うしおとセイバー

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133 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/17(月) 22:13:49.47 ID:fjnpCuIM0


凛「蒼月君!!」

うしお「遠坂先輩!! これは!?」

凛「結界が発動したのよ」

うしお「これが、結界……!!」

凛「まったく、あれだけ呪刻を壊したのに強制発動出来るとはね」

凛「本当サーヴァントに常識は通じないわ……!!」

134 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/17(月) 22:20:50.56 ID:fjnpCuIM0


・廊下


凛「とにかく結界の基点を探さなきゃ。蒼月君行くわよ!!」

うしお「あぁ!!」


慎二「よぉ遠坂、それに蒼月」

うしお「間桐先輩!?」

慎二「クク、思ったより元気そうで何よりだ」

うしお「先輩も無事なら良かった。今学校は大変なことになってるんだ。早く救急車を……」

慎二「クク、ハハハ、アッハハハ!!」

うしお「間桐、先輩……?」

凛「……そう。この結界はアンタの仕業なのね」

慎二「そうだとも遠坂。ハハハハ!!」

うしお「なんだよそれ……」

慎二「タイミングには苦労したんだぜ? 僕としちゃお前たちの顔面蒼白を見たかったからさ」

うしお「間桐先輩……結界を……結界を止めろよーーっ!!」

慎二「なに僕に命令してるわけ? 止めて欲しかったら土下座ぐらいしろよ蒼月」

凛「これが最後の忠告。結界を止めなさい」

慎二「分からないかなぁ? そんなに気に食わないなら力尽くでやってみろよ遠坂」

凛「とら」

とら「けっ、こんなガキの相手かよ」

135 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/17(月) 22:24:44.96 ID:fjnpCuIM0


慎二「でもさぁ遠坂。二対一ってのは卑怯なんじゃないの?」

慎二「ライダー」

ライダー「はい」
麻子「…………」

うしお「あ、麻子っ!!」

凛「アンタねぇ……」

慎二「ハハ、人質なんて使いたくなかったんだけどさ。でもこれでフェアだろう?」

慎二「ライダー、とっととその厄介な妖怪のサーヴァントを殺しちまえよ」

ライダー「はい」

とら「わしが人間の人質で言うことを聞くとでも思っとんのかよ。ああ?」

慎二「ひっ……」

136 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/17(月) 22:32:18.29 ID:fjnpCuIM0


真由子「と、とらちゃん。ダ、ダメだよ……」

とら「おめえ、この結界の中で動けるのか」

凛「井上さん!!」

うしお「真由子!? 大丈夫なのか!?」

真由子「うしお君……。ごめん、私、麻子を守れなかった……」

うしお「麻子はオレが助ける。だから真由子は無理すんな」

真由子「うん。でも、私も、頑張るね……!!」

凛「井上さん、なにを……」

とら「こいつァ、結界か……?」

ライダー「こ、これは……」

うしお「お役目さまの……いや、真由子の力さ!!」


真由子「っっ……!!!!」


ライダー「まさか……『鮮血神殿』が、別の結界に押し返されている……!?」

137 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/17(月) 22:37:35.14 ID:fjnpCuIM0


真由子「はぁ、はぁ……」

とら「おい女。もう止めな、ぶっ倒れそうじゃねえかよ」

真由子「とらちゃん。『泥なんて何だい』だよ」

とら「けっ、それがなんだってんだ……」

凛「常識が通じないのは、蒼月君の周りも一緒ね……」

凛「でも、結界が止まってる。これなら……!!」

真由子「遠坂先輩、結界の基点は学園の上空にあります。それを壊して下さい……!!」

ライダー「無駄ですよ。現代の魔術師に私の『鮮血神殿』は壊せない」

凛「確かに私の魔術じゃ壊せない。でも……」

とら「早く乗りな。ますたー」

ライダー「くっ、行かせない……!!」


慎二「なに勝手に話を進めちゃってるわけ? こっちには人質が、ぐふっ」

麻子「あんまり麻子さんをおナメじゃないよ」

138 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/17(月) 22:41:05.70 ID:fjnpCuIM0


うしお「麻子!!」

麻子「うしおっ!!」

うしお「麻子、お前空手やめたんじゃなかったのかよっ」

麻子「とーさんにたまに付き合わないと悲しい顔するのよね」

うしお「ハハ、おじさんらしいや」


慎二「がはっ、はぁ、はぁ」

ライダー「マスター!!」


凛「蒼月君、ここは任せたわよ。私はとらと一緒に結界を壊すわ」

うしお「分かった。よーし……。セイバァァァァ!!」


セイバー「マスター、指示を」

うしお「ライダーを頼む!! オレは間桐先輩を!!」

139 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/17(月) 22:44:19.25 ID:fjnpCuIM0


セイバー「はぁぁぁぁ!!」

ライダー「くっ……。流石ですね、セイバー」

セイバー「ライダー、貴方はここで倒れろ」


うしお「待てぇぇーーっ!!」

慎二「く、来るなぁっ、来るなっぁぁ」


ドーン!!

麻子「な、なに、今の音……」

真由子「はぁ、はぁ……。とらちゃん……」


ライダー「鮮血神殿が壊されましたか。ならば……」

セイバー「ウシオ!! 気を付けて!!」

うしお「うわっ!?」

慎二「ライダー!!」

ライダー「マスター。この場から離脱します」

140 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/17(月) 22:49:09.13 ID:fjnpCuIM0


セイバー「ウシオ。アサコとマユコも私の後ろへ」

麻子「セ、セイバーさん?」

真由子「はぁ、はぁ……。は、はい……」

セイバー「ライダーは結界の維持に使っていた魔力を開放するつもりです」

うしお「魔力を、開放……?」


慎二「な、なに考えてんだお前、蒼月のサーヴァントにすら勝てないくせに!!」

ライダー「確かに私はセイバーには及びません。ですがご安心を」

ライダー「我が『宝具』は他のサーヴァントを凌駕しています」

慎二「な、なにィ……?」

ライダー「たとえ相手が何者であろうと、我が『疾走』を妨げる事は出来ない」


セイバー「三人とも私から離れないで下さい!! ライダーは宝具を使うつもりです!!」

うしお「これが……サーヴァントの、宝具……!!!!」

141 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/17(月) 22:56:22.81 ID:fjnpCuIM0


セイバー「言葉通り、離脱する為だけに宝具を使ったようですね」

麻子「も、もう大丈夫なのよね……。うぅ……」ドサッ

真由子「あ、麻子……。うしお君、私も……」

うしお「麻子!! 真由子!!」

セイバー「ウシオ、大丈夫です。二人とも気を失っているだけです」

うしお「な、なんだァ……」

142 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/17(月) 23:04:02.39 ID:fjnpCuIM0


凛「……よっと。お疲れさま。ライダーには逃げられたみたいね」

とら「剣使いなぁにをやっとるのよ。馬乗りなんかを逃がすなよ」

セイバー「トラ、ライダーは宝具を使ったのです」

セイバー「……逃げられた言い訳にはなりませんが」

とら「けっ、その通りよ。だが、馬乗りの宝具か……」

うしお「遠坂先輩、結界は壊せたのかい?」

凛「ええ、とらが完全に破壊したわ」

うしお「そうかァ、それならよかった」

凛「井上さんのおかげよ」

凛「結界の基点が分からなかったら、今頃私たちも結界に力を奪われて倒れてたはずだもの」


とら「今回は確かに……」

真由子「…………」

とら「そこの女が、役に立ったかもな」

真由子(……とら、ちゃん……)

143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/18(火) 02:20:35.32 ID:CR031EbAo
乙ー
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/18(火) 09:16:09.08 ID:1U+qD+S1O
145 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/24(月) 20:45:17.50 ID:NYL2IYmQ0


【第十二話 空を翔ぶ 】

146 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/24(月) 20:54:44.08 ID:NYL2IYmQ0


・商店街


慎二(……クソ、クソ、全部、壊す、壊す、ぶっ壊しちまえ!!)

ドンッ

女子「あっ、ごめんなさい」

慎二「あぁ? なにこの女。もっと別の謝り方があるんじゃないの?」

グイッ

女子「い、いや、やめてください……」

礼子「ちょっとやめなさいよ。それに向こうから見てたけどアナタの方からぶつかったじゃない」

慎二「はぁ? なんだよお前。まさか僕が悪いとでも言うつもり?」

間崎「何かあったのか礼子」

慎二「ヒィッ!?」


通行人「お、おい。あの人は間崎さんじゃないか?」

通行人「暴走族『スピードイーター』をたった一人で潰したって言われてる……」

通行人「ひぇ〜、おっかねぇー……」


慎二「ク、クソッ!! う、うあああああ!!」


間崎「なんだァ、アイツは」

礼子「さぁ……」

147 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/24(月) 21:11:49.44 ID:NYL2IYmQ0


・蒼月家居間


うしお「遠坂先輩、学校のほうは?」

凛「そっちは綺礼がなんとかしてくれたわ。井上さんたちは?」

うしお「二人とも家で休んでる。真由子にはキリオが付いてくれてるよ」

凛「そう。井上さんのおかげで全員病院送りが自宅待機で済んだんだもの。感謝してもしきれないわね」


うしお「桜姉ちゃんの兄貴……。間桐先輩はまた何かやる気かな?」

凛「そうね。アイツの性格から言って、まず考えられるのは私たちへの復讐……」

セイバー「では、ライダーのマスターは再び結界を張ろうとすると?」

凛「間違いなくね。だから私たちが探すのはアイツ本人じゃなく」

うしお「……結界!! よーし、行こう!!」

148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/24(月) 21:13:09.94 ID:SuWaXZucO
スピードイーターのエピソード、アニメですっ飛ばされたのは本当に惜しいよな
149 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/24(月) 21:23:56.07 ID:NYL2IYmQ0
あれ見たかったですよねぇ、麻子がヒロインやってるエピソード少ないから余計にそう感じる
150 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/24(月) 21:27:10.25 ID:NYL2IYmQ0


・間桐邸


凛「さすがに家に居るわけないか」

とら「ちっ、馬乗りのニオイもしやがれねえな」

凛「二手に別れた蒼月君たちも気になるわ。もう行きましょ、とら」

とら「ますたーよ。ここはあの女の家なんだろ。会わなくていいのかよ」

凛「桜のこと? いいのよ、別に」

とら「わしには関係ねえからいいけどよ。ますたーとあの女は同じニオイがするのよ」

とら「おめえらは」

凛「それ以上はやめて。とら」

とら「……なら、もう行くぜ」


凛(……桜……)

151 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/24(月) 21:33:54.99 ID:NYL2IYmQ0


・高層ビル前


うしお「セイバー。どうだい?」

セイバー「いえ、魔力は感じません」

うしお「ここも違うかァ」


うしお「ごめんよセイバー。オレが魔術師だったら手伝えるのによ……」

セイバー「ウシオ、それは気にしないで下さい」

セイバー「しかし、そうですね。少し休憩しましょう」

うしお「えっ……?」

152 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/24(月) 21:41:39.20 ID:NYL2IYmQ0


・公園


うしお「この魚肉ソーセージうめえなァ」

セイバー「……ウシオ、私は貴方に謝らなければいけません」

うしお「えっ?」

セイバー「リンに、ウシオの旅を記録したモノを見せてもらいました」

うしお「オレの? あぁっ、守矢さんのビデオか!!」

セイバー「しかしリンは、その、機械というのが苦手なようで……」

セイバー「最終的にはアサコとマユコに手伝ってもらっていましたが……」

うしお「あ、あぁ、確か遠坂先輩はそうだったよな……」

うしお「しっかし、あれ恥ずかしいんだよなァ。でも、それがどうしたんだい?」

セイバー「それで、よかったらウシオから直接旅の事を聞かせてもらえませんか?」

うしお「セイバーが聞いても面白い話なんてあるかなァ」

セイバー「聞きたいのです!! お願いします、ウシオ!!」

うしお「わ、分かったよ。ど、どうしたんだセイバー」

セイバー「いえ、それは、別に……」


セイバー(……私は知りたい。なぜアナタが私を召喚出来たのか……)

153 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/24(月) 21:50:49.71 ID:NYL2IYmQ0


うしお「それで、オレとアイツの旅は終わりさ」

セイバー(……そうして、ウシオとトラはこの国を救ったのですね)

セイバー(アナタたちと私は違う……)

セイバー(何故なら、私は国を救ってなどいないのだから……)

セイバー(しかしそれなら尚更、ウシオが私を召喚出来た理由がない……)

うしお「いけねーっ!! 話し込んでたら暗くなっちまった!!」

セイバー「すみませんウシオ。リンたちも気になります。行きましょう」


ドクンッ


うしお「っっ!? セイバー、今の感覚……!!」

セイバー「結界……。しかしこれは誘いですね……」

うしお「それでも、行くしかねえさっ!!」

セイバー「そうですね。ウシオ、魔力を辿ります。注意して下さい」

うしお「あぁ……!!」

154 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/24(月) 22:00:07.88 ID:NYL2IYmQ0


・高層ビル前


セイバー「ウシオ!!」

うしお「うわっ!? またあの針か、ってことは……!!」

ライダー「フフ……」

うしお「ビ、ビルの壁に……!?」

ライダー「ついてこれますか、セイバー」

セイバー「追います。ウシオはここに居て下さい」

うしお「頼んだセイバー!!」


凛「蒼月君!! 今の、ライダーね。私たちもライダーを追ってたのよ」

うしお「遠坂先輩。あぁ、セイバーとビルの屋上へ飛んで行ったよ」

凛「とら。先に行ってセイバーのサポートを」

とら「なぁんでわしが剣使いの手伝いなんか……」


凛「いいから行けーーーー!!!!」
うしお「いいから行けーーーーっ!!!!」


とら「は、はいーーっ!!」

155 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/24(月) 22:09:57.15 ID:NYL2IYmQ0


・高層ビル屋上


セイバー「神代のモノを持ち出すとは随分と業が深いようですね。ライダー!!」

ライダー「私は貴方たちの敵だった者に過ぎない」

ライダー「故に私が操るのは貴方たちが駆逐してきた可哀想な子たちだけよ」

セイバー「なるほど。歪んでいるとは思いましたが英霊ではなく悪鬼の類でしたか」

ライダー「言ってくれますね。私の宝具であの獣のサーヴァントを手懐ければ貴方なんて……」

セイバー「トラを……?」

セイバー「フッ……」

ライダー「セイバー。何が可笑しいのです」

セイバー「面白いことを言いますね。ライダー」

ライダー「なに……」

セイバー「あの『雷獣』を手懐け乗りこなすと?」

セイバー「それは貴方には無理だろう。『ライダー』?」

ライダー「っっ……!!」

ライダー「セイバー……!!」

156 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/24(月) 22:26:37.29 ID:NYL2IYmQ0


とら「……なんじゃありゃ。馬乗りが羽の生えた白い馬に乗っとるかよ。初めて見たぜ」

ライダー「現れましたか、獣のサーヴァント」

とら「剣使い、なーにやっとる。馬乗りなんかに手こずっとんのかよ」

セイバー「トラ、ウシオたちは?」

とら「知るかよ。多分えらべったーとかいうやつで来るんだろ」

セイバー「なるほど、分かりました。出来れば二人が来る前に決着をつけたいところですが」


ライダー「到着した貴方たちのマスターには、消える二体のサーヴァントを見せてあげます」

ライダー「何故なら、貴方たちでは私の子に触れる事も出来ないのだから!!」

157 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/24(月) 22:30:05.47 ID:NYL2IYmQ0


とら「へっ、馬乗りが粋がるか。よーし……」

とら「剣使いっ、乗れっ!!」

セイバー「トラ、何を……?」

とら「勝負しようじゃねえか、あの馬乗りの羽の生えた白い馬とよ」

セイバー「わ、私に、貴方に乗れと……?」

とら「乗らねーんならわしだけで行くわい」

セイバー「行きます!!」


セイバー「……ライダーにああ言った後に貴方に乗ることになるとは……」

とら「ああ? 何の話だよ?」

セイバー「いえ、こちらの話です。行きましょうトラ、私たちとライダーとの勝負です!!」

とら「へっ、振り落とされんなよ剣使いっ!!」

158 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/24(月) 22:36:34.57 ID:NYL2IYmQ0


うしお「セイバー!!」

凛「とら!!」


慎二「ハッハハハ!! アッハハハ!!」

慎二「見たか蒼月、遠坂!! あれが僕とお前たちとの力の差だ!!」


凛「慎二……!!」


慎二「空の上ならライダーが有利なんだよォ!!」

慎二「即席でコンビを組んだサーヴァントどもが、僕のライダーと宝具に勝てるわけがない!!」


うしお「セイバー……とら……!!」


慎二「お前たちもサーヴァントもこれで終わりだな!!」

慎二「苦しまないように一瞬で殺してやるよ!! やれライダー、手足一本残すなよ!!」

159 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/24(月) 22:47:01.47 ID:NYL2IYmQ0


・高層ビル上空


ライダー「速さ比べは同等ですか。やりますね、獣のサーヴァント」

とら「おめえもな、馬乗り。その乗りモンなかなか速えじゃねえか」


慎二「やれライダー、手足一本残すなよ!!」


ライダー「……どうやら余興はここまでのようね」

ライダー「私の真の宝具は強力で、使えばどうしても人目につく……」

ライダー「けれど、この雲の上なら覗き見される恐れはない」


セイバー「それが貴様の宝具か、ライダー!!」


ライダー「えぇ、この子は優し過ぎて戦いには向いていない」

ライダー「こんな物でも使わないと、その気になってくれないのよ」

ライダー「消えなさい!! セイバー!! 雷獣!!」


とら「馬乗りがつけあがりおって」

セイバー「…………」

セイバー「トラ、私の魔力は残り少ない。そこで貴方の力を貸して欲しい」

とら「何だァ? ……へっ、面白えじゃねえか。ドジるなよ剣使い!!」

160 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/24(月) 22:54:15.59 ID:NYL2IYmQ0


セイバー「風よ……!!」

とら 「雷よ……!!」


とら「こいつの『剣』に落ちやがれええええ!!!!」


セイバー「こ、これが……!!」

セイバー(これがトラの雷……。凄い、これならば……!!)


セイバー「ライダー、この雲の上なら人目につかないと言ったな……」

セイバー「同感だ。ここならば地上を焼き払う憂いもない!!」


とら「黄金の剣、か」




ライダー「騎英の手綱(ベルレフォーン)!!!!」


セイバー「約束された勝利の雷剣(エクスカリバー)!!!!」



161 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/24(月) 23:00:03.65 ID:NYL2IYmQ0


・間桐邸


桜「ライダー……」

162 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/24(月) 23:08:22.11 ID:NYL2IYmQ0


・高層ビル屋上


凛「雨雲を、二つの金色が裂いていく……」


慎二「うひゃぁ!! 令呪が、令呪が燃えちまう!!」

凛「慎二……!!」

慎二「ひ、い、うぁ、あああああ!!」

うしお「間桐先輩が逃げる……!! 待てぇぇーー!!」

163 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/24(月) 23:11:31.51 ID:NYL2IYmQ0


・高層ビル前


慎二「はぁ、はぁ、はぁ……」

慎二「!?」


??「…………」


慎二「な、なんだよお前!! 邪魔なんだよ!!」


??「『黄金の剣』に『黄金の獣』か」


慎二「ど、どけよぉ!!」グサッ

慎二「あ? あ……ぁ……」


??「『黄金』に相応しい英霊は我だけよ。フフ、ハァーハッハッハッ!!」

164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/25(火) 01:51:48.87 ID:A5vUc1khO

胸熱
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/25(火) 05:15:52.03 ID:VkPkCSmeO
乙ー
166 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/11/13(日) 12:58:06.24 ID:7BTo5MIr0


【第十三話 冬の城へ 】

167 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/11/13(日) 13:06:03.03 ID:7BTo5MIr0


・蒼月家、庭


とら「は? わしに乗りたい?」

真由子「とらちゃん、セイバーさんを乗せて飛んだって聞いたよ〜!」

とら「それがなんだよ」

真由子「次は私だよ〜〜!!」

とら「なんでそうなるっ!?」

凛「いいじゃない、とら。井上さんには学校の結界でお世話になったんだし」

とら「おめえら、そもそも妖と人間ってのはな……」

凛「令呪に告げる、聖杯の規律に従い……」

とら「こっ、こら!! 馬鹿かっ!! んなことで令呪を使うんじゃねえ!!」

凛「ふふ、分かればよろしい」

とら「ちっくしょ〜。もう好きなだけ乗りな」

真由子「やった〜〜!!」

168 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/11/13(日) 13:12:03.27 ID:7BTo5MIr0


セイバー「ト、トラ……」

とら「ああ? なんだよ?」

セイバー「いや、その……」

とら「今わしはこの女の乗り物やるので忙しいのよ。何か用か?」

セイバー「その、実は私は、昔ライオンを飼っていてことがあって……」

とら「何の話だよ……」

セイバー「その、良かったら、また私も……」


凛「あら蒼月君。散歩にでも行くの?」

うしお「……遠坂先輩。あぁ、ちょっと出て来るよ」


セイバー「ウシオ、私も」

凛「いいわセイバー。今は一人にしてあげましょう」

セイバー「リン、ですが……」

凛「これは聖杯戦争なのよ。ああいう事だってあるわ」

セイバー「はい、そうですね」

169 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/11/13(日) 13:22:01.13 ID:7BTo5MIr0


・ブランコのある公園


イリヤ「家に居ないと思ったらこんな所に。こんにちは、ウシオ」

うしお「イリヤ……」

イリヤ「浮かない顔してるけど、何かあったの?」

うしお「い、いや、何でもないさ。さーてと、そろそろ帰らないとなァ」

イリヤ「ライダーのマスターを倒したヤツの事を考えてたんでしょ」

うしお「あぁ、オレたちが救急車を呼んだりして命は助かったみたいだけどよ……」

うしお「ってイリヤ、なんでそれを!?」

イリヤ「フフ……」

うしお「……うっ、あぁ……」

イリヤ「あ、もう金縛りになったんだ。ウシオったら『護り』も何もないんだもの」

イリヤ「こんなに簡単に捕まっちゃうなんて、カワイイなぁ」

うしお「イ、リヤ……!!」

イリヤ「オヤスミナサイ……ウシオ……」

うしお「ッ……!!」

170 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/11/13(日) 13:30:17.87 ID:7BTo5MIr0


うしお「やめろよ、こんなこと……!!」

イリヤ「へぇ、このぐらいの魔術なら精神のほうは耐えれるんだ」

うしお「カラダが動かねえ……。朏(みかづき)の陣をかけられたときみてえだ……」

イリヤ「無駄よ。魔術師じゃないウシオにそれは解除出来ないわ」

うしお「イリヤ、オレをどうする気だよ……?」

イリヤ「フフ、前にも言ったでしょ? 私のお城にウシオを招待するの」

うしお「城……。そうか、確か国道の向こうとか言ってたっけ……」


うしお(そこに行けば、イリヤにマスターをやらせてるヤツに会えるんじゃ……)


うしお「イリヤ、魔術を解いてくれ」

イリヤ「ウシオは面白いことを言うね。そう言われて解除するはずが」

うしお「イリヤの城へ行く」

イリヤ「えっ……」

うしお「いや頼むぜ、イリヤの城へ行かせてくれ」

171 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/11/13(日) 13:39:27.40 ID:7BTo5MIr0


・蒼月家、居間


凛「……はぁ。蒼月君、帰りが遅いと思ったら……」

凛「キリオ君、その話は本当なのよね?」

キリオ「うん。銀色の髪の女の子と国道のほうへ歩いていったよ」

凛「ありがと。キリオ君が見かけたことを言いに来てくれなかったら大変なことになってたわ」

凛「セイバー、どう?」

セイバー「はい。まだ無事である事は感じ取れますがとても遠い。おそらく敵の手中に」

凛「そう……。蒼月君を一人にした私の責任ね……」

セイバー「いえ、ウシオに無理にでも付いていくべきでした。私の責任です」

とら「んなこたァどうでもいいのよ。あのクソうし、が馬鹿なだけよ」

凛「と、とら!? 今なんて言ったのよ!?」

とら「なんだァますたー? わしは剣使いの主が馬鹿と言ったのよ」

凛「そ、そう……」

凛(まさか記憶が……。いや、召喚を失敗してるのよ、そんなことは……)

セイバー「リン、トラ。同盟の盟約が続いているのなら、お願いがあります」

172 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/11/13(日) 13:49:52.51 ID:7BTo5MIr0


・アインツベルン城、大広間


うしお「うへー、森の中にこんな城が本当にあるなんてよ……」

イリヤ「ようこそ、ウシオ。私のお城へ」


??「イリヤ、どいて」


うしお「なっ……!?」

ドゴォッ!!


イリヤ「……リズ、どういうこと?」

リズ「そいつ危ない、お断り」

イリヤ「はぁ……。まぁいいわ、ウシオを捕らえるつもりだったのは確かだしね」


うしお「お前がイリヤにマスターをやらせてるのか……!?」

リズ「……? 違うよ」

うしお「ち、違うのか、そうかよ……」

リズ「お前、多分強い。さっきのも避けた」

うしお「さすがにオレだってよ、こんなことになるかもって思ってたさ!!」

リズ「私に惚れるなよ、べいびー」

173 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/11/13(日) 14:03:52.17 ID:7BTo5MIr0


うしお「はぁはぁ……」

リズ「避けるの、上手いね」

うしお「前と違って傷がすぐに治るワケじゃないからよ」

リズ「……?」

リズ「でも、それなら……。ちょっと本気、出す」

うしお(あの槍みたいなのをなんとかしないと近づくことも出来ねえか……)


リズ「ぐるぐる、飛んでけー」


うしお「うわっ!? 槍を投げてきた!?」

リズ「しまった。これも避けられた、大問題」

うしお「よーし、こっちもこれを使わせてもらうよ……!!」

うしお「オレだって『槍』の扱い方は自信あるんだぜ!!」

うしお「って、なんだこれぇ!? も、持ち上がらねえ、こんなのを振り回してたのか!?」


??「そこまでです」

174 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/11/13(日) 14:21:35.63 ID:7BTo5MIr0


リズ「セラ……」

セラ「カヅチ」
華鎚「…………」

うしお「ぐああああああああああ!!!!」


セラ「お嬢さまのためとはいえ無理をしましたね」

リズ「ちょっと、疲れた。あんまり無理すると、中がいろいろ壊れちゃう」

うしお「…………」

セラ「この方が、あの方の息子……」


セラ「どうでしたか、試したのでしょう?」

リズ「うん。あの人と同じ、優しい」

セラ「そうですか。いえ、そうでしょうね」

リズ「今度一緒に、イノシシ狩りに行きたい」

セラ「それは……」

175 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/11/13(日) 14:48:01.93 ID:7BTo5MIr0


・イリヤの部屋


うしお「……う……こ、ここは……?」

イリヤ「あ、やっと起きたんだ。声ぐらい出せるよね」

うしお「イリヤ!? ここはどこなんだ!?」

イリヤ「ここは私の部屋。誰も助けになんて来れないし邪魔は入らないわ」

うしお「何を、する気だよ……」

イリヤ「私がウシオを守ってあげるわ」

うしお「えっ……」

イリヤ「本当は、前からウシオのことは知ってたの」

うしお「オレを……?」

イリヤ「前に住んでたお城には、バルトアンデルスって妖怪が住んでたわ」

うしお「バルトアンデルス……ああ!!」

うしお「ハマーに捕まってた妖怪!! 麻子のトモダチ!!」

176 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/11/13(日) 15:02:24.56 ID:7BTo5MIr0


うしお(確か麻子が、バルはヨーロッパの古城に住む妖怪って言ってたな……)

イリヤ「そのお城で私にはその妖怪しかいなかった。他には何も残ってなかったの」

イリヤ「でも隠れて会っていたらアインツベルンに見つかって、ハマー機関に連れて行かれたわ」

うしお「ハマー機関……。そうか、博士たちが……」

イリヤ「私が吹雪の森で狼に襲われたときも、私はバルを呼び続けた。それぐらいは信頼してたのよ?」

イリヤ「でも助けに来るわけもなく、私を救ってくれたのはバーサーカーだったけどね」

うしお「あのサーヴァントか……」

イリヤ「この国に来る前に少しだけ、あの妖怪に会ったわ」

イリヤ「お爺様の厳しい監視を抜けて、ほんの少しだけ話したの」

うしお(……お爺様……? そいつがイリヤにマスターを……?)

イリヤ「私のことを助けられなくてゴメンって言ってた、何のことか分からなかったけど」

イリヤ「それから、日本に行くならウシオという『すごい』人間がいるから、もしかしたら、って……」

うしお(バル……)

イリヤ「他にも何か言ってた気がするけど、まぁいいわ。それより……」

イリヤ「あの妖怪の言ったとおり、確かにウシオは他のマスターと違って面白いわ」

イリヤ「だから私が守ってあげるの」

イリヤ「そして最後の最後で、殺してあげる」

うしお「イリヤ……!!」

177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/11/13(日) 15:28:26.00 ID:+KO+tcD7O
乙ー
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/14(月) 10:47:08.10 ID:A66mvPwWO
バルちゃんいいよね
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/18(金) 23:36:38.97 ID:H9u7jQif0
a
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/01(木) 06:41:19.47 ID:zJKaifBGo
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/12/03(土) 06:08:39.47 ID:aTohonewo
下げ
182 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/12/03(土) 20:12:42.42 ID:9OjUoUeX0


【第十四話 妖怪の果て 】

183 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/12/03(土) 20:19:07.21 ID:9OjUoUeX0


・アインツベルン城周辺


凛「アインツベルン城……。ここで間違いないのよね?」

セイバー「はい」

とら「チッ、華鎚どもが巡回してやがるか」

セイバー「たとえ何が待っていようと関係ありません。サーヴァントにとってマスターは」

凛「待って。とらは姿を消して、セイバーも気配を」


イリヤ「…………」

凛(イリヤスフィール……)

イリヤ「ん? 気のせい、かな。フフ」

セイバー(ウシオ、どうか無事で……)

184 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/12/03(土) 20:28:05.01 ID:9OjUoUeX0


・イリヤの部屋


うしお「イリヤはどっか行っちまった……」

うしお「きっと遠坂先輩たちのところだ、早く知らせないと……!!」

うしお「ぐおおおお!! ぬああああ!!」

うしお「ダ、ダメだァ……。魔術の解除なんて出来ねえよォ」

バタン!!

セイバー「動くな!!」

うしお「うわっ!?」

セイバー「ウシオ!!」

うしお「セイバー!!」

凛「思ったよりは元気そうね」

とら「みてえだな」

185 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/12/03(土) 20:33:08.04 ID:9OjUoUeX0


うしお「遠坂先輩たちまで、どうしてここに……」

セイバー「私が助けを頼んだのです。ウシオが敵に拉致されたようだったので」

うしお「拉致?」

うしお「い、いやぁ、実はオレのほうからココに来たっていうか、なんていうか……」

セイバー「大丈夫ですウシオ。その事でしたら後で私からお話があります」

凛「もちろん私からもあるから、覚悟しといてよね蒼月君」

うしお「うへぇ、あっしが悪かった……」

とら「ぷぷぷ」

凛「とにかく今は、イリヤスフィールに見つかる前に早く逃げるわよ」

186 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/12/03(土) 20:49:55.56 ID:9OjUoUeX0


・大広間


とら「おいっ、剣使い見てみろ!! スゴイのがあるぞ!!」

セイバー「トラ、シャンデリアは返したほうが……」

うしお「ひゃー、ここだけでオレの部屋の何倍あるのか分かんねえぜ」

凛「…………」

うしお「遠坂先輩、どうしたんだい?」

凛「あっさりしすぎよ。ここまで上手く行き過ぎてる」

うしお「えっ……」


??「なぁんだ、もう帰っちゃうの? せっかく来たのに残念ね」


うしお「イリヤ……!!」

凛「イリヤ、スフィール……。そう、なるほどね」

凛「蒼月君で誘き寄せて、本命は私たちってことか」

イリヤ「ウシオが自分からここに来るって言ったのは想定外だったけどね。言ったでしょ、リン」

イリヤ「リンのサーヴァントにはアインツベルンが対策してるって。それがここよ」

凛「まさか……。この城や森そのものがアインツベルンのためのフィールド……!?」

とら「けけっ、どおりで息苦しいと思ったぜ」

187 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/12/03(土) 21:01:47.79 ID:9OjUoUeX0


凛「まんまと誘い込まれたってことか」

うしお「遠坂先輩、オレのせいで……」

凛「気にしないで。迂闊だったのは私も同じよ。それより……」

うしお「あぁ、この森から脱出するんだ……!!」


イリヤ「帰らせるつもりなんてないわ」

イリヤ「だって、私はこの城の主なんだからお持て成しをしなきゃ、お客様に」

バーサーカー「■■■■■■■■■■」

セイバー「バーサーカー……!!」

イリヤ「フフ」


とら「……チッ、そういうことかよ」

188 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/12/03(土) 21:12:46.78 ID:9OjUoUeX0


凛「この城の内部で戦うのは危険よ。どんな仕掛けがあるか分からないわ」

凛「とら。今はとにかく逃げて、外でバーサーカーを迎え撃つわよ」

とら「逃げる? このわしが?」

とら「なァんでわしが逃げないといけないのよ」

凛「ちょ、ちょっと何言って」

とら「逃げたきゃおめえらで逃げな。こいつァわしの獲物よ」

セイバー「トラ、それなら私たちでバーサーカーの相手を」

とら「剣使い、おめえもなんか勘違いしとるようだな」

とら「わしの獲物を横取りするならおめえが先に相手になるかよ?」

セイバー「トラ、なぜ……」

凛「アンタねぇ、イリヤスフィールは結界を操る妖怪を使役してるのよ!?」

凛「今は見当たらないけど、ソイツらが出てきたらどうすんのよ!!」

とら「相変わらず『ますたー』はやかましいな」

189 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/12/03(土) 21:20:15.99 ID:9OjUoUeX0


うしお「…………」

うしお「分かったよ。遠坂先輩のサーヴァント」

とら「なんだァ?」

うしお「何があるのかは知らねえよ。でも、何かあるんだろ?」

とら「へっ……」

とら「剣使いの主にしちゃ分かってるじゃねえか」

うしお「お前とは、付き合い長いからな」

とら「??」

190 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/12/03(土) 21:27:45.66 ID:9OjUoUeX0


うしお「行こう!! セイバー、遠坂先輩!!」

凛「あ、蒼月君!?」

セイバー「いいのですかウシオ。しんがりが必要なのは理解出来ますが」

うしお「あぁ、それにとらも俺たちを守りながらじゃ戦おうにも戦えねえよ」

うしお「とらならすぐに飛んで追いつくさ。今はここから逃げよう」

セイバー「なるほど、分かりました。トラ、ご武運を」

凛「ちょ、ちょっと、勝手に話を……。あーー、もうっ!!」

凛「このバカとらーーっ!! アンタは私のサーヴァント!!」

凛「勝手に負けたりなんかしたら許さないわよ!!」


とら「本当にやかましい『ますたー』だぜ」


とら「いいからとっとと行きな」




とら「りん」



191 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/12/03(土) 21:37:29.38 ID:9OjUoUeX0


とら「おめえ、わざとアイツらを逃がしたな。なんでだ?」

イリヤ「どうせリンたちは森から出ることなんて出来ないもの」

イリヤ「それよりここで一体のお前を確実に殺すわ」

とら「けっ、この城全体を華鎚どもが結界張ってやがんのか」

とら「確かに、これじゃ飛んで逃げることも城から出ることも出来ねえな」

イリヤ「お前のことをアインツベルンが調べたのよ」

イリヤ「過去に中国の符咒士との戦いで、この結界の使い方でかなり追い詰められてるって」

とら「昔のことは知らねえよ。で、本命はりんでも剣使いでもなく、わしかよ」

イリヤ「当然でしょ?」

イリヤ「私のバーサーカー『ヘラクレス』の相手になるヤツなんて、お前以外にいないんだもの」

イリヤ「セイバーなんて後でどうとでもするわ。お前を確実に殺した後でね」

192 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/12/03(土) 21:47:22.27 ID:9OjUoUeX0


とら「けけけ」

イリヤ「何よ……。何がおかしいのよ……」

とら「笑わせるぜ。わしをここに閉じ込めたら、おのれらは勝てるのかよ?」

イリヤ「……っ」


とら「この、わしによ!!」


イリヤ「バーサーカー!!」

バーサーカー「■■■■■■■■■■」

イリヤ「カヅチ!!」

華鎚「……!!」
華鎚「……!!」


とら「けけっ、来いよ。木っ端微塵にしてやるから……」


とら「やーっと、楽しめそうだぜ!!!!」

193 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/12/03(土) 22:05:23.68 ID:9OjUoUeX0


バーサーカー「■■■■■■■■■■」


とら「やりやがるな!! 退屈しねえや!!」


バーサーカー「■■■■■■■■■■」


とら「しかしよォ、おめえは正気のほうがつえーんだろうな」


バーサーカー「■■■■■■■■■■」


とら「残念だぜ!!」

194 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/12/03(土) 22:09:54.15 ID:9OjUoUeX0


・アインツベルンの森


凛「くっ、令呪が、熱い……」

うしお「遠坂先輩!?」

セイバー「まさか、トラが……」

凛「とらはそう簡単にやられるようなヤツじゃないわ」

凛「そうでしょ、蒼月君?」

うしお「あぁ……!!」

195 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/12/03(土) 22:18:46.83 ID:9OjUoUeX0


・大広間


イリヤ「なんで……なんで死なないのよ……」

イリヤ「結界に縛られて、身動き一つ出来ずにバーサーカーに攻撃されてるのに……」

とら「けけっ」

イリヤ「……コイツどこかおかしいわ。油断なく躊躇いなく、殺しなさい!!」

バーサーカー「■■■■■■■■■■」

とら「くくっ」

イリヤ「まさか、バーサーカーと同じ宝具を……」

とら「宝具だァ? くく、はーっはっはっはっ!!」

イリヤ「なっ!?」


とら「死なねーんだよ。それが妖(バケモノ)!!!!」

196 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/12/03(土) 22:31:25.51 ID:9OjUoUeX0


イリヤ「妖怪のサーヴァント、ここまでなんて……」

とら「…………」

イリヤ「手を抜いたワケじゃないでしょうね、バーサーカー」

バーサーカー「■■■■■■■■■■」

イリヤ「カヅチ。そのまま結界でコイツを捕まえてなさい」

華鎚「…………」
華鎚「…………」

イリヤ「マスターのリンさえ殺せばコイツだって死ぬはず……」

イリヤ「早く傷を治しなさい。今すぐリンたちを殺しに行くわよ」

バーサーカー「■■■■■■■■■■」


とら(……ちっ、潮時か……)

197 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/12/03(土) 22:52:07.08 ID:9OjUoUeX0


とら(力が入らねえ……)

とら(存在を維持する力ぐらいしか、わしの中にりんの魔力は残ってねえか……)

とら(……でもまぁ、時間は稼いだか……)

とら(この森から脱出さえ出来れば、りん、おめえなら何とか出来るだろ)

とら(わしが消えても剣使いと再契約すりゃ、あのガキどもにも負けねえだろうしな)

とら(ここで、おしめえ、か……)

とら(聖杯戦争の残りのヤツらがどんな敵か知らねえが、おまえならやっつけられる……)


とら(そうだよなァ?)


とら(うしお……)

198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/04(日) 02:11:27.14 ID:AgGch6qjO
思い出したのか!
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/04(日) 03:35:58.86 ID:LJ8Rs8SU0
熱い
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/12/04(日) 18:45:59.52 ID:C8Vjpr8/O
乙ー
201 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/12/23(金) 13:32:28.43 ID:lkCiBrHG0


【第十五話 追撃の交差『十二の試練』 】

202 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/12/23(金) 13:37:08.83 ID:lkCiBrHG0


・アインツベルンの森


セイバー「ウシオ、リン、止まってください」

うしお「セイバー? どうしたんだ?」

セイバー「二人とも隠れて。あれを」


リズ「…………」

セラ「…………」


うしお「あの二人は……!!」

凛「知ってるの蒼月君?」

うしお「あぁ、イリヤの仲間さ。ちょっと戦ったけどよ、かなり強いぜ」

凛「そう……。向こうも簡単には逃がしてくれないか……」

セイバー「強行突破しますか?」

凛「いえ、まだここはアインツベルンの森よ。どんな仕掛けや罠があるか分からないわ」

うしお「もう少しで国道に出るのに……。でも遠坂先輩、どうするんだい?」

凛「そうね。遠回りになるけどアレを使いましょうか」

203 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/12/23(金) 13:47:56.66 ID:lkCiBrHG0


・廃墟


うしお「ここは……?」

凛「私たちが来るときはとらの背中に乗って来たんだけど、そのときに上空から見つけたのよ」

うしお「そうか。上から見れば森に何があるか分かるもんね」

セイバー「そのときのトラの背中はモフモフでとても気持ちよく」

うしお「セ、セイバー?」

セイバー「あっ、いえ、何でもありません」


凛「とにかく、陽も落ちて暗くなってきたわ」

うしお「ホントだ。もう外は暗いや」

凛「夜の森は危険よ。この廃墟で敵をやり過ごしましょ」

セイバー「それには賛成です。夜は闇討ちの可能性もある、そうしましょう」

うしお「おーし、分かったぜ」

204 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/12/23(金) 14:00:30.66 ID:lkCiBrHG0


ぐぅ〜〜


凛「ちょっと蒼月君、さすがに緊張感なさ過ぎるんじゃない?」

うしお「オ、オレじゃねえよーーっ!!」

セイバー「……すみません、私です」

凛「あ、セ、セイバーだったんだ……」

セイバー「何か食べる物があればいいのですが」

うしお「食い物かァ……。あっ、これがあったんだ!!」


がさごそ、ころん


凛「……それは?」

うしお「遠野で妖怪の長から貰った『減らないオムスビ』さ。食べてもなくならないんだ」

凛「減らないって、どういうことよ……」

セイバー「確かに、もぐもぐ、これは凄い。食べると、もぐもぐ、既に次のモノが用意してある」

うしお「セイバー、ゆっくり食っても大丈夫さ」

凛「……蒼月君。これがとんでもないモノだって、分かってる?」

うしお「えっ? あぁもちろんさ。コヅカイがピンチのときは助かるんだぜ?」

うしお「今月も金欠でさ、これを持ち歩いて腹が減ったときに食うつもりだったんだ」

うしお「持っててよかったぜ」

凛「…………」

凛「はぁ……」

凛「協会の奴らが知ったら『魔法の数』が変わってるところだわ」

205 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/12/23(金) 14:10:23.01 ID:lkCiBrHG0


うしお「この建物って誰かのアトリエだったのかな……?」

凛「えっ? 蒼月君。それは分からないけど、どうして?」

うしお「いや、地面に画材道具が散らばってるから、そう思っただけさ」

凛「言われてみれば確かにそうね。まぁ、この荒れ具合から何年も前でしょうけど」

セイバー「ウシオは自身も絵を描くので気になったのでしょう」

うしお「あぁ、ってセイバーなんでオレが絵を描くこと知ってんだ!?」

セイバー「知ってるもなにも、ウシオの部屋は絵を描く道具で溢れているではないですか」

うしお「あ、そういやそうか」

凛「それに居間には描きかけの絵だって置いてあるじゃない」

凛「えっと、なんだっけ、溶けかけた虎?」


うしお「ありゃ藤村先生の肖像だよっ!!」

206 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/12/23(金) 14:19:35.82 ID:lkCiBrHG0


うしお「あーあ、誰もオレの芸術的センスを分かってくれねーんだもんなァ」

うしお「あ、そうだ!!」

うしお「いつかセイバーを描かせてくれよ!!」

セイバー「私を、ですか……?」

凛「蒼月君。セイバーは英霊なのよ? この意味忘れてない?」

うしお「分かってるよ遠坂先輩。セイバーは有名な英雄だってことだろ?」

うしお「きっとスゲェ画家たちが、もう描いてるだろうさ」

セイバー「確かに、全く経験がないワケではないですが……」

うしお「それでも描きたいんだセイバー、頼むよ!!」

凛「ふふ、絵のことになると夢中ね。蒼月君」

うしお「あったりめえよ!!」

うしお「この聖杯戦争が終わったあとでもいいからさ。セイバーを描かせてくれよ!!」

セイバー「……聖杯戦争が、終わったあと……。いえ、それは……」

うしお「オレがセイバーをモデルにするなんて、つけあがってるのは分かってる」

うしお「でもよ、あの日、蔵の地下で出会ったときにも思ったんだ」


うしお「笑ってるセイバーを、描いてみたいって!!」


セイバー「ウシオ……」

207 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/12/23(金) 14:25:26.27 ID:lkCiBrHG0


凛「蒼月君。まさかとは思うけど……」

凛「セイバーを描きたいって……。ヌ、ヌヌ、ヌードじゃないわよね!?」

うしお「な、な、なに言ってるんだ遠坂先輩!?」

うしお「んなワケないだろォ!?」


セイバー「……分かりました、ウシオ」

セイバー「聖杯戦争で勝利に導くのがサーヴァントの務め」

セイバー「約束しましょう。必ずマスターには絵を描いてもらいます」


うしお「セイバー……。あぁ、頼んだぜ」

208 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/12/23(金) 14:46:21.47 ID:lkCiBrHG0


うしお「……ん、いけね寝ちまった」

セイバー「ウシオ、起きましたか。身体は大丈夫ですか?」

うしお「あぁ大丈夫だぜ。おっ、もう外は明るくなりはじめてるんだな」

凛「蒼月君、おはよう」

うしお「おはようって遠坂先輩、もしかして全く寝てないのかい?」

凛「セイバーに見張ってもらって私も少しは仮眠をとったわよ」

うしお「そうか。よーし、それじゃ」

凛「待って蒼月君。落ち着いて聞いてね」

うしお「えっ?」

凛「今この付近でイリヤスフィールとバーサーカーが私たちを捜索してるわ」

うしお「そんな!? それじゃ、とらは……!!」

凛「大丈夫よ。私ととらの令呪の繋がりは切れてない。多分、城で華鎚の結界に捕まってるんだわ」

凛「あの馬鹿、大口を叩いたわりにはまんまとイリヤスフィールに捕まったのよ」

209 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/12/23(金) 14:53:27.77 ID:lkCiBrHG0


うしお「とらが捕まった、か。なんとかしねえと……」

セイバー「しかし、これは好機かもしれません」

うしお「好機? どういうことだい?」

セイバー「トラと戦い終わった直後のバーサーカーです」

セイバー「あのトラのことですから、必ず相手には痛手を負わせているでしょう」

凛「そしてイリヤスフィールは、とら捕縛のためにかなりの魔力と多数の華鎚を使ってるはずだわ」

うしお「そうか、今ならオレたちだけでもバーサーカーを倒せる……!?」

凛「そういうこと」

セイバー「はじめからトラの『狙い』はこれだったのかもしれませんね」

凛「どうだか。アイツのことだから本当にバーサーカーと『タイマン』やりたかっただけでしょ?」

うしお「はは、確かに」

セイバー「ですがこの好機は逃せません。ウシオ、私たちもバーサーカーと……」

うしお「あぁ、タイマンさ!!」

210 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/12/23(金) 15:01:54.85 ID:lkCiBrHG0


凛「作戦はこうよ」

凛「蒼月君とセイバーで、バーサーカーの注意を引き付けてもらうわ」

凛「そこに私が背後からの奇襲。とっておきの宝石魔術で終わらせる。どう?」

セイバー「いいと思います。単純ではありますが、それ故に効果的です」

うしお「よーし、分かったぜ!!」

凛(本当のとっておきは、とらの身につけてる宝石だけど。今は手持ちの宝石でやるしかないわね)

うしお「それじゃ行こうか」

凛「ちょっと待って。蒼月君、これを」

うしお「これは、槍……」

凛「私が魔術で作った槍よ。あのバーサーカーと対峙するのに得物がないのは困るでしょ?」

凛「一応、蒼月君の『あの槍』に似せて作ったんだけど、ちゃんと使えそうかしら……」

うしお「あぁもちろんさ。この槍があるならオレは負けないぜ。ありがとう遠坂先輩」

凛「も、もう。でも当然それはあの槍と違って何の力もない槍だから、油断しないでね」

うしお「分かったよ。よーし、それじゃ行こう!!」

211 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/12/23(金) 15:20:14.42 ID:lkCiBrHG0


・アインツベルンの森


イリヤ「見〜つけた♪」

うしお「イリヤ……」

セイバー「…………」

イリヤ「……意外ね。最後まで逃げ回ると思った。それにウシオ、リンはどうしたの?」

うしお「あっ、ありゃ、えーと、遠坂先輩は、森で、はぐれた、かな?」


凛(……蒼月君、ウソがヘタすぎるわ……)


イリヤ「……そう。ならリンはあとで探して殺してやるわ」

うしお「待ってくれよイリヤ。この戦いはどうしても止めることは出来ねえのか?」

イリヤ「出来ないよ。お爺様の言いつけだもの」

うしお「そうか。やっぱりそのお爺様ってヤツに言われてやってんだな」

イリヤ「そうよ。バーサーカーがいる限り、私はアインツベルンのマスターなの」

バーサーカー「■■■■■■■■■■」

セイバー「アインツベルン……」

イリヤ「他のマスターを全員殺して、聖杯を持ち帰らないといけないんだから……!!」

212 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/12/23(金) 15:25:31.69 ID:lkCiBrHG0


うしお「オレはそのアインツベルンも聖杯もよく知らねえさ。でもよ、こんな殺し合いはいけねえよ」

うしお「あの公園で美味そうにクリームパンを食ってたイリヤが、好きでこんなことしてるとも思えねえ」

うしお「もしよ、バーサーカーを倒してイリヤをマスターからやめさせれば、少しはマシになるなら」

うしお「オレは戦うさ。何度だってイリヤのために立つ。立って戦う!!」


イリヤ「な、何を言って……。私のため……?」

イリヤ「そう言って私を騙して、バーサーカーを倒して聖杯を手に入れるつもり?」

イリヤ「もういい、いらない。ウシオもバルと同じだわ」

イリヤ「私を救ってくれるのはアインツベルンとバーサーカーだけ!!」

イリヤ「遊びはこれまで。みんな殺しちゃえ!! バーサーカー!!」


バーサーカー「■■■■■■■■■■」


うしお「来る……!!」

213 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/12/23(金) 15:36:19.23 ID:lkCiBrHG0


バーサーカー「■■■■■■■■■■」

うしお「バーサーカー、東の妖の一鬼なみの巨体にこのスピード……!!」

うしお「これなら、どうだっ!!」

バーサーカー「■■■■■■■■■■」

うしお「だ、駄目か……。オレの槍の攻撃ははじかれる……!!」

イリヤ「無駄よ。普通の人間の攻撃なんてバーサーカーに通じるはずないもの」

イリヤ「やっちゃえ、バーサーカー!!」

バーサーカー「■■■■■■■■■■」

うしお「ぐはっ……」

セイバー「ウシオ!!」

イリヤ「これで終わりだよ、お兄ちゃん!!」


凛「終わるのはそっちよ、イリヤスフィール!!」

214 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/12/23(金) 15:42:07.99 ID:lkCiBrHG0


イリヤ「リン……!?」

うしお「遠坂先輩……!!」


凛「獲ったァ!!」


セイバー「見事ですリン。背後から魔術は完全に入りました、今のは防ぎようがない」

バーサーカー「■■■■■■■■■■」

凛「ウ、ウソ……。確かに、首を吹き飛ばしたはずなのに……!?」

イリヤ「そういう作戦だったんだ。見直したわリン。まさか一度だけでもバーサーカーを殺すなんてね」

うしお「どうなってんだ、バーサーカーは倒したんじゃ……!?」

イリヤ「残念ねウシオ。教えてあげる、ソイツは『十二回』殺されないと死ねない身体なのよ」

セイバー「まさか、バーサーカーの宝具は……!!」

凛「命のストック……『蘇生魔術の重ね掛け』……!?」

うしお「そ、そんな……!!」

バーサーカー「■■■■■■■■■■」

凛「がはっ……」

イリヤ「確かに終わるのはリンのほうが先だったようね」

イリヤ「バーサーカー!! ソイツ潰しちゃえーーっ!!」

215 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/12/23(金) 15:51:12.48 ID:lkCiBrHG0


とら「……ここは、りんの家か。りんと初めて会った場所かよ」


凛「とらァ!!」


とら「りん!?」

凛「アンタこんなところで何してんのよっ!!」

とら「おめえこそ何しに来たんだよ!! 今おめえは逃げるので忙しーいんだろ!?」

凛「ええ、ちょうど今バーサーカーに握り潰されるところよ」

とら「なにやってんだよ!! あのクソ『うしお』なら何とか出来るだろ!!」

凛「とら、記憶が戻ったんだ」

とら「ああ? あぁ、それがどうかしたかよ」

凛「よかった、本当に」

とら「ちっ、なにがでえい。りん、おめえの単純な魔力不足のせいなんだぜ?」

凛「アンタみたいな規格外の英霊を召還する魔力なんて誰も持ってないわよっ!!」

216 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/12/23(金) 16:08:53.91 ID:lkCiBrHG0


凛「一つだけ、分からないことがあるわ」

とら「なんだよ?」

凛「私はセイバーを召喚するつもりだった。色々うっかりしてて失敗したけどね」

凛「それで召喚されたのはアンタだった。それだけは不可思議よ」

とら「そんなことかよ。わしはこの土地に五百年はりつけになってた。あの忌々しい槍にな」

とら「この土地に縁のある英霊ってことだ。他のヤツよりは召喚しやすいだろうぜ」

凛「それはそうかもしれないけど、本当にそれだけかしら?」

とら「他になにがあるってんだよ」

凛「マスターが召喚出来るサーヴァントは、そのマスターに似るっていうわ」

凛「私とアンタ、どこか似てるのかもね」

とら「くだらん。わしはそんなもん信じんぞ」

凛「そう? 気に入った相手に素直になれないところとか似てると思うけど」

とら「ふん。おめえにしては阿呆なこと言うよな、りん」

217 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/12/23(金) 16:30:01.99 ID:lkCiBrHG0


とら「話は終わりかよ。りん、わしはもう店じまいだ」

とら「なァんで最期の最期で記憶が完全に戻ったのか知らねえが、もうしめえよ」

凛「は? とら、アンタなに言ってんのよ」

とら「もうわしの中におめえの魔力は残っちゃいねーよ。体が動きゃしねーんだ」

凛「はぁ……。本当にとっておきの宝石を使うことになるとはねぇ」

とら「おい聞いとんのか、りん!!」

凛「アンタの耳につけてるそれ」

とら「ああ? おい、なんだこれ、いつのまにこんなもんつけやがった!!」

凛「そのペンダントは『父さんの形見』で、私の一番とっておきの宝石よ」

とら「まさかおめえ、それをわしに……」

凛「とら、アンタは『私の』サーヴァントなのよ」

凛「だから私が危なくなったときに発動するように仕掛けておいたの」

凛「だって、アンタは私を聖杯戦争で勝たせてくれるんでしょ?」

凛「約束、守ってもらうわよ」


とら「……!?」

とら「傷が、治って……」


凛(……早く助けに来なさいよね、とら……)


とら「へっ……。約束は、守るさ」

218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/24(土) 11:04:26.27 ID:z4C7RcSxO
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/24(土) 11:42:28.59 ID:nWDQ8B55O
原作再現熱い
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/12/24(土) 13:05:08.03 ID:NeIoaEYho
乙ー
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/20(金) 00:55:27.03 ID:JoWnU6r0O
まだか
222 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2017/01/24(火) 20:18:41.94 ID:gNeUeXmH0


【第十六話】

223 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2017/01/24(火) 20:24:35.45 ID:gNeUeXmH0


凛「あ……ぁ……っ……」

バーサーカー「■■■■■■■■■■」


セイバー「リン!! 今助けます!!」

リズ「イリヤの、邪魔、させない」

セラ「ここは通しません」

セイバー「お前たち……!!」


うしお「遠坂先輩!!」

バーサーカー「■■■■■■■■■■」

うしお「離せよォ!! 遠坂先輩を離せええーーっ!!」

バーサーカー「■■■■■■■■■■」

うしお「ぐはっ……。あ、あぁ、槍が砕けて……そんな……」

イリヤ「バーサーカー!! 早くやりなさい!!」


ドオオオオン!!!!


セイバー「!? 今の音は……」

イリヤ「な、なに……? 城のほうから……?」

224 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2017/01/24(火) 20:30:20.29 ID:gNeUeXmH0


キィィィィン


リズ「この、音……」

セラ「何かが近づいて……」


バーサーカー「■■■■■■■■■■」

イリヤ「なに、なんなの……?」




「雄ぉ鳴ぉ雄ぉ鳴ぉ雄ぉ鳴ぉ雄ぉ!!!!!!」


ドオオオオン!!!!


「まーったく、『わし』がいなきゃこのザマかよ」


うしお「と、とらァ!!」


とら「あいそがつきるぜ。いや、あいそなんざとっくにつかしてたか」


とら「忘れるぐらいによ」

225 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2017/01/24(火) 20:37:17.28 ID:gNeUeXmH0


うしお「と、とら……まさか……」

とら「なにやってやがる、このうすらバカちびが」

うしお「!?」

とら「しけた面してんじゃねーぞ!!」


とら「うしお!!!!」


うしお「な、なんでぇ……」

うしお「おめえこそ、オレのこと忘れやがって……」

とら「ああ!? おめえのアホ面がおかしくて思い出しちまったよ!!」

うしお「なにをォ!!」


うしお「とらァ!!!!」


とら「タコが!! りんを助ける気ねーのか!?」

うしお「分かってらァ!!」


とら「ドジるなよ!! うしお!!」

うしお「こっちのセリフだい!! とら!!」

226 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2017/01/24(火) 20:55:47.45 ID:gNeUeXmH0


イリヤ「う、うそよ……」

イリヤ「カヅチ四体の結界で縛っていたのに……。どうやって……」


うしお「バーサーカー!! こっちだ!! オレはこっちにいるぞ!!」

バーサーカー「■■■■■■■■■■」

とら「前っから思ってたけど下手だよなァ、うしお」

うしお「悪かったな、とら!!」

バーサーカー「■■■■■■■■■■」


セイバー「ウシオもトラも動きが違う……。これは……」

凛(……二体で最強。ほんと貴方たちって……)


とら「おらよォ!!」

バーサーカー「■■■■■■■■■■」

とら「わしの『ますたー』は返してもらうぞ」


凛「かはっ、はぁ、はぁ……。お、遅いのよ、とらっ!!」

とら「へっ、その調子なら大丈夫そうだな。りん」

227 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2017/01/24(火) 21:14:49.07 ID:gNeUeXmH0


イリヤ「ありえない。ありえないわ、こんなこと……」

イリヤ「もう、いい。もう知らないんだから……」

リズ「イリヤ……?」

イリヤ「どうなったって、もう知らない……!!」


イリヤ「カヅチ!!」


華鎚「……!!」華鎚「……!!」
華鎚「……!!」華鎚「……!!」
華鎚「……!!」華鎚「……!!」


とら「ちぃっ、まだこんなに華鎚どもがいやがったかよ!!」

うしお「とら!!」


リズ「それ駄目、イリヤ……」

セイバー「なに……?」

セラ「いけない、いけません!!」

セラ「森に配置していた全てのカヅチに同時に命令するなどと……」

セラ「ここは城の補助も何もない場所、そんなことをすれば……!!」

228 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2017/01/24(火) 21:27:47.20 ID:gNeUeXmH0


イリヤ「ウシオ、リン。これで私の勝ちよ」

イリヤ「もう、完全に……貴方たちの、負、け……」ドサッ

うしお「イリヤ!?」


バーサーカー「■■■■■■■■■■」


バーサーカー「■■■■■■■■■■」


セイバー「バーサーカーが暴走を……!!」

うしお「これは、どうなってんだ!?」

凛「はぁ、はぁ……。魔力の限界、ね……」

うしお「えっ!? 遠坂先輩、それって」

凛「イリヤスフィールの魔力量が、華鎚に命令するために使った分量で限界だったのよ」

セイバー「しかし、こんな行き成り?」

凛「当然といえば当然よ。自分の使い魔でもない、ましてや『妖怪』を使役出来てたほうがおかしいのよ」

凛「そこはさすがのアインツベルンってとこね。腹立たしいけど」

凛「でもイリヤスフィールには、もうバーサーカーの理性を保つ魔力がないんだわ」

229 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2017/01/24(火) 21:44:12.63 ID:gNeUeXmH0


バーサーカー「■■■■■■■■■■」

リズ「バーサーカー、駄目……」

セラ「こんなこと、これでは……」


バーサーカー「■■■■■■■■■■」


凛「どうにかするしかないわね……。とらは動ける?」

とら「ぐっ、駄目そうだ。華鎚のクソはあのガキの最後の命令を聞いてやがるのよ」


バーサーカー「■■■■■■■■■■」

イリヤ「…………」

うしお「!?」

うしお「まさか、バーサーカーはイリヤまで……!?」

バーサーカー「■■■■■■■■■■」

うしお「イリヤーーーーっ!!!!」

イリヤ「…………」

うしお「はぁはぁ、間に合った……。でも、このままじゃ……」

230 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2017/01/24(火) 21:50:40.31 ID:gNeUeXmH0


凛「とらは結界で動けないし、どうしたら……」

とら「いや、わしに出来ることはまだあるぜ。りん、準備しな」

凛「えっ?」


とら「おいうしお!! よく聞きな!!」

うしお「とらっ!?」

とら「わしにもな、剣使いと同じように『宝具』があるのよ」

うしお「宝具……とらに……?」

とら「それを使えば、おめえは昔みたいに戦えるはずだぜ」

うしお「それって、まさか……」


とら「あーあ、忌々しい」


とら「なぁんでこんなモンが、わしの宝具か」


うしお「あ、あぁ…………」




とら「この 『 獣 の 槍 』 がよォ」



231 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2017/01/24(火) 21:52:28.24 ID:gNeUeXmH0


【第十六話 宝具『獣の槍』 】

232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/24(火) 22:59:06.37 ID:2nOGj1GKo
(また荒れそうなネタを・・・)
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