野原しんのすけ(15)「歯を食いしばれサイジャク、オラのサイキョウはちょっと響くゾ」

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35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/04(土) 21:59:33.48 ID:xDPZeSfAO
乙です
おお、ロボとーちゃん縁の品が二つも
超電磁砲のロボ繰歯が学園都市版ロボとーちゃんって感じだったしタイムリーな
しかしこれはしんのすけ絶対首つっこむな…
36 : ◆aMcAOX32KD1b [sage saga]:2016/06/10(金) 00:46:21.96 ID:jAO8W5jM0
1です。これから投下します。
>>34
「ひとっ走りつきあえよ」もいつかやります
>>35
コピーが、自分がコピーと気づいてしまった時の絶望。アイデンティティの崩壊……
メカ繰歯ちゃんは今後どうなるんでしょうね
37 : ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/06/10(金) 00:47:45.81 ID:jAO8W5jM0
浜面に連れられてやってきた路地裏では、噂の通り探せば早々にマネーカードが見つかった。
「もう三枚目だゾ、結構簡単に見つかるもんだね」

「室外機の影とかが狙い目みたいだな。金額にバラツキがあるから幾ら儲かるかは運次第だけどよ」

「お、コレ五万円のやつだゾ」

浜面としんのすけが話しながら、カードを次々に見つけていく。

「しかし、なんだってマネーカードが見つかるようになったんだろな?」

ふと、浜面が疑問を口にする。

「そりゃ誰かがばらまいてるってことでしょ。確かお金を捨てるのは犯罪だけどカードは違うとかって法律も在ったような気がするし」
         くに       このまち
この街の中での事は日本の法律では無く学園都市の条例が優先されるが、カードをあちこちに隠してまわっている何者かが
ソコを気にして現金では無くマネーカードにしたのであれば、おそらく条例でもそうなのだろう。
38 : ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/06/10(金) 00:48:40.22 ID:jAO8W5jM0
「何が目的なんだろうな?まあ俺としちゃ儲かるから良いんだけどさ」

「シークレット・サンタ的なアレ?とかじゃ無いなら……」

「とかじゃ無いなら?」

善意の寄付でないのなら、理由は何なのだろう。
浜面はしんのすけの予想を聞くべく、その先をうながした。
            コト
「第七学区で、何か大きな事件を起こす気か、あるいはこれから起きるから阻止したいのか」

「真逆の二択かよ。なんでそう思った?」

「さっきから何人かと狭い中をすれちがってるけど、普通は路地裏ってそんな人多くないでしょ」

「えと、だから?」

その説明では理解できず、浜面がさらなる補足を求めた。

「普段人の目が向かない所に、不特定多数の人が出入りすることで後ろ暗い事をできなくする……ってことだゾ」

「ああ成程。じゃ、その逆に事件を起こす気ってのは?」
 スキルアウト  ストレンジ
「自警団の仲間達で第七学区外に引っ越して行ってる人達も多いんじゃないかな」

「まあそりゃガチの路地裏生活の連中にとっては暮らしにくくなっただろうな。噂の出る前と後じゃ」

「そしてそれは、第七学区で活動する自警団員の人数が減っているってことだゾ」
シマ
縄張りが増えたのと同程度、自警団員の数も増えたが第七学区と第十学区では、元の治安を考えれば
第十学区により多人数を置くべきなのだろう。
しかしそれで、第七学区での活動がおろそかになってはたまらない。
      ジャッジメント アンチスキル
「まあ正規の風紀委員や警備員がいるから、それだけじゃ前準備としてはオソマツだけどさ」

そこまで言われれば、浜面も納得する。

「逆に言えば同様に何かしらの手を、風紀委員や警備員にもしているなら……ってことか」

「そう言うこと。じゃ、集めたカード渡しとくゾ」

しんのすけが重なったカード数枚を浜面に手渡した。
             の
「オイオイ今夜お前が拾った奴全部じゃねえかよ、良いのか?」

「うん、オラもう帰って寝る。そんで明日は昼間からカード探すゾ」

浜面に別れを告げ、しんのすけは帰宅した。
39 : ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/06/10(金) 00:49:49.68 ID:jAO8W5jM0
そして、その翌日。

「涙子ちゃん、なにやってるの」

しんのすけは昼間から四つん這いになり地面の匂いを嗅いでいる友人を見かけ、
数秒悩んだ後に声をかけることにした。

「あ、野原さん」

「こんにちは、涙子ちゃん」

「野原さんもマネーカード探しですか?」

「うん、涙子ちゃんも?」

「はい、だからこうして匂いをたどって……」

「日中の街中で女子中学生がしちゃダメなポーズだと思うゾ!?」

夜間人気の無い場所でしていてもそれはそれで危険だが。

「けど『匂い』か……その手が在りましたな」

しんのすけが懐に手を入れ、自宅の犬小屋で寝ていた愛犬をその場に取り寄せた。

「ワウン!?(何するのしんちゃん、ワープホール越しに連れて来られるのってすっごく怖いんだよ!?)」

「い、犬がしゃべった!?」

正確には首輪から声が出ているのだが、初めて出会う光景に佐天が驚く。

「シロっていうんだゾ。シロ、この子は佐天涙子ちゃんだゾ」

「よろしくねー。シロちゃん」

「(よろしくお願いします)」

初対面の一人と一匹が挨拶を交わす。
40 : ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/06/10(金) 00:50:56.40 ID:jAO8W5jM0
「涙子ちゃん、例のカード……できれば封筒も持ってる?」

マネーカードは口の開いた封筒に一枚ずつ入れられた状態で隠されていた。

「あ、はい。両方持ってます」

佐天が四枚の封筒を取り出す。おそらく中にはマネーカードが入っているのだろう。

「よしシロ、この匂いを覚えるんだ」

「シロちゃんってそんな事が出来るんですか?」

「雨とか降らないかぎり大丈夫だゾ」

「(別に、本職の警察犬のようには行かないけどね……ん!?)」

しんのすけの腕の中で、シロが毛を逆立てた。

「どうしたシロ!?」

「(何か嫌な感じがする人が近づいてきてる!!)」

「あら佐天さんと野原」

「御坂さん」

シロの言う『嫌な感じがする人』とは第三位の超能力者、『超電磁砲』【レールガン】の御坂美琴であった。
    エレクトロマスター
「ああ、発電能力者のAIMか」

「え、何が?」

「シロちゃんが急におびえちゃって」

御坂の疑問に佐天が答えた。

「シロちゃん?」

「こいつだゾ」

しんのすけが御坂にシロを見せる。

「あー、昔から動物には嫌われちゃうのよねー」

「まあAIMなら仕方ないよ」

しんのすけがシロを懐に戻す。

「そんなワケで、呼んで早々にゴメンねシロ」

「御坂さんもカード探しですか?」

「うん、手伝ってもらおうと思って」

佐天の問いに、本人では無くしんのすけが決定事項であるかのように答えた。

「え?」

「美琴ちゃん、前に大怪獣倒した時に言ってたでしょ?形状や大きさが判っているならソナーセンサーみたいなことも出来るって」

「わあ、沢山見つかりそうですね!!」

御坂はまだ了承していなかったのだが、佐天の喜びように、既に断れる空気ではなくなっていた。
41 : ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/06/10(金) 00:51:51.22 ID:jAO8W5jM0
「今度は初春達も交えてやりましょーねー。んじゃ、ウチこっちなんで」

陽もすっかりくれた頃、佐天は二人と別れ帰っていった。

「ぐ、結局一日潰してしまった」

「何か予定でもあったの?ゴメンね」

「まあ買い物とか、別に今日じゃ無きゃできないってことじゃないけど」

手にしたカードを数えるしんのすけと、金銭には困ってないしどうしたものかとカードを持て余す御坂。
そんな対照的な二人もそれぞれの自宅と学生寮に帰ろうかという時、ガラの悪そうな男達がしんのすけに声をかけてきた。

「ああ、野原さん!!」

男達は自警団のメンバーであった。

「ん?何」

「見つけたんすよ。マネーカードを隠してる白衣の女をヒコイチが見たって」

「白衣の?はぁ、木原一族じゃ無きゃいいけど……」

「雑居ビルみてーなのに入っていきました、この近くっす」

「だってさ、美琴ちゃんも来る?」

マネーカードが原因で、まだ大きな事件は起こってないが、件の人物が怪しい事この上ないのは事実だろう。
故に、正義感の人一倍強い友人にも同行するかとしんのすけは問う。

「ええそうね、なんでこんな事してるのか、私も気になるもの」
42 : ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/06/10(金) 00:53:04.73 ID:jAO8W5jM0
男達の言うとおり、雑居ビルはほど近くにあった。

「テツたちは外で待ってて」

相手が『木原』である可能性を考え、男達に待機するよう伝える。

「ウス、ならその女いや女生徒さんは……」
       レベル5
「美琴ちゃんは超能力者だゾ」

「なぁ!?」

驚く男達を尻目に、二人はビルの中に入って行く。

「で、最上階。この部屋にいるみたいだね」

「行くわよ野原」

二人が踏み込むと、中にいた白衣の女が振り返った。
    つけ
「Oh 尾行られてたのかしら」
43 : ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/06/10(金) 00:55:20.45 ID:jAO8W5jM0
今夜はここまでです。続きは日曜の夜を予定しています。
Qジト束さんではないのですか?
Aギョロ束さんです。1はギョロ束さん派です
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/10(金) 01:01:27.44 ID:i6kfWjtYo
乙です
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/10(金) 19:26:12.36 ID:HHsBYcEAO
乙です
ところでムスメカの装備って出す予定ありますか?
あの「本気のおふざけ」感はこの作品の雰囲気に合ってる気がするので
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/10(金) 20:16:35.56 ID:P+9zuU8So
>>45
こんなマクロスのクランが巨大化状態でぶっぱなすマシンガンレベルの速度でレールガンぶっぱなしそうな美琴じゃ強すぎてストーリーにからめられんわ
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/15(水) 01:55:53.52 ID:pyzfUylr0
そういえば、まだ先になると思いますが、
"とある科学の一方通行"での話は
この物語に組み込むのでしょうか?

おそらく原作とは異なるのでしょうけど、
亡本が登場しているので
この物語では亡本がDAに関わっているのか気になります。
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/15(水) 01:56:23.69 ID:udMCgMCXO
作者でもないのにageて長文とかふざけてんのかゴミカス
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/18(土) 00:26:01.53 ID:Ua6D55Wh0
>>48
sageを入力するのを忘れていました。すいません。
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/18(土) 01:54:30.52 ID:bUYkqK34O
ネタでやってんのか?
51 : ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/06/19(日) 23:30:17.90 ID:DLLjxubW0
1です。これから投下します。
>>45
妹達の方は出てくると思いますが美琴の方は多分出てこないです
というのもあの装備はどう見ても重力下での持久戦には適しているとは思えないので
>>46
それでも、一通さんにはかなわない。
雑魚には過剰でもボス級には役立たずのガラクタになる装備や能力って『とある』には多い気がします
>>47
屍食舞台は原作と変わらず配下で、さらにこのSSの亡本は原作と違って駒場利徳の自警団もある程度は動かせる立場なので
DAの支援者になる理由が無く、DAは別の理事(後に舌ピアスさんにアレされる人達の内の誰か)に拾われています
ただヒルミの研究をDA以外の組織でもやっていればこのSSでも本編に絡ませられる……のかな?
恐らくこのSSが追いつくその頃には一方通行のスピンオフは完結ないしエステルのエピソードは終えているでしょうから
その終わり方次第です
52 : ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/06/19(日) 23:31:36.09 ID:DLLjxubW0
おそらく高校生位と思われるが、独特な目つきをした女がそこに立っていた。

「アンタがマネーカードを隠してまわってるの?何が目的」

御坂が白衣の女に話しかけた。

「……」

「な、何よ?」

女は御坂をしばらくじーっと見た後に口を開いた。

「あなたオリジナルね」
53 : ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/06/19(日) 23:32:17.56 ID:DLLjxubW0
「へ?オリジナル?」

御坂にはなぜ女が自分をそう呼ぶのかわからなかったが、しんのすけにはその呼び方に心当たりがあった。

「つまりお姉さんは、『量産計画』の関係者ってこと?」

「『量産計画』?」

聞きなれぬ単語に御坂が聞き返す。
すると逆に、白衣の女が御坂に訊いた。
54 : ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/06/19(日) 23:33:06.46 ID:DLLjxubW0
「あなたも噂くらいは聞いた事があるでしょう?」
    レールガン
曰く、『超電磁砲』のDNAを使ったクローンが製造されている。
曰く、軍用兵器として開発されていて近い内に実用化予定。
曰く、同時に複数個所で、御坂美琴が目撃された。

「アンタも野原も、アノ噂についてなにか知ってるの!?」

その噂については御坂も耳にした事があった。
実際に御坂を見たと言う人から話を聞いたりもした。

「出所って言うか、元ネタについてはね。そっちのお姉さんは、その関係者っぽいけど」

「exactlyそう言うあなたは何者なのかしら」
55 : ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/06/19(日) 23:33:57.07 ID:DLLjxubW0
「オラ、野原しんのすけ15歳。ところでお姉さんって『長点』でしょう?」

白衣の女がわずかに驚いたようなそぶりを見せる。

「どうしてそう思ったの」

しんのすけは自身の改造制服のエリについた校章を人差し指でトントンと叩きながら言った。

「オラも長点上機なんだゾ。そしてお姉さんの胸元のリボンはウチの女子制服だ、白衣の下はブレザーだったりするんじゃない?」

「ええ、その通りよ。よくわかったわね」

制服を見せる為か、女は白衣を脱ぎ、それを鞄の乗った机の上、鞄の横にたたんで置いた。

「まだ名乗ってなかったわね、布束砥信よ」

「オーケー、布束先輩だね」

「それにしても……」

「何?」

しんのすけが着ている服を見て、布束には思うところがあるようだ。

「unbelievableよくそこまで改造したわね。言われなければ長点上機の制服だとわからないわ」

今まで黙っていた御坂が、ついに耐えきれなくなり叫んだ。

「だあぁぁぁーーーもうっ!!アンタらが同じ高校だとかどうでもいいわよ!!」

「と、ゴメンね。噂の元ネタだっけ。でもオラから聞くより、関係者だけあって布束先輩からの方が詳しく聞けるんじゃない?」

キッと御坂が布束をにらむが……

「but私には全てを話す気は無いわよ?」

彼女には効果が無かった。
56 : ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/06/19(日) 23:34:41.99 ID:DLLjxubW0
「ハア!?あの噂は私にとっては他人事じゃ済まないのよ!?知る権利くらい有るでしょうが!?」

「確かにあなたは深く関わってる……」

布束はそこで一度言葉を切り、目を閉じて首を横に振った。

「howeverだからこそ知るべきでない事も在ると言う事よ」


二人がにらみ合いになり、しんのすけが沈黙を破った。

「まあ布束先輩に話す気が無くても、ここに全部書いてあるんだけどね」
57 : ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/06/19(日) 23:35:28.73 ID:DLLjxubW0
今夜はここまでです。続きは明日を予定しています
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/19(日) 23:55:36.68 ID:rTHRLD+Go
乙です
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/19(日) 23:58:14.93 ID:tCYVDfiyo
乙です
ルー布束先輩可愛い
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/20(月) 00:00:40.18 ID:G/RT+sl2o
乙です
三人の小気味良いやり取りが良かった
ジト束さんは安定した可愛さがあるけどギョロ束さんには上手く表現出来ない魅力がある
61 : ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/06/20(月) 23:20:07.26 ID:2LEOvZyt0
1です。これから投下します。
皆大好き、あのキャラが最後に登場
>>59-60
ギョロ束さん原作で再登場して欲しいけど、絶望的なんですよね
木山先生も布束さんも、アニメではフォロー入ったけど原作だとフェードアウト組ですし
62 : ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/06/20(月) 23:21:10.13 ID:2LEOvZyt0
「え?」

「っ!?」

しんのすけが、手にした紙束をトントンと叩きながら言った言葉に、二人がそれぞれの反応を見せる。
          こ
「goddamn私がこの娘に注意を向けている隙に……!!」

「ザッツラーイ、でもガッデムよりシット程度にしときなよ……ファッキンじゃないだけましか」

「野原?その紙は?」

御坂が紙束に目を向ける。
しんのすけの手が邪魔で全ては読めないが、一番上の紙には『量産型〜』と書かれているようだ。
63 : ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/06/20(月) 23:22:06.08 ID:2LEOvZyt0
「その鞄と白衣の置かれてる机の中にあったんだゾ」

しんのすけの指さす机を見れば、引き出しが開けられており、おそらくその紙はそこにあったのだろう。

「何故―」

「なんでわかったかって?」

何故その紙の隠し場所が判ったのかと問う布束の言葉をさえぎって、しんのすけが説明する。

「最初オラ達がこの部屋に入ってきた時に後をつけられてた事に布束先輩は気づいて無かったからね」

つまり机の上にあった場違いに小綺麗な鞄は布束の持ち物であり、それは白衣を鞄と並べていることからも確実だろう。

「で、無警戒な時に鞄を置いた机なら……怪しいと思うよね?」

「でかしたわ野原、さあ、それをコッチへ渡して」

御坂がしんのすけに手を伸ばす。

「ま〜ま〜、布束先輩の言い分も気になるし、先ずはオラが読んでからね」
64 : ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/06/20(月) 23:23:13.40 ID:2LEOvZyt0
数秒後、しんのすけは紙束を懐にしまい、言った。

「あ〜、これは美琴ちゃんは知らない方が良いんじゃないかな?」

「なっ!?アンタまでそういうこと言う!?」

怒りと驚きを見せる御坂に、しんのすけがなだめるように話す。

「ここで知らせて、美琴ちゃんが怒って暴れたら大変だからね」

「つまり、私が知ったら怒って暴れそうな事が書いてあったのね」
   プロジェクト ・・・
「こんな計画が昔あったってだけで、本人にはキツイだろうね。色々」

「その『色々』を、アンタには教える気が……無いのよね?」

流石に一応は友人を相手に、拷問などしたくはない。
それに自分と同じく超能力者であるしんのすけを相手にすれば戦闘は避けられないだろう。

「ま、オラは美琴ちゃんが自分で調べて真相にたどり着く分には邪魔しないゾ」

「調べる?」

「じゃあヒントだけね。クローンを作るには『遺伝子情報』が必要だ。美琴ちゃんは過去何処かでそれを誰かに渡している筈だゾ?」

製薬会社とか怪しいんじゃない?と、しんのすけは続けた。

「あっ!?」

どうやら御坂にも思い当たる事があったようだ。

「心当たりがあるなら、直ぐに行った方が良いよ?」

と、しんのすけが言い、

「そうね、彼等もいつまでも『計画』の証拠を残してはおかないでしょうし」

と布束が続けた。

「あーもー!!解ったわよ。野原、あとで覚えときなさいよ」

御坂は捨て台詞を残して部屋から走り去っていった。

「……役者ね」

「それほどでも」

御坂のいなくなった部屋で、二人の会話はなおも続く……。
65 : ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/06/20(月) 23:24:14.95 ID:2LEOvZyt0
学園都市某所、樋口製薬・第七薬学研究センター。
その中の電子的に隔離された一室にて、機械を操作する人影が在った。

「幾つか消されちゃってるけど、これくらいなら復元可能ね」
エレクトロマスター
電気使い系最高位、御坂美琴である。
あの後、布束の顔と名前から長点上機学園のデータにアクセスし、彼女がこの研究施設に所属していた事を突き止めたのだ。
そして身元を隠すために着替えてから忍び込み、まさに今知りたかった情報を手にしようとしていた。
66 : ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/06/20(月) 23:25:06.30 ID:2LEOvZyt0
「あ!」
       レールガン     シスターズ
御坂の目に、「超電磁砲量産計画『妹達』最終報告」の文字が写る。

(本当にあった、私の……クローン計画)

振るえと、冷や汗が止まらない。
しかし、自分は確かめなければならない。
あの噂の出所、その全容を。
彼女はモニターに書かれている内容を読み進めていく。
超電磁砲量産計画のおおよその流れはこうだ。

超能力者を量産するためにその遺伝子を解析、クローンを造る。
この目的は偶発的にしか生まれない超能力者を確実に生み出す為である。
本計画の素体は『超電磁砲』御坂美琴とする。
複数種類の薬品によりクローンは十四日でオリジナルと同等の肉体を得られる。
布束砥信監修の学習装置を用いて、精神面及び脳内情報等の強制入力を行う。
成果を確認の後、量産体制を構築する予定。

おぞましい文書が続いていく、しかし―――
ツリーダイアグラム
『樹形図の設計者』の予測演算の結果、クローンは素体の1%未満の出力しか持たない事が判明。
損害を最小とする為、研究の即時停止。
当計画は永久凍結するものとする。

と締めくくられており、その後は事後処理についての指示や命令文であった。
67 : ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/06/20(月) 23:25:53.35 ID:2LEOvZyt0
「はっ……ははは…何よ、やっぱ私のクローンなんていないんじゃない」

最後まで読み、彼女は安堵した。
その場に膝をつき、息を一つ大きく吐きだす。

「きっとこの計画が中途半端に漏れて、噂の元になったのね」

今思えば、先程のしんのすけも『こんな計画が昔あったってだけ』と言っていた。

「さて、帰るか」

自分がハッキングした痕跡を消して、上機嫌で御坂はその部屋から出ていった。
故に、気が付かなかった。

『昔あった』だけの計画ならば、何故布束は今になってマネーカードをばらまきはじめたのかという疑問にも。
そして、自分が退室し、程無くしてその部屋に入ってきた、自身そっくりの少女の存在にも……
68 : ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/06/20(月) 23:27:39.97 ID:2LEOvZyt0
時間は戻り雑居ビルの一室、布束砥信と野原しんのすけの会話が続く。

「樋口製薬には、結局計画は実行されなかったという情報しかないわ」

「それで美琴ちゃんが納得してくれれば良いけど……」
                 クローン
テスト用の数体のみとはいえど自分の兄弟が生まれ、そして既に死んでいるなんて情報は、知らないほうがマシだと
しんのすけは経験者としてそう思う。

「questionそれで、あなたは何者なのかしら?名前と年齢だけ答えても、私の質問の答えにはならないわ」

『量産計画』の存在を知るお前は何者なのか、と言う問いは、何故『量産計画』を知っているのか、と言う意味だ。
69 : ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/06/20(月) 23:28:48.02 ID:2LEOvZyt0
「友達に『暗闇』の生き残りがいてね、隣のクラスには元『白鰐』もいるし」

「『暗闇の五月』や『白鰐部隊』の被験者と交友関係が?」

「案外、『日常』と『非日常』の境目は薄くて脆いよ」

そう語る後輩の眼に、布束は底知れぬ『闇』を見た気がした。

「まあ、何が言いたいのかって言うと……オラの知識だと、さっき布束先輩も言った通り『量産計画は実行されなかった』筈なんだよね」

でも布束先輩はこうして何かをしている、と。
ソレは何故なのかと問いかける。

「……because計画が流用されたのよ」

「ああ、クローン人間がもう産み出されてて?彼女たちは路地裏で何かをしてて?それを布束先輩は止めたいと」

どうやら御坂美琴のクローンは、数体どころではすまないようだ。
70 : ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/06/20(月) 23:29:34.12 ID:2LEOvZyt0
「何故……いえ、噂と今までの情報から、あなたなら解るわね」

「……今回はドッチかな?」

小声で呟いたしんのすけの言葉は、布束の耳には入らなかった。

「それで、私の目的を知ってあなたはどうするのかしら?」

自分と共に彼が、『妹達』が行っている実験を止めようと申し出たとしたら、布束はそれを拒否するだろう。
もしそうなった場合、あまりにも危険すぎる。
布束は、しんのすけが第八位の超能力者だとは知らない。
しかし知っていたとしても彼の協力を拒む事は変わらない。
敵は、学園都市そのものなのだから。

「べつにどうも?」

しかしそんな心配をよそに、しんのすけは布束に、協力しようとも邪魔しようとも言わなかった。

「あ、でも……街で偶然会ったら話を聞いてみたいかな。コレ返すね」

布束の手に懐から取り出した紙を渡し、そう言ってしんのすけも部屋から出て行った。
71 : ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/06/20(月) 23:30:51.20 ID:2LEOvZyt0
「テツ、サトシ、ヒコイチもよく聞いて。これからは通信用端末の携帯を特に意識して」

しんのすけが、雑居ビルの近くで待っていた自警団員たちに指示を出す。

「ウス、けどなんでですか?」

「どっかのヤバい奴が路地裏でなんかするらしいゾ、見た奴は確実に『口封じ』される様な、ね」

「ひっ!?」

体格のわりに怖がりな性格をしているサトシがビビる。

「例のマネーカードは、ソイツ等も人目は避けるだろうって考えでまかれた物らしいよ」

「それって、下手したら逆に、口封じに殺される奴が続出するんじゃ……」

「だから端末を持っとけってこと。駒場さんにもオラから話して自警団全員に徹底させとくから」

それだけ言って、しんのすけは自警団員達と別れ帰っていった。

「……布束先輩は『流用された』って言ってたな」

一人になり、呟く。
        プロジェクト
「流用先はどんな『計画』なんだろ?まあろくなもんじゃないんだろうけど……」

そこらへんから洗ってみるかと、布束にはああ言ったがその実、首を突っ込む気満々のしんのすけであった。
72 : ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/06/20(月) 23:32:52.73 ID:2LEOvZyt0
「う〜ん、北与野博士のとこにも情報無しか」

そして、その四日後の夜、あれから四日経った今でもしんのすけは『流用先』の情報を得られずにいた。
と言うのも『しんのすけが調べていた』という事が、御坂の耳に入りそうな調べ方は出来ない以上
初春飾利を筆頭に、情報収集能力の高い何人かには頼れないのだ。

「十四日どころか三分でオリジナルと同等の能力をもったクローンを作れる博士なら『この計画に協力しろ』って話が来てると思ったんだけどな〜」

本日も収穫無し、寂しく歩くしんのすけのズボンのポケットから、正確にはポケットの中のスマホから着信を知らせる音が鳴った。

「誰か遂に美琴ちゃんのクローンたちが何かしてる現場を見ちゃったか!?」

しんのすけがスマホに手を伸ばす、しかし何故かそれよりも前にスマホはひとりでに通話がオンになった。
彼に連絡を入れて来た者の声が、スマホから聞こえる。

「しんのすけ、気を付けろ。その先には指向性対人地雷がうまっているぞ!!」

「その声でその台詞はアウトじゃない!?」
73 : ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/06/20(月) 23:33:53.04 ID:2LEOvZyt0
今夜はここまでです。
続きは一週間程お待ち下さい
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/20(月) 23:36:39.61 ID:WDk6zdr3o
ぶりぶりざえもんか

「ス↓ネ↑ーク↓気を付けろそこにはク↓ルェイモア地↓雷↑がセッットされている…」の色っぽさは以上
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/20(月) 23:56:09.82 ID:zAuX+dEmo
乙です
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/21(火) 00:41:48.89 ID:Rb6LtkQLO
北与野博士のチートっぷりがよくわかる話。
そしてとうとう接触したかぶりぶりざえもん
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/22(水) 20:30:08.06 ID:iwOqMT/AO
乙です
しんのすけはどのくらい制服を改造してるんだろうか
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/09(土) 00:29:34.10 ID:hh4cLpmAO
クレヨンしんちゃん対シン・ゴジラってなんやそれ…
しんのすけの経歴がさらにとんでもないことに
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/12(火) 14:14:57.15 ID:d3hdlbH30
昨日まとめサイトで1スレ目を読んで、今追いついた
なんというか、凄いな。クレしんに対する愛情がひしひし伝わるわ
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/15(金) 21:33:35.90 ID:iwBbJxI00
シンゴジラマジかよw 見てきたけどヤバイだろコレ。
スパロボにも出たし最近凄まじいなクレしん。
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/16(土) 10:30:08.16 ID:iS/f0aCAO
そういやカンタムロボで参戦してたな
綺羅星十字団がしんのすけの言い間違いでキラキラ星注意団になったんだっけ
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/20(水) 00:38:31.78 ID:tzScYVxv0
世界の国の学習まんがで登場した酢乙女愛号は出ないかな
数人は乗れて世界中のあらゆるところに1時間以内に行ける凄い超小型飛行機
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/20(水) 03:45:45.56 ID:vhYnIsfd0
丁度アマゾンプライムで劇場版が見れるから作業用BGM代わりに見直してるけど、意外と忘れてること多いな。
オトナ帝国と戦国、ロボとーちゃんあたりは見たら確実に泣くだろうから見れないんだが
84 : ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/07/21(木) 23:18:30.72 ID:HouDWmDk0
お久しぶりです、1です。これから投下します。
>>74
皆大好きなあのヒーローですね
パロディの元ネタがちゃんと通じて良かったです
>>76
学園都市製のクローンが十四日かけてオリジナルの百分の一以下の性能なのにたいして
北与野博士のインスタントクローンは三分でオリジナルと同等の性能ですからね……
ただし83分後には水と麺状の蛋白質に分解されてしまいますが
>>77
それがブレザーであることはわかる、というくらいには原型をとどめていません
袖口など各所に暗器を隠せるように、更にはいつでも取り出せるように改造されています
しんのすけの原作での妙な衣装はほとんど自作(たしか原作公式設定)なので、彼の裁縫技術はチート級の設定です
>>78>>80
流石にパラレルみたいですけどね。
正史だったら、トール「アレとヤッたことあるとか羨ましすぎんだろ!?」とかネタにできたんですけど
>>79
おお、新しい読者様ですか。今後もよろしくお願いします
>>82
似たようなのは、とあるサイドにもあるので……
>>83
今年の映画も涙腺崩壊ものでしたよ……みさえサンマジ聖母
85 : ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/07/21(木) 23:19:21.77 ID:HouDWmDk0
しんのすけはその『声』に聞き覚えがあった。
しかし記憶の中の、その声の持ち主は確かにあの日、死んだ筈だ。

「あんた誰?名前は」

「ジャン・ピエール・アンドレイ・ジョセフド・シャトーぶりアンヌ……貴様のファンさ」

そこで通話はブツリと切れた。

「今の声……本当にアイツが?」

あの世から帰ってきたとでもいうのだろうか。

「そう言えば、飾利ちゃんが言ってたっけ」

データとして、一度存在したものは完全に消去することはほぼ不可能らしい……
つまり大抵の場合、復元可能なのだそうだ。
 このまち
「学園都市の技術なら電子生命体の蘇生くらい簡単なのかな」

だが、だとしたら何故こんなコンタクトのしかたをするのだろう。
堂々と正面から、会いに来てくれれば良いものを何故、偽名を名乗り謎の人物を演じるのか。

「……まあ大方アレのパロディなんだろうけどさ」
86 : ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/07/21(木) 23:20:23.40 ID:HouDWmDk0
彼と声が似ている人物が登場する某作品の、その登場シーンを模したのだろう。
そしてしんのすけの知る彼ならば、その再会をより劇的に演出したいと考えていたとしても納得できた。
だとしたら再会は近い。
その作品ではその人物も、主人公からは死んだと思われており、まず謎の通信、次にフルフェイスマスク姿で登場し
終盤になってようやく仮面が外されて正体が明かされるというストーリーだった。

「ウォーターゲートの密告者の名前じゃ別の方向にアウトだから、あんな変な偽名使ったのかな?」

彼がどこまでこのパロネタを続ける気なのかは解らないが、もしガチならこの後しんのすけは、戦車に襲われることになるだろう。

「いやいや、流石にまさかね」

街中で戦車はないだろうと思った矢先、ドーンという爆発音が聞こえてきた。
87 : ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/07/21(木) 23:21:23.76 ID:HouDWmDk0
「本当に対人地雷が埋まってたのか!?そして誰かが踏んじゃったのか!?」

急ぎ、音のした方へ走るしんのすけが、現場に着き目にした光景は、
御坂美琴によく似た、片足の無い少女が、空から降ってきたコンテナに圧し潰される。
と言うものだった。

(今のが布束先輩が言ってたクローンか!?)

なんでコンテナが降ってきたんだ!?
そもそもあのクローンの少女はここで何をしていた!?
驚きながらも、考えねばならない、確かめなければいけない事へと頭を働かす。
しかし、それは結果としてみれば悪手であった。
88 : ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/07/21(木) 23:21:53.80 ID:HouDWmDk0

「なっ……美琴ちゃん!?」

直後、しんのすけのすぐ横を御坂美琴が走り抜けていった。
その向かう先には、白髪で細身の少年が立っている。

ガガガガガガガガッ!!!!

御坂から放たれた雷撃が少年の周囲を暴れ回る。
しかしその攻撃は白髪の少年には一発も当たっていないように、しんのすけには見えた。
いや正確に言えば『当たっているのに届いていない』と言ったところか。
おそらくは少年の能力に因るものなのであろうが、しかし今はあの白髪の少年の能力についてよりも
何故、御坂美琴がここに居て、あの少年に攻撃したのかだ。
布束砥信は『樋口製薬に在るのは結局計画は実行されなかったという情報のみだ』と言っていたが、
御坂はその後どうしてか計画の流用とクローン達の存在をしったのだろう。
それでこの場に来た、ここまではいい。
では何故あの少年に攻撃している?そもそもあの少年は何者だ?何故ここに居る?
情報があまりにも不足している。
89 : ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/07/21(木) 23:22:51.79 ID:HouDWmDk0

(戦闘を止めさせて二人から話を訊くべきかな)

簡単に話してくれれば良いが……

「おおっ、スゲェスゲェ、何だ新ワザかァ?」

白髪の少年が、独り言のように訊く。
御坂は単純な電撃による攻撃をやめ、磁力を操り、砂鉄でできた砂嵐いや鉄製の竜巻を創り少年へとぶつけた。

「ふーン磁力で砂鉄を操ってンのか。おもしれー使い方だ」

荒れ狂う黒い竜巻の中、少年は先程雷撃に囲まれた時と変わらず、一切のダメージなど無い様子でワラっていた。
いや事実ダメージなど無いのだろう。

「タネが割れたらどーってことねェがな」

少年のその言葉と共に、砂嵐はかき消された。
90 : ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/07/21(木) 23:23:42.55 ID:HouDWmDk0

(今のって……上条君と同じ!?)

それを見てしんのすけは、驚きながらも考察を続けようとした。
しかし御坂が奇声を上げたためにそれは中断される。

(美琴ちゃんに何が……アレは!?)

どうしたのかと彼女の視線を追えば、そこには一本の人の足があった。
靴と靴下から、先程コンテナの下敷きになったクローンのものだと思われる。

(あの片足は地雷で吹き飛んだんじゃなかったのか?)

地雷を踏んだのはクローンでは無く少年の方だったのだろう。
彼の能力であれば、地雷の爆発も平気なのかもしれない。
ということは、彼の能力は上条当麻のそれとは違い、純然たる物理現象すら無効化しているということ。
そして地雷を埋めたのがあのクローンなのだろう。
まず、しんのすけに地雷の存在を教えたアイツが犯人だということは在り得ない。
少年が自分で埋めた地雷を踏むとは考えられず、そもそも御坂美琴と比較すれば1%以下の性能だと言っても
それでも約一千万Vもの電圧を扱える異能力者の電撃使いだ。
つまり自身の近くに地雷が埋まっていればそれに気付くし、踏もうとしている者が居れば止める筈だ。
にもかかわらず、地雷は爆発した。
つまり、クローンが少年に地雷を踏ませたのだ。

(ああいう『無敵バリア』系の相手にはバリアの張って無い所を探すのが定石だしね)

おそらく白髪の少年と御坂のクローンの二人は、ここで戦闘していたのだろう。
コンテナを空から落としたのもクローンの片足を斬りおとしたのも、少年の能力を使ってのことであれば納得できる。
勿論、地雷の爆発は少年が踏んだからでは無く、クローンが能力を使って遠距離からの爆発物処理に失敗した可能性もあるが、
それではクローンの怪我や、降ってきたコンテナの説明ができない。
91 : ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/07/21(木) 23:24:25.42 ID:HouDWmDk0
「とりあえず、一旦二人を止めるとしますか」

少年と御坂の戦闘、と言っても現状は御坂が攻撃しているだけだが、それは激しさを増していた。
近くにあった幾本もの鉄道レールが、磁力によって絡み合いながら浮かび上がり、さながら一本の巨腕の様であった。
それが、いやそれらが、白髪の少年に襲い掛かった。

ガアアン

少年に直撃したかに思えた数本のレールは、しかし弾かれたかのように動きを変え、御坂に向かう。

「まずいゾ」

しんのすけは急ぎ、御坂と飛んでくるレールの間に入る。
ネクタイをしていなければ間に合わなかったかも知れない、しかし幸いにも今のしんのすけは
全ての身体能力が63倍になるネクタイをしていた。

「護れ、『第七沈々丸』!!」

御坂の前に立ち、懐剣を抜き放つ。
現れた三メートルを超す戦太刀が飛来する鉄塊を断ち切った。

「何だァ?オマエ」

突如、眼前にあらわれた存在に、白髪の少年が尋ねる。

「オラ、野原しんのすけ15歳。アンタは?」

白髪の少年が答える。
  アクセラレータ
「『一方通行』だ、ヨロシク」
92 : ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/07/21(木) 23:25:22.36 ID:HouDWmDk0
今夜はここまでです。
明日のアニメ楽しみですね
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/21(木) 23:31:37.98 ID:3x1udquM0
セリフとセリフの間が2行空くと更に読みやすい。
モノローグは一文につき1行。
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/21(木) 23:58:03.73 ID:pGrXogINo
乙です
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/22(金) 01:34:20.40 ID:1W2xF3W5o
禁書原作沿いでしんのすけ勢がお話し介入してた最初の頃は面白かったけど
オリジナル要素増えだしてから唐突に面白くなくなったなこのシリーズ
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/22(金) 01:58:45.83 ID:NS/tENZho
乙。また次回楽しみに待ってます
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/22(金) 07:46:14.47 ID:8DEDpsc8o
>>95
今のがオリジナルとな?
無知晒す前に黙ってた方がいいよお前
ボーンヴァンパイアの件ならまだたった一回だぞ?
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/22(金) 19:51:08.96 ID:j/IQr9rB0
シン・ゴジラはともかくオヤジシェンデストロイヤーやオヤジジェンデストロイヤーはネタとして使えそうね
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/22(金) 20:14:54.42 ID:TBlEHsEAO
ここのボーちゃんならマジで作れそうだな…
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/22(金) 22:04:59.43 ID:GMQBwXyV0
乙です。流石にベクトル変換相手に基本物理のしんのすけが……と思うけど、しんのすけだからなぁ
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/22(金) 22:24:38.11 ID:j/IQr9rB0
ノリで木原神拳(尻)とか出来そう
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/13(土) 23:47:51.82 ID:IaDucWeK0
来ない
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/14(日) 01:24:01.62 ID:lEcWWC12o
>>100
法則無視だからそんな法則に囚われるわけない
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/20(土) 23:20:02.62 ID:FVinOAM70
更新はよ
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/20(土) 23:20:29.90 ID:SnJjmS7vO
嫌ンゴ更新しないンゴ
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/22(月) 21:09:52.53 ID:yubQF7Sv0
更新しないとグロ貼るンゴよぉ
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/22(月) 21:17:33.90 ID:Lyu2NUPlO
グロ画像貼ってクレメンス
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/22(月) 21:47:02.34 ID:DukxnQPo0
だが断る
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/22(月) 22:13:07.28 ID:5IiMeBDyo
>>108
警察だ!(JOJO語録誤用警察)
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/22(月) 22:27:53.76 ID:D9wIp4v7O
ちんぽハラデイ
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/23(火) 19:09:13.70 ID:CdQ70cmKo
はよ書けやレス乞食
http://imgur.com/qdqZSqy.png

こんな狂乱ははやく終わらせてやる

http://imgur.com/qdqZSqy.png
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/23(火) 19:53:08.63 ID:j4cEqps6o
>>111
グロ
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/23(火) 21:16:54.74 ID:NxSnebaIO
>>111
エロ
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/25(木) 22:06:54.99 ID:+HgXNDdM0
幻コロ
115 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/08/26(金) 21:04:37.88 ID:QS5Cfv830
お待たせしてすみません。
お久しぶりです。1です。
これから投下します。
>>98-99
作る理由がなさそうですし既に原作に北与野博士のデカウォーターがあるので
ただデカウォーターだと10数メートルなのに対してシンゴジラは100をこすそうですが
>>100-101>>103
しんのすけじゃなきゃ不可能な方法ですが、一応は『理屈在り』の方法を考えています
116 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/08/26(金) 21:05:34.80 ID:QS5Cfv830
『一方通行』と名乗った少年に、しんのすけが戦いを止めるよう提案する。
 アクセラ
「一通さんね、とりあえず今夜はこれでオヒラキにしない?」

「あァン?」

一方通行にとって、しんのすけは突如現れた怪しげな乱入者だ。
御坂を守った事から、次はコイツが自分の相手をするのかと思っていた。
しかし実際に出てきた言葉は余りに予想外のものであった。
虚を突かれた一方通行に、しんのすけが続けた。

「ここでクローンと戦ってたみたいだけど、この娘はちょっと違くてさ……ならなんで襲ったのって言われたら、オラにはわかんないけど……まあとにかく、見逃してくれない?」

『ちょっと違う』と言うしんのすけの台詞に、一方通行が応える。

「あァ、やっぱりなァ。途中で気付いたぜ……ソイツ、オリジナルだろ?」

「そうそう、だから……」
                オリジナル
「けどなァ、アイツらとの戦闘は超電磁砲との戦闘の代用だ……」
117 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/08/26(金) 21:06:22.94 ID:QS5Cfv830
しんのすけの言葉を遮り、一方通行は言葉を続けた。
        ソイツ  や
「ってェことは御坂美琴と戦ればこのダリィ作業もグッと短縮できるンじゃねぇか?」

「わーお、まさかのやる気満々?」

一方通行が足を一歩前に踏み出し、しんのすけが御坂をかばうように彼女の前に立ち、戦太刀を構える。

「お待ち下さい」

一触即発の空気の中、待ったをかけたのは一方通行でもしんのすけでも、御坂のものでもない、複数の声であった。

「計画外の戦闘は予測演算に誤差を生じるおそれがあります。とミサカは警告します」

御坂としんのすけが後ろを振り向き、声の主を確認する。

「……こんなにたくさん?」

しんのすけの呆れとも驚きともつかないこえが漏れる。
そこには三十は居ようかというほどの第人数のクローン達が並んでいた。
                レべル5
「特にお姉さまとそちらの男性は、超能力者ですので」
「戦闘により生じる歪みは」
「非常に大きく」
「期間の短縮はおろか」
「計画が破綻するおそれがあります」
「またミサカには今後予定されている実験に合わせた」
「チューニングが」
「施されており」
「計画を途中で変更する事は極めて困難であるとミサカは説得します」
118 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/08/26(金) 21:07:14.25 ID:QS5Cfv830
彼女達がリレーして話すその様子に一方通行が舌打ち一つした後に了解の返事をする。

「分かった分かった、分かりましたよ。ちょっとからかっただけだっての」

それだけ言うと、つまらなそうに立去っていった。

「九九九五号から一○○○七号まではレールの撤去を」

「一○○○八号以降は……」

「何で!?」

二人のクローンが台詞を分割し他のクローン達へ指示をだす途中で、御坂の血を吐くような声が響いた。

「アンタ達は何なの?おかしいわよ!!何でこんな計画につきあってるの!?生きてるんでしょ!?命があるんでしょ!?アンタ達も!!あのこも!!」

しかしそんな御坂の問いかけに返されたのは、実に淡々としたものであった。

「ミサカは計画のために造られた模造品です」
「作り物の体に作り物の心」
「単価にして十八万円の」
「実験動物ですから」

その声が、複数人によるものなのか、一人が区切って言ったものなのか、御坂としんのすけの耳には、分からなかった。
119 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/08/26(金) 21:10:23.08 ID:QS5Cfv830
短いですが、今夜はここまで
その場にしんのすけが居合わせただけで、原作とほとんど変わりませんが
そのわずかな違いがバタフライエフェクトおこしたりするのがこのSSです
次回投下は一週間後です。

話は変わりますが、アニメのひろしの声の違和感がすごいですね
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/26(金) 21:10:51.00 ID:qw5T/Kmxo
なるべくしんのすけの映画キャラと絶対にオリキャラは出すな
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/26(金) 21:11:48.20 ID:qw5T/Kmxo
http://imgur.com/XMWTQD3.png
本当にヒドイ一撃だな


http://imgur.com/XMWTQD3.png
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/26(金) 21:14:17.71 ID:rWjKIOOyo
>>121
[ピーーー]
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/26(金) 21:21:22.34 ID:501eVlDvo
>>121
グロ
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/26(金) 21:36:30.41 ID:NEGamrXZO
エロ
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/26(金) 22:01:01.24 ID:2EyOwfZdo
乙です
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/28(日) 00:48:09.08 ID:JU1NyR7o0

実験に対する反応がしんのすけらしくて良いなあ
127 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/09/02(金) 23:49:51.43 ID:cnnhvvXg0
1です、これから投下します。
>>120
オリキャラは出す予定はありませんが、未来パロという性質上クレしんサイドのキャラクターは半オリキャラといえるかもしれません。
映画キャラはこれからも多々出てくると思います。
>>126
そう言ってもらえてうれしいです
色んな事件を経験したしんのすけはこんな状況でも妙に冷静だと思います。
128 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/09/02(金) 23:51:03.71 ID:cnnhvvXg0
「もう行こうよ、見てて気分の良いものじゃないでしょう」

しんのすけが御坂に声をかける。   シスターズ
二人のまわりでは御坂美琴のクローン『妹達』がつい先程まで行われていた一方通行との戦闘の形跡を消す作業をしていた。

「美琴ちゃん……話せる?」

御坂は答えない、心此処に在らずといった様子で、濁った眼で妹達を見ているだけだ。

「……ハア、やれやれだゾ」
129 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/09/02(金) 23:52:56.30 ID:cnnhvvXg0
しんのすけは御坂のそばから離れ、作業中の妹達に近寄る。
彼女達は複数人がかりで磁力を操りコンテナを浮かしていた。

「さて、どうなるかな?」
しんのすけがポケットから一対の手袋を取り出し、手に着せながらつぶやく。
浮いたコンテナの下には、片足を失い、変わり果てた姿となった妹達の一人がいた。
血だまりに靴が汚れるのも気にせず、しんのすけは彼女の横に立つ。
そんな彼に、妹達の一人が言った。

「貴方にそこに立たれると、作業の妨げになります。とミサカは注意します」

「ごめんね、でも数秒だけだから」

そう言うとしんのすけはその場に屈み、赤黒く染まった常盤台中学の制服に手を伸ばした。
一瞬の光の後、彼の掌の先には少女が生前と変わらぬ姿で横たわっていた。
血に染まっていた制服は洗濯し干したてであるかのように、汚れの一つもなく綺麗で……
失った左足も生えその体にはわずかな傷すら無く、まして腐敗や欠損等在る筈も無い……
だが、それでも……彼女の死はくつがえらない。

「……やっぱダメか」

ポツリと言葉をこぼし、しんのすけは仰向けに眠る少女の手を胸の上に組み、まぶたを閉じる。
130 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/09/02(金) 23:53:45.77 ID:cnnhvvXg0
「理解できません、その個体は既に死んでおりそのような行為は無意味です。とミサカは疑問をていします」

周囲に居た妹達の内の一人がしんのすけの行動の意味を問う。
そのような行為、とは肉体を治したことだろうか、それとも手やまぶたのことだろうか。
しかし、しんのすけは彼女の疑問には答えず、独り言のようにつぶやいた。

「へえ、『死』んでいる……ね、クローンの嬢ちゃんは今のあの子をそう表現するんだ……」

「なにか?」

「『機能停止』でも『行動不能』でも無く、お嬢ちゃん達は『死ぬ』んだね」

それだけ言うと、しんのすけは御坂を無理矢理引っ張るようにして彼女を連れ、その場を後にした。
131 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/09/02(金) 23:55:16.72 ID:cnnhvvXg0
「あ、気が付いた?美琴ちゃん。というか正気に戻った?」

「……う」

翌朝、御坂が気付いた時、彼女はどこかのベンチの上に体育座りしていた。

「アンタ、ずっとそこに居たの?」

御坂は傍に立つしんのすけに尋ねた。

「あの状態の美琴ちゃんを置いてけないよ」

街中で眠っている女子中学生を放置してその場からいなくなれるほど、しんのすけは図太くない。
ましてや、相手が友人であればなおのことだ。

「で、昨日のこと覚えてる?」

しんのすけが御坂に訊く。
夢であって欲しかったとでも言うような、一瞬のためらいの後に御坂はうなずいた。

「じゃあ聞きたいんだけど、美琴ちゃんのクローン達はなんでアノ『一方通行』だっけ?と戦ってたの?」

「アンタは知ってるんじゃないの?」

「オラが知っているのは、量産計画が別のプロジェクトに流用されたって所まで」

「……『絶対能力者』を生み出そうとしているそうよ」

口にするのも忌々しいといった様子で、御坂が話し出した。
  わたし
「『超電磁砲』を百二十八回殺せば『一方通行』はレべル6に進化するらしいわ」

「ああ、『クローン達との戦闘はオリジナルとの戦闘の代用』ってそういう意味か」

昨夜、一方通行が言っていた言葉を、しんのすけは思い出し納得する。
132 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/09/02(金) 23:56:13.84 ID:cnnhvvXg0
「で、美琴ちゃんはこれからどうするの?」

「そうね、それは私も知りたいわね」

御坂としんのすけの会話に、三人目の声が加わる。

「布束先輩!?」

「久しぶりね。で、どうするつもり?」

「その前に、一つ訊かせて」

現れた布束砥信に、御坂がマネーカードの真意を問いかけた。

「アンタがマネーカードをバラ撒いてたのは実験を妨害する為だったんでしょう?」

「そうね」

「アンタは……なんであの子達を助けようと思ったの?」

「世界をね……まぶしいと言ったのよ」

その時を思い出しているのだろう、布束は視線をやや上に向け話す。

「外部研修に連れて行ったこがね、そう言ったの。我ながら単純だと思うけど、それからあの子達を作り物だと思えなくなったわ」

布束は視線をしんのすけ達に戻し、言った。

「私より彼女の方がずっと人間らしいと思ったから」

「私は……」

布束が話し終わり、御坂が先程の二人からの問いに答える。

「クローンを人間としてなんて見れないし、殺される事を受け入れている連中を助けようなんて思えない。でも……」

彼女は立ち上がり、宣言する。

「ひとのDNAマップをくだらない実験に使う奴らを、私は絶対に許さない」

御坂は何処かへと向け、歩き出す。

「自分で撒いた種だもの、自分の手で片を付けるわ」

「じゃ、オラはオラで勝手にするから、美琴ちゃんも頑張ってね」

去りゆく御坂の背中に、しんのすけが言う。

「あなたはどうするの?」

その場に二人が残され、布束はしんのすけに訊く。

「とりあえずは、『絶対能力進化』計画について調べてみるゾ、色々とおかしな所があるしね……あ、でも」

「でも?」

「まずはウチ帰って寝る、昨日は徹夜だったからね」

そう言ってしんのすけも自宅に帰るべくあるきだした。

(そういえば……アイツはどこまで知っているんだ?)

帰路の途中、しんのすけは思う。
自分に地雷の存在を警告したアイツは、この件に関わっているのだろうかと。

「あ、美琴ちゃんが無茶しないよう操祈ちゃんに連絡しとこっと」

スマホを取り出すと、新着メールがあったのでそちらを先に確認する。
差出人の名は『アレッサンドロ・フランチェスカ・デ・ニコラ』といった。

「名前変わってるゾ!?」

おそらくそれは、昨日は『ジャン・ピエール・アンドレイ・ジョセフド・シャトーぶりアンヌ』と名乗った人物からのメールだった。
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/02(金) 23:57:42.00 ID:eJ0tos860
おお!来てたか
そういえばしんちゃんが未来にいく映画の話のヒロインのたみこさんはくぎゅうだったな
もしアニェーゼと出会うことになったら彼女のことを思いだしてほしいな(声優的に)

134 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/09/02(金) 23:58:13.89 ID:cnnhvvXg0
場面は変わり、『窓の無いビル』の一室、そこには帽子を目深に被りトレンチコートの襟で顔を隠した小柄な男と、2メートル程の身長を持つ少女の二人が居た。

「ほら、土産だ。食べていいぞ」

男は何かを少女に渡す。

「ありがとう、しんせつなぶたさん」

少女は男に礼を言い、手にしたソレを大きく開いた口に持っていく。

「ヤメロ・ワタシハスベテノニンゲンヲミチビキカンペキナセkA……AAAAA」

ソレが悲鳴を上げるのも気にとめず、少女は食事を進める。
その光景を見て、男は言った。

「情報を捕食する存在か、私のような『電子生命体』にとっては天敵だな……」

かつて秘書アプリと呼ばれていた者の末路を尻目に、男は葉巻の様に千歳飴を味わっていた。
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