魔法少女ダークストーカー 2スレ目

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127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/25(火) 05:47:02.77 ID:o9z9VXnr0
子供とかって、大体未来への希望とか書かれるけど、それを逆手に取ってくるかぁ……
128 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2016/10/25(火) 23:01:37.65 ID:rhgc8MqBo
●ふくつの

無の核『おや…意外だね。キミはもう少し利口だと思って居たんだけど………勝ち目が無いって事が判らないのかい?』

ハル「判って居ます…でも、そんな事は些細な事です」

無の核『………勝ち目が無いって事は、大事な物を守れないって事だよ?』


ハル「………それも判っています」


無の核『………………』

ハル「………………」


無の核『あー………じゃぁ聞くけど、キミにとって重要な事って一体何なんだい?』

ハル「そんな事…決まっています。彼と居る事…レミちゃんと居る事……それを諦めない事です!!」


無の核『あぁ…あーあーあー…そう言う…そう言う事か。恐れ入ったよ……まさか君がそんな考えを持って居たとはね』


ハル「…………」

無の核『それって裏を返せば…例え皆を助けられなくても、自分がその信念だけ貫いて居たならそれで良い…他はどうなろうと構わない…って事だろう?』

ハル「……………」

無の核『でもさぁ……それって結局、何の解決にもなって居ないよねぇ?想いだけで何とかなるとか思っているのかい?』


無言のまま言い返さないハルに、したり顔で問い詰めて行く闇の核。

だが……そこで、堪え切れなくなった俺が口を挟む。


俺「何とかならねぇだろうなぁ………でもな」

無の核『おや、そこでキミ答えるのかい?まぁ良いや…でも………何だって言うんだい?』


俺「少なくとも、なぁ…諦めちまったら、可能性がある事も出来なくなっちまうだろぉがよぉ!!」


正直な所…策と呼べるような策は何も無く、勝ちの目なんて物は一切見えて来ない。

しかし、それを理由に諦める事など出来ず…俺は、抵抗を続けた。
129 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2016/10/25(火) 23:24:35.24 ID:rhgc8MqBo
無の核『………癇に障るなぁ…その考え方』

俺「そりゃぁ結構なこった」


無の核『何も考えて居ないくせに、ただただ無責任に可能性なんて言葉に縋るだけの愚かな行為…僕が一番嫌いな物だよ』

俺「そりゃぁそうだろぉなぁ…お前はただ困難から逃げて、それに二人を巻き込んだだけだもんなぁぁ!!」


無の核『………超越と逃避の区別も付かない愚鈍がっっ!!」

俺「手前ぇがそう思い込んでるだけで、実際は同じ物じゃ無ぇか!!」


無の核「この………いや、もう良いか。話すだけ無駄だ、もういい加減終わりにしよう』


レミの身体を操り…右手を高く掲げる、無の核。

その掌の先には、知覚も形容もし難い何かが蠢き……

それが、終焉その物である事を本能的に理解すると同時に………


    ノイズが走った。
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/26(水) 04:30:19.51 ID:j4Rn9IrX0
みんなの想いが世界を救うと信じて……!
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/27(木) 07:31:20.99 ID:IjQqnd240
↑打ち切りにすんなやwww
132 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2016/11/26(土) 20:17:51.92 ID:dwYs+t49o
●ほうかい

終焉が…一瞬にして世界を包み込み………

黒い雨が世界を塗り潰して行く。


見渡す限り一面は黒に染まり…残された存在は、俺とレミの二人だけ。

ハルも…カライモンも……虚獣の肉片までも、全てが飲み込まれて消えてしまった。

だが…その結果を悲しむ暇も悔やむ暇も与えられる事無く、俺も黒い雨に曝され………


世界の全てが終焉を迎え……最後に、俺と言う存在が消え去り行くその刹那に……


また、ノイズが走った。


無の核『やれやれ………君達は本当に諦めが悪いねぇ。ここまで来て、そんな足掻き方をするとはね』

カライモン「足掻きとは心外だね。これでも一応、前もって準備していた策略だよ?」

無の核『だとしても…結局は無駄な足掻きに終わったね。この結果も予想通りなのかい?』

カライモン「正直な所…想定の範囲内ではあったが、期待通りでは無かったと言う所かな」


終焉に飲み込まれ…消えたと思って居たカライモンと、無の核が交わす言葉。

俺は、余りにも唐突で急激な展開を追いかけるが…事態はそれを上回って走り過ぎて行く。


無の核『あんな物…幾ら切った所で、終焉の達成とはみなされない。それは先の戦いでも判って居た事だろう?』

カライモン「終焉を齎す者としての覚醒前と後で、その定義が変化しないとも限らないだろう?それに…」

無の核『時間稼ぎくらいにはなる……とでも、考えて居るのかい?』


二人の会話から推測した限りだが……


どうやら先の終焉は、カライモンの手引きで移動させられたIfの世界での出来事だったらしく……

何か俺の知らないルールの上で、搦め手を使ったようなのだが…それが不発に終わったであろう事も伺えた。


そして…その未知のルールの部分に、遅れて俺が推測の手を伸ばした所で……


またもノイズが走り、俺は別の世界へと引き寄せられた。
133 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2016/11/26(土) 20:34:31.88 ID:dwYs+t49o

どこかの世界…どこかの星の地表で、繰り返されるその行為。

高く掲げられたレミの右手に、何かが蠢き…それを見て俺は、先の世界の終焉を思い出した。


終焉を齎す者の力が、世界の全てを飲み込み…また一つの世界が終わる。

そう…この世界も、先の世界と同じように終わる。そんな予感のまま、成り行きを見守って居たのだが……


無の核『…………』

何故か…その行為が繰り返される事は無く、世界は未だに健在だった。


無の核『……小賢しい事この上無いね。こんな手に僕が引っかかると思ったのかい?』

カライモン「いいや?途中で気付いて止めると思って居たよ。そう…止めて貰えて良かった。Ifの世界と同じように終わってしまわなくて本当に良かったよ」

無の核『くっ……食えない奴だねキミは』

カライモン「お褒めに預かり光栄だよ」


何が起きたのか…いや、何故起きなかったのか。

カライモンと無の核のやり取りから、俺は再び推測の手を伸ばし……やっとの事で、掴むべき物の表面に触れ……


俺「………って、終焉の達成って…あぁ、そう言う事か!!」


自分の居る場所を、改めて認識した所で初めて……綻びの向こうから毀れ出した、微かな光明を見た気がした。


カライモン「そう………Ifの世界ならばいざ知らず…実在の世界では、終焉を齎す力を一度しか使えない…と言う事だ!…なぁ、そうだろう?」

無の核『…………………』
134 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2016/11/26(土) 20:46:18.38 ID:dwYs+t49o
●うらがわ

俺「一度しかって、そんな事……あぁでも待てよ?そもそも、世界の終焉なんて何度も起こす物じゃぁ無い訳だし……」

カライモン「原因…または理由がどれなのかまでの解明には至って居ないが、恐らくは……」


無の核『個体が世界に干渉出来る限界…それと、世界の終焉が次の世界線でのプロセスに組み込まれている…その他諸々、全てがその理由だよ』

カライモン「おや……やけに素直に認めてくれるでは無いか。観念して白状モードにでも入ったかね?」


無の核『いいや…その逆さ。それが知られた所でどうと言う事は無い……そう言って居るのさ!!』


突如として、無の核…レミの身体から溢れ出る力の奔流。

光…闇…無……俺の知りうる限りの核の力がうねり、一つになって……レミに、新たな外殻を作り出した。


無の核『忘れて居るかも知れないけど…ボクはこの三つの力を全て使えるんだよ?』


つい先ほどまでの力が、ほんのお遊びに見える程の…絶対的な力を見せつける無の核。

当然その力は脅威であり、俺達を絶望のどん底に叩き落すには十分なのだが……それとは別にもう一つ。

何故か…何かが、俺の中で警鐘を鳴らし続けている。

しかし、その原因を追う暇も無く…レミの右手から繰り出された一撃が、ハルとカライモンをいとも容易く薙ぎ払い……


無の核『キミ達が何を考え…何を画策していようとも……それを実行する前に片付けて、その後で世界を終わらせれば良い…それだけじゃないか』


痛感する寒気を咀嚼している暇すら無いままに、再びノイズと共に俺は別の世界に引き押せられ……

目の前の脅威から、距離を置く事が出来た………かのように思えたのだが――――


無の核『おいおい、忘れたのかい?並列世界間を移動出来るのは、キミ達だけじゃぁ無いんだよ?』

再び目の前に…レミの顔でうすら笑いを浮かべた、無の核が現れた。


俺「あぁ、そうだったな…そうやって、世界を跨いでストーキングを続けて来たんだったよなぁ!!」

無の核『で……それとは逆に、キミ達の並列世界間移動は頻度が落ちて来ているんじゃ無いかい?狭間に巣食う蜘蛛の限界かな?』


俺「………っ…」

この上無く悔しい事だが……無の核の言っている事は、恐らく当たっている。


厳密に、あと何回…と言った憶測を立てる事は出来ないが、乱発出来ない事は確実。

可能な限り、その範囲内で決着をつけたい所ではあるのだが……


どうやって、無の核を倒すのか…いや、それ以前に………

どうやれば、今この瞬間を生き残る事が出来るのか…まず乗り越えるべきその問題が丸々残っている。
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/27(日) 03:13:53.57 ID:kbEuZRvD0
ええい、世界を何個も何個も壊しよってからに……!
ん?そうか!だったら創ればええねん!(錯乱)
136 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2016/12/26(月) 16:30:43.40 ID:u5xxCPuoo
●おさらい

さて………現状をまとめてみよう。

あまり認めたくは無い事だが……正面から戦って、俺達に勝ち目は無い。


無の核『ほらほら、どうしたんだい?早く逃げないと肉片一つ残らないよ?』

少しでも間合いを取ろうと後退した所で…その先に回り込まれては、四体を切り刻まれ……


無の核『おや、やっと回復したようだね?さぁ、早く逃げなよ』

アラクの力により…ノイズと共に並列世界に飛んだ先でも、追い付かれて頭を鷲掴みにされ……

更には、並列世界の連続強制移動に付き合わされて……細胞…いや、分子レベルでボロボロにされる始末。


遅れて追い付いたカライモンにしても、成す術無く一瞬にして消し炭にされてしまい……


そんな風に見せ付けられた圧倒的な力の差でさえ……無の核にしてみれば、本気どころか朝飯前…いや、多分もっと容易い事で…

それを実感した時、俺の目の前は真っ暗闇に染まってしまった。


そう…今までの攻撃は全て、わざわざ俺達に判り易い方法で力を見せつけてくれただけで…

本気を出せば…俺達なんかでは及びも付かない方法で、知覚すら出来ないまま一方的に全てを終わらせる事が出来たであろう事が嫌でも判る。


勝てない…勝つ手段を持たないとか言う以前に、勝つ方法その物を導き出す事すら出来ない。

そんな現実を前にして、心が完全に折れてしまいかけたのだが…………


ありのままの…自分自身のこの状態を受け入れた時、何故かそこに違和感を覚えた。



もう一度…おさらいをしてみよう。


何が起きるのか…どんな手で追い詰められ、何が起ころうとしているのか。

向かう先は暗雲に包まれ…俺達の行く手は、果てしなく厚い壁に阻まれていて…… 


一つだけ言えるのは………無の核はまだ、本気を出して居ないと言う事だけ。

もしも…三つの核の力を用いて俺達を消し去ろうとしていたのならば、俺達はなす術も無く消滅して居る筈。


だが何故………

何故今まで、それを実行に移さなかったのか?


満身創痍ながらも、俺達はまだこうして生きている…この世に存在している。


と言うか、それ以前に……もっと前の段階での違和感がある。

無の核自身も、並列世界間の移動が出来る…

にも関わらず何故、俺達が居ない間に元居た世界に終焉を齎さなかったのか………


いや……そんな事は判り切っているいるじゃないか。


これがもし、戯れや気まぐれだったって言うなら話は別だが……

やりたくても出来ない……それ以外の理由がある筈が無い。


無の核からすれば…手の内を暴かれ、一刻も早く決着をつけて全てを終わらせたい筈。

それでも出来ないと言う事は、何か出来ない理由がある筈だ。


今までの経緯の中に、何か手掛かりは無いか……俺は記憶の糸を手繰り寄せ……


俺「まさか……いや、ありえるか……?」
137 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2016/12/26(月) 17:01:35.83 ID:u5xxCPuoo
●あやまち

銀髪の女性『何故…何故なんだ!!君達とならば、更なる次元の高みに上る事が出来るんだよ!?何故それを拒むのさ!!』

銀髪の女性『そうか…まだ、この次元に未練があるんだね?』

銀髪の女性『この世界は有限で…終焉は必ず訪れる。それはキミ達も判って居る事だろう?』

銀髪の女性『忘れてしまったのなら、ボクが思い出させてあげるよ』

銀髪の女性『思い出すまで……何度でも…何度でも何度でも何度でも。ボクが…終焉を齎す者となってねぇ!!』


銀髪の女性…無の核の言葉を思い出し………

その可能性に辿り着いた。


俺「やたらと執着してるとは思ったが…まさか、ここまで徹底してるたぁなぁ……」

無の核『…何の事を言っているのかな?』


俺「それが終焉の条件なのか、お前の拘りなのかまでは判らねぇが…こいつ等の目の前で世界を終わらせるのが、お前の目的だろ?」

無の核『………それが判った所でどうするんだい?』

俺「否定は無し……か。ばれた所で支障が無い…って所だよなぁ」

無の核『当然だとも。片鱗を掴んだくらいでそれを止められる筈が無いだろう?』


辿り着いた答えにより、一矢報いる事は出来た。

だが……一本の矢で与える事が出来る程度の傷では、足止めは叶わない。

一歩…また一歩。確実に迫り来る終焉の足音を聞く中……


また、ノイズが走り――――


目の前には、無数の巨大な白い肉片が散らばっていた…………―――

俺「…ってオイ!!ここって―――」


凡ミスなのか、能力の限界なのか…そもそも、それを責める事が筋違いなのは重々承知の上なのだが…

無の核『おやぁ?うん……この残り香…間違い無いようだね』

マズい……こここだけは………この世界だけはマズい。


無の核『さぁ…終わらせようか。キミ達が生まれ育った、この世界をねぇ!!』

逃げるどころか…自分から火に飛び込んで、その身を焼き尽くすような…

いや、加えてそこに殺虫スプレーを構えられている状態とでも言うべきか……


俺「………って、そんな事考えてる場合じゃ―――」

言葉も思考も…紡ぎ終える暇さえ与えられないまま…


無の核は、その右手に終焉の力を篭め始めた。
138 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2016/12/26(月) 17:42:50.75 ID:u5xxCPuoo
●らんしん

阻害出来る見込みなど無い…が、だからと言って手をこまねいて見ている訳にも行かない。

俺は、ディメンションスレイヤーの銃口を無の核の右手に向け…その引き金を引き絞る……、


が………そんな抵抗すらも許されない。


力を篭めた筈の指は、引き金を引き切る寸での所で止まり…当然のように、他のどの部位も動かす事は敵わず…

苦し紛れに展開した停滞空間に至っても、ほんの僅かな時間稼ぎにしかならず…

辛うじて形成していたイタチごっこさえも、知覚不能な超常の力により捻じ伏せられ…

今正に、終焉が解き放たれようとしたした瞬間………


宇宙空間に走る白い亀裂と共に、ハルが現れた。


ハルもまた、登場と同時に停滞空間を展開し…無の核がそれに応戦。

俺の時と同じように、僅かな時間のイタチごっこに持ち込むかのように思われたのだが……


ハル「…………」

俺「………え?」


何故か…ハルは一瞬だけ俺の方に視線を向け、手に持ったステッキを回転。

ステッキを逆手に持ち、両手で握り締めたまま光の刃を形成し…


俺「………はっ?」

レミ「……―――え?」

無の核『な……っ?!』


光の刃を…自らの下腹部に突き立て……そのまま、身体を刺し貫いた。
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/26(月) 22:30:57.28 ID:Zt4wp63Xo
久方に更新キタ━(゚∀゚)━!
140 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/01/25(水) 02:06:40.44 ID:69iZzNRyo
●あつれき

皆の思考が停止し、時間が止まってしまったかのように硬直する中……


―――一番最初に動き出したのは俺だった。


ハルが何を思い…何を意図して…何のためにあんな行動に出たのか…その答えに、俺が最も早く辿り着き…

俺に続くようにレミが動き出し……無の核を拒絶。

レミの身体から弾き出された無の核を、ディメンションスレイヤーの弾丸が撃ち抜いた。


レミ「ゴメン……ゴメン!ハル!!アタシの…アタシのせいでっ!!!」

ハル「うぅん…良いの、レミちゃん。これも…私が決めた事だから」


無の核『馬鹿な…馬鹿な馬鹿な馬鹿な!!イカレてる!狂ってる!!そんな…そんな道を選ぶなんて!!』

俺「驚きぁしたが…俺は、ハルがイカレてるとは思わねぇよ」


半身を失い…所々が掠れた声で叫ぶ無の核。


レミ「アタシ…ずっと思い違いしてた!傲慢だった!!ハルのためって決め込んで…肝心のハルの気持ち、全然判ってなかった!!」

ハル「それじゃ…今度からは、ちゃんと話そ?皆で話して…それで決めよ?」


無の核『判ってるのか!?ハルが取った行動は…これから先もずっと――――――』

俺「あぁ…判ってる。判ってなけりゃぁ、ここまで怒りが込み上げて来ねぇよ!でもなぁ!!」


ハル「そう……例え拭えない罪と悲しみを背負っても…」

レミ「苦しみ続ける事に…なったって」


俺「これから先もずっと、手前ぇと戦い続ける…皆、そう決めたって事なんだよ!」


無の核『―――…っ……馬鹿げてる。第一、戦い続けた所でボクに勝つ事なんて出来ない!その位は判ってる筈だ!』

俺「あぁ…確かにな。んでも…俺達が足掻き続ける事で、手前ぇの目的を邪魔し続ける事が出来る。そうだろ?」

無の核『っ……どれだけ腐った性根なんだ。第一、それが無意味な悪足掻きだと何故判らない!』


俺「性根の悪さはお互い様だ。んで…悪足掻きなのは認めるが…あながち無意味ってぇ訳じゃ無ぇよ。現に………」

無の核『……………』


俺「ハルの行動で…今も依り代も、その先に依り代にする筈だった存在も失って、お前はもう、世界に終焉を齎せない!そうだろ!!」
141 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/01/25(水) 02:10:37.96 ID:69iZzNRyo
●ておくれ

俺達…ハルの行動により一気に形勢を逆転された無の核。

無の核『………フフッ……ハハハ…ハハハハハ!』

しかし…そんな状況下にありながらも、無の核は高笑いを上げ始めた。


俺「ハン、そう言うのはもう良いってんだよ。高笑いが逆転フラグだと思ったら大間違いだ!」


無の核『フフ…フハハハハ…ハハ……いや、失敬。そうじゃ無い…そうじゃ無いんだ』

俺「だったら何だってんだ。ついに諦めて観念したか?」

無の核『まさか?そんな筈が無いだろぅ?ボクが言いたいのは、そんな事じゃぁ無いんだ』


俺「………だったら何だってんだ。勿体ぶらずに言ってみやがれ!」

無の核『せっかちだなぁ…じゃぁ、お望み通り教えてあげるよ。僕が言いたいのは……』


俺「………」

ハル「………」

レミ「………」


勿体を付ける無の核と…それに聞き入る俺達。

そんな中、不意に……俺達と無の核の間に、一筋の黒い線が走り……


無の核『もうとっくに、勝負はついている……そう言っているのさ!』


――――世界に


―――――黒い雨が降り注いだ
142 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/01/25(水) 02:18:59.61 ID:69iZzNRyo
●おしまい

星々の光が、一つ…また一つ。黒い雨に飲み込まれて消え去り……

真っ黒に染まり切った景色の…その向こう側から、無の核の声が響く。


無の核『残念だったねぇ?あとほんの一瞬だけ早ければ止められたかも知れないって言うのに』

レミ『………っ……』

無の核『さぁ…今度こそ本当の終焉の始まりだ!』


雨に触れた物は、その存在その物を丸ごと削り取られ…無に飲み込まれて行く。

今はまだ、俺達の下に降り注ぐ雨は少ないが…それも時間の問題だろう。


無の核『……とは言え、こんな様で勝利を語る程にボクは恥知らずでは無いからねぇ。痛み分けと言う事にしておこうじゃぁ無いか!』

わざとらしく…笑いを堪えながら言い放つ、無の核。


無の核『残された僅かな時間で、この世界の終焉を見届て…それからキミ達も後を追うと良いさ!!』

そして、その言葉を最後に無の核の声は途絶え…この世界には、俺達だけが取り残された。


俺「あの口ぶりからして…俺達を消し去るのは最後の最後…って所か」

レミ「……ゴメン。アタシが……アタシが、もっと……」

俺「いや、だからそれはもう良いっての。今更そんな事言っても仕方無ぇだろ?」

レミ「…でも………」


ハル「レミちゃんは、私達の事を思ってしてくれたんだから…例えそれが間違いだったとしても、私は嬉しかったよ」

レミ「ハル……」


ハル「第一…謝らなければいけない事だったら私だって彼に…」

俺「え?」


ハル「ずっと黙ってて……それなのに、あんな土壇場であんな事……」

俺「あぁ…でもまぁ、ハルだって迷って…悩み抜いて決めた事なんだろ?だったら、俺はそれを責める気にゃぁならねぇよ」

ハル「………ありがとうございます、その言葉で救われました。それに…」

俺「…それに?」


黒い雨が世界を塗り潰し…俺達の頭上から降り注ぐ。


ハル「それに…最後に……最後の時にこの三人で一緒に居られるなら……」

俺「ハル………」

レミ「ハル……ハルぅ………」


俺は二人を抱き寄せ…最後に……迫り来る終焉への、抵抗の意思を示すよう…ディメンションスレイヤーを突き立て………


―――――黒い雨に飲み込まれた、世界は……終焉を迎えた。
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/25(水) 07:23:35.17 ID:72E6obrV0
上には上が居る考えでいくと、無の核が世界壊してちょづいてるのを、上位の上位存在なんてのが目障りに思ったりしたら
世界がこうされてる理由も因縁も何もかも無視されて、あっさり過ぎる程にあっさりと、ぷちっと潰されて終わるのかな?
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/06(月) 18:14:44.04 ID:L+P8Waao0
こいつって結局ウロボロスだかより強欲な私怨で世界壊してるじゃんね(呆れ)
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/23(木) 16:45:46.03 ID:STozTom70
で、もちろんこれで終わりなんて訳ないんだろ? 溜まったフラストレーション、カッ飛ばせるキモチ⤴続きがあるんだよな?
146 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/03/20(月) 18:32:05.72 ID:UVX0DcQxo
〇しなおし

―――さて。

途中で幾つかの誤算はあった物の、ボクの目的は無事に達成された。


さっきまで居た世界…彼女達が固執していた世界の終焉は成った。

後は…物質媒体を失った彼女達の痕跡を辿って、再び説得を試みる。それが叶わないのであれば、判って貰えるまで続けるだけ―――


カライモン「………なんて事を考えて居るのだろうね」

ボク『―――っ!?………あぁ、そうか…キミはあの世界に戻っていなかったねぇ。いや…あえて戻らず、故郷の世界との心中を避けたと言うべきかな?』

カライモン「そうだね…世界との心中を避けるため、あえて戻らなかった」

ボク『やはりねぇ…その割り切りの良さと言い、才能と言い…認めよう、君は切り捨てるには惜しい逸材だ。どうだい?何ならボクの……』


カライモン「だが……君は大きな勘違いをしている」

ボク『………何?』


カライモン「よぉく確かめてみ給え。いつものように…世界を終わらせる度にしていたように、彼女達…核の存在やその痕跡を辿ってみると良い」

ボク『そんな事、言われるまでも無く………ん?』


カライモン「……ふふふ…気付いたようだね」

ボク『そんな…馬鹿な!!こんな事………っ!!』

カライモン「ある筈が無い…だろう?だが…ところがどっこい、これが現実だ!」


ボク『何故だ…ボクは彼女達の居た世界を終わらせた…終わらせた筈なのに……何で、何で別の世界に彼女達の痕跡が残ってるんだ!!』


カライモン「策士策に溺れるとは言うが…見事に溺れてくれたね。いやぁ、見て居て爽快だったね」

ボク『な…に……?』


カライモン「なまじ目が良すぎる物だから、逆に見えない物を見ようとしない…そんな事だから、引きずり込まれて溺れて居ても気付かないのだよ」

ボク『………能書きは良いから、早く種明かしをすれば良いじゃないか。そのためにキミはここに来たんだろう?』

カライモン「やれやれ、せっかちだね……良いだろう、教えてあげよう。どうやって君を出し抜いたのかを…ね」


口元に笑みを浮かべ…カライモンは語り始めた。
147 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/03/20(月) 18:52:29.44 ID:UVX0DcQxo
カライモン「まず初めに…判って居るとは思うが、ついさっき君が終わらせた世界は……私達の生まれ育った世界では無い」

ボク『そう言う事なんだろうね、でも納得が行かない。あの世界には彼女達の痕跡が確かにあった…あれはどう言う事だい?』

カライモン「そこはやはりと言うべきか…残留した痕跡で判別をして居たのだね。ヤマが当たって良かったよ」


ボク『いや…例え判って居たとしても、一昼一夜で用意出来る濃度では無かった。いや、そもそも偽装なんて出来る筈が無いんだ』

カライモン「だろうね。だから下手に偽物を用意しても無駄だと思い、本物を使わせて貰った」

ボク『本物………まさか?』


カライモン「そう……隣合ったもう一つの世界。より濃く痕跡の残った、あの世界に君を誘き寄せたのさ」


ボク『ボクを欺くため…そのために世界を丸ごと囮にしたって言うのかい?いや、だとしてもおかしいじゃないか。そもそも―――』

カライモン「絡み合った二つの世界線は、同時に断ち切られる筈だった…だろう?だから………あらかじめ二つの世界を分断しておいた」


ボク『なっ…………』

カライモン「それと誤解の無いように言っておくが…あの世界の住人は、全員Ifの世界に避難済み。つまり犠牲者は皆無だ」

ボク『………………』

カライモン「これに関しては、さすがのアラク君にも重労働でね。肝心の君との戦闘においてはご存知の通り…本当にギリギリの余力になってしまったよ」


ボク『成程…成程ね。完敗だ、完全に出し抜かれてしまったよ………今回は…ね』

カライモン「………今回は?」

ボク『一度空撃ちしたら、それで終わりかと思ったかい?少し時間はかかるけれども、もう一度プロセスを一巡させれば良い…それだけだよ』


カライモン「………そうか…それが君の思惑か」

ボク『さすがにそこまでは考えが及ばなかったかい?残念だったねぇ!一度勝っただけで良い気にならないでくれるかい?最後に笑うのはこのボクさ!!』

カライモン「いや、そう言う意味では無い。と言うか…痕跡を探った時点で気付いている物とばかり思っていたのが…」


ボク『は?一体何の事を……ん?………な…に……?そんな…これは、まさか……!?』


カライモン「そう…私がこうして長々と種明かしをしていたのは、あくまで時間稼ぎのためだ。そして………」

ボク『馬鹿な…馬鹿な馬鹿な馬鹿な!!何故だ…何故……世界の終焉に飲み込まれた筈なのに!!』


カライモン「次回なんて物は存在しない。今回が君の最終回…終焉だ」


ボクの目の前に、あの男と二人の女…世界と共に終焉を迎えた筈の三人が、姿を現した。
148 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/03/20(月) 19:17:29.90 ID:UVX0DcQxo
●からくり

降りしきる…終焉の黒い雨の中。俺とハルとレミは身を寄せ合っていた。


辺り一面の景色を塗り潰し…最後の締め括りとばかりに、俺達の頭上から降り注ぐ黒い雨。

俺は、それに向けてディメンションスレイヤーを突き立て…親指でハンマーを押し込んだ。


先端から根元にかけて、螺旋状に光が走り……ひび割れから刀身全体に、亀裂が走る。

そして、刀身の奥から現れた光が六角形を形成し………


ハル「え……?これって、もしかして……」

レミ「あ、そっか…これ、例の……」

俺「あぁ…そうだ。ついでに言うなら…特大サイズだから、三人で相々傘だって出来ちまうぜ」


その傘で、終焉の黒い雨を弾き飛ばした。


俺「さて、諦めモードに入ってた所を悪いんだが…このままじゃぁ、どうにも収まりがつかねぇ。俺は、無の核を追いかけようと思うんだが…」

レミ「ま、当然よね」

ハル「ですよね」


俺「追いかけて…例え無の核を倒せたとしても。世界を元に戻せる訳じゃぁ無いし、そもそも倒せるかどうかも判らない」

レミ「そう…ね。依り代を無くして、使える力が限られてるとしても……そもそも、存在その物が生物を超越しちゃってるものね」

ハル「でも……だからと言って、それを理由に諦めるのも何ですから………」


レミ「じゃぁ…あれ、いっとく?」

ハル「そう…だね」

俺「あぁ…そうだな」


レミ「世界は…もう終焉を迎えてる……」

ハル「無の核は、存在自体が別次元で…勝てる見込みも無い……」

俺「どうしようもないような絶望的な状況…やる事なす事全部無駄に終わるかもしれねぇ。んでも……」


「「「それがどうした!!」」」
149 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/03/20(月) 20:18:41.71 ID:UVX0DcQxo
●かくしん

俺「……って、こりゃぁ一体どーいう状況だ?」


無の核を追いかけ、再び世界の壁を超えて来た俺とハルとレミ。

当然ながら…俺達三人は圧倒的な劣勢を覚悟した上で、無の核との決戦に臨んだ訳なんだが…


カライモン「やれやれ、遅かったではないかね」


待ち受けていたのは……無の核と対峙する、カライモン。

いや…カライモンの唐突な登場はいつもの事なので、驚く程の事では無いのだが……この場合の問題は、無の核の方だ。


無の核『…………』

俺達の生存が不測の事態だったのは判る。が…この余裕の無さに関しては、不可解な事極まり無い。


俺「…なぁ、俺達が居ない間に何があったんだ?何となく、無の核が気圧されてる感じがするんだが?」

カライモン「時間稼ぎ以外は別に何もしていないよ?君達が戻るまでの時間稼ぎと足止めだけして…あぁ、後は君達が無の核を倒すと宣言したくらいか」

俺「は?…おま…そんな無茶な宣言を……」


カライモン「出来ないのかね?」

俺「あー……いや…やるさ、例え出来なくてもやってやるっての。どうせそのために戻って来たんだしな」

カライモン「ならば別に良いだろう?ほら、有言実行し給え、私を嘘吐きにするつもりかね?」


いけしゃぁしゃぁと、いとも容易く無理難題を押し付けて来るカライモン。

それに対して言いたい事は山程あるが、今はじっと堪え…俺は、無の核に向き直る。

が…それらの一連のやりとりの間に余裕を取り戻したのか…無の核は口元に笑みを浮かべていた。
150 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/03/20(月) 20:30:05.40 ID:UVX0DcQxo
無の核『ははっ…ははははは!!何だい何だい、驚かせてくれちゃって!結局、無策のまま戻って来ただけなんじゃないか!!』

俺「っ………」


悔しいが…無の核の言う通りだ。

勢いだけで戻っては来た良い物の…具体的にどんな手段があるのかと聞かれれば、それに即答など出来よう筈も無い。

いや…例え時間があって充分に考え抜いたとしても…打開策が浮かんでくるとは到底思えない。


あの手もダメ、この手もダメ…付け焼刃は剥がれて、切り札は切り返されて、奥の手は絡め取られ…最後に手痛い反撃をくらったばかり。

後、残っている物と言えば―――


カライモン「………いい加減、出し給えよ」

俺「…はっ?」

カライモン「まだアレが残っているだろう?それを見越した上で、私は勝利宣言を行ったつもりなのだが?」

俺「いや、んでもあれは…今までの結果を見ても、相性が……って、何でその事を知ってんだ!?」


カライモン「私から言えば、むしろ何故今まで隠し通せていると思っていたのかが不思議だね。アレが無ければ、時間も場所も判らなかっただろうに」

俺「それは確かにそうなんだが……いや、んでもな?お前だって見て来ただろ?アレは無の核との相性が―――」


そう…確かに一つだけ残っている隠し玉はある。しかし…今までの結果で実証された通り、その有用性は見込めない。

だが、何故だろうか……余裕を取り戻した筈の無の核の顔が、俺達の会話を聞いてまたみるみる内に青ざめていくように見えた。


カライモン「それは間違いだ。まず前提からして間違っている。相性が悪かったのは無の核では無い。無の核と………」

俺「無の核と?………あぁ…あぁぁぁ!!そうか、そう言う事か!!」
151 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/03/20(月) 20:32:43.44 ID:UVX0DcQxo
正直な所…俺一人の考えでは、その結論に辿り着く事は出来なかった。

だが、カライモンの確信じみた言動と無の核の様相により…俺は、その答えに辿り着くための道筋を見付ける事が出来た。


カライモン「やっと気付いたようだね?ではもう判った筈だ。無の核単品が相手なのであれば…」

無の核『……っ…何を思い付いたのは知らないが、それが勘違いだとしたらどうするんだい?一歩間違えば…それが原因で―――』

俺「世界を滅ぼす事になるかもしれない……か。成程…やっぱり予想はドンピシャだったみたいだな」

無の核『―――っ!!』


追い詰められ…必要以上に饒舌になった無の核。

滑稽なその姿に哀れみさえ覚える……が、だからと言って手心を加える気も無い。


今度こそ……今度こそ。無の核と…それに関わる因縁を断ち切るため……

正真正銘最後の手…隠し玉を突き付ける。


俺「出てこい……………ケート!!」
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/20(月) 21:32:23.94 ID:thZrnkhe0
そいつは……!                    誰だっけ?
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/03/22(水) 20:33:09.89 ID:1n1qcHOY0
毛糸だけに隠し”玉”?w
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/25(土) 20:39:12.72 ID:nhkppLNV0
っべーわ、マジ記憶にねーわー
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/26(日) 13:28:20.00 ID:aCnVOlQCo
なんと1スレめにも名前は出てないんだぜ
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/26(日) 13:46:02.96 ID:qxScK0nxo
大丈夫、2スレ目でも>>151だけだ
157 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/04/25(火) 12:57:49.86 ID:/Xz7vhnao
●はんてん

全身からカサブタを引き剥がされるような痛みと違和感と共に…それは姿を現した。


カライモン「…………」

やれやれやっとか、と言わんばかりの呆れた顔でそれを見るカライモン。


レミ「えっ……何で……?」

事態を飲み込めず、困惑するレミ。


ハル「え?…あ……これって……つまり」

遅れながらも、理解するハル。


そして…………


無の核『……………』

険しい表情を浮かべた無の核が


目の前に現れた、人型の…少女の形をした虚獣を睨み付けた。


俺「さて……これでもう、無の核との決着がつく訳だが……お前たちもそれもで良いんだよな?」


光の核『………』

闇の核『………』


元は二人の友人だったとは言え…その行き過ぎた友情…いや、愛情や愛憎により悪質なストーカーと成り果ててしまった無の核。

その余りにも横暴が過ぎる振舞い故に…二人の中では、答えが出てしまっていた。

そして…その答えは、無言の肯定となって示され……俺は、その肯定の下に行動を起こす。



無の核『ぁ…がっ…………』


――――決着は正に一瞬だった。


無の核が、黒い線…いや、ディメンションスレイヤーの力さえ含んだ黒い線で、ケートに襲い掛かるが……

その行動を読んでいたケートは、難無くそれを回避。

更にそこから、無の核の眼前に転移した後……


呆気無い程簡単に、無の核の大半を削り取った。
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/04/25(火) 13:47:02.73 ID:Uy9ZXZpv0
そこは一撃全消滅で決めろよ。九割九分九利は甘えってのがどっかの界隈ではあるんだぜ?
159 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/04/25(火) 14:11:11.27 ID:/Xz7vhnao
●おしえて

無の核『こん……な…事………ボクは…認め……無い…っ』


自身の大半を消失し…存在自体が希釈され、その維持すらもままならなくなった無の核。

長くは持たない…このままの状態で放置したとしても、形勢が覆る事は無い。それは誰の目から見ても明らかだった。


俺「いい加減認めろよ。お前はやり過ぎた…んで、そのツケが回って来たんだよ」

無の核『認められる…か!納得できる物か!!何で…何でキミが虚獣を……』

俺「コイツを浸食した時、そのまま俺ん中に取り込んだ」


無の核『じゃぁ…そもそも……何で…虚獣が…ボクに対する…決定打になると……判った』

俺「判ったってーか…思い出したんだよな。俺達の…最初の最初、全部の出来事が始まるきっかけをな」


レミ「きっかけって言うと…えっと、ロストがアンタを襲った所よね?」

俺「いや、もっと前だ。俺が巻き込まれる以前に、神風が……」

レミ「闇の核の一部を奪って、その中に無の核の一部が潜んでて…その際に神風が無の核の干渉を受けて……あ!そっか!!」

俺「そうだ…神風が闇の核にしたのと同じ事を、今度は虚獣が無の核にすれば良い…って訳だが」


カライモン「ちなみに、補足しておくならば…同じ力を持った、根幹を食らう竜でも同じ事が出来た訳だが…さぁ、続け給え」


ハル「その手段と可能性を…隠蔽されていたんですよね。虚獣やスピリット自身…そして、私達を利用する事で」

無の核『…………』
160 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/04/25(火) 14:18:01.90 ID:/Xz7vhnao
俺「まず第一に、それぞれの核の力…ディメンションスレイヤーで虚獣を書き換える事は、世界の崩壊に繋がるって仕組み」

ハル「これにより私達は…虚獣に対しての内部干渉は出来ない、してはいけない…されてはいけないという前提が出来ました」


俺「んで次に、大本命。虚獣からの直接干渉だが…こいつは、神風を操るって言う反則技でそれを回避した訳だ」

レミ「そっか…虚獣が今みたいな行動を取れなかったのって、神風が居たから…予測されて邪魔されるから、実行できなかったって事ね」

ハル「そう…だから、質量による消耗戦に持ち込まざるを得なくなった訳」


俺「でもって最後に…虚獣ケートス戦で、神風が身体を張って地球を守った事で、この前提が崩れた訳だが……」

無の核『…………』

俺「最後の虚獣は、既に顕現を開始しちまっていて…折角の千載一遇のチャンス、神風の不在に付け入る事が出来なかった…と」


レミ「で……後は私達も知っての通り。コイツがアタシ達を出し抜こうとして、嘘を吐いて一人で虚獣の所に向かって…」

俺「焦った無の核が、レミを連れて先回り。奥の手の黒い線を使って、行動を起こされる直前に先手を打った」

ハル「これらの要因のせいで、私たちは…虚獣の力を誤認…いえ、誤解させられて居たんです」


俺「ってのが真相な訳だが……カライモンは、この辺りの事も全部分かってたんだよなぁ?」

カライモン「勿論…無の核の力は既に分析済みだ。まぁ、私にしてみれば造作も無い事だったがね!」

俺「いや、それ悪役のセリフ。ってか、モロにやられフラグ立つから止めようぜ!?」


無の核『ははっ……はっ…なんだよ……だったら…何で……何でこのタイミングなんだ!!』


カライモン「ふむ…少し考えれば判る事なのだが。君がそれを聞くとは、余程余裕が無いようだね」

当然と言えば当然の疑問。ついでに言えば俺も気になっていたその部分を…

半ば呆れ顔になりながらも、カライモンは語り始めた。


カライモン「至極単純な話…一番の問題は、レミ君の安否だよ」

レミ「え?アタシ?」

カライモン「虚獣の力とは言え…レミ君と一体化している状態で、無の核のみを削り取る事が出来るかどうかは未知数だ。となれば…」


レミ「アタシが無の核から解放されるのを待ってたって事!?そんな…アタシなんかと世界を―――」

カライモン「そう言うのは止め給え」

レミ「えっ…あ………ゴメン」


カライモン「では二番目の問題だが…これは、その時点では不確定だった、終焉を齎す方法その物だ」

俺「まぁ、そうだよなぁ…どんなのか判らねぇ以上、下手な事は出来ねぇよな」

カライモン「とは言え、これも想定内…虚獣を巻き込む事も無く、且つ世界の終焉を避けつつ空撃ちさせる事に成功した…と言う訳だ」
161 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/04/25(火) 15:05:10.45 ID:/Xz7vhnao
●かくへん

無の核『こんな……こんな事………嫌だ…認め…たくない!……消えたく………』


消滅を目前に控え、足掻き続ける無の核。

散々やりたい放題やらかして来た末の当然の結果ながらも、その姿には哀れみを禁じ得ない。

が…だからと言って、今更こいつの行いを許す訳にもいかない。


俺「ったく…往生際が悪いにも程があんだろ。お前はもう、完全に俺達に……ん?」

念には念を…相手が無力化されていると判っては居ても、何をしでかすかは判らない。

そう思って、無の核を注視する最中………


―――それは起きた。


俺「んなっ!?」

レミ「な…何これ!?」


無の核から銀色の 何か が溢れ出した。


無の核『そんな…馬鹿な……ボクを…見限った…のか…?ボクは…選ばれ………選ばれ……え?…あ……?』

狼狽する無の核を余所に…形容し難い形状と躍動によりその存在を誇示する、銀色の何か。

一体何が起きているのか…目の前の物は一体何なのか…皆が皆困惑と警戒の表情を浮かべる中……


闇の核『そんな……あれは…』

光の核『あり得ん!奴は…っ』

光と闇の核だけが、確信を持った眼差しでそれを見据え


ケート『………ウロボロス』


……虚獣ケートが、その名前を呟いた。
162 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/04/25(火) 15:29:42.16 ID:/Xz7vhnao
俺「……はぁっ!?」

ウロボロス……それは、光と闇…そして無の核の3人の世界を滅ぼした存在。

世界が食い潰されるその瞬間まで、何人たりとも抗う事は出来ず…3人が今の状態となるに至った元凶。

改めてそれを目の当たりにした俺は、思わず声を上げ……


当たり前のように、いや…僅かな期待に突き動かされ、カライモンへと視線を向けた。


カライモン「……無茶を言わんでくれ給えっ!あんな規格外な物、事前情報も無しに…っっっ――そうか…本来の管轄と言うのはそう言う事か!!」

俺「管轄?」

カライモン「いや、こちらの話だ。それよりもまず、ありったけの情報を寄越し給え!可能な限りの対抗策を練るしかあるまい!」


俺「情報っても…俺が見せられた記憶じゃぁ有効な手段は無さげだったんだが…おい、お前達は何か知らねぇのか!?」

光の核『奴は…ありとあらゆる法則を超え、世界その物を存在ごと食らい尽すモノ…』

闇の核『ウロボロスに対し…私達は肉体を捨てて、こうして精神のみの存在となって逃げる事しか出来ませんでした』


光と闇の核から伝えられる情報は、俺も知っての通りの内容。

至って簡素で…現状を打破するには至らない物。

何か…ほんの少しでも、何かのきっかけになる物が無いかと模索する中……


無の核『いや……精神体でさえ…ウロボロスから……逃れる事は…出来なかった』

いらん横槍を、無の核が―――――ん?


光の核『その髪……瞳…』

闇の核『貴女…やはり……』


視線を向けた先に居たのは、紛れも無い無の核だった。

だが…その髪や瞳は、先程までの銀色とは異なり………透き通るような空色をしていた。
163 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/04/25(火) 16:02:33.61 ID:/Xz7vhnao
無の核『ウロボロスは…そもそも、物質的な病原菌でも無く…ましてや世界の仕組みでも無いんだ。あれは………っ…!』


俺「あー……ちくしょう!!様式美として突っ込みたい事や聞きたい事が山ほどあるが、今は省略してやる!!早く続けろ!!」

レミ「えっ!?そこ省略しちゃうの?」

ハル「今は一刻を争う時だと思うから…ね?」


無の核『世界の枠を超え…より上位の存在から干渉する、恐らくは………淘汰と言う現象その物なんだ』


俺「んで…その上位の存在をどうにかするには、一体どうすりゃぁ良いんだ?」

カライモン「いや、簡単に言ってくれるが…上位存在への干渉など、そう簡単には行えんだろう。それこそ、幾つもの条件が…いや、そうか」

無の核『そう……これが偶然なのか…必然なのかは、判らないけど………不可能では無いんだ』


俺「…って、だったら勿体ぶってねぇで早くその方法を教えろよ!!」

無の核『勿論教えるさ…でも、その前に一つ……キミに確認しておきたい事があるんだ』

俺「だったらそれも早くしろ!何でも答えてやんよ!」


無の核『じゃぁ聞くけど………』

と…散々勿体を付けた所で、俺を見据える無の核。

そしてその口元が、再び僅かに動き………俺に問いかけて来た。


無の核『キミは………絶望に染まる覚悟があるかい?』
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 00:14:25.41 ID:icWIsgnz0
ないです。
165 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/05/12(金) 21:09:40.11 ID:trHU3eXho
●かいせき

俺「…………はっ?」


無の核が発した言葉…その言葉の意味を理解する事が出来ず、俺は聞き返した。

俺「そりゃ一体どういう意味だ?絶望って…完全に真逆の事だよなぁ?いや、えっと…あれか?可能性はあっても、絶望的に低いとかそう言うやつか?」

無の核『それは……』


俺「だったら確かめるだけ無駄だ。危険も失敗も承知の上でここまで来てんだぜ?今更そんな事を理由に引き下がったりする訳無いだろ」

無の核『そうじゃ…無いんだ』


俺「いや、だったら何なんだよ!?」

無の核『絶望って言うのは…悲劇的な結末を迎える事じゃ無い。世界を守る事は出来る…でも絶望する事になるんだよ』


俺「何だよそれ…思いっきり矛盾してんじゃねぇかよ……」

無の核『いや…矛盾はしていないんだ。それより…早く決断しなければ、もう時間が……無い…』

俺「っ………いいじゃねぇか!絶望でも何でもしてやろうじゃねぇか!!さぁ、とっとと教えやがれ!!」


無の核『……思慮の浅いキミなら、そう言うと思ったよ。それじゃぁまず…虚獣をキミの中に戻して、ボクを取り込むんだ』

俺「…お前……ウロボロスから解放されて、元に戻ってる筈なんだよなぁ?そう言う減らず口を叩かれると、いまいち信用出来なくなるぞ」


毎度毎度の事ながら…言われたままに行動するのは癪だが、他に手が無い以上それに従う他は無し。

俺は……無の核の言葉に促されるまま、手順を進めて行く。


無の核『と、口では何だかんだ言いながらも…結局ボクを信用してるんじゃないか』

俺「うるせぇ。さっさと次を教えろ」


無の核『判ったよ、素直じゃないねぇ。さぁ…次は光と闇…あの二人の力を内に残したまま、意識だけを外に開放してあげて』

俺「また土壇場で無茶振りを…ってーか、それで良いのか?」

無の核『あぁ…こんな事になってしまったのはボクの責任だからね。今更だけど…二人を巻き込む訳にはいかないさ』


俺「いや、そうじゃ無ぇよ」

無の核『え?』

俺「お前じゃなくて二人に聞いてんだ。コイツ一人だけ格好付けさせて、自分は高みの見物出来るようなタマかってな」


闇の核『そのような事……』

光の核『出来る筈がなかろう!!』


俺「だってよ」

無の核『っ………ぅ………』


俺「そら、感傷に浸ってる暇なんか無ぇんだろ。次だ次」

無の核『………うん!!』
166 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/05/12(金) 21:26:31.90 ID:trHU3eXho
●ついおく

俺「で……3つの核の力をまとめたら、次はどうする!」


無の核『この状態でウロボロスを取り込んで…封じ込める。そして、その上で無効化する方法を探し出すんだ』

俺「ってオイ。それって……」

無の核『そう……以前僕が試みた時は、逆に取り込まれてしまった。でも………』


闇の核『今なら…』

光の核『我等の力…それに』

俺「あー……小っ恥ずかしくなるからそれ以上言うな、要はアレだろ?」


ケート『皆の力を合わせれば、不可能だろうと乗り越えられる』

俺「って、そこお前が持ってくのかよ!!ってか、普通に喋れんのかよ!!」


ケート『どやぁ』

俺「いや、そこは逆に声に出す物じゃ無ぇよ!」

ケート『………注文が多い』


俺「注文じゃなくて突っ込みだよ!ってか、突っ込み所多いのはお前のせいだよなぁ!?」


無の核『いや…気持ちは判らないでも無いんだけど、早く…出来ない…かな?そろそろ……』

俺「ってうおっ!?めっさ消えかけてる!!」

無の核『うん…だから……ね?』


と言う訳で……改めて仕切り直し、ウロボロスへと向き直る俺達。


そして俺は、蠢くウロボロスの中心に向けて右手を伸ばし……その指先がウロボロスに触れた瞬間………
167 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/05/12(金) 21:28:31.51 ID:trHU3eXho
俺「っあ……!?」

ウロボロスが俺の中に入り込み…まるで激流のような勢いで身体の中を駆け巡って行く。


まずそれは……体表に現れた黒い入れ墨のような物になって、触れた右腕から全身に広がり……

それに伴うように、ウロボロスが今まで見て来た物……記憶の断片が俺の中で何度も何度も通り過ぎる。


一つの記憶…一つの世界…その世界に存在するありとあらゆる物の記憶。

たった一つのそれを、咀嚼する訳でも無くただ飲み込むだけで頭が壊れておかしくなってしまいそうになる。

にも拘わらず、それが何度も何度も…それこそ無限に続くかのような錯覚に苛まれた後………


気が付けば………

体表の模様が全て左手の手の平に向けて収縮して行き……


その手の中に、赤い立方体を作り出していた。


俺「何だ……これ?」


無の核『ウロボロスにより集積された、知識の結晶体…とでも言えば良いのかな』

俺「あぁ…そう言う系な物な訳な。んでこれをどすうれば良いんだ?」

無の核『その立方体…箱を開けるんだ。そうすれば、さっき言った通りの手順に進む事になる』


俺「成程…な」


無の核からの説明を受け、俺はその立方体に手を伸ばす。

そして、いざその立方体…箱を開けようとした瞬間…………


カライモン「………待ち給え!!」

カライモンから、制止の声が上がった。


俺「どうした?あんまり長くは持ち堪えらんれねぇんだが…」


カライモン「どうしたもこうしたもあるか!君は…それが何か判っているのか?!それを開けてしまえば、君に待っているのは…」

いつに無く…切羽詰まった声色で、必死に俺を止めようとするカライモン。


俺「絶望…だろ?にしても、締め括りが開けちゃぁいけねぇ箱で…開ければ絶望とか…話が出来過ぎてるよなぁ」

カライモン「ならば…そう思うのであれば、止めれば良い事では無いかね!!」

俺「つっても……ここまでやっちまった以上、後戻りは出来ねぇからな。ま、上手く行くように祈っててくれ」


だが…俺はそんなカライモンの制止を振り切りって、箱を開け………



―――絶望の


――――――本当の意味を理解する事になった。
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/12(金) 21:56:05.23 ID:XybloxoM0
世界を救える(人類を救えるとは言っていない)けど絶望……ニーア(レプリorゲシュ)かな?
169 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/05/16(火) 00:20:18.82 ID:U8irbCpYo
●いりぐち

俺は……ウロボロスに集積された情報の掌握へと乗り出す。

つい先程の、箱が形成される前に見た物とは比べ物にならない程…膨大な量の情報。


今いる世界の…他の世界の……

始まりから終わりへと向かう全てを、ウロボロスに食い尽くされたありとあらゆる並列世界の数だけ……


人の身であればその片鱗に触れただけでも自我が崩壊してしまうような情報量を……

三つの核の力を借りる事により、辛うじて自己を保ちながら飲み込んで行く。


俺「これが…ウロボロスに集積された記録。ウロボロスに食い尽くされた世界の記録か」


三つの核達が元居た世界………

魔法と言う概念すら存在しない、化学の発達した世界………

文明の水準が低い世界に、高い世界。


異世界との交流が盛んな世界に、閉鎖された世界………

時には、有機生命体すら存在しない世界さえもその毒牙にかかり………


ウロボロスに記録された全ての結末を覗いた末に……ある結論に行き付いた。


俺「ウロボロスに滅ぼされなかった世界は……ゼロ。誰も…ウロボロスに抗う事は出来なかった………」

その結果から導き出される答え…可能性を反芻する度に、全身から血の気が引いていくような感覚に襲われる。


そこにあった……いや、ある筈だった希望は失われ…残された深淵に飲み込まれかけ―――


無の核『落ち着くんだ、結論を焦るんじゃない!』

無の核の声に、意識を引き戻された。
170 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/05/16(火) 00:36:17.37 ID:U8irbCpYo
●えんざん

無の核『今見た物は…あくまでウロボロスの記録だ。よく考えて…記録がある物が全てとは限らない』

俺「あぁ…そうか……ウロボロスに関わってない世界もあるよなぁ。ってか、逆に……」

無の核『そう…完全に駆除され…記録を取る事すら出来なかった世界が存在した可能性さえあるんだよ』


俺「あぁ…くそっ。何でこんな基本的な事にさえ頭が回んなかったんだ」

光の核『情報の量が量故に…我等が補助しているとは言え、思考ロジックの展開にも負荷がかかっているのであろう』

無の核『それに加えて…ウロボロスの記録その物に意識や思考が引きずり込まれている可能性もある。充分に注意してくれ』


俺「あぁ、それは判った。んでも…どっちにしろ今のままじゃ、ウロボロスへの対抗策を探しようは無いよなぁ?こっからどうすんだ?」

無の核『なぁに、これも想定の範囲内さ。ここから…ウロボロスの記録を使って、僕達の存在その物をより上位に押し上げるんだ』


俺「……マジか?そんな事が……あ、いや…元々お前はそれを目的に研究してたんだったな」

無の核『そう…それが歪んで君達に迷惑をかけてしまったけれどね』


闇の核『私達も…その歪みを見出してしまったが故に、一つになる事を拒みました』

光の核『だが……今であれば一切の懸念も無い。共に征こう!』


無の核『二人とも………ありがとう』



俺「で……水を差して悪いんだが。どうやって上位の次元に上りゃぁ良いんだ?俺も、その…意識だけの存在になるのか?」


無の核『その点は心配無いよ。キミと言う存在には、あの世界で実際にウロボロスに対処するための媒体として残って貰う事になる』

俺「あぁ…そっか、なら大丈夫か。んじゃ、ここからどうするんだ?」


無の核『現状では…僕達三つの核が基盤になって、ウロボロスの記録を閲覧している訳だけど…それじゃぁ足りなかった。となれば……』

俺「足りない部分を補完……ケートの…虚獣の力を使って演算すれば、それが出来る…って事になるのか?」

無の核『そう、ご名答。補足すると…その段階に入れば、後は同じ要領で幾らでも更に上の階層に上り続ける事が出来る』


俺「成程…な。んじゃぁ、さっさと行くか!」


詰まる所…今までの手順は、あくまで準備段階だったと言う事。

ここから先に控える、本番に向け……俺は踏み込んで行った。
171 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/05/16(火) 01:06:23.68 ID:U8irbCpYo
●けんさん

俺「まだか…まだこの階層にも無いって言うのか…!」


螺旋階段を登るように…

一歩…また一歩……少しずつ…少しずつ上の階層へと足を進めて行く。

だが………まだ先は見えない。ウロボロスに抗う術は見つからない。


俺「くそっ…こんなまどろっこしいやり方じゃぁ駄目だ!!」

俺は階段から跳躍し…更に上の階層へと一気に飛翔する。


今までとは比べ物にならない量の情報が、理性や意識を削ぎ落とす中…

俺はひたすらに…ひたすらに、上に上にと飛び続け………


遂に見つけ出した。


俺「これが、ウロボロスに対抗しうる手段…さしずめ、ウロボロスの統括って所か」

銀髪の…左半身を入れ墨ような模様に覆われた、一人の男。

その左目の虹彩には、円を描いた蛇のような模様があり…ウロボロスゆかり者である事はすぐに理解出来た。


俺「ってオイ…これって下の階の………あぁ、そうか…そういう事だったのか」

見つけてしまえば、何て事は無い。

探していた物は意外と近くにあって…全てを知ってしまえば、すんなりと納得出来てしまうような内容だった。


俺「俺達の世界のウロボロスは…本来のウロボロスから派生してしまった、いわばバグのような物だった…か。んで…」

後は………


俺「念のため、ウロボロスを退けた後の経過も確認しなけりゃなぁ」

事の顛末を確認してから、それを実行に移す…それで終わり。


俺は……この長きに渡る因縁に終止符を打つため、その先を見渡した。



――――そう


―――――そこには全てがあった。
172 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/05/16(火) 01:08:34.37 ID:U8irbCpYo
●すべての

―――――

『これからもずっと……私と、いえ、私達と一緒に居て下さいね』


―――――

『じ…自分ッスか!?本当に…自分で良いんなら――――』


―――――

『全くもう…春からは父親になって、夏には二児の父なんだから。しっかりしてよね?』


―――――

『で……こんな俺もついに正社員か…』


―――――

『それで君は…うちの娘とレミちゃん…どちらが本命なのかね?』


―――――

『いや待ってくれ、俺が社長って…はぁ!?』


―――――

『にしても…コイツ等と分離して真人間に戻ったは良いが、逆に違和感あんだよなぁ……』


―――――

『本当に…これが貴方の望んだ結末か?』


―――――

『そうで御座いますね…貴方様のお力を持ってすれば、時間の問題かと』


―――――

『よりにもよって…何でボクを選ぶかなぁ』


―――――

『%■◎#▽※』


―――――

『――――――――――』


―――――――――――――


大きく分けて、971741130562083245688888888通り………

その全ての結末を観測した。
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/17(水) 20:41:17.61 ID:AiCA/sOu0
シュタゲ知らんけどどっちが観測結果多いんだろうな
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/19(金) 22:11:04.50 ID:nmBiq6EZ0
同じ数字が並んでると気持ちよく感じるとこあるね
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/19(金) 22:31:01.07 ID:ecLuAvsS0
無限の密度の比較じゃなくて数え上げられる量で済んで良かった
176 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/05/29(月) 22:00:41.15 ID:mG4WGedqo
●ぜつぼう

――――――――――――


俺「……………え?」


俺「おい…嘘だろ?これで全部か?これっぽっちか?」


全てを知って…全てを理解して………無の核の言葉の意味を理解した。

全てを知ってしまうと言う事は、ありとあらゆる可能性を掌握してしまうと言う事で…

全てを掌握してしまえば、必然的に…そこには一切の不測が存在しなくなる。


俺「他にもまだ…まだ何か……別の未来が………」


そう、それはつまり…一切の未知を失ってしまうと言う事。

全てがロジックに基づいて始まって終わり、予定調和のまま全てが終わる。


そこに………希望なんて物は存在しない。



最後に知覚したのは、無価値と化した達成感と…埋めようの無い喪失感だけ。


未来の可能性は無限大だとか、そんな言葉は滑稽な詭弁に過ぎない。

始まりがあれば終わりがあるという言葉のように…世界は有限で、そこから生まれる可能性にも限界値が存在する。


運命に反逆したつもりで、幾ら自分の意思で未来をねじ曲げようとも…所詮それも予定調和。

自分の意思で掴み取った未来さえも、結局は予め想定されていた断片の一つに過ぎない。


自分が知覚しうる全ての可能性を網羅し、新たな可能性を求めてより上位の階層に上ろうとも…


   結果は同じ。


希望を求め…希望を消費し尽し……残されたのは、絶望だけ。



この選択に…この行動に一体何の意味があるのだろうか?

こんな無駄な事に意味は無い…いくらハッピーエンドを迎えても、それはただの決められた結末の一つに過ぎない。


全てが無駄な足掻き…

その結論に辿り着いた時………俺は一つの間違いに気付いた。


俺「そうか……より上に上にって登ってたつもりだったんだが…本当は……上に向かって落ちてたんだな」


不可逆の上位存在化……


希望は手に入らないからこそ希望であり、手に入れてしまえば希望では無くなってしまう。

そして…一度手に入れてしまえば、それを希望に戻す事は出来ない。


戻ろうとしても戻る事は出来ず…そもそも、戻る事に意味を求める事さえも出来なくなった。

俺は…そのまま、絶望の深淵へと墜ちて――――
177 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/05/29(月) 22:15:24.09 ID:mG4WGedqo
突然、右の頬に鈍い痛みが走った。


俺「っ…………は?え?なっ…?」

銀髪の男「目ぇ…覚めたか?」


見ると…そこには、握り拳を構えた男…つい先刻その姿を確認した、ウロボロスの統括が立っていた。


俺「え?アンタ…ウロボロスの……一体何で…いや、何をしに……」

銀髪の男「そうだな、一から話すと長くなっちまうんだが……まぁ簡単に言うと」

俺「………」


銀髪の男「神様になっちまった大馬鹿野郎を、ぶん殴って正気に戻しに来てやった…って所か」

俺「………は?」

銀髪の男「ったく…爪の先が白くなって、虚獣化が始まっちまってんじゃねーか…」

俺「……いや………」


銀髪の男「んで、どうだ?最初の目的は思い出したか?」

俺「え?……あ……そうだ…俺は………でも………」

銀髪の男「んでも、どーした?」


俺「思い出した…でもそれが…本当に正しいのか判らないんだ」

銀髪の男「ぁー………」


俺「俺の行動に意味があるのか…俺が何をしても、その先には決まってる未来しか無いんだよ!!」

銀髪の男「ったく……またこのパターンかよ」


俺「え?」
178 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/05/29(月) 22:26:01.40 ID:mG4WGedqo
●よびごえ

銀髪の男「あー…っとな。こんな話があってだな?ある所に、希望が入っているけど絶対に開けちゃぁいけねぇ箱が―――」

俺「いや、そのくだりはもうやった」


銀髪の男「………」

俺「………………」


銀髪の男「箱の中に猫を入れて―――」

俺「それ、本質はさっきと同じだよな?」


銀髪の男「………………」

俺「………………………」


銀髪の男「あー……っと、んじゃあれだ。こいつは俺の知り合いの持論なんだが…」

俺「…まさかの身内ネタ!?」


銀髪の男「いいから聞いてろ」

俺「………はい」


銀髪の男「俺の知り合いの持論なんだが…光と闇の、属性の定義ってのがあってだな」

俺「光と闇の力ならこっちにも…ってか、無の力も全部持ってる状態なんだが……」


銀髪の男「い い か ら 聞 け 」

俺「は…はい」


銀髪の男「光ってーのは、輝き照らし出す力…つまりは、知る力って事らしくてだな…」

俺「……」


光と闇…と言えば、俺達にしてみれば光と闇の核や、それに伴う力の事だが…

この男が語るそれは、俺達の認識とはまた違う定義による物らしい。

男の発言に対して、俺も思う所はあったが……これ以上は話の腰を折ってしまいそうなので、ひとまず反論を控える事にした。
179 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/05/29(月) 22:40:15.75 ID:mG4WGedqo
銀髪の男「んで逆にだ。闇の力ってのは、闇に包まれた物……つまりは、未知である事が闇の定義その物らしい」

俺「その定義だと…ありとあらゆる物を知ってしまった俺達は、闇とは無縁な存在だよな?」


銀髪の男「………ってー思うだろ?」

俺「違うのか?」


銀髪の男「……判らねぇか?」

俺「そりゃぁ勿論…あ………」

銀髪の男「そら。そこん所で闇……未知が存在してた…だろ?」


俺「そうか…スピリットと虚獣みたいに、演算が拮抗して…いや、んでも…」

銀髪の男「何だ?」


俺「これは……俺とアンタが、同じこの最上階層に居るから発生してる事だよな?だったら、どっちかが居なくなったら……」

銀髪の男「無くならねぇよ」


俺「…は?何でそんな事が断言出来るんだ?!」


銀髪の男「手前ぇが求める限り、その闇が存在してる可能性が残り続けるだろぉがよ」

俺「そんな…神が人を作ったのか、人が神を作ったのかみたいな理論が……」

銀髪の男「もっと判り易く、卵が先か鶏が先かでも良いぜ」


俺「…………」


銀髪の男「んでまぁ、ここまで言えば判ると思うんだが…俺が何を言いたいかってーと…」

俺「使い古された屁理屈。自分の未来は自分で切り開け…自分で未来を作れ……って事だろ?」


そう……この手の話の行き付く先は、結局それだ。

丸投げにしながらも、綺麗に話をまとめて…なし崩しに良い話で終わらせる常套句。

だが…今の俺はそんな言葉に大人しく収まれる程、矮小にはなれない。

俺は…男の言葉を論破するべく、次なる言葉を連ねようとして………


銀髪の男「いんや?そうじゃぁ無ぇ」

俺「……えっ?」


その言葉を紡ぐより先に、真向から否定をされた。
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/29(月) 23:51:50.97 ID:uslsKFY+0
乙!

不可逆の上位存在化と書いて  バ  グ  と読む        ―― それは、上に落ちる変態であった……
181 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/05/30(火) 21:30:38.79 ID:9F7gUopAo
●そこには

銀髪の男「例え自分が全部知っちまって…壮大なネタバレをくらって、何もかもがつまらなくなっちまっても…」

俺「………いや、物凄く身も蓋も無い表現してくれんなぁ…」


銀色の男「まぁ聞け。でだな…結局の所…」

俺「お、おう…」


銀髪の男「諦めて挫折しちまったら、可能性があっても本当にそこで終わっちまう。それに……だ」

俺「それに……?」


銀髪の男「自分以外でも…それをぶっ壊してくれる奴がいりゃぁ良い。そいつに期待してみるのも…良いんじゃねぇか?」

そう言って、足元を指さす男。

そして、その先に視線を向けると―――――


俺「うぉわっ!?」

足元…いや、正確には足元にあたる空間から…


回転するドリル………いや、半開きの傘が突き出した。


そして傘が完全に開かれた後、空間に空けられた穴の中から―――


俺「………って、ハル!?それにレミも!?」

勢いよく飛び出した後、広げた傘で滑空…いや、上昇?…して来る二人の姿があった。


レミ「話は聞かせて貰ったわよ!全く…アンタらしく無いわね。何こんな事で絶望してんのよ!」

俺「いやいやいや、色々突っ込みたい事はあるが………まずあれだ、何でここに居るんだ!?」

ハル「私達もあの赤い箱を使って、追いかけて来てしまいました」


俺「いや、そんなサラリと……ってか、俺は三つの核と虚獣の力を借りたから何とか来れたってのに…どんだけ無茶をしてんだよ」

レミ「んー?無茶も無理もお手の物じゃない?第一……」

俺「第一?」


ハル「愛があれば………どんな奇跡だって起こせますから」


俺「……………」

一切の淀みも無く……キッパリと言い切るハル。

俺は…そんなハルに対し、反論の言葉を紡ぎ出す事が出来なかった。
182 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/05/30(火) 21:52:00.49 ID:9F7gUopAo
銀髪の男「どんな無茶でも乗り越えて…可能性を追いかけて突き止めて掴み取る…って、言葉にすると改めてすげぇよなぁ」

俺「……まぁうん。俺もそう思う」


銀髪の男「差し詰め、可能性って名前の闇を追いかけるストーカー…」

俺「いや、ダークストーカーって言いたいだろそれ!?前置き長ぇよ!!」


銀髪の男「判ってんじゃねぇか」

俺「おま………」


銀髪の男「ってー訳で……そこの可愛いストーカーの前じゃぁ、どんな予測も無意味だって思い知っただろ?」

俺「まぁ…うん。あぁ…そうだな………」


銀髪の男「んじゃ…手前ぇはとっとと、元の場所…居るべき場所に戻りやがれ」

俺「いや…そうしたいのはやまやまなんだが……」


無の核『上位存在への移行は不可逆……その原則の事だね?』

俺「あぁ、そうだ。全部を知っちまった以上は―――――」

俺達が元居た、あの階層へと戻る事は出来ない…そう言いかけた瞬間………


銀髪の男「よ………っと」

俺「………えっ?」


男が……俺の中から、例の赤い箱を取り出した。



俺「……は?え?え?はぁぁぁぁ!?」

銀髪の男「よし、これで大丈夫だろ。もう戻れっぞ」


俺「いや、待ってくれ!どうやった!?ってか今俺どんな状態だ!?この階層に存在してて大丈夫なのか!?」

男が断言した以上…その通りの状態にはなっている筈…しかしそれを把握する事が出来ない俺は、ただただ慌てふためくのだが……


銀髪の男「あ、ちなみに…ついでと言っちゃぁ何だが、この箱ん中にも一欠片だが希望を戻しといたぜ」

俺「………は?」


ハル「でしたら安心ですね。もしうっかり箱を手に入れてしまっても、また開けなければ大丈夫ですから」

俺「え…いや……」


レミ「じゃ、これで一段落ね」

俺「…………」


有無を言わせぬ畳みかけにより…それ以降の反論を紡ぐ事さえ許されないまま、話をまとめられてしまった。
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/30(火) 21:58:14.44 ID:y5BYZ5bb0
女は強いよ
184 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/05/30(火) 21:59:06.16 ID:9F7gUopAo
レミ「あ、でも…このまま戻っちゃって良いの?ウロボロスって結局どうなったの?」


銀髪の男「ぁー…それな?本来なら、そこのソイツが自力で絶望を乗り越えた後、自分の存在と引き換えに世界を救う…って流れだったんだが…」

俺「えっ…そんな流れだったのか?」


銀髪の男「まぁ、俺の方で後始末しとくから心配すんな」

ハル「お任せしてしまって良いんですか?」

レミ「って言うか…元を辿れば、アタシ達が自分で解決する必要があったからこんな事になってるのよね?」


俺「そう言やそうだ!アンタが何とかしてくれるんだったら最初っから―――」

銀髪の男「最初っから俺が出て来てれば…ってのはお門違いだぜ?」

俺「えっ?」


銀髪の男「当初の予定通りだったら…ここまで細かく踏み込まねぇで、サクっと全部まとめて終わらせてたからな」

レミ「だったら何で……」

銀髪の男「他でも無ぇ、手前ぇらだ」

レミ「え?」


銀髪の男「手前ぇらがここまで踏み込んで、足掻きに足掻いたからこそ…俺も引っ張り出されて、こういう結果になったんだ」

ハル「つまり………」


銀髪の男「手前ぇらの行動が、結果的にこの現状…ハッピーエンドを掴み取った…って言っても良いんじゃねぇか?」

俺「それこそ詭弁じゃ……」

銀髪の男「それに……手前ぇらだけに任せっ放しにしてたら、夕方の大安売りまでに離れられなくなっちまうしなぁ」

俺「……………」


あ、今物凄くツッコミたい。


レミ「そっか、それなら良いわ」

俺「って、鮮やかにスルーした!?」
185 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/05/31(水) 23:57:44.37 ID:H2D2u8aZo
●ふりむき

俺「で……戻るにしたって、どう戻れば良いんだ?」


銀髪の男「どうもこうも…今までの手前ぇらしくしてりゃぁ良いんじゃねぇか」

俺「いや、そうじゃなくて方法の事だよ!あの箱持が無くなったせいか、その辺りの見当も付かないんだからな!?」

銀髪の男「あぁ…それか。んじゃぁ……」


と言うなり…男は体の模様を剥離し、ハルとレミが開けた穴の周囲に突き立てる。

そして、突き刺された部分が変色を始め……やがてそこは、大きな渦へと変化していった。


俺「なるほど…この穴を通れば元の階層に戻れるって訳か」

銀髪の男「そー言うこった。あ…んでも気を付けろよ、途中で各階層の壁がある筈だからな」

俺「って、それは残ってんのかよ!!」


銀髪の男「しゃーねぇだろ…こればっかりゃぁ、俺じゃなくて手前ぇ等の問題だ。自分達の手でぶち破って来い!」


俺「あぁ……そー言う事な」

銀髪の男「あぁ、そー言うこった」


俺「ったく…前途多難だぜ」

銀髪の男「ま、何とかなるんじゃねぇか?」


俺「他人事だと思って、気軽に言ってくれんなぁ…」

銀髪の男「実際他人事だしな」


俺「おま……いや、そうだよな。俺の…俺達の手でぶち破って来るとするわ」

銀髪の男「あぁ、何とかして来い」
186 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/06/01(木) 00:28:33.48 ID:4mrMdPgNo
俺「んじゃ、皆…準備は良いか?」


ハル「はい、万全です」

レミ「全然オッケー!」


ケート『問題無い』

闇の核『こちらも問題はありません』

光の核『我も同じく』

無の核『うん………大丈夫。さぁ、それじゃぁ行こう…いや、戻ろうか』


俺「あぁ、そうだな…戻ろうぜ、俺達の本当の居場所に!!」


こうして俺達は準備を終え……覚悟を決めて、虚空の渦へと足を進める。


銀髪の男「元ん所に戻ったら…しっかりやれよ?」

改めて、ディメンションスレイヤーで…三人で入れるだけの大きさの、パラシュート替わりの傘を作り……


俺「そりゃあ約束出来ないな。俺は、根が駄目男だからなぁ」

銀髪の男「その点に関しちゃぁ、俺も人の事ぁ言えねぇが…まぁ、手前ぇの場合は駄目なりに駄目で良いと思うぜ」

俺「ははっ、何だよそりゃ」


穴の中心へと向けて、大きく踏み込み…………


カライモン「自分なりに生きれば、それで良い…と言う事なのでは無いかね」

俺「あぁ………―――って、お前!何で!?いや、いつの間にそこに―――――」


カライモン「細かい事を気にする物では無いよ。さて…私は私でこの先に進んでみるので、君達は戻っていてくれ給え」


俺とハルとレミ……三人は、虚空の渦の中へと落ちて行った。
187 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/06/01(木) 00:37:47.26 ID:4mrMdPgNo
●もどろう

底の知れない奈落へと落ちて行くような…

いや……昇っているのか落ちているのかさえ定かでは無い、不思議な感覚の中……

時折、階層の壁と思われる物にさしかかり…僅かな抵抗と共に、それを突き抜けて……の繰り返し。


もう…どのくらい落ちたのだろうか。

元々、時間という概念その物が曖昧ではあったが…

この穴を落ちていると、感覚その物がおかしくなってしまいそうになる。


俺「結局…俺らしい駄目男らしさって、何なんだろうな」

レミ「何?唐突に」

俺「いや…さっきの会話で、ちょっと気になって…な」


ハル「そうですね……例えば……」

レミ「最後の最後…ギリギリに追い詰められたその時まで決断出来ない事とか?」

俺「ぐっ…………」

レミ「もう少し早く決めておけば良かった事とか…迷うだけ無駄な時間を消費しまくったりとか、しょっちゅうよね」


ハル「あとは……何だかんだ自分に自信が持てない所でしょうか?」

俺「ぐぬ………」

レミ「謙虚って言えば聞こえは良いかも知れないけど…どっちかって言うと、自虐と紙一重なのよね。アンタの場合」


ハル「あとやっぱり…一番の特徴と言えば。楽な方に…楽な方に進みたがる事で―――」


無の核『って…無駄話している余裕は無さそうだよ。あれが最後の壁みたいだけど……』

俺「何だ…ありゃ……」

ハル「壁…と言うよりも……」


レミ「まるで…光の……海…?」
188 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/06/01(木) 00:48:29.53 ID:4mrMdPgNo
そう……眼下に広がるのは、果てしなく広がる光の海だった。

そしてその海は、今まで突き破って来た壁とは桁違いに、厚く……まるで俺達の帰還を拒むかのように、行く手を阻んでいた。


俺「っ………くっ……ヤベ…ぇ………意識が…削り取られ…ちまう」

レミ「何…これっ……」


無の核『この抵抗は恐らく…君自身の、疑心……だろうね』

俺「はぁっ!?疑心って何だよ、どう言う事だ!!」

無の核『さっきの彼の言葉…そう、言葉では判って居ても…まだ心のどこかでそれを納得出来ていない…つまりは踏ん切りがついて居ないって事』


俺「踏ん切りって、そんな事……いや………」

そんな事が無い…とは断言出来ない。確かに…恐れや不安が残っている自分が居る。

全ての可能性を見てしまった自分はもう居ないのに…この先には、進むべき希望のある未来があると判っているのに……


その未来が予定調和では無いのか……予め結末の決められていた物…運命では無いのかと疑ってしまっている自分が居る。


無の核『それに対して…ボクから言える事は、そう多くは無い。ただ……』

俺「って…おい!お前、さっきよりも薄くなって……」

無の核『あぁ…うん。そろそろ限界…みたいだね。でも……思ったよりは長くもった……かな。じゃぁ…これは、僕からの最後の言葉だ』

俺「お前………」


無の核『深く…考える必要は無いんだ……肩の力を抜いて…キミがキミに戻る…それで良いんだよ………』


そして、その言葉を最後に………無の核は霧散し、光の海の中へと消えて行った。


俺「っ……馬鹿野郎。最後の最後にそんな事言われて……肩の力なんて抜けるかよっ……」

ハル「だったら…少し、お話しましょうか?」

俺「………えっ?」


レミ「さっきの話の続き……アンタらしい駄目男らしさの話…ね?」
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/01(木) 07:16:48.41 ID:T6CVR/kN0
乙!
数多なる次元の救済の功労者みたいな感じになった?のに締まんねーなwww
つかニーアDエンドwマジでやる予定だったのかよww
190 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/06/01(木) 21:47:52.41 ID:4mrMdPgNo
●みんなの

俺「駄目男らしさってーと……楽な方に進みたがる…って話だっけか?」


レミ「うん、そう。でも…それって多分、アンタが自分で思ってるのと違うのよね」

俺「………は?」


レミ「楽な方に…って言うと、何って言うか…逃げ?いけない事みたいに聞こえるじゃない?」

俺「まぁ、実際そうだよな」

レミ「でも、見方を変えると…あ、こっから先はハルお願い」


と言うと、レミはハルに視線を向け…それに応えるように、ハルが続きを語り出す。


ハル「その、楽な方にって言うのが…自分にとって、一番気が楽な事だと思うんです」

俺「…………」

ハル「だから……例え目先だけでも、自分が望む事のために選択出来る所が……」


レミ「アンタらしさ」

ハル「貴方らしさだと思います」


そう言ってハルは、強張った俺の頬に手を伸ばして……震える俺の唇に唇を重ね………

今度は…ハルが離れると共に、レミも俺の唇に唇を重ねて………


惚れ直してしまうくらいの物凄く良い笑顔を、二人揃って向けて来た。
191 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/06/01(木) 22:00:15.71 ID:4mrMdPgNo
俺「………」

ハル「………」


俺「………………」

レミ「………………」


俺「…………………………」


正直な所…納得しようにも、素直に納得なんてする事は出来ない。

だが……否定しようにも、否定に足るだけの言葉が浮かんで来ない。


肩の力を抜くどころか、全身全霊で悩みに悩み…

その結果…俺は………


俺「あーーーーー!!ったく、わかったよ!!!」


レミ「ね?肩の力抜けた?」

俺「抜けねえよ!むしろガチガチに固まっちまったよ!」

レミ「ぇー……」


俺「だから…なぁ」

レミ「ん?何?」

ハル「何ですか?」


俺「二人供……帰ったら、解れるまでトコトン付き合ってもらうからな!覚悟しとけよ!?」


レミ「うん!」

ハル「はい!」
192 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/06/01(木) 22:14:48.59 ID:4mrMdPgNo
●せかいが

光の海の中………

一度踏ん切りが付いた事で、確信を持った事が一つある。


俺「あぁ、そっか……この壁が疑心で…俺の手でぶち破れってのは、そういう事か」

レミ「え?どういう事?」


俺「この壁は……並列世界と因果律…可能性の壁だ」

ハル「と言う事は……」


俺は、傘状にしていたディメンションスレイヤーを畳み…

俺「まぁ確かに…俺一人だったら、どう足掻いたって乗り越える事なんか出来なかったんだと思う。何てったって未来の可能性その物が相手だからな」


銃剣形態に戻して、その銃口を遥か下方…壁の中心部へと向ける。

俺「でもな…」


そして…引き金に指をかけ…

俺「それが…どぉぉしたぁぁぁ!!こっちにゃぁ、ダークストーカーが二人もついてんだ!!」


レミ「アタシ達が…どんな時でも、傍に居て…っ」

ハル「ずっと一緒に……未来を追い続ける!」


俺「だから………どんな困難だろうが絶望だろうが!俺達を邪魔する事なんて出来ねぇんだよぉ!!!」

俺の叫びと共に…放たれた弾丸が光の海を貫く。


光の海は光の粒へと変わり……

あれだけ精神を苛んでいた抵抗も、まるで何事も無かったかのように消え去っって行く。

そして、霧散する光の向こう側には……


レミ「……やっと終わったのよね」

ハル「戻って…来れたんですよね」


俺「あぁ……」


俺達が住んでいた世界……


いや………俺達の未来が広がっていた。




          魔法少女ダークストーカー

                        ―Fin―
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/02(金) 06:22:45.10 ID:6JlyjjhJ0
完走、大変疲れ様でした!
この話は一体どこまで大きくなるのかと思っていましたが、ここで遂に真の始まりを迎えられましたか

主人公達三人と、その仲間達に、末永く、幸あらん事を
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/02(金) 12:30:35.01 ID:XcUcMCeho
ついに完結…かねぇ
いや、お疲れ様でした
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/02(金) 12:49:09.27 ID:tX3MH+DYo
お疲れ様!
さぁ次は番外編の水着回と温泉回だ
196 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/06/02(金) 22:49:51.16 ID:tLj1Q+EFo
●おもわせ

―――と言った感じで…綺麗に終わったと思っていたんだが…


カライモン「残念ながら、元の階層に戻るのはもう少し待ち給え」

俺「………は?」


カライモン「まだやるべき事が残っているのでね。さぁ、元の世界に戻りたければそちらを先に終わらせて貰おう」

俺「マジ…デスカ?」


元の世界を目前にして、俺達を引き留めたのは…カライモンの無慈悲な言葉だった。


―――どうやら、もう少しだけエンディングが続くらしい。
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/03(土) 02:11:29.14 ID:1nQb9BKS0
えっ……ドユコト?
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/06/03(土) 07:19:56.02 ID:9CrQbttY0
主人公の受難は続きまくる……!
199 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/06/03(土) 22:07:29.01 ID:WAiWBQ+mo
●そうせい

俺「それで…一体何を始めるんだ?」


空間に空いた次元の穴ごしに覗く、地球を背に…向かい合う俺達。

俺…カライモン…ハル…レミ………あと…何をどうやったのか、今居る階層にまで上って来たアラク。

皆が皆お互いの顔を見合わせ、その安否を確認した所で…


カライモン「今から、皆で世界を一つ作って貰おうと思う」

カライモンが本題を切り出――――


俺「………え?今、何て?」

カライモン「だから、世界を一つ作ると言っているのだよ。何度も言わせないでくれ給え」


俺「いやいやいやいや、ちょっと待てぇ!?世界?天地創造!?何がどうなって、そんな大それた話になってんだ!?」

カライモン「どうもこうも…先の一件で、獣人達の住んでいた世界を失ってしまっただろう?」

俺「いや。失ったって言うよりもお前の作戦で―――」


カライモン「さすがにいつまでもIfの世界に居て貰う訳にもいけないのでね…早い内に取り掛かっておこうと思った次第だよ」

俺「…無視ですか」


カライモン「一応準備は整っているのだが…さすがに一人でやっていては、時間が幾らあっても足りないのでね。皆にも協力して欲しい」

レミ「…って言っても、具体的にどんな事をすれば良いの?」

俺「そうだよな。あの箱持ってる時ならまだしも、今の状態じゃ世界の作り方なんて判んねぇぞ」


カライモン「手順は私がレクチャーするので、その点は心配無用。では早速出発しようではないか」


と言ってカライモンはゲートを開き……俺達は、半ば強制的に連行される羽目になった。


―――わけなんだが………
200 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/06/03(土) 23:48:36.41 ID:WAiWBQ+mo
俺「………何だここ?ってか一体何処だ?」

連れて来られた先は、真っ白な……何も無い空間だった。


カライモン「ここは世界を配置する予定の空間…まぁ、そのままここに世界を作って貰う」

俺「あぁ、なる程ね……んで、俺達はまず何をすれば良いんだ?ビックバンか?原初のゆらぎか?」

カライモン「いや、まずはこの空間を闇で満たしてくれ」


俺「…………今、何て?」


カライモン「この空間を闇で満たせと言ったのだよ。至って単純な作業だろう?」

俺「いやいや、世界丸々満たす程の闇って!そんな無茶な――――」


毎度毎度の事ながら…さらりと飛び出すこの無茶振り。

だが今回ばかりは、さすがに度が過ぎる。

と言う訳で、俺が必然とも言える反論の声を上げようとした所で…


レミ「あ、そっか」

何を納得したのか…柏手を一つ打った後、レミが俺の手を握ってきた。


俺「いや…一体何を…………って、あぁ…そうか」

レミ「そ。久しぶりだから感覚忘れてる?」


最初は何をしていたのか判らなかったが…レミ手の感触に浸る事で、俺はそれを思い出し…実行に移す。


ハル「なるほど、闇の生成ですね。と言う事は……」

カライモン「そう…お察しの通り、次は光の生成だ」


そして今度はハルがもう片方の手を取り、生み出した闇…原初の混沌に、光…法則と言う秩序を与えて行く。


こうして、みるみる内に何もなかった空間が物質と法則で満たされ…世界の根源とも言える物が形成され―――

るように見えたのだが………


カライモン「フンフフ〜ン♪」

俺「………おい、一体何やってんだ?」

カライモン「なぁに、ちょっとした細工をね」


新世界の創造でさえ……穏便に終わらせてはくれないようだった。
201 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/06/03(土) 23:49:25.96 ID:WAiWBQ+mo
俺「だぁぁぁぁ!!ストップ!ストップだ!今度は何を企んでやがる!!」


カライモン「企んでいるとは人聞きが悪いね……ただ単に、四肢生物と六肢生物が共生可能な環境の下準備をしているだけだよ」

ハル「それは…どういった方法で?」

カライモン「具体的には…魔力を、意識による干渉を受けやすくして…生命の進化を促すようにする」


レミ「んん?それって必要な事なの?」

カライモン「私達の世界のように傾いた環境になってしまったら、共生可能な生態系の形成に支障が出てしまうからね」


ハル「共生…と言う事は……今の獣人達とは別の、新しい生態系や文明社会も作る予定なんですか?」

俺「ん?あぁ、そうだよな…移住する事が前提なら、予め生態系を丸ごと作る必要は無い…ってか、むしろ邪魔になるんじゃないのか?」


カライモン「それについてはだね―――」

ディーティー「ボクから説明しよう」


俺「って、どこから湧いて出て来やがった。ってか、今更何しに来やがった」

ディーティー「決戦に参戦出来なかった件なら、仕方ないだろう?獣人や住民の扇動で忙しかったんだから」

エディー「因みに…私共が此処に居られるのは、アラク殿のお陰に御座います」


俺「…………あぁうん、まぁ良い。んじゃぁ、どーいう事なのか説明しやがれ」


ディーティー「相変わらず…何かボクに対してだけ、あからさに態度悪くないかい?」

俺「その無い胸に手ぇ当てて考えやがれ!!こっちは、お前が居ない間も同じような………いや、何でも無い」

ディーティー「いやいや、そこまで言ったんならむしろ言い切ってくれないかなぁ!?」


俺「だーから…何でも無いって言ってんだろ。とにかく説明しろってんだ」

ディーティー「釈然としないなぁ……まぁ良いか。新しく作る世界における生態系の話だっけ?」

俺「あぁ、そうだ」


ディーティー「それに関しては…会議で決まった事なんだ。今避難してる住民達のね」

俺「……は?」


ディーティー「自分達の移住が前提の世界とは言え…そのために、生まれうる生命の可能性を摘み取っても良いのかどうか…って議題でね」

エディー「尚…この結論に関しましては、光と闇双方の派閥においても一致の物となっております」

俺「あー……いや、お前達がそれで良いって言うなら良いんだが…そりゃまた、難儀な道を歩もうとしてるよなぁ」


ディーティー「例え楽でも、排他的な道を進むようであればその先に未来は無い…それを、キミ達との一件で皆が学んだのさ」

エディー「…と言う顛末に御座います」


俺「なるほど…な。んで………そこのカライモン。今度は何をしてやがる?」
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/04(日) 06:38:59.66 ID:UH6qKeh40
乙!
相変わらずカライモンさんはチートだなぁ(汗
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/04(日) 20:54:16.86 ID://eJjTOpo
そろそろカライモンさんにもあまいもんが必要じゃないかね?
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/05(月) 00:05:53.02 ID:IMgxqGpso
ニガイモンでもええんやで
205 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/06/05(月) 00:23:56.39 ID:eNPNLPQNo
カライモン「時間経過の速度倍率設定及び、光と闇の核の機構…その他諸々の移植と、先の細工に用いるシステム構築の準備だよ」

レミ「えっと…聞いときたいんだけど、その他諸々の部分って例えば何?」

カライモン「本体が消失したせいで、大きな力は残って無いが…まず無の力。後はスピリット…彼が隠し持っている、卵形態の神風君とかだね」


俺「………ばれてたのか」


カライモン「ばれるも何も…スピリットが物理攻撃で消滅しない事くらい、判りきっていた事だろう」

レミ「あ…そう言えばそうよね」

カライモン「大方、後で驚かせようとでもしていたのだろう。再生のために卵状態に戻った神風君を確保していた事くらい想定内だ」


俺「…ってお前、その手に持ってる青い卵………あぁ、そう言う事かよ!そりゃ、判って当然だよなぁ!!」

カライモン「一緒にしないでくれ給え。此方は此方で、この状態にまで復元するだけでも大分手間がかかったのだからね」


俺「ったく……まぁ…二人に関しちゃぁ、新しい世界に居た方が早く回復するとして…」

ハル「後は…光と闇の核のお二人は………」


光の核『我らは……』


俺「とりあえず…俺ん中に居て、経過観察ってぇ事で良いんじゃないか?」

闇の核『それは………』


俺「やるべき事をやり終えて、この世に未練が無くなったから成仏……なんてのは、あんまり関心しねぇぜ?」

光の核『………』

闇の核『………』


俺「って訳で…もう少しくらい俺達に付き合っても罰は当たらないだろ」

光の核『すまぬ…感謝する』

闇の核『私からも…ありがとうございます』


俺「良いって事よ」
206 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/06/05(月) 00:33:56.78 ID:eNPNLPQNo
ディーティー「それにしても………生命の尊厳って、一体何だろうね」

レミ「え?アンタが今更それ言っちゃう?」


ディーティー「そりゃぁ言いたくもなるさ。コロコロ死んでホイホイ生き返って…一体どこまで命が軽くなるのやら…」

俺「いや、身も蓋も無ぇ事言っちまうが…俺なんて命に限らず、尊厳踏み潰されまくってとっくにボロボロのコナゴナだぞ?」

カライモン「キミに限っては、それが芸風なのだから仕方が無いだろう」

俺「いや!芸じゃねぇよ!?」


ハル「えっと、話は逸れてしまいましたけど…ディーティーの疑問には、答えられますよ」

俺「マジか」

ハル「はい」


ディーティー「じゃぁ…聞かせて貰えるかい?」


ハル「尊厳よりも、もっと大切で尊い想いがあるから…尊厳を軽く飛び越えて、それが出来る。そしてそれこそが…何よりも一番大事な事だから」


ディーティー「この上無い程に詭弁だね」

ハル「それでも…間違いでは無いと信じてる」


ディーティー「はぁ……まぁ納得出来ないって言った所で、ボクには止める権利も力も無い訳なんだけど…良いさ、今回は折れておくよ」

俺「また偉そうに……」


レミ「…もう一回りして、あれはあれでディーティーらしいって諦め入ってるアタシが居るわ」

俺「あぁ…うん。その気持ちは俺も何となく判る」
207 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/06/05(月) 00:50:54.99 ID:eNPNLPQNo
カライモン「では、話がまとまった所で改めて……後の創世は彼に任せて、我々は一足先に元の世界に帰るとしようか」


俺「…………はい?」


カライモン「聞こえなかったかね?話がまとまった所で…」

俺「いや、聞こえなくて聞き直した訳じゃ無ぇよ!一人でって、お前じゃなくて俺がかよ!?ってか、皆で世界を作るって話どこ行った?!」

カライモン「だから、我々がやるべき下準備はこうして終えただろう。後は君がそれを実行するだけなのだよ」


俺「………勘弁して下さい」

カライモン「勘弁出来ません」


俺「……………ってかうん。マジメな話、何で俺?」

カライモン「虚獣を身に宿し、その力を使えるのは君だけだからだよ」


俺「え?これって虚獣の領分なのか?」

カライモン「うむ。なので諦め給え」


俺「……………」


レミ「えっと、その……頑張って?」

ハル「私にも何か出来れば良いんですけど…」

カライモン「下手に横から手を出すと邪魔になりかねないからね」


俺「………あぁくそっ…判ったよ!やりゃぁ良いんだろ、やりゃぁよぉ!!」


こうして俺は、一人この場に残り……新たな世界の創造に勤しむ事になった。
208 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/06/05(月) 22:17:07.16 ID:eNPNLPQNo
●ここから

俺「にしても……どっからどこまで、お前達の掌の上だったんだ?」

ケート「…………」


俺「まるで、この結末を迎えるために用意されたような舞台装置…二つの世界。俺達の世界に居て、もう片方の世界に居ない…虚獣」

ケート「…………」

俺「で…極め付けは今やってる作業…となればもうピースが全部揃って、最低限のおつむでも全容が見えて来ちまうんだよな」


ケート「…………」

俺「とは言っても、別に恨んでるとかそう言う訳じゃぁ無ぇし…何だかんだで、正解だとも思ってる」


ケート「………その認識には、多少の誤解がある」


俺「ん?どう言う事だ?」

ケート「掌は…誰かを乗せる物では無い」

俺「そこかよ!!」


ケート「掌は…重ね合わせて、繋がるための物」

俺「いや、それ答えに…あぁ、んでも……それがお前達なりの認識…答えでもあるんだよな」

ケート「…正解は、否定か肯定のどちらかに限られる物では無い。それを理解して貰えるのならば、幸い」


俺「ってか、そう言やぁ…理解どうこう言うなら、その口調…ってかキャラはどうにかならないのか?」

ケート「…そうは言うが」

俺「言うが?」


ケート「正直な所、虚獣の状態から今の状態に変質する上で自我を取り戻し、虚獣になる以前の生前と同様の思考や自我を取り戻した事により当時の口調で喋る事は可能じゃ。しかしのぅ…今の今までボソボソ喋りのクール系キャラで通して来た妾が突然流暢に喋り出して、イメチェンを通り越したキャラ崩壊まがいの変貌を遂げると言うのも少々違和感があるのでは無いか?口調以外の話の内容に至ってもそうじゃ。クールだけどちょっと不思議ちゃん入ってる?くらいの方がサラっと流して素直に納得出来るのに対し、事細かにマシンガントークでまくし立てつつ言葉の勢いで無理矢理に押し通すような展開では、飲み込もうにも素直に飲み込めないと言う物では無かろうか?そして当然それらの変化はこの時一瞬の過ちと言う事で流される事は出来ず、今後の発言一言一句においても尾を引いて気まずい雰囲気を作ってしまうに違いない。あれ?この子こんな喋り方してるけど、本当はもっと違うよね?何?キャラ作っちゃってるの?と、毎回疑問符を浮かべられながら言葉を咀嚼される羽目になってしまうのじゃよ。故に、口調を無理矢理に捻じ曲げるような行為は非推奨なのじゃ。と言うか話は戻るが、妾について知りたい事があるのであれば神風の時と同様にリンクを繋げて確認すれば良い…と言いたい所じゃが、また下手に可能性を覗いて絶望されても困る故、強行出来ぬのがまた歯痒い所。あぁまた話は変わるが、お主が虚獣化する可能性に関しては心配せずとも良い。虚獣の器たる力を手にした所で、その器を満たすだけの信仰も知名度もお主は満たしておらぬ故、お主の意識が虚獣として昇華し現世での意識を喪失するという事態にはまずなりえぬ。と……色々御託を並べて、より鮮明な意思の疎通を試みてみた訳じゃが…結局、それらの言葉のみで確信を得るには至らない筈。最終的にはやはり妾の言葉からその真意を汲み取って貰う他は無い、と言う結論に至ってしまう―――」

俺「………………」


ケート「……と言う事。理解を求める」

俺「ハイ、スイマセンデシタ」


ケート「……では、創造に戻ろう」

俺「…………お、おう」
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/05(月) 23:07:42.46 ID:06oVM60g0
なんだこの長台詞から漂うそこはかとない銀魂臭は……w
210 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/06/06(火) 00:00:25.77 ID:jxJr4ajso
●あらたに

―――そして、一週間後。


俺「終わった……やっとの事で終わった。本当に…本当に長かった」


加速空間を限界まで活用し、新しく創った世界の状態も安定してきた事で…やっとこさ創造主の任を解かれた俺。

これで一旦、戦いの物語は終わり…この長かった騒動の幕を下ろす事が出来た。


後は、元居たアパートに戻り…今まで通り、いつも通りの日常を謳歌する事が出来る…そう信じて止まなかったんだが……

そう…事件ってものは、いつだって唐突に起こりうる物なのに…俺は、それをすっかり忘れてしまっていた。


俺「今戻ったぞーー!!」

レミ「おかえりっ!」

ハル「おかえりなさい」


世界を創り終え…ヘトヘトになりながら帰宅した俺を迎える、ハルとレミ。


俺「待たせたな二人とも。今まで頑張った分、今夜はとことん―――」

レミ「あ、それなんだけど…」

ハル「えっと…その……」


しかし二人の様子はどこかおかしく…何故か、バツが悪そうな表情を浮かべていた。


二人に一体何があったのか…

俺の中に一瞬浮かんだその疑問は、ふと視線を巡らせた先で明らかになった。


ハルの父「はじめまして…だね。いや、その……若さだね」

ハルの母「この調子なら、きっと二人目もすぐでしょうねえ」


俺「あ、いえ…その、これは………って、え?」

ハル「えっと…お腹の中の子の事なんですけど……何だかんだで、無事だったので…」

俺「マジか!?良かった…って、いや、それもなんだが!これは一体どういう―――」


レミの父「いやいや、二人目と言うのであれば娘の方も…それに、正式に籍を入れるとなれば……」

そして更に、部屋の奥から聞こえる別の声。


ハル「あ、えっと…紹介が遅れましたが、うちの両親です」

レミ「それと、うちのパパ」

俺「……………」
211 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/06/06(火) 00:20:01.04 ID:jxJr4ajso
ハルの父「どうも、うちの娘がお世話になっています」

俺「あ、いえこちらこそ!俺…自分の方こそハルにはお世話になっています!」


ハルの母「突然押しかけてしまってすみませんね。迷惑だったでしょう?」

俺「そんな事ありません、ええもう、全然大丈夫です!」


レミの父「はじめまして、レミの父です。君がレミの…そして、あの件の……」

俺「と…は、初めまして。えっと、あの件て?」

レミの父「レミの件で…あの事がきっかけで君は大学を追われたと聞いて居る。君の人生を狂わせてしまい、大変申し訳無いと思って居る」


俺「あぁ……いや、あれに関しちゃぁ悪いのは教授だし、気にしてないですよ」

レミの父「だが…」

俺「それに…今の人生だって何だかんだで気に入ってるんで。ほら、おかげでこうしてハルやレミとも一緒に居られてますからね」

レミの父「そうか…そう言って貰えると私も助かる。だが…それはそれとしても、責任を取らねば気が済まない」


俺「いや、だから…」

レミの父「と言う訳で…どうだろう?うちのレミを嫁に貰ってはくれないだろうか?」


俺「………は?」


レミの父「手前味噌で何だが、あの子は母親に似て容姿は端麗だ。加えて言うなら、私の跡を継いで貰えれば将来的にも………」

ハルの父「おいおい、抜け駆けは無しにしようじゃないか。第一、本命がうちのハルと言う事は納得した筈だろう?」

俺「えっと…その………え?」


ハル「もう説明は不要かも知れませんが…」

レミ「うちのパパもハルのパパも、こういう事になっちゃって一歩も退かなくて……」


俺「いやいやいや、流れは判らないでも無いんだが…幾ら何でも、話が飛びすぎじゃないか!?」

レミ「ぁー……」

俺「普通、最初はまず俺の人柄とか学歴とか収入とか確かめてからだよなぁ!?」


ハル「そこはまぁ…」

レミ「ねぇ……?」

俺「何だよ」


ハル「一週間かけて説得しましたので」

レミ「左に同じ!」


俺「説得と書いて洗脳と読みそうだなぁそれ!?」
212 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/06/06(火) 00:42:32.40 ID:jxJr4ajso
ハルの父「と言う訳で…当の本人である君の、正直な所を聞かせてくれないかい?」

レミの父「妻に先立たれ、父一人娘一人で生きて来た身…ここにきて娘が身を固めてくれるのなら、もう思い残す事は何も無いのだよ」


俺「…………」

余りにも唐突な展開に、言葉を失ってしまう俺。

かつてない危機の前に立ち尽くし、その間にも刻一刻と追い詰められて行く。


一歩また一歩後ずさり、開けっ放しになった玄関の先へと追いやられ……

俺「………っと?」

黒髪の男「うおっと…」


そこを通りがかった…どこか見覚えのある男にぶつかった。


俺「あ、悪ぃ。大丈……って、アンタは…」

黒髪の男「よっ、何だかもめてるみてぇだな」

髪の色こそ銀色では無く黒髪だが…それ以外は全く相違無い。例の…ウロボロスの元締めの男。

そして、その男を見た瞬間…俺は閃いた。


俺「頼む、ちょっとだけあの赤い箱を貸してくれ!この状況を乗り越える未来を―――」

だが…そんな俺の言葉を遮るように、男は俺の肩に手を乗せ……


黒髪の男「あんな物に頼らず…自分の未来は自分で切り開け、ダークストーカー」

親指を立て…物凄く良い笑顔で言ってくれやがった。



黒髪の男「おい黄色ぉぉぉ!!手前ぇ、またやらかしやがっただろ!!」

男が去り…二つ隣の部屋から聞こえて来る声。

そして一人取り残された俺には、容赦なく追撃の手が忍び寄る。


ハルの母「さて…お話は終わりましたか?」


俺「その………えっと、ハル?」

ハル「すみません…申し訳ないとは思うんですけど、私も改めて聞きたいので…」


俺「………レミ?」

レミ「アタシもハルに同意見かな。あ、大丈夫大丈夫。アタシは別に二号でも構わないから…ね?」


俺「………………」


まぁ実際の所…

俺の心は、とうの昔に決まっている。


ただ、それを改めて口にするのがこっぱずかしく……

ついでに言うと、物凄くアレな内容な事も相まって…それを言葉にする事を憚られているだけだ。

口にするにしろ、口にしないにしろ……どちらにしても、ダメ男な事には変わり無い。


更に付け加えるならば…そんな状況で、俺の意地なんかが耐えきれる筈も無く……


俺「――――――――――」


後はもう……声を高らかに上げ、その言葉を放つだけだった。
213 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/06/06(火) 01:00:20.42 ID:jxJr4ajso
●さいごに

あ、そうそう。

ちなみにこの後…


ユズ「えっと…それで自分は何をしたら良いんッスか?」

グリモワール「我らが詩片を集め…」

グラマトン「あるべき姿…そして秩序を取り戻すのだ…」

グリモワールとグラマトンって魔導書のいざこざに、ユズが巻き込まれたり……


カライモン「成程……やはり君達が一枚噛んでいたのだね」

マーニ「今…ヤルダバオトの楔を砕けば、この瞬間に在る万物は崩壊する」

セート「故に、このまま黙って見過ごす事は出来ぬ」

グノーシスって連中やらオピオゲネイスって恐竜人間やらと、カライモンが一悶着起こしたり……


アラク「ウナギパイ、コソ…至高……」

ミクトラン「こっここそ…究極…だ」

おやつ論争を引き金に、アラクとその生みの親?がインタ−ネットを崩壊させて文明をリセットしかけたり……


誠司「空を飛んだり、銃弾を止めたり…一体、何なんですかあれは!!?」

王「あれは…組織に所属する超能力者達だ。奴らの野望を阻止しなければ、この国…いや、この世界に未来は無い」

後輩の誠司が王と名乗る男に出会い、超能力集団との闘いに巻き込まれたり……


ミア「え?え?えぇぇぇっ!?な…何で私の方が変身してるんですかぁ!!??」

ディーティー「契約するし、助けるとも言った…でも、キミがサポート側での契約とは一言も言って居ない!」

イクシオ「いやぁ、さすがディーティー君。ぶれない鬼畜っぷりだにゃぁ」

性懲りも無く…またディーティーが魔法少女の騒動に首を突っ込んだり……


赤の使途「それはまさか…失われし闇の魔法か!?」

「へぇ…これって、闇の魔法って言うのか。面白いなぁ、って事はもっと…あぁ、やっぱり、こんな事も出来るんだ!」

時を同じくして、また新たな戦いの火種が生まれたり……


と言った感じで色々と騒動は絶えない訳なんだが…それはまた、別の話。


と言うか…ここまで引っ張っておいて何だが、多分この辺りは語られる事も無いだろう。




          魔法少女ダークストーカー

                        ―今度こそ本当に Fin―
214 : ◆TPk5R1h7Ng [saga]:2017/06/06(火) 01:35:30.32 ID:jxJr4ajso
★あとがき

大変長らくお付き合い頂きありがとうございました、これにて魔法少女ダークストーカー完結となります。
諸事情により更新頻度が物凄い勢いで落ちてしまい、皆様にはご迷惑をおかけしました。

マオウシステムに続き、二作目となった今作。
読み返してみるとまだまだ文章が拙く、顔から火が吹き出しそうになる所も多々ありましたが、次回からは出来る限り改善を心がけようと思います。

それでは前回から大分間が空いてしまいましたが、恒例の一斉レス返しをさせて頂きます。

>69 >97 乙ありです! 3人目は無の核でした
>70 途中まで言いかけて止めないで!?
>71 (*´ヮ`*)
>73 おっおっ?(^ω^)
>84 ロリコンじゃないですよ!『ロリもいける』が正しい
>111 STG…誰か作ってくれる人が居れば…(複数方向にチラッチラッ)
>118 愛の力は偉大ですからね(遠い目)
>119 退場しませんよ!?むしろ、ある意味これからが本番ですからね!?
>127 正統派ではつまらないですし…!
>130-131 打ち切りにはなってません!無事大団円で完結しました!
>135 この時点ではあくまでIfの世界ばかりなので…まぁ結局、壊した世界も創り直しましたけどね!
>139 大変お待たせしましたorz
>143 当然ながら、より上位の存在に遮られればあっさりと挫かれます。ただ…その上位の存在も踏まえた上でこの現状があるとも言えます。
>144 世界の終焉にまで行き付いたのは、ウロボロスによる暴走が原因です…が、本人の意志も無かった訳では無いのもまた事実。
   その責任が誰にどれだけあって、結末に納得出来るか否かは……読者の方々の解釈にお任せしたいと思います。
>145 当然、最後の最後まで押し返す逆転展開です!
>152 >154-156 すみません、読み返して貰ってもこの時点で名前は出てません! 因みに鯨型虚獣の名前はケートスで、ケートは少女型虚獣時の名前です。
        ネーミングが安直過ぎるのは主人公のせいの筈…はず…
>158 冷徹になりきれない駄目男な主人公デスカラ!
>164 この軟弱もの!(パシーン)
>168 大丈夫ですよ!世界も人類も皆救えるルートですから!
>173 シュタゲは観測しても記憶してないのが多いみたいですし、具体数出てないと比較しようが…
>174 キリの良い数字になってる気がしますよね!
>175 幾ら膨大でも、有限な以上は無限たりえない量ですからっ!そしてそれが逆に…
>180 バグ?いいえ、システム(仕様)です!
>183 常識や限界を軽く超えるくらい強いです
>189 締り?世界規模の駄目男に無理難問を…
>193-195 乙ありです!…と言いつつも、もうちょっとだけ続きました。温泉と水着は文字だけだと味気ないので、何かしらの形で進展があれば…!
>197-198 もうちょっとだけ続くんじゃよ…
>202 乙ありです!そしてむしろメインキャラ全員チートです(ユズを除く)
>203-204 脱衣料理漫画の四天王で、カライモン アマイモン ニガイモン スッパイモン ショッパイモン。こうですか判りません!
>209 すみません、銀魂読んで無いです!

あ、あと物凄く今更ですが、一部キャラ(神風・アラク・ケート)を追加してイラスト上げ直しました。
https://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=63242363

次回作の構想…と言うかSSのネタは結構な勢いで湧き出て来るのですが、それ故にどれを書くべきか迷う今日この頃。
とりあえず短編集と言う形で色々アップして行きたいと思いますので、こちらも宜しくお願いします。
↓↓↓
チラシの裏の裏(TPk5R1h7Ng短編集)【パート1】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1496680133/
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/06(火) 07:13:31.69 ID:sjPO8PlM0
壮大で愛おしく
明るくもあれば暗くもあり
お茶目だけど理不尽で
主人公の受難は留まる所を知らず(汗
面白いけど酷いレベルでバランスが取れている……

全てを完全に味わい切る事は到底出来ない
そんな、世界でした
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/06(火) 20:49:44.84 ID:IZxjR16n0
>>214
四天王なのに五人……ショッパイモンはムシャ(VIPRPG)枠ですか?w
217 : ◆TPk5R1h7Ng [sage]:2017/06/11(日) 20:42:50.80 ID:h7cNfhG2o
>215 ありがとうございます!電波の勢いのままに書き連ねたSSですが、読者の皆様に少しでも楽しんで頂けたのであれば光栄です。
>216 すみません「四天王なのに五人かよ!」ってツッコミが欲しかっただけで、深い意味や設定はありませんっ!

そして最後に、三核達の出会ったばかりの頃の姿を少々…
https://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=63336832
218 : ◆TPk5R1h7Ng [sage]:2017/06/11(日) 20:48:01.22 ID:h7cNfhG2o
カライモン「さて、これでやっと……これでやっと全て片付いた」

カライモン「これでやっと………」








         カライモン「私自身の手で…復讐を始める事が出来る」




219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/11(日) 21:10:29.87 ID:lsAoahAFo
…おや?
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/12(月) 20:16:22.99 ID:xDNnJ+Bp0
あぁ〜、主人公が名前で弄り散らしてた件について?
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/25(金) 01:38:51.80 ID:U/FSwCgdo
むう…
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/11(月) 23:44:34.90 ID:AvqZLpTN0
とりあえず、このSSの結末のおかげでセントールの悩み的な世界が出来るのかな?って
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/08(日) 18:14:03.53 ID:ixkxGSJp0
チラシの方更新来たな
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/11(土) 23:25:50.20 ID:97UK5xT20
sage
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/25(月) 21:21:16.45 ID:VLKg0/i20
ダークスト〜、ダークスト〜
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/16(火) 20:22:24.22 ID:bMxI1nbt0
速報は復活来たが、こっちはあるのかな?
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