天龍「ふと気になったんだけどよ。」

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263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/18(水) 10:23:50.66 ID:u1qfo/wDO
赤城に草
一体何の対決になるんや?
264 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/05(日) 23:43:28.07 ID:6O6V/bi50
>>262 なんでや、那珂ちゃん可愛いやろ!


前回同様、第3演習海上。

ー天龍サイドー

夕張「・・・どうしてこうなった ?」

新型の艤装を左腕に、いつもの艤装を背中に装備した天龍の隣で自分の艤装を装備した夕張が嘆いた。

天龍「ハッハッハッ、災難だな。ま、俺に任せときな。何たって世界水準軽く超えてるからな!」

笑いながら夕張の肩をバンバン叩いた。

夕張「うう〜・・・一応は頑張りますけど、相手は一航戦が2人もいるんでしょ!?しかも数的不利じゃんか〜!」

提督『それを新型の艤装で覆すのだろう?前回同様勝ち負けは拘らん。』

愚痴をこぼす夕張に提督から通信が入った。因みに明石と秋津洲は鎮守府100週掛ける3。北上は150週掛ける3と後日の特別演習である。
265 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/05(日) 23:44:58.66 ID:6O6V/bi50
ー一航戦サイドー

那珂「それで、なんで那珂ちゃんが演習に出ないといけないのー!?」

提督『今日は待機だろ。なら演習に切り替わっても問題ないだろう?明日半休にしてやるから許してほしい。』

那珂「むー、提督のお願いなら仕方ないから頑張るけどさー。」

若干剥れながらも渋々了承した。その後ろでは赤城と加賀が弓と矢を確認していた。

加賀「新型の艤装に関しての情報は無いのですか?」

提督『私もまだ詳しい性能は知らない。それを確認するための演習だ。』

赤城「ふむ・・・完全に初見の相手ですか。腕がなりますね。」

提督の答えに小さく溜息を吐く加賀とは対照的に赤城は楽しそうに笑った。

提督『すまないな。だが君達の腕なら大事にはならないだろう。上手くやってくれ。』

加賀「・・・期待してくださるなら、答えます。」
赤城「おまかせください!」
266 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/05(日) 23:46:05.94 ID:6O6V/bi50
ー提督サイドー

やはり置かれた長机。その中央に提督が座り、左右に龍田とグラーフが座る。

龍田「加賀さんのキャラが前回と違いすぎじゃないかしら?」

提督「オンオフがしっかりしてるからな、加賀は。グラーフ、ドローンの操作は大丈夫か?」

グラーフ「ああ、問題ない。この子達も優秀だ。」フフッ

妖精ズ ドヤァ

グラーフの前には秋津洲の妖精とドローンの制御装置が置かれていた。

提督「流石だな。よし。では演習を始めようか。」
267 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/05(日) 23:47:47.41 ID:6O6V/bi50
ー一航戦サイドー

提督『今回は3対2だ。旗艦が大破判定の時点で演習は終了。天龍側は天龍を旗艦とする。3人も旗艦を決めてくれ。』

那珂「旗艦だって。うーん、それじゃあ一航戦のお二方のどちらかにやって」

赤城「那珂ちゃんで。」
加賀「那珂で。」

那珂「もらおうかなーって私ッ!?」

那珂が後ろを振り返りながら声をあげた。慌てながら手を振る。

那珂「わ、私が旗艦だなんて無理だよ!?ここは栄えある一航戦のどっちかの方が良いって!」

加賀「落ち着きなさい。一人称がブレてるわよ。」

那珂「あ、っとと。ハー、フー、よし、落ち着いた〜。」

加賀に指摘されて慌てて深呼吸をする。落ち着きながらも那珂の目は明後日の方を見ながら言い訳をしようとしている。それを見ながら赤城は微笑んだ。
268 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/05(日) 23:48:58.23 ID:6O6V/bi50
赤城「大丈夫よ。那珂ちゃんの腕前はわかってるから。」

那珂「えー、だったらやっぱり加賀さんか赤城さんの方が・・・。」

赤城「わかっているから、あなたに旗艦をやって欲しいのだけど。」

加賀「昼行灯を演じるのも程々にしなさい。演習は外部には漏れないのでしょうから、全力でやっても問題ないでしょう。」

赤城と加賀に言われ、那珂が一瞬ビクッとした。そして目を泳がせながら何かを言おうとして、諦めた。

那珂「は〜・・・どうなっても那珂ちゃん知らないからね〜。」
269 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/05(日) 23:49:31.12 ID:6O6V/bi50
ー提督サイドー

提督「話はついたな?では、那珂対天龍の演習、開始。」

提督の声に合わせ、計5人の艦娘は全て同時に動いた。それと同時に龍田が机に地図を広げ、5つの駒を置いた。
270 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/05(日) 23:50:54.88 ID:6O6V/bi50
書き溜めはここまで。

那珂ちゃんはかわいい。いいね?
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/06(月) 10:13:09.34 ID:T+06OlS5O
乙。この那珂さんは効かぬわ!とか沈め!!とか言う方の那珂さんなんだな……
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/06(月) 22:19:25.82 ID:SbmYynu+o
アッハイ
273 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/20(月) 00:08:43.96 ID:BwJxYROk0
推奨BGM ワーグナー 楽劇 第2部 第3幕前奏曲

ー天龍サイドー

天龍「よっしゃ、早速行くぜ!」

天龍が左手の艤装を構え、ボタンを押す。デーブルが開き、輝いた。

夕張「カードの確認はちゃんとした?」

天龍「おうよ。まずはこいつだ!」

艤装の中央から2枚カードを引き、テーブルへと置いた。機械的な音、光と同時に天龍の左右に1機ずつ、「二式艦上偵察機」が現れる。

天龍「そんじゃあ頼むぜ。」

天龍の声に応えるように2機の偵察機が飛び立った。
それに合わせて天龍と夕張も前進する。
274 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/20(月) 00:10:15.24 ID:BwJxYROk0
ー那珂サイドー

那珂「えーっとそれじゃあ微速前進しながらとりあえず偵察機?」

前へと進みながら後ろを那珂が振り返る。赤城と加賀も前進しながら頷いた。

赤城「私が飛ばします。加賀さんは護衛を。」

加賀「はい。」

2人が並んでそれぞれが弓を構え、一本、手に持った状態で矢をつがえた。

赤城「艦載機のみなさん、用意はいい?」
加賀「いきます。」

一矢放った瞬間、既に二本目はつがえられており、刹那のうちに二本目が放たれた。

赤城の放った矢は一本から2機の「彩雲」、つまり合計4機の偵察機となり、加賀の放った矢は一本から3機、計6機の「零式艦戦21型」となって飛び立った。

赤城「では、二手に分かれて索敵をお願いします。」

赤妖精1「ニンムリョウカイ。」
青妖精1「セイギハ オレガキメル!」

赤城の指示で偵察機2機の後ろに3機零戦が付き従う形で飛び去った。
275 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/20(月) 00:11:02.35 ID:BwJxYROk0
ー提督サイドー

提督「ふむ・・・。流石正規空母2人は偵察機だけでは飛ばさないか。」

グラーフ「あわよくば相手の目を潰す算段だな。」

映像を見ながらテーブルの地図に龍田が三角の駒を複数置いて行く。

龍田「互いに艦隊を見つける前に艦載機同士が接触するわね。」

提督「初戦は那珂隊に軍配があがるか?」
276 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/20(月) 00:11:42.71 ID:BwJxYROk0
ー那珂サイドー

赤城「敵機補足!」
加賀「ここは譲れません。撃墜を。」



ー天龍サイドー

天龍「!?敵の編隊か、マズいやられる!」
277 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/20(月) 00:12:26.11 ID:BwJxYROk0
※ここからは一部、イメージでお送りします。

天龍の偵察機1機と赤城、加賀の編隊が接触した。

青妖精2「おっと逃がすかよ!」

天龍の偵察機が緊急回避を試みるも、1機の零戦がそれを追う。当然逃げ切れるわけもなく、斉射を受け破壊された。

青妖精2「どうだい、俺の腕前も大したもんだろ。」

赤妖精1「最初からお前の技術を当てにしている。」

青妖精2「へっ、嬉しいこと言ってくれるぜ。」

会話をしている最中、煙をあげながら墜ちていく天龍の偵察機が音を立てて空中で消えた。

赤妖精1「消えた・・・?ただの艦載機ではなのか?」
278 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/20(月) 00:13:28.93 ID:BwJxYROk0
ー天龍サイドー

天龍「クソッ!1機やられた!」

天龍の腕の艤装に乗せられたカードが砕けた。
因みにこの艤装によって召喚された装備には妖精は乗っていない。

夕張「方角はわかる?」

天龍「ああ。進行方向基準に左に約35程だな。横から攻撃を受けたみたいだ。」

それを聞いた夕張が顎に手を当て、少し考えた。

夕張「なら、恐らく相手はこちらと同様に直進してる?」

天龍「あ?どういうことだよ。」

天龍が速度を若干落とし、夕張に並んだ。

夕張「私たちは今回、円周上に直径となる様にスタートしたはずよね?」

手のひらに円を書き、指を1本立てた。そしてそこから今度は二本の指を開く。

夕張「偵察機の進行方向が私たちと同じなら、恐らく二方向に飛ばして索敵してるはず。だったら補足後に対応しやすいのは・・・。」

天龍「中央って訳か。」
279 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/20(月) 00:14:37.78 ID:BwJxYROk0
ー那珂サイドー

加賀「敵偵察機撃墜を確認。」

赤城「お見事です。」

那珂「その偵察機が新型装備なのかな?とりあえずこのまま前進でオッケー?」

那珂が振り返り確認すると赤城と加賀も目を合わせて頷きあった。

加賀「では、追加で出しますか?」

加賀が矢を数本束ねて手に取った。

那珂「うーん、そうだね〜。その方が早く終わっちゃうかな。」

加賀「鎧袖一触よ。早々に終わらせるわ。」

いうや否や、数本の矢が瞬く間に放たれ、「流星」となって飛び立った。
280 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/20(月) 00:15:40.53 ID:BwJxYROk0
ー提督サイドー

提督「行動の速さは流石だ。」

グラーフ「艦載機の扱いに関しては間違いなく最高水準だな。」

グラーフが腕を組み感心する。

提督「だが、今回は1つミスをしたな。」

そう言って提督がニヤッと笑った。
281 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/20(月) 00:16:20.30 ID:BwJxYROk0
ー天龍サイド

天龍が艤装から新たに数枚カードを引き、確認する。

天龍「なあ、これとこれを同時に使ってみるのはどうだ?」

夕張「これは・・・成る程、上手くやれば引っ掛けられるかもしれないわね。ならこれも組み合わせましょう。」

天龍「!・・・成る程。やってみるか。」

夕張と互いにニヤリとしながら、テーブルに1枚そしてテーブルの下にある隙間に2枚、カードを差し込んだ。
282 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/20(月) 00:17:32.01 ID:BwJxYROk0
ー那珂サイドー

赤城「先行していた偵察隊が相手を補足しました。正面です。」

加賀「位置を確認。後続の攻撃隊もすぐに到着するわ。」

那珂(・・・簡単すぎない?何か・・・違和感。)

ちらっと後ろを確認する。加賀と赤城も警戒心を高めているのが見て取れた。

赤城「偵察隊は距離そのまま、補足ギリギリの位置で旋回させます。後続が到着と同時に一度後退させましょう。」

加賀「ええ。会敵までおよそ30秒。攻撃隊、雷撃準備。」
283 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/20(月) 00:18:28.35 ID:BwJxYROk0
※ここからは一部、イメージでお送りします。

偵察機の妖精が天龍と夕張を双眼鏡で覗く。
2人が並走して前進していた。

赤妖精2「戦術的にみて少数を倒すには、退路を断ち集中砲火を浴びせた方が確実な戦果をあげられる。だが・・・いくら何でも相手が無防備すぎる。罠か・・・?」

青妖精1「そんな事は関係ない。俺が正義だ!」

赤妖精2「やれやれ・・・。ん・・・攻撃隊が到着だ。一度帰投する。」

後方から来る攻撃隊を確認し、「彩雲」が機首を返した。

青妖精1「なんだと!?クソッ・・・俺は卑怯者だ!」

赤妖精2「その機体では艦攻はできないだろ。」
284 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/20(月) 00:19:13.35 ID:BwJxYROk0
書き溜めはここまで。
次回、ついに戦闘開始。
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/20(月) 14:16:53.62 ID:rZBFfGBDO
>>273
ワルキューレかな?
286 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/03/13(月) 01:00:45.35 ID:V6dEb1JU0
>>285 その通りです。
個人的にこの曲は「モアイ戦艦」の印象が強いです。

ー天龍サイドー

夕張「見えた!敵編隊、数は・・・たくさん!天龍!」

天龍『おう!速攻魔法発動!』

その声に合わせるように、夕張の直ぐ上に浮いていた「九六式艦戦」が急上昇。そして空中で急激に数を増やした。

夕張「よし、これで相手の虚を衝けたね。」

グッと手を握る夕張。その隣で天龍は微動だにせず前を見ていた。
287 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/03/13(月) 01:01:57.00 ID:V6dEb1JU0
ー那珂サイドー

加賀「!?全機散開、緊急回避!」

加賀が声を荒げ、それに驚き那珂が振り返った。加賀も赤城も表情を厳しくしている。

赤城「やられましたね・・・。まさかこれだけの数を一瞬で展開するなんて。」

加賀「彼我の比はおよそ5対3。数的不利な上にこちらは雷撃機。相手が旧型でも長引くなら・・・。」

赤城「こちらも対空戦隊を出します。」

言うや否や、矢継ぎ早に放たれた矢が「烈風」となり、天へと駆け上がった。
その数は約30。決して多いとは言えない。

那珂「え・・・それだけ?相手はさっきの「流星」の数の倍近くいるんでしょ?」

赤城「だったら対等ね。その間に距離を詰めましょう。」

加賀「直接目視できる距離までは最低でも近付きたいわ。」

2人で頷き合い、船速をあげた。
288 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/03/13(月) 01:02:45.95 ID:V6dEb1JU0
ー提督サイドー

提督「本格的に空戦が始まったな。そろそろ互いに目視できる距離か?」

目の前の画面には、上空で飛び回る「流星」と「九六式艦戦」が映っていた。

機銃を悉く躱す「流星」。だが数の差は大きく、1つ、2つと数を減らしていく。

グラーフ「よく耐える。加賀の妖精達の練度の高さがよくわかるな。」

提督「当然だ。さぁ、そろそろ天龍も動くぞ。」
289 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/03/13(月) 01:03:34.36 ID:V6dEb1JU0
ー天龍サイドー

夕張「おっ、あれは「烈風」かな?じゃあそろそろ相手の艦隊も見えるかな?」

夕張が眺める先には30機ほどで編隊を組む戦闘機が見えた。

天龍『こっちは捕らえたぜ。奇襲をかける。』

夕張「ちょっ!?はやいよ!」

天龍『バレる前にやらねえと意味ねぇだろ。行くぞ。』

夕張の返事を聞くことなく、前方から砲撃音が聞こえた。
290 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/03/13(月) 01:06:57.69 ID:V6dEb1JU0
ー?ー

天龍が姿勢を低くし、波を立てないように前進している。だがその姿は他者からは見えない。完全に姿を消していた。
その後方上空では戦闘機が入り乱れていた。

夕張の隣にいた『天龍』は偽物である。

夕張『おっ、あれは「烈風」かな?じゃあそろそろ相手の艦隊も見えるかな?』

その天龍の上空を「烈風」が飛んで行く。

天龍「こっちは捕らえたぜ。奇襲をかける。」

正面には3人。ギリギリ射程内だ。

夕張『ちょっ!?はやいよ!』

夕張の制止する声を無視し、14センチ単装砲を構えた。

天龍「バレる前にやらねえと意味ねぇだろ。行くぞ。」

目標は先頭を進む那珂。狙いを定め、砲弾を放つ。





瞬間。





那珂と視線が交わった。
291 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/03/13(月) 01:07:51.98 ID:V6dEb1JU0
ー那珂サイドー

那珂(そろそろ見えるかな?)

ジッと目を凝らす。辛うじて「烈風」が点で見えるかもしれないぐらいの距離である。

那珂(う〜ん、見えない。けど・・・見られている?)

視線を感じる方。そこにもまだ何も見えない。

那珂(でも、気のせいじゃないよねー。)

思わず口元が緩む。肌をピリピリと刺す感覚。

那珂(ほら、やっぱりいた。)

視線を正面に移す。その瞬間、突然天龍が姿を現した。そして間をおかずに砲撃音が鳴り響いた。
292 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/03/13(月) 01:08:50.96 ID:V6dEb1JU0
那珂「いやーん!あっぶなーい!」

那珂が声を上げ、伏せた。
砲弾は頭スレスレを通り、後方に並ぶ赤城と加賀の間で水柱をあげた。

赤城「!?奇襲!」

加賀「近い・・・。なぜこの距離まで気付かない!」

那珂「突然現れたんだもん、わかんないよー!」

顔を上げながら那珂が叫んだ。その間にも天龍が距離を詰めて来ているのが見える。
それを確認し、赤城と加賀が左右へと開いた。
293 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/03/13(月) 01:09:50.73 ID:V6dEb1JU0
ー提督サイドー

提督「天龍の有効射程範囲に入ったな。」

龍田「ここから天龍ちゃんなら、もっと距離を詰めるわよ。」

提督「だろうな。」

テーブル上の駒を進め、中央で2つを並べた。
グラーフが腕を組みながら微妙な表情をする。

グラーフ「白兵戦か?ナンセンスだな。」

提督「普通なら、な。だからこそ面白いものが見れるぞ。」
294 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/03/13(月) 01:11:06.59 ID:V6dEb1JU0
目が合った瞬間から、天龍の冷や汗が止まらない。

天龍(『光学迷彩アーマー』が看破された?ありえねぇだろ、おい!!こいつは・・・ヤバい!)

焦る。だがそれと同時に高揚する。そして思わず口角が上がる。
そのまま速度を上げながら砲撃すると同時に新たに1枚のカードを引いた。

那珂「ちょ、近い近い!」

那珂が体勢を立て直しながら前を向き、2発目、3発目と撃ち出される砲撃を慌てながら躱す。

天龍「普通に避けるなよ。だが、こいつはどうだ!」

カードをセットする。突然火の玉が現れ、那珂へと襲い掛かった。

天龍「くらえ、『フレイムボール』!」

そしてそれに合わせて単装砲も放った。

2つがほぼ同時に那珂を襲う。
295 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/03/13(月) 01:12:01.09 ID:V6dEb1JU0
那珂「あっつ・・・ッ!?」

上空から襲いかかる火の玉をギリギリで躱す。だがその熱量に思わず顔を覆う。
その腕の隙間から見える砲弾。

那珂(あ・・・これは躱せない・・・。)

刹那の思考。咄嗟に体が動く。それは自身の意思をも上回る速度、恐らく防衛本能の一種なのであろう。

完全に無意識での動き。

着弾する筈の砲弾を腕を捻り回すことで方向をそらし、はるか後方へと弾き飛ばす。
本当に微々たる動作と労力で砲弾を去なし、受ける被害をゼロにした。

那珂(・・・やちゃった。)(・ω<)
296 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/03/13(月) 01:13:24.76 ID:V6dEb1JU0
ー提督サイドー

雷「あの動き・・・まさか・・・。」

提督の後ろで雷が目を見開く。

電「本物を見るのは初めてなのです・・・。」

提督の後ろで電が口を押さえ驚く。

提督「知っているのか雷電。」

提督が振り返り、2人にたずねた。

グラーフ「というか、何処から湧いて出て来た。」

電「あの動きは、まさしく流水岩砕拳。」

電「少し前に引退してしまった武道家、銀牙さんの使っていた武術なのです!」

グラーフ「私のツッコミは無視か。」
297 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/03/13(月) 01:14:16.56 ID:V6dEb1JU0
書き溜めはここまで。
那珂さんはきっと無数の武術を習得済みだと思うんだ。
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/13(月) 11:36:00.85 ID:iPNpsPdoo
グラップラー那珂
299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/12(水) 08:17:22.45 ID:wdDPOXfo0
300 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/04/17(月) 00:36:08.71 ID:8v9TBcVI0
ー夕張サイドー

夕張「天龍、急いで!こっち、もうもたないよ!!」小破

対空機銃を斉射しながら夕張が声を荒げた。
同時にすぐ足元の海面が破裂し白煙を上げた。

上空では天龍の展開した戦闘機が次々堕とされ、余裕のできた「流星」達が雷撃を始めていた。

天龍『ウルセェ、わかってる!なんとかもたせろ!』

夕張「そんな無理言うな〜!!」中破
301 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/04/17(月) 00:36:52.55 ID:8v9TBcVI0
ー天龍・那珂サイドー

天龍「クソッ、こうなりゃ奥の手だ!」

天龍が新たなカードを一枚手に取った。
正面には那珂、その左右に大きく展開した赤城と加賀がこちらを見ている。

不幸中の幸いなのは一航戦2人がこちらの様子を伺うだけで、手を出す様子がない事だろう。

天龍(こちらを警戒してだろうが、だったら今やるしか無い!)

天龍「こいつで勝負だ!九六式艦戦を生贄・・・じゃなくてリリース!」
302 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/04/17(月) 00:37:26.20 ID:8v9TBcVI0
ー夕張サイドー

夕張「・・・は?」

天龍の声と同時に夕張の上空で戦闘中の「九六式艦戦」一斉に姿を消した。
わずかな沈黙。だが直ぐに冷静になった「流星」の雷撃が殺到した。

夕張「不幸だああああぁぁ!!」大破
303 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/04/17(月) 00:38:15.60 ID:8v9TBcVI0
ー天龍・那珂サイドー

天龍「こいつを召喚!一気に行くぜ!」

那珂「わぁ、かわいい!」

天龍の隣に巨大な亀が現れた。その背中にある大型の射出機へと跳び乗る。

天龍「はああぁぁぁ!」

一気に射出された天龍。那珂との距離を高速で詰め、その勢いのまま手にした刀で斬りかかった。

那珂(速い・・・けどそれじゃあ私には届かないよ・・・。)

振り下ろされた刀を一歩後ろに下げ、躱す。

那珂の前髪の先が数本散った。

空振った刀が海面を斬り裂き、数メートル先まで水柱をあげる。

その水柱が散る前に天龍は意識を失った。
304 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/04/17(月) 00:39:01.10 ID:8v9TBcVI0
ー提督サイドー

提督「勝負ありだな。」

提督が小さく溜息をつきながら椅子に深く背を預けた。

グラーフ「水柱が上がったと思ったら天龍が気を失っていて、那珂に抱えられていた。何を言っているのかわからないと思うが、私にもわからない。」

雷「あまりにも速い手刀・・・。」
電「電達で無いと見逃してしまうのです。」

雷と電が驚いている隣で龍田が地図を片付けた。

提督「皆、ご苦労だったな。那珂はすまないがそのまま天龍を船渠まで頼む。他の物はこっちに。」

一同「「「「了解。」」」」
305 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/04/17(月) 00:39:52.82 ID:8v9TBcVI0
10分程で全員が船着場にたどり着いた。

提督「さて、夕張。入渠せずに大丈夫か?」

夕張「あー、はい。多少キツいですが大丈夫です。」

多少薄汚れた顔で乾いた笑いで頭をかいた。

加賀「それで、あの新しい艤装なのですが、どういう機能なのかしら?」

赤城「よくわからない効果が一杯で楽しそうですよ。」

疑問を浮かべる加賀と、その隣で赤城は楽しそうに笑った。

提督「リリースが必要なところまで再現したらダメだろ。」

夕張「ですよねー。身を以て感じました。」

グラーフ「実戦なら沈んでいたな。」

資材の消費は減ったものの、友軍への危険性を考慮し、今回も不採用となった。



後日、陸上でバイクに乗った天龍と夕張がカードで戦うのは別の話。
306 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/04/17(月) 00:40:25.64 ID:8v9TBcVI0
安価 下1と2

1北上さんの特別演習
2グラーフの鎮守府探索
3那珂ちゃんの休日
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/17(月) 01:42:27.65 ID:svDho4/Ro
1
308 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/17(月) 17:35:37.59 ID:uRzMSJMDO
3 ナカチャーン
309 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/04/18(火) 01:32:15.91 ID:4QPc5VDV0
天龍の演習から数日後。

とある上空をヘリコプターが飛んでいた。

パイロット「そろそろ目的地上空です。用意はいいですか?」

操縦席のパイロットが後ろを振り向き訪ねた。そこには落下傘を背中につけた娘が2人。
そのうちの片方がヘラヘラ笑いながら小さく手を振った。

北上「あー大丈夫大丈夫。いつでもいけるよー。」

ニコッとしたパイロットが前を向くと北上はあからさまに肩を落とした。

北上「まさか特別演習が陸上の、しかも山ん中とはねぇ・・・。これは流石に予想外かな〜。」


安価下1
北上以外の球磨型から1人
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/18(火) 07:10:10.78 ID:XIeJ4iCVO
多摩
311 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/04/25(火) 02:06:04.84 ID:l5XLHfhR0
多摩「自業自得にゃ。しょうがにゃい。」(=-ω-=)

ジト目で外を眺めた多摩が小さくため息を吐いた。

北上「で、多摩姉さんはなにやらかしたのさ?」

多摩「炬燵撤去反対運動で最後まで抵抗し続けたにゃ。結局片付けられた上にこの罰は酷すぎると思うにゃ。」(=;ω;=)

北上「いやいや、もうすぐ5月だよ。炬燵はいくらなんんでも暑いって。」

多摩「でも私物にまで手を出すのは横暴にゃ。」(=`・ω・´=)

笑いながら手を振る北上に多摩がキッと睨みを効かせる。なんやかんや揉めているところでヘリが速度を落とし、空中で動きを止めた。
312 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/04/25(火) 02:07:03.00 ID:l5XLHfhR0
パイロット「降下地点へとつきました。よろしくお願いいたします。」

北上「あーはいはい。了解っと。それじゃあ行きますかね。」

多摩「しょうがないにゃぁ・・・。」(=・x・=)

パイロットに声をかけられた2人はそれぞれ左右の扉を開け、なんの躊躇もなく飛び降りた。

下は盆地なのか起伏の少ない森林、所々伐採され少し広めの平野が見える。
降下した2人は地面と垂直な姿勢でどんどん加速。その間も視線を四方八方へと走らせた。

北上「多摩姉さんなんか見える?」

多摩「うーん、流石に木が邪魔でよく見えにゃいにゃ。」(=-ω-=)

耳につけた小型の通信機で互いに会話をする。ある程度地面が近付き、同時に落下傘を開いた。
313 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/04/25(火) 02:07:30.58 ID:l5XLHfhR0
降下地点から少し離れた場所。

船木「こちら船木。目標の降下を確認。」

大樹に登り、太い枝の上から双眼鏡を覗いていた男が耳につけた通信機に伝えた。

結城「了解。本部、指示をお願いします。」

その木下には男が2人。それぞれ手にはアサルトライフル(ガスガンなので殺傷力は一応ない)を手にしていた。

本部『こちら本部。了解した。他のチームと合流してくれ。』

結城「ストーム2了解。行くぞ。」

船木「了解。」
戸田「了解。」

木から降りた男が背中のスナイパーライフル(こちらもガスガン)を構え、結城を先頭に歩き出した。
314 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/04/25(火) 02:08:01.72 ID:l5XLHfhR0
速度を落とした2人は相変わらず視線を左右へと走らせる。

多摩「!左手方向、木の所が一瞬光ったにゃ。多分双眼鏡にゃ。」(=oωo=)

北上「お、流石多摩姉さん。おっけー、それじゃ『狩り』をはじめましょうか。」

互いに目を合わせニヤッとした2人は落下傘を背中から取り外した。
315 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/04/25(火) 02:09:00.14 ID:l5XLHfhR0
推奨BGM イースY MIGHTY OBSTACLE

高さ的には恐らくビルの3階〜4階ほどある。勢いと着地の衝撃は決して少ないくない。

2人は地面に接すると同時に足から崩れ落ちる様に転がった。5点着地転回法である。そしてスッと立ち上がり、そのまま同じ方向へと駆け出した。

多摩「目標数は分隊で5つだったかにゃ?」(=・x・=)

北上「参加兵数は50人だっけ?じゃあそんなもんか。」

走りながら確認し、腰につけた小さなポーチから多摩はナイフ(ゴム製だが当たると痛い)、北上はロングマガジンのハンドガン(やはりガスガン)を取り出し、コッキングした。

多摩「・・・左前方およそ10メートル。」

北上「了解。ここからは二手だね。任されたよ。」

北上が急に止まり、そのまま進む多摩と互いにハイタッチすると同時に方向を変え、走り出した。
316 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/04/25(火) 02:09:56.58 ID:l5XLHfhR0
陸戦兵「!?気付かれた!攻撃!」

声と同時に男が4人飛び出し、複数の音と共にBB弾が大量に放たれた。だがそれを北上は大きく地面を蹴り、横へ跳びながら回転。そのままハンドガンを2発、地面に着地すると同時にさらに1発。
兵士が撃たれた順に止まって手を挙げていく。その動作よりも速く、一気に距離を詰め、先頭にいた兵のアサルトライフルを蹴り上げた。

北上「ほい、おしまい。焦って前に出たらダメだよ。こういう時はやられない事を最優先にしなきゃ。」ニコッ

落ちてくるアサルトライフルを手に取り、相手の眉間に当てたハンドガンの引き金を引いた。

陸戦兵「あ・・・ありがとうございました・・・。」



陸戦兵4名 リタイア
317 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/04/25(火) 02:11:05.30 ID:l5XLHfhR0
北上と離れた多摩がそのまま走る。

多摩(こっちは6人・・・あっちを引き受けたほうが楽だったかにゃ。)(=′・ω・`=)

内心愚痴りながら左手にもナイフを握り、それを左に投げた。

陸戦兵「痛ッ!?」

そのまま投げた茂みへと飛び込む。

陸戦兵「え、あ、ちょ!?」
陸戦兵「う、うわあぁぁ!!」

目の前の兵はナイフが当たったので無視し、すぐ隣にいた男の襟を掴んで引っ張った。
反対側の男は焦り、ライフルを向け引き金を引くが、当然のように襟をつかんだ男を盾にする。

陸戦兵「痛い痛い!この距離は痛い!!」

慌てて引き金から指を離す。思わず一歩後退ってしまった所で顎を蹴り上げられた。

陸戦兵「クソッ!」
倒された3人より少しだけ後ろにいた3人が同時にライフルを構える。だがそれより速く多摩が地面を蹴り、姿を消した。

陸戦兵「は、速ッ・・・。」

言い切る前に腹に足が食い込む。思わず前のめりにうずくまった所を今度は横から蹴られた。そのまま3人絡まる様に転倒。

陸戦兵「くっ、重い・・・。」

なんとか立ち上がった2人の首元には後ろから締める様にナイフが突きつけられていた。

多摩「固まって行動しすぎじゃ。互いにカバーできる範囲ギリギリで周囲を警戒しにゃいと一網打尽にゃよ?」(=^x^=)

陸戦兵「は、はい・・・。ありがとうございました・・・。」



陸戦兵 6名 リタイア
318 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/04/25(火) 02:11:52.75 ID:l5XLHfhR0
書き溜めはここまで。
陸戦兵が弱い訳じゃないよ。2人が異常なだけ。
319 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 21:35:22.42 ID:kqeYLfpHO
両扉が開くヘリ、H-60系ではなくH-4系かな?
320 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/05/04(木) 23:29:18.72 ID:hNvtARDl0
北上『4人クリアー。そっちは?』

多摩「こっち6人やったにゃ。合流するにゃ?」(=・x・=)?

周りを警戒しながら耳の通信機で会話をする。多摩の視線は降下中に見た木の方へ向けたままである。

北上『それじゃあ直ぐに追いつくからそのまま先行していいよ〜。』

多摩「了解。ゆっくり行くから速く楽させてほしいにゃ。」(=-ω-=)

通信を切り、小さく溜息を吐いた多摩が左の腕につけていた小型の端末を操作する。

多摩(さてさて・・・彼奴らとやり合うのは骨が折れるにゃが・・・。久しぶりに本気になろうかにゃ・・・。)
321 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/05/04(木) 23:29:59.63 ID:hNvtARDl0
多摩が溜息をついていた頃とほぼ同時刻。

1「こちらノーブルワン。本部、作戦行動開始の許可を。」

全身に濃い青色の鎧を纏った男がヘルメットを被りながら通信した。

本部『まだだノーブルチーム。君たちが動くのはもう少しあとだ。』

4「モタモタしてたら終わっちまうぜリーダー。こちら側の全滅でな。」

大きなドクロマークのヘルメットをを被った男が肩をすくめた。

3「それは俺たちも含まれてるのか?勘弁してくれよ。」

その隣では若そうな男が軽口を叩きながらスナイパーライフルを覗き込んでいた。

1「いつもと違い、今回は3人のチームだ。その可能性も否定できん。なにせ相手が彼女ではな。」

リーダーと呼ばれた男がライフルを手にしながら苦笑いした。
322 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/05/04(木) 23:30:44.24 ID:hNvtARDl0
その数分後。

陸戦兵「ハァ・・・ハァ・・・。」

全身から汗を流しながら走る。側にいたはずの仲間は既に1人も残っていない。

陸戦兵「本部ッ・・・本部ッ!!」

本部『こちら本部。どうした。』

陸戦兵「相手は2人じゃなかったのか!救援を!!!」

本部『なに?よく聞こえないぞ!』

大きな岩に背を当て、激しく左右を確認。そしてまた走り出す。

陸戦兵「救援を!このままじゃあやられる!」

本部『よく聞こえない!クソッ、通信妨害か!』

陸戦兵「そんな・・・無茶苦茶だ、撤退します!」

本部『ダメだ、撤退は許されない。そのまま演習を続けろ。』

陸戦兵「聞こえてるじゃないか!!どういうことだ!」

本部『なんだ?よく聞こえないぞ!?』
323 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/05/04(木) 23:31:58.32 ID:hNvtARDl0
陸戦兵「あーもう!!」

怒鳴り、耳につけていた通信機を叩きつけた。

陸戦兵「艦娘2人だけじゃないのかよぉ!!」

再度怒鳴り声をあげた所で全身を鋭い殺気が突き抜けた。一瞬で全身の体温が奪われて行くのがわかる。

陸戦兵「うわあぁぁぁ!!」

振り返り、手にしていたアサルトライフルを連射する。だがその先には誰もいない。
困惑する陸戦兵の意識はそこで途切れた。


次に彼が目を覚ましたのは知らない天井を見上げる白いベッドの上だった。

陸戦兵 6名 リタイア

安価下1
潜水艦、駆逐艦以外の艦娘(海外艦含む)または深海棲艦またはドイツ、イタリア、アメリカ、イギリス、日本の提督のうちから1人。
324 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/05(金) 09:42:11.49 ID:+G7vPtXDO
ポーラ
325 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/05/29(月) 01:16:11.05 ID:ibSihYt30
ポーラ「ふ・・・ふふ・・・うふふふふ〜。」

倒れる陸戦兵を見下ろしながらポーラが笑う。

ポーラ「この演習を最後まで勝ち残れば・・・。


提督から1929年のヴィンテージワインが貰えるんですよ〜!」

天を見上げ、両手を伸ばしながら目を輝かせ声をあげた。

ポーラ「本当は30年が良かったんですが、しょうがないですね。待っててくださいねザラ姉さま〜!ポーラ、頑張っちゃいますからね〜〜!!」

両手をグッと握りしめ、そのまま歩き出した。

幸か不幸か、その方向は北上達がいる方向だった。
326 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/05/29(月) 01:16:53.90 ID:ibSihYt30
北上(多摩姉さんはーっと。)

北上「追いついた。どう?手応えは。」

若干ペースを落として走っていた多摩に追いつき、隣を走りながら北上が声をかけた。

多摩「まだまだ動きが若いにゃ。今後に期待にゃね。追加で3人片付けてしまったにゃ。」(=-x-=)ヤレヤレ

北上「おー、流石多摩姉さん。こっちも4人シメといたよ。」

多摩「ただ・・・。」

多摩が表情を厳しくし、正面を見据えた。小さな茂みを飛び越えた先は少し広い平野になっていた。

多摩「彼らは・・・強敵にゃ。」

北上「そうみたいだね。」
327 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/05/29(月) 01:17:27.34 ID:ibSihYt30
1「久しいな、キャット。」

青い鎧いの男が背中のライフルを手にしながら声をかけてきた。その隣には髑髏の模様が入ったヘルメットの男もいる。

多摩「もうノーブルツーじゃないからその名で呼ばないでほしいにゃ。」(=・ω-=)

若干呆れながらナイフを左手に持ち直し、右手にはハンドガンをとった。

北上「あれ、知り合い?」

多摩「昔いた部隊のチームメイトにゃ。今日は後釜のキャットは不在にゃ?」

1「ああ、今回は3人だけだ。・・・他のチームも来たから6人になったがな。」

そう言ってチラッと左へと視線を向ける。そちらの茂みからも3人の兵士が茂みを越えて姿を見せた。
328 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/05/29(月) 01:18:08.43 ID:ibSihYt30
結城「うわっ・・・とんでもない所に出くわしてしまったか?」

船木「ノ、ノーブルチームっすか。」

戸田「これは心強い。今から傘下に入ります。」

多摩と北上を警戒しながら敬礼をする3人。
それを見て鎧いの男は頷いた。

1「では、始めようか。本部、ターゲットと接触。戦闘に入ります。」

4「こりゃ、気が抜けないな。」

言うと同時にライフルとショットガンをそれぞれ構えた。

結城「ストーム2了解!3は下がれ、4は援護!」

船木・戸田「「了解!」」

合図と共に結城と戸田が前へと走り、船木がスナイパーを構えて茂みへと下がっていった。
329 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/05/29(月) 01:18:58.63 ID:ibSihYt30
その動きと合わせるように北上と多摩は同時に前へと駆け出した。

1「エミール!」

4「わかってる!」

エミールと呼ばれた男がショットガンを放つと同時に2人も駆け出した。ストームチームと合流するためだ。

1「ストームチーム、弾幕を貼れ、狙わなくて良い!」

結城・戸田「「了解!」」

2人が命令を受け、アサルトライフルを連射した。それを受けた北上は大きく後ろへ飛び、一度距離を開く。逆に多摩は姿勢をギリギリまで低くし、加速した。

4「チッ!相変わらずの瞬発力だなクソッタレ!」

多摩「褒め言葉として貰っとくにゃ。」
330 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/05/29(月) 01:20:36.44 ID:ibSihYt30
鋭く突き刺すような視線のまま、無表情でエミールと呼ばれた男に追いついた。
向けられたショットガンをナイフの柄で弾き上げ、右手のハンドガンを向ける。

ここで多摩が僅かに姿勢を浮かせてしまった。弾いた手に手応えが無さ過ぎたのだ。

エミールと呼ばれた男はショットガンを弾かれると感じた瞬間、躊躇なく手放した。そして右肩のナイフを抜き、斬りかかる。

多摩が上半身を大きく後ろへ仰け反らす。切っ先が前髪を掠めた。
そのまま空中で体を回転させ、エミールの胸を蹴る。その蹴りを受け、二歩後ろへ下り姿勢を崩した相手に再度ハンドガンを構えたが。

多摩「!?」

着地すると同時に地面を蹴り、下がる。
多摩のいた地面を弾が跳ねた。

多摩「もう1人はジュンにゃ?」

4「ああ。だが、卑怯と言わないよな?援護ありだが、俺はここであんたを超える。」

腰を落とし、ナイフを構えた。

多摩「いい感じだにゃ。精々楽しませて欲しいにゃ。」

同じ様に腰を落とし、こちらはナイフとハンドガンを構え、僅かだが口角が上がった様に見えた。
331 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/05/29(月) 01:22:04.79 ID:ibSihYt30
後ろへと下がった北上は青い鎧いの男へハンドガンを撃ちながら多摩を背にする様に間に入った。

1「ストーム2と3は相手の右へまわり込め。決して近付くな。」

そう言って手にしたアサルトライフルを捨て、ハンドガンを手にした。

北上が地面を大きく蹴り、距離を詰め、ハンドガンを向けるが、男も大きく踏み込み、ハンドガンを向ける。

北上「へぇ・・・。アタシとおんなじ様なスタイルでやろうって?」

互いに相手の腕を掴み、狙いを逸らさせる形で動きを止めた。

1「瞬発力では勝てそうにないんでな。撃ち合いは諦めた。だが、援護ありの接近戦ならあるいは・・・な。」

言うと同時に2人が離れた。

北上「気に入ったよ。お兄さんのお名前は?」

右からくる弾幕を躱わしながら、北上がたずねだ。

1「コードネームでは失礼か。カーターだ。」

そう名乗り、ハンドガンを撃ちながら北上へ向かって走る。

北上「いいね〜。それじゃあ楽しく行こうか。」
332 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/05/29(月) 01:23:01.17 ID:ibSihYt30
北上らが撃ち合っている所を見下ろせる様に、少し高めの岩の上に船木はいた。

船木「よし、ここなら狙える。」

膝をつき、スナイパーを構えた所でゾクッとした。

船木「なんだ、これは・・・!」

ゆっくり、怯える様に後ろを振り向く。そこには1人の少女が笑顔で立っていた。

船木「み、みんな逃げろ・・・!」

慌てて声を出す。だが、スナイプする体制に入っていた船木の通信機はオフになっていた。

船木「あ・・・あ・・・うわああぁぁぁ!!」
333 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/05/29(月) 01:25:00.91 ID:ibSihYt30
叫び声に、戦場が一瞬で時を止めた。
そして全員の視線が声の方に集まる。

ポーラ「ふ・・・うふふふふ・・・。」

茂みから船木の襟を掴んで引きずる様にポーラが現れた。

ポーラ「ここに残っている兵士が最後ですね〜。さぁ、ラストスパート!ポーラ、頑張っちゃいますよー!」

両手をグッと握る。襟を掴まれたままの船木が、グェッと小さく唸った。

結城「ふ、船木ー!」

北上「えー・・・他の娘が参加してるなんて聞いてないよー。」

1「そちらの味方ではない・・・が、こちらの味方でも無さそうだな。」

4「ハッ!おもしれぇ。派手にいこうじゃねぇか!」

多摩(面倒事はごめんにゃ)(=-x-=)

3(あれ・・・?これ、このまま隠れてた方が生き残れるんじゃないか?)
334 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/05/29(月) 01:27:47.38 ID:ibSihYt30
書き溜めはここまで。

陸上での戦闘力
一般軍人<駆逐艦<潜水艦≒特殊部隊<軽巡洋艦≒提督<重巡洋艦<空母<戦艦
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/29(木) 19:25:10.74 ID:YMya0dpyO
保守
336 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/07/09(日) 23:49:28.13 ID:JWrsIHZW0
気付いたら一月経ってた。何を言って(ry
337 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/07/09(日) 23:50:12.64 ID:JWrsIHZW0
ローラが地面を蹴る。大地がひび割れ、一足飛びでカーターへと距離を詰めた。

1「クッ・・・!」

掴みかかろうとする腕をハンドガンの底で叩くが全く怯まない。体を無理やりひねって躱した所で大きく後ろへと跳ぶ。
それに合わせるように結城と戸田がライフルを放った。

ローラ(あらら〜?今までの人達とはちょっと違うんですね・・・。ポーラ、なんだか楽しくなってきました!)

その弾幕を躱しながら、今度は北上へと向かう。先と同様に掴みかかろうと手を伸ばすが、北上はそれを半歩斜め前に足を踏み出して躱す。

北上(見かけより速いかな・・・。あぁ、ウザい。)

内心で毒吐きながらも、笑みは隠しきれない。
そのまま姿勢を落として足を払う。辛うじてそれを飛び躱したポーラは姿勢を崩して地面を転がる。スッと立ち上がった先にいたのは。

戸田(・・・あ・・・俺、死んだな・・・。)
338 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/07/09(日) 23:50:41.21 ID:JWrsIHZW0
咄嗟にライフルを向けようとするが、それより早くポーラが動いた。

向けられた銃身を相手の喉元に向けて突き出した右手で横にそらし、そのまま回るように相手の後ろを取る。
左手を相手の肩から首辺りにかけ、それを下へと落とす。崩れた相手の重心の下に自身の腰を入れ、そのまま投げた。

視界が一瞬で2、3回程回ったように感じた瞬間、背中に衝撃を受け、そのまま戸田は意識を断ち切られた。
339 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/07/09(日) 23:51:41.43 ID:JWrsIHZW0
1「なんだあの動きは!?」

北上(確か似たようなのを提督が使ってた気がする。)

ポーラ「ふっふっふ・・・これは日本の提督さんに教わったAIKIジュージュツですよ〜。さぁ、まだまだ行きますよ〜。」

ポーラがまたカーターへと手を伸ばす。
その腕を一歩下がり、重心を落として上へと蹴り上げた。
目を見開き驚くポーラ。

カーターが手にしたハンドガンを顔へと突きつけるが、ポーラはそれを首を傾けて躱す。そしてそのまま肩から体当たりをした。

カーター「グッ!?」

衝撃を僅かにだが後ろに飛ぶ事で弱めたものの、勢い良く転がる。
そのカーターと入れ替わるように北上が飛び込んだ。飛び上がりながら体を捻り、横蹴りを浴びせる。辛うじて腕をクロスし防ぐが地面に二本の線を描きながら後ろへと下げられる。

ポーラ(重い・・・。あれ?この娘もしかしてポーラより強く無いですか〜!?)

冷や汗を流しながら腕の隙間から北上を見る。蹴った反動を空中で去なし、地面へと降りると同時に後ろへ跳んだ。着地したところを数発の弾が通過する。そちらへとハンドガンを数発、北上が放つ。

結城「危な!?」

咄嗟に地面へと伏せて結城が躱した。
340 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/07/09(日) 23:52:20.88 ID:JWrsIHZW0
北上(さーて、どうしたものかねぇ。)

トントンと軽く跳ねながら視線を向ける。
クロスした腕を解いたポーラ。ゆっくりと起き上がるカーター。片膝をついたままライフルを構える結城。

北上(個人での純粋な戦闘力なら、あの海外艦の娘が恐らく私より上。優位に立てるのは単純な実戦経験の差・・・かな。)

北上の見解通り、重巡と軽巡としての戦力差は大きい。だがやりあえない訳では無い。それを経験則で理解していた。事実、2人の戦力はほぼ互角である。

北上(改二を使っていいなら楽なんだけどなぁ。)

今回の演習は一般の軍人相手という事で、改二の使用は禁止となっている。

北上(問題は・・・。)

2人の男へと視線を向ける。
恐らく北上と同じ考えに至ったのだろう。ハンドガンを構える。

カーター「敵の敵は・・・。」

北上「味方にはならないよね。」

カーター(ジュンとエミールの援護は期待できん。こちらは2人。ならば、相手が互いに消耗した後の漁夫の利を得る。)

ハンドガンを構えながら結城へと寄る。

カーター「まだやれるな?」

結城「援護程度なら。」
341 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/07/09(日) 23:53:53.11 ID:JWrsIHZW0
多摩が左手のナイフを突き出す。エミールがそれを手にしたナイフで弾く。それを互いに数度繰り返す。

多摩「!」

突き出されたエミールのナイフを弾くと同時に多摩が首を傾けた。頬を弾が掠める。
狙撃がきた方へとハンドガンを数発発射するが、当たった気配はない。

その隙を狙ってエミールがナイフを横に薙ぐ。多摩のナイフを弾き上げた。それと同時に多摩がエミールの手を蹴る。今度はエミールのナイフが弾き上げられた。

互いに一歩下がり、多摩はエミールの、エミールは多摩のナイフを取り、再度互いに斬りかかる。

鍔迫り合い、向けられたハンドガンを掴み、さらに額をぶつけ合う。

多摩「相変わらず攻撃的にゃね。」

無表情で呟く。

エミール「どっかの誰かに似たんでな。」

声を荒げた。そのままハンドガンを握り潰す。

多摩「それ、ウチの備品にゃ。ちゃんと弁償しにゃよ。」

壊れたハンドガンを手放し、腕を掴む。

エミール「!?しまっ!!」

足を払われ、姿勢が崩れたエミールへと飛び上がり、腕を極めながら首へと両足で顔を挟むように蹴った。そしてそのまま地面へと押さえつける。エミールの意識が完全に切り取られた。

多摩「餞別にゃ。これで多摩の演習は終わり。お疲れ様にゃ。」(=^x^=)

そう言って多摩は笑顔で白旗を立てた。
342 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/07/09(日) 23:55:00.70 ID:JWrsIHZW0
書き溜めはこれだけしかないorz

一応お仕事のピークは去ったんで、次回は一月は開かないはず。
343 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/10(月) 04:52:38.10 ID:1vitUfRq0
おつ
344 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/08/02(水) 00:44:55.15 ID:tExonLAN0
北上「は?チョット多摩姉さん!」

多摩「どうせあと少しで終わりにゃ。あとはよろしく。」(=-ω-=)

気を失っているエミールを引き摺り、木の陰に座り込んだ。

カーター「(チャンスだ。)ジュン、行けるか?」

ジュン『当然です。やってやりましょう。』

返事を聞くと同時にカーターが北上へと駆け出した。それを見たポーラも北上へと駆け出す。

北上「あーもう!」
345 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/08/02(水) 00:45:55.62 ID:tExonLAN0
北上がハンドガンをポーラへ向けて数発放つ。それを躱す為に速度が落ちた。その隙にカーターへと回し蹴りを放つ。
しゃがみ、蹴りを躱したカーターが北上の足を払うが、逆にその足を踏まれて抑えられた。

カーター「グッ!」

痛みをこらえ、ハンドガンを向ける。だがそれを手で抑えられ、逆にハンドガンを突きつけられた。
だがその引き金を引く前にポーラが走りこむ。察した北上が後ろへと飛び下がる。

目標を失ったポーラがカーターへと狙いを変えるが、その前に放たられた結城とジュンの射撃を躱す為に一歩、大きく下がった。目前を銃弾がかすめて行く。

北上とポーラが下がった事で自由になったカーターが地面を大きく叩き、その反動でポーラを蹴り上げた。だがその蹴りは片手で防がれてしまう。

そのまま蹴った反動で反転し、ハンドガンをポーラへ向けて引き金を引く。


だが鈍い音だ響き、弾は打ち出されなかった。
346 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/08/02(水) 00:46:40.85 ID:tExonLAN0
カーター(ジャムった!?これだから演習用は!!)

ハンドガンを放り投げ、ポーラへと拳を打ち出す。先の動きから考えるに、ポーラは関節技を多用する傾向がある。
カーターは踵を浮かしてステップを踏みながら素早く拳を差し引きした。

ポーラ(アウトボクサースタイルですか。ちょーっと厄介ですかー?)

辛うじてその拳を裁く。なんとか掴もうとするが、軽やかなステップに重巡のポーラではギリギリついていけない。

カーター(だが、このままでは!)

焦るカーター。その援護に結城がライフルを構えるが。

北上「残念、無念ってね。」

結城「!?」

いつの間にか間合いに入った北上が顳?に当てたハンドガンの引き金を引いた。
347 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/08/02(水) 00:47:45.56 ID:tExonLAN0
カーター「クッ!?」

焦るカーター。だが動きは緩めない。互いに打撃を打ち合う2人に間に北上も飛び込んだ。

北上が向けるハンドガンをポーラが捌く。

カーターが繰り出す拳を北上が身体をそらして躱す。

ポーラが掴もうと腕を伸ばすがその前にカーターが引く。

数秒続く均衡は直ぐに崩れた。

カーター「!?」

カーターが痛みに足を崩した。北上に踏まれた側である。そこへ北上がハンドガンを向ける。なんとかそれを拳で打ち弾いたが、そのまま膝をついてしまった。
チャンスとばかりにポーラが掴もうと腕を伸ばすがその顔へ、北上の足蹴りが伸びる。前髪を掠めたが、ポーラが止まった。

北上「取った。」

そのままで飛び上がり、崩れたカーターの膝を踏み台にし、膝を顔へと打ち込んだ。
348 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/08/02(水) 00:50:00.64 ID:tExonLAN0
頭部のメットが軋む。砕けはしないが、僅かに亀裂が入り、カーターはそのまま意識を失った。

着地した北上を背後からポーラが掴んだ。そして地面へと叩きつける。
なんとか受け身をとり、仰向けになった北上の襟をしめるようにポーラが抑え込む。

ポーラ「やりましたよ!これでポーラの勝ちでー」
北上「では無いよ。引き分けかな。」

北上がポーラの腕を掴んだ。ポーラがハッとした時には既に手遅れ。茂みからの狙撃がポーラの頭部を撃ち抜いた。

北上「はい、おしまい。」

笑顔で北上も白旗を出した。

ジュン「マジで生き残っちまったぜ!?」
349 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/08/02(水) 00:51:00.48 ID:tExonLAN0
書き溜めはここまで。
次回はやっと那珂ちゃんの休日。
350 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/02(水) 08:24:54.04 ID:le+BC4TN0
おつおつ
351 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/09/02(土) 11:33:03.58 ID:eOjftv3k0
那珂「ふぁ〜。」

ベッドから起き上がり、グッと体を伸ばす。

今日もいい天気かな〜。
隣のベッドでは神通お姉ちゃんが規則正しい寝息を立てている。私の上のベッドは空っぽ。川内お姉ちゃんは今日も夜戦かな?

那珂「さてと・・・お姉ちゃんを起こさないように出ないとね。」

今日は一日中オフだ!

そっと起きて身支度をパパッと済ます。廊下に出ると外はまだ薄暗い。その廊下を静かに歩いていくと、ある人物と出会った。

那珂「あ、提督おはよう!」
352 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/09/02(土) 11:33:57.19 ID:eOjftv3k0
この人は那珂ちゃんの鎮守府の提督さん。普段はとても優しくて、凄い人なんだ!
一度でいいから本気で手合わせ・・・とか考えてないよ!那珂ちゃんはか弱いアイドルなんだから!

提督「ああ、おはよう那珂。外出届がでていたが、いくらなんでも早すぎないか?」

那珂「今日は久しぶりに先生の所に行く予定なんです。」

提督「先生というと、銀牙さんの所か。ふむ・・・。それじゃあこれを持って行ってくれ。」

提督は手にしていた紙袋から羊羹を二本差し出した。

こ、これはあの間宮羊羹!?え!?マジで!?
353 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/09/02(土) 11:34:34.30 ID:eOjftv3k0
那珂「いいの?」

提督「ああ。執務室に置いておく予定の物だから、また後日発注するさ。」

さっすが提督!もー大好き!

提督「近いうちに私も行くからよろしく言っておいてくれるか。」

那珂「はい!那珂ちゃんにお任せ!それじゃあ行ってきまーす。」

肩にかけたカバンに羊羹を入れ、元気に手を振りながら提督と別れた那珂は外へと出た。
354 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/09/02(土) 11:35:24.13 ID:eOjftv3k0
鎮守府から少し離れた所にある駅。ここから電車で2時間ほど。その駅から出て少し歩いたところで巨大な山と長い階段。
山の上の方からわずかに声が聞こえる。

さすが先生の道場、下にまで声が聞こえるよ。それじゃあ私も気合入れなくっちゃね!

軽く身体をひねり、ほぐす。軽く両方の頬を叩き、表情を引き締めた。

那珂「さて・・・それじゃあ一気に行っちゃおうかな!」

トントンっと地面を爪先で叩く。スッと腰を落とし、筋肉を収縮。そして爆ぜた。

一陣の風の様に階段を駆け上がる。一足飛びで階段を5、6段程を飛び越える。

那珂「はい、到着っと。」

両足でピョンっと一番上の段に飛び乗った。フゥっと一息ついて正面を見ると、複数の男たちが構えをとっているのが目に映る。

銀牙「ん?おー那珂ちゃん、久しぶりじゃのう。」

那珂「はい!先生もお元気そうで!」
355 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/09/02(土) 11:36:06.67 ID:eOjftv3k0
この人は銀牙さん。流水岩砕拳の使い手で私の先生!とっても凄い人なんだよ!

那珂の登場で場がざわめき出した。

銀牙「気を乱すな!そのまま続けい!」

銀牙の一括で再度構えを取り直す。ただ1人を除いては。

餓狼(・・・なんだこいつ?)

銀牙と親しく話す。そして先生と呼ぶという事はここの道場出身者。だが外見はただの女の子。

餓狼(試してみるか?)

スッと構えを崩し、那珂をみる。目があった。




瞬間、全身を衝撃が走った。




餓狼「!?」
356 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/09/02(土) 11:36:51.16 ID:eOjftv3k0
冷や汗が止まらない。手足が震える。まるで蛇、いや、恐竜に睨まれた様な感覚。
狩るものと狩られるものの、絶対的な格差を感じた。

そのまま膝から崩れてしまう。

苦虫「お、おい、大丈夫か!?」

餓狼「大丈夫だ!ほっとけ!」

伸ばされた手を弾き、息を整え構えを取り直す。それを見て那珂はクスッと笑みをこぼした。

那珂「中々見所がある子がいますね!」

銀牙「そうじゃろうそうじゃろう。これが今の一番の楽しみよ。」

2人して目を合わせて微笑んだ。
357 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/09/02(土) 11:37:45.81 ID:eOjftv3k0
書き溜めはここまで。

那珂ちゃんカワイイデス。
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/02(土) 13:02:40.70 ID:2c+HW08NO
アイドル(哲学)


あるいは


アイドル(物理)
359 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/10/01(日) 20:04:07.42 ID:zQ/iKP8L0
銀牙「そんじゃあお茶でも飲むか?」

那珂「あ、提督から羊羮をもらったんで、一緒に食べましょう!」

銀牙「おお!そりゃあありがたい!」

那珂「提督が近いうちに来るって言ってましたよ。」

銀牙「そりゃ楽しみだ。」

2人で和気藹々話しながら中に入ると、そこには2人の人が座っていた。

那珂「あれ、比k、じゃなくて、新津覚之進先生に自来也先生じゃないですか。」

ビックリした!なんで2人がここに!?

自来也「おぅ、那珂ちゃん!相変わらず良いお尻じゃのう。」

座っていた筈の自来也が姿を消し、後ろから那珂の尻を撫でた。ビクッとした那珂が思わず踵を落とす。

大きな音と衝撃が山を揺らした。

覚之進「完全に偶然だ。俺は頼まれていた土鍋を持ってきただけだ。」

頭から地面にめり込んだ自来也を無視し、覚之進は微笑みながらお猪口を煽った。
360 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/10/01(日) 20:05:30.83 ID:zQ/iKP8L0
この人は新津覚之進先生。内緒だけど、神通お姉ちゃんと神風ちゃんの剣の先生で、陶芸家なの。
で、この埋まってる助平爺は自来也先生。こっちは一応川内お姉ちゃんのお師匠さん。

2人とも、とっても凄い人なんだよ!

那珂「で、ここ助平ジジイはなんでいるの?」

ジト目で自来也を見る。気絶しているのかピクリとも動かない。

銀牙「わしが呼んだんじゃ。にいちゃんに伊勢海老のお返しを送ろうと思ってな。」

自来也「それをワシに狩ってこいって依頼だそうだ。」

自来也が地面から頭を抜き、軽くはたく。

チッ・・・やっぱり無傷か。

覚之進「それで、那珂。最近、神風はどうだ?神通と違ってあの馬鹿弟子はこちらになんの連絡もよこさん。」

那珂「神風ちゃんも忙しいんですよ。うちの鎮守府で任務だけでなく、教導に警邏隊長もかねてるんで。」
361 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/10/01(日) 20:06:42.59 ID:zQ/iKP8L0
覚之進「そうかそれは僥倖。色々任されているならそれで良い。今夜は酒盛りだ。」

那珂「もー、飲み過ぎはダメですよ〜。」

笑いながら鞄から間宮羊羮を取り出した。部屋の奥から銀牙が人数分の湯のみと皿をもってくる。

自来也「おお!間宮の羊羮か!」

切り分けた一番端を横から手を出した自来也がポイっと口へと運んだ。

那珂「あ!ちょっとまだダメだよ!」

自来也「うむ、甘露、甘露。やはりこれが一番じゃのう!」

覚之進「違いない。これがあればどんな酒も上手くなる。」

皿に取り分けられた羊羮を楊枝で指しながら覚之進も微笑んだ。

銀牙「自来也に頼むより、これを一本送った方がにいちゃん喜びそうじゃの。」

自来也「おいおい!それじゃあワシは来た意味がなかろうが!」

顔をしかめた自来也を見て皆が声をあげて笑った。

うん。やっぱりこう、気心しれた人達と話すのは、鎮守府の次に居心地がいいね〜。
362 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/10/01(日) 20:07:21.29 ID:zQ/iKP8L0
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