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【ダンロン】ダンガンロンパ・クエスト【オリキャラ】
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234 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/09/25(日) 23:35:17.94 ID:KAIXdCFA0
薄井「アネキは今未来機関にいる」
薄井「そのアネキに何かあったかもしれねえ……」
薄井「オレはどうしても外に行かなきゃならねえんだ!」
グレゴリー「だから鎮魂の指揮者……いや、我ら全てを抹殺せんとしたか」
苗木「だけどなんで静音さんを……」
薄井「……どうせ全員殺すんだ。やりやすいのを狙っただけだよ」
四方院「っ……そんな理由で凪を!わたくしの大切なあの子を奪ったと言うんですの!?」
道掛「お、落ち着けよ奏ちゃん!」
四方院「離してください!あなたは、あなたはわたくしが殺します!わたくしがっ……わたくしがぁ……!」
如月「薄井さん」
薄井「……んだよ。説教でもすんのかヒーロー」
如月「……」
赤穂「如月さん……」
辛いよな……薄井は如月さんにとって――
235 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/09/25(日) 23:36:44.51 ID:KAIXdCFA0
グシャ
236 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/09/25(日) 23:59:46.66 ID:KAIXdCFA0
赤穂「えっ」
薄井「うぐああああっ!?」
なんだ、今の。
如月「……」
如月さんが、薄井の手を握り潰した……?
薄井「グッ、オマエ、なんの……!?」
如月「悪を裁いてるだけですが?」
佐場木「っ、遠見!奴を止めろ!」
遠見「り、了解であります!」
如月「邪魔はしないでいただきたい。僕は悪以外を殺すつもりはないので」
佐場木「如月怜輝……貴様やはり【ジャスティスジャッジ】か!」
ジェニー「【ジャスティスジャッジ】……?」
津浦「世界各国の犯罪者を凄惨なやり方で殺害する……【キラーキラー】【ジェノサイダー翔】と並んで有名な殺人鬼です」
如月「僕は正義の裁きを与えているだけですよ。最も最後まで執行する前に大概は死んでしまいますが」
佐場木「何が正義の裁きだ……貴様はただの殺人鬼だ!」
如月「正義はそれぞれですよ。佐場木さん」
赤穂「……」
殺人鬼……?
如月さんは、ヒーローじゃないのか?
如月「さて薄井さん。まだ執行は済んでいませんよ」
薄井「ヒーロー……テメエ……」
如月「左手ですから……次は右手てすね。そのあとは脚、背、首……最後まで耐えたら裁きは完了……っ!」
鞍馬「……」
如月「鞍馬さんなんでしょうか?まさか邪魔に入るつもりではありませんよね?」
鞍馬「……あまり好き勝手されてルール違反になられても困るので」
如月「まいりましたね……」
237 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/09/26(月) 20:13:31.72 ID:oJ2p3IRA0
御影「ちょっと兄貴っ……兄貴が憧れてたのはあんな危ない奴だったわけ!?」
赤穂「俺だって、あんな如月さん知らない……」
目の前では鞍馬が薄井に向かおうとする如月さんを食い止めている。
だけど俺にはわからない。
あの如月怜輝が、誰かを殺すためにそれを邪魔する人間を排除しようとしているなんて。
グレゴリー「くっ、なんという混沌の坩堝よ!」
苗木「み、みんな落ち着いてよ!」
六山「どうしよう……」カチカチ
薄井の呻き声と如月さんと鞍馬の戦う音だけが学級裁判場を支配する。
モノクマ「ええい、オマエラうるさーい!!」
それを止めたのはモノクマの一喝。
だけどそれは平穏を意味しなかった。
モノクマ「全くボクの仕事を奪うなんて許さないよ如月クン!」
土橋「モノクマの仕事……」
モノクマ「もちろんおしおきだよ!急がないと如月クンに薄井クンが殺されちゃうからね!」
兵頭「おしおき……」
薄井「グッ……オレはまだ死ぬわけにはいかねえ……!」
佐場木「この事件俺のミスが引き金だ……だがな薄井」
佐場木「静音だって同じように思っていただろうに勝手な事をほざくな!」
遠見「……佐場木殿」
モノクマ「うぷぷ、全くだね!まあ、どちらにしても薄井クンには何も出来ないよ」
238 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/09/26(月) 20:19:40.99 ID:oJ2p3IRA0
モノクマ「絶賛コロシアイ共同生活中のお姉さんもこんな弟を持ってかわいそうだよね!」
239 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/09/26(月) 20:37:28.33 ID:oJ2p3IRA0
薄井「なっ……」
佐場木「貴様今のはどういう意味だ!」
モノクマ「オマエラと同時期に未来機関第13支部の皆さんはただいま塔和シティにてコロシアイを始めているのです!」
モノクマ「そしてその中には……薄井千影さんもいまーす!」
薄井「アネキが、コロシアイ……」
モノクマ「うぷぷ、おとなしくなったみたいだね。それではメインイベントとまいりましょう!」
薄井「……ハッ、ハハハハッ」
モノクマ「今回は【超高校級のサイキッカー】である薄井千里クンにふさわしいスペシャルなおしおきを用意いたしました!」
薄井「……サイキッカー?」
モノクマ「それでははりきってまいりましょう!」
薄井「アネキの一大事に瞬間移動も出来ずに、人殺しを選んだオレなんざ……」
モノクマ「おしおきターイム!!」
薄井「ただの、インチキ野郎じゃねえか」
240 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/09/26(月) 20:38:48.30 ID:oJ2p3IRA0
GAME OVER
ウスイクンがクロにきまりました。
おしおきをかいしします。
241 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/09/26(月) 21:02:53.21 ID:oJ2p3IRA0
乾いたように笑う薄井の首に首輪が巻き付けられて扉の向こうに消えていく。
そしてモニターに十字架に磔にされた薄井が映し出された。
【曲げよエスパーモノクマ!】
【超高校級のサイキッカー薄井千里処刑執行】
磔にされた薄井クンの前にモノクマが現れます。
モノクマはスプーンを1本取り出すと、スプーンに向かってパワーを送ります。
集中しているモノクマの後ろにいる薄井クンが呆れ果てたような目をしていると……十字架の左腕の部分がガタガタと揺れます。
そして……その左腕の部分は薄井クンの腕ごと変な音をたてて後ろに曲がりました。
薄井クンが叫びますがそれは大音量のBGMにかき消されて。
さらにモノクマがパワーをスプーンに送ると今度は十字架の右腕部分が後ろに曲がります。
しかしスプーンは全然曲がらず……モノクマは最大パワーをスプーンに送ります。
すると十字架の腰の部分がガタガタと揺れ出します。
そして……
モノクマはスプーンを力任せに曲げると床に叩きつけてその場を後にします。
そしてその場には後頭部と踵がつくほど曲がり……口から血を吐き出した薄井クンだけが残されました。
242 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/09/26(月) 21:23:20.12 ID:oJ2p3IRA0
モノクマ「エクストリィィィィィィィィム!!」
モノクマ「いやはやシスコンを拗らせるとろくな事になりませんなぁ」
苗木「うわああああああっ!?」
津浦「こ、こんな……ひどいっ……」
グレゴリー「なんという絶望の体現か……」
六山「ちょっとこれは……落ち着くの無理かな……」カチカチ
道掛「ちくしょう……こんなのありかよ!?」
四方院「死んだ……凪に償わせられずに……わたくしは……」フラッ
土橋「奏!」
ジェニー「カナデ!しっかりしてくださいです!」
赤穂「……」
御影「兄貴……」
俺にしがみついて震える牡丹の手を俺は握り返してやれなかった。
それは俺も薄井に対する壮絶な処刑にのまれていたのか……それとも。
如月「やはりあなたは巨悪ですね……モノクマ」
あんなに親しくしようとしていた薄井が死んだのに平然としている如月さんを理解できないからなのか……
如月「別のコロシアイにも関わっているようですから……早急に裁かなければいけませんね」
モノクマ「うぷぷ!君に出来るかな殺人鬼ヒーローさん?」
如月「成し遂げますよ。僕はヒーローなんですから」
ヒーロー、ヒーローってなんなんだ?
如月さんのようにやるのがヒーローなのか?
俺には……わからない。
243 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/09/26(月) 21:30:01.29 ID:oJ2p3IRA0
兵頭「あはあっ……!」
244 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/09/26(月) 21:36:52.30 ID:oJ2p3IRA0
赤穂「えっ?」
なんだ、今の声……
兵頭「なんですか、なんなんですかこれ?」
遠見「兵頭殿、どうしたのでありますか?」
兵頭「投票は命さえ懸かる物なのは知ってるのに……」
佐場木「何を言っている……」
兵頭「生き死にを直結する投票が……こんなにも、快感だなんて……!」
兵頭「ひっ、へへっ……最っ高っですぅ……!」
土橋「人が死んだのに、なんでそんな笑ってられんの……!?」
鞍馬「……」
その場にへたりこんで息も荒く頬を染める兵頭……
その姿は今まさに人が死んだ瞬間を見た人間とは、思えなかった。
245 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/09/26(月) 21:40:50.52 ID:oJ2p3IRA0
俺達は何も出来なかった。
殺人鬼としての顔を見せた如月さん。
異常な性癖を出した兵頭。
モニターに未だ映る薄井の死体。
その空気に完全にのまれていた。
だから俺を含めた誰も気付いてなかった。
この場において呟かれた……
246 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/09/26(月) 21:43:00.62 ID:oJ2p3IRA0
「いい気味」
悪意に満ちたその言葉に。
247 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/09/26(月) 21:55:23.81 ID:oJ2p3IRA0
CHAPT.1【正義という名の××】 END
生き残りメンバー16→15人
To be continued...
248 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/09/26(月) 22:16:21.51 ID:oJ2p3IRA0
【パートナーからのタクト】を手に入れました!
【姉に渡せなかった髪留め】を手に入れました!
249 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/09/26(月) 22:48:43.43 ID:oJ2p3IRA0
CHAPT.2は明日から開始します。
250 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/09/27(火) 23:06:01.36 ID:VZ1GC/uA0
「大正解!」
モノクマ「今回の事件のクロは……赤穂政城クンでしたー!」
赤穂「ち、違う!俺はやってない!」
モノクマ「今回は【超高校級のヒーロー】にふさわしいスペシャルなおしおきを用意しました!」
赤穂「やめろ……俺は無実だ……」
モノクマ「おしおきターイム!!」
如月「赤穂さん」
赤穂「如月さ――」
如月「悪は死すべし……正義の裁きを受けなさい」
赤穂「あっ……」
グシャ
251 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/09/27(火) 23:08:21.30 ID:VZ1GC/uA0
【赤穂のコテージ】
赤穂「っ……!!」
……ゆ、夢?
赤穂「……」グッ
夢なら……このコロシアイの何もかもがそうならよかったのにな。
252 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/09/27(火) 23:13:10.14 ID:VZ1GC/uA0
CHAPT.2【糸絡まりて命絶つ】(非)日常編
253 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/09/27(火) 23:30:25.54 ID:VZ1GC/uA0
【6日目】
キーン、コーン、カーンコーン
モノクマ「7時です!さあ、起きた起きた!」
モノクマ「今日も張り切っていきましょー!」
赤穂「……」
朝……俺達は15人でこの新しい日を迎えた。
静音と薄井、2つの命を置き去りにして。
人の死に慣れてはいてもさすがにレストランに行く気にはなれなかった。
赤穂「……」
いや、もしかしたら俺が一番気にしてるのは2人の事より……
ピンポーン
赤穂「……?」
誰だ?
御影「兄貴、私。起きてる?」
赤穂「牡丹?」
御影「あっ、起きてる。待ってても来ないから、今日はこっちから来たよ」
赤穂「……」
迎えに来てくれたのか……妹に迎えに来させて閉じこもるわけには、いかないか。
254 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/09/28(水) 08:54:59.52 ID:stjxDl5A0
御影「おはよ」
赤穂「ああ……おはよう牡丹。眠れたか?」
御影「無理やり寝たよ。目覚めたら夢だったってオチなら最高だったけど」
赤穂「そうだな……」
御影「私でもこれなら……四方院はもっとキツいかもね」
赤穂「……」
御影「ちなみにさ……兄貴は大丈夫なの?」
赤穂「俺?」
御影「あの人、憧れだったんでしょ?」
如月さんの事か……
赤穂「……」
如月怜輝は俺にとって目標みたいな存在だった。
あの人の行動はたくさんの苦しんだ人を救ってきたし、この混乱した世の中において赤いマフラーのヒーロー存在にどれだけみんなが勇気付けられたか……まさにヒーローの中のヒーローってやつで。
確かに薄井がした事は人殺し……家族の事を考えていたとはいえ、静音が殺されるいわれなんてない。
だけど、だからってあんな拷問みたいなやり方は……
御影「兄貴?」
赤穂「あっ、いや……大丈夫だよ」
とにかく、如月さんの事も含めて色々考えないとな……
255 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/09/28(水) 09:16:11.03 ID:stjxDl5A0
【ホテルミライ・レストラン】
レストランにはほとんどのメンバーが既に来ていた。
最も雰囲気は暗い……あんな事があったんだから当たり前だけどな。
遠見「おはようであります!赤穂殿、御影殿!」
赤穂「おはよう遠見……んっ?」
遠見、目元が真っ赤だ……もしかして、泣いてたのか?
佐場木「起きたか。これでいないのは4人だけのようだな」
御影「……ねえ、その手どうしたの?」
佐場木「ただの自己満足だ。気にしなくていい」
佐場木の手には白い包帯が巻かれて血が滲んでいる。
きっと壁を殴るかなんかしたんだろう……
赤穂「4人って誰がいないんだ?」
佐場木「如月、兵頭、鞍馬、津浦だ」
御影「四方院、来てるの?」
遠見「自分も驚いたのでありますが……静音殿のためにも早くコロシアイを終わらさなければと考えているようでして」
赤穂「そうか……」
強いんだな、四方院さんは。
256 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/09/28(水) 22:24:23.29 ID:stjxDl5A0
四方院「皆様、昨日は倒れてしまい申し訳ありませんでした」
土橋「ちょっと奏、頭上げなよ!奏が謝る事なんて何もないんだから!」
道掛「そうだぜ奏ちゃん!」
四方院「ありがとうございます……皆様、わたくしはもう二度とこんな事が起きてほしくありません」
四方院「お願いします……わたくしに協力をしてください」
苗木「それはきっとみんな同じ気持ちだよ四方院さん」
ジェニー「はい!あんなのもうダメです!」
グレゴリー「それは然り。だが翼をもがれた我らが何をなせるか……考えなければならん」
六山「その事だけど1つ提案があるんだけどいいかな?」
赤穂「提案?」
六山「コロシアイ学園生活だとさ、学級裁判が起きる度に行けるところが増えてたよね?」
遠見「確かにそうだったであります……もしやこのコロシアイでも」
六山「確認する価値はあると思うんだけど、どうかな」
新しい場所の開放か……
佐場木「そうだとするなら中央の島辺りから行けるようになっている可能性が高いな」
御影「じゃあ行ってみようよ。手がかりがあるかもしれないしさ」
四方院「そうですわね……えぇ、そうしましょう」
257 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/09/28(水) 22:45:49.42 ID:stjxDl5A0
【中央の島】
赤穂「これは……!」
中央の島、そこは今までと様変わりしていた。
赤い橋が1つの島に向かって伸びていたんだ。
グレゴリー「これは……」
土橋「冗談でしょ、こんな橋どうやって……!?」
四方院「……どうやら海に沈んでいたようですわ。見てください」
四方院さんが指で擦っているのは……塩?
遠見「どうやら海水が蒸発して塩が残されたようであります」
佐場木「……足跡らしき物があるな」
苗木「もしかして誰かいるのかな?」
六山「というよりいなかった人がもう行ってるんじゃないかな」
いなかった人……如月さん達が先に調べに来ているって事か。
258 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/09/28(水) 23:08:02.92 ID:stjxDl5A0
【第2の島・サマーアイランド】
赤穂「暑っ……!?」
なんだこれすごく暑い……
モノクマ「ようこそ、サマーアイランドへ!ただいまの気温は39℃でございます!」
佐場木「モノクマ……これは貴様の仕業か」
モノクマ「いやいや、そんな事はないよ!これはあくまでこの島の特色!」
御影「ちょっ、これキツいって……」
四方院「どういう事ですの?いくらなんでも中央の島とここまで気温差があるなんて……」
モノクマ「うぷぷ、そんな事はどうでもいいんじゃない?それよりオマエラは考えないといけない事がたくさんあるんだしさ」
モノクマ「それでは常夏の島を存分に楽しんでくださーい!」
遠見「これも絶望が起こした災害の影響なのでありましょうか……」
苗木「どうなんだろう……まあ、とにかくここを調べて早く戻った方がいいんじゃないかな」
六山「そうだね……あっ」
ジェニー「モモカどうしたです?」
六山「如月くん」
赤穂「……!」
六山が指さす方向から歩いてくる3つの影。
それは紛れもない如月さん、兵頭、鞍馬の3人だった。
259 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/09/28(水) 23:22:13.85 ID:stjxDl5A0
如月「おや、皆さん」
佐場木「如月、貴様何をしている」
如月「そう身構えないでください。ただ調査に来ただけですから」
土橋「千や類も一緒だったんだ」
兵頭「ふふふ、1人では心細かったので」
鞍馬「……偶然ですよ」
如月「津浦さんは来ていないんですか?」
グレゴリー「言の葉の魔術師は今眠りについている。その硝子細工のような心を守らんとするためにな」
兵頭「ああ、それは大変ですね。私のようになれれば津浦さんも苦しまなくてすむでしょうに」
遠見「何か収穫はあったのでありますか?」
如月「残念ながら何も……最も僕達はまだ全て調べられたわけではないのですが」
六山「そうなの?」
兵頭「この暑さなので一度戻らないと熱中症になってしまいますから」
如月「それでは僕達はこれで失礼します。皆さん、また後で」
赤穂「……」
佐場木「……ちっ、俺達もさっさと調べた方がよさそうだな」
260 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/09/28(水) 23:38:47.49 ID:stjxDl5A0
【ショッピングモール】
赤穂「大丈夫か牡丹」
御影「わりとキツいかも……暑いし日は射すし汗かくし、夏嫌い」
スポーツドリンクと熱冷ましを額に当てて牡丹はベンチに座り込んでいる。
これはなるべく早めにホテルに戻らせた方がいいな……
御影「兄貴は暑くないわけ……そんなキッチリスーツ着込んで手袋まで着けてさ」
赤穂「いや、俺はまあ大丈夫だ」
本当は暑いけど、俺はスーツも手袋もあまり脱ぎたくない。
この下は見ていて気持ちのいいとは言えない傷だらけだからな……
グレゴリー「ふははははっ!ここには素晴らしい天具達が揃っているぞ!」
土橋「はしゃぎすぎだって……あっ、政城に牡丹」
赤穂「どうだった?」
土橋「4階建てみたいだけど色々あったよ。食品、衣服、スポーツ用品に工具」
赤穂「だからグレゴリーはこんなに嬉しそうなのか」
土橋「後はショベルカーとか消防車もあったかな」
御影「なんなのさ、その組み合わせ……」
261 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/09/30(金) 22:59:36.63 ID:9NengdnA0
【図書館】
赤穂「すごい量の本だな……」
御影「日本語と英語はともかくいくつか表紙すら読めないんだけど」
佐場木「そこにあるのはフランス語の書籍だ」
赤穂「佐場木」
佐場木「中国スペインイタリアポルトガル……どうやらだいたいの国の書籍はここにあるようだ」
御影「そんな本なんて読めるの津浦ぐらいじゃないの?」
佐場木「どうだかな……それと奥にある黒いカーテンに囲まれた一角には近付くなよ」
赤穂「何かあったのか?」
佐場木「殺人に関する書籍だ。爆弾の作り方なども記載されていたのは確認してある」
そんなものが……!?
佐場木「ちっ……またマーケットに行かなければな」ジャラッ
図書館から出ていく佐場木の手には鍵束が握られている……あれはもしかしてケースの鍵か?
御影「なんか、鬼気迫るって感じ」
赤穂「それだけ責任を感じてるんだろうな……」
262 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/09/30(金) 23:24:56.96 ID:9NengdnA0
【水族館】
道掛「うおおっ、見ろよ苗木!マグロだぜマグロ!」
苗木「道掛クン、ちょっと落ち着いて……」
道掛「こうして魚見てると刺身食いてえよな!」
苗木「ボクはその言葉になんて返したらいいのかな……?」
赤穂「……」
御影「ちょっと。立ち止まって何してんの兄貴?」
道掛「おっ、赤穂に牡丹ちゃんじゃん!」
苗木「2人もここに来たんだ?」
赤穂「まあな。何かあったか?」
苗木「うーん、普通の水族館って感じかな?鮫とかもいるけど水槽から飛び出してくるって事はなさそうだし」
赤穂「そうか……んっ?」
道掛「なあなあ、牡丹ちゃんはどいつ食いたいよ」
御影「えっ、ここで聞くそれ」
赤穂「……」
苗木「赤穂クン?」
赤穂「……牡丹、そろそろ行くぞー」
御影「あっ、ちょっと待ってよ兄貴」
本当に油断も隙もないな……!
263 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/01(土) 23:13:50.86 ID:1wDVexsA0
【射撃練習場】
赤穂「ここは……」
御影「射撃練習場ってそんなものまであるわけ……?」
赤穂「まあ、元々未来機関の施設だからな……練習する必要性もあったんだろう」
中に入ると先客の遠見が的に向かって射撃していた。
的にひたすら弾を当てているその姿は……どこかやりきれない思いをぶつけているかのようだ。
遠見「……ふぅ」
赤穂「遠見」
遠見「赤穂殿に御影殿でありますか」
赤穂「ここには銃があるんだな」
遠見「そうであります。拳銃からマシンガンまでよりどりみどりでありますよ」
御影「うわっ……そんなのあったらいつ襲われるかわかったもんじゃないじゃん」
遠見「それに関しては大丈夫でありますよ。ここの銃器は持ち出し禁止でありますから」
赤穂「持ち出し禁止?」
遠見「モノクマによるとこの射撃練習場の敷地から出した瞬間に警報が鳴り響くとか」
赤穂「なるほどな……それなら確かに持ち出される心配はないか」
遠見「そういう事であります……っと。そろそろ自分は射撃を再開するであります」
赤穂「まだやるのか?」
遠見「少々火薬の臭いの中で考えたいでありますから」
遠見はそのまま射撃をまた始めた。
……そっとしておいた方がいいか。
264 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/01(土) 23:45:06.41 ID:1wDVexsA0
【ビーチハウス】
赤穂「ここは……ビーチハウス?」
御影「へー、こんなところもあるんだ」
ジェニー「すごいです!」
赤穂「んっ?この声はジェニー?」
御影「この部屋から聞こえてくる……」
牡丹の開けた扉の先にはシャワールームがあった。
そして明かり取り用の窓のそばにジェニーがぶら下がっている……何してるんだいったい。
ジェニー「マサキ、ボタン!2人もこっち来ますですか?」
赤穂「いや、俺は……そもそも何してるんだ?」
ジェニー「窓が開いてたから昇ってみたです!景色がビューティフルですです!」
御影「景色きれいはいいけど……降りられんの?」
ジェニー「大丈夫です!もっと高いところから降りた事もありますです!」
初対面の時も照明にぶら下がってたもんなジェニー……
265 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/04(火) 21:00:40.85 ID:qbF9OKnA0
【チャンドラービーチ】
赤穂「第1の島の砂浜に比べて広いな」
御影「ビーチハウスといい、遊ぶための砂浜って感じじゃない?私は日焼けするからごめんだけど」
赤穂「俺も付き合えそうにないな……んっ?」
四方院「……」
あそこにいるのは四方院さんか。
フルートを構えて立つその姿は憂いが強く感じられる。
四方院「……」
御影「……ねぇ、なんか様子おかしくない?」
赤穂「えっ?」
牡丹に言われてもう一度四方院さんを見る。
よく見ると……フルートを構えているのに指が全く動いてない。
それに音も全く聞こえてこなかった。
四方院「……」トサッ
赤穂「!?」
フルートを落とし……
266 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/04(火) 21:01:47.87 ID:qbF9OKnA0
四方院「ああああああああああああああああーーーーーーっ!!!」
267 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/04(火) 21:14:08.56 ID:qbF9OKnA0
赤穂「四方院さん!?」
四方院「なんで、なんでなんで……」
御影「ちょ、ちょっとどうしたのさ?」
四方院「吹け、ません」
赤穂「……吹けない?フルートがか?」
四方院「凪にレクイエムを贈りたいのに、フルートを口元に運ぶだけで、頭が真っ白になって……」
四方院「わた、くし、は……あの子に安らかな眠りを、願う事すら……」
四方院「……」
四方院「………」
四方院「…………」
赤穂「四方院さん?」
四方院「…………あら、赤穂さんに御影さん。どうしましたの?」
御影「……大丈夫なの?」
四方院「なにがです?」
赤穂「いや、さっきまで静音の事でさ……」
四方院「あら?」
四方院「赤穂さんは凪を知っていますの?」
赤穂「……は?」
268 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/04(火) 21:29:45.66 ID:qbF9OKnA0
四方院「しかし凪も運のいい子ですわね」
四方院「体調を崩したおかげでコロシアイなどに巻き込まれずにすんだのですから」
御影「……何、言って」
四方院「ですからこそ!わたくしは生きて帰らなければなりませんわね!」
四方院「あの子はきっと心配していますもの……あら?」
四方院「なぜわたくしのフルートが……凪からの贈り物を傷つけるわけにはいきませんのに」
赤穂「……四方院さん」
四方院「はい?」
赤穂「昨日何があったか覚えてるか?」
四方院「……学級裁判ですわ」
赤穂「誰が死んだかは」
四方院「静音さんと薄井さん……悲しい事件でした」
自分が何を言ってるのか、わかってないのか?
御影「いや、静音が死んだのになんで生きてるみたいに……」
四方院「???何をおっしゃっているのかわかりませんわ」
四方院「確かに名前は同じ静音凪ですが殺された静音さんは男性ではありませんか」
赤穂「……」
四方院「はっ!こんな事をしている場合ではありませんわ!早く脱出に向けて調査を進めなくては!」
四方院「それではまた後でお会いしましょう!」
俺達は何も言えなかった。
今の四方院さんに現実をまた理解させる事はきっと……
絶望しか、生まない。
269 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/04(火) 21:52:57.65 ID:qbF9OKnA0
【ホテルミライ・レストラン】
四方院「なるほど……どうやら連絡手段などは確保出来そうにないようですわ」
苗木「まあ、普通に考えたらそうに決まってるよね……」
道掛「そんな暗い顔すんなって!いざという時はイカダでも作ればいいんだしな!」
土橋「そうだね……イカダに使えそうな木材探しとくよ」
グレゴリー「未来への方舟を生誕させるのならば我に任せるがいい!光すら超える力を持ちし装備を授けようではないか!」
道掛「そりゃ凄そうだな!よっしゃ、まかせたぜ!」
遠見「光速を超えたら人間は死ぬでありますよ……」
道掛「マジか!?」
佐場木「道掛、貴様はしばらく口を開くな……!」
六山「異議なーし」カチカチ
ジェニー「ソウヤ……メッ!です!」
御影「……はあ」
赤穂「……」
話し合いは如月さん達がいない事を除いたら普通に進んでるように見える。
だけど俺と牡丹は知ってる……四方院さんが普通の精神状態じゃない事を。
赤穂「……」
四方院さんがいなくなったら……伝えておかないとな。
270 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/04(火) 22:12:34.91 ID:qbF9OKnA0
【港】
赤穂「……」
あの後四方院さんの事をみんなに伝えた。
みんなは驚き、落ち込んだけど今はそっとしておいた方がいいって事で一致した。
津浦に関してはグレゴリーが様子を見ていくらしい。
そして……
如月「……おや」
赤穂「如月さん」
兵頭と如月さん……2人には気をつけろと佐場木は言った。
だけど俺は……せめて話をしたかった。
この憧れのヒーローと。
271 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/04(火) 22:43:36.41 ID:qbF9OKnA0
赤穂「如月さんは……ジャスティスジャッジだったんですか」
ジャスティスジャッジ。
その殺人鬼の名前はこの世界が絶望に包まれる前から存在していた。
正義の名の下に殺してきた犯罪者の数は100人を超えるその殺人鬼の特徴は3つ。
1つは絶対に犯罪者以外は殺害しない事。
1つは現場に必ずその犯罪者の犯罪歴が克明に記された紙が貼られている事。
如月「えぇ、そうですよ」
1つはジャスティスジャッジの殺害した死体は必ず四肢と首の骨が砕かれ、心臓を貫かれている事。
だから警察は犯人が何らかの拷問器具を使って犯行を行っていると判断していた。
赤穂「なんでそんな事を……」
当たり前だろう……誰がその全てが素手で行われたなんて信じるんだ。
如月「僕はただ正義を執行しているだけですよ」
赤穂「あの拷問紛いの事が正義なんですか!?」
如月「……拷問ですか。それは違いますよ」
如月「あれは代償ですよ」
赤穂「代償……?」
272 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/04(火) 22:56:40.64 ID:qbF9OKnA0
如月「左手が潰された程度でなんですか。殺された人はもう誰の手も握り返せない」
如月「右手が潰された程度でなんですか。殺された人はもう誰にも触れられない」
如月「左足が潰された程度でなんですか。殺された人はもう立つ事さえ出来ない」
如月「右足が潰された程度でなんですか。殺された人はもう未来に歩む事が出来ない」
如月「首が折れてようやく人の人生を奪った痛みを理解し」
如月「最期の命という代償を払い、その悪は初めて許しを乞えるんですよ」
赤穂「……あなたが、すぐに殺せるのにそうしないのは」
如月「わからせるためですよ。自分の行いの取り返しのつかなさをね」
如月「最も……最後どころか途中までの代償すら支払えない悪がほとんどですが」
赤穂「……」
273 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/04(火) 23:17:54.34 ID:qbF9OKnA0
如月「ああ、もちろんこれは救いようのない悪に対する裁きですよ?」
如月「佐場木さんのような法の裁きも確かに必要ですし……心から悔いている人間にそこまでするのは僕としても本意ではないので」
赤穂「……あなたは、何を求めてそこまで」
如月「悪のない世界。悪を根絶やしにして平和に生きられる世界」
如月「それが僕の理想。僕の求める世界ですよ」
赤穂「……仮に悪を根絶やしにして、あなたはその世界でどうするんですか」
如月「その時は最後の悪を裁きますよ」
如月「殺人鬼ジャスティスジャッジを、ね」
赤穂「……!」
如月「わかりますよ。コロシアイという環境で僕の存在を受け入れ難い事は」
如月「だけど安心してください。僕はコロシアイに乗る気はありません」
如月「モノクマは必ず滅ぼしますが」
赤穂「……如月さん、1ついいですか」
如月「なんですか?」
赤穂「あなたにとって薄井千里は、救いようのない悪だったんですか」
如月「……」
赤穂「……」
如月「たとえどれだけ親しくても愛していても……僕は裁きますよ」
如月「それが僕の正義なんですから」
赤穂「……」
答えになっているのかいないのか曖昧な言葉を残して……如月さんは去っていった。
赤穂「……俺には、そんな正義は選べない」
それが正しいのか間違っているのかは別にして……それだけは俺の中ではっきりしていた。
274 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/04(火) 23:49:58.95 ID:qbF9OKnA0
【第2の島・サマーアイランド】
赤穂「……」
四方院さんの事、如月さんとの話……俺はどうにも気分が落ち込んでサマーアイランドに来た。
だけど……
赤穂「……暑い」
汗がダラダラと流れて地面に落ちる。
スーツをしっかり着込んで手袋までしてたらそりゃ暑いに決まってるよな……
だけどどうしてもこの傷だらけの地肌は見せたくない。
赤穂「右目のこれだけで、変な噂されたしな……」
とはいえ、少し視界もぶれてきた。
やっぱりコテージに戻るか、ショッピングモールに入ろう。
赤穂「……あ、れ」
歩き出そうとした瞬間、視界がさらに揺らいだ。
赤穂「マズ、熱中症か……」
杖を支えにしようとしても、力が入らなくて俺はその場に倒れてしまう。
赤穂「くそっ……誰か通りがかれば、いいけど……」
そしてそのまま俺の意識は遠のいていった。
275 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/05(水) 00:15:46.65 ID:oI9tohnA0
――――
赤穂「んっ……」
「あっ、気がついた?」
赤穂「……?」
目覚めると後頭部に柔らかい感触……そして視界を遮る何か。
赤穂「……」
「大丈夫?倒れてたから慌ててショッピングモールまで引っ張ってきたんだけど」
この声は……
赤穂「……土橋?」
土橋「そうだよ。今気付いたの?」
もしかして俺……今膝枕されてるのか?
じゃあ目の前のこれは……
赤穂「っ、悪い!」
慌てて起き上がるとクラッと視界が揺れる。
土橋「ちょっとちょっと!いきなり起きたらダメだって、ほらスポーツドリンク!」
赤穂「……あ、ああ、ありがとな」
スポーツドリンクを飲み干すと、身体が軽くなった気がする。
まさに生き返った気分ってやつだな……
土橋「もう、こんな暑い中でそんな格好して水分も取らなかったら熱中症になるのわかりきってたでしょ!」
赤穂「そうなんだけどな……」
土橋「せめて上ぐらい脱ぎなよ。あれだけ汗かいてたんだから暑さに強いわけでもないんでしょ?」
赤穂「……」
土橋が俺を心配して言ってるのはわかってる。
それでも俺は……
276 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/05(水) 00:43:20.49 ID:oI9tohnA0
赤穂「やめといた方がいいぞ」
土橋「何が?」
赤穂「俺の肌は色々あって傷だらけなんだ。見たらドン引きするような傷もある」
土橋「……」
赤穂「このスーツを脱いだだけでも結構わかるし……土橋だって気持ち悪いもの見たくないだろ?」
俺がこの傷を身体中に刻まれた直後、見舞いに来た何人かは露骨に俺の傷を気持ち悪がった。
中には俺は絶望で自分から傷をつけたんじゃないかとか言う奴さえいて。
あの日から俺は……傷を徹底的に隠してきた。
色々言い訳してても、結局はまたあんな事を言われるのが……怖いんだろうな。
土橋「……そっか、わかった」
赤穂「わかってくれたなら……って何してるんだ!?」
土橋は何を思ったか作業着の上を脱ぎ出していた。
土橋「アタシってさ、土木作業なんて生活してるから色々と男の人に囲まれて生きてきたんだよね」
赤穂「……」
土橋「で、胸とか結構ジロジロ視られたりもしてきたんだ」
赤穂「……それで?」
土橋「だから何て言うか……アタシ慣れてるし視線集めるしさ!アタシが近くにいれば政城がジロジロ見られるとか少なくなるでしょ!」
赤穂「……」
土橋「だから、さあ……暑いの我慢して着込まなくても大丈夫だって!」
277 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/05(水) 00:49:24.06 ID:oI9tohnA0
赤穂「……」
上半身タンクトップのそれが恥ずかしいのか顔を赤くしている土橋の言葉の意味がようやく理解できた。
赤穂「……ははっ」
そして同時になんだか笑えてくる。
土橋「ちょっとなんで笑うの!?」
……うん、ここまでされると怖がってるのが馬鹿らしくなってきた。
赤穂「よっと」
土橋「あっ」
赤穂「それじゃあ、ちょっと中央の島まで一緒に頼めるか?暑いし」
土橋「……了解!アタシも早く着たいから早く行こう!」
赤穂「あっ、気持ち悪かったら視線そらしていいからな?」
土橋「政城が言うほどじゃないって!それにアタシ嫌いじゃないよ!」
赤穂「んっ?なんでだ?」
土橋「だってそれヒーローとして頑張って出来た傷でしょ?だったらむしろ勲章だって!」
赤穂「……」
土橋「あれ、どうしたの?」
赤穂「いや……」
面と向かってそんな事言われたのは……初めてだ。
勲章、か……
赤穂「……ありがとな」
この傷をそう言ってくれて。
278 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/05(水) 00:50:08.41 ID:oI9tohnA0
本日はここまで。
279 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/08(土) 23:07:23.25 ID:pOC6K4XA0
【ホテルミライ・コテージ前】
土橋と第1の島まで一緒に戻った後、俺はマーケットに行くという彼女と別れてホテルに戻ってきていた。
赤穂「……あっ」
あそこにいるのは……
グレゴリー「言の葉の魔術師よ。ここに供物を捧げておくぞ」
赤穂「グレゴリー、津浦の様子はどうだ?」
グレゴリー「聖痕抱きし英雄か。夢魔の誘惑から解き放たれはしたが、心に巣くう闇の住人がまとまりついているようだ」
よくはわからないけど、今の津浦がコテージから出る気はないのはわかるな……
グレゴリー「元々容易なる事象ではない。時の檻は強固だが……いずれはまた覚醒の時が訪れるだろう」
赤穂「……グレゴリーは随分津浦を気にかけてるよな」
捜査の時も今も、どうしてグレゴリーはここまで津浦を……
グレゴリー「言の葉の魔術師は我が言霊を理解した原初の姫だからな」
赤穂「……」
自分の言葉を理解したのは津浦が初めてだから……って事か?
グレゴリー「言の葉の魔術師との語らいは我としても必要不可欠。覚醒の時の刻限が近くなると言うのならば、供物を捧げる事など苦ではない」
赤穂「……そうか」
グレゴリーは津浦に元気になってほしいんだな……
赤穂「早く元気になるといいよな」
グレゴリー「然り!そのためにも秘められし我が天具をこの世に生誕させねば!」
赤穂「あっ、待てよグレゴリー!」
ガチャッ
津浦「…………」
バタンッ
280 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/08(土) 23:34:56.92 ID:pOC6K4XA0
【ホテルミライ・レストラン】
グレゴリーと別れた後、俺は佐場木達とサマーアイランドにあった射撃練習場について話していた。
佐場木「……首尾は」
遠見「やはり補充されていたであります。射撃練習場の弾薬を尽きさせるのは難しいかと」
佐場木「そうか……ちっ、銃そのものの破壊も不可能となればあの近辺に人を近付けるのは危険か」
赤穂「持ち出せないのにか?」
佐場木「中から撃てば持ち出し違反にならず人を射殺可能だ」
赤穂「……ああ、そういう事か」
遠見「どの銃も反動が強いタイプなのは唯一の救いであります。あれを問題なく扱えるのはおそらく自分ぐらいでありますから」
赤穂「反動が強いって事は下手をしたら肩外れそうだな」
佐場木「とはいえ楽観視は出来ん。あの近辺には近付かないよう周知徹底……」
苗木「あの……ちょっといいかな?」
赤穂「んっ?どうしたんだ苗木」
苗木「ちょっと気になる事があってさ、伝えておいた方がいいかなって」
佐場木「気になる事?なんだ」
苗木「……あの映像ってまだ残ってる?」
遠見「あの映像……身体検査の時のあれでありますか?」
苗木「うん。あの映像」
身体検査の記録……あれがどうしたんだ?
281 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/08(土) 23:51:23.01 ID:pOC6K4XA0
その後佐場木が持ってきたビデオカメラの映像を再び再生する事になった。
生きてる静音と薄井……その姿を見ると胸が痛くなるけど、いったい苗木は何が気になったんだ?
苗木「あっ、ここだよ!」
佐場木『それよりこのスポットライトはなんだ?』
静音『ちょっと意見もあったからサプライズに使う!』
遠見『サプライズでありますか?内容は……』
遠見「これがどうしたのでありますか?」
苗木「いや、静音さんはあのサプライズを意見があったからやる気になったみたいだけど」
苗木「意見したの、誰なのかなって」
佐場木「……!」
赤穂「薄井じゃない、よな」
薄井は静音とジェニーの話を聞いて犯行を思いついたはずだ。
薄井もそれを否定しなかった……じゃあ誰が静音にそんな意見をしたんだ?
遠見「しかし、それはあくまでサプライズの意見をしただけでは……」
苗木「そうなんだけど……ジェニーさんのあの告白聞いても名乗りでなかったって、なんか悪意がある気がして……」
赤穂「……」
悪意?
それじゃあまさか誰かが事件を起こすのを期待して、静音に意見をした人間がいる?
だとしたら……そいつは生きてまだ俺達の中にいるのか?
282 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/09(日) 22:23:17.45 ID:eeRyejaA0
【赤穂のコテージ】
キーン、コーン、カーンコーン
モノクマ「夜10時になりました!」
モノクマ「そろそろお休みした方がいいよ!」
モノクマ「うぷぷ、また明日……」
赤穂「……」
苗木の言葉の事を考えてたらもうそんな時間か。
赤穂「悪意か」
苗木の言う通り静音にサプライズの意見をしたのが悪意を持っての事だとしたら……
赤穂「……四方院さんには聞かせられないな」
今四方院さんは静音の死を否定して心を守ってる。
だけどもし四方院さんが間接的に静音を死に追いやるような真似をした人間の存在を知ったら……
赤穂「くそっ……」
いったい誰なんだ。
もし悪意がなかったにしろ……突き止めないと。
283 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/09(日) 22:55:21.60 ID:eeRyejaA0
【7日目】
キーン、コーン、カーンコーン
モノクマ「7時です!さあ、起きた起きた!」
モノクマ「今日も張り切っていきましょー!」
赤穂「朝か……」
とりあえず牡丹を迎えに行こう。
【ホテルミライ・レストラン】
今日は……津浦以外みんないるな。
まあ、如月さんや兵頭は離れて座ってるけど。
道掛「今日でこの島に来て1週間だよなー」
六山「そうだね。なんかあっという間な気がするよ」
土橋「そろそろ助けが来てもいいと思うんだけど……」
佐場木「現在コロシアイが起きたらしい第13支部はともかく他の支部は何をしている……」
兵頭「ふふふ、元々どの支部も忙しいですからね。絶望の残党がいなくても問題は山積みですし」
赤穂「……」
確かに第1支部から第14支部は絶望の残党の対処以外に復興関係の仕事も受け持ってるからな……
284 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/09(日) 23:50:35.44 ID:eeRyejaA0
苗木「そういえば気になってたんだけど、第15支部から第19支部って何をしてるの?」
鞍馬「……未来機関全体の任務として絶望の捕獲や一般人の保護」
赤穂「第15支部は確か他国との交渉……支部長は元73期生【超高校級の旅人】だな」
佐場木「第16支部は資源の発掘、調査だ。支部長は元75期生【超高校級のトレジャーハンター】」
遠見「第17支部は絶望の被害者のカウンセリングや聞き取り調査であります。支部長は現在諸事情にて空席、代理として元76期生【超高校級の王子】が在任中でありますよ」
土橋「第18支部はスポーツの復興支援だよ。支部長は元75期生【超高校級のサッカー選手】」
六山「この前新造された第19支部はえっと……確か本とか美術品とか歴史的資料の回収、保存だったかな。支部長はまだ決まってないけど【超高校級の図書委員】辺りが有力候補らしいよ?」
道掛「よく覚えてんなー。俺なんて会長のじいちゃんの名前も知らねえや!」
御影「……自慢にならないね」
285 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/10(月) 00:22:32.06 ID:XBtLaoXA0
今日はここまで。
目標としてこの話はV3発売までに終わらせたい……
286 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/11(火) 22:23:26.78 ID:E2qyn0GA0
【ホテルミライ・プール】
朝食は結局未来機関講座になったな……
ジェニー「……」チャプチャプ
赤穂「……ジェニー?」
何してるんだ、あんなところで。
ジェニー「あっ、マサキ……」
赤穂「浮かない顔してどうした。悩みがあるなら聞くぞ?」
ジェニー「……ボク、ダメダメです」
赤穂「えっ?」
ジェニー「ボクはみんなをスマイルにするピエロです……なのに今ボクは何も出来なくて」
赤穂「それは……ジェニーのせいじゃないだろう」
ジェニー「でも……」
すっかり落ち込んでるな……そうだ。
赤穂「ジェニー、何も出来ないって事はないぞ。少なくとも1つジェニーじゃないと出来ない事がある」
ジェニー「ボクじゃないと?」
赤穂「静音とサプライズの打ち合わせをした時の事を聞かせてほしいんだ」
ジェニー「ナギとの?」
赤穂「ああ、頼むよ」
ジェニー「えと……ナギはカナデをもっと目立たせたい言てましたです……このままだとカナデのスゴさが伝わらない言われたて……」
赤穂「……!そこのところもう少し詳しく。静音は何を言われたって?」
ジェニー「えとえと……カナデはパーフェクトでもっと目立つべきだから……キラキラのドレス着るとかライトアップとかしたらキレイなんじゃないか言われたて……」
……これは、判断に困るな。
罪悪感から言えないのか、それとも悪意を持って黙ってるのか……これじゃあわからない。
ジェニー「あのマサキ?」
赤穂「あっ、ああ、ありがとうジェニー。助かった」
ジェニー「ボク役に立てたです?」
赤穂「ああ、もちろん」
ジェニー「なら……よかたです」
でもまあ、ジェニーが少しは元気になれたなら……結果オーライか。
287 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/11(火) 22:50:51.15 ID:E2qyn0GA0
赤穂「うーむ……」
兵頭「お悩みですか?」
赤穂「うわっ!?」
兵頭「ふふふ、ごめんなさい。まさかそこまで驚かれるなんて」
赤穂「兵頭……」
兵頭は学級裁判の投票に快感を抱いていた……俺には全く理解出来ない話だ。
だからこそ……兵頭は何をするかわからない。
赤穂「キミはこれから先どうする気なんだ」
兵頭「どうするとは?」
赤穂「学級裁判の投票がキミにとって快感なのははっきりしてる」
兵頭「……ああ、だから私が事件を起こすんじゃないかと思ってるんですか?」
赤穂「キミは頭がいい。疑われるのはわかってただろう」
兵頭「ふふふ……そうですね。少なくとも要注意人物ではあるでしょうね」
赤穂「……」
兵頭「ふふふ」
赤穂「何がおかしいんだ?」
兵頭「如月さんも似たような事を言ってましたから……やっぱりヒーローは似るんでしょうか?」
赤穂「……!」
兵頭「安心してください。私はコロシアイなんてしませんよ」
兵頭「最も信じるかは……ふふふ、赤穂さん次第ですよ」
赤穂「……」
俺と如月さんが同じ……
今となっては、複雑な気分だな……
288 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/11(火) 23:15:52.38 ID:E2qyn0GA0
【中央の島】
赤穂「……んっ?」
道掛「いいか鞍馬!ルールはこの島を1周!それだけだ!」
鞍馬「……はあ」
御影「あっ、兄貴」
赤穂「いったいなんなんだこの騒ぎは」
御影「道掛と鞍馬がマラソンで勝負するんだってさ」
赤穂「……いや、なんでそんな事になった」
御影「さあ?」
道掛「鞍馬ってよ、なーんか暗いんだよな!いつもいつも1人だしよ!」
鞍馬「……別に困っていませんから」
道掛「だから俺はお前とダチになる事にした!」
鞍馬「……」
御影「なんでそれでマラソン?」
道掛「熱い勝負をしたら男はその瞬間からダチになるんだぜ!」
鞍馬「……自転車ではないんですね」
道掛「勝負は公平にやってこそだからな!」
鞍馬「……はあ」
鞍馬か……そういえば如月さんといい勝負してたよな。
道掛「よっしゃあ!行くぞ鞍馬!牡丹ちゃん合図よろしく!」
御影「そのために私は呼び止められたわけか……はいはい、位置について」
道掛「……」
鞍馬「……」
御影「よーい、ドン」
289 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/12(水) 22:17:01.23 ID:JV5g+m5A0
赤穂「……行ったな」
御影「だね」
赤穂「道掛も考えてるのか考えてないのか……」
御影「でも道掛、兄貴じゃない方のヒーローにも声かけてたよ」
赤穂「如月さんにか?」
御影「うん。まあ、頭は悪いけどいいやつなんじゃない?」
赤穂「……そうだな」
道掛「うおおおっ!」
鞍馬「……」
御影「あっ、戻ってきた」
赤穂「鞍馬の方が勝ってるみたいだな」
鞍馬「……」
道掛「どわあああっ!」ズサァ
赤穂「お、おい大丈夫か?」
道掛「はぁ、はぁ……ちくしょう!負けたー!」
鞍馬「……」
道掛「鞍馬!お前すげえな!俺これでも足の速さにも自信あったのによ!」
鞍馬「……」
道掛「だけどこれで俺達はダチだ!さっ、握手しようぜ!」
鞍馬「……失礼します」スタスタ
道掛「ありゃ?」
御影「あらら……」
赤穂「あー……」
道掛「照れてんのか?」
ポジティブだな……
290 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/12(水) 22:48:22.30 ID:JV5g+m5A0
六山「……」ピコピコ
赤穂「……」
相変わらず六山はゲームばっかりしてるな……
四方院「あら、六山さん。またゲームですの?」
六山「まあねー」
赤穂「毎日それだけやってたらすぐクリアしちゃうんじゃないか?」
六山「ちっちっちっ、甘いね赤穂くんは。ゲームというのはやりこみ含めてクリアなんだよ」
六山「だから全部クリアするなら時間が足りないぐらい」
四方院「最近のゲームとはすごいんですのね……わたくしはやった事がありませんからよくわかりません」
六山「ゲームは世の中の最新技術をふんだんに盛り込んでるからね。やって損なしだよ」
赤穂「なるほどなぁ……」
六山「良かったら対戦用のスペア貸そうか?」
赤穂「そんなの持ってるのか」
六山「ゲームは人の輪を繋ぐからね。まあ、これは受け売りなんだけどわたしもそう思うからさ」
四方院「暇潰しにはいいかもしれませんね……それでは何か初心者にも優しいものをお願いしますわ」
六山「だったらねー」
リュックから大量のゲームソフトを出す六山。
うーん……俺はこれだけのゲーム一生かかっても終わる気がしないな……
291 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/12(水) 23:24:11.89 ID:JV5g+m5A0
ビービービー!
赤穂「……んっ?」
なんだ、この音。
モノクマ「警告警告!」
モノクマ「射撃練習場より銃が持ち出されました!」
モノクマ「戻さない場合には盗難者に罰を与えます!」
赤穂「なっ!?」
射撃練習場から銃が……いったい誰がそんな事を!?
赤穂「とにかく行かないと……!」
【射撃練習場】
遠見「落ち着いて!今すぐその銃を戻すであります!」
赤穂「遠見、佐場木!いったい誰が銃を……」
津浦「はぁー、はぁー……!」
津浦!?
津浦「来ないでください……来たら撃ちます……!」
苗木「ど、どうしたの津浦さん?いきなりこんな……」
津浦「どうしたのじゃありませんよ……この島にはシリアルキラーがいるんですよ!?」
六山「如月くんの事?でもコロシアイには乗らないって言ってたよ?」
津浦「人殺しのそんな言葉を信用しろと!?ただでさえ、コロシアイなんてさせられて……だからワタシは!ワタシはぁ!」
土橋「琴羽!」
佐場木「だったらどうする?この場の全員を殺すか?」
津浦「……!」
佐場木「人の命を奪うというのはあまりに重い十字架になる、たとえ間接的にもだ」
佐場木「津浦、貴様に14人殺す十字架を背負えるとは思えん、やめておけ」
津浦「ワタ、ワタシは、殺、いや、違っ」
如月「皆さん、大丈夫ですか!」
津浦「ぁ……」
モノクマ「後30秒以内に戻さないと違反者をおしおきしまーす!」
モノクマ「30!29!」
津浦「いやあああああああっ!!」
遠見「っ、全員下がるであります!」
津浦「死にたくないっ、ワタシは死にたくないっ……!」
赤穂「津浦!早く銃を戻せ!」
津浦「あああああああああっ!!」
「……!」
292 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/12(水) 23:29:36.48 ID:JV5g+m5A0
パァン!
293 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/12(水) 23:50:01.40 ID:JV5g+m5A0
御影「あっ……」
グレゴリー「ぐうっ……!」ピシッ
ジェニー「グレッグ!?」
赤穂「グレゴリー、何を……!」
津浦に真っ正面から向かっていくなんて……!
津浦「……!」
グレゴリー「っ!」ガシッ!
津浦「ひっ……!」
グレゴリー「ふんっ!」
ガシャンッ
モノクマ「銃が敷地内に戻されました!」
モノクマ「これに懲りて二度としないようにね!」
道掛「お、おいグレゴリー!大丈夫かよ!」
グレゴリー「案ずるな……我が仮面の守護は魔力を注ぎ込んだもの」ピシピシッ
パリンッ
グレゴリー「最も……言の葉の魔術師の魔弾もなかなかの魔力だったようだが」
仮面が銃弾を止めたのか……
津浦「ぁ……あっ」
グレゴリー「言の葉の魔術師」
津浦「ひっ!ごめんなさいごめんなさい!殺さないでくださいっ……」
グレゴリー「……」
ギュッ
294 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/13(木) 00:06:14.66 ID:2XHgNn4A0
津浦「……えっ」
グレゴリー「恐怖に蝕まれながらもよく耐えた。この場の誰も殺められずにいるのだ……死に怯える事はない」
津浦「……」
グレゴリー「言の葉の魔術師よ。恐怖に戦くならばこの我がその魂を守護しよう」
津浦「えっ……」
グレゴリー「言の葉の魔術師は我が言霊を余すところなく理解する存在。いなくなられては困るのだ」
津浦「Mr.グレゴリー……」
グレゴリー「憤怒の執行者、紅纏いし狂戦士。言の葉の魔術師に罰は不要」
如月「はい?」
佐場木「……」
グレゴリー「魔弾を受けた我が言うのだ。よもやそれを黙殺し己が義を貫くとは言うまいな?」
如月「……グレゴリーさんが許すと言うなら僕の出る幕はありませんね」
佐場木「ふん……被害者がそう言うなら今回は不起訴が妥当か」
グレゴリー「感謝する。言の葉の魔術師よ、もはやその身が恐怖に蝕まれる事はない」
グレゴリー「我がその恐怖を振り払ってみせよう」
津浦「……Mr.グレゴリー」ギュッ
四方院「一件落着のようですわね」
兵頭「全く人騒がせですね……ふふふ、私の言えた話ではないですが」
鞍馬「……」
赤穂「……ふうっ」
何事もなくてよかったな……
295 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/13(木) 00:12:13.67 ID:2XHgNn4A0
明日早いので本日はここまでで。
296 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/13(木) 22:48:19.07 ID:2XHgNn4A0
【ホテルミライ・レストラン】
津浦「皆さん、ご迷惑をおかけしました」
苗木「ま、まあ怪我がなくて何よりじゃないかな?」
遠見「反動で1日は手が痺れるように感じると思うでありますが、長引きはしないので安心してほしいであります」
津浦「はい」
グレゴリー「ならばこの天具その四十三、第三の腕を使うがいい!」
道掛「キモッ!?リアルすぎんだろそれ!」
四方院「本物の腕のようですのね……」
グレゴリー「使用法は心臓の上から装着し……」
御影「うわぁ……想像しただけでヤバいって」
赤穂「そ、それよりグレゴリーはまた仮面着けたんだな」
グレゴリー「ふっ、あれは我が皮膚と同じ。皮膚を剥がしたままの者などいようはずがない!」
六山「チラッとだけど結構整ってたよね。隠さなくてもいいのに」
グレゴリー「ふははっ!外しはせんが賛辞は快く受けようではないか電脳の駆逐者よ!」
津浦「っ……」
ジェニー「コトハどうしたです?」
津浦「い、いえ」
土橋「……あー」
297 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/13(木) 22:54:38.03 ID:2XHgNn4A0
【赤穂のコテージ】
キーン、コーン、カーンコーン
モノクマ「夜10時になりました!」
モノクマ「そろそろお休みした方がいいよ!」
モノクマ「うぷぷ、また明日……」
赤穂「今日は疲れたな……」
何事もなかったとはいっても、精神的にはキツかったしな……
赤穂「もう寝よう」
この生活ももうすぐ10日……
津浦みたいに不安になる奴もいるだろうし、気を引き締めないとな。
298 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/13(木) 23:30:59.24 ID:2XHgNn4A0
【8日目】
キーン、コーン、カーンコーン
モノクマ「7時です!さあ、起きた起きた!」
モノクマ「今日も張り切っていきましょー!」
赤穂「よし、牡丹を迎えに行くか」
【ホテルミライ・レストラン】
赤穂「……あれ?」
御影「なんか今日の料理いつもと違わない?」
土橋「今日の朝ごはんは琴羽が作ったからね」
赤穂「津浦が?またどうして」
土橋「あれだよあれ」
あれ?
津浦「どうでしょうか?」
グレゴリー「ふむ、我も火水操りし恵みの儀は行うが……言の葉の魔術師の腕にはかなわぬようだ」
津浦「そ、そうですか」
赤穂「……あー、なるほどな」
土橋「そりゃ命懸けで自分を止めてさらに守るなんて言われたらねえ。元々琴羽はグレゴリーとよく話してたし」
御影「ふーん……私にはよくわかんないね」
299 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/14(金) 22:35:22.46 ID:ExUhRMcA0
【サマーアイランド・水族館】
ジェニー「ほわあ……」
佐場木「おい。危険だからあまり近寄るな」
ジェニー「はいです!」
赤穂「また珍しい組み合わせだな」
佐場木「赤穂か……別に一緒に来たわけじゃない。水族館の調査をしていたらクラヴィッツが来ただけだ」
ジェニー「お魚いっぱいです……イルカいないですか?」
佐場木「それなら向こうの水槽だ」
ジェニー「ありがとうですハンジ!」
赤穂「……意外に面倒見いいんだな」
佐場木「お前は俺を冷血人間と勘違いしているようだが、俺が冷徹に接するのは犯罪者相手だけだ」
赤穂「……犯罪者だけ、か」
佐場木「ふん、未だに如月にあんな態度の俺が気に食わないか?」
赤穂「いや……佐場木からしたら如月さんを受け入れられないのは、理解したつもりだ」
佐場木「それならいい」
ジェニー「ハンジー!マサキー!見てくださいすごいですー!」
赤穂「ああ、今行くよ!」
佐場木「……赤穂、お前が如月をどう思うかは勝手だがよく覚えておけ」
佐場木「津浦をあそこまでにしたのはコロシアイだけじゃない。紛れもない如月怜輝の存在も要因だ」
佐場木「奴が何をほざこうと……奴のしている事に恐怖を感じる人間がいてそこから狂気は加速する」
佐場木「それは今あそこで笑う人間さえ死体に変えかねないのだとな」
赤穂「……ああ」
恐怖から産まれる狂気……津浦を見たら、否定なんか出来ないよな。
300 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/14(金) 23:01:01.37 ID:ExUhRMcA0
【図書館】
遠見「……」
赤穂「うわっ!?」
図書館の中央で遠見が寝転がって……倒れてるのかと思ったぞ。
遠見「んっ……赤穂殿でありますか」
赤穂「何をしてるんだよ。ビックリしたぞ」
遠見「危険書物の選定をでありますよ。少し休憩をしていたのでありますが……」
赤穂「床で休憩してたら誤解されるぞ……」
遠見「野宿などが当たり前だったのでついそうしてしまうのであります……コテージでもベッドは慣れないでありますし」
赤穂「ああ……軍人だもんな遠見は。でもその年で軍人っていうのも珍しいよな」
遠見「うーむ、自分の知る限り少年兵は珍しい存在でもないでありますよ?隊長殿も自分の相棒もそうでありましたし」
赤穂「相棒?」
遠見「観測手である自分は狙撃手と組んで行動していたのでありますよ。元々隊長殿に助けられた者同士で、相性は良かったでありますから」
赤穂「助けられた……?」
遠見「色々ありましたので……」
色々か……ろくな事ではなさそうだな。
301 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/14(金) 23:27:16.41 ID:ExUhRMcA0
道掛「いいやっほうぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」
赤穂「……」
また道掛が自転車を乗り回してるのか。
道掛「次はあっち行くぞ如月ー!」
赤穂「は!?」
よく見たら……道掛、如月さんと2人乗りしてるぞ!?
道掛「おっ、赤穂じゃん!」
赤穂「道掛、お前なんで如月さんと2人乗りなんて」
道掛「如月とはダチだからな!俺頭よくねえから考えてもわかんねえしよ!」
如月「僕も驚きましたが……そういうことらしいです」
赤穂「……」
鞍馬といい、如月さんといい……道掛は恐れる事なく踏み込んでいくな。
道掛「よっしゃ、今度はあっちだ!行こうぜ如月!」
如月「……安全運転でお願いします」
道掛「わかってるって!」
赤穂「……」
少し羨ましいな……
302 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/15(土) 00:04:27.92 ID:WYrVKhPA0
【サマーアイランド・ショッピングモール】
津浦「……」
赤穂「……津浦?」
津浦「Mr.赤穂、こんにちは」
赤穂「ああ。外に出るようにしたんだな」
津浦「Mr.グレゴリーの言葉にワタシも応えたいので。今はこの島を調べていました」
赤穂「そうか……図書館には行ったか?」
津浦「おそらく一番長い調査になるので最後にしようかと……相当数の言語の本があるのは聞いているので」
赤穂「津浦は文字の読み書きも出来るのか」
津浦「言葉ほどは得手ではありませんがだいたいは出来ますよ、両親の影響ですかね」
赤穂「両親?」
津浦「ワタシの両親は海外に行く事が多かったので、まともにコミュニケーションをとるには言語を勉強しなければいけなかったんです」
津浦「言葉が通じないのは少し怖かったので……何が相手を怒らせるか、何を言われているかというのを考えてしまうと余計に」
赤穂「それが【超高校級の通訳】の始まりか……」
津浦「両親も事故で亡くなって……1人で頑張らないといけませんでしたから」
津浦の怯えはそこも関係してたのかもな……
303 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/15(土) 00:16:56.67 ID:WYrVKhPA0
ここまで。
近々動機発表、事件発生です。
304 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/15(土) 22:57:39.62 ID:WYrVKhPA0
土橋「そういえば誠は【超高校級の幸運】だけど、今までで一番幸運だなって感じた事ってなんなの?」
苗木「そうだなぁ……」
赤穂「部屋でなくした1000円が見つかった事じゃなかったか?」
苗木「あはは……やっぱりそれになっちゃうかな。ボクって本当に平々凡々だから」
土橋「アタシ幸運って聞くとすごいラッキーってイメージだけどそんな事もないんだ」
苗木「先輩達はすごいからね……苗木先輩なんて【超高校級の希望】になっちゃうし」
赤穂「俺の同期もかなりすごい幸運だったな」
噂だと幼なじみと一緒に通うために幸運の座を引き寄せたなんて言われてるし……
土橋「もしかしたら誠もこれから幸運を発揮するのかもしれないし、平々凡々だなんて卑下しなくてもいいんじゃないの?」
苗木「あはは、そうだといいんだけどね……」
305 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/15(土) 23:23:20.25 ID:WYrVKhPA0
キーン、コーン、カーンコーン
モノクマ「オマエラ!至急中央の島に集合!」
モノクマ「ボクからとっても素敵なお話がありまーす!」
赤穂「……!」
モノクマがわざわざ俺達を集めるって事は……
赤穂「新しい動機か……!」
くそっ、今度はいったい何をする気だ……
【中央の島・未来機関第二十支部】
苗木「いったい何の用なんだろう……」
六山「普通に考えたら動機かな……でも前に違う用件でも呼び出されたし」
兵頭「ルール違反者の処罰ですね。静音さんが厨房を……」
四方院「ルール違反?そんな事、ありましたか……?」
土橋「あっ、奏は覚えてないかもね!うん!」
道掛「俺もよく覚えてねえや!だから気にすんなよ奏ちゃん!」
四方院「……えぇ」
四方院さん……あの静音が殺されかけた時の事も、覚えてないのか。
306 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/16(日) 00:36:43.22 ID:Ja9eTyVA0
モノクマ「お待たせー!オマエラみんな集まってるね!」
津浦「っ……!」
グレゴリー「案ずるな言の葉の魔術師」
津浦「は、はい」
佐場木「モノクマ、今度は何を仕掛けてくるつもりだ」
モノクマ「仕掛けるなんて心外だなぁ。ボクは今回オマエラに素敵なお話を持ってきたんだよ?」
如月「あなたにとっての素敵なお話とやらは僕達にとってはろくなものではありませんよね?」
モノクマ「うぷぷ、それはそっちが聞いて決めればいいよ」
遠見「くっ、話とはいったいなんなのでありますか!」
モノクマ「うぷぷ……よーく聞きなよ。ビックリドッキリなニュースだからね」
鞍馬「……」
307 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/16(日) 00:38:09.20 ID:Ja9eTyVA0
モノクマ「オマエラの中に人殺しがいまーす!」
308 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/16(日) 00:53:44.40 ID:Ja9eTyVA0
赤穂「……は?」
俺達の中に、人殺しがいる……
ジェニー「えと……みんな知ってるですよ?」
モノクマ「はぇ?」
如月「人殺しがいる、ですか。僕がいる時点でそれは明白では?」
遠見「自分も戦場では何人も敵を殺したであります……そんなもの動機にならないでありますよ」
俺達は戸惑いを隠せなかった。
人殺しがいる……それはジャスティスジャッジの如月さんや軍人の遠見がいる時点でわかりきっていた事だからだ。
モノクマ「あー、そうだね。確かに如月クンや遠見さんも人を殺してるよね、しかもその手で!」
赤穂「……!?」
今モノクマは何て言った!?
六山「あの……【も】って、何かな?」
モノクマ「おおっと!口が滑っちゃった!」
モノクマ「そうだなぁ、このまま事件が起きないようならさらに口が滑っちゃって名前も出しちゃうかも!」
まさかいるのか?
この中に如月さんや遠見以外にも人を殺してる人間が……!
御影「これが次の動機ってわけ……」
モノクマ「それじゃ、しっかり伝えたからね!」
モノクマ「さあさあ、どうなるかなー?ワックワクのドッキドキだよねー!」
309 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/16(日) 00:54:35.89 ID:Ja9eTyVA0
本日はここまで。
次回事件発生です。
310 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/18(火) 22:19:41.22 ID:sPMEbmsA0
モノクマが消えてから俺達は互いに顔を見合わせてはそらすという行為を繰り返していた。
如月さんや遠見以外に人を殺した人間がこの中にいる。
津浦の恐怖から起きた事件があったばかりの俺達にとって、それは十分動機になりえるものだった。
如月「……なるほど。悪がこの中にいると」
苗木「ちょっ、ちょっと如月クン?まさか……」
如月「僕は悪を見逃すつもりはありません。誰かはっきりした時点で裁きを執行します」
赤穂「……!」
今回コロシアイに乗ると言ったも同然の如月さんの台詞に嫌な汗が流れる。
如月「……と言いたいところですが」
だけど如月さんは首を横に振ると困ったように肩を竦めた。
六山「言いたいところですが?」
如月「今の環境で裁きを執行してしまうと、僕はクロとなり自分と皆さんの命を天秤にかけなければならなくなります」
如月「僕はまだ死ぬわけにはいきませんし、皆さんの命を引き換えにする事は僕の正義に反します」
如月「残念ですが、悪に対する裁きの時間には猶予が与えられるようですね」
道掛「び、びっくりさせんなよ!殺す宣言に聞こえただろ!」
如月「ああ、すみません。少しまわりくどかったですね」
如月さんは、今まで通りコロシアイはしないって事か。
ヒヤヒヤしたな……
311 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/18(火) 22:39:12.26 ID:sPMEbmsA0
津浦「あの……モノクマの言う人殺しって誰の事なんですか?」
グレゴリー「言の葉の魔術師。それを追い求める事はパンドラの箱を開けると同義だ」
津浦「で、でもMr.グレゴリー……ワタシ、やっぱり怖いんです……」
土橋「気にしない方がいいよ琴羽。モノクマの事だからアタシ達って凪や千里も含めますとかやりそうだし」
御影「うわ、すっごくありそう……」
兵頭「ふふふ、それなら薄井さんがモノクマの言う人殺しという事になりますね」
鞍馬「……」
既に死んだ薄井も含めるか……確かにモノクマならやりかねない。
だとしたらこの動機は疑心暗鬼からコロシアイを起こさせるための……
312 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/18(火) 22:55:45.89 ID:sPMEbmsA0
津浦「……で、ですが、そうだとしたらおかしいところが」
御影「何が?」
津浦「モノクマがMr.如月やMs.遠見が人殺しと言った時に……しかもその手でと、言っていました」
グレゴリー「選ばれし者に霊魂たる者達が含まれるならば……ふむ、いささか惑いの言が過ぎるな」
四方院「確かに変な言い回しですわ。しかしそうなると……」
佐場木「つまり津浦。お前は間接的手段での死も含まれていると思っているわけか」
津浦「は、はい」
佐場木「ならば話は簡単だ。人殺しとやらは俺だ」
遠見「さ、佐場木殿!?」
佐場木「俺は何人もの犯罪者に死刑判決を下してきた」
佐場木「間接的という意味なら俺は人殺しという区分に分類されるだろう」
佐場木「つまり津浦、その不安はただの杞憂だ」
津浦「……」
グレゴリー「言の葉の魔術師、闇に飲まれるな。我がいるのだからな」
津浦「はい……」
これで、今回の動機は……なんとかなったのか?
313 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/18(火) 23:24:22.30 ID:sPMEbmsA0
【ショッピングモール】
六山「今回は乗りきれそうだね」カチカチ
赤穂「そうだな……モノクマの狙いがなんにしろ、コロシアイなんて起きないに越したことはないしな」
六山「あっ、ちょっと待っ」
赤穂「おっ、初めて六山に勝った」
六山「はあ……負けちゃった。【超高校級のゲーマー】じゃないからやっぱり負け知らずとはいかないなぁ」
赤穂「【超高校級のゲーマー】……そういえば77期生にいたな」
六山「七海千秋さんでしょ?ゲームソフトのバグ関連の依頼受けた時に名前聞いた事あるよ」
赤穂「やっぱり有名なのか」
六山「うん。ああいう楽しんでゲームしてくれる人がいたからわたしもデバッガーとして頑張れたんだ」
赤穂「……その言い方からして失踪したのも知ってるんだな」
六山「……うん。どこかでゲーム楽しんでくれてたらいいんだけどね」
【超高校級のゲーマー】の失踪……人類史上最大最悪の絶望的事件に巻き込まれたって噂だけど……
だとしたらここにもその爪痕が残ってるって事だよな……
314 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/19(水) 22:16:06.15 ID:vJjGmz6A0
【ホテルミライ・ロビー】
御影「……ねえ、ちょっと聞きたい事があるんだけど」
四方院「なんでしょう?」
御影「静音って、どんな子なの?」
赤穂「おい牡丹……!」
ホテルに入った瞬間聞こえてきた会話に思わず声を出してしまう。
牡丹のやつ、四方院さんに静音の事聞くなんて何考えて……!
四方院「凪の事をお知りになりたいんですの?ふふっ、構いませんわ。赤穂さんもよろしかったら」
赤穂「えっ、あ、ああ」
四方院「さて、そうですわね……凪を一言で表すなら、わたくしの人生の恩人です」
御影「人生の恩人……」
四方院「わたくしは今でこそ【超高校級のフルート奏者】と呼ばれていますが……実はフルートをやめようと思っていた時期があったんです」
315 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/19(水) 22:42:20.55 ID:vJjGmz6A0
四方院「あの頃のわたくしにとってフルートはただやっているだけのものでした」
四方院「大人達が難しい評価をして、年の離れた奏者が妬みを隠さないままお世辞を言う……同年代の子が友達と遊ぶなかでわたくしはひたすら大人に叱責されながら演奏の日々」
四方院「正直疲れはてていましたの。だからそれなりに大きな演奏会で初めて独奏を任された時、わたくしは決めたんです」
四方院「もうフルートを吹くのは最後にしよう……と」
四方院「そんな気持ちのまま控え室で演奏を練習していて……それが一段落した頃」
四方院「凪と、出会いましたの」
四方院「凪はわたくしの演奏を聞いていたようで、はっきりとこう言いましたわ。【すごい!】と」
四方院「それだけと思いますか?ですがわたくしにとってあの凪のたった一言は……大人達の理屈をこねた言葉や他の奏者達の負の感情をこめられた言葉よりも……」
四方院「はるかに尊く、嬉しい言葉だったんです」
四方院「出番が来るまで凪と話して……もっと話をしたい、わたくしのフルートを聞いてもらいたいと思うようになって」
四方院「その頃にはフルートをやめるなんて思っていた事は頭から消えていましたの」
四方院「凪と過ごす時間はわたくしの心を救ってくれました」
四方院「そしてあの子がわたくしの演奏会に指揮者として来て、これからはステージでも一緒だよと言ってくれて」
四方院「あの子がいなければわたくしはきっとフルートをやめていて……本当にあの子はわたくしの……あら?」
御影「涙……出てるよ」
四方院「ふふっ、わたくしもあの子がいないと落ち着かないという事でしょうか……」
四方院「ああ、早くあの子の所に行きたいですわ……」
赤穂「……」
静音は四方院さんをあんなに慕っていたけど……四方院さんの方も静音をこんなに想ってたんだな……
316 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/19(水) 23:40:56.89 ID:vJjGmz6A0
兵頭「鞍馬さんはどんな才能でここにいるんですか?」
鞍馬「……いきなりなんですか」
兵頭「ふふ、だって気になるじゃないですか。あなたと御影さんは才能不明なんですよ?」
鞍馬「……」
兵頭「最初は才能がないのかもしれないと予測しましたけど……そうだとしたらあなたが如月さんと渡り合える説明がつきません」
鞍馬「……」
兵頭「かといって才能があるのならよほどのものでもない限り名前ぐらいは聞くのにそれもありません」
鞍馬「……」
兵頭「全てが謎……あなたは何者なんですか?鞍馬類さん」
鞍馬「……答える義務はありませんね」
兵頭「そうですか。ふふ、答えてくれるとは思ってませんでしたが」
鞍馬「人を探る前に自分の身の振り方を考える方がいいのでは?」
兵頭「はい?」
鞍馬「このままでいるようならあなたは死にますよ」
兵頭「……ご忠告どうもありがとうございます」
赤穂「……何してるんだ」
言い争いと言うほどでもないけど、静かに火花が散ってるぞ……
兵頭「ふふ、なんでもありませんよ」
鞍馬「……」スタスタ
本当に……何を話してたんだ?
317 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/21(金) 23:18:21.39 ID:mPqTqfNA0
【図書館】
グレゴリー「……」
赤穂「グレゴリー?」
グレゴリー「聖痕抱きし英雄か」
赤穂「もう夜になるぞ。コテージに戻った方がいいんじゃないか?」
グレゴリー「もうそこまでの時が経っていたか……」
赤穂「なんだ、本に夢中になってたのか?」
グレゴリー「然り。己が力を高めるためにあらゆる知識を我が物とする事は時の代償が不可欠だ」
赤穂「あんまり根を詰めすぎるなよ?」
グレゴリー「案ずるな、今我が地に伏せば言の葉の魔術師の精神に傷を負わせかねん」
赤穂「……そうだな」
グレゴリー「さて、闇も迫り来ている……我は戻るとしよう」
赤穂「グレゴリー」
グレゴリー「むっ?」
赤穂「今は津浦の事はお前に頼るしかない……だから何かあったら頼るようにしてくれよ」
グレゴリー「ふっ、我も孤独ではないという事か……その言霊、我が血潮としよう」
グレゴリーは津浦の事といい結構無茶するからな……
318 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/21(金) 23:25:13.15 ID:mPqTqfNA0
【赤穂のコテージ】
キーン、コーン、カーンコーン
モノクマ「夜10時になりました!」
モノクマ「そろそろお休みした方がいいよ!」
モノクマ「うぷぷ、また明日……」
赤穂「……」
前みたいに、動機が出されてすぐに何かする人間は出なかったな。
赤穂「このままモノクマの動機をはね除けていけば……」
俺もそのために出来る限りの事をしないとな……
319 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/21(金) 23:26:26.97 ID:mPqTqfNA0
【???】
「……」
「…………」スッ
カタン
「……」ニヤッ
スタスタ……
320 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/21(金) 23:46:23.89 ID:mPqTqfNA0
【9日目】
キーン、コーン、カーンコーン
モノクマ「7時です!さあ、起きた起きた!」
モノクマ「今日も張り切っていきましょー!」
赤穂「んっ……」
朝か……牡丹を迎えにいかないとな。
【ホテルミライ・ロビー】
御影「ふああ……」
赤穂「眠そうだな、遅かったのか?」
御影「んー、なんか誰かが夜中出歩いてたみたいでさ……」
赤穂「夜中に出歩いてた?誰がだよ」
御影「知るわけないじゃん。ただコテージ周りの木の床が鳴る音しただけだし」
赤穂「誰かが夜中に……」
……いや、まさか。
そんなはず、ないよな?
321 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/22(土) 00:08:29.63 ID:rUiSvZIA0
【ホテルミライ・レストラン】
苗木「おはよう2人共」
ジェニー「おはようです!」
道掛「おーっす」
赤穂「おはよう……ってあれ?みんなはどうしたんだ?」
苗木「それが……今日これだけしかまだ来てないんだよね」
御影「……えっ」
道掛「奏ちゃんも美姫ちゃんも来ないから俺達で飯作ってたんだけど、なんかおかしくね?」
ジェニー「いつもならハンジやメメも来てるです……」
赤穂「……」
なんだこれ……何かおかしいぞ。
赤穂「ちょっとみんなを起こしてくる!牡丹はここにいてくれ!」
御影「あっ、兄貴!」
322 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/22(土) 00:20:56.03 ID:rUiSvZIA0
【ホテルミライ・コテージ周辺】
佐場木「くそっ、何が起きている……!」
遠見「とにかく今は各人の安否確認であります!」
兵頭「私は本当に……」
如月「これはいったい……」
鞍馬「……」
赤穂「!?」
なんで外から5人が……いや、今はそれどころじゃない!
佐場木「赤穂か!おい、レストランには今何人いる!」
赤穂「俺を入れて5人……牡丹、苗木、ジェニー、道掛だ」
遠見「それだけで、ありますか……!?」
如月「こちらにいるのも5人……いないのは六山さん、グレゴリーさん、津浦さん、土橋さん、四方院さんですか……」
ガチャッ
六山「ふああああ……おはよー。みんな集まって何してるの?」
兵頭「これで4人、ですね」
赤穂「いったい何があったんだよ。なんで佐場木達は外から……」
ピンポンパンポーン…!
323 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/22(土) 00:22:29.05 ID:rUiSvZIA0
モノクマ「死体発見!死体発見!」
モノクマ「捜査タイムの後学級裁判を始めまーす!」
324 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/22(土) 00:30:26.42 ID:rUiSvZIA0
赤穂「!?」
佐場木「死体だと……ちいっ!急いで残りの4人を探すぞ!」
ホテルから出ていく佐場木達を俺も追いかける。
死体発見アナウンスは3人以上の人間が死体を見つけた時に鳴る。
つまり4人の中の誰かが殺されて……それを残りの3人が見つけたって事だ。
いったい誰が。
後ろから来た何人かに追い抜かされて、心臓をバクバクと鳴らしながら……
俺もそこにたどり着いた。
325 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/22(土) 00:34:31.24 ID:rUiSvZIA0
【建物の中は相変わらず暗く、幻想的な空間だった】
【そこにいたのは4人の人間】
【1人は泣き崩れていた】
【1人は呆然と見上げていた】
【1人は床に座り込んでいた】
【そして見上げていた1人の視線の先には……最後の1人がいた】
326 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/22(土) 00:40:57.06 ID:rUiSvZIA0
【超高校級のフルート奏者四方院奏は……】
【なぜか右腕がないまま】
【水族館の中で首を吊られていた】
327 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/22(土) 00:44:19.53 ID:rUiSvZIA0
CHAPT.2【糸絡まりて命絶つ】(非)日常編 END
生き残りメンバー15→14人
NEXT→非日常編
328 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/22(土) 00:45:43.33 ID:rUiSvZIA0
本日はここまでで。
四方院さん退場です。
次回捜査開始します。
それではおやすみなさい……
329 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/22(土) 23:58:42.49 ID:rUiSvZIA0
捜査は3日以内には始めたいと思います。
なお今回の席順は時計回りで
赤穂→ジェニー→四方院→道掛→グレゴリー→御影→遠見→苗木→兵頭→如月→鞍馬→土橋→佐場木→津浦→薄井→六山→静音→赤穂
です。
330 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/24(月) 21:48:29.75 ID:opdhhwbA0
CHAPT.2【糸絡まりて命絶つ】非日常編
331 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/24(月) 22:16:08.72 ID:opdhhwbA0
赤穂「……」
首を吊られている四方院さん……
結局彼女は、静音の死を受け入れられないまま……殺されてしまった。
佐場木「……くそっ!」
遠見「……」
御影「静音の所に帰るんじゃなかったの……なんで、こんな……」
赤穂「牡丹……」
モノクマ「ある意味ではよかったじゃない!望み通り静音さんに会いに逝けてさ!」
苗木「モノクマ……!」
道掛「出やがったな!」
モノクマ「さてさて、オマエラが呑気にしてる間にまたコロシアイが起きてしまったわけですが」
モノクマ「ここからはのんびりしてらんないよ!捜査タイムは有限なんだからね!」
モノクマ「というわけで!ザ・モノクマファイル2ー!」
モノクマ「うぷぷ!次はどんな本性が明るみになるのかな?」
モノクマ「アーハッハッハッハッハ!」
六山「本性……」
如月「下らない戯れ言ですね……」
赤穂「……」
本性……それを隠して四方院さんを殺した人間。
俺達は……暴き出さないといけないんだ。
【捜査開始】
332 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/24(月) 22:43:13.23 ID:opdhhwbA0
赤穂「モノクマファイル……今回は何が書いてあるんだ?」
【被害者は四方院奏。
死因は首を絞められた事による窒息死。
被害者は右腕を二の腕から鋭利な刃物で切断されている】
赤穂「……」
なんだこのモノクマファイル……
死亡推定時刻はともかく……死体発見現場まで書かれてない?
赤穂「水族館なのはわかりきってるのに……なんでだ?」
コトダマ【モノクマファイル2】を手に入れました。
〔被害者は四方院奏。
死因は首を絞められた事による窒息死。
被害者は右腕を二の腕から鋭利な刃物で切断されている〕
333 :
◆DXWxLR/SkYo1
[saga]:2016/10/24(月) 23:10:11.45 ID:opdhhwbA0
佐場木「遠見、今回も見張りは任せる」
遠見「了解であります」
道掛「じゃあ俺もまた見張りするぜ!」
佐場木「……今回は勘違いなどしないようにしっかり見張れよ」
道掛「おう、任せとけ!」
佐場木「……とにかくまずは死体を降ろす。苗木、手伝え」
苗木「えっ、あっ、うん!」
水槽の横にある梯子を登って佐場木が四方院さんを吊るすロープの側まで行く。
俺も手伝いたかったけど、この足だと上には行けそうにない……
佐場木「……この水槽は中に梯子があるタイプか。その梯子にロープは結ばれているようだな」
佐場木がロープをほどくと、四方院さんの身体がゆっくりと下に降りてくる。
苗木「っ……だ、大丈夫だよ佐場木クン」
佐場木「今戻る。誰も触らせるなよ」
佐場木は戻ってくると四方院さんの死体を調べ出した……俺も気になる所は調べないとな。
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