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野原しんのすけ(15)「歯を食いしばれサイジャク、オラのサイキョウはちょっと響くゾ」
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281 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/12(木) 18:31:00.01 ID:n46j3F/0O
もうアカンかもしらんが一応保守
282 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/04/19(木) 16:09:38.98 ID:tfILKJLMO
カンフーボーイズ良かった
まさお君の良さが改めてわかったわ…
更新いつまでも待ってる
283 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/19(木) 17:54:54.15 ID:wPUJimExO
>>281
>>282
お前さんらこのスレはじめてか?
ここの1基本的に2ヶ月毎に更新だから次来るのは5月の頭位だぞ
284 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/20(金) 12:29:24.65 ID:S776WzHqO
焼け野原ヒロシはどうなるんです?
285 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/04/22(日) 16:16:54.18 ID:ArUnYp9H0
>>283
そうだったっけ?久々に来たから忘れてたわ……サンクス
それはそうと、このssにもぷにぷに拳出るかな?
とりあえず待機支援
286 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/04/23(月) 20:10:58.54 ID:OQqMXKXG0
そうかそうか
287 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/05/06(日) 00:07:24.60 ID:f6YueRak0
1です。これから投下します。
>>279-280
このSSでは『登場人物』【キャラクター】の役者は全員死んでいるくらい古いお蔵入り映画と言う設定です
>>285
割と直ぐに出す予定です
288 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/05/06(日) 00:08:35.31 ID:f6YueRak0
「同じ顔!?熱狂的な御坂のファンが特殊メイクで変装でもしてるのか?」
驚く上条に、その少女は直ぐに返した。
「ファンでは無く妹です。と、ミサカは間髪入れずに答えました」
「妹?ああ妹なら似てるのも……あれ?御坂に妹っていたっけか?」
先程のツインテールの様に、御坂美琴を『お姉様』と慕う『妹分』なら何人も居そうだが、実妹となると上条が彼女からそういった話を聞いたことは無かった。
(俺が忘れているだけかな?)
今から約一月前、上条当麻は一度それまでの記憶のほぼ全てを失っている。
幸いにもしんのすけが持っていた『原典級霊装』のおかげでその大半を取り戻せはしたが、今の彼は「自分が何を忘れているか忘れている」状態だ。
289 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/05/06(日) 00:09:57.42 ID:f6YueRak0
(御坂の『妹』に対する態度を見て判断するか)
上条がそう思い、御坂に意識を向ける。すると……
「アンタ!!一体どうしてこんな所でブラブラしてんのよ!!!」
御坂が大きな声を上げ、上条は驚きとっさに耳をふさぐ。
一瞬の間の後、少女は姉に答えた。
「研修中です」
「……っ」
御坂は苛立った様子で少女の手を取り引っ張る。
「おい妹、ちょろっとコッチに来てみよーかー?」
「いえ、ミサカにもスケジュールはありますと……」
「いいから、きなさい」
拒否する少女の言葉にかぶせる様に命令すると、御坂は一度上条の方を向く。
「んじゃ、私達こっちの道だから。アンタも寮の門限とか気にしなさいよ」
そう言うと、御坂は妹だと言う少女の手を引きその場から離れていった。
(複雑なご家庭なのかなぁ?)
上条が視た限りでは、御坂と少女は知らぬ仲というわけではなさそうだが彼女に妹が居たのなら、何故自分はソレを知らなかったのだろうかと上条は考える。
(妹も常盤台の制服を着ていたから年子か双子だろ?)
レベル5 レールガン
超能力者である『超電磁砲』こと御坂美琴にそんな存在がいるのなら噂の一つも流れてくるはずだが……?
「ダメだ、考えても判らん。俺ももう帰るか」
足元を見る。
「この大量のジュースを抱えてな、ハア不幸だ……」
290 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2018/05/06(日) 00:31:33.12 ID:f6YueRak0
短いですが今夜はここまでです。
続きはある程度はできてるので多分明日の月曜には投下します
トリつけ忘れてたorz
291 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/05/07(月) 01:07:14.71 ID:EIB+UnAB0
きてたー
やっぱ更新あると嬉しくなるな
292 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/05/07(月) 10:23:56.37 ID:+RdlpjqgO
>>287
マジですか!?ドキをムネムネしながら待ってます!
頑張ってください!
293 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2018/05/07(月) 23:47:59.25 ID:a8bWNJuL0
1です、これから投下します。
294 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2018/05/07(月) 23:50:03.60 ID:a8bWNJuL0
上条は大量の缶ジュースを抱えながら帰宅する途中、先程御坂に連れられて行ったはずの少女に出会った。
彼女がジュース缶を半分持ってくれると言うので、家までついてきてもらった。
上条が暮らしている学生寮の部屋の前までくると、そこでは同居人の双子が何やらせっせと作業していた。
「あ、とうまだ。とうまおかえり―――!?とうまが知らない女の人連れてる!!誰!?」
「お帰りなさい上条当麻、それと落ち着きなさい禁書目録。なお、彼女はその服装から食蜂操祈の関係者だと推測されます」
インデックスとヨハネの二人が上条に気付き駆け寄る。
「ただいまツインデックス、これお土産な。で、お前ら廊下でなにやってんだ?」
インデックスにジュースを手渡しながら訊く上条に、ヨハネが答えた。
「除虫効果のある薬用植物を置いていました」
丸い葉の草を手に、それをこちらに見せてくるヨハネに上条は重ねて問う。
「除虫?」
台所にGでも出たのだろうか。
しかしなら何故二人は通路で作業をしていたのか。
295 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2018/05/07(月) 23:51:25.45 ID:a8bWNJuL0
「スフィンクスにノミがいるみたいなんだよ。とうまのベッドも大変な事になっているかも」
「うわ、なんか体中がかゆくなってきた。それで、ソノ葉をスフィンクスに食べさせれば良いのか?」
抱えた三毛の子猫をこちらに見せながら答えたインデックスの言葉に、背中を掻きながら上条は訊く。
「いえ、これはセージの葉ですから。火をつけて煙を……」
そう言いながらチャッカマンを取り出したヨハネを止める。
「あー、止めとけ。警報がなっちゃうから」
「警報?」
上条が何を言ったのか解らないという様子のインデックスに、ヨハネが説明する。
アガシオン
「つまり、例の使い魔に襲われる事になるということですよ、禁書目録」
「え!?ソレは嫌かも。でもじゃあどうしたらいいかな?」
と、ここで今まで会話に参加していなかった少女が口を挟んだ。
「ようは、猫に危害を加えず体の表面からノミを落とせば良いのですか。と、ミサカは確認します」
そう言った少女が片手を子猫に向けると、パラパラとノミがその体から落ちていった。
「特定周波数の電磁波です。このタイプの虫除け機械は学園都市で市販されているので安全面も支障ないでしょう」
そう言いながら少女は屈みこみ足元に缶を置いていく。
やがて自身が抱えていた缶が全て無くなると、立ち上がった。
「それでは、用が済みましたら。と、ミサカは別れの言葉をいいます」
立ち去っていく彼女の後姿を見つめながら双子は言った。
「とうまとうまっ、あれこそパーフェクトクールビューティなんだと思う。ね?ヨハネ」
「はい禁書目録、私とキャラが丸被りですね。なお、若干姫神秋沙にも同じことが言えると思われます」
296 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2018/05/07(月) 23:52:05.50 ID:a8bWNJuL0
翌日、御坂は一人バスに乗って学園都市の内部にあるとある施設へと向かっていた。
(アレさえ、壊せば……)
御坂が妹を名乗る少女の手を引き、上条当麻に声が聞かれない位には距離を取った先での少女との会話で彼女が知ったのは、実験はいまだに予定通り進行中という事だった。
(なんで!?どうして!?)
いや、そういえば食蜂も言っていた「他施設へデータが移送されて実験も引き継がれている可能性もある」と。
もしそれが複数に増やされていたら?自分が一つの施設を破壊する間に協力する研究施設が二ヶ所以上増えていたとしたら……
先日自分の眼の前であの子がコンテナに潰されて死んだのは第九九八二次実験、少女が語った先程終わったというのが第一○○二○次実験。
あの日からすでに38人の妹達が死んだのだ。
「いや……違う……私が、殺したんだ……」
様々な感情が溢れ、混乱した頭で彼女が最後にたどりついた答えは、『この実験をもっと根本から破壊する』ことであった。
そしてその為に選んだ手段は……
ツリーダイアグラム ハッキング
「『樹形図の設計者』に侵入する!!」
297 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2018/05/07(月) 23:53:39.95 ID:a8bWNJuL0
「もぬけのから……罠?」
第二十三学区宇宙開発エリア・樹形図の設計者送受信センター。
ここは世界最高のスーパーコンピューターである『樹形図の設計者』との唯一の窓口である最重要機密施設だ。
にもかかわらず何故かその内部には誰もおらず、その心臓部である交信室まで御坂は直ぐに入ることが出来た。
「例え罠でも、やるしかないのよ」
御坂が機械に手を当てハッキングを試みたその時、部屋のモニター画面に文字が浮かび、スピーカーからは何者かの声が聞こえてきた。
ゴールキーパー
『やめておけ、貴様はおろか噂に名高き『守護神』でさえも、この『私』という間違いなく世界最高のセキュリティを破るのは不可能だ』
御坂はその声を無視して再度ハッキングを試みた、しかしその結果は声の主が言うように失敗であった。
「アンタ、何者なの?」
忌々し気に訊ねる御坂に、声の主は答えた。
『世界最強のハッカーだ。そしてそれは『私』が世界最高のセキュリティであることを意味する』
298 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2018/05/07(月) 23:55:29.68 ID:a8bWNJuL0
今夜はここまでです。
次回も一週間いないに投下したい。
299 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/05/08(火) 03:09:57.46 ID:Ve+smKpfO
このSS読んでみようかな思ったがキモくて無理だ
300 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/05/08(火) 09:07:45.59 ID:kogEahe8O
>>299
じゃあ読むんじゃねーよ
>>1
のやる気削ぐなやKY
301 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/05/08(火) 22:05:30.48 ID:w5+J6pRWO
>>300
だから読んでないのに何を言ってるの君
302 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/05/08(火) 23:35:34.37 ID:Ghiko5Fho
おつおつ
303 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/05/09(水) 01:19:21.86 ID:VytU/RYkO
更新乙!
がんばってください
304 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/05/09(水) 07:55:54.79 ID:9BrCwNM5o
>>299
うん
305 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/05/09(水) 12:17:17.30 ID:pgNnqrXLO
今時KYとか死語使う時代遅れの可哀想な子がいる痛い作者のSSとやらはここですか?
306 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/05/09(水) 12:56:30.15 ID:VytU/RYkO
うわ、何か荒れてる…
お前らの荒らし白けるからやめーや
307 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/05/10(木) 11:02:42.74 ID:pNmnYqc+O
嫌ンゴ荒らすンゴ
308 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/05/10(木) 12:55:14.34 ID:iniQbdFpO
おっ、更新してた。
ゆっくり待ってるから、がんばってくれ
309 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/05/13(日) 07:38:20.83 ID:m03is8cq0
更新ありがとう
次も気長にマッテルーヨ
310 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/05/13(日) 16:30:06.09 ID:ft+Q1NNl0
乙!
311 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/05/13(日) 17:39:15.96 ID:2o156NfCO
秘書アプリも怖かったけど、個人的にはガチャガチャ人間が一番トラウマになってる…
マサオが被ってる…
312 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/05/14(月) 16:23:20.09 ID:iX96PiSP0
ひろし!!
313 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/05/14(月) 18:45:44.43 ID:h6/NCHsUO
乙ー。救いのヒーローキター!
私がブタならお前はチキンだ、は俺の中では迷言となってるw
>>311
うさぎちゃんがネネちゃんを乗っとる話も何気に怖かったね。
314 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/05/15(火) 12:50:44.55 ID:i9kr3YLZO
>>313
わかる。殴られウサギシリーズはどれも怖い
最近(?)のだとあのウサギ、水に浸かると体を分解させて人間に寄生するからもう恐ろしいとしか言い様がない…
もう一種の魔術の類でいいよ、あれ…
315 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/05/15(火) 20:51:43.92 ID:LNPWLcqA0
人形に込められた呪いが意志を持ったって感じだよね、人形を痛めつけるって凄く有名な呪いの掛け方だし
316 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/05/19(土) 16:32:23.75 ID:fP8G3gybO
もう2週間になるけど…
317 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/05/20(日) 00:16:10.79 ID:WcoevkkuO
保守
318 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/05/22(火) 14:30:55.39 ID:Pi+WE09p0
木原ひろし
319 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/01(金) 17:57:17.24 ID:tf1QRL+K0
しんのすけの声が変わってしまうという寂しさ
でも長寿シリーズには避けて通れない道だし、今後長く続くかどうか重要なポイントだよなー
320 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/03(火) 16:59:35.81 ID:F5qcchJM0
保守
321 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/05(木) 11:40:59.21 ID:vAlPkA9M0
>>319
泣きそう
322 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2018/07/08(日) 00:01:46.49 ID:WclpbRtf0
遅れてすみません1です。これから投下します
しんのすけの中の人が変わりましたね。殴られ兎もかわるのかな?
323 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2018/07/08(日) 00:03:56.75 ID:WclpbRtf0
『最強のハッカー』そう名乗った存在は、レンズ越しに見る御坂美琴に先日出逢った同じ顔を持つ少女たちを思い出していた。
(ふむ、この娘がオリジナルか)
御坂が麦野や垣根達と対決したあの日、残るもう一方の施設でも『妹達』を救おうと行動を起こした者が居た。
テスタメント
『学習装置』の開発者布束砥信、彼女はクローンの少女達に『感情』のデータを入れる事で少女達が実験を拒絶してくれる可能性に賭けた。
しかしその試みも失敗に終わる。
布束も知らなかったセキュリティを『妹達』は持っていたのだ。
(もっとも、あらゆるセキュリティなど、私にとっては全てすり抜けられる単なる壁に等しいが)
布束が手にしていたメモリの中には、彼の分身が入り込んでいた。
彼は最終的には学園都市内のほぼ全ての電子機器に己の端末を『感染』させるつもりだが、残念ながら現状は理想には程遠い。
ワクチンソフト等も含めた各種セキュリティも外部と比べて20〜30年は先んじているこの都市で増殖するためには、分身の一体々々が簡単には「消去」【ころ】されない強度を持つ事が必要だからだ。
徒【いたずら】に増えてもその殆どがデリートされるだろう、故に彼は『潜伏』先を慎重に選択していた。
そして幸か不幸か、感情のデータが入った彼女のメモリはそんな潜伏先の一つだった。
324 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2018/07/08(日) 00:05:44.36 ID:WclpbRtf0
(感情を入力された個体は19090号だったか?)
あの個体は多少恥ずかしがり屋というか、自己主張の弱い性格になるという結果だったが、他の個体が『感情のデータ』を入れられた場合も同様なのだろうか。
だとしたら布束の思惑通りに実験を拒否する個体が現れる可能性は極めて低いだろうと、彼は考える。
(まあ酢乙女財閥の受け入れ準備も整っていない現時点で『欠陥電気』達が反旗を翻したところで……)
「最強のハッカー……なるほどね、ここに他の人員が居ないのはアンタ一人で事足りるからか」
『妹達』について考えていた彼は、その声に再び意識を御坂美琴にもどす。
『そうにらむな、私は貴様の敵というわけでは無い。むしろこの件に関しては味方と言える』
「味方?なら……」
ツリーダイアグラム
『言っておくが、『樹形図の設計者』から偽の命令や演算結果を出させるのは無意味だ。一度出した結果と違う結果が出れば、再度演算要請が来るだけだ』
何せこの都市の研究者達には『樹形図の設計者』の解答を絶対視している者も多い。
『加えて言えば上層部は例え途中で『樹形図の設計者』が破壊されたとしても実験を続行するつもりだぞ。他ならぬこのスパコンが出した答えだ、間違いない』
レベル6
『絶対能力者』にはそれだけの価値があるということなのだろう。
このまち
(それが科学者連中にとってなのか、学園都市にとってなのかは知らないが……あるいはあの『人間』にとっては、か?)
325 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2018/07/08(日) 00:06:56.72 ID:WclpbRtf0
「そんなの・・・・!!それじゃあどうやって実験を止めたらいいのよ!?」
御坂が叫ぶ、それは返答を求めたものではなかったのかもしれないが、それでも彼は返した。
『他者を頼れ、貴様にも既に協力者はいるだろう。食蜂操祈、酢乙女あい……』
布束砥信は暗部に捕まりリタイアになってしまったが。
『他にも頼れる者がいる筈だ。学園都市の闇に触れるのだから人選は重要だがな……』
彼がそう言い終えると部屋中のモニターが暗転し、御坂の眼前にある幾つかの画面だけが残った。
それらにはそれぞれ派閥メンバーが持って来た資料に目を通している食蜂操祈や、どこかに連絡している酢乙女あい、そして路地裏を走り回るしんのすけが映っている。
「こやつらは皆、自分の友人の妹達を助けるため自分達が出来ることを考え、行動している」
どのモニター画面にも文字は出なくなったが、そのハッカーの声は続いた。
「御坂美琴、貴様はどうする?少なくとも貴様のすべきことは、この部屋のは無い筈だ」
御坂は悔しそうに唇噛みながらスピーカーを一睨みすると、無言で部屋を出ていった。
326 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2018/07/08(日) 00:34:48.03 ID:WclpbRtf0
再び一人となったハッカーは、思案する。
「御坂美琴が、この映像を見ずに済んだのは、これでよかったのか?」
元々はその部屋のモニターがうつしていた映像データ。
リアルタイムの、学園都市中の路地裏まで網羅した防犯カメラが伝えるそれは、また一人クローンの少女が死んだのだと彼に伝えていた。
「急がねばならないな……幸い私の端末は既にMNWに侵入済みだ。一人ずつ説得していくとしよう」
『増殖』して行えば一人ずつとは言っても実際には一対一で全員同時に説得出来る。
しかし反抗的なクローンなど、さっさと殺処分して新しく作り直せばすむ話だ。
実験の協力者を心変わりさせて実験を中止に追い込む、この方法ならば真っ先に説得しなければならないのはむしろ……。
「……それこそ机上の空論か」
部屋のモニターが元にもどる。
その中央部の特に大きな画面には、白髪紅眼の少年が映っていた。
327 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2018/07/08(日) 00:36:53.50 ID:WclpbRtf0
今夜はここまでです。
新しいしんちゃんの声最初は違和感があってもじきに慣れそうですね
328 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/08(日) 03:34:47.15 ID:qU7xnnf4O
\
 ̄ヽ、 _ノ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
`'ー '´
○
O
/⌒ヽ⌒ヽ
Y
八 ヽ
( __//. ヽ,, ,) と思うチンチンオバケだった
丶1 八. !/
ζ, 八. j
i 丿 、 j
,. -‐=≦=| 八 |=≧=‐- 、
/´ ! i 、 `ヽ
.,v─ーv_ .{:::.: ,:. i し " i ' .:、 :.:::}
..,i(厂 _,,,从vy |::.:.: l::. ノ ( i i .::l . :.:.::|
..l ,zll^゙″ ゙ミ ∧:.:... i::, '~ヽ ! .::i ...:.:∧
..《 il|′ フーv,_ !: :ヽ:. ::. . ..:. ,. | i .l .、.:.. . .:: .:ノ: :! _( "''''''::::.
\《 ヽ .゙li ._¨''ーv,,_ { ノ| ! || ヽ } __ ____,,,... --‐'''^~ ヽ ゛゛:ヽ
\ ,゙r_ lア' .゙⌒>-vzトヽ / }.| │ | { \ ノ⌒:::....:"""" ・ ・ . \::. 丿
゙'=ミ:┐ .「 ./ .^〃 ,i| | | | i、 ::::::::::::::::::: ・ ....:::::::彡''ヘ::::/
゙\ア' .-- ,,ノ| ノ| | | | ヽ :::::::::::::::::::::::::::::;;;;;,, ---‐'' "^~
゙^ー、,,,¨ - ''¨.─ / | ! | |  ̄ ―-‐‐ ''^~
^ー-v、,,,_,:_____/ ,;-‐'′ `'‐-;,
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/ ノ;; ,.‐ ;;-.;i \
,/ ,;-/;;; /' '' ;;;X;, ヽ
i' /_,,;-‐'' |;; ;i;;.. 〜 ;;| ''‐-;,,_\_ 'i
i `i X〜 ;i;;; ;;,. ;;;/ i' i
| | ヽ;;__\_;;/ | |
| ,! .l、 |
| { } .|
ノ i i {
c_'____) (___'_っ
329 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/08(日) 12:55:59.38 ID:1STr3V5sO
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海美「竜騎士の結束を見せちゃうよ!」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1524871125/
志保「茶運びといえばカラクリだよね!」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525475657/
茜「みんなで勝鬨を上げちゃおう!」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1526133608/
桃子「この金の城いい踏み台だね!」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1526686132/
美紗希「化学反応式も女子力よ!」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1527292985/
小鳥「アリガトウワタシノデッキ」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1527896333/
柚「狩らせてもらうよ。キサマのぴにゃンバーズ!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1528498815/
加奈「ダストンの掃除法をメモしておきますね!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1529105813/
330 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/09(月) 12:21:21.70 ID:fHXxEnoro
おつです。
なんか初期を多少思い出すけど寄せてる感じでしたね。
331 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/08/25(土) 22:10:04.75 ID:sqKipCzW0
保守
たまにでいいから状況を報告してほしいです。
心配になります。
332 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/10/17(水) 02:11:40.25 ID:qHO43fd60
保守。やっと見れるようになった。
また、更新するようになればいいな。
333 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/19(月) 09:48:51.67 ID:J+nYt9vU0
保守
334 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/12/09(日) 14:52:45.97 ID:oxpliu4Y0
保守
335 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/12/23(日) 23:57:39.75 ID:aHgTHBAP0
面白くて一気に読んじゃいました!続き期待しています。
336 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[sage saga]:2018/12/29(土) 19:44:14.59 ID:XZfzMyvn0
seizonnhoukoku
良かった、復活してた。
>>335
年末年始は忙しくて、続きは1月四日の予定です。
337 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/08(火) 07:33:26.70 ID:IL3DKFtT0
四日とはなんだったのか
338 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/20(日) 20:17:29.09 ID:A5dS9i7MO
計算が間違ってる
このスレでは1日後は1週後、1週後は1ヶ月後に換算される
12/29から1/4は6日なので6週後になる予定
なお予定は未定
339 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2019/02/04(月) 22:55:46.09 ID:fUaw33G/0
遅れてすみません。
1です。これから投下します。
340 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2019/02/04(月) 22:57:34.69 ID:fUaw33G/0
上条当麻は学校帰りに、再び御坂美琴の妹だと言う少女を見かけた。
彼女はまだ小さな黒猫の入った段ボール箱の前に座り、その口元へ菓子パンを持っていくのだが、仔猫は怯えた様子でそのパンを食べずにいた。
(アレって……まえにしんのすけが言っていたヤツだよな)
以前、上条は野原しんのすけと二人である統括理事会メンバーの資金源になっているという違法賭博場に潜入したことがあった。
そこで自身の不幸体質を利用し、しんのすけが逆張りすることで大勝したのだが、結局は警備員の突入により彼が大金を手にすることは無かった。
後日そのことで上条が愚痴をこぼしたさい、しんのすけはこんな金策を提案していた。
イマジンブレイカー
「上条君の『幻想殺し』を利用してさ、日ごろから実は動物と触れ合いたいと思っている『電撃使い』からお金をとるってのはどう?」
発電能力者のAIMは動物からは嫌われる性質を持っている。
しかし当の能力者本人が動物嫌いとは限らない、むしろ中には動物好きの者も居るのではないだろうか。
そして上条が右手で能力者の頭部に触れている間、AIMは消える。
有料の動物園や動物喫茶が普通に在る以上、お金を払ってでも動物と触れ合いたいと願っている者は多い筈という案だった。
(御坂なら大金払ってでもやりそうだけど、友達から金もらうっていうのもアレだし……それにスフィンクス一匹だけじゃな)
触れ合う動物を上条では仔猫一匹しか用意できないだとか、レベル0とはいえ能力を利用した非正規の金儲けは警備員や風紀委員からにらまれやすい等の理由で実行されなかった金策だが、今重要なのは『電撃使い』は動物に嫌われるということだ。
341 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2019/02/04(月) 22:58:48.61 ID:fUaw33G/0
「よう、御坂妹」
「あなたは昨日の……とミサカは確認します」
上条が声をかけ、ゴーグルをした少女が振り向く。
「昨日はさんきゅーな、その礼代わりだ。ちょっとジットしててくれ」
上条の右手が彼女の頭に触れるとパキンと何かが割れた様な音がした。
「よし、その菓子パン、もう一度ネコにやってみてくれ」
「ミサカには致命的な欠陥があり動物からは避けられるのでエサを与えるのは不可能。と、ミサカは予想し……?」
言われた通りパンを持った手を再び仔猫の口元に差し出しながらも、否定的な考えを述べる少女の言葉は途中で消えた。
「あなたが何かしたのですか?と、ミサカは質問します」
パンにかじりつく仔猫から視線を外さず、少女は上条に問いかける。
「俺の右手には『幻想殺し』ってチカラが宿っていてな、触れている間は他人の能力を無効化できるんだ」
チカラ
「そんな能力が……」
少女は上条の『幻想殺し』に驚きを見せた後、空いているもう一方の手で仔猫の体優しく撫で始めた。
「あの……」
「なんだ?」
いつしか眠り始めた仔猫を抱き、少女は上条に向かい言った。
「もう少しだけこのまま、このミサカの頭を触っていてもらえませんか?と、ミサカはお願いします」
342 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2019/02/04(月) 23:00:14.22 ID:fUaw33G/0
「ありがとうございました。と、ミサカは感謝を表します」
「気にすんな、最初に言った通りノミ取りの礼だよ」
しばし仔猫と戯れた後、上条と少女は別れる。
今日の上条は本屋に用事があるのだ。
自宅で飼っているスフィンクスの為に正しい知識を仕入れツインデックスに与えなければならない。
「そのネコ、どうするんだ?お前が飼うか?」
ふと気になり問いかける。
少女の体質的には難しいが決して不可能というほどではないだろう。
「いえ、ミサカに飼育は難しいので、せめてこの段ボールを人通りが多い所に移そうかと。と、ミサカは行動します」
そう言って眠る仔猫の入った箱を抱えて、少女はどこかへ去っていった。
343 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2019/02/04(月) 23:01:20.95 ID:fUaw33G/0
猫の飼い方に関する本を立ち読みし終え本屋からでた上条は、つい先程見た仔猫が道で鳴いているのを見つけた。
「お前ひとりか?御坂妹はどう……っ!?」
その仔猫の近く、路地裏へと続く入り口に、靴が片方落ちているのが眼に入る。
それが御坂妹がはいていた靴と同じ物に思え、上条は恐る恐る路地を覗きこむと、そこには……
「ミ……サカ?」
血塗れで横たわる少女がいた。
344 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2019/02/04(月) 23:02:31.81 ID:fUaw33G/0
今回はここまでです。
一月も遅れてすみません。
風邪ひいて寝込んでました。
次回投下はバレンタインごろの予定です。
345 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/02/05(火) 01:17:02.42 ID:xvAapvkGo
おつですぞーー!!おまちしておりました
346 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/02/05(火) 23:42:44.28 ID:k8T77dtAo
おつおつ
お大事に
347 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/02/07(木) 16:08:11.91 ID:znFUlSE30
いき
われ!?
待っとるでなー
348 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2019/02/12(火) 18:28:48.76 ID:89iTQR7k0
キタ――(゚∀゚)――!!
14日も楽しみ〜
349 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2019/02/15(金) 00:23:38.84 ID:WU8kfRXv0
1です、これから投下します。
今回は最新映画のキャラがちょっとだけ出てきます
>>345-348
コメントありがとうございます
350 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2019/02/15(金) 00:24:25.11 ID:WU8kfRXv0
一方その頃、しんのすけは第七学区の路地裏や裏道を走り回っていた。
「やっぱりダメか……適当に探してもクローンのお嬢ちゃん達にも一方通行って人にも会わないゾ」
しんのすけのファンを自称する、ジャン・ピエール・アンドレイ・ジョセフド・シャトーぶりアンヌと名乗る人物からも、その後連絡は無い。
「お嬢ちゃんが埋めた地雷のことを知ってたアイツなら、次の実験場所とかも知ってそうなんだけどな……」
汗を拭きながら、彼は空を見上げる。
「あ、もう約束の時間か……」
頭上に浮かぶ飛行船につけられたディスプレイには、明日の天気予報といった簡単なニュースと共に、現在時刻が表示されていた。
「このドアでいいか」
しんのすけは自身の右手首につけた『ゆるゆるの賢者の腕輪』を起動させながら、近くにあった戸のドアノブに手を掛ける。
・・
「今日こそ、アレを完成させてやるゾ」
そうつぶやくと、彼は第十学区に在るとある飲食店にとんだ。
351 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2019/02/15(金) 00:25:46.89 ID:WU8kfRXv0
セイギパオズ
『正義包子』2号店(学園都市支店)、ここの店主は喫茶店『男たちの挽歌』のマスター玄武岩男や『やきとり デスペラード』の主と同じく、しんのすけとは昔からの知り合いだ。
元はしんのすけの故郷である双葉町の隣町、大陸系移民が多く住むアイヤータウンに小さな店を持っていたのだが、世界をまわる武者修行の旅から帰ってきた孫娘に本店を任せ学園都市に越してきた。
提供する料理の質は、高級店が並ぶ第四学区にも店を出せるレベルだろう。
しかし店主に商売っ気が薄いことと、自分一人ではあまり大勢の客が来ても捌ききれ無いと言う理由でこの店は第十学区にひっそりとたたずんでいる。
「やあ、しんちゃん。よく来たね」
店先に顔を出した、腰の曲がった白鬚の老人に、しんのすけは掌と拳を合わせて礼を見せる。
「師匠!!今日もよろしくお願いします」
一方通行
ここ数日、あの白い少年と遭遇した夜の翌日からしんのすけはこの店に毎日決まった時間に通っていた。
自分の店の経営を所詮年寄りの道楽と割り切っている店主により、この店の営業時間は短く自由が利く。
「じゃあ、早速始めようか」
そうして作った空いた時間に、老人はしんのすけの修行に付き合ってくれていた。
「ほい、師匠!!」
しんのすけは竹刀を八相にかまえ師と向き合う。
新たな力を、技を手にする為に……
第七位の超能力者、削板軍覇との戦いは勝ちこそすれど僅かな差だった。
第一位の超能力者、一方通行は第三位である御坂美琴の多様な攻撃を悉く無効化してみせた。
しんのすけは自覚する、まだまだ自分は弱いと……故に彼は努力を怠らない。
いつの日か必ず出会うことになるのだろう『助けられ無い誰か』……そんな存在すら救う『理不尽なまでの奇跡』と成る為に。
352 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2019/02/15(金) 00:26:31.86 ID:WU8kfRXv0
日課となりつつある『正義包子』での修行を終え、第七学区へと戻って来たしんのすけは警備員が集まり路地裏への入り口を封鎖している現場に出くわした。
クローンの少女の遺体か戦闘の痕跡等がついに警備員に発見されたのかと思ったがどうやら違うらしい。
「何かあったんですか?」
警備員に近づき声をかけながら見れば、規制線の内側に見知った顔があった。
「上条君?」
353 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2019/02/15(金) 00:27:37.63 ID:WU8kfRXv0
今夜はここまでです。
次回投下は25日もしくは雛祭り頃を予定しています。
354 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2019/03/03(日) 23:10:53.57 ID:gG0G/+6m0
1です。
これから投下します。
355 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2019/03/03(日) 23:11:37.74 ID:gG0G/+6m0
警備員が少年に呼びかける。
「君が通報者だね」
青い顔をしたその少年、上条当麻がうなずく。
「中の様子を、少しでもいいから聞きたいのだが」
「女の子が……血だらけで倒れてました……」
警備員にうながされポツリポツリと上条が話す。
「凶器とかは、わからないです……もしかしたら、何かの『力』なのかも」
一通り上条からは話を聞き、数名の警備員はいよいよ路地裏、現場への調査に向かう。
「本来なら発見者にも同行してもらいたいところだが、どうする?」
訊かれ、上条は答える。
「行きます」
356 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2019/03/03(日) 23:12:21.23 ID:gG0G/+6m0
路地裏を進む中、上条は違和感を覚えた。
大きな血だまりの中央に倒れていた彼女の、その周辺には薬莢のようなものが散らばっていた筈だった。
広く、血だまりの外側にまで落ちていた筈のソレらを、未だ一つも見ていない。
加えて言えば、あの時は吐きそうなほどだった血の臭いも、一切してこない。
「本当にここだったのかね」
そして上条の記憶通りならば、現場である筈の位置まで来ても、それは変わらなかった。
遺体、血痕、薬莢……此処に在った筈のモノが、なにもない。
「た、確かにここの筈です。そこに倒れていたんですよ!?」
自分はイタズラで通報した訳じゃない。
そう主張する上条を落ち着かせるよう、優しい声で警備員が訊ねる。
「わかった。君が見たモノが本物だとして、記憶が混乱している可能性はないか?別の場所と勘違いしているとか」
しかしその声色からは、先程まであった緊張が失われていると上条は感じた。
自分のイタズラではないにしても、ソッチ系の能力者に幻覚でも見せられたのだとでも思われているのだろう。
何か警備員を納得させる証拠が残っていないかと周囲を探っていると、警備員の後ろから聞きなれた声がした。
「現場はココで間違いないと思うゾ」
357 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2019/03/03(日) 23:13:33.96 ID:gG0G/+6m0
背後を取られた警備員は振り返りつつ退がり、対象との距離をとる。
「誰だ!?」
薄暗い路地裏で警備員が手にしたライトに当てられ、眩しそうに目を細める少年は、上条の友人だった。
「しんのすけ!!」
「ヤッホー、上条君」
しんのすけは手にした小型の電気ストーブの様な物を足元に置くと、もう一方の手にした霧吹きを、シュッシュと周囲の壁や地面に吹きかけていく。
「……何をしているんだ?」
上条が問いかける、その横では警備員達もいぶかし気にしんのすけを見ている。
「サスペンスドラマやミステリーで見たことない?ルミノール液だよ」
一通り吹きつけ終えたのか、しんのすけは霧吹きを地に置き、それと交換するように先程置いた小型の電気ストーブの様な機械を持ち上げた。
「でコッチはキャンプ用品店なんかで売ってる誘蛾灯、ブラックライトってヤツだね。あ、警備員さん懐中電灯のスイッチを切ってください」
そう言ってしんのすけが手にした機械の電源を入れると周囲一面から青白い光が浮かび上がった。
358 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2019/03/03(日) 23:14:50.72 ID:gG0G/+6m0
「おい、本部……『上』に連絡だ」
警備員が顔色を変え仲間に指示を出す。
直ぐに返ってきた上からの命令はその警備員が納得できるものではなかったらしく、通信機越しに何やらもめている。
「警備員の装備はすごいな」
この路地裏では自分の携帯電話は圏外だったのに。と、上条が妙な所に感心していると、服の袖をちょいちょいと引っ張られた。
「上条君、ちょっと」
しんのすけに手を引かれ、上条も路地裏をより奥へと進む。
それに気づいた一人の警備員が二人を呼び止めたが、他の同僚達を置いて行くわけにもいかないのだろう、彼が二人の後をついてくることは無かった。
「どこまで行くんだ?それとブラックライトとルミノール液だったか?置いてきちまったけど……」
「ああ、大丈夫。アレ一分で消えるから。それとゴメンね、ルミノールっていうのは嘘。アレ本当はビタミンCなんだゾ」
「はあ!?どういうことだ?」
「死体をお掃除した人達は手慣れてるからね、どうせ漂白剤かなんかでキレイにしてあるよ」
「やっぱしんのすけは何か知っているんだな!?教えてくれ、御坂妹を殺したのは……死体を隠したのはどこのどいつなんだ!?」
しんのすけの両肩を掴み上条は訊く。
しんのすけは上条の後を指差し言った。
「上条君が御坂妹って呼ぶ、……お嬢ちゃん自身。本人だよ」
上条君が振り返る。
するとそこには、ファスナーの隙間から見覚えのある茶髪がはみ出した寝袋を肩に担いだ、御坂妹が立って居た。
359 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2019/03/03(日) 23:15:52.09 ID:gG0G/+6m0
「おい、本部……『上』に連絡だ」
警備員が顔色を変え仲間に指示を出す。
直ぐに返ってきた上からの命令はその警備員が納得できるものではなかったらしく、通信機越しに何やらもめている。
「警備員の装備はすごいな」
この路地裏では自分の携帯電話は圏外だったのに。と、上条が妙な所に感心していると、服の袖をちょいちょいと引っ張られた。
「上条君、ちょっと」
しんのすけに手を引かれ、上条も路地裏をより奥へと進む。
それに気づいた一人の警備員が二人を呼び止めたが、他の同僚達を置いて行くわけにもいかないのだろう、彼が二人の後をついてくることは無かった。
「どこまで行くんだ?それとブラックライトとルミノール液だったか?置いてきちまったけど……」
「ああ、大丈夫。アレ一分で消えるから。それとゴメンね、ルミノールっていうのは嘘。アレ本当はビタミンCなんだゾ」
「はあ!?どういうことだ?」
「死体をお掃除した人達は手慣れてるからね、どうせ漂白剤かなんかでキレイにしてあるよ」
「やっぱしんのすけは何か知っているんだな!?教えてくれ、御坂妹を殺したのは……死体を隠したのはどこのどいつなんだ!?」
しんのすけの両肩を掴み上条は訊く。
しんのすけは上条の後を指差し言った。
「上条君が御坂妹って呼ぶ、……お嬢ちゃん自身。本人だよ」
上条君が振り返る。
するとそこには、ファスナーの隙間から見覚えのある茶髪がはみ出した寝袋を肩に担いだ、御坂妹が立って居た。
360 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2019/03/03(日) 23:17:14.36 ID:gG0G/+6m0
sousamatigaeterenntousityatta
今夜はここまでです。
次回投下ホワイトデー頃を予定しています。
361 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/03/06(水) 03:37:33.65 ID:xeSACLnAo
おつです
362 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/03/11(月) 00:11:37.21 ID:C9bul9Hvo
おつおつ
363 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2019/03/14(木) 22:29:08.22 ID:0JMWepMV0
1です。これから投下します。
364 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2019/03/14(木) 22:31:31.97 ID:0JMWepMV0
「御坂、妹……」
上条は困惑する。
しんのすけの言う御坂妹自身が彼女を殺した、あるいは死体を隠したとはどういう意味なのか。
前者ならば自殺だろうが、今目の前に御坂妹は立っている。
後者ならば実は生きていた彼女がその後血痕を片付け移動したということなのだろう。
だが先程の光景、血だまりに横たわるピクリともしない少女の記憶が、上条にその仮説を否定させる。
「無事だったのか!?」
疑問と喜びがごちゃ混ぜになった声で、上条は彼女に訊ねた。
「無事の定義にもよりますが……ミサカはちゃんと死亡しましたよ。と、ミサカは報告します」
少女から自分はちゃんと死亡したと言われても、上条には意味がわからない。
ひとまず落ち着いて、もう少し情報を得ようと、何か別の話題をふろうと口を開く。
「ち、ちょっと待ってくれ。その寝袋、何が入ってんだよ」
彼女が肩に担いだ寝袋、その僅かに開いたファスナーの隙間、そこから見える茶髪。
先程の彼女の言葉と合わせて上条にまさかという嫌な想像をさせる。
「その寝袋に入っているのは『妹達』ですよ。と、ミサカは答えます」
その声は、目の前に立つ少女の口から出たものでは無かった。
上条が声の主を探してそちらを見れば、御坂妹が増えていた。
いや、そう思う程に『そっくりな少女』がいたのだ。
そしてそれは一人だけではない、上条としんのすけを取り囲むように、何人もの『そっくりな少女』が何時の間にかそこにいた。
365 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2019/03/14(木) 22:32:48.47 ID:0JMWepMV0
その後、少女達は断片的な説明をして、その場から去って行った。
正直、何を言われていたのかはあまり覚えていない。
ただ最後に実験に巻き込んだと謝罪されたこと、全員がぞろぞろとどこかへ去っていく際に、一人だけこちらを名残惜しそうに見ていた少女がいたことは覚えている。
「しんのすけ……お前は知ってたのか?お前がこのあいだ言っていた『厄介事』ってこのことなのか?」
数秒、困った様な表情をした後にしんのすけは話しだした。
「まあね、ついでに言うと、もうわかっているとは思うけど……」
「『問題の中心近くにいる』ってのが御坂なのか」
「そういうこと、まあ美琴ちゃんもクローンのお嬢ちゃん達の存在は最近知ったみたいだけどね」
「御坂は……いや、しんのすけは何を、どこまで知っているんだ?教えてくれ」
しんのすけが上条に語る。
マネーカード探しに始まり、同じ高校の先輩である布束砥信との出会い。
超能力者第一位『一方通行』と御坂美琴との戦闘。
その後、御坂から聞いた『絶対能力者進化計画』の全容。
「ふざけんなっ!!」
上条が壁に拳を叩きつけ叫ぶ。
「一人のエリート育てる為、に二万人の人間に犠牲になれってのかよ!?」
「それが気に入らないから、オラや美琴ちゃんは実験を止めようとしてる」
その時、しんのすけの改造制服のポケットの中にあるスマホが着信を持ち主に知らせるべく振動する。
しかしそれに構わず、しんのすけは上条に真っ直ぐ向き合い訊ねる。
「上条君、『厄介事』だけど頼まれくれる?」
366 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2019/03/14(木) 22:35:08.32 ID:0JMWepMV0
短くて申し訳ありませんが、今夜はここまでです。
次回投下は21日の予定です。
367 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/03/15(金) 22:38:05.01 ID:t/VBZZUGo
おつですぞ
368 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/03/19(火) 18:17:05.70 ID:3gYYQm+wo
おつおつ
369 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2019/03/21(木) 23:59:49.89 ID:i0jqswLx0
1です。これから投下します。
370 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2019/03/22(金) 00:01:31.79 ID:t+3zxdzs0
しんのすけからの問い、その答えはあの時既に決めていた。
そしてソレは、今でも変わらない。
「ああ、勿論だ。俺は何をすればいい?」
上条の返事に、しんのすけが礼を言う。
「ありがとう……ちょっと待ってね」
上条にことわりを入れ、しんのすけは先程何かを受信した自身のスマホを確認する。
「……文章と画像データ?」
しばし画面を操作した後、彼はアハァ〜と独特の笑顔を浮かべた。
「良い知らせだったのか?」
その笑顔にやや引きながらも上条が訊く。
「うん、次の実験の場所が判った。それで上条君にしてもらいたいことなんだけど」
「おう」
「美琴ちゃんと合流して、その後に実験場来て欲しいんだゾ」
「わかった、その場所は?」
「美琴ちゃんと合流したら、上条君の携帯にメールが送られてくるはずだゾ。そういうことで良いんだよね?」
しんのすけが誰かに確認する様にそう言うと、二人の近くにあった室外機が了解を示す様に音を立てた。
371 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2019/03/22(金) 00:02:50.23 ID:t+3zxdzs0
「誰かに見られてる、のか?」
「最強のハッカーからね……今はジャン・ピエール・アンドレイ・ジョセフド・シャトーぶりアンヌ、もしくはアレッサンドロ・フランチェスカ・デ・ニコラって名乗ってるけど、どちらも本名じゃ無い」
「最強のハッカーね……俺に送られてくるってメールも、ソイツから?」
「そ、ニコラかシャトーぶりアンヌ。忘れないでよ」
「それで俺と御坂は現場についたら何をすれば良い?それにしんのすけ、お前はこれからどうするんだ?」
アクセラ
「……オラは、一通さんを説得する。ダメなら闘う」
しんのすけは言う、勝算はあるが勝てるかは判らない相手、しかしやすやすと負けるつもりもない。
負けるにしてもその場合は相手の辛勝になるはずだ。
「上条君と美琴ちゃんには一通さんがオラに勝ったと思った時、一番油断するその隙に不意打ちして欲しい」
上条が一方通行の頭を右手で掴んでしまえば、それでゲームセットだ。
多分最初から三対一で闘うよりも、こっち方が勝率が高いと思う。そう言ってしんのすけは笑う。
レベル5
「任せて大丈夫なのか?同じ超能力者の御坂が手も足も出なかった相手なんだろ、お前だって……」
「まあ楽な仕事とは言わないよ、これが終わったら夏休みの残りは自警団の皆とリゾート地でのんびりするといたしますか」
心配する上条に、しんのすけは冗談交じりに返す。
「……わかった、一番きつい所任せちまうが」
その時、上条の携帯が鳴る。
送られてきた情報は、御坂美琴の現在位置と、忠告だった。
「早速そのニコラって奴からだ」
「アイツは上条君になんだって?」
「御坂の居場所だ、こんな時間だけど常盤台の寮に居ないらしい。自分が見失う前に早く行けってさ」
「うん、じゃあまたあとでね上条君」
「ああ、行ってくる」
走り出した、遠く小さくなる上条の背中に、しんのすけはつぶやく様に話しかけた。
「『一番きつい所』ね……上条君はわかっているのかな……」
おそらく今の御坂美琴の精神はかなり追いつめられているはずだ。
それに上条が接触すれば、どうなるか……。
「ま、オラはオラのやる事をしなきゃだからね」
しんのすけはそう言うと、懐から取り出した短刀で空を裂く様に振り抜く。
すると現れた黒い霧の中にしんのすけは消えていった。
372 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2019/03/22(金) 00:37:24.74 ID:t+3zxdzs0
上条が御坂を見つけ声をかける。
彼女の、そして妹達の事情を知った、これから実験を止めに行くから一緒に来てくれと。
しかし彼女はそれを良しとしない。
自分の罪にこれ以上他者を巻き込めない、自分一人で終わらせる案が有ると。
しかしそれは自殺にも等しい方法のうえに確実性に乏しいものだった。
当然、上条は反対する。
「邪魔よ、どきなさい」
御坂が苛立ちをぶつけるように放つ電撃を、上条はその右手では無く体で受ける。
「お前もわかってるんだろ!?そんな方法じゃ誰も救われない!!」
何度も電撃をうたれ、それでもなおも立ち上がる上条に、ついに御坂が折れる。
そうして、やっと第10032次実験が行われるであろう現場についた時、上条達二人の眼にうつったのは……
「技之八、柔軟弾丸」
丸い何かがぶつかりはじき飛ばされる学園都市最強の姿だった。
「凄い……あの一方通行が……」
驚く二人のもとに、タブレットを持ったドローンがどこかからあらわれる。
上条に手渡されたその画面にはこう表示されていた。
「疲弊させたうえで勝たせ、油断した隙をつくという話だったが……別に倒してしまっても構わんのだろう?」
373 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2019/03/22(金) 00:38:18.11 ID:t+3zxdzs0
今夜はここまでです。
続きは26日の予定です。
一方通行戦は劇しんカンフーボーイズからのネタが多目になります。
374 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/03/24(日) 00:40:45.35 ID:WYQLP7uDo
盛り上がってきたぜ
375 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/03/26(火) 20:44:55.49 ID:aMOLvZooo
おつおつ
倒せなさそうですね…
376 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2019/03/27(水) 00:44:36.31 ID:u6aAKjZY0
遅れてすみません。
1です。これから投下します。
377 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2019/03/27(水) 00:45:51.17 ID:u6aAKjZY0
上条を見送った後、しんのすけは幼馴染でもある科学者のもとへと飛んだ。
「ボーちゃん、これが第一位の超能力者『一方通行』の能力らしいんだけど……」
しんのすけがボーにスマホを手渡す。
そこには詳細とまでは言わないものの、おおまかなあの白い少年についての情報が記されていた。
先程次の『妹達』を使った実験予定地と共に送られてきたものだ。
「なるほど、デフォルトでは『反射』に設定されている『ベクトル変換』……いや『操作』かな?」
手にしたスマホの画面に指を動かし、必要な情報を読み終えたボーが、そのスマホをしんのすけに返しながら言った。
「それで、しんちゃんは今日、どうして僕に?」
「ボーちゃんなら、一通さんにどうやって勝つ?あとその為の機械ってもう有る?もしくは三十分以内に造れる?」
しんのすけの問いに、『木原以上』の異名を持つ優秀な科学者はすらすらと答える。
「『反射』される、その瞬間にこっちの攻撃を『引け』ば、『内側に反射』させられるから、一撃は入れられるね」
要はその最初の一撃で勝てば良いのだ。と彼は続けた。
378 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2019/03/27(水) 00:47:03.40 ID:u6aAKjZY0
「で、その為に必要なのは、センサー付きのガントレットかロボットアームだけど……」
自身の研究室の中を、何かを探してうろつきながらボーは言葉を続ける。
「どちらも無いし、三十分で造れるものでもないよ。ただ……」
目当ての物を見つけたらしくソレを白衣のポケットにしまうと、彼はしんのすけの前まで戻って来た。
「『反射』を破る、もう一つの方法がある」
ボーはポケットから先程入れた物を取り出す。
「スーパーボール?」
ソレは縁日等で目にするゴム製のオモチャだった。
彼ははしんのすけの目の前にある机の上にボールを落とし、跳ね返ってきたソレを掴む。
「良い?しんちゃん。机が一方通行、ボールがこっちの攻撃」
「うん、普通に攻めたんじゃ全部返ってきちゃうんだね」
「そう、だからコウすれば……」
ボーはうなずくと彼の言う、『反射を破るもう一つの方法』をしんのすけの前で実証してみせる。
379 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2019/03/27(水) 00:48:34.31 ID:u6aAKjZY0
「おおっ!?」
元々柔らかい天板だったのだろう、机にはボールのぶつかった跡がくっきりと凹みとして残っていた。
一方スーパーボールの方はと言えば、ひび割れ潰れてしまっている。
「この方法なら、『反射』は破れるけど、こんな風に拳なんかを使えば壊れちゃうから、もっと柔らかい武器か、逆にすごく堅い武器が必要になる」
でも、と彼は更に続ける。
「この方法を使った、ガジェットなら、一時間位で造れるけど、どうする?」
しんのすけは首を横に振る。
「いや、ありがとうボーちゃん。もうヒントは十分もらえたからいいや」
それに一時間後では実験には間に合わない。
「そう、じゃあ最後におさらい」
ボーいわく、必要な物は三つ。
まず『反射』される瞬間を感知できる高性能なセンサー。
次に柔らかく、ある程度変形してもいい二段重ねの物。
最後にソレらを一方通行に向けて発射する物。
「良かった、全部揃ってるゾ」
「そう、なら心配いらないね。あとは多分『反射』は体の表面に、膜のように領域を設定して、演算してると思うから、それが無い所をねらうとか」
他には非現実的だが、一方通行の反射膜(仮称)の外側では空気等の無害な物質に擬態し、体内に侵入してから毒性に変化する物質を創る等、ボーは様々な案を出す。
「これは、『反射』を破るって言うよりも、すり抜けるっていったほうが良いかもね」
「オラにその方法は無理かな……じゃあまたねボーちゃん」
「うん、またね、しんちゃん」
380 :
>>1
◆aMcAOX32KD1b
[saga]:2019/03/27(水) 00:49:25.63 ID:u6aAKjZY0
しんのすけはボーの研究室を出る。
先程無理と言った方法だが、スゲーナスゴイデスのトランプを使えば勿論可能だ。
しかし原典級霊装で超能力者を倒してしまうのは、後々大きな問題となるだろう。
「科学側の武器だけで戦わないと……お?」
スマホが又、アイツからの着信を知らせる。
送られてきたのは写真つきのメール、タイトルは「コイツラの足止めは私に任せろ」。
写真には目隠しにさるぐつわ、更に手錠をはめられた常盤台中学の制服姿の茶髪の女の子、ミサカ10032号が写っていた。
「絵面が犯罪的すぎるゾ」
苦笑しつつ、自分と一方通行の戦闘に巻き込む心配も『妹達』に邪魔される心配もしなくていいのは大部助かる。
「さて、そろそろ現場に向かうとしますか」
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