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うしおとセイバー
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434 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/21(金) 15:16:29.32 ID:woLE5YMzo
乙…
まさかのおじさんに…っ…あと妖怪じじいの最期も悪くなかった
435 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/21(金) 19:52:01.68 ID:e9tr39WYo
おじさんが報われた…素晴らしい
436 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/07/24(月) 15:46:41.90 ID:CLbC6O0Eo
乙ー
437 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/04(金) 02:26:13.33 ID:KBMhIiYfO
今も裸で待ってる
宝具スキップも待ってる
438 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/04(金) 12:48:59.43 ID:7HzYBd15o
ぁ
439 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/08/24(木) 21:55:45.61 ID:vZ95kBPQ0
【第二十一話 うしおとセイバーの縁『全て遠き理想郷』 】
440 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/08/24(木) 22:02:45.36 ID:vZ95kBPQ0
・蒼月家蔵
うしお「悪いなセイバー、蔵の寄贈品の整理なんて手伝ってもらってよ」
セイバー「いえ、マスターが聖杯戦争に専念出来るようにするのもサーヴァントの務めです」
セイバー(……あれから数日、サクラの体調は良好だ)
セイバー(アサコたちは、リンとサクラが姉妹だという話を聞いたときは驚いたようだった)
セイバー(しかし、彼女たちの人柄の良さか今は既に馴染んでいる)
セイバー(それに他サーヴァントの襲撃もなければ、気配も感じられない)
セイバー(穏やかな日々が続いている……)
441 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/08/24(木) 22:09:41.33 ID:vZ95kBPQ0
桜「イズナさん、本当にありがとうございましたっ!!」
ムギュ
イズナ「はっー、イイってことよォ〜」
とら「イズナ、なーにニヤケてんだよ……」
セイバー「次は私の番ですサクラ!!」
イズナ「えっ?」
セイバー「この肌触り……なかなか……」
ギュ
イズナ「…………」
セイバー「ん? 先ほどと反応が違いますね。抱き方を間違えましたか」
イズナ「い、いや、そんなことはねえぜい……」
とら「イズナ……おめえ……」
442 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/08/24(木) 22:17:31.74 ID:vZ95kBPQ0
おんじ「うーむ……。聖杯戦争、ねぇ……」
とら「なんだじじい。まーだ信じてねえのかよ?」
おんじ「説明されても信じられんわい」
イズナ「ま、そりゃそうだ」
おんじ「人間は土に帰るが妖怪は違う。その土からさえ帰ってくるのが妖怪じゃ」
おんじ「それには長ーい時間がかかる。だが、長飛丸はここにおる」
おんじ「あーあ、信じるしかないかの……」
イズナ「クク、確かに消えてもすーぐ戻ってきて同じ人間にとり憑くヤツなんて聞いたことねえや」
とら「ああ!? イズナ、そりゃわしのことじゃねえだろうな!?」
おんじ「イズナはどうするんじゃ、わしは鏡に帰るぞ」
イズナ「オレは久しぶりにこっちに来たから暫く厄介になるぜい」
とら「チッ、いつもの観光まじりかよ」
イズナ「いやあ、久しぶりにうしおと長飛丸の漫才が見たいのさ」
とら「イズナァァァァーーーー!!!!」
イズナ「おっと、オレは焼かれんうちにズラかるぜ〜〜!!」
おんじ「長飛丸に土に帰されそうなことをようやるわい……」
443 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/08/24(木) 22:23:02.43 ID:vZ95kBPQ0
うしお「おんじ、本当にサンキューな」
おんじ「今回だけだぞ蒼月潮。本来、妖怪と人間は」
セラ「おんじ様、ありがとうございました」
おんじ「だから妖怪と人間は」
リズ「おんじ、またね」
おんじ「…………」パリンッ
おんじ「妖怪と人間は手を取り合ったりしねーの!!」
444 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/08/24(木) 22:37:49.67 ID:vZ95kBPQ0
とら「ったく、うるせーヤツが増えやがったぜ」
ぱく、もぐもぐ、もぐもぐ
イリヤ「トラ、それなに?」
とら「ああ? なんだよおめえも『はんばっか』知らねーのか」
イリヤ「ハンバッカ……」
とら「おいマユコ。まだあるんだろ?」
真由子「はう。とらちゃん、もうハンバーガーないよ」
とら「なら仕方ねーな。食いたきゃ買いに行きな」
イリヤ「ハンバッカを買いに?」
とら「あぁ、わしも前に知り合いの妖と町に買いに行ったことがあるぜ」
真由子「えっ!?」
セラ「いけませんお嬢様!!」
セラ「お嬢様の食事は栄養バランスもカロリー計算も含めて、全て私が完璧に管理してるのです!!」
セラ「ハンバーガーなど買いに行かせませんよ!!」
イリヤ「セラ、うるさすぎ……」
イリヤ「ねぇキリオ。今度二人でハンバッカ食べに行くわよ」コソコソ
キリオ「え、えぇっ、それって、デー……」
真由子「とらちゃんが私の知らないところでデートしてた……」
とら「なに言っとんだマユコ……」
445 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/08/24(木) 22:52:33.83 ID:vZ95kBPQ0
うしお「桜姉ちゃん、間桐先輩は?」
桜「間桐の家には帰ってないみたいでした」
うしお「そうか……」
凛「アイツに借りがあるなんて、ちょっと癪だけど」
凛「中村さんたちの話を聞くとそうも言ってられないわね」
うしお「あぁ、今回は間桐先輩に助けられたんだ。でも先輩はどこに……」
桜「大丈夫だと思います」
うしお「桜姉ちゃん……?」
桜「兄さんも間桐なんですから、必ずあの家に帰ってきます」
桜「私はそう思います」
凛「そうね。アイツに限ってこのまま消えるなんてないでしょ」
うしお「あぁ、それならそのときに今回の礼を言うさ」
446 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/08/24(木) 23:03:10.94 ID:vZ95kBPQ0
凛「うしおくーん!!」
うしお「り、凛、姉ちゃん……。こ、これでいいのかい?」
凛「ちょっとまだぎこちないわねぇ」
桜「蒼月くん、姉さん、これはどういうことですか……?」
うしお「桜姉ちゃんっ!?」
凛「あぁ桜、そろそろ呼び方を変えようと思ったのよ」
凛「もう蒼月くんとの同盟関係も長く続いてるんだし、遠坂先輩って呼び方は余所余所しいでしょ?」
桜「それで、姉さんを、お姉ちゃんと……」
凛「桜が桜お姉ちゃんなら、当然、姉の私も凛お姉ちゃんでしょ」
うしお(桜姉ちゃんは間桐先輩がいたからそう呼ぶようになっただけで遠坂先輩は別にいいんじゃ……)
凛「とにかく、同盟関係を円滑に進めるためにも呼び方は重要なのよ」
凛「だから私も蒼月くんをうしおくんって呼ぶことにしたしね」
桜「え……」
うしお「それは別にいいぜ。みんなそう呼んでるしよ」
桜「なっ……!?」
凛「あら桜、どうしたの?」
桜「……もう我慢出来ません……。姉さん、お話があります……」
凛「ふふ、いいわよ。どこにする。広い場所がいいわね、本堂でも行く?」
うしお「え……?」
桜「本堂は私と照道さんが掃除をしたばかりです……。境内にしましょう……」
凛「オッケー。それじゃ行きましょうか」
うしお「えっと、話し合い、なんだよな……?」
447 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/08/24(木) 23:14:46.10 ID:vZ95kBPQ0
・蒼月家蔵
うしお「また手伝ってもらってすまねえな、セイバー」
セイバー「いえ、気にしないでくださいウシオ」
セイバー「ん……。ウシオ、あれはなんですか?」
うしお「え? どれのことだい?」
セイバー「その一番奥にある、その、この蔵には不釣合いなアタッシュケースです」
うしお「アタッシュケースゥ……?」
うしお「そんな大層なモンはウチの蔵にはねえさ」
うしお「ここにはお祓いを頼まれた変なものと、ムシぼしが必要な古本ぐらいだぜ」
セイバー「いえ、そこにあるではないですか、大きなアタッシュケースが」
うしお「え……?」
セイバー「……?」
うしお「ははっ、なんだよ、セイバーが冗談言うなんて珍しいなァ」
セイバー「なっ……」
うしお「まぁ確かに、こんな古い蔵の整理なんて冗談の一つでも言いたくならァ」
セイバー「ウ、ウシオ……?」
うしお「よっと、オレはこの古本を外に出してくるから、セイバーは休んでてくれよ」
セイバー「ウシオには、見えてない……?」
448 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/08/24(木) 23:27:02.90 ID:vZ95kBPQ0
セイバー「認識阻害の魔術……」
セイバー(リンに報告を……。いや待て、他サーヴァントが仕掛けた罠の可能性も……)
セイバー(……それはないか。こんな場所に仕掛けて効果があるとは思えない)
セイバー(それになにより、私はこれに見覚えがある気がする……)
ガチャ
セイバー「……………………」
セイバー「……そうか。これを、貴方は……」
セイバー(前回の聖杯戦争の私のマスター、衛宮切嗣……)
セイバー(キリツグ、私は『あの後』なにがあったのか知らない……)
セイバー(しかし貴方は当時協力関係だったウシオの父、シグレにこれを託したのですね)
セイバー(謎が解けた……)
セイバー(魔術師ではないウシオが私を召喚出来たのは、この蔵に私の聖遺物があったから……)
セイバー(マスターとサーヴァントの境遇で召喚したのではない……)
セイバー(私とウシオは違う……。私は、国を救ってなどいないのだから……)
449 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/25(金) 00:46:33.68 ID:tuw8NLT6O
乙
450 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/08/25(金) 22:45:45.49 ID:zI4fMi7B0
・蒼月家居間
セイバー「それで、その、ピクニックというのは……?」
凛「そうね。簡単に説明すると綺麗な景色の場所に行って、お弁当を食べたり遊んだりすることかしら」
セイバー「なるほど……。専門的な言葉かと思いましたが、理解しました」
セイバー「しかし私たちは聖杯戦争の最中なのです。そんなことをしている時間はありません」
セイバー「ここ数日、敵サーヴァントの気配がないことから気が緩んでいるのではないですか?」
うしお「そんなつもりはねえけどさ……。セイバー、なにかあったのかい?」
セイバー「いえ、別に……。しかし何故いきなり、そのピクニックを?」
うしお「あぁ、よく分からねえけど麻子がどうしてもセイバーにお礼がしたいとか言ってよ」
セイバー「アサコが……」
セイバー(初めて会ったときの、騎士の誓いか……)
セイバー(残るサーヴァントはランサーとあの男……。聖杯戦争も終盤、こんな機会はもう……)
セイバー「……分かりました。ピクニックに行きましょう」
451 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/08/25(金) 22:53:39.54 ID:zI4fMi7B0
イリヤ「はいはいはーい!! 私たちもピクニック行くーー!!」
キリオ「イリヤ!?」
イリヤ「キリオも行くでしょ?」
キリオ「う、うん、行くよ」
リズ「もちろん私たちも、行く」
セラ「それではピクニックの準備を始めましょう」
凛「ええ、そうね。まずはお弁当を作らないと。桜、手伝って」
桜「はい姉さん。美味しいお弁当を作りましょう」
イズナ「なんだか楽しそうなことになってきやがったみたいだな」
イズナ「長飛丸〜! オレたちも何か美味いモン作ってもらおうぜー!」
とら「妖が人間の食いモン欲しがってんじゃねえや!!」
452 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/08/25(金) 23:06:58.22 ID:zI4fMi7B0
・海浜公園
とら「おいマユコ。妖はな、人間の食いモンなんか」
真由子「じゃーん、このケーキ私が焼いたんだよ〜」
真由子「とらちゃん、私が前にケーキも焼いてあげるって言ったの覚えてる?」
とら「あぁ? そんなこともあったかよ。でもなマユコ、妖は」
真由子「はい、あーん」
パクッ、もぐもぐ
とら(相っ変わらず話を聞かんヤツだ……)
イズナ「おっ、タマゴのサンドイッチか。一つ貰うぜい」
セラ「タマゴが好きなのですか?」
イズナ「おうよ。それにこいつを混ぜて飲むお蕎麦がまたいいんだよなァ」
リズ「イズナ、人間くさい」
453 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/08/25(金) 23:24:58.45 ID:zI4fMi7B0
少年「そっち行ったぞーー!!」
少年「よし、次はオレだ〜〜!!」
セイバー「…………」
麻子「セイバーさん?」
セイバー「アサコ、あの子供たちは何をしてるのですか?」
麻子「え? あぁ、あれはサッカーですかね」
セイバー「サッカー……」
麻子「まぁゴールがないから、ただボールを取り合ってるだけみたいですけど」
セイバー「なるほど、あの球体を奪い合っていると……」
麻子「もしかしてセイバーさん、興味あります?」
セイバー「……少し」
麻子「それなら私たちも入れてもらいますか。おーい!!」
少年「ん?」
セイバー「し、しかしアサコ」
麻子「きっと見ているより楽しいわ。だから行きましょ、セイバーさん」
セイバー「……そう、ですね。ええ、望むところです」
454 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/08/25(金) 23:47:47.29 ID:zI4fMi7B0
イリヤ「キリオ、次はブランコね!!」
キリオ「ちょ、ちょっと待ってよイリヤ〜〜!!」
凛「うしおくん、もちろん私のお弁当のほうが美味しかったでしょ?」
桜「私のお弁当のほうが美味しかったですよね、うしおくん?」
うしお「い、いやァ、えーと、どっちもウマかったっていうか、その」
麻子(なにようしおのヤツ、凛先輩と桜先輩にデレデレしちゃって……)
少年「ねーちゃん、ボール見つかったー?」
麻子「えっ、あぁ、あったわよ」
麻子(私のお弁当には美味しいなんて言ってくれなかったくせに……)
麻子「あの……あの……馬鹿ァーー!!」
セイバー「ア、アサコ!?」
少年「ねーちゃんどこ蹴ってんだよーー!!」
麻子「ご、ごめーん!!」
455 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/08/26(土) 00:07:49.60 ID:LrJa985u0
うしお「どっちかなんて決めれねえよォーー!!」
セイバー「……なるほど。そういうことですか」
麻子「セ、セイバーさん……」
セイバー「そうではないかと思っていましたが、やはりそうなのですねアサコ」
麻子「……私って、そんなに分かりやすいですか?」
麻子「よくクラスメイトにもからかわれるんですよね……」
セイバー「いいではないですか。アサコ、貴方は素晴らしい人柄をしている」
麻子「ええ? そんなことは……」
セイバー「先ほど、あの子供たちに自然に混ざっていったのを見ても確信しました」
麻子「それはただ私が子供っぽいだけのような……」
セイバー「いえ……」
セイバー「私も、アサコのように輪に入ればよかったのかもしれません」
456 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/08/26(土) 00:24:45.55 ID:LrJa985u0
麻子「セイバーさんが、私みたいに……?」
セイバー「はい。貴方のような人物なら、きっと……」
セイバー(……そう。私より相応しい王がいるはずだ。国を救う王が……)
麻子「なに言ってるのセイバーさん、そんなの駄目よ!!」
セイバー「えっ?」
麻子「私なんて短気でがさつで、英雄になんて絶対なれないわ!!」
セイバー「いえ、そんな」
麻子「えっと、そうだわ。消防士さんは火を消せるでしょ、パン屋さんはパンを作るのよ」
セイバー「は、はぁ……」
麻子「でもパン屋さんが消防士さんになろうとしたら大変よ。パンがなくなって消防士さんは腹ペコなの」
セイバー「腹ペコは、一大事ですね……」
麻子「そうでしょ!?」
麻子「あれ、こんな話、前にも……。と、とにかくセイバーさんだからセイバーさんなのよ」
セイバー「それは……」
麻子「なに言ってるんだ私……。だから私が言いたいことはねえ」
麻子「セイバーさんがセイバーさんだから、英雄のセイバーさんなのよ!!」
セイバー「私が……私だから……」
457 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/08/26(土) 00:26:46.30 ID:LrJa985u0
遠い誓いを、思い出した
458 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/26(土) 02:14:46.62 ID:RLDs0MHWO
麻子は良いヒロインだよね
459 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/26(土) 04:16:50.85 ID:rL+vpatWO
乙ー
460 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/08/27(日) 00:26:08.61 ID:ykFtuGNP0
うしお「あれ、セイバー?」
セイバー「……ウシオ」
セイバー「リンとサクラからは解放されたのですか?」
うしお「えっ、あ、あぁ、なんとかな……」
うしお「セイバーのほうは何をしてたんだい?」
セイバー「この公園の地形を把握するために歩いていました」
セイバー「この場所で戦闘になることがあるかもしれませんから」
うしお「ピクニックでもセイバーは相変わらずだなァ。あっ、そうだ!!」
セイバー「ウシオ?」
うしお「一緒に来てくれセイバー。オレのとっておきの場所に案内するぜ」
461 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/08/27(日) 00:44:29.27 ID:ykFtuGNP0
・夕暮れの高台
セイバー「これは、凄いですね。この町を一望出来る。こんな場所があったとは……」
うしお「地元の人間ぐらいしか知らない場所さ」
セイバー「なるほど。ここがウシオのとっておき、ですか」
うしお「ははっ、ガキん頃は近所の公園のジャングルジムやここがオレの特等席だったからよ」
うしお「おっ、見ろよセイバー。夕日が綺麗だぜ」
セイバー「…………」
セイバー「……ウシオ。一つ聞いてもいいですか?」
うしお「ん? なんだい?」
セイバー「聖杯を……いや、聖杯でなくてもいい」
セイバー「もし今、どんな望みでも叶うとしたら貴方は何を望みますか?」
うしお「あぁ、もしもの話かい? そうだなァ……」
462 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/08/27(日) 01:03:08.27 ID:ykFtuGNP0
セイバー(私は確かめたい……)
セイバー(もし万が一、貴方が聖遺物ではなく私との境遇の一致や相性で召喚したのなら……)
うしお「そりゃオレだって欲しいモンはあるさ。あの画材セットにあの筆もいいよなァ」
うしお「あ、でも画材いれは麻子がオレの名前の刺しゅうが入った袋をくれたし、うーん……」
セイバー(ウシオ、貴方なら私と同じ選択をするのではないですか……?)
うしお「オレなら何を望むかなァ……」
セイバー「あの戦いを……」
セイバー「あの旅を、なかったことにしたいとは思いませんか?」
うしお「え……」
463 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/08/27(日) 01:19:32.67 ID:ykFtuGNP0
セイバー「貴方はトラと出会い、様々な人間や妖怪と戦っていった」
セイバー「その戦いの旅のなかで貴方は沢山のものを失ったはずだ」
セイバー「そして白面という巨大な妖怪。この国の一学生だった貴方が背負うには重すぎる運命だ」
セイバー「一度でも考えたことはありませんか? いや、あるはずだ!!」
うしお「セイバー……?」
セイバー「あのとき、獣の槍を抜かなければ……」
(選定の剣を抜かなければ……)
セイバー「トラに出会わなければ……」
(私が王にならなければ……)
セイバー「もっと自分には、より良い未来があったのでないかと!!」
(私より相応しい王が、あの国をより良い未来に救済してくれる!!)
うしお「セイバー……」
464 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/08/27(日) 01:42:58.73 ID:ykFtuGNP0
セイバー「ハッ、す、すみません。私は何を言って……」
うしお「いや、いいんだ」
うしお「セイバーの言うとおりさ。一度なんてもんじゃねえ、何度だってあるよ」
うしお「後悔だってした。あの時もっと周りを見ていたら、もっと飛び込んでいたらって」
セイバー「それなら……」
うしお「確かにつかめなかったモンは沢山あるよ」
うしお「でもよ、あの旅をなかったことには出来ねえよ」
うしお「あの旅があったから、何も知らなかったオレが少しはマシになったんだ」
うしお「オレとアイツの旅は無駄じゃなかった。オレはそう思ってる」
セイバー「ウシオ……」
うしお「それに決めたんだ」
セイバー「決めた?」
うしお「あぁ、もう誰もこぼさねえって」
うしお「そう決めたからには、なかったことになんて出来ねえさ」
セイバー「決めた……」
465 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/08/27(日) 01:49:48.18 ID:ykFtuGNP0
決めた
戦うと決めた
胸に抉られた一つの言葉
何もかも失って、みんなに嫌われることになったとしても
たとえその先に、避けえない、孤独な破滅が待っていても
それでも戦うと決めた、王の誓い
遠い誓いを思い出した
466 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/08/27(日) 02:03:39.50 ID:ykFtuGNP0
うしお「まぁ、それによ……あれだ……その……」
セイバー「ん?」
うしお「アイツに出会わなかったらなんて、もう考えられねえや」
セイバー「……なるほど。いえ、そうですね」
うしお「でもそれはセイバーもだぜ」
セイバー「私も?」
うしお「全部なかったことになんてしたらセイバーとも出会えないかもしれないだろ?」
うしお「オレはそんなの、やーだね」
セイバー「貴方は……」
セイバー「それは私もだ。ウシオ」
うしお「ははっ、それなら良かったぜ」
467 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/08/27(日) 02:13:35.52 ID:ykFtuGNP0
とら「やーっと見つけた。こんなとこにいやがったかよ」
うしお「とら!?」
とら「おめえのアホ面が見えねえからリンが探しに行けってウルセーのよ」
うしお「なにをとらァ!! 誰がアホ面だァーー!!」
貴方たちに出会って、思い出した
無駄ではない。私の戦いもそうだ
斬り伏せた者も散っていった者も、無意味などではない
私も、私の戦いに胸を張れる
とら「おい剣使い、なにやってやがる。行くぜ」
うしお「セイバー、みんなが心配してるらしいんだ。さ、行こうぜ!!」
その道が正しかったと、今までの自分が間違ってなかったと信じている
王は国を守った、けれど国は王を守らなかった、ただそれだけ
私の結果は無残だったけれど
その過程に一点の曇りもないのなら、それは……
セイバー「はい、マスター」
468 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/27(日) 03:33:03.04 ID:OqE0z6usO
乙ー
469 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/09(土) 00:54:11.34 ID:KUnV8ew50
・海浜公園
うしお「それじゃ遠坂せ……」
凛「ん……?」
うしお「り、凛姉ちゃん、この公園の対岸にサーヴァントが?」
凛「よし。ええ、とらが感じたって言うからには間違いないでしょ」
凛「敵サーヴァントが近くにいるのにうしおくんもセイバーもいないから心配したのよ?」
うしお「ごめん、急にいなくなったのは謝るからさ」
凛「まったく……。それで、セイバーはどう?」
セイバー「……はい、いますね。ランサーかあの男かまでは分かりませんが」
凛「こちらを誘ってるってことかしら?」
セイバー「いえ、本当にただこちらを見ているだけ、といった感じです」
凛「見てるだけ? 逆に不気味よそれ……」
とら「罠だろうが関係ねえな。槍使いでもあの金色野郎でも借りがあるのよ。わしは行くぜ」
凛「ちょっと待ってよとら。もうすぐ日も落ちるし桜たちもいるのよ。戦闘は許可しないわよ」
とら「チッ……。しかしいいのかよりん、今は敵の手がかりがなーんもねえんだぞ?」
凛「それは……」
470 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/09(土) 01:15:32.13 ID:KUnV8ew50
セイバー「トラの言うとおりだ。ようやく掴んだ敵の尻尾。このまま逃がしたくはない」
うしお「セイバーには何か考えがあるのかい?」
セイバー「ウシオとリンは、アサコたちを連れて先に帰宅してください」
セイバー「敵サーヴァントは私とトラで追います」
とら「ああ!? なんでわしがおめえと!!」
凛「それじゃ私たちの護衛が……」
セイバー「ウシオの家にはリンやイリヤの結界があります。いざという時は令呪もある」
うしお「そう、だな。それに、このままウダウダして夜になったら敵の思う壺かもしれねえ」
凛「……分かったわ。でもあのサーヴァントが陽動や罠だったら即時撤退すること」
セイバー「了解です」
凛「いいわね、とら?」
とら「けっ、分かったよ」
471 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/09(土) 01:21:56.11 ID:KUnV8ew50
・蒼月家居間
うしお「…………」
凛「うしおくん、立ってないで座ったら?」
うしお「え? あ、あぁ……」
凛「そんなにセイバーが心配?」
うしお「そりゃまぁね」
凛「そっか。うしおくんとセイバーは魔術の繋がりがないから不安になるわよね」
うしお「あぁ、でもセイバーが強いのは知ってるさ、それでもさ」
凛「大丈夫よ。私ととらは繋がってるから分かるの。戦闘にはなってないわ」
うしお「ってことは逃げられたのかな?」
凛「どうかしら。帰ってきたみたいだから直接聞きましょ」
472 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/09(土) 01:29:36.93 ID:KUnV8ew50
とら「けっ、面白くねえぜ」
凛「どうだったの?」
とら「それが分からねえのよ。あの逃げ足の速さなら槍使いか、それとも……」
うしお「とら、セイバーはどこにいるんだ?」
とら「剣使い? わしが知るかよ」
凛「は……?」
とら「臭いが途中で分かれて二手になったからな」
凛「なっ……。それじゃセイバーは今一人で……」
うしお「セイバー…………」
ダッダッダッ
凛「ちょ、うしおくん……!?」
とら「なんだよ、剣使い帰ってねえのか」
凛「とらァ!! なんでセイバーと一緒に行動してないのよ!!」
とら「こっちも事情があったのよ仕方ねーだろ!!」
凛「このアホとら……。さっさと追いかける!!」
とら「はあ!? なあんでわしが」
凛「令呪をもって命ず」
とら「ば、馬鹿やめろ!! 分かった、分かったよォ!!」
473 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/09(土) 01:35:59.22 ID:KUnV8ew50
・海浜公園
セイバー「…………」
??「どうしたセイバー」
セイバー「…………」
??「我(オレ)がわざわざ出向いてやったのだ。いつまでも黙っているのは無礼であろう」
セイバー「…………」ダダッ
??「山のなかに逃げ込んだか。身を隠すつもり……いや……」
??「ほう、抜け道か」
474 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/09(土) 01:40:03.60 ID:KUnV8ew50
・海浜公園上空
とら「ちっ、なあんでわしがこんなこと……」
うしお「とら!! しっかり飛んでくれよ!!」
とら「分かっとるわい!!」
うしお「セイバー、どこだ……」
うしお「あっ!!」
475 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/09(土) 01:49:32.28 ID:KUnV8ew50
・高台
??「フフ、逃げ込んだ先が行き止まりか。つくづく運のない女だなセイバー」
セイバー「……それは、どうかな」
??「ほう、まだ無駄な足掻きを続ける気か?」
セイバー「無駄などない。これまでの日々も、そして今日という日も」
??「なに……?」
うしお「セイバァァーー!!」
とら「なんだよ剣使い遊んでやがったのか。わしも混ぜなァァ!!」
セイバー「ウシオ!! トラ!!」
うしお「セイバー、大丈夫なのか!?」
セイバー「はい。ウシオならここで私を見つけてくれると思ってました」
セイバー「ここは貴方のとっておきですから」
うしお「へへっ、あぁそうだぜ」
476 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/09(土) 02:03:44.82 ID:KUnV8ew50
??「ここがマスターとの合流地点だったわけか」
??「いいぞ。男を誘い込むとは、女としての自覚が出てきたかセイバー」
うしお「コイツは……キャスターのときの……」
とら「金色野郎……!!」
??「これで、小僧と獣を足して三対一の形は出来たわけだ」
??「それでどうするセイバー。我と戦うか、この場で」
セイバー「それは……」
うしお「ちょっと待ってくれよ。戦うとか、その前にさ!!」
??「どうした小僧」
うしお「教えてくれよ、お前はいったい誰なんだ!?」
うしお「いや、それよりも一番聞きたいことがあるんだ」
うしお「お前が持ってる獣の槍はなんなんだ!!」
??「獣の槍、か……。ククッ……フフ、ハァーハッハッハッ!!」
うしお「っ……!?」
477 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/09(土) 02:15:04.20 ID:KUnV8ew50
??「小僧、貴様は獣の槍がどう創られたか知っているな?」
うしお「あ、あぁ、知ってるよ。いや、この目で見たよ」
??「ならば槍を打った鍛冶師、その人間はどこでその製法を知った?」
とら「なんでえ、なんの話だよおい」
うしお「とら、オレは覚えてるよ。ギリョウさんとおじさんの話を」
うしお「ギリョウさんは、干将と莫耶っていう名剣の話をおじさんにしたんだ」
うしお「それでおじさんはおばさんの髪を使って、神剣を造った。でもそれは折れちまった……」
うしお「だからギリョウさんは、もうあの方法しかないって……」
うしお「暗黒の邪法、人身御供で造られた大鐘の話さ。それを造剣の師匠から聞いたって言ってた」
うしお「でも、それが何だっていうんだ……?」
??「そうか。では獣の槍の元を辿れば、その名剣や大鐘になるわけだ」
セイバー「元を、辿る……?」
??「そうだセイバー。どんな宝具も元を辿っていけば『原典』に辿りつく」
セイバー「原典だと……」
??「伝説や逸話には必ず原典が存在する。それは獣の槍も例外ではない」
うしお「それじゃお前が持ってる槍は、オレたちが知ってる獣の槍じゃなく……」
とら「獣の槍の、原典の槍とでもいうつもりかよ……!!」
478 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/09(土) 02:24:08.97 ID:KUnV8ew50
セイバー「馬鹿な……。宝具の原典を持つ英雄など、いるはずが……」
??「それは早計だなセイバー」
??「最も古い時代、まだ世界が一つだったころ、全ての財はたった一人の王の物だったではないか」
セイバー「なっ、そんな、貴方は……」
うしお「セイバー……?」
??「小僧、我が誰かと聞いていたな」
??「現存する英雄の端くれでありながら王の名を知らぬとは、戯けが」
??「知るがいい、我が真名を」
??「我は人類最古の英雄王、ギルガメッシュ」
うしお「英雄、王……!?」
セイバー「ギルガメッシュ……!!」
ギル「覚悟を決めよ。この身は、人間も妖怪も敵うべくもなき英霊よ」
479 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/09(土) 02:36:49.06 ID:KUnV8ew50
とら「英雄王だかなんだか知らねえが、それがどうしたってんでえ」
とら「おめえはわしの獲物を横取りしやがった」
とら「わしは、その借りを返すだけよォォーー!!」
ギル「王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)」
パチンッ
うしお「なにもない空間から剣や槍が、矢みたいな速さで……!!」
とら「ちぃぃ〜〜〜〜!!!!」
ガスッ!!
とら「ぐはっ!!」
セイバー「トラ!! 無事ですか!!」
とら「わしがこんなもんでくたばるか……こんな……な、なんだァ!?」
セイバー「これは……」
セイバー「トラに刺さった剣が、形状を変えて地面に同化している……!?」
とら「こいつァ似たようなやつをやられたことがあるぜ……」
とら「黒炎どもが使ってた妖を千年ぬいつける『千年牙』と同じやつかよ……!!」
ギル「これで分かったか獣よ。古今東西、対妖怪の宝具など幾らでもある」
うしお「あ、あぁ……。空一面に武具が……」
セイバー「まさか、これが全て、妖怪のトラに対して有効な宝具……」
ギル「言ったであろう、我は妖怪が敵うはずがない英霊だと」
ギル「クククク……。ハァーハッハッハッハッ!!!!」
480 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/09(土) 02:52:24.83 ID:KUnV8ew50
とら「くそったれぇぇ〜〜〜〜!!!!」
とら「うしお!! 早くこいつを抜きやがれェ!!」
うしお「よ、よし……!!」
ギル「しかし白面を倒した英霊がこの程度か。まだ『紅煉』のほうが手応えがあったな」
とら「あんなカスと比べるんじゃねぇ……!!」
うしお「紅煉を、知ってる……!?」
ギル「戯れに遊んでやっていたが宿敵に見つかり、我から尻尾を巻いて逃げたがな」
うしお「宿敵……ヒョウさん……。それじゃ……」
セイバー「ギルガメッシュ、やはり貴様は……」
ギル「よい見世物であったぞセイバー」
ギル「白面に対峙する人間と妖怪の連合、その最終決戦はな」
とら「てめえ、あの場にいやがったのか……!!」
481 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/09(土) 03:04:12.90 ID:KUnV8ew50
うしお「いや、そうだ。おかしい事じゃねえのか」
うしお「凛姉ちゃんの言うとおり、コイツが前回の聖杯戦争から生き残ってるなら……」
セイバー「ウシオとトラたちの最終決戦の場にいてもおかしくはない」
セイバー「だがギルガメッシュ、貴様が『白面の者』と戦ったのか?」
ギル「戦うだと、我があの道化と。戯けたことを抜かすな」
ギル「我が手を下すまでもない、ヤツは王の器ではなかったからな」
セイバー「王の器……」
ギル「いいだろうセイバー」
ギル「貴様も無関係な話ではない。我と白面の話を聞かせてやる」
482 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/09(土) 03:09:44.42 ID:KUnV8ew50
・最終決戦、北海道上空
白面「かかかかかか!!!!」
白面「美味!! 他者の恐怖とはなんと美味なことか!!!!」
白面「獣の槍は砕け、全ての人と妖は我を恐怖している。くくくっ、もはや我に敵なし」
白面「ここがこの国の北端か。めぼしい所は焼き尽くし、ここまで来てしまったな」
白面「…………」
白面「何だ……。何かが近づいてくる」
白面「あの形状……。しかしこの速さ、自衛隊の戦闘機ではない……」
白面「そして我を恐怖しておらぬ。そのような者がまだこの国にいるのか……?」
「フハハハハハハハハハハ!!!!!!」
白面「何奴…………!?」
483 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/09/09(土) 08:31:42.61 ID:GwP66kVUO
乙ー
484 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/09(土) 10:42:50.82 ID:8TShVQbsO
乙
白面とAUOはどっちが古いんだろうか
485 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/09/09(土) 13:47:50.26 ID:cegWoYW70
世界が形成されたときに陰の気から生まれた白面のほうが設定的に古そうだけど
その白面を[
ピーーー
]ための槍の原典を英雄王が持ってるってどういうことなんだろ
486 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/09(土) 18:30:17.15 ID:rHUxpJY1O
白面が白面として生まれたのはシャガクシャの陰気に触れてだっけ?
487 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/09/09(土) 18:54:30.67 ID:1o4ad+6uO
王の財宝は時間軸関係なく増え続ける
488 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/10(日) 17:58:58.46 ID:RsDFV5Ls0
ギル「貴様が白面の者か」
ギル「この国の怪獣映画というのを見たことがあるが、まるでそれでな」
白面「人間では、ないな。だが妖怪でもない」
白面「一瞬で消滅させる前に聞いておこう、お前は何者だ」
ギル「クク、貴様を恐怖しない我の正体が気になるか、白面よ」
白面「見当はつく。おおかた守護者の類だろうな」
ギル「ほう、守護者を知っているのか」
白面「この国に封じられる前、我の前に幾度となく現れた」
白面「だが……」
白面「全て燃やしてやったがなァア」
ニヤァァ
489 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/10(日) 18:11:24.86 ID:RsDFV5Ls0
ギル「面白い。我は貴様を気に入ったぞ白面よ」
ギル「特に、その眼にな」
ギル「そうだ。王である我への眼差しはそうでなくてはいけない」
白面「王か……。人間の言葉で国の君主、支配権を持つ者、それらの意味を持つ言葉だ」
白面「くっくっくっ。おかしなことを言うなァ人間でも妖怪でもない者よ」
白面「人間と妖怪の希望は砕け、この国は沈み始めている」
白面「今この国で最も強い者は我だ。ならば我を王と呼ばずなんという?」
ギル「ククッ、やはり貴様は我を愉しましてくれるな」
ギル「いいだろう、貴様の言葉に乗ってやる」
ギル「この小さな国が完全に沈んだとき、我は貴様をこの国の王と認めてやろう」
490 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/10(日) 18:19:06.02 ID:RsDFV5Ls0
白面「我はこの国に飽いてきていた。ただ一人我を恐怖しない者よ」
白面「ならばこうしよう。この場所は北端、我は今より南下し更に蹂躙する」
白面「今度は人間と妖怪、全てを燃やし尽くして戻ってこよう」
白面「そして最後に残ったお前は、ついには我を恐怖し後悔する。くっくっくっ」
白面「我を王と認めながら上げる断末魔、それがこの国の最後を飾ることになる」
ギル「ククッ、フフ、いいぞ。それでいい。道化はそうでなくてはな」
ギル「だが、そう簡単に行くかな白面よ」
白面「何……」
白面(心なしか、人間どもの恐怖が薄らいできている……?)
491 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/10(日) 18:22:42.49 ID:RsDFV5Ls0
ギル「白面は行ったか」
ギル「ククク、道化が。貴様は王の器ではない」
ギル「その見上げる眼で王を語るなど嗤わせる」
ギル「そして……」
ギル「貴様を恐怖していない者は、我だけではないようだぞ」
ギル「白面の者よ」
「雄ぉ鳴ぉ雄ぉ鳴ぉ雄ぉ鳴ぉ雄ぉ!!!!!!」
492 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/10(日) 18:32:11.32 ID:RsDFV5Ls0
うしお「そんなことがあったのか……」
とら「てめえがあの場所にだとォ!!」
ギル「その後、白面は小僧と獣に倒され、我の前に戻ってくることはなかった」
ギル「賭けは我の不戦勝。いや、ヤツが戻ってこれなかったのだから完全なる我の勝ちか」
うしお「ギルガメッシュ、お前が前回の聖杯戦争の生き残りだっていうのは分かったよ」
ギル「そうだ。我は前回からこの世界に残り続けている」
うしお「でも、それならやっぱりおかしいぜ」
うしお「前回の生き残り、聖杯戦争の勝者なら聖杯で望みを叶えたんだろ!?」
うしお「なら今回の聖杯戦争に参加する必要はないじゃないか!!」
ギル「聖杯で望みを……?」
ギル「ククッ、フフ、ハハハハ!!」
ギル「セイバー、貴様、己がマスターに自分が聖杯に何をしたのか語ってないのか!!」
うしお「えっ……?」
セイバー「…………」
493 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/10(日) 19:01:39.60 ID:RsDFV5Ls0
ギル「前回の聖杯戦争、その女は聖杯を前にして宝具を使い破壊したのだ」
うしお「セイバーがっ!?」
とら「聖杯を手に入れるために、聖杯戦争に参加してるのにかよ」
セイバー「それは……」
ギル「まったく愉しませる女だ」
ギル「その様子では、その聖杯破壊が小僧との繋がりだというのも気付いていないのだろう」
セイバー「な、に……。どういう意味だ……」
ギル「ククッ、いや、話がそれたな。小僧、我は別に今回の聖杯戦争に参加しているワケではない」
ギル「我が関心があるのはセイバーだけだからな」
うしお「セイバーだけ……?」
ギル「我は前回の聖杯戦争で、その女と婚姻することに決めたのだ」
うしお「えぇっ!? こ、婚姻って、結婚だよな……」
とら「なんだよそりゃ……」
セイバー「戯れ言はやめろ英雄王。言ったはずだ、私は誰のモノにもならないと」
セイバー「私は一人の女である前に……」
セイバー「王なのだから!!」
494 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/09/10(日) 21:03:37.00 ID:GyZqHveZO
乙ー
495 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/10(日) 22:45:51.82 ID:RsDFV5Ls0
ギル「あの聖杯問答を乗り越え、あくまで王を名乗るか」
ギル「ならば貴様のいう王の真髄、その後ろの民を守ってみせろよセイバー」
セイバー「あぁ、望むところだ……!!」
ギル「いい気迫だ。いいだろう、こちらもそれ相応のモノで相手をしてやる」
ギル「この英雄王しか持ちえない、剣でな」
うしお「あれが剣!? いや、本当に剣なのか……?」
とら「おいうしお、わしに刺さったコイツを早く抜きな……」
うしお「とら……?」
とら「この馬鹿が分からねえのかァ!! とんでもねーのが来るってんだよ!!」
うしお「えっ!?」
とら「剣使いっ!!」
セイバー「分かっていますトラ。ですが私は引くわけにはいかない」
ギル「行くぞセイバー」
セイバー「はああああああああ!!!!」
ギル「天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)!!!!」
セイバー「約束された勝利の剣(エクスカリバー)!!!!」
496 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/10(日) 22:59:47.69 ID:RsDFV5Ls0
セイバー「ぐっ……。う、あぁ……!!」
ギル「味気ない。人類最強の剣がこの程度とは、相殺もまともに出来んのか!!」
うしお「そ、そんな……。セイバーの聖剣が、負けちまった……」
とら「当たり前だろうが、剣使いはりんと白いガキから魔力を少しずつ貰ってるだけよ」
とら「そんな状態で満足に宝具が撃てるかよ馬鹿剣使いがァ……」
セイバー「……ウシオ、トラ、私の後ろにいますか……?」
うしお「セイバー大丈夫なのか!?」
とら「もういい剣使い!! わしと代われェ!!」
ギル「ほう、耐えていたか。ククッ、そうでなくてはな」
セイバー「ウシオもトラも、そこにいるのですね……」
うしお「あ、あぁ、セイバーのすぐ後ろ、手の届く距離にいるよ」
セイバー「よかった。ならばそのままで……今までのように……」
セイバー「私を……私の道を、照らしていて下さい」
うしお「セイバー…………」
とら「おめえ…………」
497 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/10(日) 23:10:39.79 ID:RsDFV5Ls0
セイバー「ギルガメッシュ、勝負はこれからだ……!!」
ギル「立ち上がるかセイバー。国のため、民のため、それが貴様の道か」
ギル「未だ分からないようだな、王にとって国とは己のモノに過ぎないことが」
ギル「そんな事だから騎士王よ、貴様は国によって滅ぼされたのだ」
セイバー「あぁその通りだ。だが英雄王よ、そんな事だから貴様は国を滅ぼしたのだ」
ギル「減らず口を……」
ギル「しかしそこまで言うのなら次も耐えれるな、セイバーよ」
セイバー「…………」
ギル「天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)!!!!」
うしお「セイバァァァァ!!!!」
とら「剣使い…………!!!!」
498 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/10(日) 23:17:19.30 ID:RsDFV5Ls0
その道を信じている
太陽と月が照らす私の道は
間違ってなかったと信じている
結果は無残でも
その過程に一点の曇りもないのなら
それは……
それこそは……
セイバー「全て遠き理想郷(アヴァロン)!!!!」
499 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/10(日) 23:29:00.84 ID:RsDFV5Ls0
ギル「な、に…………!?」
とら「こ、こいつァなんだァ!?」
うしお「あのギルガメッシュの攻撃をセイバーが防いでる!?」
うしお「あれもセイバーの聖剣の力なのか……!?」
とら「いや違うぜ、ありゃ剣じゃねえ……!!」
ギル「アヴァロン、何ものにも侵害されぬ究極の護り、それこそが貴様の真の宝具……」
ギル「伝説の聖剣の鞘の力か……!!」
ギル「憎らしい女だ。そうまで我に刃向かうか、それが貴様の答えかセイバー!!!!」
セイバー「あぁそうだギルガメッシュ」
セイバー「貴様のいう王の器ではない、ライダーの語った覇道でもない」
セイバー「だが、これこそが私の理想…………」
セイバー「私の夢…………」
セイバー「私の……王道だ!!!!!!」
500 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/10(日) 23:34:04.88 ID:RsDFV5Ls0
ギル「世迷言をォォーーーー!!!!」
セイバー「ぐっ…………くぅ…………!!」
パシィッ、ガシッ
うしお「負けるなセイバァァーー!!!!」
とら「そんな野郎に負けるんじゃねえ剣使い!!!!」
セイバー(あぁ……。感じる、私が守りたいもの、その温かさを……)
セイバー「はああああああああ!!!!」
セイバー「約束された勝利の剣(エクスカリバー)!!!!」
501 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/10(日) 23:38:43.44 ID:RsDFV5Ls0
「アーサー王……?」
ああ……
確かに感じる
この木漏れ日の向こうに
貴方たちの温かさを……
「……見ているのですか、アーサー王」
「夢の、続きを…………」
502 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/10(日) 23:50:59.26 ID:RsDFV5Ls0
セイバー「ハァ、ハァ…………」
うしお「セイバー大丈夫か!?」
セイバー「はい、なんとか……」
とら「あの金色野郎をやったのかよ?」
セイバー「いえ、逃げられました」
セイバー「おそらくギルガメッシュのあの宝具は大量の魔力を消費するのでしょう」
うしお「そうか、魔力が低下したからとらに刺さった剣も消えたのか」
とら「けっ……!!」
とら「おい剣使い、わしは借りだなんて思っとらんからな!!」
セイバー「いや、借りが出来たのは私のほうだ」
とら「ああ?」
うしお「セイバー?」
セイバー(やっと見つけた、私の答え……)
セイバー「帰りましょう。ウシオ、トラ」
うしお「あぁそうだな」
セイバー(貴方たちのおかげだ)
セイバー「お腹が空きました」
とら「ったく、おめえはいつもそれだな」
セイバー「む……。トラに言われたくはない!!」
とら「ああ!? やんのかァ!?」
うしお「もう夜中だぞ静かにしろい!!」
セイバー(ウシオ、トラ、ありがとう)
503 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/11(月) 01:30:20.96 ID:/g5sbq6g0
・潮の部屋
うしお「白面とギルガメッシュ、か……」
うしお「なんだか眠れねえなァ」
うしお「あれ……」
うしお「セイバー……?」
504 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/11(月) 01:36:42.30 ID:/g5sbq6g0
・蒼月家蔵
うしお「セイバーも眠れねえのかな」
うしお「でも、だからってこんな夜中に蔵の整理なんか……」
うしお「おーい、セイバー」
うしお「蔵の整理を頼んだのはオレだけどよ、なにもこんな、あれ……?」
505 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/11(月) 01:44:00.94 ID:/g5sbq6g0
・蔵地下室
うしお「なんだセイバー、ここにいたのかい」
うしお「ここには何もねえぜ。いや、それよりもう遅いし」
セイバー「問おう、貴方が私のマスターか」
うしお「えっ……?」
セイバー「問おう、貴方が、私のマスターか」
うしお「…………」
うしお「……うわああああ!!」
うしお「なんだなんだ姉ちゃんなんだ!?」
506 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/11(月) 01:55:37.40 ID:/g5sbq6g0
セイバー「やれやれ、前回は無口な男だったが今回は騒がしい少年か」
セイバー「だが、サーヴァントセイバー、召喚に従い参上した」
うしお「サーヴァント、セイバー……」
セイバー「我が真名はアルトリア・ペンドラゴン」
セイバー「問おう、我がマスターの名を」
うしお「オレの名前は、蒼月潮さ!!」
セイバー「ウシオ、これより我が剣は貴方と共にあり、貴方の運命は私と共にある」
うしお「運命か……。負けたくねえぜ、オレは」
セイバー「この聖剣に誓って、我は貴方の勝利を約束する」
セイバー「ここに、真の契約は完了した」
セイバー「…………」
うしお「…………」
セイバー「フフ……」
うしお「ふ、ふふ……」
うしお「あはははははは!!!!」
507 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/11(月) 02:05:47.38 ID:/g5sbq6g0
うしお「はははっ、どうしたんだよセイバー、急にこんなこと」
セイバー「フフ、すみませんウシオ。貴方が私の後ろについて来ていたのに気づいて、つい」
うしお「いやいや、いいんだけどさ。昔とらと似たようなことやったしよ」
セイバー「トラと……。なるほど、ここはそういう場所なのかもしれませんね」
うしお「でも、なんで……」
セイバー「あの日、ランサーの襲撃がなければこうなる予定だったのです」
うしお「そうか、あのときは大変だったもんなァ」
セイバー「それに……。貴方には知っておいてもらいたかった、私の真名を」
うしお「真名、セイバーの本当の名前……」
セイバー「はい」
うしお「アルトリア・ペンドラゴン……。アルトリアかァ……うん……」
うしお「いい名前だな、アルトリア!!」
セイバー「っ……」
セイバー(まったく、確かにこれではアサコも怒るわけだ……)
508 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/11(月) 02:10:22.21 ID:/g5sbq6g0
うしお「それじゃ今度からはアルトリアって呼んだほうがいいのかい?」
セイバー「……いえ、残りサーヴァントが少ないとはいえ、それは敵に正体を晒すことになります」
セイバー「それにアルトリアは過去の人間、自分の信じる王道を貫いて死んでいった王の名前です」
セイバー「今の私は貴方の剣、セイバーです」
うしお「そうか、そうだな。それじゃセイバー、これからもよろしく頼むぜ!!」
セイバー「はい、ウシオ」
509 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/09/11(月) 03:49:58.42 ID:Z+E74Wm2O
乙ー
510 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/11(月) 12:22:55.26 ID:kYDXkAXMO
良いシーンだ
511 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/09/12(火) 10:40:02.21 ID:TcxiXPmnO
藤田絵のセイバーは割りと想像しやすいな
エレオノールっぽい感じ
癖があるようで案外藤田センセの絵って他作品との親和性高いんだよね どう想像しても藤田絵は藤田絵なんだけど
512 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/09/12(火) 19:08:14.36 ID:4KRxK5N4O
藤田絵で見たいなぁ、藤田絵のうまい絵師で誰か描いてくれんかね
513 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/09/13(水) 00:31:30.10 ID:tyyG7Q70O
続きが楽しみ
514 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/28(木) 21:37:28.70 ID:nyPr54ua0
【第二十二話 遠景『最後の令呪』 】
515 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/28(木) 21:49:36.42 ID:nyPr54ua0
・蒼月家縁側
凛『前回の聖杯戦争の生き残り、英雄王ギルガメッシュか……』
凛『今回参加するつもりはないって言われても、あんな手出しされたら参加してるのと一緒よ』
凛『対策が必要ね……。そういえば前回の戦いなら私の家に少しは資料が残ってるかも』
凛『協会の機密があるからって、綺礼にほとんど処分されちゃって期待出来ないけど……』
凛『うしおくん、ちょっと私は家をかき回してみるわ』
うしお「そう言って凛姉ちゃんは出て行ったけど、とらは一緒に行かなくていいのか?」
とら「おめえが昨日みたいに飛び出さないようにとり憑いたように見張ってろってよ」
うしお「へっへっへ、返す言葉もごぜーません」
うしお「あ、でもサーヴァントなしで凛姉ちゃんの護衛はどうしてるんだ?」
とら「剣使いがついて行ったのよ。そもそも家捜しなんてのはわしよりアイツ向きだしな」
うしお「まぁ確かにそうか、とらよりは」
とら「それに前にりんが家を綺麗にしろとか言いやがるから炎で色々燃やしたら怒ってよォ」
とら「あれ以来、家に入れてくれねーのよ」
うしお「凛姉ちゃん……」
516 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/28(木) 22:00:22.17 ID:nyPr54ua0
うしお「でもいいのかなァ」
とら「何がだよ?」
うしお「これじゃまるでサーヴァントを交換してるみたいじゃないか」
うしお「聖杯戦争のルール的に大丈夫なのかなァ」
とら「こいつアホウかよ!! 今さら聖杯戦争の決まりごとなんて気にしてんのか!?」
うしお「なにをとらァ!!」
うしお「人間はなァ!! ルールを守って、ルールを……」
うしお「それだっ!!」
とら「ああ?」
うしお「なんで気付かなかったんだ。そうだよ、聖杯戦争にはルールがあるじゃないか!!」
とら「なんの話だ?」
うしお「聖杯戦争の監督役、教会の言峰神父さ。あの人に言えばよかったんだよ」
うしお「今回の聖杯戦争に前回のサーヴァントが参加してる、八人目のルール違反がいるってよ」
うしお「ギルガメッシュみたいなのがいたらまともに戦えないだろ、そうなれば聖杯戦争は中止さ!!」
うしお「中止になればランサーのマスターだって戦うのをやめる、妙案だぜ!!」
とら「けっ、そんなに上手くいくかねえ」
517 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/28(木) 22:17:13.90 ID:nyPr54ua0
うしお「とにかくオレは言峰神父にギルガメッシュのことを報告に行くぜ」
とら「おい待ちなうしお。せめてりんが帰ってきてからに……」
うしお「凛姉ちゃんやセイバーだって頑張ってるんだ、負けてられねえさ」
うしお「とら、凛姉ちゃんが帰ってきたらオレは教会に行ったって言ってくれよ!!」
タッタッタッ
とら「ちっ、うーつけ者がなにを言ってやがる」
うしお「とら!?」
とら「わしはりんにおめえを見張ってろって言われたのよ」
とら「とり憑いたようになァ!!」
うしお「へっ…………」
うしお「好きにしろォ!!」
518 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/28(木) 22:37:29.04 ID:nyPr54ua0
・言峰教会
うしお「おーい、言峰神父さーん。いないのかーい?」
うしお「とら、何か分かるか?」
とら「人間の気配はしねえな」
うしお「留守か……。教会の扉は開いてたけど不用心だなァ」
とら「おめえのトコも似たようなもんだろうが」
うしお「うっ……。ウチは大丈夫だろ、照道さんもいるし……ん?」
うしお「へぇ、教会ってここから奥に入れるんだなァ」
とら「おい、入っていっていいのかよ」
うしお「今回は緊急事態さ」
うしお「早く言峰神父にギルガメッシュのことを伝えて、聖杯戦争を中止にしてもらいたいからな」
とら「けっ、いつもわしに勝手に行動するなとか言っといてこれだぜ」
うしお「言峰神父、本当にいないのかーい?」
519 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/28(木) 22:54:30.40 ID:nyPr54ua0
・中庭
うしお「ひゃー、とら見てみろよ。シャレてるぜ〜〜」
とら「なぁうしお。もういいだろ帰ろうぜ」
うしお「ウチとは大違いだ。こんな中庭があったらスケッチするんだけどなァ」
とら「なぁなぁうしお帰ろうぜ。なーなー、なーなー、なぁってばよォ」
うしお「だーーっ!! うるせーぞとらァ!!」
うしお「今オレは脳内スケッチをだなァ!!」
とら「だってよー、なんかわしここ嫌いなんだよ」
うしお「そりゃ教会が好きな妖なんて聞いたことねえけどさ」
とら「そういう意味じゃねえよ。教会で吸血鬼ブッ倒したわしがそんなもん気にするかよ」
うしお「それじゃ……」
とら「臭いがな、他と違うのよ。何かありそうだぜ、ここは」
うしお「この教会に……?」
うしお「ははっ、とら考えすぎじゃないのか? 言峰神父は凛姉ちゃんの後見人だぜ?」
520 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/28(木) 23:14:35.21 ID:nyPr54ua0
うしお「いいからコッチに来てみろよ、中庭がキレイだぜ」
とら「相変わらずニブイよなァ…………ッテェ!!」
とら「なんだァ!? (※)ぎやまんかっ!?」
(※)ガラスの古い呼び名
うしお「とら……?」
とら「おめえどうやってそこに入ったんだよっ!!」
うしお「なに言ってんだとら、オレは普通に……」
とら「うしお後ろだ!!!!」
うしお「ッ……!?」
「チッ、まーた外したか」
とら「おめえは…………!!!!」
うしお「ランサー…………!!!!」
ランサー「よォ坊主。久しぶりだな」
521 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/29(金) 00:30:10.61 ID:DWUWs5GH0
とら「てめえか槍使い、こんなチンケな罠ァ張りやがったのはァ!!」
ランサー「おいおい人聞きが悪いな。オレがそんなトラップ仕掛けて気長に待つと思うか?」
ランサー「ここは教会だぜ。妖のための結界なんて腐るほどある。それをちょっと借りただけさ」
ランサー「だが……ハッ、こんなに上手く分断出来るとは思ってなかったがな。雷獣さんよ」
とら「ちぃ〜〜〜〜」
うしお(コイツは槍を使うサーヴァント、ランサー……)
うしお(キリオから聞いた赤い槍の男、オレがこの聖杯戦争で初めて戦った相手だ……)
ランサー「そんなに身構えるなよ坊主。あのとき殺しかけたことを根に持ってんのか?」
うしお「それもあるさ。それよりこの教会、聖杯戦争では不可侵だってオレは聞いてるぜ」
ランサー「そんなルールもあったかもな」
うしお「それじゃ……!!」
ランサー「だから戦いは止めましょうってか。坊主、忘れてるみてえだな」
ランサー「オレたちがやってんのは何でもありの戦争、聖杯戦争なんだぜ?」
うしお「……本当は分かってたさ」
うしお「ルール違反なんてない。この戦いを終わらせるには勝つしかねえんだろ」
ランサー「そういうことだ坊主」
522 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/29(金) 00:46:07.33 ID:DWUWs5GH0
ランサー「さてと、そろそろ始めるか。坊主、早く出しな」
うしお「えっ、なにを……?」
とら「タコがっ!! 槍だよ!!」
とら「早くわしの宝具、獣の槍を呼べってんだよ!!」
うしお「で、でも、凛姉ちゃんの許可なしに宝具を使うなんて……」
とら「馬ッ鹿ヤロウ!! そいつは槍なしのおめえが敵う相手じゃねえ……!!」
とら「そいつと戦ったことがあるならおめえも分かってんだろうが、うしお!!」
うしお「それは…………」
ランサー「いいぜ。待っててやるよ」
ランサー「というより、オレはそれを期待してるんだがな」
うしお「…………槍よ」
うしお「来い!!!!」
パシィッ!!
ランサー「そうこないとな」
523 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/09/29(金) 08:59:45.25 ID:+su5Rn0bO
乙ー
524 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/30(土) 01:09:43.97 ID:hUnlMYrV0
うしお「…………」
ランサー「へぇ、本当に噂通り髪が伸びるんだな」
うしお「噂……?」
ランサー「あぁ。坊主、お前がセイバーを召喚したあの日の夜を覚えてるよな?」
ランサー「あのときは驚かされたぜ。オレの槍を何度も避けるんだからな」
ランサー「それもあってお前を調べたんだ。そうしたら面白い話が山ほど出てくるじゃねえか」
ランサー「獣の槍……白面の者……。もちろんあそこの雷獣も含めてな」
ランサー「あんな決戦をくぐり抜けた英雄が槍兵で、しかも現存しているときてる」
ランサー「そしてこの聖杯戦争でも、その槍を手にあのバーサーカーを倒した」
ランサー「そんな話を聞いたらよ……」
ランサー「同じく槍を使う者としては戦ってみたいと思うのが自然だよなァ」
ランサー「お前もそう思うだろ?」
ランサー「獣の槍の使い手、蒼月潮もよ」
525 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/30(土) 01:18:32.74 ID:hUnlMYrV0
うしお「……オレもセイバーからお前の正体を聞いてるよ」
セイバー『ランサーの正体は、クー・フーリンです。間違いありません』
凛『アイルランド神話の……。そっか、まぁあんな槍の使い手、他にはいないわよね……』
うしお『食う風鈴……』
うしお『遠坂先輩、アイルランドには食える風鈴があるのか!?』
セイバー『え…………』
凛『……蒼月くん、この前の世界史のテスト、何点だったのよ』
うしお『い、いやァ、人に言える点数じゃねえかな』
セイバー『リン、これは…………』
凛『ダメみたいね』
うしお「お、お前は外国のすげえ槍の使い手なんだろ……!!」
ランサー「えらく大雑把な覚えられ方だな……」
526 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/30(土) 01:31:25.41 ID:hUnlMYrV0
ランサー「こっちもセイバーには必殺の槍を見せたんだ、正体ぐらいバレてると思ってたさ」
ランサー「まぁ、これでお互い実力は分かってるってワケだ」
ランサー「それにお膳立てはもう出来てるしな」
とら「チィッ!! 雷も炎も駄目かァァ!!」
うしお「とら……!?」
ランサー「無駄だ。この中庭の結界はかなり頑丈なものだぜ」
ランサー「あの雷獣だって、ここの結界を破壊するには時間がかかるはず」
ランサー「これで邪魔は入らねえ。サシの勝負の出来上がりだ」
うしお「お前を倒さない限り、この中庭からは出れないってことか」
ランサー「そのとおり。さぁ槍を使うランサー同士、楽しくやろうじゃねえか……!!」
527 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/30(土) 01:42:06.61 ID:hUnlMYrV0
ランサー「まずは槍兵としての腕試しだ。かかってきな」
うしお「ランサー……。行っくぞォォーー!!!!」
ランサー「ハッ!! いいぜ、いい突進力だ!!」
うしお「うおおおおおおおお!!!!」
ランサー「なるほどな、驚かされるぜ」
ランサー「その宝具の槍を使えば坊主でもサーヴァントとやり合えるってワケか」
うしお「なんで…………槍が、当たらない…………!?」
ランサー「おいおい。オレは槍のサーヴァント、ランサーなんだぞ?」
ランサー「そんな攻撃に当たってやるワケにはいかねえよなァ」
うしお「くっ、これならァァーーーー!!!!」
ドガァッ
ランサー「どこ攻撃してる。それは中庭の柱、オレはここだぜ?」
うしお「そ、そんな…………」
528 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/30(土) 02:04:57.69 ID:hUnlMYrV0
とら「あんのォ〜〜〜〜馬鹿たれがァ〜〜〜〜」
とら「なにを槍使いにいいように遊ばれてやがる…………ん…………?」
とら「けけ…………」
529 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/30(土) 02:15:50.28 ID:hUnlMYrV0
うしお「はぁ……はぁ……」
ランサー「まさか槍兵がもう足を止める気か?」
うしお「まだまだ……!!」
ランサー「いいぜ。出来ることは全部試してくれ。その上を行ってやるからよ」
うしお「言ったなァーー!! ランサァァーー!!」
うしお「おおおおおおおお!!!!」
ランサー「ハッ!! 槍の一撃が当たらないからって、破れかぶれの乱撃かァ!!」
うしお「全部、避けられて……!?」
ランサー「この調子じゃ教会が穴だらけになりそうだな」
うしお「くっそォォ〜〜〜〜!!!!」
ランサー「あのなァ、槍を使うからってお前は攻撃が直線的過ぎるぜ」
うしお「ッ……消え……!?」
ランサー「終わりだ」
うしお「がっ……はっ……。蹴、り…………」
530 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/30(土) 02:27:31.29 ID:hUnlMYrV0
ランサー「期待外れだな」
うしお「な、に…………」
ランサー「あんな巨大なバケモノ、白面を倒した槍の使い手がこの程度か」
ランサー「いや、本当は白面は雷獣が倒し、バーサーカーもセイバーが倒したってところか」
ランサー「どっちにしろ期待外れだぜ」
うしお「ぐっ…………」
ランサー「坊主、お前に師はいるのかよ?」
うしお「し……?」
ランサー「師匠だよ師匠。槍の師匠さ」
うしお「槍の師匠…………」
うしお(う〜〜〜〜ん…………?)
うしお(親父はケンカ相手……。麻子のおじさんは空手か……)
うしお(杜綱さんの空骸の糸の骸……。いや、あれを師匠って呼ぶのはちょっとなァ……)
うしお「う〜〜ん……」
ランサー「そのツラ見る限り、いねえみたいだな……」
531 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/30(土) 02:37:22.07 ID:hUnlMYrV0
ランサー「どうりでおかしいと思ったぜ」
ランサー「お前の槍はなにかがモノ足りねえと思ったからよ」
ランサー「まぁスジは良かったぜ。その宝具の槍の力といっても英霊とやり合えるワケだからな」
ランサー「違った形で出会ってれば、オレが教えてやったんだが仕方ねえ」
ランサー「槍使いのよしみだ。手向けとして槍の一撃で終わらせてやる」
うしお「……ランサー。オレも同じだって言ってたよな」
ランサー「あ……?」
うしお「オレは別に、誰かと戦いたいとか思ってねえよ」
ランサー「そうかい。そいつは残念だな」
ランサー「でもな坊主、そんなお前はここで死ぬんだぜ」
うしお「いや、そんなオレでも出来ることは…………」
うしお「あるさ…………!!!!」
ドゴォォォォォォン!!!!
とら「へっ、お前にしちゃ上出来よォ」
532 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/09/30(土) 02:50:13.76 ID:hUnlMYrV0
ランサー「雷獣……!?」
ランサー「こんな短時間で、あの結界を壊せるはずが……!!」
とら「周り見てみなァ槍使い」
ランサー「中庭の四方の柱……結界の起点が壊されて……」
ランサー「ハッ、そうか、あの大振りな槍の攻撃は柱を破壊するために……!!」
とら「よく気付いたな、うしお」
うしお「西の空屋敷を脱出したときの間鎚の結界線を思い出したのさ」
うしお「四方の柱を壊せば結界線が途切れるんじゃないかと思ったんだ」
とら「けけけ、やるじゃねえか」
ランサー「一杯食わされたな……」
ランサー「だが坊主、まさか結界がなくなったからってオレから逃げれるなんて思ってないよな?」
とら「うしお、こいつァ結界があろうがなかろうが関係ねえよ。どこまでも追いかけてきやがるぜ」
うしお「そんな、それじゃ……」
とら「やるしかねえってことよ」
533 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/09/30(土) 08:31:38.35 ID:akU6pVvAO
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