他の閲覧方法【
専用ブラウザ
ガラケー版リーダー
スマホ版リーダー
BBS2ch
DAT
】
↓
VIP Service
SS速報VIP
更新
検索
全部
最新50
【ダンロン】ダンガンロンパ・クエスト【オリキャラ】
Check
Tweet
390 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/06(土) 21:48:05.56 ID:wpgRBQBA0
兵頭「なるほど……私が犯人なら自分に疑いが向くような行動をするはずがありませんね」
如月「やはり兵頭さんは図書館で腕を見つけ、僕に助けを求めたようですね」
道掛「じゃあ犯人って誰なんだよ!他に誰かいんのか!?」
赤穂「死体発見アナウンスを利用したトリックは、多分間違ってないはずだ」
佐場木「そうなると、犯人はやはり死体の発見を行った中にいる事になる」
遠見「つまり兵頭殿を除外した……グレゴリー殿、津浦殿、土橋殿の中に犯人がいると」
グレゴリー「なっ!?」
津浦「そ、そんな……」
土橋「アタシは殺してなんか……!」
鞍馬「……ならばもう犯人ははっきりしていますね」
御影「はっ?あんたわかってんの?」
鞍馬「死体発見アナウンスに犯人が含まれていないとするなら……簡単な話ですよ」
赤穂「……っ!?」
待てよ。
死体発見アナウンスに犯人が含まれていない。
死体発見アナウンスを使ったトリック。
兵頭が見た腕。
そして証言を合わせたら……
まさか四方院さんを殺したクロは……!
391 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/06(土) 21:58:16.76 ID:wpgRBQBA0
【グレゴリー・アストラル三世】
赤穂「犯人は……!」
赤穂「グレゴリー……お前なんじゃないか?」
グレゴリー「……!」
津浦「……はっ?」
赤穂「兵頭が見た腕……死体発見アナウンスのトリックを使うなら、多分本物だったはずだ」
赤穂「そうなると、最初の死体発見者は兵頭……その後が問題になる」
赤穂「土橋はこう証言していた……」
――――
赤穂「目を覚ました時何かあったか?」
土橋「そうだね……あたしは悲鳴に起こされて……琴羽が立ち尽くしてて視線を追ったら……」
土橋「奏が吊るされてるのを、見つけて……アナウンスが鳴って……」
ジェニー「ミキ……」
――――
赤穂「この証言から津浦が発見した時に死体発見アナウンスが鳴らなかった事がわかる」
佐場木「津浦は2人目の発見者というわけか」
赤穂「そしてその後土橋が発見してアナウンスが鳴った……つまり土橋が3人目の発見者」
赤穂「アナウンスの人数に犯人が含まれていないなら、水族館にいた中で残る容疑者はお前だけなんだグレゴリー!」
グレゴリー「くっ……!」
道掛「おいおい、マジでグレゴリーがやったのかよ……!」
土橋「ど、どうなのよグレゴリー!」
グレゴリー「…………」ギリィ
392 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/06(土) 22:08:53.21 ID:wpgRBQBA0
津浦「シャラップ!」反論!
赤穂「っ!?」
津浦「笑わせないでくださいよMr.赤穂……Mr.グレゴリーが犯人ですって?」
津浦「よくもそんなデタラメを!!そんな推理、ワタシは認めません!」
やっぱり津浦は反論してきたか……!
393 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/06(土) 22:21:06.44 ID:wpgRBQBA0
【反論ショーダウン開始!】
・コトノハ
>>357
【死体発見時の3人】
【腕を切った理由】
【死体を発見した3人】
津浦「Mr.グレゴリーは犯人じゃありません!」
津浦「あなたの推理は間違っていますMr.赤穂!」
赤穂「兵頭、津浦、土橋が死体の発見者だった!」
赤穂「それなら残るのはグレゴリーただ1人だ!」
津浦「そもそもそれが嘘なんですよ!」
津浦「【Ms.土橋より前にワタシの悲鳴で目を覚ましたMr.グレゴリーが死体を発見した】」
津浦「それなら犯人はMr.グレゴリーではありません!」
394 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/06(土) 22:32:40.43 ID:wpgRBQBA0
【Ms.土橋より前にワタシの悲鳴で目を覚ましたMr.グレゴリーが死体を発見した】←【死体発見時の3人】
赤穂「その反論に正義はない!」
赤穂「土橋より先にグレゴリーが死体を発見した……」
津浦「そうです!」
赤穂「だったらなんでグレゴリーは俺達が駆けつけてくるまでの間……ずっと座ったままだったんだ?」
津浦「何を……!」
赤穂「グレゴリーは津浦を気に掛けていた。そんなグレゴリーが悲鳴をあげた津浦をほったらかしにしていたのは、不自然じゃないか?」
グレゴリー「…………」
佐場木「初めて死体を発見したならその可能性もあるが……」
遠見「グレゴリー殿は前回の事件時も津浦殿を気に掛けていたでありますな」
津浦「Mr.グレゴリーだって人間です!そんな事で犯人扱いだなんて……!」
赤穂「……」
津浦は納得しない……当たり前か。
これはほとんど言いがかりみたいなものだからな……
だったら次だ……
これでグレゴリーに……!
395 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/06(土) 22:41:03.23 ID:wpgRBQBA0
【ノンストップ議論開始!】
・コトダマ
>>357
【紙切れ】
御影「犯人はグレゴリーなわけ?」
津浦「そんなの何かの間違いです!」
道掛「だけど【アナウンスの3人は千ちゃん、琴羽ちゃん、美姫ちゃん】なんだろ?」
津浦「【Ms.土橋が嘘をついている】のかもしれません!」
苗木「そもそもグレゴリークンの体格なら、襲われたっていうのも難しいよね……」
津浦「【Mr.グレゴリーの首筋には襲われた痕跡があります】!」
津浦「そもそもMr.グレゴリーには【動機がない】じゃないですか!」
津浦「Mr.グレゴリーは無実、冤罪なんですよ!」
鞍馬「……動機がない、ですか」
396 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/06(土) 22:47:39.91 ID:wpgRBQBA0
【動機がない】←【紙切れ】
赤穂「その矛盾……捕まえたぞ!」
赤穂「動機は、多分これだ」
グレゴリー「っ!!」
津浦「なんですか、その紙切れは……」
赤穂「四方院さんの指と一緒に沈んでいた紙切れだよ」
佐場木「なんだと?そんな報告は受けていないぞ」
ジェニー「あっ、それはボクが……」
赤穂「ジェニーには俺が口止めしたんだ。犯人をはっきりさせるために」
兵頭「その紙切れはいったいなんなんですか?」
この紙切れ……これはきっと。
397 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/06(土) 22:57:17.28 ID:wpgRBQBA0
【消えたゴシップ誌】
赤穂「こいつだ!」
赤穂「図書館から消えていたゴシップ誌……あれのページのはずだ」
道掛「おぉ、そういや1冊なくなってたな!」
如月「あれですか……赤穂さん、その紙切れがグレゴリーさんの犯行を証明するんですか?」
赤穂「はい、内容を聞いてもらえればわかります」
ジェニー「えっ……」
土橋「どうしたのジェニー?」
ジェニー「な、なんでもないです」
佐場木「……」
赤穂「じゃあ、読むぞ」
苗木「いったい何が……」
これが最後のチャンスだ。
物的証拠はほとんどない。
もう1つの可能性はあるけど……これはグレゴリーが喋ってくれないと証明出来ない。
だからこれでグレゴリーが動かないと……どうしようもない。
赤穂「スクープ……」
398 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/06(土) 22:58:56.04 ID:wpgRBQBA0
グレゴリー「やめろっ!!」
399 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/06(土) 23:04:01.46 ID:wpgRBQBA0
津浦「ど、どうしたんですかMr.グレゴリー?」
グレゴリー「それ以上の言霊は無用だ、聖痕抱きし英雄よ」
赤穂「……」
グレゴリー「……その封印の書に記されているのは確かに我だ」
六山「……認めるの?」
グレゴリー「……ああ」
土橋「じゃあ、奏を殺したのは……」
グレゴリー「…………」
如月「あなたなんですね?グレゴリーさん」
グレゴリー「……そ」
400 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/06(土) 23:05:30.75 ID:wpgRBQBA0
津浦「嘘ですっ!!」
401 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/06(土) 23:14:35.10 ID:wpgRBQBA0
グレゴリー「言の葉の、魔術師……!」
津浦「嘘ですっ、そんなの嘘ですよっ……」
津浦「だってMr.グレゴリーは!ワタシを守るって言ってくれた!だけどこれじゃあ!」
津浦「嫌だ、認めないっ、こんなっ、こんな……!」
赤穂「津浦……」
津浦「あっ……は、ははっ!そうだ、そうですよ!」
津浦「やっぱりMr.グレゴリーは犯人じゃありません!」
御影「……なんで?」
津浦「だってMr.グレゴリーは襲われているんですよ!実際首にはその痕跡が残っているんです!」
津浦「これこそ、彼が無実って証拠じゃないですか!」
津浦「そうです、あなた方の推理は決定的に間違っていたんですよ!あはっ、あはははははっ!」
ジェニー「コトハ……」
赤穂「……」
グレゴリーの襲われた痕跡。
それはきっと、これを使ったんだ。
402 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/06(土) 23:22:46.25 ID:wpgRBQBA0
【第3の腕】
赤穂「こいつだ!」
赤穂「……グレゴリー、1つ聞かせてほしい」
グレゴリー「……なんだ」
赤穂「第3の腕、あれは心臓の上から着けて使うんだよな?」
グレゴリー「然り」
赤穂「それは……背中からも出来るんじゃないか?」
グレゴリー「……見事だ聖痕抱きし英雄。そこまで真理を掴んでいたか」
津浦「な、何を言ってるんですか……!」
赤穂「グレゴリーは背中につけた第3の腕を使って自分に襲われた痕跡を残したんだ」
佐場木「諦めろ津浦……それ以上はお前自身を傷つけるだけだ」
津浦「……っ、でも!そんなの、Mr.赤穂の推測……」
土橋「琴羽、もうやめよう……」
津浦「認めないっ、やだ、いやぁ……!」
赤穂「……」
津浦はもう認めるわけにはいかないんだな……
だったらせめて、俺がその目を覚まさせるしかない……!
403 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/06(土) 23:26:31.06 ID:wpgRBQBA0
【パニックトークアクション開始!】
津浦「…………」
津浦「こんなの……」
津浦「嘘です……」
津浦「ワタシは、認めないっ……」
津浦【物的証拠なんて、どこにもないんです……】
マント
背中 隠された
に
404 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/06(土) 23:34:45.65 ID:wpgRBQBA0
【マントに隠された背中】
赤穂「これで終わらせる……」
赤穂「今回の犯人は慎重だった」
津浦「嫌だ……」
赤穂「死体発見アナウンスの人数に足りるかわからないから目撃者を増やした」
津浦「やめてください……」
赤穂「俺がどこまで知ってるかわからないからこの紙切れを読むのを止めた」
津浦「お願い、ですから……」
赤穂「だからきっと、どこを調べられるかわからないから……まだ第3の腕を持ってるはずなんだ」
津浦「ぁ……」
赤穂「それが出来る人間は、背中を隠せるマントを着けたグレゴリーだけなんだよ、津浦」
グレゴリー「……」
グレゴリーがマントを外す。
その下には、背中に貼り付くように……グレゴリーの発明、第3の腕があった。
津浦「あっ、あっ、ああああああああああああああっ……!」
グレゴリー「……すまん、言の葉の魔術師よ」
405 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/06(土) 23:50:40.50 ID:wpgRBQBA0
【クライマックス推理開始!】
ACT.1
今回のクロがなんで四方院さんを狙ったのかはわからない。
だけどクロは四方院さんに静音の名前を使って手紙を出したのは間違いないはずだ。
ACT.2
四方院さんを呼び出したクロは水族館にあったロープで彼女の首を絞めて殺害した。
そしてロープを結んでその身体を吊るしたんだ。
ACT.3
だけど誤算があった。
四方院さんがクロにとって都合の悪いゴシップ誌を握ったままだったんだ。
それを外せなかったんだろう、クロは大胆な手に出た。
ACT.4
四方院さんの腕をショッピングモールの工具で切り落としたんだよ。
そしてクロはその腕を使って自分の容疑を外す工作を開始したんだ。
ACT.5
クロは津浦と土橋を襲って目撃者役として水族館に連れていった。
そして自分も襲われたように装うために自分の作った第3の腕で首に痕跡を残したんだよ。
ACT.6
クロは四方院さんの腕を持っていくと、兵頭を見かけたのか図書館にそれを置いた。
そして兵頭が人を呼ぶ間にその腕を水族館に戻すと、鮫の水槽に投げ込んで証拠の隠滅を図ったんだ。
だけど指や記事が残った事や慎重過ぎた事が不自然な点を生み出して、こうして犯行を暴かれたんだ。
赤穂「四方院さんを殺したのはお前なんだな、グレゴリー・アストラル三世!」
グレゴリー「……ああ、その通りだ」
津浦「ああああああああっ……!」
COMPLETE!
406 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/06(土) 23:53:47.07 ID:wpgRBQBA0
モノクマ「議論の結論が出たみたいだね!」
モノクマ「それでは投票タイムとまいりましょうか!」
モノクマ「オマエラ、お手元のスイッチで投票をお願いします!」
モノクマ「オマエラの答えが正解?それとも不正解?」
モノクマ「運命はどっちだー!!」
VOTE
グレゴリー グレゴリー グレゴリー
チャッチャッチャー!
【学級裁判閉廷!】
407 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/06(土) 23:57:19.94 ID:wpgRBQBA0
本日はここまで。
今回のクロはグレゴリー・アストラル三世でした。
次回おしおきと2章ラストまでいきます。
それでは……
408 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/07(日) 21:03:07.70 ID:7rDsDq5A0
モノクマ「大正解!」
モノクマ「今回四方院奏さんを殺害したクロはー……」
モノクマ「グレゴリー・アストラル三世クンでしたー!」
グレゴリー「…………」
津浦「なんで……なんで、ですか……なんで……」
赤穂「……」
グレゴリーが四方院さんを殺した。
その事実は……津浦にとってあまりに残酷だった。
それは自分を守ると言った男が人を殺したからだけじゃない。
モノクマ「うぷぷ、それにしても傑作だよね!守るとか言っといて学級裁判でしっかり逃げようとするなんてさ!」
モノクマ「グレゴリークンは津浦さんが死のうがどうでもよかったって事だもんね!」
そうだ、このコロシアイは1人だけ殺して終わるようなものじゃない。
学級裁判で他の生き残り全員を殺す……グレゴリーは内心はどうあれ、津浦に行動で突きつけてしまったんだ。
【お前を殺しても生き残る】という事を。
409 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/07(日) 21:06:16.26 ID:7rDsDq5A0
苗木「本当に、どうしてこんな事したの……今回の動機はグレゴリークンには何も関係な……」
モノクマ「いやいや、何言ってるの!しっかり関係してますとも!」
モノクマ「だってグレゴリークンは……この中にいる人殺しの1人だからね!」
如月「グレゴリーさんがですか……しかし彼ほどの目立つ人間が犯罪を犯したなら、僕か佐場木さんが気付いているはずですよ?」
佐場木「ふん……つまり目立つ前だったんだろう」
兵頭「それが記述されていたのが、赤穂さんの持つゴシップ誌だったというわけですか」
モノクマ「その通り!それでは発表します!」
モノクマ「なんとグレゴリークンは5年前に世間を騒がせた、あの【ガス爆発連続死亡事故】のガスストーブを設計した張本人なのです!」
津浦「…………えっ?」
410 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/07(日) 21:16:47.97 ID:7rDsDq5A0
遠見「【ガス爆発連続死亡事故】……でありますか?」
六山「そういえば、そんなニュースが昔毎日やってたよね」
土橋「アタシ、その事故なら被害者の家を建て直しした事あるからよく知ってるよ」
土橋「ある企業が新しく売り出した多機能型のガスストーブが次々に爆発したんだよね……死傷者は確か100を超えたはずだよ」
土橋「確かそのストーブを設計したのが未成年だって話を聞いた事はあったけど……」
道掛「それがグレゴリーだったのかよ!?」
モノクマ「そうそう、マスコミも当時かなり騒いでたよね。設計にミスがあったんじゃないかとか……」
グレゴリー「否!我が記述に一切の深淵は存在していない!あれは目先の欲に囚われた愚か者共が我が声を無視したがために……!」
モノクマ「うんうん、実際はそうなんだよね」
ジェニー「グレッグは、悪くないですか?」
モノクマ「グレゴリークンの設計通りだとコストがかかるからって、勝手に設計とは違う材料を使ったから起きた事故なんだよねあれ」
赤穂「だったらなんで……」
モノクマ「だけど世間はそう見てくれなかったの。そして散々責められたグレゴリークンは苦肉の策として自分自身を消す事にしたんだよ!」
モノクマ「謎多き設計士【グレゴリー・アストラル三世】としてね!」
411 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/07(日) 21:27:39.26 ID:7rDsDq5A0
佐場木「なるほどな、お前は過去を捨て仮面をつけて再出発をしたというわけか」
グレゴリー「……そうだ。我の真名はもはや、憎悪と失望に堕した忌み名と化していた」
グレゴリー「故に我はこの名と姿を得たのだ」
鞍馬「その格好や口調の方に気をとられ、5年前の設計士と繋げる人間はいなかった……それだけの話です」
如月「……グレゴリーさんがこうなった理由はわかりました。ですがそれは……四方院さんを殺してまで守らなければならない秘密だったんですか?」
道掛「そうだぜ!話聞く限りだとグレゴリーは悪くねえじゃねえか!」
グレゴリー「…………」
モノクマ「オマエラのほとんどはそうかもしれないね!」
モノクマ「だけど……」
412 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/07(日) 21:28:54.55 ID:7rDsDq5A0
モノクマ「その事故で両親を殺された津浦さんはどうだったのかなー?」
津浦「…………」
413 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/07(日) 21:45:36.08 ID:7rDsDq5A0
赤穂「っ!?」
御影「なっ……なにそれ……」
津浦の両親が死亡した事故の原因が、グレゴリーの設計したストーブだった!?
モノクマ「キミは知ってたんだよね?津浦さんがあの事故の遺族だって」
モノクマ「あんなに津浦さんに優しくしてたのは罪滅ぼしでもしているつもりだったのかな?」
モノクマ「それともバレた時に津浦さんが情から殺せないようにするための布石だったとか?いやあ、グレゴリークンもなかなかやり手だねぇ!」
グレゴリー「黙れ!我は、我はただ……」
津浦「…………Mr.グレゴリー」
グレゴリー「っ……」
津浦「ワタシはあなたにとって、罪悪感を吐き出すための道具だったんですか……?」
グレゴリー「違うっ!!確かに、そのような邪念が存在しなかったと言えばそれは虚構だ……!」
グレゴリー「だが我は、ただ……ただ、純粋にその身を案じて……」
グレゴリー「…………ぐっ、くっ!」
グレゴリー「なぜだ、なぜこうなった?」
グレゴリー「あのような手紙さえなければ!水の都に優雅なる吹き手がいなければ!」
グレゴリー「我は……!」
佐場木「……なに?」
414 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/07(日) 22:27:06.35 ID:7rDsDq5A0
モノクマ「うぷぷ、それじゃあそろそろいきましょうか!」
赤穂「……!」
苗木「いくって、おしおきだよね……」
モノクマ「急がないとまた如月クンに痛めつけられちゃうからね!」
如月「……」
モノクマ「それでは今回は、【超高校級の設計士】であるグレゴリー・アストラル三世クンにふさわしいスペシャルなおしおきを用意いたしました!」
グレゴリー「言の葉の魔術師、我は…………」
津浦「……」
モノクマ「それでは張り切って参りましょう!」
グレゴリー「…………ああ、そうか」
津浦「……?」
グレゴリー「もうこんな風に自分を偽る必要も……ないんだ」
津浦「っ!?」
グレゴリー「ごめん、だけど……」
「君を助けたかったのも守りたかったのも、嘘じゃないから」
津浦「……ぁ」
「最期に、これだけは知ってほしい……」
「僕の名前はね――」
モノクマ「おしおきターイム!!」
415 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/07(日) 22:28:40.85 ID:7rDsDq5A0
GAME OVER
グレゴリークンがクロにきまりました。
おしおきをかいしします。
416 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/07(日) 22:52:20.21 ID:7rDsDq5A0
グレゴリーが何かを言うより先に、首輪が伸びてその身体を引きずり込む。
そしてグレゴリーが連れてこられたのは【処刑器具】とだけ書かれている大きな紙が置かれた作業台のある部屋だった。
【最期の世紀の大発明!】
【超高校級の設計士グレゴリー・アストラル三世処刑執行】
グレゴリークンは覚悟を決めたかのようにペンを取り出すと、紙に図を書き込み始めました。
グレゴリークンが線を引くと、後ろにいたモノクマがその通りに機材を組み立て。
グレゴリークンが円を描くと、後ろにいたモノクマがその通りに機材を積み上げます。
どんどん出来上がるグレゴリークンのための処刑器具。
そしてグレゴリークンが最後の線を引き終えると同時に……
後ろの処刑器具が倒れて、グレゴリークンの身体を潰します。
衝撃で吹き飛ぶ仮面……それはモノクマが出したストーブの上に落ちて、熱でどろどろに溶けてしまいました……
417 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/07(日) 23:12:20.17 ID:7rDsDq5A0
モノクマ「あー!せっかくとびっきりのおしおき装置を作ったのに!」
モノクマ「……まあ、おしおきは出来たからいっか!」
兵頭「ぁっ……っ、はぁ……」ガクッ
道掛「うおっ、千ちゃん!?」
鞍馬「……快感のあまり腰砕けになりましたか」
六山「理解出来ないや……」カチカチ
津浦「……」
土橋「琴羽!」
津浦「なんで……なんで最期に、あんな」
呆然とする津浦、また快感を受け止めている兵頭……
佐場木「……遠見、話がある、来い」
遠見「佐場木殿!?ま、待ってほしいであります!」
その中で、佐場木はいつもより顔を険しくして上に戻っていった。
如月「……あのような手紙さえなければ、ですか」
そしてそれは、如月さんも同じで。
佐場木と遠見を追いかけるようにエスカレーターに乗り込んだ如月さんの背中を見つめながら……
赤穂「……」
俺は、なぜか、今さら、一つの事実が気になっていた。
418 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/07(日) 23:19:59.19 ID:7rDsDq5A0
赤穂「静音を騙ったあの手紙には本が一緒だった……」
それは当然あのゴシップ誌のはずだ。
そんな手紙を、なんでグレゴリーが送るんだ。
じゃああの手紙は……
だけど……それ以上に……
赤穂「四方院さんは、抵抗しなかった……」
なんでだ、なんで今こんな事が気になる?
混乱する俺の頭の中で、ある会話がリピートされる。
――――
御影「涙……出てるよ」
四方院「ふふっ、わたくしもあの子がいないと落ち着かないという事でしょうか……」
四方院「ああ、早くあの子の所に行きたいですわ……」
―――――
なあ、四方院さん……
――――
四方院「ふふっ、わたくしもあの子がいないと落ち着かないという事でしょうか……」
四方院「ああ、早くあの子の所に行きたいですわ……」
――――
本当は、わかってたんじゃないのか?
――――
四方院「ああ、早くあの子の所に行きたいですわ……」
――――
静音がもう死んでるって。
――――
四方院「ああ、早くあの子の所にいきたいですわ……」
――――
だっておかしいじゃないか。
なんで行きたいなんだ、なんで帰りたいじゃなかったんだ?
――――
419 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/07(日) 23:23:03.41 ID:7rDsDq5A0
四方院「早くあの子の所に逝きたい」
四方院さん、君は本当にただの被害者だったのか?
――俺のそんな疑問に、もう永遠に答えは出ない。
420 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/07(日) 23:44:11.70 ID:7rDsDq5A0
【赤穂のコテージ】
赤穂「……」
ダメだ、なんだか変な事ばかり考える……
赤穂「少し外に出るか……」
杖をついて外に出るといつものように満天の星が空に散りばめられていた。
赤穂「……」
【サマーアイランド・射撃練習場】
赤穂「……あれ、なんでここに」
ああ、そうか……ここは津浦とグレゴリーの。
土橋「あれ、政城……」
赤穂「土橋?なんでここに」
土橋「なんとなく……ね。ここはほら、琴羽とグレゴリーの……」
俺と同じって事か……
赤穂「津浦は?」
土橋「まだ混乱してるみたいだよ……無理もないけどさ」
赤穂「そうか……」
津浦は大丈夫なのか?
グレゴリーを支えにしてた分、それをこんな形で……
カチャリ
赤穂「……んっ?」
変な音がした気がして、射撃練習場の方を見る。
赤穂「……っ!?」
入り口から見えていたのは銃を握った腕。
その銃は、土橋を狙っている。
赤穂「っ、危ないっ!」
土橋「えっ、きゃあっ!?」
不恰好な状態で土橋を突き飛ばす。
次の瞬間。
パァン!
破裂音が聞こえて、やけつくような痛みが身体を貫いた。
土橋「政城っ!?ねぇ、どうしたの政城っ、政城ってば!」
赤穂「……」
俺を呼ぶ土橋の後ろを誰かが、駆けていく。
誰、だ……
目を凝らして、その姿を捉えようとしても逆に目は霞んで……
421 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/07(日) 23:45:33.37 ID:7rDsDq5A0
俺の意識は、真っ暗闇の中に消えた。
422 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/07(日) 23:48:43.46 ID:7rDsDq5A0
CHAPT.2【糸絡まりて命絶つ】END
生き残りメンバー14→???人
To be continued...
423 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/07(日) 23:50:24.97 ID:7rDsDq5A0
【絶望フルート】を手に入れました!
【偽りのマスク】を手に入れました!
424 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/07(日) 23:53:00.91 ID:7rDsDq5A0
本日はここまで。
CHAPT.2が酷く長い期間になってしまい申し訳ありませんでした。
次回からCHAPT.3に入ります。
それでは……
425 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/20(土) 22:46:36.69 ID:eMd80BXA0
「……」
「ねえ」
「……」
「ねえってば!」
「っ、あ、あれ?」
「どうしたの?ボーッとしちゃって」
「いや……なんかもう、本当にどうしようもないんだなって」
「……仕方ないじゃん。私達は子供なんだから、借金で2人は育てられないんだって言われたら……」
「お前にそう言わせる自分が情けないんだよ……俺が御影の家に行ったり、せめてもう少し歳が離れてれば家出て2人でやってく事だって……」
「……」
「だいたい、いくら向こうが娘が欲しいって言ったからって牡丹はまだ……!」
御影「……それだけで十分だよ兄さん」
赤穂「……」
御影「私を想ってくれてる人がいる。それだけで私は頑張れるから」
赤穂「……牡丹」
御影「だから笑ってよ。兄さんは私のヒーローなんだから、そんな顔なんて似合わないよ」
赤穂「……ああ、そうだな」
御影「じゃあ、さよならの前に1つ約束」
赤穂「約束?」
御影「うん、私が御影の家に行っても、もう二度と会えなくても……」
御影「赤穂牡丹は兄さんの妹だって、ずっと覚えてて」
赤穂「……」
御影「……」
赤穂「……そんなの当たり前だろ」ポンッ
御影「あっ」
赤穂「お前は何があっても俺の大切な妹だよ……牡丹」ナデナデ
御影「……うん」
426 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/20(土) 22:52:27.64 ID:eMd80BXA0
【御影のコテージ】
御影「っ……!」
なんで、あの時の夢なんて……
兄貴、兄さんと別れたあの日の夢……
御影「……約束、か」
昔はなんであんな約束したんだろう、なんて思ったけど今ならよくわかるよ。
私はきっとわかってたんだ。
長い間、私は兄さんと会えなくなるんだって……
「誰か!起きてるなら手伝って!!」
御影「……?」
何かあったの……?
「政城が、政城が死んじゃう!!」
御影「っ!!」
427 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/20(土) 22:55:28.42 ID:eMd80BXA0
CHAPT.3【悪意のアンノウンは高らかに唄う】(非)日常編
428 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/20(土) 23:14:40.61 ID:eMd80BXA0
【赤穂のコテージ】
赤穂「…………」
遠見「ふう……これで、もう命に別状はないであります」
土橋「良かった……!」
あれから慌てて飛び出したら、土橋が血だらけの兄さんを抱えてて。
なんでか遠見と佐場木も同じコテージから出てきたから協力して兄さんのコテージに運んで……遠見が治療をしてくれた。
御影「……」
治療されて眠る兄さんの身体には、古い傷痕がたくさんある。
こんなにたくさん傷作って……
佐場木「それで何があった。赤穂の身体にあるのは明らかに弾痕だぞ」
弾痕……
御影「……なにそれ、兄貴は撃たれたって言うの!?」
土橋「アタシにもよくわからないんだ……いきなり政城に突き飛ばされたと思ったら、政城の身体から血が……」
佐場木「このタイミングでコロシアイを起こすか……確かに学級裁判直後なら混乱している人間も多いが……!」
遠見「どうするでありますか、佐場木殿。先ほどの話と合わせると事態は……」
佐場木「……ちっ、如月を呼ぶぞ」
土橋「怜輝を?」
佐場木「腹立たしいがあの殺人鬼は誰よりも容疑者になり得ない男だ。赤穂の警護には適任だろう」
御影「……」
警護って……まさか兄さんが狙われるって事……?
御影「そんなの……!」
遠見「あっ、御影殿!?」
429 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/20(土) 23:33:11.14 ID:eMd80BXA0
御影「……」
兄さんが狙われる、兄さんが殺される……!
そんなの……そんなの嫌だ。
私は……!
御影「……!」
鞍馬「……」
御影「鞍馬……」
鞍馬「どこに行くんですか?まだ夜中ですよ」
御影「……あんたには関係ないでしょ」
鞍馬「……」
なんなのこいつ、いつもそう。
気がついたらいて……
御影「私急ぐから」
とにかく今は鞍馬に構ってる余裕なんてない。
私は鞍馬の横を通ると……
鞍馬「あなたは何も出来ませんよ」
御影「……!」
鞍馬「その身体で犯人探しでもしますか?無駄ですよ、返り討ちにあうのが関の山だ」
御影「あんた、何を」
430 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/20(土) 23:39:59.84 ID:eMd80BXA0
鞍馬「そうでしょう。未来機関第一支部秘匿才能【超高校級の被験体】御影牡丹さん」
431 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/20(土) 23:56:38.18 ID:eMd80BXA0
御影「……!」
なんっ、知って……!
鞍馬「その身体にどれだけの病気を抱えても死なない、死ねない特異体質」
鞍馬「現在は確か不治の病とされているものが3つ、治療困難な病気が4つ……」
鞍馬「その体質に目をつけたとあるマッドサイエンティストに拉致され、ウイルスの人体実験に使われていた」
鞍馬「人類史上最大最悪の絶望的事件の余波で脱出に成功したものの未来機関に遭遇」
鞍馬「【超高校級の薬剤師】の作る痛み止め、未来機関による病気の治療、【超高校級】の認定と引き換えに未来機関第一支部に籍を置く」
鞍馬「……でしたか」
御影「……」
鞍馬「今は痛み止めで日常生活は出来ているようですが、いつ爆発するかわからない爆弾を抱えたあなたが誰かと事を交えようなど無茶ですよ」
御影「……なによ、いつもと違ってペチャクチャと喋ってさ」
鞍馬「……」
御影「私の身体の事なんてあんたには関係ない、ほっといてよ……」
鞍馬「あなたはいくつもの病の治療法の発見に貢献しているんですよ。あなたのような存在が死ねば世界の損失に……」
御影「うるさい!私は……こんな、こんな身体、欲しくなかったのに!好き勝手言わないでよ!」ダッ
もう鞍馬なんかと話していたくなかった。
だから私はホテルから出て、どこに行くかも決めないまま走り出していた……
鞍馬「…………」
432 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/20(土) 23:57:08.44 ID:eMd80BXA0
「…………」ニヤァ
433 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/20(土) 23:57:48.40 ID:eMd80BXA0
本日はここまで。
1週間以内にまた更新したいと思います。
434 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/27(土) 22:51:52.91 ID:M/GxFkzA0
【中央の島】
御影「はぁ、はぁ……」
飛び出しちゃったけど……これからどうしよう。
兄さんを狙う誰かを何とかしたい、だけど鞍馬の言う通り私に荒事なんて出来るわけがない。
御影「……」
だったら、せめて調べるしかない。
私はこの身体以外は普通にも満たないけど……
それでも……!
ガコン!
御影「えっ?」
なに、この音。
音のする方に向かって歩いていくと……今まで何もなかった場所に新しい通路があった。
御影「これ……」
兵頭「ふふっ、きっと今回の学級裁判を生き延びた成果……といったところですね」
御影「っ!?」
兵頭「あら、驚かせてしまいましたか?」
いつの間にか私の後ろにいた兵頭は、相変わらず人を食ったような笑顔。
御影「あんた、こんなとこで何してんの」
もしかして兵頭が兄さんを……
435 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/27(土) 23:11:00.49 ID:M/GxFkzA0
兵頭「私はこの先にある島を開放と同時に調べようと思いまして」
兵頭「ふふっ、学級裁判の捉え方の違いから皆さんは私を好ましく思っていないようですから」
御影「……そりゃそうでしょ」
人が死んでそれに快感覚えるなんてまともな人間じゃない。
……私みたいな身体の人間がまともな人間云々なんて語れる立場じゃないけどさ。
兵頭「御影さんこそこんな時間に何を?」
御影「……ちょっと色々あって」
兵頭「色々ですか?ふふっ、お兄さんと喧嘩でもしましたか?」
御影「はっ?なんでそうなるわけ?」
兵頭は……兄さんが怪我したのを知らない?
だけどこれが演技かも……
兵頭「だって御影さん服のボタンはかけ違えてますし、髪がボサボサですよ?そこまで心乱れてるとするならやはり赤穂さん関連かと」
……そういえば、寝て起きたところに兄さんの事があったから着の身着のままで飛び出したんだ。
御影「……」
兵頭「ふふっ、沈黙は肯定として受け取りますね」
喧嘩云々は外れだけど……兄さんの事で心乱れてるのは正解か。
兵頭「あっ、もう朝になりますね。朝日が出てきましたよ」
言われてみると、確かに周りが明るくなってきてる。
もうそんな時間なんだ……
436 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/27(土) 23:36:04.79 ID:M/GxFkzA0
兵頭「さて、御影さんはどうします?よかったら一緒に調べますか?」
御影「……」
兵頭と一緒にか……
正直変態だし、どこまで信用していいのかわからないけど……
御影「……わかった、一緒に行く」
兵頭が兄さんを襲った犯人なら、もしかしたら私でもなんとかなるかもしれないし……
危ない橋を渡らないと、わからない事だってあるはず。
兵頭「ふふっ、そうですか。それじゃあよろしくお願いしますね」
キーン、コーン、カーンコーン
モノクマ「7時です!さあ、起きた起きた!」
モノクマ「今日も張り切っていきましょー!」
ゴゴゴゴゴ
橋を塞いでいた扉が下がっていく。
次の島が、開放されたってわけか。
兵頭「さて、行きましょうか御影さん」
御影「……」
そうして私は思いもがけず、新しい島に足を踏み入れる事になった。
437 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/05/27(土) 23:41:35.75 ID:M/GxFkzA0
短いですがここまで。
これからは基本土曜日更新でいきたいと思います。
なお御影さんの才能は如月ロンパの頃からこれでした。
438 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/06/03(土) 22:53:58.93 ID:5qn5NoaA0
【第3の島・オータムアイランド】
兵頭「……」
御影「なにこれ……」
新しい島に着いた私達の目の前で紅葉がヒラヒラと揺れている。
ヒュウッ
御影「っ……」
肌寒い……これじゃあまるで秋みたいじゃない。
兵頭「ジャバウォック諸島は常夏だったはずなんですけどね。これはどういう事なんでしょうか」
御影「……わかんない」
本当になんなのこの島……
兵頭「とりあえず調べるとしましょうか……考えるのは後でも出来ますから」
兵頭は切り換えるように呟くと島の道を歩いていく。
あまりに違う島は少し不気味だったけど、今さら引き返すなんて出来なくて私もその背中を追いかけた。
439 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/06/03(土) 23:10:29.18 ID:5qn5NoaA0
【モノクマフラワー】
兵頭「……これはまた」
御影「なによ、この巨大な花……」
なんかグネグネ動いてるし、気持ち悪い……
モノクマ「危なーい!」
御影「きゃっ!」
兵頭「気色は悪いですけど危ないんですか、この花は」
モノクマ「そうだよ。なんせこのモノクマフラワーはあらゆる物を食べられる花だからね」
御影「……あらゆる物?」
モノクマ「ゴミや機械、人間までね……うぷぷ」
モノクマの言葉に寒気が走る。
人間まで食べる花……その言葉に嫌な予感が頭をよぎったから。
兵頭「つまりこの花に死体を食べさせてしまえば、死体は見つからず学級裁判は行われないと」
モノクマ「ちょっと!そんな事されたらボクの楽しみが減っちゃうじゃない!」
兵頭「私は可能性を提示したまでです」
モノクマ「そんな事したら許さないからね!やるなよ!絶対にやるなよ!」ピョーン!
兵頭「……これはフリというやつなんでしょうか?御影さんはどう思いますか?」
御影「……」ガタガタ
兵頭「どうしました?寒いんですか?」
御影「あ、あんただって気付いてるんでしょ……この島に人がいないって疑問の答えがもしかしたら」
兵頭「……この花に処理させた。それも血痕や争いがなかった様子から生きたまま眠らせて」
御影「……」
兵頭「それはこの花から連想した推測に過ぎませんよ。四方院さんの推測通り自ら姿を消したのかもしれません」
御影「……」
兵頭「……とにかく行きましょう。私も食べられるのは嫌ですから」
兵頭が差し出す手を思わず握る。
疑ってたのに頼らないといけないなんて……
兄さんの妹なのに、情けなすぎだよ私……
440 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/06/03(土) 23:24:49.16 ID:5qn5NoaA0
【電気街】
兵頭「ここは電気街ですね」
御影「……」
兵頭に手を引かれるままに連れてこられたのはピカピカ光る商店街みたいな場所。
パソコンとか携帯電話……カメラとかもある。
パソコン、携帯電話?
御影「ちょっと……もしかしたらこれで助け呼べるんじゃないの?」
兵頭「調べてみましょうか」カタカタ
御影「……どう?」
兵頭「動くには動きますけど、ネットやメールの類いは使用できないようですね」
御影「やっぱりそう上手くはいかないか……」
兵頭「ああ、でもデータファイルがありますね」カタカタ
御影「何か書いてあるわけ?」
兵頭「……暗号化されてますね。私にはサッパリです」
御影「それじゃあどうすんの」
兵頭「六山さんに見せてみましょうか。お願い出来ますか、御影さん」
御影「えっ?」
兵頭「私より御影さんの方が受け入れやすいですから」
結局パソコンを兵頭に押し付けられた……
まあ、いいけどさ。
441 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/06/03(土) 23:37:40.07 ID:5qn5NoaA0
【モーテル】
御影「……っ」
さすがに、夏の格好で秋風は冷たい……
兵頭「大丈夫ですか?とりあえずこのモーテルで一休みしましょう」
御影「……ごめん」
兵頭「いいですよ。ちょっと中に暖める何かがないか見てきますね」
モーテルの1つに入っていく兵頭……本当に、あいつがよくわかんない。
御影「ご飯作ったり、こうして気遣ってくる兵頭と学級裁判の投票であんなになる兵頭……」
どっちも同じ兵頭なのに私の中ではまるで繋がらない。
兵頭「カイロがありましたよ。少しは暖かくなると思います」
御影「……ねぇ、兵頭は未来機関に戻ったらどうすんの」
兵頭「また突然ですね……」
御影「いいから答えてよ」
兵頭「戻れませんよ」
御影「えっ?」
兵頭「私はあの味を知ってしまった。この島から出たとして日常に帰れるとは思えませんから」
御影「……」
兵頭「ふふっ、思い出すだけで身体が疼いてしまうんです。もう私は未来なんて作れません」
兵頭「出たら皆さんとはお別れでしょうね」
御影「……そう」
もしこんなコロシアイに巻き込まれなかったら……兵頭は日常に帰れたの?
そんな言葉を、私は口には出せなかった。
442 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/06/03(土) 23:48:33.68 ID:5qn5NoaA0
【発電所】
御影「デカッ……」
兵頭「火力、水力、風力……あらゆる方法で電気を作り出しているようですね」
兵頭が見ているパネルみたいなのを横から見る。
兵頭「どうやらこの発電所でジャバウォック諸島全ての電力を賄っているようですね」
御影「そりゃ、ここまで大きくなるわけだ」
兵頭「中には入れないようですが……おや?」
御影「どうしたの」
兵頭「金網につけられた扉にパスワード入力装置がありますね……ふむ」
御影「パスワード……わかるわけ?」
兵頭「残念ながら。モノクマだってそうそうバレるようにはしていませんでしょうし」
御影「止められでもしたら大惨事だしね……」
兵頭「一応後で調べてみましょう。もしかしたらヒントがあるかもしれませんから」
443 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/06/03(土) 23:55:11.66 ID:5qn5NoaA0
【病院】
御影「……!」
病院……だったら傷薬とかあるはず!
薬の臭いは好きじゃないけどそんな事言ってらんない!
兵頭「御影さん、走ると危ないですよ!」
【病院内】
御影「傷薬、傷薬……」
兵頭「傷薬……誰か怪我したんですか?」
御影「……」
兵頭「なるほど、ようやく御影さんがあんなに心乱れてた理由がわかりましたよ」
御影「あった!」
兵頭「ふふっ、そうなると早く帰った方がいいですね。お兄さんのためにも」
御影「っ……ちょっとそういう事……」
444 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/06/03(土) 23:55:59.28 ID:5qn5NoaA0
ガッ!
兵頭「っ!」ドサッ
御影「……えっ」
445 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/06/04(日) 00:03:36.75 ID:ZSjfbGPA0
兵頭「うっ……」
えっ、なに、なんで兵頭倒れてんの?
なんで兵頭、頭から血流して……
御影「ちょっと兵頭!」
兵頭「御影さん、逃げ……」
御影「逃げるってなに……」
兵頭に気をとられて私は気付かなかった。
廊下にいた兵頭の近くに今まさに何かを振り上げる誰かがいたなんて……
ガッ!
御影「うっ!?」ドサッ
っ、誰かに、殴られ……
いったい、誰が……
「……」
御影「誰、っ……あん、た……」
「……」ブンッ!
ガッ!
御影「兄、さん……」ガクッ
「…………」
446 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/06/04(日) 00:07:36.80 ID:ZSjfbGPA0
今回はここまでで。
447 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/06/10(土) 22:58:57.39 ID:EG7Ou81A0
【赤穂のコテージ】
赤穂「うっ……」
如月「目が覚めましたか」
赤穂「如月、さん?なんでここに……」
如月「その説明の前に何があったか覚えていますか?」
赤穂「何って……」
俺は確か夜中に外に出て、射撃練習場で土橋に会って……
それで…………
赤穂「そうだ、俺は……っ!?」
如月「無茶はしない方がいいですよ。あなたは撃たれたんです、遠見さんが治療したとはいえ安静にしていないと」
赤穂「つ、土橋は……!あいつは無事なんですか!?」
如月「……えぇ、彼女は無事です。本当はあなたが目覚めるまでいるつもりだったようですが、精神的疲労もあるからとコテージに戻ってもらいました」
赤穂「そうですか……」
土橋は無事なのか……よかった……
如月「……ところで赤穂さん、あなたを撃ったのは誰かわかりますか?」
赤穂「いえ、俺が見たのは腕だけで……それも暗かったから誰のかまでは」
如月「ふむ……わかりました。佐場木さん達が犯人を探すつもりのようですからあなたは安静に……」
448 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/06/10(土) 22:59:37.08 ID:EG7Ou81A0
モノクマ「そんな呑気な事言ってていいのかなー?」
449 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/06/10(土) 23:06:49.46 ID:EG7Ou81A0
赤穂「モノクマ……!?」
如月「何か用ですかモノクマ」
モノクマ「ちょっとボクとしても困る事が起きてね。二人に伝えに来たんだよ」
赤穂「困る事だって……」
モノクマが困るのは歓迎したいぐらいだけど、わざわざ俺と如月さんに伝えに来たってどういう事だ?
モノクマ「赤穂クン、妹さんは可愛い?」
赤穂「はっ?」
モノクマ「うぷぷ……もし可愛いなら大変だね」
モノクマ「御影さん、このままだと殺されるよ?」
赤穂「なっ!?」
如月「……!」
450 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/06/10(土) 23:21:12.26 ID:EG7Ou81A0
赤穂「どういう事だ!詳しく話せ……つうっ!」
如月「御影さんが殺されそうだと……しかしそれをあなたが伝えに来る目的はなんですか?」
モノクマ「困る事って言ったでしょ?このまま御影さん達が死んだらお楽しみがお預けになっちゃうんだよね!」
如月「お楽しみ……いえ、それより御影さん【達】ということは危ないのは彼女だけではないんですね?」
モノクマ「うぷぷ、とにかく伝えたからね。止められるなら止めといてよ、せっかくのコロシアイなんだからさ!」
赤穂「っ……牡丹!」
早く助けに行かないと……!
如月「赤穂さん、気持ちはわかりますが落ち着いてください。あなただって怪我をしているんですよ」
赤穂「でも……!」
如月「ここは僕が行ってきます。必ず御影さんは助けますから」
赤穂「……」
如月「いいですか、絶対にコテージにいてください」
バタンッ
赤穂「……」
コテージにいろ、か。
赤穂「そんなの、はいそうですかなんて聞けるわけないだろ……!」
牡丹は俺の妹なんだ。
妹が危ないのに、コテージに籠ってなんていられるか……!
451 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/06/10(土) 23:44:45.04 ID:EG7Ou81A0
【中央の島】
赤穂「モノクマのお楽しみは、きっと学級裁判の事だ……」
つまり牡丹は今殺されそうで、なおかつ学級裁判が起きない状態にある……!
赤穂「それはきっと、死体が見つからないって事だ」
死体が3人以上に見つからないと捜査が、ひいては学級裁判が始まらない。
犯人はそれを狙ってるはず……
赤穂「どうすればそんな事が出来るんだ……」
可能性としては、生きたまま海に流されてるか……
いや、だけど海に流されたならいくら如月さんでも助けるのは不可能だ。
赤穂「じゃあ他に方法があるのか……だけど今まで見た中でそんな事が出来る施設なんて……んっ?」
新しい島が……まさかここか!
赤穂「違ってたらもう間に合わない……だけど可能性が一番高いのはここだ……!」
牡丹、ここにいてくれよ……!
452 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/06/11(日) 00:07:51.56 ID:eO91joDA0
【第3の島・オータムアイランド】
「はあああっ!」
赤穂「っ、これは如月さんの声……!」
間違いない、牡丹はここにいる……!
【モノクマフラワー】
赤穂「牡丹!」
如月さんの声を頼りに進むと、あのコロシアイ学園生活でも見たモノクマフラワーがグネグネと動いていた。
その根元には、倒れてる牡丹と兵頭。
そして2人に向かって伸びる触手を蹴散らす如月さんがいた。
如月「さすがに2人守りながらの離脱は難しいですか……!」
赤穂「っ!」
如月さんは触手の相手で精一杯か……だったら俺がやるしかない!
ヒュッ!
赤穂「なっ!?」
モノクマフラワーに向かって歩き出した瞬間、俺の杖が触手に弾き飛ばされて、支えをなくした俺はその場に倒れてしまう。
赤穂「くっ……!」
腹から何かが流れた感覚。
傷口から、また血が……だけど構ってられるか!
赤穂「くそっ……」
腕と片足の力で這うように進む。
だけどそんな俺を嘲笑うかのように、牡丹が触手に捕まって、持ち上げられた。
如月「しまった!くっ……そんなに餌を奪われたくありませんか!」
勢いづいたのか兵頭にも群がる触手を如月さんが相手する間に、牡丹はどんどん口の部分に連れていかれて。
赤穂「くそっ!くそっ!動け、こんな時ぐらい動けよ!」
妹が目の前で喰われそうになってるのに、なんで俺は倒れて這ってるんだ!?
如月さんみたいに戦えとは言わないから、せめて普通に立てよ赤穂政城!
ヒーローなんだろ、だったら火事場の馬鹿力でもなんでも出して立ち上がれよ!
立って牡丹を助けろよ、兄貴だろ俺は……!
赤穂「やめろっ……牡丹を返せよっ……!」
赤穂「やめろぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
俺の叫びもむなしく、牡丹の身体は花の中に運ばれ…………
453 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/06/11(日) 00:08:58.76 ID:eO91joDA0
道掛「牡丹ちゃんを離せよ!このデカブツ!」
454 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/06/11(日) 00:29:51.50 ID:eO91joDA0
その瞬間、何かが俺の上を飛んで触手の上に乗った。
そのまま触手を器用に昇ると、牡丹の身体を奪って降りてくる。
ようやく認識できたそれは自転車。
道掛が自転車で触手を走って、牡丹を助けたんだ。
道掛「如月、牡丹ちゃんは助けたぜ!お前も早く千ちゃんを!」
如月「わかりました!」
道掛が自転車で走っていくのを追いかけるように、如月さんも兵頭を抱えてモノクマフラワーから離れていく。
どうやら2人は俺に気付いてなかったみたいだ。
あれだけ叫んでも、俺はその声すら届かなかった。
赤穂「……」
俺は妹を助けるどころか。
赤穂「はっ、ははっ……」
目の前で死にそうな妹をただ見ていることしか出来なかった。
赤穂「……」
飛んだ杖を拾って、立ち上がる。
腹から滲んだ血が地面を赤く濡らしてるのに、何も感じない。
モノクマフラワーも興味をなくしたみたいに、俺に襲いかかったりはしてこなかった。
赤穂「……」
何がヒーローだよ。
赤穂「俺は……」
妹を守れない、ヒーロー、そして兄失格の大馬鹿野郎だ。
例えようもない虚脱感を胸に、俺はその場を後にした。
455 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/06/11(日) 00:30:52.43 ID:eO91joDA0
本日はここまでで。
456 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/06/17(土) 23:59:31.45 ID:Ty3sNzhA0
今日は無理なので明日にずらします。
457 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/06/18(日) 22:13:32.94 ID:3OeVvG3A0
【病院】
赤穂「……」
あれから俺はマップを頼りに病院にやってきた。
殺されかけたなら、コテージに連れていくよりここに来るはずだから。
如月「……赤穂さん、コテージにいてくださいとお願いしたはずですが」
病院のロビーにいた如月さんにそんな事を言われたけど、正直今の俺はその言葉に何かを返す余裕もない。
如月「その血……傷口が開いていますね。今包帯を」
赤穂「牡丹は」
如月「……」
赤穂「牡丹は無事なんですか」
如月「頭を殴られたようですが、命に別状はないようです。今は病室で寝ていますよ」
赤穂「……」
如月「……何かありましたか?どうも、コテージで別れた時とは様子が違いますが」
赤穂「……ちょっと」
言えない、妹を助けようとして何も出来なかったなんて。
その事で牡丹に謝りたいだなんて、言えるわけなかった。
458 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/06/18(日) 22:23:42.19 ID:3OeVvG3A0
道掛「おっ、赤穂も来たのか!ってどうしたんだよその血!?」
赤穂「道掛……」
如月「赤穂さん?」
俺は道掛に近寄るとその肩を掴む。
道掛には絶対に言わなきゃいけない事があるんだ。
道掛「待っ、赤穂なんか怖えって!?誤解だ、俺は牡丹ちゃんに何もしてな……」
赤穂「ありがとう道掛……」
道掛「はっ?」
赤穂「牡丹を助けてくれてありがとう……」
道掛「あー……如月、話したのかよ。別に話さなくていいって言ったのに」
如月「……」
道掛「如月?」
如月「そうですか。あなたは……」
赤穂「ありがとう、ありがとう……!」
道掛「……?」
459 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/06/18(日) 22:47:06.77 ID:3OeVvG3A0
道掛にお礼を言っている内に、他のみんなも駆けつけてきた。
俺は遠見と土橋に大目玉を喰らって、治療と説教を同時に受ける事になる。
そして……牡丹と兵頭が目を覚ましたのはそんな説教が終わった頃だった。
【御影と兵頭の病室】
佐場木「早速で悪いが話を聞かせてもらうぞ。何があった?」
兵頭「私達はこの島を調査していて、最後にこの病院に来ました」
兵頭「そこで御影さんが傷薬を探し始めまして、私はそれを見ていたんです」
兵頭「そして御影さんが傷薬を見つけた直後に……私は衝撃を受けて倒れたんです」
御影「……私がそれを見て兵頭に駆け寄ったら、物陰から誰かにいきなり殴られたんだよ」
佐場木「そしてモノクマフラワーの側に運ばれたわけか」
遠見「佐場木殿、これはおそらく」
佐場木「間違いないだろうな」
赤穂「……」
なんだ、佐場木と遠見が何か目配せしてるぞ……
460 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/06/18(日) 23:03:44.39 ID:3OeVvG3A0
六山「2人は何か知ってるの?」
佐場木「それについては後だ。とにかく今回の件についてだ」
遠見「犯人は御影殿と兵頭殿をモノクマフラワーに補食させ死体を消すつもりだったようでありますな」
土橋「それだけじゃないよ!2人を襲ったのって、政城を撃ったのと同じ奴でしょ!?」
赤穂「……多分な」
苗木「じゃあ犯人はこの短い間に3人も殺すつもりだったって事!?」
如月「いえ、それ以上だと思います。モノクマフラワーに補食させた場合、死体が見つからない事から学級裁判は行われないようなので」
道掛「はあっ!?そんなのアリかよ!?」
佐場木「学級裁判を行わずして俺達を消す。どうやらよほど俺達に死んでほしい存在がいるようだ」
ジェニー「えとえと、シリアルキラーて事です?」
道掛「そんなの相手にどうしたらいいんだよ……このまま黙って皆殺しなんて冗談じゃ……!」
モノクマ「そうだね!そんなのつまんないよね!」
461 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/06/18(日) 23:24:06.34 ID:3OeVvG3A0
道掛「うおわあっ!?」
鞍馬「出ましたね」
モノクマ「いやいや、本当に今回は困ったね」
モノクマ「危うく学級裁判のセットとかおしおきの装置とかが無駄になっちゃう所だったよ!」
如月「……そんな戯れ言を言いに来たんですか」
モノクマ「もちろんそれだけじゃないよ!本題はここから!」
モノクマ「今回の件を受けて、ボクは新しいルールをここに追加します!」
ピピッ!
【同一のクロが殺せるのは2人までとします】
佐場木「皆殺し防止のルールか」
モノクマ「そういう事!2人までは良しとするけどそれ以上殺したらおしおきしちゃうよ!」
モノクマ「うぷぷ、これで健全にコロシアイが出来るね!」
遠見「コロシアイに健全も何もないであります……」
六山「まあ、皆殺しがなくなっただけよしとするしかないよ……あっ、レベル上がった」
皆殺しか……
モノクマがわざわざ新しいルールを追加したなら黒幕以外にそれを企んでる人間がいるって事なんだよな……
462 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/07/01(土) 23:23:20.00 ID:tizB6cfA0
佐場木「……おい、ところで津浦は来ていないのか」
土橋「あっ、そういえば……」
見回してみると、確かに津浦の姿が見えない。
グレゴリーの事もある、また引きこもってても不思議じゃないけど……
遠見「コテージにいるのでありましょうか……見てくるであります」
苗木「津浦さん、大丈夫なのかな」
兵頭「支えになっていたグレゴリーさんがクロになったんです。何があってもおかしくありませんね」
ジェニー「何かて……」
六山「後追い、とか?」
道掛「じ、自殺って事かよ!?」
御影「……!」
佐場木「落ち着け、まだそうと決まったわけじゃない」
赤穂「それはそうだけどな……」
佐場木「とにかく遠見を待て。それより赤穂、貴様そんな傷で何をしている」
赤穂「えっ?」
土橋「そうだ、そうだよ!政城も怪我してるんだから安静にしてなきゃ!」
如月「ここは病院ですから、しばらくここでゆっくりしてもらうのはどうでしょう」
土橋「そうだね!それじゃあ空いてる病室に行こう政城!」
赤穂「ま、待て、押さないで……!」
結局俺は土橋に背中を押されて、病室を後にした。
まだ牡丹に謝ってないのに……
463 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/07/01(土) 23:55:17.72 ID:tizB6cfA0
【赤穂の病室】
赤穂「お、おい土橋!俺は大丈夫だからそんな大袈裟な……」
病室に連れてこられた俺はベッドに半ば無理やり寝かされていた。
土橋は何を言っても無視して、色々してるけど……
赤穂「なあ、本当に俺は大丈夫だって。だからそこまでしなくても……」
土橋「……」
赤穂「土橋?」
土橋「だって、アタシのせいだから」
赤穂「はっ?」
土橋「政城はアタシを庇って怪我したんだよ。だからアタシは……」
赤穂「……」
土橋「出来る事は何でもしてあげたいの。政城を傷つけたお詫びと……」
振り返った土橋の目には涙が浮かんでいて、その表情は色んな感情が混ざった顔で。
土橋「政城に助けられた感謝の気持ちをこめて、さ」
赤穂「……」
その時俺は改めて実感した。
俺は誰かを助けられたんだと。
牡丹を助けられなかったこんな俺でも、土橋を助ける事は出来たんだと。
赤穂「土橋……」
土橋「あっ、そうだ、ねぇ、政城……」
赤穂「ありがとうな」
土橋「えっ?それ、アタシの台詞……」
牡丹を助けられなかった事は、俺にとってやっぱり強い凝りを残している。
だけど何も出来なかったわけじゃない。
それを気付かせてくれて……本当にありがとう。
464 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/07/01(土) 23:55:45.61 ID:tizB6cfA0
短いですが今日はここまで。
465 :
◆DXWxLR/SkYo1
[sage]:2017/07/08(土) 23:08:17.25 ID:e2vOJOwA0
明日更新したいと思います。
466 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/07/29(土) 23:20:13.72 ID:sHOvjTkA0
申し訳ありません、リアルで諸々あって更新が出来る状態にありませんでした。
8月からまた再開します。
そして以前に5作目まで考えていると話しましたが、今回、そして5作目が終わったら番外1つ色々一新しての話4つを行いたいと考えています(才能と名前は既に用意済)
その全てが終わるのはいつになるかはわかりませんが、言った以上はやりとげたいと思います。
そのためにまずこのクエストを頑張って終わらせます。
遅い更新ですがお付き合いいただければ幸いです。
それではまた。
467 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/08/18(金) 23:55:00.80 ID:1VMH2gYA0
ドタバタ
土橋「あれ、なんか騒がしくない?」
赤穂「まさかまた何かあったのか……!」
「なんだと!それで――」
「それが――」
土橋「ちょっと何があったのか聞いてくる。政城は安静にしてて!」
赤穂「あ、ああ」
土橋が廊下に出て、佐場木や遠見と話してるのが微かに聞こえてくる。
遠見が戻ってきたって事は……津浦に関する事だよな?
くそっ、せめて動けたら……!
ガチャッ
土橋「……」
赤穂「土橋、佐場木と遠見はなんて……」
土橋「こ、琴羽が……」
土橋「いなくなったって……」
赤穂「……!?」
468 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/08/19(土) 00:43:24.68 ID:IdIX1z7A0
佐場木が津浦について話したいと男子全員を俺の病室に集めた。
女子には遠見から話をするらしい……
道掛「琴羽ちゃんがいなくなったってマジかよ佐場木!」
佐場木「事実だ。遠見からの報告によればな」
苗木「でもコテージにいないだけなら、他の島に行ってるとかじゃないの?」
佐場木「コテージに血痕があったそうだ」
赤穂「なっ、血痕……?」
如月「なるほど……それはただ事ではありませんね」
佐場木「何があったにしろ今現在津浦は負傷している可能性が高い。この後数人津浦の捜索に付き合ってもらうぞ」
道掛「おっしゃ、まかせとけ!」
苗木「うん……心配だな津浦さん……」
鞍馬「……」
佐場木「どこに行く鞍馬」
鞍馬「話す必要性を感じませんね」
バタンッ
赤穂「鞍馬……」
佐場木「ちっ、仕方がない……道掛と苗木は俺と来い」
如月「僕も参加しなくていいんでしょうか?」
佐場木「貴様は当初の予定通り赤穂の警護をしておけ。問題は津浦の行方だけじゃないんだからな」
赤穂「……」
牡丹と兵頭を襲った犯人の事か……
如月「……そうですね、わかりました」
佐場木「行くぞ」
佐場木が道掛、苗木と病室を出ていく。
津浦、お前は今何をしてるんだ……
469 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/08/19(土) 01:00:01.45 ID:IdIX1z7A0
赤穂「……」
如月「……さて、2人ですから聞いておきましょう」
如月「赤穂さん、あなたは兵頭さんと御影さんがユートピアフラワーに襲われていたあの場にいましたね?」
赤穂「……」
如月「道掛さんが御影さんを助けた事を知る理由は他にありません。そうなんでしょう?」
赤穂「……はい」
如月「やっぱりですか……あなたも無茶をしますね」
赤穂「無茶をして……結局助けられませんでした」
如月「……結果的には助かったんです、思い詰めるのはオススメしません」
赤穂「だけど」
如月「それに、赤穂さんが御影さんが心配で動いてしまった気持ちは僕にもわかります。僕にも妹がいましたからね」
赤穂「……如月さんにも?」
如月「えぇ、もし同じ状況だったら……いえ、もしじゃなく実際同じ事をしました」
赤穂「……」
同じ事を、実際した?
如月「最も、僕は間に合いませんでしたが」
赤穂「それって……」
470 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/08/19(土) 01:08:23.06 ID:IdIX1z7A0
ブツンッ
471 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/08/19(土) 01:18:16.64 ID:IdIX1z7A0
赤穂「っ!?」
如月「これは……停電ですか?」
停電……それはあの時の事を思い出させる。
この島に来て最初の殺人、静音が殺されたあの時の事を……
「きゃあああああっ!」
「落ち着いて、これはきっと一時的な物でありますから!」
赤穂「っ……!」
誰かの悲鳴とそれをなだめる遠見の声が聞こえてくる。
やっぱり暗闇には思うところがあるって事か……
如月「しかしなぜ急に……佐場木さん達はどうしているんでしょうか」
赤穂「とにかく、カーテンを開けて日を入れましょう!今はまだ昼だから外は……」
閉じられたカーテンを急いで開ける。
すると日光が暗い部屋を……
日光が……
日光……
…………なんでだ?
なんでカーテンを開けても、暗いままなんだよ!?
472 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/08/19(土) 01:34:03.91 ID:IdIX1z7A0
佐場木「おい、全員無事か!」
道掛「なんだよこれ、何がどうなってんだ!」
赤穂「佐場木!道掛!外が暗いけどどうなってるんだ!?」
苗木「そ、外も急に暗くなったんだよ!月明かりもないし、本当に真っ暗で何がなんだか……」
佐場木「さらにもう1つ異常事態が発生した」
如月「異常事態?」
道掛「中央の島に繋がる橋が、なくなってんだよ!」
赤穂「な、なんだって……」
佐場木「どうやら俺達は……閉じ込められたらしいぞ」
佐場木「この、明かりのない島にな」
モノクマ「そのとーり!」
赤穂「モノクマ!これはなんなんだ!」
モノクマ「うぷぷ……どうもこのままだと早々にまた事件が起きそうだから後押しをね」
モノクマ「今回の動機はこの暗闇の島!」
モノクマ「暗闇は怖いからね、人によっては発狂しちゃうかもしれないし……」
モノクマ「オマエラみたいな虚弱にはキツいよね……」
モノクマ「それならコロシアイだよ!コロシアイをすればまた光がオマエラを照らしてくれるよ!」
モノクマ「ああ、もしくはボクが飽きるまで耐えたらやめてあげてもいいかもね!」
モノクマ「それじゃあ頑張ってね!暗い暗いこの島で……あーはっはっはっは!」
赤穂「……」
まだ、昨日学級裁判があったばかりで……みんなもかなりキツい。
そんな中で、俺達は耐えないといけないのか……?
この、不安を掻き立てる暗闇を……!
473 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/08/19(土) 01:35:21.32 ID:IdIX1z7A0
続きはまた今夜に。
474 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/08/19(土) 23:51:27.71 ID:IdIX1z7A0
パッ
赤穂「っ!」
これは明かり……
遠見「皆さん、大丈夫でありますか?」
佐場木「遠見か。その懐中電灯はどうした」
遠見「調査のために用意していた物であります。しかしまさかこんな事になるとは」
道掛「これからどうすんだ?これじゃあ琴羽ちゃん探すどころか歩くのも一苦労だぞ」
苗木「そもそも津浦さんが他の島にいたらどうしようもないよ……」
赤穂「……いや、津浦はこの島にいるんじゃないか?」
佐場木「なぜそう思う」
赤穂「モノクマのやり方を考えると、今津浦だけが安全圏にいるっていうのはないんじゃないか?」
如月「ふむ……津浦さんが他の島にいて亡くなっていた場合、それは事故、自殺以外の結論が出ません」
如月「あのモノクマがそんな学級裁判を望むとは思えませんね」
遠見「結論として、津浦殿はこの島にいる可能性が高いわけでありますか……」
佐場木「それならば見つける手間もあまりかからないか……遠見、予定を変更して俺とお前で捜索するぞ」
遠見「了解であります!」
佐場木「道掛と苗木はここに待機だ。何が起こるかわからない以上、気を抜くなよ」
ガチャッ
バタンッ
475 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/08/19(土) 23:59:15.28 ID:IdIX1z7A0
苗木「……本当、大変な事になっちゃったね」
道掛「とりあえず女子が大丈夫か確かめにいこうぜ!怖がってるかもしれないしな!」
赤穂「そうだな……俺は動けないから、牡丹の様子を見てきてくれるか?」
道掛「……お、おう。わかった、行ってくる」
苗木「あっ、ボクも行くよ」
バタンッ
なんだ?なんか変な空気になってなかったか……
如月「不思議なんですよ。赤穂さんから道掛さんに御影さんの事を頼むというのが」
赤穂「……そういう事ですか」
確かに、前までなら絶対邪魔してただろうな……
赤穂「……」
もう、そんな事言ってられなくなったからな……
476 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/08/19(土) 23:59:44.29 ID:IdIX1z7A0
今回はここまで。
477 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/09/09(土) 22:17:29.79 ID:2dNRUQTA0
※※※※
御影「……」
いきなり暗くなった島……モノクマはこれが次の動機だって言ってたね。
兵頭「まいりましたね。まさかこんな事になるとは」
ジェニー「ぐすっ、暗いのやです……」
土橋「大丈夫、大丈夫だよジェニー。こんなのいつまでも続くわけないんだから……」
六山「うーん……充電は出来るから本当に明かりだけなくしたんだね」
六山が持ってたゲーム機の明かりが辺りを照らす。
これがなかったら、私達は真っ暗な中にいてもっとパニックになってただろうね……
御影「……」ブルッ
正直私も暗いのは苦手……あの薄暗い研究施設を思い出すから。
布団を被って、何とか誤魔化してるけど、さっきから震えが止まらない。
そもそも病院ってだけだってキツいのに……
御影「……」カタカタ
こんな時兄さんがいてくれたら……
478 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/09/09(土) 23:03:34.46 ID:2dNRUQTA0
道掛「おーい、大丈夫かー?」
ジェニー「ソウヤ?」
苗木「ボクもいるよジェニーさん」
六山「どうしたの?津浦さんを探しに行くって言ってなかった?」
道掛「佐場木がメメちゃんと行くからって留守番。で、様子を見に来たってわけ」
兵頭「それでは今隣は如月さんと鞍馬さんと赤穂さんというわけですか。話している姿が想像出来ませんね」
苗木「いや、鞍馬クンはどこか行っちゃって……」
土橋「そうなの!?いくらなんでも自由過ぎじゃない……」
御影「……」
兄さんはやっぱり来れないか……仕方ないよね。
道掛「あー、そういや牡丹ちゃん大丈夫か?」
ジェニー「ボタンですか?」
道掛「赤穂が牡丹ちゃんの様子を見てきてくれって言ってたんだよ」
御影「……!」
兵頭「あらあら、やはり兄妹という事でしょうか?御影さん」
御影「……何が言いたいのさ」
兵頭「いえいえ、何でもありませんよ」
苗木「あはは、大丈夫そうだね。赤穂クン、本当に心配してたからよかったよ」
御影「……」
これだけで震えが止まるって……私、どれだけ単純なんだか。
479 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/09/09(土) 23:23:14.97 ID:2dNRUQTA0
※※※※
赤穂「……」
如月「……」
会話がない……さっきの如月さんの話の途中で停電が起きたからか?
なんか重い話だったみたいだし、今さら俺から聞くわけにもな……
如月「そういえば、話の途中でしたね」
赤穂「……いいんですか。あまり楽しい話じゃなかったみたいですけど」
如月「いえ、これも何かの縁でしょうからあなたには聞いてほしいですね赤穂さん」
赤穂「……わかりました」
480 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/09/09(土) 23:42:27.04 ID:2dNRUQTA0
如月「僕に妹がいた話はしましたね、僕は間に合わなかったという事も」
如月「僕と妹は両親に捨てられ、教会の孤児院で育ちました」
如月「院長先生は寡黙な方でしたが、僕達をとても可愛がってくれて」
如月「院長先生の養子になっていたのは妹と同い年だった女の子だけでしたが、それを不満に思う事もありませんでした」
如月「あの頃は本当に幸せでしたね」
如月「その歯車が狂いだしたのはいつ頃だったか……ああ、やはり妹の体質がわかったあの日ですね」
赤穂「体質?」
如月「……妹は病気でした。それも生きているのが不思議なほど重い病」
如月「ですが妹は普通に過ごしていたんですよ。まるで病気なんてないかのように」
赤穂「そんな事が……」
如月「それがわかった時、妹は奇跡の少女だと言われていました。ですが……」
如月「その後を考えれば、あんなもの奇跡どころか呪いでしたよ」
481 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/09/09(土) 23:59:26.64 ID:2dNRUQTA0
如月「あの日、妹を引き取りたいという男が教会を訪ねてきました」
如月「院長先生とその男が話し合って、妹は引き取られる事になりました」
如月「院長先生はその男は医者だから、病気を治してくれるだろうと言っていましたけど……僕はその男が妹を見るその目がどうしても気になってしまいました」
如月「まるで動物を見るようなあの目が」
如月「だから、僕は院長先生の部屋からあの男の名刺を持ち出して、その男が住む家……いえ、研究施設に着いて、見てしまったんです」
如月「……あまり愉快な話ではないので結論だけ言います」
如月「妹は生きたまま解剖されてました」
如月「あの男はただ妹の体質を調べるためだけに」
如月「あの子が泣き叫ぶのも聞き入れず、バラバラにしたんですよ」
如月「僕は飛び込みました。妹を助けるために、もう妹は動いてなかったのに」
如月「……大人と子供の差か、僕はあっさりと負けました。そして妹の代わりになるかもしれないと実験台にされかけました」
如月「僕は、偶然近くにいたよく教会に来ていた男の子の父親に助けられました」
如月「あの男が逃げて、妹の亡骸を前に泣くしか出来ない僕を連れてその人は教会に戻って」
如月「院長先生と話をしてくると言ってその人は教会に入っていきました」
如月「……今でも思い出せますよ。院長先生とあの人、当麻さんが話していたあの光景はね」
482 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/09/30(土) 23:44:28.05 ID:CtFlroGA0
【如月回想】
「神乃木、聞きたい事がある」
「いきなり来たかと思えばなんだ、当麻」
「お前はあの男がマッドサイエンティストだと知っていながらあの子を引き渡したのか?」
「……」
「知っていたんだな……子供達を幸せにする、それが自分の償いであり懺悔だと俺に言ったあれは嘘だったのか!」
「嘘ではない。私は子供達の幸せを願っているさ」
「なら……」
「だからこそ、尊い犠牲は必要ではないか?」
「……なに?」
「あの子があの男に研究され、その果てに多数の命が救われる……それがどれだけ素晴らしいか、いずれあの子も理解するだろう」
「……」
「ならばきっとあの子は幸せだ。優しい子だったからな……人助けになるとわかれば死をも幸せに変えられるだろう」
「……それが、お前の本音か」
「本音も何も、私は何一つ嘘を語った覚えはないが?」
「神乃木……お前は俺の友人だ」
「ああ、私もそう思っているとも」
「だからこそ、俺はお前のその間違いを看過するわけにはいかん!」
「……間違い?」
「お前の思う幸せについてはとやかく言わない。しかし子供に押しつけるならそれは間違いだ!俺はあの子の涙を、幸せに必要な犠牲などとは認めない!」
「……」
「俺が今言えるのはそれだけだ……後で俺の家に来い。話し合う事は山ほどあるからな」
「……ああ」
如月「…………」
483 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/09/30(土) 23:58:42.08 ID:CtFlroGA0
如月「……その後でした。当麻さんが殺されたのは」
赤穂「……!」
如月「犯人は一人しかいなかった。だけど僕は何もできませんでした」
如月「法で裁こうにも証拠はなく、僕自身にはあまりにも力がなかったんです」
如月「僕は孤児院から逃げました。それからの数年はただ生きるために時間を費やしましたね」
如月「そんな日々が続いて、僕はある日、ある人物と出会いました」
如月「その人は脳神経に関してまさに天才と呼ぶにふさわしい人で……僕はその人にお願いしたんです」
如月「人間には力を使いすぎて壊れないよう、脳にリミッターがかかっています」
如月「そのリミッターを外せないかと」
如月「彼は笑って引き受けてくれました。そして手に入れたのが今の僕のこの力です」
如月「その足で僕は孤児院に向かいました、今ならあの院長にだって勝てるはずだと」
如月「ですが、僕は復讐できませんでした」
如月「院長は……病気で亡くなっていたんです」
如月「僕は目的を失いました。しかし院長はある物を残していたんです」
如月「世間の悪人に関するデータ。妹と同じような犠牲を産み、のうのうと生きている悪……僕はそれを見て、決意したんです」
如月「この力で悪を全て裁こうと。たとえこの身が血にまみれようとも正義を執行しようと」
如月「そうして僕は、ジャスティスジャッジになったんです」
484 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/09/30(土) 23:59:11.76 ID:CtFlroGA0
短いですがここまでで。
485 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/10/28(土) 23:00:51.60 ID:pKYtG+hG0
赤穂「……」
如月さんの話に俺は何を言ったらいいかわからなかった。
憧れだった如月さんのルーツ、それは妹さんの死で。
もし牡丹が同じような目に遭わされていたとしたら……俺はきっとこの人と同じ道を進んでいただろう。
如月「無論僕のしている事は人殺しです。認められない人がいる事だってわかっているし、だからこそ僕も【超高校級のヒーロー】という仮面を被っているんですから」
赤穂「……如月さん」
如月「赤穂さん、そんな僕だからこそあなたにこう言えると思います」
如月「あなたは殺す事が芯にまで染み付いた僕とは違う道、【本当のヒーロー】の道を行ける」
如月「だから僕に憧れるのも僕と比較して無力だと嘆くのもよしなさい」
如月「赤穂政城の目指すヒーローは、僕という存在とはかけ離れているんですから」
赤穂「……」
如月「……さて、そろそろ一度眠った方がいいですよ。色々あって疲れたでしょうから」
赤穂「……わかりました」
如月さんの言葉に促されるまま、俺は目を閉じる。
如月さんとは違う【本当のヒーロー】、か……
486 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/10/28(土) 23:07:30.84 ID:pKYtG+hG0
如月「あなたと僕は決定的に違う」
如月「だってあなたは失っていない」
如月「……」
如月「嫉妬なんて感情、僕には無縁と思っていたんですがね」
487 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/10/28(土) 23:19:17.91 ID:pKYtG+hG0
【11日目】
赤穂「……ん」
今、何時だ……
道掛「おっ、起きたか」
赤穂「道掛?如月さんは……」
道掛「如月なら今、仮眠とってるぜ。結局1日眠らずに番してたみたいだからな」
赤穂「……1日?」
道掛「おう、今日はえーっと、この島来てから11日目だな。さっき百夏ちゃんのゲーム機に映ってた時間は9時だったぜ」
赤穂「放送はなかったのか?」
道掛「いや、あったぞ。赤穂、よっぽど疲れてたんじゃねえの?」
赤穂「そうか……眠ってた間に何かあったか?」
道掛「牡丹ちゃんと千ちゃんが一応歩けるようになったのと……琴羽ちゃんが見つかった事だな」
赤穂「津浦が!?それで、津浦は今……」
道掛「いや、それがな……」
バンッ!
488 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/10/28(土) 23:23:04.93 ID:pKYtG+hG0
「フハハハハッ!目覚めたか聖痕抱きし英雄よ!!」
489 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2017/10/28(土) 23:38:50.23 ID:pKYtG+hG0
赤穂「っ!?」
俺はその言葉に耳を疑った。
「ふむ、さらに聖痕が刻まれたようだな……しかしそれもまた英雄たる証!誇るがいい!」
それは四方院さんを殺して処刑されたはずのグレゴリーのような口調。
「漆黒の闇とは絶望の化身も考えたものよ……だがしかし!希望の種たる我ら、このような闇払ってみせようではないか!」
だけど声は紛れもなく、津浦のもので。
……俺はこの時ほど、暗闇に目が慣れた事が嫌になった事はない。
津浦「フハハハハッ!!」
そうじゃなければ、仮面とマントを着けてその仮面の下から血を流す津浦を、はっきり認識せずに済んだんだから。
766.82 KB
Speed:0.2
[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
VIPService!]
↑
VIP Service
SS速報VIP
更新
専用ブラウザ
検索
全部
前100
次100
最新50
続きを読む
名前:
E-mail
(省略可)
:
書き込み後にスレをトップに移動しません
特殊変換を無効
本文を赤くします
本文を蒼くします
本文をピンクにします
本文を緑にします
本文を紫にします
256ビットSSL暗号化送信っぽいです
最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!
(http://fsmから始まる
ひらめアップローダ
からの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)
スポンサードリンク
Check
Tweet
荒巻@中の人 ★
VIP(Powered By VIP Service)
read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By
http://www.toshinari.net/
@Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)