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勇者「ハーレム言うなよマジで」戦士「5だぞっ!」
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304 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/07(水) 23:45:18.70 ID:3m9Dnx6p0
勇者「なんです?ここ」
大爺「……入って、みる、いい」
勇者「入るんですか?」
スー勇者「なんかでっかい所です……キラキラ、してるです」
勇者「ちょっと行ってみようか」
スー勇者「はい!」
スタスタ…
あらくれ「……副町長、いいんすか?」
大爺「……」
―――――――
勇者「ん、なんか暗いなここ……」
スー勇者「壁に黒い幕が張ってるです」
〜♪
勇者「……なんか音楽が聞こえるね」
スタスタ
蝶ネクタイ男「いらっしゃいませ」
勇者「えっ?あ、どうも」
蝶ネクタイ男「たった今開店したところです。御早い来店で」
蝶ネクタイ男「さあ、こちらでございます」
グイグイ
勇者「えっ、ちょっとちょっと……」
スー勇者「わわ」
ザッ
勇者「あれ?なんだか開けた場所に出たね」
スー勇者「……」
勇者「ん?どったのスーちゃん……ん?」
〜〜♪
勇者(なんだ?ちっさいけどステージみたいなのが……)
勇者(……ちょっと待ってあの鼓笛隊の横で踊ってるのって)
―――――――
ダダダダダダダダダダダダ!!!!!
蝶ネクタイ男「おや?もうお帰りで?」
勇者「はーっ!はーっ!!」
蝶ネクタイ男「どうでした?うちの踊り子は」
勇者「ス ト リ ッ プ 劇 場 じ ゃ ね ー か !!!!!!」
蝶ネクタイ男「そうですけど?」
305 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/07(水) 23:45:46.87 ID:3m9Dnx6p0
勇者「か、帰りますすみません!!スーちゃん!いこ!」
スー勇者「くねくねって……お股を……手で、あんな……」プシュゥゥゥゥ
勇者「スーちゃんしっかりして!!忘れて!忘れようっ!」
ザッ
蝶ネクタイ男「それでは……ガルナバークの住民票は?」
勇者「えっ?住民票?」
蝶ネクタイ男「あら、お持ちで無い?でしたら……」
ニコッ
蝶ネクタイ男「しめて50000ゴールド。はらっていただけますね?
勇者「 」
蝶ネクタイ男「おや?どうされました?」
勇者「ちょ、ちょっと待って、待ってください」
勇者「あの、聞き間違いですかね?今50000ゴールドって」
蝶ネクタイ男「言いましたけど?」
勇者「はいいいぃぃ!?」
勇者(いやいやいや!いくらストリップだからって桁がおかしい!!)
勇者「あの、ちょっとした間違いで入っちゃったというか」
蝶ネクタイ男「……払えないんですか?」
勇者「待ってください。とにかく話を聞いて下さい」
蝶ネクタイ男「聞きましょう。ではまず出身国と現在の所持ゴールドを」
スー勇者「っ……ご主人様……!」
勇者(……やばい、ここ)
蝶ネクタイ男「……教えていただけますね?」
勇者(ぼったくりのアカンところだ)
スタスタ
大爺「……その男、ちがう」
勇者・スー勇者「「!!」」
蝶ネクタイ男「……副町長?」
大爺「わたし、この男、入れ、言った。金、いらない」
蝶ネクタイ男「はあ……そうですか。副町長のお知り合いで」
306 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/07(水) 23:46:16.75 ID:3m9Dnx6p0
勇者「副町長さん!!?何でこんなとこ入らせたんですか!!!スーちゃんいるんですよ!!!過激すぎます!!!!」
大爺「……出る。ついてくる」
スタスタ
蝶ネクタイ男「はあ……副町長。ちょっといいですか?」
ピタ
大爺「……」
蝶ネクタイ男「何を企んでるか知らないんですけどねぇ……これは町長の命令なんですよ」
勇者「……え?」
勇者(商人の、命令……?)
蝶ネクタイ男「反感持ってるのかなんなのか知らないですけどね」
蝶ネクタイ男「余計な事しないでもらえますか……?はっきり言って邪魔です」
大爺「……出る」
勇者「え?は、はい」
スタスタ……
蝶ネクタイ男「……」
――劇場の外――
ザッ
大爺「……」
勇者「……あの、副町長さん」
勇者「今あの人が言ってたのって」
大爺「……まだ、見せる、場所、ある」
スタスタ
勇者「……」
スー勇者「……ご主人様……」
勇者「……行こうか、スーちゃん」
307 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/07(水) 23:46:44.95 ID:3m9Dnx6p0
………………………………
………………………………
………………………………
ガヤガヤ
スタスタ…
大爺「……一通り、裏の道、見せる、した」
勇者「……」
スー勇者「……」
あらくれ「……どうだったよ」
勇者「えっと……なんていうか」
あらくれ「あんまり、褒められたもんじゃねえだろ?」
あらくれ「表通りの、他の国の客がうろついてねえ所は、まあ……ジメジメしたもんさ」
勇者「……はい……」
大爺【“……町長は、この町造りが進むごとに変になっていった”】
勇者「え?あ、えっと、スーの言葉かな」
スー勇者「はい……私、訳すです」
【“私は一年前、ここに街を作りたくてスーの村を出て1人ここに居を構えていた”】
【“ある日船で仲間と一緒にやって来た町長に会い、街づくりの助けを願い、町長としてこの街を任せた”】
【“最初は普通の街づくりだった。だが町長は変わっていった”】
【“住民を優先させるために住民票を発行し、それをさきほどの様な店で利用させたり”】
【“あらゆる犯罪者を優先して受け入れたり、街の金で骨董品を買ったり”】
勇者「……」
【“おかげで、表向きは華やか、裏は灰暗い街になってしまった”】
【“それにこの頃、エジンベアの大臣とよからぬ取り引きをしている気がある”】
勇者「……?よからぬ、取り引き……?」
大爺【“……ついてきて欲しい”】
スタスタ…
勇者「……」
あらくれ「……ほら、なにぼさっとしてんだ」
勇者「……はい。行こう。スーちゃん」
スーちゃん「はい……」
308 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/07(水) 23:51:03.46 ID:3m9Dnx6p0
………………………………
スタスタ
ガヤガヤ…
勇者「……本当に、表通りは賑やかですね……」
あらくれ「ああ。宿も店も多いしな。住人も表にはほとんど住んでねえ」
あらくれ「店を出してるのは大抵船で来て宿に短期滞在してる奴らだ。エジンベアのな」
あらくれ「ショバ代だけもらって短期間契約ってのが多いんだよ」
勇者「……」
あらくれ「……さっきのは」ボソ
勇者「え?」
あらくれ「さっきのは、多分、根も葉もねえ噂話さ。骨董品がどうとか」ボソボソ
あらくれ「副町長もボケがきてるだけさ。気にすんな」ボソボソ
大爺【“……あまり表通りに出ないでくれ。国連の奴らに見つからないように道を選んでいるのだ”】
大爺【“今は港の方に集中しているから、隠れながらこの道を行けば見つからないだろう”】
勇者「……あの、どこに行くんですか」
大爺「……ここ」
勇者「え?」
ザッ
――大聖堂横・大倉庫――
勇者「ここ、ですか?ここって」
あらくれ「お前らが不法侵入してた場所だ。そして俺の職場」
勇者「あれは違いますって……!!!あれ?違わないか……?違わないですね……」
大爺「……入る」
スタスタ
あらくれ「今は国連のやつらもいねえ。急げ」
勇者「は、はい」
スタスタ…
スー勇者「……」
ゴソッ
スラお「……スーちゃん?どしたの?」ボソボソ
スー勇者「……あっち」
スラお「あっち?」ボソ
スー勇者「港の方……何か」
あらくれ「おい嬢ちゃん?どうした?」
スー勇者「あっ、な、なんでもないです」
スタスタ…
309 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/07(水) 23:53:49.53 ID:3m9Dnx6p0
ガコォン……
スタスタ
勇者「しかし……改めて見ると本当に大きな倉庫ですね……天井が高い」
スー勇者「こんなに、なんの荷物があるです?」
あらくれ「輸入した商品やら……でも大半はスーの特産品やらだな」
勇者「スーの特産品?」
あらくれ「ああ。スーが近いから、そこいらで取れる果物やら野草やら、肉やらを輸出しようって考えてるんだよ。町長は」
あらくれ「で、やっと取り引き先が見つかってな、これが一番最初のスー特産物の普及になるぜぇ」
勇者「それ、肉って日持ちとか大丈夫ですか?」
あらくれ「安心しろ。干し肉が大半だ」
スー勇者「スーは、干し肉料理多いです。ご主人様にも食べさせたです」
勇者「あー、あれか。あれ凄く美味しかったよ」
大爺「……」
勇者「で……ここに一体何が」
プゥン…
勇者「……うぇ……?」
勇者(なんだこれ、さっきここに来た時こんな匂いしてたっけ?)
勇者(ってかこの匂い、どっかで嗅いだ気が……)
大爺【“……お前さん方が乗って来た船とは違う船の積荷だ”】
大爺【“輸入品ではない……ここを中継地点として、他の国の商船に積ませる予定の積荷だ”】
スタスタ……
ザッ
大爺【“……それが、この一角だ”】
勇者「この辺り、ですか?」
大爺【“この木箱を開けてみるといい”】
勇者「……?」
あらくれ「おいおいおい、勝手に開けていいのかよ?いくら副町長さんでもちょっと度が過ぎてんじゃねえか?」
大爺【“……開けてみるといい”】
勇者「…………分かりました」
ゴトッ
勇者「よい、しょっと……んぐぇっ!!?なんだこの匂っ……」
勇者「……」
勇者「……」
スー勇者「?どうしましたです?」
大爺【“お前さん……町長と馴染みのある人間なのだろう?”】
大爺【“なんとかお前さんから、町長の本心を聞きだしてくれないだろうか”】
大爺【“そして、町長を……正してやってくれないだろうか”】
勇者「…………」
勇者「なんだ……これ」
310 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/07(水) 23:56:30.73 ID:3m9Dnx6p0
「鉄と土ですよ」
大爺・スー勇者・あらくれ「「「!!!?」」」
勇者「……っ、商人……!」
スタスタ
商人「…………国連の連中の会合の合間に急いで牢に行ったら、もぬけの殻でちょっと焦りましたよ」
商人「ま、副町長が出したって見張り番さんも仰ってたんで、行き先の検討はつきましたけどね」
勇者「……これは、一体なんなのさ」
商人「さあ?知りませんよ。ただ輸送の中継地点として荷物を預かってるだけですし」
勇者「だとしても、これは……鉄は、いいとして、土、この木箱」
勇者「これは、おかしくないか」
勇者「だって、この土」
勇者「人の、骨が……死体が、混じってる」
スー勇者「!!!?」
あらくれ「……は?」
勇者「糞尿と一緒に、屍が混じってるよ」
勇者「これおかしいと思わないのかよ……?」
商人「……」
スタスタ
商人「……ねえ勇くん」
商人「勇くんに、何の関係があるんです?」
勇者「…………商人……?」
商人「ここは。私が作った街です。私の街なんですよ」
商人「なんでお前なんかに口出されなきゃならないんです?」
勇者「……」
商人「……お前」
ニコッ…
商人「もう、私と……何の関係もないでしょう?」
311 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/07(水) 23:57:16.17 ID:3m9Dnx6p0
今日はおしまいです
312 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/08(木) 01:31:36.85 ID:pbLZfKgQo
乙です!商人ちゃん何があったの…
313 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/08(木) 19:36:03.42 ID:Os9ylmdw0
今追いついたが、結局エジンベア勇者は覚醒フラグへし折って現実逃避に走ったか。
314 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/08(木) 19:46:23.75 ID:zYrm2XOP0
乙
死体の混じった鉄と土をどうするつもりなのか・・・
315 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/13(火) 15:28:28.92 ID:xqLqfXY70
死体と糞尿が混じった土と硫黄で火薬を作るってのを最近某アニメでやってたけど
鉄については前の会議で指摘されてた部分だよね、次回が待ち遠しい
316 :
◆3VOBH3KJAk
:2016/12/15(木) 00:17:41.64 ID:PC86Fqf/0
勇者「……商人、何、言ってんのさ」
商人「言葉もろくにわからなくなりました?本当に愚図ですね」
スタスタ
ザッ
ガシッ!
勇者「!」
商人「……もう私に関わるなって言ってるんですよ。迷惑です」
あらくれ「お、おいおい町長!」
商人「あらくれさん、ちょっとだけ待っていただけますか?こいつと話をしなきゃいけないんですよ」
勇者「お前、冗談でもキツいってそれは」
商人「はあ?どこがです?」
商人「というか冗談でもなんでもないんですよ?お前が居るだけでこっちは迷惑なんです」
商人「自己満足の為か何なのか知りませんが、仲間達を皆放って勝手に単独行動になるぅ〜とか馬鹿みたいな事言い出しますし」
商人「国連に追われてる身なのに国連の人間が大勢居るこの街にのこのこ現れるし」
商人「腐れ縁の恩情で国連から見つからないように牢に隔離しておけば副町長に誘われてのこのこと抜け出すし……」
勇者「……」
商人「あげくの果てには、やーっとこさ軌道にのったこの街の動かし方にまで口挟むんですか?」
商人「いい加減、本当にうざいんですよね……」
商人「いつまで幼馴染の仲良しごっこ続けるつもりなんです?」
勇者「……ッ!!!!」
ガシィッ!!
商人「……なんです?肩、痛いんですけど」
勇者「今のは、マジでやめろ」
勇者「僕の事は、確かにその通りだからいくらでも言っていい、けどさ」
勇者「“幼馴染の、仲良しごっこ”とか……そういう事言うのやめろよっ……!!」
勇者「あいつらまで、あいつらの事までお前がっ」
バシッ
商人「だーかーらー」
商人「いちいち偉そうに私に口をきくなって言ってるのがわからないんですかねえッ」
勇者「……っ」
317 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/15(木) 00:18:20.08 ID:PC86Fqf/0
商人「とにかく。これはちゃーんとしたビジネスです。部外者は黙っていてください」
あらくれ「で、でも町長さんよ。その木箱、土の中に人の骨入ってんだぜ!?」
あらくれ「いくらなんでもちょっと穏やかじゃねえよ……!なんの目的があってそんなもの」
商人「まあ、各国からこういった糞尿と屍混じりの土を仕入れてますが……私が知った事ではありませんよ」
商人「貿易の橋渡しをするだけで色んな恩も売れますし、船の出入りが多くなって街の資金も巡ります。良い事です」
商人「この土の木箱の隣に区分けされてる鉄の山も、同じくエジンベアの大臣様が取り仕切って動かしている品です」
商人「あの方とサマンオサの方々は良いお得意様ですからね……なんとか機嫌を損ねないようにしないと」
スー勇者「っ……」
商人「……なんです?その目」
スー勇者「あなた、嫌いですっ……」
商人「おやおや、嫌われちゃいましたね」
スー勇者「そんな、怪しい取り引き、して……あんな、お店も作って……!」
商人「あんな店?……あー、ストリップ劇場の事ですか?あれのどこに問題が?」
大爺「問題、ある!風紀が、乱れ、取る金も、おかしい!」
商人「……はぁ……では、ああいった店を全部無くした方が良いと、風紀が乱れないと。本当に思うんですか?」
あらくれ「……どういう……?」
商人「この街に定住している人間の多くが大工の人間です。優先的に誘致しましたし、だからこそ一年でここまで街の見栄えが整いました」
商人「そういった方々は、例外なく屈強な男性達です。体力を持て余した、血の気の多い、ね」
あらくれ「……」
商人「その方々が黙々と町を造り続けて不満が出ないワケないでしょう?何か欲求を満たすものが必要になります」
商人「幸い食品には恵まれていますから食欲は大丈夫として……では性欲は?」
商人「開拓地などによくあるお話では、労働夫達がその性衝動に任せて女を攫ってきて監禁、仕事場で隠し飼いにして犯し続けたり」
商人「あるいは見境もなしに来国した女性を強姦したり……とにかく明るいお話は聞きませんね」
商人「その事態を避ける捌け口として、ああいった店は必要なんですよ。近々売春宿を設置する事も考えています」
商人「そういう目的ですから、この街の住民でない方々にはお金を余分に頂いているだけですよ」
大爺「なっ……!あ、あの男達、貴女の事、尊敬、している!そんな犯罪、彼ら、しない!」
大爺「彼らの事、信じる、大事――……」
商人「そーれーだーかーら副町長。あなたを町の経営の第一線から降ろしたんですよ前にも言ったでしょうが」
商人「人を信じるだけで万事上手くいったら世話はいらないんですよ馬鹿馬鹿しい。言葉の美しさだけで生きていられりゃそりゃいいですがね」
商人「そんな事で生きていけるのは頭のイってしまった詩人くらいなもんなんですよ」
商人「人を疑う事の方が色んな計算ができて視野が広がるんです。そしてそれが私達の仕事です」
大爺「っ」
商人「ここは、私の街です。口出ししないで下さい」
318 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/15(木) 00:18:49.80 ID:PC86Fqf/0
あらくれ「……町長……」
大爺「……それでも」
大爺「街の金で……骨董品、買う……宝石、買う……」
大爺「それは、違いない……貴女、悪い」
商人「…………へえ、知ってたんですか?」
大爺「取り引きの、現場、見た者、居た!」
商人「バレてたんですね……まあ想定はしてましたけど。ですがそれの何が悪いんです?」
商人「私のお給料で私の買い物をしてなーにが悪いんです?ねえ」
あらくれ「町長……?あんた、まさか」
商人「全く、質素に暮らしていれば聖人になれますか?本当になんなんですかアンタらは」
商人「私の勝手でしょう?そんなの」
商人「私の街で、私が好きにやるのは当たり前の事じゃないですか」
商人「……いいですか?もう一度言います」
商人「ここは、私の街です。何も考えずに口出ししないで下さいね」
勇者「………………」
スー勇者「……」
あらくれ「……」
大爺「っ……間違って、いた」
大爺「あの時、貴女に、全て任せた、間違っていた……!!」
商人「それはどうも」ニコッ
スタスタ
商人「さて。申し訳ありませんが勇くん。そろそろ消えてくれませんかね?動くなら今しか無いですよ?」
商人「国連の方々は現在宿で荷解きをしているんです。待機している兵達も船と港に集中しています」
商人「まあなんだかんだで知らない仲ではないですし。国連に突き出すのは勘弁してあげますよ」
勇者「……商人」
商人「なんです?」
勇者「…………いや」
スタスタ
勇者「なんでもない……行こう、スーちゃん」
スー勇者「ご、ご主人様っ……」
クルッ
スー勇者「……っ!べーっ!」
商人「ホントに嫌われちゃいましたね」
319 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/15(木) 00:19:16.92 ID:PC86Fqf/0
商人「ああ、そうです。ちょっと待ってもらえます?」
勇者「え?」ピタ
スタスタ
商人「忘れちゃうところでした……。どうせここから何処へ行くかも考えてないんでしょう?」
商人「でしたら……そこのお嬢さん、スーの方ですよね?」
スー勇者「……そうです、けど」
商人「なら丁度良い。中央広場の東口の方に私と取り引きしてる方がいらっしゃるんですけど、その方に会ってくれます?」
スー勇者「なんでですかっ……」
商人「その方、スーの方なんですよ」
スー勇者「!」
商人「恐らくそのまま彼はスーに戻ると思いますので、それに同行でもさせてもらえばいいんじゃないですか?……よっと」
ドサッ
スー勇者「……この、大きな袋は……?」
商人「秋種と本です。その彼に頼まれてたんです。彼に渡してくださいな」
商人「さあさあ、国連の方々が動き始める前にとっとと消えてください?ちょっとこれから私は儲け話をしてこにゃならんので」
勇者「……商人」
商人「ん?なんです?私の寛大な処置にお礼でも言ってくれます?」
勇者「ありがとう」
商人「……はい?」
勇者「いや……それじゃ、また来るよ」
スタスタ
勇者「行こう、スーちゃん」
スー勇者「は、はいっ」タッ
大爺「……町長、また、あとで、話す」スタスタ
スタスタ
あらくれ「……町長」
商人「……」
あらくれ「嘘だよな……?さっき言ってた事」
あらくれ「なあ……?じゃなきゃ……俺らみたいな、『下層』の奴らをアンタは!」
商人「……あなたに話す事はありません」
あらくれ「……!!」
あらくれ「…………そう、かよ」
スタスタ
商人「……」
シーン……
商人「……」
…………
……
…
・
320 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/15(木) 00:20:54.12 ID:PC86Fqf/0
――ガルナバーク・裏通り――
スタスタ
勇者「とりあえず、そのスーの人に会ってスーまで同行させてもらおうか」
スー勇者「ご、ご主人様」
勇者「どしたのスーちゃん?」
スー勇者「いえ……その……」
大爺「やはり……もう町長は、昔のような、人、なくなった……」
あらくれ「……あの噂も、本当だったのかよ……」
ギリッ…
あらくれ「…………ああ、くそ……」
勇者「いや、どうでしょうね」
あらくれ「は?」
大爺「……何?」
勇者「多分ですけど、あいつはそこまで変わって無い気がするんですよ」
あらくれ「な、なんでわかるんだ?」
勇者「えっと……幼馴染の感。ですかね」
あらくれ「……けっ、そうかよ。聞いた俺が馬鹿だったよ」
勇者「まあ何にせよ、今僕がここにいるとまずいってのは本当なので早いところ移動しよう。スーちゃん」
スー勇者「…………ご主人様」
勇者「ん?」
ギュッ
勇者「ふぇっ」
あらくれ「おおっ?」
スー勇者「……寂しそうな顔……してるです……」ギュゥ
勇者「……スーちゃん……」
ドゴォッ
勇者「ティムン!!!!」
大爺・あらくれ「「!!!?」」
あらくれ「今嬢ちゃんのバッグが勝手に動かなかったか!!!?」
スー勇者「き、気のせいです!!!」
勇者「お、お気になさらず!あはははは」
勇者(スラおォ……後で覚えとけよぉ……)
…………
……
…
・
――港付近・高級宿――
スタスタ
コンコン
ダーマ勇者「ソクラス様、よろしいでしょうか」
321 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/15(木) 00:22:07.69 ID:PC86Fqf/0
シーン…
ダーマ勇者「……?ソクラス様?」
ガチャッ
……
ダーマ勇者「…………いない……?」
――――――――――――
――中央広場――
ザワザワ…
ヒョコッ
勇者「……国連の、兵は……居ないみたいだ」
スタ
勇者「ここが中央広場……ふあー、本当に立派だ」
スー勇者「……綺麗なところ、です」
勇者「じゃあとりあえず……よいしょ、と」
ドサッ
勇者「この、商人に頼まれた荷物をそのスーの人に渡さないとね」
勇者「その後にスーに一緒に行きたいところなんだけれど……都合はどうなのかな」
スー勇者「でも、いいです?」
勇者「ん?何が?」
スー勇者「スーに来てもらって……本当にいいです?」
勇者「いやいや、逆に僕がお邪魔していいかな?って話だよ?」
スー勇者「それは勿論、大歓迎です……でも」
「スー勇者!!?」
勇者「え?」
スー勇者「……!!スー戦士さん!」
スタスタ
スー戦士【“スー勇者!!無事だったか!!”】
スー勇者【“心配かけて本当にごめんなさい!でもちゃんと大丈夫でした!”】
勇者(うおお……屈強そうなスー人の男の人が来た……この人が商人の言ってた人か)
スー勇者「ご主人様!この方、スー戦士いいます!村で一番、腕のたつ戦士でした!」
スー戦士【“……スー勇者?こちらは?”】
スー勇者【“えっと……話せば長くなるんですけども……”】
勇者(なんか挨拶した方がいいかな……言葉はどのくらい通じるんだろ)
勇者「え、えっと……こ、こんにちは、えっと……は、ハジメ。マシテ」
スー戦士「どうもこんにちは。はじめまして。俺はスー戦士って言うんだ。よろしくな」
勇者「ペラペラですね!!?」
スー勇者「スー戦士さんは、村で一番、共通語が上手いです!」
322 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/15(木) 00:22:36.35 ID:PC86Fqf/0
スー戦士「そういうスー勇者も共通語がだいぶ上達したじゃないか!偉い偉い!」
スー勇者「えへへ……ご主人様が、教えてくれるです!」
スー戦士「ご主人様?女王様かい?」
勇者(女王様?)
スー戦士「いいえ!お師匠様ではなくて、この方です!」
スー戦士「君……が?えっと、うちのスー勇者が世話になってるね」
勇者「いえいえいえいえ、本当にこっちが世話になりっぱなしで」
ガシッ…
スー戦士「でも……その……こんな子供にご主人様呼びを強制させるのは正直……」
勇者「ちげーんですけど!!!?強制じゃないんですけど!?……まあ、とにかく。勇者です。よろしく」
スー戦士「ああ。よろしくな」
勇者「あ、スー戦士さん。早速ですがこれ……頼まれた荷物です」
スー戦士「ん?頼まれたって誰に……おおお!町長さんからか!ありがとう!!」
勇者「秋種と本だそうです。間違いないですか?」
スー戦士「ああ。間違いないよ。全く仕事が早くて助かるね」
スー勇者「でも、スー戦士さんが、取り引きです?本と、種を?」
スー戦士「ん?あー、そうか。この街ができてからはお前はスーに帰ってなかったからな」
スー戦士「今俺はな。商売をしているんだよ」
スー勇者「えっ!?スー戦士さんが!?」
スー戦士「はは。意外か?でも本当だよ。だから本を読んだり異国の植物について勉強するために町長にこれを頼んだのさ」
スー戦士「正直俺は昔から思ってたんだ。スーはもうちょっと暮らしを豊かにできるんじゃないか、ってね」
スー戦士「で、ここに街ができたんでこれはチャンスだ!と思ってな。いろいろなアプローチをしているんだ」
勇者「ああ、だから大倉庫にもあんなにスーの特産品が……」
スー戦士「見たのか?ああ。あれも俺の計画だよ」
スー戦士「ここの町長さんに頼んで色んなところと取り引きの契約を結んで貰ってるんだ」
勇者「……」
スー勇者「……」
スー戦士「?どうした?」
スー勇者「いえ……その」
勇者「なんでもないですよ。それで、なんですが……ちょっとこの後スーに少しお邪魔させて貰おうかな、と思ってて」
スー戦士「おお!そうなのか!是非来てもらえるかい?喜んで歓迎するよ!」
勇者「そう言っていただけると嬉しいです」
スー戦士「じゃあ村まで案内するよ。と、その前に……ちょっと俺の仕事が終わるまで待っていてもらえるかな?半陽刻くらいで終わるから」
スー勇者「お仕事です?」
スー戦士「ああ。この町の店にも商品を卸しているからな。その話し合いやらさ」
勇者「でしたら、お待ちしてますね。この広場に居るんでもし終わったら声をかけてもらえれば」
スー戦士「了解だ。ちょっと待っててくれよな」
スー勇者「お仕事、頑張ってください!」
スー戦士「ありがとう!行ってくる」
スタスタ
323 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/15(木) 00:23:32.96 ID:PC86Fqf/0
勇者「いい人だね。しっかし共通語が本当にペラペラだなあ」
スー勇者「……はい」
勇者「さて、と……半陽刻か。少し暇になったね」
スー勇者「です」
グゥゥゥゥ
勇者・スー勇者「「……」」
勇者「スーちゃんお腹すいたよね、ごめんね」
スー勇者「い、今の私違うです!違うですー!」
もそっ
スラお「おなかすいた!」ボソッ!
勇者「ああ、スラおか。まあなんにせよお腹すいたね……えっちょっと待ってスライムってお腹鳴るんだ」
スー勇者「はい……本当はぺこぺこです」
勇者「ちょっとお店入ろうか。まだ時間もある事だし」
スー勇者「はい!」
スタスタ
勇者「と、なると……どこがいいだろうね。結構広場に面した食堂もあるみたいだ」
スー勇者「ご主人様のお好きなところへ!」
勇者「スーちゃんが好きなところでいいのよ?んー……適当にあそこにしよっか」
スー勇者「はい!行きますです!」
グイグイ
勇者「おうおうスーちゃんちょっと引っ張っちゃダメだって」
スー勇者「ふふっ」
勇者「ん?どうしたの?」
スー勇者「いえ……」
ニコッ!
スー勇者「ご主人様と、こうやって街歩くの、嬉しいです!」
勇者「あああああああああスーちゃんああああああああああ!!!!!!!!」ナデナデナデナデナデナデ
スー勇者「いああああ髪がぐしゃぐしゃになるですー!!!」
バタン
「……どうする?」
「店に入ったか……まあいい。出てきたら話を聞こう」
「だな」
…………
……
…
・
324 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/15(木) 00:24:13.02 ID:PC86Fqf/0
―――――――――――
――パブ――
カランカラン
店主「いらっしゃい」
勇者「ども。えっと……」
ガヤガヤ
勇者「結構混んでるなあ……」
スー勇者「あ!あそこあいてるです!」
ガヤ… ピタ
スー勇者「あそこ行きましょうです!」
勇者「そうだね」
スタスタ
ガタッ
勇者「ふぅ……とりあえずどうしようかな」
スー勇者「もうお腹くっつきそうです。えへへ」
勇者「僕もだよ。えっと」
「んだよ。へらへら笑いやがって」
勇者「……ん?」チラッ
「「「…………」」」
勇者(……?……なんで皆こっち見てるんだ)
325 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/15(木) 00:24:39.50 ID:PC86Fqf/0
スタスタ
ザッ
店主「……ちょっといいかい」
勇者「え?ああ、えっと注文は」
店主「そっちの嬢ちゃん」
勇者「え?」
スー勇者「わたし、ですか?」
店主「あんた、その髪飾り……スー人か何かだろ」
スー勇者「え……?そ、そう。です」
「なんで当然のようにテーブルに座ってんだよ……」
スー勇者「……え」
「また最近調子に乗り始めてるよな、スーの奴ら……」
「見ろよ。状況が分かってないんだあのスーの子供」
「まあ子供だからわからないんでしょ……許してあげましょうよ」
スー勇者「…………あ……」
店主「……帰ってもらえるかい。まだ幼いお前さんにゃ分からないかも知らんがね」
店主「そこに座るのはダメなんだよ。あんた」
スー勇者「……」
勇者「……?は?何で?」
店主「なんでって……ねえお客さん」
店主「お客さんも奴隷を扱う時の作法くらい覚えておいてよ」
勇者「…………」
店主「お客さんだけならいいんだけどさ……嬢ちゃんはちょっと外で待ってもらうとかしてくれる?」
スー勇者「す、すみません、でしたっ」
ガタッ
スー勇者「……っ」
ニコッ
スー勇者「ご主人さま!私!外でお待ちしてますです!」
326 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/15(木) 00:25:29.56 ID:PC86Fqf/0
勇者「スーちゃっ」
タッタッタ
バタン
勇者「……」
「うるさいな……ドアの開閉もろくにできんのか」
「無理ねえって。まだ子供だったろ」
「あんなかわいい奴隷だったら俺も1人くらいほしいな、ははっ!」
店主「悪いね。だけど作法ってもんがある。わきまえてくれよな」
勇者「……」
店主「で?何を頼む?」
ガタッ
勇者「……あー」
店主「んお?どうした?」
ガリガリ
勇者「あー。あー」
ガリガリガリガリ
勇者「クソ、あー、もう」
店主「……なんだ?帰るのか?冷やかし」
ぞっ
店主「うくぁっ?」
327 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/15(木) 00:25:58.56 ID:PC86Fqf/0
勇者「お前ら、今度あんな事言ったら殺してやるからな」
勇者「もう、今殺してえけど、くそ、殺してえなあ」
ガリガリガリガリ
勇者「糞どもが、クソ、殺し、今、今殺すか?」
勇者「あー、今、殺し。ああ、クソが」
キィィィィ……ン
「うっ……?おぶっ」
「おえっ!?おえぇぇぇぇぇ」
バチャバチャバチャ
「ひっ?な、なんだっ。なんだっ」
店主「っ。っ」パクパク
スタスタ
勇者「殺し、くそ、どうやって、殺……ああああ、クソどもが、あー……どうやって……」
ブツブツ
バタン
シーン
店主「……!!!?な、なんだったんだ……!!!?」
328 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/15(木) 00:26:28.15 ID:PC86Fqf/0
――広場・パブの前――
スー勇者「……」
モゾッ
スラお「スーちゃん……」
スー勇者「スラさん……」
ペロペロ
スラお「かなしいかおしてるよ」
スー勇者「ん……ふふ、んーん。ありがとうです」
スー勇者「でも、大丈夫です。たまにあることですからっ――」
ぞっ
スー勇者「っ」
カランカラン
スー勇者「ご」クルッ
勇者「……殺……て」ブツブツ
スー勇者「ご主人様!」ダッ
ザッ ガシッ
スー勇者「ご主人様!しっかりしてください!だめです!しっかりです!」
ペシペシ
勇者「……――ん、え?スーちゃん……?」
スー勇者「……ほっ……良かったです」
勇者「あれ……?僕、出て……?」
勇者「……ごめん、ちょっとあまりにも頭に来たもんだから、血が頭に上りすぎちゃって…………ぼーっとしてた」
スー勇者「……ご飯、食べてこなかったです?」
勇者「え?なんでさ!スーちゃんと食べられないなら意味ないでしょ」
スー勇者「でも、わたし、その……スー人なので」
スー勇者「多分、エジンベアの方が多い、この町は、どこも同じだと思うです……だから」
勇者「スーちゃんを除け者にするような所でご飯食べるくらいなら飢え死にした方がマシだって」
スー勇者「……」
ナデ
勇者「ごめんね、なんか、嫌な思いさせちゃって」
スー勇者「っ……!!」
ギュゥゥゥ
勇者「うおおスーちゃん!?どしたのっ」
スー勇者「ご主人様だいすき……っ!」ギゥゥゥゥゥゥ
勇者「スーちゃんくるしいしやわらかいしちょっと離れてまずいです!!!!」
スラお「ぼくはゆーしゃきらい。ほんときらい」
勇者「お前それしか言えないの?僕が傷付かないとでも思ってんの?」
スラお「せいりてきにむり」
勇者「なんで追い討ちかけた?畜生かお前?畜生だったな?」
スー勇者「喧嘩だめです!」
329 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/15(木) 00:27:48.24 ID:PC86Fqf/0
・
…
……
…………
――広場のベンチ――
スタスタ
勇者「お待たせスーちゃん」
スー勇者「おかえりなさいです!」
ドサッ
勇者「何か見た事の無い果物が多かったからすぐ食べられるものを見繕ってもらったよ」
スー勇者「わぁ!ありがとうございますです!」
ペリペリ
勇者「こういう剥き方でいいのかな」
スー勇者「それはこうやって剥くです」ペリリ
勇者「おお、なるほど……あむ。ん!おいしい!」
スー勇者「んふぁー……ほっぺが落ちそうです……♪」
スラお「まむまむ」
勇者「もうちょっと隠れて食べてスラお」
スラお「もっとよこせ」
勇者「自分で剥けないのを良い事に……ムカツクゥ」
ペリペリ
勇者「……さっきみたいなのって、結構あるの?」
スー勇者「……たまに、です」
スー勇者「エジンベアの人たちは、まだ心の中に、奴隷制度が残ってるです」
スー勇者「だから、たまに、ああいう事あるです」
330 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/15(木) 00:28:15.19 ID:PC86Fqf/0
勇者「……そっか」
スー勇者「でも、差別しない人もたまにいるですから、へいきです!」ニコ
勇者「……ん。そっか」
勇者(……以前の、エジンベア城に居たときの目線……あれ、スーちゃんの髪飾りを見た奴らがさっきみたいな事思って向けてたんだろうな……)
ザッ
勇者「んぁ?」
細目の男「ちょっと、よろしいですかね?」
勇者「へ?僕ですか?」
勇者(なんだこの人たち……)
細目の男「はい。ちょっと話があるんです」
太った男「お前さん、さっき町長と話してたよな?」
ノッポの男「町長とはどんな関係だ?」
勇者・スー勇者「「!!!!」」
勇者(……つけられてたのか?)
勇者「いえ、特に……?なんでですか?」
細目の男「しらばっくれてないですよね?本当はどんな関係で?」
勇者「ただの昔の知り合いだから挨拶しただけですよ。本当に」
細目の男「ふうん……昔の知り合い、ねえ」
勇者(……まずいな)
331 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/15(木) 00:28:42.02 ID:PC86Fqf/0
ノッポの男「なあ、正直に話したほうがいいぜ」
太った男「なんかの取り引きの話だったんだろ?」
勇者「違いますけど……それを僕に聞いてどうするつもりなんです?」
細目の男「……」
勇者「本当に挨拶した程度なんですけど、もし僕が変な取り引きしてたら一体何を」
細目の男「リコール」
勇者・スー勇者「「!!!」」
細目の男「今の町長の行いはちょっと看過できない事が多すぎましてね……」
細目の男「ですから、新しい町長を選びなおす。その機会がほしいのです。この私達は」
細目の男「ただ、上手いこと手を回すものですから証拠、というか決定打にかけていまして」
ザッ
細目の男「……悩んでいたところ、なにやら貴方達が怪しい動きをしていたのでね」
勇者「……」
スー勇者「……っ」
細目の男「どうです?何かお話していただけませんか?」
勇者「まず本当に何も知らないです。協力はできません。と言ったら?」
細目の男「そうですね……ちょうど、国連の方々がいらっしゃってる事です」
細目の男「あなた方御二人を国連の方々に突き出して、調査をご協力願うしかなくなりますね」
勇者「……」
細目の男「……知ってること、教えていただけますね?」
勇者「……」
ポロッ
勇者「……ああ」
スッ…
勇者「果物が落ちちゃったじゃないですか――……」
ドカッ!!
勇者・スー勇者・細目の男「「「へ?」」」
「んー……青い空。快晴と言うヤツですなあ」
「おやおや、お隣にいきなり申し訳ないね。丁度いいベンチがなかったもので」
ニコッ
ソクラス「少しだけ話し相手になってもらえるかね?」
332 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/15(木) 00:29:13.82 ID:PC86Fqf/0
勇者(…………なんだこのおじさん……)
細目の男「ちょっ……いきなりなんです?」
ソクラス「まあまあ、ちょっとだけ話し相手になってもらえんかね?」
ソクラス「どうだね、そこの少年」
勇者「……僕、ですか?」
ソクラス「ああ。君は今のような快晴は好きかね?」
勇者「快晴、ですか?晴れ?」
ソクラス「うむ。そうだね」
勇者「や、まあ……好きですけど」
ソクラス「そうかそうか。そこのお嬢さんは?」
スー勇者「えっ!?えっと、好きです!」
ソクラス「そうかそうか。そちらは?」
細目の男「え?まあ、好き、ですが」
ソクラス「そうかねそうかね!結構な事でありますなあ!」
(((……なんだこの人)))
太った男(なんかめんどくせえヤツにからまれちまったな)
ノッポの男(酔っ払いかなんかか?くそ、なんだってこんなタイミングで)
ソクラス「では、雨は?どうかね?少年」
勇者「雨、ですか?……うーん、雨もいい所あったりしますけど、晴れのほうが好きかなあ」
ソクラス「ほうほう」
勇者「えっと、これなんの質問なんですかね」
ソクラス「君は実に、結構な事だね」
勇者「え?ん?」
ソクラス「君はどうやら貪欲ではないようだ。そんな顔をしている」
ソクラス「君は貪欲ではない。貪欲では決して無い」
勇者「え……はい、えっと?」
ソクラス「君は実に、つまらない」
勇者「……ンッ!?」
スー勇者「なっ……!」かちーん
太った男(いきなりのdis)
ノッポの男(ちょっと気の毒だな)
ガタッ
スー勇者「ご主人様に何を言うですかぁっ!!!!!」
勇者「ス、スーちゃん落ち着いてっ?」
ペリッ
勇者「……え?」
333 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/15(木) 00:29:47.56 ID:PC86Fqf/0
ソクラス「つまらない、つまらない」
ペリッ ペリッ
勇者「……」
勇者(いつの間に……僕が持ってた果実を)
ソクラス「ああ、そっくりであるなあ」
ムシャッ…
ソクラス「あの男に……実にね」
勇者「……あの、男?」
スー勇者「あっ!ご主人様!」
勇者「え?」
スタ…スタ…
スー戦士「……」
勇者「スー戦士さん。もう終わったんだ」
ソクラス「おや?もう行かれるのかな?」
勇者「は、はい。僕はこれで」
チャリッ
勇者「……」
勇者(……僕のポケットから貨幣の音が)
ソクラス「この果実の代金。それで、足りると思うのだがね」
勇者「っ」ゾッ
ソクラス「話し相手になってくれて感謝しよう少年。さ、お行きなさい」
勇者「スーちゃん。行こう」
スー勇者「あっ、は、はい!」
タッ
細目の男「あっ、ちょっとま……」ダッ
ザッ
ソクラス「君たちはもう少し私の話し相手になってもらえるかね?」
細目の男「ちょっ……!!あっ」
タッタッタ
太った男「……いっちまった」
334 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/15(木) 00:30:13.55 ID:PC86Fqf/0
ノッポの男「何をしやがる!」
細目の男「邪魔をしないでください!」
ソクラス「ふふん、少しは感謝してもらいたいものですなあ」
太った男「あぁ!?何言って」
ソクラス「私があそこで割り入らなければ、君たちの足の腱はスッパリやられて、地べたを這いずり回っていたでしょうな」
細目の男「……は?」
ソクラス「これを見たまえよ」
ザッ
ソクラス「ベンチの下のこの跡……彼はベンチに座った瞬間からこの場所に剣を抜きやすいように設置していたのだよ」
ソクラス「彼がしゃがんだのを君たちも見ただろう?」
「「「……」」」
ソクラス「彼は恐らく逃げるつもりだったんでしょうなあ。それなら相手が追手にならぬように足の腱を切るのが一番容易い」
ソクラス「迷いはなさそうに見えたね、私には」
細目の男「だ、だったら……!!やっぱりあの男、やましい事が!」
太った男「なおさら追わねえと!!」
ソクラス「まあまあ待ちたまえよ」
細目の男「何ですか!!一体――……」
ソクラス「……君たちには君たちで。お話があるのだよ」
………………
スー戦士「……」
タッタッタ
勇者「スー戦士さん!」
スー戦士「ん?ああっ、ふたりとも」
スー勇者「もうお仕事終わったです?」
スー戦士「……」
勇者・スー勇者「「?」」
スー勇者「どうされたです?」
スー戦士「いや……少し、手違いがあったみたいなんだ」
スー戦士「取り引きの事でちょっとね……妙な事が、あって」
勇者「妙な事……?」
スー戦士「いや、きっと大丈夫、だとは思うんだ。ただ予定が大幅に狂った」
スー戦士「悪いが二人は先にスーに行ってもらえるか?俺は少し遅くなりそうなんだ」
勇者「そうだったんですか……お仕事忙しそうですね」
スー勇者「でしたら、先に帰ってるです!」
スー戦士「ああ……村長やエドによろしく言っておいてくれ」
スー勇者「はい!」
勇者「ではまたスーでお会いしましょう。失礼しますね」
スー戦士「ああ。気をつけてな」
335 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/15(木) 00:31:20.82 ID:PC86Fqf/0
スタスタ…
……
スー戦士「……」
クルッ
スー戦士「……っ……嘘であってくれよ」
スー戦士(町長さん……貴女は俺達スー人を騙すような事なんて……してないよな……?)
スタスタ…
――――――――――――――
ムシャ…
モグモグ
ソクラス「うん……見事な快晴である事よ」
スクッ…
ソクラス「…………じつにつまらない」
ポイッ
ゴロッ… コロン コロン
ブチャァッ
ソクラス「飽きた」
タッタッタ
ソクラス「おや?」
ダーマ勇者「ソクラス様――!!!」
ソクラス「おやおや、ダーマの」
ズザァッ
ダーマ勇者「よかった……はぁっ、ここに、いらっしゃったんですね」
ダーマ勇者「宿でお姿がみえなかったので……いったいどうされたんですか?兵もつけずに」
ソクラス「それはですね……」
ソクラス(……)
ガクッ
ソクラス「うっ……」
ダーマ勇者「!!!?」
ダッ
ダーマ勇者「ソクラス様!!?お気を確かに!!……どうされたんですか!!?」
ソクラス「……すま、ないね……実は……――」
…………
……
…
・
336 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/15(木) 00:31:47.52 ID:PC86Fqf/0
・
…
……
…………
――ガルナバーク・町の外――
スタスタ
勇者「んー……風がきもちいいー」
スー勇者「ですー……大地って、いいものです」
勇者「ずっと船の上だったからね……」
勇者「さてと。こっからスーってどのくらいかかるの?」
スー勇者「えっと、普通の道を行くと一日くらいです」
勇者「あー、やっぱりかかっちゃうか」
スー勇者「でも、近道もあるです。岩山の道、スー人しか知らない道あります」
スー勇者「そこだと、半々日で行けるです」
勇者「おお?凄く近道になるね」
スー勇者「……一応ルーラもあるです」
勇者「あ、そっか!そういえばスーちゃんルーラが……」
勇者「使え…………」
―――――――――――――
ヒュウウウウウ!!!!
スー勇者『やああああ――――!!!!』
武道家『えぇぇ!!!!?何!?女の子が落ちてきてる!!?』
勇者『うわああああ危ない危ないいいいいい!!!!!オーライオーライ!!!!!』アワアワ
武道家『え!?ちょ、勇者受け止める気!!?だったら私が』
ゴッシャァ!!!!
勇者『ブエナッ!!』ビスタッ
―――――――――――――
勇者「…………使え、る?」
スー勇者「……落下するの、ご主人様を、巻き込むわけには……」
勇者「や、僕は大丈夫だけど……一応その岩山ルートで行こうか?」
スー勇者「すみません……」
勇者「なんで謝るのさ。散歩にもなるしいいもんだよ。のんびり行こう」
スー勇者「はい!」
337 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/15(木) 00:32:15.17 ID:PC86Fqf/0
スタスタ
勇者「一応道も踏み固められてるんだね……できたばかりの町なのにほんと凄いな」
スー勇者「この道の両脇、見てください」
勇者「うん?」
サァァァァ
勇者「でかい林、ってか森があるけど……どうしたの?」
スー勇者「ほんとは、この道の場所も森だったです。一塊になってたです」
勇者「あ、そうなんだ!じゃあここを切り開いてその木材使ってたのか」
スー勇者「すごく丈夫な木です。たぶんそうです」
勇者「なるほどねえ、開拓と木材調達を同時にって感じだったのか」
スー勇者「とりあえず、あそこに見える丘まで行っていいです?」
勇者「ん?あそこ?わかった」
……
スタスタ
勇者「……おお」
――ガルナバーク・南西の丘――
サァァァァァ……
勇者「うおおお……ここすごく、なんか、いい……!」
スー勇者「えへへ、ここ、私のお気に入りの場所です」
スラお「おはないっぱい!」
スー勇者「お花も綺麗ですし。それに、夕焼けと朝焼けがすごく綺麗です」
勇者「おお、いいね。まだ夕焼けにはちょっと早いなあ」
スー勇者「ですので、また朝焼けを、一緒に見に来てくれますです?」
勇者「来よう来よう!是非見たいよ!やー……綺麗だなあ」
サァァァァ…
勇者「……ガルナバークも一望できるし、町を出てからここまでの道も見える――……」
勇者「…………ん?」
スー勇者「?どうしたです?ご主人様」
スラお「うんこ?」
勇者「ちげえよなんでお前いつもうんこ方面なんだよ……スーちゃん、あれ見える?」
スー勇者「え?…………えう?」
……ドドド……
スー勇者「……何かが、全速力で」
勇者「こっちに、走ってきてる、よね」
338 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/15(木) 00:34:29.68 ID:PC86Fqf/0
ドドドドドドドド
勇者「っていうか」
スー勇者「もう、そこまで、来て……」
ドドドドドドドドドドド!!!!
ズザァ――――――!!!!
勇者「 」
スー勇者「 」
スラお「あっ!」
「はぁっ、はぁっ……見つけましたよ……!!」
勇者「……あ、貴女は」
スー勇者「ダ……」
スラお「おねいさん!」
ジャキィッ!!!
ダーマ勇者「よくも私を騙してくれましたね!!!!」
ダーマ勇者「ルビス様に代わって……!!!」
ザッ!!
ダーマ勇者「お仕置きです!!!!!!」
スー勇者「ダーマさん……!!」
――――――――――――
スタスタ
ソクラス(さてさて……少年はどうやって彼女をいなしますかな)
ソクラス(あの程度の障害で潰れるならそこで潰れておしまいなさい)
ソクラス(それとも、保身の為に、彼女を力尽くで)
ソクラス(…………殺してでも、乗り越えるか)
ソクラス「クハハっ」
ソクラス(少しだけ、楽しみですなあ)
ソクラス(どうかね?忌み子の勇者君)
339 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/15(木) 00:35:21.93 ID:PC86Fqf/0
今日はおしまいです
340 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/15(木) 00:50:22.72 ID:Ouj/vE7co
乙!
続き気になりすぎる
341 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/17(土) 23:55:07.47 ID:nOlj+8Eu0
――――――――――――
勇者「だ、騙した?何を……」
ダーマ勇者「しらばっくれないで下さい!!」
ダーマ勇者「先ほど話を聞きました……!その髪の色!癖っ毛!青い目!銅の剣!!」
ダーマ勇者「あなたがあのガルナの塔の変で賢者様を攫った容疑者勇者なんですね!!」
勇者(あー、今度は騙せそうにないっぽいな)
勇者(同じ船に乗ってここまで一緒に来てたのか……まずったな……。しかしなんで僕の素性にいきなり気付いたんだこの人)
勇者「……」
勇者(もしかして……さっきのおじさんか?)
ヒュンッ
勇者「!?」
スー勇者「っ!ご主人sっ――……」
ダーマ勇者「隙ありっ!!!!」
ガキィィン!!
ダーマ勇者「……!」
勇者「……っ」
勇者(いきなり斬りかかってくるとは思ってなかった。意外と好戦的なのか)
ダーマ勇者(受け流された?今の剣が?)
ギリッ ザッ!
ダーマ勇者(次はそういかせません!……このダーマ聖騎士団の剣術で)
ヒュンッ
勇者「!!」
ダーマ勇者「成敗してくれますッ!!!!」
ガキィン!!
ダーマ勇者「!?」
勇者「……」
勇者(でも、この人剣術が型に嵌りすぎてる)
勇者(ムオル勇者さんが前に言ってた聖騎士がよく使う剣筋だ)
342 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/17(土) 23:55:35.19 ID:nOlj+8Eu0
ガキィン! ガキィン!!
ダーマ勇者「っ!? っ!!」ヒュンッ ヒュンッ
勇者「っ、っく、ふっ」
勇者(やっぱりだ。この人相当な優等生だったんだろうな。出てくる動きが全部本当に型通りだ)
勇者(だとしたら……なんとか、往なせる)
ヒュンッ!!
ダーマ勇者「ぅぁ!?」
ダーマ勇者(す、素手で剣をいなされたっ!!?)
勇者(ただ、こういう聖騎士達は剣術を手放さなければならない時)
ダーマ勇者(それならっ……!!!!)
ダーマ勇者「その……風に……せよ!!」
ゴォォッ
勇者(詠唱が極端に短い神風魔法を連撃の一つとして放ってくる、から!!!)
勇者(横に思い切り逸れてやり過ごす!!!)
ダッ
ダーマ勇者「バギ!!!……ふぇ!!?」
ゴォオオオオッ!!!!
パラパラ……
勇者(うおおお、あっぶな……!!)
ダーマ勇者「なっ、よ、避けないで下さい!!!」
勇者「無茶を言いなさる」
勇者(でも単なるバギで凄い速度だった。やっぱり国連の勇者なだけあって強い)
ダーマ勇者(攻撃が全部読まれてるみたいに悉くかわされた……)
スー勇者(……ふ、二人の動きが速すぎて何をやってるか全然わからなかった……)
スー勇者(でもそうだよね……。ご主人様はもっと速いムオルさんといつも一緒に戦ってたんだもん)
343 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/17(土) 23:56:35.39 ID:nOlj+8Eu0
勇者(このままじゃまずいし……仕方ない)
ダーマ勇者(やっぱり、相手はあの落日の七日間を引き起こした最悪の魔族……簡単に折れてはくれませんか)
ダーマ勇者(じゃあもう一体の方を先に退治――……)
ガシッ
ダーマ勇者「……しひ?」
勇者「動くなよ……こいつの首」
ジャキッ
勇者「…………刎ねるぞ」
スー勇者「っ……!!……なんで仲間割れを……って、ええ!!!!?」
ダーマ勇者「スッ……スー勇者様!!!!?」
勇者(……スーちゃん、今は合わせて)ボソボソ
スー勇者(でもっ……)ボソボソ
勇者(……でもじゃない。言う事を聞くんだ)ボソボソ
スー勇者(……!!)
ダーマ勇者「スー勇者様!!!貴女は行方不明になっていた筈……!!ご無事だったんですね!!!」
ジャキッ!!
ダーマ勇者「!!」
勇者「だから騒ぐなよ。今は無事だけど、お前が騒いだら無事じゃなくしてやるぞ?」
スー勇者「っ……」
ダーマ勇者「っ……の……!!!卑怯なっ……!!!!」
勇者「お前ら用の人質としてこの女の子を攫っておいてよかったよ」
勇者「脅せば僕の言う事をなんでもきいてくれるからコマにもしやすかったし……これからもいい人質になりそうだ」
スー勇者「ダーマさん……!た、たすけて……」
ダーマ勇者「……っ、っ」
ギリィッ……!!
ダーマ勇者「この……!!!!外道っッ……!!!」
344 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/17(土) 23:57:03.03 ID:nOlj+8Eu0
勇者「外道で結構だよ。僕には最高の褒め言葉だよそれ」
勇者「ま、とにかく僕にあと一歩でも近づいてみなよ?この子殺すから」
ダーマ勇者「……ッッ!!!!」
勇者「それでもこっちに来れる?……来れないよねぇ〜?心優しい勇者だもんね?貴女様は」
勇者(スーちゃんごめん、合図したらルーラでスーまで飛んで)ボソッ
スー勇者「っ……」キュッ
ジリ…ジリ…
勇者「とにかく。この大陸に僕の欲しい情報は無かったからもう僕はお暇させてもらうね」
ダーマ勇者「なっ!!ま、待ちなさ――……」
勇者「殺すって。言ったろ?」
ダーマ勇者「あ、くっ……!!」
勇者「……いいね?」
ダーマ勇者「……」
勇者「……」
ダーマ勇者「……」
勇者(……よし、行けるか)
勇者「それじゃ……」
ダーマ勇者「恥をっ……恥を知りなさいっ!!!!」
勇者「……」
ダーマ勇者「あなたは、最低です……!!!最低の、最悪な、ゲスです!!!」
ダーマ勇者「アリアハンの優しい住民達を騙してっ……!!!オルテガ様を殺害する手助けをしてっ」
勇者「……」
ダーマ勇者「挙句の果てには!!アープ様も、ガルナ様も!シャンパーニ様も……殺して!!」
ダーマ勇者「テドンの人たちを、罪の無い人たちを皆殺しにした!!!!」
勇者「……」
ダーマ勇者「あなたには、心がないんですか……!!!!」
ダーマ勇者「そうやって、人間と同じように喋ることができるのに!!」
ダーマ勇者「あなた、心が!!!!痛まないんですかっ!!!!!!!」
345 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/17(土) 23:57:30.08 ID:nOlj+8Eu0
勇者「……――無かったら、本当に、良かったのに」
ダーマ勇者「……え?」
勇者「…………スーちゃん。行こう」
スー勇者「っ!!」
ゴオオォォッ
ダーマ勇者「きゃっ!!?ちょっ、待っ……」
バシュゥゥゥゥゥゥゥゥンン!!!!!!!
ゴォォォォォ……
オォォォ…
オォ…
…
・
パラパラ…
ダーマ勇者「……」
ダーマ勇者「……」
ダーマ勇者(……何、あの)
―――――――――――――
勇者『……』
―――――――――――――
ダーマ勇者「……哀しそうな、目…………」
346 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/17(土) 23:58:03.50 ID:nOlj+8Eu0
―――――――――――――
バシュゥゥゥゥゥゥ
スー勇者「っ……!!」
スー勇者(良かった、今回はなんだか成功しそうっ……あ!)
スラお「なんかみえたよ!」
スー勇者(スーの村!よしっ!あそこまでいけば……!!)
バフォッ
スー勇者「あっ?」
スラお「お?」
ヒュゥゥゥゥゥ……!!!
スラお「わわわっ!!?おちるよ!!?」
スー勇者【“高度がっ、下げ、あ、勢いが足りなっ……!!だめだめだめっ!!落ちるっ”】
スー勇者・スラお「「いやあああ―――――!!!!」」
ドゴォッ!!!!
ズザァ――――ッ
ゴロゴロゴロゴロッ
ゴロ…
…
パラパラ…
スー勇者「ん……?」
スー勇者(あれ?なんともない……?……――って)
勇者「……大丈夫だった?スーちゃん」
スー勇者「ご主人様!!!」
347 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/17(土) 23:58:44.91 ID:nOlj+8Eu0
ガバッ
スー勇者「ご、ごめんなさいです!!庇ってもらっ……――!!!!」
スー勇者(私を抱きしめたまま着地して転がったから、体中が傷だらけに!!)
スー勇者「ごめんなさいっ!ごめんなさいっ……!!今、治すですっ!!」
ポワッ……
勇者「……ごめんね」
スー勇者「なんで謝るですかっ……!私が、だめなのに」
スラお「スーちゃんはわるくないもんっ!ゆーしゃがわるいもん!」
スー勇者「スラさん!!!やめてください!!!私、いいかげんに怒るでs」
ギュッ
スー勇者「……ふぇ?」
勇者「……………………ごめん」
スー勇者「まわわ!!!?ごご、ご、ご主人さま!!!?」
スー勇者(そんな、起きてるご主人様からぎゅってされるなんて――……)
グッ……
スー勇者「…………」
勇者「……ごめん」
スー勇者「…………ご主人様……?」
ギュゥゥ……
勇者「ごめんね……ごめん」
ぎゅぅぅぅ
勇者「……っ、ごめん……っ……」
スー勇者「……」
ギュッ
スー勇者「…………わたしは、わかってるです」
スー勇者「ご主人様のお傍、いるです……」
スー勇者「………………安心、してください」
…………
……
…
・
348 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/17(土) 23:59:18.64 ID:nOlj+8Eu0
・
…
……
…………
スタスタ
勇者「……あとどのくらいで着きそう?」
スー勇者「このあたりからなら、すぐに着くです!」
勇者「そっか。もう陽も沈んできたし、夜が来る前になんとか到着したいね」
スー勇者「でも、あとほんの少しです!歌を一曲、歌うのが終わるころ、もう着くです!」
勇者「本当?じゃあなんか歌ってよスーちゃん」
スー勇者「はずかしいです……」
勇者「あはは」
スー勇者(……もう大丈夫そう、かな)
スー勇者(仕方ないよね……あんな事言われたんだから……)
スタスタ
勇者「でもいきなり行って大丈夫かな?」
スー勇者「大丈夫です!みんな優しい人ばかりです!!歓迎するです!」
スー勇者「えへへっ!ご主人様に会わせたい人、いっぱいいるです!」
勇者「そんなに居るの?はは、楽しみだなあ」
スー勇者「とくに、エドさんに会わせたいです!」
勇者「えどさん?」
スー勇者「はい!私のだいすきなエドさんです!」
勇者「ご家族の方?」
スー勇者「いいえ!でも家族も同然です!」
スー勇者「えっとですね……えへへ。実は、エドさんとご主人様、なんだか似てるです」
勇者「え?僕に似てるの?」
スー勇者「はいっ!」
勇者「そっかあ、それは余計に会ってみたいなあ」
スー勇者「是非です!ふふ……エドさんはよくペロペロしてくれるです。久しぶりにしてほしいです」
勇者「ん?ペロペロ?」
スー勇者「はい」
勇者「ペロペロって、何?え?ベロで?」
スー勇者「はい!」
勇者「…………」
勇者「……ん、あ?そっか。エドさんって女性?」
スー勇者「いいえ?」
勇者「………………そう、ああ、へーぇ」
349 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/17(土) 23:59:55.16 ID:nOlj+8Eu0
勇者(え?それっていいのか?それ絵面的にやばいんじゃないのか)
勇者(あ、でもよく考えたらそれがスーでの交流方法だったりするのかな)
スー勇者「それにエドさんは私の事、なんでも知ってるです!」
スー勇者「多分、私の事で、エドさんが知らない事はないです!」
勇者(んー?なんかだんだんやばくなっていくんですけど?)
勇者(大丈夫なんですかエドさん信じて良いんですかエドさん)
スー勇者「私が村に帰るときも、なぜかすぐに気付いてお迎えしてくれるです!」
勇者(ちょっとまてそれスーちゃんのストーk……)
スー勇者「前に帰ってきた時も、あの木陰に――……あっ!!」
勇者「ん?」
スラお「なんかいる」
スー勇者「エドさん!!!」
勇者「!!?」
勇者(さ、早速の御対面!?まだちゃんと心の準備が)
パカラッ パカラッ…
勇者「………………――――うん?」
白い馬「ヒヒーン」パカラッ パカラッ
勇者「……ねえスーちゃん」
スー勇者「はい?」
勇者「なんだか綺麗な白い馬がこっちに駆けてくるんだけど……エドさんは」
スー勇者「はい!エドさんです!!」
勇者「えっ」
スー勇者「あれがエドさんです!!」
勇者「エドさん」
パカラッ パカラッ
白い馬「……」
勇者「……エドさん。ん。んん」
勇者(僕……馬に似てるかい……?スーちゃんさん……?)
スー勇者「エドさーん!!!!たーだーいーまー!!!」
350 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/18(日) 00:01:41.28 ID:BLV2UM8s0
エド「おかえり――――――――――――!!!!!スー勇者――――――――――!!!!!」
勇者「キェアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア喋ったアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」
351 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/18(日) 00:02:19.76 ID:BLV2UM8s0
今日はおしまいです
352 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/18(日) 00:49:10.93 ID:Rj/mYV/0O
乙乙
エドさん…
353 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/18(日) 02:29:54.92 ID:HoWJAbuZO
乙
354 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/18(日) 07:00:08.56 ID:PfGSER+lO
乙
馬は前から喋ってただろ!
355 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/19(月) 00:57:48.96 ID:qwz+A1ji0
パカラッパカラッ
ズザァ!!
スー勇者「エドさん!お元気そうです!」
エド「おかえり!スー勇者!一年弱ぶりだね」
ペロペロ
スー勇者「わわっ♪」
エド「約束通り共通語も上手くなって……!馬うれしい!馬うれしい」ペロペロ
スー勇者「あふふっ!えへへへ!」
勇者「ファ!!ファイヤーバードだ!!そうなんだろ!!!?」
エド「え?」ピタッ
スー勇者「ファイヤーバード?」
勇者「白い塗料とかでごまかしてるんだろ!!だ、だまされないよ僕は!!神父様はどこにいるのさ!!!見てるんでしょ!!!!」
勇者「それかあれでしょ!!ファイヤーバードの親戚かなにかでしょう!!!」
エド「……スー勇者。この方が」
スー勇者「はい……。ご主人様です」
エド「…………そっか」
パカ パカ… ザッ
エド「……――ご主人様」
勇者「えっ!?な、なにっ、ななっ、またラリアットするの!?」
スー勇者「ご主人様がだいぶ混乱してるです」
ペコリ
勇者「……え」
エド「…………ずっと、お待ちしておりました」
エド「よくぞ、ご無事で」
勇者「…………へっ」
………………………………
パカ パカ
勇者「……」
スー勇者「ふふっ!エドさんの背中久しぶりです!」
スラお「たかい!らくちん!」
エド「ははは、あまりはしゃぐと落ちちゃうよ」
356 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/19(月) 00:58:16.97 ID:qwz+A1ji0
勇者(喋る馬……ってのは、もうこの際置いておこう……それはそれとして)
勇者(『ずっとお待ちしておりました』……っていうのは、どういう事なんだろう)
勇者(もしかして、スーちゃんが偶に言うお師匠様繋がりで僕の事知ってたのかな)
勇者(そもそも、そのお師匠様は何者なんだ……?なんでスーちゃんを僕の所なんかに)
エド「でも、本当に良いんですか?ご主人様」
スー勇者「エドさんの背中、らくちんですよ?」
勇者「ぇあっ?あー、大丈夫です。そんなに乗ったらエドさん大変でしょ」
勇者「それに僕は疲れて無いしさ。スーちゃんもずっと会いたがってたじゃん。独り占めしちゃいなよ」
スラお「ぼくもたんのうしてるもんっ!」
勇者「あー、うん。二人占めしちゃいなよ」
スー勇者「えへへっ」
エド「……」
勇者「……ん?ど、どうかしました?」
エド「……ふふ。いえ。安心しただけです」
エド「スー勇者が仕える方が傍若無人な方だったら……と考えたら恐ろしくてニンジンも喉を通らなかったので」
スー勇者「それは大変です!」
エド「かわりにカブを食べていました」
スー勇者「なら安心です!」
勇者「安心だね……」
エド「とにかく、もうじき村に着きます。つもる話はそこで」
勇者「は、はい。是非」
スー勇者「エドさんに話す事、いっぱいできたですー♪」
エド「全部共通語で話しきる事ができるかなー?」
スー勇者「むー!できるです!きっと!」
勇者「あはは……」
……………………
――スーの村近く・川沿いの平野――
【“おい!あれ、スー勇者が帰って来たんじゃないか?”】
【“ああ。エドが迎えに行くって行ってたものな”】
【“おーい!!スー勇者――!!おーかーえーりー!!”】ブンブン
スー勇者【“みんなー!只今もどりましたー!お元気そうで何よりでーす!!!”】ブンブン
357 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/19(月) 00:58:42.65 ID:qwz+A1ji0
スタスタ
スー勇者「みんな、元気そうです!……でも、ここは?」
勇者「みんな畑仕事してるね……しかし」
サァァァ…
勇者「大きくて立派な畑だなあ」
スー勇者「いつのまにかこんな風になってるです……」
エド「ああそうか。スー勇者は知らなかったんだったね。この辺りは大きく開墾しちゃったんだよ」
スー勇者「そうだったですか?どうしてです?」
エド「スー戦士が近くの町で商売をやり始めたのは知ってる?」
スー勇者「はい!会ってきたです!」
エド「そっかもう会ってきたか。そのスー戦士の計画なんだ。スーの特産を継続的に輸出してもらうツテをあそこの町長さんに作ってもらったらしいから」
エド「安定した量を効率的に栽培収穫するためにはこのくらい大きなとこじゃなきゃね」
勇者「でも凄いな……あれは?見たこと無い葉の形だ」
エド「あれはガマライムです。私の好物です」
勇者「そ、そうですか……あれは?」
エド「あれはタバコですよ」
勇者「タバコ?タバコって……あの?」
エド「はい。恐らく想像していらっしゃるタバコで間違いありませんよ」
エド「そもそもタバコは元はスーの文化だったのです。それが同士戦争の際にエジンベアに流れてそのまま世界に広がったのです」
勇者「そうだったんですね……本当に村の特産って感じですね」
勇者「あれ?あの一角は?何も生えて無いですけど」
エド「消え去り草です。収穫して乾燥させています」
勇者「普通に栽培可能なんだ!!!!?神秘的なものでもないんだ!!!!?」
…………
エド「さ」
――スーの村――
エド「つきましたよ」
スー勇者「ご主人様!スラさん!スーの村に、いらっしゃいませです!!」
スラお「はわー」
勇者「おお、ここが……」
358 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/19(月) 00:59:15.00 ID:qwz+A1ji0
ザワザワ
【“なんだなんだ?スー勇者が帰って来たのか?”】
【“男を連れてるぞ?おいおいどうしたスー勇者”】
【“あなた背伸びたわねー!”】
スー勇者【“みなさん!ただいま戻りました!!”】
<……。……。
勇者「うおー、スーちゃん凄い人気ですね……」
エド「はい。村のアイドルです。私の好物です」
勇者「お?なんだその発言」
エド「だってかわいいじゃないですか!!!!!!!!!!!」
勇者「びっくりしたぁいきなりテンションあげないでくださいよ!いやかわいいですけど」
スタスタ…
【“スー勇者”】
スー勇者「!!」
勇者「?」
エド「村長」
村長【“……よく無事に戻ったね”】
スー勇者【“村長様!”】ダッ
ギュッ!
スー勇者【“心配かけてごめんなさい!でも、無事に戻りました!”】
村長【“心配などしていなかったさ。エドが何も言わなかったのが無事の証さ”】
勇者「あの方は……」
エド「村長様です。スー勇者の親代わりのようなものです」
勇者「…………え?」
村長【“……あちらに居るのは?”】
スー勇者【“あの方が、女王様の命で私が仕えているご主人様です”】
村長【“そうか。あの方が……”】
スタスタ
勇者「え、えっと。はじめまして。勇者といいます……共通語は通じないかな」
スー勇者「私が訳すです!」
359 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/19(月) 00:59:41.36 ID:qwz+A1ji0
村長【“どうも。スー勇者がお世話になっております”】
スッ
勇者「いえ。本当にこっちがお世話になってばかりです」スッ
ガシッ
勇者(……!)
村長【“とりあえずお疲れでしょう。一席設けますので、もしよければ”】
勇者「は、はい!お言葉に甘えて」
……………………
――スーの村・大テント(集会所)――
ザワザワ
勇者「すごい……住まいがこういうテント形式なんだ……」
スー勇者「はい。これがスーのおうちです」
エド「暴れ川が近くにある以上、固定住は危険だったのでこうなったのです」
勇者「エドさん普通に参加するんですね……いや、いいんですけど」
村長【“では、主要の人間は全員集まったな”】
村長【“これよりスー勇者の無事の帰還と勇者殿の歓迎を祝し、偉大なる魂に感謝をしよう”】
村長【“皆よく呑み、よく謡え”】
【【【““偉大なる魂に、感謝を!””】】】
村長【“それでは、料理を運んでくれ”】
……………………
ガヤガヤ…
【“本当に平気だったのか?魔物にやられたりしなかったか?”】
スー勇者【“平気だったよー。ご主人様たちが守ってくれたの!”】
【“立派になっちゃって……おばちゃん嬉しいよ”】
スー勇者【“んもう、全然まだまだだよう”】
<……!…!
勇者「んー。やっぱりスーちゃんは人気だなあ」
【“あらお兄さん。ご飯ちゃんと食べてるの?”】
【“やだちょっと。もっと食べなさいよ”】
【“もっとがっしりしなきゃ!”】
勇者「おふっ!?」
勇者(お、お姉さんがたに絡まれたっ)
360 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/19(月) 01:00:07.96 ID:qwz+A1ji0
サワッ
勇者「あふんっ!!!?」
【“あ、でも触ってみたら意外とガッシリしてるわ”】
【“やだあ、お兄さん女の子みたいに睫毛長いわね!”】
【“肌しろーい!やっぱり大陸外の人間って体毛薄いし肌も白いわぁ”】
勇者「あの、ちょっと、そのっ……」
勇者(ボディタッチ多いぃぃ)
スッ
勇者「……」
【“もっと男らしくなる為にはこれ食べなきゃ!”】
【“そうそう!はい!あーんしなさい?”】
【“この村の戦士たちはこれ食べて強くなるんだから”】
大鹿の内臓を胃袋に詰めて煮た物「オォォオォォォォォオォォォォ…」
勇者「……また会ったね……」
ギュムッ
勇者「まぽっ」
【“ほーら一気に食べなさい?もっと豪快に!”】
【“そうそういい感じ!良い感じ!”】
【“これでもっと強くなれるわね!”】
勇者「ばびょぶぱっm、ぺもっ」ザムザム
エド【“あの、お姉さん方。ご主人様が溺れかけてるよ”】
スー勇者「わあっ!ご主人様!いい食べっぷりですっ!」ニコー
エド「馬でもわかるよ。あれ嫌がってるよ」
スラお「これおいしい!」
【“なんだぁ!?このスライムいい食べっぷりじゃねえか!”】
【“どこで消化するんだろうな”】
…………………………………………
勇者「おふっ……おふ、……ぱふ」
村長【“申し訳ない、うちの村の女達は世話やきでして”】
勇者「い、いえ……おいしかったです、うぷ」
エド「よく全部召し上がってましたね……」
361 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/19(月) 01:01:01.79 ID:qwz+A1ji0
【“しかし、その男はスー勇者のなんなんだ?”】
スー勇者「えっ?」
【“お前まだ聞いてなかったのか?スー勇者はこの人に使えるよう女王様に命じられたんだってよ”】
【“へえ、女王様がなあ”】
【“じゃあやっぱり凄い人なのかね。この人”】
勇者「なんだか視線がこっちに集まってる気がするんですけど……気のせいですかね」
エド「ははは。珍しいのですよ。スー勇者がお客を連れてくるのは初めてですからね」
【“しかしだいぶ親しげだな”】
【“手を出されたりしてないよな?なんて――……”】
スー勇者「……」
【【【““…………えっ?””】】】
勇者(ん?なんか空気が凍りついたぞ?)
スー勇者【“……えっと、ですね”】
スー勇者【“実は、この一年、ほとんど一緒に寝ていたんですけれど……”】
エド「ムァ!!!!」
勇者「ムァ!!?」ビクゥッ
スー勇者【“その、けっこう……ご主人様って寝相、悪くて”】
【“(えぇっ、まさか)”】
【“(その寝ぼけたノリで……)”】
スー勇者【“…………その”】
スー勇者【“………………――いっぱい、ぎゅーってされちゃって……”】
スー勇者【“だから、その、赤ちゃんができてしまうかもしれないの”】
【【【““そっかぁ〜〜〜〜〜それは大変だねえ〜〜〜〜””】】】
【“それは仕方ないねー。子供できたらお祝いしないとだね”】
【“んもースー勇者はーんもー”】
【“でもちょっと安心しt”】
スー勇者【“寝ぼけると体中にちゅーしてくるし……”】
【【【““ は ? ””】】】
362 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/19(月) 01:01:42.65 ID:qwz+A1ji0
スー勇者【“耳をね、はむはむされたり、首にちゅってされたり……”】
スー勇者【“その……胸とか、へそとか、下の方(足)も……”】
【【【“““ (下の方) ”””】】】
勇者「あ、この飲み物すごくおいしい……え?なんで皆こっち見てるの?」
スー勇者【“えっと、事故ってわかってるんだけどね。でも、このままじゃ口にちゅーされちゃうし”】
スー勇者【“そうなったら子供は確実になっちゃうし、えっと、もしそうなったら……――っ!”】
スー勇者【“わたし!この方のお嫁さんになりますので!”】
【【【“““ ………………… ”””】】】
勇者「スーちゃんに今度スー語習おうかな」
【【【“““ ………………… ”””】】】
勇者「え?ん?みんな、どうしたんですか?こっち見て」
【“最低だなクソペド野郎”】
【“責任取れよクソペド野郎”】
【“幸せにしろよクソペド野郎”】
【“調子乗るなよクソペド野郎”】
【“どうしようもないクソペド野郎”】
【“クソペド野郎クソペド野郎”】
スー勇者【“皆いきなりどうしたの!!!!?”】
勇者「えっと、エドさん。皆さんなんて?」
エド「歓迎の言葉ですよ」
「死ね!!!!」
勇者「今共通語で普通に死ねって言われた気がするんですけど」
エド「どうなんでしょうね。【“このクソペド野郎”】」
勇者「なんでいきなりスー語に戻ったんですか」
363 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/19(月) 01:02:14.77 ID:qwz+A1ji0
ザッ
バサッ…
村長【“む……?”】
スー勇者【“え?……あっ!”】
スー戦士「……」
スー勇者【“スー戦士さん!お帰りなさいです!”】
勇者「スー戦士さん、お先にお邪魔させてもらってます」ペコ
【“スー戦士!戻ったか”】
【“聞いてくれよ、今さー”】
スー戦士【“……ない”】
【【【““え?””】】】
スー戦士【“すまない……!!みんな……!!”】ギリッ…
スー勇者「どっ、どうされました!?」
【“おいおい、どうしたんだよ”】
【“何があったの?”】
スー戦士【“……騙された”】
スー戦士【“あの人に、騙されてしまった……”】
勇者「……?」
スー戦士【“あの畑も、全部……無駄になってしまった”】
スー戦士【“もう…………取り引きはできない”】
364 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/19(月) 01:02:56.59 ID:qwz+A1ji0
今日はおしまいです
365 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/19(月) 01:12:45.12 ID:pUMyl3rsO
乙乙です
ファイヤーバード…違ったか…
366 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/20(火) 01:08:09.23 ID:jH7UxNyBO
乙
商人の真意は…
367 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/21(水) 12:36:37.62 ID:mAnMawFbO
そういや、ジパング勇者とヒミコって別人なのか?
368 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/31(土) 01:48:12.29 ID:KaiQxJfW0
>>343
× スー勇者「っ……!!……なんで仲間割れを……って、ええ!!!!?」
○ ダーマ勇者「っ……!!……なんで仲間割れを……って、ええ!!!!?」
369 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/31(土) 01:48:40.41 ID:KaiQxJfW0
――――――――――――
――ガルナバーク・宿の大部屋――
ダーマ勇者「……――と、今言った配置で街回りの警備強化をそれぞれの小隊にお願いします!」
ダーマ勇者「各員に通達後、すぐに持ち場についてください!」
サマンオサ兵達「「「はっ」」」
ザカザカ…
ダーマ勇者「……こんな時に聖騎士団が同行していないなんて……くっ」
エジンベア勇者「まぁまぁ、君のせいじゃないさ。気楽にいこうよ」
ダーマ勇者「何を仰っているんですか!あの落日の手引きをした魔物があらわれたんですよ!?一大事です!」
ソクラス「すまないね……私が海の魔物達に力を使い果たさなければなんとか捕らえられたものを……」
ダーマ勇者「と、とんでもない事です!!私の責任ですソクラス様!私が取り逃がしたから……」
商人「とにかく、その男はこの大陸にもう用は無い、というような事を言っていたんですよね?」
ダーマ勇者「はい。間違いありません。ですがヤツの嘘とも限りませんし……街周りの強化はこちらで担います」
商人「恐れ入ります。助かります」
コンコン
エジンベア勇者「ん?」
ダーマ勇者「お客様でしょうか」
商人「はい、どなたです?」
ガチャッ
商人「…………おやおや、これはこれは」
エジンベア大臣「しばらくぶりですな、町長」
商人「大臣様ではないですか」
スタスタ
エジンベア大臣「話は伺いました。あの魔族がここへ来たとか」
ダーマ勇者「そうなのです……今警備を強化したところです」
エジンベア大臣「それは結構。まあ今回この街に連れたのはあのサマンオサの兵達です。心配はないでしょう」
エジンベア大臣「それはそれとして。町長?あの壷の方はどうです?気に入られましたか?」
商人「ええ。朝に早速受け取ってすぐに町長室に飾らせてもらいましたよ」
エジンベア大臣「ふふっ。それは何よりだ。……――そして、あちらの方は順調ですかな?」
商人「はい。輸送も滞りなく進んでいますよ」
エジンベア大臣「結構結構……破格の心遣いで貴女の要望に応えた甲斐がありました」
ダーマ勇者「……?あちら?」
エジンベア大臣「いえこちらの話です。エジンベア勇者?この後はわかっているな?」
エジンベア勇者「はいはい。明日の朝、話し合いの後夕方に輸送船で来た魔導士と合流。その後エジンベアへ移動ですよね」
エジンベア大臣「よろしい。ソクラス様をお連れするのもお忘れなく。失礼のないように」
ソクラス「御手数をおかけしますなあ」
370 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/31(土) 01:49:10.95 ID:KaiQxJfW0
エジンベア大臣「しかし……聞きましたよ?町長」
商人「何をでしょう?」
エジンベア大臣「先ほど、スー人と揉めたらしいではないですか」
エジンベア大臣「なぜあのような者達と……」
商人「……ああ、あれですか」
商人「いいのですよ……もう、終わったことです」
・
…
……
…………
ダンッ!!
スー戦士『契約はここまで!!!?』
商人『はい。これまでの利益分の報酬はまた追ってお渡しします』
スー戦士『ちょ、ちょっと待ってくれ町長。俺は継続的な取り引きを望んだんだ』
スー戦士『開墾も、技術伝達も、仕事の振り分けも終わったんだ!これからって時に――……』
商人『ですが私はどの期間まで、なんて制限も設けていません。始終は利益で判断しますよ?』
スー戦士『だがっ、だが、結構な注文も貰っただろう!?なあ、このまま続ければ……』
商人『……はっきり言わないと分かりませんかね』
ダンッ!!!
商人『私は!もうスー族と取り引きするつもりは毛頭ありません!!』
商人『それよりも儲かる方法があなた達の商品を外に紹介する際に築けた繋がりで編み出せそうなんです!!』
スー戦士『なっ』
商人『はぁ……もう邪魔なんですよねぇ。あなた達スー族は。この街にとって』
スー戦士『町長……?町長、なぜ……』
商人『そういえば、知り合いにあなたに渡すように荷物を預けたんですが……まだ彼らが持っているんです?』
商人『まあいいですが。あの袋の木箱の中の秋種。あれは湿地むけの種で、おいしい果実ができるんです』
商人『スーの傍で育てていただいて、実ったらまた取り引きさせてもらっても構いませんよ?』
スー戦士『……秋まで、あの木箱を開けるまで……どのくらいの期間があると思って……』
商人『だいぶ期間は空きますが、そんなのこっちは知った事ではありません』
商人『私は、商売人です。話がしたかったら儲け話を添えてくださいね』
ニコッ
商人『それでは、さようなら』
371 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/31(土) 01:49:38.68 ID:KaiQxJfW0
―――――――――――――
――スーの村・集会所――
「「「…………」」」
勇者「……」
スー勇者「……ご主人様……」
勇者「……エドさん。通訳ありがとう」
エド「いえ……しかし、これは」
【“だま、された?”】
【“最初っから、うちと商売するつもりなんてなくて……”】
【“うちの商品のもの珍しさで釣れた他の商売人たちと取り引きする為の、踏み台か?俺達が!!”】
スクッ!!
【“馬鹿にしやがって!!!”】
【“畜生が!!こっちは真面目に……!!!”】
【“スー人ばかり苦しめやがってぇ!!!”】
スー勇者【“み、皆!おちついて!”】
エド【“そうだ!!ここで憤っても仕方がない!!”】
【“お前らは黙っていろ!!!”】
【“おい!!直談判だ!!町長の所に行くぞ!!”】
スー勇者【“みんな!!”】
村長【“お前達!”】
【“黙りなさい。子供たち”】
【【【“!!!!!”】】】
勇者「!」
スー勇者【“長老様!”】
スタ…スタ…
長老【“お客人もいるのだ……座りなさい”】
【“で、でも長老!”】
長老【“座りなさい”】
【“……っ、申し訳ない”】
勇者「……あの方は?」
エド「長老様です。大爺様のお姉様で、今は代表を村長に引き継いでいますが、この村の実質的な長ですね」
372 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/31(土) 01:50:34.45 ID:KaiQxJfW0
村長【“長。かたじけない”】
長老【“よい。……スー勇者”】
スー勇者【“は、はいお婆様!!”】
長老【“村の若い衆は怒りに身を焦がしておる。客人には見せられまい”】
エド【“そうですね。長旅も終えた後のようですし”】
長老【“今日の所はお休みしてもらおう。その方もお前の寝床でよかったかい?”】
スー勇者【“はい!私のテントでもてなします!”】
長老【“よろしい。ではおやすみ”】
スー勇者【“はい!おやすみなさい!”】
グイッ
スー勇者「ご主人様!今日はおやすみするです!」
勇者「えっ?ス、スーちゃん、ひっぱらないで」
スー戦士「……勇者」
勇者「は、はい」
スー戦士「…………いや、なんでもない。……おやすみ」
【【【“““…………”””】】】
勇者「……」
勇者「……」
勇者「……おやすみなさい」
…………
……
…
・
・
…
……
…………
チリリリリリ…
ホー ホー
――スー勇者の家(テント)――
勇者「……」
勇者「……」
勇者「……」
勇者「……」
勇者「……」
『もう、私と……何の関係もないでしょう?』
勇者「……」
ゴロッ
勇者「……どうしちゃったんだよ……商人……」
373 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/31(土) 01:51:00.11 ID:KaiQxJfW0
勇者(正直、あれが商人の本心とは思えない……何か裏が……でも)
勇者(今の所全然アイツの考えがわからない……)
勇者(……)
勇者(……)
勇者(……)
ガバッ!!
勇者「っあー――!頭クラクラするっ」
勇者(とりあえず考えるのはやめやめ!国連があの街を離れたらもう一回ちゃんと話を聞きに行こう)
勇者(……)
シーン…
勇者(…………スーちゃん、水浴び長いな……)
――スー村・川辺――
ザパッ…
スー勇者「……ふーっ……」
エド「長い事入るね」
スー勇者「船旅の間、ちゃんと体洗えなかったですから」
エド「ずっと入らなかったの?」
スー勇者「雨が降る時、浴びてたです」
エド「なるほどね」
ザパァ…
エド「どうなるんだろうね、これから」
スー勇者「……」
エド「まさか畑が無駄になるなんてね……」
スー勇者「……町長さんに、今度お話しに行くです」
エド「意味あるかなあ」
スー勇者「それでも……行くです」
374 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/31(土) 01:52:57.76 ID:KaiQxJfW0
エド「ところで、女王様のご様子はどうだった?」
スー勇者「……」
エド「……スー勇者?」
スー勇者【“……もう、永くないって。仰ってたよ”】
エド「……!」
スー勇者【“最後にお会いしたのは一年前くらいだけれど……だいぶ弱ってた”】
エド【“……やっぱり、あの時の怪我かな”】
スー勇者【“ううん。あの時はほぼ無傷で魔族を撃退できたらしいの……”】
スー勇者【“そうじゃなくて……もう寿命が来るみたい”】
エド【“そっか……じゃあ前から仰ってたとおりだね”】
スー勇者【“うん……でも、いざこの時になると、哀しい”】
エド【“…………”】
スー勇者【“…………”】
エド【“……王子の様子は?”】
スー勇者【“……うん。王子はすごく元気”】
スー勇者【“今はお城のみんなが見守ってるけれど、殻の中でどんどん力をつけてるみたい”】
エド【“よかった。ちょっと心配だったんだ。それは嬉しい報せだよ”】
エド【“で、だ。スー勇者。ご主人様は、大丈夫そう?”】
スー勇者【“……うん。ずっと見てたけれど、大丈夫そうだよ”】
エド【“食い破られてないよね?”】
スー勇者【“なんとか私が抑えてる。女王様に教えてもらった魔力の使い方で”】
エド【“うーん……なんだか不安だね。……本当に”】
バシャッ…
エド【“あんなもの……体に捻じ込まれて、本当に気の毒だ”】
エド【“死なないのが不思議なくらいだよ”】
スー勇者【“でしょ?ご主人様は強いの”】
スー勇者【だって…】
ニコッ
スー勇者「…………お日様の匂い、するですよ」
375 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2016/12/31(土) 01:53:30.61 ID:KaiQxJfW0
今日はおしまいです
http://i.imgur.com/9hivw6G.png
376 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/31(土) 03:32:47.11 ID:cmm0SRXdO
乙乙
……勇者は非処女と言いふらしてロリコン疑惑を吹っ飛ばしてやろう
377 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/31(土) 09:22:54.17 ID:9Gq9RIFHo
乙です!
髪の羽根飾りからスーちゃん?かわいいのぅ…
378 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/12/31(土) 11:26:13.63 ID:RRH9S5dLO
おつ
えらく性的な服やな!
379 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/02(月) 11:32:31.57 ID:wUlYQCRcO
ぐへへ、たまらんのう
380 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2017/01/12(木) 23:42:25.88 ID:rzvbRsok0
………………………………
ホー ホー
勇者「……」
勇者(スーちゃんまだ戻って来ない……僕も水浴びは明日にして先に休ませてもらおうかな)
勇者「……ねえ、スラお」
スラお「……」ジッ…
勇者「……ねえってば」
スラお「……」
勇者「鞄に隠れてこっち見てないでよ……いい加減にこっち来てよ」
勇者(……僕と二人きりになると、いつもこうだ)
勇者(僕に怯えているというかなんというか、全く喋らずにこっちを睨んでる)
勇者(そんなに僕が嫌いなのかな……)
勇者「ねえ、いい加減に僕にも慣れてよスラお。ずっとこんなんじゃ疲れちゃうよ」
スラお「……」
勇者「……そんなに僕が嫌いなの?」
スラお「……きらい」
勇者「ぐむ……そうですか」
スラお「ゆーしゃの、なかのそいつ、だいきらい」
勇者「……!」
スラお「……」
勇者「……ぼ、僕の中のこれは……仕方ないじゃんか」
勇者「僕だってなんで魔物なのか分からないけどさっ、僕自身には」
スラお「ゆーしゃも、きらいだもんっ」
勇者「なんでさ!」
381 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2017/01/12(木) 23:42:54.76 ID:rzvbRsok0
スラお「ゆーしゃも、ぼくのこと、ころそうとしてるめをしてる」
勇者「……」
スラお「……」
勇者「……違う、よ。そんな」
スラお「してるもん……」
勇者「……」
勇者「……」
――――――――――――
ガチュッ!!!ガチュッ!!!!
『ごろ"しでや"るっ』
『ごろ"しでや"るっ!!!!』
『ごろ"しでや"るっ!!!!!!!!!』
――――――――――――
勇者「……」
スラお「……」
勇者「……ごめん」
ゴロッ
勇者「寝るから……スーちゃんが来たら、ごめんって伝えておいて」
スラお「……」
勇者「……」
勇者「……でも、スラお」
スラお「……?」
勇者「僕が……お前と仲良くしたいっていうのは」
勇者「その…………本当の事だから」
勇者「……おやすみ」
スラお「……」
…………
……
…
・
382 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2017/01/12(木) 23:43:34.18 ID:rzvbRsok0
―――――――――――
チリリリリ… チリリリリ…
勇者「……ん」
勇者「んん……?」パチ
スー勇者「すぅ……すぅ……」zzz
勇者「んをっ、スーちゃん……」
ビリッ
勇者(あぐ、スーちゃんに腕枕してる状態だから手が痺れてるっ……)
勇者(っていうかスーちゃんまた僕の腕の中に……)
スー勇者「すぅ……すぅ……」zzz
勇者「……」
ナデナデ
スー勇者「むにゃ」
勇者(はは……女勇者の小さい頃を思い出すなあ)
スッ
勇者「ちょっとごめんね……っと」
スタスタ
バサッ
――スーの村・早朝――
サァァァァ……
勇者「……まだ陽は登ってないな」
勇者(今のうちに体を洗ってこよ)
エド「お目覚めですねご主人様」
勇者「トゥワォ!!!!?」ビクゥッ!!!
エド「お静かに。スー勇者が目を覚ましてしまいます」
勇者「あっ!?あぁっ、エドさんか……びっくりしたぁ……」
勇者(そういえば喋る馬さんが居るんだった……)
383 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2017/01/12(木) 23:44:07.07 ID:rzvbRsok0
…………
スタスタ
パカラ パカラ
勇者「すみませんね、川まで案内してもらっちゃって」
エド「いえいえ。もうすぐそこですし」
勇者「……しかし、いい村ですね」
エド「でしょう」
勇者「はい。長閑で綺麗で……」
エド「自慢の村です。気に入っていただけて嬉しいですよ」
勇者「……エドさんってこの村の生まれなんですか?」
エド「……いえ、この村生まれではありません」
勇者「というかそれ以前に……なんでエドさんは喋る事ができるんですか?」
エド「……」
勇者「あっ、いや…………すみません。失礼しました。無理に答えなくても」
エド「……私の生まれた場所の動物は、皆こうでした」
勇者「えっ!?そんな所あるんですか!?」
エド「はい。とある女王様が治めている余りにも小さな国なのですが」
エド「そこでは皆が意思を言葉で通わせる事ができる平和なところでした」
エド「スー勇者は、その女王様に生贄として捧げられた巫女なのですよ」
エド「なので私は、スー勇者のお目付け役として彼女が小さい頃からこの村へ派遣され、そして見守ってきたのです」
勇者「なるほど……………………」
ピタ
勇者「なんかすっげえ重大な事話された気がするんですけど……」
エド「……さあ、川に着きましたよ」
――川辺――
ジャリッ ジャリッ
勇者「ちょ、ちょっと待ってください、生贄って」
エド「まあそんなに構えないで下さい。生贄と言っても彼女が犠牲になるわけではありません」
勇者「えっ、あ。そうなんです?」
エド「スー勇者にこの村のお話は聞きましたか?“同士戦争”での乾きの壷の事」
勇者「……はい」
エド「では話が早いですね」
384 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2017/01/12(木) 23:44:35.83 ID:rzvbRsok0
ヌギヌギ
勇者「あの同士戦争や乾きの壷の話と何か関係が?」
エド「はい。あの壷は、古来にスーの巫女が我が国の女王様に頼んで創ってもらったものなのです」
勇者「へぁぁ……って、女王様っておいくつなんです?」
エド「ふふ内緒です……でっけえ!!!!!!!????」
勇者「えぇっ!!?な、っ、なんですかいきなり!!!?」
エド「い、いえすみませんなんでもないです」
エド「話を戻しますが、その壷を同士戦争により失った我が村の人間達が女王様へ助けを乞うたのです」
エド「すると、女王様は『暴れ川の治水の魔法を巫女に託す。数年間巫女を私の元へ置きなさい』と皆に言い渡しました」
勇者「……なるほど」
エド「それからこの村の巫女達は代々、先代の巫女が川の底に込めた魔力が消え去る前に女王様の下へ修行に行っているのです」
エド「その今代の巫女が……彼女。スー勇者なのですよ」
ザプッ
勇者「……そっか……」
勇者(スーちゃん……そんな役目を……)
―――――――――――
スー勇者『ご主人様!』
―――――――――――
勇者(今度うんざりするほど甘やかしてやろう)
勇者「……あと、知りたい事があるんです」
エド「なんでしょう?」
勇者「スーちゃんに聞いても、話してくれなかったんですが」
勇者「スーちゃんを僕なんかに任せたその“女王様”、スーちゃんの言う“お師匠様”」
勇者「……一体何者なんですか?」
勇者「なんで僕なんかにスーちゃんを仕えさせたんですか?」
エド「…………残念ながら、女王様の正体は言えません」
勇者「えぇっ……理由を聞いてもいいですか?」
エド「本来なら先ほど言った我が国の事も秘匿事項なのです。あなただから話した」
エド「ですが、その女王様の全貌の話が漏れれば必ずあの方の身は危うくなります」
エド「ご主人様にも、あの方の事はお話できません。……ですが」
エド「近々、必ずあの方と貴方様は相見える事になります」
エド「その際には……女王様は長い間病魔に侵されている身」
ペコッ
エド「何卒、ご配慮を」
385 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2017/01/12(木) 23:45:30.90 ID:rzvbRsok0
勇者「……っ」
「お?勇者じゃないか!」
勇者「え?」クルッ
ゾロゾロ
スー戦士「水浴びか?おはよう!」
勇者「スー戦士さん……と」
【“あ、おはようペド野郎”】
【“スー勇者を取りやがった野郎だ。おはよう”】
【“こんな時間から水浴びか?”】
勇者「若い衆の皆さん?おはようございます」
スー戦士「エドも居たのか。おはよう!」
エド「おはよう。皆は鍛錬かい?」
スー戦士「ああ。ちょっくら行って来るよ」
勇者「鍛錬ですか?」
スー戦士「ん?そうだが……一緒に来るか?なんて」
勇者「行きます行きます!見学させてください!ちょっと今服着るんでお待ち下さい!」
スー戦士「えっ、行くのか?いいけど物好きだな」
ザパッ
【【【【“ でけえ!!!!!!???? ”】】】】
【“あいつ女々しい顔してやべえぞ!!”】
【“こわい”】
【“スー勇者にちゃんと入るのかアレ”】
勇者「っとと、エドさん。スー戦士さんにちょっと鍛錬見せてもらってきますね」フキフキ
エド「いってらっしゃいちんちん」
勇者「ちんちん!!!?」
……………………
――村のはずれの岩場――
ガキィン!!! ガキィッ!!
スー戦士【“せい!!!!”】
ガキィッ!!
【“なんのぉっ!!!!”】
ガゴッ!! ドゴォッ!!
勇者「……うぉぉぉっ……」
386 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2017/01/12(木) 23:45:57.32 ID:rzvbRsok0
スタスタ
スー戦士「ふぅ……どうだ?スーの戦士達の鍛錬は」
勇者「いやぁ……なんというか……感服しました」
勇者(この人ら、全員身体能力がハンパ無い……全員漏れなく手だれってレベルじゃないよこれ)
スー戦士「はは、生半可なものじゃないだろう?小さい頃から厳しく鍛錬しているからな」
勇者「はい……でも」
スー戦士「ん?なんだ?」
勇者「あー……いえ、なんでもないです」
スー戦士「?……まあいい。陽もだいぶ登ってしまった事だし」
スー戦士【“皆!引き揚げて飯にしよう!”】
勇者「……」
勇者(これだけの猛者が大勢居て……なんで戦争に負けたんだろう……)
…………
――スー勇者の家――
グツグツ…
スー勇者【“……ん。おいし”】
エド「すっかり料理もうまくなっちゃって……馬うれしい」ペロペロ
スー勇者「あっ!ふふっ!やめてくださいエドさんっ!」
スラお「ぼくもうれしいもんっ!スラうれしい」ペロペロ
スー勇者「きゃー♪」
スタスタ
勇者「スーちゃん。おはよ」
スー勇者「あ!ご主人様!おかえりなさいです!」
――――――
モグモグ
スラお「おいしい!」
勇者「ん!すっごくおいしい」
スー勇者「えへへっ」
エド「本当に上達したね。偉い偉い」
勇者(ふと思ったけどこの食卓すごい光景だな)
387 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2017/01/12(木) 23:46:26.56 ID:rzvbRsok0
エド「それで、ご主人様はこれからどうされるんです?」
勇者「え?……んー……」
カチャ
勇者「あの街から国連が去るのを待ちたいんで……あと五日くらいはここにお邪魔させてもらおうかな、って」
スー勇者「五日ですかっ?」
勇者「うん、ごめんね図々しくて」
スー勇者「いーえっ!!!もっと居てくださいです!!」
勇者「あはは、流石にそれは申し訳ないからさ」
スクッ
勇者「さて、と……片付けたら行きますかね」
エド「どこかに行かれるんですか?」
勇者「うん。ちょっとスーの村を見て回りたくてさ」
スー勇者「あっ!でしたら、私、案内するです!」
勇者「お願いしていいかな?用事とか大丈夫?」
スー勇者「はい!へーきです!」
スー勇者「皆にご主人様の事、紹介したいです!」
勇者「ん。じゃあ一緒にいこ」
エド「じゃあ私も一緒に行きます……乗ります?」
勇者「えっと、いえ、大丈夫です」
…………
――スーの村・住い集合地――
【“おお!帰ってたんだってな!スー勇者!”】
【“おかえりなさい!背も伸びたわね?”】
スー勇者【“みんな!ただいま!”】
ワイワイ
勇者「本当に人気者だなあ」
エド「何度も言うようですが、かわいいですからね」
勇者「本当に何度も言ってますねそれ」
スー勇者【“あの方が私が仕えてるご主人様で――……”】
<……!…!
勇者「…………質問いいですか?エドさん」
エド「どうぞ?」
勇者「……見た感じ、子供居なくないですか?」
エド「……」
勇者「赤ん坊を抱いてる人はいますけど……スーちゃんくらいの子は他に全然……」
388 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2017/01/12(木) 23:46:55.71 ID:rzvbRsok0
【“ちょっと、アンタがスー勇者のご主人様?”】
【“いやあよお、ほっそいったらありゃしないじゃない!!”】
勇者「えっ!?」ビクッ
エド【“ちょっとおばちゃん達、ご主人さまに絡まないの”】
【“いいじゃない減るもんじゃなし”】
【“ちょっとアンタ、力仕事手伝っておくれよ”】
グイッ
勇者「えっ?えっ?あの、エドさん。この方はなんて?」
エド「力仕事をちょっと手伝ってくれと……“ちょっとちょっとおばちゃん!”】
【“けちけちしないでよ!男達は飯食ったら狩りに行ったから男手がほしいのよ”】
【“な?いいだろ?”】
エド「すみません、ご主人様。すぐにやめさせ」
勇者「いえ。自分にできる事ならやりますよ」
エド「えぇっ!?」
スタスタ
勇者「こっちですか?」
【“あらぁ!手伝ってくれるの?優しいじゃない!”】
エド「ご、ご主人様ぁ!いいのですか……?」
勇者「えへへ……実は結構雑用とか好きなんですよ。動かしてる方が気が紛れたりしますし」
勇者「スーちゃんにはよろしく言っててください」
エド「りょ、了解しました……」
スタスタ
エド「……」
エド(なんていうか……ご主人様は庶民派な人だな……)
エド「って、通訳ないと喋れないでしょ!私も行きますよ!」
389 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2017/01/12(木) 23:47:21.05 ID:rzvbRsok0
パカラッ パカラッ
スー勇者「エドさん!ご主人様!どちらへ!?」
勇者「あ!スーちゃん!ちょっとこの方達の手伝いをしてくるよ!」
エド「ちょっとおばちゃんたちがご主人様を拉致ってるからついていくよ!皆と話してて!」
スー勇者「えっ!ちょっと待ってください!私も――……」
スタスタ
村長【“スー勇者”】
スー勇者【“村長様!おはようございます!”】
村長【“ああ、おはよう……ちょっといいか?”】
スー勇者【“へ?はい”】
村長【“国連ではお前が行方不明になったという事だっただろう?”】
スー勇者【“はい……えっ!?まさか国連の方がこの村に”】
村長【“うむ。まあ国連の人間というよりは、お前に用事があった人間からの遣いというか”】
スー勇者【“???……どういう事です?”】
村長【“ランシール勇者、という人間は知っているか?”】
村長【“その方の使者を名乗る者から、お前宛に荷物を預かっている”】
390 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2017/01/12(木) 23:47:48.19 ID:rzvbRsok0
今日はおしまいです
391 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/13(金) 01:23:18.14 ID:U107/Og5O
乙乙
勇者はでかいのか…馬並み…ふむ…
392 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/13(金) 01:27:02.40 ID:/4daO16Y0
乙
393 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2017/01/13(金) 23:43:51.86 ID:6KGNOpWy0
……………………
カァー カァー
ドサァッ
勇者「はぁっ……これで全部か」
【“ありがとうねえ!結局一日中手伝わせちゃって!”】
【“助かったわよ!ちょっと非力だったけどね”】
エド【“おばちゃんらはご主人様をこき使いすぎなんだよ!”】
パカラ パカラ
エド「ご主人様、大丈夫ですか?本当にうちのおばちゃんたちがすみません……」
勇者「エドさん。大丈夫ですよ。なんだかんだ楽しかったです」
エド「ご主人様が羊に埋もれた時はどうしようかと思いました」
勇者「羊に殺されかけるとは思いませんでしたよ僕も」
ゾロゾロ
【“坊ちゃん!さっきはありがとねえ、これ。持っていきなよ”】
勇者「え?」
ドサッ
勇者「えっ……これは?」
エド「野菜と干し肉です。お礼ですって」
【“うちからはこれ!食べて食べて!”】
【“私からはこれ……さっきはありがとう”】
勇者「えぇっちょっと待ってください!受け取れませんよ!僕はそんなつもりじゃ」
勇者「ちょっ、みなさっ……うああああ」
ワラワラ
エド(……ご主人様、見た感じ女々しいから太らせる気なんだ。この熟女達は……)ゴクリ
―――――――
スタスタ
勇者「結局いっぱい貰っちゃったなぁ」
エド「帰ったらスー勇者に料理してもらいましょう」
勇者「お願いしようかな……」
スタスタ…
ピタ…
勇者「……」
クルッ
勇者「…………」
394 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2017/01/13(金) 23:45:00.24 ID:6KGNOpWy0
エド「……ん?ご主人様?どうかされましたか?」
勇者「…………や、なんでもないです。行きましょうか」
スタスタ
勇者(雑用と、長閑な風景)
勇者(夕陽と夕餉の匂い)
勇者(これじゃまるで)
勇者(まるで)
スタスタ…
勇者「……あぁ」
勇者(はらわたが捻じ切れそうだなあ)
勇者「ほんと……幸せな」
勇者「幸せな……」
――――――――――――
――スー勇者の家――
スー勇者「……」ジーッ
スラお「どしたのスーちゃん?」
スタスタ
勇者「スーちゃん。ただいまー」
エド「ただいまー」
スー勇者「あ!二人とも!おかえりなさいです……すごい荷物です?」
勇者「ちょっと村の人たちに貰ってね。……あれ?スーちゃんの目の前のその荷物は?」
スー勇者「これは、ランシールさんから届いた、私の、昔のにもつです!」
勇者「ランシール勇者さんから?昔の?」
スー勇者「むかし、私が勇者になったばっかりのころに、ランシール勇者さんと一緒に旅した事があって」
勇者「えぇっ、そうなの?じゃあその時にランシール勇者さんに預けた荷物が送られてきたんだ?」
スー勇者「そう、なんですけど……ちょっとへんな事が」
勇者「変?」
スッ
スー勇者「いくつか、身に覚えのない荷物があって……一緒にこの紙が」
勇者「この紙……?真っ白だね?」
スー勇者「はい……」
スラお「このくまのぬいぐるみ!かわいい!」
エド「おやおや、スー勇者はかわいらしい趣味してるね」
スー勇者「そっ!それも身に覚えのない荷物です!」
勇者「んー……間違えて紛れちゃったのかな」
スー勇者「かもです……今度返しに行くです」
勇者「ん。それがいいかもね」
395 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2017/01/13(金) 23:45:37.39 ID:6KGNOpWy0
エド「そうだスー勇者。この食材を使って何か美味しいものを作ってよ」
勇者「ああそうだった。お願いできるかな?スーちゃん」
スー勇者「お安い御用です!あ、でも今日は村長様の家族も一緒に食べるです!」
勇者「村長様達と?いいのかな、僕が居て」
スー勇者「居てくださいです!」
エド「ご主人様はもう家族のようなものです。ね?スー勇者」
スー勇者「はいっ!」ニコー
勇者「……ふふっ、うん。ありがと」
エド(そして行く末はスー勇者を……ねっ?ねっ?)パチッ パチッ
勇者(なんかめっちゃエドさんウィンクしてくる……)
―――――――――――
――村長の家――
「「「「いただきまーす!」」」」
勇者「んんっ!んまいっ!」
スー勇者「えへへ、いい食材がいっぱいだったので、豪華にしたです」
村長【“はっはっは、これは豪勢だな”】
村長妻【“スー勇者の腕が上達していて私も嬉しいわ。少し見ないうちに大人になっちゃうんだから”】
スー勇者【“やめて下さいお母様ー!私はもう一人前のレディなんですっ”】
勇者「……ねぇねぇエドさん」
エド「ん?なんです?」
勇者「前に言ってましたよね?この方々がスーちゃんの親代わりって」
エド「はい。……あぁ、それも言っていませんでしたね」
「スー勇者には、スー人の血は流れていないんだよ」
勇者「えぇっ!!!!!!?!?????って、あれっスー戦士さん」
スー戦士「よっ。ただいま。やってるな」
スー勇者「おかえりなさいです!」
村長【“狩りはもう終わったのか”】
スー戦士【“ああ。さっきな”】
エド「スー戦士は村長の息子なのですよ」
勇者「あっ、そうなん……っていうかいやいや、さっきのって本当なんです?」
スー勇者「はいっ!本当です!」
スー戦士「この子は別の小さい島からやって来た貰い子なんだ」
エド「もうこの村の子と変わりないんですけれどね」
396 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2017/01/13(金) 23:46:18.66 ID:6KGNOpWy0
勇者「確かに少し肌の色とか違うなぁって思ってましたけど……そうだったんだ……」
スー勇者「はい!でも私はこの村の人間です」
スー勇者「両親が亡くなって、この村に預けられた私を、みなさんすっごく優しくしてくれましたです」
スー勇者「わたしっ、この村がだいすきです!」ニコー
村長・村長妻・スー戦士【【“ぁぁぁぁぁぁぁスー勇者ぁぁぁぁぁぁ!!!!!”】】
ナデナデナデナデナデナデナデ
スー勇者「いあ――――!!!!髪がくちゃくちゃになるです――――!!!!!」
勇者「うぁぁぁぁぁスーちゃんうぁぁぁああああああ」ナデナデナデナデナデ
スー勇者「なんでご主人様まで!!!!!?」
スラお「ぼくなでなでできないからぺろぺろでいい?」
スー勇者「お気持ちだけで大丈夫ですよ」
エド「ぺろぺろ」
スー勇者「エドさんは容赦ないぺろぺろです」
…………
パチ… パチ…
スー戦士「ふぅー……食った食った」
村長【“……スー戦士。若い衆はどうだ?”】
スー戦士【“んん?……ああ。ちょっくら大変だったがなんとか宥めたさ”】
村長【“すまないな”】
スー戦士【“いや。俺の仕事でもあるからな……だが、オヤジ”】
スー戦士【“俺は、どちらかというと若い衆と同じ気持ちだ”】
スー戦士【“今すぐにでも町長の所に行って、やり返してやりたい”】
村長【“……”】
スー戦士【“……これじゃ、いつまでも俺らは奴隷のような扱いのままだ”】
村長【“…………堪えねばならん事もある”】
村長【“以前、人間達は似たことを繰り返して、怨念を怨念で覆い尽くした”】
村長【“もう一度言う。堪えねば、成らぬ事もある。のだ”】
スー戦士【“……偉大なる魂の為、か”】
村長【“損な役割を押し付けてすまない”】
スー戦士【“いいさ。もう慣れた”】
397 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2017/01/13(金) 23:46:59.77 ID:6KGNOpWy0
勇者「……エドさん。なんか少し張り詰めた空気なんですけど……もしかして」ボソ
エド「いやまあ……あの街での話を、ちょっと」
勇者「……やっぱりですか……あの。村長夫妻への通訳をお願いできます?」
エド「え?」
勇者「あっ、あの。皆さん」
村長【“ん?”】
スー戦士「どうした?勇者」
勇者「うちの知り合いが皆さんにご迷惑をおかけして……本当にすみません」
スー戦士「はは。よせよせ。お前が気にする事じゃないよ」
村長【“そうです。お気になさらず”】
村長妻【“頭を上げてくださいな”】
勇者「すみません……ですがこれだけは言えます」
スー戦士「ん?」
勇者「あいつは、悪人ではありません」
勇者「今回の事も何かが絶対あります」
スー戦士「……根拠は?」
勇者「幼馴染としての勘」
スー戦士「お、おいおい」
勇者「……――と、それと」
スー戦士「ん?」
勇者「……いえ、なんでもないです」
勇者「とにかく、数日後に直接会いに言ってきます。それまでどうか抑えていただけませんか」
スー戦士「そう気にしないでくれ。俺らももう無理に抗議に行ったりはしないからさ」
スー戦士「それに、今は街には恐ろしい人間がいる。……国連が居る限り妙な事はできんさ」
勇者「?恐ろしい人間?」
スー戦士「お?知らないか?」
勇者「国連のダーマの勇者が居るのは知っていますが……」
スー戦士「それよかもっとヤバい人さ」
スー戦士「原初の勇者。“皇帝”糾えるソクラス」
勇者「っ……!!?」
スー戦士「お前も名前は知っているだろう?」
勇者「そ、そりゃあもう……えっ?あの街に今居るんですか?」
スー戦士「ああ。実感できないよな」
勇者「……マジか……」
勇者(父さんと同じ、伝説の勇者の1人)
398 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2017/01/13(金) 23:47:38.55 ID:6KGNOpWy0
スー勇者「?……あざ、なえる?こうてい?」
スー戦士「お?どうしたスー勇者」
スー勇者「その……名前の前の、なんです?」
スー戦士「名前の前?ああ、皇帝の事か」
スー戦士「あのな?原初の勇者の四人、オルテガ、サイモン、ヒミコ、そしてソクラス」
スー戦士「この四人はそれぞれ二つ名があるんだ」
スー戦士「オルテガは“明星”。サイモンは“月光卿”。ヒミコは“東方の魔女”」
スー戦士「そして、ソクラスは“皇帝”」
スー勇者「王様なんです?」
スー戦士「あはは。まさか。ただの呼び名だよ」
エド「しかし、どうして“皇帝”糾えるって言葉が使われてるんだい?」
勇者「確かに、あまり考えた事なかったけど……」
スー戦士「……んー……まあ、本当の事は分からないんだがね」
スー戦士「ソクラスは、一国を1人で滅ぼしたらしい」
勇者・スー勇者・エド「「「……へっ?」」」
スー戦士「いや、そう噂されてるだけで実際はちょっと違うらしくて」
スー戦士「どこだったか、小さい国が滅んだ際に、生き残りはソクラスだけだったとか」
勇者「……亡国の、たった一人の生き残り……それで皇帝って事、か」
スー戦士「で、糾えるって方だが……」
スー戦士「なんというか、凄く独特な人物らしくてな。感情が読めないらしいんだ」
スー戦士「糾った縄の一本一本の様に、ねじくれているらしい」
勇者「…………つまり、ひねくれもの、と」
スー戦士「ま、そういうことだよ」
グビッ
スー戦士「っ、ぷは……ただ、これだけは言える」
スー戦士「あの男、尋常じゃない」
スー戦士「ちらっと姿を見ただけだったが……震えたよ」
スー戦士「あの男にだけは、目をつけられちゃいけない」
スー戦士「人類の中では、恐らくあの男より強い人間は居ない」
スー戦士「案外………………国を滅ぼしたってのは、本当かもしれないな」
399 :
◆3VOBH3KJAk
[sage saga]:2017/01/13(金) 23:48:12.95 ID:6KGNOpWy0
今日はおしまいです
400 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/14(土) 14:01:23.38 ID:0mOK04Sb0
乙
401 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/01/14(土) 15:56:03.79 ID:Szdf/RYi0
乙です
402 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/14(土) 15:57:55.71 ID:Szdf/RYi0
sage忘れ失礼
403 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/15(日) 23:13:06.13 ID:C2kFmTB00
ドラクエやらないから分からないんだけど、この皇帝の人は本編ではもっと脇役なの?
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[ Aramaki★
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