天龍「ふと気になったんだけどよ。」

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185 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/09/25(日) 23:58:06.21 ID:APEggzmN0
書き溜めはここまで。
>>1 はリアルに下戸なんで、酒や居酒屋とかはよくわからん。


安価下1〜2
1加賀さんの外洋訓練
2二日酔い提督
3激おこ鬼怒VS阿武隈
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/26(月) 00:10:31.50 ID:cHBzPdjAO
2
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/26(月) 00:10:47.98 ID:PB7qaAZzo
2
188 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/10/09(日) 22:56:03.91 ID:pO90v3R/0
明朝

提督「・・・あ〜・・・気持ち悪りぃ・・・。」

日が昇るか否かの時間に目覚めて第一声がこれである。

提督「とりあえず顔洗おう・・・。」

ベットから降り布団を畳み、提督室に設置してある洗面所で顔を洗った。
目がハッキリと覚めはじめた所で髪など見出しも整える。

提督「朝は・・・これだけでいいな。」

部屋に備え付けられている冷蔵庫からスティック状の栄養食を一本食べ、牛乳をコップ一杯飲んだ。
普段は、食堂なり自炊するなり、もっとちゃんとした物を食べているが、呑んだ翌朝はいつもこうである。
この1本で満足するしかねぇ。

軽く体をほぐした後に、いつもの軍服に着替えて部屋を出た。廊下には既に日差しが差し込んできている。

提督(・・・翌日のこれさえ無ければ、酒も悪くは無いんだがな。)
189 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/10/09(日) 22:57:54.79 ID:pO90v3R/0
執務室へと向う廊下で5人の艦娘に出会った。皆が提督に気付く。

暁「司令官、ごきげんようです。」
響「おはよう、司令官。」

提督「おはよう。今日はタンカーの護衛だったな。」

夕張「データもバッチリよ。」

元気に手を挙げる暁。軽く帽子をかぶり直す響。夕張は提督に向かって親指を立てる。

雷「あ、司令官、ちょっと屈んで。」

雷に言われ、少し膝を曲げる。雷が提督の首元に手を伸ばした。

雷「ほら、襟が歪んでるわ。」

電「珍しいのです。雷ちゃんのお世話になるなんていつ何日振りですか?」

笑顔で襟を直す雷と直される提督の姿に電が笑った。
確かにこんなヘマは飲んだ翌日くらいしかしない・・・多分。

提督「私だって万能じゃ無い。たまにはこんなミスもしてしまうさ。ありがとう。」

苦笑いしながら雷の頭を撫でた。
190 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/10/09(日) 22:58:47.53 ID:pO90v3R/0
雷「もーっと私に頼っていいのよ!」

夕張「さぁ、みんなそろそろ格納庫に向かうわよ。」

夕張を先頭に提督の方向とは逆へと歩き出した。一番後ろを歩いていた響が提督の袖を軽く引く。
僅かに屈んだ提督の耳元へと背伸びした。

響「次に呑む時は私も誘ってほしいな。」

提督「・・・考えておくよ。」

ニコッと笑った響が小走りで夕張達に追いついた。

暁「なに話してたの?」

響「内緒。」

提督「酒の匂いは残ってないよな?なぜばれた・・・。」
191 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/10/09(日) 23:00:11.10 ID:pO90v3R/0
執務室の前にある箱の中から紙の束を手に取り、部屋へと入る。

提督「今日中の書類は・・・無いか。なら日付の順でいいな。」

書類の中身をパラパラと軽く確認しながら席へと着く。机の上には、今手にしていた書類とは別の物も数枚あった。
この程度の量なら恐らく午前中で片がつくだろう。

提督「・・・とりあえず気分が悪い。昨日は少し飲みすぎたか?」

椅子に腰掛け大きく息を吐いた。中々酔いが引かない。薬を飲んでくるべきだったと少し悔やんだ。

提督「後は・・・。そうか・・・しまったな。」

提督が机の端に立ててあるメモ用紙とカレンダーを見て小さく息を吐いた。
メモ用紙には『組手』と書かれていた。
後悔は後にし、まずは机の上にあった書類を先に目を通し、ペンを走らせる。

作業を始めて20分ほどしたところで、扉がノックされた。

提督「入れ。」
192 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/10/09(日) 23:01:21.23 ID:pO90v3R/0
叢雲「失礼するわ、司令官。」

扉を開けて叢雲が入ってきた。

提督「ああ、少し待ってくれ。直ぐに用意するから。」

叢雲を確認し、直ぐに書類へと視線を戻して再度ペンを走らせる。

叢雲が訝しげな表情で、扉を閉め提督の前に来た。

提督「なんだ?もう少し待ってくれ。キリの良い所までー」 叢雲「あんた、昨日お酒飲んだ?」

提督の手が止まった。

その態度で確信して叢雲が大きなため息を吐いた。

叢雲「あんたねぇ、お酒弱いのに何やってんのよ。」

提督「なぜわかった?」

叢雲「ん〜・・・なんとなく?」

叢雲が首を小さく傾ける。なんとなくで当てられてしまった提督は頭を抱えてしまった。
なんだよなんとなくって。
193 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/10/09(日) 23:02:28.89 ID:pO90v3R/0
叢雲「しょうがないわね。組手は今度でいいわ。私もそれ手伝うから。」

椅子を持ってきて提督の横側に座る。勝手に引き出しを開け、ペンを取った。

提督「私のミスだ。そういう訳にはいかない。」

叢雲「二日酔いのあんたに勝っても意味無いの。やるなら万全の状態にしておいてよ。」

提督「・・・すまん。」

睨まれて、思わず誤ってしまった。

叢雲(というより、体調の悪い時の司令官って、容赦無いからこっちの身が危ないのよ。)

とは口が裂けても言えない。
194 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/10/09(日) 23:03:44.50 ID:pO90v3R/0
叢雲のお陰で書類は2時間も掛からず片付いた。

提督「ありがとう。正直助かったよ。」

椅子に深く背を預けながら礼を言う。

叢雲「良いわよ別に。」

そっぽを向く叢雲に提督は一枚の紙を差し出した。

提督「午後からは予定はないだろう?間宮の所に行くと良い。」

叢雲「どうしてもって言うなら貰っておくわ。・・・ありがとう。」

照れくさそうに券を受け取って部屋を出た。
が、直ぐに戻り、提督を指差す。

叢雲「次の時にはちゃんと万全にしておきなさいよ!」
195 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/10/09(日) 23:04:21.38 ID:pO90v3R/0
書き溜めはここまで。
196 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/10/26(水) 01:29:14.44 ID:QwEBPsns0
提督「昼には・・・流石にまだ早いな。」

時計の針はまだ十時を過ぎたばかりである。

提督(たしか薬あったな。)

引き出しを開け、中から薬を取り出した。隣にある給湯室に行き、水で一気に流し込む。

提督(少し風に当たりに行くか。直ぐに落ち着くだろう。)

重い頭を抱えながら扉を開けた。軽く何かにぶつかった様な手応えを受ける。

??「キャ!?」
提督「おっと。」

扉を開けたところで少女が倒れていた。

提督「すまない吹雪。大丈夫か?」

吹雪「あ、はい司令官。えっと、昨日の任務の報告書です。」

倒れたままの姿勢で書類を差し出す吹雪。提督はそれを受け取った。

提督「ご苦労だったな。」
197 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/10/26(水) 01:29:50.43 ID:QwEBPsns0
提督「白。」

吹雪「え?」

提督「いや、なんでも無い。立てるか?」

差し出された手を吹雪が握り、立ち上がった。
軽くお尻をはたき、背筋を伸ばす。

吹雪「はい、大丈夫です。ありがとうございました司令官。」ニコッ

ピシッと敬礼をして笑顔で去っていった。

提督「いつもながら無防備すぎだろ。」

ため息を吐きながらも微笑み、屋上へと向かった。
198 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/10/26(水) 01:30:26.14 ID:QwEBPsns0
鎮守府屋上

扉を開け、屋上へと出た。屋上への出入りは自由となっているが、こんな時間に来るものは殆どいない。

提督「ふー・・・。」

大きく息を吐きながら、備え付けのベンチに腰を下ろした。

提督(あー・・・頭いてぇ・・・。)

?「あれ?こんなところにご主人様?」

扉を開ける音に振り返ると、漣が顔をのぞかせていた。

漣「珍しいですね。ご主人様もサボりですか〜。」

ニヤニヤしながら提督の隣に座った。
199 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/10/26(水) 01:31:40.94 ID:QwEBPsns0
提督「私は最優先の業務は終わっている。それより漣。ご主人様『も』と言うことは、お前はサボりに来たんだな。」

提督の返しに漣が明後日の方見ながら口笛を吹く。

提督「確か今日の演習場とグラウンド設備の清掃及び管理担当の1人だったはずだが?」

鎮守府の施設は、細かい所は妖精が管理してくれるが、大まかな清掃や設備の管理は艦娘達の当番制となっている。

漣「いえいえ、朝の見回りと清掃は済ませましたよ!?」

若干の冷や汗を流しながら必死に手を振る漣。
おそらくその言葉に嘘はないのだろう。

提督「なら良い。では、漣も休憩か。」

漣「YES!せっかくなんでマッタリしましょうぜお代官様〜。」
200 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/10/26(水) 01:32:49.13 ID:QwEBPsns0
そう言って漣はどこからともなく缶コーヒーとオレンジジュースを取り出した。

漣「一本いっときますか?」

提督「では遠慮なく頂こうか。」

缶コーヒーを受け取り、口にする。濃い苦味が口に広がった。

漣「でも、本当に珍しいですねご主人様。いつもなら業務が終わったら施設内をウロウロしてることが多いのに。」

オレンジジュースを口にしながら漣が尋ねた。

提督「最近涼しくなって来たからな。この時間ならここが適度に日も当たり、過ごしやすい。」

漣「あー成る程、二日酔いですね。」

提督「・・・そんなにわかりやすいか?」

提督が苦虫を噛み潰したような表情で言った。それを見て漣は思わず笑ってしまった。

漣「そりゃもう、ご主人様がお酒弱い事を知ってる娘達のなら直ぐに気がつきますよ!」

提督「むむむ。」

漣「何がむむむですか。でも、そんなご主人様も可愛くっていいと思いますよ?」

ニコッと微笑む漣のポケットからアラームがなった。

漣「おぅ!?こりゃあヤベェ、サボってたのがバレちゃったかなぁ。それじゃあご主人様、失礼します!」

焦りながらも笑顔でピシッと敬礼して漣は建物内へと戻っていった。
201 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/10/26(水) 01:34:01.99 ID:QwEBPsns0
書き溜めはここまで。
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/26(水) 11:22:22.81 ID:iaWRsGKJO
おつ
203 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/01(火) 01:18:00.50 ID:5ZrXdrRp0
漣が戻った後も、しばらくそのまま屋上でゆったりしていた。

空を瑞雲や二式大艇が飛び、海上を島風が超高速で走る姿が見える。

提督(だいぶ楽になったら腹が減りだしたな。)

ベンチから立ち上がって伸びをし、食堂へと向かった。
204 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/01(火) 01:18:45.53 ID:5ZrXdrRp0
食堂

まだ12:00前だというのに、すでに何人もの艦娘がいた。

この時間帯にいるという事は、夜勤から寝ずにいる者。非番で先程起きたばかりの者。鎮守府内待機の者と様々なのだろう。

五月雨「あ、提督お疲れ様です。」

提督「お疲れ様。五月雨は今日は待機だったな。」

食堂入り口で五月雨が敬礼をする。それに提督も軽く手を上げて応えた。

五月雨「はい。提督も今からお昼ですか?」

提督「ああ。確か今日の当番は・・・。」

五月雨「・・・ちょっと待っててくれますか?」

そう言って五月雨は厨房へと入っていった。

食堂の料理も基本的に艦娘達の当番制となっている。それとは別に、食堂が開いている時間なら各々で自由に厨房を使う事も許可されている。
205 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/01(火) 01:19:54.43 ID:5ZrXdrRp0
20分程待っていると、五月雨がお盆を持って戻ってきた。若干足元がおぼつかない。

五月雨「お、お待たせしま、しました!」

なんとか取れる事なくお盆を差し出す。提督が受け取ったお盆には、しじみの味噌汁、アボガドとトマトとキャベツのサラダ、白米と梅干し、そしてグレープフルーツ。

五月雨「今日のお味噌汁がちょうどシジミで良かったです。今日みたいな時にはこれらが良いんですよ。もうドジっ子なんて言わせませんから!」

提督「・・・そんなにわかりやすいか?」

五月雨「はい!」

本日2度目。若干傷つく。
206 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/01(火) 01:21:00.85 ID:5ZrXdrRp0
受け取ったお盆を持って席を探すと天龍が手招きしているのが見えた。

天龍「よう、提督。提督も今から飯か。」

天龍の正面へと座った。天龍は竜田揚げを食べている。

提督「そういう天龍も昼か。いや、朝か?」

天龍「両方だ。昨日は夜勤だったからな。さっき起きた。」

そう言って竜田揚げを頬張る。
朝から揚げ物とは、流石だ。

天龍「なぁ、提督。あの艤装、使っちゃダメか?」

提督「駄目だ。」

天龍の問いを即答する。天龍はガクッと首を下げた。
207 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/01(火) 01:22:08.09 ID:5ZrXdrRp0
天龍「一蹴かよ。どうしてもダメか?」

天龍が上目遣いで再度頼む。

提督「ダメだ。」

やはり一蹴。

天龍「むぅー。」

頬を膨らませる。かわいい。

提督「せめてもっと消費を減らせればな。」

天龍「それは明石らに言ってくれよな。」

若干不機嫌になりながら箸を進める。
正直、航空戦力には困っていないので、資材が低くても需要はないのが現状であるが、それは言わない。

提督「私としても、あの艤装自体はかなり良いとは思うんだがな。」

天龍「そうだろ!特にあの黒く輝く2対の翼!実際に飛んでみるとまた凄くってな!」

テンションが上がった天龍が色々話す。

提督(・・・頭痛いな。)

若干頭に響くが、楽しそうなので良しとしよう。
208 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/01(火) 01:22:47.44 ID:5ZrXdrRp0
書き溜めはここまで。
さぁ、問題。この提督の初期艦は誰でしょうか?
当たっても何もありません。

安価下1〜2
1 第二 天龍空母化計画
2 叢雲組手
3 タンカー護衛
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/01(火) 01:43:03.83 ID:Tbzf7PeTo
2
叢雲
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/01(火) 11:25:21.93 ID:J7fAVDh0O
1
211 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/02(水) 00:09:52.08 ID:KLaULFSD0
安価下1〜2
組手に参加する艦娘
ただし潜水艦組以外。
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/02(水) 07:26:23.26 ID:enOYs6/KO
鹿島
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/02(水) 07:32:08.48 ID:foTfO+VlO
吹雪
214 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/06(日) 01:02:03.05 ID:xrzZ1yIz0
みなさん、おはようございます。こんにちは。こんばんは。
主人公(?)の吹雪です。

今日、私は






死ぬかもしれません。
215 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/06(日) 01:02:42.01 ID:xrzZ1yIz0
私の今日の任務は待機です。

休暇とは違い、鎮守府の敷地内からは出られませんし、服装は制服。
何かあった時には直ぐに出られる様にしておかないとダメですが、それ以外には特に規制されていません。

私は午前中、1人で暇だったので、鎮守府の外を散歩していました。グラウンドを走っている娘らを見ていたら、鹿島さんに

『あら吹雪ちゃん。空いているなら一緒に来ませんか?面白いものが見れますよ。』

と言われ、武道場に来ました。
216 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/06(日) 01:03:29.37 ID:xrzZ1yIz0
私は今、武道場で正座をしています。

その隣でニコニコとしながら立っている鹿島さん。

その目の前で
217 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/06(日) 01:05:08.41 ID:xrzZ1yIz0
叢雲「でえええぃぃやあ!!」

飛び上がり、遠心力を加えた杖(じょう)を振り下ろす。

提督がそれを右足を引き、半身なって木刀で受け流す。

振り下ろされ、地面を打った杖から閃光が飛び散り、武道場の地面を黒く焦がした。
その反動を利用し、叢雲が提督と距離を取ろうとするが、その動きにピッタリ合わせて提督が前へと踏み込む。

叢雲「ハァッ!」

後ろに下がりながらも、突き、払う。だがそれも提督は体を僅かにひねり、姿勢を落として躱す。

提督「速度が落ちているぞ。休むか?」

叢雲「うっさい!まだまだよ!」
218 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/06(日) 01:05:59.45 ID:xrzZ1yIz0
この後、私はどちらかの組手の相手をする事になっています。



全身の汗と震えが止まりません。
219 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/06(日) 01:07:25.39 ID:xrzZ1yIz0
書き溜めはここまで。

吹雪は生き延びることができるか・・・。
220 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/13(日) 15:21:32.24 ID:zI2Pur8qO
数分前。

鹿島と吹雪が武道場に入って来た。
既に提督と叢雲がいた。2人ともいつもの服装である。

叢雲「あら、吹雪じゃない。どうしたの?」

提督「格闘訓練か?」

叢雲は杖(じょう)を両手で持ち、体を軽く捻っている。
提督は道場に置いてある武器の中から木刀を一本、手に取って握りを確認していた。

吹雪「いえ、鹿島さんに声をかけられてついて来たんです。お二人は訓練ですか?」

叢雲「今から組手よ。」

鹿島「お二人は定期的に組手をなさってるんですよね。」
221 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/13(日) 15:22:22.13 ID:zI2Pur8qO
叢雲「吹雪もやる?相手になってあげるわよ。」

ニコッと優しく笑う叢雲が手にしていた杖をクルクル回した。叢雲の後ろにある窓から、なぜかカタカタ揺れる音がする。

提督「吹雪ならそれなりに出来そうだ。私も手合わせして欲しいな。」

同じ様に優しく微笑みながら提督が木刀を軽く振る。触れていないはずなのに、床に小さな切れ目が入った様に見える。

吹雪「そうですか。それじゃあ軽くお願いしようかな〜。」

照れながら頭をかき、鹿島に言われて武道場の端の方で座った。
222 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/13(日) 15:24:24.79 ID:zI2Pur8qO
鹿島「提督さん、上着と帽子お預かりします。」

提督「ああ、ありがとう。」

提督は帽子を取り、それと上着を鹿島に預けた。
カッターシャツの一番上のボタンを外し、袖を軽く折り曲げる。
上着を受け取った鹿島はそれを丁寧に畳み、吹雪の隣に置いた。

武道場の中央に提督と叢雲が向かい合う。

叢雲「今日こそ一本取ってやるんだから。」

杖の下部を右手で握り、右足を引いて半身に腰を落として、先端部に左手を添える。

提督「今日もいつも通りさせてもらう。」

左足を引いて半身になり、正眼に構えた。

鹿島「それでは・・・。」

鹿島が笑顔のままスッと右手を真っ直ぐ上に伸ばす。



空気が変わった。

吹雪(・・・え・・・なんか、息苦しいんですけど・・・?)

鹿島「はじめ!」
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/13(日) 22:39:22.80 ID:K/Brk+850
おつ
224 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/20(日) 22:26:40.82 ID:zk8zA1020
推奨BGM 「叢ーMURAKUMOー」RedRide


合図と共に、叢雲が踏み込んだ。踏み込むと同時に杖を突き出す。
それに合わせて提督も踏み込んだ。突き出される杖を木刀を上段に構える形で上へと弾く。

そのまますれ違い、はじめと同じぐらいの距離で互いに向き合った。

今度もまた叢雲が踏み込むがこれは先の突進とは異なり、杖を回転させて、連続で打ち込んでくる。

それを提督はその場から下がる事なく、全てを受け流していく。
225 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/20(日) 22:27:57.61 ID:zk8zA1020
叢雲「そこ!」

受け流された杖をそのまま片手で持ち、大きく薙ぎ払う。

提督(これは流石に無理だな。)

受けきれないと察した提督は姿勢を一気に落とした。払われた杖が髪を掠める。そして落とした重心が地面を弾き、前へと跳ねた。

叢雲「!?」

杖を払った反動で姿勢を僅かだが崩していた叢雲は、提督への突進に刹那だが反応が遅れた。躱せないと感じた叢雲は斬り上げられる提督の木刀を足の裏で受ける。そのまま高く弾き飛ばされた。

空中で態勢を立て直し地面へと着地する。
若干足が痺れているが気にしない。
今度は自分の意思で飛び上がり、体を捻った。

ここで冒頭へ戻る。
226 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/20(日) 22:29:12.69 ID:zk8zA1020
吹雪(どうしよう・・・どちらが相手でも瞬殺される未来しか見えない・・・。)

冷や汗を滝の様に流す吹雪と、それを見て鹿島がニコニコする。

鹿島「機会があれば私が鍛えてあげましょうか?」

吹雪「えー、あー、えっと・・・艦娘は海上での撃ち合いがメインなので、白兵戦は出来なくても大丈夫かな〜なんて・・・あはは・・・。」

鹿島「ふふっ。まぁ、あの2人を見ていたら正直自信無くなりますよね。わかります。」

誤魔化す様に頭をかきながら答える吹雪に鹿島も若干困った様に笑った。
そして、スッと表情を厳しくして2人へと向き直る。

鹿島「・・・そろそろ決着ですね。」
227 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/20(日) 22:30:22.52 ID:zk8zA1020
提督が振り下ろす木刀を回転させた杖で弾き、そのまま突く。だがそれは空を突き、躱された事でまた僅かに叢雲の姿勢が前へと崩された。

そして背後へと回り込んだ提督が木刀を振り下ろす。それが叢雲の肩へと届く刹那。

叢雲「ッ!!」
提督「!」

叢雲の周りに旋風が巻き起こる。そして叢雲の姿が変わった。

鹿島「はい、そこまで。」

叢雲の背後突きを掴んで止め、提督の木刀に掌を添える形で、2人の間に鹿島が割って入った。

鹿島「もう。叢雲ちゃん、組手では改二の使用はダメだっていつも言ってるでしょ。」

叢雲「・・・悪かったわ、ごめん。」

ばつが悪いのか、若干そっぽを向きながら謝る。小さな風が起こり、叢雲の姿が元に戻った。
228 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/20(日) 22:31:40.65 ID:zk8zA1020
提督は木刀を納刀する様に左手に持つ。

提督「もう少し緩急をハッキリさせた方が良いかもしれないな。得物の重さに振られ過ぎだ。まぁ、最初の頃とは比べ物にならない程強くなってはいるがな。」ナデナデ

そう言いながら叢雲の頭を撫でた。

叢雲「・・・フン。」///

顔を紅くしながら顔を背ける。

吹雪(あ、あれはちょっと羨ましいなぁ・・・。)

そう思いながら見ていると叢雲と目があった。
見る見るうちに叢雲の顔が真っ赤になっていく。どうやら吹雪の存在を完全に忘れていた様だ。

叢雲「吹雪!武器を構えなさい!」///

吹雪「え、ええっ!?わ、私!?ちょっちょっと待って!?」

叢雲「問答無用!」///

提督の手にしていた木刀を奪って吹雪に無理やり持たせた。そのまま武道場の中央へと引きずる。
229 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/20(日) 22:33:12.67 ID:zk8zA1020
入れ替わる様に、提督と鹿島は共に端へと歩いていった。

提督「止めてくれて助かった。」

鹿島「水を差す様な形になってしまってすみません。」

2人並んで壁に背を預ける様に立つ。中央では我武者羅に杖を振り回す叢雲と、全力で逃げ走る吹雪。

提督「いや、あのタイミングでないと危なかったよ。」

鹿島「叢雲ちゃんの方が、ですね。」

提督「私の方だ。流石に改二が相手とか、無茶を言わないでくれ。」

鹿島「でも『無理』ではないんですね。」

提督「ノーコメントだ。」

提督が小さく笑う。鹿島も悪戯っぽく鹿島が笑った。
230 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/20(日) 22:33:39.67 ID:zk8zA1020
書き溜めはここまで。
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/20(日) 23:23:37.64 ID:2SM134WH0
おつ
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/21(月) 00:01:07.32 ID:3PM+SQHEO
改二って卍解みたいな扱いなのか
233 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/12/10(土) 00:42:01.97 ID:QJIkA3If0
改ニとは?

艦娘が一定の練度へ到達する事で、艤装との同期指数が上昇。それにより、艤装と自身の内部に発生する活力を解放する事で発現する。
装備している艤装や服装に変化が生じ、自身の戦闘力を5〜10倍ほど上昇させることができる。
これは更に練度を高めれば、艤装を装備していなくても発現可能。その場合は高くても精々2〜5倍ほどである。

これにはいくつか例外があり、天龍の様にその活力を艤装や自身への変化を起こさない様に抑え、代わりに外部へ放出する事で攻撃手段として使用したりする事も可能。

また、木曾の様に本来なる筈のない艤装への変化も稀に起こるが、その場合は本人への負荷を抑えるために追加で特殊な艤装を装備する必要性がある。木曾の場合はあのマントがそれに該当する。

みたいな感じ。
こういう設定とかを考えてる時が一番楽しい。
234 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/12/10(土) 00:43:06.43 ID:QJIkA3If0
BGM Spending Time in Preparation

とある会議室。部屋は若干暗く、長机が一つ。

一番奥には天龍が指を組んで座り、右斜め後ろに龍田が立っている。そして右に3人、左に2人、座っていた。

天龍「報告を聞こう。」デンデンデンデン・デンデン!

明石「改良の結果では、消費資材量を初期より80%までカットする事に成功しました。」デンデンデンデン・デン!

夕張「試験の結果では、搭載機を限定する事で更にもう6%は軽減可能かと。」デンデンデンデン・デンデン!

日向「だが、それでもまだ消費量が多い。他に手段は無いのか?」デンデンデンデン・デン!

北上「そもそも背中の艤装が最大の障害だね。出力高すぎたかな?」デンデンデンデン・デンデン!

秋津洲「だったら盾だけにすればいいかも。」デンデンデンデン・デン!

天龍「ダメだ。あれは全部揃って初めて真価を発揮する。」デンデンデンデン・デンデン!
235 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/12/10(土) 00:44:12.62 ID:QJIkA3If0
龍驤「何しとんねん君らは。」
デンデンデンd カチッ(スイッチOFF)

部屋へと入ってきた龍驤がラジカセのスイッチを切って部屋の明かりをつけた。

天龍「あっ!龍驤、テメェ折角の雰囲気を台無しにするなよ!」

天龍が立ち上がって声をあげた。

龍驤「やかましいわ。ってかラジカセとか古いな。まあえぇわ。自分らにお客さんやで。」

そう言って後ろのドアから道を開けた。1人の女性が入ってくる。

グラーフ「Glaf Zeppleinだ。詳しくは聞いていないが、何の様だ?」

部屋に入ると帽子を取り、一礼して名乗った。

明石「わざわざドイツからありがとうございます。さぁ、先ずはこちらにどうぞ。」

明石が立ち上がり、椅子を進めた。グラーフは再度頭を下げ、空いていた1つに着席する。

龍驤「ほなうちは帰るわ。」

龍驤が退室した所で、天龍と明石も座り直した。
236 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/12/10(土) 00:45:07.26 ID:QJIkA3If0
グラーフ「それで、話は何だ?」

天龍「ああ。グラーフの艦載機って日本式とはちょっと違うんだって?」

グラーフ「ああ。私はこれを使う。」

腰につけたポーチを取り外し、机に置いた。中から銀色のカードを数枚取り出して見せる。

明石「矢や護符と同じ要領ですが、素材が違いますね。」

差し出された一枚を手に取り、軽く撫でたり、指でトントンと叩いてみたりする。

天龍「ふーん。それでどうやって飛ばすんだ?」

グラーフ「興味があるのか?いいだろう。見せてあげよう・・・。


カーネフェルの真髄を。」
237 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/12/10(土) 00:46:03.96 ID:QJIkA3If0
短いけど書き溜めはここまで。
グラーフは可愛いというより美しい。
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/10(土) 05:17:58.29 ID:ALU/ZlWMO
おつ
239 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/12/25(日) 21:41:58.71 ID:xHaP9LMP0
グラーフが机に置いていたカードを手に取る。龍田が慌てて窓を開けた。

グラーフ「フッ!」

カードを1枚投げる。それは美しく回転し、Bf109「メッサーシュミット」が窓から飛び出した。
続けて2枚目、3枚目を同時に投げる。
2機が背面を合わせながら螺旋を描き、先頭の1機を追いかける。

部屋にいた皆の目線が外へとむかう。

天龍「すげぇ。」

日向「うむ。なかなかやるな。」

グラーフ「まだだ。」

もう1枚、手にしカードを方向転換して来た3機に向かって投げた。

直進する1機に対し、まるで花が開くかの様に三方へと散開した。そして宙返りし、十字陣形で窓から部屋へと入って来て机へと着陸した。
240 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/12/25(日) 21:42:42.83 ID:xHaP9LMP0
一同「おー!」パチパチパチ

グラーフ「フッ。」ドヤァ

拍手の音に紛れ、窓の外からドンドンと音がした。音に気付き、皆の目線が集まった窓から1人の男が外から飛び込んで来た。

???「こら〜!グラーフ!勝手に艦載機を飛ばすんじゃねぇ〜!」

ドクロのマークのついた帽子を深く目元まで被った軍服の男がグラーフへと詰め寄る。

グラーフ「まぁ、落ち着けAdmiral。ここは友好的な鎮守府内だ。この程度は問題にはならない。」

独提督「そういう問題じゃねぇ!いいか。オレはAdmiral。お前はオレの部下。」

親指で自分を指し、反対の人差し指でグラーフの額を指す。

独提督「オレにはお前達をまとめる義務があるんだ。勝手な振る舞いはやめて欲しいものだな。」

グラーフ「なるほどな。だが、私は『鎮守府内で艦載機を飛ばすな』という命令を受けていない。」

独提督「この、減らず口を〜!!」

夕張(・・・誰もツッコマないけど、ドイツ提督、壁よじ登って来たよね?)

ここは3階の会議室である。
241 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/12/25(日) 21:43:31.79 ID:xHaP9LMP0
??「まぁ、落ち着きたまえ、Admiral。」

独提督「あ〜?誰だ口を挟む奴・・・は・・!?!?」

グラーフ「!?!?!?」

扉が開き、目線を向けるとそこには義足の右足で杖をついた老人が立っていた。

独提督・グラーフ「「Eure Exzellenz!?」」

2人揃って声をあげ、慌てて敬礼をした。

閣下「あー良い良い。楽にしろ。」

閣下と呼ばれた男が笑いながら手を軽くふる。

天龍「うん?じーさん何もんだ?」

龍田「てててて天んんりゅうううちゃちゃん!?!」

日向「お、お落ち着け龍田。」

明石「まままままだあわわわわ!」
242 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/12/25(日) 21:44:14.64 ID:xHaP9LMP0
閣下「はっはっは。なかなかユニークな娘達じゃないか。」

慌てる娘ら(天龍以外)をみてまた笑い声をあげた。

独提督「閣下!なぜあなたがこんなところに!」

閣下「牛乳を飲みに来た。」

独提督「ぎゅ・・・。」

閣下の一言に思わず頭を抱える独提督。その隣ではグラーフが笑いをこらえていた。

閣下「全く、この程度で取り乱すから『未完の大器』と言われるんだ。ほれ、ドイツに帰るぞ。グラーフは暫くここでお世話になりなさい。」

グラーフ「了解しました。」
独提督「グググ・・・了解しました。」

苦虫を噛み潰したような顔の独提督とともに閣下と呼ばれた男は部屋を出て行った。
243 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/12/25(日) 21:44:48.86 ID:xHaP9LMP0
明石「あーーーーーー・・・緊張した・・・。」

秋津州「もう疲れ切ったかも・・・。」

北上「あっはっは・・・流石に私も緊張したわ〜。」

天龍「なんだ?何をそんなに疲れたんだ?」

龍田「・・・たまに天龍ちゃんが凄く羨ましくなる事があるわけ。」

グラーフと天龍以外の一同がぐったりとテーブルに伏した。

グラーフ「それで、私を呼んだのはこの艦載機についてか?」

天龍「おう、それだ!ちょっと貸してくれるか?」
244 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/12/25(日) 21:45:58.64 ID:xHaP9LMP0
書き溜めはここまで。

独提督と閣下は思い付きなので、以降出てくる予定は(多分)ありません。
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/26(月) 07:16:53.35 ID:/BYcGVbjO
おつ
246 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/01/11(水) 01:57:03.33 ID:6OkI24ae0
グラーフ「ん・・・まぁ構わないが、おそらく使えないぞ。」

グラーフの許可を得て、元に戻ったカードを天龍が手に取った。

天龍「・・・なんの感覚もねぇな。」

新しい艤装の時と違い、全く力を感じられない。ただの金属の板を持っている感覚だ。

日向「君は素の状態では搭載が0だからな。どれ、私が持ってみよう。・・・これは・・・フッ、そういう事か。」

天龍から受け取ったカードを触る。手の中でクルクル回したり、軽く撫でて小さく笑った。

明石「ん?どうかしました?」

日向「この子達と彼女には強い信頼がある。未知の私達とはまだ一緒に戦えないんだとさ。」

そう優しく微笑み、日向はカードをグラーフへと手渡した。笑顔で受け取ったグラーフの肩に、嬉しそうに笑う妖精がいた。

秋津州「あー、そういう事。確かに私もいきなり違う艤装の子とじゃあ上手く連携できないかも。」

天龍「むぅ・・・じゃあしょうがねぇな。」

グラーフ「すまないな。だが、技術提供はできる限りしよう。閣下の許可もある事だしね。」
247 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/01/11(水) 01:58:36.07 ID:6OkI24ae0
夕張「それじゃあ早速工廠に行きましょう!色々相談させて貰いますね。」

グラーフ「いいだろう。早速はじめよう。」

夕張を先頭に明石、北上、夕張、グラーフは会議室を出た。

龍田「あら?じゃあなんであの時は瑞雲を使えたのかしら?」

演習に時を思い出す。あの時、確かに天龍は瑞雲を飛ばした。その時の妖精は日向から借りていた子らである。
天龍の妖精とは違う子達にも関わらず、しっかりと連携できていた様に見えた。

天龍「そりゃ俺が空母だからだろ。」

龍田「・・・えー。」

日向「フフフ、あの時は私の瑞雲と私の妖精達だったからな。この子達は素直だから、天龍でもそれなりに扱えるように上手くやってくれていたのさ。」

日向の肩かに立った妖精が笑顔で敬礼をした。

日向「私が扱えば例え相手が大和型の2人でももっと上手く戦えるよ。」

天龍「艦載機に関しては一日の長があるってか?ちゃんと専用装備が出来りゃあ直ぐに追いついてやるよ!」

日向「フッ期待しているよ。」
248 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/01/11(水) 01:59:30.21 ID:6OkI24ae0
数日後。

天龍と龍田は明石に呼ばれ、工廠へと足を運んだ。

龍田「今回はどんなものか、まだ見てないの?」

天龍「ああ。楽しみだぜ。」

やはり目を輝かせる天龍。工廠の入り口には夕張とグラーフが立っていた。

夕張「待ってたよ。それじゃあ早速見てもらおうかな。」

夕張が扉を開けると前回よりやや小さい布が被せられた艤装の様なものがあった。
その隣に明石と北上が立っている。

明石「前回の教訓の上で小型化し、燃費を向上させるために再設計しました。ご開帳!」

明石の合図で北上が布を剥がす。そこには左手につける盾の様なものがあった。真ん中にはカードを複数枚入れる為のスペースがある。
249 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/01/11(水) 02:00:45.36 ID:6OkI24ae0
天龍「うーん、前回のに比べてかなり小さいな。これを腕につけるだけか?」

天龍が艤装(?)を手に取り、左腕へとつけた。そして中央にあるボタンを押す。
艤装が変形し、折りたたまれていた2枚の板が動き、つながった。1枚の横長テーブルの様になり光り輝く。

明石「中央にカードが複数枚入っています。その中から選んで、ディスクの上においてください。」

言われるがままに、1枚のカードを引いて確認する。カードには『紫電改ニ』と書かれていた。

天龍「これをセット、っと。これでいいのか?」

機械的な効果音を出し、ディスクが光る。それと同時に天龍の右隣に突然紫電改ニが一機現れた。しかも空中で停止している。

天龍「おお!すげぇな!これなら甲板無くても飛ばせるってわけか!」

提督「で、資材は?」

有頂天になっている天龍の背後になぜか提督が立っていた。そしてやはり目を背ける明石達。
250 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/01/11(水) 02:01:40.71 ID:6OkI24ae0
書き溜めはここまで。

安価下1〜3
第2回天龍空母化計画の演習相手
ただし、海外艦と潜水艦以外。
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/11(水) 02:52:47.83 ID:vemGMGzDO

くう母の二人
252 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/01/11(水) 23:44:49.29 ID:6OkI24ae0
食う母了解しました。

安価下1 あと1人
空母、海外艦、潜水艦以外
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/12(木) 01:30:50.97 ID:AThTFhvVO
艦隊のアイドル
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/12(木) 01:30:57.35 ID:06EiscrDO
秋月照月
255 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/01/15(日) 23:47:05.53 ID:ZS12p3yMO
ため息をつきながら天龍の腕に付いた艤装を取り外す。隣に浮いていた紫電が音を立て消えた。開いていたテーブル上の板も折りたたまれていく。

天龍「あ!てめぇ、勝手にとるなよ!」

提督「勝手に資材使うなよ。」

手にした艤装を軽くいじる。

提督「成る程。詳しいことはわからんが大分資材の消費量は減らせたわけか?」

明石 ドヤァ

提督「流石グラーフ。」

明石 ガクッ

グラーフ「ドイツの科学は世界1位かもしれない。」ドヤァ
256 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/01/15(日) 23:48:13.52 ID:ZS12p3yMO
天龍「で、今回も有用性を示せってんだろ?でも戦艦相手は勘弁してくれよな。」

天龍が提督の胸に指を突き刺す。3対1とはいえ、負けた事が相当悔しかったらしい。
次に戦艦とやる時は万全の状態でやりたかった。

提督「ふむ・・・いいだろう。満足してみせろ。」

そう言って提督がケミカルライトを天龍に手渡した。

天龍「は?」

そして指をパチンと鳴らす。
257 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/01/15(日) 23:49:06.43 ID:ZS12p3yMO
強制脳内BGM 恋の2-4-11

突然音楽が鳴り響き、スモークが吹き荒れる。そして舞台がせり上がり、そこには立っていたのはー

那珂「艦隊のアイドル、那珂ちゃんだよー!」

そしてその後ろにはお揃いの服を着た秋月と照月。

那珂「今日は私のためにありがとー!それじゃあ一曲目、恋の2-4-11。いっくよー!」

天龍「おい、これどうすんだ?どうせならビームサーベルでもよこせよ。」

秋津州「うーん、流石にそんな高性能な物は作れないかも。」

明石「この設備作ったのだれ?」

北上「あー、ごめんアタシだ。」

夕張「いや、謝らなくていいけど、なんでまた舞台なんか?」

北上「暇だったから。」

グラーフ「中々良い趣味じゃないか。」



那珂「お願いだから聴いてよ〜!」
258 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/01/15(日) 23:50:14.66 ID:ZS12p3yMO
提督「で、後ろの2人は何をしているんだ?」

秋月「バックダンサーのアルバイトです!」
照月「一曲踊れば200円も貰えるんですよ!」

2人で背中を合わせてポーズをとった。
かわいい。

龍田「2人とも、これあげるから初月ちゃんと一緒に甘い物を食べて来なさい。」間宮券3枚

照月「え!?で、でも!」

差し出された券を見て困惑する照月が秋月を見る。秋月も焦りながら那珂を見る。
すると那珂は笑顔で親指を立てた。

那珂「今日の公演はおしまい!お給金は後で届けるから行っておいで!」

秋月照月「「ありがとうございます!」」

パァっと顔を輝かせて2人は外へ走って行った。
259 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/01/15(日) 23:50:54.73 ID:ZS12p3yMO
天龍「で、相手は那珂か。」

ケミカルライトを片手でペンのようにクルクル回しながらニヤッとした。
逆に那珂はキョトンとしている。

軽巡同士の1対1なら初使用の装備でも勝ち目はある。だがその希望は一瞬で砕かれた。

提督「そんな訳ないだろう?」

提督が今度は両手をパンパンと叩いた。
260 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/01/15(日) 23:51:49.55 ID:ZS12p3yMO
強制脳内BGM 加賀岬

再度スモークが焚かれ、更には何処からかライトが照らされる。

赤城「想い焦がれて振り向けば赤城の山の朧月。」

工廠の入り口からマイクを片手に赤城が入って来た。

赤城「慕いし艦のいる海へ超えた波濤は何万里。」

スモークと共に舞台がせり上がり、そこには1人の女性の後ろ姿。

赤城「一隻の艦娘の情念を航空母艦、加賀が歌い上げます。 」

振り向いた加賀が小さく一礼。

赤城「それでは参りましょう、加賀岬!」
261 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/01/15(日) 23:54:19.76 ID:ZS12p3yMO
書き溜めはここまで。

ついこの前まで、頭の中を加賀岬と秋刀魚祭りが延々とエンドレスしてた。
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/16(月) 04:42:01.68 ID:HpCxtIgwo
よかれと思って那珂ちゃんは解体しときました!!!!!
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/18(水) 10:23:50.66 ID:u1qfo/wDO
赤城に草
一体何の対決になるんや?
264 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/05(日) 23:43:28.07 ID:6O6V/bi50
>>262 なんでや、那珂ちゃん可愛いやろ!


前回同様、第3演習海上。

ー天龍サイドー

夕張「・・・どうしてこうなった ?」

新型の艤装を左腕に、いつもの艤装を背中に装備した天龍の隣で自分の艤装を装備した夕張が嘆いた。

天龍「ハッハッハッ、災難だな。ま、俺に任せときな。何たって世界水準軽く超えてるからな!」

笑いながら夕張の肩をバンバン叩いた。

夕張「うう〜・・・一応は頑張りますけど、相手は一航戦が2人もいるんでしょ!?しかも数的不利じゃんか〜!」

提督『それを新型の艤装で覆すのだろう?前回同様勝ち負けは拘らん。』

愚痴をこぼす夕張に提督から通信が入った。因みに明石と秋津洲は鎮守府100週掛ける3。北上は150週掛ける3と後日の特別演習である。
265 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/05(日) 23:44:58.66 ID:6O6V/bi50
ー一航戦サイドー

那珂「それで、なんで那珂ちゃんが演習に出ないといけないのー!?」

提督『今日は待機だろ。なら演習に切り替わっても問題ないだろう?明日半休にしてやるから許してほしい。』

那珂「むー、提督のお願いなら仕方ないから頑張るけどさー。」

若干剥れながらも渋々了承した。その後ろでは赤城と加賀が弓と矢を確認していた。

加賀「新型の艤装に関しての情報は無いのですか?」

提督『私もまだ詳しい性能は知らない。それを確認するための演習だ。』

赤城「ふむ・・・完全に初見の相手ですか。腕がなりますね。」

提督の答えに小さく溜息を吐く加賀とは対照的に赤城は楽しそうに笑った。

提督『すまないな。だが君達の腕なら大事にはならないだろう。上手くやってくれ。』

加賀「・・・期待してくださるなら、答えます。」
赤城「おまかせください!」
266 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/05(日) 23:46:05.94 ID:6O6V/bi50
ー提督サイドー

やはり置かれた長机。その中央に提督が座り、左右に龍田とグラーフが座る。

龍田「加賀さんのキャラが前回と違いすぎじゃないかしら?」

提督「オンオフがしっかりしてるからな、加賀は。グラーフ、ドローンの操作は大丈夫か?」

グラーフ「ああ、問題ない。この子達も優秀だ。」フフッ

妖精ズ ドヤァ

グラーフの前には秋津洲の妖精とドローンの制御装置が置かれていた。

提督「流石だな。よし。では演習を始めようか。」
267 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/05(日) 23:47:47.41 ID:6O6V/bi50
ー一航戦サイドー

提督『今回は3対2だ。旗艦が大破判定の時点で演習は終了。天龍側は天龍を旗艦とする。3人も旗艦を決めてくれ。』

那珂「旗艦だって。うーん、それじゃあ一航戦のお二方のどちらかにやって」

赤城「那珂ちゃんで。」
加賀「那珂で。」

那珂「もらおうかなーって私ッ!?」

那珂が後ろを振り返りながら声をあげた。慌てながら手を振る。

那珂「わ、私が旗艦だなんて無理だよ!?ここは栄えある一航戦のどっちかの方が良いって!」

加賀「落ち着きなさい。一人称がブレてるわよ。」

那珂「あ、っとと。ハー、フー、よし、落ち着いた〜。」

加賀に指摘されて慌てて深呼吸をする。落ち着きながらも那珂の目は明後日の方を見ながら言い訳をしようとしている。それを見ながら赤城は微笑んだ。
268 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/05(日) 23:48:58.23 ID:6O6V/bi50
赤城「大丈夫よ。那珂ちゃんの腕前はわかってるから。」

那珂「えー、だったらやっぱり加賀さんか赤城さんの方が・・・。」

赤城「わかっているから、あなたに旗艦をやって欲しいのだけど。」

加賀「昼行灯を演じるのも程々にしなさい。演習は外部には漏れないのでしょうから、全力でやっても問題ないでしょう。」

赤城と加賀に言われ、那珂が一瞬ビクッとした。そして目を泳がせながら何かを言おうとして、諦めた。

那珂「は〜・・・どうなっても那珂ちゃん知らないからね〜。」
269 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/05(日) 23:49:31.12 ID:6O6V/bi50
ー提督サイドー

提督「話はついたな?では、那珂対天龍の演習、開始。」

提督の声に合わせ、計5人の艦娘は全て同時に動いた。それと同時に龍田が机に地図を広げ、5つの駒を置いた。
270 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/05(日) 23:50:54.88 ID:6O6V/bi50
書き溜めはここまで。

那珂ちゃんはかわいい。いいね?
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/06(月) 10:13:09.34 ID:T+06OlS5O
乙。この那珂さんは効かぬわ!とか沈め!!とか言う方の那珂さんなんだな……
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/06(月) 22:19:25.82 ID:SbmYynu+o
アッハイ
273 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/20(月) 00:08:43.96 ID:BwJxYROk0
推奨BGM ワーグナー 楽劇 第2部 第3幕前奏曲

ー天龍サイドー

天龍「よっしゃ、早速行くぜ!」

天龍が左手の艤装を構え、ボタンを押す。デーブルが開き、輝いた。

夕張「カードの確認はちゃんとした?」

天龍「おうよ。まずはこいつだ!」

艤装の中央から2枚カードを引き、テーブルへと置いた。機械的な音、光と同時に天龍の左右に1機ずつ、「二式艦上偵察機」が現れる。

天龍「そんじゃあ頼むぜ。」

天龍の声に応えるように2機の偵察機が飛び立った。
それに合わせて天龍と夕張も前進する。
274 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/20(月) 00:10:15.24 ID:BwJxYROk0
ー那珂サイドー

那珂「えーっとそれじゃあ微速前進しながらとりあえず偵察機?」

前へと進みながら後ろを那珂が振り返る。赤城と加賀も前進しながら頷いた。

赤城「私が飛ばします。加賀さんは護衛を。」

加賀「はい。」

2人が並んでそれぞれが弓を構え、一本、手に持った状態で矢をつがえた。

赤城「艦載機のみなさん、用意はいい?」
加賀「いきます。」

一矢放った瞬間、既に二本目はつがえられており、刹那のうちに二本目が放たれた。

赤城の放った矢は一本から2機の「彩雲」、つまり合計4機の偵察機となり、加賀の放った矢は一本から3機、計6機の「零式艦戦21型」となって飛び立った。

赤城「では、二手に分かれて索敵をお願いします。」

赤妖精1「ニンムリョウカイ。」
青妖精1「セイギハ オレガキメル!」

赤城の指示で偵察機2機の後ろに3機零戦が付き従う形で飛び去った。
275 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/20(月) 00:11:02.35 ID:BwJxYROk0
ー提督サイドー

提督「ふむ・・・。流石正規空母2人は偵察機だけでは飛ばさないか。」

グラーフ「あわよくば相手の目を潰す算段だな。」

映像を見ながらテーブルの地図に龍田が三角の駒を複数置いて行く。

龍田「互いに艦隊を見つける前に艦載機同士が接触するわね。」

提督「初戦は那珂隊に軍配があがるか?」
276 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/20(月) 00:11:42.71 ID:BwJxYROk0
ー那珂サイドー

赤城「敵機補足!」
加賀「ここは譲れません。撃墜を。」



ー天龍サイドー

天龍「!?敵の編隊か、マズいやられる!」
277 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/20(月) 00:12:26.11 ID:BwJxYROk0
※ここからは一部、イメージでお送りします。

天龍の偵察機1機と赤城、加賀の編隊が接触した。

青妖精2「おっと逃がすかよ!」

天龍の偵察機が緊急回避を試みるも、1機の零戦がそれを追う。当然逃げ切れるわけもなく、斉射を受け破壊された。

青妖精2「どうだい、俺の腕前も大したもんだろ。」

赤妖精1「最初からお前の技術を当てにしている。」

青妖精2「へっ、嬉しいこと言ってくれるぜ。」

会話をしている最中、煙をあげながら墜ちていく天龍の偵察機が音を立てて空中で消えた。

赤妖精1「消えた・・・?ただの艦載機ではなのか?」
278 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/20(月) 00:13:28.93 ID:BwJxYROk0
ー天龍サイドー

天龍「クソッ!1機やられた!」

天龍の腕の艤装に乗せられたカードが砕けた。
因みにこの艤装によって召喚された装備には妖精は乗っていない。

夕張「方角はわかる?」

天龍「ああ。進行方向基準に左に約35程だな。横から攻撃を受けたみたいだ。」

それを聞いた夕張が顎に手を当て、少し考えた。

夕張「なら、恐らく相手はこちらと同様に直進してる?」

天龍「あ?どういうことだよ。」

天龍が速度を若干落とし、夕張に並んだ。

夕張「私たちは今回、円周上に直径となる様にスタートしたはずよね?」

手のひらに円を書き、指を1本立てた。そしてそこから今度は二本の指を開く。

夕張「偵察機の進行方向が私たちと同じなら、恐らく二方向に飛ばして索敵してるはず。だったら補足後に対応しやすいのは・・・。」

天龍「中央って訳か。」
279 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/20(月) 00:14:37.78 ID:BwJxYROk0
ー那珂サイドー

加賀「敵偵察機撃墜を確認。」

赤城「お見事です。」

那珂「その偵察機が新型装備なのかな?とりあえずこのまま前進でオッケー?」

那珂が振り返り確認すると赤城と加賀も目を合わせて頷きあった。

加賀「では、追加で出しますか?」

加賀が矢を数本束ねて手に取った。

那珂「うーん、そうだね〜。その方が早く終わっちゃうかな。」

加賀「鎧袖一触よ。早々に終わらせるわ。」

いうや否や、数本の矢が瞬く間に放たれ、「流星」となって飛び立った。
280 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/20(月) 00:15:40.53 ID:BwJxYROk0
ー提督サイドー

提督「行動の速さは流石だ。」

グラーフ「艦載機の扱いに関しては間違いなく最高水準だな。」

グラーフが腕を組み感心する。

提督「だが、今回は1つミスをしたな。」

そう言って提督がニヤッと笑った。
281 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/20(月) 00:16:20.30 ID:BwJxYROk0
ー天龍サイド

天龍が艤装から新たに数枚カードを引き、確認する。

天龍「なあ、これとこれを同時に使ってみるのはどうだ?」

夕張「これは・・・成る程、上手くやれば引っ掛けられるかもしれないわね。ならこれも組み合わせましょう。」

天龍「!・・・成る程。やってみるか。」

夕張と互いにニヤリとしながら、テーブルに1枚そしてテーブルの下にある隙間に2枚、カードを差し込んだ。
282 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/20(月) 00:17:32.01 ID:BwJxYROk0
ー那珂サイドー

赤城「先行していた偵察隊が相手を補足しました。正面です。」

加賀「位置を確認。後続の攻撃隊もすぐに到着するわ。」

那珂(・・・簡単すぎない?何か・・・違和感。)

ちらっと後ろを確認する。加賀と赤城も警戒心を高めているのが見て取れた。

赤城「偵察隊は距離そのまま、補足ギリギリの位置で旋回させます。後続が到着と同時に一度後退させましょう。」

加賀「ええ。会敵までおよそ30秒。攻撃隊、雷撃準備。」
283 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/20(月) 00:18:28.35 ID:BwJxYROk0
※ここからは一部、イメージでお送りします。

偵察機の妖精が天龍と夕張を双眼鏡で覗く。
2人が並走して前進していた。

赤妖精2「戦術的にみて少数を倒すには、退路を断ち集中砲火を浴びせた方が確実な戦果をあげられる。だが・・・いくら何でも相手が無防備すぎる。罠か・・・?」

青妖精1「そんな事は関係ない。俺が正義だ!」

赤妖精2「やれやれ・・・。ん・・・攻撃隊が到着だ。一度帰投する。」

後方から来る攻撃隊を確認し、「彩雲」が機首を返した。

青妖精1「なんだと!?クソッ・・・俺は卑怯者だ!」

赤妖精2「その機体では艦攻はできないだろ。」
284 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2017/02/20(月) 00:19:13.35 ID:BwJxYROk0
書き溜めはここまで。
次回、ついに戦闘開始。
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