問いかけながら、細首に指をかける。


比屋定「……」


彼女は何も言わず、嫌がりもせず私の手を受け入れてくれた。


八雲「最初はちょっと苦しいかもしれない。でも、我慢してくれ。私もすぐに行く」

比屋定「……いたいの?」

八雲「ああ、ごめんな。ちょっと痛いかもな」

比屋定「ううん。お姉ちゃんがいたいの? だいじょうぶする?」

八雲「……っ。そうだな、痛いんだ。してくれるのかい」

比屋定「いいよ〜」ナデナデ

八雲「ありがとう……ありがとうね」

比屋定「えへへ。だいじょうぶ〜」ナデナデ

八雲「もう嫌なんだ。傷ついていくアンタを、これ以上見つめられない」

比屋定「?」

八雲「ごめんよ。私が間違ってた。止めるべきだったのに、優しいアンタに酷な道を押し付けてしまった」

比屋定「……?」

八雲「頼む、誰でも良い。時間を巻き戻してくれ。次はもっと良い結末を迎えて見せる」

比屋定「……」

八雲「お願いだ。人間の可能性を信じた奴の道の先が、こんなんじゃあんまりにも酷すぎる」

比屋定「まだ、いたい?」

八雲「……」
179 : ◆mZYQsYPte. [sage saga]:2016/11/29(火) 20:26:19.58 ID:6UrSFTGKo

八雲「いいや。もう大丈夫だよ。ありがとう」

比屋定「イシシ! 良かった!」


八雲「クラゲちゃん」

比屋定「?」

八雲「実験、好きかい」

比屋定「きらい! こわい!」

八雲「もう実験するの辞めてもいいんだよ」

比屋定「なにを?」

八雲「霊装魂の実験さ」

比屋定「れいそ……れいぞうこ!」

八雲「……」
180 : ◆mZYQsYPte. [sage saga]:2016/11/29(火) 20:26:58.99 ID:6UrSFTGKo

比屋定「八雲、おはよう」

八雲「……おはよう」

比屋定「貴女、今日から霊装部隊の外洋演習でしょ。時間、大丈夫?」

八雲「ヤバイな」

比屋定「貴女の大人らしからぬ粗相の跡は私が消しておくから。早く行くことね」クスクス


彼女は昨晩自分が粗相したシーツを持ち上げ、楽しそうに笑っていた。


八雲「……助かるよ」

比屋定「何度も言うけど漏らすのは恥ずかしいことじゃないわ。メンタルヘルスで改善する可能性もある」

八雲「病院行くならお前も来てくれるか」

比屋定「私は実験の報告書で忙しいし、そもそも行く必要が無いもの」

八雲「クラゲちゃん」

比屋定「クラゲちゃん? ちょっと、正しい読みはミヅキよ」

八雲「実験するの、好きかい」

比屋定「……? 必要だからしてるまでだけど」

八雲「実験、辞めても良いんだぜ」

比屋定「馬鹿言わないで。あと少しで何もかも報われるの。私は進み続けるわ」
181 : ◆mZYQsYPte. [sage saga]:2016/11/29(火) 20:27:40.21 ID:6UrSFTGKo

八雲「霊装部隊六名、外洋演習日程を終え、ただいま帰投しました」

少将「……よく戻った」

八雲「少将殿、お顔色が優れませんが」

少将「霊装魂計画は実質的に破棄することとなった。今日は、君にそれを伝えに来たんだ」

八雲「なっ!? 馬鹿な!? 何故今になって」

少将「特フタ課で同時進行していた自律機動戦闘艦計画、それをベースにしたモノに計画を変更となった。大本営の正式な認可も受けている。既にスタッフも移動済みだ」

八雲「そんなことは聞いてない! 比屋定さんの霊装魂が一番進捗も良かった筈だ!」

少将「……比屋定君は」


少将「消えてしまったんだ」


八雲「……」
182 : ◆mZYQsYPte. [sage saga]:2016/11/29(火) 20:28:38.37 ID:6UrSFTGKo

6日未明、神奈川県横須賀市の海岸において、入水自殺。「不甲斐ない私を許して下さい」

 6日午前3時50分ごろ、横須賀市郊外にある海岸近くの住民から「女性が入水自殺している」との通報があった。警察と海保が駆けつけ海中捜索も行われたが現場付近は海流が複雑に入り乱れる海域であり、未だ発見には至っていない。海岸近くに停められた車には遺品、遺書と思われるものが残されており、そこから行方不明者の身元は比屋定海月(ひやじょう みづき)氏(38歳)であると確認され、動機などについて警察が調べを進めている。
 氏は日本海軍艦政本部に勤務する研究員であり、三日前から無断欠勤が続いていた。また、時折同僚らに「死にたい」と漏らすこともあったという。遺書には「計画は失敗しました。不甲斐ない私を許して下さい」等と書かれていた。氏は研究チームの主任を務め、日々この重責に耐えていたのではないか、と関係者は語っている。
自殺について海軍報道官は「自殺を事前に防げず誠に遺憾である。事実関係を明らかにし、問題点を探った後、再発防止に努めたい」とコメントしている。


八雲「何の茶番だよこれは……!」
183 : ◆mZYQsYPte. [sage saga]:2016/11/29(火) 20:29:47.07 ID:6UrSFTGKo

八雲「総長! 話がある!」

軍令部総長「……対応中だ。出て行きたまえ」

研究助手「………」

八雲「助手も居たか。丁度いい。この発表は何だ、比屋定さんが自殺するわけ無いだろ」

軍令部総長「自殺だそうだ。コメントは警察発表の結果を受け入れたものに過ぎない」

八雲「助手! お前も何とか言え! ……その資料、何だ」

研究助手「あ、こ、見ないで下さい!! き、機密事項です!」

八雲「黙りな! これ……全部、霊装での実験に関するものじゃないか」

研究助手「れ、霊装魂計画は、全て機動戦闘艦計画に引き継がれましたので。で、データも自動的に」

八雲「ふふふ……そうかい。そういうことかい」

軍令部総長「……」

八雲「比屋定さんばっかり悪者にして、美味しいとこだけ持っていくのか」

助手「……」

八雲「あの人がお前らの前で一度でも『死にたい』と呟いたことがあったのかい」

研究助手「や、八雲さんが外洋演習に出られて以来、主任はふさぎこみがちになりまして」

八雲「もう既に自分を殺し続けてた奴が、2〜3日で心変わりして自殺を決意したって?」

研究助手「……」

八雲「自殺したって何の解決にもなりゃしない。だからあの人は、壊れながらでも研究を続けてた」

軍令部総長「もう帰りたまえ。君への沙汰は、追って伝える」

八雲「車も運転出来ない奴が! なんで横須賀の郊外まで行って死ぬんだよ!」

軍令部総長「おい、誰かコイツをつまみ出せ」




研究助手「……不満が残るのでは」

軍令部総長「残ったところで問題無い。証拠は全て消し去ってある」

研究助手「大人しく退役するでしょうか」

軍令部総長「八雲はああ見えて優秀だ。飼い主が誰か、よく分かっているさ」

研究助手「……」
184 : ◆mZYQsYPte. [sage saga]:2016/11/29(火) 20:30:31.46 ID:6UrSFTGKo

八雲「……」

「隊長!」

「隊長、比屋定さんはどうして自殺なんか」

「総長は何と?」


外へ出ると霊装部隊の仲間に取り囲まれた。


八雲「アンタたちの命、私に預けてくれるか」

「どうか、したんですか?」

八雲「あの人は誰かに殺された可能性がある」

「……そんな」

八雲「私はこの時代の軍人として、自分の命ごときはなんとも思わない。信じる秩序のためいつでも死ねる」

八雲「そんな自分を誇りにすら思っていた」

「私もです!」

「同じ心づもりです!!」

「……」

八雲「だが、秩序それ自体が歪んでいるのなら、正すのもまた己の役目と心得ている」

八雲「海軍の秩序が私の大切な仲間を貶めるのなら、私は、そんなものを護らない」

八雲「……綺麗事を言ったところで今からするのは私個人の憂さ晴らしだ。断じて天下国家の為じゃないよ」

「誰かを殺すんですか」

八雲「殺すもんか。私が殺すべきは一人しか居なかった。その人は、多分もう居ない」

「……」

八雲「真実を明らかにするため、まずは比屋定さんの遺品を確保する。頼む、手伝ってくれ」
185 : ◆mZYQsYPte. [sage saga]:2016/11/29(火) 20:31:20.31 ID:6UrSFTGKo

八雲「……処分したってのは何だい」

「ですから捜査は打ち切られましたので、関係する文物は全て処分いたしました」

八雲「まだ一週間も経っちゃいないんだよ!? そんなことがあるわけ無いじゃないか!」

刑事「おい、八雲だろ。久しぶりだな。煙草に付き合え」

八雲「刑事さん……」


刑事「真面目に仕事してるみたいだな」

八雲「入水自殺の捜査が打ち切られた件、何か知ってるかい」

刑事「……上から圧力があった。資料はもう残ってない」

八雲「やっぱり自殺じゃ無いんだね」

刑事「情況証拠しか無い。断定は早計だ。だが、通報の電話も、遺留品も不自然な点が多すぎた」

八雲「……」ギリッ

刑事「ので、俺が写真を残しておいた。このネガに入ってる」

八雲「良いのかい。こんなもん渡しちゃ、後々困ったことになるかもしれないのに」

刑事「仕事の矜持くらいは守らねぇとな、悪ガキに説教も出来やしねぇ」ケラケラ

八雲「本当に助かるよ。何か困ったことがあれば、私に言いな」

刑事「ケツの青いガキに相談するようなこたぁねぇよ」

八雲「くっくっく、アンタも相変わらずだね。煙草貰って良いかい」

刑事「女が吸うんじゃねぇよ。……ほら」

八雲「ありがとな」
186 : ◆mZYQsYPte. [sage saga]:2016/11/29(火) 20:32:02.32 ID:6UrSFTGKo

「遺書の筆跡が、比屋定さんのものと一致しません」

「車の所有者も全くのデタラメです!」

八雲「当たり前だよ。あの人は車なんて持ってないんだから」

「部屋の私物は全て処分されていました。研究室の比屋定さんのデスクも空です」

八雲「一番恐れてた事態になりそうだね」

「……?」

八雲「アンタたちはもう関わらなくていい。後は私一人でやるよ」

「な、何でですか!? 私たちじゃお役に立てませんか!?」

八雲「恐らく首謀者は海軍内に居る。事を大きくしても誰も守ってくれない。首切られるのは私だけで充分だよ」

「……」

八雲「養うべき家族が居るんだろ。無理する必要は無い。もう随分と無茶をして貰った」

「……ごめんなさい」

「アンタ、八雲さんを見捨てる気!?」

「恥知らずにも程が有る!」

八雲「やめな! 忠誠ヅラしていい気になるんじゃないよ! 抜けることをとやかく言うなら私が引っ叩くからね!」

「八雲さん………八雲さんごめんなさい……」

「……」

「……良いんですか」

八雲「良いんだよ。アンタたちには見届けて欲しい。ここからは私の喧嘩だ」
187 : ◆mZYQsYPte. [sage saga]:2016/11/29(火) 20:33:16.55 ID:6UrSFTGKo

ふと昔のことを思い出した。

毎日が楽しくなかった。死と隣り合わせの瞬間にだけ自分という存在を感じられた……あの日々。

仲間と喋り、笑いあっても心は躍らない。

いっそのこと何もかもが消えてしまえばいいのに。

そう願いながら単車に跨がり続けた高校時代。


海軍に入っていなければ私はどうなっていたのだろう。


父さんに刑事のオッサン。先生、爺さん、良くしてくれた先輩、仲の良かった同期の奴らや可愛い教え子、親父さん。

比屋定さん。



比屋定さん



どうしてなんだよ。
188 : ◆mZYQsYPte. [sage saga]:2016/11/29(火) 20:33:43.51 ID:6UrSFTGKo

小休止
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/30(水) 01:24:44.32 ID:h+EaxVxr0
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/02(金) 18:50:04.20 ID:areomz2I0

やっぱ面白いわ
続き楽しみにしてる
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/05(月) 22:50:37.30 ID:QFBwNt4DO
乙乙
ホント面白い
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/08(木) 11:54:06.95 ID:1zqjl9AA0
保守
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/08(木) 12:49:13.68 ID:1zqjl9AA0
流石に下過ぎやわ
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/02(月) 20:10:12.27 ID:74JYvaFm0
むぅ
一月か……
待ってるぞ
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/17(火) 00:02:43.82 ID:Yuy+9yEuO
ほしゅ
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/23(月) 15:27:24.59 ID:/TYuadF80
そろそろ来るか?
197 : ◆mZYQsYPte. [sage saga]:2017/01/26(木) 00:37:00.35 ID:TKHM9UqCo
ちょっと待ってください。必ず書きます。
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/26(木) 11:19:00.91 ID:QEJC9NXo0
生存報告乙
やっぱなんもないと不安になるから助かる
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/19(日) 22:37:59.56 ID:JDpOUm7nO
ほしゅ
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/02(木) 18:56:14.45 ID:bNtMXyJ5O
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/26(日) 00:48:14.04 ID:NqWmx8JA0
即死判定ってスレ主が2ヶ月書き込まないだっけ?
そろそろヤバいかも…
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/28(火) 22:35:39.50 ID:Qg1ViHbAO
まだまだ待つぜ
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 09:03:47.64 ID:Hj5lih/s0
保守
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/06(土) 23:05:08.15 ID:STxBUHXMo
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/24(水) 10:19:28.19 ID:te2ggOq2O
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/10(土) 00:56:27.37 ID:i+zEgL5dO
ほしゅ
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/30(金) 00:11:24.48 ID:VO36yFVCO
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/19(水) 11:47:25.95 ID:ptsCgyEaO
しゅ
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/04(金) 18:39:56.64 ID:sVe/mYgq0
会話に前作と所々繋がりがあるのが面白いな
続きはいつまでも待ちますぜ
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/14(月) 14:24:42.25 ID:wDc8MFdK0
保守
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/31(木) 09:13:18.97 ID:w1VEi5J7O
ほ……
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/19(火) 01:16:37.68 ID:SpfzieO4O
ほしゅ
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/08(日) 19:04:23.67 ID:NfE+RwGgO
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/17(金) 23:13:56.42 ID:atr5q0RtO
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/09(土) 17:13:00.30 ID:TCbvMnWy0
保守
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/01(月) 08:08:09.46 ID:t2ri4/i40
下がり過ぎや
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/07(水) 20:56:57.51 ID:v0bs+ZzJ0
保守
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/04/15(日) 00:18:40.53 ID:iu83VCAg0
この作者さんの作品つい最近知りましたがとても興味深いです
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/19(火) 12:52:57.69 ID:CFOCe7ASO
19:名無しNIPPER[sage]
2018/05/25(金) 00:41:23.83 ID:yBb2DXJv0
乙です

これだから女はどろっどろで嫌なんだよ
やはりスッキリサッパリしていてそれでいて濃厚であり、口のなかでシャッキリポンな俺たちのような雄と雄の関係が一番だな!なあ最上!
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/22(日) 17:31:21.89 ID:GvlfNlXp0
保守
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/10/27(土) 13:06:54.52 ID:tweaVW+R0
板復帰記念カキコ
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/25(火) 11:13:33.22 ID:PQwjPlSi0
保守
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/02/16(土) 12:38:21.50 ID:MpTYRD4D0
保守
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/04/05(金) 17:16:18.43 ID:hDepm76H0
保守
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/14(金) 20:09:40.89 ID:6/RTuJUW0
保守
193.88 KB Speed:0   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 新着レスを表示
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)