どうやら穂乃果がRPGの世界に入り込んだようです 2

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98 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/09/06(火) 23:25:26.30 ID:YPBJxLGk0
希「それだと『ラシュータのホノカ』がフラリードに行ってしまうと、フラリードには『ホノカ』が2人存在するってことになるってことですよね?」


サクラコ「そこなのですが、『フラリードのホノカ』は、アフトが倒した最初の魔王の侵略で命を落としてしまっています」


希「そうだったんか…すみません、ありがとうございます」


穂乃果「私が一人…」


にこ「あなたが気を落としてどうするのよ、それはあなたであってあなたではないのよ」


穂乃果「頭パンクしちゃう…」


穂乃果「あっ!でも私がこっちにも居たってことは、ジーズの村長さんの家に雪穂によく似た人の写真があったことに納得がいく!」


真姫「…とりあえず、続きを聞きましょう?」


サクラコ「よろしいですね?」


サクラコ「コウサカホノカは自分の使命を理解して、フラリードに旅立ちます」


サクラコ「そこで、コウサカホノカは自分の妹に心配させないように旅の理由は言わずに内緒で出発しました。妹は、コウサカホノカがどこか遠いところに旅に出ていると言われているようですね」


穂乃果「こっちの私…そんなことを…」


サクラコ「コウサカホノカは、フラリードで仲間を集めていきました。少女でありながら実力者であった8人を仲間に誘い『μ's』という名前をつけたのです」


海未「そこでμ'sができたのですね」


サクラコ「そのときμ'sは、フラリードの特殊な石を使用し、自分たちのシンボルとしてネックレスを手に入れました」


凛「それって…」


サクラコ「はい、あなたたちが今身に着けているそれのことです」


絵里「いろいろとつながってきているわね…」


サクラコ「そしてフラリードのμ'sはレディアフトに戦いを挑みます」


サクラコ「しかし彼女たちはレディアフトに敗北してしまい、私もなす術なくフラリードは破壊されました」


花陽「そんな…」


サクラコ「その後、レディアフトはラシュータも破壊するためにラシュータに侵入します。すでのレディアフトは私の力を上回っていました」


サクラコ「ラシュータに到着したレディアフトは、闇魔力を振りまいて穏やかだった魔物たちを支配して、人間を襲わせたんです」


サクラコ「ですが、私は当時のラシュータの者たちと共に戦い、レディアフトの封印に成功しました」


サクラコ「それを境に魔物たちも穏やかになり、私はレディアフトとの戦いで失った力を取り戻すことにしました」


サクラコ「それから数百年後、レディアフトは復活を遂げました。ですが復活と言っても封印を自ら無理やり解いただけで、本来の力は取り戻せていませんでした」


サクラコ「そこで、レディアフトはまた魔物を活発化させました。そして仲間を集め、自らを魔王と名乗りました。私も力を取り戻せずにいました」


絵里「劇的ですね…」


サクラコ「それから50年。魔王を討伐するために旅に出る者は何人もいましたが、魔王軍の部下にやられて倒せずにいました。50年間私の呪縛から解かれて力を蓄えつづけていたレディアフトは、力を取り戻すまであと少しというところまで来ています」
99 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/09/06(火) 23:56:13.33 ID:YPBJxLGk0
サクラコ「…私は、レディアフトを封印した際にラシュータに神話を残しました」


海未「それって…」


サクラコ「女神の神話です」


穂乃果「それって、オトノキザカで女王様に教えてもらったμ'sの神話…?」


サクラコ「私は、フラリードで勇敢にたたかったμ'sを神話にしてラシュータに残したのです」


にこ「なるほどね…」


サクラコ「そこであなたたちμ'sに賭けようと思ったのです」


真姫「…フラリードのμ'sのホノカ以外のメンバーはそっちの私たちなのよね?」


サクラコ「はい」


真姫「なら待ってよ。変だわ」


真姫「ラシュータのホノカは遥か昔に生まれて、フラリードに行ってそっちの私たちとμ'sを作ったんでしょ?それで、各世界には同じ人間がいる」


真姫「なのに、どうしてラシュータの私たちとフラリードの私たちで生まれるタイミングが違うの?各世界でバラバラなの?」


サクラコ「フラリードのあなたたちは、本当に偶然同じ時期に生まれています。ですが、ラシュータのあなたたちが同じタイミングで生まれたのは私のせいなのです」


サクラコ「『オリジナル』のあなたたちはかなり近いタイミングで生まれていますよね?それは、まさしく運命。オリジナルでのことは、私は改変できません」


サクラコ「ですが『ラシュータ』なら話は別です。『ラシュータ』であなたたちが生まれるタイミングを、『オリジナル』のタイミングに近づけることが可能なんです」


サクラコ「フラリードが破壊されたときに、レディアフトがラシュータに攻めてきて私の力をほとんど使い戦うことになるのは予想できていました」


サクラコ「なので、フラリードのあなたたちの力をネックレスの石に込めたのです。『オリジナル』のあなたたちが近いタイミングで誕生するということは分かっていました。ですが、そこから派生した世界の未来は私にもわかりません」


サクラコ「レディアフトが復活、または新たな強大な悪がラシュータを襲うことを予測するのは容易でした。なので、その時のためにラシュータのあなたたちが生まれるタイミングを『オリジナル』のあなたたちと同じタイミングに近づけることにしたのです」


にこ「簡単に言うけれど、それってとてつもないことよね?」


サクラコ「はい。生まれるタイミングを調節することはかなりの力を使うので、私自身の力が戻るのにもかなり遅れていました」


海未「…そんなに、μ'sというのは大きい存在なのですか?神であるあなたから見て」


サクラコ「勇気を貰える存在です。なので信じたくなったのですよ、μ'sに」


凛「でも、ラシュータのホノカちゃんはかなり前にフラリードに行ってやられちゃったんだよね…?」


サクラコ「その通りです。ラシュータの世界にもうコウサカホノカは生まれません」


100 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/09/07(水) 00:07:20.67 ID:XQAScWjp0
穂乃果「そこで、私…」


サクラコ「そうです。私は『オリジナル』から高坂穂乃果をこの世界に入り込ませました。そのための力も溜めていたんです」


サクラコ「その後、運命の腕輪を通して東條希に『μ'sを集めて旅をしてほしい』と伝え、あなたたちの旅が始まりました」


希「黙っててごめん!」


穂乃果「それが…私がこの世界に入り込んだ理由ですか?」


サクラコは穂乃果の目を見つめる。


サクラコ「はい。本当に申し訳ありませんでした」


サクラコは深く頭を下げた。


穂乃果「っ……」


穂乃果は少し黙ったが、口を開く。


穂乃果「顔を上げてください、創世神様」


サクラコはゆっくりと顔を上げる。


穂乃果「私は全然怒ってないですよ?」


サクラコ「本当ですか?私は、関係ないあなたを無理やりこっちへ呼び込んだんですよ?」


穂乃果「最初はすごく混乱して、帰りたいって思うこともありました。でも、今はこっちに来れて良かったと思ってます」


穂乃果「…きっと、何も知らない私が、こっちのピンチだから助けてくれ。って言われたら、来ると思います」


穂乃果「だから、ありがとうございます。創世神様」


サクラコ「…ありがとうございます」


にこ「あらあら穂乃果、創世神様にかなり大きなこと言うじゃない?」


穂乃果「そうじゃないよ!もう!」


穂乃果「あ、そうだ…私がこっちに来てから見るようになった夢も、今回のことに関係あるんですか?」


サクラコ「おそらく、ネックレスの力とあなたがシンクロしていっている証拠でしょう」


穂乃果「シンクロ…?」


サクラコ「そのネックレスには、フラリードのμ's、『始まりのμ's』と言いましょうか。その彼女たちの力の一部がこもっています」


サクラコ「高坂穂乃果以外の8名は、ネックレスが知らぬ間にそばにあったと思います。それも私の力です」


サクラコ「始まりのμ'sが使用していたネックレスに彼女たちの力の一部を込め、ラシュータで生まれたあなたたちがその力を利用するに値するまで成長するとそのネックレスが出現するようにしました」


花陽「だから、最初から持っている人もいれば急に手に入れる人もいたんだね…」


サクラコ「そのネックレスをつけていると、あなたたちには少なからず始まりのμ'sの彼女たちの力が少し溶け込んでいます。高坂穂乃果を除いて」


穂乃果「…」
101 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/09/07(水) 00:07:54.20 ID:XQAScWjp0
今回はここまで!
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/07(水) 00:14:35.97 ID:dPdkg+9SO
(・8・)
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/07(水) 00:20:28.97 ID:v5coJsN30

ハノケチャン凄すぎ
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/09/09(金) 15:57:08.29 ID:zP1cwDWM0
フォノカッチャスゲエエエエエエ
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/11(日) 02:18:46.54 ID:bYMTSbUAO
乙です!
すげぇ……、壮大な話だよ。
106 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/09/14(水) 22:06:45.56 ID:bAMYE+tY0
真姫「やっぱり穂乃果は特殊なのね…説明してもらえる?」


サクラコ「あなたがたはラシュータの人間です。なので、フラリードの力を完全に取り込むことができないのです」


サクラコ「ですが高坂穂乃果はオリジナルの人間です。彼女は、フラリードの力にも完全に対応できる」


サクラコ「気づいているでしょうが、オリジナルに居たころのあなたとラシュータに来てからのあなたでは別人かのように身体能力に差があります」


穂乃果「はい、ずっと思っていました。こっちに来てから、元居た世界…オリジナルではありえないような動きを軽くできてしまうことが不思議で…」


穂乃果「でも戦うのに一生懸命で、こういうものかなって納得しちゃったんですけど…」


穂乃果「周りのみんなも同じくらい運動能力が高いし…」


サクラコ「ラシュータとフラリードの人間の潜在能力は、オリジナルの比ではないのです。ですから納得するに至ったのでしょうが…それにはちゃんとした理由があります」


サクラコ「こちらに来た時のあなたの身体能力はオリジナルに居たころと全く同じでした。ですが、あなたがそのネックレスの存在をしっかりと認識した時に、あなたの体にそのネックレスに込められた力が溶け込みだしたのです」


海未「言われてみればそうですね」


絵里「…ということはつまり!」


真姫「っ…」


サクラコ「…。高坂穂乃果を除く8人は『自分の力』に『始まりのμ's』の力を加えて戦ってきました」


にこ「ちょっ!?言うの!?」


サクラコ「ですが高坂穂乃果は、完全に『始まりのμ's』の力を使って戦ってきたのです」


穂乃果「っ!!」


にこ(これまでの旅で手に入れてきた、私たちと一緒に成長してきたと思っていた力が、本当は自分のものじゃなかっただなんて…そんなこと知ったら…)


サクラコ「あなたはこれまでの戦いを通して、ネックレスの力の使える量を増やしていたのです。まわりが成長するのに合わせて、あなたはネックレスの力に馴染んで引き出してきたのです」


穂乃果「成長だと思っていたことが、実はネックレスの力のうち使える量を増やしていただけ…」


サクラコ「これはあなたに伝えなければならないと思っていました」


サクラコ「そして、あなたはついにそのネックレスに込められたすべての力を引き出してしまった」


穂乃果「すべてを…?」


ことり「そんな!!」


海未「そんなのって…」


穂乃果「っ…?」


真姫「何を不思議な顔してるのよ」


穂乃果「だ、だって…」


真姫「わかっていないのなら説明するわよ。穂乃果の強さはそのネックレスの力から来てる。そして穂乃果は、そのネックレスの力を完全に引き出してしまった。つまり…」


真姫「穂乃果、あなたはもう強くなれない」
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/09/15(木) 11:10:26.83 ID:/CpNnsRY0
このまま戦うのか何かしら克服するのか……とにかくこの先の展開が気になるな
108 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/09/15(木) 20:20:52.19 ID:5/XDjc140
最初にサクラコ様から『すべての力を引き出してしまった』と言われて、すぐに気付いた。
でも、嘘だと思った。思いたかった。そうして知らないふりをしていた。


穂乃果「…もう、強くなれない」


にこ「穂乃果…」


穂乃果「今まで覚えてきた技も全部、穂乃果自身の力じゃない…」


穂乃果「…確かに、技を思いつくのはいつも突然だった」


サクラコ「今のままではあなたはもう強くなれない。それは事実」


真姫「…今の、ままでは?」


サクラコ「はい。今のままでは、です」


穂乃果「どういうことですか…?」


サクラコ「あなたは完全にネックレスの力を引き出した。それは同時に『ネックレスの力が穂乃果に溶け込んでいる』ということです」


サクラコ「その状態の『オリジナル』の人間であるあなたに、ネックレスの力を一体化させることが可能なんです」


にこ「ってことは…!」


サクラコ「それが成功した場合、そのネックレスの力は完全にあなたのものとなる。つまり、成長が可能になるんです」


穂乃果「そうなんですね……けど、ここまで溜めたってことは何か条件が?」


サクラコ「ネックレスの力を一体化させるには、ネックレスの力の奥底にかけられたロックを解除しないといけません」


サクラコ「ネックレスの力自身がかけたロックを」


穂乃果「ロック…それを解く方法って…?」


サクラコ「それができるのは、高坂穂乃果ではありません。他の8人のみなさんたちです」


希「ウチら…」


サクラコ「8人のうち、7人が私と共に魔力で高坂穂乃果を押さえつけます。そして残った1人は、直接ネックレスの力と対話してその力に打ち勝つしかないです」


サクラコ「もし失敗したら、直接ネックレスと対話していた方は命を落とすでしょう」


穂乃果「そんな…危険だよ…」


海未「……選択肢は、あってないようなものですね」


穂乃果「えっ…?」


凛「当然だにゃ!」


にこ「創世神様。私たちは、穂乃果に力を一体化させます」


穂乃果「そんな…危険すぎるよ!成長しなくたって、技術を磨けば強くなれるし!」


真姫「無茶言わないで。これからの戦いはもっと激化していくのよ?それなのに技術を磨くっていうだけじゃ戦えなくなるのをわかってるでしょう?」

109 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/09/15(木) 20:41:41.41 ID:5/XDjc140
穂乃果「でも…」


ことり「それにね穂乃果ちゃん。みんな、穂乃果ちゃんが苦しむ顔を見たくないんだよ」


穂乃果「苦しむ…顔…」


穂乃果以外のμ's全員が頷いて穂乃果を見つめる。


花陽「μ'sが欠けるなんてありえない。それは穂乃果ちゃんが一番わかってるでしょ?」


花陽「だから…みんなを信じて」


穂乃果「!!」


サクラコ「高坂穂乃果、どうしますか?」


穂乃果「……みんな、お願いします」


穂乃果「サクラコ様、よろしくお願いします」


サクラコ「わかりました。それでは、ネックレスの力と直接対話する1人を選んでください」


真姫「行きたい人…なんて聞いても、全員手を上げるだけよね」


にこ「当然よ!みんな穂乃果の力になりたいもの」


希「サクラコ様、ネックレスの力と対話するってことは穂乃果ちゃんと戦うってことでええの?」


サクラコ「はい、ネックレスのコウサカホノカと戦います」


海未「穂乃果と戦うに等しい、ということですね」


サクラコ「少し違います。ネックレスの力が完全に溶け込んでいるといっても、戦うときは当然、高坂穂乃果の体を経由しています」


サクラコ「しかしこれから対話する…戦うのはネックレスのそのままの力です。今の高坂穂乃果よりも強いと思った方がいいでしょう」


真姫「…だとするときつい戦いになるわね」


希「遠距離型の海未ちゃん、花陽ちゃんはやめた方がええかもしれないね。穂乃果ちゃんは速いから、攻撃を避けられて詰められたら反撃は難しい」


希「ウチは、召喚獣をちゃんと呼べるかわからへんからやめておこうと思う」


真姫「だとすると、残ったのは近接型だけれど私も大変そうなのよね。穂乃果のパワーに対抗できるかわからない」


ことり「ことりも戦いたいけど、穂乃果ちゃんのスピードに追い付けなさそう」


真姫「となると残るはにこちゃん、凛、絵里ね」


凛「剣と戦うのは結構リスクが高いにゃ。相手が大きかったら逆に得意なんだけど、同じくらいの身長の相手と戦うとなるときびしいかな」


にこ「…だとすると残るはにこと絵里だけど、にこも凛と同じ理由かしら。任せてもいい?絵里」


絵里「ええ、まかせなさい。なんたって私は一度穂乃果に勝ってるんだから♪」


希「ちょっとえりち、油断してる?」


絵里「まさか、してるわけないわよ。逆に緊張してる」
110 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/09/15(木) 20:58:15.69 ID:5/XDjc140
穂乃果「絵里ちゃん…お願いします!」


絵里「こら穂乃果、そんなかしこまらないの。仲間だから当然のことよ」


穂乃果「うん…ありがとう!」


サクラコ「準備ができました。こちらへ」


サクラコは魔法陣を作成しており、その中心に穂乃果を立たせる。
その魔法陣のふちに絵里以外の7人を立たせる。
そして絵里を、穂乃果の正面に立たせる。


サクラコ「絢瀬絵里以外のみなさんは魔力を放出し続けてください。この魔法陣に込められた私の魔力が高坂穂乃果が暴れるのを抑えます」


穂乃果「暴れるって…?」


サクラコ「この戦いは、あなたに負担が大きい。そして戦いが終わるまではあなたは意識を失います。そして無意識の中であなたは苦しみ、暴れるでしょう」


穂乃果「なるほど…」


サクラコ「さて、初めてもよろしいですか?」


絵里「私は大丈夫よ」


絵里は置いておいた武器を取り、立つ。


穂乃果「穂乃果も大丈夫です」


サクラコ「では、始めます」


サクラコが少し離れたところから魔力を込めると、目を開いていた穂乃果は突然目を閉じてしまう。
そして穂乃果の周りに光のドームが張られる。


サクラコ「みなさんは魔力を送り続けてください!続いて絢瀬絵里をネックレスと対話させます」


絵里は目を閉じる。
すると自分の周りを魔力が包んだ感覚に陥る。
その魔力が体から離れたような感覚になると、続いて涼しい風が絵里のそばを通過する。


絵里「風…?」


絵里がゆっくり目を開けると、眼前には平原が広がっていた。
日差しもでている。


絵里「ラシュータの平原に似てるわね…もしかして、これはフラリードの平原の景色なのかしら」


そう思い、歩き出そうとすると背後から何者かが近寄ってくる気配が。
絵里が振り向くと、少し離れたところから髪を下した穂乃果が近づいてきていた。


絵里「穂乃果…いえ、始まりのμ'sのホノカね」


ホノカは絵里に近づいて適度な距離で停止。
そして背中に携えていた2本の剣を抜く。


絵里「…さっそくやるのね。いいわ、やりましょう」


絵里も盾を構えて剣を抜く。
二人は構えた状態で睨みあう。


絵里「来ないのかしら」
111 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/09/15(木) 21:47:28.73 ID:5/XDjc140
絵里はじりじりと近寄る。
ホノカは構えたまま動かない。


絵里「ならこっちから行くわよ!」


絵里は右足に魔力を込めて、アクアブルーブーストで加速して急接近!
そのままホノカの首元めがけて突きを放つ!

しかしホノカは2本の剣をクロスして、絵里の剣を下から弾き上げる。
そこから体勢を低くして絵里の懐に入り込みつつ振り上げた剣をその反動で下まで振り下ろす。
そして2本の剣で絵里の腹部を斬りつけた!

ギィン!!

しかし、絵里は左手で持っていた大きな盾でその斬撃を防ぎ、バックステップで距離を取る。


絵里「速いわね…」


ホノカはゆっくりと上体を起こす。
そのまま左手に持っていた剣を背に背負っている鞘に納める。
そしてすぐさまダッシュ!


絵里「来る!」


ホノカのスピードはかなり速く、ホノカはそのまま直線で来るのではなく左右にステップも入れているため読みづらい
絵里にかなり接近すると、ホノカはジャンプ!
そのまま剣に魔力を込めて振り下ろす!


ホノカ「オレンジスプラッシュ」


ホノカのオレンジの魔力の剣撃を、絵里は盾で防ぐ!
その威力は高く、絵里はかなり押し込まれる。


絵里「重い…」


絵里は右手の剣でホノカに対して斬り上げる!
ホノカは盾で押さえられている剣を、盾の上で滑らせて絵里の剣を防ぐ。
そのまま盾を蹴ってバク宙し距離を取る。


絵里「戦い慣れている…穂乃果が完全に力を溶け込ませていても、やっぱり戦い慣れていないとこうも違うのね」


絵里はホノカが着地すると同時に、フローズンブーストで急接近して切先から氷の魔力を放つ!
氷の斬撃はホノカを襲うが、穂乃果はオレンジスプラッシュで絵里の剣を斬りつける!
しかし、ホノカはその威力のせいで吹き飛ばされる。


絵里「でも、フラリードで戦った穂乃果と今の穂乃果は強さが別格。強くなったって感じるのも当然よね」


ホノカはまた突っ込む!
絵里はどっしりと構える。
ホノカは素早く連続で斬りつけるが、絵里は盾ですべての攻撃を防ぎつつカウンターの攻撃もする!
しかし互いの攻撃は届かない。


絵里「っ…なら!!」


絵里はホノカの攻撃を防ぐと、瞬時に盾を壁のようにしてホノカに突進!
突進されたホノカは体勢を崩した。
絵里は盾の横から突きを放つ!
しかし、体勢を崩していたホノカは剣を両手で持ち、なんとか振り下ろす!

絵里はその攻撃をすぐさま盾で防ぐが、オレンジの魔力が渦上に剣を包んでいたことに気付く。


絵里「これは…!!」


ホノカ「オレンジ・ストーム」


絵里の足元から光魔力の斬撃の渦が発生し、絵里を包み込んだ。
112 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/09/15(木) 22:15:05.09 ID:5/XDjc140
絵里「ぐっ…」


絵里は無数の斬撃に切り裂かれるが、剣をなんとか納め、両手で盾を持つ。


絵里「ドーム…シールドっ!!」


絵里が盾を地面に打ち付けると、絵里の周りからドーム状の魔力が発生!
そのドームがオレンジ・ストームを打ち消す。


絵里「ハァ…ハァ…」


絵里は膝をついて、ドーム状の盾の向こうにいるホノカを見つめる。


絵里「剣を納めたのはこういうことだったのね…」


絵里は地面につけていた盾を地面から離す。
そしてすぐに剣を抜く。


絵里「さて、反撃開始よ!」


ホノカは剣を両手で握りしめている。
そこに向かって絵里はアクアブルーブーストで接近!
絵里はホノカの右肩を狙って剣を振る。
ホノカはそれを剣で受け止める。
さらにオレンジの魔力を込めて剣を振り上げ、絵里の剣を薙ぎ払う!


絵里「っ!!」


ホノカは振り上げた剣を両手で持ち、剣にオレンジの魔力の渦を纏わせる。


ホノカ「オレンジ・ストーム」


そのまま絵里に対して剣を振り下ろす!
しかし、絵里は盾を高く振り上げてホノカの剣を受け止める。

絵里の足元からはオレンジの渦が発生しない。


絵里「やっぱり、そうだったのね!」


絵里はホノカの腹部を蹴る!
蹴られたホノカは体勢を崩す。
そのまま絵里は、自分の剣を盾に打ち付けて魔力を込める。


絵里「ディナイブルー!!」


絵里はホノカの左肩めがけて、水色の魔力を込めた剣を振り下ろす!
ホノカはなんとかバックステップで避けるが、完全には避けきれず、その斬撃は左肩を切り裂く。


絵里「オレンジ・ストームを放つ条件は、剣を振った後に切っ先が下を向いていること。今のあなたの攻撃を、わたしはかなり上で防いだ」


絵里「だからあなたの剣の切先は上を向いていて、地面に魔力が放たれることはなかった。あってるわよね?」


ホノカは左肩を抑えているが、その手を離して構える。


絵里「どう?私も結構やるでしょう?」


ホノカはまた突っ込み、斬撃を連続で放つ。
絵里はまた盾で防ぐが、ホノカは突然攻撃をやめて一歩下がる。
そのまま剣を水平に持ち、体勢を深くして剣に魔力を込める。


絵里「その構えは…」
113 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/09/15(木) 22:18:10.43 ID:5/XDjc140
今日はここまでです!
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/16(金) 00:19:42.98 ID:3ZDIMSiM0
始まりのホノカこれから本気って感じかな?
115 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/09/17(土) 20:43:34.84 ID:D/JhazH50
>>111
 (誤)絵里「でも、フラリードで戦った穂乃果と今の穂乃果は強さが別格。強くなったって感じるのも当然よね」
 (正)絵里「でも、クロスシーラで戦った穂乃果と今の穂乃果は強さが別格。強くなったって感じるのも当然よね」

です。申し訳ない。
116 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/09/17(土) 21:13:02.27 ID:D/JhazH50
ホノカ「スパイラル・オレンジ」


オレンジの魔力の強烈な突き。
絵里は盾で防げたが、かなり押し込まれる。
さらに盾を魔力が切り裂くので、体勢を崩した。


絵里「まずいっ!!」


絵里は体勢が崩れながらも剣をふるう。
しかしホノカはそれを、突いた剣で弾く!
そのまま絵里の懐に入り込み、背中に納めていた2本目で抜刀しつつ横斬り!!
絵里は一気に体勢を後ろに落として倒れ込む。
倒れると同時に右足を振り上げて、ホノカの左手を蹴り上げる!
ホノカの2本目の剣撃は、絵里の倒れていく胸を斬りつけようとするが、絵里は胸当てをつけているのでそれで攻撃を防げた!


絵里(でも、倒れた後のことは考えてないのよね)


絵里はドサッと倒れ込む。
ホノカは右手の剣をクルリと回して逆手に持ち、絵里の腹部めがけて振り下ろした。
絵里は右に転がってその攻撃を回避、1回転してから右手を振り上げて、追撃してきたホノカの剣を弾き立ち上がる。そしてバックステップで距離を取る。


絵里「危なかったわね…」


絵里「2本目を抜いてきた…注意しなくちゃ」


ホノカは両方の剣に魔力を込めて、絵里めがけて走る。


絵里「迎え撃つわ!」


ホノカは大きくジャンプをして絵里の前に着地、そこから体勢を低くして飛び込み2本の剣で斬る。


ホノカ「オレンジ・クロス」


絵里は盾では防がずに、後ろにステップを踏んで避ける。


絵里「それも斬った後で炸裂する技よね?わかってるわよ!」


ホノカは状態を起こして、左の剣で絵里を斬りつけるが盾で防がれる。
絵里は盾を押し込んでホノカの剣を押す。
ホノカは右の剣で絵里の盾を持つ手を狙うが、絵里は自分から見て右にステップを踏んでそれを避ける。
そして絵里は剣を振り上げてホノカの左わき腹を狙うが、ホノカも左足を一歩引いて攻撃を躱す。


絵里「やっぱり見えてるわね…!」


絵里はそのまま距離を詰めて剣を振るう!
ホノカは2本の剣でそれを防ぎ続ける。
しかし、ホノカは数回防ぐと、左の剣で絵里の攻撃を完全に受け止める!
そして空いている右の剣に魔力をまとわせて振るう!
剣を包んでいたすぐにはじけて刃を包む。
すると剣撃は凄まじい速度に変化する!


絵里「これはっ…」


ホノカ「トリプルオレンジ」


凄まじい剣撃のうち2撃は盾を斬りつけるが、最後の一撃は絵里の太ももを斬りつける!


絵里(足の防御がおろそかになっていた…)


絵里は鋭く剣を振ってホノカに距離を取らせる。
ホノカはバックステップで距離を取る。


絵里「傷は浅いけど、2本って大変ね」
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/21(水) 04:32:24.22 ID:5fkRtFwAO
乙です!
絵里はどうやってホノカを攻略するか……。
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/25(日) 07:00:31.82 ID:9dUU8ULSO
ほのかっこいい
119 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/09/25(日) 21:05:08.90 ID:azseTiVd0
絵里「とりあえず…頑張ってみましょうか」


ホノカ「…ッ!!」


ホノカは絵里に急接近し、右の剣で斬りかかる。
絵里は盾で防いで自分の剣で攻撃するがホノカは左の剣で防ぐ。
連続の攻撃を互いに防ぎ合いながら剣を打ちあう。
その中、絵里は盾を自分の体に密着させるくらい引いて体ごと盾でタックル。
ホノカはタックルを剣で受け止めたため、大きく体勢が崩れてはいない。
タックルをするときに絵里は切先を地面につけて、剣の先に魔力を集中させた。


絵里「新技、行くわよ?」


絵里はそのまま剣を振り上げる。
ホノカはその攻撃を軽いステップで躱すが、絵里の剣の軌道上から氷のつぶてが多数放たれてホノカを襲う。


絵里「アイスバレット!」


ホノカはその多数の氷を防ぐために体を引く。
絵里は盾に剣を打ちつけて魔力を込めつつ前進。
ホノカの右腹部を狙って水平斬りを放つ。


絵里「ディナイブルー!!」


ホノカは咄嗟に2本の剣でその攻撃を受ける。
なんとか防いだがふんばることはできず、そのままホノカは吹き飛ばされ、倒れ込む。


絵里「よく受け止めたわね。剣に当たった感覚しかなかったわ。でも、結構飛ぶでしょう?」


ホノカはユラユラと立ち上がる。
頭部から出血しているが、左手でぬぐったので目にはかからない。


ホノカ「……」


ホノカはゆっくりと深呼吸する。
そして深く構え、渾身の力を込めて走り出す。


絵里「速い!?」


ホノカは右の剣に魔力を込め、そのままオレンジスプラッシュを放つ!
絵里は盾でその攻撃を受け止めるが、すぐに左の剣で攻撃される。
絵里もなんとか防ぐが、ホノカの連続攻撃の速度は増している。


絵里「力を…隠していたの…?」


するとホノカは右の剣に魔力を込めて、またオレンジスプラッシュを放つ。
絵里が盾で受け止めると、今度は左の剣に魔力を込め、そしてその魔力をはじけさせて剣にかぶせる。
左の剣のトリプルオレンジが絵里を襲い、絵里は初撃しか受け止めきれずに2か所を軽く斬られる。
絵里が反撃しようとすると、ホノカはまた右の剣でオレンジスプラッシュを放つ!


絵里「くっ!!」


絵里が振り上げていた剣でそれを受け止める。
しかし、絵里の右側はそのせいでがら空きになる。
ホノカは左の剣にも魔力を込めてオレンジスプラッシュを放って絵里の腹部を切り裂く!


絵里「うっ!!」


絵里はその攻撃を受けて、盾を大きく振ってホノカを振り払う。
ホノカはステップを踏んで後退。


絵里(結構深く入ったわね…)
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/09/26(月) 12:33:46.00 ID:wCcFjGr70
乙戮のイービルスフィアぁ!
121 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/09/27(火) 21:48:40.74 ID:3RYaMflS0
そう思うと、またホノカは斬りかかってくる。


絵里「休憩なしなのね?」


絵里「守りの体勢じゃ、一人じゃ勝てないわよね…こんな強い相手に!」


ホノカがまた2本の剣で攻撃してくるのに対して絵里は盾を軸に防いでいく。


絵里「…ここ!!」


ホノカが右の剣で斬りかかろうとしたときに、絵里は剣で突きを放つ。
ホノカは攻撃をやめて突きを回避する。
しかし絵里は攻撃の手を緩めずに、剣で何度も攻撃していく。
ホノカが距離を開けようと下がると、絵里は突っ込んでその距離を縮めて攻撃していく。


絵里「本当によく躱すわねもう!」


しかしホノカもスタミナが切れてきたのか動きにキレがなくなっていく。


絵里「チャンス!」


絵里は上段を斬ると見せかけて下段を斬る!
ホノカは真上に飛んで避け、そのまま2本の剣を同時に振り下ろすがそれを絵里は盾で受け止める。
そこから絵里は剣を真上に振り上げる!
ホノカは絵里が剣を振り上げる前に、盾に接触している2本の剣に体を寄せて、そこから腕を伸ばすことで盾から少し離れる。
そして左手に持っている剣を後ろに強く放り投げて、右手に持っていた剣を両手で持ち、魔力を込めて振り下ろした!


絵里「魔力が渦を巻いている!?これはーー


ホノカ「オレンジ・ストーム」


剣は盾に打ち付けられるが、切先は地面を向いており、絵里をオレンジの斬撃の竜巻が襲う。
ホノカはその隙に距離を置いて、放り投げた剣のところへ行く。
絵里はドームシールドで竜巻をかき消す。


絵里「やるわね」


ホノカは左手で落ちている剣を掴み、また突っ込んでいく。


絵里「……予想が正しければ、勝機は来る」


ホノカは両方の剣で超速連撃を放ち続ける。
左の剣に魔力を込めて絵里の右肩に向けて剣を振るうが、絵里はその攻撃を受け止める。


絵里「っ!!やっぱり!」


ホノカはそのままサッと一歩後退し、右の剣を水平に構えて魔力を込める。
しかし絵里はその後退に合わせて前進しており、実質さほど距離は開いてなかった。


絵里「詰めが甘いわ!」


ホノカは自分も突っ込み、絵里の盾に向けて左の剣で斬りかかる。


絵里(左の剣で盾を止めて、右の剣でスパイラル・オレンジを的確に決める気でしょう?でも…)


しかし左の剣は、盾に打ち付けられた瞬間に刀身が真っ二つに折れる。


ホノカ「!?」



122 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/09/27(火) 22:33:52.56 ID:3RYaMflS0
絵里「動きが一瞬止まったわよ!」


ホノカは剣が折れたことに驚いて、右の剣を突き出すのが遅れた。
絵里はそこを見逃さずに、自分の剣を振り上げてホノカを切り裂く。
ホノカは左の折れた剣でかろうじてはじくが、絵里の剣はしっかりとホノカの左腹部から右胸部にかけてをえぐる。
ホノカは吹き飛ばされ、倒れ込む。


絵里「今のは深いでしょう?」


ホノカはゆっくりと顔を上げて絵里を見つめる。


絵里「さっきのあなたの攻撃も確かに深かったけど、私はパラディン。打たれ強さが売りなんだから」


絵里「さて、剣が一本になったけどこれからどうするの?」


ホノカは左手で持っていた剣の残骸をその場に置き、左手に魔力を込める。
すると左手には光魔力の剣が生成される。


絵里「シャイニーブレイド…やっぱりそうくるわよね…」


ホノカは絵里に向かってまた突っ込む。


絵里「いいわよ、来なさい」


ホノカは上段を斬るとフェイントを入れて、下段を左の魔力の剣で斬る。
絵里は盾の下を地面に少し突き刺し、自分もかがんでその攻撃を受け止めて踏ん張る。
さらに絵里は自分の剣の刀身の平たい部分を自分の左腕の下に添える。
それと同時にホノカは右の剣で絵里の頭部めがけて剣を振り下ろす。
絵里は剣を持ち上げることで同時に盾を持っている左手も上がり、すばやくホノカの攻撃を防げた。


絵里「盾の重さを考慮したいい攻めね!でも!」


絵里は盾を押しつけて剣を弾き、自分の剣でホノカの左腹部を切り裂いた。
さらに盾を体に密着させてタックルし、ホノカを吹っ飛ばした。
ホノカは倒れ込む。


絵里「ハァ…ハァ…さすがに傷が開いてきてるわね…」


ホノカはまた立ち上がり、ゆっくりと接近していく。
両方の剣に魔力を込めて突っ込む!
絵里はがっちり構えて、その攻撃を受け止める。


絵里(威力が下がってる…攻撃がしっかり効いてるのね)


ホノカは盾に接近してタックル。
絵里が少し体勢を崩すと、ホノカは絵里の右足に魔力の剣を突き刺す。
絵里は足を引いて直撃は避けたが、ふくらはぎを切り裂かれる。
ホノカは右の剣で絵里の頭部を狙って水平に剣を振るう。
しかし絵里は軽く屈んで攻撃を回避。


絵里「躱しだってするわ」


絵里は剣をグッと構えて、ホノカの左肩めがけて剣を突き出す。
ホノカは躱そうとするが、剣は左上腕あたりに突き刺さる。
剣がホノカの腕を貫通する前に、ホノカは思いっきり後ろに飛んで剣を抜く。

ホノカは着地すると片膝をつく。左手で持っていた魔力の剣を手放してしまう。
魔力の剣は地面に落ちると消滅する。


絵里「もう左手で剣を持てないわよ」
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/28(水) 12:08:01.19 ID:7XYYv8lSO
絵里ちゃんが悪役にみえてくる不思議
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/28(水) 14:06:07.44 ID:gvJF9M9a0
エリチカ頑張れ
このエリチカはかしこくかわいくかっこいいからKKKEだな
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/05(水) 01:50:19.06 ID:lWukHUYAO
乙です!
次回で決着が着くのかな?
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/08(土) 12:35:44.97 ID:9uKfDQESO
はよ
127 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/10/09(日) 00:04:29.09 ID:yRKorKVp0
ホノカは、自分の左手に力を入れる。
しかし左手は動かない。
どくどくと血が流れていく。

しかし、ホノカは右手に持っている剣をグッとつかみ立ち上がる。


絵里「どうしてそこまで…」


絵里「どうしてそこまでして、最後の力を穂乃果に渡さないの?」


絵里「あなたは始まりのμ'sのホノカの力なんじゃないの??」


絵里「何があって、そこまで拒むの?」


ホノカは全く返事をしない。


絵里「…答えないの?それとも答えれないの?」


ホノカは絵里に向かって走る!


絵里「答えて…くれないのね…」


絵里はがっちりと構えて待つ。
ホノカは左手に力が入っていないようで左手はぶらぶらとしている。
ホノカがジャンプして絵里に斬りかかるが、絵里は盾で攻撃を受け止めてすぐにホノカの右脇腹を切り裂く。


絵里(!!)


絵里は盾でホノカを押し飛ばす。
ホノカは倒れ込み、立とうとするが立てずに膝をつく。


絵里「…隙だらけよ」


絵里「…でも、あなたのその意志の強さ。なんとなく意味が分かった気がする」


絵里「穂乃果を、護ろうとしてくれてるんじゃないの?」


絵里「考えていたの。あなたと戦いながら」


ホノカはじっと絵里を見つめる。


絵里「とうして力であるあなたが、穂乃果に最後の力をあげないのか」


絵里「…あなたは、感情があるんじゃないの?」


ホノカは絵里を見つめ続けて、表情を変えない。


絵里「じゃないと『ネックレスの力と対話する』だなんて言わないと思う」


絵里「あなたの力を全て穂乃果に与えてしまうと、穂乃果はまた戦い続ける」


絵里「穂乃果は違う世界の人間なのに、その彼女を巻き込んでしまって、しかもその子は自分の力を使って戦っている」


絵里「自分が力を彼女に許すほど、彼女は戦いに多く関わっていく」


絵里「だから、ここで力を与えずに戦いをあきらめてもらうことを選んで拒んでいる」


絵里「…完全に私の予想だけど、違うかしら?」
128 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/10/09(日) 00:38:12.55 ID:yRKorKVp0
ホノカ「…」


ホノカはゆっくりと首を横に振る。


絵里「あってるってこと?」


ホノカは首を縦に振る。


絵里「…優しいのね、ホノカは」


絵里「でも…でもね、穂乃果がお願いって言ったの。μ'sのみんなが穂乃果の成長を望んでる。もちろん彼女自身も」


絵里は構えてホノカを見つめる。


絵里「だから…力を、穂乃果に与えてあげて。私たちが、穂乃果を死なせない。元の世界に戻るまで絶対に守るから!!」


ホノカ「っ…」


ホノカは一度うつむいて、ゆっくりと立ち上がる。


絵里「…雰囲気が、変わった?」


ホノカは全力で走りだす!
絵里はそれを待ち構える。


絵里「…いいわ、全力で行くわよ!」


ホノカは剣に魔力を込めて真上に振り上げる。
絵里は盾をがっちり構えて防ごうとする。
しかしホノカは急に体勢を低くして突っ込む。
剣も振り下ろさずに、自分の左側に持ってくる。
そのまま絵里の盾を横から全力で斬る。

炸裂したオレンジスプラッシュは盾を弾く。
絵里は盾を手放さなかったが、かなり衝撃を受けた。
さらにホノカは右足で盾の背を蹴る。
盾はその衝撃で絵里の手元を離れて飛ばされる。


絵里「まだそんな力が!?」


絵里は自分の剣をホノカに向けて振り下ろす。
ホノカは自分から見て右側に前転して攻撃を回避してステップを踏んで距離を取る。
距離を取ったホノカの足元には、弾き飛ばされた絵里の剣が転がっていた。
ホノカは足で絵里の盾を押して、絵里から遠ざける。

そしてすぐにホノカは絵里に向かって突っ込む。
剣にオレンジの魔力を込めて、自分の体の横から水平に剣を振りだす。
絵里は後ろにステップを踏んで攻撃を避けるが、ホノカは詰め寄って同じように剣を左から振りだして攻撃する。
絵里はそれを剣で受け止める。
絵里は左手の拳を突き出して、ホノカの右肩を殴る。
ホノカは衝撃を受けて一歩後退するが、すぐに突っ込む。
その時剣に魔力を込めて水平に剣を持っていた。


絵里「スパイラル・オレンジが来る!」


絵里は攻撃をぎりぎりまでひきつける。
ホノカの魔力のこもった突きは絵里の左肩めがけて放たれるが、絵里は当たる直前に体勢を少し下げて直撃を回避。
ホノカの攻撃は絵里の左肩を切り裂くが、絵里はフローズンブーストで加速して接近しホノカの右脇腹を斬りさく。
さきほども斬りつけた場所だったので傷がまた広がり、絵里の氷の魔力でさらに傷が広がる。
絵里はホノカの後ろまで駆け抜けて、急停止し振り返る。
ホノカもなんとか左側から振り向いて剣を振るが、絵里はそれを冷静に回避してホノカの腹部に剣を突き刺す。
ホノカの体を剣が貫き、互いに動きが止まる。


絵里「ごめんなさい…私ーーー


ガシッ!!
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/09(日) 14:14:11.87 ID:pLDjic7SO
絵里ちゅん
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/12(水) 01:19:40.91 ID:4Hb4gDpaO
楽しみに待ってます
131 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/10/13(木) 21:15:45.64 ID:TSrw5x/G0
ホノカは傷ついていた左手で絵里の腕をつかみ、自分の体に刺さっている剣を抜いていく。


絵里「左手!?その状態で動かすなんて…」


絵里はなんとか押し返そうとするが、ホノカの力が強く、どんどん剣が抜けていく。
ホノカは右手に持っている剣を、絵里の顔を狙って振る。
絵里は頭を下げて回避するが、ホノカはその隙に剣を完全に抜く。
ホノカは一歩下がってほんの少し距離を離し、右手の剣に全力で魔力を込める。
絵里は自分の剣を縦に構えて、ホノカの攻撃を受け止める構えを取る。

ホノカが、全力で横斬りを放つ!
絵里は受け止めると見せかけて、上半身を後ろにそらして攻撃を回避しようとする。
しかし、ホノカの剣の切先から、剣の軌道に合わせてオレンジの魔力の弧が描かれる。
その弧の魔力が絵里を襲い、絵里は咄嗟に剣を構えてその魔力を防ぐ。


絵里「くっ!!」


オレンジの弧は、ホノカの斬撃の軌道よりも広い範囲で展開されており、上半身をそらした絵里にも攻撃が届いた。


ホノカ「アークウェーブオレンジ!!」


ホノカが剣を振りぬくと、オレンジの弧は広がりながら絵里に向かって炸裂する!
炸裂した魔力は絵里に直撃して、剣は吹き飛び、絵里も吹っ飛ばされる。
絵里が落下するとホノカは駆け寄って、仰向けの絵里に乗る。剣を逆手に持ち、振り上げる。
絵里はアークウェーブオレンジのダメージで、すぐに体を動かせない。
そのままホノカは剣を振り下ろす。
絵里は負けを覚悟して目を閉じる。


絵里「ごめん穂乃果……」


ザシュッ!!


絵里「…えっ?」


絵里が目を開けると、ホノカの剣は自分の顔の横に刺さっていて、絵里には当たっていなかった。


絵里「ホノカ…?」


ホノカは剣を抜いて立ち上がり、少し離れて背を向ける。
絵里はゆっくりと立ち上がってホノカの方を向く。

少しの間静寂が二人を包み、平原の涼しい風が二人の間を駆け抜ける。
ホノカがゆっくりと振り向くと、泣いていた。


絵里「…私たちを、信じてくれるの?」


ホノカはゆっくりと頷いて、身に着けていたが隠していたオレンジのネックレスを取り出して外す。
ネックレスの石を手の平に乗せて、魔力を少し込める。
すると石は砕けて塵となり、天に昇って行った。


絵里「今ので、力を…?」


ホノカはまた頷く。


絵里「ありがとう…私、あなたを傷つけたのに…」


ホノカは首を横に振って、手をピースにして自分の腰の前にかざす。


絵里「それは…」


ホノカはにっこりと笑う。その顔に涙はもうなかった。
そして、ゆっくりと空を見上げる。


ホノカ「任せたよ」
132 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/10/13(木) 21:38:21.59 ID:TSrw5x/G0
創世神の世界では、絵里と穂乃果を除いた7人が魔力を込めて穂乃果を抑えている。
穂乃果は魔法陣の中心で目をつむって意識を失っているが、魔力で押さえられているため立っている。


にこ「ハァ…ハア…さっきまで結構苦しそうな顔をしていたのに…」


希「今はなんだか、笑っているみたいやね」


魔力で押さえて続けているが、7人の魔力の消費も中々大きい。


花陽「絵里ちゃん、やったのかな?」


すると、穂乃果が首にかけていたネックレスが強く輝く!


サクラコ「っ!!みなさん、魔力の放出を完全に停止してください!」


7人はそう言われて、魔力の放出をやめる。
すると光のドームは砕ける。


海未「ネックレスの輝きが穂乃果を包んでいく!」


穂乃果は魔力で少し浮遊する。


凛「まさか、失敗!?」


サクラコ「いえ…これは…」


サクラコが両手を穂乃果に向けてかざす。
すると、オレンジのネックレスが魔力の粒子に変わる。
さらにサクラコが強く魔力を込めると、魔力の粒子と穂乃果を包んでいた魔力が、一気に穂乃果に溶け込んでいく!
それと同時に、穂乃果の正面に光の魔力が出現し、その中から絵里が現れる。
穂乃果に魔力が溶け込みきると、穂乃果は倒れ込む。


絵里「ふぅ…」


にこ「絵里!無事だったのね!」


絵里「ええ、大丈夫よ。体の傷は、消えてるわね…」


花陽「成功したの…?」


絵里「きっと成功したわ、そうでしょう?創世神様」


サクラコ「はい。成功しました」


すると穂乃果はパッと目を開いて立ち上がる。


穂乃果「…終わった?」


海未「はい、終わりましたよ。成功したんです」


穂乃果「よかった…みんなが無事で何よりよかったよ!」


サクラコ「これで、高坂穂乃果はネックレスの力を完全に取り込みました。今まで借り物として使っていた力は、あなたの力になったんです」


穂乃果「…違いますよサクラコさん」


穂乃果「私たちの力です」


穂乃果「始まりのμ'sの私と、スクールアイドルμ'sでありラシュータのμ'sの私の…二人の力です!」
133 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/10/13(木) 21:41:18.11 ID:TSrw5x/G0
今日はここまでです
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/15(土) 12:34:57.80 ID:abRLW1ySO
ほのかっこいい
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/16(日) 16:28:55.68 ID:yAXSNHiA0
乙です!
穂乃果がついにパワーアップだぜ!
次回も楽しみにしています。
136 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/10/19(水) 21:58:08.15 ID:DUC1Cv2W0
明日投下してから約1週間程度、投下できないです。
ただでさえ更新が遅いのに申し訳ないです…

これから旅は新たなステージを迎えます!
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/22(土) 19:04:52.95 ID:21fWc9nSO
138 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/10/28(金) 23:25:56.34 ID:s+M0yes20
プロットのようなものを残していた端末が故障してしまい、現在修理しているので、今しばらくお待ちください
修理が完了する前にサイドストーリーを上げるかもしれないです
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/30(日) 12:33:50.77 ID:RKwC2rqSO
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/03(木) 17:39:14.91 ID:25id/pkB0
このssが完結したら、サンシャインで続編を作ったりはしますか?
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/04(金) 22:41:43.99 ID:hHbgg7xA0
乙です!
次回も楽しみにしています。
142 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/11/08(火) 22:20:17.24 ID:xNQJffto0
ネックレスの力を取り込んだ穂乃果。
魔力と体力を回復させ、また椅子に座っていた。


にこ「穂乃果も落ち着いたし、みんなも疲れが取れたから…話の続きでもしましょうか」


サクラコ「そうですね」


真姫「私が気になっていたことがあるんだけど、聞いてもいい?」


サクラコ「構いませんよ」


真姫「魔王軍は、具体的にどこにいるの?」


穂乃果「それ、穂乃果も気になってた!」


サクラコ「魔界です」


にこ「またまがまがしい名前ね…」


サクラコ「魔界は完全に別次元にあります。レディアフトがラシュータに降り立った後で、アマノダケの上部を砕いて別次元に入れ、そこを魔王の世界にしたのだと思われます」


凛「アマノダケ…」


真姫「なるほどね…魔界…。まずはそこに行く手段を考えないと」


サクラコ「あります。魔界に行く方法が」


サクラコ「魔界があることはおそらく確実。いえ、正しくは『レディアフトがここじゃない別世界にいる』ことが確かです」


サクラコ「そこへ行くには、魔界への道が必要なのですが…今の私の力では道を作ることができません」


ことり「ではどうすれば…」


サクラコ「そのために、この世界を創世した時に生まれたあるものを使います」


海未「この世界が生まれた時に一緒に生まれたもの?」


サクラコ「それは『創世の剣(つるぎ)』とても高い創世の力を携えた神のつるぎです。その剣がキーとなり、魔界への道を作ることができます」


穂乃果「神のつるぎ…」


サクラコ「あなたたちにはその剣を取ってきてほしいのです。私はこの世界から出られないので、取りに行けないのです」


サクラコ「まだ魔王が復活するまで時間があるはずです。その剣を取りに行く道は険しいですが、それでも間に合うほどには」


絵里「険しいということは…いろいろとやらないといけないことがあるのね?」


サクラコ「『創世の剣』は、ラシュータが創世されてからずっと、はるか上空に位置する浮遊神殿に納められています」


希「はるか上空ってことは、召喚獣でもいけないくらい高いんやろな…」


サクラコ「はい。黙視できないように結界が張られていますし、私の力で外敵から守っています」


花陽「そんなところまでどうやっていくんだろう…」


サクラコ「浮遊神殿根の道を開くには、2つの道具が必要になります。『つながりの羽』と『導きのチュード』です」

143 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/11/08(火) 22:26:05.96 ID:xNQJffto0
>>140
サンシャインでの続編は、今のところは考えていません。
ですが、やらないというわけではないです。
この物語を考え付いたのは、ラブライブ2期が終わってからだったので、いろいろと設定が詰まった中で考えられました。
けれど今のサンシャインの環境では、物語を作れないので考えていないということです。
もし、どう穂乃が終わった時にサンシャインの物語が進んでいて、いい感じにストーリーを思いついたら作るかもしれませんね。

というか作りたいですw
けど、今はやります。とは言い切れないです! 
144 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/11/08(火) 22:44:01.29 ID:xNQJffto0
希「それはどこに?」


サクラコ「『つながりの羽』は、ゴールガン大陸のイムタージュという街の北の洞窟で眠っています」


絵里「イムタージュ…ってことは、大戦力国ゴールゴストの西よね」


真姫「イム…タージュ…」


花陽「……真姫ちゃん?」


穂乃果「ゴールゴストって?」


絵里「ゴールガン大陸の真ん中にある国で、ラシュータで最も戦力が高い国よ」


穂乃果「そこを通るのかぁ…」


サクラコ「『導きのチュード』は、アマノダケの近くの聖なるほこらに眠っています」


凛「アマノダケの近く…?そんなものあったかにゃぁ…?」


海未「大切なものがあるのですから、わかりづらいところにあっても納得できますね」


サクラコ「まずはその2つをここに持ってきてほしいのです」


穂乃果「わかりました!」


穂乃果「2か所なら…2手にわかれて取りに行かない?」


海未「ちょ、ちょっと穂乃果…2手は…」


サクラコ「2手はやめるべきでしょう。確かに素早く済むかもしれませんが、戦いとなると不利になります」


サクラコ「さきほども魔王軍幹部のアズィーザが接触してきたのです。いつ魔王軍と戦闘になるかわかりません」


穂乃果「確かに、2手にわかれたらまずいよね…」


海未「多少の時間はあると言っていましたし、着実に取りに行きましょう」


サクラコ「では、これを渡しておきます」


サクラコが右手を掲げると、穂乃果の手元に光が集まり、その中から赤い転送クリスタルが出現した。


サクラコ「それはジーズへの転送クリスタルです。座標はジーズ固定という特別なものですが、使ってください」


穂乃果「ありがとうございます!」


真姫「私が預かっておくわね」


穂乃果は真姫に転送クリスタルを渡す。


にこ「それじゃあ、再開されるのね…?旅が」


穂乃果「その前に!」


にこ「ま、まえに?」
145 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/11/08(火) 23:13:13.92 ID:xNQJffto0
穂乃果「サクラコ様に作ってほしいものがあるんです!」


サクラコ「ネックレス、ですよね?」


穂乃果「あ、はい!」


サクラコ「言われなかったとしても、渡そうと思っていました。ネックレスの力を自分のものにした時に、ネックレスが消滅しましたからね…」


サクラコはそういうと、右手を軽くふるう。
すると穂乃果の首に、慣れ親しんだオレンジのネックレスが出現する。


サクラコ「そのネックレスに特別な力はありません」


穂乃果「はい、大丈夫です!」


穂乃果は置いてあった武器を取って立ち上がる。


穂乃果「…行こう。旅を再開しよう!」


他のメンバーも武器や道具を取って立ち上がる。


海未「今までの旅と違った感覚ですね」


ことり「そうだね♪今までは、μ'sを集めて穂乃果ちゃんが来た理由を知る。っていうのが一つの目標だったけど、これからは本格的に魔王と戦うことが目標になるし!」


穂乃果「まずは、目指せイムタージュ!」


絵里「その前にジーズのみなさんに説明しないと」


穂乃果「それも忘れてないよ!」


穂乃果「それでは…サクラコ様、ありがとうございました!」


μ's「ありがとうございました!」


サクラコ「μ's、頼みましたよ」


穂乃果「はい!!」


真姫「……」


旅が再開する。
それは、物語の新たなステージの幕開けでもあった。
各々が新たな思いを胸に、そして、自分たちがかかげた大きな夢を叶えるために一歩、また一歩と進んでいく。
しかし、踊り子の彼女だけは、他のみんなとは違うとある思いを胸にイムタージュへ向かう重たい足を運んでいた。


#35【始まりのμ's】end...
146 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/11/08(火) 23:13:46.79 ID:xNQJffto0
次回のラブライブ!


#36【再始動と急停止】
147 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/11/08(火) 23:19:41.08 ID:xNQJffto0
ジーズ編が終了しました。
今まで謎だった多くのことが解明し、成長した穂乃果を筆頭にμ'sの旅は再開しました。
前スレのスクリオーネ編が終わった時に、これからが第2章と言っていましたが、ここからが本当の第2章ですね。
いままでのは第2章のプロローグのようなものです
ここから魔王軍との直接対決が激化していきます。
そして、長く更新していなくて申し訳ありませんでした。
まだまだこれからどう穂乃をよろしくお願いします!
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/10(木) 08:52:11.95 ID:cIZTWv2d0

また不穏なタイトルが
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/12(土) 10:49:34.93 ID:L9niaD1SO
壮大な物語だ
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/16(水) 13:38:56.34 ID:ji0kpqlCO
待ってるよ
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/19(土) 15:06:39.59 ID:unrzRC5A0
乙です!
真姫どうしたんだろ?
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/11/20(日) 21:17:31.30 ID:59Ef1ZBu0
ファイト!
153 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/11/26(土) 15:08:51.08 ID:pYoHaV170
リアルが激しく忙しいので、次の投下まで今しばらくお待ちください…
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/27(日) 04:54:25.60 ID:+oE7aBnT0
リ`・ヮ・) ファイトだよっ!
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/30(水) 01:41:04.36 ID:6sL2IygSO
リ`・ワ・)ファイトだよ!
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/01(木) 22:33:40.82 ID:5DL9TOjSO
リ`・ワ・)夢なき夢は夢じゃない
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/02(金) 00:19:17.52 ID:7xtfK8Fq0
リ´・-・`)>>1ちゃん、続きまだ〜?
158 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/12/02(金) 23:07:58.79 ID:OmPPBvNE0
お待たせしました!!
やっと落ち着いたよ!!!!


#36【再始動と急停止】


世界樹の根元の石碑の前に光に包まれた9人が現れる。


穂乃果「ふぅ…この移動、なんだか変な感じ」


帰ってきたμ'sを、石碑の前にいた一人の男性が迎える。
石碑の前では、村の若者が交代制で待機していて、μ'sの帰りを待っていた。


男性「よく帰ってきてくれました!では、すぐに村長の部屋へ!」


海未「もう夜ですね…」


ことり「ほら、行こう!」


μ'sが村長の部屋に入ると、村長はμ'sにお礼をした。


村長「世界樹を守る結界が復活しました。本当にありがとう」


穂乃果「いえいえ!」


村長「それで、明日に宴を開こうと思っているのですが…」


絵里「あ…」


穂乃果「村長さんごめんなさい…私たち、先を急いでいて…明日の朝にはジーズを出ようと思っているんです」


村長「仕方がないですね…宿を手配してあります。そちらへ」


穂乃果「ありがとうございます!」


にこ「今日はぐっすり寝れそうね…」


海未「その前に、買い出しをしておきましょうか。まだ店が出ているみたいですので」


にこ「もっとぐっすり寝れそうね…」


村長「そういえば、次の目的地はどこですか?」


凛「イムタージュだにゃ!」


村長「それなら、イムタージュへの行き方を説明しておきますね」


翌日


希「出発する前に、村長のもとへ行きたいんやけど…」


希がそう言うと、村長がやってくる。


村長「私のところへ来るというのは『運命の腕輪』についてでしょう?」

159 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/12/02(金) 23:23:53.76 ID:OmPPBvNE0
希「そうです。この腕輪はこの旅に必要なものです…。なので、すべてが終わればこれを返しに来ます…」


村長「その必要はないですよ。その腕輪は、あなたたちのもとにあることが最善です。なので返しに来なくていいです」


希「…わかりました。ありがとうございます」


村長「信じていますよ。あなたたちの勝利を」


穂乃果「はい!ありがとうございます!」


ジーズの人たちはμ'sを力強く見送った。


すがすがしい晴天。穂乃果はピクニックしたいなと思いながら歩いていた。


絵里「村長から昨晩貰った情報を確認するわね」


絵里「これから目指すイムタージュは、ゴールゴストの西にある街。ゴールゴストは城と城下町の周りに広大な敷地を円状に所持していて、その敷地は巨大な外壁に囲まれているから、その外壁を目指して歩く」


希は地図を開いて「ここやな」と指差す。


穂乃果「えっ…?地図、あったの…?」


希「えっ?うん」


穂乃果「知らなかった…」


海未「いつもガンガン先頭を進んでいましたからね…」


穂乃果「見せて見せて!!」


穂乃果が地図を覗く。


穂乃果「……読めない」


ことり「あれ?でも、穂乃果ちゃんって今まで字を読めてた気が…」


穂乃果「これは…げ、げーぜ?」


ことり「なるほど…アルファベット表記だから…」


絵里「確認を続けるわよ。イムタージュは世界的に医療に優れていて、大病院もある」


花陽「確か、治癒魔法だけじゃなくて、魔法を使えない人でも傷や病気を癒すことができるんですよね」


凛「カガクってやつだにゃ」


絵里「そして大事なこと…」


絵里「遠い」


海未「急いでも3日はかかるでしょうね…」


にこ「やわらかいベッドでまた寝れるまで3日…」


穂乃果「よしみんな、急いでなおかつ疲れないように行こう!」


ことり「難しい要求だね…」
160 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/12/02(金) 23:54:51.03 ID:OmPPBvNE0
道中、平原で現れる魔物を難なく倒した直後…


にこ「んーっ!サクサクと魔物を倒せるってイイ!!」


絵里「あ、そういえば。穂乃果」


穂乃果「ん?なに絵里ちゃん」


絵里「ネックレスの力のホノカと戦った時、穂乃果が使ったことがないような技を使ってきたの」


穂乃果「穂乃果が?」


絵里「名前は『アークウェーブオレンジ』よ」


穂乃果「アークウェーブオレンジ…」


絵里「横に振りぬいた剣の軌道に合わせて、広範囲に魔力が炸裂する技よ」


穂乃果「そんな技、覚えがないなぁ…」


絵里「うーん…もしかしたらネックレスのホノカが最後までロックをかけていた技なのかもね…」


穂乃果「うーん…」


穂乃果は一度背中に閉まった剣をもう一度抜いて、自分の愛剣「フェアリー・サンシャイン」を見つめる。


穂乃果「…やってみよっか」


そう呟いて、自分の愛剣を強く握り水平に構える。


穂乃果「ふぅーっ…」


穂乃果はその剣に魔力を込める。
それを見ている数人も「おぉ〜」と言う。

そして穂乃果は一歩踏み出して剣を振りぬいた。


穂乃果「アークウェーブオレンジ!」


穂乃果の剣から放たれる魔力の斬撃は美しく鋭い。
普通の人間なら剣の軌道は見えず、オレンジの輝きが目に映るだけかもしれない。
素晴らしい斬撃なのだが…


絵里「それは…」


穂乃果「……オレンジスプラッシュが出た」


絵里「そうでしょうね」


穂乃果はしょんぼりする。


穂乃果「これからは、自分で技を覚えないと…。そうだ、みんなはどうやって技を覚えてるの?」


しかし、全員答えない。


穂乃果「えっ!?みんななんで答えてくれないの!?もしかして、今の穂乃果の剣技に圧倒されて…」


恥ずかしいから言えないだけだった。
161 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/12/02(金) 23:55:22.57 ID:OmPPBvNE0
今日はここまで
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/03(土) 19:06:07.40 ID:YxrMK53B0
更新来たか
163 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/12/10(土) 21:52:44.44 ID:EyYUW4Hv0
移動して3日。
ついに大きな壁が現れる。
その壁は地面に沿って建っており、その壁の終点は見えない。


希「この中の土地すべてがゴールゴスト…」


絵里「この壁沿いに歩いていけば迷うことはないわね」


にこ「えっ?絵里、まさか方向を間違えたの?」


絵里「間違えてないわよもう」


壁沿いに歩き続けると、目の前に大きな門とそこに出入りする多数の馬車や人を見かける。


海未「この中に入ればゴールゴストですね…」


ことり「あ、穂乃果ちゃん凛ちゃん。少しだけ入ろうとしてもだめだよ」


穂乃果「はははは入ろうとしてないよ」


凛「そうだにゃ!大きな門があるからワクワクしてるとかそんなんじゃないにゃ!」


花陽「凛ちゃん…そこまで聞いてないよ…」


凛「にゃ!?」


にこ「絵里、さっさと移動を再開しましょう」


絵里「そうね」


さらにそこから移動を続けて、1日。
野宿を終えて移動を再開したμ's。


穂乃果「あーっ!!!」


穂乃果が指をさす先には、周りを森に囲まれた大きな街があった。


穂乃果「あれでしょ!?」


絵里「そうだとおもうわ。あれがイムタージュ」


にこ「やっと…ベッド…」


凛「走るにゃーっ!」


穂乃果「あ!まってよ!!」


μ'sが続々と走っていく中、真姫だけはうかれていなかった。


花陽「…真姫ちゃん」


花陽が真姫に声をかけようとすると、にこに腕を掴まれて止められる。


にこ「やめておきなさい花陽」


花陽「だって…ジーズを出てから真姫ちゃんずっと…」

164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/14(水) 00:50:39.10 ID:/bdeaN4SO
まきちゃん
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/14(水) 23:22:01.35 ID:UmJRj2HA0
乙です!
真姫……。
大丈夫か?
166 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/12/15(木) 20:58:07.20 ID:3b8YFe/W0
μ'sの全員はイムタージュの街に入った。
イムタージュの街はかなり繁栄しており、人通りも多い。
家もたくさんあり、全箇所をまわるにはかなり時間が必要みたいだ。
そして、街の奥には大きな建物が見える。
まず全員で宿屋に行き、宿泊の手続きをして荷物を置かせてもらい、宿屋の外に出る。


絵里「んー、この街広そうだし手分けしましょうか。夕方にこの宿屋に集合しましょう」


海未「買い物はあとで行うことにしますので、全員で使う道具の購入はしなくていいですよ」


絵里「うん、それじゃあ解散にしましょう」


全員が違う方向に散っていく。


穂乃果「うーん…どこに行こうかな…」


穂乃果は街の奥を見つめて決める。


穂乃果「まずは、あそこだ!」


穂乃果はとりあえず、街で一番大きな建物に向かって歩いていく。
歩く途中でおいしそうな香りにつられそうになるが、穂乃果にはお小遣いを渡されていなく買えないので我慢して歩き続ける。


穂乃果「ついた…」


穂乃果が目指していた建物は、広い公園のような敷地を持っており、その敷地の中心にある。
敷地の入り口から少し歩けば建物の玄関に到着する。
人通りもあるので、敷地にはいって歩き出した。
敷地は花壇があったり木が生えていたりしている中、馬車や人が十分に通れる石畳の道も伸びている。
建物は見たところ8階建てで、横幅も音ノ木坂高校よりも大きいな。と穂乃果は感じる。
玄関は広く、せわしなく出入りしている人たちの格好からしてまるで……
と思ったところで、玄関から少し離れたところに何かが書いてある綺麗な石を見つける。


穂乃果「『ウッドプレーン』…?この建物の名前?」


穂乃果「最初は学校かなと思いもしたけど、やっぱりここが…」


真姫「そう、病院よ」


穂乃果「真姫ちゃん!?いつから後ろに?」


真姫「今。ここに来たら穂乃果が前を歩いてて。つけてきたわけじゃないわよ」


穂乃果「そっかぁ………。真姫ちゃん、ここ最近ずっと浮かれない顔してるけど…」


穂乃果がそう言う最中も、真姫はぼんやりと病院を見つめていた。


穂乃果「…真姫ちゃん、この病院と何かあるの?」


真姫「…」


穂乃果「真姫ちゃん?」


真姫「あ、えっ?ごめんもう一回言って」


穂乃果「あ、ううん。なんでもない」


真姫「さ、こんなところにいないで『つながりの羽』の情報を集めましょう」


真姫はサッと振り返って歩き出す。
167 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/12/15(木) 21:29:00.14 ID:3b8YFe/W0
穂乃果「あっ、まって真姫ちゃん!穂乃果も行くよ!」


穂乃果と真姫は病院の敷地から出ると別行動をとる。
穂乃果はフラフラ歩きながら話を聞く人を探すが、さっきの真姫の態度がどうも気になり情報を引き出せなく居た。


穂乃果「うう…誰にも聞けずもう日が暮れそう…」


すると穂乃果の鼻をつつむいい香りが…


穂乃果「…!これは!!」


穂乃果はお腹が空いていることもあり、その香りのほうへ一目散に歩いていく。


穂乃果「ここは!!パン屋!!」


お金がないことも忘れ、ふらふらと入っていく。


穂乃果「んん〜っ…いい香り…」


おばさん「いらっしゃい!どれにするんだい?」


穂乃果「お金…ないんだった…」


ギュルルルルルルル


穂乃果のお腹が鳴る。


おばさん「あらあらお金がないのに入ってきたのかい?」


穂乃果「あまりにいい香りで…」


おばさん「あら、ありがとう!それじゃあ何か好きパン一つ、サービスしちゃおうかしら!」


穂乃果「ほんとですか!?ありがとうございます!」


穂乃果はカウンターの前に並んであるパンの中からチョココロネを選び、貰う。


穂乃果「久しぶりにパンがうまい!」


おばさん「お嬢ちゃん、どこに住んでいるんだい?この街じゃ見ないけれど」


穂乃果「住んでる…うーんと…」


穂乃果(オリジナルっていう世界から、なんて言えないから…)


穂乃果「旅をしてるんです」


おばさん「すごいねその年で!何の旅だい?」


穂乃果「魔王を倒すために旅をしてるんです。『μ's』という名前のグループなんですけど…」


おばさん「μ's!聞いたことあるよ!お嬢ちゃん、μ'sなのかい!」


穂乃果「お恥ずかしながら…」


おばさん「私たちのために旅してくれてるんだろう?」
168 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/12/15(木) 22:01:43.43 ID:3b8YFe/W0
おばさん「ほら、これ持っていきな!確か9人だろう?」


そう言って、おばさんは紙袋に9つのパンを入れて穂乃果に渡す。


穂乃果「いいんですか!?ありがとうございます!」


おばさん「いいのよ!」


おばさん「それで、μ'sはどうしてイムタージュに?」


穂乃果「えっと、つながりの羽っていうものを探していて…」


おばさん「つながりの羽!?その羽はやめておきな」


穂乃果「えっ!?どうして!?」


おばさん「あの羽は、イムタージュの北にある洞窟にあるんだけれどね?その羽を求めて様々な冒険者やトレジャーハンターが向かっていったのよ」


おばさん「でも、帰ってきた人はいない。そのせいで、街の人たちは「死へ繋がる羽」だと恐れ、この情報を極力広めないようにしてた」


おばさん「けれど、一度広がった話は止めれない。その後も羽を求める人は後を絶たなかった。だから、この街で一番権力の高い病院長が洞窟へ行くのを禁止したの。洞窟への道は険しくて一本の道でしか行けないから、洞窟への道を整備して封鎖して通れなくした。あの病院の敷地が広いのは、病院の後ろにある「洞窟へ続く道」のせいでもあるのよ」


穂乃果「行ったら帰ってこれない……。でも私たち、どうしてもつながりの羽が必要なんです!」


おばさん「でもねぇ…」


穂乃果「この世界を魔王から救うために、その羽がどうしても必要なんです!」


おばさん「うーん…そこまで言うなら、病院長に話をしてみればなんとかなるかもねぇ」


穂乃果「病院長…わかりました!ありがとうございます!おいしかったです!!」


おばさん「はいよ!つながりの羽を取ってきて、もう一回店に来てね!」






穂乃果「あ!おーいみんなー!」


にこ「穂乃果、遅いわよ」


穂乃果「えっ!?遅刻!?」


海未「もう、にこもからかうのをやめてください」


穂乃果「そうだ!パン屋さんのおばさんからパンを貰ったよ!」


海未「買い物をしたんですか!?」


穂乃果「ち、違うよ!もらったの!!」


絵里「少し小腹がすいていたのよね。みんな食べましょう」


宿屋の前のベンチに座ってみんなでチョココロネを食べる。


ことり「うん!おいしい!」

169 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/12/15(木) 22:35:30.43 ID:3b8YFe/W0
希「食べ終わったら買い物いこか?」


凛「よーし!味わって食べるにゃ!!」


穂乃果「穂乃果も!満喫しながら食べる!」


にこ「にこだって!大事にゆっくり食べるわ!」


花陽「3人とも…買い物で歩きたくないのが見え見えだよ…」


海未「ほら3人とも、十分に味わって満喫しつつ感謝の気持ちを込めて大事に、そして素早く食べてくださいね」


凛「無理難題だにゃ!」


穂乃果「そんな器用じゃないよ!」


にこ「せっかく貰ったんだから思い出に残しておきたいでしょ!?」


海未「3人ならできますよ…だって、3人はμ'sなんですから!」


凛「μ'sは早食い選手じゃないにゃ!」


穂乃果「そうだよ!そういう海未ちゃんだっ…て…?」


海未「私はもう食べ終わっていますが?」


にこ「凛、穂乃果!海未の言葉に惑わされちゃだめよ!」


にこ「見なさい!花陽だって食べてるとちゅ…う…?」


花陽「にこちゃん…もうにこちゃんたち3人以外はみんな食べ終わってるよ…」


海未「そういうことです」


にこ「ぬゎんでよ!」


絵里「ほら、早くいくわよ」


結局3人は一気に口に押し込んで、先に行ってしまった6人を追いかけた。




絵里「ポーションと…エーテルも買わないとね」


希「毒消しも数個買っておく?」


穂乃果「ポーションとエーテルってすごいよねぇ…。飲むだけで傷がふさがるし、魔力がこみ上げてくるし!」


ことり「でも、使いすぎもよくないんだよ?」


穂乃果「そうなの?」


花陽「どちらも薬だからね…飲みすぎると体調がなくなるんだ」


穂乃果「確かに、一人5つくらいしか持ってないもんね…」
170 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/12/15(木) 23:11:08.10 ID:3b8YFe/W0
ことり「その点、回復魔法は便利なんだよ!いくら回復しても体調が悪くならないの!えっへん!」


にこ「でも、魔力が尽きたらことりが体調悪くなるわよね」


ことり「ぎくっ…」


海未「買い物が終わりましたよ」


絵里「それじゃあ帰り道で情報を共有しましょうか」


穂乃果「レッツてくてく!」


希「なんやそれ?」


穂乃果「バラエティボックス的な…?」


希「??」


穂乃果「ご、ごめんこっちの話…」

171 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/12/15(木) 23:11:39.40 ID:3b8YFe/W0
今日はここまでです。
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/16(金) 00:10:45.03 ID:tQqJEtWSO
ほのかわいい

まきちゃん
173 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/12/27(火) 22:29:12.87 ID:xQrjDwa90
年末にかけて多忙でしたがやっとゆっくりかける時間ができました!


凛「結局みんなで情報を共有したけど、出てきた言葉は『死へ繋がる羽』のことかぁ…」


花陽「うーん…行かないといけないよねぇ…」


絵里「…明日、病院長に直接話をしに行きましょう」


真姫「それじゃあ私はその時買い出しに…」


にこ「ちょっと真姫!!」


真姫「な、なに?」


にこ「あんた、何隠してるの?いい加減にしなさい!」


真姫「…ごめんにこちゃん」


凛「に、にこちゃん…」


にこ「いいのよ凛。真姫!私たち仲間でしょ?一人で抱えんじゃないわよ!」


真姫「っ…。ごめんなさい」


真姫「でも、何があったのかは明日分かるわ」


にこ「…そう。ならいいの」


穂乃果(…あっ!!もと居た世界の真姫ちゃんはそういえば)


翌日…


穂乃果「それじゃあ病院に行こう!」


真姫「ごめんなさいみんな、でももう少しだけ待って」


μ'sは大病院「ウッドプレーン」に向かう。


絵里「昨日ちらりと寄ったけれどすごい敷地ね…」


希「とりあえず玄関からはいろ?」





穂乃果「うわぁ…結構混んでるね」


海未「受付に行きましょう」


受付「おはようございます。どうなさいました?」


海未「ええと…病院長に用があるのですが…」


受付「申し訳ございません…ただ今病院長は手が離せない状態でして…」


絵里「そこをなんとか、なりませんか?大切な用なんです」


受付「事前に連絡などは入れていますか?」
174 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/12/27(火) 22:39:58.34 ID:xQrjDwa90
絵里「入れていませんが…」


受付「でしたら申し訳ありません…これから取り次ぐということはできないので…」


穂乃果「そんな…」


真姫「みんな、まかせて」


それまで9人の一番後ろにいた真姫が、受付カウンターの前にまで行く。


真姫「西木野真姫が戻った、と言えば通してもらえるかしら」


受付「ま…!?お嬢様!?お帰りなさい!!」


真姫「ええ、久しぶり」


受付「お嬢様のご帰宅となれば話は違ってきます。とり急いで院長との面会の手配をします」


真姫「私だけじゃなくて、この人たちも通してほしいの」


受付「わかりました。少々お待ちください」


凛「真姫ちゃんすごいにゃ…」


にこ「やっぱりそういうことね…」


受付「手配できました。院長室へご案内しますか?」


真姫「いえ、いいわ。この時間帯は忙しいでしょう?自分で行けるわ」


受付「わかりました」


真姫は8人を連れて廊下を歩いていく。
かなり広い建物だが、真姫はその中の一つの部屋を目指して歩く。


凛「真姫ちゃん何者!?」


真姫「病院はお静かに」


しばらく歩くと、少し大きなドアの前までくる。


ことり「院長室…」


真姫「入るわよ?」


真姫はそう言って深く深呼吸をし、ノックする。


中の男の人「入りなさい」


ガチャ


真姫「失礼します」


8人も真姫に続く。


最後尾だった穂乃果が入りドアを閉める。
そのまま振り向いて全員が向いている方を向くと、そこにはメガネをかけた男性が立っていた。
175 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/12/27(火) 23:02:50.18 ID:xQrjDwa90
穂乃果「っ…」


にこ「ほら穂乃果、あいさつ」


にこに小声でささやかれ、穂乃果はハッとしてから一歩前に出る。


穂乃果「急にごめんなさい。私たちはμ'sです」


男性「君たちの噂は聞いているよ」


そう言って少し黙ってから、男性は真姫の方を向いて口を開く。


男性「帰ってくるなら手紙くらいは送りなさい。急ではあったが部屋を用意してあるから、そこをこれからの仕事場にしなさい」


真姫「…ごめんなさい、まだ帰れません。μ'sとして世界を救う役目があるの。そのためにつながりの羽が必要だから…私たちを洞窟に行かせて」


男性「だめだ」


男性は、考えていないかのようなスピードで否定する。


男性「真姫が自分のペースで勉強したいと言ったからあの国へ出したんだ。あの時は、お前をたくましくするために送ったんだぞ。なのに、まだ帰ってこれずに世界を救うだと?許可できない。仕方ないから、今すぐ荷物を部屋に置いてきなさい。父である私が直々に、これからみっちり勉強を教えてやる」


凛(やっぱり親子だったにゃ!!)


真姫「本当にごめんなさい。でも、私はμ'sとして役割を与えられたの。パパ、お願い!世界を救うまで…魔王を倒すまで、待っていて!」


しかし真姫パパも退かない。


真姫パパ「真姫が世界を救わなくても、そこの人たちに任せていいのではないのか?真姫は、この病院で彼女たちを応援している。そういう形ではダメなのか?」


真姫「私は…みんなと行かなくちゃいけない。パパとママには悪いと思ってる。でも、二人には待っていてほしい…」


真姫パパは「仕方ない」と言って真姫を連れて部屋から出る。
「すぐに戻るからそこで待っていなさい」とμ'sに告げていく。
μ'sは一応部屋の外で待つことにする。
ほんの少しすると真姫が戻ってきたが、浮かれない顔をしていた。
真姫パパに連れられてまた部屋に入ると、真姫が8人の前に立つ。


真姫「…ごめんみんな。行けなくなったの」


花陽「ど、どうして?」


真姫「実は、ママが先週からずっと寝たきりの状態みたいで…。今会ってきたけれど、かなりやつれてた。体調もかなり不安定らしくて…。魔力は出ていなかったから病気だと思う」


真姫「旅をしている途中で倒れたみたいで、それで私も知らなかった」


真姫「…ママを放っておけない。だから、そばにいてあげたい」


真姫は強く言い放つ。


真姫「その代り、つながりの羽への洞窟へは行ってもいいと言われたわ。8人で、っていう条件付きだけれど…」


真姫「だから…ごめん…」


真姫は涙を流す。


絵里「真姫…」

176 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/12/27(火) 23:11:47.08 ID:xQrjDwa90
穂乃果「…わかったよ真姫ちゃん。泣かないで」


真姫は穂乃果をじっと見つめる。
他のメンバーは涙を目に浮かべながらもグッとこらえ、2人を見つめる。


穂乃果「μ'sは9人。離れていても、心は一つだよ」


真姫「うん…うん…。ありがとう…穂乃果…」


穂乃果は振り向いて7人に向けて口を開く。


穂乃果「まずは、私たち8人で羽を取りに行こう!今すぐに」


7人はうなずく。


真姫パパ「話はまとまったようだね。ついてきなさい。裏口からしか行けないようになっている」


8人は装備を整えて、先に部屋から出て行った真姫パパを追う。


希「行ってくるね、真姫ちゃん」


凛「グスッ…絶対取ってくるにゃ!」


花陽「つながりの羽はまかせて!」


ことり「心配しなくていいからね」


海未「応援していてくださいね」


絵里「みんなのことはまかせなさい」


穂乃果「絶対みんな無事に帰ってくるから!」


つぎつぎと部屋から出ていくのを、真姫はうなずきながら見送る。
そして最後の一人のにこの番。


にこ「……」


真姫「…?」


にこ「泣くんじゃないわよ。もう、情けないわね!」


にこはハンカチを取り出し真姫に渡す。


にこ「それで涙吹きなさい。それで、笑顔で出迎えて頂戴」


真姫「っ…」


にこ「いい?」


真姫「…。わかったわ」


真姫は涙を拭いて強く言い切る。


にこ「それでいいのよ。泣いてる顔なんて、全然似合わないんだから!」


そう言ってにこは部屋を出ていく。
177 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/12/27(火) 23:18:01.50 ID:xQrjDwa90
穂乃果「にこちゃん…」


にこ「ごめんなさい、今追いついたわ」


全員は足早に歩く。


穂乃果「絶対に…取ってこよう!そのあとのことは、無事に帰ってきてからだよ!」


真姫を覗いたμ's8人は、固い決意を胸につながりの羽を取りに行く。


真姫「必ず、帰ってくるのよ…」


#36【再始動と急停止】end...








次回のラブライブ!


#37【8人】
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/28(水) 04:30:44.18 ID:QLopwi1A0
乙です!

つながりの羽を手に入れる事ができるのか!?
179 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/12/28(水) 21:37:49.30 ID:n5SGINS70
#37【8人】


8人はで洞窟への道を進む。
病院の裏口の大きな柵の扉を開けてもらい、そこから険しい道を進み続ける。
道中で魔物は出てこないが、なにせ険しい。
洞窟の前にたどり着くころには、空は薄い黒に包まれていた。もう完全に夜だ。


穂乃果「ここでいいよね?」


にこ「ええ、疲れたけれど時間が惜しいわ。行きましょう」


洞窟の入り口はボロボロだが、妙に近寄りがたい。
μ'sはゆっくりと入っていく。
花陽が炎魔法を小さく灯して明りにし、一本道を進んでいく。


ことり「魔物は出てこないね…?」


にこ「気を付けていくわよ」


カチッ


凛「にゃ?足元で音がしたにゃ」


凛が足元を覗くと石のスイッチがあった。


カチカチカチカチ…


穂乃果「凛ちゃん危ない!」


穂乃果が凛に向かって飛び込み、凛と共に倒れこむ。
倒れ込むのとほとんど同じタイミングで、凛の上半身があった場所に一本の矢が凄まじい速度で通った。


ドサッ!!


凛「にゃっ!!」


穂乃果「危なかった…」


凛「あ、ありがとうにゃ…」


海未「これは…かなり注意しながら歩かないといけませんね…」


にこ「そうね…注意しましょう…」


そう言って、にこは壁に手をつく。
すると、その壁もカチッという音を立ててへこむ。


にこ「カチ…?」


希「にこっち下
180 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/12/28(水) 22:14:46.88 ID:n5SGINS70
ミスで投稿してしまった…


希「にこっち下!」


にこ「下?」


にこが下を向くと、さっきまで石の床だったはずがいつの間にか小さな穴が複数空いている。


にこ「やばっ…」


にこはすぐにその場から離れる。
すると、その穴から細長い棘が飛び出てくる。
にこはびっくりして倒れ込む。


にこ「ありがとう希…行ってくれなかったら確実にやられてた…」


ことり「ど、どうしよう…進みたくなくなってきたよう…」


絵里「こういう時に真姫がいてくれれば…観察眼で罠を見極めたり罠がありそうなところを考察してくれるのに…」


全員は黙り込む。


穂乃果「行こう。止まれない!」


絵里「そうね。進むしかないわ!」


μ'sは罠に引っかかりつつも、致命傷はうけずに進んでいく。
進むと少し広い場所に着く。


希「…不自然に広いね」


海未「注意しましょう」


そういって黙っていると、急に足元の床が開く。


凛「落とし穴!?」


穴は4つあり、その穴の上にいた者たちは落ちていく。


穂乃果「わぁぁぁぁぁぁっ!?」


穂乃果は凛と一緒に落ちていく。


凛「穂乃果ちゃん!下見て!下!!」


穂乃果が落ちていく先を見ると、そこには大きな棘がたくさんと、棘の間には骨が複数。
距離はそこまでないため、すぐにでも棘に刺さってしまう!
穴の大きさは5m程度で壁は石だ。


凛「どうしようどうしよう!!」


穂乃果と凛はほとんど同じスピードで落下しているが、凛のほうが軽装のため少し下にいる。
もう一度穂乃果が下を覗くと、穴は棘の少し上で終わっていて、棘がある空間は少なくとも穴より広い空間のようだ。

穂乃果は背中の剣を取り出し「ごめん」と一言つぶやいてから壁に突き刺す!


ガリッ!!


凛「穂乃果ちゃん!?」
181 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/12/28(水) 22:59:05.60 ID:n5SGINS70
突き刺すと同時に、剣を持っていない左手を凛に向けて伸ばす。
凛も伸ばすが届かない。
さらに、落下の中で剣が石から抜けてしまう!


穂乃果「わっ!?」


凛「このままだと串刺しになるにゃ!」


さっきまでは小さかった棘が今ではかなり大きく見える。
あと少しすれば二人は串刺しになるだろう。


穂乃果「凛ちゃんもう一回!!」


穂乃果はまた剣に「ごめんね」と言ってから、切先を石に浅く突きさす。
さらに背中に携えていた鞘の、肩から伸びていたベルトを掴んで肩からおろし、鞘の先を掴んで凛に向けて伸ばす。

凛は鞘を右手で強くつかむ。


穂乃果「凛ちゃんよろしく!!」


凛「なんとなくOKだにゃ!!」


穂乃果と凛はそのまま落ちていく。
剣を刺しても落下速度は落ちない。
ぐんぐん棘に近づき、穴から飛び出ようとする。棘はもうすぐそこだ。


穂乃果「いくよ!!」


穂乃果は右手に力を入れて剣の差し込みを少し深くする。
自分たちが落下している穴から飛び出る瞬間を見越し、それと同時に左手で持つ鞘を思いっきり下へ振り下ろし、振りぬく。
凛は鞘に全体重をゆだねていたため、鞘と共に振りぬかれていく。
穂乃果は、振り下ろした鞘と凛が穴から飛び出ると同時に突き刺していた剣を引き抜く。

穂乃果のスイングにより穴から広い空間に飛び出た凛は、斜め方向に飛んでいくので穴の下にのみ広がっていた棘たちは避けられる。
しかしそのままでは垂直落下する穂乃果は避けられない。
そこで凛は鞘を思いっきり引っ張った。
鞘を引っ張る力に体を預けていた穂乃果は、凛のいる方向に引っ張られていき、凛を振りぬいた穂乃果の力と凛が引っ張る力が合わさって棘の上を飛んでいく。
そのまま二人は棘の山のすぐ横に倒れ込む。


凛「にゃっ!」


穂乃果「いてっ!!」


二人は少し転がって上を向く。


穂乃果「…なんか、なんとかなったね」


凛「絶対終わったと思ったにゃ」


穂乃果は飛び上がり、自分たちが落ちてきた穴を見つめる。
落ちた空間には、壁の松明に灯がともっており、真っ暗ではない。


穂乃果「みんな…」


凛「凛たちで大丈夫だったんだし、他のみんなも大丈夫にゃ」


穂乃果「他のみんなはバラバラに…?」


凛「確か、希ちゃんとにこちゃん。かよちんとことりちゃん。海未ちゃんと絵里ちゃんっていうペアだった気が…」


穂乃果「よく見えてたね…」


凛「絶対にみんななら大丈夫!」
182 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/12/28(水) 23:47:41.66 ID:n5SGINS70
※上記で、落下する中で凛が下にいると書きましたが、穂乃果が下の間違いです。




凛「もし落ちた先のトラップが凛たちと同じなら…希ちゃんとにこちゃんなら、希ちゃんはサモンコネクトできるし落下速度を落とす魔法も使える。にこちゃんだってエアスライドがあるから希ちゃんにサポートしてもらえれば無事だよ」


穂乃果「希ちゃんが落下速度を落とす魔法を使えるってことは、同じ魔法を使える花陽ちゃんならことりちゃんをサポートできるしなんとかなると思う!」


凛「心配なのは絵里ちゃんと海未ちゃん…」


穂乃果「同じ罠なら、海未ちゃんが全力のラブアローストライクを撃つ反動を利用して回避できるんじゃない?」


凛「確かに、凛ならそうするかも」


穂乃果「……きっと、みんな大丈夫。私たちは進もう!」


穂乃果と凛は装備を整え、周りを見るとこの部屋から続く道がある。


穂乃果「行くしかない」


凛「行くにゃ!」


二人はそのまま進んでいく。
道中にはトラップは無く、二人は注意しながらも進んでいく。
するとまた広い空間に出る。


穂乃果「奥にまだ道があるよ」


凛「進むにゃ」


2人が歩いていくと、奥にある道の前に魔力の結界が張られる。


穂乃果「何!?」


そしてさらに2人の前に、魔力でできた2m程度の大きさの魔物が現れる。
魔物は4足歩行で、大きなトラのような姿をしている。


穂乃果「この魔物を倒さないと…先に進めないみたいだね。
183 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/12/29(木) 23:38:27.08 ID:eS0ZQ15H0
魔物「グルルルル…」


足の下から頭のてっぺんまでで2mあり、全長は5mはあるかもしれない魔物がうなり声をあげている。
穂乃果は剣を抜き、両手で持って構える。
凛も拳に少し力を入れて構える。


凛「穂乃果ちゃん、盾は?」


穂乃果「トラ?みたいな感じだし、盾で攻撃を防ぐよりは回避に専念しようと思って」


凛「なるほど…あ、敵が向かってきそう」


魔力でできた魔物は体が魔力でできていて半透明で、輪郭線が不安定に揺れている。
その魔物からにじみ出る魔力が急に大きくなり、穂乃果と凛に向かって飛び込んでくる。


穂乃果「来るよ!」


魔物は右前脚のかぎ爪を鋭くして凛を切り裂こうとする。
凛は魔物の攻撃を完全に見切って、バックステップで回避する。
かぎ爪は空を裂き、魔物は着地してからまた凛に飛びつこうとする。


穂乃果「こっち!!」


しかしその魔物に向かって穂乃果が接近し、左前脚を深く切り裂く。
魔物はその攻撃でぐらついてしまうが、咄嗟に後ろへジャンプして2人と距離を取る。


凛「ふぅ…あぶなかったにゃ」


穂乃果「凛ちゃんが後ろに避けてくれたから、穂乃果も攻撃できたよ。ありがとう」


凛「初速は速いかと思ったけど、もしかしたらそこまででもないかもしれないね」


穂乃果「みんなもこうやって魔物と戦ってるのかな?」


凛「かもね…。のんびり戦う暇はないかもね」


穂乃果「だね。あの魔物の攻撃もびっくりするほど速いわけじゃないし、最初から全力で行こう」


穂乃果は右手にフェアリー・サンシャインを持ち、左手に魔力を集中させる。
左手に持ちなれた感触が浮かび上がり、目をちらりと向けると、光魔力で形成されたフェアリー・エフェクトがあった。


凛「凛も全開!」


凛が深く構えると、2つの拳から雷魔力がバチバチと音を立ててはじける。
魔力の魔物はまた飛び込んでくる!
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/30(金) 01:09:19.95 ID:0e8ero8V0
マメ2、告白、乙女式、ソルゲか
真姫ちゃん…
185 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2016/12/30(金) 22:41:03.55 ID:Z24Fe42j0
穂乃果は凛の前に飛び出しつつ、凛をちらりと見る。
凛は軽くうなずいて、拳の魔力を強める。

穂乃果は自分から魔物に向かっていき、右手に持つ剣にオレンジの魔力を纏わせ突っ込む。


穂乃果「スパイラル・オレンジ!!」


そう叫んで右手に持つ剣を突き出すと、穂乃果は加速して魔物に急接近!
加速する穂乃果に驚き、魔物は咄嗟に左かぎ爪で切り裂く!
しかし、穂乃果は体勢を低くしてそのかぎ爪を躱し、魔物の下から剣を突き上げる!
穂乃果は切先に魔力を集中させて、貫通せずに相手を突きで弾き飛ばすようにする!
魔物は、下からの衝撃とオレンジの魔力による切り裂きで上体を上に弾かれる。


凛「Ring a spark!!」


魔物の胸や腹があらわになり、凛はそこに向けて拳を突き出す。
突き出された拳から雷の魔力が放たれ、合計2発の電撃は魔物の胸部に直撃し、完全に体勢を崩す。

そして、魔物の下に穂乃果が入り込む。


穂乃果「くらえ!」


穂乃果は、2本の腕を胸の前でクロスして腰のよこに携えて魔力を込める。


穂乃果「オレンジクロス!」


一気に剣を振りぬき、2本の剣で魔力のXを描いて魔物の腹を切り裂く。
Xを描かれたオレンジの魔力は炸裂して魔物を吹き飛ばす。
吹き飛ばされて、空中で完全にひっくり返った魔物は背を下にして落下する。

その上から凛が飛び込んでくる。


凛「とどめにゃ!Ring a signal!!」


右手に込めた強烈な魔力を、拳の突きと共に炸裂させる。
上から腹部にクリーンヒットし、電撃は炸裂して部屋を駆け回る。


穂乃果「いつみてもすごい威力だなぁ…」


消滅していく魔物の上から降りた凛は、こぶしをにぎにぎしてから穂乃果の方を向く。


凛「この大きさの魔物をのけぞらせたり吹き飛ばす穂乃果ちゃんも不思議だにゃ」


穂乃果は魔力の剣を消滅させ、右手に持っていた愛剣を鞘に納める。


穂乃果「私は武器のおかげだよ。まぁ、行こうか!」


穂乃果と凛は進むのを再開する。
しばらく歩いていくと、かなり広い空間に出る。


凛「広いところだにゃぁ…」


穂乃果「あれ…?奥に何かが…?」


凛「穂乃果ちゃん!こっち見て!」


穂乃果「えっ?」


穂乃果が振り向くと、自分たちが出てきた道の近くに同じような道があり、そこから他のメンバーが出てくる。


穂乃果「みんな!」
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/31(土) 10:59:29.94 ID:C/EpovASO
>>184
ソルゲというかStormだよな
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/04(水) 00:53:35.08 ID:2PM2M0dpo
面白い
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/08(日) 19:46:00.27 ID:PKeNMuPA0
乙です!
あの魔物達はなんだったんだろうか?
189 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2017/01/08(日) 22:19:05.39 ID:pASkxsK30
絵里「穂乃果!凛!無事だったのね!」


海未「目立った傷もありませんね」


ことり「合流できたよ花陽ちゃん!」


花陽「本当だ!そろってるね」


凛「そろってる?」


希「ウチらも合流したよ〜」


にこ「げ…最後かぁ…」


穂乃果「みんな無事でよかった…」


海未「この場所は?」


穂乃果「私たちも今来たからよくわかんない」


にこ「奥に大きな台座があるわね」


にこが指差した方向には階段があり、その上には台座がある。
台座まで行くには階段を使うしかなく、周りからよじ登ろうにも台座がある高台の周りは穴になっており登れない。


希「…それに、階段の前の床に大きな円が書いてあるね」


絵里「その円の真ん中に、人が一人立てそうな魔法陣…」


全員がいる空間は正方形のような空間で、周りは土ではなく石でできていて柱も見える。
台座がある高台の前にある大きな円はちょうど正方形の空間の中心に描かれており、大きな円の周りにも多少の空間があるので、大きな円が壁ぎりぎりまで広がっているわけではない。


穂乃果「とりあえず、この円を避けて台座まで登ってくる!」


穂乃果は7人に「ここにいて」と言ってから、階段へ向かう。
階段はそこまでの高さではないので、一段飛ばしで登っていく。
すると階段を上りきったところで見えない壁にぶつかる。


穂乃果「いでっ!?」


穂乃果はそのまま階段から転げ落ちそうになるが、グッとこらえる。


穂乃果「壁…?」


穂乃果はそーっと手を伸ばす。
すると指先に固い感触がある。
一応、他の場所も触ってみるが触った感じだと壁が一面に張られている。


穂乃果「やっぱり見えない壁がある…。それなら!」


階段を2段くらい下がって、右手で背中の剣を抜く。
剣を横に構え、オレンジの魔力を込める。


穂乃果「壁を壊す!」


穂乃果「スパイラル・オレンジ!」


穂乃果は一気に剣を突き出して、壁を貫こうとする。
しかし、魔力がこもった剣が壁に接触した瞬間に剣にこもっていた魔力が見えない壁に吸い取られて跳ね返ってくる。
190 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2017/01/08(日) 22:44:43.58 ID:pASkxsK30
穂乃果「えっ!?」


その魔力で大きく吹き飛ばされ、階段の上から地面に背中から落下する。


ドサッ!!


穂乃果「いでっ!!」


海未「穂乃果ーっ!大丈夫ですかーっ?」


海未が離れたところから声をかける。


穂乃果「いてて…」


左手で背中をさすりながら、大丈夫だと伝えるために剣をかかがて振る。


海未「大丈夫みたいですね」


にこ「見た感じ、見えない壁があるみたいね」


絵里「何かをして突破しないといけないのかしら?全力で攻撃して無理やり通る?」


希「だめやでえりち。今穂乃果ちゃんが壁に向かって攻撃したら魔力が跳ね返ってきた。あの壁は魔力を弾くんだと思うで」


絵里「じゃあ魔力を込めないで攻撃すれば…?」


花陽「穂乃果ちゃんがまた攻撃しに行かないし、壁も堅かったんだと思うよ」


絵里「うーん…じゃあ召喚獣は?」


希「召喚獣は魔力で呼んでるから、召喚獣の攻撃には自然とその幻獣の魔力がこもってるんよ。だから突破できないと思う」


凛「プラムに、飛んで取りに行ってもらうのも無理だとおもうにゃ〜」


ことり「そうだね。階段の前だけに壁を張るっていうのは守りが薄いもんね」


穂乃果は剣を持ったま少し考え、全員に提案をする。


穂乃果「この魔法陣が関係してるんじゃないかな?」


8人は魔法陣の周りに集まる。


にこ「やっぱりそうよね…」


穂乃果「ためしに穂乃果が乗ってみる」


穂乃果はそう言って魔法陣の上に立つ。
しかし何も起きない。


ことり「何も起きないね?」


海未「他にも何かしないといけないのでしょうか?」


凛「周りの円も関係してるのかにゃぁ?」


希「それじゃあ、穂乃果ちゃんは魔法陣の上に立って他のみんなは大きな円からも出よう」

191 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2017/01/08(日) 23:41:59.78 ID:pASkxsK30
7人は大きな円から固まって出る。
大きな円の中に穂乃果しかいなくなると、途端に大きな円の枠から薄い黄色の魔力が噴き出してドーム状の結界が張られる。
ドームの頂点は高い位置にいある天井に届いており、魔力でできた巨大なドームが完成した。


穂乃果「足元の魔法陣も光ってる!!」


するとドーム状の結界の壁から、音を立てて小さな炎の魔法弾が放たれる。
魔法弾は魔法陣の上の穂乃果めがけて飛んでいく。


穂乃果「わっ!?」


穂乃果がびっくりして魔法陣の上から出ると、出た瞬間にドーム状の結界も小さな炎魔法弾も音を立てて消滅する。


穂乃果「…あれ?」


ことり「ど、どうなってるの?」


にこ「今、魔法陣から穂乃果が出たからすべて消えたわよね?」


絵里「…完全に予測だけど、魔法陣の上で火炎魔法をさせ続ければいいんじゃない?」


凛「そういう感じかもしれないにゃ…」


穂乃果「よし!穂乃果やってみる!」


花陽「これが始まるのは、魔法陣の上に一人が立っていて大きな円から他のみんなが出たらってことだよね?」


穂乃果「そうだと思う!それじゃあやってみるね!」


穂乃果(火炎魔法はそこまで速くなかった…落ち着けば避けれる!)


魔法陣の上に立って構える。


穂乃果(魔法陣は小さいから動き回れない…。この場で避けないと!)


ドーム状の結界が張られ、壁から火炎魔法が放たれる!
穂乃果の顔めがけて飛んでくるが、穂乃果は軽く屈んで回避。
すると、後ろからボウッ!!という音がする。
穂乃果がちらりと見ると、後ろのドームの壁から火炎魔法が放たれる。


穂乃果「っ!!」


火炎魔法は穂乃果の足元めがけて飛んできているので、穂乃果は足をずらして火炎魔法を何とか回避。
魔法は水平に放たれているので、そのまま穂乃果の横を駆け抜けていく。

さらにいろんな方向から火炎魔法が放たれ、穂乃果を狙い飛んでいく。


穂乃果「結構ポンポン出てくるね…」


穂乃果はなんとか躱していくが、6発目を避けきれずに横っ腹に直撃。


穂乃果「いたっ!?」


穂乃果はその衝撃で吹き飛ばされて魔法陣から飛び出る。
倒れ込んだ穂乃果は魔法弾が直撃した箇所を確認する。


穂乃果「あれ?焼けてない…」


穂乃果「火炎魔法だけど、燃えないのかな?」
192 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2017/01/09(月) 00:29:32.48 ID:Gc7aLKvK0
にこ「見た感じ、あんまり痛そうじゃないわね」


ことり「でも、これはハードだよ…」


絵里「魔法弾の発射感覚も短いし、なにせあの場所から横に動けないのがつらいわねぇ…」


希「これはどうしようかなぁ…。真姫ちゃんがおれば、舞いながらかるーく受け流しちゃうんやろうなぁ…」


希「でも、ウチらでやるしかない!みんなで挑戦してみよ」


穂乃果「そうだね…」


穂乃果がとぼとぼ歩いてくる。


凛「次は凛だにゃ!」


穂乃果「結構速いよ!」


凛「まかせるにゃ!!」


シュイーン!ボウッ!!ボウッ!!ボウッ!!ボウッ!!ボウッ!!ボウッ!!ドスッ!!ニャァッ!?


凛がとぼとぼ歩いてくる。


凛「結構大変だにゃ…」


その後着々と挑戦するが、近接戦闘組は5,6発目で撃沈し遠距離組はかなり早い段階で撃沈する。
そして最後の一人のにこが挑戦する。


にこ「にこが決めてやるわ!」


意気揚々と挑戦するが、残念ながら6発目で失敗。


にこ「痛っ!?や、やるわね!!」


穂乃果「にこちゃんも失敗かぁ…毎回放たれる場所もランダムだから暗記ってわけにもいかないし…」


すると、大きな円の外側に魔力でできた魔物が出現する!


絵里「えっ!?魔物!?」


凛「これ、ここに来るときに戦った魔物と同じく魔力でできてる!」


希「ウチらも魔力でできた魔物と戦ったで!その時に戦った魔物よりは小さいし、人型やね」


花陽「でも盾と剣みたいなシルエットの魔力を持ってるね」


海未「結構出現してますよ?」


穂乃果「このまま放っておいたら大きな円の中に入り込まれて、魔法陣が起動しなくなっちゃう!」


ことり「食い止めよう!」


海未「固まって出現していないから、全員で大きな円を囲まないといけないですね!」


穂乃果「そうだね!散ろう!」
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/09(月) 01:49:36.82 ID:MGebOfTP0
きたか
194 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2017/01/12(木) 21:40:47.04 ID:3G46PJnU0
穂乃果「にこちゃんは挑戦してほしい!」


にこ「にこが?」


穂乃果「にこちゃんが一番躱せると思う!」


にこ「…わかったわ!みんなやられるんじゃないわよ!!」


7人「了解!」


にこ以外の7人はほとんど等間隔で大きな円の外側に移動し、向かってくる魔力の魔物を食い止めていく。


穂乃果「ていっ!!この魔力の魔物たち…さっきも同じような魔物と戦った。この魔物たちは、なんとしてでも私たちに『つながりの羽』を渡したくないんだね!」


7人は、向かってくる複数の魔物をなぎ倒していく。


にこ「さてと…それじゃあにこも始めるわよ!」


にこが魔法陣を起動させて挑戦していくが、躱せる回数は増えて行ってもどうしても途中で攻撃を受けてしまう。
続ければ続けるほど火炎魔法弾の発射間隔が短くなっていく。
なので回避するにも無理が出てきてしまう。エアスライドを使ったりして躱したり、時には蹴りで弾くがどうしても追いつかなくなる。

しかし、にこも得た情報はある。
火炎魔法弾は完全に同じタイミングで魔法陣の上にいる人間に接触しない。
さらに発射されるときには大きな音が出るのでそれを頼りに見えなくても感知できる。
そして、魔法陣から体が完全に出たらアウト。逆に考えれば、少しでも体が入っていれば魔法陣は停止しない。ちなみに空中で魔法陣から出てもアウト。

ちなみに放たれた火炎魔法弾は、結界の壁にもう一度当たるとそこで消滅するため周りの7人に当たることはない。


にこ「くっ…何度やっても躱しきれない…」


周りのみんなも魔物を食い止め続けてはいるが…


穂乃果「ハァ…ハァ…。単体だと強くないのに、倒しても倒しても現れてくる…」


穂乃果は向かってくる魔物を斬り倒すが、倒すと同時に奥の方で新たな魔力の魔物が出現する。


海未「矢も尽きてきてます…」


海未は矢を節約して、隠していた刀で相手をしている。
他のみんなも思い思いに戦うが、体力の限界が近づいてくる。
それはにこも同じだった。


にこ「はぁ…はぁ…炎魔法を受けすぎて体が重くなってきた…」


にこ「みんなが頑張ってくれてるのに!!あと少しだと思うんだけど…どんどん連射速度が上がっていくのが大変…」


にこ「うまく躱したりいなす方法………あっ!!」


にこは周りを見渡し、穂乃果とことりを見つける。


穂乃果「にこちゃんも体力の限界が来てるんだ…」


にこ「穂乃果!ことり!」


穂乃果「にこちゃん?」


ことり「どうしたの?」


にこ「お願い!ことりのロッドと穂乃果の盾を貸して!」
195 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2017/01/12(木) 22:07:45.71 ID:3G46PJnU0
穂乃果「穂乃果はいいけどことりちゃんのロッドがなくなったら…」


希「ウチにまかしとき!」


プラムとサモンコネクトしている希が叫び、タロットを複数投げる。
するとそのタロットが広がって魔法陣を描き、その中からアルファングが召喚される。


希「ことりちゃんのかわりに戦って!」


アルファング「ガルルッ!!」


ことり「ありがとう希ちゃん!にこちゃん受け取って!」


ことりはにこに向けてロッドを投げる。
続いて穂乃果も風守の盾を投げる。

にこはロッド右手で、盾を左手で受け取る。


にこ「ロッドはなかなかの重量があるけれど、盾は軽いのね。風守の盾っていうのは伊達じゃないんだ」


にこ「さてと…」


にこは二つの道具を持って魔法陣の真ん中に立つ。
すると今まで通り、大きな円を枠にしてドーム状の結界が張られる。
すると左手の盾を足元に置く。


にこ「穂乃果!少し乱暴に使っちゃうかもしれないけどいい?」


穂乃果「うん!」


大きな音を立てて炎魔法弾が放たれる。


にこ「アクロバットに行くわよ!」


向かってくる炎魔法弾を、ロッドを使って薙ぎ払う。
器用にくるくる回して炎魔法弾を振り払い続けていく。


にこ「この連射速度ならまだいける…」


すると、徐々に連射速度が増してくる。
それを感じ取ると、すべて薙ぎ払わずに回避も入れていく。
そうしていくとどんどん連射速度が増えていく。


にこ「…っ!!」


回避したりロッドを使って薙ぎ払うのが無理だと判断すると、火炎弾を回避しつつ右足で地面の盾の持ち手をひっかける。
右足を振り上げて、火炎弾を盾で薙ぎ払う。そして足からすっぽ抜けた盾を右手でつかむ。

それを横目で見ていた穂乃果は「おぉ…」と感心する。
そのまま動きを止めずにロッドで薙ぎ払ったり、右手の盾で弾いたりして防ぐ。
しかし連射速度はまだまだ上がっていく。


にこ「こっからは自力じゃあ避けられなくなってくる速度…」


連射速度は、放たれた弾と次発の間の時間が1秒もなくなる。


にこ「こうなったら…」


にこは急にロッドを魔法陣の端に向けて振り下ろす。


にこ「ことりごめん!!」
196 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2017/01/12(木) 22:27:55.60 ID:3G46PJnU0
にこが全力で振り下ろしたロッドは、石である床にしっかりと突き刺さる。


ことり「それ丈夫だよ!」


にこ「よかった」


にこはロッドから手を離して、盾を使って薙ぎ払いつつ避ける。
しかしその場では避けれないような方向から火炎弾が飛んでくる。


にこ「一か八かよ!」


火炎弾を避けるとともに、にこは魔法陣の外へ飛び出す。


穂乃果「えっ!?それだと自爆…!?」


しかしにこはロッドを掴んで、ロッドを中心にして円を描くように回り魔法陣の中に戻る。
ロッドは魔法陣の中にあり、ロッドを掴んでいるにこの手は魔法陣の中にあるため魔法陣が停止しない。
魔法陣の中に戻ったにこはまた火炎弾を避け、厳しくなると魔法陣から出てロッドを使って戻ってくる。
そうやって回避し続けた。
しかし、またロッドを使って回るために外に出ると、回って向かう先から火炎弾が飛んでくる。


にこ(このままだと回ってる途中で火炎弾の攻撃を受ける!)


にこ「けど、空中はにこのお庭よ!」


右足を前に突き出して魔力を込める。
にこはエアスライドをして、回る方向を逆にすることで火炎弾を回避。
そうして魔法陣の中に戻ると、急に火炎弾の連射が止まる。


にこ「何?もう来ないの?」


すると、7人が相手をしていた魔力の魔物が急に消滅する。
同時に大きなドームも消滅し、高台の方からガラスが砕けるような音がする。
静寂に包まれる。


にこ「終わったのかしら…?」


穂乃果「やったよにこちゃん!!」


絵里「にこ、お疲れ様!」


にこ「な、なんとかなるわね!!」


そう言いつつ地面に座り込む。


ことり「かっこよかったよ!」


にこ「ありがとう…」


海未「さっきの音は高台の方からしましたね」


穂乃果「にこちゃん、見に行ける?」


にこ「ええ、大丈夫」


穂乃果は盾を拾ってから向かう。
にこはロッドを地面から抜き取り、深々と頭を下げてことりに渡す。


ことり「えっ!?頭を上げてよ!?」
197 : ◆G2i9TD/uc6FP [saga]:2017/01/12(木) 22:39:06.76 ID:3G46PJnU0
見えない壁は完全に消えていた。
全員が高台に上がると、台座の上に光り輝く何かが浮いている。


穂乃果「ごくり…。取るね」


穂乃果が手を伸ばして光り輝く者を掴むと、光は拡散する。
その中から、真っ白な羽が出てくる。
その羽はほんの少し光を帯びている。


穂乃果「つながりの羽…」


にこ「綺麗ね」


海未「手に入りましたね。真姫にも顔向けできます」


絵里「感動するのもいいけれど、すぐに帰りましょう?」


花陽「そうだね。この洞窟に入ってからかなりの時間が経ってるし、早く戻った方がいいかも」


凛「でも体が重いにゃ…」


ことり「それじゃあ、ここで少し回復してから戻ろう?」


穂乃果「あっ…帰り道がないよ?」


凛「そういえば…」


希「ウチらが通ってきた道の途中に梯子があって、その上から月明かりが差してたからそこから出れると思うで」


絵里「よかったわ…。それじゃあ少し休みましょう」


休んで体力を回復し、順番に梯子を上っていく。
梯子を上りきると、洞窟の入り口の近くに出る。


穂乃果「こんなところに穴があったんだ…」


海未「背が高い草に囲まれていますし、普通は見つけられませんよ」


凛「完全に夜だにゃ」


にこ「これは確実に真夜中ね」


絵里「急いで帰りましょう。帰りは近道とかないわよ?」


穂乃果は持っているつながりの羽を眺める。


穂乃果「私たち、手に入れたよ。真姫ちゃん」


全員が喜びながら足早に帰る。
8人が洞窟に入ってからかなりの時間が経っているのは確かだ。
そしてこの「かなりの時間」の間で、イムタージュでは大事件が起きていた。


#37【8人】end...
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